(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20240925BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20240925BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/46
(21)【出願番号】P 2021135682
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平松 美紀
(72)【発明者】
【氏名】白川 拓也
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-186067(JP,A)
【文献】特開2008-002765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0338994(US,A1)
【文献】特開平11-173639(JP,A)
【文献】特開平06-185795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/86
F24F 11/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置において、
空調を行うための冷熱又は温熱を生成可能な熱源機であって、圧縮機を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機と、
前記圧縮機の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機の作動を制御する制御部とを備え、
前記圧縮機の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔とし、
前記圧縮機が停止した状態から起動後、最初に当該圧縮機の回転数が減少した時を開始時とし、前記開始時以降、最初に前記圧縮機の回転数が増加した時を終了時とし、
前記開始時から前記終了時までの期間を温度差抑制制御期間としたとき、
前記制御部は、前記温度差抑制制御期間の前記決定間隔を前記開始時以前の前記決定間隔に比べて短くする制御が実行可能である
空調装置。
【請求項2】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置において、
空調を行うための冷熱を生成可能な熱源機であって、圧縮機を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機と、
室内空気の温度を検出する温度センサと、
前記圧縮機の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機の作動を制御する制御部とを備え、
前記温度センサの検出温度を測定温度とし、当該測定温度の時間経過に対する変化率を温度変化率とし、
前記圧縮機の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔とし、
前記圧縮機が停止した状態から起動後、最初に前記温度変化率が負になった時を開始時とし、前記開始時以降、最初に前記温度変化率が正になった時を終了時とし、
前記開始時から前記終了時までの期間を温度差抑制制御期間としたとき、
前記制御部は、前記温度差抑制制御期間の前記決定間隔を前記開始時以前の前記決定間隔に比べて短くする制御が実行可能である
空調装置。
【請求項3】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置において、
空調を行うための冷熱を生成可能な熱源機であって、圧縮機を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機と、
室内空気の温度を検出する温度センサと、
前記圧縮機の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機の作動を制御する制御部とを備え、
前記温度センサの検出温度を測定温度とし、
前記圧縮機の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔とし、
前記圧縮機を停止させる室内温度をサーモオフ温度とし、
前記圧縮機が停止した状態から起動後、最初に前記測定温度が低下して前記サーモオフ温度になった時を開始時とし、前記開始時以降、最初に前記測定温度が上昇して前記サーモオフ温度になった時を終了時とし、
前記開始時から前記終了時までの期間を温度差抑制制御期間としたとき、
前記制御部は、前記温度差抑制制御期間の前記決定間隔を前記開始時以前の前記決定間隔に比べて短くする制御が実行可能である
空調装置。
【請求項4】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置において、
空調を行うための冷熱を生成可能な熱源機であって、圧縮機を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機と、
室内空気の温度を検出する温度センサと、
前記圧縮機の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機の作動を制御する制御部とを備え、
前記温度センサの検出温度を測定温度とし、
前記圧縮機の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔とし、
前記圧縮機が停止した状態から起動後、最初に前記測定温度が低下して前記設定温度になった時を開始時とし、前記開始時以降、最初に前記測定温度が上昇して前記設定温度になった時を終了時とし、
前記開始時から前記終了時までの期間を温度差抑制制御期間としたとき、
前記制御部は、前記温度差抑制制御期間の前記決定間隔を前記開始時以前の前記決定間隔に比べて短くする制御が実行可能である
空調装置。
【請求項5】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置において、
