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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ロードバイク用の操作装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 25/08 20060101AFI20240925BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240925BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20240925BHJP
【FI】
B62M25/08
B62J45/00
B62M6/45
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021074140
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2016232329の分割
【原出願日】2016-11-30
(65)【公開番号】P2021104807
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄俊
(72)【発明者】
【氏名】池本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】登尾 大介
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 竜士
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】高橋 学
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0151073(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0102237(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0221640(US,A1)
【文献】特開2016-88205(JP,A)
【文献】特開2008-94257(JP,A)
【文献】特開2008-168751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0165763(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253600(US,A1)
【文献】特開2012-179974(JP,A)
【文献】特開2005-297712(JP,A)
【文献】特開2014-24373(JP,A)
【文献】特開2015-27861(JP,A)
【文献】特開2015-140039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J45/00
B62J 1/00
B62K23/02 -23/06
B62K25/00
B62M 9/122- 9/123
B62M 9/132- 9/133
B62M11/04 -11/18
B62M25/08
F16H59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速機、ブレーキ装置、アジャスタブルシートポスト、サスペンション、および、ドライブユニットのうちの少なくとも1つを制御するロードバイク用の操作装置であって、
無線送信部と、
自転車のハンドルバーに着脱可能に構成されるベースと、
前記ベースに揺動可能に連結されるブレーキレバーと、
前記ベースに設けられる第1操作部と、
制御部と、を備え、
前記ベースは、
前記ハンドルバーに対して前記自転車の前後方向の前方に設けられる基部と、
前記基部に対して前記自転車の前記前後方向の前方に設けられ、前記ブレーキレバーが取り付けられる取付部と、
前記取付部に対して前記自転車の上下方向の上方に突出するように設けられる遊端部と、を含み、
前記制御部は、
前記無線送信部に接続され、
前記第1操作部が操作された場合に前記無線送信部に、前記変速機、前記ブレーキ装置、前記アジャスタブルシートポスト、前記サスペンション、および、前記ドライブユニットのうちの1つへの第1動作指令を送信させ、
前記無線送信部は、前記ベースに設けられ、
前記第1操作部は、前記遊端部の上端部の上面に設けられ、
前記第1操作部は、ボタンを含み、
前記ボタンは、前記上端部の上面から上方に突出する、操作装置。
【請求項2】
前記ベースが前記ハンドルバーに取り付けられた場合、前記ブレーキレバーと前記ハンドルバーとの間に配置され、前記ブレーキレバーに隣接して設けられる第2操作部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第2操作部が操作された場合に前記無線送信部に、前記変速機、前記ブレーキ装置、前記アジャスタブルシートポスト、前記サスペンション、および、前記ドライブユニットのうちの他の1つへの第2動作指令を送信させる、請求項に記載の操作装置。
【請求項3】
前記第2操作部は、操作レバーを含む、請求項に記載の操作装置。
【請求項4】
前記第2動作指令と前記第2操作部の操作に応じた操作情報との対応関係を変更可能に記憶する記憶部をさらに備える、請求項2または3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第1動作指令と前記第1操作部の操作に応じた操作情報との対応関係を変更可能に記憶する記憶部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第1動作指令と前記第1操作部の操作に応じた操作情報との対応関係を変更可能に記憶する記憶部と、
前記ベースが前記ハンドルバーに取り付けられた場合、前記ブレーキレバーと前記ハンドルバーとの間に配置され、前記ブレーキレバーに隣接して設けられる第2操作部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記第2操作部が操作された場合に前記無線送信部に、前記変速機、前記ブレーキ装置、前記アジャスタブルシートポスト、前記サスペンション、および、前記ドライブユニットのうちの他の1つへの第2動作指令を送信させ、
前記記憶部は、前記第2動作指令と前記第2操作部の操作に応じた操作情報との対応関係を変更可能に記憶する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項7】
前記第2操作部は、操作レバーを含む、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記ベースが前記ハンドルバーに取り付けられた場合、前記ブレーキレバーと前記ハンドルバーとの間に配置され、前記ブレーキレバーに隣接して設けられる第3操作部をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項9】
前記第3操作部は、操作レバーを含む、請求項に記載の操作装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記操作装置の前記ベースに設けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記第1操作部は、スイッチ回路を含み、
前記制御部は、前記スイッチ回路から出力される電圧を検出する検出回路を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項12】
前記第1操作部は、互いに異なる第1操作方法、第2操作方法、および、第3操作方法の少なくとも1つによって操作可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項13】
前記第1操作方法は、前記第1操作部が所定時間の間に1回押される短押しに対応する、請求項12に記載の操作装置。
【請求項14】
前記第2操作方法は、前記第1操作部が所定時間以上押される長押しに対応する、請求項12または13に記載の操作装置。
【請求項15】
前記第3操作方法は、前記第1操作部が所定時間の間に2回押されるダブルクリックに対応する、請求項12から14のいずれか一項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードバイク用の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される電動変速装置は、操作装置および変速機を備える。操作装置を操作すると、変速機が動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2014/0102237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ユーザビリティの向上に貢献できるロードバイク用の操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に従う電子装置の一形態は、操作装置の操作に応じて、1または複数の自転車用コンポーネントを制御する電子装置であって、前記操作装置の操作に応じた操作情報を受信する受信部と、第1の無線送信部と、前記自転車用コンポーネントへの動作指令を、前記操作情報に対応させて記憶する記憶部と、前記受信部が前記操作情報を受信すると、受信した前記操作情報に対応する前記動作指令を、前記第1の無線送信部から送信させる制御部とを含み、前記記憶部は、前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令を変更可能に構成される。
