(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】航空機の着陸および地表面移動性能を評価するための方法およびソフトウェアプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20240925BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240925BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2021533222
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 CA2019051785
(87)【国際公開番号】W WO2020118433
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520117086
【氏名又は名称】イーグル エアロスペース,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】EAGLE AEROSPACE, LTD.
【住所又は居所原語表記】10 Trent Drive, Campbellford, Ontario K0L 1L0, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ライル マキューン
(72)【発明者】
【氏名】ジンディーヌ スイキ
(72)【発明者】
【氏名】タイ シャタック
(72)【発明者】
【氏名】リシャール ティボドー
(72)【発明者】
【氏名】ポール エドワード カドモア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル トマス セイヴァリー
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0261855(US,A1)
【文献】特開2010-026616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0190999(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の動作中に異常を検出および報告するための方法であって、該方法が、
前記航空機の動作を示す、対地速度、前記航空機の減速率、着陸位置、航空機ルート、航空機ルートのタイミング、地上移動活動、および最長着陸距離のうちの少なくとも1つを含むリアルタイムデータを、自動依存監視ブロードキャスト(ADS-B)から受信するステップと、
収集された前記リアルタイムデータに基づいて、前記航空機の予測性能を計算するステップと、
前記予測性能が前記航空機の許容性能外にある場合に、警告を生成するステップと
、
前記警告に応じて以下の動作を実施するステップ、すなわち、
航空交通管制チームおよび/または空港運航チームに滑走路の安全上の懸念の発生を通知し、
前記通知に基づいて、前記滑走路の安全上の懸念の場所を提供する
動作を実施するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記予測性能は、着陸距離および平均減速率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記許容性能は、平均減速率を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記警告が、検査/評価される領域を視覚的に識別するためにマップ上にオーバーレイされた色分け範囲、ショートメッセージサービス(SMS)および/または電子メールメッセージのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記リアルタイムデータは、日付、時刻、滑走路識別、航空機ブランド、航空機モデル、減速率の範囲、着陸距離の範囲、および空港の舗装路/地面上の航空機の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記リアルタイムデータが、着陸時のホイールスピンアップ、空気力学的フラップ位置、スポイラ位置、逆推力関与時間および強度、ならびに着陸面上の汚染物への衝突のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記警告に応じて以下の動作を実施するステップ、すなわち、
前記航空機のパイロットからの、関与した
ブレーキの種類を要求し、
前記パイロットから、前記関与した
ブレーキの種類の応答表示を受け取る
動作を実施するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記警告が、停止距離延長の可能性の報告を含む、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
航空機の動作中に異常を検出および報告するためのソフトウェアプログラムであって、前記ソフトウェアプログラムが、
前記航空機の動作を示す、前記航空機の地上移動活動、空港での位置間での経過時間の許容範囲を表す履歴データのうちの少なくとも1つを含むリアルタイムデータを、自動依存監視ブロードキャスト(ADS-B)から受信し、
収集された前記リアルタイムデータに基づいて、前記航空機についての2つの位置間での予測経過時間を計算し、
前記航空機についての前記予測経過時間が前記2つの位置間での経過時間の前記許容範囲を超える場合、警告を生成
し、
前記警告に応じて以下の動作を実施する、すなわち、
航空交通管制チームおよび/または空港運航チームに滑走路の安全上の懸念の発生を通知し、
前記通知に基づいて、前記滑走路の安全上の懸念の場所を提供する
動作を実施する
ように構成されている、ソフトウェアプログラム。
【請求項10】
前記警告が、前記航空機を表す表示されたシンボルに近接して前記予測経過時間の連続表示を含む、請求項
