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特許7560519希釈ありまたはなしのアドオンおよび反復アリコート試験
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】希釈ありまたはなしのアドオンおよび反復アリコート試験
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240925BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01N35/02 G
G01N35/00 E
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152110
(22)【出願日】2022-09-26
(65)【公開番号】P2023050153
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】21382873
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・フェルナンデス・グリアス
(72)【発明者】
【氏名】バネッサ・レオン・プホーラ
(72)【発明者】
【氏名】ローラ・ペリテロ・コルネット
(72)【発明者】
【氏名】パウ・ルーラ・ブルン
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー・スミット
(72)【発明者】
【氏名】チェ・イン・プリシリア・タン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンマ・ウルティア・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】モリッツ・フォン・ホプフガルテン
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-038659(JP,A)
【文献】特表2010-501859(JP,A)
【文献】特開2014-048215(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03096144(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/163616(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0050278(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02894479(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03435092(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0066996(US,A1)
【文献】特開平08-278313(JP,A)
【文献】特開平06-034638(JP,A)
【文献】特開2007-033132(JP,A)
【文献】米国特許第07647190(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室自動化システム100内で追加サンプル試験をそのサンプルの既存のアリコートサンプル管または一次サンプル管に割り当てる方法であって、前記実験室自動化システム100が、実験室ミドルウェア150のワークフロー制御ユニットと、前記ワークフロー制御ユニット150と通信する複数の実験室装置120、130、140と、搬送システム110と、を備え、前記方法が、
前記既存のアリコートサンプル管の処理が開始された後に、前記既存のアリコートサンプル管に対する追加サンプル試験の要求を前記ワークフロー制御ユニット150によって受信することと、
前記既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置120にあるかどうかを判定することと、
前記既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置120にある場合、アリコートのタイムアウトが発生したかどうかを判定することと、
アリコートのタイムアウトが発生した場合、前記ワークフロー制御ユニット150によって前記追加サンプル試験を前記一次サンプル管に再割り当てすることと、
アリコートのタイムアウトが発生していない場合、前記搬送システム110によって前記既存のアリコートサンプル管を前記分析実験室装置140のうちの少なくとも1つに搬送することと、
前記分析実験室装置140のうちの少なくとも1つによって前記既存のアリコートサンプル管または前記一次サンプル管から追加サンプル試験を行うことと
を含み、
前記アリコートのタイムアウトが時間ベースであり、前記追加サンプル試験を前記既存のアリコートサンプル管に割り当てた後に、前記ワークフロー制御ユニット150は前記既存のアリコートサンプル管のライフサイクル時間を延長する、または、前記アリコートのタイムアウトがメッセージベースであり、メッセージを受信した後に、前記ワークフロー制御ユニット150は前記既存のアリコートサンプル管のライフサイクル時間を延長する
方法。
【請求項2】
実験室自動化システム100内で追加サンプル試験をそのサンプルの既存のアリコートサンプル管または一次サンプル管に割り当てる方法であって、前記実験室自動化システム100が、実験室ミドルウェア150のワークフロー制御ユニットと、前記ワークフロー制御ユニット150と通信する複数の実験室装置120、130、140と、搬送システム110と、を備え、前記方法が、
前記既存のアリコートサンプル管の処理が開始された後に、前記既存のアリコートサンプル管に対する追加サンプル試験の要求を前記ワークフロー制御ユニット150によって受信することと、
前記既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置120にあるかどうかを判定することと、
前記既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置120にある場合、前記追加サンプル試験のために適切なサンプル量が前記既存のアリコートサンプル管に残っているかどうかを判定することと、