(1)の電子装置によれば、操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更することによって、1つの操作装置で自転車用コンポーネントの種々の動作させることができる。このため、操作装置の操作と自転車用コンポーネントの動作との対応関係をユーザの好み等に応じて変更でき、ユーザビリティの向上に貢献できる。また、動作指令が第1の無線送信部から自転車用コンポーネントに送信されるため、自転車の配線の取り回しが簡略化でき、ユーザビリティの向上に貢献できる。
【0006】
(2)前記(1)に記載の電子装置において、前記記憶部は、前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令が変更される場合、変更前の前記動作指令に応じて制御される前記自転車用コンポーネントとは種類の異なる他の前記自転車用コンポーネントを制御するように前記動作指令を変更可能に構成される。
(2)の電子装置によれば、操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更することによって、1つの操作装置で種々の自転車用コンポーネントを動作させることができる。
【0007】
(3)前記(1)または(2)に記載の電子装置において、前記受信部、前記第1の無線送信部、前記記憶部、および、前記制御部は、前記操作装置とは別体で設けられる。
(3)の電子装置によれば、操作装置の変更が容易であり、ロードバイク用の操作装置、マウンテンバイク用の操作装置などの様々な操作装置に対応させて自転車用コンポーネントを制御することができ、ユーザビリティの向上にさらに貢献できる。
【0008】
(4)前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記受信部、前記第1の無線送信部、前記記憶部、および、前記制御部が設けられるハウジングをさらに含む。
(4)の電子装置によれば、持ち運び、および自転車への取り付けなどが容易となる。
【0009】
(5)前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の電子装置において、操作者が操作可能な操作入力部をさらに含み、前記制御部は、前記操作入力部の操作に応じて、前記記憶部に記憶されている前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令を変更可能に構成される。
(5)の電子装置によれば、操作者は、電子装置に含まれる操作入力部によって操作情報に対応させて記憶される動作指令を容易に変更できる。
【0010】
(6)前記(4)に記載の電子装置において、前記ハウジングに設けられ、操作者が操作可能な操作入力部をさらに含み、前記制御部は、前記操作入力部の操作に応じて、前記記憶部に記憶されている前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令を変更可能に構成される。
(6)の電子装置によれば、電子装置に含まれる操作入力部によって操作情報に対応させて記憶される動作指令を容易に変更できる。
【0011】
(7)前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記操作装置の操作に応じて制御される前記自転車用コンポーネントの情報を提示可能な提示部をさらに含む。
(7)の電子装置によれば、ユーザは操作装置の操作に応じて制御される自転車用コンポーネントを、提示部を用いて把握できる。
【0012】
(8)前記(4)または(6)に記載の電子装置において、前記ハウジングに設けられ、前記操作装置の操作に応じて制御される前記自転車用コンポーネントの情報を提示可能な提示部を含む。
(8)の電子装置によれば、ユーザは操作装置の操作に応じて制御される自転車用コンポーネントを、提示部を用いて把握できる。
【0013】
(9)前記(7)または(8)に記載の電子装置において、前記提示部は、前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令に関する情報を提示可能である。
(9)の電子装置によれば、ユーザは操作情報に対応させて記憶される動作指令に関する情報を、提示部を用いて把握できる。
【0014】
(10)前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記受信部は、前記操作情報を無線で受信する。
(10)の電子装置によれば、操作装置と受信部との間の配線を省略できるため、自転車の配線の取り回しを簡略化できる。
【0015】
(11)前記(10)に記載の電子装置において、前記操作情報を無線で前記受信部に送信する第2の無線送信部をさらに含む。
(11)の電子装置によれば、第2の無線送信部と受信部との間の配線を省略できるため、自転車の配線の取り回しを簡略化できる。
【0016】
(12)前記(11)に記載の電子装置において、前記操作装置と、前記第2の無線送信部とは、有線で接続される。
(12)の電子装置によれば、操作装置に無線送信部を設ける必要がないため、操作装置の構成を簡略化できる。
【0017】
(13)前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記操作装置をさらに含む。
(13)の電子装置によれば、操作装置を含んだ電子装置においてユーザビリティに貢献できる。
【0018】
(14)前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記操作装置をさらに含み、前記受信部、前記第1の無線送信部、前記記憶部、および、前記制御部は、前記操作装置に設けられる。
(14)の電子装置によれば、操作装置から自転車用コンポーネントに動作指令を無線で送信するため、自転車の配線の取り回しがより簡略になる。
【0019】
(15)前記(1)~(14)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記記憶部は、外部の装置から入力される情報に応じて、前記操作情報に対応させて記憶される前記動作指令を変更可能に構成される。
(15)の電子装置によれば、ユーザは外部の装置を通じて操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更できる。
【0020】
(16)前記(1)~(15)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記受信部は、前記操作装置の操作方法に応じて異なる前記操作情報を受信し、前記記憶部は、それぞれの前記操作情報に対応する動作指令を記憶する。
(16)の電子装置によれば、操作情報に対応させて記憶される動作指令を複数記憶でき、各動作指令を変更できるため、ユーザビリティがさらに向上する。
【0021】
(17)前記(1)~(16)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記操作装置は、複数の操作部を含み、前記受信部は、前記複数の操作部のうちの操作される前記操作部に応じて異なる前記操作情報を受信し、前記記憶部は、それぞれの前記操作情報に対応する動作指令を記憶する。
(17)の電子装置によれば、操作情報に対応させて記憶される動作指令を複数記憶でき、各動作指令を変更できるため、ユーザビリティがさらに向上する。
【0022】
(18)前記(1)~(17)のいずれか一項に記載の電子装置において、前記自転車用コンポーネントは、変速機、ブレーキ装置、ランプ、アジャスタブルシートポスト、サスペンション、および、自転車の推進を補助するドライブユニットの少なくとも1つから選ばれる。
(18)の電子装置によれば、変速機、ブレーキ装置、ランプ、アジャスタブルシートポスト、サスペンション、および、ドライブユニットのうちのユーザが所望するものを操作装置で操作することができる。
【0023】
(19)本発明に従う電子装置における制御方法の一形態は、操作装置の操作に応じて、1または複数の自転車用コンポーネントを制御する電子装置における制御方法であって、前記操作装置の操作に応じた操作情報を受信する処理と、前記操作情報を受信すると、受信した前記操作情報に対応して記憶している前記自転車用コンポーネントへの動作指令を無線で送信する処理と、前記操作情報に対応させて記憶している前記動作指令を変更する処理と、を含む。
(19)の電子装置によれば、操作装置の操作と自転車用コンポーネントの動作との対応関係をユーザの好み等に応じて変更でき、ユーザビリティに貢献できる。また、自転車の配線の取り回しが簡略化でき、ユーザビリティの向上に貢献できる。
【発明の効果】
【0024】
本電子装置および電子装置における制御方法は、ユーザビリティの向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態の電子装置を搭載する自転車の側面図。
