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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電線管の固定構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20240925BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20240925BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240925BHJP
   E04H 17/14 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H02G3/30
F16B9/02 Z
F16L5/00 V
E04H17/14 103Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021011253
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114813
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 厚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史隆
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-130899(JP,U)
【文献】特開平11-122748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
F16B 9/02
F16L 5/00
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠内に配置される電線管を、前記縦枠に取り付けられる横枠に固定する電線管の固定構造であって、
前記縦枠および前記横枠は、アルミ形材で構成され、
前記電線管は、合成樹脂製であり、
前記横枠には、前記電線管が挿通される挿通穴が形成され、前記挿通穴の内周面には係止部が突設され、
前記電線管は、山部と、前記山部に対して外径が小さい谷部とが形成され、
前記電線管は、前記谷部に前記係止部が挿入されることで前記挿通穴に係止されることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電線管の固定構造において、
前記係止部は、複数設けられて前記挿通穴の内周方向において等間隔に配置されていることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電線管の固定構造において、
前記挿通穴の内周面には、3つの前記係止部が設けられていることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電線管の固定構造において、
前記谷部の直径をL1、前記山部の直径をL2、前記挿通穴の直径をL3、前記係止部の突出寸法をL4とすると、
L1<(L3-L4×2)<L2
であることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電線管の固定構造において、
前記谷部の開口高さ寸法をH1、前記谷部の底面の高さ寸法をH2、前記係止部の厚さ寸法をt1とすると、
H2<t1<H1
であることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電線管の固定構造において、
前記縦枠と前記横枠は、中空形状に形成されることを特徴とする電線管の固定構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電線管の固定構造において、
前記横枠は、前記縦枠に取り付けられる第一部材と、前記第一部材に取り付けられる第二部材とを備え、前記挿通穴は前記第一部材に形成されることを特徴とする電線管の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状を有するCD管などの電線管の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
