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特許7560448充電を用いる多重チャネル電流パルス生成器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】充電を用いる多重チャネル電流パルス生成器
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/57 20060101AFI20240925BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H03K3/57 Z
H01S5/042 630
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021516962
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019052710
(87)【国際公開番号】W WO2020068837
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】62/736,830
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521085021
【氏名又は名称】エフィシェント・パワー・コンバージョン・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エス・グレイザー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エル・コリーノ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-170870(JP,A)
【文献】国際公開第2018/125823(WO,A1)
【文献】特開2018-4374(JP,A)
【文献】特開2011-29306(JP,A)
【文献】特表2020-506399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S5/04-5/0687
H03K3/53-3/57
G01S7/483-7/489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の負荷を駆動するための多重チャネル電流パルス生成器であって、前記複数の負荷の各負荷が、固有の正端子と、前記複数の負荷によって電気的に共有される共通負端子とを有し、前記多重チャネル電流パルス生成器は、
負荷ドライバ制御信号に基づいて前記複数の負荷の各負荷を通る電流パルスを許可するかまたはブロックするための単一のパルス制御トランジスタであって、前記複数の負荷の前記共通負端子に接続されたドレイン端子、グランドに接続されたソース端子、および前記負荷ドライバ制御信号を受信するためのゲート端子を有するパルス制御トランジスタと、
前記複数の負荷の各負荷に対して、
充電回路によって充電され、それぞれの負荷に電流パルスを供給することによって放電されるように構成された固有の負荷キャパシタと、
固有の充電制御信号に基づいて前記充電回路から前記負荷キャパシタへの充電電流を許可するかまたはブロックするための固有の充電制御トランジスタと
を含み、
同時に駆動される負荷の最大数Mが、前記複数の負荷の数よりも少なく、前記多重チャネル電流パルス生成器が、M個の充電電流を生成するためのM個の前記充電回路を含み、Mが2以上の整数である、多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項2】
前記パルス制御トランジスタが、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)を含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項3】
前記パルス制御トランジスタが、エンハンスメントモードGaN FETを含む、請求項2に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項4】
前記充電回路が、抵抗充電回路を含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項5】
前記充電回路が、インダクタおよびダイオードを含むブースト充電回路を含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項6】
前記充電制御トランジスタが、GaN FETを含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項7】
前記充電制御トランジスタが、エンハンスメントモードGaN FETを含む、請求項6に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項8】