9記載のソフトウェアプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月11日に出願された米国仮出願第62/777907号(発明の名称“METHOD AND SYSTEM FOR ASSESSING AIRCRAFT LANDING AND SURFACE MOVEMENT PERFORMANCES”)の優先権を主張し、この出願の内容は全体として参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、航空機の着陸手順追跡および報告システムに関し、特に、観測された着陸性能と、シミュレートされ、予測されまたはテンプレート化された着陸性能とを比較するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
背景技術
着陸手順
一般的には、航空機は、アスファルト舗装路、コンクリート舗装路、砂利、芝生および/または他の所望の建設材料で構築された滑走路上に着陸する。着陸のために、航空機の速度は、着陸中の航空機と滑走路との間の接触モーメントである着陸を可能にするように減速される。次いで、航空機は、航空機がより低い地上走行速度および/または退出速度に達して着陸を完了し、滑走路から出るまで、滑走路の中央に沿って移動する間、空気力学的力、例えばスピードブレーキおよび逆推力と、機械的力、例えばホイールブレーキとの両方により減速することになる。滑走路からの逸脱を防止するために、航空機は、滑走路を逸脱する前に、その速度を安全な地上走行または退出速度まで減速して、オーバーラン逸脱を防止し、長手方向制御を維持して、ベアオフ逸脱を防止しなければならない。
【0004】
滑走路面状態評価
滑走路逸脱は、飛行機が滑走路面を逸脱しまたはオーバーランした場合に発生する。滑走路汚染は、滑走路の逸脱の一般的な原因となりうる。連邦航空局(FAA)によれば、滑走路は、(報告された長さおよび幅内で使用されている)滑走路面積の25%超が霜、氷および/または任意の深さの雪、スラッシュまたは水により覆われている時に汚染されるとされる。
【0005】
航空機のホイールブレーキおよび方向制御に影響を及ぼす滑走路面状態の決定は、常に困難である。目視観測は、多くの場合に、航空機のアンチスキッドブレーキシステムのブレーキの利用可能性および/または悪風条件における方向制御可能性の正確な評価を提供するのに十分とはなりえない。実際の航空機着陸データの異常を見つけることができれば、空港運航チームにリアルタイムデータを提供することができ、状況が急速に変化している場合かつ/または状況が誤って評価されている場合に、空港運航チームが応動および事前対応の双方を行うことができる。
【0006】
オートブレーキ
オートブレーキは、着陸手順中に飛行機で使用される自動コンピュータ制御ブレーキシステムの一種である。
図1を参照されたい。一般的には、汚染された滑走路に着陸する場合、航空機が着陸して前脚がホイールにかかる重量を感知した後、自動制動システムが関与するように準備される。
【0007】
オートブレーキは、各種設定の減速率/制動率で機体を減速させることにつきパイロットを助けるように利用可能である。一般的には、設定は、着陸手順が始まる前に、パイロットにより選択可能である。例えば、設定は、それぞれ低い減速率を表す「1」または「LO」、それぞれより高い減速率を表すより高い数字または「Hi」もしくは「MAX」およびこれら2つの間の任意の好ましい中間設定数を含むことができる。減速率は、物体が減速する割合(すなわち、減速度=(最終速度-初期速度)/時間)として定義される。
図1におけるサンプルのオートブレーキ制御装置10を参照されたい。
【0008】
例えば、ボーイング737では、着陸時のオートブレーキの選択は
【表1】
となる。
【0009】
Surface Movement Event Service
米国において、Surface Movement Event Service(SMES)は、連邦航空局(FAA)により行われるSystem Wide Information Management(SWIM)フレームワークの一部であるサービスである。SWIMは、増大する共通の状況認識および航空交通管理(ATM)システム情報の共有を容易にするように設計された情報共有プラットフォームである。SWIMがどのように動作するかの詳細な説明については、付録Aを参照されたい。この文献は参照により本明細書に組み込まれるものとする。SWIMは、各ユーザが複数のデータプロダクトを受信するために、固有のシステムインタフェースを単一の接続点に置き換えている。SWIMフレームワークは、空港塔から収集された生の地表面データを、National Airspace System(NAS)Enterprise Messaging Service(NEMS)を介して公開される容易にアクセス可能な情報に変換するSWIM Terminal Data Distribution System(STDDS)を含むことができる。
【0010】
STDDSは、SMES情報を含む。SMESは、地表面移動イベントメッセージ、空港地表面検出装置モデルX(ASDE-X)位置報告メッセージ、航空機識別を含む一般飛行計画情報および特定の空港についてのASDE-Xシステム状態メッセージを提供することができる。ASDE-Xにより使用されるデータは、空港監視レーダー(ASR)、地表面移動レーダー(SMR)、マルチラテレーション(MLAT)および自動依存監視ブロードキャスト(ADS-B)を含む複数のソースからのものであることができる。ADS-Bは、航空機のGPS位置、高度、速度および他のデータを提供することができる。現在、全地球的航空機ADS-Bのデータは、他の航空ナビゲーションサービスプロバイダ、例えば、NAV CANADAからも入手可能であり、ADS-Bデータを収集し、通信する衛星の全地球的カバレージネットワークであるAireonなどのソースからのデータの収集および通信を含むことができる。
【0011】
当該サービスは、航空機が着陸している時にもメッセージを提供する。
【0012】
同様のサービスおよびシステムは、他の国にも存在しており、同様の方式で利用される。
【0013】
発明の概要
滑走路状態評価は複雑な作業である。本発明は、航空機の着陸データを示す主要空港における既存のセンサおよび信号データを観測し、取得されたデータを記録し、これをリアルタイムで分析して、航空機の着陸性能の異常を検出することができる。次いで、異常は、さらなる評価および修正のために、空港運航チームおよび/または空港航空ナビゲーションサービスプロバイダに報告される。検出された異常は、滑走路状態および/または修正パイロット動作を警告し、評価し、検証し、必要に応じて修正するために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでユーザに報告することができる。リアルタイムモニタリングにより、急速に変化する状況を追跡することができ、滑走路の逸脱および/またはオーバーラン逸脱を防止することができる。
