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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021195623
(22)【出願日】2021-12-01
(65)【公開番号】P2023081697
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉野 伸也
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 翔太
(72)【発明者】
【氏名】橋口 航
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-043138(JP,A)
【文献】特開2021-048493(JP,A)
【文献】特開2015-047912(JP,A)
【文献】特開2020-055489(JP,A)
【文献】特開2005-059671(JP,A)
【文献】特開2015-229364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60S 5/00
G01M 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記故障の前記経過として、
故障の可能性がある第1の車両状況と、
故障が発生している第2の車両状況と、
過去に故障が発生していた第3の車両状況と、
を異なる態様で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記車両の前記故障の前記経過をカレンダー形式で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記故障コード及び前記ステータスにより特定される前記故障の発生状況を、日ごとのカレンダー形式で前記表示装置に表示させ、
前記故障の前記発生状況は、
前記故障の可能性を示す第1の発生状況と、
現在における前記故障の確定を示す第2の発生状況と、
過去における前記故障の確定を示す第3の発生状況を含み、
前記表示制御手段は、前記第1の発生状況と、前記第2の発生状況と、前記第3の発生状況とを異なる態様で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記故障コード及び前記ステータスにより特定される前記故障の発生状況を、前記日時情報により特定される日時ごとのカレンダー形式で前記表示装置に表示させ、
前記故障の前記発生状況は、
前記故障の可能性を示す第1の発生状況と、
現在における前記故障の確定を示す第2の発生状況と、
過去における前記故障の確定を示す第3の発生状況を含み、
前記表示制御手段は、前記第1の発生状況と、前記第2の発生状況と、前記第3の発生状況とを異なる態様で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項3から4までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記第1の発生状況と、前記第2の発生状況と、前記第3の発生状況とを異なる色で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記日時情報により特定される時刻の前後の所定時間の前記車両のパラメータを前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記パラメータは、前記車両の操作に関するパラメータを含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項からまでのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記日時情報により特定される日時の前記車両の場所に関する情報を前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
ステータスは、ISO14229に準拠する Status of DTCである、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータを、
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段、
の各手段として機能させるためのプログラムであって、
前記表示制御手段は、前記故障の前記経過として、
故障の可能性がある第1の車両状況と、
故障が発生している第2の車両状況と、
過去に故障が発生していた第3の車両状況と、