図2図1の電子装置に含まれる装置の関係を示す模式図。
図3図1の電子装置および自転車用コンポーネントの電気的な構成を示すブロック図。
図4図3の送信装置の制御部の処理を示すフローチャート。
図5図3の電子装置本体の制御部の処理を示すフローチャート。
図6図3の提示装置に表示される動作指令の内容の一例を示す平面図。
図7図3の電子装置において実行される自転車用コンポーネントの処理順序を示すシーケンス図。
図8図3の電子装置本体の制御部の動作指令を変更する処理を示すフローチャート。
図9】第2実施形態の電子装置および自転車用コンポーネントの電気的な構成を示すブロック図。
図10図9の電子装置において実行される動作指令を変更するときの外部の装置に提示される提示画面の第1の例を示す図。
図11図9の電子装置において実行される動作指令を変更するときの外部の装置に提示される提示画面の第2の例を示す図。
図12】第3実施形態の電子装置および自転車用コンポーネントの電気的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
図1図8を参照して、第1実施形態の電子装置60を備える自転車10について説明する。
【0027】
図1に示されるとおり、自転車10は、前輪12、後輪14、自転車本体16、駆動機構18、バッテリユニット42、自転車用コンポーネント50、および、電子装置60を含む。自転車本体16は、フレーム20、フロントフォーク22、ハンドルバー24、および、シートポスト26を含む。自転車用コンポーネント50は、第1変速機50A、第2変速機50B、前ブレーキ装置50C、後ブレーキ装置50D、ランプ50E、アジャスタブルシートポスト50F、サスペンション50G、および、ドライブユニット50Hを含む。フロントフォーク22は、フレーム20に支持されて、前輪12の車軸12Aに接続される。ハンドルバー24は、フロントフォーク22にステム24Aを介して着脱可能に接続される。シートポスト26は、フレーム20に接続されて、フレーム20に支持される。
【0028】
自転車10は、人力駆動力が駆動機構18を介して後輪14に伝達されることによって走行する。駆動機構18は、クランク28、一対のペダル30、フロント回転体32、リア回転体34、および、チェーン36を含む。クランク28がドライブユニット50Hに設けられる場合、駆動機構18は、ドライブユニット50Hの一部を含んで構成されてもよい。この場合、駆動機構18は、たとえばドライブユニット50Hの出力部(図示略)を含み、クランク軸38とドライブユニット50Hの出力部とを連結する連結部(図示略)をさらに含むように構成されてもよい。
【0029】
クランク28は、クランク軸38、および、一対のクランクアーム40を含む。本実施形態ではクランク軸38は、フレーム20に連結されるドライブユニット50Hのハウジングに回転可能に支持される。一対のクランクアーム40は、クランク軸38に取り付けられる。一対のペダル30は、ペダル本体30Aおよびペダル軸30Bを含む。ペダル軸30Bは、クランクアーム40のそれぞれに連結される。ペダル本体30Aは、ペダル軸30Bに対する回転が可能な状態でペダル軸30Bのそれぞれに支持される。
【0030】
フロント回転体32は、クランク軸38に連結されている。フロント回転体32は、クランク軸38と同軸に設けられる。後輪14は、ハブ(図示略)を含む。本実施形態では、フロント回転体32は、1または複数のフロントスプロケット32Aを含む。リア回転体34は、1または複数のリアスプロケット34Aを含む。チェーン36は、フロント回転体32とリア回転体34とに巻き掛けられている。ペダル30に加えられる人力駆動力によってクランク28が一方向に回転する場合、フロント回転体32、チェーン36、および、リア回転体34によって、後輪14も一方向に回転する。別の例では、フロント回転体32は、1または複数のフロントプーリを含み、リア回転体34は、ベルトによってフロント回転体32と連結される1または複数のリアプーリを含む。
【0031】
バッテリユニット42は、バッテリ42A、および、バッテリ42Aをフレーム20に着脱可能に取り付けるためのバッテリホルダ42Bを備えている。バッテリ42Aは、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリ42Aは、充電池を含む。バッテリ42Aは、バッテリ42Aと有線で電気的に接続されている自転車用コンポーネント50の少なくとも一部に電力を供給する。バッテリユニット42は、フレーム20内に収容されていてもよい。各自転車用コンポーネント50の少なくとも一部は、バッテリ42Aから電力が供給されず、個別にバッテリを備えていてもよい。
【0032】
電子装置60は、1または複数の自転車用コンポーネント50を制御する。電子装置60の制御対象となる自転車用コンポーネント50は、変速機50A,50B、ブレーキ装置50C,50D、ランプ50E、アジャスタブルシートポスト50F、サスペンション50G、および、ドライブユニット50Hの少なくとも1つから選ばれる。図3に示されるとおり、自転車用コンポーネント50は、それぞれ制御部52、エネルギ変換部54、および、無線通信部56を含む。制御部52は、予め定めるプログラムを実行する。制御部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52は、好ましくはプログラムを記憶するメモリを含む。
【0033】
図1に示される第1変速機50Aおよび第2変速機50Bは、クランク28の回転速度に対する後輪14の回転速度の比率を変更可能である。第1変速機50Aは、リアディレーラを含む。第1変速機50Aは、フレーム20のリアエンド付近に設けられる。リア回転体34が複数のリアスプロケット34Aを含む場合、第1変速機50Aは、複数のリアスプロケット34Aの間でチェーン36を掛け替える。第1変速機50Aのエネルギ変換部54Aは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。第1変速機50Aの制御部52Aは、無線通信部56Aが動作指令を受け取ると、変速可能な場合には、エネルギ変換部54Aを動作させて、変速させる。第2変速機50Bは、フロントディレーラを含む。第2変速機50Bは、クランク軸38付近に設けられる。フロント回転体32が複数のフロントスプロケット32Aを含む場合、第2変速機50Bは、複数のフロントスプロケット32Aの間でチェーン36を掛け替える。第2変速機50Bのエネルギ変換部54は、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。第2変速機50Bの制御部52Bは、無線通信部56Bが動作指令を受け取ると、変速可能な場合には、エネルギ変換部54Bを動作させて、変速させる。
【0034】
前ブレーキ装置50Cおよび後ブレーキ装置50Dは、リムブレーキであってもよく、ディスクブレーキであってもよく、ローラブレーキであってもよい。前ブレーキ装置50Cは、フロントフォーク22に設けられて前輪12の回転を制動する。前ブレーキ装置50Cのエネルギ変換部54Cは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。前ブレーキ装置50Cの制御部52Cは、無線通信部56Cが動作指令を受け取ると、エネルギ変換部54Cを動作させ、ブレーキシュー、ブレーキパットまたはローラを動かして、前輪12の回転を制動させる。後ブレーキ装置50Dは、フレーム20に設けられて後輪14の回転を制動する。後ブレーキ装置50Dのエネルギ変換部54Dは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。後ブレーキ装置50Dの制御部52Dは、無線通信部56Dが動作指令を受け取ると、エネルギ変換部54Cを動作させ、ブレーキシュー、ブレーキパットまたはローラを動かして、後輪14の回転を制動させる。前ブレーキ装置50Cおよび後ブレーキ装置50Dの少なくとも一方は、操作装置78に含まれる後述するブレーキレバー78Bによって、動作させることもできる。この場合、操作装置78のブレーキレバー78Bと、前ブレーキ装置50Cおよび後ブレーキ装置50Dの少なくとも一方とは、ワイヤによって接続されている。
【0035】
ランプ50Eは、フロントフォーク22またはハンドルバー24に取り付けられる。ランプ50Eは、点灯(オン)および消灯(オフ)を切り替え可能に構成される。ランプ50Eのエネルギ変換部54Eは、LED(light emitting diode)または電球を含む。ランプ50Eの制御部52Eは、無線通信部56Eが動作指令を受け取ると、エネルギ変換部54Cの動作を切り替える。ランプ50Eは、1つの動作指令を受け取る毎に、点灯および消灯を交互に行う構成としてもよく、点灯と消灯とを個別の動作指令で行う構成としてもよい。またランプ50Eは、点灯および消灯だけではなく、所定のパターンで点滅したり、点灯強度を複数段階に変更したりする構成としてもよい。この場合にも、ランプ50Eは、1つの動作指令を受け取る毎に、動作を変更する構成としてもよく、各動作を個別の動作指令で行う構成としてもよい。
【0036】
