IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 双福鋼器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ネスティングラック 図1
  • 特許-ネスティングラック 図2
  • 特許-ネスティングラック 図3
  • 特許-ネスティングラック 図4
  • 特許-ネスティングラック 図5
  • 特許-ネスティングラック 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ネスティングラック
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B65G1/14 C
B65G1/14 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021213905
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023097668
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591225291
【氏名又は名称】双福鋼器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】丸山 博文
(72)【発明者】
【氏名】樋口 隆之
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-189209(JP,A)
【文献】特開2012-041159(JP,A)
【文献】実開昭53-130994(JP,U)
【文献】実開平07-013816(JP,U)
【文献】特開平09-301366(JP,A)
【文献】特開2014-234250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部(2)の前方側に所定間隔をあけて一対の前側支柱(3a,3b)が立設され、前記ベース部(2)の後方側に前記所定間隔よりも狭い間隔をあけて一対の後側支柱(3c,3d)が立設されており、前記一対の前側支柱(3a,3b)の間から別のネスティングラックを入れ子状にネスティング可能としたネスティングラック(1)であって、
左右方向に間隔をあけて前記ネスティングを妨げない箇所において前後方向に延びる所定ライン(L4)に沿って固設された左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)と、前記左側連結部材と右側連結部材の間に配置された横架材(6)により荷受け棚(4)を構成し、前記横架材(6)の両端部を前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)に保持させる保持機構(7)を設けており
前記保持機構(7)は、それぞれ少なくとも1つの横架材(6)を保持すると共に前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)の中央部の後方側と前方側に配置される第1保持部材(20)と第2保持部材(30)を備え、両保持部材(20)(30)を枢軸部(26)で回動自在に連結しており
前記第1保持部材(20)の後端部を前記所定ライン(L4)の上で固定箇所に回動自在に連結すると共に、前記第2保持部材(30)の前端部を前記所定ライン(L4)の上で前後方向に移動自在かつ回動自在に設置し、前記保持部材(20)(30)の枢軸部(26)を前記所定ライン(L4)よりも上方に配置しており
前方側から後方に向かう力F1により前記第2保持部材(30)の横架材(6)が押し込まれたとき、第1保持部材(20)と第2保持部材(30)が枢軸部(26)を介して山形状に折曲されると共に第2保持部材(30)が後方に移動させ、保持機構(7)を後側支柱(3c,3d)の近傍位置で折畳むように構成して成ることを特徴とするネスティングラック。
【請求項2】
前記第1保持部材(20)は、前方端部に上向きの連結部(25)を設けており、前記第1保持部材(20)と第2保持部材(30)を連結する枢軸部(26)を前記連結部(25)に設けることにより、該枢軸部(26)を前記所定ライン(L4)よりも上方に配置して成ることを特徴と請求項1に記載のネスティングラック。
【請求項3】
前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)は、前後方向に延びる沿うレール(18)を設けており、前記第2保持部材(30)の前端部に車輪(35)を設けると共に、該車輪(35)を前記レール(18)の上に転動自在に設置して成ることを特徴と請求項1又は2に記載のネスティングラック。
【請求項4】
