(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240925BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240925BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G02F1/133 550
G02F1/1368
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
(21)【出願番号】P 2022168439
(22)【出願日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】中川 英俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佳久
(72)【発明者】
【氏名】松田 成裕
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113311623(CN,A)
【文献】国際公開第2019/186652(WO,A1)
【文献】特開2018-014524(JP,A)
【文献】特開2015-219358(JP,A)
【文献】特開2008-145768(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0180591(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01947697(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G02F 1/133
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素行および複数の画素列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有し、
前記複数の画素によって画定される表示領域と、前記表示領域以外の周辺領域とを有し、
前記周辺領域に設けられ、前記複数の画素行のそれぞれに対応付けられた複数の段を有するシフトレジスタを含むゲート駆動回路と、
前記周辺領域に設けられ、列方向に延びる第1幹線と
を有し、
前記第1幹線は、前記第1幹線の行方向の両側のエッジであって、行方向の前記表示領域側である一方側にある第1エッジと、行方向の前記表示領域と反対側である他方側にある第2エッジとを有し、
前記第1幹線は、それぞれが前記第1エッジと前記第2エッジとを有する第1部分および第2部分を含み、
前記第2部分の前記第1エッジは、前記第1部分の前記第1エッジよりも行方向の前記他方側にあり、
前記第1部分には、素子が設けられておらず、
前記第2部分は、素子が設けられている領域を含む、表示パネル。
【請求項2】
前記周辺領域に設けられ、列方向に延び、前記第1幹線の前記表示領域と反対側に位置する第2幹線をさらに有し、
前記第1幹線は、前記シフトレジスタの前記複数の段に含まれる1または複数の第1種の段に共通の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記シフトレジスタの前記複数の段に含まれる1または複数の第2種の段に共通の他の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記第2幹線の行方向の両側のエッジであって、前記表示領域側の第3エッジと、前記表示領域と反対側の第4エッジとを有し、
前記第2幹線は、前記第1幹線の前記第1部分と行方向に隣接
し前記第3エッジと前記第4エッジとを有する第3部分と、前記第1幹線の前記第2部分と行方向に隣接
し前記第3エッジと前記第4エッジとを有する第4部分とを含み、
前記第3部分は、素子が設けられている領域を含み、
前記第4部分には、素子が設けられておらず、
前記第1幹線は、前記第2部分に設けられた前記素子を介して、前記1または複数の第1種の段に前記共通の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記第3部分に設けられた前記素子を介して、前記1または複数の第2種の段に前記共通の他の信号を供給する、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1幹線の前記第2部分は、前記1または複数の第1種の段を構成する単位回路の形成領域内に配置され、
前記第2幹線の前記第3部分は、前記1または複数の第2種の段を構成する単位回路の形成領域内に配置される、請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第2幹
線の前記第3エッジの形状は、前記第1幹線の前記第2エッジの形状と整合しており、
前記第2幹線の前記第3エッジと、前記第1幹線の前記第2エッジとの間の距離は、略一定である、請求項2または3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第2幹線の前記第4部分の幅は、前記第2幹線の前記第3部分の幅よりも小さい、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第1幹線は、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部をさらに有し、
前記第1部分および前記第2部分は、列方向に延びており、