M個の前記充電回路のうちの少なくとも1つが、抵抗充電回路を含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項9】
M個の前記充電回路のうちの少なくとも1つが、ブースト充電回路を含む、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項10】
前記充電制御トランジスタが、GaN FETを含み、
前記複数の負荷の各負荷に対して、前記多重チャネル電流パルス生成器が、
前記充電制御トランジスタの前記ゲート端子に追加の電圧を供給するためのブートストラップキャパシタと、
ブートストラップ制御信号に基づいて前記ブートストラップキャパシタに対するブートストラップ充電電流を許可するかまたはブロックするためのブートストラップ制御トランジスタと
を含み、
前記ブートストラップ制御トランジスタおよび前記充電制御トランジスタが、同時にオンにならない、請求項1に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【請求項11】
前記充電制御トランジスタが、エンハンスメントモードGaN FETを含む、請求項10に記載の多重チャネル電流パルス生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多重チャネル電流パルス生成器に関し、より詳細には、共通端子を有する負荷を駆動するための多重チャネル電流パルス生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
共通端子を有する負荷を駆動するための典型的な多重チャネル電流パルス生成器は、オンおよびオフに切り替える時間を正確に制御するためおよび高電流に耐えるためにn型FETを使用する。n型FETは、一般に、ホールド(hold)と比較して通常、より高い電子の移動度と、一般的な性能指数(figure-of-merit)を使用して測定されるときに得られる、より良好なn型FETの電気的性能とによって、好ましい。多重チャネル電流パルス生成器のいくつかの実装形態は、特定のサイズおよびパルス周波数の制約を満足しなければならない。たとえば、光検出および測距(ライダー)システムでは、複数のレーザダイオードが単一の基板の上に集積されて共通カソードを共有し、それにより、レーザダイオードをともにより接近して設置して、製造中に正確に整列させ、レンズなどの光学的構成要素の整列を簡素化して、システムの外形寸法を低減させることが可能になる。
【0003】
共通カソードを共有しながら個別のアノードを有することで、レーザダイオードを個別に制御することが可能になり、ライダーシステムが、すべてのレーザダイオードを一緒に(単一のより強力なレーザをもたらす)、各レーザダイオードを個別に、または全部ではなく一部のレーザダイオードの組合せを一度に、動作させることが可能になる。しかしながら、多重チャネル電流パルス生成器が各負荷を個別に制御できなければならないとき、個別のn型FETは、負荷の各々と直列に設置されなければならず、フローティングゲートドライバは、n型FETを駆動して、n型FETをオン状態に保持するためにソース端子における電圧増加に応答してゲート電圧が増加することを確実にするように実装されなければならない。
【0004】
図1は、共通端子を有する負荷を駆動するための従来の多重チャネル電流パルス生成器の概略を示す。図1では、従来の多重チャネルパルス生成器100は、負荷のセット190の中の各負荷195に対して固有のパルス生成器120を含む。負荷のセット190は、グランド110において共通端子を共有する。この例では、負荷のセット190は、4つの負荷195A~195Dを含むが、任意の適切な数の負荷が使用されてよい。各負荷195はレーザダイオードとして示されるが、任意の適切な負荷が使用されてよい。パルス生成器120A~120Dは実質的に同じであるが、パルス生成器120B~120Dは、図を見やすくするために簡略化されたブロック図の形で示される。
【0005】
負荷195Aに対するパルス生成器120Aは、可変レベルシフタ125、電圧源130、ゲートドライバ135、制御トランジスタ140、抵抗器145、およびキャパシタ150を含む。抵抗器145は、キャパシタ150を充電するために使用され、キャパシタ150は、負荷195Aに対する電流パルスが制御トランジスタ140を通して引き出されるエネルギーを貯蔵する。可変レベルシフタ125は、負荷ドライバ制御信号CTL105を受信し、電圧を増加させるかまたはCTL105の実効インピーダンスを適切に低下させて、増加した電圧または電流を有する信号をゲートドライバ135に供給する。
【0006】