前記レール(18)は、後方から前方に向かって下降傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のネスティングラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置可能なネスティングラックに関し、特にベース部とは別に荷受け棚を備えたネスティングラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、倉庫などにおいて使用されているネスティングラック(ネステナーとも称される)が公知である。ネスティングラックは、直接積み重ねることができない荷物(物品)を段重ねすることにより保管効率を向上させ、不使用時には、複数のラックを入れ子状にネスティング(段積み)することにより、省スペースとして保管することができるように構成されている(特許文献1)。この際、ネスティングラックには、中間棚を設けることができる(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-99359号公報
【文献】特開2014-234250号公報
【文献】特開平4-189209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2,3のように、ネスティングラックに中間棚を設けると、不使用時において複数のネスティングラックをネスティングする際には中間棚が邪魔になる。そのため、中間棚を取り外したり、中間棚を背面支柱の間のスペースに格納したりする作業を行わなければならず、手間が掛かり煩わしいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、不使用時において中間棚などの荷受け棚を取り外したりする作業を行うことなく、ネスティングできるようにしたネスティングラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明が解決手段として採用したところは、ベース部(2)の前方側に所定間隔をあけて一対の前側支柱(3a,3b)が立設され、前記ベース部(2)の後方側に前記所定間隔よりも狭い間隔をあけて一対の後側支柱(3c,3d)が立設されており、前記一対の前側支柱(3a,3b)の間から別のネスティングラックを入れ子状にネスティング可能としたネスティングラック(1)であって、左右方向に間隔をあけて前記ネスティングを妨げない箇所において前後方向に延びる所定ライン(L4)に沿って固設された左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)と、前記左側連結部材と右側連結部材の間に配置された横架材(6)により荷受け棚(4)を構成し、前記横架材(6)の両端部を前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)に保持させる保持機構(7)を設けており、前記保持機構(7)は、それぞれ少なくとも1つの横架材(6)を保持すると共に前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)の中央部の後方側と前方側に配置される第1保持部材(20)と第2保持部材(30)を備え、両保持部材(20)(30)を枢軸部(26)で回動自在に連結しており、前記第1保持部材(20)の後端部を前記所定ライン(L4)の上で固定箇所に回動自在に連結すると共に、前記第2保持部材(30)の前端部を前記所定ライン(L4)の上で前後方向に移動自在かつ回動自在に設置し、前記保持部材(20)(30)の枢軸部(26)を前記所定ライン(L4)よりも上方に配置しており、前方側から後方に向かう力F1により前記第2保持部材(30)の横架材(6)が押し込まれたとき、第1保持部材(20)と第2保持部材(30)が枢軸部(26)を介して山形状に折曲されると共に第2保持部材(30)が後方に移動させ、保持機構(7)を後側支柱(3c,3d)の近傍位置で折畳むように構成して成る点にある。
【0007】
好ましい実施形態において、前記第1保持部材(20)は、前方端部に上向きの連結部(25)を設けており、前記第1保持部材(20)と第2保持部材(30)を連結する枢軸部(26)を前記連結部(25)に設けることにより、該枢軸部(26)を前記所定ライン(L4)よりも上方に配置している。
【0008】
更に好ましい実施形態では、前記左側連結部材(5a)及び右側連結部材(5b)は、前後方向に延びる沿うレール(18)を設けており、前記第2保持部材(30)の前端部に車輪(35)を設けると共に、該車輪(35)を前記レール(18)の上に転動自在に設置している。そして、この際、前記レール(18)は、後方から前方に向かって下降傾斜するように構成されていることが好ましい
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持部材(7)が前後方向の中央部を山型状に折曲可能であり、別のネスティングラックが一対の前側支柱(3a,3b)の間から一対の後側支柱(3c,3d)に向かって挿入されることに伴い、保持部材(7)が中央部を折曲させて横架材(6)を一対の後側支柱(3c,3d)に向けて後退させることが可能である。それ故、不使用時において複数のネスティングラック(1)をネスティングさせる際に、横架材(6)を取り外すような作業を行う必要がなく、作業効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ネスティングラックの一構成例を示す斜視図である。
図2】荷受け棚を拡大して示す斜視図である。