前記連結部は、列方向と異なる方向に延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1幹線は、前記第1部分と前記連結部との間および前記第2部分と前記連結部との間で屈曲している、請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記第1幹線は、前記表示領域側に突出した複数のESD犠牲部を有する、請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記複数のESD犠牲部は、前記第1幹線の前記第1部分と前記連結部とによって形成される角から前記表示領域側に延設されているESD犠牲部を含む、請求項8に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記複数のESD犠牲部は、前記シフトレジスタの前記複数の段に対応して設けられている、請求項8に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記第1幹線の前記第2部分の幅は、前記第1幹線の前記第1部分の幅と等しい、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項12】
基板と、前記基板上に形成されたゲートメタル層と、前記ゲートメタル層を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたソースメタル層とを
さらに有し、
前記第1幹線は、前記ゲートメタル層に含まれる、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記素子は、前記シフトレジスタの前記
段を構成する単位回路に含まれるTFTである、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、モバイル端末用や、テレビ用途等、種々の用途の液晶表示装置に用いられている。液晶表示パネルの狭額縁化が、製造コストを削減する観点や、デザイン性および機能性の観点から求められている。TFT基板上にゲート駆動回路(「ゲートドライバ」ということもある。)を一体的に形成するゲートドライバモノリシック(GDM)技術を用いることによって、ゲート駆動回路をCOF(チップオンフィルム)またはCOG(チップオングラス)等を用いてTFT基板に実装する場合に比べて、ドライバ実装に係るコストを削減するとともに、狭額縁化を図ることができる。GDM技術は、GOA(Gate on Array)と呼ばれることもある。
【0003】
特許文献1~3は、GDM技術が適用された表示装置を開示している。特許文献1~3の表示装置において、表示装置の表示領域以外の領域(「周辺領域」または「額縁領域」ということがある。)に対応する表示パネルのTFT基板上の領域、例えば表示領域の左側および/または右側の領域に、ゲート駆動回路と、ゲート駆動回路に信号を供給するための上下方向に延びる幹線群とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2011/104945号
【文献】国際公開第2018/025412号
【文献】米国特許出願公開第2021/272949号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GDM技術が適用された表示装置の製造歩留まりを向上させることが求められている。製造歩留まりを低下させる要因として、例えば、表示パネルの製造工程中における静電放電(Electro-Static Discharge:ESD)による破壊がある。詳細は後述する。
【0006】
本発明は、ESDに起因する不良の発生が抑制された表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によると、以下の項目に記載の解決手段が提供される。
【0008】
[項目1]
複数の画素行および複数の画素列を有するマトリクス状に配列された複数の画素を有し、
前記複数の画素によって画定される表示領域と、前記表示領域以外の周辺領域とを有し、
前記周辺領域に設けられ、前記複数の画素行のそれぞれに対応付けられた複数の段を有するシフトレジスタを含むゲート駆動回路と、
前記周辺領域に設けられ、列方向に延びる第1幹線と
を有し、
前記第1幹線は、前記第1幹線の行方向の両側のエッジであって、行方向の前記表示領域側である一方側にある第1エッジと、行方向の前記表示領域と反対側である他方側にある第2エッジとを有し、
前記第1幹線は、それぞれが前記第1エッジと前記第2エッジとを有する第1部分および第2部分を含み、
前記第2部分の前記第1エッジは、前記第1部分の前記第1エッジよりも行方向の前記他方側にあり、
前記第1部分には、素子が設けられておらず、
前記第2部分は、素子が設けられている領域を含む、表示パネル。
[項目2]
前記周辺領域に設けられ、列方向に延び、前記第1幹線の前記表示領域と反対側に位置する第2幹線をさらに有し、
前記第1幹線は、前記シフトレジスタの前記複数の段に含まれる1または複数の第1種の段に共通の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記シフトレジスタの前記複数の段に含まれる1または複数の第2種の段に共通の他の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記第2幹線の行方向の両側のエッジであって、前記表示領域側の第3エッジと、前記表示領域と反対側の第4エッジとを有し、
前記第2幹線は、前記第1幹線の前記第1部分と行方向に隣接し前記第3エッジと前記第4エッジとを有する第3部分と、前記第1幹線の前記第2部分と行方向に隣接し前記第3エッジと前記第4エッジとを有する第4部分とを含み、
前記第3部分は、素子が設けられている領域を含み、
前記第4部分には、素子が設けられておらず、