アジャスタブルシートポスト50Fは、シートポスト26に取り付けられる。アジャスタブルシートポスト50Fは、シートポスト26をフレーム20に対して上昇および下降させる。アジャスタブルシートポスト50Fのエネルギ変換部54Fは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。アジャスタブルシートポスト50Fは、電動モータの力で伸縮する電気式シートポスト、または、バネおよび空気の少なくとも一方の力で伸び、人力を加えることによって縮む機械式シートポストを含む。機械式シートポストは、油圧式シートポスト、または、油圧および空気圧式シートポストを含む。電気式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト50Fの制御部52Fは、無線通信部56Fが動作指令を受け取ると、動作可能な場合には、エネルギ変換部54Fを動作させて、シートポスト26を伸縮させる。電気式シートポストの場合、シートポスト26の上昇と下降とは個別の動作指令で行う構成とする。機械式シートポストでは、エネルギ変換部54Fが油または空気の流路を開閉するバルブを制御する。機械式シートポストの場合、アジャスタブルシートポスト50Fの制御部52Fは、無線通信部56Fが動作指令を受け取ると、エネルギ変換部54Fを動作させて、バルブを開く。バルブが開いている状態では、アジャスタブルシートポスト50Fは、バネおよび空気の少なくとも一方の力で伸びようとする。バルブが閉じている状態では、アジャスタブルシートポスト50Fの長さは変化しない。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、所定時間の間バルブを開く構成としてもよく、動作指令を受け取ると、次に動作指令を受け取るまでバルブを開く構成としてもよい。
【0037】
サスペンション50Gは、フロントフォーク22に設けられて前輪12に加えられた衝撃を減衰する。サスペンション50Gは、エネルギ変換部54Gによってサスペンション50Gの機能が制限されるロック状態と、サスペンション50Gの機能が制限されない解除状態とを変更可能である。サスペンション50Gは、フレーム20に設けられて後輪14に加えられた衝撃を減衰可能なものを含んでもよい。サスペンション50Gは、油圧式、空気圧式、および、油圧を含むハイブリッド式のサスペンションのいずれであってもよい。サスペンション50Gのエネルギ変換部54Gは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。エネルギ変換部54Gは、油または空気の流路を開閉するバルブを制御する。サスペンション50Gの制御部52Gは、無線通信部56Gが動作指令を受け取ると、動作可能な場合には、エネルギ変換部54Gを動作させて、ロック状態と解除状態とを切り替える。サスペンション50Gは、1つの動作指令を受け取る毎に、ロック状態と解除状態を交互に切り替える構成としてもよく、ロック状態と解除状態とを個別の動作指令で切り替える構成としてもよい。サスペンション50Gは、ロック状態と解除状態とは別に、減衰力を複数の段階に変更可能な構成としてもよい。この場合、ロック状態と解除状態とを切り替える動作指令とは異なる動作指令を受け取る毎に、減衰力を1段階ずつ切り替える構成としてもよい。
【0038】
ドライブユニット50Hは、自転車10の推進を補助する。ドライブユニット50Hの制御部52Hは、エネルギ変換部54Hを駆動する駆動回路を含む。ドライブユニット50Hのエネルギ変換部54Hは電気モータを含む。駆動回路は、バッテリ42Aから電気モータに供給される電力を制御する。本実施の形態では、電気モータはクランク軸38からフロント回転体32までの人力駆動力の動力伝達経路に駆動力を伝達する。ドライブユニット50Hがクランク28を支持しない構成の場合、クランク28はフレーム20に支持され、ドライブユニット50Hの電気モータは、自転車10のフレーム20、後輪14、または前輪12に設けられ、ペダル30から後輪14までの人力駆動力の伝達経路、または、前輪12に回転を伝達するように構成される。電気モータとクランク軸38との間の動力伝達経路には、クランク軸38を自転車10が前進する方向に回転させた場合にクランク28の回転力によって電気モータが回転しないようにワンウェイクラッチ(図示略)が設けられるのが好ましい。ドライブユニット50Hは、無線通信部56H、制御部52H、および、エネルギ変換部54H以外に、例えば電気モータの回転を減速して出力する減速機、クランク28に与えられるトルクを検出するトルクセンサをさらに含む。ドライブユニット50Hは、クランク28の回転を検出する回転検出センサをさらに含んでいてもよい。制御部52Hは、トルクセンサの検出結果に応じて、電気モータを駆動する。ドライブユニット50Hの制御部52Hは、無線通信部56Hが動作指令を受け取ると、エネルギ変換部54Hの動作状態を切り替える。制御部52Hは、エネルギ変換部54Hをアシスト比の異なる複数の動作モードで動作させることができる。ドライブユニット50Hは動作指令に応じて、動作モードを切り替える。ドライブユニット50Hは、1つの動作指令を受け取る毎に、動作モードを順番に切り替える構成としてもよく、アシスト比が大きくなる動作指令と、アシスト比が小さくなる動作指令と、個別の動作指令で行う構成としてもよい。ドライブユニット50Hの動作モードは、モータによってアシストしないモードを含んでいてもよい。
【0039】
図3に示されるとおり、電子装置60は、受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、および、制御部68を含む。一例では、電子装置60は、ハウジング70(図2参照)、操作入力部72、提示部74、第2の無線送信部76、および、操作装置78をさらに含む。図2に示されるとおり、電子装置60は、操作装置78、送信装置80、電子装置本体82を含んで構成される。電子装置60は、操作装置78の操作に応じて、1または複数の自転車用コンポーネント50(図1参照)を制御する。
【0040】
操作装置78は、ハンドルバー24に取り付けられる。操作装置78は、操作者が操作可能である。操作装置78は、複数の操作部84を含む。操作装置78は、操作部84が設けられるベース78Aを含む。ベース78Aは、ハンドルバー24に着脱可能に構成されている。操作装置78は、さらにベース78Aに揺動可能に連結されるブレーキレバー78Bを含む。図1および図2の操作装置78はロードバイク用ブレーキレバーを含んでいるが、マウンテンバイク用ブレーキレバーまたはシティバイク用のブレーキレバーを含んでいてもよい。また、操作装置78は、ブレーキレバーを含まない構成としてもよい。また、電子装置60は、複数の操作装置78を含んでいてもよい。複数の操作装置78は、ハンドルバー24の左右の端部にそれぞれ取り付けられてもよい。
【0041】
複数の操作部84は、第1操作部84A、第2操作部84B、および、第3操作部84Cを含む。第1操作部84Aは、ベース78Aの遊端部の上端部に設けられるのが好ましい。第2操作部84Bおよび第3操作部84Cは、ブレーキレバー78Bに隣接して設けられるのが好ましい。各操作部84が配置される位置はこれに限らない。操作部84の数は、1つであってもよいし、3つ以上の複数であってもよい。一例では、操作部84は、レバーまたはボタンを含む。操作装置78は、送信装置80と電力線Lによって電気的に接続される。本実施の形態では、操作装置78と、送信装置80とは、電力線通信(PLC;Power Line Communication)を行うように構成されている。操作装置78と送信装置80とには、電力線通信を行うための通信回路がそれぞれ設けられている。ベース78Aには、電力線Lが着脱可能に接続されるポートが設けられている。
【0042】
操作装置78は、第1操作部84Aが第1操作方法で操作されたとき、第1操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第1操作部84Aが第2操作方法で操作されたとき、第2操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第1操作部84Aが第3操作方法で操作されたとき、第3操作信号を送信装置80に出力する。第1~第3操作方法は、例えば短押し、長押し、または、ダブルクリックのいずれかと対応する。短押しは、操作部84が所定時間の間に1回押される操作に対応する。長押しは、操作部84が所定時間以上押される操作に対応する。ダブルクリックは、操作部84が所定時間の間に2回押される操作に対応する。一例では、第1操作部84A、第2操作部84Bおよび第3操作部84Cは、スイッチ回路を含む。操作装置78は、スイッチ回路から出力される電圧を検出する検出回路を含む制御部79をさらに含む。制御部79は、予め定めるプログラムを実行する。制御部79は、例えばCPUまたはMPUを含む。制御部79は、好ましくはプログラムを記憶するメモリを含む。例えば第1操作部84Aが操作されると、第1操作部84Aのスイッチ回路は、ハイレベル電圧を出力し、第1操作部84Aの操作が解除されると、第1操作部84Aのスイッチ回路は、ローレベル電圧を出力する。制御部79は、第1操作部84Aが操作されると、操作装置78および第1操作部84Aに対応する識別情報と、スイッチ回路から出力される電圧を変換した操作の種類を表す種類情報とを組み合わせて、第1~第3操作信号を生成して、送信装置80に出力する。例えば第1~第3操作方法のいずれで第1操作部84Aが操作されたのかは、ハイレベル電圧またはローレベル電圧の継続時間、ハイレベル電圧またはローレベル電圧の所定期間における検出回数によって区別される。
