(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ナノ粒子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/027 20060101AFI20240925BHJP
C01B 33/029 20060101ALI20240925BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20240925BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240925BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C01B33/027
C01B33/029
B82Y30/00
B82Y40/00
H05H1/46 M
H05H1/46 L
(21)【出願番号】P 2021555816
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020025975
(87)【国際公開番号】W WO2020205872
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-17
(32)【優先日】2019-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー、ジェイムズ アレン
(72)【発明者】
【氏名】セラーノ、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィテカー、デイヴィッド ローレンス
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/194181(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0307776(US,A1)
【文献】特表2013-521215(JP,A)
【文献】特表2008-508166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0042950(US,A1)
【文献】特開2004-359979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
B82Y 30/00
B82Y 40/00
H05H 1/46
C09K 11/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面を有する反応チャンバーを含むプラズマ反応器内にケイ素ナノ粒子を製造するための方法であって、
i)前記プラズマ反応器の前記反応チャンバーにハロゲンガスを導入するステップと、
ii)前記ハロゲンガスが前記反応チャンバー内に存在する間に前記反応チャンバー内のプラズマに点火するステップであって、前記ハロゲンガスの原子は、前記反応チャンバーの前記内面上に少なくとも部分的にコーティングを形成し、前記コーティングはハロゲン原子を含み、ステップii)はステップiii)の前に行われる、及び/又はステップii)はケイ素前駆体ガスを無しで行われる、ステップと、
iii)ケイ素前駆体ガス及び第1不活性ガスを含む反応ガス混合物を前記プラズマ反応器の前記反応チャンバーに導入するステップと、
iv)前記プラズマ反応器内で前記ケイ素ナノ粒子を形成するステップと、を含む、方法
であって、
前記反応チャンバーへの前記ハロゲンガスの前記導入は、前記反応ガス混合物の前記導入の前であり、前記ハロゲンガスは、非ハロゲン原子を含まない二原子ハロゲンガスである、方法。
【請求項2】
前記内面は、ケイ素原子を含む第1コーティングを有し、前記ハロゲンガスで形成された前記コーティングは、ケイ素原子及びハロゲン原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
初期不活性ガス
が、前記ハロゲンガスと共に前記反応チャンバーに導入される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ハロゲンガスが前記反応チャンバー内に存在する間に前記反応チャンバー内のプラズマに点火することにより、ケイ素原子及び前記ハロゲンガスを含む前記第1コーティングから前記反応チャンバー内にハロシランが形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ハロゲンガスは、前記ケイ素ナノ粒子の製造中に前記反応ガス混合物と共に前記反応チャンバー内に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応ガス混合物は、炭素、ゲルマニウム、ホウ素、リン、及び窒素から選択される元素を含む第2前駆体ガスを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ素ナノ粒子を、真空粒子収集チャンバー内の捕捉流体に収集するステップを更に含み、前記真空粒子収集チャンバーの圧力は、前記反応チャンバーの圧力よりも低く、前記捕捉流体は、炭化水素流体、ケイ素含有流体、又はフルオロカーボン流体を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマ反応器から拡散ポンプに前記ケイ素ナノ粒子を導入するステップと、
リザーバ内の前記捕捉流体を加熱して蒸気を形成し、前記蒸気をジェットアセンブリを通して送るステップと、
前記蒸気をノズルを通して前記拡散ポンプのチャンバーに放出し、前記蒸気を凝縮して前記捕捉流体を含む凝縮液を形成するステップと、
前記凝縮液を前記リザーバに逆流させるステップと、
前記捕捉流体を含む前記凝縮液中の前記ケイ素ナノ粒子を捕捉するステップとを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応チャンバーの前記内面上に前記第1コーティングを形成するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月31日に出願された米国仮特許出願第62/827,130号の優先権及び全ての利益を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ナノ粒子を製造する方法、より具体的には、プラズマ反応器内でケイ素ナノ粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子は当技術分野で知られており、様々なプロセスを介して調製することができる。ナノ粒子は、多くの場合、100ナノメートル未満の少なくとも1つの寸法を持つ粒子として定義される。ナノ粒子は、最初にナノ粒子よりも大きいバルク材料から、又はイオン及び/若しくは原子など、ケイ素ナノ粒子よりも小さい粒子からのいずれかで製造される。ナノ粒子は、ケイ素ナノ粒子が由来するバルク材料又はより小さな粒子とは著しく異なる特性を有し得るという点で特に独特である。例えば、絶縁体又は半導体として機能するバルク材料は、ナノ粒子の形態である場合、導電性又は光輝性(フォトルミネッセンス性)であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小さな(直径5nm未満)ケイ素ナノ粒子の重要な特性は、刺激されると可視光を光ルミネセンスすることである。ケイ素ナノ粒子は、オプトエレクトロニクス、診断、分析、化粧品などの様々な用途で使用され得る。ケイ素ナノ粒子には、粒子直径の関数として変化する融点など、バルク材料とは異なる追加の物理的特性がある。
