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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プログラム、及び放射妨害波測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01R29/08 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021042795
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142574
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】本谷 智宏
(72)【発明者】
【氏名】緑 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】栗原 弘
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-3229(JP,A)
【文献】特開2017-181104(JP,A)
【文献】特開2019-164102(JP,A)
【文献】特開2020-51920(JP,A)
【文献】特開2020-51919(JP,A)
【文献】特開2020-106355(JP,A)
【文献】特開2020-153690(JP,A)
【文献】特開2020-159905(JP,A)
【文献】特許第7474073(JP,B2)
【文献】緑雅貴;本谷智宏;鈴木圭;SUTTON, Robert;UDAYABHASKAR, Sumana;栗原弘,“サンプリング周波数変換を用いた電界強度分布補間法の一検討”,電子情報通信学会2018年通信ソサイエティ大会講演論文集1,2018年08月28日,p. 273
【文献】MIDORI, Masataka; HONYA, Tomohiro; SUTTON, Robert; KURIHARA, Hiroshi,“High Speed EMI Measurement System with Upsampling Algorithm for E-field Strength Distribution”,2019 Joint International Symposium on Electromagnetic Compatibility, Sapporo and Asia-Pacific International Symposium on Electromagnetic Compatibility (EMC Sapporo/APEMC),2019年03月03日,pp. 589-592,DOI: 10.23919/EMCTokyo.2019.8893863
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08-29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
許容値情報受付ステップと、
測定条件情報受付ステップと、
特定ステップと、
を実行させるためのプログラムであり、
前記許容値情報受付ステップは、許容値を示す許容値情報を受け付け、
前記許容値は、第1推定最大位置からのずれとして許容可能な大きさを示す値であり、
前記第1推定最大位置は、放射妨害波を放射する供試体から放射される前記放射妨害波の強度が最大になる位置として、所定の推定方法によって推定された位置であり、
前記測定条件情報受付ステップは、前記供試体に関する供試体情報と、前記放射妨害波を測定する測定空間に関する測定空間情報と、前記放射妨害波に関する放射妨害波情報とを含む測定条件情報を受け付け、
前記特定ステップは、前記許容値情報受付ステップにより受け付けられた前記許容値情報が示す前記許容値と、前記測定条件情報受付ステップにより受け付けられた前記測定条件情報とに基づいて、前記放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する、
プログラム。
【請求項2】
前記特定ステップは、
前記2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータの値と、前記測定条件情報受付ステップにより受け付けられた前記測定条件情報とに基づいて、前記放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する第1処理と、
前記第1処理により前記2以上の測定点の配置が特定された場合、前記第1処理により特定された前記2以上の測定点の配置に基づいて、前記放射妨害波の強度が最大になると推定される第2推定最大位置を算出する第2処理と、
前記第2処理により算出された前記第2推定最大位置と前記第1推定最大位置とのずれが、前記許容値情報受付ステップにより受け付けられた前記許容値情報が示す前記許容値を超える場合、前記測定間隔調整パラメータの値を小さくして、前記第1処理を実行する第3処理と、
を実行することにより、前記2以上の測定点の配置を特定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記特定ステップは、前記2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータの値と前記許容値とが対応付けられた対応情報に基づいて、前記許容値情報受付ステップにより受け付けられた前記許容値情報が示す前記許容値に対応付けられた前記測定間隔調整パラメータの値を特定し、特定した前記測定間隔調整パラメータの値と、前記測定条件情報受付ステップにより受け付けられた前記測定条件情報とに基づいて、前記2以上の測定点の配置を特定する第4処理を実行することにより、前記2以上の測定点の配置を特定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記放射妨害波情報には、前記放射妨害波の波長を示す波長情報が含まれており、
前記測定間隔調整パラメータは、前記波長情報が示す波長に乗算されるパラメータである、
請求項2又は3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記2以上の測定点の配置は、重力方向における配置である、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記2以上の測定点の配置は、重力方向と平行になるように予め決められた回転軸周りの方位角方向における配置である、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
請求項1から6のうちいずれか一項に記載のプログラムを実行するコンピュータを備える、
放射妨害波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、及び放射妨害波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射妨害波試験を行うために用いる技術についての研究、開発が行われている。ここで、放射妨害波試験は、供試体から放射妨害波として放射される電磁波の電界強度が、国際的に定められた規格の許容値以下であるか否かを確認する試験のことである。供試体は、放射妨害波試験を行う対象となる物体のことである。また、供試体は、放射妨害波を放射する電磁波源を含む物体のことである。例えば、供試体は、電子機器である。供試体が電子機器である場合、放射妨害波試験は、電子機器が市場へ出荷される前に行われることが多い。これは、電子機器から放射される放射妨害波が周囲の他の電子機器に影響を及ぼし、例えば、当該他の電子機器の誤動作を誘引することがあるためである。
【0003】
放射妨害波試験では、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布が推定される。当該分布が推定された後、放射妨害波試験では、推定された当該分布に基づいて、当該電界強度が最大となる位置が特定される。当該位置が特定された後、放射妨害波試験では、特定された当該位置において、当該電界強度が所定時間測定される。そして、当該位置において当該電界強度が所定時間測定された後、放射妨害波試験では、当該位置において所定時間測定された当該電界強度の尖頭値、積分値、平均値等が、国際的に定められた規格の許容値以下であるか否かが確認される。
【0004】
ここで、放射妨害波試験では、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の分布を推定する際、当該仮想的な面上に設定される複数の測定点それぞれの位置において、放射妨害波の電界強度が測定される。そして、放射妨害波試験では、当該分布は、当該複数の測定点それぞれの位置において測定された当該電界強度に基づいて推定される。放射妨害波試験によって推定される当該分布の推定精度は、推定された当該分布における当該電界強度が最大となる位置と、実際の当該分布における当該電界強度が最大となる位置との一致度合いによって表される。このため、当該分布の推定精度の高さは、すなわち、当該電界強度が最大となる位置の特定精度の高さを示す。
【0005】
このように、放射妨害波試験では、放射妨害波の電界強度は、供試体を囲む仮想的な面上に設定される複数の測定点それぞれの位置において測定される。このため、放射妨害波試験では、当該仮想的な面上における当該電界強度の分布の推定精度は、当該複数の測定点の数が多いほど、高くなる。しかしながら、当該分布の推定に要する時間は、当該複数の測定点の数が多いほど、長くなる。
【0006】
例えば、情報通信機器の周波数帯域(すなわち、30MHz~40GHz)の放射妨害波についての放射妨害波試験では、供試体を囲む仮想的な面の形状は、円筒形状である。そして、当該放射妨害波試験では、当該仮想的な面上に設定される複数の測定点は、基準となる平面からの高さが1m~4mの範囲において、円筒形状の当該仮想的な面上の上下方向に1cm間隔で並ぶように設定される。また、当該放射妨害波試験では、当該複数の測定点は、円筒形状の当該仮想的な面の中心軸周りの方位角が0度~360度の範囲において、円筒形状の当該仮想的な面上の周方向に1°間隔で並ぶように設定される。このため、当該放射妨害波試験では、当該複数の測定点の数は、約14万点にも及ぶ。その結果、当該放射妨害波試験には、例えば、1点の測定点毎に1分間の測定を行った場合であっても、14万分(約97日間)以上もの時間を要してしまう。
【0007】
また、放射妨害波試験では、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布の推定精度を高くするため、放射妨害波として測定する電磁波の周波数帯域を広くすることが求められる。このため、放射妨害波試験では、例えば、スーパーヘテロダイン方式のスペクトルアナライザ、FFT(Fast Fourier Transform)方式のスペクトルアナライザ等のスペクトルアナライザを用いることにより、当該電磁波のスペクトルの測定を行う。しかしながら、放射妨害波試験に要する時間は、当該電磁波の周波数帯域が広いほど、長くなることも知られている。
【0008】
このように、放射妨害波試験では、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布の推定精度を高くしようとする場合、放射妨害波試験に要する時間は、長くなってしまうことがある。
【0009】
ここで、このような放射妨害波試験に要する時間の増大の抑制を目的として、供試体を囲む仮想的な面上に設定される複数の測定点それぞれの位置をサンプリング定理に基づいて算出する電磁波測定点算出装置を有し、電磁波測定点算出装置により算出された複数の測定点に基づいて、放射妨害波試験を行う放射妨害波測定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-164102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載されている放射妨害波測定装置は、ある測定点X1の位置が与えられている場合において、測定点X1の位置から次の測定点X2の位置までの間隔を、サンプリング定理に基づいて算出する。そして、当該放射妨害波測定装置は、算出した当該間隔と、測定点X1の位置とに基づいて、測定点X2の位置を算出する。当該放射妨害波測定装置は、このような測定点の位置の算出を測定点のそれぞれについて1つずつ順に行い、算出した複数の測定点の位置に基づいて、供試体を囲む仮想的な面上に設定する複数の測定点の配置を特定する。これにより、当該放射妨害波測定装置は、設定する測定点の数を不必要に増大させることなく、当該仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0012】