【0014】
本発明は、滑走路に着陸する航空機の着陸、減速および方向制御における異常を検出するための空港地表面移動データを収集し、分析するための方法およびシステムを含む。
【0015】
本発明の非限定的な一実施形態では、ソフトウェアプログラムおよび方法が、地表面移動イベントを捕捉し、これらを記録し、ほぼリアルタイムで分析して、航空機の速度、着陸距離および減速率における異常を検出する。当該ソフトウェアプログラムまたは方法は、
(a)全てのSMESまたは同等のイベントを聞き、
(b)航空機の着陸装置が滑走路に着陸した時点を検出し、
(c)航空機の前脚が滑走路に着陸した時点を検出し、
(d)航空機が着陸して滑走路に沿って移動する際の航空機の速度変化を検出し、
(e)前記航空機の着陸軌跡を記録し、
(f)記録されたデータを分析して、予期しない挙動を検出し、
(g)このような挙動が検出された場合に、これを、位置(滑走路、緯度、経度)、時間(現地時間フォーマット)および飛行識別子と併せて報告し、
(h)記録されたデータをアーカイブ保存し、現在の滑走路状態および/または劣化した滑走路状態、劣化した舗装状態および/または飛行場における航空機の移動効率の変化、改善または劣化を示す傾向についてのデータを分析する
ように構成可能である。
【0016】
また、当該ソフトウェアは、航空機の地上移動を分析して、空港周辺での航空機の移動の危険性および/または非効率性を発見し、適切と判定した場合にはユーザに是正措置を取るように警告する。本発明の別の非限定的な実施形態では、当該ソフトウェアは、航空機が除氷区域を離れてから離陸を開始するまでの時間を記録する。このことはリアルタイムで表示可能であり、これにより、除氷剤に割り当てられた最長残存時間が超過されたか否かまたは超過される可能性があるか否かの指標が除氷作業員に提供される。
【0017】
本発明は、航空機の動作中に異常を検出および報告するための方法を提供することができる。当該方法は、航空機の動作を示す、対地速度、航空機の減速率(rate of deceleration)、着陸位置、航空機ルート、航空機ルートのタイミング、地上移動活動(ground movement activities)、および最長着陸距離のうちの少なくとも1つを含むリアルタイムデータを受信するステップと、収集されたリアルタイムデータに基づいて、航空機の予測性能を計算するステップと、予測性能が航空機についての許容性能外にある場合に、オペレータに警告するステップとを含むことができる。
【0018】
前述の方法では、予測性能は、着陸距離および平均減速率(average rate of deceleration)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0019】
前述の方法では、平均減速率が期待パラメータの範囲内にあるかまたは範囲外にあるかをオペレータに警告するステップをさらに提供することができる。
【0020】
前述の方法では、オペレータに警告するステップは、検査/評価される領域を視覚的に識別するためにマップ上にオーバーレイされた色分け範囲、ショートメッセージサービス(SMS)、および/または電子メールメッセージのうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
前述の方法では、リアルタイムデータは、日付、時刻、滑走路識別、航空機ブランド、航空機モデル、減速率の範囲、着陸距離の範囲、および空港の舗装路/地面上の航空機の位置のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
前述の方法では、航空機についての範囲外の減速率、航空機の種類および減速率の期待範囲、ならびに航空機の地上移動異常のうちの少なくとも1つを記憶するステップを提供することができる。
【0023】
前述の方法では、リアルタイムデータは、着陸時のホイールスピンアップ、空気力学的フラップ位置、スポイラ位置、逆推力関与時間および強度(reverse thrust engagement time and intensity)、ならびに着陸面上の汚染物への衝突のうちの少なくとも1つを含むことできる。
【0024】
前述の方法では、予測性能は、航空機の着陸停止距離を含むことができる。
【0025】
前述の方法では、オペレータに警告するステップは、停止距離延長の可能性を報告することを含むことができる。
【0026】
また、本発明は、航空機の動作中に異常を検出および報告するためのソフトウェアプログラムも提供することができる。当該ソフトウェアプログラムは、航空機の動作を示す、航空機の地上移動活動、空港での位置間での経過時間の許容範囲を表す履歴データのうちの少なくとも1つを含むリアルタイムデータを受信し、収集されたリアルタイムデータに基づいて、航空機についての2つの位置間での予測経過時間を計算し、航空機についての予測経過時間が2つの位置間での経過時間の許容範囲を超える場合、オペレータに警告するように構成可能である。
【0027】
前述のソフトウェアプログラムでは、オペレータに警告するステップは、航空機を表す表示されたシンボルに近接して予測経過時間の連続表示(continuous display)を含むことができる。
【0028】
本発明は、航空機の動作中に異常を検出および報告するための方法をさらに提供することができる。当該方法は、航空機の動作を示す、航空機への除氷剤の適用のための時間、航空機の地上移動活動のうちの少なくとも1つを含むリアルタイムデータを受信するステップと、収集されたリアルタイムデータに基づいて、除氷剤についての予測完了時間および航空機についての予測離陸時間を計算するステップと、航空機についての予測離陸時間が除氷剤についての予測完了時間を超える場合、オペレータに警告するステップとを含むことができる。
【0029】
前述の方法では、オペレータに警告するステップは、航空機を表す表示されたシンボルに近接して除氷剤についての予測完了時間の連続表示を含むことができる。
【0030】