【0043】
操作装置78は、第2操作部84Bが第4操作方法で操作されたとき、第4操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第2操作部84Bが第5操作方法で操作されたとき、第5操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第2操作部84Bが第6操作方法で操作されたとき、第6操作信号を送信装置80に出力する。第4~第6操作方法は、短押し、長押し、または、ダブルクリックのいずれかと対応する。例えば第2操作部84Bが操作されると、第2操作部84Bのスイッチ回路は、ハイレベル電圧を出力し、第2操作部84Bの操作が解除されると、第2操作部84Bのスイッチ回路は、ローレベル電圧を出力する。制御部79は、第2操作部84Bが操作されると、操作装置78および第2操作部84Bに対応する識別情報と、スイッチ回路から出力される種類情報とを組み合わせて、第4~第6操作信号を生成して、送信装置80に出力する。
【0044】
操作装置78は、第3操作部84Cが第7操作方法で操作されたとき、第7操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第3操作部84Cが第8操作方法で操作されたとき、第8操作信号を送信装置80に出力する。操作装置78は、第3操作部84Cが第9操作方法で操作されたとき、第9操作信号を送信装置80に出力する。第7~第9操作方法は、短押し、長押し、または、ダブルクリックのいずれかと対応する。例えば第3操作部84Cが操作されると、第3操作部84Cのスイッチ回路は、ハイレベル電圧を出力し、第3操作部84Cの操作が解除されると、第3操作部84Cのスイッチ回路は、ローレベル電圧を出力する。制御部79は、第3操作部84Cが操作されると、操作装置78および第3操作部84Cに対応する識別情報と、スイッチ回路から出力される種類情報とを組み合わせて、第7~第9操作信号を生成して、送信装置80に出力する。
【0045】
図2に示される送信装置80は、フレーム20に取り付け可能に構成されている。送信装置80は、例えばフレーム20のチェーンステイまたはシートステイに取り付けられる。図3に示されるとおり、送信装置80は、第2の無線送信部76および制御部86を含む。制御部86は、予め定めるプログラムを実行する。制御部86は、例えばCPUまたはMPUを含む。制御部86は、好ましくはプログラムを記憶するメモリを含む。送信装置80は、第2の無線送信部76および制御部86が設けられるケース80Aを含む。ケース80Aには、電力線Lが着脱可能に接続されるポートが設けられている。送信装置80には、バッテリユニット42から電力が供給される。
【0046】
操作装置78と、第2の無線送信部76とは、有線で接続される。具体的には、操作装置78の制御部79と制御部86とは電力線Lによって接続され、制御部86と第2の無線送信部76は、導線によって接続される。
【0047】
制御部86は、操作信号が入力された場合、操作信号に応じた操作情報を生成する。第2の無線送信部76は、操作情報を無線で受信部62に送信する。操作情報には、操作信号に含まれる情報、言い換えれば、操作装置78および操作部84の識別情報および操作部84の操作方法を表す種類情報が含まれる。識別情報は、操作装置78および操作部84の名称またはプロダクト番号等、制御部86および操作者が操作装置78および操作部84を区別可能な情報を含む。送信装置80には、操作信号に応じた操作情報を送信するか否かが設定されている。制御部86は、設定メモリを含む。設定メモリは、不揮発性メモリを含む。制御部86は、入力された操作信号に含まれる情報が、設定メモリに記憶されている場合、操作情報を生成して、第2の無線送信部76から操作情報を無線で送信させる。本実施形態では、設定メモリには、操作装置78および操作部84の識別情報が記憶されている。なお、操作部84が1つの場合、操作装置の識別情報のみが記憶されていてもよい。操作装置78が1つの場合、操作部84の識別情報のみが記憶されていてもよい。
【0048】
表1は、設定メモリに記憶されている設定情報を示す。例えば設定メモリには、4つの設定情報を記憶することができる。表1では、設定番号1として、例えば図2に示す操作装置78の第1操作部84Aの識別情報が記憶されている。設定番号2として、例えば図2に示す操作装置78の第2操作部84Bの識別情報が記憶されている。設定番号3,4は、設定されていない。設定メモリの容量に応じて、設定可能な数を変更してもよい。例えば設定メモリは、1つの設定情報のみを記憶できる構成としてもよく、4つ以上の設定情報を記憶できる構成としてもよい。
【0049】
【表1】
【0050】
図4を参照して、送信装置80の制御部86の動作を説明する。制御部86は、送信装置80に電力が与えられる限り所定周期ごとに本処理を実行する。
制御部86は、ステップS11において操作信号を取得したか否かを判定する。ステップS11において、制御部86が操作信号を取得したと判定すると、ステップS12に移る。制御部86は、操作信号を取得したと判断するまで、ステップS11を繰り返す。ステップS12において、制御部86は、取得した操作信号に含まれる識別情報が、設定メモリに記憶されている識別情報と一致するか否かを判定する。ステップS12において、制御部86が一致すると判定すると、ステップS13に移り、一致していないと判定すると、所定周期後にステップS11に移行する。ステップS13において、制御部86は、操作信号に対応する操作情報を生成して、ステップS14に移行する。ステップS14において、制御部86は、生成した操作情報を第2の無線送信部76から無線送信させて、所定周期後にステップS11に移行する。制御部86は、電力の供給が停止すると、処理を終了する。
【0051】
設定メモリに記憶されている設定情報は、外部の装置Pを用いて変更可能である。外部の装置Pは、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータおよびスマートフォンなどの携帯型端末器の少なくとも1つを含む。外部の装置Pと、送信装置80とは、ケース80Aに設けられる電力線Lが着脱可能に接続されるポートを介して、有線接続されてもよく、第2の無線送信部76を介して無線接続されてもよい。第2の無線送信部76は、無線で情報を送信するだけでなく、無線で情報を受信するように無線通信部として構成されてもよい。
【0052】
送信装置80は、第1操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第1操作情報を送信する。送信装置80は、第2操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第2操作情報を送信する。送信装置80は、第3操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第3操作情報を送信する。送信装置80は、第4操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第4操作情報を送信する。送信装置80は、第5操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第5操作情報を送信する。送信装置80は、第6操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第6操作情報を送信する。送信装置80は、第7操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第7操作情報を送信する。送信装置80は、第8操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第8操作情報を送信する。送信装置80は、第9操作信号に対応する操作情報を送信する場合、第9操作情報を送信する。
【0053】
図1に示されるとおり、電子装置本体82は、好ましくはハンドルバー24に取り付けられる。図3に示されるとおり、電子装置本体82は、受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、制御部68、ハウジング70(図2参照)、操作入力部72、および、提示部74を含む。受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、および、制御部68は、操作装置78とは別体で設けられる。受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、制御部68、操作入力部72、および、提示部74は、ハウジング70に設けられる。受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、および、制御部68は、図2に示すハウジング70の内部に収容される。操作入力部72および提示部74は、少なくとも一部がハウジング70の外部に露出するようにハウジング70に設けられる。電子装置本体82は、図示しないバッテリを備え、バッテリユニット42からは電力が供給されない。電子装置本体82は、例えばサイクルコンピュータによって構成されてもよく、スマートフォンによって構成されてもよい。