ここで、サンプリング定理は、供試体を囲む仮想的な面上に設定される複数の測定点のうち互いに隣接する測定点間それぞれの間隔を、放射妨害波の半波長以下の長さにすることにより、当該仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を、完全に再現することが可能であることを帰結する定理である。これはすなわち、放射妨害波の半波長までであれば、当該分布の推定精度を低くすることなく、当該複数の測定点のうち互いに隣接する測定点間それぞれの間隔を長くすることができ、その結果、前述した通り、当該複数の測定点の数の増大を抑制することができることを意味する。しかしながら、当該複数の測定点のうち互いに隣接する測定点間それぞれの間隔のうち最も長い間隔を放射妨害波の半波長と一致させた場合、当該複数の測定点それぞれの位置を算出する際に行われるフィルタリング処理、当該複数の測定点の端における補外処理によって、当該分布を精度よく推定することができないことがあった。すなわち、特許文献1に記載されている放射妨害波測定装置は、当該場合、当該仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができないことがあった。
【0013】
この問題は、供試体を囲む仮想的な面上に設定される複数の測定点のうち互いに隣接する測定点間それぞれの間隔を短くするほど、解消されることが分かっている。しかしながら、当該複数の測定点のうち互いに隣接する測定点間それぞれの間隔を不必要に短くした場合、前述した通り、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまう。
【0014】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができるプログラム、及び放射妨害波測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、コンピュータに、許容値情報受付ステップと、測定条件情報受付ステップと、特定ステップと、を実行させるためのプログラムであり、前記許容値情報受付ステップは、許容値を示す許容値情報を受け付け、前記許容値は、第1推定最大位置からのずれとして許容可能案大きさを示す値であり、前記第1推定最大位置は、放射妨害波を放射する供試体から放射される前記放射妨害波の強度が最大になる位置として、所定の推定方法によって推定された位置であり、前記測定条件情報受付ステップは、前記供試体に関する供試体情報と、前記放射妨害波を測定する測定空間に関する測定空間情報と、前記放射妨害波に関する放射妨害波情報とを含む測定条件情報を受け付け、前記特定ステップは、前記許容値情報受付ステップにより受け付けられた前記許容値情報が示す前記許容値と、前記測定条件情報受付ステップにより受け付けられた前記測定条件情報とに基づいて、前記放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する、プログラムである。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記に記載のプログラムを実行するコンピュータを備える、放射妨害波測定装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る放射妨害波測定装置100の構成の一例を示す図である。
図2】仮想的な面上に複数の測定点が設定されている様子の一例を示すイメージ図である。
図3】放射妨害波測定装置100が設置された電波暗室内における供試体1とアンテナ2との位置関係の一例を示す図である。
図4】コンピュータ7の機能構成の一例を示す図である。
図5】コンピュータ7のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理の流れの一例を示す図である。
図7図6に示したステップS140の位置特定処理の流れの一例を示す図である。
図8】第2推定最大位置を示す分布D21と、第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。
図9】第2推定最大位置を示す分布D22と、第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。
図10】第2推定最大位置を示す分布D23と、第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。
図11】放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理の流れの他の例を示す図である。
図12】コンピュータ7が生成した対応情報C11の一例をグラフによって表した図である。
図13】ある測定条件情報C2に対応付けられた対応情報の一例を示す図である。
図14】測定条件情報C2と異なる測定条件情報C3に対応付けられた対応情報の一例を示す図である。
図15】第2推定最大位置を示す分布D31と、第1推定最大位置を示す分布D3とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。
図16】第2推定最大位置を示す分布D32と、第1推定最大位置を示す分布D3とを重ねてプロットしたグラフの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<放射妨害波測定装置の構成>
以下、図1を参照し、実施形態に係る放射妨害波測定装置100の構成について説明する。図1は、実施形態に係る放射妨害波測定装置100の構成の一例を示す図である。
【0021】
放射妨害波測定装置100は、放射妨害波試験を行う装置である。放射妨害波試験は、EMC(ElectroMagnetic Compatibility)規格に従って、供試体から放射される放射妨害波を測定する試験のことである。このため、放射妨害波試験の試験条件及び試験方法は、国際的に定められている。また、放射妨害波試験は、放射妨害波の電界強度と放射妨害波の磁界強度との少なくとも一方の測定を、放射妨害波の測定として行う試験である。以下では、一例として、放射妨害波試験が、放射妨害波の電界強度の測定を行う試験である場合について説明する。
【0022】
ここで、供試体は、放射妨害波を放射する電磁波源を含む物体のことである。また、供試体は、放射妨害波試験の対象となる物体(すなわち、放射妨害波試験の被験体)のことである。また、放射妨害波は、供試体から放射される電磁波のうち所定の周波数帯の電磁波のことである。以下では、一例として、このような供試体が、図1に示した供試体1である場合について説明する。この場合、放射妨害波測定装置100は、供試体1から放射される放射妨害波を測定する放射妨害波試験を行う。そこで、以下では、説明の便宜上、供試体1から放射される放射妨害波を、単に放射妨害波と称して説明する。また、当該例では、供試体1は、ノートPC(Personal Computer)である。なお、供試体1は、ノートPCに代えて、電磁波を放射する他の電子機器、通信機器等であってもよい。
【0023】
放射妨害波測定装置100は、グランドプレーンを形成している金属床面を備える電波暗室内に配置される。グランドプレーン上には、電波吸収体が設置されていなくてもよく、電波吸収体が設置されていてもよい。電波吸収体は、放射妨害波を吸収する材料であり、例えば、磁性材料、カーボン等を用いて作製される。なお、電波暗室の内壁のうち金属床面を除いた壁面にも、電波吸収体が貼り付けられていなくてもよく、電波吸収体が貼り付けられていてもよい。以下では、一例として、グランドプレーン上には、電波吸収体が設置されていない場合について説明する。また、以下では、一例として、当該壁面には、電波吸収体が貼り付けられていない場合について説明する。
【0024】
また、放射妨害波測定装置100は、アンテナ2と、アンテナマスト3と、ターンテーブル4と、受信器5と、コントローラ6と、コンピュータ7を備える。なお、放射妨害波測定装置100は、アンテナ2と、アンテナマスト3と、ターンテーブル4と、受信器5と、コントローラ6と、コンピュータ7とに加えて、他の装置、他の機器、他の部材等を備える構成であってもよい。また、放射妨害波測定装置100において、コンピュータ7は、受信器5とコントローラ6とのうちのいずれか一方又は両方と一体に構成されてもよい。
【0025】
アンテナ2は、電磁波の電界強度を検出可能なアンテナであれば、如何なるアンテナであってもよい。図1に示した例では、アンテナ2は、アンテナマスト3により支持されたハイブリッドアンテナである。アンテナ2は、検出した電界強度に応じた電圧を示す電気信号を、後述する受信器5に出力する。ここで、本実施形態では、一例として、アンテナ2の位置を、アンテナ2の先端の位置によって表す場合について説明する。なお、アンテナ2の位置は、当該先端の位置に代えて、アンテナ校正の基準点等のアンテナ2に応じた他の位置によって表される構成であってもよい。
【0026】
アンテナマスト3は、後述するコントローラ6による制御に応じて、アンテナ2を所望の方向に沿って移動させることが可能なアンテナマストであれば、如何なるアンテナマストであってもよい。図1に示した例では、アンテナマスト3は、アンテナ2を上下方向に沿って移動させることが可能なアンテナマストである。これにより、放射妨害波測定装置100は、アンテナ2の供試体1に対する相対的な位置を、上下方向に沿って移動させることができる。
【0027】
このようなアンテナマスト3により支持されているため、本実施形態では、アンテナ2の位置は、アンテナマスト3により上下方向に沿って変化し、上下方向と異なる方向に沿って変化しない。このため、本実施形態では、アンテナ2の位置は、アンテナ2の先端の上下方向における位置、すなわち、電波暗室における金属床面からのアンテナ2の先端の高さによって表される。ここで、実施形態において、上下方向は、重力方向と平行な2つの方向である。電波暗室の金属床面が重力方向と直交する場合、上下方向は、当該金属床面と直交する2つの方向であると換言することもできる。より具体的には、実施形態において、上方向は、重力方向と平行な2つの方向のうち、重力方向と逆の方向である。また、実施形態において、下方向は、重力方向と平行な2つの方向のうち、重力方向と一致する方向である。
【0028】
ターンテーブル4は、放射妨害波試験において供試体1が載置される台を含むテーブルである。ターンテーブル4は、後述するコントローラ6による制御に応じて、当該台に載置された供試体1を所定の回転軸周りに回転させることができる物体であれば、如何なる物体であってもよい。これにより、放射妨害波測定装置100は、ターンテーブル4の回転軸周りに、アンテナ2の位置を供試体1に対して相対的に回転させることができる。ここで、アンテナ2の位置が供試体1に対して相対的に回転することは、換言すると、アンテナの位置が、ターンテーブル4の回転軸周りの方位角方向に相対的に回転することである。なお、本実施形態では、一例として、図1に示すように、ターンテーブル4の回転軸が、上下方向と平行な軸である場合について説明する。なお、ターンテーブル4の回転軸は、上下方向と非平行な軸であってもよい。
【0029】
受信器5は、有線又は無線によってコンピュータ7と通信可能に接続されている。受信器5は、アンテナ2から出力された電気信号を、アンテナ2から取得する。受信器5は、取得した電気信号をコンピュータ7に出力する。
【0030】
コントローラ6は、アンテナマスト3によるアンテナ2の並進と、ターンテーブル4による供試体1の回転とのそれぞれを制御する制御装置である。コントローラ6は、例えば、有線によってアンテナマスト3、ターンテーブル4のそれぞれと通信可能に接続される。なお、コントローラ6は、コンピュータ7からの要求に応じてアンテナマスト3とターンテーブル4との少なくとも一方を制御してもよく、ユーザから受け付けた操作に基づいてアンテナマスト3とターンテーブル4との少なくとも一方を制御してもよい。以下では、コントローラ6が、コンピュータ7からの要求に応じてアンテナマスト3とターンテーブル4との両方を制御する場合について説明する。
【0031】
コンピュータ7は、例えば、ノートPCである。なお、コンピュータ7は、ノートPCに代えて、デスクトップPC、タブレットPC等の他の情報処理装置であってもよい。
【0032】