を異なる態様で前記表示装置に表示させる、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の制御装置に記憶された情報に基づいて車両の故障診断を行う技術が知られている。例えば、特許文献1では、車両の制御装置に故障診断機を接続し、制御装置に記憶された故障コード(DTC:Diagnostic Trouble Code)等の情報を読み出すことにより故障原因を特定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-229364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の故障は、単発で発生する一過性の故障、根本的な故障原因が解消されるまで断続的に発生する間欠故障、或いは現在も継続している継続故障に分類することができる。販売店の担当者は、車両が修理に持ち込まれた場合、これらの故障の種別に応じた対応を取ることが望まれる。しかしながら、上記従来技術では、発生している故障が一過性のものか間欠的なものかの判断が難しい場合がある。
【0005】
本発明は、車両の状況を確認しやすくする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記故障の前記経過として、
故障の可能性がある第1の車両状況と、
故障が発生している第2の車両状況と、
過去に故障が発生していた第3の車両状況と、
を異なる態様で前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の状況を確認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】故障診断システムの概要を示す図。
図2】サーバが管理する車両Vの車両情報に関するデータの構成例を示す図。
図3】情報処理装置の処理部の処理例を示すフローチャート。
図4】表示装置の表示例を示す図。
図5】(a)及び(b)は、故障の種別ごとのカレンダー形式の表の例を示す図。
図6】(a)及び(b)は、故障の種別ごとのカレンダー形式の表の例を示す図。
図7】表示装置の表示例を示す図。
図8】表示装置の表示例を示す図。
図9】表示装置の表示例を示す図。
図10】表示装置の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<システムの概要>
図1は、故障診断システムSYの概要を示す図である。故障診断システムSYは、車両Vの故障診断を行うためのシステムであり、情報処理装置1と、サーバ5とを含む。概略として、サーバ5は、後述する故障コード等を含む車両情報を車両Vから受信し、その情報を管理する。情報処理装置1は、車両Vについての情報をサーバ5から取得し、車両Vの故障状況に関する情報を表示装置2に表示させる。
【0011】
車両Vは、制御装置61と、通信部62とを含む。制御装置61は、複数のECU611a~611c(以下、ECU611と総称する)を含んで構成される。各ECU611は例えば、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECU611は、記憶デバイス及びインタフェース等を複数備えていてもよい。また、制御装置61により実現される機能の少なくとも一部が、ASIC等の専用の集積回路によって実現されてもよい。各ECU611は、CAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
制御装置61は、ECU611として、例えば、エンジン或いはモータ等の駆動源を制御するECU、車両Vに搭載されたバッテリによる電力供給を制御するECU、車両Vの周囲状況の検知処理を行うECU等を含み得る。また例えば、インストルメントパネルの表示内容や警告灯の点灯等を制御する表示系のECU等を含み得る。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合したりすることが可能である。
【0013】
通信部62は、ネットワークNWを介して外部デバイスとの通信を行う。本実施形態では、通信部62はサーバ5に対して車両Vの車両情報を送信する。通信部62は、例えばTCU(Telematics Control Unit)である。詳しくは後述するが、通信部62は、制御装置61の各ECU611と双方向通信を実行可能に構成されており、所定の周期で各ECU611に対して後述する故障コードが記憶されているか否かを確認する。そして、通信部62は、各ECU611のいずれかにおいて故障コードが記憶されていることを確認した場合には、対象のECUから故障コードを含む車両情報を取得して、取得した情報をサーバ5に対して送信する。
【0014】
サーバ5は、車両Vから受信した車両情報を管理、蓄積する。サーバ5は、処理部51と、記憶部52と、通信部53とを含む。処理部51は、CPUに代表されるプロセッサである。記憶部52は、半導体メモリ等の記憶デバイスであり、処理部51が実行するプログラムや処理部51が処理に使用するデータ等を格納する。処理部51が記憶部52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、サーバ5の各種の機能が実現される。通信部53は、外部デバイスとの通信を行う。なお、サーバ5は、一台の物理サーバで構築されてもよいし、複数台の物理サーバで構築されてもよい。或いは、クラウドサービスにおける仮想サーバとして構築されてもよい。また、サーバ5により実現される機能の少なくとも一部が、ASIC等の専用の集積回路によって実現されてもよい。