【0005】
内面を有する反応チャンバーを含むプラズマ反応器内にケイ素ナノ粒子を製造するための方法が提供される。本方法は、プラズマ反応器の反応チャンバーにハロゲンガスを導入するステップを含む。本方法は、ハロゲンガスが反応チャンバー内に存在する間に反応チャンバー内でプラズマに点火するステップを更に含む。ハロゲンガスの原子は、反応チャンバーの内面上に少なくとも部分的にコーティングを形成する。本方法はまた、ケイ素前駆体ガス及び第1不活性ガスを含む反応ガス混合物をプラズマ反応器の反応チャンバーに導入するステップを含む。本方法は、プラズマ反応器内でケイ素ナノ粒子を形成するステップを更に含む。
【0006】
上記方法で製造されたケイ素ナノ粒子も提供される。
【0007】
ケイ素ナノ粒子組成物が更に提供される。ケイ素ナノ粒子組成物は、上記方法に従って製造されたケイ素ナノ粒子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の詳細な説明に記載の本発明の他の利点及び態様は、添付の図面に関連して検討すると、さらに理解することができる。
【0009】
【
図1】
図1は、ケイ素ナノ粒子を製造するための低圧短波パルスプラズマ反応器の一実施形態を示す。
【0010】
【
図2】
図2は、ケイ素ナノ粒子を製造するための低圧パルスプラズマ反応器と、ケイ素ナノ粒子を収集するための拡散ポンプと、を含むシステムの実施形態を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、反応器を介して製造されたケイ素ナノ粒子を収集するための拡散ポンプの一実施形態の概略図を示す。
【0012】
【
図4】
図4は、実施例1及び2並びに比較例1で形成されたナノ粒子の発光強度を示す。
【0013】
【
図5】
図5は、実施例3~5で形成されたナノ粒子の発光強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ケイ素ナノ粒子を製造するための方法、その方法によって製造されたケイ素ナノ粒子、及びケイ素ナノ粒子を含む組成物を提供する。ケイ素ナノ粒子は優れた物理的特性を備え、オプトエレクトロニクスから化粧品まで、無数の最終用途に適する。
【0015】
本方法は、内面を有する反応チャンバーを含むプラズマ反応器内で実施される。プラズマ反応器及び反応チャンバーについては、以下でより詳細に説明する。
【0016】
本方法は、プラズマ反応器の反応チャンバーにハロゲンガスを導入するステップを含む。本方法は、ハロゲンガスが反応チャンバー内に存在する間に反応チャンバー内でプラズマに点火するステップを更に含む。ハロゲンガスの原子は、反応チャンバーの内面上に少なくとも部分的にコーティングを形成する。
【0017】
ハロゲンガスの非限定的例としては、塩素ガス(Cl2)、フッ素ガス(Fl2)、臭素ガス(Br2)、ヨウ素ガス(I2)、及びそれらの混合物など、周期表の第17族から選択された元素からなるガス状二原子分子が挙げられる。或いは、ハロゲンガスは、金属ハロゲン化物又は他のハロゲン含有ガスを含み得る。しかし、典型的には、ハロゲンガスは、非ハロゲン原子を含まない二原子ハロゲンガスである。
【0018】
典型的には、本方法は、以下に記載されるように、反応ガス混合物を導入する前に、ハロゲンガスを反応チャンバーに導入するステップを含む。そのような実施形態では、反応チャンバーへのハロゲンガスの導入は、反応ガス混合物を反応チャンバーに導入することとは別個であるが、反応ガス混合物はまた、任意選択でハロゲンガスを含み得る。反応ガス混合物の導入とは異なり、ハロゲンガスの導入は前駆体ガスの導入を含まない。反応ガス混合物を導入する前に反応チャンバーにハロゲンガスを導入すると、本方法で反応ガス混合物によって形成されるケイ素ナノ粒子の物理的特性が改善される。
【0019】
特定の実施形態では、ハロゲンガスが反応チャンバーに導入され、プラズマが、プラズマ反応器内でケイ素ナノ粒子を製造する各プロセスの前に点火される。しかし、ハロゲンガスを反応チャンバーに導入することと、以下に記載される反応ガス混合物からプラズマ反応器でナノ粒子を製造することとの間に、時間遅延、又はプラズマ反応器による追加のプロセスがあり得ることが企図される。
【0020】
特定の実施形態では、ハロゲンガスを反応チャンバーに導入することは、初期不活性ガスをハロゲンガスと共に反応チャンバーに導入することを更に含む。
【0021】
初期不活性ガスは、概して、ハロゲンガスの分子又は原子のいずれかの内で、又は反応チャンバー自体とは非反応性である。不活性ガスの例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びそれらの組み合わせなどの希ガスが挙げられる。利用される場合、初期不活性ガスは、典型的には、ハロゲンガス及び初期不活性ガスの総量に基づいて1から99%v/vの量で利用される。ハロゲンガス及び初期不活性ガスは、反応チャンバーに別々に導入されるか、又は一緒に反応チャンバーに導入され得、例えば、単一の流れで、又は反応チャンバー内で組み合わさる別々の流れで導入され得る。特定の実施形態では、ハロゲンガス及び初期不活性ガスは、他の反応ガス又は前駆体ガスを含まないか、或いは他のガスを全く含まない反応器に導入される。
【0022】
反応チャンバーは、典型的には、プラズマプロセスに適した材料を含む。特定の実施形態では、反応チャンバーは、或いは、石英を含む。特定の実施形態では、反応チャンバーの内面は、ケイ素原子を含む第1コーティングを含む。当業者は、反応チャンバーの内面上にケイ素原子を含むか、或いは本質的にそれからなる第1コーティングを形成する方法を容易に理解する。例えば、第1コーティングは、化学的又は物理的方法によって形成され得る。例えば、第1コーティングは、当技術分野で知られているように、シラン堆積プロセスを介して形成され得る。或いは、ケイ素は、概して、堆積されてケイ素ナノ粒子のそのような製造を実行する際に第1コーティングを形成するので、第1コーティングは、ケイ素ナノ粒子を生成する際の反応チャンバーの事前の使用から形成され得る。
【0023】
本方法は、反応ガスが反応チャンバー内に存在する間に反応チャンバー内でプラズマに点火するステップを更に含む。プラズマに点火するためのパラメータは、プラズマプロセスを介してケイ素ナノ粒子を製造することに関して以下に説明される。プラズマに点火するためのパラメータは、ケイ素ナノ粒子を製造するときにプラズマに点火するためのパラメータと同じであっても異なっていてもよく、プラズマに点火する各ステップは独立して選択される。しかし、簡潔にするために、プラズマに点火するためのパラメータは、ケイ素ナノ粒子の製造に関して以下にまとめて説明される。
【0024】
プラズマが、反応チャンバー内でその中に存在するハロゲンガスを用いて点火されるとき、本方法は、反応チャンバーの内面上に少なくとも部分的にコーティングを形成する。少なくとも部分的にコーティングを形成することとは、内面上のコーティングが連続的又は不連続的であり、例えば、組成、厚さなどの任意の特性が異なり得ることを意味する。コーティングは、典型的には、ハロゲン原子を含む。第1コーティングが反応チャンバーの内面上に存在する場合、コーティングはケイ素原子とハロゲン原子とを含む。例えば、コーティングは、ハロシランを含み得る。コーティングがケイ素原子とハロゲン原子とを含むか、或いはそれらからなる場合、ケイ素原子とハロゲン原子とは一緒に結合することができ(例えば、ハロシラン原子の場合)、及び/又はコーティング内で互いに物理的に隣接することができる。コーティングの形成は、第1コーティングの劣化をもたらす可能性があり、第1コーティング及びコーティングは、コーティングの形成時に互いに区別できない可能性がある。コーティングは、概して、本発明の方法によって形成されるケイ素ナノ粒子を不動態化するのに役立ち、従って、改善された優れた物理的特性、特に光学的特性を与える。