前記第1幹線は、前記第2部分に設けられた前記素子を介して、前記1または複数の第1種の段に前記共通の信号を供給し、
前記第2幹線は、前記第3部分に設けられた前記素子を介して、前記1または複数の第2種の段に前記共通の他の信号を供給する、項目1に記載の表示パネル。
[項目3]
前記第1幹線の前記第2部分は、前記1または複数の第1種の段を構成する単位回路の形成領域内に配置され、
前記第2幹線の前記第3部分は、前記1または複数の第2種の段を構成する単位回路の形成領域内に配置される、項目2に記載の表示パネル。
[項目4]
前記第2幹線の前記第3エッジの形状は、前記第1幹線の前記第2エッジの形状と整合しており、
前記第2幹線の前記第3エッジと、前記第1幹線の前記第2エッジとの間の距離は、略一定である、項目2または3に記載の表示パネル。
[項目5]
前記第2幹線の前記第4部分の幅は、前記第2幹線の前記第3部分の幅よりも小さい、項目2から4のいずれか1項に記載の表示パネル。
[項目6]
前記第1幹線は、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部をさらに有し、
前記第1部分および前記第2部分は、列方向に延びており、
前記連結部は、列方向と異なる方向に延びている、項目1から5のいずれか1項に記載の表示パネル。
[項目7]
前記第1幹線は、前記第1部分と前記連結部との間および前記第2部分と前記連結部との間で屈曲している、項目6に記載の表示パネル。
[項目8]
前記第1幹線は、前記表示領域側に突出した複数のESD犠牲部を有する、項目1から7のいずれか1項に記載の表示パネル。
[項目9]
前記複数のESD犠牲部は、前記第1幹線の前記第1部分と前記連結部とによって形成される角から前記表示領域側に延設されているESD犠牲部を含む、項目7を引用する項目8に記載の表示パネル。
[項目10]
前記複数のESD犠牲部は、前記シフトレジスタの前記複数の段に対応して設けられている、項目8または9に記載の表示パネル。
[項目11]
前記第1幹線の前記第2部分の幅は、前記第1幹線の前記第1部分の幅と等しい、項目1から10のいずれか1項に記載の表示パネル。
[項目12]
基板と、前記基板上に形成されたゲートメタル層と、前記ゲートメタル層を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたソースメタル層とをさらに有し、
前記第1幹線は、前記ゲートメタル層に含まれる、項目1から11のいずれか1項に記載の表示パネル。
[項目13]
前記素子は、前記シフトレジスタの前記段を構成する単位回路に含まれるTFTである、項目1から12のいずれか1項に記載の表示パネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によると、ESDに起因する不良の発生が抑制された表示パネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1による表示パネル1000aを有する表示装置1100aの構成を示す模式的な図である。
【
図2】表示装置1100aの模式的な平面図である。
【
図3】表示パネル1000aの模式的な平面図であり、表示パネル1000aの一部を模式的に示す平面図である。
【
図4】表示パネル1000aの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す平面図である。
【
図5】比較例の表示パネル900aの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態2による表示パネル1000bの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す平面図である。
【
図7】比較例の表示パネル900bの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、本発明の実施形態による表示パネルの例として液晶表示パネルを示すが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
【0012】
(実施形態1)
図1~
図4を参照して、本実施形態による液晶表示パネル1000aおよび液晶表示パネル1000aを有する液晶表示装置1100a(以下、「表示パネル1000a」および「表示装置1100a」ということがある。)を説明する。
図1は、表示装置1100aの構成を示す模式的な図である。
図2は、表示装置1100aの模式的な平面図である。
図3は、表示パネル1000aの模式的な平面図であり、表示パネル1000aの一部を模式的に示す平面図である。
図4は、表示パネル1000aの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す平面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、表示パネル1000aは、複数の画素行および複数の画素列を有するマトリクス状に配列された複数の画素Pを有する。各画素Pには、TFT(薄膜トランジスタ)1およびTFTに電気的に接続された画素電極5が設けられている。画素行は、行方向(
図2のX方向)に配列された複数の画素Pであり、画素列は、列方向(
図2のY方向)に配列された複数の画素Pである。表示パネル1000aは、互いに対向するTFT基板101および対向基板201と、これらの基板の間に設けられた液晶層とを有する。表示パネル1000aは、複数の画素Pによって画定される表示領域AAと、表示領域AA以外の周辺領域NAとを有する。周辺領域NAは、行方向において表示領域AAよりも外側の第1周辺領域NA1と、列方向において表示領域AAよりも外側の第2周辺領域NA2とを含む。表示装置1100aは、表示パネル1000aと、表示パネル1000aに接続された回路基板510とを有する。