門柱の上端に連結具を介して中空アーチ体を取り付けた門柱において、中空アーチ体に照明具を配置した機能門柱が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1では、門柱から連結具の配線挿通孔を通して中空アーチ体まで照明具用の配線が配置され、門柱内には前記配線を保護する合成樹脂製の可撓管(電線管)が配置されている。この可撓管は、上端の支持部を連結具の配線挿通孔に挿通し、支持部の連結具の上面側および下面側を、配線挿通孔よりも寸法の大きい止リングでそれぞれ固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平7-55275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記機能門柱では、連結具の上下両側に止リングを設けて可撓管を固定しているため、可撓管の固定作業が煩雑であり、止リングの部品が必要なため、部品数が増えてコストも増加するという課題がある。
さらに、連結具の上面側では、可撓管の支持部を突出させて止リングで固定するため、連結具の上面からの可撓管の突出寸法が大きくなる。このため、例えば、門柱の上端に笠木などの中空形状の横枠を取り付け、門柱内に配置した可撓管の上端から突出する配線を横枠内で最小曲げ半径で湾曲させる場合、横枠の高さ寸法が大きくなり、横枠の意匠性が低下するという課題もある。
このような課題は機能門柱に限定されず、縦枠内に電線管を配置し、縦枠に取り付けられる横枠に電線管を固定し、電線管から突出する配線を横枠内で湾曲させて配置する場合に共通するものである。
【0005】
本発明の目的は、縦枠内に配置される電線管を横枠に容易に固定でき、電線管固定用の止リングを不要にできて部品数を減少でき、横枠の意匠性を向上できる電線管の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、縦枠内に配置される電線管を、前記縦枠に取り付けられる横枠に固定する電線管の固定構造であって、前記横枠には、前記電線管が挿通される挿通穴が形成され、前記挿通穴の内周面には係止部が突設され、前記電線管は、山部と、前記山部に対して外径が小さい谷部とが形成され、前記電線管は、前記谷部に前記係止部が挿入されることで前記挿通穴に係止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦枠内に配置される電線管を横枠に容易に固定でき、電線管固定用の止リングを不要にできて部品数を減少でき、横枠の意匠性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の電線管の固定構造を適用したポストユニットを示す斜視図である。
図2】前記実施形態のポストユニットを示す正面図である。
図3】前記実施形態の笠木部材を示す分解斜視図である。
図4】前記実施形態の電線管の固定構造を示す断面図である。
図5】前記実施形態の電線管の固定構造を示す上面図である。
図6】前記電線管の固定手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電線管の固定構造を適用したポストユニット1を示す斜視図であり、図2はポストユニット1の正面図である。
ポストユニット1は、左右の柱2,3と、柱2,3の上部に渡って配置される笠木部材4とを備える門型フレーム構造を有する。
さらに、ポストユニット1は、ポスト5と、パネル材6A、6Bと、縦格子7A、7Bと、胴縁である横枠8A~8Cと、シャフト9とを備える。
【0010】
柱2,3は、矩形筒状のアルミ形材で構成されている。なお、本実施形態では、奥行き寸法が異なる柱2、3を用いているが、奥行き寸法が同じ柱を用いてもよい。この柱2,3内には、配線用のCD管やPF管などの電線管100が配置されている。
笠木部材4は、左右の柱2,3の上端間に掛け渡される板状の笠木受け20と、笠木受け20に取り付けられる断面略コ字状の笠木10と、笠木10の小口を塞ぐキャップ30とを備えている。笠木受け20は、柱2、3のビスホールにねじ込まれるタッピングねじで柱2,3に固定されている。
したがって、本実施形態では、柱2、3によって縦枠が構成され、笠木部材4によって横枠が構成される。
【0011】
ポスト5は、左右の柱2,3の上下方向中間位置に固定されている。シャフト9は、ポスト5の下方位置に設けられて柱2,3間に連結されている。
パネル材6A、6Bは、柱2に沿って配置されて柱2に固定されている。ここで、パネル材6Aは、笠木部材4およびポスト5間に配置され、パネル材6Bは、ポスト5およびシャフト9間に配置されている。パネル材6Aにはインターホン61が取り付けられている。