【0025】
様々な実施形態では、利用されるハロゲンガスの量は、コーティングの所望の特性に基づくものである。特定の実施形態では、ハロゲンガスは、コーティング中のケイ素原子とハロゲン原子とのモル比を選択的に制御する流量で利用される。ケイ素原子とハロゲン原子との該モル比はまた、本発明の方法全体を通して選択的に制御することもでき、例えば、ケイ素ナノ粒子の製造中にコーティングが劣化した場合、プロセスの後半(例えば、反応ガス混合物中)で更なる量のハロゲンガスを利用する。
【0026】
様々な実施形態では、ケイ素ナノ粒子(或いは単にナノ粒子と呼ばれ得る)を調製するために使用されるプラズマプロセスは、プラズマ反応器内で実行される。様々な実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、ケイ素に加えて、独立して選択された第IV族元素を含む。本明細書で使用される場合、周期表の族の表記は、全般的に、CAS又は古いIUPAC命名法に由来し、当技術分野で容易に理解されるように、第IV族元素は、現代のIUPACシステムの下で第14族元素と呼ばれる。本明細書で使用される場合、第IV族元素は、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びF1を含む。典型的には、ケイ素ナノ粒子の第IV族元素は、Si、Ge、Sn、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
プラズマプロセスが低圧反応器内で実行される特定の実施形態では、プラズマプロセスは、低圧反応器内でナノ粒子エアロゾルを形成することを含み、エアロゾルは、ガス中に同伴ケイ素ナノ粒子を含む。ケイ素ナノ粒子は、概して、それらの形成時に収集される。特定の実施形態では、以下に説明するように、ケイ素ナノ粒子は、典型的には低圧反応器と流体連通する捕捉流体中にケイ素ナノ粒子を捕捉することによって収集される。
【0028】
ケイ素ナノ粒子を製造するために利用される特定のプラズマシステム及びプロセスに関係なく、プラズマシステムは全般的にケイ素前駆体ガスに依存する。ケイ素前駆体ガスは、概して、ケイ素ナノ粒子の所望の組成に基づいて選択される。
【0029】
前駆体ガスは、概して、ナノ粒子の所望の組成に基づいて選択される。例えば、上で紹介したように、前駆体ガスは、典型的には、ケイ素を含む。ケイ素ナノ粒子が少なくとも1つの他の元素を含む場合、前駆体ガスは、概して、ゲルマニウム、スズ、及び/又は他の第IV族元素から選択される原子を含む。
【0030】
特定の実施形態では、前駆体ガスは、シラン、ジシラン、ハロゲン置換シラン、ハロゲン置換ジシラン、C1-C4アルキルシラン、C1-C4アルキルジシランなどを含むケイ素化合物の形態で存在又は提供され得るケイ素、並びにそれらの誘導体及び/又は組み合わせを含む。例えば、いくつかの実施形態では、前駆体ガスは、前駆体ガスの0.1から2体積%、或いは0.1から50体積%の量のケイ素化合物を含む。いくつかのそのような実施形態では、反応ガス混合物は、反応ガス混合物の0.1から2体積%、或いは0.1から50体積%の量のケイ素化合物を含む。
【0031】
前駆体ガス中又は前駆体ガスとしての使用に適したケイ素化合物の全般的な例としては、アルキルシラン及び芳香族シランが挙げられる。前駆体ガス中での又は前駆体ガスとしての使用に適したケイ素化合物のいくつかの特定の例としては、ジメチルシラン(H3C-SiH2-CH3)、テトラエチルシラン((CH3CH2)4Si)及びジフェニルシラン(Ph-SiH2-Ph)ジシラン(Si2H6)、四塩化ケイ素(SiCl4)、トリクロロシラン(HSiCl3)、ジクロロシラン(H2SiCl2)が挙げられる。特定の実施形態では、ケイ素化合物は、SiCl4、HSiCl3、及び/又はH2SiCl2を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、前駆体ガスは、ゲルマン、ジゲルマン、ハロゲン置換ゲルマン、ハロゲン置換ジゲルマン、C1-C4アルキルゲルマン、C1-C4アルキルジゲルマンなどを含むゲルマニウム化合物の形態で存在又は提供され得るさらなるゲルマニウム、並びにそれらの誘導体及び/又は組み合わせを含む。前駆体ガス中での又は前駆体ガスとしての使用に適したゲルマニウム化合物の特定の例としては、テトラエチルゲルマン((CH3CH2)4Ge)及びジフェニルゲルマン(Ph-GeH2-Ph)が挙げられる。前駆体ガスは、他の第IV族元素とともに、ケイ素とゲルマニウムとの両方を含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、前駆体ガスは、第IV族金属を含む有機金属前駆体化合物を更に含む。そのような有機金属前駆体化合物の例としては、有機ケイ素化合物、有機ゲルマニウム化合物、及び有機スズ化合物、例えばアルキルゲルマニウム化合物、アルキルシラン化合物、アルキルスタンナン化合物、クロロシラン化合物、クロロゲルマニウム化合物、クロロスタンナン化合物、芳香族シラン化合物、芳香族ゲルマニウム化合物、芳香族スタンナン化合物など、並びにそれらの誘導体及び/又は組み合わせが挙げられる。それら又は他の実施形態では、前駆体は、水素ガス、ハロゲンガス(例えば、塩素ガス、臭素ガスなど)、又はその両方を含む。特定の実施形態では、前駆体ガスは、第IV族元素の原子並びにH及び/又はハロゲン原子を含む化合物を含む。
【0034】
典型的には、反応ガス混合物は、反応ガス混合物の総体積に基づいて0.1から50体積%、或いは1から50体積%の量の前駆体ガスを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、反応ガス混合物は、ハロゲンガス(例えば、塩素ガス(Cl2))を更に含む。ハロゲンガスは、前駆体ガス中に、例えば、組み合わせた供給物中に存在し得、又は前駆体ガスと一緒に若しくはそれとは別の別個の供給物として利用され得る。ハロゲンガスの相対量は、利用される場合、選択された前駆体ガスなどの様々な要因に基づいて最適化することができる。例えば、前駆体ガスがハロゲン原子を含む場合、ハロゲン官能性ナノ粒子を調製するために必要なハロゲンガスの量が少なくなる可能性がある。特定の実施形態では、ハロゲンガスは、反応ガス混合物の総体積の0超から25%v/v、或いは1から25%v/v、或いは1から10%v/vの量で利用される。
【0036】
反応ガス混合物は、他のガス、即ち、前駆体ガス以外のガスを含み得る。特定の実施形態では、反応ガス混合物は、不活性ガスを含む。不活性ガスは、概して、プラズマ反応器の動作中にプラズマ流内に存在する分子又は原子のいずれかの内で非反応性である。不活性ガスの例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びそれらの組み合わせなどの希ガスが挙げられる。利用される場合、不活性ガスは、典型的には、反応ガス混合物の総体積に基づいて1から99%v/vの量で存在する。
【0037】