【0015】
情報処理装置1は、車両Vに関する情報を表示装置2に表示させる。情報処理装置1は、例えば販売店(ディーラ)又は整備工場等で使用されるパーソナルコンピュータやタブレット、スマートフォン等の端末であり、各拠点に1又は複数台設置され得る。情報処理装置1は、処理部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを含む。処理部11は、CPUに代表されるプロセッサである。記憶部12は、半導体メモリ等の記憶デバイスであり、処理部11が実行するプログラムや処理部11が処理に使用するデータ等を格納する。処理部11が記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、情報処理装置1の機能が実現される。処理部11が実行するプログラムはCDーROM等の記憶媒体を用いて情報処理装置1にインストールすることも可能である。また、情報処理装置1により実現される機能の少なくとも一部が、ASIC等の専用の集積回路によって実現されてもよい。インタフェース部13は、周辺機器との接続に用いられる入出力インタフェースや、外部デバイスとの通信に用いられる通信インタフェースを含み得る。本実施形態では、情報処理装置1は、各種情報を表示する表示装置2及びユーザの操作を受け付ける入力装置3と接続する。ただし、情報処理装置1が表示装置2及び入力装置3を含む構成も採用可能である。
【0016】
<データ構成例>
図2は、サーバ5が管理する車両Vの車両情報に関するデータの構成例を示す図である。本実施形態では、車両Vは、制御装置61が記憶した故障コード及びその故障コードに関連付けられた日時情報を含む車両情報を、通信部62によりサーバ5に送信する。サーバ5は、車両Vから受信した車両情報を蓄積して管理する。ここでは、サーバ5が管理するデータの構成要素として、「車両ID」、「イベントID」、「発生時刻」、「故障コード」、「ステータス」を含む。
【0017】
「車両ID」は、車両Vを識別するためのIDである。「イベントID」は、車両Vにおいて発生した故障や異常等のイベントを識別するためのIDである。「発生時刻」は、対象のイベントが発生した時刻である。詳細には、「発生時刻」は、各ECU611が次に説明する故障コードを記憶した時刻であり得る。「故障コード」は、発生したイベントの内容を特定するためのコードである。「ステータス」は、故障コードによって特定されるイベントについてのステータスを示すものである。本実施形態では、Status of DTCのbitポジション情報であるbit2:PendingDTCとbit3:ConfirmedDTCから、「ステータス」として、「Pend」、「Pend.Conf」、「Conf」を設定した。なお、Status of DTCは、エンジンやトランスミッションなどの電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)内部に搭載された故障診断機能で用いられるステータスであり、ISO14229に準ずる。「Pend」は、現在、故障の可能性がある状態であることを示す。「Pend.Conf」は、現在、故障が確定している状態であることを示す。「Conf」は、現在は正常であるが過去に故障が確定していた状態であることを示す。
【0018】
なお、ステータスの種類は適宜設定可能である。本実施形態では、特に故障等が発生していないステータス無しの場合を含めると、各故障コードが、合計で4つの状態を取り得る。しかし、ステータスとして「Pend」のみが設定され、現在故障の可能性があるか否かについてのみが判別可能に構成されてもよい。或いは、「Pend」、「Pend.Conf」の2つがステータスとして設定されてもよいし、前述したもの以外のステータスを含んでもよい。本実施形態のようにステータスとして「Pend」、「Pend.Conf」、「Conf」を含む態様は、例えばエンジン、トランスミッション、駆動源としてのモータ、或いは高圧バッテリ等のパワートレーン系の故障コードで採用され得る。
【0019】
本実施形態では、制御装置61の各ECU611は、所定のタイミングで故障等の検知処理を実行する。そして、各ECU611は、検知処理により現在又は過去における故障等を検知した場合に、検知した内容に対応する故障コードをステータス及び時刻と関連付けて記憶する。一方で、通信部62は、各ECU611に対して、故障コードが記憶されているか否かを所定の周期で確認する。そして、通信部62は、各ECU611が故障コードを記憶している旨の返答があった場合には、対象のECU611に対して故障コードを含む情報を要求する。通信部62は、対象のECU611から故障コードを含む情報を受け取ると、受け取った情報に車両IDやイベントID等を関連付けて車両情報としてサーバ5に送信する。
【0020】