横枠8Aはポスト5の上面に沿って配置され、横枠8Bはポスト5の下面に沿って配置され、横枠8Cはシャフト9の上面に沿って配置されている。各横枠8A~8Cは、L字型金具85を介して柱3およびパネル材6A,6Bに取り付けられている。横枠8A、8B、8Cは、水平板部と、水平板部の長手方向に沿った両端部からそれぞれ延長された鉛直片部とを備えた断面略コ字状のアルミ形材で構成されている。
縦格子7A,7Bは、笠木部材4および横枠8A間と、横枠8Bおよび横枠8C間に配置されている。縦格子7Aは、図2にも示すように、横枠8A~8Cの両端近傍に配置され、縦格子7Bは、縦格子7A間に配置されている。
縦格子7A,7Bは、同一断面形状のアルミ形材で構成され、断面矩形状とされ、対向する2つの辺にそれぞれビスホールが形成されている。そして、横枠8A~8Cの水平板部および笠木受け20から縦格子7A,7Bのビスホールにタッピングねじ76をねじ込むことで、縦格子7A,7Bの上下端部が笠木受け20、横枠8A~8Cに固定されている。
【0012】
笠木部材4は、図3、4に示すように、笠木10と、笠木受け20と、キャップ30とを備えて構成される。
笠木10は、柱2、3の上端部を結ぶ方向である長手方向に延びる天板11と、天板11の幅方向の各端部からそれぞれ垂下する第一垂下片12および第二垂下片13とを有するアルミ形材で構成されている。
第一垂下片12は、第一延出片121と、係止片122とを有する。第二垂下片13は、第二延出片131を有する。第一延出片121、第二延出片131の長手方向両端の近傍には、ねじ挿通用の穴121A、131Aが形成されている。
【0013】
笠木受け20は、長手方向に延びる底板21を有するアルミ形材で構成されている。
底板21は、幅方向の一方の端部より内側の位置から上方に突出し、さらに幅方向外側に突出する係合片部22と、幅方向の他方の端部より内側の位置から上方に突出された突出片部23と、突出片部23より内側の位置から上方に突出された第二突出片部24とを有する。
底板21の長手方向の両端部近傍には、電線管100が挿通されて取り付けられる挿通穴25が形成されている。
挿通穴25は、図5にも示すように、挿通穴25の内周面から中心側に向かって係止部26が突出している。本実施形態では、3つの係止部26が設けられている。各係止部26は、挿通穴25の内周面に沿った円周方向において、等間隔、つまり120°間隔で設けられている。挿通穴25は、笠木受け20をプレス加工することで形成されている。
【0014】
キャップ30は、図3に示すように、笠木10の長手方向両側の各小口に取り付けられ、小口の開口を覆うカバー部31と、カバー部31から笠木10の小口内部に挿入される固定部32とを備える。
固定部32は、第一延出片121、第二延出片131の上面に当接され、第一延出片121、第二延出片131の下面から、穴121A、131Aを介して固定部32にタッピングねじをねじ込むことで、キャップ30は笠木10の小口に固定される。
【0015】
笠木受け20は柱2,3の上端にねじ止めされている。笠木10は、係止片122を係合片部22に係合し、第二延出片131を突出片部23、第二突出片部24の上端に当接させて底板21から第二延出片131にねじをねじ込むことで笠木受け20に取り付けられる。このように笠木受け20に笠木10を取り付けることで横枠である笠木部材4が構成されるため、笠木受け20によって横枠の第一部材が構成され、笠木10によって横枠の第二部材が構成される。
【0016】
柱2,3内に配置される電線管100は、図4にも示すように、CD管やPF管と呼ばれる合成樹脂製の可撓電線管であり、山部101と谷部102とが交互に設けられた蛇腹状に形成されている。ここで、山部101は外周に向かうにしたがって高さ寸法が小さくなるように形成され、谷部102は外周に向かうにしたがって開口高さ寸法が大きくなるように形成されている。例えば、谷部102の底つまり最も内側の部分の高さ寸法が1mm、谷部102の開口つまり最も外側の部分の高さ寸法が2mmとされている。
電線管100内には、インターホン61や、笠木部材4内に配置される照明用の配線110が挿通される。配線110は、一般的なシースケーブルなどで構成される。
【0017】
[電線管の固定構造]
次に、電線管100を、底板21の挿通穴25に係止する固定構造について説明する。