反応ガス混合物は、ドーパント、例えば、方法中にプラズマ反応器内に形成されたナノ粒子に組み込まれる(即ち、「ドープされる」)原子の供給源を含み得る。そのような実施形態では、ドーパントは、代替的に、第2前駆体ガスと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子はプラズマ中で気相ドーピングを受け、反応ガス混合物は、ケイ素を含む第1前駆体ガスを含み、ケイ素ナノ粒子を形成し、第2前駆体ガスは、それらが核形成するときに解離し、ナノ粒子に組み込まれる、別の元素を含む。当然、ナノ粒子(即ち、一度形成される)はまた、又は代替的に、例えば、ナノ粒子の製造の下流であるが、ナノ粒子が捕捉流体に収集される前にドープされ得る。いくつかの実施形態では、反応ガス混合物は、トリメチルシラン、ジシラン、トリシラン、BCl3、B2H6、PH3、GeH4、GeCl4などの、炭素、ゲルマニウム、ホウ素、リン、及び/又は窒素を含むドーパント、並びにそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、反応ガス混合物は、反応ガス混合物の総体積に基づいて0.1から49.9%v/vの量のドーパントを含む。いくつかの実施形態では、反応ガス混合物は、反応ガス混合物の総体積に基づいて0.1から50%v/vの合計量の、前駆体ガスと試薬とを含む。
【0038】
特定の実施形態では、反応ガス混合物は水素ガスを含む。典型的には、そのような実施形態では、反応ガス混合物は、反応ガス混合物の総体積に基づいて1から50体積%、或いは1から2体積%、或いは1から10体積%の量の水素ガスを含む。
【0039】
本開示の一形態では、ケイ素ナノ粒子は、第IV族元素の合金、例えば、ケイ素合金を含み得る。形成されてもよいケイ素合金としては、炭化ケイ素、ケイ素ゲルマニウム、ケイ素ホウ素、ケイ素リン、及び窒化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。ケイ素合金は、少なくとも1つの第1前駆体ガスを第2前駆体ガスと混合すること、又は異なる元素を含有する前駆体ガスを用いることによって形成されてもよい。しかし、合金化ケイ素ナノ粒子を形成する他の方法も企図される。
【0040】
様々な実施形態では、プラズマ反応器は、プラズマシステム(或いは、プラズマ反応器システムと呼ばれる)の構成要素である。本発明の方法に特に適したプラズマ反応器システムの特定の実施形態を以下に説明する。以下に記載される特定の実施形態は、ケイ素ナノ粒子を製造するのに適した例示的なプラズマプロセスの単なる例であることを理解されたい。
【0041】
任意のプラズマ反応器、又はプラズマ反応器を含むシステムを利用してナノ粒子エアロゾルを調製することができるように、プラズマ反応器は特に限定されない。特定の実施形態では、プラズマ反応器は、プラズマ反応器システム(或いはプラズマシステムとも呼ばれる)の構成要素であり、これは、例えば、超短波低圧プラズマ反応器システム、低圧短波プラズマ反応器システムなどであり得る。このようなプラズマ反応器システムは、
図1に例示され、それは、全般的に、20のプラズマ反応器システムを示す。プラズマ反応器システム20は、プラズマ生成チャンバー22、プラズマ生成チャンバー22と流体連通する粒子収集チャンバー26、並びに粒子収集チャンバー26及びプラズマ生成チャンバー22と流体連通する真空源28を含む。
【0042】
或いは、プラズマ反応器及び/又は放電管と呼ばれ得るプラズマ生成チャンバー22は、短波(HF)又は超短波(VHF)無線周波数(RF)電源(図示せず)を含む。出力は、任意的波形発生器によってトリガーされる可変周波数RF出力増幅器21を介して電源から供給され、23に示される領域に短波パルスプラズマ(或いは単にプラズマと呼ばれる)を確立する。典型的には、無線周波数出力はプラズマに容量結合され、リング電極、平行板、又はガス中のアノード/カソードセットアップを使用して容量結合プラズマ放電を生成する。或いは、無線周波数出力は、誘導結合プラズマ(ICP)反応器構成において放電管22の周りに配置されたRFコイルを使用し、プラズマに誘導結合され得る。
【0043】
プラズマ生成チャンバー22はまた、可変RF出力増幅器21に取り付けられた電極構成24を含む。プラズマ生成チャンバー22はまた、第2電極構成25を含む。第2電極構成25は、電極構成24に対して、接地、DCバイアス、又はプッシュプル方式で操作することができる。プラズマ生成チャンバー22はまた、反応ガス入口29、及び開口部又はオリフィス31を画定する出口30を含む。プラズマ生成チャンバー22はまた、誘電性放電管(図示せず)を含み得る。様々な実施形態では、プラズマ生成チャンバー22は、石英を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、プラズマ生成チャンバー22の電極構成24、25は、流水式シャワーヘッド設計を含み、この設計では、VHF無線周波数バイアスされた上流多孔質電極板24は、電極板24、25の孔が互いに整列された状態で、下流多孔質電極板25から分離される。孔は、円形、矩形、又は任意の他の望ましい形状であってよい。
【0045】
或いは、堆積チャンバー及び/又は真空粒子収集チャンバーと呼ばれ得る粒子収集チャンバー26は、概して、容器32を収容する。
【0046】
真空源28は、典型的には、真空ポンプを含む。しかし、特定の実施形態では、真空源28は、機械的ポンプ、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプ、又は低温ポンプを含み得る。動作中、プラズマ生成チャンバー22の一部は、減圧(即ち、真空レベル)、例えば、1×10-7から500トール、或いは100ミリトールから10トールの圧力まで排気され得る。
【0047】
動作中、電極構成24、25は、HF又はVHF出力を反応ガス混合物に結合し、23に示される識別された領域内のプラズマに点火し、そのグロー放電(即ち、「プラズマの点火」)を持続するために使用される。特定の実施形態では、代替的に第1反応性前駆体ガスと呼ばれ得る反応ガス混合物は、プラズマが生成される誘電性放電管(図示せず)に入る。とにかく、反応ガス混合物の分子成分は、荷電原子としてプラズマ中で解離し、それが核形成する反応ガス混合物からナノ粒子を形成し、ガス中にケイ素ナノ粒子を含むエアロゾル(即ち、「ナノ粒子エアロゾル」)を与える。次に、該エアロゾルを粒子収集チャンバー26、特に容器32に輸送する。
【0048】
より具体的には、粒子収集チャンバー26は、概して、容器32内に配置され、ナノ粒子を捕捉するために使用される捕捉流体27を含む。容器32又は捕捉流体27は、回転可能な支持体、撹拌機構などを介して、撹拌(例えば、撹拌、回転、反転、超音波処理など)(図示せず)するように適合させることができる。いくつかの実施形態では、捕捉流体27は、捕捉流体27の表面をリフレッシュし、その中の捕捉されたナノ粒子をオリフィス32の中心線から離れるようにするために撹拌される。このように、捕捉流体27へのナノ粒子の吸収速度は、捕捉流体27の撹拌を増加させることによって増加させることができる。例えば、特定の実施形態では、超音波処理は、捕捉流体27を撹拌する向上した方法として利用され得る。典型的には、捕捉流体27は、プラズマ反応器システム20の動作温度で液体である。
【0049】