図3】荷受け棚の側面図である。
図4】保持部材の中央部が山型状に折曲する例を示す図である。
図5】不使用時のネスティング作業の一例を示す図である。
図6】3つのネスティングラックをネスティングした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態であるネスティングラック1の一構成例を示す斜視図である。このネスティングラック1は、例えば倉庫などにおいて、直接積み重ねることができない荷物(物品)を段重ねすることにより保管効率を向上させ、不使用時には、複数の入れ子状にネスティング(段積み)することにより、省スペースとして保管することができる。図1に示すように、ネスティングラック1は、下部に配設された矩形状のベース部2と、ベース部2の前方側において左右方向に所定間隔をあけて立設された一対の前側支柱3a,3bと、ベース部2の後方側において左右方向に所定間隔をあけて立設された一対の後側支柱3c,3dを備えている。
【0013】
ベース部2は、例えば金属製の角パイプを溶接などによって矩形状に枠組みされた基台であり、矩形状の平面サイズは、例えばパレットを積載可能なサイズとされる。したがって、ベース部2は、その上面に物品(荷物)を積載した状態のパレットをそのまま載置することができる。また、ベース部2は、前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dを鉛直方向に立設させた状態に支持する。ベース部2の下方には、フォークリフトのフォークなどを差し込むことが可能な空間が形成される。そのため、ネスティングラック1は、フォークリフトなどでベース部2を持ち上げることにより移動させることが可能である。
【0014】
前側支柱3a,3bは、左右方向に、ベース部2の後端側左右方向の寸法よりも大きな間隔を有している。つまり、一対の前側支柱3a,3bの間には、別のネスティングラック1のベース部2の後端側を収容可能な間隔のスペースが確保される。一方、後側支柱3c,3dの左右方向の間隔は、前側支柱3a,3bの間隔よりも狭くなっており、例えば図示のようにベース部2の後面側に固定されている。そのため、不使用時に複数のネスティングラック1をネスティングするときには、一対の前側支柱3a,3bの間から別のネスティングラック1の後端部を入れ子状に差し込んでいくことが可能である。
【0015】
また、ネスティングラック1は、前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dの任意の高さ位置に装着可能な荷受け棚4を備えている。図1では、前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dの上部と中央部の2箇所の高さ位置に荷受け棚4,4が設けられた例を示している。ただし、荷受け棚4の取り付け位置はこれに限られるものではなく、また荷受け棚4の設置数も2つに限られるものではない。例えば、荷受け棚4は、前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dの上部又は中央部の1箇所のみに設置されたものであっても良い。また、3つ以上の荷受け棚4がそれぞれ異なる高さ位置に設置されたものであっても構わない。
【0016】
図2は、荷受け棚4を拡大して示す斜視図である。また図3は、荷受け棚4の側面図である。荷受け棚4は、左側連結部材5aと、右側連結部材5bと、横架材6と、該横架材6を保持する保持機構7を備えている。
【0017】
左側連結部材5aは、一対の前側支柱3a,3bのうちの左側の前側支柱3aと、一対の後側支柱3c,3dのうちの左側の後側支柱3cに架設されることにより前後方向に延び、左側の前側支柱3aと左側の後側支柱3cとを相互に連結する。また、右側連結部材5bは、一対の前側支柱3a,3bのうちの右側の前側支柱3bと、一対の後側支柱3c,3dのうちの右側の後側支柱3dに架設されることにより前後方向に延び、右側の前側支柱3bと右側の後側支柱3dとを相互に連結する。左側連結部材5aと右側連結部材5bとは、互いに左右対称の形状を有している。つまり、左側連結部材5aと右側連結部材5bとは、左右対称の形状である点を除き、同一の構成を有している。尚、以下において、左側連結部材5aと右側連結部材5bとを区別しないときには、これらを総称して連結部材5と呼ぶことがある。
【0018】
図2に示すように、左側連結部材5aは、前後方向に延びるアーム桟11と、アーム桟11の前方端部11aから外向きに設けられ前側支柱3aに連結される前側連結部12と、アーム桟11の後方端部11bから内向きに設けられ後側支柱3cに連結される後側連結部14とを有する。また、右側連結部材5bは、前後方向に延びるアーム桟11と、アーム桟11の前方端部11aから外向きに設けられ前側支柱3bに連結される前側連結部12と、アーム桟11の後方端部11bから内向きに設けられ後側支柱3dに連結される後側連結部14とを有する。ここで、左側連結部材5aのアーム桟11と右側連結部材5bのアーム桟11は、互いに平行な状態で前後方向に配置される。また、これらアーム桟11は、左右方向において、一対の前側支柱3a,3bよりも内側に配置されており、これにより、ラックのネスティングに際して、一方のラックにおける前側支柱3a,3bの間のスペースに対して、他方のラックにおける後側支柱3c、3d及び左右連結部材5a,5bを差し込むことができる。
