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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】レシプロコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20240925BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
F04B39/12 D
F04B39/00 101F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022502123
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 BR2020050255
(87)【国際公開番号】W WO2021007634
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】BR1020190144858
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】521552534
【氏名又は名称】ニデック グローバル アプライアンス ブラジル リミターダ
【氏名又は名称原語表記】NIDEC GLOBAL APPLIANCE BRASIL LTDA.
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】モレイラ,エマーソン
(72)【発明者】
【氏名】ドイ,リカルド エム
(72)【発明者】
【氏名】ローン,セルジオ ケイ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-293464(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153272(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/093255(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシプロコンプレッサであって、
少なくとも1つの圧縮シリンダと少なくとも1つの往復ピストンで構成される少なくとも1つの機能構造部と、
前記圧縮シリンダ内で前記往復ピストンを往復運動させることができる少なくとも1つの電気モータと、
前記レシプロコンプレッサのヘッドに配置されて、前記圧縮シリンダに出入りする流体の流れを制御することができる少なくとも1組のバルブと、
前記レシプロコンプレッサの前記ヘッドに隣接して配置可能な少なくとも1つのヘッドカバー(1)と、
前記レシプロコンプレッサの前記ヘッドに隣接して配置可能な少なくとも1つの出口経路(41)を備えた少なくとも1つの出口パイプ(4)を有する少なくとも1つの吸音フィルタ(3)と、
を有
前記吸音フィルタ(3)は、締結部(6)を用いて前記ヘッドカバー(1)に締結され、
前記レシプロコンプレッサでは、
前記ヘッドカバー(1)は、前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)を少なくとも部分的に収容する収容空間(2)を備え、前記収容空間(2)は、前記ヘッドカバー(1)のエッジ部(21)と前記ヘッドカバー(1)の壁部(22)とにより規定され、当該壁部(22)は、前記ヘッドカバー(1)の前記収容空間(2)に面した少なくとも一つのリブ(23)を有し、
前記吸音フィルタ(3)は、前記出口パイプ(4)の側方向部分の少なくとも一部に配置されたインターフェース壁(5)を備え、前記インターフェース壁(5)は、前記出口経路(41)の反対方向に向く少なくとも1つのリブ(51)を備え、
前記締結部(6)は、前記ヘッドカバー(1)の前記収容空間(2)の輪郭に類似した輪郭を有する、変形可能な金属要素から構成され、
前記ヘッドカバー(1)の前記壁(22)の前記少なくとも1つのリブ(23)と、前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)の前記インターフェース壁(5)の前記少なくとも1つのリブ(51)は、相補的に整列し、
前記締結部(6)は、前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)が前記ヘッドカバー(1)の前記収容空間(2)に嵌合されたときに変形するように、前記ヘッドカバー(1)の壁(22)の前記少なくとも1つのリブ(23)と前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)の前記インターフェース壁(5)の前記少なくとも1つのリブ(51)との間に配置されることを特徴とするレシプロコンプレッサ。
【請求項2】
前記収容空間(2)は、前記ヘッドカバー(1)がカバーする領域の外側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレシプロコンプレッサ。
【請求項3】
前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)が前記ヘッドカバー(1)の前記収容空間(2)に嵌合する場合、前記出口パイプ(4)と前記収容空間(2)はスライド嵌合することを特徴とする請求項1に記載のレシプロコンプレッサ。
【請求項4】
前記壁(22)の各リブ(23)は、前記出口パイプ(4)の前記インターフェース壁(5)の2つのリブ(51)の間に相補的に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレシプロコンプレッサ。
【請求項5】
前記壁(22)の各リブ(23)が前記締結部(6)に部分的変形を生じさせ、前記締結部(6)の各変形部分(61)が前記出口パイプ(4)の前記インターフェース壁(5)の2つのリブ(51)の間に配置されることを特徴とする請求項4に記載のレシプロコンプレッサ。
【請求項6】
前記吸音フィルタ(3)の前記出口パイプ(4)が前記ヘッドカバー(1)の前記収容空間(2)へ嵌合する場合、前記嵌合は、前記出口パイプ(4)の前記インターフェース壁(5)の2つのリブ(51)と、前記締結部(6)の前記変形部分(61)と、前記壁(22)のリブ(23)との間で形成されることを特徴とする請求項5に記載のレシプロコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシプロコンプレッサ(往復動圧縮機)に関し、特に、前記コンプレッサの吸音フィルタのヘッドカバーと出口パイプとの間の組立構造に関する。この組立構造は、出口パイプと収容空間に配置されたリブを介して形成され、圧力式締結具(締結部)を使用する。