概して、プラズマ反応器システム20を介して製造されるナノ粒子は、プラズマ生成チャンバー22の出口30の開口部31と捕捉流体27の表面との間の距離(例えば、「収集距離」)を変更することによってナノ粒子直径に関して変更/制御され得る。収集距離は、典型的には、開口部31の直径の5から50倍の範囲(即ち、5「開口部直径」のから50倍)である。捕捉流体27の表面を開口部31に近くしすぎて位置決めすると、プラズマと捕捉流体27との望ましくない相互作用が生じる可能性がある。逆に、捕捉流体27の表面を開口部31から遠くしすぎて位置決めすると、ナノ粒子の収集効率が低下する可能性がある。収集距離は、開口部31の直径及びプラズマ生成チャンバー22と収集チャンバー26との間の圧力降下の関数であるため、許容可能な収集距離は、本明細書に記載の動作条件に基づいて、典型的には1cmから20cm、或いは5cmから10cm、或いは6cmから12cmである。
【0050】
いくつかの実施形態では、HF又はVHF無線周波数電源(図示せず)は、10から500mLの周波数範囲で事前に選択されたRFで動作し、ナノ粒子エアロゾルを形成するのに十分な時間プラズマを生成する。事前に選択された無線周波数は、10~500MHz、或いは30MHz~150MHzの連続周波数であり、典型的には、それぞれ5~1000W、或いは1W~200Wの結合電力に対応する。特定の実施形態では、事前に選択された無線周波数は、100から150mLの連続周波数である。
【0051】
いくつかの実施形態では、プラズマ生成チャンバー22は、VHF無線周波数電源に結合され、プラズマ生成チャンバー22内の接地リング(図示せず)から可変距離だけ離れて配置された尖った先端(図示せず)を有する、電極24を含み得る。或いは、尖った先端は、プッシュプルモード(180°位相がずれる)で動作するVHF無線周波数駆動リングから可変距離に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、電極構成24、25は、VHF無線周波数電源に結合された誘導コイル(図示せず)を含み、その結果、無線周波数出力は、誘導コイルによって形成された電場によって反応ガス混合物に供給される。
【0052】
領域23のプラズマは、例えば、AR Worldwide Model KAA2040、又はElectronics and Innovation Model 3200L、又はEM Power RF Systems,Inc.Model BBS2E3KUTなどのRF出力増幅器を介して起動される(或いは点火されると呼ばれる)。増幅器は、0.15~150MHzで最大200ワットの電力を生成できる任意的波形発生器(例えば、Tektronix AFG3252関数発生器)によって駆動(又はパルス化)できる。いくつかの形態では、任意的波形が、パルス列、振幅変調、周波数変調、又は異なる波形を用いて出力増幅器を駆動することが可能であり得る。増幅器と反応ガス混合物との間の電力結合は、典型的には、RF出力の周波数が増加するにつれて増加する。より高い周波数で電力を駆動すると、電源と放電の間のより効率的な結合が可能になる場合がある。結合の増加は、式1による電圧定在波比(VSWR)の減少として現れる場合があり、
【数1】
式中、pは、反射係数であり、
【数2】
式中、Zp及びZcは、それぞれプラズマ及びコイルのインピーダンスを表す。30MHz未満の周波数では、電力の2~15%のみがプラズマ放電に供給され、高い反射電力とRF回路とを作り出し、加熱の増加及び電源の寿命の制限につながる。対照的に、より高い周波数を使用し、より多くの電力をプラズマ放電に供給できるようにし、それによってRF回路における反射電力の量を減らすことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、プラズマ放電の電力及び周波数は、ナノ粒子の形成のための最適な動作空間を作り出すために事前に選択される。典型的には、電力と周波数との両方を調整すると、プラズマ放電に適切なイオンと電子のエネルギー分布が作成され、反応ガス混合物の分子が解離し、ケイ素ナノ粒子が核形成する。プラズマ放電の電力は、プラズマ放電内の個々の粒子の温度を制御する。プラズマ放電内の個々の粒子の温度を制御することにより、プラズマ放電内に形成されたケイ素ナノ粒子の結晶化度を制御することが可能である。典型的には、より高い電力では結晶質粒子が生成し、低い電力では非晶質粒子が生成する。電力と周波数との両方を制御することはまた、ケイ素ナノ粒子が大きくなりすぎるのを防ぐのに利用することもできる。
【0054】
プラズマ反応器システム20は、ナノ粒子核形成の滞留時間を直接管理するためにパルス化され得、それによってプラズマ中の粒子サイズ分布及び凝集速度を制御し得る。概して、システム20をパルス化することにより、プラズマ中の粒子滞留時間の制御された調整が可能になり、これは、その中で形成されるケイ素ナノ粒子のサイズに影響を与える。プラズマの「オン」時間を減少させることにより、核形成粒子は凝集する時間が少なくなり、従って、ケイ素ナノ粒子のサイズは平均して減少し得る(即ち、ナノ粒子分布がより小さな直径の粒子サイズに移動され得る)。様に、ナノ粒子合成位置と捕捉流体27の表面との間の距離は、典型的には、同伴されたナノ粒子の望ましくない凝集を回避するために十分に短くなるように選択される。
【0055】
ケイ素ナノ粒子のサイズ分布はまた、放電による前駆ガス分子滞留時間に対して、プラズマ滞留時間、VHF無線周波数低圧グロー放電の高イオンエネルギー/密度領域を制御することによって制御され得る。典型的には、一定の動作条件(例えば、放電駆動周波数、駆動振幅、放電管圧力、チャンバー圧力、プラズマ出力密度、前駆体質量流量、プラズマ源電極からの収集距離など)では、ガス分子滞留時間に対し、VHF無線周波数低圧グロー放電のプラズマ滞留時間が短いことは、一定の動作条件での平均ナノ粒子直径の減少に対応する。例えば、ガス分子滞留時間に対し、VHF無線周波数低圧グロー放電のプラズマ滞留時間が増加するとき、平均ナノ粒子直径は、y=y0-exp(-tr/C)の形式の指数関数的成長モデルに従い、式中、yは平均ナノ粒子直径、y0はオフセット、trはプラズマ滞留時間、Cは定数である。粒子サイズ分布は、他の方法で、一定の操作条件下でプラズマ滞留時間を増加させることによっても増加させることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、有核ナノ粒子の平均粒子直径(及びナノ粒子サイズ分布)は、VHF無線周波数低圧グロー放電における少なくとも1つの前駆体ガスの質量流量を制御することによって制御することができる。例えば、前駆体ガス(又は複数のガス)の質量流量がVHF無線周波数低圧プラズマ放電で増加するにつれて、合成された平均ナノ粒子直径は、y=y0+exp(-MFR/C’)の形式の指数関数的減衰モデルに従って減少し得、式中、yは平均ナノ粒子直径、y0はオフセット、MFRは前駆体の質量流量、C’は一定の動作条件での定数である。典型的な動作条件は、放電駆動周波数、駆動振幅、放電管圧力、チャンバー圧力、プラズマ出力密度、プラズマを通るガス分子滞留時間、及びプラズマ源電極からの収集距離を含み得る。合成された平均ナノ粒子サイズ分布はまた、y=y0+exp(-MFR/K)の形式の指数関数的減衰モデルとしても減少し得、式中、yは平均ナノ粒子直径、y0はオフセット、MFRは前駆体の質量流量、Kは一定の動作条件での定数である。
【0057】
典型的には、プラズマ反応器システム20をより高い周波数範囲で動作させ、プラズマをパルス化することは、プラズマ不安定性を使用して高いイオンエネルギー/密度を生成する従来の収縮/フィラメント放電技術と同じ条件を提供し、しかし、ユーザーが動作条件を制御してナノ粒子を所定のサイズで選択及び生成できるという追加の利点があり、これは特定の特徴的な物理的特性(例えば、フォトルミネッセンス)に影響を与える。
【0058】