本発明の態様は、添付の図面を参照して下記の説明を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】オートブレーキ設定を調整するのに使用される機構を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態により生成された出力グラフである。
【
図3】本発明の実施形態により生成された第2の出力グラフである。
【0032】
発明を実施するための形態
本発明の1つ以上の態様を包含する例示的な実施形態は、図面に記載され、例示されている。これらの例示された例は、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本発明の1つ以上の態様は、他の車両に利用することができる。さらに、特定の用語は、本明細書において便宜上にのみ使用され、本発明に対する限定として解されるべきではない。尚さらに、図面において、同じ参照符号は同じ構成要素の指定に利用される。
【0033】
SWIMフレームワークおよびADS-Bデータの全地球的な展開における現在の改善により、正確かつほぼリアルタイムの全地球的な航空機位置および速度データへのアクセスが可能である。適切なアルゴリズムを使用すると、当該データにより、本発明が各秒での減速率を計算し、期待減速率の範囲および関連する履歴データを比較することができる。また、当該データにより、本発明は、予想減速率における偏差、ならびに安全な地上走行速度に到達するためにカバーすべき滑走路および距離に沿った方向コンプライアンスにおける偏差を測定および観測することができ、これによって、実際の汚染された滑走路舗装の表面状態についての航空機の制動および方向制御の利用可能性に関するユーザの洞察情報と、いかなる意図的または偶発的な運航上の変更が航空機の地上移動にどのように影響しているかのモニタリングとが提供される。
【0034】
本明細書における開示を参照して、便宜上および明確性の目的でのみ、方向用語、例えば、上部、下部、左側、右側、上方、下方、上側、下側、上に、上、下、下に、後部および前部を使用することができる。このような方向用語は、いかなる形式においても本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。本明細書で提示された実施形態は、例示であって、限定的なものではないことを理解されたい。下記の詳細な説明の意図は、例示的な実施形態を検討してはいるが、本発明の精神および範囲内に入りうる実施形態の全ての修正、代替物および等価物を網羅するものと解されたい。
【0035】
一実施形態では、本発明は、SWIMまたは同等のフレームワークに接続されているシステムを含む。当該システムは、ケーブルネットワーク、移動体通信ネットワーク、Wi-Fiネットワークおよび/または他の任意の適切な接続システムを介して、SWIMフレームワークに接続することができる。SWIMフレームワークへの接続は、National Airspace System(NAS)Enterprise Messaging Service(NEMS)または同等のサービスへのアクセス権をユーザに付与することができる。NEMSは、ユーザが選択することができる複数の情報の断片を提供することができる。一実施形態では、本発明では、SMES情報をNEMSから取得する。
【0036】
一実施形態では、当該システムは、航空機が着陸した後に航空機に関する情報を取得するように構成可能である。別の実施形態では、当該システムは、航空機が着陸する前(すなわち、着陸手順の前または最中)に、航空機に関する情報を取得するように構成可能である。航空機に関する情報は、SMESからの航空機IDおよび航空機モデル/タイプならびに航空機の実際のオートブレーキ設定を含むことができる。一実施形態では、オートブレーキ設定は、航空機におけるオートブレーキシステムに接続されたセンサから取得することができ、当該システムに送信される。別の実施形態では、パイロットが手動でNEMSに接続されたプログラム内にオートブレーキ設定を入力し、これが当該システムに送信される。所望の使用と一致するオートブレーキ設定を取得する任意の方法が企図されている。別の実施形態では、当該システム内の機械学習および人工知能を使用して、着陸を行い減速する航空機の速度が観測された際に、オートブレーキ設定をソフトウェアにより決定することができる。
【0037】
航空機に関する情報は、航空機のGPS位置および速度をさらに含むことができる。速度は、水平速度、垂直速度、角速度またはそれらの任意の組み合わせを別々に示すことができる。一実施形態では、当該システムは、航空機からの情報を使用して、航空機が着陸するのと同時に、航空機が着陸した滑走路上の位置を突き止め、記録する。別の実施形態では、当該システムは、着陸手順中に航空機の位置および速度に関する情報を収集し、航空機が着陸手順を完了した後にその情報を記録する。さらに、航空機の速度を、ADS-Bによりもしくはレーダーによりまたは他のシステムにより提供される一連のGPS位置データから計算できることが企図されている。
【0038】
また、当該システムは、NEMSからの情報に基づいて、実際の着陸距離を計算するように構成可能である。一実施形態では、当該システムは、航空機が着陸する地点から、航空機が地上走行速度への減速または完全な着陸手順のいずれかを完了した地点までの距離(このいずれかを着陸距離とみなすことができる)を、任意の公知の方法または考察している方法により計算する。実際の地上走行速度への減速または所望の使用に一致する完全な着陸距離を決定するための任意の方法が考えられる。
【0039】
また、当該システムは、NEMSおよび/または他のソース、例えば、NAVCANもしくはAireonからの情報に基づいて、シミュレートされる着陸距離を計算するように構成可能である。一実施形態では、当該システムは、航空機モデル/タイプ、航空機の初期速度、選択された最終速度、および選択されたまたはシステムが決定したブレーキ設定に基づいて、シミュレートされる着陸距離を計算するように構成可能である。
【0040】
一実施形態では、当該システムは、オートブレーキ設定およびそのオートブレーキ設定での航空機の関連する目標減速度を入力することにより、またはシステム決定により、地上走行速度を超える航空機の着陸および減速の全体にわたって、航空機のシミュレートされる減速度を段階的に計算するように構成されている。
【0041】
