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  • 特許-カプセルの外観検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】カプセルの外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20240925BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20240925BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01N21/85 A
B07C5/342
B65G47/84
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022501671
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048657
(87)【国際公開番号】W WO2021166446
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020024121
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】池内 亨輔
(72)【発明者】
【氏名】吉元 直樹
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-80475(JP,A)
【文献】特開平5-149883(JP,A)
【文献】実開平1-102749(JP,U)
【文献】特開昭57-94381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0219497(US,A1)
【文献】中国実用新案第202494644(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B07C 5/342
B65G 47/84
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディにキャップが外嵌されたカプセルの外観を検査する装置であって、
収容部に収容されたカプセルを搬送する搬送体と、
搬送されたカプセルを前記収容部内で接触摩擦により回転させる接触体と、
回転するカプセルを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像データに基づいてカプセルの良否を判定する判定装置とを備え、
前記接触体は、前記収容部に隙間をあけて収容されたカプセルを軸方向周りに回転させることにより、前記収容部内をボディ側に移動させ、
前記判定装置は、前記収容部におけるカプセルの位置に基づきカプセルの向きを判別するカプセルの外観検査装置。
【請求項2】
前記判定装置は、前記撮像データに含まれるカプセルの軸方向の中心を、前記撮像装置の撮像エリアの中心と比較して、カプセルの向きを判別する請求項1に記載のカプセルの外観検査装置。
【請求項3】
前記接触体は、ローラからなり、カプセルと接触する外周面が平坦に形成されている請求項1または2に記載のカプセルの外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルの外観検査装置に関し、より詳しくは、キャップおよびボディを備えるカプセルの外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップおよびボディを備えるハードカプセルの外観を検査する装置として、例えば特許文献1に開示された外観検査装置が知られている。図7に示すように、この外観検査装置50は、投入ホッパー11、供給ホッパー12、供給ドラム13、第1の方向規制ドラム14、第2の方向規制ドラム15、検査ドラム16および撮像装置17を備えている。
【0003】
投入ホッパー11に投入されたカプセルは、供給ホッパー12から供給ドラム13に供給され、供給ドラム13により直立状態で第1の方向規制ドラム14に向けて搬送される。第1の方向規制ドラム14および第2の方向規制ドラム15は、搬送するカプセルに対して、キャップ側が一定の方向を向いた横転状態となるように方向規制を行った後、検査ドラム16に供給する。
【0004】
検査ドラム16は、固定された内筒体16aと、この内筒体16aの外側に回転可能に取り付けられて間欠駆動される外筒体16bとを備えている。外筒体16bは、貫通孔からなる複数のポケット16cが形成されており、ポケット16cに収容されたカプセルを内筒体16aの外周面により保持しながら、撮像装置17の撮像位置まで搬送する。撮像位置における内筒体16aの内側には、内筒体16aから外部に露出してカプセルと接触する自転ローラ16dが設けられており、カプセルが撮像位置に搬送されると外筒体16bが一時停止して、自転ローラ16dの回転によりカプセルが回転する。撮像装置17は、ラインセンサカメラ17aおよび照明装置17bを備えており、回転するカプセルの全周を照明装置17bで照明しながらラインセンサカメラ17aにより撮像する。撮像された画像は、良否判定部(図示せず)で良否判定が行われ、この判定結果に基づいて分別装置(図示せす)により良品および不良品が分別回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-288583号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の外観検査装置は、撮像装置17により撮像されるカプセルの良否判定を正しく行うことができるように、カプセルの方向を揃える第1の方向規制ドラム14および第2の方向規制ドラム15が必要になるため、構成が煩雑になるだけでなく、部品交換や洗浄等のメンテナンス面でも改良の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、カプセルの外観検査を低コストで容易に行うことができるカプセルの外観検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、ボディにキャップが外嵌されたカプセルの外観を検査する装置であって、収容部に収容されたカプセルを搬送する搬送体と、搬送されたカプセルを前記収容部内で接触摩擦により回転させる接触体と、回転するカプセルを撮像する撮像装置と、前記撮像装置の撮像データに基づいてカプセルの良否を判定する判定装置とを備え、前記接触体は、前記収容部に隙間をあけて収容されたカプセルを軸方向周りに回転させることにより、前記収容部内をボディ側に移動させ、前記判定装置は、前記収容部におけるカプセルの位置に基づきカプセルの向きを判別するカプセルの外観検査装置により達成される。