パルス注入の場合、ナノ粒子の合成(或いは堆積と呼ばれ得る)は、パルス超短波RFプラズマ、短波RFプラズマ、又は熱分解用のパルスレーザーなどのパルスエネルギー源を使用して実現できる。典型的には、VHF無線周波数は、1~50kHzの範囲の周波数でパルス化される。
【0059】
上記のように、ケイ素ナノ粒子を含むエアロゾルは、プラズマ反応器22から収集チャンバー26に、特に、容器32内に配置された捕捉流体27に移送される。特定の実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、プラズマが点火される間に反応ガス混合物の投入をパルス化することによって捕捉流体27に移送される。例えば、いくつかのそのような実施形態では、プラズマは、ケイ素ナノ粒子を合成するために存在する第1反応性前駆体ガスで点火され、不活性ガスなど、放電を持続するために少なくとも1つの他のガスが存在する。ケイ素ナノ粒子の合成は、第1反応性前駆体ガスの流れを停止することによって停止され(例えば、質量流量コントローラーを使用し)、次に、第1反応性前駆体ガスを再び流すことによって再開される。該パルスストリーム技術は、例えば、捕捉流体27に衝突する官能性ナノ粒子の流束が、捕捉流体27へのケイ素ナノ粒子の吸収速度よりも大きい場合、捕捉流体27中のナノ粒子の濃度を増加させるために使用され得る。特定の実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、プラズマを低イオンエネルギー状態に循環させること、及び/又はプラズマをオフにすることにより、プラズマ反応器22から粒子収集チャンバー26(例えば、容器32に配置された捕捉流体27)に排出される。
【0060】
いくつかの実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、プラズマ生成チャンバー22と粒子収集チャンバー26との間の圧力差を介してプラズマ生成チャンバー22から捕捉流体27に移送され、それは、様々な手段によって制御することができ、プラズマ生成チャンバー22から流れ出るナノ粒子の超音速ジェットを作り出すのに十分であり得る。超音速ジェットは、気相の粒子間相互作用を最小限に抑え、ケイ素ナノ粒子をガス流中で単分散に保つ。特定の実施形態では、放電管22は、粒子収集チャンバー26の内径よりもはるかに小さな内径を有し、従って、圧力差を生じさせる(例えば、粒子収集チャンバー26の圧力が反応チャンバー22の圧力よりも低い場合)。様々な実施形態では、堆積チャンバーの圧力は、<1x10-5トールであり、それは、真空源28を介して制御され得る。いくつかの実施形態では、オリフィス31は、例えば、プラズマのデバイ長及びプラズマ生成チャンバー22のサイズに基づいてプラズマを部分的にオリフィス31の内側に存在させるように適合される。特定の実施形態では、オリフィス31を静電的に変更し、負に帯電したプラズマを開口部31に通す正の集中的電荷を発生させることができる。
【0061】
上で紹介したように、プラズマ生成チャンバー22内で反応ガス混合物の分子が解離すると、ナノ粒子が形成され、気相に同伴される。ナノ粒子合成位置と捕捉流体27の表面との間の距離は、ケイ素ナノ粒子が気相に同伴される間に望ましくない核形成又は機能化が起こらないように十分に短くする必要があり、しかし、代わりに、ケイ素ナノ粒子は気相内で相互作用し、多数の個々の小さなナノ粒子の凝集が形成され、捕捉流体27に捕捉される。気相内で相互作用が多く起こりすぎると、ケイ素ナノ粒子が一緒に焼結し、平均直径が大きなナノ粒子を形成し得る。
【0062】
本実施形態に適した反応器に関する追加の例は、国際公開第2010/027959号及び同第2011/109229号の開示に記載され、それらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。そのような反応器は、低圧短波パルスプラズマ反応器であり得るが、それに限定されない。
【0063】
他のプラズマ反応器及びプラズマ反応器システムを利用できることが理解される。例えば、特定の実施形態では、本方法は、
図2の50で全般的に示されるプラズマ反応器システムによって例示されるプラズマ反応器システムを利用して実行され得る。それらの実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、プラズマ反応器システム50で調製され、それは、上記従来プラズマ反応器システムと同様に、プラズマ生成チャンバー22を含む。
【0064】
それらの実施形態では、プラズマ反応器システム50は、拡散ポンプ120を含む。したがって、ケイ素ナノ粒子は、拡散ポンプ120によって収集され得る。粒子収集チャンバー26は、プラズマ生成チャンバー22と流体連通し得る。拡散ポンプ120は、粒子収集チャンバー26及びプラズマ生成チャンバー22と流体連通し得る。本開示の他の形態では、プラズマ反応器システム50は、粒子収集チャンバー26を除外することができる。例えば、出口30は、拡散ポンプ120の入口103に結合し得、又は拡散ポンプ120は、プラズマ生成チャンバー22と実質的に直接流体連通し得る。
【0065】
図3は、
図2の実施形態のプラズマ反応器システム50に適した例示的な拡散ポンプ120の断面概略図である。拡散ポンプ120は、入口103及び出口105を有するチャンバー101を含み得る。入口103は5cmから140cmの直径を有し得、出口は1cmから21cmの直径を有し得る。チャンバー101の入口103は、反応器20の出口30と流体連通する。拡散ポンプ120は、例えば、65から65,000リットル/秒又は65,000リットル/秒を超えるポンピング速度を有し得る。
【0066】
拡散ポンプ120はまた、チャンバー101と流体連通するリザーバ107を含む。リザーバ107は、捕捉流体を支持又は収容する。リザーバの容積は30mlから15リットルであり得る。拡散ポンプ内の捕捉流体の体積は、30mlから15リットルであり得る。拡散ポンプ120は、リザーバ107内の捕捉流体を気化させるためのヒーター109を更に含み得る。ヒーター190は、捕捉流体を加熱し、捕捉流体を気化させて蒸気を形成する(例えば、液相から気相への変換)。例えば、捕捉流体は、100から400℃、或いは180から250℃に加熱され得る。
【0067】
ジェットアセンブリ111は、リザーバ107と流体連通し得、ジェットアセンブリ111は、気化した捕捉流体をチャンバー101に排出するためのノズル113を含み得る。気化した捕捉流体は、ジェットアセンブリ111を通って流れて上昇し、ノズル113から放出される。気化した捕捉流体の流れは、矢印を使用して
図3に示される。気化した捕捉流体は凝縮し、リザーバ107に逆流する。例えば、ノズル113は、気化した捕捉流体をチャンバー101の壁に対して排出し得る。チャンバー101の壁は、水冷システムなどの冷却システム114で冷却され得る。チャンバー101の冷却された壁は、気化した捕捉流体を凝縮させ得る。次に、凝縮した捕捉流体は、重力の下で、チャンバー101の壁に沿ってかつそれを下って流れ、リザーバ107に逆流し得る。捕捉流体は、拡散ポンプ120を通して連続的に循環させ得る。捕捉流体の流れにより、入口103に入るガスは、入口103からチャンバー101の出口105に拡散する。真空源33は、出口105からのガスの除去を支援するために、チャンバー101の出口105と流体連通し得る。
【0068】