図5に示すように、電線管100の山部101の直径は、挿通穴25の直径よりも小さいが、係止部26の内周側の先端を結ぶ仮想円の直径よりも大きい。また、電線管100の谷部102の直径は、前記仮想円の直径よりも小さい。
本実施形態では、谷部102の直径をL1、山部101の直径をL2、挿通穴25の直径をL3、係止部26の突出寸法をL4とすると、係止部26の内周側の先端を結ぶ仮想円の直径は、(L3-L4×2)で求められる。そして、前述したように、谷部102の直径L1は仮想円の直径よりも小さく、山部101の直径L2は仮想円の直径よりも大きいため、L1<(L3-L4×2)<L2である。なお、本実施形態では、前述の寸法条件を満たした上で、具体的には、L3-L4=L2、L2-L1=(L3-L2)×2、L2-L1=L4×2とされている。例えば、谷部102の直径L1=17mm、山部101の直径L2=21mm、挿通穴25の直径L3=23mm、係止部26の突出寸法L4=2mmである。
このため、電線管100の平面中心位置と、挿通穴25の中心位置とを一致させた場合、谷部102の深さ寸法は(L2-L1)/2である。また、山部101および挿通穴25間の隙間寸法は(L3-L2)/2であり、谷部102の深さ寸法の2倍とされている。また、挿通穴25の内周面から突設される係止部26の突出寸法L4は、谷部102の深さ寸法と同じ寸法とされている。このため、電線管100および挿通穴25の中心位置が一致している場合、係止部26は、谷部102の深さ寸法の半分の位置まで挿入されることになる。さらに、係止部26の先端と、挿通穴25の中心を挟んで係止部26に対向する挿通穴25の内周面との間の寸法は、山部101の直径L2と同じである。
また、図4に示すように、谷部102の開口高さ寸法をH1、谷部102の底面の高さ寸法をH2、底板21の厚さ寸法つまり係止部26の厚さ寸法をt1とすると、H2<t1<H1である。すなわち、谷部102は、開口の高さ寸法H1が最も大きく、底面に向かって徐々に開口高さが小さくなるように形成されている。すなわち、谷部102を区画する上面および下面は傾斜面とされ、底板21を谷部102に挿入でき、かつ、底板21が谷部102の傾斜面に当接して係止されるように構成されている。例えば、谷部102の開口高さ寸法H1=2mm、谷部102の底面の高さ寸法H2=1mm、係止部26の厚さ寸法t1=1.5mmであれば、谷部102の深さ方向の中間位置の高さ寸法が1.5mmとなるため、係止部26は谷部102の中間位置まで挿入されて谷部102の傾斜面に当接される。
このため、図5に示すように、3箇所の係止部26を電線管100の谷部102にそれぞれ配置することで、電線管100は底板21の挿通穴25に係止される。
なお、H2+(H1-H2)×0.4≦t1≦H2+(H1-H2)×0.6とすることが好ましい。すなわち、前述したように、H1=2mm、H2=1mmの場合、t1は1.4mm以上、1.6mm以下程度に設定すると、挿通穴25で電線管100を安定してかつ確実に係止できる点で好ましい。
【0018】
次に、図6を参照して、電線管100を挿通穴25に固定する手順について説明する。
柱2、3に挿通した電線管100の上端を、笠木受け20の底板21下面から挿通穴25内に挿入する。この際、図6(A)に示すように、電線管100の上端を底板21に対して傾斜させ、その傾斜させた上端部分を2つの係止部26間に配置する。そして、図6(B)に示すように、電線管100の上端から一つ目の谷部102に2つの係止部26が挿入されるように、電線管100および底板21を相対的に移動する。この際、前述したような寸法関係であるため、3つ目の係止部26と電線管100とが平面視で重ならないようにでき、電線管100の上端から一つ目の山部101を底板21の上面側に移動できる。
次に、図6(C)に示すように、電線管100および底板21を相対的に移動し、各係止部26を、電線管100の上端から一つ目の谷部102に挿入する。これにより、図4に示すように、底板21よりも上側には、電線管100の上端から一つ目の山部101のみが配置され、底板21から上方に突出する電線管100の寸法を最小にできる。
このため、図4に示すように、配線110を最小曲げ半径で配置する場合に必要な高さ寸法を確保する場合、つまり、電線管100の上端面から笠木10の天板11下面までの高さ寸法を最小曲げ半径の配線110を配置できる寸法に設定した場合に、笠木部材4の高さ寸法も最小にできる。
【0019】