なお、図示は省略されているが、車両Vの通信部62は、故障コードが記憶された時刻及びその前後における各種のパラメータや位置情報等についても図2で示す情報と併せて車両情報としてサーバ5に送信し得る。各種のパラメータとしては、車両Vの運転状況を示すアクセルペダル開度やブレーキスイッチ等の操作系のパラメータ、エンジン回転数やエンジン冷却水温等の制御系のパラメータ等が挙げられる。
【0021】
販売店(ディーラ)又は整備工場等では、サーバ5が蓄積、管理している車両情報を用いることで、車両Vの故障の経過等を情報処理装置1により確認することができる。例えば、車両Vの使用者が警告灯の点灯等によって車両Vの故障を認識して販売店に修理を依頼すると、販売店の作業者は情報処理装置1により車両Vの故障の経過を確認する。これにより、作業者は故障の原因や、故障が一過性のものなのか間欠性のものなのか等を把握することができる。よって、作業者は車両Vの状況に応じて適切な対応をとることができる。以下、このときの情報処理装置1の処理について説明する。
【0022】
<処理例>
図3は、情報処理装置1の処理部11の処理例を示すフローチャートである。本フローチャートは、処理部11が記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより確認される。本フローチャートは、例えば、情報処理装置1が、入力装置3によって車両Vの車両情報の確認を受け付けると開始する。
【0023】
S1において、処理部11は、インタフェース部13を介してサーバ5から車両情報を取得する。例えば、処理部11は、車両情報の確認要求をサーバ5に送信する。ここでは、確認要求は、対象の車両の車両IDを含む。サーバ5は、受信した車両IDに基づき、対象の車両Vについての車両情報を情報処理装置1に送信する。処理部11は、サーバ5が送信した車両情報を、インタフェース部13を介して取得する。
【0024】
S2において、処理部11は、表示装置2に表示させる表示データを生成する。処理部11は、S1で取得した車両情報に基づいて、車両Vにおける故障の経過を示すための表示データを生成する。S3において、処理部11は、表示制御を実行する。すなわち、処理部11は、S2で生成された表示データを表示装置2に表示させる。
【0025】
<画面例>
図4は、表示装置2の表示例を示す図であり、車両Vにおける故障の経過を示すための表示データの例を示す。図4で示す表示画面21では、車両Vの故障の経過がカレンダー形式の表211で示されている。さらに言えば、車両Vの故障の経過として、日ごとの故障コード等の記憶状況がカレンダー形式の表211で示されている。以下、表示内容について具体的に説明する。なお、以下の各図において、複数示される構成要素については、図面の見易さを考慮して参照符号を省略する場合がある。
【0026】
図4で示す表示画面21では、表示項目として、警告灯の点灯情報、MID(マルチインフォメーションディスプレイ)の警告情報、各故障コードの名称が設定されており、これらの表示項目についての日ごとの状況が表211により一覧で示されている。警告灯の点灯情報については、警告灯が点灯した日が黒丸211aで示されている。また、MIDの警告情報については、MIDに警告メッセージが表示された日が黒丸211aで示されている。ここで、警告灯は、例えばエンジン警告灯、ブレーキ警告灯、又は油圧警告灯に代表され、車両Vにおいて故障や異常が検知された際に対応するマークが点灯する。また、MIDの警告情報は、「電子制御パーキングブレーキ異常」等の文字列により故障や異常を知らせるものである。
【0027】
また、図4では、故障コードごとに、日ごとのステータスが示されている。本実施形態では、故障コードごとに、ステータス「Pend」、「Pend.Conf」、及び「Conf」が、それぞれ異なる態様(パターン211b~211d)で表示されている。すなわち、故障コードにより特定される故障の発生状況が、異なる態様で表示されている。故障の発生状況としては、「Pend」に対応し、故障の可能性がある状況、「Pend.Conf」に対応し、現在における故障が確定された状況、及び「Conf」に対応し、過去における故障が確定された状況が挙げられる。なお、ここではマス目のハッチングのパターンの違いにより状況の違いが示されているが、マス目の色の違いにより状況の違いが示されてもよい。マークの形状の違いや、マークの塗りつぶしの有無等によって状況の違いが示されてもよい。なお、本実施形態では、表211において、日付が横に並び、各表示項目が縦に並んで構成されているが、この縦横は逆でもよい。また、表211の罫線は適宜省略されてもよい。また、表示される期間は変更可能にであってもよい。
【0028】
故障コードがどのようなステータスでECU611に記憶されているかに基づいて、車両Vの状況がどのような状況にあるかを特定することができる。よって、表示画面21では、車両Vの故障の経過として、故障の可能性がある車両状況と、故障が発生している車両状況と、過去に故障が発生していた車両状況とを異なる態様で表示していると言える。
【0029】