ゲートドライバ135は、可変レベルシフタ125からの信号に基づいて、ゲート駆動電圧を制御トランジスタ140のゲート端子に供給する。ゲートドライバ135は、制御トランジスタ140のソース端子上の電圧に基づいて制御トランジスタ140のゲート端子上の電圧を増加させ、負荷195Aを通る電流パルスに応答してそのソース端子上の電圧が増加しても、制御トランジスタ140をオン状態に保つ。
【0007】
図2は、共通端子を有する負荷を駆動するための別の従来の多重チャネル電流パルス生成器の概略を示す。図1に示す多重チャネルパルス生成器100と同様に、従来の多重チャネルパルス生成器200は、グランド210において共通端子を共有する負荷のセット290に示す、各負荷295に対する固有のパルス生成器220を含む。負荷295Aに対するパルス生成器220Aは、負荷ドライバ制御信号CTL205に基づいてブートストラップキャパシタ255を充電するように構成される。
【0008】
電流パルスが生成されないことをCTL205が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ250がオフに切り替えられ、充電制御トランジスタ230がオンに切り替えられ、それにより、ブートストラップキャパシタ255を充電することが可能になる。電流パルスが生成されることをCTL205が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ250がオンに切り替えられ、充電制御トランジスタ230がオフに切り替えられる。ブートストラップキャパシタ255は、ゲートドライバ245が、パルス制御トランジスタ250のソース端子上の電圧に基づいてパルス制御トランジスタ250のゲート端子上の電圧を増加させ、負荷295Aを通る電流パルスに応答してそのソース端子上の電圧が増加しても、パルス制御トランジスタ250をオン状態に保つことを可能にする。CTL205は、レベルシフタ240によってゲートドライバ245に供給される。
【0009】
図1および図2に示す従来の多重チャネル電流パルス生成器で示すように、フローティングゲートドライバは、グランド基準ドライバよりも複雑、高価で、面積集約的(area intensive)である。フローティングゲートドライバは、負荷が駆動されるときに電圧の急変が制御信号を中断させないことを確実にするために、制御信号をフローティングゲート駆動信号から分離すること、または差動信号など、何らかの種類のレベルシフトを実施することを行わなければならない。フローティングゲートドライバは、図1に示す追加の電圧源130または図2に示すブートストラップキャパシタ255など、増加した電圧を供給するための手段も必要とし、フローティングゲートドライバ、および転じて多重チャネル電流パルス生成器全体の面積、複雑さ、およびコンポーネントコストをさらに増加させる。
【0010】
加えて、前に本明細書で説明したように、ライダーシステムにおけるような、多重チャネル電流パルス生成器のいくつかの実装形態は、特定のサイズおよびパルス周波数の制約を満足なければならない。フローティングゲートドライバによって必要とされる増加する面積によって、ライダーシステム内の各レーザダイオードに対する固有のフローティングレーザドライバを、レーザダイオードアレイの近くに取り付けることが困難になる。レーザドライバをレーザアレイからさらに離して移動させることで、インダクタンスが増加し、たとえば、オン切り替え時間が増加し、電流パルスを短くできる方法が制限され、電力消費が増加し、必要な供給電圧が増加するなど、レーザドライバの性能が低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記で説明した多重チャネル電流パルス生成器におけるフローティングゲートドライバのデメリットを、単一のグランド基準パルス制御トランジスタを有する回路を提供することによって対処する。より具体的には、本発明は、本明細書で説明するように、単一のパルス制御トランジスタと、各チャネルに対して、負荷キャパシタおよび充電制御トランジスタとを含む。各負荷キャパシタは、充電回路によって充電され、対応する負荷を通して電流パルスを供給することによって放電される。各充電制御トランジスタは、充電制御信号に基づいて負荷キャパシタに対する充電電流を許可するかまたはブロックする。好ましくは、パルス制御トランジスタは、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)を含み、同時に駆動される最大数Mの負荷を通る電流パルスに耐えるように選択される。
【0012】
第1の実施形態では、本発明は、対応する負荷キャパシタに対する充電電流を生成する、各チャネルに対する固有の充電回路を含む。充電制御トランジスタおよびパルス制御トランジスタは、GaN FETを含み、それらのソース端子はグランドに接続される。充電制御トランジスタは、対応する負荷を通る電流パルスに耐えるように選択される。
【0013】