ガスがチャンバー101を通って流れるとき、ガス中の同伴ナノ粒子(例えば、ナノ粒子エアロゾルのケイ素ナノ粒子)は、捕捉流体によって吸収され得、それによってガスからケイ素ナノ粒子を収集する。例えば、ケイ素ナノ粒子の表面は、気化及び/又は凝縮された捕捉流体によって濡らされ得る。循環捕捉流体の撹拌は、静的流体と比較し、ケイ素ナノ粒子の吸収速度を更に改善し得る。チャンバー101内の圧力は、1ミリトール未満であり得る。
【0069】
ケイ素ナノ粒子を含む捕捉流体は、拡散ポンプ120から除去され得る。例えば、ケイ素ナノ粒子を含む捕捉流体は、連続的に除去され、ケイ素ナノ粒子を実質的に含まない捕捉流体と交換され得る。
【0070】
有利なことに、拡散ポンプ120は、ケイ素ナノ粒子を収集するためだけでなく、プラズマ生成チャンバー22及び収集チャンバー26を排気するためにも使用され得る。例えば、プラズマ生成チャンバー22内の動作圧力は、低圧、例えば、大気圧未満、760トール未満、又は1から760トールの間であり得る。収集チャンバー26は、例えば、1から5ミリトールの範囲であり得るか、又は1×10-5トール未満の圧力を有し得る。同様に、他の動作圧力も企図される。
【0071】
プラズマ反応器システム50はまた、拡散ポンプ120の出口105と流体連通する真空ポンプ又は真空源33を含み得る。真空源33は、拡散ポンプ120が適切に動作するように選択され得る。本実施形態の一形態では、真空源33は、真空ポンプ(例えば、補助ポンプ)を含む。真空源33は、機械的ポンプ、ターボ分子ポンプ、又は低温ポンプを含み得る。しかし、他の真空源を代替的に、又は追加的に利用し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本方法は、プラズマ生成チャンバー22内でナノ粒子エアロゾルを形成するための、
図2のプラズマ反応器システム50を利用するステップを含む。ナノ粒子エアロゾルは、ガス中にケイ素ナノ粒子を含み得、本方法は、プラズマ生成チャンバー22から拡散ポンプ120にナノ粒子エアロゾルを導入するステップを更に含む。そのような実施形態では、本方法はまた、リザーバ107内の捕捉流体を加熱して蒸気を形成するステップと、蒸気をジェットアセンブリ111を通して送るステップと、蒸気をノズル113を通して拡散ポンプ120のチャンバー101に放出するステップと、蒸気を凝縮して凝縮液を形成するステップと、凝縮液をリザーバ107に逆流させるステップと、を含み得る。本方法はまた、リザーバ107内の捕捉流体凝縮液中のナノ粒子エアロゾルのケイ素ナノ粒子を捕捉及び収集するステップを含み得る。捕捉流体凝縮液中のナノ粒子エアロゾルのケイ素ナノ粒子を捕捉する機能は、捕捉流体中のナノ粒子エアロゾルのケイ素ナノ粒子を収集する機能と同一であり得る。本方法は、真空源33を用いて拡散ポンプ120からガスを除去するステップを更に含み得る。ケイ素ナノ粒子が捕捉流体27に直接収集される上記
図1を参照して説明された実施形態と比較し、プラズマ反応器システム50は、ナノ粒子エアロゾルからケイ素ナノ粒子を捕捉/収集するために利用される拡散ポンプ120内で凝縮される気化形態の捕捉流体を利用する。
【0073】
上で紹介したように、プラズマ反応器で形成されたナノ粒子エアロゾルは、ガス中のナノ粒子を含む。ガスに関して、当業者は、ガスが、以下で詳細に説明するようにプラズマ反応器に導入されるそれらのガス、ケイ素ナノ粒子が形成される反応ガス混合物のそのような様々なガス成分を含むことを容易に理解する。
【0074】
ナノ粒子エアロゾルを調製するために利用される特定の低圧反応器とは無関係に、ケイ素ナノ粒子は、任意選択で捕捉流体又は拡散ポンプ流体内に収集され、それはまた捕捉流体としても機能し得る。
【0075】
利用される場合、捕捉流体は、ケイ素ナノ粒子を捕捉するのに適し得る任意の化合物、成分、又は流体を含み得る。例えば、従来の捕捉流体で利用される従来の構成要素は、捕捉流体として利用され得る。従来の捕捉流体の特定の例としては、ポリジメチルシロキサン、フェニルメチルジメチルシクロシロキサン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、及び/又はペンタフェニルトリメチルトリシロキサンなどのシリコーン流体、炭化水素、フェニルエーテル、フッ素化ポリフェニルエーテル、スルホキシド(例えば、無水メチルスルホキシド)、炭化水素流体、ケイ素含有流体、フルオロカーボン流体及びイオン性液体が挙げられる。異なる成分の組み合わせは捕捉流体に利用され得る。捕捉流体は、23±3℃で、0.001から1Pa×s、0.005から0.5Pa×s、又は0.01から0.2Pa×sの動的粘度を有し得る。更に、捕捉流体は、1×10-4トール未満の蒸気圧を有し得る。捕捉流体の表面上に膜を形成することなく、ケイ素ナノ粒子を捕捉流体に注入又は吸収できるようにするには、捕捉流体の粘度を低くする必要がある。いくつかの実施形態では、捕捉流体は、-20℃から150℃の範囲の温度及び1から5ミリトール(0.133Paから0.665Pa)の範囲の圧力にある。いくつかの実施形態では、捕捉流体は、粒子収集チャンバー26内の圧力よりも低い蒸気圧を有する。
【0076】
捕捉流体は、材料取り扱い及び貯蔵媒体として使用できることが企図される。一実施形態では、捕捉流体は、ケイ素ナノ粒子が収集されるときにナノ粒子が捕捉流体に吸収及び分散され、ひいては捕捉流体中にナノ粒子の分散又は懸濁液を形成することを可能にするように選択される。
【0077】
ケイ素ナノ粒子は、量子閉じ込め効果により、多くの稀有な電子的、磁気的、触媒的、物理的、光電子的及び光学的特性を示し得る。例えば、多くの半導体ナノ粒子は、同様の組成の巨視的材料のフォトルミネッセンス効果よりも大幅に大きいフォトルミネッセンス効果を示す。
【0078】
ケイ素ナノ粒子の直径は、次の方程式から計算できる。
【数3】
【0079】
Proot,et.al.Appl.Phys.Lett.,61,1948(1992)、Delerue,et.al.Phys.Rev.B.,48,11024(1993)、及びLedoux,et.al.Phys.Rev.B.,62,15942(2000)に記載されるように、式中、hはプランク定数、cは光速、Egはケイ素のバルク状態のバンドギャップである。
【0080】
官能化ナノ粒子及び/又はケイ素ナノ粒子は、独立して、50未満、或いは20未満、或いは10未満、或いは5nm未満の最大寸法又は平均最大寸法を有し得る。任意選択で、ケイ素ナノ粒子は0.1nmを超える最大寸法を含む。更に、ケイ素ナノ粒子の最大寸法又は平均最大寸法は、1~50、或いは2~50、或いは2~20、或いは2~10、或いは2.2~4.7nmであり得る。ケイ素ナノ粒子の最大寸法は、透過型電子顕微鏡(TEM)などの様々な方法で測定できる。例えば、当該技術分野において理解される通り、粒径分布は、数百の異なるナノ粒子のTEM画像分析を介して算出されることが多い。様々な実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、量子ドット、典型的にはケイ素量子ドットを含み得る。量子ドットは、3つの空間次元すべてに閉じ込められた励起子を持ち、個々の結晶を含み得、つまり、各量子ドットは単結晶である。
【0081】