一実施形態では、当該システムは、制動された航空機タイヤと滑走路との間の摩擦係数に基づいて、種々のシミュレートされる着陸距離を計算するように構成されている。当該摩擦係数は、計算に含ませることができる多数の要因(例えば、滑走路建設材料、外気の温度、滑走路表面の温度、気圧、大気圧、汚染、航空機のブレーキシステム)に基づいて変化させることができる。摩擦係数の計算は、共に平均化される異なる着陸条件についての航空機着陸の記録されたサンプル、着陸中の航空機をシミュレートするために滑走路上で使用することができる摩擦サンプリング装置および/またはホイールブレーキ摩擦係数を決定する任意の好ましい方法およびシステムに基づくことができる。
【0042】
別の実施形態では、当該システムは、着陸手順の間に、航空機を減速するのに使用される他の構造および手段(例えば、フラップ、着陸時のホイールスピンアップ、着陸フレア、ラウンドアウト、スポイラ、逆推力、汚染物への衝突、汚染物質の抗力、相対風速)をシミュレートされる着陸距離の計算においてさらに考慮に入れるように構成されている。
【0043】
所望の使用と一致する任意の好ましい要因を含む、シミュレートされる着陸距離を計算する任意のシステムおよび/または方法が企図されている。
【0044】
当該システムは、NEMSまたは同等物からの情報に基づいて、実際の減速率を計算するようにさらに構成可能である。一実施形態では、当該システムは、時間間隔の開始時の航空機の初期速度、時間間隔の終了時の航空機の最終速度および時間間隔の長さに基づいて、任意の公知または発明された方法により、設定された時間間隔についての実際の減速率を計算する。一変形形態では、時間間隔は、着陸手順が要する時間の合計量である。別の変形形態では、時間間隔は、着陸手順の間に、所定の時間量、例えば毎秒または毎分などとすることができる。所望の使用と一致する実際の減速率を決定するための任意のシステムおよび/または方法が考えられる。
【0045】
当該システムは、NEMSおよび/または他の情報ソースからの情報に基づいて、シミュレートされる減速率を計算することができる。一実施形態では、当該システムは、予測されたオートブレーキ減速率、上記の要因に基づいた滑走路と航空機タイヤとの間のシミュレートされる制動摩擦係数、着陸手順中に航空機を減速させるのに使用される他の構造および手段(例えば、フラップ、着陸時のホイールスピンアップ、着陸フレア、ラウンドアウト、スポイラ、逆推力、汚染物への衝突、汚染物の抗力、相対風速)ならびに着陸手順中に航空機の減速に影響を及ぼす他の任意の所望の要因のうちの少なくとも1つを含むように構成されている。
【0046】
また、当該システムは、NEMSおよび/または他のソースからの情報に基づく実際の対地速度と、所望の対地速度とを比較するように構成可能である。一実施形態では、当該システムは、差を決定する際に航空機の対地速度に影響を及ぼす他の要因を含むように構成されている。これらの要因は、上記の要因に基づく滑走路と航空機タイヤとの間の摩擦係数もしくはタイヤ制動係数、および/または着陸手順中に航空機を減速させるのに使用される他の構造および手段(例えば、フラップ、着陸時のホイールスピンアップ、着陸フレア、ラウンドアウト、スポイラ、逆推力、汚染物への衝突、汚染物の抗力、相対風速)を含みうる。対地速度に影響を及ぼすことのある任意の要因が本明細書において企図されている。
【0047】
当該システムは、NEMSおよびその他のソースからの情報に基づく実際の着陸位置と、所望の着陸位置とを比較するようにさらに構成可能である。所望の着陸位置の位置は、航空交通管制官、航空機パイロットおよび/または任意の他の適切なソースからのものであることができる。
【0048】
当該システムは、実際のインクリメント減速率とシミュレートされる減速率との間の差、実際の着陸距離とシミュレートされる着陸距離との間の差、実際の対地速度と所望の対地速度との間の差、および実際の着陸位置と所望の着陸位置との間の差のうちのいずれかまたは全ての間の差を計算するように構成可能である。説明を簡単にするために、減速率の差を以下で検討するものとするが、同じ実施形態に、上記の検討された差のいずれも適用することができる。
【0049】
一実施形態では、当該システムは予め設定された減速率の差の許容範囲を含み、計算された差がこの許容範囲を超えた場合に、ユーザに警報を送信する。この実施形態の一変形形態では、予め設定された減速率の差の許容範囲は、プログラマにより最初に入力され、ユーザにより調整することができない。別の変形形態では、予め設定された減速率の差の許容範囲は、ユーザにより調整可能である。さらに別の変形形態では、予め設定された減速率の差の許容範囲は、多数の要因(例えば、航空機のタイプ/モデル、大気圧、気象条件、航空機タイヤと滑走路との間の摩擦係数またはタイヤ制動)のいずれかに基づいて変化させることができる。さらなる変形形態では、当該システムは2つの許容範囲を含み、ここで、一方の許容範囲は他方の許容範囲より広い。当該変形形態は、どの許容範囲を超えたかに基づいて異なる警報を発するようにさらに構成可能である。
【0050】
許容範囲を設定する任意のシステムおよび/または方法が企図されている。
【0051】
一変形形態では、当該システムは、滑走路に安全上の懸念がありうることを空港運航チームおよび空港航空交通管制チームに警告し、問題が起こりうる場所を提供する。空港保守チームに、航空機の異常な減速または方向制御が滑走路の特定の領域で行われたことを警告することができる。さらに、航空交通管制チームにも同様に警告され、対象航空機のパイロットが(手動ブレーキをかけることにより自動制動をスイッチオフするなどの)何かを行った場合もしくはオートブレーキがプログラムされているシステムの予測のようには航空機が減速しないかもしれない何かに気付いた場合、および/または航空機が滑走路上の所定の安全な経路内で方向制御されなかった場合、対象航空機のパイロットに尋ねるための提案または要求をシステムから受け取ることができる。
【0052】
