(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】バイオ医薬製品用可撓性バッグの完全性の可能な喪失を検出するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20240925BHJP
G01M 3/32 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01M3/20 E
G01M3/32 A
(21)【出願番号】P 2021576868
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2020066690
(87)【国際公開番号】W WO2020260083
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-14
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520118670
【氏名又は名称】ザトーリウス ステディム エフエムテー エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SARTORIUS STEDIM FMT SAS
【住所又は居所原語表記】Avenue de Jouques - ZI des Paluds,13400 Aubagne,France
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】テナルド,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】カットゥー,バスティエン
(72)【発明者】
【氏名】ホグリフ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ナッハハッター,マンディプ
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポー,デルフィネ
(72)【発明者】
【氏名】ウルバニアク,トマズ
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0205307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0116365(US,A1)
【文献】特開2000-171329(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03499207(EP,A1)
【文献】特開2015-194406(JP,A)
【文献】特開2003-300508(JP,A)
【文献】特開2005-164525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/20
G01M 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガストレーサーを使用して可撓性バッグ(2)の完全性を検証するための検査システム(1)であって:
- 筐体の動作構成において、内部容積(10a)が筐体(10)の外側から流体密に隔離される、真空チャンバ(CH)を画定する筐体(10)と;
- 可撓性バッグ(2)が、内部容積(10a)によって囲繞されるように真空チャンバ(CH)内に配置されるときに、供給パイプ(3a)の出口(3b)を経由して、充填ステップ(FS)にて可撓性バッグの内容積をガストレーサーで充填するための供給パイプ(3a)を備えたガストレーサー供給デバイス(3)と;
- 吸引モードにおいて、真空吸引を行い、かつ可撓性バッグ(2)の外側の内部容積(10a)からガスを抜き取るための真空吸引アセンブリ(P1、P3)と;
- 吸引モードにおいて、真空吸引を行い、かつ可撓性バッグ(2)の内側からガスを抜き取るための真空吸引ライン(P2)(真空吸引ライン(P2)はバルブ(V4)を含む)と;
- 真空チャンバ(CH)に関連付けられ、かつ内部容積(10a)の検出領域(10d)(検出領域(10d)は真空吸引アセンブリ(P1、P3)の吸引入口と連通している)において可撓性バッグ(2)の内容積の外部のガストレーサーを感知可能な少なくとも1つのセンサ(9)と;
- 可撓性バッグ(2)の内側に追加の圧力を送達するための少なくとも1の第1のバルブを含む第1のバルブ配列(V1、V2;V2’)と;
- 真空吸引アセンブリ(P1、P3)および真空吸引ライン(P2)に属する第2のバルブ(第2のバルブは、可撓性バッグ(2)の内側およびチャンバ(CH)の内側に最初に含有されていた空気からヘリウムが抜き取られるようにさせるようにおのおの開放状態にあるように構成されている)を含む第2のバルブ配列(V3、V4)と;
- 充填ステップ(FS)の前後に少なくとも1つのセンサ(9)を使用して検出されたガストレーサー分圧の経時変化を表す情報を使用する分析モジュール(15)(分析モジュール(15)は、該情報に基づいて、可撓性バッグの完全性欠陥を反映するガストレーサー漏出を検出するように構成されている)とを含み;
検査システム(1)はさらに:
- 第1のバルブ配列(V1、V2;V2’)へ、および第2のバルブ配列(V3、V4)へ接続された圧力制御デバイス(20)とを含み、圧力制御デバイス(20)は、充填ステップ(FS)の前に真空チャンバ(CH)内で可撓性バッグ(2)を膨張状態に保つために、真空吸引アセンブリ(P1、P3)によって真空吸引が行われた後、かつ真空吸引アセンブリ(P1、P3)がまだ吸引モードにおいて動作している間、および真空吸引ライン(P2)によって真空吸引が行われた後、圧力しきい値未満の所定の圧力にて可撓性バッグ(2)の内側に窒素のガス状含有物を注入し、かつ維持するように構成されており;
かつ、充填ステップ(FS)の前に圧力制御デバイス(20)は連続的に、
- 真空吸引アセンブリ(P1、P3)と真空吸引ライン(P2)とを使用して、バッグ(2)の内側および内部容積(10a)内の真空吸引(VS1、VS2)を作動させ、
- 次に、第1のバルブ配列(V1、V2;V2’)の確定バルブ(V1)の閉止状態つまり非活動状態において、窒素のガス状含有物の選択的注
入をトリガーし、
- 次に、確定バルブ(V1)を開放状態つまり活動状態に設定することによって、ガストレーサー供給デバイス(3)をトリガーし、充填ステップ(FS)を開始させることを特徴とする、
前記検査システム。
【請求項2】
圧力制御デバイス(20)が、10mbar~100mbarの間からなる可撓性バッグ(2)内の圧力が、可撓性バッグ(2)の外側の内部容積(10a)内に提供される圧力よりも大きい正圧となるように、圧力しきい値未満の窒素を注入するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1のバルブ配列が、加圧窒素の供給源(24)と供給パイプ(3a)との間に配列された少なくとも1つのバルブ(V2)を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
第1のバルブ配列が、加圧窒素の供給源(24)と可撓性バッグ(2)のポート(12a、12b)に接続されることを意図した少なくとも1つの補助供給パイプ(
3c)との間に配列された少なくとも1つのバルブ(V2’)を含み、補助供給パイプ(3c)は供給パイプ(3a)から分離されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムであって、ガストレーサー供給デバイス(3)が第1のヘリウム供給デバイスであって、ガストレーサーはヘリウムであり、かつシステムは、可撓性バッグ(2)の外側の内部容積(10a)内にヘリウム(18)を加えるための第2のヘリウム供給デバイス(6)をさらに含み、第2のヘリウム供給デバイス(6)が、
- 供給パイプ(3a)とは別個であり、
- ヘリウム供給源と連通している、
供給部材を含む、前記システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシステムであって、ガストレーサー供給デバイス(3)がヘリウム供給デバイスであり、
分析モジュール(15)は、検出領域(10d)におけるヘリウム分圧低下(PD)を表す検査結果を得るために、充填ステップ(FS)の後に、少なくとも1つのセンサ(9)の使用によって検出されたヘリウム分圧の経時変化を表す情報を使用するように適合されており、分析モジュール(15)は:
- 真空吸引アセンブリ(P1、P3)が吸引モードにあるときに、充填ステップ(FS)に続く期間を包含する期間に、可撓性バッグ(2)の内側の窒素のガス状含有物を選択的に注入した後に検出された検出ヘリウム分圧を表す情報を使用し;
- 真空吸引アセンブリ(P1、P3)が吸引モードにあるときに、充填ステップ(FS)の前に少なくとも1つのセンサ(9)によって検出されたヘリウム分圧を表す情報に基づいて確定バックグラウンド値を確定した後、生の測定値から確定バックグラウンド値を減算し;かつ、
- 検査結果を少なくとも1つの基準結果と比較し、窒素とヘリウムで充填された可撓性バッグ(2)が完全性検証に合格したとみなされるか、またはしなかったかとみなされるかを確定するように構成されている、
前記システム。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか一項に記載のシステムであって、
- 間隔を置いた関係、好ましくは平行である2のプレート(12、14)と、
- 2のプレート(12、14)の間に可撓性バッグ(2)を受けるためのハウジングとを含み、プレートは充填ステップ(FS)の最中にヘリウムで充填されたときに可撓性バッグ(2)の伸張を拘束するための拘束プレートを形成する、
前記システム。
【請求項8】
2のプレート(12、14)がまた、充填ステップ(FS)の前に、可撓性バッグ(2)の伸張を拘束するための拘束プレートをも形成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
2のプレート(12、14)が、充填ステップ(FS)の前にバッグの膨張を抑制するために構成された2枚の垂直なプレートである、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
2枚のプレート
(12、14)が、充填ステップ(FS)の前にバッグの膨張を抑制するために構成された2枚の水平なプレートである、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項11】
可撓性バッグ(2)の完全性を検証し、可能な穴の存在を検出するためにトレーサーガスを使用する検査方法であって、検査方法は:
- 準備段階において:
○ 筐体(10)の動作構成において、筐体の外側から流体密に隔離されるように適合された真空チャンバ(CH)を画定する筐体(10)を含む検査システム(1)を提供すること;
○ 可撓性バッグ(2)を真空チャンバ(CH)内に配置し、可撓性バッグのポート(11)を、不活性であるトレーサーガスの供給源と連通する供給パイプ(3a)へ接続すること(トレーサーガスは、好ましくはヘリウムである);
○ 真空吸引手段(P1、P2、P3)を使用して、可撓性バッグ(2)の内側、および真空チャンバ(CH)内の可撓性バッグの外側で真空吸引(VS1、VS2)を行うこと;
○ 可撓性バッグ(2)の内容積を、窒素を使用して圧力しきい値未満で予備加圧(PPS)し、真空チャンバ(CH)の内部容積(10a)内の可撓性バッグ(2)の外側に真空を得る一方で、内容積内の窒素のガス状含有物に起因して可撓性バッグ(2)は膨張状態のままであること;
- 検査段階において、真空チャンバ(CH)の内部容積(10a)内の可撓性バッグ(2)の外側で真空吸引(VS1)がまだ行われている間:
○ 開放状態つまり活動状態にある少なくとも1つの第1のバルブ(V1)を使用して、充填ステップ(FS)にて一定量のトレーサーガスで可撓性バッグ(2)の内容積を充填すること(第1のバルブ(V1)は、ヘリウムが抜き取られるようにさせることに関与するバルブ配列(V3、V4)の第2のバルブから分離されている);
○ 少なくとも1つのセンサ(9)を使用して、内部容積(10a)内の可撓性バッグ(2)の外側のトレーサーガスの分圧を表す情報を検出し、可撓性バッグから逃げるこのトレーサーガスを検出できるようにさせること;
○ 次に、続くステップにおいて、少なくとも1つのセンサ(9)を使用して得られる、可撓性バッグ(2)の外側の内部容積(10a)内のトレーサーガス分圧低下(PD)を表す検査結果を、少なくとも1つの基準結果と比較し、可撓性バッグ(2)が完全性検証に合格したと見なされるか、またはしなかったとみなされるかを確定することを含む、
前記方法。
【請求項12】
トレーサーガスがヘリウムである請求項11に記載の検査方法であって、準備段階において検査方法はさらに:
- 可撓性バッグ(2)内側の真空吸引(VS2)を行い、可撓性バッグの内部空間(SP)を空にすること;
- 好ましくは予備加圧(PPS)を開始する前またはその時に、内部容積(10a)の検出領域(10d)内のトレーサーガスの分圧を測定すること;
- 検出領域(10d)におけるトレーサーガスの分圧の一次時間微分を計算すること、
をも含む前記方法。
【請求項13】
ガストレーサーがヘリウムであり、準備段階において、バックグラウンド値を確定するために要求されるバックグラウンド待機期間の最中に、好ましくは内部容積(10a)内においてヘリウム分圧が所定のしきい値と同じくらいに低いかまたはそれ未満と測定された後に、可撓性バッグ(2)の内側で窒素を用いた予備加圧(PPS)が行われる、請求項11または12に記載の検査方法。
【請求項14】
請求項11、12、または13に記載の検査方法であって、ガストレーサーがヘリウムであり、かつ基準結果が:
- 充填ステップ(FS)の開始後の所与の時間での既定の圧力か、
- または、充填ステップ(FS)の開始後の所与の時間にて、内部容積(10a)の検出領域(10d)において少なくとも1のセンサ(9)によって検出されるヘリウム漏出率の時間微分を計算することによって得られる既定の圧力低下しきい値のいずれかである、
前記方法。
【請求項15】
請求項11、12、13、または14に記載の検査方法であって、充填ステップ(FS)が行われて、可撓性バッグ(2)を、互いに間隔をあけ、かつ対向する2枚の伸張制限プレート(12、14)の間に維持させ、このプレートはそれらに対して配置された可撓性バッグ(2)の壁(W)においていかなる漏出も妨げないのに好適である、
前記方法。
【請求項16】
請求項11、12、13、14、または15に記載の検査方法であって、可撓性バッグ(2)は、バイオ医薬製品を受けることを意図した被検査デバイスを構成するか、またはその一部であり、被検査デバイスのそれぞれのポート(11、12a、12b)へ各々接続された数個の可撓性パイプ(7、9a、9b)を備え、被検査デバイスは真空吸引(VS1、VS2)を行う前にチャンバ(CH)内に配置され、
準備段階において、真空吸引(VS1、VS2)を行うことは、可撓性バッグ(2)の内側および筐体(10)内の可撓性バッグの外側の真空を得るために、筐体(10)の異なる吸引領域にてガスを排気することを伴い、
かつ、可撓性バッグ(2)の内側の窒素を用いる予備加圧(PPS)は、十分な真空を反映するしきい値未満の圧力を可撓性バッグ(2)の内側に得させた後に行われるステップである、
前記方法。
【請求項17】
可撓性バッグ(2)の内側に窒素を用いた予備加圧は、筐体(10)内の可撓性バッグ(2)の外側でヘリウム圧力が5.10
-3mbarの低さに達する前に行なわれるステップである、請求項16に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、可撓性容器(実例として、バイオ医薬流体を受けることを意図した可撓性バッグ)の完全性の可能な喪失を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
「バイオ医薬流体」という用語は、バイオテクノロジーから結果として生じる製品(培養液、細胞培養液、緩衝溶液、人工栄養液体、血液製剤、および血液製剤の派生物)または医薬品、あるいはより総体的には医療分野における使用を意図した製品を意味すると理解されたい。かかる製品は液体、ペースト、または場合によっては粉末の形態である。本発明はまた、それらの容器に関して同様の要求がある他の製品にも適用する。かかる製品は一般的に高付加価値であり、かかる製品が含有される容器の完全性、特にあらゆる汚濁がないことを保証することが重要である。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
保管および輸送目的のために、かかるバイオ医薬流体は、可撓性であり、密閉されており、かつ無菌であるプラスチック製の壁を有するバッグ内に配置することが習慣的である。かかるバッグは、バイオ医薬流体の使用前または使用の最中にバイオ医薬流体を受けるときに流体密であること、または少なくとも申し分のない流体密性を有することが不可欠であり、これによって、汚濁などバッグの外部で発生するあらゆる悪化から可能な内容物が保護される。そのため、使用前、使用中、使用後に、バッグの完全性のあらゆる喪失を容易に検出できることが必要である。
【0004】
バイオ医薬流体を含有するのに好適なバッグの完全性を検証するために、さまざまな方法が現在知られている。第1の知られた方法は、バッグの壁が漏出または穴を有するかを確定する物理的検査からなる。特許EP2,238,425は、空でありかつ無菌のバッグの内側の圧力が、その伸張を制限する2枚のプレートの間で増大される方法を説明している。バッグの壁と各プレートの間に多孔質材が配置され、壁と伸張制限プレートとの接触によってあらゆる漏出を隠すことを妨げる。バッグが膨張されて、その後バッグの内側の圧力の変動(バッグは2枚のプレートの間に挟まれ/拘束された状態において)が測定される。バッグの内側の圧力低下が分析される。かかる拘束された状態でバッグの漏れがある場合、測定された圧力が経時的に所与のしきい値未満に落ち、それが完全性の損失と結論付けるようにさせる。
【0005】
特許US2014/0165707は、バッグの完全性を検査するための別の方法を開示する。バッグは区画に配置され、バッグと区画との間に構造化された透過性の受容層が配置される。その後、バッグは充填液体の供給源に接続され、それによって、その中に所定の正圧を発生させる。その後、バッグ内の圧力変動が分析され、バッグが流体密であり、かつそのために完全であるかを確定する。同様に、また既知なのは特許US8910509またはUS2014/0083170であって、これらはバッグの完全性を検証するための携帯デバイスを説明しており、あらゆる完全性の損失を検出するためにバッグ中の圧力を測定する前に、バッグは好ましくは無菌の空気で充填される。
【0006】
また、不活性トレーサーガスを使用して完全性を検証するための他の既知の方法もある。例えば、ガストレーサーとしてヘリウムを使用する完全性検査では、バッグ全体を流体密な筐体に配置して、その後、バッグの周囲で気密に閉じられると筐体内に真空を生成する。その後、一定量のヘリウム(He)がバッグに取り入れられる。バッグの漏れがある場合、質量分析計が、筐体容積内のバッグの外側のヘリウムの異常な存在を検出する。文献US2017/205307およびEP3 499 207 A1は、かかる検査方法を説明する。
【0007】
これらの物理的検査方法は、微生物の侵入が不可能なサイズにまで漏出経路がないことを証明できる限り、可撓性コンテナまたはバッグの完全性を検査するのに好適である。その時点で知られており、可撓性コンテナに好適な最も感度の高い方法は、ガストレーサー法である。
【0008】
現在のガストレーサー測定デバイス(質量分析計)は、2μmよりはるかに下の微量漏出を表す低分圧を検出することが可能である。しかしながら、2μm未満の漏出サイズの検出には、他の制限がある。十分な信号対ノイズ比を有するためには、2μmの漏出サイズではすでに、真空チャンバ内の残留Heが1000mbarでの空気中のHeの自然濃度/分圧未満である必要があり、一般的には真空中のHeの自然分圧(5.10-3mbar)未満のレベルで作業する必要がある。実際にテストを行う際には、真空チャンバ内の残留Heが検出されるべき漏出を隠すバックグラウンドノイズを発生する。
【0009】
可撓性プラスチックコンテナの場合、適合製品の測定は、信号振幅を増大させる数種のノイズ源(その1つが自然He濃度/分圧である)によって影響され、そのために漏出率が容易に特定され得ない(検査に合格すべき良品バッグの場合に測定された率を表す信号が、不良品を表す信号と類似し得る)。
ノイズは、筐体内の湿度レベル、バッグの可撓性、および/または物理化学的状態に応じてさまざまな条件によって引き起こされることがある。被検査の可撓性バッグもしくは同様のデバイス中に一般的に存在するガスバリアフィルムにかかわらず、ヘリウムがプラスチックフィルムを通って通過することにより、密閉されている製品に対しても漏出率が発生する。
定量的かつ信頼性の高い結果を得るために、非常に高いレベルの感度(10-8mbar.L/secまで)、および必要に応じて製造ラインにも直接組み込んで、プロセスの一部または全体を自動化する可能性を提供する方法が必要である。
【0010】
現在の物理的な方法は、バッグ内の微量漏出、例えば直径2ミクロンよりも小さい穴を検出するのには効果がない。加えて、2ミクロンよりも小さい穴に起因する漏出は、漏出率が多くの場合小さすぎてバックグラウンドの漏出率またはバッグ固有のノイズと区別がつかないので、検出するのが困難である(EVOHなどの酸素バリア層を使用するときでさえ、ヘリウムの透過は妨げられ得ない)。しかしながら、一部の微生物はこのサイズより小さい穴を、特に、例えば浸漬細菌チャレンジ検査の最中のような特定の条件下ではサブマイクロメートルのサイズの穴を通過することができることが知られている。したがって、上述の物理的な検査方法を使用しても、かかる特定の条件下ではバッグの中へ微生物が侵入しないことを保証するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の特定の分野において、バイオ医薬流体で充填されることを意図したバッグを効率的に検査しながら、その使用前にかかるバッグの完全性を検査するときに、マイクロメートルの、およびサブマイクロメートルのできるだけ小さな穴を、簡単に、かつ現在知られているか使用されている方法と同じレベルの信頼性で、あるいはより高いレベルの信頼性で、検出することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的および概要
状況を改善するために、本発明の態様は、ガストレーサーを使用して可撓性バッグの完全性を検証するための検査システムを提供し:
- 筐体の動作構成において、内部容積が筐体の外側から流体密に隔離される、チャンバ(真空チャンバ)を画定する筐体と;
- 可撓性バッグが内部容積によって囲繞されるように真空チャンバ内に配置されるときに、供給パイプの出口を経由して、充填ステップにて可撓性バッグの内容積をガストレーサーで充填するための供給パイプを備えたガストレーサー供給デバイス(可撓性バッグの内容積は漏出がない(欠陥なし)なかでガストレーサーを受けてかつ保持するのに好適である)と;
- 吸引モードにおいて、真空吸引を行い、かつ可撓性バッグの外側の内部容積からガスを抜き取るための真空吸引アセンブリと;
- 吸引モードにおいて、真空吸引を行い、かつ可撓性バッグの内側からガスを抜き取るための真空吸引ライン(真空吸引ラインはバルブを含む)と;