同時に駆動される負荷の最大数Mがチャネルの総数よりも少ないさらなる実施形態では、本発明は、M個の充電電流を生成するM個の充電回路を含む。充電制御トランジスタは、M個の充電電流を適切な負荷キャパシタに案内し、対応する負荷を通る電流パルスではなく、充電電流に耐えるように選択される。
【0014】
実装形態および要素の組合せの様々な新規の詳細を含む、本明細書で説明する上記および他の好ましい特徴は、次に、より詳細に、添付の図面を参照して説明され、特許請求の範囲の中で指摘される。特定の方法および装置は、説明のためだけに示されており、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書における教示の原理および特徴は、特許請求の範囲から逸脱することなく様々な多数の実施形態において採用され得ることは、当業者には理解されよう。
【0015】
本開示の特徴、目的および利点は、以下で説明する発明を実施するための形態を、図面と併せて解釈すると、より明白になるであろう。図面を通して、同様の参照記号は同様に識別する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の多重チャネル電流パルス生成器の概略図である。
図2】別の従来の多重チャネル電流パルス生成器の概略図である。
図3】単一のパルス制御FETおよび抵抗充電回路を組み込む、本発明の例示的な第1の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器を示す図である。
図4】単一のパルス制御FETおよび第1のタイプのブースト充電回路を組み込む、本発明の第1の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器を示す図である。
図5】単一のパルス制御FETおよび第2のタイプのブースト充電回路を組み込む、本発明の第1の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器を示す図である。
図6】充電操縦回路を組み込む、本発明の例示的な第2の実施形態による電流パルス生成器を示す図である。
図7】単一のパルス制御FET、単一の充電回路、および複数の充電操縦回路を組み込む、本発明の第2の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の発明を実施するための形態では、いくつかの実施形態が参照される。これらの実施形態は、当業者がそれらを実行することを可能にするのに十分詳細に説明される。他の実施形態が採用されてよく、様々な構造的、論理的、および電気的変更が行われてよいことを理解されたい。以下の発明を実施するための形態の中で開示される特徴の組合せは、必ずしも最も広い意味で教示を実行する必要はなく、本教示の特に代表的な例を説明するために教示されるに過ぎない。
【0018】
図3は、単一のパルス制御FET385および抵抗充電回路を組み込む、本発明の例示的な第1の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器300を示す。パルス生成器300は、この例では負荷395A~395Dを含む負荷のセット390に電流パルスを供給する。図1および図2におけるように、負荷395A~395Dは、レーザダイオードとして示されているが、任意の適切な負荷が駆動されてよい。パルス生成器300は、負荷のセット390の共通端子およびグランド310に接続されたパルス制御トランジスタ385を含み、負荷のセット390の中の負荷395のいずれかが駆動されるかまたはされないかを示す負荷ドライバ制御信号CTL305を受信するように構成される。負荷のセット390の中の負荷395のいずれもが駆動されないことをCTL305が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ385がオフに切り替わって開スイッチとして働き、負荷のセット390を通る電流の流れを防止する。
【0019】
電流が負荷のセット290を通って流れない間、充電制御トランジスタのセット320は、キャパシタのセット340への充電を抵抗充電回路350に行わせる。抵抗充電回路350、キャパシタのセット340、および充電制御トランジスタのセット320は、負荷のセット390の中の各負荷395に対して固有の抵抗器355、固有のキャパシタ345、および固有の充電制御トランジスタ325をそれぞれ含む。各抵抗器355は、対応するキャパシタ345に対して固有の充電電流を設定するために異なる抵抗値を有し得る。異なる抵抗値および異なる充電電流は、対応するキャパシタ345上に異なる量のエネルギーを貯蔵し、そのことが、同じく、異なるキャパシタ345から引き出される電流パルスの大きさを異ならせることを可能にし、すべての抵抗器が同じ抵抗値を有する抵抗充電回路と比較して、電流パルスの大きさに対するより精細な制御を可能にする。