コンピュータ7は、コントローラ6及び受信器5を制御し、放射妨害波試験を行う。より具体的には、コンピュータ7は、コントローラ6を制御し、供試体1を囲む仮想的な面上に設定される2以上の測定点それぞれの位置と、アンテナ2の位置とを順に一致させる。以下では、説明の便宜上、供試体1を囲む仮想的な面を、単に仮想的な面と称して説明する。ここで、2以上の測定点のそれぞれは、放射妨害波試験において放射妨害波測定装置100が放射妨害波の電界強度を測定する位置を示す仮想的な点のことである。コンピュータ7は、2以上の測定点それぞれの位置にアンテナ2の位置を一致させる毎に、受信器5を制御し、受信器5から出力される電気信号を取得する。この電気信号は、アンテナ2が位置する測定点の位置においてアンテナ2により検出された電界強度に応じた電気信号である。また、コンピュータ7は、受信器5から電気信号を取得すると、取得した電気信号に応じた電界強度を算出する。例えば、コンピュータ7は、電気信号の大きさと電界強度の大きさとを対応付ける情報に基づいて、取得した電気信号に応じた電界強度を算出する。コンピュータ7は、放射妨害波試験において、このような処理により、2以上の測定点それぞれの位置における放射妨害波の電界強度を算出する。本実施形態において、放射妨害波の電界強度を測定することは、このように受信器5から取得した電気信号に基づいてコンピュータ7が電界強度を算出することを意味する。すなわち、コンピュータ7は、放射妨害波試験において、このような処理により、2以上の測定点それぞれの位置における放射妨害波の電界強度を測定する。
【0033】
放射妨害波試験において、2以上の測定点それぞれの位置における放射妨害波の電界強度を測定した後、コンピュータ7は、2以上の測定点のそれぞれの位置において測定した当該電界強度に基づいて、仮想的な面上における当該電界強度の分布を推定する。当該分布の推定方法については、ローパスフィルタを適用する方法等の既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。コンピュータ7によって推定される当該分布は、当該電界強度が最大となる位置を示す分布である。このため、コンピュータ7によって推定される当該分布の推定精度は、推定された当該分布における当該電界強度が最大となる位置と、実際の当該分布における当該電界強度が最大となる位置との一致度合いによって表される。このため、当該分布の推定精度の高さは、すなわち、当該電界強度が最大となる位置の特定精度の高さを示す。
【0034】
放射妨害波試験において、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を推定した後、コンピュータ7は、推定した分布に基づいて、放射妨害波の電界強度が最大となる位置を特定する。
【0035】
放射妨害波試験において、放射妨害波の電界強度が最大となる位置を特定した後、コンピュータ7は、特定した当該位置とアンテナ2の位置とを一致させ、所定の時間、当該電界強度を測定する。そして、コンピュータ7は、所定の時間測定した当該電界強度の尖頭値、積分値、平均値等が、国際的に定められた規格の許容値以下であるか否かを判定する。このようにして、放射妨害波測定装置100は、放射妨害波試験を行う。なお、コンピュータ7は、判定した結果を示す情報を図示しない表示部(例えば、ディスプレイ)に表示させる構成であってもよく、当該結果を示す情報を他の装置に出力する構成であってもよい。
【0036】
また、このような放射妨害波試験を行う前において、コンピュータ7は、以下において説明するように、放射妨害波試験において用いる2以上の測定点の配置を特定する。
【0037】
放射妨害波試験を行う前において、コンピュータ7は、ユーザから受け付けた操作に応じて、許容値を示す許容値情報を受け付ける。ここで、この許容値は、第1推定最大位置からのずれとして許容可能な大きさを示す。許容値は、例えば、距離の単位によって表された値であってもよく、デシベルによって表された値であってもよい。以下では、一例として、許容値が、デシベルによって表された値である場合について説明する。また、第1推定最大位置は、放射妨害波の強度が最大になる位置として、所定の推定方法によって推定された位置のことである。所定の推定方法は、例えば、電磁気学に基づく理論計算、数値シミュレーション、事前に行われる測定実験等であるが、これらに限られるわけではない。第1推定最大位置は、放射妨害波の電界強度が最大となる位置についての理論値の一種であると捉えられてもよい。
【0038】
また、放射妨害波試験を行う前において、コンピュータ7は、ユーザから受け付けた操作に応じて、測定条件情報を受け付ける。ここで、測定条件情報は、放射妨害波試験における放射妨害波の測定についての測定条件を示す情報である。測定条件情報は、例えば、供試体1に関する供試体情報と、放射妨害波を測定する測定空間に関する測定空間情報と、放射妨害波に関する放射妨害波情報とを含む情報を、当該測定条件を示す情報として含む情報のことである。なお、測定条件情報には、これらの情報に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0039】
供試体情報は、例えば、ターンテーブル4上に配置された供試体1の全体を含む仮想的な領域のうち最も小さな円筒形状の領域の高さ、上下面の半径等を、供試体1のサイズとして示す情報を含む情報のことである。なお、供試体情報には、供試体1に関する他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0040】
測定空間情報は、例えば、アンテナ2の先端を上下方向に移動させる範囲を測定範囲として示す測定範囲情報を、当該測定空間に関する情報として含む情報である。なお、測定空間情報には、測定空間に関する他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0041】
放射妨害波情報は、例えば、放射妨害波の波長を示す波長情報を含む情報である。なお、放射妨害波情報には、放射妨害波に関する他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0042】
また、コンピュータ7は、放射妨害波試験を行う前において、ユーザから受け付けた操作に応じて、前述の仮想的な面を設定する。本実施形態では、一例として、仮想的な面が、上下方向と平行な中心軸を有する円筒形状の仮想的な面である場合について説明する。このため、この仮想的な面は、ターンテーブル4の回転、アンテナ2の先端の上下移動等によって、アンテナ2の先端が位置することが可能な点の集合を示す面である。なお、仮想的な面は、水平方向にアンテナ2の先端の位置を移動させることが可能な機構を放射妨害波測定装置100が備えている場合、アンテナ2の先端が位置することが可能な他の形状の仮想的な面であってもよい。ここで、水平方向は、重力方向と直交する方向のことである。
【0043】
許容値情報と測定条件情報とを受け付け、且つ、仮想的な面を設定した後、コンピュータ7は、受け付けた許容値情報が示す許容値と、受け付けた測定条件情報とに基づいて、設定した仮想的な面上に設定する2以上の測定点の配置を特定する。より具体的には、コンピュータ7は、当該許容値と、当該測定条件情報とに基づいて、以下において説明する第1処理、第2処理、第3処理を実行することにより、2以上の測定点の配置を特定する。
【0044】
第1処理は、2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータの値と、コンピュータ7が受け付けた測定条件情報とに基づいて、2以上の測定点の配置を特定する処理のことである。測定間隔調整パラメータは、後述する第3処理が実行される毎に値が小さくされるパラメータである。測定間隔調整パラメータの詳細については、後述する。
【0045】
ここで、第1処理において2以上の測定点の配置をコンピュータ7が特定する方法は、如何なる方法であってもよい。
【0046】
例えば、コンピュータ7は、以下において説明する方法により、第1処理において2以上の測定点の配置を特定する。この方法は、2以上の測定点の配置をコンピュータ7が特定可能な方法として知られている複数の方法のうちの1つである。
【0047】
まず、コンピュータ7は、予め設定した仮想的な面上に複数の仮想的な点を設定し、設定した複数の仮想的な点と、予め受け付けた測定条件情報と、前述の測定間隔調整パラメータの値とに基づいて、仮想的な面上に設定する複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する。なお、以下では、説明の便宜上、仮想的な面上における複数の仮想的な点のそれぞれを、単に仮想的な点と称して説明する。
【0048】
ここで、コンピュータ7による複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する方法は、複数存在する。本実施形態では、一例として、コンピュータ7による複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する方法が、仮想的な面上に沿って所定の方向に伸びる互いに平行な複数の仮想的な直線を設定し、設定した複数の仮想的な直線毎に、仮想的な直線上に並べられる複数の仮想的な点それぞれの位置をコンピュータ7が算出する場合について説明する。また、本実施形態では、一例として、所定の方向が、上下方向と平行な場合について説明する。また、本実施形態では、一例として、複数の仮想的な直線は、仮想的な面上において等間隔に並ぶ場合について説明する。すなわち、本実施形態では、一例として、複数の仮想的な直線が、円筒形状である仮想的な面の中心軸と平行であり、且つ、円筒形状である仮想的な面上において円筒の周方向に等間隔で並んでいる場合について説明する。なお、コンピュータ7による複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する方法は、他の方法であってもよい。また、所定の方向は、上下方向に代えて、水平方向、仮想的な面の周方向(すなわち、前述の方位角方向)等の他の方向と平行であってもよい。また、複数の仮想的な直線の一部又は全部は、仮想的な面上において等間隔に並ばなくてもよい。
【0049】
なお、以下では、説明を簡略化するため、コンピュータ7が複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する処理について、複数の仮想的な直線のうちのある1つの仮想的な直線上に並べられる複数の仮想的な点それぞれの位置を算出する処理を例に挙げて説明する。そこで、以下では、当該ある1つの仮想的な直線を、対象直線と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、対象直線上に並べられる複数の仮想的な点のそれぞれを、対象点と称して説明する。また、複数の対象点の位置は、供試体1が回転しない限り、上下方向の高さによって表すことができる。そこで、以下では、説明の便宜上、複数の対象点それぞれの上下方向における高さを、複数の対象点それぞれの位置と称して説明する。なお、測定間隔調整パラメータの値に基づいて複数の対象点それぞれの位置をコンピュータ7が算出する原理については、後述する。
【0050】
複数の対象点それぞれの位置を算出した後、コンピュータ7は、算出した複数の対象点それぞれの位置に基づいて、対象直線上に設定する2以上の測定点の配置を特定する。なお、以下では、一例として、コンピュータ7が、当該2以上の測定点それぞれの位置を、当該2以上の測定点の配置として特定する場合について説明する。すなわち、この場合、コンピュータ7は、算出した複数の対象点それぞれの位置に基づいて、対象直線上に設定する2以上の測定点それぞれの位置を特定する。コンピュータ7は、仮想的な面上に沿って所定の方向に伸びる互いに平行な複数の仮想的な直線のそれぞれを対象直線として選択する毎に、このような方法によって対象直線上に設定する2以上の測定点それぞれの位置を特定する。これにより、コンピュータ7は、放射妨害波を測定する位置を示すすべての測定点の配置を特定することができる。以下では、説明の便宜上、対象直線上に設定する2以上の測定点のそれぞれを、対象測定点と称して説明する。
【0051】
第1処理は、以上のような方法により、2以上の測定点の配置を特定する処理である。
【0052】
第2処理は、第1処理により2以上の測定点の配置が特定された場合、第1処理により特定された2以上の測定点の配置に基づいて、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を推定し、推定した当該分布に基づいて、放射妨害波の強度が最大になると推定される第2推定最大位置を算出する処理のことである。ここで、第2推定最大位置は、前述の第1推定最大位置と異なり、放射妨害波の強度が最大になるとコンピュータ7によって推定された位置のことである。このため、第2推定最大位置は、放射妨害波の電界強度が最大となる位置についての実験値の一種であると捉えられてもよい。すなわち、前述の許容値は、第1推定最大位置と第2推定最大位置とのずれとして許容可能な大きさを示す値であると換言することができる。