【0019】
アーム桟11は、例えば金属製の角パイプなどによって構成される。また、前側連結部12及び後側連結部14も例えば金属製の角パイプなどによって構成される。更に、アーム桟11は、外側の側面にレール18を備えている。レール18は、アーム桟11の長手方向(前後方向)に沿って形成され、例えばアーム桟11の側面から外側に突出する棚状(板状)のレールとして構成される。このレール18は、後述する車輪35を前後方向に転動させるためのものであり、図3に示すように、アーム桟11の後方側から前方側に向かって下降傾斜している。尚、以下においては、左右方向に関し、2つのアーム桟11が互いに対向する面を各アーム桟11の内側の側面とし、これとは反対側の面を各アーム桟11の外側の側面とする。
【0020】
前側連結部12は、アーム桟11の前方端部11aにおいてアーム桟11の外側の側面に溶接などによって固定され、アーム桟11と直角を成す方向(左右方向)に延設される。その前側連結部12の先端には、前側支柱3a,3bに取り付けるための取付部13が設けられている。例えば前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dの少なくとも前面側には、上下方向に所定間隔で複数の係合孔9が形成されている。一方、取付部13には、その係合孔9に係合する爪片13aが形成されている。そのため、取付部13の爪片13aを所望の高さ位置の係合孔9に嵌め込むことにより、取付部13が前側支柱3a,3bに固定される。
【0021】
後側連結部14は、アーム桟11の後方端部11bにおいてアーム桟11の内側の側面に溶接などによって固定され、アーム桟11と直角を成す方向(左右方向)に延設される。その後側連結部14の先端には、後側支柱3c,3dに取り付けるための取付部15が設けられている。取付部15には、取付部13と同様に、後側支柱3c,3dの係合孔9に係合する爪片が形成されており、その爪片を取付部13と同じ高さ位置の係合孔9に嵌め込むことにより、取付部15が後側支柱3c,3dに固定される。
【0022】
尚、左側連結部材5aと右側連結部材5bとは前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dの同じ高さ位置に取り付けられる。これにより、荷受け棚4は、前側支柱3a,3b及び後側支柱3c,3dによって水平な状態に支持される。
【0023】
横架材6は、左側連結部材5aと右側連結部材5bに架設された状態で左右方向に延び、両連結部材5a,5bと相まって棚を構成する。例えば図2に示すように、横架材6は、金属製の角パイプなどによって構成され、左側連結部材5aと右側連結部材5bに対して前後方向の複数箇所に配置される。図2では、前方側と中央部と後方側の3箇所に横架材6が配置された例を示している。
【0024】
保持機構7は、左側連結部材5aと右側連結部材5bの上で、横架材6を水平姿勢に保持する。保持機構7は、左側連結部材5aと右側連結部材5bのそれぞれに設けられている。左側連結部材5aに設けられる保持機構7と、右側連結部材5bに設けられる保持機構7とは、互いに左右対称の形状を有している。つまり、左側連結部材5aに設けられる保持機構7と、右側連結部材5bに設けられる保持機構7とは、左右対称の形状である点を除き、同一の構成を有している。
【0025】
保持機構7は、2つの連結部材5a,5bの間において中央部と後方側に配置される2つの横架材6を保持する第1保持部材20と、前方側に配置される横架材6を保持する第2保持部材30とを備えている。第1保持部材20と第2保持部材30は、相互にアーム桟11の前後方向の中間部(図例の場合はほぼ中央部)において相対回転可能に連結されている。
【0026】
第1保持部材20は、アーム桟11の中央部から後方側の所定位置の範囲で前後方向に延び、アーム桟11の上面に重なるように配置される。第1保持部材20は、前後方向にアーム桟11の約半分程度の長さを有する平板部21と、その平板部21の左右両端から垂下する外板部22及び内板部23とを備えている。平板部21の左右方向の幅は、連結部材5のアーム桟11の上面の幅寸法にほぼ等しい。そのため、平板部21の下面がアーム桟11の上面に接合した状態に配置されると、外板部22がアーム桟11の外側の側面に沿うように配置され、内板部23がアーム桟11の内側の側面に沿うように配置される。内板部23には横架材6の一端が溶接などによって固定される。例えば図2に示すように、第1保持部材20の内板部23には、中央部と後方側に配置される2つの横架材6の一端が固定される。
【0027】
第1保持部材20は、例えば外板部22の後端部がアーム桟11の後端側に設けられた第1枢軸部24によって回動可能に保持される。そのため、第1保持部材20は、第1枢軸部24を中心とする回動軸L1廻りに回動可能である。
【0028】