【0014】
この例では、複数の画素行のそれぞれにはゲートバスラインGLが関連付けられ、複数の画素列のそれぞれにソースバスラインSLが関連付けられている。各画素PのTFT1は、対応するゲートバスラインGLからゲート信号を供給され、対応するソースバスラインSLからソース信号を供給される。画素行を上から順に第1行、第2行、・・・、第rx行とし、第r行(1≦r≦rx)の画素行に関連付けられたゲートバスラインをゲートバスラインGL(r)と表すことがある(
図1参照)。ここで、rxは表示パネル1000aが有する画素行の数である。第r行の画素行の画素は、ゲートバスラインGL(r)に供給された走査信号電圧によって選択される。第r行の画素行に関連付けられたゲートバスラインGL(r)は、第r行の画素行に含まれる画素に接続されたTFTのゲート電極に接続されている。画素列について、左から順に第1列、第2列、・・・、第qy列とし、第q列の画素列に関連付けられたソースバスラインSLをソースバスラインSL(q)と表すことがある。ここで、qyは表示パネル1000aが有する画素列の数である。第q列(1≦q≦qy)の画素列の画素には、ソースバスラインSL(q)から表示信号電圧が供給される。第q列の画素列に関連付けられたソースバスラインSL(q)は、第q列の画素列に含まれる画素に接続されたTFTのソース電極に接続されている。
【0015】
表示パネル1000aは、ゲート駆動回路GDを有する。ここでは、ゲート駆動回路GDは、TFT基板101上に一体的に形成されている(ゲートドライバモノリシック)。ゲート駆動回路GDは、表示パネル1000aの第1周辺領域NA1に設けられ、複数の画素行のそれぞれに対応付けられた複数の段を有するシフトレジスタ110を含む。シフトレジスタ110の各段の出力は、複数の画素行のそれぞれに関連付けられたゲートバスラインGLに接続されている。典型的には、シフトレジスタ110はrx個の段を有し、上から順に第1段、第2段、・・・、第rx段とすると、第r段(1≦r≦rx)の出力は、ゲートバスラインGL(r)に接続されている。シフトレジスタ110は、rx個の段に加えて、rx個の段に列方向に隣接する、表示に寄与しない1または複数のダミー段をさらに有してもよい。シフトレジスタ110は、複数の単位回路QCが縦続接続(カスケード接続)されることによって構成されている。シフトレジスタ110の各段は各単位回路QCによって構成されている。シフトレジスタ110の各段を構成する単位回路QCは、少なくとも1つのTFT(半導体素子)を有している。
【0016】
表示パネル1000aは、周辺領域NAに設けられ、列方向に延びる第1幹線134を有する。第1幹線134は、以下のような形状を有する。第1幹線134は、第1幹線134の行方向の両側のエッジのうち表示領域AA側の第1エッジeaと、前記表示領域と反対側の第2エッジebとを有する。行方向のうち表示領域AA側を一方側といい、表示領域AAと反対側の他方側ということがある。すなわち、第1エッジeaは行方向の一方側にあり、第2エッジebは行方向の他方側にある。第1幹線134は、それぞれが第1エッジeaと第2エッジebとを有する第1部分134Aおよび第2部分134Bを含む。第2部分134Bは、第1部分134Aの列方向に位置するということもできる。本明細書において「列方向」は、特に断らない限り、+Y方向および-Y方向に平行な方向を含む。ここで、図面のY軸の矢印の方向を+Y方向とし、その反対の方向を-Y方向とする。「行方向」についても同様に、特に断らない限り、+X方向および-X方向に平行な方向を含む。ここで、図面のX軸の矢印の方向を+X方向とし、その反対の方向を-X方向とする。図示する例では、表示領域AAの左側にある周辺領域NA(
図3および
図4)については、行方向の一方側は、+X方向であり、行方向の他方側は、-X方向である。表示領域AAの右側にある周辺領域NAについては、行方向の一方側は、-X方向であり、行方向の他方側は、+X方向である。第2部分134Bの第1エッジeaは、第1部分134Aの第1エッジeaよりも行方向の他方側にある。例えば、第2部分134Bの第1エッジeaは、第1部分134Aの第1エッジeaよりも表示領域AAから遠い。第1部分134Aには、素子(ここでは単位回路QCが有するTFT)が設けられていない。第2部分134Bは、素子(ここでは単位回路QCが有するTFT10b)が設けられている領域を含む。第1部分134Aと第2部分134Bとは、連続していなくてもよい。この例では、第1幹線134は、第1部分134Aと第2部分134Bとの間に連結部134cをさらに有する。第1幹線134は、第1部分134A、第2部分134Bおよび連結部134c以外の部分を有し得る。ここでは、素子として、シフトレジスタ110の複数の段のそれぞれが有する単位回路QCに含まれるTFTを例示しているが、これに限られず他の回路素子(例えば容量素子)であってもよい。
【0017】
表示パネル1000aは、周辺領域NAに設けられ、列方向に延びる第2幹線132をさらに有する。第2幹線132は、第1幹線134の表示領域AAと反対側に位置する。すなわち、第1幹線134は、表示領域AAと第2幹線132との間に位置する。第1幹線134および第2幹線132は、シフトレジスタ110の複数の段のそれぞれに信号を供給するために用いられる。第1幹線134は、複数の段に含まれる1または複数の第1種の段に共通の信号を供給する。第2幹線132は、複数の段に含まれる1または複数の第2種の段に共通の他の信号を供給する。すなわち、シフトレジスタ110が有する複数の段のうち、第1幹線134から信号が供給される段を「第1種の段」といい、第2幹線132から信号が供給される段を「第2種の段」という。第1幹線134および第2幹線132は、電気的に独立なので、第1種の段と第2種の段に互いに異なる信号を供給することができる。第1幹線134および第2幹線132は、例えばシフトレジスタ110の各段にクリア信号(リセット信号)を供給するために用いられる。クリア信号として、ゲートスタートパルス信号GSPおよび/またはゲートエンドパルス信号GEPを用いてもよい。例えば、第1種の段には、クリア信号としてゲートエンドパルス信号GEPが供給され、第2種の段には、クリア信号としてゲートスタートパルス信号GSPが供給される。