【0020】
各充電制御トランジスタ325は、対応する負荷395が次のパルスにおいて駆動されることに備えて対応するキャパシタ345が充電されるべきであるかどうかを示す、固有の充電制御信号CTL330を受信する。たとえば、レーザダイオード395Aが次のパルスにおいて光を放射することをCTL330Aが示す場合、充電制御トランジスタ325Aがオンに切り替わって閉スイッチとして働き、キャパシタ345Aへの充電を抵抗器355Aを通る電流に行わせる。同時に、レーザダイオード395Bが次のパルスにおいて光を放射しないことをCTL330Bが示す場合、充電制御トランジスタ325Bがオフになって、充電キャパシタ345Bから抵抗器355Bを通る電流を防止する開スイッチとして働く。
【0021】
少なくともレーザダイオード395Aが駆動されて光を放射することをCTL305が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ385は閉スイッチとして働き、パルス電流が、キャパシタ345A上に貯蔵されたエネルギーから引き出されて、レーザダイオード395Aおよびパルス制御トランジスタ385を通って流れることを生じさせる。キャパシタ345Bは充電されないので、パルス電流は、キャパシタ345Bからレーザダイオード395Bを通って引き出されない。したがって、パルス生成器300が単一のパルス制御トランジスタ385だけしか含まないにもかかわらず、負荷のセット390の中の各負荷395は、個別に制御され得る。好ましくは、充電制御トランジスタ325A~325Dおよびパルス制御トランジスタ385は、エンハンスメントモードGaN FET半導体デバイスであり、そのデバイスは、単一の半導体ダイの上の、それらのそれぞれの図示されていないゲートドライバとモノリシックに一体化される。充電制御トランジスタ325A~325Dおよびパルス制御トランジスタ385はグランド基準であり、フローティングゲートドライバの必要性を排除して、図1および図2に示すパルス生成器100および200と比較して、パルス生成器300の複雑さ、面積およびコストを低減する。
【0022】
パルス制御トランジスタ385のサイズは、同時に駆動されることが予測される最大数のチャネルの組み合わされた電流パルスに耐えるように選択される。たとえば、レーザダイオード395A~395Dのすべてが同時に起動される(be fired)ことになる実装形態では、パルス制御トランジスタ385は、単一の電流パルスの4倍の電流に耐えなければならない。レーザダイオード395A~395Dのうちの2つだけが任意の所与の時間に起動されることになる実装形態では、パルス制御トランジスタ385は、単一の電流パルスの2倍だけの電流に耐えなければならない。各充電制御トランジスタ325は、その対応する負荷395から単一の電流パルスのみの電流に耐えなければならない。充電制御トランジスタ325A~325Dのサイズは、相応に選択されてよく、または充電制御トランジスタ325A~325Dの各々は、1つの個別の大きいダイオードと並列に接地されてよく、充電制御トランジスタ325A~325Dをより小さくすることが可能になる。
【0023】
パルス制御トランジスタ385のオン切り替えおよびオフ切り替えの時間は、充電制御トランジスタ325A~325Dのオン切り替えおよびオフ切り替えの速度よりも重要である。なぜならば、パルス制御トランジスタ385は、充電制御トランジスタ325A~325Dがキャパシタのセット340を充電させる十分に長い充電期間と比較して、非常に短い時間期間にわたって負荷のセット390を通る電流パルスの持続時間および形状を制御するからである。
【0024】
図4は、図3に示す本発明の第1の実施形態によるが、異なるタイプのブースト充電回路を有する、多重チャネル電流パルス生成器400を示す。図3に示すパルス生成器300と同様に、パルス生成器400は、負荷のセット490の中の各負荷495に対して、固有の充電制御トランジスタ425および固有のキャパシタ465をそれぞれ含む、充電制御トランジスタのセット420およびキャパシタのセット460を含む。負荷495は、パルス制御トランジスタ485に接続された共通端子を共有する。しかし、パルス生成器300とは対照的に、パルス生成器400は、同じく、各負荷495に対して、固有のインダクタ445および固有のダイオード455をそれぞれ含む、インダクタのセット440およびダイオードのセット450も含む。
【0025】