前記追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が前記既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、前記追加サンプル試験を前記一次サンプル管に再割り当てすることと、
前記追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が前記既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、前記実験室ミドルウェア150の前記ワークフロー制御ユニットにエラーメッセージを提供することと、
前記追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が前記既存のアリコートサンプル管に残っている場合、前記搬送システム110によって前記既存のアリコートサンプル管を前記分析実験室装置140のうちの少なくとも1つに搬送することと、
前記分析実験室装置140のうちの少なくとも1つによって前記既存のアリコートサンプル管または前記一次サンプル管から前記追加サンプル試験を行うことと
を含む、方法。
【請求項3】
前記追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が前記既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、前記既存のアリコートサンプル管から前記追加サンプル試験を行うことなく、前記既存のアリコートサンプル管を破棄することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加サンプル試験が前記一次サンプル管に再割り当てされる場合、前記一次サンプル管の位置を特定することと、
前記一次サンプル管が回収可能な標的位置120にある場合、前記一次サンプル管に対する前記追加サンプル試験の再割り当てを完了することと
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記追加サンプル試験が前記一次サンプル管に再割り当てされる場合、新たなアリコートのサンプル管が作成され、前記アリコートのタイムアウトが前記ワークフロー制御ユニット150によって開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記追加サンプル試験が、反復試験、再実行試験、および/または反射試験である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
再実行試験が、手動または分析実験室装置140によって希釈される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記実験室自動化システム100の構成に基づいて前記追加サンプル試験を行うために、前記少なくとも1つの分析実験室装置140を割り当てることをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
実験室自動化システム100のオペレータに、追加サンプル試験が割り当てられた分析実験室装置140を通知することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
実験室自動化システム100であって、
ワークフロー制御ユニットを備える実験室ミドルウェア150であって、前記ワークフロー制御ユニット150が、追加サンプル試験の要求を一次サンプル管またはそのサンプルの既存のアリコートサンプル管に割り当てるように構成されている、請求項1または2に記載の実験室ミドルウェア150と、
分析前、分析後、および分析実験室装置を備える、前記ワークフロー制御ユニット150と通信する複数の実験室装置120、130、140であって、前記複数の分析実験室装置140が、前記一次サンプル管または前記既存のアリコートサンプル管内のサンプルに対して試験を行うように構成された、請求項1または2に記載の複数の分析実験室装置120、130、140と、
前記一次サンプル管または前記既存のアリコートサンプル管内のサンプルを試験するために前記複数の実験室分析装置140に搬送するように構成された、請求項1または2に記載の搬送システム110と
を備える、実験室自動化システム100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に、実験室自動化システムにおいて既存のアリコートの追加および反復試験を行うためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
例えば、いくつかの理由を挙げると、時間を短縮するため、相互汚染を防ぐため、実験室自動化システムからサンプル管を送るため、規制上の理由、顧客の好みのためにサンプルを凍結するためなど、実験室自動化システムにおいてアリコートを形成するいくつかの理由がある。しかしながら、現在、既に形成されたサンプル管に対して追加の/アドオンの試験(反復または反射)が要求された後に、追加試験が元の一次サンプル管に対して行われるべきか、または既存のアリコートサンプル管から行われるべきかを決定することは困難であり得る。
【0003】
現在、実験室ミドルウェア解決策は、典型的には、実験室ミドルウェアのワークフローエンジンを介して試験の追加の反復がどのように行われるかを制御する能力を有していない。サンプルの再試験は、異なる実験室条件下で、および/または異なる分析実験室装置を用いて、および/または希釈の有無にかかわらず行われる必要がある場合があるため、これは問題となる場合があり得る。
【0004】
さらに、典型的な実験室ミドルウェアの典型的なワークフローエンジンは、アリコートが既に発生し、ワークフローが既に開始された後に、アリコートサンプル管に対する新たな追加の試験要求に適応するのに十分に柔軟ではない傾向がある。現在、この新たな試験要求は、新たなアリコートが一次管から形成されるべきであること、または既に存在するアリコートを使用する代わりに一次管からの新たな試験要求の直接処理が存在するべきであることを指示することができる。換言すれば、追加の試験要求は、実験室自動化システム内に容易に利用可能なアリコートがあっても、典型的には一次管から行われる。場合によっては、容易に入手可能なアリコートが既に存在していても、新たなアリコートが形成される。これは、実験室の経済的および性能の問題、ならびに実験室自動化システムの追加の関連コストをもたらす可能性がある。