【0018】
図4において、シフトレジスタ110が有する複数の段のうち、第(n+1)段S(n+1)~第(n+4)段S(n+4)を示している。段Sの参照符号の後に付された括弧の中の最初の数字xは、シフトレジスタ110の第x段に対応し、括弧の中の数字xに続く文字(「A」または「B」)は、第x段が第1種の段または第2種の段のいずれであるかを示しており、第x段が第1種の段であるときは「B」、第x段が第2種の段であるときは「A」で示す。第1種の段である、第(n+3)段および第(n+4)段のそれぞれを構成する単位回路は、TFT10bを有し、第2種の段である、第(n+1)段および第(n+2)段のそれぞれを構成する単位回路は、TFT10aを含む。第1幹線134の第2部分134Bは、TFT10bが設けられている領域を含む、すなわち、TFT10bを構成する部分(例えばTFT10bのゲート電極として機能する部分)を含む。電極36bおよび36dが形成する櫛形電極は、第1幹線134をゲート電極とするTFT10bのソース電極およびドレイン電極である。第1幹線134は、第2部分134Bに設けられたTFT10bを介して、第1種の段に共通の信号を供給する。第1幹線134の第1部分134Aは、例えば、第2種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている。また、第1幹線134の第2部分134Bは、例えば、第1種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている。ただし、第1幹線134は、シフトレジスタ110よりも行方向の他方側(すなわち、表示領域AAと反対側)に設けられていてもよい。また、第1種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている第1幹線134の部分は、第2部分134B以外の部分(例えば、行方向における第1エッジeaの位置が第1部分134Aと同じである部分、行方向における第1エッジeaの位置が変化する部分(連結部134c)等)を含んでいてもよい。同様に、第2種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている第1幹線134の部分は、第1部分134A以外の部分を含んでいてもよい。
【0019】
第2幹線132は、第1幹線134の第1部分134Aと行方向に隣接し第3エッジecと第4エッジedとを有する第3部分132Aと、第1幹線134の第2部分134Bと行方向に隣接し第3エッジecと第4エッジedとを有する第4部分132Bとを含む。第3部分132Aは、単位回路QCが有するTFT10aが設けられている領域を含む。すなわち、第3部分132Aは、TFT10aを構成する部分(例えばTFT10aのゲート電極として機能する部分)を含む。電極36aおよび36cが形成する櫛形電極は、第2幹線132をゲート電極とするTFT10aのソース電極およびドレイン電極である。第4部分132Bには、単位回路QCが有するTFTは設けられていない。第2幹線132は、第3部分132Aに設けられたTFT10aを介して、第2種の段に共通の他の信号を供給する。第2幹線132の第3部分132Aは、例えば、第2種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている。また、第2幹線132の第4部分132Bは、例えば、第1種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている。ただし、第2幹線132は、シフトレジスタ110よりも行方向の他方側(すなわち、表示領域AAと反対側)に設けられていてもよい。また、第2種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている第2幹線132の部分は、第3部分132A以外の部分(例えば、行方向における第3エッジecの位置が第4部分132Bと同じである部分、行方向における第3エッジecの位置が変化する部分(連結部132c)等)を含んでいてもよい。同様に、第1種の段を構成する単位回路QCの形成領域内に配置されている第2幹線132の部分は、第4部分132B以外の部分を含んでいてもよい。
【0020】
表示パネル1000aが、ESDに起因する不良の発生を抑制することができる理由を、表示パネル1000aを比較例の表示パネルと比較しながら説明する。
図5は、比較例の表示パネル900aの模式的な平面図であり、
図4に示す表示パネル1000aの模式的な平面図に対応する図である。
図4および
図5は、表示領域AAの左側に配置された第1周辺領域NA1と、表示領域AAとを部分的に示している。以下、同様の図において同じである。比較例の表示パネル900aは、第1幹線934および第2幹線932の形状において、表示パネル1000aの第1幹線134および第2幹線132と異なる。本発明者の検討によると、比較例の表示パネル900aにおいては、ESDに起因する不良を十分に抑制することができない。
【0021】