また、第1保持部材20は、前方端部に取り付けられる連結部25を備えている。この連結部25は、例えばアーム桟11の外側において第2保持部材30を回動可能に連結する枢結片を構成する。連結部25は、アーム桟11の外側で上方に向かって延設された板状部を有し、その板状部に第2枢軸部26を有している。この第2枢軸部26は、前後方向においてアーム桟11の中央部に設けられている。そして連結部25は、その第2枢軸部26に第2保持部材30の後端部30aを回動可能に連結する。
【0029】
第2保持部材30は、アーム桟11の中央部から前方側の所定位置の範囲で前後方向に延びる。第2保持部材30は、前述のように、後端部30aが連結部25に第2枢軸部26を介して連結されており、したがって、第2枢軸部26を中心とする回動軸L2廻りに回動可能である。そして第2保持部材30は、その第2枢軸部26から前方側に向かって延びる。
【0030】
第2保持部材30は、前端部30bに、アーム桟11の上面に接合するように左右方向に延びる平板部31と、その平板部31の先端を垂下させてアーム桟11の内側の側面に沿うように配置される内板部32を備え、該内板部32に、前方側に配置された横架材6の両端が溶接などによって固定される。平板部31がアーム桟11の上面と接合した状態のとき、内板部32に固定された前方側の横架材6は、第1保持部材20によって保持された中央部及び後方側の横架材6,6と同じ高さ位置に保持される。
【0031】
また、第2保持部材30は、前端部30bに、車輪35を保持する車輪保持部33を備えている。この車輪保持部33は、例えば平板部31の基端側をアーム桟11の外側面に沿って垂下させることによって形成される。車輪保持部33は、図2の拡大図Aに示すように、アーム桟11のレール18の上に沿って転動する車輪35を、軸受部34を介して回動可能に保持している。したがって、第2保持部30は、軸受部34を中心とする回動軸L3廻りに回動可能である。
【0032】
上記のように構成された荷受け棚4は、図3に示すように、第1保持部材20と第2保持部材30とを連結する第2枢軸部26の回動軸L2を、第1枢軸部24の回動軸L1と車輪35の回動軸L3とを結ぶラインL4よりも上方に配置している。そのため、図4に示すように、前方側の横架材6に対して前方側から後方に向かう力F1が作用すると、保持機構7は、簡単に山形状に折曲変位する。すなわち、前方側の横架材6に作用する力F1が第2枢軸部26を上方に持ち上げる力F2を生じさせ、保持機構7を直線状に展開した水平姿勢から山形状に折曲された折畳み姿勢に向けて変位させることが可能である。尚、力F1を解放すると、自重により、折畳み姿勢から水平姿勢に復帰する。
【0033】
具体的には、力F1によって、前方側の横架材6が後方側に移動すると、車輪35がレール18上を後方側に向かって転動し、第2保持部材30の後端部を持ち上げる力F2を生じさせる。これにより、第2保持部材30は、車輪35と共に移動する回動軸L3を中心として後端部が持ち上げられる方向に回動する。これと同時に、第1保持部材20は、第2枢軸部26に枢支された先端部が持ち上げられることにより回動軸L1を中心として回動し、これにより、第2保持部材30の後端部と第1保持部材20の先端部が相互に回動軸L2を中心として回動することにより山形状に折曲され、水平姿勢から起立姿勢へと変位する。そして、更に横架材6が後方側に押し込まれると、保持機構7は、横架材6と共に、を後側支柱3c,3dの近傍位置で折畳み状態として格納される。
【0034】
したがって、本実施形態のネスティングラック1は、不使用時において複数のネスティングラック1をネスティングする際に、荷受け棚4を取り外す必要がなく、荷受け棚4が水平姿勢で配置されている状態のままでネスティング作業を行うことができる。
【0035】
ところで、ネスティングラック1の荷物積載手段を構成する荷受棚4は、パレットを積載した状態で支持するために使用される。このため、図示実施形態の場合、第1保持部材20の平板部21と、第2保持部材30の平板部31をそれぞれアーム桟11の上に重ね合わせ、アーム桟11の上面にほぼフラットに形成された積載面を提供している。そして、横架材6の上面をアーム桟11の上面とほぼ面一とすることにより、積載面を拡大させている。これにより、図例の場合、パレットの荷重は、主として、アーム桟11を備える連結部材5a,5bにより支持されるように構成している。しかしながら、荷重を支持するための構造は、材質や大きさ形状等の強度との関係で定まるため、本発明の目的ではないことを理解されたい。
【0036】
図5は、不使用時のネスティング作業の一例を示している。例えば、ネスティングラック1aの内側にネスティングラック1bを入れ子状にネスティングする場合、ネスティングラック1bのベース部2の下方にフォークリフトのフォーク90などを差し込み、ネスティングラック1bを持ち上げる。その状態でネスティングラック1bを、ネスティングラック1aの一対の前側支柱3a,3bの間に挿入してX方向に移動させていくと、ネスティングラック1bの後側支柱3c,3dが荷受け棚4の前方側に配置された横架材6を後方側に押し込む。これに伴い、ネスティングラック1aの保持機構7が水平姿勢から山形状に変位していき、左側連結部材5aと右側連結部材5bとの間に配置された横架材6をネスティングラック1aの後方側に格納することができる。つまり、本実施形態では、ネスティングラック1aの内側にネスティングラック1bを入れ子状にネスティングする作業を行えば、それに連動して荷受け棚4を後方側に格納することができるため、荷受け棚4を後方側に格納する作業を別途行う必要もない。