【0005】
実験室ミドルウェアワークフローが誤った決定を行う可能性があるため、(希釈の有無にかかわらず)試験反復要求が適切に処理されず、実験室自動化システムにおいて非効率的な性能をもたらす別の一般的に発生する問題が発生する可能性がある。
【0006】
したがって、一次サンプル管の使用または追加の新たなアリコートサンプル管の形成によって実験室の時間および費用を浪費することを回避するために、そのサンプルに対する追加の試験要求に容易に利用可能な既存のアリコートサンプル管を使用する必要がある。
【0007】
文献米国特許出願公開第2018/0340949号明細書は、(とりわけ)そのサンプルに関連する試験要求、サンプルの履歴、ならびに実験室における機器および一般的なシステムの状態に基づいて、サンプルのワークフローを決定する方法を開示している。しかしながら、この刊行物は、要求された試験を行うために複数の可能なサンプル容器のうちの1つがどのように選択されるかを開示していない。
【0008】
文献米国特許第9,958,466号明細書は、サンプルのグループに対する第1の試験の結果に基づいて、第2の反射試験が行われるべきかどうかを検出するルールセットを実装する方法を開示する。第1および第2の試験運転は、同じサンプル容器上で行われる。
【0009】
文献米国特許第9,804,065号明細書は、フレキシブルな容積を有するアリコートを形成し、一次容器が要求されたアリコートの全てを形成するのに不十分な材料を有する場合に、要求されたアリコートのどれが形成されるかを決定する方法を開示する。
【0010】
文献米国特許第7,754,149号明細書は、分析測定を行うのに十分なサンプル材料が利用できない状況に対処するために、希釈率の自動決定、ならびにそれらの希釈率の自動補正を開示している。
【0011】
文献米国特許第7,647,190号明細書は、管理されることができる異なる希釈を必要とするサンプルの一連の測定、およびサンプル容器から測定容器への移送中に要求された希釈を受け取り、サンプル材料を希釈することができる機器を開示している。
【発明の概要】
【0012】
概要
本開示の目的は、実験室の時間と費用をより効率的に使用するために、一次サンプル管を使用するか、または一次管から追加の新たなアリコートサンプル管を形成する必要性を回避するために、その試験サンプルの追加の試験要求に既に利用可能な既存のアリコートサンプル管を使用することである。
【0013】
本開示の一態様によれば、実験室自動化システム内で追加サンプル試験をそのサンプルの既存のアリコートサンプル管または一次サンプル管に割り当てる方法が提示される。実験室自動化システムは、実験室ミドルウェアのワークフロー制御ユニットと、ワークフロー制御ユニットと通信する複数の分析実験室装置と、搬送システムとを備える。本方法は、既存のアリコートサンプル管の処理が開始された後に、既存のアリコートサンプル管に対する追加サンプル試験の要求をワークフロー制御ユニットによって受信することと、既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置にあるかどうかを判定することと、既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置にない場合、既存のアリコートサンプル管が搬送システムを介して回収可能な標的位置に到達するまで待機することと、既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置にある場合、アリコートのタイムアウトが発生したかどうかを判定することと、アリコートのタイムアウトが発生した場合に、ワークフロー制御ユニットによって追加サンプル試験が一次サンプル管に再割り当てすることと、アリコートのタイムアウトが発生していない場合、搬送システムによって既存のアリコートサンプル管を分析実験室装置のうちの少なくとも1つに搬送することと、分析実験室装置のうちの少なくとも1つによって既存のアリコートサンプル管から追加サンプル試験を行うことと、を含む。
【0014】
本方法は、既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置にあり、アリコートのタイムアウトが発生していない場合、追加サンプル試験の要求のために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っているかどうかを判定することと、要求された追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、要求された追加サンプル試験を一次サンプル管に再割り当てすることと、追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っている場合、搬送システムによって既存のアリコートサンプル管を分析実験室装置のうちの少なくとも1つに搬送することと、分析実験室装置のうちの少なくとも1つよって既存のアリコートサンプル管から追加サンプル試験を行うことと、をさらに含むことができる。
【0015】
本方法は、追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、既存のアリコートサンプル管を破棄することをさらに含むことができる。
【0016】
本方法は、追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、優先度の低い試験要求を破棄することをさらに含むことができる。
【0017】
本方法は、追加サンプル試験を行うために十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、ワークフロー制御ユニットにエラーメッセージを提供し返すことをさらに含むことができる。
【0018】