ゲートメタル層(第1幹線134または第1幹線934、第2幹線132または第2幹線932、導電部32a)上に、絶縁層(ゲート絶縁層)および半導体層(34a、34b)が形成されており、その上に、ソースメタル層(電極36a、36b、36c、36d)が形成されている。
【0022】
例えば、TFT基板101を製造する工程において、基板上にTFTを形成する工程で、基板上にゲートメタル層を形成した後、ゲート絶縁膜および半導体膜を形成し、これらをパターニングする際に、ゲートメタル層のパターン間にESDが発生し得る。特に表示パネルが大きくなると、ゲートメタル層のゲートメタル(実際に導電体が存在する部分)が占める面積が増大し、ゲートメタルに蓄積される電荷の量が増大する。ゲートメタル層の表示領域AAに設けられたゲートメタルに蓄積された電荷は、表示領域AA側から外側に向けて(すなわち周辺領域側に向かって)飛び、電荷を受けた側のゲートメタルが溶断され、絶縁膜が破壊される。その後の工程で、溶断部上にソースメタルが形成されると、溶断部上で、短絡が発生する。表示領域AAに設けられたゲートメタル(ゲートバスラインGL)に蓄積された電荷が、第1幹線934に飛ぶと(
図5の点線の矢印)、第1幹線934の一部が溶断され、絶縁膜が破壊される(
図5のESD)。このESDは、ゲートメタル層を形成した後(すなわち、ゲートメタル膜を堆積しパターニングした後)に、ゲート絶縁膜および半導体膜を形成し、これらをパターニングする際に、ゲートメタル層の近接するパターン間で起こる。ESDは、ゲートメタル層のパターン間の距離が小さいほど発生する確率が高い傾向にある。後の工程で、ゲートメタルの溶断部上にソースメタルが形成されると、溶断部上で、ソースメタル・ゲートメタル間の短絡(以下、簡単のために「S-G短絡」という。)が発生する。第1幹線934と導電部32aとの間でESDが生じる確率が高く、これに起因して、第1幹線934と重なって形成されているTFT10bにおいてS-G短絡が生じ易い。導電部32aは、ゲートメタルの一部であり、第1幹線934の第1エッジea近傍に配置されている。導電部32aは、ゲートバスラインGLとは電気的に接続されていない。ゲートバスラインGLに蓄積された電荷が、近接して配置された、電気的には接続されていないゲートメタルへ飛ぶことを繰り返すことによって、導電部32aが第1幹線934へのESDの起点となり得る。
【0023】
これに対して、本発明による実施形態の表示パネル1000aは、TFT10bのS-G短絡の発生を抑制することができる。表示パネル1000aにおいて、第1幹線134の第2部分134Bの第1エッジeaが、第1部分134Aの第1エッジeaよりも表示領域AAから遠いので、ESDに起因したTFT10bのS-G短絡を抑制することができる。表示パネル1000aは、製造歩留まりを向上させることができる。
図4では、第1幹線134の第2部分134Bと表示領域AAとの距離と、第1幹線134の第1部分134Aと表示領域AAとの距離との差D1zを示している。表示パネル1000aにおいては、比較例の表示パネル900aと比べて、第1幹線134と導電部32aとの間の距離がD1zだけ大きいので、第1幹線134と導電部32aとの間でESDが生じる確率を抑制することができる。
【0024】
この例では、第1幹線134は、第1部分134Aと第2部分134Bとを連結する連結部134cをさらに有する。第1部分134Aおよび第2部分134Bは列方向(図のY方向)に延びており、これらを連結する連結部134cは、列方向とは異なる方向に延びている。第1幹線134は、第1部分134Aと連結部134cとの間、および、第2部分134Bと連結部134cとの間で屈曲している。第1幹線134の第1部分134Aの幅と、第1幹線134の第2部分134Bの幅とは、例えば等しくてもよいし、互いに異ならせてもよい。第1幹線134の形状は、図示する例に限られず、第1幹線134の第2部分134Bと表示領域AAとの距離と、第1幹線134の第1部分134Aと表示領域AAとの距離との差D1zが形成されればよい。例えば、第1幹線134は、第2部分134Bと第1部分134Aとの間で滑らかに曲がっていてもよい。第1幹線134が連結部134cを有するとき、第2幹線132は、第1幹線134の連結部134cと行方向に隣接する連結部132cをさらに有する。
【0025】
第2幹線132の行方向の両側のエッジのうち表示領域AA側のエッジを第3エッジecといい、表示領域AAと反対側のエッジを第4エッジedという。第2幹線132の第3エッジecの形状は、第1幹線134の第2エッジebの形状と整合している。したがって、第2幹線132の第4部分132Bの第3エッジecは、第2幹線132の第3部分132Aの第3エッジecよりも、表示領域AAから遠い。第2幹線132の第3エッジecと、第1幹線134の第2エッジebとの間の距離は、略一定である。ここでは、第2幹線132の第3エッジecと、第1幹線134の第2エッジebとの間の距離は、比較例の表示パネル900aの第2幹線932の第3エッジecと、第1幹線934の第2エッジebとの間の距離と同じとする。第2幹線132の第4部分132Bの幅D2bは、第2幹線132の第3部分132Aの幅D2aよりも小さい。表示パネル1000aは、第2幹線132がこのような形状を有することで、比較例の表示パネル900aと比べて、周辺領域NA(特に第1周辺領域NA1)の面積が増大することを抑制しつつ、すなわち、表示パネルの狭額縁化の実現を犠牲にすることなく、ESDに起因した不良の発生を抑制することができる。
【0026】
表示パネル1000aおよび表示装置1100aの構造をさらに詳細に説明する。
【0027】