【0054】
図3に示す受信部62は、操作装置78の操作に応じた操作情報を受信する。受信部62は、複数の操作部84のうちの操作される操作部84に応じて異なる操作情報を受信する。受信部62は、操作装置78の操作方法に応じて異なる操作情報を受信する。受信部62は、操作情報を無線で受信する。具体的には、受信部62は、第2の無線送信部76から無線送信された操作情報を受信可能に構成される。受信部62は、操作情報を受信した場合、受信した操作情報を制御部68に出力する。第2の無線送信部76と受信部62とが行う無線通信の規格の一例は、ANT+(登録商標)またはBluetooth(登録商標)である。
【0055】
送信装置80と電子装置本体82とは、ペアリングによって無線接続されるのが好ましい。送信装置80と電子装置本体82とが、ペアリングを行うとき、送信装置80は、設定メモリに記憶されている操作装置78および操作部84の識別情報と、各識別情報の操作部84に対応する種類情報とを電子装置本体82に送信する。
【0056】
記憶部66には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部66は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。電子装置本体82は、送信装置80とのペアリングの際に送信装置80から送信される識別情報と種類情報とを記憶部66に記憶する。これによって電子装置本体82は、送信装置80から受け取る可能性がある識別情報と種類情報との組み合わせを把握することができる。表2は、ペアリングによって記憶部66に記憶される情報の一例を示す。例えば、図2に示す操作装置78と接続される送信装置80と電子装置本体82とのペアリングを行った場合、図2の操作装置78およびその操作部84の識別情報と、各操作部84について操作可能な操作方法とが組み合わされて記憶部66に記憶される。
【0057】
【表2】
【0058】
記憶部66は、自転車用コンポーネント50への動作指令を、操作情報に対応させて記憶する。受信部62は、複数の種類の操作情報を受信することができる。記憶部66は、それぞれの操作情報に対応する動作指令を記憶する。動作指令は、自転車用コンポーネント50の識別情報および自転車用コンポーネント50の動作に関する情報を含む。
【0059】
表3は、記憶部66に記憶可能な動作指令A~Lの一例を示す。自身の識別情報を含む動作指令を受信した自転車用コンポーネント50は、動作指令に含まれる動作を実行する。自転車用コンポーネント50が複数段階にわたって動作可能に構成される場合、動作指令を受信した自転車用コンポーネント50は、1段階の動作を行う。自転車用コンポーネント50が動作指令に応じて動作できない場合、自転車用コンポーネント50は動作しない。ドライブユニット50Hが動作指令Kを受信すると、アシストがオフの状態の場合は、アシストを開始させる。ドライブユニット50Hが動作指令Lを受信すると、アシストが最も弱い状態の場合は、アシストを停止させる。動作指令E,Fは、前ブレーキ装置50Cおよび後ブレーキ装置50Dがそれぞれ操作されている間、所定の期間毎に送信装置80から送信される。動作指令E,Fでは、動作指令E,Fをブレーキ装置50C,50Dがそれぞれ受信すると、動作指令を受信してから所定の期間にわたりブレーキ動作を継続して実行する。ランプ50Eが動作指令Gを受信すると、オンの時にはオフに切り替え、オフの時にはオンに切り替える。サスペンション50Gが動作指令Jを受信すると、ロック状態の時には解除状態に切り替え、解除状態の時にはロック状態に切り替える。各自転車用コンポーネント50と対応する動作指令は、電子装置60と自転車用コンポーネント50とのペアリングを行うことによって記憶部66に追加可能である。
【0060】
【表3】
【0061】
記憶部66は、操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更可能に構成される。表4は、記憶部66に記憶されている、操作情報と動作指令との対応関係を示す表である。
【0062】
【表4】
【0063】
記憶部66は、操作情報に対応させて記憶される動作指令が変更される場合、変更前の動作指令に応じて制御される自転車用コンポーネント50とは種類の異なる他の自転車用コンポーネント50を制御するように動作指令を変更可能に構成される。例えば、表4において第1操作情報に対応する動作指令Gを、動作指令Jに変更することによって、第1操作情報を受け取ったときに制御される自転車用コンポーネント50をランプ50Eからサスペンション50Gに変更することができる。記憶部66は、外部の装置Pから入力される情報に応じて、操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更可能に構成される。外部の装置Pと、電子装置本体82とは、受信部62、第1の無線送信部64またはケーブルを介して接続可能に構成されている。受信部62は、無線で情報を受信するだけでなく、無線で情報を送信するように無線通信部として構成されてもよい。電子装置本体82と外部の装置Pとがケーブルで接続される場合、電子装置本体82は、USBポートなどの外部接続端子をさらに含む。
【0064】
制御部68は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPUまたはMPUを含む。制御部68は、1または複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部68は、受信部62が操作情報を受信すると、受信した操作情報に対応する動作指令を、第1の無線送信部64から送信させる。
【0065】
図5を参照して、電子装置本体82の制御部68の動作を説明する。制御部68は、電子装置本体82に電力が与えられる限り所定周期ごとに本処理を実行する。
電子装置本体82の電源がオンになると、制御部68はステップS21において、操作情報を取得したか否かを判定する。電子装置本体82の電源は、オンとオフとを切り替えるスイッチが電子装置本体82に設けられることによって切り替え可能に構成されてもよい。ステップS21において、制御部68が操作情報を取得したと判定すると、ステップS22に移る。制御部68は、操作情報を取得したと判断するまで、ステップS21を繰り返す。ステップS22において、制御部68は、取得した操作情報に含まれる識別情報が、記憶部66に記憶している識別情報と一致するか否かを判定する。ステップS22において、制御部68が一致すると判定すると、ステップS23に移り、一致していないと判定すると、所定周期後にステップS21に移る。ステップS23において、制御部68は、操作情報に対応する動作指令を記憶部66から呼び出し、ステップS24に移行する。ステップS24において、制御部68は、呼び出した動作指令を第1の無線送信部64から無線送信させて、所定周期後にステップS21に移る。制御部68は、電力の供給がオフになると、処理を終了する。
【0066】
制御部68は、操作入力部72の操作に応じて、記憶部66に記憶されている操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更可能に構成される。第1の無線送信部64と自転車用コンポーネント50の無線通信部56とが行う無線通信の規格の一例は、ANT+(登録商標)またはBluetooth(登録商標)である。
【0067】
操作入力部72は、操作者が操作可能である。一例では、操作入力部72は、ボタンである。提示部74は、自転車10に関する各種情報を提示可能である。自転車10に関する各種情報は、車速に関する情報、ケイデンスに関する情報、心拍に関する情報、走行距離に関する情報などを含む。提示部74に提示される情報は、操作入力部72が操作されることによって制御部68によって変更される。提示部74は、操作装置78の操作に応じて制御される自転車用コンポーネント50の情報を提示可能である。提示部74は、表示パネルおよびスピーカの少なくともいずれか一方を含む。表示パネルは、例えば液晶表示パネルまたは有機EL表示パネルを含む。
【0068】
図6は、提示部74に提示される情報の一例を示す。提示部74は、操作装置78に関する識別情報(名称、プロダクト番号など)、第1操作部84Aに関する識別情報(名称など)、および、操作方法の種類を表す種類情報、操作対象の自転車用コンポーネント50に関する識別情報(名称、プロダクト番号など)および自転車用コンポーネント50の動作の一覧が表示される。提示部74に提示される識別情報は、ユーザが直感的に把握しやすい文字情報等であることが好ましい。図6に示す情報は、操作入力部72に所定の操作を行うことによって、提示部74に表示させることができる。提示部74に図6に示す情報が表示されることによって、ユーザは、どの操作装置78のどの操作部84にどのような操作を行えば、どの自転車用コンポーネント50がどのように動作するのかを把握することができる。図6に示す例では、ユーザは、図2に示す操作装置78の第1操作部84Aを第1操作方法で操作した場合、ランプ50Eを点灯または消灯することができることを把握できる。また、ユーザは、第1操作部84Aを第2操作方法で操作した場合、サスペンション50Gをロック状態または解除状態に切り替えできることを把握できる。また、ユーザは、第1操作部84Aを第3操作方法で操作した場合、どの自転車用コンポーネント50も動作しないことを把握できる。