本方法は、追加サンプル試験が一次サンプル管に再割り当てされた場合に一次サンプル管の位置を決定することと、一次サンプル管が回収可能な標的位置にある場合に一次サンプル管への追加サンプル試験の再割り当てを完了することと、をさらに含むことができる。
【0019】
アリコートのタイムアウトは、時間ベースであり、追加サンプル試験を既存のアリコートサンプル管に割り当てた後に、アリコートのタイムアウトは、ワークフロー制御ユニットによって再開される。
【0020】
アリコートのタイムアウトは、メッセージベースであり、既存のアリコートサンプル管の存在に関するメッセージを受信した後に、アリコートのタイムアウトは、ワークフロー制御ユニットによって再開される。
【0021】
追加サンプル試験が一次サンプル管に再割り当てされる場合、新たなアリコートサンプル管が形成され、ワークフロー制御ユニットによってアリコートのタイムアウトが開始される。
【0022】
追加サンプル試験は、反復試験、再実行試験、および/または反射試験である。
【0023】
再実行試験は、手動または分析実験室装置によって希釈される。
【0024】
追加サンプル試験は、そのサンプルからの以前の試験結果に基づいて決定される。
【0025】
本方法は、実験室自動化システムの構成に基づいて追加サンプル試験を行うために分析実験室装置を割り当てることをさらに含むことができる。
【0026】
本方法は、実験室自動化システムのオペレータに、追加サンプル試験が割り当てられた分析実験室装置を通知することをさらに含むことができる。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、実験室自動化システムが提示される。実験室自動化システムは、追加サンプル試験の要求を一次サンプル管またはそのサンプルの既存のアリコートサンプル管に割り当てるように構成されているワークフロー制御ユニットを備える実験室ミドルウェアと、ワークフロー制御ユニットと通信し、一次サンプル管および既存のアリコートサンプル管内のサンプルに対して試験を行うように構成された複数の分析実験室装置と、一次サンプル管および既存のアリコートサンプル管内のサンプルを複数の分析実験室装置に搬送するように構成された搬送システムと、を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号によって示される以下の図面と併せて読むと最もよく理解されることができる。
図1】本開示の実施形態にかかる典型的な実験室自動化システムを示している。
図2図2Aは本開示の実施形態にかかる、試験要求が受信されてからの経過時間によるアリコートライフサイクルの終了を示している。図2Bは本開示の実施形態にかかる、アリコートが依然として存在する到来メッセージの欠落によるアリコートライフサイクルの終了を示している。
図3】本開示の実施形態にかかる、試験サンプルに追加試験を割り当てる方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
以下の実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、限定ではなく例示として開示が実施され得る特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態を利用することができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、機械的および電気的変更を行うことができることを理解されたい。
【0030】
以下において使用される場合、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0031】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0032】
「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素を説明するために使用されることができる。これは、単に便宜上および本発明の概念の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形を含む。
【0033】
本明細書で使用される「サンプル」または「試験サンプル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることができ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されることができない。この用語は、具体的には、限定されるものではないが、化学的または生物学的化合物などの物質のアリコートを指すことができる。具体的には、サンプルは、血液、血清、血漿、尿、唾液のうちの1つ以上などの少なくとも1つの生体検体とすることができるか、またはそれらを含むことができる。追加的または代替的に、試験サンプルは、化学物質もしくは化合物および/または試薬とすることができるか、またはそれらを含むことができる。サンプルは、具体的には、化学的または生物学的化合物の流体物質のアリコートなどの液体サンプルとすることができる。例えば、液体サンプルは、少なくとも1つの化学物質および/または生物学的物質を含む、液体物質および/または1つ以上の液体物質を含む溶液などの、少なくとも1つの純粋な液体とすることができるか、またはそれを含むことができる。別の例として、液体サンプルは、懸濁液、エマルジョン、および/または1つ以上の化学的および/または生物学的物質の分散体などの液体混合物とすることができるか、またはそれらを含むことができる。しかしながら、他の、特に非液体サンプルも可能であり得る。例えば、容器は、試薬容器とすることができる。他のサンプルの種類は、例えば、組織、均質化された材料、較正または監視容器のような装置であってもよく、取り扱い対象であってもよい。
【0034】