図2に示すように、回路基板510は、ゲート駆動回路GDに制御信号を供給する制御回路CNTLを有する。例えば、制御回路CNTLは、回路基板510に実装されている。回路基板510は、ソース基板520を介して、表示パネル1000aの第2周辺領域NA2に形成された端子部TPに接続されている。回路基板510は、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible printed circuits)512を介してソース基板520に接続されている。端子部TPには、ゲート駆動回路GDに信号を供給するための幹線のそれぞれに電気的に接続された端子が設けられている。回路基板510は、ソース基板520を介して、表示パネル1000aの端子部TPから、ゲート駆動回路GDに信号を供給するための幹線のそれぞれに信号を供給する。回路基板510は、この例では、複数のソース基板520を介して表示パネル1000aと接続されている。ソース基板520(プリント配線基板)のそれぞれは、複数のフレキシブル回路基板522を介して表示パネル1000aと接続されており、ソースバスラインSLに表示信号電圧を供給するソース駆動回路SDがフレキシブル回路基板522に実装されている。なお、
図2では見やすさのためにソースバスラインSLの図示を省略している。制御回路CNTLは、例えば、ソース駆動回路SDにも制御信号を供給する。制御回路CNTLがゲート駆動回路GDに供給する制御信号は、例えば、ゲートスタートパルス信号GSP、ゲートクロック信号GCK、ゲートエンドパルス信号GEPを含む。制御回路CNTLがソース駆動回路SDに供給する制御信号は、例えば、ソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCKを含む。なお、ソース駆動回路SDおよび制御回路CNTLの配置や接続方法は、図示するものに限られない。また、
図2では表示領域AAの左右両側にゲート駆動回路GDおよびゲート駆動回路GDに信号を供給するための配線が設けられているが、表示領域AAの左右どちらか一方にのみ、ゲート駆動回路GDおよびゲート駆動回路GDに信号を供給するための配線を設けてもよい。
【0028】
図3に、シフトレジスタ110に信号を入力するための配線をより詳細に示している。表示パネル1000aは、ゲート駆動回路GDに信号を供給するために第1周辺領域NA1に設けられた以下の配線をさらに有する。具体的には、表示パネル1000aは、それぞれが列方向に延び、シフトレジスタ110の複数の段に互いに位相の異なるn種類(nは2以上の整数)のクロック信号を供給するn本のクロック幹線CKL1~CKLnと、それぞれが列方向に延び、シフトレジスタ110の複数の段に共通の信号を供給する外側幹線122および内側幹線124と、それぞれが外側幹線122と内側幹線124とを電気的に接続する複数の枝配線140とを有する。表示パネル1000aの第2周辺領域NA2の端子部TPには、n本のクロック幹線CKL1~CKLnおよび外側幹線122のそれぞれに電気的に接続された端子(n個のクロック幹線用端子および外側幹線用端子)が設けられている。n本のクロック幹線CKL1~CKLnを総称してクロック幹線CKLということがある。
【0029】
n本のクロック幹線CKL1~CKLnとして、
図3の例では、8本のクロック幹線CKL1~CKL8が設けられている(n=8)。クロック幹線CKL1~CKL8から供給されるゲートクロック信号GCKをGCK1~GCK8とすると、ゲートクロック信号GCK1~GCK8は、例えば周期が8H(1Hは1水平走査期間)、デューティ比が1:1(1周期の8Hのうち4Hがハイレベル、4Hがローレベルにある)の振動電圧であり、位相が1Hずつ異なる。例えば、ローレベル電位Vgl=-7V、ハイレベル電位Vgh=35Vである。表示パネル1000aの第2周辺領域NA2の端子部TPには、クロック幹線CKL1~CKL8のそれぞれに電気的に接続された端子(8個のクロック幹線用端子)が設けられており、制御回路CNTLからクロック幹線用端子を介して接続されたクロック幹線CKL1~CKL8にゲートクロック信号GCK1~GCK8がそれぞれ供給される。各クロック幹線CKL1~CKL8とシフトレジスタ110の各段の入力(入力端子)とは、行方向に延びる配線154を介して電気的に接続されているので、シフトレジスタ110の各段の入力に、ゲートクロック信号GCK1~GCK8が供給される。シフトレジスタ110の各段の入力と、n本のクロック幹線CKL1~CKLnとの接続関係の例は以下の通りである。例えば、第1段~第8段の入力には、クロック幹線CKL1~CKL8からゲートクロック信号GCK1~GCK8がそれぞれ供給され、第9段~第16段の入力には、クロック幹線CKL1~CKL8からゲートクロック信号GCK1~GCK8がそれぞれ供給され、第17段~第24段の入力には、クロック幹線CKL1~CKL8からゲートクロック信号GCK1~GCK8がそれぞれ供給され、・・・と同様に繰り返される。すなわち、シフトレジスタ110の第{(a×n)+k}段の入力には、クロック幹線CKLkからゲートクロック信号GCKkが供給される(ここで、aは0以上の整数、kは0以上n-1以下の整数)。
【0030】
外側幹線122および内側幹線124は、例えば、シフトレジスタ110の複数の段にローレベル電位(例えばVSS=-7V)を与える信号を供給するためのものである。制御回路CNTLから外側幹線用端子を介して接続された外側幹線122に、固定電位を与える信号(例えばローレベル電位VSSを与える信号)が供給される。外側幹線122と内側幹線124とは枝配線140を介して電気的に接続されており、内側幹線124とシフトレジスタ110の各段の入力(入力端子)とは配線152を介して電気的に接続されているので、シフトレジスタ110の各段の入力に、ローレベル電位VSSを与える信号が供給される。