- 真空チャンバに関連付けられ、かつ内部容積の検出領域(検出領域は真空吸引アセンブリの吸引入口と連通している)において可撓性バッグの内容積の外部のガストレーサーを感知可能な少なくとも1のセンサとを含み;
【0013】
検査システムはさらに:
- 可撓性バッグの内側に追加の圧力を送達するための少なくとも1の第1のバルブを含む第1のバルブ配列と;
- 真空吸引アセンブリおよび真空吸引ラインに属する第2のバルブ(第2のバルブは、可撓性バッグの内側およびチャンバの内側に最初に含有されていた空気からヘリウムが抜き取られるようにさせるようにおのおの開放状態(活動状態)にある)を含む第2のバルブ配列と;
- 第1のバルブ配列へ、および第2のバルブ配列へ接続された圧力制御デバイスとを含み、圧力制御デバイスは、充填ステップの前に真空チャンバ内で可撓性バッグを膨張状態に保つために、真空吸引アセンブリによる真空吸引および真空吸引ラインによる真空吸引が行われた後、圧力しきい値未満の所定の圧力にて可撓性バッグの内側に窒素のガス状含有物を注入して維持するように構成されており;
該システムはさらに、
- 充填ステップの前後に少なくとも1のセンサを使用して検出されたガストレーサー分圧の経時変化を表す情報を使用する分析モジュール(分析モジュールは、該情報に基づいて、可撓性バッグの完全性欠陥を反映するガストレーサー漏出を検出するように構成されている)を含み;
かつここに、充填ステップの前に圧力制御デバイスは連続的に、
- 真空吸引アセンブリおよび真空吸引ラインを作動させ;
- 次に、第1のバルブ配列の確定バルブの閉止状態つまり非活動状態において、窒素のガス状含有物の選択的注入をトリガーし、
- ならびに次に、確定バルブを開放状態つまり活動状態に設定することによって、ガストレーサー供給デバイスをトリガーし、充填ステップを開始させる。
【0014】
ガストレーサー分圧(実例として、ヘリウム分圧)の経時変化を表す情報は、時間微分および/または漏出率(それぞれmbar.L.s-2またはmbar.L.s-1で表される)であってよい。かかる情報は、完全な(欠陥のない)検査サンプルを用いて記録された同様の情報を考慮して分析されることもある。
一般的に、分析モジュールは、検出領域におけるヘリウム分圧低下を表す検査結果を得るために、充填ステップの前後に、センサによって検出されたヘリウム分圧または同様のガストレーサー分圧の経時変化を表す情報を使用するように適合されることもある。
【0015】
分析モジュールは:
- 真空吸引アセンブリが吸引モードにあるときに、充填ステップへ続く期間を包含する期間に、可撓性バッグの内側の窒素のガス状含有物を選択的に注入した後にセンサによって検出された検出ヘリウム分圧を表す情報を使用し;
- 真空吸引アセンブリが吸引モードにあるときに、充填ステップの前に少なくとも1のセンサによって検出されたヘリウム分圧を表す情報に基づいて確定バックグラウンド値を確定した後、生の測定値から確定バックグラウンド値を減算し;かつ、
- 検査結果を少なくとも1の基準結果と比較し、窒素とヘリウムで充填された可撓性バッグが完全性検証に合格したとみなされるか、またはしなかったかとみなされるかを確定するように構成されている。
【0016】
確定バックグラウンド値を減算するのは、内部容積にトレーサーガスを加えた後に行ってもよい。ヘリウムがトレーサーガスであると仮定して、窒素の注入は、検出領域におけるヘリウム分圧の一次時間微分の値に依存するステップとなることもある。注入は一般的に、計算ルーチンの後に、かつ条件が満たされた場合にのみなされる(かかる条件は一般的に、直接分析にとって不適切な文脈を反映することもある)。実際、各テストについて、分析モジュールは検出領域におけるヘリウムの分圧の一次時間微分を計算しており;検出領域において測定されたヘリウムの分圧がトリガーポイントに達する(ノイズが測定段階をトリガーするのに十分小さいことを意味する)とき、ヘリウムの分圧の一次時間微分が所定の範囲内(下限と上限の間)にあるかどうかが確認される。「傾き」(漏出率グラフにおける)が好適な範囲の外(すなわち、再現性があるとみなされる測定値を表さない範囲)にある場合、圧力制御デバイスからの命令に応答して、特定のバルブを開放することによって窒素注入が行われる。これが、安定化効果に起因して、より低い漏出率を検出できるようにさせる。
【0017】
逆に、ヘリウムの分圧の一次時間微分が所定の範囲内である場合は、窒素注入の必要はない(安定化効果は不要)。かかる注入なしに確定バックグラウンド値の減算が行われてもよく、より従来のやり方に近いやり方で検査が終了される。
【0018】
検査結果が、検出領域におけるヘリウム分圧低下の終了を表す場合もある。このように、バッグの膨張に起因する分圧変動の通常の継続時間(実例として、約2.5秒の間)の終わりに、検査結果が確定され得る。検査結果がヘリウム分圧における十分な減少を反映している場合、被検査バッグ内に漏出がない時にはヘリウム分圧におけるかかる減少が観察される。
【0019】
かかる配列で、検査システムは以下の制限の影響を低減する:
i) ヘリウムで充填している最中に測定された時のヘリウム率(漏出率)における増大を擬似的に発生する(膨張したバッグの周囲の内部容積が減少し、チャンバ内の圧力(ヘリウムの分圧)において増大を引き起こす)バッグまたは同様のコンテナの可撓性、
ii) 検査される材料からのトレーサーガス脱離に起因する、検査時間中の変動しやすいトレーサーガス放出。
実際、充填ステップの前に可撓性バッグの内側に窒素を注入することは、検査システムが吸引モードにある間に、適合するバッグについて漏出率平均値が減少することが観察されている(それは検査の最初の数秒間で漏出率のバンプを減少させる)ので、有利であることもある。これは、「バックグラウンド待機時間」段階と呼ばれる前段階の最中に窒素の予備加圧を有するときに、検査段階のバッグ材の表面からの脱離がより均質に行われ、バッグの容積変動が大きく低減されるためである。言い換えれば、検査システムはバックグラウンド値を調節することが有利なのである(真空にもかかわらず-真空チャンバ内に残留するヘリウム漏出率または同様のガストレーサー率のために)。
【0020】
ガス状窒素の供給源へ結合された圧力制御デバイスは、充填ステップの直前に内容積内に存在する脱離可能なヘリウムの量を調節するための調節システムの一部とみなしてもよい。本発明者らは、充填ステップにてバッグが少なく膨張されているので、脱離に起因する変動および/またはバッグの壁の動きに起因する変動が最終的に少なくなることを観察した。測定は正確であり、再現性のある測定値を形成する。
【0021】
50mLと50Lとの間に含まれる容積の可撓性バッグの場合、検査システムは可撓性バッグ内の2μm未満の、一般的にはおよそ0.2マイクロメートルの漏出サイズを持つ漏出を効率的に検出し得ることが有利に観察された。それは、検査システムはまた、大容量のバッグに対してサブマイクロメートルのサイズを有する、あるいは約1または2マイクロメートルの漏出を効率的に検出するのに効率的でもあることを意味する。
より総体的には、かかる検査システムは、実例として50Lから650Lまでの大容量のパウチを包含する、広範囲の容量を有するパウチに対する検査の効率を増大する(例えば、50Lより上の高いパウチ容量用の特別なサイズの検査システムを使用して)。
【0022】
準備段階(充填ステップの前)において確定されるバックグラウンド値を減算するために減算ステップが行われるとき、分析モジュールは、充填ステップ前にセンサ(これは任意の圧力測定部材であってよい)によって検出されるヘリウム分圧の経時変化を表す情報を一般的に使用して、充填ステップの直後に得られる生の測定値(漏出率についての)から減算されるべきかかるバックグラウンド値(実例として、漏出率)を確定し得る。
【0023】
いくつかの態様において、充填ステップの前のバッグの内側の特定の窒素注入は、多孔質材料を通して行われ得る。
任意に、バッグが完全性検査に合格するかを確定するかしないかのために、2.00 10-8mbar.L.s-1より低くてもよい受容しきい値がある。
【0024】
最初の吸引段階の後、かつ漏出率の低いしきい値に達する前に、バッグが膨張状態に達するので、真空チャンバ内に(真空にもかかわらず)残留するヘリウムに関するヘリウムバックグラウンド値は、従来の方法のようにさまざまなプロファイルで変動し得ない。言い換えれば、この検査方法は、生の測定値からバックグラウンド値を減算した後の漏出率測定値の標準的な偏りを減少させるのに好適である。
さらに、検査システムは、被検査バッグのプラスチックフィルムを通してのヘリウムの透過に起因する不都合な効果を避けるために、非常に短い検査時間(実例として、充填ステップを開始した後約3~4秒)で動作することもある。バッグの内側の窒素注入に起因する調節効果によって、(かかる短い検査時間内では)適合する可撓性コンテナの漏出率測定が、バッグの可撓性(i))およびトレーサーガスの脱離(ii))によってランダムに影響を及ぼされるという欠点を妨げる。
【0025】
最終的に検査終了時に、ヘリウム漏出率の検出可能な増大が観察されない場合、可撓性バッグ(単一の外被を有してもよい)は、微生物がバッグの外側から内側へ移動するのを妨げるのに適合しているとみなされる。より正確には、増大した精度により、充填ステップ直前の内容積中に存在するヘリウム量を調節するときに検出可能な最小のサブマイクロメートルのサイズよりも大きなサイズの穴がないことを確認し得る。
【0026】
より総体的には、充填ステップを開始した後1秒と10秒との間、好ましくは3秒と10秒との間に含まれる時間帯におけるヘリウム分圧の経時変化を反映した検査結果に基づいて、検査結果と基準結果との間の比較が行われることもある。かかる時間帯においては、透過の効果が十分に低いか、あるいは顕著でなく、それが高い検査精度を提供する。もちろん、ステップは経時的に制御され得るし、窒素の量の追加は、充填ステップの前に、真空チャンバにおける漏出率のグラフ内に存在するバンプまたは圧力低下を調節するように適合された時間間隔(内部容積に対するヘリウムの量の取り入れと充填ステップの開始との間)をもって、所定の瞬間に一般的に行われてよい。バンプとは、ヘリウム充填時のバッグ膨張ゆえの、ヘリウム分圧の短時間における増大である。
【0027】
一般的に、圧力制御デバイスは、可撓性バッグ内の圧力が比較的低いままであるように、圧力しきい値未満で窒素を注入するように構成されている。かかる圧力は、可撓性バッグの外側の内部容積内に提供される圧力よりも大きい正圧であるように、10mbar~100mbarの間に含まれる圧力であってよい。任意で、圧力における差が、100mbarより下で、かつ1mbarより上でもよい。
【0028】
任意で、圧力制御デバイスは、以下を制御するように構成された制御ユニットである:
- 充填ステップにおいて、供給パイプ内のヘリウムの循環をさせる第1のバルブ;および
- 供給パイプの供給部材内で窒素の循環をさせる第2のバルブ。
第2のバルブは、ガス状窒素の供給源と、後にヘリウムを注入する(充填ステップ)ために使用されるバッグの同じポートへ接続された供給部材との間に配列されることもある。
【0029】
別の側面によれば、圧力制御デバイスは、ガストレーサー供給デバイスを制御し、かつ別のガストレーサー供給デバイスを制御するように構成された制御ユニットである。実例として、ガストレーサー供給デバイスが第1のヘリウム供給デバイスであって、ガストレーサーはヘリウムであり、システムは、可撓性バッグの外側の内部容積内にヘリウムを加えるための第2のヘリウム供給デバイスをさらに含み、第2のヘリウム供給デバイスは、
- 供給パイプとは別個であり、
- ヘリウム供給源と連通している
供給部材を含む。
任意で、確定バルブ、好ましくはソレノイドバルブが、真空吸引ラインの非アクティブ状態のために、窒素供給源と可撓性バッグの内側との間のガス連通をさせるために提供される。