充電制御トランジスタのセット420、インダクタのセット440、およびキャパシタのセット460は、充電制御トランジスタ425がオフに切り替えられることに応答して、対応する充電制御トランジスタ425がオンである間にインダクタ445の中に貯蔵されたエネルギーが、対応するキャパシタ465に転送されるブースト充電回路を実装する。各インダクタ445は、インダクタ445、および転じて、対応するキャパシタ465の中に貯蔵されるエネルギーの固有の量を設定するために、異なるインダクタンス値を有することができる。ダイオードのセット450は、一方の側でインダクタのセット440と充電制御トランジスタのセット420との間に接続され、他方の側でキャパシタのセット460と負荷のセット490との間に接続され、それにより、キャパシタのセット460の中のキャパシタ465は、対応する充電制御トランジスタ425がオンに切り替えられて閉スイッチとして働く間に完全に放電されるとは限らない。
【0026】
図3の回路の動作と同様に、少なくとも1つの負荷495が駆動されることを負荷ドライバ制御信号CTL405が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ485は、閉スイッチとして働いて、対応するキャパシタ465A上に貯蔵されたエネルギーからパルス電流を引き出して、負荷495Aおよびパルス制御トランジスタ485を通して流させる。
【0027】
図5は、図3および図4に示す本発明の第1の実施形態によるが、さらに別のタイプのブースト充電回路を組み込む、多重チャネル電流パルス生成器を500示す。図4に示すパルス生成器400と同様に、パルス生成器500は、負荷のセット590の中の各負荷595に対して、固有の充電制御トランジスタ525、固有のインダクタ545、固有のダイオード555、および固有のキャパシタ565をそれぞれ含む、充電制御トランジスタのセット520、インダクタのセット540、ダイオードのセット550、およびキャパシタのセット560を含む。負荷595は、パルス制御トランジスタ585に接続された共通端子を共有する。充電制御トランジスタのセット520、インダクタのセット540、およびキャパシタのセット560は、パルス生成器400と同様のブースト充電回路を実装する。
【0028】
図5の充電回路では、ダイオードのセット550が、一方の側のインダクタのセット540と、他方の側の充電制御トランジスタのセット520、キャパシタのセット560および負荷のセット590との間に接続され、それにより、キャパシタのセット560の中のキャパシタ565は、対応する充電制御トランジスタ525がオンに切り替えられて閉スイッチとして働く間に放電され、キャパシタのセット560の中の各キャパシタ565が同じ初期条件から充電されることを確実にする。
【0029】
エネルギーがキャパシタの中に貯蔵される任意の適切なグランド基準の充電回路は、パルス生成器300の中の抵抗充電回路、パルス生成器400の中のブースト充電回路、またはパルス生成器500の中のブースト充電回路の代わりに使用され得る。同様に、任意の数のチャネルが、共有される低電位の端子を有する任意の種類の多重チャネル負荷を駆動するために使用され得る、本発明の第1の実施形態による多重チャネルパルス生成器の中に実装され得る。
【0030】
本発明の第1の実施形態による多重チャネルパルス生成器は、各チャネルに対して個別にパルスエネルギーを制御することができる。充電制御トランジスタ、パルス制御トランジスタ、充電制御トランジスタおよびパルス制御トランジスタに対するゲートドライバ、ならびに他の充電回路構成要素は、単一の半導体ダイの上にモノリシックに集積され得る。同時に放電されるチャネルの最大数Mが、多重チャネルパルス生成器の中のチャネルの総数よりも少ない実装形態では、パルス制御トランジスタのサイズは、すべての電流パルスの全電流ではなく、単一の電流パルスのM倍にのみ耐えるように選択されてよく、トランジスタによって占有される半導体ダイの総面積が低減され得る。
【0031】
本発明の第1の実施形態による多重チャネルパルス生成器は、各チャネルに対する固有の充電回路を含む。しかしながら、同時に放電されるチャネルの最大数Mが、チャネルの総数よりも少ないとき、多重チャネルパルス生成器の面積およびコストは、適切なキャパシタを充電するためにM個の充電回路からM個の充電電流を案内するための充電操縦回路を組み込むことによってさらに低減され得る。M個の充電回路は再使用され、1つの単一の負荷キャパシタだけでなく、複数のチャネルと関連づけられた負荷キャパシタを充電する。
【0032】
図6は、充電操縦回路630を組み込む、本発明の例示的な第2の実施形態による電流パルス生成器600を示す。パルス生成器600は単一の負荷695を駆動し、図示を容易にするために単一の充電操縦回路630を含む。複数のチャネルを駆動しかつ複数の充電操縦回路を含むことができる多重チャネルパルス生成器が、図7を参照して本明細書でさらに説明される。
【0033】