【0069】
電子装置60における制御方法は、第1処理、第2処理、および、第3処理を含む。第1処理は、操作装置78の操作に応じた操作情報を受信する処理を含む。第2処理は、操作情報を受信すると、受信した操作情報に対応して記憶している動作指令を無線で送信する処理を含む。第3処理は、操作情報に対応させて記憶している動作指令を変更する処理を含む。一例では、第1処理は、受信部62が実行し、第2処理は、制御部68が実行し、第3処理は制御部68または外部の装置Pが実行する。
【0070】
図7を参照して、操作装置78が操作されてから自転車用コンポーネント50が動作するまでの処理について説明する。
操作装置78は、操作される操作部84および操作部84に入力される操作内容に応じて操作信号を送信装置80に送信する。操作信号を受信した送信装置80は、操作信号に応じた操作情報を生成し、電子装置本体82に無線送信する。操作情報を受信した電子装置本体82の制御部68は、記憶部66から操作情報に対応させて記憶される動作指令を呼出し、動作指令を自転車用コンポーネント50に送信する。自転車用コンポーネント50は、動作指令を受信したとき、受信した動作指令に自身の識別情報が含まれるか否かを判定する。自転車用コンポーネント50は、受信した動作指令に自身の識別情報が含まれていないときは自身を動作させない。自転車用コンポーネント50は、受信した動作指令に自身の識別情報が含まれているときは動作指令に含まれる動作を実行する。
【0071】
制御部68は、通常モードと、設定変更モードとのいずれかで動作する。操作入力部72に所定の操作を行うことによって、通常モードから設定変更モードに移行させることができる。制御部68は、通常モードでは、自転車10の各種情報の少なくとも1つを表示し、受信した操作情報に応じた動作指令を第1の無線送信部64から送信させる。制御部68は、設定変更モードでは、記憶部66に記憶されている操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更可能である。
【0072】
図8を参照して、記憶部66に記憶されている操作情報に対応させて記憶される動作指令を変更する制御部68の処理を説明する。制御部68は、設定変更モードが維持される限り、図8に示す処理を実行する。制御部68は、図8の処理の途中であっても操作入力部72に所定の操作を行うことによって設定変更モードを終了させることができる。
【0073】
制御部68は、設定変更モードに移行した場合、ステップS31で図6に示すように現在の設定情報を提示部74に表示させ、ステップS32に移る。
ステップS32では、制御部68は操作入力部72からの変更指令があるか否かを判断する。例えば操作者が操作入力部72を用いて、設定を変更しようとする動作指令にカーソルを合わせて、操作入力部72を操作すると、制御部68は操作入力部72からの変更指令があったと判断する。ステップS32において、制御部68は変更指令があったと判断するとステップS33に移る。
【0074】
ステップS33では、制御部68は変更可能な動作指令を提示部74に表示させ、ステップS34に移る。例えば制御部68は、プルダウンによって変更可能な動作指令を選択できるように提示部74に表示させる。動作指令は、自転車用コンポーネント50の識別情報およびその動作情報を含む。
【0075】
ステップS34では、制御部68は操作入力部72の操作に応じて動作指令を選択し、変更を決定する指示が入力されたか否かを判断する。制御部68は、変更を決定する指示が入力された判断すると、ステップS35に移り、記憶部66に変更された情報を記憶する。制御部68は、ステップS35の処理が終了すると、所定周期後にステップS31に移る。
【0076】
ステップS32において、制御部68は変更指令がないと判定した場合、ステップS36に移る。ステップS36では、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過してない場合には、ステップS32に移る。ステップS36において制御部68が所定時間経過したと判定した場合、ステップS37に移り、通常モードに移行して、処理を終了する。
【0077】
(第2実施形態)
図9を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態の電子装置60Aにおいて、第1実施形態の電子装置60と同様の構成には、同一の参照符号をしてその説明を省略し、第1実施形態の電子装置60と異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
図9に示されるとおり、電子装置60Aの操作装置78は、第1および第2変速機50A,50Bと電力線Lで接続されている。第1および第2変速機50A,50Bは、無線通信部56を備えず、電力線Lを接続可能な接続ポートを備えている。操作装置78と、送信装置80と、第1および第2変速機50A,50Bと、ドライブユニット50Hとは電力線通信(PLC)を行うように構成されている。ブレーキ装置50C,50Dは、ワイヤのみによって駆動される機械式ブレーキ装置を含む。
【0079】
制御部86の設定メモリに記憶されている設定情報は、操作装置78の操作部84を操作に応じて動作する第1および第2変速機50A,50B、ドライブユニット50Hの情報と、動作指令とさらに含む。設定情報は、第1および第2変速機50A,50B、ドライブユニット50Hにおいて共有される。第1および第2変速機50A,50B、ドライブユニット50Hでは、設定情報に記憶されている操作信号を受け取ると、設定情報に記憶されている動作指令に応じて動作する。設定メモリは、制御部86ではなく、送信装置80とは別体で設けられてもよく、制御部86が参照することができるのであれば、操作装置78、第1および第2変速機50A,50B、ドライブユニット50H、バッテリユニット42のいずれに設けられていてもよい。また、設定メモリは、操作装置78、第1および第2変速機50A,50B、ドライブユニット50H、バッテリユニット42とは別に設けられてもよい。表5は、設定メモリに記憶されている設定情報の例を示す図である。例えば設定メモリには、送信装置80に対応して4つの設定情報を記憶することができる。設定メモリには、例えば4つの操作部84について、送信装置80の識別情報を対応して記憶することができる。表5に示す例では、操作装置78の第1操作部84Aの識別情報に対応して、送信装置80の識別情報と設定番号1とが記憶されている。設定番号は記憶されなくてもよいが、設定できる数が決まっている場合には、たとえば表示に用いるために記憶されている方が好ましい。他に3つの操作部84について対応させて、送信装置80の識別情報を記憶することができるが、表5に示す例では、設定されていない。送信装置80に対応して記憶される設定情報の数は、設定メモリの容量に応じて変更してもよい。
【0080】
操作装置78は、変速機50A,50Bを動作させるシフタを含む。操作装置78は、第4操作部84Dおよび第5操作部84Eをさらに含む。第4操作部84Dおよび第5操作部84Eは、ベース78Aに設けられてもよく、ベース78Aとは別のベースに設けられてもよい。第4操作部84Dおよび第5操作部84Eは、第1操作部84A~第3操作部84Cと同様に構成される。制御部79は、第4操作部84Dが操作されると、操作装置78および第4操作部84Dに対応する識別情報と、スイッチ回路から出力される電圧を変換した操作の種類を表す種類情報とを組み合わせて、第10操作信号を生成して、送信装置80に出力する。制御部79は、第5操作部84Eが操作されると、操作装置78および第5操作部84Eに対応する識別情報と、スイッチ回路から出力される電圧を変換した操作の種類を表す種類情報とを組み合わせて、第11操作信号を生成して、送信装置80に出力する。
【0081】
【表5】
【0082】
送信装置80の制御部86は、図4のフローチャートに類似し、ステップS12の処理のみが異なる。ステップS12において、制御部86は、取得した操作信号に含まれる識別情報が、設定メモリに送信装置80の識別情報と対応して記憶されている識別情報と一致するか否かを判定し、制御部86が一致すると判定すると、ステップS13に移り、一致していないと判定すると、ステップS11に移る。
【0083】
図10および図11を参照して、外部の装置Pを用いて制御部86の設定メモリに記憶される設定情報を変更する処理順序について説明する。
外部の装置Pが電子装置60Aと接続された状態において、外部の装置Pの入力部に設定情報の呼び出し要求が入力された場合、外部の装置Pは設定情報の呼び出し要求を電子装置60Aに送信する。電子装置60Aは、設定メモリから設定情報を読み込み、外部の装置Pに送信する。外部の装置Pは、受信した設定情報に基づいて、設定画面を外部の装置Pの表示部PMに表示する。
【0084】