本明細書で使用される「サンプル管」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることができ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されることができない。この用語は、具体的には、限定されないが、サンプル、具体的には液体サンプルを収容、保管、および/または搬送するための1つ以上のために構成することができる容器を指すことができる。さらに、サンプル管は、サンプル取り扱いシステムにおいて取り扱われるように構成されてもよい。具体的には、サンプル管は、医療の分野および/または化学実験室において使用されることができる。例えば、サンプル管は、容器、バイアル、シリンジ、カートリッジ、アンプル、または容器からなる群から選択されることができる。例えば、サンプル管は、サンプルを収容するためのサンプル管本体と、サンプル管を密封するためのキャップなどのサンプル管クロージャとを備えてもよい。以下では、さらなる可能性を制限することなく、サンプル管のオプションについて説明し、サンプル管は、例として、開放端が上を向くように、サンプルホルダ内に配置されることができる。
【0035】
本明細書で使用される「サンプル管キャリア」という用語は、1つ以上のサンプル管を受け入れるように構成され、サンプル管を搬送するために使用されるように構成された任意の種類のホルダを指すことができる。サンプル管キャリアは、2つの主要なタイプ、単一ホルダおよびサンプルラックであってもよい。
【0036】
「単一ホルダ」は、単一のサンプル管を受け入れて搬送するように構成されたある種のサンプル管キャリアとすることができる。典型的には、単一のホルダは、パック、すなわち、単一のサンプル管を受け入れて保持するための開口部を有する平坦な円筒状物体として提供されることができる。
【0037】
「サンプルラック」は、複数のサンプル管、例えば、1つ以上の列に配置された5つ以上のサンプル管を受け入れ、保持し、搬送するように適合された、典型的にはプラスチックおよび/または金属製のある種のサンプル管キャリアとすることができる。サンプル管またはサンプル管におけるサンプルまたはサンプルラックに保持されたサンプル管上に存在するバーコードなどのラベルの目視または光学的検査または読み取りを可能にするために、開口部、窓またはスリットが存在してもよい。
【0038】
本明細書で使用される「実験室機器」または「実験室装置」という用語は、1つ以上の生物学的サンプルおよび/または1つ以上の試薬に対して1つ以上の処理ステップ/ワークフローステップを実行するおよび/または実行させるように動作可能な任意の装置または装置構成要素を包含することができる。したがって、「処理ステップ」という表現は、遠心分離、分注、サンプル分析などの物理的に実行される処理ステップを指すことができる。「機器」または「装置」という用語は、分析前機器/装置、分析後機器/装置、分析機器/装置および実験室ミドルウェアを包含することができる。
【0039】
本明細書で使用される「実験室ミドルウェア」という用語は、ワークフローおよびワークフローステップが実験室機器/システムによって実行されることができるように、実験室機器/装置または1つ以上の実験室機器/装置を備えるシステムを制御するように構成可能な任意の物理的または仮想的処理装置を指すことができる。実験室ミドルウェアは、例えば、実験室機器/システムに、分析前、分析後、および分析ワークフロー/ワークフローステップを実行するように指示することができる。実験室ミドルウェアは、特定の試験サンプルにどのステップが実行される必要があるかに関してデータ管理ユニットから情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、実験室ミドルウェアは、データ管理ユニットと一体とすることができ、サーバコンピュータによって構成することができ、および/または1つの実験室機器/装置の一部とすることができ、または実験室自動化システムの複数の機器/装置にわたって分配することができる。実験室ミドルウェアは、例えば、操作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能論理コントローラとして具体化されてもよい。
【0040】
本明細書で使用される「ワークフロー制御ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることができ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されることができない。この用語は、具体的には、限定されないが、実験室ミドルウェア内のサンプル処理システムの機能を制御するために、特に、ハードウェアおよび/またはソフトウェアプログラミングによって構成された電子装置を指すことができる。ワークフロー制御ユニットは、少なくとも1つの監視システムおよび/または少なくとも1つのクラウドサーバとのデータ交換のためにさらに構成されてもよい。具体的には、ワークフロー制御ユニットは、少なくとも1つの監視システムおよび/または少なくとも1つのクラウドサーバから、少なくとも1つの情報項目などの電子信号を受信し、受信した信号をさらに評価するように構成された、少なくとも1つのプロセッサなどの実験室ミドルウェア内のコンピューティング装置であってもよく、またはコンピューティング装置を備えてもよい。さらに、ワークフロー制御ユニットは、例えば、少なくとも1つの情報に基づいて、受信されて評価された信号に基づいて機能を制御するように構成されてもよい。
【0041】
「データ記憶ユニット」または「データベース」は、メモリ、ハードディスクまたはクラウドストレージなどのデータを記憶および管理するためのコンピューティングユニットとすることができる。これは、自動化システムによって処理される生物学的/医学的試験サンプルに関連するデータを含むことができる。データ管理ユニットは、LIS(実験室情報システム)および/またはHIS(病院情報システム)に接続されることができる。データ管理ユニットは、実験室機器/装置内のユニットとすることができるか、または実験室機器/装置と同じ場所に配置されることができる。それは、実験室ミドルウェアの一部とすることができる。あるいは、データベースは、遠隔地にあるユニットとすることができる。例えば、それは、通信ネットワークを介して接続されたコンピュータ内で具体化されることができる。
【0042】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WiFi(商標)、GSM(商標)、UMTSもしくは他の無線デジタルネットワークなどの任意のタイプの無線ネットワーク、またはイーサネット(商標)などのケーブルベースのネットワークを含むことができる。特に、通信ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは、ケーブルベースのネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含むことができる。