【0053】
第3処理は、第2処理により算出された第2推定最大位置と第1推定最大位置とのずれが、コンピュータ7が受け付けた許容値情報が示す許容値を超える場合、測定間隔調整パラメータの値を小さくし、第1処理を再び実行する処理のことである。
【0054】
ここで、前述の複数の対象点のうち互いに隣接する対象点間それぞれの間隔は、測定間隔調整パラメータと関連づけられている。すなわち、複数の対象点のうち互いに隣接する対象点間それぞれの間隔は、測定間隔調整パラメータの値に応じて変化する。換言すると、複数の対象点のうち互いに隣接する対象点間それぞれの間隔を表す関数には、測定間隔調整パラメータが含まれている。このため、コンピュータ7は、第3処理において、測定間隔調整パラメータの値を小さくすることにより、複数の対象点のうち互いに隣接する対象点間それぞれの間隔を小さくすることができる。そして、複数の対象点のうち互いに隣接する対象点間それぞれの間隔が小さくなるほど、コンピュータ7によって第1処理により特定される2以上の対象測定点のうち互いに隣接する対象測定点間それぞれの間隔も小さくなる。すなわち、コンピュータ7は、第3処理において、測定間隔調整パラメータの値を小さくすることにより、特定する2以上の対象測定点のうち互いに隣接する対象測定点間それぞれの間隔を小さくすることができる。そして、コンピュータ7は、第3処理において、第2処理により算出された第2推定最大位置と第1推定最大位置とのずれが、コンピュータ7が受け付けた許容値情報が示す許容値以下である場合、第1処理によって特定された2以上の対象測定点それぞれの位置を、2以上の対象測定点の配置として特定する。これにより、コンピュータ7は、2以上の対象測定点のうち互いに隣接する対象測定点間それぞれの間隔を小さくし過ぎてしまうことを抑制することもできる。その結果、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0055】
以上のように、コンピュータ7は、第1処理~第3処理を実行することにより、第2推定最大位置と第1推定最大位置とのずれが、コンピュータ7が受け付けた許容値情報が示す許容値以下となるまで、測定間隔調整パラメータの値を小さくしながら2以上の測定点の配置の特定を繰り返す。このため、測定間隔調整パラメータの初期値として与える値は、測定間隔調整パラメータの値として取り得る最大の値である。測定間隔調整パラメータが取り得る最大の値については、後述する。このように、測定間隔調整パラメータの値は、第3処理が行われる毎に、所定値ずつ小さくなる。従って、コンピュータ7は、第3処理が行われる回数が増えるほど、第1処理と第2処理とによって特定される2以上の測定点の配置における測定点間の距離は、短くなる。
【0056】
そして、2以上の測定点それぞれの位置を特定した後、コンピュータ7は、特定した2以上の測定点それぞれの位置に測定点を設定する。ここで、仮想的な面は、ターンテーブル4により回転する供試体1とともに回転するように供試体1に対して対応付けられる。このため、仮想的な面上に設定された各測定点の供試体1に対する相対的な位置は、供試体1が回転した場合であっても変化しない。
【0057】
以下では、このようなコンピュータ7の機能構成、ハードウェア構成とともに、コンピュータ7が2以上の測定点それぞれの位置を特定する処理について詳しく説明する。
【0058】
なお、図2は、仮想的な面上に複数の測定点が設定されている様子の一例を示すイメージ図である。図2に示した面17は、仮想的な面の一例を示す。また、図2に示した複数の「○」のそれぞれは、仮想的な面上に設定された複数の測定点のいずれかの一例を互いに重複せずに示している。また、図2に示した範囲18に含まれている複数の測定点は、複数の対象測定点の一例を示す。
【0059】
<放射妨害波測定装置が設置された電波暗室内における供試体とアンテナの位置関係>
以下、図3を参照し、放射妨害波測定装置100が設置された電波暗室内における供試体1とアンテナ2との位置関係について説明する。図3は、放射妨害波測定装置100が設置された電波暗室内における供試体1とアンテナ2との位置関係の一例を示す図である。なお、この位置関係は、ある対象直線上に設定された複数の対象点のそれぞれと供試体1との位置関係でもある。以降の説明では、説明を簡略化するため、供試体1の形状は、図3に示すように、円筒形状である場合について説明する。また、本実施形態では、高さは、電波暗室の金属床面を基準とした当該金属床面と直交する方向、すなわち、重力方向における長さのことを意味する。
【0060】
図3に示した例では、ある対象点MPの位置とアンテナ2の位置とが一致している。また、当該例では、放射妨害波試験においてコンピュータ7がアンテナ2の位置を上下方向に移動させる範囲は、1m~4mの高さの範囲である。以下では、説明の便宜上、放射妨害波試験においてコンピュータ7がアンテナ2の位置を上下方向に移動させる範囲のうちの下限の高さを、測定下限位置と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、この範囲のうちの上限の高さを、測定上限位置と称して説明する。当該例では、測定下限位置は、1mである。また、当該例では、測定上限位置は、4mである。前述の測定範囲は、このような測定下限位置から測定上限位置までの範囲のことである。すなわち、測定範囲は、放射妨害波試験においてアンテナマスト3がアンテナ2の位置を対象直線に沿って移動させる範囲のことである。
【0061】
ここで、前述した通り、2以上の対象測定点の配置は、複数の対象点それぞれの位置に基づいて特定される。より具体的には、複数の対象点のうちの一部又は全部が、2以上の対象測定点として特定される。すなわち、複数の対象点の全部が2以上の対象測定点として特定される場合、複数の対象点の配置は、2以上の対象測定点の配置と一致する。このような事情から、図3に示した対象点MPは、対象測定点の候補の1つである。
【0062】
また、図3に示すように、以下では、説明の便宜上、水平方向(電波暗室の金属床面に平行な方向)における距離のうち、アンテナ2の先端から供試体1までの最短距離を、dminによって示す。また、以下では、説明の便宜上、水平方向における距離のうち、アンテナ2の先端から供試体1までの最長距離を、dmaxによって示す。また、以下では、説明の便宜上、供試体1の下面の高さを、hminによって示す。また、以下では、説明の便宜上、供試体1の上面の高さを、hmaxによって示す。そして、以下では、説明の便宜上、アンテナ2の位置の高さを、hrxによって示す。
【0063】
<コンピュータ7の機能構成>
以下、図4を参照し、コンピュータ7の機能構成について説明する。図4は、コンピュータ7の機能構成の一例を示す図である。なお、図4には、コンピュータ7の構成とともに、アンテナ2、アンテナマスト3、ターンテーブル4、受信器5、コントローラ6のそれぞれについても示している。
【0064】
コンピュータ7は、制御部8と、演算処理部9を備える。なお、コンピュータ7は、他の機能構成を備える構成であってもよい。
【0065】
制御部8は、コンピュータ7の全体を制御する。また、例えば、制御部8は、コンピュータ7と通信可能に接続されているコントローラ6を制御する。また、例えば、コンピュータ7と通信可能に接続されている受信器5を制御する。
【0066】
演算処理部9は、放射妨害波測定装置100が行う放射妨害波試験における各種の算出を行う。例えば、演算処理部9は、受信器5から取得した電気信号に基づいて、放射妨害波の電界強度を算出する。また、例えば、演算処理部9は、複数の対象点それぞれの位置を算出する。
【0067】
<コンピュータ7のハードウェア構成>
以下、図5を参照し、コンピュータ7のハードウェア構成について説明する。図5は、コンピュータ7のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0068】
コンピュータ7は、主制御部10と、入力装置11と、出力装置12と、記憶装置13と、これらを互いに接続するバス14を備える。なお、コンピュータ7は、これらに加えて、他のハードウェアを備える構成であってもよい。
【0069】
主制御部10は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を有する。主制御部10は、記憶装置13に記憶された各種のプログラムを実行し、前述の制御部8、演算処理部9等のコンピュータ7が備える各種の機能構成を実現する。
【0070】
入力装置11は、ユーザからの操作を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等である。なお、入力装置11は、出力装置12と一体にタッチパネルを構成してもよい。
【0071】
出力装置12は、コンピュータ7が出力する各種の情報の表示等を行う装置である。例えば、出力装置12は、コンピュータ7の図示しない表示部(例えば、ディスプレイ)を含む。
【0072】
記憶装置13は、各種の情報、各種の画像、主制御部10が実行する各種のプログラム等を記憶する装置である。記憶装置13は、例えば、ハードディスク装置、光ディスク装置等であってもよく、フラッシュメモリ装置等であってもよい。記憶装置13は、各種の情報が書き込まれる記録媒体15を備える。記憶装置13は、主制御部10からの要求に応じて、各種の情報を記録媒体15に書き込む(記録する)。また、記憶装置13は、主制御部10からの要求に応じて、各種の情報を記録媒体15から読み出し、読み出した情報を主制御部10に出力する。例えば、記録媒体15は、制御部8、演算処理部9のそれぞれを実現するプログラムが記録されている。
【0073】
<複数の対象点それぞれの位置の算出原理>
以下、複数の対象点それぞれの位置の算出原理について説明する。なお、複数の対象点それぞれの位置の算出原理は、サンプリング定理に基づいた原理である。しかしながら、複数の対象点それぞれの位置の算出原理は、サンプリング定理に基づかない他の原理であってもよい。
【0074】
まず、供試体1から放射される放射妨害波は、供試体1を構成する物質のある1点のみから放射されるわけではない。そこで、以下では、供試体1が、放射妨害波として電磁波を放射するP個の点状の電磁波源の集まりであると仮定する。また、以下では、P個の電磁波源からは、互いに同じ周波数、同じ波長の電磁波が放射妨害波として放射されると仮定する。Pは、2以上の整数であれば、如何なる整数であってもよい。そして、P個の電磁波源のうちのp番目の電磁波源から、ある仮想的な点(例えば、対象点、対象測定点等)の位置までの距離を、rによって示す。pは、1~Pのうちのいずれかの整数である。また、以下では、説明の便宜上、当該仮想的な点を、観測点と称して説明する。
【0075】
p番目の電磁波源から放射される放射妨害波が電磁波源から距離r離れた位置において生じさせる電界強度は、以下の式(1)のように平面波によって表すことができる。
【0076】
【数1】
【0077】
ここで、式(1)に示したa、bのそれぞれは、p番目の電磁波源から放射される放射妨害波が当該電磁波源から距離r離れた位置において生じさせる電界強度を表す平面波の振幅を示す係数であり、実数である。また、式(1)に示したiは、虚数単位である。また、式(1)に示したkは、P個の電磁波源のそれぞれから放射される放射妨害波の波数を示す。当該放射妨害波の波数は、当該放射妨害波の1波長分を1つの波として数えた場合において、この1つの波が単位長さの中に含まれる数のことである。また、当該放射妨害波の波数は、当該放射妨害波の波長によって2πを除算して得られる値のことである。当該電界強度を式(1)のように表せるため、P個の電磁波源のそれぞれから放射された放射妨害波が観測点において生じさせる電界強度は、以下の式(2)のように、上記の式(1)に示した平面波の重ね合わせによって表される。
【0078】
【数2】
【0079】
従って、P個の電磁波源のそれぞれから放射された放射妨害波が観測点において生じさせる電界強度の二乗は、以下の式(3)のように算出される。
【0080】
【数3】
【0081】