別の観点で見れば、故障コードがどのようなステータスでECU611に記憶されているかに基づいて、故障コードにより特定される故障の発生状況を特定することができる。よって、表示画面21では、故障の発生状況として、故障の可能性がある状況と、現在における故障が確定している状況と、過去におけて故障が確定していた状況とを異なる態様で表示していると言える。
【0030】
また、表示画面21では、表211の日付を選択可能に構成されている。ここでは表211において選択されている日付を含む列が太枠212で示されている。この状態でボタン213が選択されると、処理部11は、故障コード等の記憶時間別のカレンダー形式での車両情報の表示を行う(図7参照)。また、ボタン214が選択されると、処理部11は車両情報の表示を終了する。
【0031】
図4の表示画面21のように車両Vの故障の経過が可視化されることにより、車両Vで発生した故障が、一過性のものなのか、間欠性のものなのか、或いは現在も継続中のものなのかを販売店等の作業者が確認しやすくなる。これにより、作業者が販売店等において車両Vの修理等の対応をより適切に行いやすくなる。この点について以下で具体的に説明する。
【0032】
図5(a)~図6(b)は、故障の種別ごとのカレンダー形式の表211の例を示している。図5(a)及び図5(b)は、車両Vに一過性の故障が発生した場合の表211の例を示している。また、図6(a)は、車両Vに間欠性の故障が発生した場合の表211の例を示している。図6(b)は、車両Vに現在まで継続中の故障が発生した場合の表211の例を示している。
【0033】
図5(a)は、一日だけ故障コードA001,A002が記憶され、そのステータスが「Pend」であった場合を示している。この例では、故障が確定する前に(ステータスが「Pend.Conf」となる前に)故障コードが記憶されなくなっているので、表示画面21を見た作業者は、今回の事象は一過性のものであると判断することができる。また、図5(b)は、故障コードA001,A002が一日だけステータス「Pend.Conf」で記憶され、その後はステータス「Conf」で記憶され続けている場合を示している。この場合も、表示画面21を見た作業者は、今回の事象は一過性のものであると判断することができる。これらの場合、作業者は、車両Vについて修理の依頼を受けたとしても、すぐに修理は行わずにしばらく車両Vの様子を見ることを顧客に提案することができる。なお、本実施形態では、ステータス「Conf」が所定回数続いた場合、すなわち、正常判定が所定回数続いた場合、その故障コードが消去されるように設定されている。
【0034】
図6(a)は、故障コードA001,A002がステータス「Pend.Conf」で断続的に記憶されている、すなわち、断続的に故障が確定されている場合を示している。この場合、表示画面21を見た作業者は、今回の事象は間欠性のものであり、修理が必要であると判断することができる。図6(b)は、故障コードA001,A002がステータス「Pend.Conf」で継続的に記憶されている、すなわち、故障が確定した状態で継続している場合を示している。この場合、表示画面21を見た作業者は、今回の事象は継続的なものであり、修理が必要であると判断することができる。
【0035】
再び図4を参照する。上述の説明を踏まえると、故障コードB001,B002については表示されている情報だけで判断は難しいものの、故障コードA001,A002については間欠性の故障が発生していることが分かる。また、故障コードA001,A002と故障コードB001,B002とで、ステータス「Pend.Conf」がそれぞれ別の日に発生していることから、これらは一方が他方に付随して発生した故障ではなく、別々の原因で発生した故障であると推測することができる。このように、作業者は、車両Vの故障の経過を表示画面21で確認することで、車両Vの状況をより正確に把握することができる。
【0036】
図7は、表示装置2の表示例を示す図であり、車両Vにおける故障の経過を示すための表示データの例を示す。図4で示す表示画面22では、車両Vの故障の経過がカレンダー形式の表221で示されている。さらに言えば、車両Vの故障の経過として、故障コード等が記憶された日時(時刻)ごとの故障コード等の記憶状況がカレンダー形式の表221で示されている。
【0037】
図7で示す表示画面22では、表示項目として、警告灯の点灯情報、MID(マルチインフォメーションディスプレイ)の警告情報、各故障コードの名称が設定されており、これらの表示項目についての日ごとの状況が表221により一覧で示されている。表221は、主として、故障コードの発生日ではなく発生時刻の行が設けられている点で、図4の表211と異なる。黒丸211a及びパターン221b~221dについては、図4の黒丸211a及びパターン211b~211dとそれぞれ同様のため説明を省略する。
【0038】
また、表示画面22では、表221の時刻を選択可能に構成されている。ここでは表221において選択されている時刻を含む列が太枠222で示されている。この状態でボタン233が選択されると、処理部11は、選択された時刻における時系列の詳細表示を行う(図8参照)。また、処理部11は、ボタン224が選択されると図4の表示画面21に戻り、ボタン225が選択されると車両情報の表示を終了する。
