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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 23/00 20060101AFI20240925BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A01C23/00 C
A01C11/00 302
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021060182
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156467
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康司
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-014771(JP,A)
【文献】特開2011-254711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0224084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 23/00
A01C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の走行方向に走行するように前輪及び後輪に支持された走行機体と、
ペースト肥料又は液体状肥料を貯留する肥料タンクと、
前記肥料タンク内の前記ペースト肥料又は前記液体状肥料を繰り出す施肥ポンプと、
前記施肥ポンプを駆動する施肥駆動モータと
を備え、
前記施肥駆動モータは、前記前輪の車軸よりも上方に配置され
前記施肥駆動モータは、前記走行方向において前記車軸よりも前方に配置された、農作業機。
【請求項2】
前記肥料タンクは、前記走行方向と交差する前記走行機体の幅方向の両端部にそれぞれ配置され、
前記施肥駆動モータは、前記肥料タンクの中間の位置に配置された、請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記施肥駆動モータを保護する保護部材を更に備え、
前記肥料タンク及び前記施肥ポンプは、前記走行方向において前記車軸よりも前方に配置され、 前記保護部材は、前記走行方向において前記施肥駆動モータよりも前方に配置された、請求項1又は請求項2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記保護部材は、前記走行方向において前記施肥駆動モータの少なくとも前方及び下方を保護する、請求項3に記載の農作業機。
【請求項5】
前記保護部材は、前記施肥駆動モータへ空気を通す通気孔を有する、請求項3又は請求項4に記載の農作業機。
【請求項6】
施肥情報を入力する入力部と、
前記走行機体の位置情報を取得する測位部と、
前記施肥駆動モータを制御する制御部と
を更に備え、
前記制御部は、前記施肥情報と前記位置情報とに応じて前記走行機体の走行中に前記施肥ポンプの繰り出し量を変更するように前記施肥駆動モータを制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の農作業機は、施肥装置を有する乗用田植機である。施肥装置は、肥料タンクと、施肥ポンプと、施肥駆動モータとを備える。肥料タンクは、ペースト肥料を貯留する。施肥ポンプは、肥料タンク内のペースト肥料を繰り出す。施肥駆動モータは、施肥ポンプを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-93833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の農作業機では、施肥駆動モータの設置位置を誤ると、施肥駆動モータが農作業中に水没したり、車両外物体との接触により破損したりする恐れがあった。
【0005】
本発明は、施肥駆動モータを水没又は破損から保護することができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の農作業機は、走行機体と、肥料タンクと、施肥ポンプと、施肥駆動モータとを備える。前記走行機体は、一定の走行方向に走行するように前輪及び後輪に支持される。前記肥料タンクは、ペースト肥料又は液体状肥料を貯留する。前記施肥ポンプは、前記肥料タンク内の前記ペースト肥料又は前記液体状肥料を繰り出す。前記施肥駆動モータは、前記施肥ポンプを駆動する。前記施肥駆動モータは、前記前輪の車軸よりも上方に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施肥駆動モータを水没又は破損から保護することができる農作業機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る農作業機の側面図である。
図2】農作業機の正面図である。
図3】農作業機の斜視図である。
図4】農作業機の他の斜視図である。
図5】農作業機の部分拡大斜視図である。
図6】農作業機の制御回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1図5を参照して、実施形態に係る農作業機100について説明する。図1は、農作業機100の側面図である。図2は、農作業機100の正面図である。図3及び図4は、様々な方向から見た農作業機100の斜視図である。図5は、農作業機100の部分拡大斜視図である。農作業機100は、例えば、施肥機能を有する乗用田植機である。