【0043】
本明細書で使用される「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、物理プロセッサまたは仮想プロセッサを備え、データの受信、処理および送信が可能な任意の物理マシンまたは仮想マシンを含むことができる。サーバは、しばしば個別に「サーバ」または仮想サーバなどの共有リソースとも呼ばれることができる専用コンピュータを含む、任意のコンピュータ上で実行することができる。多くの場合、コンピュータは、複数のサービスを提供し、複数のサーバ実行を有することができる。したがって、サーバという用語は、1つ以上のクライアントプロセスとリソースを共有する全てのコンピュータ化された装置を含むことができる。さらに、「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して分散されたデータ伝送および処理システムを含むことができる。
【0044】
本明細書で使用される「搬送システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることができ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されることができない。この用語は、具体的には、限定されないが、ある位置から別の位置に物体を移動および/または搬送および/または移送および/または運搬するように構成されることができる任意のシステムを指すことができる。具体的には、搬送システムは、複数のサンプル管キャリアを試験サンプル搬送システムを通って、例えば試験サンプル搬送システムの実験室装填装置から別の実験室装置に移動させるように構成されてもよい。他の実験室装置は、分析ステーションであってもよい。例として、搬送システムは、ベルトコンベヤまたはチェーンコンベヤなどのコンベヤ、または電子車両システムなどの車両システムから構成される群から選択される少なくとも1つの搬送要素を備えることができる。搬送システムは、複数の搬送要素を有するマルチレーン搬送システムであってもよく、またはそれを備えてもよい。搬送システムは、複数の並列搬送要素であってもよく、または複数の並列搬送要素を備えてもよい。搬送装置は、共通の平面に、および/または互いの上などの異なる平面に配置されることができる。
【0045】
本明細書で使用される複数のサンプル管キャリアを「移動させる」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられることができ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されることができない。この用語は、具体的には、限定されないが、搬送システムを使用してサンプル管キャリアを搬送および/または移送および/または運搬する動作を指すことができる。具体的には、搬送システムは、サンプル管キャリアを個別に移動させるように構成されてもよい。例えば、サンプル管キャリアのそれぞれは、少なくとも1つの個別の方向に、具体的には、互いに独立して移動されることができる。例えば、サンプル管キャリアの移動は、搬送システムに沿った1方向の1次元移動であってもよい。別の例として、サンプル管キャリアの移動は、搬送システムに沿った2方向の2次元移動であってもよい。追加的または代替的に、サンプル管キャリアは、サンプル取り扱いシステムの高さの差を通過することによって、搬送システムによって第3の方向に移動されてもよい。さらに、搬送システムは、複数のサンプル管キャリアを双方向に移動させるように構成されてもよい。
【0046】
最初に図1を参照すると、図1は、典型的な実験室自動化システムセットアップ100を示している。典型的な実験室自動化システム100では、例えば、分析前実験室装置130、分析実験室装置115、140、および分析後実験室装置120などの複数の異なる実験室装置は、搬送システム110を介して互いに接続されることができる。分析前実験室装置130は、通常、一次サンプル管およびアリコートサンプル管へのサンプル165の予備処理に使用することができる。分析実験室装置140は、例えば、測定可能な信号を生成するために一次サンプル管またはアリコートサンプル管またはサンプルの一部および試験試薬からのサンプルを使用するように設計することができ、それに基づいて分析物が存在するかどうか、および必要に応じてどのような濃度で存在するかを判定することができる。分析後実験室装置120は、サンプルまたはサンプル管キャリアの保管のように、サンプルまたはサンプル管の後処理に使用されることができる。
【0047】
搬送システム110は、一次サンプル管における試験サンプルおよび/または複数の異なる実験室装置120、130、140間のアリコートサンプル管を含むサンプル管キャリア160を搬送するために使用することができる。複数の実験室装置120、130、140間のサンプル管キャリア160の移動の制御は、実験室ミドルウェア150のワークフロー制御ユニットによって管理されることができる。実験室ワークフロー制御ユニット150は、複数の実験室装置120、130、140ならびに搬送システム110と通信して、実験室自動化システム100を通るサンプル管の流れを管理することができる。
【0048】
本開示によれば、実験室ミドルウェア150を介した実験室オペレータは、例えば冷蔵庫などの分析後実験室装置120に配置された試験サンプルに対する追加試験を要求する必要があり得る。試験サンプルは、一次サンプル管またはアリコートサンプル管またはその双方に存在してもよい。実験室ミドルウェア150のワークフローの制約にしたがって、追加試験は、一次サンプル管のみ、アリコートサンプル管のみ、または一次サンプル管とアリコートサンプル管の双方に割り当てられることができる。
【0049】