ここで、式(3)に示したrは、P個の電磁波源のうちのq番目の電磁波源から、観測点の位置までの距離を示す。qは、1~Pのうちのいずれかの整数であり、pと同じ整数であってもよく、pと異なる整数であってもよい。式(3)の最下段の右辺を見ると分かる通り、P個の電磁波源のそれぞれから放射された放射妨害波が観測点において生じさせる電界強度の二乗は、(r-r)に対して振動する正弦波の和になっている。このことから、P個の電磁波源から放射される放射妨害波の電界強度の分布は、サンプリング定理に基づいて、以下の式(4)が示す条件を満たすことにより、完全に再現することができることが分かる。
【0082】
【数4】
【0083】
ここで、式(4)に示したλは、各電磁波源から放射妨害波として放射される電磁波の波長である。また、式(4)に示したΔ(r-r)は、(r-r)の微小変化量を示す。このように式(4)として得られた条件は、以下において説明する方法により、複数の対象点のうち隣接する2つの対象点間の間隔について満たされるべき条件に表し直すことができる。
【0084】
p番目の電磁波源の高さをhによって示し、水平方向における当該電磁波源から観測点までの距離をdによって示すと、距離rは、観測点の位置hrxを用いて、三平方の定理により以下の式(5)のように表すことができる。
【0085】
【数5】
【0086】
また、q番目の電磁波源の高さをhによって示し、水平方向における当該電磁波源から観測点までの距離をdによって示すと、距離rは、観測点の位置hrxを用いて、三平方の定理により以下の式(6)のように表すことができる。
【0087】
【数6】
【0088】
なお、P個の電磁波源のそれぞれから放射される放射妨害波の周波数の範囲が30MHz~1000MHzである場合、放射妨害波試験では、電波暗室の金属床面上において放射妨害波の測定を行うように規定されている。このため、当該場合、高さh及び高さhは、鏡像原理を考慮すると、正の値又は負の値を取る。また、以下では、一例として、高さhが、高さhよりも低い高さであると仮定する。
【0089】
ここで、上記の式(4)に示したΔ(r-r)は、式(5)及び式(6)に基づいて、以下の式(7)及び式(8)のように算出することができる。
【0090】
【数7】
【0091】
ここで、式(7)では、式(7)に示した偏微分係数を算出することによって得られる表式がKとして定義されている。以下では、説明の便宜上、Kを補正係数と称して説明する。補正係数Kの具体的な表式は、以下の式(8)に示した。
【0092】
【数8】
【0093】
この式(8)と、上記の式(4)とに基づいて、式(4)として得られた条件は、複数の対象点のうち隣接する2つの対象点間の間隔Δhrxについて満たされるべき条件として、以下の式(9)のように表し直すことができる。
【0094】
【数9】
【0095】
ここで、上記の式(8)に示した補正係数Kは、幾何学的な要請から、以下の式(10)~式(13)のそれぞれによって示す条件を満たさなければならない。
【0096】
【数10】
【0097】
【数11】
【0098】
【数12】
【0099】
【数13】
【0100】
上記の式(10)~式(13)の条件と、供試体1の寸法(この一例では、図3に示した円柱形状の供試体1の寸法)とに基づいて、グランドプレーン上に電波吸収体を設置している場合には、補正係数Kの絶対値が最大のKhmaxとなる条件として、以下の式(14)が得られる。また、上記の式(10)~式(13)の条件と、供試体1の寸法(この一例では、図3に示した円柱形状の供試体1の寸法)とに基づいて、グランドプレーン上に電波吸収体を設置していない場合には、式(14)のhminを-hmaxに置き換えた式となる。
【0101】
【数14】
【0102】
このようにして、ある対象点を第1対象点とし、第1対象点に隣接する他の対象点を第2対象点とし、第1対象点から第2対象点までの距離、すなわち、第1対象点と第2対象点との間隔は、上記の式(9)に示したKへ式(14)に示したKhmaxを代入することによって得られる値の最大値として算出することができる。その結果、コンピュータ7は、第1対象点の位置に、算出された当該間隔を加算することにより、第2対象点の位置を算出することができる。
【0103】
ここで、コンピュータ7は、上記の式(9)を更に拡張した式として、以下の式(15)を用いて、第1対象点と第2対象点との間隔を算出する。
【0104】
【数15】
【0105】
式(15)に示すSは、前述の測定間隔調整パラメータである。式(15)に示したように、Sは、放射妨害波の波長λに乗算されるパラメータである。このため、測定間隔調整パラメータSは、放射妨害波の波長λを仮想的に調整するパラメータであると換言することもできる。ここで、式(15)の右辺は、測定間隔調整パラメータSが最大の値を取る場合において、上記の式(9)の右辺と一致するべきである。これは、上記の式(9)が、サンプリング定理を満たす条件であるためである。このため、式(15)に示した測定間隔調整パラメータSの初期値は、0.50である。なお、当然ながら、式(15)においてλを(λ/2)に置き換えた場合、測定間隔調整パラメータの初期値は、1.00となる。コンピュータ7は、測定間隔調整パラメータSの値を、第3処理を実行する毎に小さくする。これにより、コンピュータ7は、式(15)によって算出されるΔhrxを、第3処理を実行する毎に小さくすることができる。すなわち、コンピュータ7は、測定間隔調整パラメータSを小さくすることにより、第1対象点と第2対象点との間隔を短くすることができる。すなわち、測定間隔調整パラメータSは、上記の式(9)の条件を満たす範囲内において、第1対象点と第2対象点との間隔を小さくすることができるように手で加えた任意のパラメータである。
【0106】
ここで、観測点の位置(すなわち、アンテナ2の位置)hrxは、複数の対象点それぞれの位置として捉えることができる。そこで、複数の対象点のうちのn番目の対象点の位置を、hrx,nによって示す。これにより、hrx,nと、上記の式(14)、式(15)を用いて、複数の対象点それぞれの位置は、以下の式(16)に示す逐次式によって算出することができる。なお、nは、1以上の整数である。
【0107】
【数16】
【0108】
式(16)に示したhrx_minは、複数の対象点のうち上下方向において最も下に位置する対象点の位置を示す。hrx_minは、手で与えられてもよく、測定下限位置と一致していてもよく、他の方法で決められてもよい。
【0109】
ここで、放射妨害波測定装置100と異なる放射妨害波測定装置(例えば、従来の放射妨害波測定装置)は、式(9)、式(14)、式(16)を用いて、複数の対象点それぞれの位置を算出し、算出した複数の対象点の位置に基づいて、2以上の対象測定点それぞれの位置を特定する。そして、当該放射妨害波測定装置は、特定した2以上の対象測定点に基づいて、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を推定する。しかしながら、当該放射妨害波測定装置は、複数の対象点それぞれの位置を算出する際に行われるフィルタリング処理、当該複数の測定点の端における補外処理によって、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を完全に再現することができないことがある。
【0110】
放射妨害波測定装置100は、上記の式(14)~式(16)を用いて、このような問題を解決することができる。すなわち、放射妨害波測定装置100は、上記の式(14)~式(16)を用いることにより、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を、予め受け付けた許容値が示す推定精度、すなわち、ユーザが所望する精度で再現することができる。換言すると、放射妨害波測定装置100は、ユーザが所望するよりも高い精度、すなわち、過剰な精度で当該分布を再現してしまうことなく、ユーザが所望する精度で当該分布を再現することができる。その結果、放射妨害波測定装置100は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。以下では、放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理について説明する。測定点設定処理は、対象直線として選択される複数の直線のそれぞれ毎に、放射妨害波測定装置100が上記の式(14)~式(16)を用いて複数の対象点それぞれの位置を算出し、算出した位置に基づいて2以上の対象測定点それぞれの位置を特定し、特定した位置を対象直線上に設置する処理のことである。すなわち、測定点設定処理は、放射妨害波測定装置100が2以上の測定点の配置を特定し、特定した2以上の測定点を仮想的な面上に設定する処理のことである。
【0111】
<放射妨害波測定装置が行う測定点設定処理>
以下、図6を参照し、放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理について説明する。図6は、放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、図6に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、測定点設定処理をコンピュータ7に開始させる操作をコンピュータ7が受け付けている場合について説明する。すなわち、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、仮想的な面をコンピュータ7が設定している場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、ユーザが所望する許容値を示す許容値情報をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた許容値情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、測定条件情報をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた測定条件情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。測定条件情報には、上記のdmin、dmax、hmin、hmaxを示す情報を含む供試体情報と、測定上限位置、測定下限位置、hrx_minを示す測定空間情報と、上記のλを示す波長情報を含む放射妨害波情報とが少なくとも含まれている。ここで、hrx_minは、複数の対象点のうち最も下に位置する対象点の位置としてユーザが所望する位置のことである。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、前述の第1推定最大位置をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた第1推定最大位置を示す第1推定最大位置情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。
【0112】
測定点設定処理をコンピュータ7に開始させる操作をコンピュータ7が受け付けた後、演算処理部9は、記憶装置13の記録媒体15に予め記憶された許容値情報を、記憶装置13から読み出す(ステップS110)。
【0113】
次に、演算処理部9は、記憶装置13の記録媒体15に予め記憶された測定条件情報を、記憶装置13から読み出す(ステップS120)。
【0114】
次に、演算処理部9は、測定間隔調整パラメータSの初期化を行う(ステップS130)。具体的には、演算処理部9は、ステップS130において、測定間隔調整パラメータSの値を格納する変数を生成し、生成した当該変数の値を初期値に初期化する。前述した通り、測定間隔調整パラメータSの初期値は、0.50である。すなわち、ステップS130において、演算処理部9は、当該変数に0.50を格納する。なお、以下では、説明の便宜上、当該変数を、格納変数と称して説明する。なお、図6に示したフローチャートの処理において、ステップS110の処理、ステップS120の処理、ステップS130の処理は、異なる順で行われてもよく、並列に行われてもよい。
【0115】
次に、演算処理部9は、ステップS120において読み出した測定条件情報と、格納変数に格納された値とに基づいて、位置特定処理を行う(ステップS140)。位置特定処理は、ステップS120において読み出した測定条件情報と、格納変数に格納された値と、上記の式(14)~式(16)とを用いて、仮想的な面上に設定した複数の仮想的な直線毎に複数の対象点それぞれの位置を算出し、当該直線毎に算出した位置に基づいて、当該直線毎の2以上の対象測定点それぞれの位置を特定する処理のことである。位置特定処理の詳細については、後述する。すなわち、位置特定処理は、仮想的な面上に設定する2以上の測定点の配置を特定する処理である。
【0116】