【0030】
検査システムは、間隔を置いた関係、好ましくは平行、の関係にある2枚のプレート;および2のプレートの間に可撓性バッグを受けるためのハウジングを含み、プレートは、充填ステップの最中にヘリウムで充填されるときに可撓性バッグの伸張を拘束するための拘束プレートを形成する。
一般的に、2枚のプレートはまた、窒素がバッグ内に注入されるときに、充填ステップの前に可撓性バッグの伸張を拘束するための拘束プレートをも形成する。また、2枚のプレートは真空チャンバの内側に全体的に延伸する。
任意で、2枚のプレートは、充填ステップの前にバッグの膨張を抑制するために構成された2枚の垂直なプレートである。
別の選択肢を使用すると、2枚のプレートは、充填ステップの前にバッグの膨張を抑制するために構成された2枚の水平なプレートである。任意で、2枚の水平プレートのうち上部プレートは、第1の位置から第2の位置に向かって垂直に上方にスライドしてもよい。窒素の注入は、上部プレートが第2の位置まで上方に動けるように調節される。
【0031】
本発明のさまざまな態様において、以下の詳細のうちの1つ、および/または他のものが、分離してまたは組み合わせて、場合によってはまた用いられることもある:
- 可撓性バッグのポートは、供給パイプを使用して、ガストレーサー供給デバイスを包含する加圧システムへ可撓性バッグを接続する。
- 可撓性バッグのポートは、供給パイプを使用して、窒素の供給源を包含する加圧システムへ可撓性バッグを接続する。
- 真空チャンバは、気密封止型検出チャンバである。
- 可撓性バッグは、真空チャンバ内に位置する無菌バッグであり、可撓性バッグの内部空間は、漏出がない状態で検出可能なガス(ガストレーサー)を受領してかつ保持するのに好適である。
- 検査システムは、可撓性バッグの内側に取り入れられることを意図した加圧ガストレーサーの少なくとも1の供給源を含むこともある。
- 真空吸引ラインは、真空吸引アセンブリから分離されることも、真空吸引アセンブリを包含する共通の真空吸引装置の一部とされることもある。
【0032】
- 圧力制御デバイスは、チャンバから、およびバッグからガスを空にするための制御ユニットとして機能し、可撓性バッグの外側のより高い真空度を用いてバッグが崩壊するのを妨げる。
- 圧力制御デバイスは、以下のステップが連続して行われるように構成される:チャンバを空にすること、およびバッグを空にすること/バッグが2枚のプレートの間(それぞれの対向する接触面で)に挟まれるまでバッグの内側に窒素を注入すること/バッグの内側にガストレーサーの注入/ガストレーサーの漏出率を測定すること。
- 第1のバルブ配列は、加圧窒素の供給源と供給パイプとの間に配備された少なくとも1のバルブを含む。
- 第1のバルブ配列は、加圧窒素の供給源と可撓性バッグのポートへ接続されることを意図した少なくとも1の補助供給パイプとの間に配列された少なくとも1のバルブを含み、補助供給パイプは供給パイプから分離されている。
【0033】
- 加圧ヘリウムの少なくとも1の供給源は、チャンバ内に注入されるすべてのヘリウムを保有するための、内部容積の外側にある単一タンクを含むヘリウム供給源であり、単一タンクは、第1のヘリウム供給デバイスへ、および第2のヘリウム供給デバイスへ動作可能に結合されている。
- ヘリウム(好ましくは加圧ヘリウム)の供給源はバッグに隣接して延在し、および/またはバッグの一部として包埋される(かかる包埋されたヘリウムの供給源に関連するバルブの作動は、遠隔制御手段によって任意に行なわれてもよい)。
- 検査システムは、間隔を置いた関係、好ましくは平行である2枚のプレート(好ましくは剛性プレート)、および2枚のプレートの間に可撓性バッグを受けるためのハウジングを含み、プレートは、充填ステップの最中にヘリウムで充填されるときに可撓性バッグの伸張を拘束するための拘束プレートを好ましくは形成する。
- 2枚のプレートは固定プレートである。
【0034】
さまざまな態様において、以下のうちの1つ以上が、別々にてまたは組み合わせて、場合によっては使用されることもある:
- バッグは、バッグの単一の内部空間を画定する外被/壁を有する;
- バッグの外側の壁は、流体密かつ取り外し可能なやり方で、ガスまたは流体の供給源へ接続された閉じられたり、または接続されるのに好適なポートを含む;
- バッグは充填チューブおよび/または排出チューブを備え、チューブは外被/壁の外側に置かれる。
- バッグは、1以上のコネクタ、フィルタ、センサを包含することもある。
【0035】
本発明によるバッグの完全性を検証するためのシステムもまた任意に提供され:
- 本発明によるバッグ、
- バッグの内側に取り入れられることを意図した加圧ガスの供給源、
- バッグの内側のガスの圧力を測定するための部材、および
- 2枚の固定された伸張制限プレートであって、互いに間隔をあけかつ対向し、プレートに対して配置された第2の外被の壁(W)においていかなる漏出も妨げないのに好適である、前記伸張制限プレートを含む。
【0036】
ひとつの特定の態様によれば、伸張制限プレートはそれぞれ、ガス(ヘリウム)に対して多孔性であるライニングで覆われている。
本発明はまた、可撓性バッグの完全性を検証し、可能な穴の存在を検出するためにトレーサーガスを使用する検査方法に関し、ここで検査方法は:
- 準備段階において:
○ 筐体の動作構成において、筐体の外部から流体密に隔離されるように適合された真空チャンバを画定する筐体を含む検査システムを提供すること;
○ 真空チャンバ内にトレーサーガスを送達するのに好適な注入デバイスを提供すること(トレーサーガスは、好ましくはヘリウムである);
○ 可撓性バッグを真空チャンバ内に配置して、バッグのポートをトレーサーガス供給源と連通する供給パイプへ接続すること(トレーサーガスは、一般的にヘリウムである);
○ 真空吸引手段を使用して、可撓性バッグの内側、および真空チャンバ内の可撓性バッグの外側を真空吸引を行うこと;
○ 可撓性バッグの内容積を、窒素を使用して圧力しきい値未満で予備加圧し、真空チャンバの内部容積内の可撓性バッグの外側に真空を得る一方で、内容積内の窒素のガス状含有物に起因して可撓性バッグは膨張状態のままであること;
【0037】
- 検査段階において、真空チャンバの内部容積内の可撓性バッグの外側で該真空吸引がまだ行われている間:
○ 開放状態つまり活動状態にある少なくとも1の第1のバルブを使用して、充填ステップにて一定量のトレーサーガスで可撓性バッグの内容積を充填すること(第1のバルブは、可撓性バッグの内側およびチャンバの内側に最初に含有されていた空気からのヘリウムが抜き取られるようにさせることに関与するバルブ配列の第2のバルブから分離されている);
○ 少なくとも1のセンサを使用して、内部容積内の可撓性バッグの外側のヘリウム分圧を表す情報を検出し、可撓性バッグから逃げるヘリウムを検出できるようにさせること;
○ 次に、続くステップにおいて、少なくとも1のセンサを使用して得られる、可撓性バッグの外側の内部容積内のトレーサーガス分圧低下を表す検査結果を、少なくとも1の基準結果と比較し、可撓性バッグが完全性検証に合格したと見なされるか、またはしなかったとみなされるかを確定することを含む。
【0038】
かかる方法を用いると、より安定した条件に起因して、感度は良好である。すべてのステップは、同じ測定サイクルにおいて行われ得る(実例として、少なくとも1の真空ポンプまたは同様の真空手段によって行われる実質的に一定の吸引を用いて)。それゆえに、実例として浸漬BCT(Bacterial Challenge Testing)条件下で、微生物に対する完全性を保証/検証するために、1μmの漏出検出限界(およびサブマイクロメートルの漏出検出)が効率的なやり方で可能である。
【0039】
圧力低下の分析を用いる従来の方法とは異なり、本検出方法は、生の測定値からバックグラウンド値を減算した後の漏出率測定値の標準的な偏りの減少に起因して、より大型のコンテナ(10L、50Lまたはより大型の容量を有する3Dバッグなど)でも危険ではない。
【0040】
かかる方法が、検査チャンバ内のヘリウム分圧の確定(一般的には質量分析計を使用することによって)に基づいて漏出率を計算することに使用されて、かかる計算された漏出率を受容基準(しきい値)と比較して、検査された可撓性バッグが検査に合格するか不合格かを確定するようにしてもよい。
【0041】
測定を十分に感度が高いものとするために、バックグラウンドを減算することが、検査をより効率的で信頼性の高いものとする。
特定の態様によれば、検査段階において:
- 充填ステップを開始した後3秒と10秒との間に含まれる時間帯において、好ましくは3秒と6秒との間に含まれる時間帯において測定されたヘリウム分圧に基づいて、検査結果と基準結果との間の比較が行われ;
- および/または検査結果と基準結果との間の比較は、窒素注入後かつ充填ステップの前に得られた圧力低下バックグラウンド値を考慮することによって行われ、検査結果は、充填ステップを開始した後3秒と10秒との間に含まれる時間帯において得られた生の測定値に基づいて確定される。
【0042】
トレーサーガスはヘリウムであり、検査方法は、準備段階において:
- 可撓性バッグの内側の真空吸引を行い、可撓性バッグの内部空間を空にすること;
- 内部容積(バッグの外側)の検出領域内のヘリウムの分圧を測定すること;
- 検出領域におけるヘリウムの分圧の一次時間微分を計算すること(センサ、質量分析計、または同様の圧力測定部材を使用して);
を含み、
ここで、検出領域において測定されたヘリウムの分圧がトリガーポイント(すなわち、かかる圧力が十分に減少した(高真空)、ノイズが測定段階をトリガーするのに十分小さいという意味)に達するとき、ヘリウムの分圧の一次時間微分が所定の範囲内(下限と上限の間)にあるかどうかが確認され、ヘリウムの分圧の一次時間微分が所定の範囲外にある場合のみ、第1のバルブ配列のバルブを包含する注入デバイスによって可撓性バッグ内に窒素を用いた予備加圧が行われる。
【0043】
特定の態様によれば、準備段階において、バックグラウンド値を確定するために要求されるバックグラウンド待機期間の最中に/その間、好ましくは内部容積内においてヘリウム分圧が所定のしきい値同様に低いまたはそれ未満と測定された後に、可撓性バッグ内で窒素を用いた予備加圧が行われるかかるしきい値は5.10-3mbar未満(一般的には4.10-3mbar以下)であり、これはしきい値が一般的には大気中のヘリウム分圧より低いヘリウム圧に対応することを意味する。
【0044】
それは、検査段階の前に(すなわち、ヘリウム完全性検査に測定値が使用される前に)、バッグ周囲のヘリウム分圧が低い条件において、いくらかの追加のヘリウム脱離を引き起こすようにバッグが顕著に膨張したことを意味する。
任意で、基準結果は、内部容積の検出領域において少なくとも1の圧力測定部材によって検出されるヘリウム漏出率の時間微分を計算することによって得られる、既定の圧力低下しきい値であるか、またはそれを反映したものである。
【0045】
バッグからのヘリウム漏出が、漏出がないときに通常存在するはずの分圧低下(圧力の速い減少)を低減または消滅させるので、漏出が検出されることもある。
【0046】
特定の態様によれば、充填ステップは、可撓性バッグを互いに間隔をあけ、かつ対向する2の伸張制限プレートの間に維持させるために行われ、この態様はプレートに対して配置された可撓性バッグの壁におけるいかなる漏出も妨げないようにするのに好適である。これは、バッグの内部空間の伸張を制御することにとって有意義であることもある。バッグの外側の壁に対する接触を形成するために、多孔質層を使用してもよい。
【0047】
特定の態様によれば、可撓性バッグは、バイオ医薬製品を受けることを意図した被検査デバイスを構成するか、またはその一部であり、被検査デバイスのそれぞれのポートへ各々接続された数個の可撓性パイプを備え、被検査デバイスは真空吸引を行う前にチャンバ内に配置される。