【0039】
図7の表示画面22のように車両Vの故障の経過が可視化されることにより、車両Vで発生した故障の比較的短期間での変遷を確認することができる。
【0040】
図8は、表示装置2の表示例を示す図であり、車両Vの特定の時刻の前後の所定のパラメータの時系列の詳細情報を示している。すなわち、処理部11は、日時情報により特定される時刻の前後の所定時間の車両Vの各種パラメータを表示装置2に表示させる。表示画面23には、警告灯の点灯状況231、MIDの警告状況232及び各ECU611の故障コードの記憶状況233a~233cが時系列で示されている。この例では、ECU611aにおいて故障コードが記憶されたことに伴い警告灯の点灯及びMIDによる警告が行われ、その後に付随的にECU611b及び611cにおいて故障コードが記憶されたことが示されている。これにより、作業者は、故障の根本的な原因がECU611aの処理に関係すると推測することができる。また、処理部11は、ボタン234が選択されると図9の表示画面24に進み、ボタン235が選択されると図10の表示画面25に進む。また、処理部11は、ボタン236が選択されると図7の表示画面22に戻り、ボタン237が選択されると車両情報の表示を終了する。なお、表示画面23では、日時情報により特定される時刻の前後15秒、合計30秒の各種パラメータの経時変化が示されているが、表示する時間の長さは適宜変更可能である。また、ここでは便宜上「ECU611a」のようにECU+参照符号が名称として使用されているが、IMG、BAT、ENG等、ECUの制御対象のシステム名や故障コード等が名称として使用され、表示画面23に表示されてもよい。
【0041】
図9は、表示装置2の表示例を示す図であり、車両Vの特定の時刻の前後の操作系パラメータの時系列の詳細情報を示している。表示画面24では、IGSW(イグニッションスイッチ)、アクセルペダル開度、ブレーキスイッチ、ステアリング角度、車速、エンジン回転数、エンジン温度について、故障コードの発生時刻の前後15秒の経時変化が示されている。この例では、運転者がアクセルペダルとブレーキペダルの同時踏みを所定時間継続したことが確認できる。作業者は、このような運転者の操作の状況と、発行されている故障コードの関係を確認することができる。処理部11は、ボタン241が選択されると図7の表示画面22に戻る。
【0042】
図10は、表示装置2の表示例を示す図であり、車両Vにおける故障コード記憶時の車両の位置情報を示している。詳細には、表示画面25では、地図251上に故障コードの記憶時刻における車両Vの位置情報を示すピン252が表示されている。また、表示領域253には、緯度及び経度の情報並びに地名が表示されている。例えば、傾斜地等の車両Vの駆動系に負荷がかかりやすい場所では、他の場所と比較して相対的に故障コードが記憶される頻度が高くなる場合がある。よって、故障コードの発生時の車両Vの走行位置を特定することで、車両の故障原因を特定しやすくすることができる。処理部11は、ボタン254が選択されると図7の表示画面22に戻る。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両Vにおける故障の経過が表示装置2に表示されるので、車両Vの状況を確認しやすくすることができる。比較例として、例えば過去に発生したDTCコードのみが記録されているだけでDTCコードが発生した時点での時刻や場所などの履歴は記憶されていない場合や、DTCコードも記録されていない場合には、発生している故障が一過性、間欠的又は継続性のいずれであるかの判断が難しい場合がある。これに対し、本実施形態では、故障コード及びこれに関連付けられた日時情報を含む車両情報に基づいて故障の経過が表示装置2に表示される。よって、作業者は故障の種類を容易に確認することができる。
【0044】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、以下の情報処理装置及びプログラムを少なくとも開示する。
【0045】
1.上記実施形態の情報処理装置(例えば1)は、
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段(例えば11,S1)と、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段(例えば11,S2)と、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段(例えば11,S3)と、を備える。
【0046】
この実施形態によれば、故障の経過が可視化されるので、車両の故障状況を確認しやすくすることができる。詳細には、故障状況を故障の経過として確認できるので、一過性の故障、間欠性の故障、及び継続性の故障といった故障の種類を確認しやすくすることができる。
【0047】
2.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記故障の前記経過として、