次に、演算処理部9は、ステップS140において特定された2以上の測定点の配置に基づいて、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を推定する。そして、演算処理部9は、推定した当該分布に基づいて、前述の第2推定最大位置を算出する(ステップS150)。ここで、ステップS140において特定された当該配置に基づいて当該分布を推定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。また、推定した当該分布に基づいて第2推定最大位置を算出する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0117】
次に、演算処理部9は、ステップS150において算出した第2推定最大位置に基づいて、所定の判定条件が満たされているか否かを判定する(ステップS160)。ここで、所定の判定条件は、記録媒体15に予め記憶された第1推定最大位置情報が示す第1推定最大位置と、当該第2推定最大位置とのずれ(すなわち、当該第1推定最大位置と当該第2推定最大位置とのずれは、当該第1推定最大位置と当該第2推定最大位置との差)が、ステップS110において読み出した許容値情報が示す許容値以下であること、である。すなわち、演算処理部9は、ステップS160において、当該ずれを、デシベルによって表される値として算出し、算出した当該値が、当該許容値以下である場合、所定の判定条件が満たされていると判定する。一方、演算処理部9は、算出した当該値が、当該許容値を超えている場合、所定の判定条件が満たされていないと判定する。
【0118】
演算処理部9は、所定の判定条件が満たされていないと判定した場合(ステップS160-NO)、格納変数に格納された測定間隔調整パラメータの値から所定値差し引いた値を、新たな測定間隔調整パラメータの値として格納変数に格納する。すなわち、演算処理部9は、当該場合、測定間隔調整パラメータを小さくする(ステップS170)。そして、ステップS170の処理が行われた後、演算処理部9は、ステップS140に遷移し、ステップS120において読み出した測定条件情報と、格納変数に格納された値とに基づいて、位置特定処理を再び行う。ここで、所定値は、例えば、0.05である。なお、所定値は、0.05より小さい値であってもよく、0.05より大きい値であってもよい。
【0119】
一方、演算処理部9は、所定の判定条件が満たされていると判定した場合(ステップS160-YES)、最後に実行されたステップS140の処理によって特定された2以上の測定点の配置に基づいて、仮想的な面上に2以上の測定点を設定する(ステップS180)。ステップS180の処理が行われた後、演算処理部9は、図6に示したフローチャートの処理を終了する。
【0120】
以上のような測定点設定処理により、コンピュータ7は、受け付けた許容値情報が示す許容値と、受け付けた測定条件情報とに基づいて、放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する。より具体的には、コンピュータ7は、2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータSの値と、受け付けた測定条件情報とに基づいて、放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する第1処理(すなわち、ステップS140の処理)と、第1処理により2以上の測定点の配置が特定された場合、第1処理により特定された2以上の測定点の配置に基づいて、放射妨害波の強度が最大になると推定される第2推定最大位置を算出する第2処理(すなわち、ステップS150の処理)と、第2処理により算出された第2推定最大位置と第1推定最大位置とのずれが当該許容値を超える場合、測定間隔調整パラメータSの値を小さくして、第1処理を実行する第3処理(すなわち、ステップS160、ステップS170、ステップS140の順に実行される処理)とを実行することにより、2以上の測定点の配置を特定する。これにより、コンピュータ7は、ユーザが所望するよりも高い精度、すなわち、過剰な精度で当該分布を再現してしまうことなく、ユーザが所望する精度で当該分布を再現することができる。その結果、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0121】
<放射妨害波測定装置が行う位置特定処理>
以下、図7を参照し、図6に示したステップS140の位置特定処理について説明する。図7は、図6に示したステップS140の位置特定処理の流れの一例を示す図である。コンピュータ7は、仮想的な面上に設定した複数の仮想的な直線毎に、ステップS210~ステップS270の処理を行うことにより、2以上の測定点の配置を特定する。
【0122】
演算処理部9は、複数の対象点それぞれの順番を示す変数として、nを生成する。そして、演算処理部9は、生成したnの値を初期値に初期化する。以下では、一例として、初期値が1である場合について説明する。なお、初期値は、1に代えて、2以上の整数であってもよく、0以下の整数であってもよい。演算処理部9は、nの値を初期化した後、1以上の整数(すなわち、初期値以上の整数)を1から順に(すなわち、初期値から順に)nの値として選択し、選択したnの値毎に、ステップS220~ステップS260の処理を繰り返し行う(ステップS210)。
【0123】
ステップS210においてnの値が選択された後、演算処理部9は、現在選択されているnの値に応じた対象点を、複数の対象点のうちの1つとして生成する。ここで、以下では、説明の便宜上、nの値に応じた対象点を、第1対象点と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、(n+1)の値に応じた対象点を、第2対象点と称して説明する。ただし、この段階において、演算処理部9は、第2対象点をまだ生成しない。演算処理部9は、第1対象点を生成した後、図6に示したステップS120において読み出した測定条件情報に含まれる情報が示すdmin、dmax、hmin、hmaxのそれぞれと、第1対象点の位置と、上記の式(14)と、サンプリング定理とに基づいて、Khmaxを第1対象点に応じた補正係数として算出する(ステップS220)。ここで、以下では、説明の便宜上、n=1の場合における第1対象点の位置をhrx,0によって示す。また、以下では、説明の便宜上、n≧2の場合における第1対象点の位置を、hrx,n-1によって示す。なお、1回目のステップS220の処理を行う場合、演算処理部9は、図6に示したステップS120において読み出した測定条件情報に基づいて、hrx,0を、複数の対象点のうち上下方向において最も下に位置する対象点の位置hrx_minに初期化する。また、m回目のステップS220の処理を行う場合、演算処理部9は、(m-1)回目のステップS240の処理において算出された第2対象点の位置を、m回目のステップS220の処理における第1対象点の位置として特定する。mは、2以上の整数である。
【0124】
例えば、演算処理部9は、n=1の場合、ステップS220の処理において、第1対象点に応じた補正係数として、Khmax(hrx_min)を算出する。この場合、演算処理部9は、ステップS220の処理において、測定条件情報に含まれる情報が示すhmin、hmax、dmin、dmaxのそれぞれと、hrx_minをhrxに代入した後の式(14)とに基づいて、Khmax(hrx_min)を第1対象点に応じた補正係数として算出する。また、例えば、演算処理部9は、n≧2の場合、ステップS220の処理において、第1対象点に応じた補正係数として、Khmax(hrx,n-1)を算出する。この場合、演算処理部9は、ステップS220の処理において、測定条件情報に含まれる情報が示すhmin、hmax、dmin、dmaxのそれぞれと、hrx,n-1をhrxに代入した後の式(14)とに基づいて、Khmax(hrx,n)を第1対象点に応じた補正係数として算出する。
【0125】
ステップS220の処理が行われた後、演算処理部9は、図6に示したステップS120において読み出した測定条件情報と、ステップS220において補正係数として算出したKhmaxと、上記の式(15)と、現在の格納変数に格納されている値(すなわち、現在の測定間隔調整パラメータSの値)に基づいて、第1対象点から第2対象点までの間隔を、第1対象点に応じた第1間隔として算出する(ステップS230)。例えば、演算処理部9は、n=1の場合、ステップS230の処理において、第1対象点に応じた第1間隔としてΔhrx(hrx_min)を算出する。この場合、演算処理部9は、ステップS230の処理において、格納変数に格納されている値と、第1対象点に応じた補正係数として算出されたKhmax(hrx_min)とに基づいて、第1対象点に応じた第1間隔としてΔhrx(hrx_min)を算出する。また、例えば、演算処理部9は、n≧2の場合、ステップS230の処理において、第1対象点に応じた第1間隔としてΔhrx(hrx,n-1)を算出する。この場合、演算処理部9は、ステップS230の処理において、格納変数に格納されている値と、第1対象点に応じた補正係数として算出されたKhmax(hrx,n-1)とに基づいて、第1対象点に応じた第1間隔としてΔhrx(hrx,n-1)を算出する。
【0126】
次に、演算処理部9は、ステップS230において算出された第1間隔に基づいて、第2対象点の位置を算出する(ステップS240)。例えば、演算処理部9は、n=1の場合、ステップS240において、上記の式(16)に基づいて、第1対象点に応じた第1間隔として算出されたΔhrx(hrx_min)をhrx_minに加算して得られるhrx,1を、第2対象点の位置として算出する。また、例えば、演算処理部9は、N≧2の場合、ステップS240において、上記の式(16)に基づいて、第1対象点に応じた第1間隔として算出されたΔhrx(hrx,n-1)をhrx,n-1に加算して得られるhrx,nを、第2対象点の位置として算出する。
【0127】
次に、演算処理部9は、所定の終了条件が満たされているか否かを判定する(ステップS250)。所定の終了条件は、この一例において、ステップS240において算出された第2対象点の位置が測定範囲外であること、である。この場合、演算処理部9は、ステップS250において、図6に示したステップS120において読み出した測定条件情報に基づいて、ステップS240において算出された第2対象点の位置が測定範囲外であるか否かを判定する。なお、所定の終了条件は、他の条件であってもよい。
【0128】
演算処理部9は、所定の終了条件が満たされていないと判定した場合(ステップS250-NO)、ステップS210に遷移し、次のnの値を選択する。
【0129】
一方、演算処理部9は、所定の終了条件が満たされていると判定した場合(ステップS250-YES)、すなわち、ステップS240において算出された第2対象点の位置が測定範囲外であると判定した場合、当該位置を消去する(ステップS260)。そして、演算処理部9は、ステップS210~ステップS260の繰り返し処理を終了し、ステップS270に遷移する。
【0130】
このようなステップS210~ステップS260の繰り返し処理により、演算処理部9は、ステップS220~ステップS260の処理が繰り返された数と同じ数の対象点それぞれの位置を算出する。これにより、コンピュータ7は、対象点の数を不必要に増大させてしまうことを抑制することができ、その結果、対象測定点の数の増大を抑制することができる。すなわち、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間の増大を抑制することができる。
【0131】
ステップS260の処理が行われた後、演算処理部9は、現在までに算出された複数の対象点それぞれの位置に基づいて、2以上の対象測定点それぞれの位置を特定する(ステップS270)。すなわち、演算処理部9は、ステップS270の処理により、2以上の対象測定点の配置を特定する。ここで、ステップS270の処理について説明する。
【0132】
例えば、演算処理部9は、現在までに算出された複数の対象点それぞれの位置の全部を、2以上の対象測定点それぞれの位置として特定する。なお、演算処理部9は、現在までに算出された複数の対象点それぞれの位置の一部を、2以上の対象測定点それぞれの位置として特定するとともに、現在までに算出された複数の対象点それぞれの位置の対象測定点として特定されていない対象点それぞれの位置を補間点の位置として特定する構成であってもよい。ここで、補間点は、放射妨害波の電界強度の分布を推定する際、ローパスフィルタの適用等によって電界強度が推定される位置を示す仮想的な点である。また、補間点は、複数の対象測定点のうち互いに隣接する2つの対象測定点間に位置する仮想的な点のことである。なお、演算処理部9が2以上の対象測定点間に補完点を設定する場合において、2以上の対象測定点間に位置させる補間点の位置を演算処理部9が特定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0133】