追加試験を割り当てる際に、実験室自動化システムは、図2A~Bに示すように2つの異なるタイムアウトシナリオをチェックすることができる。図2Aでは、試験要求が受信されてから経過した時間によるアリコートライフサイクルの終了が示されている。図2Bでは、アリコートが依然として存在する到来メッセージの欠落によるアリコートライフサイクルの終了が示されている。サンプルの処理中にタイムアウトのいずれかを超えた場合、追加試験は、デフォルトで一次サンプル管に割り当てられる。
【0050】
図2Aを参照すると、最初にアリコートサンプル管が形成されると、アリコートのタイムアウトが開始される。図2Aの例では、タイムアウトは、100分であるように示されているが、任意の合理的なアリコートのタイムアウトが実現可能である。追加の試験要求が実験室ミドルウェア150によって受信され、既に存在するアリコートサンプル管に割り当てられると、アリコートのタイムアウトが再開され、それによってアリコートサンプル管のライフサイクル時間が延長される。アリコートサンプル管が実験室自動化システムによって形成されない実施形態、すなわち外部アリコートでは、外部アリコートサンプル管が実験室自動化システムに入ると、アリコートのタイムアウトも再開される。タイムアウトがアリコートサンプル管によって超過されたとき、例えば、100分を超えて経過したとき、アリコートサンプル管は、実験室自動化システムによって破棄される。
【0051】
図2Bでは、最初にアリコートサンプル管が形成されると、アリコートメッセージのタイムアウトも開始される。メッセージベースのタイムアウトシナリオでは、アリコートメッセージのタイムアウトは、アリコートサンプル管が実験室自動化システムに依然として存在することを示すメッセージ(例えば、c8kクエリ)が実験室ミドルウェア150によってアリコートサンプル管から受信されるたびに再開される。その後、アリコートサンプル管が実験室自動化システムによって失われた場合、アリコートメッセージのタイムアウトは決して再開されない。
【0052】
図3は、試験サンプルへの追加試験の割り当て方法のフローチャートを示している。一実施形態では、サンプルの追加試験の要求が、病院情報システム(HIS)または実験室情報システム(LIS)から実験室ミドルウェアによって受信された場合、実験室ミドルウェアのワークフロー制御ユニットは、その追加試験のワークフローを計算して実行する。アリコート試験が要求される場合、典型的には、一次サンプル管からアリコートサンプル管が形成される。
【0053】
しかしながら、ステップ200において、アリコートサンプル管が既に存在するサンプルに対する追加の、またはアドオンの試験の要求が実験室ミドルウェアによって受信された場合、実験室ミドルウェアのワークフロー制御ユニットは、既存のアリコートサンプル管が使用されることができると決定する。
【0054】
ステップ210において、既存のアリコートサンプル管の位置が決定される。既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置に配置されている場合、すなわち、既存のアリコートサンプル管が、実験室自動化システムによって既存のアリコートサンプル管が回収されて分析実験室装置に自動的に送られることができる場所に配置されている場合、ステップ220における既存のアリコートサンプル管は、要求された追加試験を行うために、その回収可能な標的位置から分析実験室装置に回収される。回収可能な標的位置の例は、搬送システム上の一時的なバッファ位置または例えば冷蔵庫などの保管装置とすることができる。
【0055】
ステップ240において、実験室ミドルウェアは、取得されたアリコートサンプル管がタイムアウト(時間またはメッセージタイムアウトのいずれか)を超えたか、または要求された追加試験を行うために既存のアリコートサンプル管内に十分な残りのサンプル量を依然として有するかどうかを判定する。既存のアリコートサンプル管がタイムアウトを超えておらず、依然として十分な残りのサンプル量を有する場合、既存のアリコートサンプル管は、要求された追加試験のために適切な分析実験室装置に送られる。次いで、適切な分析実験室装置によって行われた要求された追加試験の結果は、ステップ230において実験室ミドルウェアに送信される。
【0056】
実験室自動化システムがアリコートサンプル管のサンプル量を追跡しない一実施形態では、実験室オペレータが十分なサンプル量が残っていない既存のアリコートサンプル管に対して追加試験を行おうとする場合、既存のアリコートサンプル管は直ちに経過する。この実施形態では、実験室ミドルウェア150は、不十分なサンプル量を有する既存のアリコートサンプル管に対して追加試験を行おうとした分析実験室装置140からサンプル量誤差を受信する。次いで、実験室ミドルウェア150は、要求された追加試験を一次サンプル管に割り当てる。一次サンプル管がアリコートを必要とする場合、この時点でアリコートサンプル管が形成される。
【0057】
別の実施形態では、既存のアリコートサンプル管内のサンプル量が分析実験室装置140および/または搬送システム110のモジュールによって絶えず監視されている場合、計画された追加試験のために既存のアリコートサンプル管内に不十分なサンプル量がある場合、実験室ミドルウェアによって既存のアリコートサンプル管を分析実験室装置140に送る前に、不十分なサンプル量が検出されることができる。追加サンプル試験を行うのに十分なサンプル量が既存のアリコートサンプル管に残っていない場合、既存のアリコートサンプル管から実験室ミドルウェアのワークフロー制御ユニットにエラーメッセージが提供される。そのような場合、実験室ミドルウェアは、以下の解決策のうちの1つを提供することができる:
-既存のアリコートサンプル管に割り当てられた追加試験の数を削減し、任意の残りの試験のために一次サンプル管を使用する。
-既存のアリコートサンプル管に割り当てられた追加試験の数を削減し、任意の残りの試験のために別のアリコートサンプル管を形成する。
-既存のアリコートサンプル管を破棄し、残りの全ての開放試験のために一次サンプル管を使用する。
-既存のアリコートサンプル管に割り当てられた優先度の低い試験を破棄する。
【0058】
分析実験室装置が既存のアリコートサンプル管からサンプルを除去しようとする前に不十分なサンプル量を検出することができるため、アリコートサンプル管のサンプル量を監視することは、実験室自動化システムのより高い柔軟性およびより良好な所要時間(TAT)を可能にすることができる。したがって、一次サンプル管を回収し、追加試験を再割り当てし、新たなアリコートサンプル管を形成するステップがより早く達成されることができる。
