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特許7560444培養物を培養するための装置、培養物を培養するための方法および使用
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  • 特許-培養物を培養するための装置、培養物を培養するための方法および使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】培養物を培養するための装置、培養物を培養するための方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240925BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M3/00 B
C12M1/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021512577
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 DE2019000234
(87)【国際公開番号】W WO2020048557
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】102018121781.1
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518257286
【氏名又は名称】セルボックス ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Cellbox Solutions GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナゲルス、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】レデラー、クリストフ
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206666559(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00 - 1/42
C12M 3/00 - 3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養物を培養するための装置であって、前記装置は、輸送容器として設計されており、前記培養物を格納する培養チャンバ(1)と、培養ガス(I)を貯蔵する貯蔵容器(4)とを含み、前記培養物は使用中に前記培養ガス(I)で曝気され、前記培養ガス(I)はCOであり、使用中、前記培養物が前記培養ガス(I)でインキュベートされるときに培養ガス源(2)は液化COを含まず、使用中に、培養のために前記培養ガス(I)が昇華によって提供され、使用中は、前記培養ガス(I)はドライアイス(T)として、外部に開放されているか、またはバルブによって一時的に開放されている前記貯蔵容器(4)内に提供され、前記培養チャンバ(1)は、前記培養チャンバ(1)内のガス交換のための少なくとも1つのファン(8)を含み、前記貯蔵容器(4)は、外部へのCO排出チャネル(17)を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記培養チャンバ(1)の雰囲気の前記培養ガス含有量を検出するセンサによって、所定の培養ガス限界値を超えるかまたは下回ると、前記培養ガスの供給が中断または有効化されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記培養ガスの供給の中断または有効化が、バルブ(5)および/または計量ポンプ(6)によって実行されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記培養ガス(I)としてのCOの場合、前記培養チャンバ(1)の雰囲気のCOの体積パーセントが所定の値を下回った場合には、前記バルブ(5)が開かれるか、および/または前記計量ポンプ(6)が作動して、前記培養チャンバ(1)にガス状COを供給することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記輸送容器(10)がケース状の容器として設計されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置の少なくとも1つの要素は、弾性要素(12)、カルダニックマウンティング(13)、およびばね要素(14)からなる群のうちの少なくとも1つの部材によって前記輸送容器(10)の内側(11)に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置の前記要素は、培養器(15)、前記培養チャンバ(1)、前記貯蔵容器(4)、計量ポンプ(6)、前記ファン()、細胞培養担体(16)、および細胞培養容器(17)からなる群のうちの1つであることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記細胞培養担体(16)は、ボールベアリングによって前記培養チャンバ(1)に取り付けられていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記CO排出チャネル(17)はホースとして設計されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記CO排出チャネル(17)は、前記貯蔵容器(4)の上部3分の1に配置されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置が使用されることを特徴とする、培養物を培養するための、および/または培養物を輸送するための方法。
【請求項12】
培養物を培養するための、および/または培養物を輸送するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養物を培養するための装置、培養物を培養するための方法、およびそれに関連する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
培養物を培養するための装置では、培養物は通常、対応するCO圧力カートリッジから直接来るガス状COを使用してガスにさらされて培養され、このCOは自己液化状態で存在し、高圧になっている。
【0003】
正確に作動する減圧フィッティングを使用しても、特に対応する培養チャンバ内のCOによる、非常に正確で安全な培養が常に十分に可能であるとは限らず、これは、特に輸送中の可搬式培養器に当てはまる。
【0004】
独国特許出願公開第202005021050U1号は、少なくとも1つの内部チャンバ内のCO濃度を制御するための制御装置を含む、培養器の少なくとも1つの内部チャンバ内に所定のCO環境を作成および維持するための生物学的材料用の自律型培養器に関し、自律型培養器はCO培養器を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第202005021050U1号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の問題は、圧力条件に関して、培養チャンバへのそれぞれの培養ガスの正確で信頼性の高い計量が達成され可能である、培養物を培養するための装置を提供することである。