様々な実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、UV光への曝露によって励起されると、光輝性であり得る。ケイ素ナノ粒子の平均直径に応じて、ケイ素ナノ粒子は、可視スペクトルの任意の波長でフォトルミネッセンスを示し、可視スペクトルで赤色、橙色、緑色、青色、紫色、又は他の色に見える場合がある。例えば、ケイ素ナノ粒子の平均直径が5nm未満の場合、可視フォトルミネッセンスが観察され得、ケイ素ナノ粒子の平均直径が10nm未満の場合、近赤外(IR)発光が観察され得る。本開示の一形態では、ケイ素ナノ粒子は、365nmの励起波長で少なくとも1×106の光輝性強度を有する。光輝性強度は、450WのXe励起源、励起モノクロメータ、サンプルホルダ、エッジバンドフィルタ(400nm)、発光モノクロメータ、及びケイ素検出器光電子増倍管を伴う、Fluorolog3分光蛍光光度計(Horiba(Edison,NJ)から市販されている)を用いて測定されてもよい。光輝性強度を測定するために、励起及び発光スリット幅は、2nmに設定し、また積分時間は、0.1秒に設定する。これらの実施形態又は他の実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、積分球に結合された1000ミクロンの光ファイバーと入射光子の>10%の吸収を有する分光光度計とを介して、HR400分光光度計(Ocean Optics(Dunedin,Florida)から市販されている)で測定した場合、395nmの励起波長で少なくとも4%の量子効率を有する。量子効率は、サンプルを積分球に配置し、Ocean OpticsLEDドライバーによって駆動される395nmLEDを介してサンプルを励起することによって計算される。システムは、積分球からの絶対放射照度を測定するための既知の照明源を用いて較正した。次に、量子効率は、ケイ素ナノ粒子によって発光された総光子と、ケイ素ナノ粒子によって吸収された総光子との比によって計算される。更に、それら又は他の実施形態では、ケイ素ナノ粒子は、270~500nmの励起波長で20~250の半値発光極大を有し得る。
【0082】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、ケイ素ナノ粒子のフォトルミネッセンスは、ケイ素ナノ粒子の直径が励起半径よりも小さい結果としてバンドギャップが曲がる(つまり、ギャップが増加する)場合に発生する量子閉じ込め効果によって引き起こされると考えられる。ナノ粒子のバンドギャップエネルギーは、ナノ粒子の直径の関数として変更する。ケイ素はバルク状態の間接バンドギャップ半導体であるが、直径が5nm未満のケイ素ナノ粒子は、励起子の界面トラップによって可能になる直接バンドギャップ材料をエミュレートする。
【0083】
更に、特にケイ素ナノ粒子が空気にさらされてケイ素ナノ粒子の表面を不動態化する場合、光輝性強度と発光量子効率との両方が時間とともに増加し続け得る。本開示の他の形態では、ケイ素ナノ粒子の発光極大波長は、不動態化されると(例えば、酸素にさらされると)、時間とともにより短い波長に偏移する(即ち、発光スペクトルの青方偏移)。ケイ素ナノ粒子の発光量子効率は、不動態化時に200%から2500%増加し得る。しかしながら、他の発光量子効率の増大も、同様に企図される。光輝性強度は、不動態化の時間範囲と、ケイ素ナノ粒子が懸濁する流体中のケイ素ナノ粒子の濃度とに応じて、400%から4500%に増加し得る。しかしながら、他の光輝性強度の増大も、同様に企図される。ケイ素ナノ粒子から発光される光の波長スペクトルは、ケイ素ナノ粒子の不動態化に伴って青方偏移する。本開示の一形態では、発光極大波長は、不動態化の持続時間に応じて、ナノ粒子サイズの約1nmの減少に対応する、100nmの青方偏移を受ける。しかし、他の発光極大波長の偏移も本明細書で企図される。不動態化の代替手段としては、ケイ素ナノ粒子をアンモニアなどの窒素含有ガスと接触させ、ケイ素ナノ粒子上に、窒化物を含む表面層を作成することが挙げられる。
【0084】
本開示の組成及び方法を説明する以下の実施例は、本開示を説明することを意図し、本開示を限定することを意図しない。
【0085】
実施例1及び2並びに比較例1
【0086】
発光分光計、Ocean Optics PlasCalc-2000-UV/VIS/NIRは、超短波低圧プラズマ反応器に取り付けられる。該分光計は、スペクトル範囲が200~1100nmで、半値極大(FWHM)の光学分解能が1nmのファイバーベースの分光計である。該分光計は、壁の堆積の減衰を取り除くために、放射状ではなく石英窓を介して放電管の軸を見下ろしてプラズマの上に配置される。発光分光計のスペクトルは、Ocean Optics SpecLineソフトウェアを使用してオフラインで分析し、原子及び分子の発光種を特定する。
【0087】
ケイ素ナノ粒子はプラズマ反応器内で製造される。実施例1及び2では、ナノ粒子を製造する方法は、最初にハロゲンガス(Cl2)及びアルゴン(Ar)を導入するステップと、プラズマ反応器の反応チャンバー内でプラズマに点火するステップと、その後、反応チャンバー内に反応ガス混合物を導入してケイ素ナノ粒子を製造するステップと、を含む。比較例1では、実施例1及び2と同じプロセスを実行してケイ素ナノ粒子を製造するが、ケイ素ナノ粒子を製造する前、ハロゲンガスを反応チャンバーに導入し、反応チャンバー内のプラズマに点火するステップ1はない。Horiba FL3分光蛍光光度計で直角に測定した場合、実施例1及び2のケイ素ナノ粒子は、比較例1のケイ素ナノ粒子と比較し、より高い発光強度(1.5~2.25倍のピーク強度)を有する。
【0088】
以下の表1及び2は、実施例1及び2並びに比較例1に関連するパラメータ/条件を示す。表1及び2で、ガス前駆体の値はガスの体積百分率、周波数はプラズマの無線周波数、PFは進行波、PRは反射波、PCは結合電力、Peffは電力効率である。PDMSはポリジメチルシロキサンを示す。PDMSの粘度は25℃で10cStである。
【0089】
【0090】
【0091】
図4に示すように、Horiba FL3分光蛍光光度計で測定した場合、実施例1と実施例2で形成されたナノ粒子は、比較例1で形成されたナノ粒子よりも高い発光強度(1.5~2.25倍のピーク強度)を示す。
【0092】
実施例3~5
【0093】
実施例3~5は互いに同じであるが、注意点が1つある。実施例3は、本発明の方法を利用し、実施例1及び2に従う(時間を含む特定のパラメータを除く)。実施例3~5のそれぞれは、短い堆積時間(20分)を利用する。実施例4及び5は、実施例3の後に実施されたが、ナノ粒子を製造する前に反応チャンバーにハロゲンガスを導入する追加のステップなしで実施される。従って、実施例4及び5は、実施例3からのハロゲンガスを導入し、プラズマに点火するステップのみを利用する。
図5に示すように、Horiba FL3分光蛍光光度計で測定した場合、実施例3のケイ素ナノ粒子のピーク発光強度は、実施例4及び5のケイ素ナノ粒子のピーク発光強度よりもほぼ6倍大きい。
【0094】
以下の表3及び4は、実施例3~5に関連するパラメータ/条件を示す。表3及び4で、ガス前駆体の値はガスの体積百分率、周波数はプラズマの無線周波数、PFは進行波、PRは反射波、PCは結合電力、Peffは電力効率である。PDMSはポリジメチルシロキサンを示す。PDMSの粘度は25℃で10cStである。
【0095】
【0096】
【0097】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。本明細書で様々な実施形態の具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0098】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていない場合であっても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。