【0048】
任意で、準備段階において、真空吸引を行うことは、可撓性バッグの内側および筐体内の可撓性バッグの外側に真空を得るために、筐体の異なる吸引領域にてガスを排気することを伴う。
【0049】
一般的に、可撓性バッグの内側に窒素を用いる予備加圧は、十分な真空を反映するしきい値未満の圧力を可撓性バッグの内側に得た後に行われるステップである。
任意で、可撓性バッグの内側に窒素を用いる予備加圧は、筐体内の可撓性バッグの外側でヘリウム圧力が5.10-3mbarの低さに達する前に行なわれるステップである。
【0050】
本発明はまた、ガス検出部材を含む、本発明によるバッグの完全性を検証するためのシステムにも関する。
本発明のさまざまな態様において、以下のうちの1つ、および/または他のものが、分離してまたは組み合わせて、場合によってはまた用いられることもある:
- システムは:
○ 本発明によるバッグと、
○ 中間空間内に取り入れられることを意図した加圧ガスの供給源と、
○ ガス圧力制御および管理部材を包含する制御ユニットとを含み、
- システムはさらに、バッグをその全体に受けるのに適合され意図された、アウターコンテナまたは筐体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0051】
これより、図面の図について簡単に説明する。
【
図1】
図1は、本発明の一態様による検査システムの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の検査方法を行うときに、被検査デバイスを形成することもある例示的な可撓性バッグの上面図である。
【0052】
【
図3】
図3は、一態様による完全性検査方法において行われるいくつかのステップのフローチャートである。
【0053】
【
図4】
図4は、
図2に示された様なバッグの完全性を検証するためのシステムの別の態様の概略図であり、このシステムは、バッグポートを介してバッグの内部空間中に取り入れられることを意図した加圧ヘリウムの供給源と、別のバッグポートを介してバッグの内側に窒素が注入されるようにさせるために提供されるバルブとを含む。
【0054】
【
図5】
図5は検査システムの動作を図示するタイミングチャートであり、漏出サイズが2マイクロメートルと同じかそれより若干小さいときは、効率よく漏出を特定することに制限があることを示す。
【
図6】
図6は、
図5と同様に、この発明の一態様による検査システムの動作、バルブを開放することによって被検査バッグの内側に窒素のガス状含有物を注入することを図示するタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、同じ従来の漏出率検査サイクルを使用して、全て適合する(続く検査/調査の観点からいずれの漏出もない)バッグを用いて得られた漏出率対時間の波形であり、漏出率測定の偏りが完全なバッグとマイクロメートルまたはサブマイクロメートルサイズの漏出を有するバッグとを効率的に識別することを妨げる4つの状況をとりわけ図示する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
より詳細な説明
例を伴い図面を参照して、本発明の数種の態様の詳細な説明を以下に提供する。
さまざまな図において、同一または同様の要素を明示するために、同じ参照が使用される。
【0056】
図1を参照すると、可撓性バッグ2の完全性を検証するための検査システム1が示されており、システムは、筐体10と、1つ以上の加圧ヘリウムの供給源4と、ここではセンサユニットまたはセンサ9として構築され、一般的に筐体10によって画定されたチャンバCH内のヘリウムの分圧を反映した測定値を提供するのに好適な圧力測定部材とを含む。チャンバCHは気密な密閉された空間を形成する(従って大気から隔離されている)。
筐体10は、可撓性バッグ2用受入れ区画を画定する対向面を備えてもよい。任意で、バッグ2が置かれる区画を画定するために、2のプレート12、14(実例として、2の剛性プレート部材)が提供される。バッグ2は、非膨張状態/非充填状態で、チャンバCH内(ここでは区画内)に一般的に取り入れられる。チャンバCH内に取り入れられる時に、バッグ2内には圧力バランスに起因する少量の空気のみが当初存在することもある。これは、排気されるガスの量を制限するのに有利である。バッグ2の少なくとも1のポート(ここではただ1つのポート11)が、バッグ2の内部空間SPと加圧ヘリウムの供給源4との間の連通を提供してもよい。
【0057】
筐体10が密閉されているとき、バッグ2の外側の壁Wは、バッグ2の内側の内部空間SPと、筐体10の外側から流体密に隔離されたバッグ2の周囲の内部容積10aとの間の、プラスチック材料(一般的にはあらゆる鉱物層や金属層のないプラスチック)製の隔壁として見られることもある。
【0058】
筐体10は、内部空間SP内にトレーサーガスが取り入れられるようにするために少なくとも1つの供給部品を有する。いくつかの変形例において、トレーサーガスがチャンバCH内の内部空間SP内およびバッグ2の外側の内部容積10a内にそれぞれ取り入れられるようするために、2つの供給部品が提供されることもある。一般的には、バッグ2の外側の壁Wは、バッグ2をガス状含有物で充填するときに直接膨張する壁であり、この外側の壁Wが内部容積10aから内部空間SPを直接的に分離する。
【0059】
実例として、特に
図1および4に図示するように、検査システム1は、加圧ヘリウムの供給源4を可撓性バッグ2の所与のポート11へ接続するための供給パイプ3aまたは同様の注入ライン27を有するヘリウム供給デバイス3を備えることもある。
【0060】
図1の態様において、少なくとも1つのバルブV1がヘリウム供給デバイス3に包含され、かかるバルブV1は、加圧ヘリウムの供給源4のタンクとバッグ2のポート11と接続するための出口3bとの間に配列されている。加圧ヘリウムの供給源4は、チャンバCH内に注入されるすべてのヘリウムを含有するための単一タンク(チャンバCHの外側)を包含するヘリウム供給源を含む、またはそれであり、単一タンクは、ヘリウム供給デバイス3に動作可能に結合されている。変形例においては、数個のタンクまたは分離したヘリウム供給源が使用されることもある。
【0061】
検査システム1は、センサ9と、筐体10と、圧力制御デバイス20の働きをする制御ユニットと、圧力制御デバイス20へ結合される通信アセンブリ28または同様のインタフェースとを含む漏出検出アセンブリ、測定サイクルの最中に制御および通信アセンブリ28ならびに/または圧力制御デバイス20によって作動されるバルブV1、V2またはV2’、V3、V4を備える。圧力制御デバイス20は、
図6に図示されるような測定サイクルの最中にセンサ9によって検出されるヘリウム分圧を表す情報を使用した分析モジュール15を備えてもよい。
圧力測定部材またはセンサ9を形成するために、質量分析計が一般的に提供されて、かかる質量分析計は、圧力低下PD(ヘリウムで膨張充填されたバッグ2の周囲のチャンバCH内のヘリウム分圧の速い変動に起因する低下)が測定および分析され得る検出領域10dを有するかまたはそれと連通する。バッグ2をヘリウムで充填開始した後、バッグ2の内部空間SPとバッグ2の周囲の内部容積10aとの間に圧力差が生じるとき(内部容積10a内の濃度の上昇とともに)、圧力低下PDが系統的に発生される。
好ましい態様によれば、以下にさらに説明するように、可撓性バッグ2の予備加圧に起因して、圧力低下PDは減衰する。
質量分析計は、特にシステム1を用いてバッグ2を検査する段階に先立って筐体10内に真空が発生される場合、トレーサーガスの検出(ヘリウム検出)に好適である。
【0062】
図1および5の態様において、検査システム1は、バッグ2の外側の壁Wの完全性を検出するために使用され、かかる壁Wは、チャンバの限界内、一般的にはチャンバCHの内側に存在する2のプレート12、14の間に完全に延在している。
【0063】
検査システム1の筐体10は、ここでは、本発明によるバッグ1が配置され得るアウターコンテナである。膨張状態のバッグ2がチャンバCH内に留まるように、アウターコンテナはバッグ2より大型である(あるいは対称的に言えばバッグ2はかかるアウターコンテナより小さい)。任意で、筐体10は、チャンバ10の内側のガスに対して多孔性のライニングを含んでもよく、かかるライニングは、バッグ2が窒素のガス状含有物を使用して膨張条態にある後、および/またはバッグ2がヘリウム(不活性トレーサーガス)で満たされる追加の充填ステップの後に、少なくともバッグが膨張状態であるときにバッグ2と接触する接触部である。バッグ2がそれに対して配置されるライニングは、被検査バッグ2がチャンバCHの内側に配置されるときに、外側の壁Wのあらゆる漏れをもブロックしない。
筐体10を形成するアウターコンテナは、特に箱または剛性もしくは半剛性の流体密シェルからなることもある。さらに特には、1の構成において、筐体は、平行六面体形状を有する。筐体10は、バッグ1を取り入れるための開口部を含むこともあり、これは選択的に開閉され得る。そのために、筐体10のアウターコンテナは、例えば、把持および操作ための部材を備えた着脱可能なカバーまたはドアを含むこともある。必要に応じて、カバーを閉じた位置に速くロックして開口部を塞ぐための把持部材が提供される。
【0064】
図1を参照して、検査システム1は、加圧ガス(ここでは、この非限定的な態様における加圧ヘリウム)の供給源4、およびバッグ1のポート11の出口と流体連通して関連付けられることができるか、または関連付けられている加圧ヘリウムの注入のための供給パイプ3aを包含するラインとを含む。
ヘリウム供給デバイス3は、圧力測定部材またはセンサ9をチャンバCHへ接続する、ポート30またはパイプとは別個の/分離した場所にて筐体10へ接続される。
【0065】
検査システム1はまた、加圧ガスの別の供給源、ここでは加圧窒素の供給源24をも含む。
図1を参照して、供給源24は、ヘリウム供給デバイス3とポート11との間の1以上の接続ポイントを使用して、供給パイプ3aへ接続されることもある。
【0066】
図4の態様において図示されるように、この供給源24は、バッグ2の別のポート、例えば特定の注入ライン27を介してポート11へ接続され得る。
本供給源は、様々なバッグ2に対して、1mbarと3mbarとの間からなる圧力を表す量のガス状窒素を注入するのに好適である。かかる圧力は、25または100mbarより低くなり得る。より総体的には、圧力制御デバイス20は、供給源24から供給される窒素のガス状含有物を、可撓性バッグ2の内側に、圧力しきい値未満の所定の圧力にて注入して維持し得ると理解されたい。可撓性バッグ2の内側の圧力は、圧力低下PDを有するときに望ましくない偏りを減衰させるのに好適な膨張状態となるように、可撓性バッグ2の外側の内部容積10aに供給されてもよい。
【0067】
ある量の窒素(もちろんガス状態)が、ポート11または他の好適なポート(
図4におけるポート12b)および供給源24を包含する窒素供給デバイス200の適切な接続要素を介して、バッグ2の内部空間SPの中に挿入されることが意図される。窒素は、バイオ医薬流体を汚濁しないために、バッグ2の含有物を形成し得るバイオ医薬流体に対して中性かつ無毒なガスであると理解されたい。同じことが、トレーサーガスの働きをし得る、窒素の後に内部空間SP内に注入されるヘリウムまたは同等の不活性ガスに適用される。
【0068】
図1は、外側の壁Wがバッグの単一の壁の形態で示しているが、変形例においては、バッグ2が、外側の壁Wを部分的に覆い外側の壁Wに関して間隔を置いた関係にある1以上の外部部品を備えてもよい。
【0069】