一変形形態では、種々の利害関係者に対する警報は、一定の可聴音(例えば、ビープ音、チャープ音、ブザー音)を含むことができる。別の変形形態では、警報は、反復する可聴音を含むことができる。さらなる変形形態では、警報は、明滅または点滅する光を含むことができる。さらに別の変形形態では、警報は、アクティブ化された一定の光を含むことができる。さらに別の変形形態では、警報は、上記の音響警報と光警報との組み合わせを含むことができる。さらなる変形形態では、警報は、航空機に関する情報を含む警告または「ポップアップ」を含むことができる。当該情報は、位置(例えば、滑走路、緯度、経度)、時間(現地時間フォーマットで)、航空機ID、フライトIDおよび/または任意の他の所望の情報を含むことができる。警報は、所望の目的に合致する任意の聴覚的、視覚的、デジタルおよび/または他の好ましいタイプの構成を含むことができる。警報は、検査/評価される領域を視覚的に識別するために、マップ上にオーバーレイされた色分け範囲、ショートメッセージサービス(SMS)および電子メールメッセージのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0053】
一変形形態では、警告または警報は、ユーザが非アクティブ化するまで継続しまたは繰り返す。別の変形形態では、警報は、所定量の時間が経過した後に非アクティブとなる。所望の目的に合致する警報を作動させる任意の方法またはシステムが企図される。
【0054】
別の実施形態では、当該システムは、生成された情報に基づいて要約を作成するように構成可能である。例えば、要約は、グラフ、チャート、表、アニメーション、ビデオおよび/または所望の出力の任意の組み合わせを含むことができる。要約は、空港運航車両もしくは装置、ローカルもしくはリモートの航空交通管制塔、別個の監視コンピュータ、または所望の目的に合致する任意の好ましい場所もしくは場所の組み合わせにおいて表示することができる。
【0055】
一実施例では、折れ線グラフは、経時的な実際の減速率12および経時的なシミュレートされる減速率を表示する。
図2に示されているように、一変形形態では、グラフは、オートブレーキにおける最小設定のための減速率についてのライン14と、オートブレーキにおける最大設定のためのライン16とをさらに含むことができる。別の実施形態では、折れ線グラフは、経時的な航空機の速度を表示する。
図3に示されているように、一変形形態では、グラフは、オートブレーキ設定のそれぞれについて、経時的なシミュレートされる航空機速度、すなわち、オートブレーキ設定1についてのライン22、オートブレーキ設定2についてのライン24、オートブレーキ設定3についてのライン26、オートブレーキ最大設定についてのライン28、および観測された航空機速度についてのライン32を含むこともできる。グラフは、航空交通管制塔、別個の監視コンピュータまたは所望の目的に合致する任意の好ましい場所もしくは場所の組み合わせに表示することができる。
【0056】
さらなる実施形態では、当該システムは、滑走路の各セクションにおいて実際に受けた減速度を示すために、上記にて検討された、計算された減速率の差を滑走路のグラフマップに組み込むことができる。このようなグラフィック表現は、適切な人員が対処可能な空港滑走路上の潜在的「トラブルスポット」を容易に示すことができる。これは、空港のマップ上にオーバーレイされた色分けグラフィック表示を含むことができる。例えば、減速率の差が許容範囲を超える場合、当該システムは、NEMSから収集された位置データに基づいて、航空機が着陸した滑走路のセクションをマーキングすることができる。当該セクションは、任意の所望の形式(例えば、異なる色、輪郭、異なるパターン)でマーキングすることができる。一変形形態では、複数の許容範囲が使用される場合、どの許容範囲を超えているかに応じて、異なるマークを使用することができる。別の変形形態では、着陸距離の差、減速率の差、対地速度の差、航空機がとった経路、および/または着陸の差がそれぞれの許容範囲を超過するかどうかについて、異なるマークを使用することができる。一実施形態では、当該システムは、選択された空港の滑走路のマップを含み、上記のように滑走路のセクションをマーキングし、マーキングされた滑走路を、空港管制塔のレシーバへ、またはユーザが見るのに適した任意の他の場所へ送信する。空港についての滑走路のマップは、セクションをマッピングするための任意の適切なソースから取得することができる。別の変形形態では、当該セクションを、空港管制部または任意の他の適切な場所にある既存の滑走路マップ上にマーキングすることができる。所望の用途に適した滑走路のマップをマーキングする任意の手段および/または方法が、本明細書において企図されている。
【0057】
さらに別の実施形態では、空港のレーダーマップ上の航空機のアイコンを、上記にて検討された、計算された着陸距離の差、減速率の差、対地速度の差、および/または着陸の差が許容範囲を超えた時に、マーキングまたはアニメーション化することができる。一変形形態では、マーキングは、飛行機のアイコンの色の変更を含むことができる。別の変形形態では、マーキングは、飛行機のアイコンに隣接して配置された追加のシンボルまたはアイコンを含むことができる。さらなる変形形態では、マーキングは、カーソルが飛行機のアイコン上に配置されまたは隣接する時に現れる「ポップアップ」を含むことができる。所望の用途に合致する航空機のアイコンに対応する任意のマーキングが企図される。
【0058】
別の実施形態では、当該システムは、上記にて検討された情報の少なくとも一部をデータベースに記憶するように構成されている。一変形形態では、情報は、1つのデータベースに記憶される。別の変形形態では、個別のデータベースが、情報の個別の断片に使用される。さらなる変形形態では、選択された過去の時間量についての情報がデータベースに記憶され、選択された時間量より古い情報が削除される。さらに別の変形形態では、データベースは、ユーザが異なる要因(例えば、日付、時刻、気象、空港、滑走路識別、航空機ブランド、航空機モデル、減速率の範囲、着陸距離の範囲、滑走路状態報告、NOTAMS)に基づいて結果をフィルタリングすることができるように検索可能である。情報を記憶するための任意の方法またはシステムが、本明細書において企図されている。
【0059】
実施形態において、本発明は、航空機の実際の地表面移動イベントを捕捉し、イベントからのデータを、シミュレートされるバージョンまたは予想されるバージョンのイベントと比較するための方法を含む。このような方法は、コンピュータプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムに具現化することができる。例えば、一実施形態では、当該方法は、航空機の地表面移動イベントを捕捉し、ほぼリアルタイムで地表面移動イベントを分析して、航空機の速度、着陸距離、操舵および減速率における異常を検出することを含む。別の実施形態では、当該方法は、飛行機の地表面移動イベントを捕捉し、地表面移動イベントを記録し、地表面移動イベントを分析して、航空機の速度、着陸距離、操舵および減速率における異常を検出することを含む。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、航空機が除氷領域を離れた時から離陸が開始されるまでの時間を記録し、実際の離陸前に飛行乗務員および除氷作業員に報告することができる。これは、現在の状態における除氷剤についての最長残存時間を超える可能性がある場合に、彼らに警報する。