パルス生成器600は、充電回路620、充電操縦回路630、およびパルス制御トランジスタ685を含む。充電回路620は、パルス生成器300の中の抵抗充電回路、またはパルス生成器400および500の中のブースト充電回路など、任意の適切な充電回路であり得る。充電操縦回路630は、論理コントローラおよびレベルシフタ635、ダイオード640、ゲートドライバ645、ブートストラップ制御トランジスタ650、ブートストラップキャパシタ655、充電制御トランジスタ660、および負荷キャパシタ665を含む。いくつかの実施形態では、充電制御トランジスタ660はp型トランジスタであり、その場合、ブートストラップキャパシタ655およびブートストラップ制御トランジスタ650は省略され得る。論理コントローラおよびレベルシフタ635は、負荷695が次のパルスにおいて駆動されるかどうかを示す制御信号605を受信して、負荷695が次のパルスにおいて駆動され得るように負荷キャパシタ665が充電されるべきであるかどうかを示す制御信号を出力する。ゲートドライバ645およびブートストラップ制御トランジスタ650は、論理コントローラおよびレベルシフタ635から制御信号を受信する。
【0034】
負荷キャパシタ665が充電される必要がないことを示す、論理コントローラおよびレベルシフタ635からの制御信号に応答して、ゲートドライバ645は、充電制御トランジスタ660をオフに切り替えて、負荷キャパシタ665を充電電流ICHG625から切り離す開スイッチとして働かせる。ブートストラップ制御トランジスタ650はオンに切り替わり、供給電圧源615からダイオード640を通してブートストラップキャパシタ655を充電させる閉スイッチとして働く。負荷キャパシタ665が充電される必要があることを示す、論理コントローラおよびレベルシフタ635からの制御信号に応答して、ブートストラップ制御トランジスタ650はオフに切り替わり、ブートストラップキャパシタ655の充電を停止する開スイッチとして働く。充電制御トランジスタ660はオンに切り替わり、充電制御トランジスタ660を通って充電負荷キャパシタ665に向けて充電電流ICHG625を流させる閉スイッチとして働く。
【0035】
負荷キャパシタ665が適切な電圧まで充電されると、充電制御トランジスタ660はオフに切り替えられ得る。ブートストラップ制御トランジスタ650は、同じくオフのままであり、負荷キャパシタ665は、負荷695が駆動されて電流パルスが貯蔵されたエネルギーから引き出されることを負荷ドライバ制御信号CTL605が示すまで、その充電を保持する。いくつかの実施形態では、充電回路620は、負荷キャパシタ665が電力消費を低減するために適切な電圧まで充電されたときに、オフに切り替えられ得る。充電回路620が抵抗充電回路を含む実施形態では、充電制御トランジスタ660はオンのままにされてよく、供給電圧源615からの供給電圧VSUPPLYは、負荷キャパシタ665にわたる電圧を決定する。
【0036】
図7は、単一のパルス制御FET785、単一の充電回路720、ならびに2つの充電操縦回路730Aおよび730Bを組み込む、本発明の第2の実施形態による多重チャネル電流パルス生成器700を示す。負荷795Aおよび795Bのうちの1つだけが一回に駆動され、それゆえ、単一の充電回路720は、負荷795Aに対する負荷キャパシタ765Aおよび負荷795Bに対する負荷キャパシタ765Bを交互に充電し、各チャネルに対して固有の充電回路を含むのではなく、両チャネルに対して同じ充電回路720を再使用することによって、半導体ダイの上のスペースを節約する。充電操縦回路730Aおよび730Bは、パルス生成器600の中の充電操縦回路630と実質的に同じであり、図示を容易にするために図7の中に一部示される。充電回路720は、パルス生成器300の中の抵抗充電回路、またはパルス生成器400および500の中のブースト充電回路など、任意の適切な充電回路であり得る。
【0037】
次のパルスにおいて負荷795Bが駆動されて負荷795Aは駆動されないことを負荷ドライバ制御信号CTL705が示すことに応答して、充電制御トランジスタ760Aがオフに切り替わって開スイッチとして働く一方で、充電制御トランジスタ760Bはオンに切り替わって閉スイッチとして働く。充電回路720からの充電電流ICHG725は、充電制御トランジスタ760Aの開スイッチによって負荷キャパシタ765Aを充電することを阻止され、代わりに充電制御トランジスタ760Bを通して負荷キャパシタ765Bを充電する。負荷795Bが駆動されて負荷795Aは駆動されないこと、すなわちパルス生成器700が電流パルスを生成することをCTL705が示すことに応答して、パルス制御トランジスタ785は、オンに切り替わって閉スイッチとして働き、負荷キャパシタ765Aと765Bの両方から電流パルスを引き出そうと試みる。
【0038】
負荷キャパシタ765Bだけが充電されているので、電流パルスは、負荷キャパシタ765Bのみから引き出されて負荷795Bを駆動する。負荷795Aは、オフのままである。たとえば、ライダーシステムでは、充電されない負荷キャパシタ765Aは、レーザダイオード795Aが光を放射するのを阻止し、ライダーシステムの総光放射および電力消費を低減し、アイセーフなどのために課せられる任意の最大光放射制約にライダーシステムが準拠するのを助ける。