なお、ステップS270において、演算処理部9は、2以上の対象測定点それぞれの位置を、2以上の対象測定点の配置として特定した後、特定した2以上の対象測定点間に補完点を設定する構成であってもよく、特定した2以上の対象測定点間に補完点を設定しない構成であってもよい。
【0134】
ステップS270の処理が行われた後、演算処理部9は、図7に示したフローチャートの処理、すなわち、ステップS140の位置特定処理を終了する。
【0135】
このように、コンピュータ7は、複数の対象点それぞれの位置を算出し、算出した複数の対象点それぞれ位置に基づいて2以上の対象測定点それぞれの位置を特定する。
【0136】
<第1推定最大位置と第2推定最大位置とのずれと測定間隔調整パラメータとの関係>
以下、第1推定最大位置と第2推定最大位置とのずれと測定間隔調整パラメータSとの関係について説明する。なお、以下では、一例として、ユーザが所望する許容値、すなわち、演算処理部9が受け付けた許容値情報が示す許容値が、-0.5dBである場合について説明する。
【0137】
図8は、測定間隔調整パラメータSの値が0.50の場合(すなわち、測定間隔調整パラメータSの値が初期値である場合)において演算処理部9により算出された第2推定最大位置を示す分布D21と、所定の推定方法により事前に推定された第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。図8に示したグラフの横軸は、電界強度を示す。また、当該グラフの縦軸は、電波暗室における金属床面からの高さを示す。図8に示した位置P1は、第1推定最大位置の一例を示す。図8に示した位置P21は、図8に示した例における第2推定最大位置を示す。図8では、位置P1と位置P21とは、一致していない。具体的には、図8に示した例では、位置P1は、電波暗室における金属床面からの高さが、1.10mである。一方、当該例では、位置P21は、電波暗室における金属床面からの高さが、1.00mである。位置P1と位置P21とのずれをデシベルによって表した場合、当該ずれは、-0.84dBであり、許容値を超えている。すなわち、測定間隔調整パラメータSの値が0.50の場合、演算処理部9は、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を、ユーザが所望する精度で算出できていないことになる。
【0138】
また、図9は、測定間隔調整パラメータSの値が0.45の場合において演算処理部9により算出された第2推定最大位置を示す分布D22と、所定の推定方法により事前に推定された第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。図9に示したグラフの横軸は、電界強度を示す。また、当該グラフの縦軸は、電波暗室における金属床面からの高さを示す。図9に示した位置P22は、図9に示した例における第2推定最大位置を示す。図9でも、位置P1と位置P22とは、一致していない。具体的には、図9に示した例でも、位置P22は、位置P21と同様に、電波暗室における金属床面からの高さが、1.00mである。すなわち、測定間隔調整パラメータSの値が0.45の場合も、演算処理部9は、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を、ユーザが所望する精度で算出できていないことになる。
【0139】
一方、図10は、測定間隔調整パラメータSの値が0.40の場合において演算処理部9により算出された第2推定最大位置を示す分布D23と、所定の推定方法により事前に推定された第1推定最大位置を示す分布D1とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。図10に示したグラフの横軸は、電界強度を示す。また、当該グラフの縦軸は、電波暗室における金属床面からの高さを示す。図10に示した位置P23は、図10に示した例における第2推定最大位置を示す。図10では、位置P1と位置P23とは、一致している。具体的には、図10に示した例では、位置P23は、電波暗室における金属床面からの高さが、1.10mである。位置P1と位置P23とのずれをデシベルによって表した場合、当該ずれは、0.00dBであり、許容値以下である。すなわち、測定間隔調整パラメータSの値が0.40の場合、演算処理部9は、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を、ユーザが所望する精度で算出できていることになる。
【0140】
図8図10に示したグラフを比較することにより、図6及び図7に示したフローチャートの処理をコンピュータ7が実行することにより、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができることが分かる。
【0141】
<実施形態の変形例>
上記において説明したコンピュータ7は、図6に示したフローチャートの処理を行う構成に代えて、図11に示したフローチャートの処理を、測定点設定処理として行う構成であってもよい。図11は、放射妨害波測定装置100が行う測定点設定処理の流れの他の例を示す図である。なお、図11に示したステップS110、ステップS120、ステップS180の処理については、図6に示したステップS110、ステップS120、ステップS180の処理と同様の処理であるため、詳細な説明を省略する。また、以下では、一例として、図11に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、測定点設定処理をコンピュータ7に開始させる操作をコンピュータ7が受け付けている場合について説明する。すなわち、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、仮想的な面をコンピュータ7が設定している場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、ユーザが所望する許容値を示す許容値情報をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた許容値情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、測定条件情報をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた測定条件情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。測定条件情報には、上記のdmin、dmax、hmin、hmaxを示す情報を含む供試体情報と、測定上限位置、測定下限位置、hrx_minを示す測定空間情報と、上記のλを示す波長情報を含む放射妨害波情報とが少なくとも含まれている。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、前述の第1推定最大位置をコンピュータ7が受け付け、且つ、コンピュータ7が受け付けた第1推定最大位置を示す第1推定最大位置情報が記憶装置13の記録媒体15に記憶されている場合について説明する。
【0142】
図11に示したステップS120の処理が行われた後、演算処理部9は、当該ステップS120において読み出した測定条件情報に基づいて、記憶装置13の記録媒体15に予め記憶された複数の対応情報のうち当該測定条件情報に対応付けられた対応情報を、記録媒体15から読み出す(ステップS310)。
【0143】
ここで、対応情報について説明する。対応情報は、測定条件情報に対応付けられた情報である。すなわち、記録媒体15には、複数の測定条件情報のそれぞれに対応付けられた対応情報が予め記憶される。ある測定条件情報に対応付けられた対応情報は、当該測定条件情報に基づいて生成された対応情報である。そして、記録媒体15に記憶された複数の対応情報のそれぞれは、測定間隔調整パラメータSの値と、前述の許容値とが対応付けられた情報である。ここで、対応情報について、ある測定条件情報C1に対応付けられた対応情報C11を例に挙げて説明する。対応情報C11は、測定間隔調整パラメータSの値C12と、許容値C13とが対応付けられた情報C14を含む情報である。測定条件情報C1には、前述した通り、供試体情報のうち供試体1のサイズを示す情報が含まれている。コンピュータ7は、供試体1のサイズとして複数のサイズをランダムに用意し、測定条件情報C1に含まれる情報のうち供試体1のサイズを示す情報以外の情報と、測定間隔調整パラメータSの値C12とに基づいて、用意したサイズ毎に、第2推定最大位置を算出する。コンピュータ7は、例えば、このような第2推定最大位置の算出を、図6に示したステップS110~ステップS150の処理によって行う。コンピュータ7は、用意したサイズ毎に算出した第2推定最大位置のそれぞれと、第1推定最大位置とのずれを算出する。コンピュータ7は、用意したサイズ毎に算出したずれの統計値を算出する。この統計値は、平均値であってもよく、最頻値であってもよく、尖頭値であってもよく、他の統計値であってもよい。コンピュータ7は、算出した統計値を、対応情報C11における許容値C13として特定する。そして、コンピュータ7は、特定した許容値C13と、測定間隔調整パラメータSの値C12とを対応付けた情報C14を生成する。そして、コンピュータ7は、測定間隔調整パラメータSの値として値C12と異なる複数の値のそれぞれ毎に、情報C14を生成する方法と同様の方法により、測定間隔調整パラメータSの値に対応付ける許容値を算出し、算出した許容値と、当該許容値に対応付ける測定間隔調整パラメータSの値とを対応付けた情報を生成する。コンピュータ7は、生成したこれらの情報を含む情報を、対応情報C11として生成する。すなわち、対応情報は、ユーザが所望する許容値と、その許容値を用いた場合において、測定間隔調整パラメータSの値として採用することが推奨される値とが対応付けられた情報と換言することができる。ここで、供試体1のサイズとして用意する複数のサイズの数は、例えば、1000である。なお、当該数は、1000より少ない数であってもよく、1000より多い数であってもよい。また、コンピュータ7は、対応情報C11を生成する処理において、供試体1のサイズを変えながら第2推定最大位置を算出する構成に代えて、供試体1の形状を変えながら第2推定最大位置を算出する構成であってもよい。図12は、コンピュータ7が生成した対応情報C11の一例をグラフによって表した図である。図12に示したグラフの横軸は、測定間隔調整パラメータSの値を示す。当該グラフの縦軸は、許容値を示す。そして、当該グラフにプロットされている点のそれぞれは、測定間隔調整パラメータSの値毎に対応付けられている許容値を示す。コンピュータ7は、図12に示した対応情報C11に基づいて、第1推定最大位置と第2推定最大位置とのずれを、ユーザが所望する許容値より小さくする場合に、測定間隔調整パラメータSの値として特定すべき値を特定することができる。例えば、コンピュータ7は、受け付けた許容値情報が示す許容値が-0.20dBであった場合、図12に示した対応情報C11に基づいて、測定間隔調整パラメータSの値として0.41を特定する。また、例えば、コンピュータ7は、受け付けた許容値情報が示す許容値が-0.40dBであった場合、図12に示した対応情報C11に基づいて、測定間隔調整パラメータSの値として0.45を特定する。ステップS310では、演算処理部9は、このような対応情報を、記録媒体15から読み出す。
【0144】