なお、メンテナンスなどで底板21から電線管100を外す必要がある場合は、上記取付手順と逆の手順で行えば良い。また、電線管100は可撓性を有し、平面形状が楕円となるように変形させることもできる。このため、挿通穴25に電線管100を取り付ける場合に、電線管100を変形させながら挿通穴25内に挿入して係止部26に係止してもよい。
【0020】
次に、ポストユニット1の組立方法について説明する。なお、本実施形態のポストユニット1は、工場で組み立てられる。
柱2,3に電線管100を配置しておき、電線管100の上端を笠木受け20の挿通穴25に係止する。次に、柱2、3の上面に笠木受け20をねじ止めして門型フレームを構成する。さらに、ポスト5や、パネル材6A、6B、縦格子7A、7B、横枠8A~8C、シャフト9を取り付ける。また、電線管100には配線110を挿通しておく。その後、小口にキャップ30を固定した笠木10を、笠木受け20の上から被せるように配置し、係止片122を係合片部22に係合し、第二延出片131を突出片部23、第二突出片部24の上端に当接させて底板21から第二延出片131にねじをねじ込んで笠木10を笠木受け20に固定する。以上の手順でポストユニット1の組立が完了する。
このように組み立てたポストユニット1は、ユニットの状態で工場から施工現場に搬送され、施工現場において基礎200に埋設される。その後、笠木10を笠木受け20から一旦外して照明等の配線を行い、笠木10を笠木受け20に再度取り付けることでポストユニット1が完成する。
【0021】
本実施形態によれば、笠木受け20の底板21に挿通穴25を形成し、挿通穴25の係止部26に電線管100の谷部102を係止することで電線管100を固定しているので、止リングなどの部品を用いずに電線管100を固定できる。このため、電線管100を容易に固定することができ、止リングを不要にできることで部品数を少なくできて部品費も低減できる。
【0022】
電線管100の谷部102を係止部26に係止するため、電線管100の上端から最初の谷部102を係止部26に係止することができる。このため、電線管100の底板21から上方に突出する寸法は、止リングなどの部品で固定する場合に比べて小さくできる。したがって、電線管100の上端から突出する配線110を最小曲げ半径で湾曲させた際に底板21から笠木10の天板11までの高さ寸法を小さくでき、笠木部材4の意匠性を向上できる。
【0023】
また、電線管100を挿通穴25に固定できるため、ポストユニット1の運送中や施工中に電線管100が底板21から外れることを防止でき、電線管100を柱2,3内から引き上げるなどの余計な作業を行う必要が無く、施工効率の低下を防止できる。
【0024】
挿通穴25の係止部26を等間隔に設けたので、電線管100をバランス良く係止でき、電線管100が水平方向に外れることを防止できる。特に、係止部26を3箇所にかつ120°間隔で設けたので、電線管100が挿通穴25に対して水平方向に移動しても係止部26が谷部102から外れることを防止でき、電線管100を安定して固定できる。
【0025】
谷部102の直径をL1、山部101の直径をL2、挿通穴25の直径をL3、係止部26の突出寸法をL4としたときに、L1<(L3-L4×2)<L2となるように設定しているので、電線管100を比較的容易に挿通穴25に取り付けることができ、かつ、外れ難くできる。
また、谷部102の開口高さ寸法をH1、谷部102の底面の高さ寸法をH2、係止部26の厚さ寸法をt1としたときに、H2<t1<H1となるように設定しているので、係止部26を谷部102に挿入して係止した場合に、電線管100はガタつくことが無く、電線管100を安定して固定することができる。
【0026】
[変形例]
前記実施形態では、係止部26を挿通穴25の円周方向に等間隔に配置していたが、異なる間隔で配置してもよく、電線管100を係止して固定できればよい。
また、係止部26を設ける箇所は3箇所に限定されず、2箇所あるいは4箇所以上でもよい。さらに、係止部26の形状は、前記実施形態のように、平面山形のものに限定されず、電線管100の係止のし易さと、外れ難さを考慮して設定すればよい。また、電線管100や挿通穴25、係止部26の寸法は前記実施形態のものに限定されず、電線管100を係止でき、かつ、外れ難くできればよい。
前記実施形態では係止部26を底板21と同じ平面上に形成しているが、係止部26を底板21から斜め上方に傾斜させてもよい。
【0027】