【0039】
ブートストラップ制御トランジスタ750Aおよび750Bならびに充電制御トランジスタ760Aおよび760Bは、より高い負荷駆動電流パルスの電流経路の中になく、充電電流ICHG725に耐えるように選択され、本発明の第1の実施形態によるパルス生成器と比較して、半導体ダイの上のスペースを節約する。負荷キャパシタ765Aおよび765B、負荷795Aおよび795B、ならびにパルス制御トランジスタ785だけが、より高い負荷駆動電流パルスを経験する。パルス制御トランジスタ785は、任意の所与の時間において、チャネルの数ではなくM個の負荷駆動電流パルスを経験し、相応に大きさを決められる。
【0040】
同時に駆動されるチャネルの最大数Mおよびチャネルの総数に基づいて、任意の数のチャネルが、単一の充電回路から動作させるために組み込まれてよい。たとえば、多重チャネルパルス生成器は、合計で8個の負荷を駆動するが、一回に2つの負荷だけを駆動する。多重チャネルパルス生成器は、8個のチャネルに対して8個の充電操縦回路と単一の充電回路とを含み得る。単一の充電回路は、単一の負荷キャパシタに対して充電電流の2倍の大きさの充電電流を生成し得、それを、8個の充電操縦回路が、多重チャネルパルス生成器に供給される外部制御信号に基づいて、適切な負荷キャパシタに案内する。代替的に、電流パルス間の時間期間が、同時ではなく逐次複数の負荷キャパシタを充電するのに十分に長いことに応答して、単一の充電回路は、8個の充電操縦回路が適切な負荷キャパシタを逐次充電するために使用する、単一の負荷キャパシタに対する充電電流と同じ大きさの充電電流を生成し得る。
【0041】
上記の説明および図は、単に、本明細書で説明する特徴および利点を達成する特定の実施形態の例示とみなされるべきである。特定のプロセス条件に対する修正形態および代替形態が作成され得る。したがって、本発明の実施形態は、前記の説明および図によって限定されるとみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0042】
100 従来の多重チャネルパルス生成器
105 負荷ドライバ制御信号CTL
110 グランド
120 パルス生成器
125 可変レベルシフタ
130 電圧源
135 ゲートドライバ
140 制御トランジスタ
145 抵抗器
150 キャパシタ
190 負荷のセット
195 負荷
200 従来の多重チャネルパルス生成器
205 負荷ドライバ制御信号CTL
210 グランド
220 パルス生成器
230 充電制御トランジスタ
240 レベルシフタ
245 ゲートドライバ
250 パルス制御トランジスタ
255 ブートストラップキャパシタ
290 負荷のセット
295 負荷
300 多重チャネル電流パルス生成器
305 負荷ドライバ制御信号CTL
310 グランド
320 充電制御トランジスタのセット
325 充電制御トランジスタ
330 充電制御信号CTL
340 キャパシタのセット
345 キャパシタ
350 抵抗充電回路
355 抵抗器
385 パルス制御FET
390 負荷のセット
395 負荷
400 多重チャネル電流パルス生成器
405 負荷ドライバ制御信号CTL
420 充電制御トランジスタのセット
425 充電制御トランジスタ
440 インダクタのセット
445 インダクタ
450 ダイオードのセット
455 ダイオード
460 キャパシタのセット
465 キャパシタ
485 パルス制御トランジスタ
490 負荷のセット
495 負荷
500 多重チャネル電流パルス生成器
520 充電制御トランジスタのセット
525 充電制御トランジスタ
540 インダクタのセット
545 インダクタ
550 ダイオードのセット
555 ダイオード
560 キャパシタのセット
565 キャパシタ
585 パルス制御トランジスタ
590 負荷のセット
595 負荷
600 電流パルス生成器
605 負荷ドライバ制御信号CTL
615 供給電圧源
620 充電回路
625 充電電流ICHG
630 充電操縦回路
635 論理コントローラおよびレベルシフタ
640 ダイオード
645 ゲートドライバ
650 ブートストラップ制御トランジスタ
655 ブートストラップキャパシタ
660 充電制御トランジスタ
665 負荷キャパシタ
685 パルス制御トランジスタ
695 負荷
700 多重チャネル電流パルス生成器
705 負荷ドライバ制御信号CTL
720 充電回路
725 充電電流ICHG
730 充電操縦回路
750 ブートストラップ制御トランジスタ
760 充電制御トランジスタ
765 負荷キャパシタ
785 パルス制御トランジスタ
795 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7