なお、図13及び図14はそれぞれ、互いに異なる測定条件情報に対応付けられた対応情報の一例である。すなわち、図13は、ある測定条件情報C2に対応付けられた対応情報の一例を示す図である。図14は、測定条件情報C2と異なる測定条件情報C3に対応付けられた対応情報の一例を示す図である。図13及び図14に示したグラフの横軸は、図12に示したグラフの横軸と同じである。図13及び図14に示したグラフの縦軸は、図12に示したグラフの縦軸と同じである。図13に示したグラフには、更に、放射妨害波の周波数が異なる場合における3つの対応情報がプロットされている。図14に示したグラフにも、放射妨害波の周波数が異なる場合における3つの対応情報がプロットされている。図13及び図14に示したグラフにおいて、「○」によって示されるプロットは、放射妨害波の周波数が1000MHzである場合における対応情報の一例を示す。図13及び図14に示したグラフにおいて、「△」によって示されるプロットは、放射妨害波の周波数が3000MHzである場合における対応情報の一例を示す。図13及び図14に示したグラフにおいて、「●」によって示されるプロットは、放射妨害波の周波数が6000MHzである場合における対応情報の一例を示す。また、図13に示した対応情報に対応付けられた測定条件情報C2が示す測定条件では、測定範囲が3mである。また、図14に示した対応情報に対応付けられた測定条件情報C3が示す測定条件では、測定範囲が10mである。図13及び図14を比較することにより、測定条件情報が異なると、対応情報において許容値に対応付けられる測定間隔調整パラメータSの値も異なることが分かる。このため、演算処理部9は、ステップS310において、記録媒体15に記憶された複数の対応情報の中から、図12に示したステップS120において読み出した測定条件情報に対応付けられた対応情報を読み出す。これにより、コンピュータ7は、記録媒体15に記憶された複数の対応情報の中から、適切な対応情報を読み出すことができる。
【0145】
ステップS310の処理が行われた後、演算処理部9は、ステップS310において読み出した対応情報に基づいて、図11に示したステップS120において読み出した許容値情報が示す許容値に対応付けられた測定間隔調整パラメータSの値を特定する(ステップS320)。
【0146】
次に、演算処理部9は、ステップS320において特定した測定間隔調整パラメータSの値に基づいて、位置特定処理を行う(ステップS330)。すなわち、演算処理部9は、ステップS330において、ステップS320において特定した測定間隔調整パラメータSの値に基づいて、2以上の測定点の配置を特定する。ここで、ステップS330の処理は、格納変数に格納された値に代えて、ステップS320において特定した測定間隔調整パラメータSの値を用いる以外、ステップS140の処理と同様の処理である。このため、ステップS330の処理について、詳細な説明を省略する。
【0147】
次に、演算処理部9は、ステップS180に遷移し、ステップS330の処理によって特定された2以上の測定点の配置に基づいて、仮想的な面上に2以上の測定点を設定し、図11に示したフローチャートの処理を終了する。
【0148】
以上のような測定点設定処理により、実施形態の変形例に係るコンピュータ7は、受け付けた許容値情報が示す許容値と、受け付けた測定条件情報とに基づいて、放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する。より具体的には、コンピュータ7は、2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータSの値と許容値とが対応付けられた対応情報に基づいて、受け付けた許容値情報が示す許容値に対応付けられた測定間隔調整パラメータSの値を特定し、特定した測定間隔調整パラメータSの値と、受け付けた測定条件情報とに基づいて、2以上の測定点の配置を特定する第4処理(すなわち、ステップS310~ステップS330の処理)を実行することにより、2以上の測定点の配置を特定する。これにより、コンピュータ7は、ユーザが所望するよりも高い精度、すなわち、過剰な精度で当該分布を再現してしまうことなく、ユーザが所望する精度で当該分布を再現することができる。その結果、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0149】
ここで、図15及び図16を参照し、図11に示したフローチャートの処理によって、コンピュータ7が、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができていることを確認する。
【0150】
図15は、実施形態の変形例に係るコンピュータ7により算出された第2推定最大位置を示す分布D31と、所定の推定方法により事前に推定された第1推定最大位置を示す分布D3とを重ねてプロットしたグラフの一例を示す図である。ただし、図15に示した例では、放射妨害波の周波数は、6000MHzである。また、当該例では、コンピュータ7は、ステップS110において、許容値として-0.20dBを示す許容値情報を受け付けている。また、当該例では、測定範囲は、3mである。このため、コンピュータ7は、図13に示した3つの対応情報のうち、6000MHzに対応付けられた対応情報に基づいて、0.41を測定間隔調整パラメータSの値として特定する。この場合において、コンピュータ7が算出した第2推定最大位置を示す分布が、図15に示した分布D31である。図15に示したグラフの横軸は、電界強度を示す。また、当該グラフの縦軸は、電波暗室における金属床面からの高さを示す。図15に示した位置P3は、第1推定最大位置の一例を示す。図15に示した位置P31は、第2推定最大位置を示す。図15に示したように、位置P3と位置P31とは、ほぼ一致している。位置P3と位置P31とのずれをデシベルによって表した場合、当該ずれは、-0.05dBであり、許容値である-0.2dB以下である。すなわち、図15を参照することにより、図11に示したフローチャートの処理によって、仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布をコンピュータ7が精度よく推定することができていることが分かる。
【0151】
一方、図16は、実施形態の変形例に係るコンピュータ7により算出された第2推定最大位置を示す分布D32と、所定の推定方法により事前に推定された第1推定最大位置を示す分布D3とを重ねてプロットしたグラフの他の例を示す図である。ただし、図16に示した例では、放射妨害波の周波数は、6000MHzである。また、当該例では、コンピュータ7は、ステップS110において、許容値として-0.40dBを示す許容値情報を受け付けている。また、当該例では、測定範囲は、3mである。このため、コンピュータ7は、図13に示した3つの対応情報のうち、6000MHzに対応付けられた対応情報に基づいて、0.45を測定間隔調整パラメータSの値として特定する。この場合において、コンピュータ7が算出した第2推定最大位置を示す分布が、図16に示した分布D32である。図16に示したグラフの横軸は、電界強度を示す。また、当該グラフの縦軸は、電波暗室における金属床面からの高さを示す。図16に示したように、位置P3と位置P32とは、一致していない。しかしながら、位置P3と位置P32とのずれをデシベルによって表した場合、当該ずれは、-0.37dBであり、許容値である-0.4dB以下である。すなわち、コンピュータ7は、図16を参照することにより、図11に示したフローチャートの処理によって、ユーザが所望するよりも高い精度、すなわち、仮想的な面上における放射妨害波の分布を過剰な精度で再現してしまうことなく、ユーザが所望する精度で当該分布を再現することができる。すなわち、コンピュータ7は、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0152】
<他の変形例>
コンピュータ7は、上下方向ではなく、前述の方位角方向における2以上の測定点の配置を特定する場合、上記の式(15)に代えて、以下の式(17)を用いる。
【0153】
【数17】
【0154】
ここで、上記の式(17)のRmaxは、供試体1のサイズを示す情報として供試体情報に含まれている上下面の半径を示す。この上下面は、ターンテーブル4上に配置された供試体1の全体を含む仮想的な領域のうち最も小さな円筒形状の領域の上下面のことである。これにより、コンピュータ7は、方位角方向についても、2以上の測定点の配置を特定することができ、その結果、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体1を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。なお、当該配置は、重力方向と平行になるように予め決められた回転軸(すなわち、ターンテーブル4の回転軸)周りの方位角方向における配置である。
【0155】
以上のように、実施形態に係るプログラムは、コンピュータ(上記において説明した例では、コンピュータ7)に、許容値情報受付ステップと、測定条件情報受付ステップと、特定ステップと、を実行させるためのプログラムであり、許容値情報受付ステップは、許容値を示す許容値情報を受け付け、許容値は、第1推定最大位置からのずれとして許容可能な大きさを示す値であり、第1推定最大位置は、放射妨害波を放射する供試体(上記において説明した例では、供試体1)から放射される放射妨害波の強度が最大になる位置として、所定の推定方法によって推定された位置であり、測定条件情報受付ステップは、供試体に関する供試体情報と、放射妨害波を測定する測定空間に関する測定空間情報と、放射妨害波に関する放射妨害波情報とを含む測定条件情報を受け付け、特定ステップは、許容値情報受付ステップにより受け付けられた許容値情報が示す許容値と、測定条件情報受付ステップにより受け付けられた測定条件情報とに基づいて、放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する。これにより、プログラムは、放射妨害波試験に要する時間が増大してしまうことを抑制しつつ、供試体を囲む仮想的な面上における放射妨害波の電界強度の分布を精度よく推定することができる。
【0156】
また、プログラムでは、特定ステップは、2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータ(上記において説明した例では、測定間隔調整パラメータS)の値と、測定条件情報受付ステップにより受け付けられた測定条件情報とに基づいて、放射妨害波を測定する位置を示す2以上の測定点の配置を特定する第1処理と、第1処理により2以上の測定点の配置が特定された場合、第1処理により特定された2以上の測定点の配置に基づいて、放射妨害波の強度が最大になると推定される第2推定最大位置を算出する第2処理と、第2処理により算出された第2推定最大位置と第1推定最大位置とのずれが、許容値情報受付ステップにより受け付けられた許容値情報が示す許容値を超える場合、測定間隔調整パラメータの値を小さくして、第1処理を実行する第3処理と、を実行することにより、2以上の測定点の配置を特定する、構成が用いられてもよい。
【0157】
また、プログラムでは、特定ステップは、2以上の測定点の配置における測定点間の距離を調整する測定間隔調整パラメータの値と許容値とが対応付けられた対応情報に基づいて、許容値情報受付ステップにより受け付けられた許容値情報が示す許容値に対応付けられた測定間隔調整パラメータの値を特定し、特定した測定間隔調整パラメータの値と、測定条件情報受付ステップにより受け付けられた測定条件情報とに基づいて、2以上の測定点の配置を特定する第4処理を実行することにより、2以上の測定点の配置を特定する、構成が用いられてもよい。
【0158】
また、プログラムでは、放射妨害波情報には、放射妨害波の波長を示す波長情報が含まれており、測定間隔調整パラメータは、波長情報が示す波長に乗算されるパラメータである、構成が用いられてもよい。
【0159】
また、プログラムでは、2以上の測定点の配置は、重力方向における配置である、構成が用いられてもよい。
【0160】
また、プログラムでは、2以上の測定点の配置は、重力方向と平行になるように予め決められた回転軸周りの方位角方向における配置である、構成が用いられてもよい。
【0161】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0162】
また、以上に説明した装置(例えば、放射妨害波測定装置100、コントローラ6、コンピュータ7等)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリー(RAM(Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0163】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0164】
1…供試体、2…アンテナ、3…アンテナマスト、4…ターンテーブル、5…受信器、6…コントローラ、7…コンピュータ、8…制御部、9…演算処理部、10…主制御部、11…入力装置、12…出力装置、13…記憶装置、14…バス、15…記録媒体、100…放射妨害波測定装置
図1
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