【0009】
このカプセルの外観検査装置において、前記判定装置は、前記撮像データに含まれるカプセルの軸方向の中心を、前記撮像装置の撮像エリアの中心と比較して、カプセルの向きを判別することができる。
【0010】
前記接触体は、ローラからなり、カプセルと接触する外周面が平坦に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカプセルの外観検査装置によれば、カプセルの外観検査を低コストで容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るカプセルの外観検査装置の概略構成図である。
図2図1に示す装置の要部側面図である。
図3図1に示す装置の要部拡大図である。
図4図3の要部を模式的に示す図である。
図5図1に示す装置によるカプセルの外観検査方法を説明するための図である。
図6】撮像データの一例を示す図である。
図7】従来のカプセルの外観検査装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカプセルの外観検査装置(以下、単に「外観検査装置」という)の概略構成図である。図1に示す外観検査装置1は、図7に示す従来の外観検査装置50が備える第1の方向規制ドラム14および第2の方向規制ドラム15に代えて、受渡しドラム21を備えるものであり、更に、図7に示す検査ドラム16に代えて、新たな検査ドラム30を備えるものである。外観検査装置1のその他の構成については、従来の外観検査装置50と同様であるため、図1に示す外観検査装置1において、従来の外観検査装置50と同様の構成部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略し、従来の外観検査装置50との相違点を中心に説明する。本実施形態の外観検査装置1は、従来の外観検査装置50と同様に、ボディにキャップを外嵌して粉状や液状の薬剤、食品等を収容することができるハードカプセルの検査に好適に使用することができる。
【0014】
図2に示すように、受渡しドラム21は、複数の収容ポケット21aが外周面の軸方向および周方向に整列するように形成されている。各収容ポケット21aは、収容されるカプセルの軸方向(ボディおよびキャップの嵌合方向)が、受渡しドラム21の回転軸方向に沿うように、横長に形成されている。供給ドラム13から供給されるカプセルは、図1の矢示方向に回転する受渡しドラム21の収容ポケットに横倒しの状態で引き渡されて、検査ドラム30に供給される。なお、供給ドラム13から受渡しドラム21を介して検査ドラム30に供給される過程で、ドラム間のカプセルの引き渡しがスムーズに行われるように、カプセルの供給側から圧縮空気を供給すると共に、カプセルの被供給側において真空吸引を行ってもよい。
【0015】
受渡しドラム21は、従来の第1の方向規制ドラム14および第2の方向規制ドラム15のようにカプセルの方向を揃える必要がないことから、単に収容ポケット21aを備える構成でよい。したがって、従来の外観検査装置50において、第1の方向規制ドラム14および第2の方向規制ドラム15を、受渡しドラム21に置き換えることで、構成を簡素化して製造コストを低減することができ、メンテナンスも容易になる。
【0016】
検査ドラム30へのカプセルの供給は、カプセルを横倒しの状態で供給可能な供給装置を使用することで、この供給装置から検査ドラム30にカプセルを直接供給するように構成してもよい。
【0017】
図3は、図1に示す検査ドラム30の拡大図である。図3に示すように、検査ドラム30は、固定された円筒状の内筒体31と、内筒体31の外周に沿って回転駆動される円筒状の搬送体32とを備えている。搬送体32は、受渡しドラム21の収容ポケット21a(図2参照)に対応して複数形成された貫通孔からなる収容部33を備えている。収容部33は、受渡しドラム21の収容ポケット21aと同様に、収容されるカプセル40の軸方向が、搬送体32の回転軸方向に沿うように、横長の矩形状に形成されている。搬送体32は、受渡しドラム21からガイド板22に沿って横倒しの状態で搬送されるカプセル40を、そのままの姿勢で収容部33に収容し、内筒体31の外周面に沿って撮像位置Pまで搬送する。収容部33の大きさは、カプセル40が内部で回転できるように、収容部33の内壁とカプセル40の外表面との間に隙間が生じる大きさであることが好ましく、特にカプセル40の軸方向については、後述するカプセル40の移動を判別できる程度の隙間を確保することが好ましい。収容部33の形状は特に限定されず、矩形状以外に、例えば、長楕円形状等であってもよい。
【0018】
検査ドラム30は、撮像位置Pに搬送されたカプセル40を接触摩擦により回転させる接触体34を更に備えている。接触体34は、搬送体32とは独立して回転駆動されるローラからなり、平坦に形成された外周面が、内筒体31に形成された窓部を介して外部に露出するように配置されている。
【0019】
図1に示す撮像装置17が備えるラインセンサカメラ17aは、図3に示す撮像装置Pに搬送されたカプセル40を撮像して、撮像データを判定装置20に出力する。判定装置20は、撮像データに基づいてカプセル40の良否を判定し、判定結果に応じて噴射ノズル(図示せず)からの圧縮空気の噴射を制御することにより、カプセル40を良品回収シュート35と不良品回収缶36とに振り分けることができる。