空調を行うための冷熱を生成可能な熱源機であって、圧縮機を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機と、
室内空気の温度を検出する温度センサと、
前記圧縮機の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機の作動を制御する制御部とを備え、
前記温度センサの検出温度を測定温度とし、
前記圧縮機の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔とし、
前記圧縮機を停止させる室内温度をサーモオフ温度とし、
前記圧縮機が停止した状態から起動後、最初に前記測定温度が低下して前記サーモオフ温度になった時を開始時とし、前記開始時以降、最初に前記測定温度が上昇して前記設定温度になった時を終了時とし、
前記開始時から前記終了時までの期間を温度差抑制制御期間としたとき、
前記制御部は、前記温度差抑制制御期間の前記決定間隔を前記開始時以前の前記決定間隔に比べて短くする制御が実行可能である
空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の空調装置では、目標吹き出し温度設定を変更することにより、低熱負荷時においても圧縮機が頻繁に停止及び起動が繰り返されることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、圧縮機の頻繁な停止を抑制するので、例えば、冷房運転においては、冷房対象となる空間が過冷却となってしまうおそれがある。本開示は、左記点に鑑み、過冷却を抑制可能な空調装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
室温が目標とする設定温度となるように調整する空調装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、当該構成要件は、空調を行うための冷熱又は温熱を生成可能な熱源機(1)であって、圧縮機(2)を有して構成された蒸気圧縮式の熱源機(1)と、圧縮機(2)の回転数及び停止を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機(2)の作動を制御する制御部(6)とを備え、圧縮機(2)の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔(Id)とし、圧縮機(2)が停止した状態から起動後、最初に当該圧縮機(2)の回転数が減少した時を開始時とし、開始時以降、最初に圧縮機(2)の回転数が増加した時を終了時とし、開始時から終了時までの期間を温度差抑制制御期間(Is)としたとき、制御部(6)は、温度差抑制制御期間(Is)の決定間隔(Id)を開始時以前の決定間隔(Id)に比べて短くする制御が実行可能であることである。
【0007】
これにより、当該空調装置に係る温度差抑制制御期間(Is)においては、短い間隔で圧縮機(2)の作動状態が決定される。したがって、室内が必要以上に冷却又は暖房されてしまうことが抑制され得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態に係る空調装置における測定温度、圧縮機の回転数及び時間との関係を示すグラフである。
【
図3】実施形態に係る過冷却抑制制御を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る空調装置における測定温度、圧縮機の回転数及び時間との関係を示すグラフである。
【
図5】第3実施形態に係る空調装置における測定温度、圧縮機の回転数及び時間との関係を示すグラフである。
【
図6】第4実施形態に係る空調装置における測定温度、圧縮機の回転数及び時間との関係を示すグラフである。
【
図7】第5実施形態に係る空調装置における測定温度、圧縮機の回転数及び時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された空調装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0012】
(第1実施形態)
<1.空調装置の構成>
本実施形態は、通信機器室やサーバ室等(以下、サーバ室という。)の空調を行う空調装置に本開示を適用したものである。なお、サーバ室には、少なくとも1台の情報通信技術用機器等が設置されている。
【0013】
図1に示される熱源機1は、サーバ室内の空調を行うための冷熱又は温熱(本実施形態では、冷熱)を生成する。当該熱源機1は、圧縮機2を有して構成された蒸気圧縮式冷凍機により構成されている。
【0014】
具体的には、熱源機1は、圧縮機2、放熱器3、減圧器4及び蒸発器5、並びに制御部6及び温度センサ7等を有して構成されている。圧縮機2は、蒸発器5から流出した低圧の気相冷媒を圧縮する。放熱器3は、圧縮機2から吐出されて温度が上昇した高圧冷媒を冷却する。なお、本実施形態に係る放熱器3では、冷却された冷媒は、凝縮(液化)する。
【0015】
減圧器4は、放熱器3から流出した冷媒を減圧する。なお、本実施形態に係る減圧器4は、温度式膨張弁にて構成されている。温度式膨張弁は、蒸発器5の出口側における冷媒の過熱度が予め決められた値となるように、開度(減圧度)を自動調節する。
【0016】
蒸発器5は、減圧器4にて減圧された液相の冷媒を蒸発させて冷凍能力、つまり冷熱を生成する。具体的には、蒸発器5は、サーバ室に供給する空調風と当該冷媒とを熱交換し、当該空調風を冷却する。
【0017】
なお、室内ファン5Aは、空調風の風量を調節するための送風機である。室外ファン3Bは、放熱器3に冷却用の空気(本実施形態では、室外空気)を送風するための送風機である。
【0018】
制御部6は、圧縮機2、室内ファン5A及び室外ファン3B等の熱源機1を構成する機器の作動を制御する。温度センサ7は、サーバ室内の空気温度を直接的又は間接的に検出する。当該温度センサ7の検出温度(以下、測定温度Tsという。)は、制御部6に入力されている。