図2に図示されるように、折り畳み状態の可撓性バッグ2は、対向する2つの平坦面を有し、これら主たる面の一方にポート11および12a~12を有する。2つの他の面は、折り畳まれている。これらの2つの他の面を形成するバッグ部分は、プラスチック材料のシートであり、へん平なジャバラの形状(2の対向するマチを形成)を有し対向する面を形成する当初は平坦な2つのシートの間に挿入される。製造直後に得られる可撓性バッグ2の平坦状態は、溶接シーム61,61’および62,62’の重ね合わせによって可能になる。自由端2eおよび2fは、バッグ2の直線的端部であることもある。対向する面の一般的に六角形の形状のおかげで、バッグ2は、マチの伸張および平行な折り畳み線FL1、FL2に沿って折り畳むことによって、容易に平行六面体形状に達することもある(L1はバッグ2の同じプラスチックシートの折り畳み線FL1、FL2を分離する距離)。
【0070】
これは、3D可撓性パウチまたはバッグ2の非限定的な例である。バッグ2の膨張/充填状態において得られるような平行な折り畳み線FL1、FL2は、バッグ2の主たる対向面において形成される所定の折り畳み線である(2Dコンテナと異なって)。
【0071】
かかるバッグ2は、底壁、上壁、および可撓性側壁を含み、平らに折り畳まれた状態、または折り畳まれずに展開された状態という2の極限状態になり、これらの状態の一方から他方へ変わるために、またはいずれの中間状態になるために形状を変更することもある。可撓性バッグ2がバイオ医薬流体で充填されたり、検査の最中にガスで充填されるとき、それは大なり小なり膨張する。それが平行六面体のコンテナを形成してもよい。その底壁は筐体10の底の内面、または拘束プレート12、14の内面上に載り得るが、その側壁は筐体の側壁の内面に向かって展開される。
【0072】
可撓性バッグ2は、ここでは非充填状態において六角形の形状を有するものとして図示されている。バッグ2を形成する各シートは、非膨張/非充填状態における可撓性バッグ2の六角形の形状の長辺L2よりも大きい長さL1を有することもある(形状が
図2において明確に視認できる)。
【0073】
充填前のそれの当初の状態における可撓性バッグ2の長さL1は、下端2aから上端2bまで測定するとき、展開されかつ充填された状態における可撓性バッグ又はパウチ2の高さ(実例として、この高さは長さL2に実質的に等しい)より大きいことを理解されたい。
【0074】
可撓性パウチまたはバッグ2は、ここでは、特にポート12a~12bの形態(上部ポートを形成することもある)において、特に上壁内に、1以上の入口または充填もしくは供給開口部を、および特に底壁内に、特にポート11の形態において、1以上の出口または排出もしくは排気開口部を有する。このように、バッグ2の外側の壁Wは、バイオ医薬流体で充填するための少なくとも1つのオリフィスおよびバイオ医薬流体を排出するための少なくとも1のオリフィスである、少なくとも2のオリフィス、言い換えれば2の通路を備えてもよい。
【0075】
好ましくは、バッグ2へ、ここではバッグの同じ面2bへ接続されたいずれのライン7、9a、9bも、可撓性供給ラインと呼ばれる。さらに、可撓性ライン7および9a~9bの各々は、好ましくはクランプC1、C2、C3などのクランプ部材を具備する。
【0076】
入口開口部は、必要に応じて閉じられるように適合され、および/または、クランプ部材C1~C2は、可撓性パウチ2の内側へのアクセスを閉止するために使用される。同様に、出口開口部(単数または複数)は、必要に応じて開放されるように適合され、および/または、クランプ部材C3は、可撓性ライン7を通過できるようにさせるために使用される。壁Wの充填オリフィスおよび排出オリフィスは、充填チューブと流体密な接続によってそれぞれ関連付けられる。例えば、ポート12a~12bにある充填オリフィスは、可撓性ライン9aおよび可撓性ライン9bに関連する(一般的には、ポート12a~12bから離れたクランプC1およびC2を用いて)。
【0077】
図示された態様は、ヘリウムで充填するためのポート11の使用を示すが、充填オリフィスのいずれかの1つおよび出口開口部は、他の可撓性ラインが閉止状態にある間に、対応する可撓性ラインによって加圧ヘリウムの供給源4へ接続されている限り、可撓性バッグ2の内部空間SPをヘリウムで充填するために使用されてもよい。
図4において、可撓性バッグ2の内部空間内にヘリウムが注入されるポート11は、出口オリフィスであることもある。バッグ2の周囲の内部容積10aにおいて、クランプ(ここではクランプC1、C2)がバッグ2内に存在するヘリウムがチャンバCH中へ逃げることを防止しながら、固定デバイス39を使用して、他のラインが取り付けられてもよい。
【0078】
ここで
図4を参照して、クランプC1、C2、C3は、筐体10内に配置されるときに可撓性バッグ2を気密に閉じるために使用されることもあることがわかる。変形例においては、バッグ2の可撓性ライン7、9a、9bが、真空回路、実例として同じ真空回路へ各々連結されてもよい。
【0079】
検査システムは、加圧窒素の供給源24と、ここではポート12bへ接続されている補助供給パイプ3cとの間に配列されたバルブV2’を包含するバルブ配列を備えることもある。補助供給パイプ3cは、ガストレーサー注入に使用される供給パイプ3aとは分離したものであることがわかる。
【0080】
いくつかの変形例において、バッグ2は、2つの壁部材が互いに直接接合されている、2Dであってよい外被を含む。バッグ2はまた、3Dタイプ、言い換えれば3次元の外被を有することもある。次に、壁Wは、一般的に主たる面を形成する2つの部品を含み、かかる2つの部品は、4つの縦の流体密な溶接シーム61、61’および62、62’(ならびに2の横の溶接シーム)によって2つのサイドのマチへ固定的かつ封止的に接続される。
【0081】
図2および5~6において図示するように、チャンバCH内の圧力を減少するために、吸引が行われる必要があることがわかる。残圧が十分に低いときには、測定サイクルの監視段階(検査段階)が行われてもよい。検査段階は、ここではt0にて開始している。
図3において図示されるステップVS1およびVS2は、内部容積10aに対して行われる真空吸引および内部空間SPに対して行われる真空吸引をそれぞれ反映する。かかるステップVS1およびVS2は、バッグ2を膨張させるために窒素を使用する前に行われる必要がある。実際、窒素を注入する前に、チャンバCH内に存在する空気は空にされる必要がある。真空吸引アセンブリ(P1、P3)は、チャンバCH内の真空吸引を行うのに関与することがある一方、真空吸引ラインP2は、内部空間SP内の圧力を減少するために使用される。一般的に、バッグ2が崩壊するのを妨げるために、チャンバCH内の真空度はより大きくなければならない。
図3の非限定的な例において、以下のステップが連続的に行われる:
- チャンバCHを空にするための真空吸引ステップVS1;
- バッグ2を空にするための真空吸引ステップVS2;
- バッグ2の外側の壁Wがプレート12、14に接触するまで、バッグ2の内部空間SP内に窒素(すなわち、ガス状N2)を注入することによる予備加圧ステップPPS;
- バッグ2の内部空間SP内にヘリウム(すなわち、ガス状He)が注入され、それにより、バッグ2が内部空間SP内に窒素およびヘリウムで拡張膨張状態に達する充填ステップFS;
- 圧力低下PDの後にセンサ9によって供給される情報に基づいて、バッグ2の完全性を評価する、t0の後に開始される検査段階T。
【0082】
測定サイクルの開始時にて、検査システム1は、待機期間T1の後、チャンバCH内で低圧力しきい値に達することが要求されるという点で、既知のシステムと同様であることもある。バルブV1はt0にて作動し、検査されるのに適合した膨張したバッグ2が得られる。しかし、
図5におけるような検査されている最中のバッグとは異なり、
図6においては期間b2/によって反映されるステップVS2にてバッグ2を膨張させることによって検出可能なヘリウムの増大が既に行われている。バルブV2が開放であると、外側の壁Wの外面が膨張し、この外面に吸着したヘリウムが検出され得る:これが、
図6に概略的に図示されるようなヘリウムピークに対応することもある。
【0083】
圧力制御デバイス20は、供給パイプ3内の加圧膨張ガスを制御し、所望するときに(ここではt0にて)にトレーサーガス(ヘリウム)の注入を命令し、所望の圧力にての注入を制御することもある。デバイス20の制御部は、圧力計、可変動バルブ、および/またはそれらの間の制御ラインを備えることもある。通信アセンブリ28は、測定サイクルの最中のステップを調整するために使用されることもある。通信アセンブリ28は、圧力制御デバイス20の一部を形成することもある。
【0084】
好ましい態様によれば、
図6に示すように、内部容積10aに向かってヘリウムの循環ができるようにさせる窒素供給デバイス200の動作用バルブV2は、バッグ2の充填用バルブV1を開く前に一時的に開放であってもよい。予備加圧ステップPPSにての窒素注入に起因して、内部容積10a内のヘリウムの分圧の増大がある。バッグ2の周囲にいかなるヘリウム分圧の増大もない従来の準備段階(
図5において示すなどの)とは異なり、バッグ2がまだヘリウムで充填されていない間に、吸引を(少なくとも真空ポンプP3を、好ましくは単独で使用して)行う時間にて内部容積10a内に特定のピーク18が観察され得る。
【0085】
図5および7を参照して、適合被検査製品に対する数種の漏出率曲線を比較するとき、t0の後、センサ9によって測定される漏出率は偏り(漏出率の顕著な減少で予期された圧力低下PDを形成しない)得て、まったく完全なバッグ2に対する曲線51は、バッグ2が漏出を引き起こす約1または2マイクロメートルのサイズの穴を有する状況を反映する曲線52と似ていることもあることが明らかである。
【0086】
図6に図示するように特定の予備加圧ステップPPSを使用すると、かかる偏りが大きく極小化され、および/または適合製品に対する検査の終結が容易になる。現に、
図5における曲線51によって反映される問題のケースは、適合するバッグのアーチファクトの顕著な減少に起因して、任意に解決され得る。
【0087】
ここで
図1を参照して、ガス(ここではヘリウム)が供給デバイス3の供給パイプ3a内を流れる前に、窒素を使用する特定の予備加圧ステップPPSができるようになることを理解されたい。真空ポンプP1は、一般的に予備加圧ステップPPSを開始する前に、チャンバCHからガスを排気することに関係する。ポンプP1は、吸引モードにおいて、真空吸引を行い、かつ可撓性バッグ2の外側の内部容積10aからガスを抜き取るための真空吸引アセンブリとして機能するか、またはその一部である。
【0088】
真空ポンプP2は、供給デバイス3に関連することもある。真空ポンプP2は、実例として、バルブV1の位置に対して下流側の側方通路を介して、供給パイプ3aと連通する。この真空ポンプP2は、測定サイクルの検査段階(バルブV4がちょうどt0にて閉じられ、かかる閉止の後にバルブV1が開放となる)の最中には使用されない。真空ポンプP2は、可撓性バッグ2から空気を排気し、その後バッグ2の内側に再生可能なテストガスの量または濃度(He)を有することを目的としており、そうしないと、供給源4からのヘリウムがバッグ2内の残りの空気と混合してしまう。好ましい選択肢において、
図6に図示するように、ポンプP2は、バッグ2の過度の膨張を防止するために、主たる真空ポンプP1による吸引開始後の準備段階において短時間動作することもある。ここで、ポンプP2による吸引は、関連するバルブV4を閉じることによって、t0のかなり前に停止されてもよい。真空ポンプP2は、任意で、測定サイクルの前、および場合によっては測定サイクルの後に吸引に使用されることもある。
【0089】
センサ9は、1以上の質量分析計、一般的には、内部容積10aの検出領域10d内のヘリウム濃度(分圧)を検出するのに好適な質量分析計を含む。ここで、検出領域10dは、実例として