図10は、外部の装置Pの表示部PMに表示される設定画面の一例を示す。図10では、操作装置78の第2操作部84Bについての設定画面を表示させると、第1変速機50Aのシフトアップが選択されていることが印(図10および図11では黒丸「●」)によって示されている。設定画面には、操作装置78の第2操作部84Bに対応して設定可能な項目が表示されている。操作装置78の第2操作部84Bを操作することによって、変速機50A,50Bを動作させることができる場合には、変速の項目が設定画面に表示される。操作装置78の第2操作部84Bを操作することによって、送信装置80から操作情報を送信させることができる場合には、送信装置80の項目が設定画面に表示される。例えば設定画面において、変速の項目を選択されると、第1変速機50Aのシフトアップ、第1変速機50Aのシフトダウン、第2変速機50Bのシフトアップ、第2変速機50Bのシフトダウンの各項目が表示される構成としてもよい。設定情報を変更したい場合、図10に示す設定画面で、外部の装置Pの入力部によって黒丸を、他の項目に移動させる。
【0085】
例えば、操作装置78の第2操作部84Bを操作したときに、送信装置80から操作情報を送信させたい場合、外部の装置Pの入力部を操作して、図10に示すように、送信装置80の項目を選択すると、設定番号1~4の項目が表示される。設定番号1は、既に操作装置78の第1操作部84Aと対応付けられているので、薄字で表示され、選択することができないようになっている。送信装置80の項目を設定すると、変速の項目に対応する各項目の表示が閉じられる。図11では、設定番号2が印、ここでは黒丸「●」によって示されている。
【0086】
設定画面で設定情報の変更を行った後、外部の装置Pの入力部に設定情報の変更要求が入力された場合、外部の装置Pは変更された設定情報を設定メモリに送信する。設定メモリは、変更された設定情報を変更して記憶する。
【0087】
外部の装置Pを用いずに設定メモリの設定情報を変更する処理を行うこともできる。この場合、例えば操作装置78、送信装置80に電気的に接続される表示装置を設け、この表示装置に設定情報を表示する。表示装置に図10および図11に示す設定画面を表示させ、操作装置78を用いて、設定情報を変更することができる。
【0088】
(第3実施形態)
図2および図12を参照して、第3実施形態の電子装置60Bについて説明する。第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第3実施形態の電子装置60Bは、電子装置60の電子装置本体82が操作装置78に組み込まれて構成され、電子装置60における制御部79および送信装置80が省略される。
【0089】
図12に示されるとおり、受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、および、制御部68は、操作装置78に設けられる。受信部62、第1の無線送信部64、記憶部66、および、制御部68は、操作装置78のベース78A(図2参照)に設けられる。
【0090】
操作部84は、受信部62に有線接続される。操作部84が操作されたとき、操作信号が受信部62に送信される。受信部62は、操作信号を受信することによって操作情報を受け取る。制御部68は、受信部62に操作信号が入力されたとき、記憶部66に記憶される操作情報に対応する動作指令を読み込み、第1の無線送信部64から送信する。電子装置60Bには、図3に示す提示部74および操作入力部72の少なくとも一方がさらに設けられてもよい。提示部74および操作入力部72は、操作装置78と別体で設けられてもよい。
【0091】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う電子装置および電子装置における制御方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う電子装置および電子装置における制御方法は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
・操作情報に対応する動作指令は、1つの操作情報に対して複数であってもよい。この場合、記憶部66には、操作情報に対応する複数の動作指令が記憶される。制御部68は、受信部62が操作情報を受信したとき、操作情報に対応する複数の動作指令を読み込み、これらの動作指令を第1の無線送信部64から送信する。この結果、動作指令に含まれる複数の自転車用コンポーネント50が動作指令に応じた動作を行うか、または1つの自転車用コンポーネント50が複数の動作を行う。具体的には、第1操作情報と、サスペンション50Gのロック状態への切り替えとアジャスタブルシートポスト50Fのシートポスト26の上昇とが対応させられている場合には、第1操作部84Aが第1操作方法で操作されると、サスペンション50Gがロック状態へ切り替えられ、シートポスト26が上昇させられる。
【0093】
・電子装置60は、1つの自転車用コンポーネント50のみを制御するようにしてもよい。この場合、記憶部66には1つの動作指令のみが記憶される。制御部68または外部の装置Pによって記憶部66に記憶される動作指令が更新されることによって、操作情報に対応させて記憶される動作指令が変更される。この結果、制御部68が制御する自転車用コンポーネント50またはその動作が変更される。
【0094】
・制御部68は操作情報と対応する動作指令を変更不能にし、外部の装置Pのみによって操作情報と対応する動作指令を変更可能にしてもよい。また、外部の装置Pは操作情報と対応する動作指令を変更不能にし、制御部68のみによって操作情報と対応する動作指令を変更可能にしてもよい。
【0095】
・第1および第2実施形態の電子装置本体82から、提示部74を省略してもよい。
・第1実施形態の電子装置60から、操作装置78および送信装置80を省略してもよい。この場合、電子装置本体82のみによって電子装置60が構成される。第2実施形態の電子装置60Aから、操作装置78を省略してもよい。この場合、電子装置本体82と送信装置80とによって、電子装置60Aが構成される。第1および第2実施形態の電子装置60,60Aにおいて、操作装置78と送信装置80とを一体に構成してもよい。この場合、第2の無線送信部76および制御部86は操作装置78に設けられる。
・第1および第2実施形態の電子装置60,60Aにおいて、送信装置80に設けられる制御部86を、送信装置80ではなく、操作装置78に設けることもできる。
【0096】
・第1変速機50Aおよび第2変速機50Bの一方を、内装変速機に変更してもよい。内装変速機は、クランク軸38まわり、または、後輪14の車軸のハブに設けられる。内装変速機は、変速機の内部の遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態を変更する。内装変速機は、CVT(Continuously Variable Transmission)機構を含んでいてもよい。一例では、CVT機構は、入力体、出力体、および、伝達体を含む遊星機構によって構成され、伝達体が回転させられることによって変速比が連続的に変更される。
【0097】
・設定メモリには、接続されている全ての操作装置78および操作部84の識別情報と、各操作部84の操作に対応して、操作情報を送信するか否かを表す設定情報とが記憶されていてもよい。表6は、設定メモリに記憶されている設定情報の例を示す。この場合、制御部86は、入力された操作信号に含まれる情報と、設定メモリに記憶されている設定情報とを比較して、操作情報を送信する設定になっていれば、操作情報を生成して、第2の無線送信部76から操作情報を無線で送信させてもよい。
【0098】
【表6】
【0099】
・第1および第2実施形態の電子装置60,60Aでは、操作装置78と送信装置80とが電力線通信を行っているが、操作装置78と送信装置80とは、電力線通信以外の有線通信を行ってもよい。この場合、例えば操作装置78の各操作部84と送信装置80とを個別の通信線で接続し、制御部79を省略することができる。操作装置78の各操作部と送信装置80とを個別の通信線で接続する場合、各操作信号は、スイッチ回路から出力される電圧信号を含み、制御部86は各通信線と操作部とを対応付けて記憶している。
【0100】
・第1および第2実施形態の電子装置60,60Aでは、操作装置78が1つのみ接続される場合について示しているが、操作装置78は複数含まれていてもよい。各操作装置78は、それぞれ固有の識別情報を備えている。また各操作装置78に含まれる操作部84の数は限定されず、1つのみまたは複数含まれていてもよい。
【0101】
・操作装置78は、ドライブユニット50Hの出力を変更するためのものであってもよい。要するに、操作者が操作可能な構成であれば、どのような操作装置78であっても用いることができる。
【符号の説明】
【0102】
10…自転車、50…自転車用コンポーネント、50A…第1変速機(変速機)、50B…第2変速機(変速機)、50C…前ブレーキ装置(ブレーキ装置)、50D…後ブレーキ装置(ブレーキ装置)、50E…ランプ、50F…アジャスタブルシートポスト、50G…サスペンション、50H…ドライブユニット、60,60A,60B…電子装置、62…受信部、64…第1の無線送信部、66…記憶部、68…制御部、70…ハウジング、72…操作入力部、74…提示部、76…第2の無線送信部、78…操作装置、84…操作部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12