【0061】
当該方法は、システムをSWIMまたは同様のフレームワークに接続するステップを含むことができる。一変形形態では、当該方法は、ケーブルネットワークを介して、システムをSWIMフレームワークに直接に接続することを含む。別の変形形態では、当該方法は、無線または移動体通信ネットワークを介して、システムをSWIMフレームワークに接続することを含む。ここでのステップは、所望の目的に合致する任意の手段により完了することができる。
【0062】
当該方法は、接続を介して、SWIMまたは同様のフレームワークから航空機情報を収集するステップをさらに含むことができる。一変形形態では、当該方法は、収集されるべき特定のデータを検索することおよび/またはフィルタリングすることをさらに含む。別の変形形態では、当該方法は、SWIMフレームワークから全ての利用可能な情報を収集することをさらに含む。任意の量の利用可能な情報を収集することが、本明細書において企図されている。
【0063】
また、当該方法は、航空機が着陸手順を開始する時に、SWIMまたは同様のフレームワークからの航空機の着陸位置を記録するステップも含むことできる。一変形形態では、記録は、SWIMまたは同様のフレームワークが着陸位置を記録するのと同時に行うことができる。別の変形形態では、記録は、着陸手順が完了した後に行うことができる。航空機の着陸位置を記録する任意のタイミングが、本明細書において企図されている。
【0064】
当該方法は、着陸手順の間に、SWIMまたは類似のフレームワークからの航空機の速度をある時点にわたって記録するステップを含むことができる。一変形形態では、航空機の速度は、可能であれば、着陸手順の1秒毎に記録される。別の変形形態では、航空機の速度は、着陸手順の毎分または他の時間セグメントで記録される。任意の選択された時間間隔で記録される航空機の速度が、本明細書において企図されている。
【0065】
また、当該方法は、着陸手順の終わりに、SWIMまたは同様のフレームワークからの航空機の最終位置を記録するステップも含むことができる。一変形形態では、この記録は、SWIMフレームワークが最終位置を記録するのと同時に行うことができる。別の変形形態では、この記録は、SWIMフレームワークが最終位置を記録した後、選択された時間量で行うことができる。航空機の最終位置を記録する任意のタイミングが、本明細書において企図されている。
【0066】
当該方法は、実際の着陸手順に関する特定の情報を計算するステップをさらに含むことができる。例えば、この情報は、実際の減速率、実際の着陸距離、実際の対地速度、実際の操舵経路および/または任意の好ましいデータを含むことができる。一変形形態では、実際の減速率を、航空機の速度が記録されるたびに、即時に計算することができる。別の変形形態では、実際の減速率を、着陸手順が終了すると計算することができる。実際の減速率または飛行機の経路を、所望の用途に合致する任意のタイミングで計算することができる。
【0067】
一変形形態では、実際の着陸距離は、着陸点と最終位置との間の距離を計算することにより、SWIMフレームワークが航空機の最終位置を記録するのと併せて即時に計算される。別の変形形態では、実際の着陸距離は、SWIMフレームワークが最終位置を記録した後の選択された時間量として計算される。実際の着陸距離は、所望の用途に合致する任意の時間で計算することができる。
【0068】
当該方法は、SWIMフレームワークおよび/または他のデータソースからの情報に基づいて、シミュレートされるまたは予想される着陸手順を計算するステップをさらに含むことができる。シミュレートされる着陸手順は、シミュレートされる減速率、シミュレートされる着陸距離、シミュレートされる対地速度、飛行機の経路および/またはシミュレートされる着陸点を含むことができる。シミュレートされる着陸手順は、SWIMフレームワークおよび/または他のデータソースからの情報に基づいて、任意の所望の情報を含むことができる。
【0069】
また、当該方法は、シミュレートされる着陸手順からのデータを実際の着陸手順からのデータと比較するステップも含むことができる。例えば、実際の着陸距離をシミュレートされる着陸距離と比較して着陸距離の差を見出すことができ、実際の減速率をシミュレートされる減速率と比較して減速率の差を見出すことができ、舗装路上での航空機の実際の経路をシミュレートされる経路または予想される経路と比較することができるなどである。一変形形態では、当該方法は、差を所定の許容範囲と比較するステップをさらに含む。差が所定の許容範囲を超える場合、上記の種類の警報を発することができる。代替的には、着陸手順が行われた滑走路のセクションを変更して、起こりうる問題を知らせることができる。
【0070】
当該方法は、比較の要約を生成するステップをさらに含むことができる。例えば、要約は、シミュレートされる着陸距離を実際の着陸と比較するグラフを含むことができる。別の例では、要約は、同じ間隔についてシミュレートされる航空機の速度に次いで、選択された間隔で実際の航空機の速度をコンパイルするデータシートを含むことができる。こうした要約は、ユーザが希望する形式またはプログラムされた形式をとることができる。
【0071】
また、当該方法は、シミュレートされる航空機の地表面移動手順からのデータと、実際の航空機の地表面移動手順からのデータとを比較するステップも含むことができる。例えば、実際の航空機の地表面移動とシミュレートされる航空機の地表面移動とを比較して差を見出すことができるなどである。一変形形態では、当該方法は、差と所定の経路または時間とを比較して、経路または活動の許容範囲を完了するステップをさらに含む。差が所定の許容範囲を超える場合、警告を発することができる。代替的に、飛行場運航管理部が、航空機の地表面移動における最良の管理慣行に対する新しいまたは異なるアプローチを決定することもある。