図1に図示する態様において、真空ポンプP1の入口である真空吸引アセンブリの吸引入口と直接連通する。
【0090】
少なくとも1つの真空ポンプP3は、質量分析計に関連することもある。センサ9を形成する質量分析計内に、別のポンプ(二次ポンプ、図示せず)が組み込まれることもある。バルブV3は、一般的にターボポンプアセンブリまたは同様のポンプ手段を備えるかかる質量分析計のための従来のバルブであってよい。センサ9を形成するか、または包含する検出アセンブリは、測定の精度を拡張するために場合によっては改良されるいくつかの市販製品の中から選ばれることもある。
【0091】
変形例においては、主たる真空ポンプP1は、バルブV3の下流のダクト30aと直接連通するラインに配列されてもよい。かかる検出アセンブリにおける漏出検出器の原理は、セクターフィールド質量分析計に基づき得る。分析対象ガス(この場合はヘリウム)は、真空中でイオン化される。ヘリウムのイオンは加えられた電圧を使用して加速され、さらに磁場において分離される。実例として、特殊な検出器(それ自体既知のもの)を使用してイオン電流は電流に変えられる。この電流は加速され、漏出検出ユニットを使用して画面上に表示される。測定された電流はヘリウム分圧に正比例し、そのため測定された漏出と等しい。
【0092】
場合によっては第2のヘリウム供給デバイスを形成する別の供給デバイス6を持つ態様を、
図1および4に関連して説明する。
【0093】
ここでは加圧ヘリウムの供給源4から、内部容積10a内にヘリウムを加えるためのヘリウム供給デバイス6は、供給パイプ3aとは分離した供給部材、および内部容積10a内のチャンバCH内に外面を有するか、または内部容積10aと直接連通する領域の全部または一部を画定する壁を通してヘリウムを拡散するためのチューブ32または同様の部品を含む。
【0094】
チューブ32は、一般的には、チューブ32のシリコン壁または多孔質タイプのガラス壁を通して拡散によってヘリウムを供給するように適合されたシリコンで作られている。チューブ32の面、好ましくは内側面は、供給部材5のパイプを介して少なくとも1の加圧ヘリウムの供給源4と連通する領域を画定する。バルブV6は、圧力制御デバイスを包含する制御デバイスによって制御されるソレノイドバルブであってもよい。かかる制御ユニット内のルーチンを使用して、バルブV6を選択的に開き、場合によってはバッグ2が膨張した数秒後に、バッグ2の周囲の内部容積10a内のヘリウム分圧を増大するヘリウム注入を引き起こすこともある(実例として、バルブV6はバルブV2の閉止の後に開放とすることもある)。
【0095】
ヘリウム供給デバイス6は、内部容積10aに向けてヘリウムを拡散させるのに好適な、シリコーンゴムのミクロ多孔質膜および/またはメソ多孔質膜(または任意に多孔質ガラス部材)を含むガス透過性壁を備えてもよい。
【0096】
ヘリウム供給デバイス6は、低真空に達したときに、初期に行われた計算の結果によって、制御ユニットからの命令によって作動され得る。一般的には、検出領域10dにおけるヘリウム分圧の一次時間微分が分析される。かかる傾きが大きすぎたり、小さすぎる場合、測定は再現性があるとはみなされないであろう。ここで、分析/確定された傾きが再現性のある測定のための適切な文脈を反映していない場合、追加のヘリウム供給デバイス6を使用してヘリウムの注入がなされるであろう。かかる分析は、ヘリウム分圧が4E-5mbarと低い場合に行われる(例えば、
図3および4における左の傾きを参照のこと)。
【0097】
検出領域10dにおいて測定されるヘリウムの分圧がトリガーポイントに達する(ノイズが測定段階をトリガーするのに十分小さいという意味)とき、ヘリウムの分圧の一次時間微分が所定の範囲内(下限と上限の間)にあるかどうかが確認される。漏出率グラフ上で観察されるような傾き(
図5~6などにおいて)が好適な範囲外の場合のみ、ヘリウム供給デバイス6によって特定のヘリウム注入が行われる。かかるヘリウム注入の必要または不必要を検出するための計算ルーチンは、各検査にて行われ、これはいくつかの検査に関しては有意義であるが、注入することなく、かつヘリウム分圧における減少の追加の待機期間もなく、正確な結果が速く得られるであろう。
【0098】
多くの選択肢と同様に
図1の態様においては、追加のトレーサーガス供給デバイスの必要はない。窒素注入もまた、低真空に達したときに、初期に行われた計算の結果によって、制御ユニット(これは圧力制御デバイス20でもよい)からの命令によって作動され得る。一般的には、検出領域10dにおけるヘリウム分圧(あるいは、アルゴン分圧またはSF6分圧)の一次時間微分が分析される。かかる傾きが大きすぎたり、小さすぎる場合、測定は再現性があるとはみなされないであろう。ここで、分析/確定された傾きが再現性のある測定のための適切な文脈を反映していない場合(上述と同じ確認/比較、各検査にてかかるガストレーサー注入の必要または不必要を検出するための計算ルーチンが行われる)、ステップPPSにて窒素の注入がなされるであろう。
【0099】
以下の部分では,準備段階に対するいくつかの選択肢について説明するが、かかる選択肢は、好ましくは、初期の傾きが好適な範囲外であると確定されたとき(
図6の状況)にのみ使用される。
【0100】
図1を参照して、圧力制御デバイス20は、トレーサーガス供給デバイス3の前に窒素供給デバイス200をトリガーするように構成されており、それによってバルブV1は、所与の被検査バッグ2に対する測定サイクルの最中に、バルブV2の後に選択的に作動される。圧力制御デバイス20もまた、ポンプ、例えば真空ポンプP1およびP2を、場合によっては従来のやり方でトリガーする。チャンバCH内に存在するガスの吸引のためにポンプP1を作動させるとき(ステップa/にて)、バッグ2を膨張させるための充填ステップを開始する前に、待機期間T1’が一般的に要求される。実際、安定化期間が終了するのを待ってから、検査そのものを進めることが通常は必要である。
【0101】
この待機期間T1’の最中、
図6に図示するように、ヘリウム分圧が十分に低いときバルブV2は開放であり、それによってバッグ2の内側への窒素注入が行われる。これは、充填ステップFSのかなり前(すなわちt0のかなり前)になされて、ガストレーサー低下(これは基準低下として機能することもある)を生ずる。
【0102】
次に、続くステップにおいて、圧力制御デバイス20に結合されたセンサ9によって、中間空間または内部容積10a内の圧力低下PDが、既定の圧力低下しきい値と比較される。このしきい値は、例えば、完全性検証中で、かつ完全であるとみなされるバッグ2の圧力低下の値である。
【0103】
しかしながら、圧力低下PDがしきい値よりも大きい値で(通常の継続時間の終わりに)検出された場合は、外側の壁Wは完全性検証に合格しなかった(バッグ2が検査に不合格)とみなされる。
【0104】
測定は、準備段階において任意にされて、窒素注入に起因する基準低下に対するバックグラウンド値を確定するために使用される。かかる選択肢は、圧力の偏りが、漏出を適切に検出することに対する、および/またはいくつかの特定のバクテリアに対する通路を形成するサブマイクロメートルサイズの(例えば、約0.2マイクロメートルの)漏出を系統的に見つけることを要求される状況に対する問題を引き起こすバッグの範囲に対して実施されてよい。バックグラウンド値は、ヘリウム分圧における減少が十分に低いとき、基準低下の終わり(ピークの終わり)に確定されてもよい。かかるバックグラウンド値は、バッグ2の周囲のチャンバCHの物理的条件、およびかかる条件でのヘリウムが排気される仕方を反映しているので、有意義である。実際、かかる状況は、内部容積10a内のヘリウム分圧を速やかに増加させるとき(ここでは、膨張状態へ向けてのバッグ2の構成変更に起因し、かかる変更に起因してバッグ2の外面上に吸着したヘリウムの放出が促進される)のヘリウム漏出率のプロファイルを示す。
【0105】
検査段階は、ヘリウム分圧のレベルがしきい値未満であるときに開始し得る。場合によっては、圧力制御デバイス20によって、例えば0.00004mbar以下の同じかまたは同様のしきい値が使用され、所定のしきい値であるかかるしきい値と同じに低いかまたはそれ未満の漏出率に達した後にのみ、窒素供給デバイス200およびトレーサーガス供給デバイス3をトリガ―してもよい。
【0106】
検査段階における測定は、圧力低下PDのプロファイルの終わりを反映する。分析モジュール15は、一般的には、かかる測定値(ここでは、センサ9によって検出されたヘリウム分圧)を使用して、検出されたヘリウム分圧の経時変化を表す情報を発生させる。分析モジュール15は、かかる情報に基づいてヘリウム漏出を検出するための比較ルーチンを含む。一般的に既定のしきい値(既定の圧力低下しきい値)に対応する基準結果もまた、比較ルーチンによって使用される。
【0107】
いくつかの態様において、基準結果は、検出領域10dにおいてセンサ9によって検出されるヘリウム漏出率の時間微分を計算することによって得られる、既定の圧力低下しきい値である。変形例において、ピークの終わり/圧力低下を反映した同じかまたは同様の時間にて得られた検査結果と比較される基準結果を確定するために圧力低下PDの継続時間が考慮されてもよい。
【0108】
より一般的に、分析モジュール15は、
- 吸引モードが活動状態であるとき、充填ステップFSに続く期間を包含する期間に、予備加圧ステップPPSにての窒素の追加後にセンサ9によって検出されたヘリウム分圧を表す情報を使用するように、および
- 検査段階Tにおいて、検査結果を少なくとも1の基準結果と比較し、ヘリウムで充填された可撓性バッグ2が完全性検証に合格したとみなされるか、またはしなかったとみなされるかを確定するように、
構成されていることもあることを理解されたい。
【0109】
ステップFSを行い、ステップTを開始するときのバッグ2の内側の圧力は、従来のテストにおけるよりも顕著に高くなり得る。ここで、バッグ2全ての内側の混合物(ガストレーサー+窒素)において、穴がない(漏れがない/バッグ2が検査に合格できる)とき、ヘリウム注入終了の時に同じN2/He比が得られる。従って、バルブV1、およびV2またはV2’は、一連のテストの各テストに対してそれぞれ同じ量のガスを送達するように構成されている。
【0110】
検査システム1において、場合によっては異なるバッグ2を拘束するために同じプレート(単数または複数)を使用して、1つ以上のバッグ2が同時に検査されることもある。いくつかの態様において、プレート12または14は、実例として筐体10の静止面に対して当接する後方位置に達するように、可動であってもよい。かかる可動プレートは、1つ以上の被検査バッグの上方に水平に延在する上部プレートであることもある。
【0111】
容量が変動するバッグに対する実験的検査によれば、多すぎる量の窒素を注入する必要はない。N2の量は、被検査バッグ2へ(上部から)適用される初期制約がないとき、5mbar未満、実例として約1から3mbarの間を表すように低くてもよい。実際的に、窒素の分圧とヘリウムの分圧と間の比は、1:100以下と4:100との間であり得る。上部プレートの下に水平に延在するバッグ2(バッグの長さは水平に測定される)を使用するいくつかの選択肢においては、バッグの圧力が上部プレートの残留重量に打ち勝つのに十分でなければならないので、N2の量がより大きくなることがある。実例として、N2の分圧はヘリウムの分圧の約10%を表し得る。
【0112】
残留重量(バネ力または同様の付勢作用の使用に起因して固有重量よりも小さい)を有する可動式上部拘束プレートを用いたかかる選択肢において、バッグ2の内側の分圧によるヘリウムと窒素の比は、バッグ2の呼び容積(ここで呼び容積は通常条件において液体で充填されたときの容積)の増大とともに増大し得る。いずれの場合も、バッグ2は、150mbarまたは200mbarより上の圧力を表す窒素量で充填される必要はなく、ヘリウム分圧は、充填ステップFSの充填直後には窒素分圧よりも顕著に高いままである。