【0019】
制御部6は、測定温度Tsが目標とする温度(以下、設定温度という。)なるように、圧縮機2の回転数及び停止(以下、圧縮機2の作動状態という。)を決定するとともに、当該決定に従って当該圧縮機2の作動を、PD制御又はPID制御する。
【0020】
なお、上記において、「サーバ室内の空気温度を直接的又は間接的に検出する」とは、蒸発器5に供給される空気の温度(以下、吸込温度という。)、蒸発器5からサーバ室に供給される空気の温度(以下、吹出温度という。)、又は現実のサーバ室内の空気温度を検出することをいう。
【0021】
このため、吸込温度を測定温度Tsとする場合の設定温度と、吹出温度を測定温度Tsとする場合の設定温度と、サーバ室内の空気温度を測定温度Tsとする場合の設定温度とは、異なる値となる。
【0022】
なお、室内ファン5Aは、測定温度Tsが設定温度なるように制御される。室外ファン3Bは、放熱器3内の冷媒圧力又は冷媒温度の増減に応じて制御される。
【0023】
<2.空調装置(特に、圧縮機)の制御>
本実施形態に係る制御部6は、圧縮機2の作動状態の制御として、通常制御及び過冷却抑制制御が実行可能である。
【0024】
すなわち、圧縮機2の作動状態を決定するタイミングを決定タイミングとし、当該決定タイミングと次回の決定タイミングとの時間差を決定間隔Idとしたとき、
図2に示されるように、過冷却抑制制御時の決定間隔Idは、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔となる。
【0025】
そして、制御部6は、温度差抑制制御期間Isにおいては、過冷却抑制制御を実行する。つまり、制御部6は、
図2に示されるように、温度差抑制制御期間Isの決定間隔Idを開始時以前の決定間隔Idに比べて短くする。なお、本実施形態では、温度差抑制制御期間Isの決定間隔Idは、開始時以前の決定間隔Idの約1/2である。
【0026】
温度差抑制制御期間Isとは、開始時から終了時までの期間をいう。開始時とは、圧縮機2が停止した状態から起動後、最初に当該圧縮機2の回転数が減少した時をいう。終了時とは、開始時以降、最初に圧縮機2の回転数が増加した時をいう。
【0027】
図2中「サーモオン」とは、圧縮機2が起動した時、又は圧縮機2が起動することを意味する。
図2中「サーモオフ」とは、圧縮機2が停止した時、又は圧縮機2が停止することを意味する。つまり、本実施形態では、測定温度Tsがサーモオン閾値(設定温度)に到達すると、圧縮機2が起動する。
【0028】
なお、制御部6は、ROM、RAM及びCPU等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。
図3は、上記の作動を示す制御部6の制御フローの一例である。当該制御フローを実行するためのソフトウェアは、不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0029】
図3に示される制御フローは、空調装置の電源スイッチの投入と同時に起動し、電源スイッチが遮断されると停止する。そして、当該制御フローが起動されると、制御部6は、測定温度Tsがサーモオン閾値以上であるか否かを判断する(S1)。
【0030】
測定温度Tsがサーモオン閾値以上であると、制御部6は圧縮機2を起動させるとともに(S2)、通常制御にて圧縮機2の作動状態を決定しながら圧縮機2の作動を制御する。(S3)。
【0031】
次に、制御部6は、開始時であるか否かを判断する(S4)。開始時でないと判断された場合には(S4:NO)、制御部6は、通常制御にて圧縮機2の作動状態を決定制御する(S3)。
【0032】
開始時であると判断された場合には(S4:YES)、制御部6は、過冷却抑制制御による圧縮機2の作動状態の決定制御を開始する(S5)。次に、制御部6は、終了時であるか否かを判断する(S6)。
【0033】
終了時でないと判断された場合には(S6:NO)、制御部6は、過冷却抑制制御を継続する(S5)。終了時であると判断された場合には(S6:YES)、制御部6は、過冷却抑制制御を終了させるとともに(S7)、通常制御による圧縮機2の作動状態の決定制御を開始する。
【0034】
<3.本実施形態に係る空調装置の特徴>
本実施形態では、温度差抑制制御期間Isにおいては、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔で圧縮機2の作動状態が決定される。したがって、通常制御時に比べてサーバ室内が必要以上に冷却されてしまうこと、つまり過冷却状態が発生することが抑制され得る(
図2参照)。
【0035】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、圧縮機2の回転数に基づいて決定された。これに対して、本実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、測定温度Tsの時間経過に対する変化率(以下、温度変化率Trという。)に基づいて決定される。
【0036】
以下の説明は、上述の実施形態に係る空調装置との相違点に関する説明である。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0037】
すなわち、本実施形態では、圧縮機2が停止した状態から起動後、最初に温度変化率Trが負になった時を開始時とし、開始時以降、最初に温度変化率Trが正になった時を終了時として温度差抑制制御期間Isが決定される。
【0038】
つまり、本実施形態と第1実施形態とでは、開始時及び終了時の決定手法が異なるのみで、他の制御は同じである。したがって、過冷却抑制制御の開始、及び終了に関する制御(
図3)も本実施形態と第1実施形態とは同じである。
【0039】
そして、本実施形態においても、
図4に示されるように、温度差抑制制御期間Isにおいては、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔で圧縮機2の作動状態が決定される。したがって、通常制御時に比べてサーバ室内が必要以上に冷却されてしまうこと、つまり過冷却状態が発生することが抑制され得る。