【0011】
図1図5に示されるように、農作業機100は、走行機体3と、植付作業機6とを備える。走行機体3は、一定の走行方向Dに走行するように前輪1及び後輪2に支持されている。前輪1の車軸1Aの位置は、後輪2の車軸2Aの位置よりも低い。植付作業機6は、走行機体3の後部に対して昇降自在に連結されている。
【0012】
走行機体3は、前側に配置されたボンネット9と、ボンネット9の後方で各種操作具が配置された操縦部12とを有する。操縦部12には、オペレータが着座する座席13が設けられている。
【0013】
農作業機100は、肥料タンク41と、施肥ポンプ42と、施肥ノズル43と、施肥駆動モータ45と、保護部材91とを更に備える。肥料タンク41、施肥ポンプ42、施肥駆動モータ45、及び保護部材91は、走行方向Dにおいて前輪1の車軸1Aよりも前方に配置される。施肥ノズル43は、走行方向Dにおいて後輪2の車軸2Aよりも後方に配置される。
【0014】
肥料タンク41は、ボンネット9の左右側方にそれぞれ配置されて、ペースト肥料又は液体状肥料を貯留する。肥料タンク41は、走行方向Dと交差する走行機体3の幅方向Wの両端部にそれぞれ配置される。
【0015】
施肥ポンプ42は、左右の肥料タンク41の下方にそれぞれ配置されて、肥料タンク41内のペースト肥料又は液体状肥料を繰り出す。
【0016】
施肥ノズル43は、植付作業機6の後部下方に複数本設けられ、施肥ポンプ42によって繰り出されたペースト肥料又は液体状肥料を圃場に吐出するように案内する。施肥ポンプ42と施肥ノズル43との間の肥料配管に切替バルブ(不図示)が介在する。農作業機100は、切替バルブから肥料タンク41に至る肥料戻し配管を更に有してもよい。
【0017】
施肥駆動モータ45は、左右の施肥ポンプ42を駆動する1台の電動モータ又は油圧モータである。施肥駆動モータ45は、肥料タンク41よりも下方、かつ左右の肥料タンク41の中間の位置において、前輪1の車軸1Aよりも上方に配置されている。
【0018】
保護部材91は、施肥駆動モータ45を保護するように、走行方向Dにおいて施肥駆動モータ45よりも前方に配置される。好ましくは、図5に示されるように、保護部材91は、断面L字形状に折曲し、施肥駆動モータ45の少なくとも前方及び下方を保護する。保護部材91は、施肥駆動モータ45へ空気を通す通気孔91Aを有する。通気孔91Aは、施肥駆動モータ45に対して空冷効果を奏する。保護部材91は、施肥駆動モータ45から施肥ポンプ42に至る回転軸45Aへの接触防止機能を兼ね備えてもよい。
【0019】
次に、図1図6を参照して、農作業機100の制御回路について説明する。図6は、農作業機100の制御回路のブロック図である。
【0020】
図6に示されるように、農作業機100は、測位部58と、入力部59と、制御部50と、記憶部51とを更に備える。
【0021】
入力部59は、圃場内での施肥量の分布等を示すマップを含む施肥情報を入力する。測位部58は、走行機体3の位置情報を取得する。
【0022】
記憶部51は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶部51は、半導体メモリーのような主記憶装置を含む。
【0023】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含み、制御部50又は記憶部51に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、施肥駆動モータ45を制御する。具体的に説明すると、制御部50は、施肥情報と位置情報とに応じて走行機体3の走行中に施肥ポンプ42の繰り出し量を変更するように、施肥駆動モータ45を制御する。制御部50が施肥駆動モータ45の駆動力を制御することによって、施肥ポンプ42によるペースト肥料の繰り出し量を無段階で調整できるように構成されている。
【0024】
以上の実施形態によれば、施肥駆動モータ45が前輪1の車軸1Aよりも上方に配置されるので、施肥駆動モータ45を水没から保護することができる。農作業機100が走行不能に陥らないように、通例、耕盤に対する圃場面の高さ(すなわち水深)よりも大きく設定された半径を有するように、前輪1の大きさが設定されるからである。また、施肥駆動モータ45が前輪1の車軸1Aよりも上方に配置されるので、施肥駆動モータ45を車両外物体との接触による破損から保護することができる。
【0025】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
実施形態では、肥料タンク41、施肥ポンプ42、及び施肥駆動モータ45が前輪1の車軸1Aよりも前方に配置されたが、これに限られない。肥料タンク41及び施肥ポンプ42は、座席13の後方において左右いずれか一方又は両側方に配置され得る。施肥駆動モータ45は、肥料タンク41よりも下方、かつ後輪2の中間の位置において、後輪2の車軸2Aよりも前方かつ上方に配置され得る。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、農作業機の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 前輪
1A 車軸
2 後輪
2A 車軸
3 走行機体
41 肥料タンク
42 施肥ポンプ
43 施肥ノズル
45 施肥駆動モータ
50 制御部
58 測位部
59 入力部
91 保護部材
91A 通気孔
100 農作業機
D 走行方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6