【0072】
当該方法は、比較の要約を生成するステップをさらに含むことができる。例えば、要約は、シミュレートされる航空機の地表面移動と実際の航空機の地表面移動とを比較するグラフを含むことができる。別の例では、要約は、同じ間隔についてシミュレートされる航空機の地上移動に次いで、選択された間隔で実際の航空機の地表面移動をコンパイルするデータシートを含むことができる。ここでの要約は、ユーザが希望する形式またはプログラムされた形式をとることができる。
【0073】
図4に示されているように、本発明は、SWIM/SMESまたは同等物に接続するステップ100と、着陸イベントを待機するステップ200と、航空機を識別するステップ300と、航空機についての位置データを記録するステップ400と、位置データを分析するステップ500と、航空機が許容可能な動作性能範囲外にあることを示し、オペレータに伝達される要約を生成するステップ600とを含むことができる。
図4に図示されているように、航空機を識別するステップ300は、航空機の識別番号を記録することと、航空機のタイプ/モデルを識別することと、着陸手順中に航空機のオートブレーキの現在の設定を識別することとを含むことができる。位置データを分析するステップ500は、航空機の減速率を計算することと、航空機についての着陸距離を計算することと、マップ上に色分けされた情報を表示することと、異常を識別または報告することと、航空機の地表面移動のコンプライアンスまたは非コンプライアンスを識別または報告することとを含むことができる。
【0074】
本発明は、以下のものを提供しうると企図されている。
【0075】
全地球的な航空機の地表面移動イベントを捕捉するソフトウェアプログラムであって、航空機の速度、着陸距離、航空機の減速率、着陸位置、航空機ルート、航空機ルートのタイミング、および地上移動活動のうちの少なくとも1つを含む航空機パラメータにおける異常を検出するための方法を含むことを特徴とする、ソフトウェアプログラム。
【0076】
履歴レビュー/クエリのために、航空機の地表面移動を記録する、ソフトウェアプログラム。
【0077】
機械学習および人工知能を利用して、自己監視および改善を行う、ソフトウェアプログラム。
【0078】
地表面移動イベントを捕捉するソフトウェアプログラムであって、観測された着陸距離、(滑走路の開始部から測定される)着陸中に使用される滑走路の一部について観測された減速率または平均減速率、(着陸中に全体の3分の1が使用される場合)滑走路の3分の1までに観測された減速率または平均減速率、各測定について地理的に局在化された、観測された減速率または平均減速率、および観測された航空機の地上移動のうちの少なくとも1つを計算するための方法を含むことを特徴とする、ソフトウェアプログラム。
【0079】
航空機の地表面移動イベントを捕捉するソフトウェアプログラムであって、検査/評価される領域を視覚的に識別するためにマップ上にオーバーレイされた色分け範囲を使用して観測された減速率、ならびに日付、時刻、気象、報告された滑走路状態、滑走路識別、航空機ブランド、航空機モデル、減速率の範囲、着陸距離の範囲および空港の舗装路/地面上の航空機の位置のうちの少なくとも1つの基準により航空機の軌道または経路をフィルタリングする能力のうちの少なくとも1つを表すための方法を含むことを特徴とする、ソフトウェアプログラム。
【0080】
航空機の地表面移動イベントを捕捉するソフトウェアプログラムであって、追跡された航空機に基づく範囲外の減速率、航空機の種類および減速率の期待範囲、ならびに航空機の地上移動異常のうちの少なくとも1つを追跡するための方法を含むことを特徴とする、ソフトウェアプログラム。
【0081】
種々の共通減速力、例えば、着陸時のホイールスピンアップ、空気力学的フラップ、スポイラ、逆推力、ならびに汚染物への衝突および汚染物の抗力を識別し、無視しまたは注目し、これらの加速/減速力がそれぞれ期待パラメータ内にあるかまたは期待パラメータ外にあるかを判定するように構成された機械学習またはアルゴリズムを含む、ソフトウェアプログラム。
【0082】
着陸位置を分析し、「正常範囲外」が検出された場合にこれを報告する、ソフトウェアプログラム。
【0083】
航空機の着陸停止距離を分析し、ゴムの堆積または舗装のマクロもしくはミクロのテクスチャの劣化による停止距離の延長の可能性を報告する、ソフトウェアプログラム。
【0084】
これらに限定されるものではないが着陸、離陸および離陸拒否を含む航空機の地上移動が許容動作範囲内にあるかまたは同範囲外にあることを確認する、ソフトウェアプログラム。
【0085】
人工知能による動作が可能となるように構成された別のシステムを学習させ、ティーチングするように構成されている、ソフトウェアシステム。
【0086】
静的に、自律的にまたは配員により、航空機の着陸および航空機の地表面移動を全地球的に監視し、許容範囲外の着陸および/または入力された予測外の着陸または任意の航空機の地表面移動についての警告および警報を提供することができる、ソフトウェアシステム。
【0087】
本明細書で開示する実施例に関連して説明した方法またはアルゴリズムは、直接にハードウェアで、ソフトウェアで(例えば、プロセッサまたは他のコンピュータコンポーネントにより実行可能なものとして)または両方の組み合わせで、処理ユニット、プログラミング命令もしくは他の指示の形式で実施することができ、単一のデバイスに含めることができまたは複数のデバイスにわたって分散させることができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROMまたは当技術分野において公知の他の形式の記憶媒体に存在することができる。このような記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合させることができる。代替的には、記憶媒体は、プロセッサと一体であってもよい。
【0088】
本開示は、例示であり、本開示に含まれる教説の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加し、修正しまたは削除することにより、種々の変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は、下記の特許請求の範囲として必然的に限定される範囲を除いて、本開示の特定の詳細に限定されるものではない。