故障の可能性がある第1の車両状況(例えば211b)と、
故障が発生している第2の車両状況(例えば211c)と、
過去に故障が発生していた第3の車両状況(例えば211d)と、
を異なる態様で前記表示装置に表示させる。
【0048】
この実施形態によれば、車両の故障状況が異なる態様で表示されるので、故障状況を確認しやすくすることができる。
【0049】
3.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記車両の前記故障の前記経過をカレンダー形式で前記表示装置に表示させる(例えば21)。
【0050】
この実施形態によれば、車両の故障の経過を、より視覚的に確認しやすくすることができる。
【0051】
4.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記故障コードにより特定される前記故障の発生状況を、日ごとのカレンダー形式で前記表示装置に表示させる(例えば211)。
【0052】
この実施形態によれば、比較的長期間における故障の経過を確認しやすくすることができる。
【0053】
5.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記故障コードにより特定される前記故障の発生状況を、前記日時情報により特定される日時ごとのカレンダー形式で前記表示装置に表示させる(例えば22)。
【0054】
この実施形態によれば、比較的短期間における故障の経過を確認しやすくすることができる。
【0055】
6.上記実施形態によれば、
前記故障の前記発生状況は、
前記故障の可能性を示す第1の発生状況(例えば211b)と、
現在における前記故障の確定を示す第2の発生状況(例えば211c)と、
過去における前記故障の確定を示す第3の発生状況(例えば211d)を含み、
前記表示制御手段は、前記第1の発生状況と、前記第2の発生状況と、前記第3の発生状況とを異なる態様で前記表示装置に表示させる。
【0056】
この実施形態によれば、故障の発生状況に応じて車両の故障状況が異なる態様で表示されるので、故障状況を確認しやすくすることができる。
【0057】
7.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記第1の発生状況と、前記第2の発生状況と、前記第3の発生状況とを異なる色で前記表示装置に表示させる。
【0058】
この実施形態によれば、故障の発生状況に応じて車両の故障状況が異なる色で表示されるので、故障状況を確認しやすくすることができる。
【0059】
8.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記日時情報により特定される時刻の前後の所定時間の前記車両のパラメータを前記表示装置に表示させる(例えば23)。
【0060】
この実施形態によれば、故障コードの記憶前後の車両の詳細な状況を確認することができる。
【0061】
9.上記実施形態によれば、
前記パラメータは、前記車両の操作に関するパラメータを含む(例えば25)。
【0062】
この実施形態によれば、故障の発生と運転者の操作の関係を確認しやすくすることができる。
【0063】
10.上記実施形態によれば、
前記表示制御手段は、前記日時情報により特定される日時の前記車両の場所に関する情報を前記表示装置に表示させる(例えば25)。
【0064】
この実施形態によれば、故障の発生と車両の走行環境の関係を確認しやすくすることができる。
【0065】
11.上記実施形態によれば、
ステータスは、ISO14229に準拠するStatus of DTCである。
【0066】
この実施形態によれば、Status of DTCを用いて故障の経過が可視化することができる。
【0067】
12.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータを、
車両の制御装置が記憶した故障コードと、前記故障コードによって特定されるイベントについてのステータスと、前記故障コード及び前記ステータスに関連付けられた日時情報とを含む車両情報を、前記車両情報を蓄積するサーバから取得する取得手段(例えばS1)、
前記取得手段が取得した前記車両情報に基づいて、前記車両における故障の経過を示すための表示データを生成する生成手段(例えばS2)、
前記生成手段が生成した前記表示データを表示装置に表示させる表示制御手段(例えばS3)、
の各手段として機能させる。
【0068】
この実施形態によれば、故障の経過が可視化されるので、車両の故障状況を確認しやすくすることができる。詳細には、故障状況を故障の経過として確認できるので、一過性の故障や間欠性の故障といった故障の種類を確認しやすくすることができる。
【0069】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:情報処理装置、11:処理部、2:表示装置、5:サーバ、V:車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10