【0037】
また、第1保持部材20及び第2保持部材30を備える保持機構7は、左右方向においてアーム桟11と同一の位置に配置されており、アーム桟11は、後側支柱3c,3dの外側かつ前側支柱3a,3bの内側に配置されている。そのため、保持機構7が水平姿勢から山形状に変位するときには、アーム桟11の上方に向かって第1保持部材20及び第2保持部材30のそれぞれを起立姿勢に変位させることができる。これにより、ネスティングラック1bの後側支柱3c,3dが第1保持部材20及び第2保持部材30に干渉することがなく、保持機構7をスムーズに姿勢変化させることができる。
【0038】
図6は、3つのネスティングラック1a,1b,1cをネスティングした状態を示している。図6に示すように、例えば3つのネスティングラック1a,1b,1cをネスティングする際、従来は3つのネスティングラックのそれぞれから中間棚を取り外したり、後方側に格納したりする作業を作業者自身が予め行っておく必要があった。これに対し、本実施形態では、そのような煩わしい作業を行うことなく、3つのネスティングラック1a,1b,1cをそのままの状態でネスティングすることができるため、作業効率が向上する。特に、ネスティングの対象となるネスティングラック1の数が増えれば増える程、その効果は顕著である。
【0039】
一方、ネスティングされたネスティングラック1を使用するときには、最上段のネスティングラック1をフォークリフトなどで持ち上げて引き出せば良い。最上段のネスティングラック1が引き出されると、その下段に配置されていたネスティングラック1は、自動的に保持機構7を水平姿勢に戻す。すなわち、車輪35が載置されているレール18は、アーム桟11の後方側から前方側に向かって下降傾斜しているため、荷受け棚4を後方側に押圧している上段のネスティングラック1が引き出されると、車輪35はレール18の下降傾斜によってアーム桟11の前方側に向かって転動していく。これにより、保持機構7は、自動的に折り畳まれた状態から元の水平姿勢に戻り、左側連結部材5aと右側連結部材5bとの間に横架材6を横断させた元の状態に復帰する。したがって、ネスティングされたネスティングラック1を使用する際にも、作業者は荷受け棚4を元の姿勢に戻す作業を自身で行う必要がないため、作業効率に優れている。
【0040】
尚、保持機構7を自動的に水平姿勢に復帰させる場合、図6に示すようにネスティングされたネスティングラック1a,1bにおいて折り畳まれた状態の荷受け棚4の重心が車輪35よりも前方に位置する構成とすることが好ましい。これにより、保持機構7を確実に自動復帰させることができるようになる。
【0041】
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものが含まれる。
【0042】
例えば、図示実施形態の場合は、レール18を前方に下降傾斜させることにより、保持機構7を折り畳み姿勢から水平姿勢に戻らせる復帰手段を構成しているが、このような復帰手段は、第1枢軸部24及び/又は第2枢軸部26にスプリングを設けることにより構成しても良い。
【0043】
また、上記実施形態では、横架材6が金属製の角パイプが用いられる場合を例示した。しかし、横架材6は角パイプに限られない。例えば、横架材6は、プレート状の部材であっても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、左側連結部材5aと右側連結部材5bとの間に3つの横架材6が配置される形態を例示した。しかし、横架材6は、3つに限られるものではなく、2以上の複数であれば良い。例えば、第1保持部材20は、少なくとも1つの横架材6を保持し、第2保持部材30もまた少なくとも1つの横架材6を保持するものであれば良い。
【0045】
また、上記実施形態では、ベース部2がネスティングラック1の底部として設けられる場合を例示した。しかし、これに限られるものではない。例えばベース部2は、ネスティングラック1の上端部に設けられ、所謂「逆ネスティングラック」を形成するものであっても構わない。
【符号の説明】
【0046】
1 ネスティングラック
2 ベース部
3a,3b 前側支柱
3c,3d 後側支柱
4 荷受け棚
5 連結部材(左側連結部材、右側連結部材)
5a 左側連結部材
5b 右側連結部材
6 横架材
7 保持機構
9 係合孔
11 アーム桟
11a 前方端部
11b 後方端部
12 前側連結部
13 取付部
13a 係合爪
14 後側連結部
15 取付部
18 レール
20 第1保持部材
21 平板部
22 外板部
23 内板部
24 第1枢軸部
25 連結部
26 第2枢軸部
30 第2保持部材
30a 後端部
30b 前端部
31 平板部
32 内板部
33 車輪保持部
34 軸受部
35 車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6