【0059】
しかしながら、図3に戻ると、既存のアリコートサンプル管に残っているサンプル量が不十分であるか、または時間もしくはメッセージタイムアウトを超えた場合(ステップ235)、既存のアリコートサンプル管は破棄され、要求された追加試験は、ステップ245において一次サンプル管に再割り当てされる。
【0060】
ステップ210において、既存のアリコートサンプル管が、搬送システム上の回収不可能な標的位置にある、すなわち、例えば、分析実験室装置に既に配置されていることがわかった場合、実験室自動化システムは、ステップ215において、既存のアリコートサンプル管が回収不可能な標的位置において完成するまで待機する。
【0061】
ステップ225において、分析実験室装置からの結果が実験室ミドルウェアによって受信された(ステップ205)と決定されることができる。さらに、ステップ225において、既存のアリコートサンプル管のタイムアウトを超えたと決定された場合、本方法は、ステップ235に進む。最後に、既存のアリコートサンプル管が回収可能な標的位置に到達した場合、本方法は、ステップ220に進むことができる。
【0062】
ステップ250において、一次サンプル管の位置は、実験室ミドルウェアによって決定される。一次サンプル管が搬送システム上の回収不可能な標的位置に配置されていることがわかった場合(例えば、分析実験室装置において)、分析実験室装置からの一次サンプル管試験結果が実験室ミドルウェアによって受信され、一次サンプル管が回収可能な標的位置に到達するまで、実験室自動化システムは待機する。その時点で、本方法は、ステップ260に進む。しかしながら、一次サンプル管が回収可能な目標位置に到達することができないか、またはタイムアウトを超えた場合、追加の試験要求は、ステップ255において失敗する。
【0063】
一次サンプル管が回収可能な標的位置にある場合、ステップ260において、一次サンプル管が回収され、要求された追加試験を行うために適切な分析実験室装置に送られる。
【0064】
上記の方法は、実験室自動化システムが、サンプルの希釈の有無にかかわらず反復サンプル試験をサポートし、サンプルの手動および機器希釈の双方によってサンプル試験を再実行し、反射サンプル試験、すなわち以前のサンプル試験結果に基づいて異なるサンプル試験を行うのを助けることができる。さらに、実験室ミドルウェアは、どの分析実験室装置140が反復サンプル試験を行うかを判定し、実験室オペレータに、サンプル試験が割り当てられた分析実験室装置を通知する。
【0065】
したがって、実験室自動化システムは、反復サンプル試験を行うことができるかまたは行うことができない分析実験室装置140を選択するための手段を実験室オペレータに提供する。実験室ワークフロー制御ユニットは、分析実験室装置および/または実験室自動化システムの構成に基づいて、特定の分析実験室装置上の特定のアリコートおよび/または一次サンプル管に対して繰り返しサンプル試験を行うことができる。
【0066】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、開示された方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品がさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアまたはサーバコンピュータに記憶されることができる。したがって、具体的には、上述したような方法ステップの1つ、2つ以上、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されることができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙形式などの任意の形式で、またはオンプレミスのもしくは遠隔地に位置するコンピュータ可読データキャリア上に存在してもよい。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して配布されてもよい。さらにまた、コンピュータプログラム製品だけでなく、実行ハードウェアも、オンプレミスまたはクラウド環境に配置されることができる。
【0068】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、実験室自動化システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体である。
【0069】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、実験室自動化システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含む変調されたデータ信号である。
【0070】
開示された方法のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法の方法ステップの1つ以上または全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネトワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、サンプルの提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0071】
「好ましくは」、「一般的に」、および「典型的に」のような用語は、特許請求される実施形態の範囲を限定するため、または特定の特徴が特許請求される実施形態の構造または機能にとって重要、必須、またはさらに重要であることを意味するために本明細書では使用されないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0072】
本開示を詳細に説明し、その特定の実施形態を参照することにより、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると識別されるが、本開示は、必ずしも本開示のこれらの好ましい態様に限定されないことが企図される。
図1
図2
図3