【0113】
また、一連のテストは:
- ヘリウム注入のための同じ短時間(一般的に1ミリ秒より上ではない);および
- 充填ステップFS直後の同じガス圧(実例として、240または250と、350mbarとの間からなる)、
を用いて行われることもある。
大容量(実例として10または20リットルより大きい)を有するバッグ2の場合、高いスラストが得られ:過度のスラストを防止するために、ヘリウムの分圧は一般的に350mbar以下、好ましくは300または310mbarより上でない。
【0114】
充填ステップFSの前に得られた膨張状態のおかげで、検査段階Tは、バッグ2の外側でヘリウム分圧が検出される仕方が、バッグ2のプラスチック材料の高い変形による干渉/偏りに依存し過ぎないことを保証する。内部容積10a内に存在するヘリウム量に敏感な検査結果は、こうして、首尾一貫しているとみなされてもよい。
【0115】
分析モジュール15は、実例として、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、バックアップデータ等を格納するためのフラッシュメモリ、入力インタフェース、および出力インタフェースを包含するコンピュータユニットとして構成された圧力制御デバイス20を包含してもよいし、その一部であってもよい。一般的に、圧力制御デバイス20は、実例として、制御および管理部材28を含むことによって、バルブV1、V2またはV2’、V3、V4を電気的に制御する電子制御ユニット(ECU)である。制御および管理部材28は、バルブV1、V2またはV2’、V3、V4それぞれへの作動および/または命令の伝送を可能にする制御ライン28aを備えることもある。
【0116】
圧力制御デバイス20のROMは、制御ユニット13としてのコンピュータユニットを動作させるためのプログラムを格納する。CPUがRAMを作業領域として使用してROM内に格納されたプログラムを実行すると、コンピュータユニットは、本態様の圧力制御デバイス20として機能する。筐体10内のガスを検出するためのセンサ9を形成する質量分析計または同様の圧力測定部材は、分析モジュール15へデータを提供するために、圧力制御デバイス20の入力インタフェースへ接続される。バルブを包含するさまざまな制御対象が、圧力制御デバイス20の出力インタフェースへ接続される。
【0117】
図1を参照して、検査システム1は、加圧トレーサーガス(ここではヘリウム)の1以上の供給源4、筐体10、および以下のモジュールを備える完結したシステムであることもある:
● 圧力測定部材/センサ9として機能するようにされる質量分析計、および任意で、チャンバCHと、センサ9に向かってガスを循環させるためのポート30またはパイプとの間の連通のための入口インタフェース19を含むヘリウム質量分析計漏出検出器、
● 質量分析計内で十分に低い圧力を維持する、筐体10へ結合された真空システム、
● 検査された可撓性バッグ2を排気する(一般的に
図5および6に図示されたステップb/にて)ためのポンプP2、センサ9を形成する質量分析計に向けてヘリウムの循環を引き起こすための別のポンプP3(
図1に示した態様のように質量分析計がチャンバCHの外側に配列されるとき)、および場合によってはバッグ2の周囲の内部容積10aを排気するのに使用される主たるポンプP1を包含する真空ポンプ、
● 排気から検査、換気まで、測定サイクル(準備段階および検査段階はかかる測定サイクルの一部である)の個々のステップを制御するバルブV1、V2またはV2’、V3、V4、
● ここでは制御ユニットまたは圧力制御デバイス20として機能するようにされる電子測定および制御システム、
● 個々の要素(バルブ、回路など)のための電源、
● 特に検査される製品(ここでは筐体10のチャンバーCH内の可撓性バッグ2)を接続する固定部材および位置決め部材(供給パイプ3、固定デバイス39、および2のプレート12、14を含んでもよい)。
【0118】
かかる検査システム1は、バッグ2の外壁Wにおける漏出を検出するために、ここでは、圧力制御デバイス20の分析モジュール15によるヘリウム分圧を簡単に連続的に測定すること、およびかかるヘリウム分圧を表す情報の経時変化を分析することによって、漏出を検知するために好適な完結したシステムである。
【0119】
検査方法は、いわゆるトレーサーガス(ヘリウム)を使用しており、これは、バッグ2の周囲/外側の内部容積10aがセンサ9を備えた検出アセンブリへ接続されている間、チャンバCH内に配置されたバッグ2を充填するのに使用される。
【0120】
ヘリウム分圧が測定される(場合によっては画面に表示される)検出領域10d中に検査されるバッグ2の外へヘリウムが早く漏出する場合は、分析モジュール15によって顕著な圧力低下PDが特定され得ないので、検出されたヘリウムはバッグ2内の穴を介して内部空間SPから来るヘリウムであるということを意味する。実際、バッグ2(一般的には150または200マイクロメートルより大きい厚さを有するプラスチック壁Wを持つ)を通しての透過性は、4秒より上のこともある最小時間の後にヘリウムが逃げられるようにさせるのみである。
【0121】
図5~6および7を参照して、バッグ2をヘリウムで充填する瞬間(ステップc/において、バルブV1はかかる充填を可能にさせるために開放である)を反映する時間t0の後に、圧力低下PDがある一方、最小時間は経過していないことがわかる。圧力低下PDの継続時間は、一般的に最小時間より下であり、実質的に一定とみなしてもよい。実際、すべての実験に対して、圧力低下PDの開始と終わりは実質的に同じである。圧力低下PDの継続時間は、ここでは、筐体10の配列、および検査システム1において使用される検出手段の種類でもって、約2.5または2.6秒であって、3秒より上ではない。
【0122】
検査時間の最初の数秒の最中、バッグ2内へのヘリウム注入後、可撓性バッグ2は若干膨張し(バッグは既に膨張状態にある)、それゆえにバッグ2の外側の真空チャンバCH内に残留する空気を若干圧縮する(すなわち、内部容積10aは若干減少する)。
【0123】
結果として、チャンバCH内の部分残留ヘリウム圧は、連続排気に起因して、短時間増大した後、再び減少する。これは、バッグ2は完全に密閉されているのに、質量分析計によって、漏出率の増大とそれに続く減少(通常、圧力低下PDと呼ばれる)として読み取られる。
図7において、すべての被検査バッグ2は完全に密閉されているが、内部容積10a内に窒素の注入はない。漏出検出に対し、乖離力を1000分の1に低減させるアーチファクト(バンプ)を発生することがわかる。漏出率曲線38は、高い偏りを反映した例示的な曲線(検査に準拠していると特定されるべきバッグ2にとって最悪の場合)であり、高い分離力の損失を引き起こす。
【0124】
数回の検査において、窒素供給デバイス2006によって窒素を注入するとき、かかる特定の窒素の後に吸引が効率的に行われている限り、曲線38が実質的に発生しない(または発生しにくい)ことが、驚くべきことに見出された。
【0125】
結果として、圧力低下PDの後の漏出率の増大が遅い
図7における曲線50など、または圧力低下PDの後の漏出率の増大が比較的速い
図7における曲線50’など、圧力低下期間経過の後の増大が遅い曲線のみを有する場合、分析モジュール15は、無漏出状態を反映した予め設定した基準結果、例えば曲線50’の場合と同様の基準結果との比較を使用することもある。実際、漏出率が好適なしきい値(実例として、t0の後約3.5秒にて(またはその瞬間の近くの時間帯の内で)、10
-7mbar・L/sec)と同じくらい低いかまたはそれよりも低く測定されることもある場合、ヘリウムで充填された可撓性バッグ2は完全性検証に合格したと効率的に結論付けられてもよい。
【0126】
図5~6で、ステップd/は、t0またはt0直後に始まる、圧力低下を分析するために測定値(少なくともt0後に取られた測定値)に基づいて監視が行われる期間を反映する。水平方向の目盛りは、圧力低下PDをよりよく図示するために、かかるステップd/にて誇張されることもある。ステップe/は、バッグ2が漏出のない正常な状況(特に曲線50参照)に対して、圧力低下PDの終了後しばらくしてヘリウム分圧が通常増大することを示す。
【0127】
もちろん、最終漏出率値が計算される仕方は変動することもある。実例として、分析モジュール15はまず、圧力低下PDが経過したときの曲線50、50’の折り返し点(ダウンポイント)を確定し、次にかかる折り返し点にての漏出率のレベルが十分に低い(受容基準/しきい値未満)かどうかを評価することもある。かかる折り返し点が存在しないか、または受容しきい値よりも高い値に見出される場合、検査されたバッグ2は検査に不合格したと結論付けられる。
【0128】
有利なことに、受容しきい値は任意で、2.00 10-8mbar.L.s-1より低くてもよい。
【0129】
準備段階において、
図4に図示するように、上述のバッグ2、および上述のシステム1が提供される。ステップVS1、VS2およびPPSを始める前に、バッグ2は空(いかなるバイオ医薬流体もない)であり、最初は平らであってもよい。窒素供給デバイス200と接続する窒素注入用ライン28bは、圧力制御デバイス20が筐体10内で行われる異なるガス注入を同期させ得るように、制御および管理部材28へ機能的に結合されることもある。筐体10は、ヘリウム供給デバイス3の一部である注入ライン27または同様の接続を備えており、時間t0にて、次に加圧ガス、ここではヘリウムを送ることが可能である。t0の前に、窒素供給デバイス200は、バッグ2がすでに筐体10内にある間に(窒素注入の前に測定サイクルが開始されている)、予備加圧ステップPPSを行うためにすでに使用されている。
【0130】
バッグ2を膨張させるための窒素注入に起因して、ヘリウムの加速度的な吸引が得られることもある。これは、t0が内部容積10a内のヘリウム分圧に対するしきい値に依存しない限り、より多くのヘリウムが排気され得るので、従来の期間T1と異なる期間T1’を有することが有意義であることもある。好ましい選択肢においては、期間T1’は、ヘリウムの率が安定するようなものであることもある。この方法は、バックグラウンドノイズ(検出されるべき漏出を隠し得るバックグラウンドノイズ)、とりわけ検査段階において開始時に行われる充填ステップに続く圧力低下時にてのバックグラウンドノイズに対する偏り効果を有利に減少させる。
上記の詳細な態様は、医療用途に好適な通常純度でのヘリウムを一般的に含有する加圧ヘリウムの供給源4の使用を示すが、可撓性バッグ2の周りに注入されるヘリウムの量は、場合によっては別の種類の供給源を使用して、場合によっては混合ガスまたは同じレベルの純度を持たないヘリウムを使用して追加され得る。
【0131】
本検査方法は、大容量バッグ2に対してさえも、マイクロメートルおよびサブマイクロメートルのサイズの漏出を検出するのに適切である。筐体10は、少なくとも2L、場合によっては500または650Lに近い容量を有するバッグを受けるのに好適なこともある。ある態様においては、バッグ2は、20と50Lとの間からなる容量を有する。かかる場合においては、バイオ医薬流体で満たされ得る内部空間SPを画定するために、単一の外側の壁Wが提供されることもある。
【0132】
もちろん、本発明は、例としてのみ上述され提供された態様に限定されるものではない。それは、本発明の文脈内で当業者に考えられるさまざまな改造、代替形態、および他の変形例、ならびに、特に上述したさまざまな動作モードの任意の組み合わせを網羅し、分離してまたは組み合わせて利用されることもある。
【0133】
特に、可撓性バッグ2は、バイオ医薬流体を含有するための5以上のプラスチックシートを含んでもよく、場合によっては、追加の各シートがバッグ2の完全性を増大し、バッグが含有するバイオ医薬流体のいかなる汚濁も防止する。