【0020】
図4に模式図で示すように、収容部33に収容されたカプセル40は、搬送体32の間欠駆動により、撮像位置Pまで搬送されて一時停止する。そして、内筒体31の窓部31aを介して露出する接触体34が矢示方向に回転することにより、接触体34とカプセル40の下部との間で接触摩擦が生じて、カプセル40が矢示の軸方向回りに回転する。ラインセンサカメラ17aは、回転するカプセル40を撮像することによりカプセル40の全周を撮像する。撮像が終了すると、搬送体32の駆動が再開されて、次のカプセル40が撮像位置Pに搬送される。こうして、順次搬送されるカプセル40の撮像データを個別に取得することができる。
【0021】
本実施形態においては、カプセル40が収容部33に供給される前に方向規制が行われていないため、収容部33に収容されたカプセル40の向きはランダムである。例えば、図5(a)に示すように、ボディ41が左側となりキャップ42が右側となるようにカプセル40が収容部33に収容された状態で、接触体34が矢示A方向に回転すると、ボディ41およびキャップ42が接触体34に接触して、カプセル40が、矢示Bで示すように軸方向周り(ボディ41およびキャップ42の嵌合方向周り)に回転する。ボディ41の外径はキャップ42の外径よりも小さいため、回転するカプセル40は、図5(b)の矢印で示すように収容部33内で左側(ボディ41側)に移動する。
【0022】
一方、図5(c)に示すように、ボディ41が右側となりキャップ42が左側となるようにカプセル40が収容部33に収容された状態で、接触体34が矢示A方向に回転すると、カプセル40の矢示Bで示す回転により、カプセル40は、図5(d)の矢印で示すように収容部33内で右側(ボディ41側)に移動する。
【0023】
このように、ボディ41およびキャップ42の外径の違いにより、回転するカプセル40は常にボディ41側に移動することから、移動後のカプセル40の全周を撮像することで、収容部33内におけるカプセル40の位置に基づき、カプセル40の向きを正しく判別することができる。ボディ41およびキャップ42が接触体34と接触する部分の断面形状は、円形状であることが好ましいが、楕円状や多角形状等であってもよい。接触体34がカプセル40と接触する外周面は、カプセル40の向きに拘らずボディ41およびキャップ42の双方と確実に接触できるように、平坦に形成されていることが好ましい。カプセル40と接触体34との接触を確実にするため、内筒体31の内部を真空吸引して、カプセル40を接触体34側に吸引することが好ましい。
【0024】
図6は、カプセル40の全周を撮像した撮像データの一例を示す図である。図6(a)に示すように、ボディ41が左側となりキャップ42が右側となるようにカプセル40が収容部33(図5(a)参照)に収容されている場合には、カプセル40が左側に移動することにより、撮像エリアの中心を通る中心線C1(一点鎖線)に対して、カプセル40の軸方向(図の左右方向)の中心を通る中心線C2(破線)が左側となる。一方、図6(b)に示すように、ボディ41が右側となりキャップ42が左側となるようにカプセル40が収容部33(図5(c)参照)に収容されている場合には、カプセル40が右側に移動することにより、撮像エリアの中心を通る中心線C1(一点鎖線)に対して、カプセル40の軸方向(図の左右方向)の中心を通る中心線C2(破線)が右側となる。撮像エリアの中心は常に一定であり、カプセル40の軸方向の中心は、画像データに含まれるカプセル40の画像を抽出することで演算可能であるから、それぞれの中心の位置を比較することで、収容部33におけるカプセルの位置を正確に把握することができ、これによってカプセル40の向きを確実に判別することができる。
【0025】
カプセル40の向きを判別する方法は、上記の方法に限定されるものではなく、例えば、カプセル40の軸方向の中心を演算する代わりに、ボディ41とキャップ42との境界線を、撮像エリアの中心線と比較してもよい。また、撮像データにおいてカプセル40の左右両側に生じるマージン部分M1,M2の大きさを比較することにより、カプセル40の向きを判別することも可能である。あるいは、収容部33の両端部にセンサを設置し、収容部33内のカプセル40の位置をこれらのセンサにより検出することで、カプセル40の移動方向を判別することもできる。これらの方法によれば、ボディ41およびキャップ42の色が互いに同一または類似である場合、あるいは、ボディ41およびキャップ42に印刷が無い場合や印刷内容が同一または類似である場合等においても、カプセル40の向きを正確に判別することができる。
【0026】
判定装置20は、判別したカプセルの向きに基づいて、画像データに含まれるカプセルの良否を判定する。例えば、ボディ41が左側となるカプセル40の向きで検査条件を設定した場合、実際のカプセル40の向きが検査条件の想定する向きと同じ場合には、そのまま検査を行うことができる一方、実際のカプセル40の向きが検査条件の想定する向きと反対である場合には、撮像データを左右反転させた後に検査を行う。これにより、カプセル40の向きに拘らず、同じ検査条件で検査を行うことができる。
【0027】
本実施形態においては、搬送体32によるカプセル40の搬送方式を回転搬送式としているが、直線搬送式等であってもよい。また、本実施形態の接触体34は、回転によりカプセル40を回転させるローラとしているが、カプセル40に接触摩擦を生じさせるベルトや板材等の直線運動や揺動運動等により、カプセル40を回転させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 カプセルの外観検査装置
17 撮像装置
20 判定装置
30 検査ドラム
32 搬送体
33 収容部
34 接触体
40 カプセル
41 ボディ
42 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7