【0007】
本発明によれば、この問題は、請求項1に記載の装置、請求項7に記載の方法、および請求項8に記載の使用によって解決される。
【0008】
本発明による培養物を培養するための装置は、培養物を格納する培養チャンバを含むものの1つであり、培養物は、例えば、培養物が培養ガス、特にCOで曝気され、使用中、培養物が培養ガスで培養されるときに培養ガス源は液体培養ガスを含まない。COに関しては、これは、圧力カートリッジに収容された液化COの場合のように、必要に応じて減圧フィッティングおよび対応するバルブを介して培養チャンバに直接供給されないことを意味する。
【0009】
また、本発明に不可欠なのは、培養物の培養ガスによる培養中に、本発明によれば、液体/液化培養ガスが省かれ、培養ガスCOが、ドライアイスによる昇華によって培養のために使用されているという事実である。
【0010】
本発明によるこの実施形態によって、液体COのガス状COへの膨張とそれに伴う液体COの膨張という、従来技術から知られている圧力の問題は生じない。
【0011】
この文脈では、培養ガスがCOであり、使用時に
a)ドライアイスとして、外部に、すなわち周囲の大気に開放された貯蔵容器、またはバルブによって一時的に開放された、例えばおよび特に圧力リリーフバルブで設計された密閉発泡スチロール容器の形態の発泡スチロール容器内に存在することは、さらに本発明の意味の範囲内であり、圧力リリーフバルブは、特定の圧力を超えると開き、その後再び閉じ、
貯蔵容器内で、例えばおよび特にポンプによって、問題のある過圧状態が発生しないので、培養に必要なCOを培養チャンバに充填することができる。
【0012】
この文脈では、培養ガスの供給は、培養チャンバの雰囲気の培養ガス含有量を検出するセンサによって、所定の培養ガス限界値を超えたときまたは下回ったときに中断または有効化されることが、試行および試験されており、さらに有利であり、例えば、阻止または有効化がバルブおよび/または計量ポンプによって実施される場合には、特に有利である。
【0013】
さらに、培養ガスとしてのCOの場合、培養チャンバの雰囲気のCOの体積パーセントが所定の値、例えば、特に5体積%のCOを下回った場合には、バルブが開かれるか、および/または計量ポンプが作動して、培養チャンバにガス状COを供給することが有利であり、その結果、培養チャンバ内の培養条件が非常に良好になる。
【0014】
さらに、培養チャンバ内の雰囲気の可能な異なるガス成分に関して最大限に均質な組成物を提供するために、培養チャンバが培養チャンバ内のガス交換用のファンを含む場合に有利である。
【0015】
最後に、本発明による装置が輸送容器として設計されていることは、本発明の意味するところであり、例えば、特にケース状の容器として設計されていることは、培養されるべき培養物が輸送中に破損することなく、敏感な培養物を長距離、例えば、特に航空機を使って、大陸を越えてでも安全に輸送するためである。
【0016】
これに関連して、装置の少なくとも1つの要素/部分が衝撃に強い方法で輸送容器の内側に接続されている場合には、試行および試験されているので、有利である。
【0017】
この文脈では、例えば、熱可塑性エラストマー、例えば、ポリイソブタジエンなどの弾性要素、カルダニックマウンティング、およびばね要素からなる群の少なくとも1つの部材を用いて、衝撃に強い接続を実施する場合には、試行および試験されているので、特に有利である。
【0018】
さらに、装置の要素/部品が培養器、培養チャンバ、貯蔵容器、計量ポンプ、ファン、細胞培養担体および細胞培養容器からなる群のうちの1つである場合には、試行および試験されているので、この文脈では有利である。
【0019】
さらに、細胞培養担体がボールベアリングによって培養チャンバに取り付けられている場合には、試行および試験されているので、この文脈においても有利である。
【0020】
最後に、貯蔵容器が外部へのCO排出チャネルを含み、これが特にホースとして設計されている場合には、試行および試験されているので、過剰なガス状COをこのように逃がすことができ、有利である。
【0021】
この文脈では、貯蔵容器および装置から過剰なガス状COのみを排出するために、CO排出チャネルが貯蔵容器の上部3分の1に配置される場合には、試行および試験されているので、特に有利である。
【0022】
最後に、培養物を培養するための、および/または培養物を輸送するための関連する方法が提供され、本発明による装置が使用される場合も、本発明の意味の範囲内である。
【0023】
同じことが、培養物を培養するため、および/または培養物を輸送するための、本発明による装置の本発明による使用にも当てはまる。
【0024】
本発明は、本発明を限定しない例示的な実施形態の助けを借りて以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による実施形態を大まかに示す図である。
図2】いくつかの実施形態を大まかに示す図である。
図3】本発明による別の実施形態を大まかに示す図である。
図4】本発明による第3の実施形態を大まかに示す図である。
図5】本発明による別の実施形態を大まかに示す図である。
【0026】
図1の実施形態は、貯蔵容器4は、周囲大気に開放された容器であり、例えばおよび特に、1つまたは複数のドライアイスTを含む発泡スチロール容器であり、そのため、COは連続的に通過し、昇華によって気相に制御され、必要に応じて、バルブ(図示せず)および/または、例えば、特に計量ポンプ6によって、培養チャンバ1の雰囲気中に充填され得、培養チャンバ1は、例えばおよび特に、かき混ぜるための1つまたは複数のファン8を含み、したがって、これらは培養チャンバ1の雰囲気の均質化に寄与する。
【0027】
図2は、装置の要素が、衝撃に強い方法で輸送容器10の内側11に接続される方法の基本原理を示している。培養器15、培養チャンバ1、COの貯蔵容器4、計量ポンプ6、ファン5、ならびに細胞培養担体16および細胞培養容器17は、弾性要素12、カルダニックマウンティング13、およびばね要素14を介して衝撃に強い接続によって輸送容器10の内側11に取り付けることができる。
【0028】
本発明によれば、カルダニックマウンティングは、例えばおよび特に、輸送容器10の内側11から、例えばおよび特に、互いに垂直に配置された2つの交差するピボットベアリングの助けを借りて、少なくとも1つの上記の要素の懸架として理解されるべきである。
【0029】
図3は、ドライアイスが貯蔵される貯蔵容器4の隣の培養チャンバ1内にボールベアリングによって取り付けられている細胞培養担体16(詳細には示されていない)のスケッチを示している。
【0030】
図4は、細胞培養担体16に当接する細胞培養容器17のスケッチを示し、細胞培養担体16は、培養チャンバ1内のばね要素14に当接し、培養チャンバ1自体も弾性要素12を介して輸送容器10の内側11に接続されている。
【0031】
本発明による装置のさらなる実施形態は、図5に大まかに示されており、ドライアイスが使用中に貯蔵される貯蔵容器4において、ホースの形状のCO排出チャネル17は、本発明による装置から過剰なCOをほとんど自動的に排出するために、上部3分の1に配置されており、必要なCOは、例えば、バルブ(詳細には示されていない)によって、培養のために培養チャンバ1に供給され得る。
図1
図2
図3
図4
図5