【0031】
表示パネル1000aは、第1周辺領域NA1に設けられ、列方向に延び、シフトレジスタ110の複数の段に共通の他の信号を供給するさらなる幹線121をさらに有してもよい。この場合、制御回路CNTLから2種類のローレベル電位(例えばVSS1=-12V、VSS2=-7V)を与える信号が供給される。外側幹線122および内側幹線124は、ローレベル電位VSS2を与える信号をシフトレジスタ110の複数の段に供給し、幹線121は、ローレベル電位VSS1を与える信号をシフトレジスタ110の複数の段に供給する。
【0032】
なお、外側幹線122および内側幹線124は、例えば、シフトレジスタ110の複数の段にハイレベル電位(Vghと異なってよい)を与える信号VDを供給するためのものであってもよい。制御回路CNTLから外側幹線用端子を介して接続された外側幹線122に、ハイレベル電位を与える信号VDが供給されてもよい。
【0033】
この例では、内側幹線124は、シフトレジスタ110よりも表示領域AAから遠く配置されており、外側幹線122は、内側幹線124よりも表示領域AAから遠く配置されている。8本のクロック幹線CKL1~CKL8は、外側幹線122と内側幹線124との間に設けられている。外側幹線122の行方向の幅は、典型的には、内側幹線124の行方向の幅よりも大きい。
【0034】
(実施形態2)
図6を参照しながら、本実施形態による表示パネル1000bを説明する。
図6は、表示パネル1000bの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す平面図である。
図6は、
図4に示す表示パネル1000aの模式的な平面図に対応する図である。以下では、先の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0035】
表示パネル1000bにおいて、第1幹線134は、表示領域AA側に突出した複数のESD犠牲部134xを有する。複数のESD犠牲部134xは、例えば、シフトレジスタ110の各段に対応して設けられている。「ESD犠牲部」は、配線または電極がその機能を果たすためには必要のない付加的な部分であり、配線または電極がその機能を果たすために必要な部分(配線本体または電極本体)よりもESD不良が発生しやすい位置に設けられる。
【0036】
表示パネル1000bにおいても、表示パネル1000aと同様に、ESDに起因した不良の発生を抑制することができる。このことを、表示パネル1000bを比較例の表示パネル900bと比較しながら説明する。
図7は、比較例の表示パネル900bの模式的な平面図であり、周辺領域NAおよび表示領域AAの一部を模式的に示す模式的な平面図である。比較例の表示パネル900bは、第1幹線934および第2幹線932の形状において、表示パネル1000bの第1幹線134および第2幹線132と異なる。
【0037】
第1幹線934に設けられた複数のESD犠牲部134xと対向するように、導電部32aの第1幹線934側(表示領域AA側と反対側)にも複数のESD犠牲部32xが設けられている。第1幹線934のESD犠牲部134xと導電部32aのESD犠牲部32xとが近接しているので、これらの間でESDが生じる可能性が高くなる。すなわち、表示領域AAに設けられたゲートメタルに蓄積された電荷は、第1幹線934のESD犠牲部134xに飛ぶ可能性が高くなる。本発明者の検討によると、第1幹線934のESD犠牲部134xに飛んだ電荷が、第1幹線934のTFT10bのゲート電極として機能する部分にさらに飛ぶことによって、第1幹線934の一部が溶断され、絶縁膜が破壊される(
図7のESD)ことがある。後の工程で、ゲートメタルの溶断部上にソースメタルが形成されると、溶断部上でS-G短絡が発生する。このようにしてTFT10bにS-G短絡が生じることがある。
【0038】
これに対して、表示パネル1000bにおいては、第1幹線134の第2部分134Bの第1エッジeaが、第1部分134Aの第1エッジeaよりも表示領域AAから遠い。したがって、第1幹線134に設けられたESD犠牲部134xの先端からTFT10bまでの距離が大きいので、TFT10bのS-G短絡を抑制することができる。第1幹線134の第1部分134Aに設けられたESD犠牲部134xと、第1幹線134の第2部分134Bに設けられたESD犠牲部134xとは、その先端から表示領域AAまでの距離が等しいことが好ましい。
【0039】
例えば表示パネルが大型であると、第1幹線134のゲートメタル層のゲートメタルに占める面積が大きいので、第1幹線134にも電荷が溜まり、ESDを発生させる要因の1つになり得る。第1幹線134の第1部分134Aと連結部134cとによって形成される角から電荷が飛ぶことを抑制するために、複数のESD犠牲部134xは、第1幹線134の第1部分134Aと連結部134cとによって形成される角から表示領域AA側に延設されているESD犠牲部134xを含むことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の実施形態による表示パネルは、液晶表示パネルおよび有機EL表示パネル等のアクティブマトリクス型表示パネルに広く適用される。本発明の実施形態による表示パネルを適用すると、アクティブマトリクス型表示パネルの製造歩留まりを向上させることができる。
【符号の説明】
【0041】
101:TFT基板、110:シフトレジスタ、132:第2幹線、132A:第2幹線の第3部分、132B:第2幹線の第4部分、134:第1幹線、134A:第1幹線の第1部分、134B:第1幹線の第2部分、134x:ESD犠牲部、201:対向基板、510:回路基板、1000a、1000b:表示パネル、1100a:表示装置