前記実施形態では、中空形状の柱2、3で縦枠を構成していたが、断面コ字状のチャンネル材で縦枠を構成してもよい。すなわち、縦枠は、中空形状のものに限定されず、また、複数の部材を組み合わせて構成してもよい。
横枠としては、第一部材および第二部材のように複数部材で構成されるものに限定されず、一体成形品で構成してもよい。また、横枠は、中空形状のものに限定されず、例えば、上面、前面、下面を備えて断面コ字状に構成される横枠を用いてもよい。
さらに、横枠は、縦枠の上端に取り付けられるものに限らず、高さ方向中間位置に取り付けられるものでもよい。
【0028】
前記実施形態では、ポストユニット1のインターホン61や照明具用の配線110を配置する電線管100の固定用に本発明の固定構造を用いていたが、門柱にアーチを連結した機能門柱に電線管100を配置する場合に用いてもよいし、機能門柱以外の縦枠および横枠を有する部材に用いてもよい。
【0029】
[本発明のまとめ]
本発明は、縦枠内に配置される電線管を、前記縦枠に取り付けられる横枠に固定する電線管の固定構造であって、前記横枠には、前記電線管が挿通される挿通穴が形成され、前記挿通穴の内周面には係止部が突設され、前記電線管は、山部と、前記山部に対して外径が小さい谷部とが形成され、前記電線管は、前記谷部に前記係止部が挿入されることで前記挿通穴に係止されることを特徴とする。
本発明によれば、電線管を容易に固定することができ、止リングを不要にできることで部品数を少なくできて部品費も低減できる。また、横枠の挿通穴から上方に突出する電線管の寸法は、止リングなどの部品で固定する場合に比べて小さくできる。したがって、例えば、横枠の高さ寸法を小さくできて意匠性を向上できる。
【0030】
本発明の電線管の固定構造において、前記係止部は、複数設けられて前記挿通穴の内周方向において等間隔に配置されていることが好ましい。
挿通穴の係止部を等間隔で複数設けたので、電線管をバランス良く係止でき、電線管が水平方向に外れることを防止できる。
【0031】
本発明の電線管の固定構造において、前記挿通穴の内周面には、3つの前記係止部が設けられていることが好ましい。
係止部を3箇所に設けたので、電線管が挿通穴に対して水平方向に移動しても係止部が谷部から外れることを容易に防止でき、電線管を安定して固定できる。
【0032】
本発明の電線管の固定構造において、前記谷部の直径をL1、前記山部の直径をL2、前記挿通穴の直径をL3、前記係止部の突出寸法をL4とすると、L1<(L3-L4×2)<L2であることが好ましい。
このような寸法関係に設定すれば、電線管を比較的容易に挿通穴に取り付けることができ、かつ、外れ難くできる。
【0033】
本発明の電線管の固定構造において、前記谷部の開口高さ寸法をH1、前記谷部の底面の高さ寸法をH2、前記係止部の厚さ寸法をt1とすると、H2<t1<H1であることが好ましい。
このような寸法関係に設定すれば、係止部を谷部に挿入して係止した場合に、電線管はガタつくことが無く、電線管を安定して固定することができる。
【0034】
本発明の電線管の固定構造において、前記縦枠と前記横枠は、中空形状に形成されることが好ましい。
縦枠および横枠が中空形状であれば、電線管が外部に露出しないため意匠性を向上できる。
【0035】
本発明の電線管の固定構造において、前記横枠は、前記縦枠に取り付けられる第一部材と、前記第一部材に取り付けられる第二部材とを備え、前記挿通穴は前記第一部材に形成されることが好ましい。
横枠が、第一部材と第二部材とを備え、第一部材に挿通穴が形成されていれば、第一部材の挿通穴に電線管を取り付けた後に第二部材を第一部材に取り付けることができるので、電線管の取付作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0036】
1…ポストユニット、2…柱、3…柱、4…笠木部材、5…ポスト、6A…パネル材、6B…パネル材、7A…縦格子、7B…縦格子、8A…横枠、8B…横枠、8C…横枠、9…シャフト、10…笠木、11…天板、12…第一垂下片、13…第二垂下片、20…笠木受け、21…底板、22…係合片部、23…突出片部、24…第二突出片部、25…挿通穴、26…係止部、30…キャップ、31…カバー部、32…固定部、61…インターホン、76…タッピングねじ、85…L字型金具、100…電線管、101…山部、102…谷部、110…配線、121…第一延出片、121A…穴、122…係止片、131…第二延出片、131A…穴、200…基礎。
図1
図2
図3
図4
図5
図6