【0040】
(第3実施形態)
第1実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、圧縮機2の回転数に基づいて決定された。これに対して、本実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、測定温度Tsに基づいて決定される。
【0041】
以下の説明は、上述の実施形態に係る空調装置との相違点に関する説明である。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0042】
すなわち、本実施形態では、圧縮機2が停止した状態から起動後、最初に測定温度Tsが低下してサーモオフ閾値になった時を開始時とし、開始時以降、最初に測定温度Tsが上昇してサーモオフ閾値になった時を終了時として温度差抑制制御期間Isが決定される。
【0043】
つまり、本実施形態と第1実施形態とでは、開始時及び終了時の決定手法が異なるのみで、他の制御は同じである。したがって、過冷却抑制制御の開始、及び終了に関する制御(
図3)も本実施形態と第1実施形態とは同じである。
【0044】
そして、本実施形態においても、
図5に示されるように、温度差抑制制御期間Isにおいては、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔で圧縮機2の作動状態が決定される。したがって、通常制御時に比べてサーバ室内が必要以上に冷却されてしまうこと、つまり過冷却状態が発生することが抑制され得る。
【0045】
(第4実施形態)
第1実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、圧縮機2の回転数に基づいて決定された。これに対して、本実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、測定温度Tsに基づいて決定される。
【0046】
以下の説明は、上述の実施形態に係る空調装置との相違点に関する説明である。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0047】
すなわち、本実施形態では、圧縮機2が停止した状態から起動後、最初に測定温度Tsが低下して設定温度、つまりサーモオン閾値になった時を開始時とし、開始時以降、最初に測定温度Tsが上昇して設定温度になった時を終了時として温度差抑制制御期間Isが決定される。
【0048】
つまり、本実施形態と第1実施形態とでは、開始時及び終了時の決定手法が異なるのみで、他の制御は同じである。したがって、過冷却抑制制御の開始、及び終了に関する制御(
図3)も本実施形態と第1実施形態とは同じである。
【0049】
そして、本実施形態においても、
図6に示されるように、温度差抑制制御期間Isにおいては、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔で圧縮機2の作動状態が決定される。したがって、通常制御時に比べてサーバ室内が必要以上に冷却されてしまうこと、つまり過冷却状態が発生することが抑制され得る。
【0050】
(第5実施形態)
第1実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、圧縮機2の回転数に基づいて決定された。これに対して、本実施形態に係る温度差抑制制御期間Isは、測定温度Tsに基づいて決定される。
【0051】
以下の説明は、上述の実施形態に係る空調装置との相違点に関する説明である。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0052】
すなわち、本実施形態では、圧縮機2が停止した状態から起動後、最初に測定温度Tsが低下してサーモオフ閾値になった時を開始時とし、開始時以降、最初に測定温度Tsが上昇して設定温度になった時を終了時として温度差抑制制御期間Isが決定される。
【0053】
つまり、本実施形態と第1実施形態とでは、開始時及び終了時の決定手法が異なるのみで、他の制御は同じである。したがって、過冷却抑制制御の開始、及び終了に関する制御(
図3)も本実施形態と第1実施形態とは同じである。
【0054】
そして、本実施形態においても、
図6に示されるように、温度差抑制制御期間Isにおいては、通常制御時の決定間隔Idより短い間隔で圧縮機2の作動状態が決定される。したがって、通常制御時に比べてサーバ室内が必要以上に冷却されてしまうこと、つまり過冷却状態が発生することが抑制され得る。
【0055】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、冷熱を利用した冷房運転を例に本開示に係る空調装置を説明した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示に係る空調装置は、例えば、暖房運転又は除湿運転にも適用可能である。
【0056】
上述の実施形態では、蒸発器5にて室内に供給する空気を直接的に冷却する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、蒸発器5にて水等の媒体を冷却し、この冷却された媒体を室内に供給することにより、室内の冷房を実行する方式の空調装置であってもよい。
【0057】
上述の実施形態に係る制御部6では、固定値の微分ゲイン等を用いてPID制御を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、温度差抑制制御期間Isに用いる微分ゲインを、温度差抑制制御期間Is以外のときに用いる微分ゲインに比べて大きくしてもよい。
【0058】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1… 熱源機 2…圧縮機 3… 放熱器 4… 減圧器
5… 蒸発器 6…制御部 7… 温度センサ