【背景技術】
【0002】
当業者に知られているように、レシプロコンプレッサは、所定の流体の圧力を制御された方法で変更することができる電動機械装置を備える。レシプロコンプレッサは、冷媒流体の温度変化に基づく冷凍システムにおいて広く適用されている。
【0003】
一般に、レシプロコンプレッサは、複数の部品と機能システムから構成され、互いに、異なる方法で協働する。いずれにせよ、レシプロコンプレッサの基本的な構造は、多くの特許技術文献に記載されており、したがって、当業者には広く知られている。
【0004】
レシプロコンプレッサの全ての構成部品と機能システムの中で、ヘッドカバーと吸音フィルタは、本発明にとって特に興味深いものである。
【0005】
当業者に知られているように、レシプロコンプレッサのヘッドカバーは、圧縮シリンダの前端部を閉じることに加えて、前記圧縮シリンダの前記前端部に対し弁(複数)の全体を集約し位置関係を維持する役割を果たす部品である。
【0006】
また、当業者に知られているように、レシプロコンプレッサの吸音フィルタは、ロコンプレッサヘッド(圧縮機ヘッド)上の吸引通過器と吸引入口との間の中間部品であり、その機能は、流体吸引プロセスにおいて発生する一時的な圧力を最小化することである。したがって、レシプロコンプレッサの吸音フィルタは、少なくとも1つの流体入口経路、少なくとも1つのパルス減少室、および少なくとも1つの出口経路からなり、一般にコンプレッサヘッド上の吸引入口に近接して配置される。
【0007】
この構成では、吸音フィルタがレシプロコンプレッサのヘッド(頭部)に取り付けられる(締結される)、あるいはレシプロコンプレッサのヘッドカバーに取り付けられるのが一般的である。
【0008】
既存の技術によれば、吸音フィルタ(特に吸音フィルタの出口領域)をレシプロコンプレッサのヘッドカバーに取り付ける(締結する)ための、いくつかの形状(部品)および構造が知られている。これら部品および構造の大部分は、貫通要素(ねじなど)、粘着性樹脂、または圧力式締結部を含む。一般に、吸音フィルタの締結(固定)は、コンプレッサ運転中の動き(移動)を防ぐのに十分であるべきで、結局、吸音フィルタが締結不良(固定不良)により移動可能になると、コンプレッサ運転中に吸音フィルタに作用する力(操作力)により吸音フィルタの動的シフトが増幅されて、音響キャビティの励起源(コンプレッサハウジングと内部部品アセンブリとの間にガスが拘束されてしまう)として作用し、音響キャビティの共振効果を強めることが知られている。これは、コンプレッサの望ましくない騒音を増加させるのに十分である。また、吸音フィルタの締結・固定が不良になると、フィルタ内部からキャビティに流体が漏れることもある。その結果、音効率(吸音効率)と熱力学的効率が低下する。
【0009】
例えば米国特許第7959416号明細書には、吸音フィルタの出口領域の大部分を囲み、ヘッドカバーの両端に取り付けられる金属クリップを用いて、吸音フィルタをヘッドカバーに固定することが記載されている。
【0010】
米国特許第7959416号明細書の目的に概念的に類似する技術的解決手段も、当業者には知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これら解決手段は、適切で且つ制御された方法で吸音フィルタをヘッドカバーに固定・締結することができるが、これら解決手段には熱的な欠点・課題があることは否定できない。
【0012】
その理由は、レシプロコンプレッサの運転時には、ヘッドカバーの温度がかなり上昇する傾向があり、吸音フィルタの温度よりもはるかに高い温度に達するためである。この場合、吸入冷媒流体(圧縮シリンダに到達する前に吸音フィルタを通過する)の温度が高いほど、レシプロコンプレッサの冷却効率が低くなる。したがって、吸込マフラーとシリンダカバーの機械的な接触を最小限にすることは有益である。
【0013】
米国特許第7959416号明細書の技術的解決手段の場合、金属クリップがヘッドカバーと吸音フィルタの間の熱交換を増加させる。このクリップは、高温領域(シリンダーカバー)から低温領域(マフラー)へ、伝導機構を介した熱交換を可能する。これ自体が望ましくない現象であり、特に吸音フィルタの出口に熱集中を発生させ、コンプレッサの効率を低下させる。
【0014】
本発明は、上記した課題に鑑みて提供されるものである。
【0015】
従って、本発明の主な目的は、吸音フィルタとヘッドカバーとの間の締結方法が概念的に堅牢であり、効率的であり、冷却システムの全体効率に熱的欠点(不利益)をもたらさないレシプロコンプレッサを提供することである。
【0016】
吸音フィルタとヘッドカバーの締結方法(吸音フィルタとヘッドカバーを締結する方法)により、コンプレッサの騒音を増大させるような状態(不良)にならないようにすることも、本発明の目的の1つである。
【0017】
従って、吸音フィルタとヘッドカバーの締結方法によって、吸音フィルタとヘッドカバーの間の熱交換を最小限に抑えることも、本発明の目的の1つである。
【0018】
また、吸音フィルタとヘッドカバーの締結方法が、当該吸音フィルタとレシプロコンプレッサの密閉ハウジングの内部環境との間の接触に悪影響を与えないことも、本発明の目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記した全ての目的は、本明細書に開示されたレシプロコンプレッサによって達成される。このレシプロコンプレッサは、少なくとも1つの圧縮シリンダと少なくとも1つの往復ピストンによって構成された少なくとも1つの機能部(セット)と、圧縮シリンダの中で往復ピストンを動かすことができる少なくとも1つの電気モータと、レシプロコンプレッサのヘッドに配置された圧縮シリンダに入る流体と出る流体の流れを制御できる少なくとも1セットのバルブと、前記レシプロコンプレッサのヘッドに隣接配置することができる少なくとも1つのヘッドカバーと、前記レシプロコンプレッサのヘッドに隣接配置することができる少なくとも1つの出口経路を備える少なくとも1つの出口パイプを有する少なくとも1つの吸音フィルタと、を備え、前記吸音フィルタは、締結具(締結部)を用いて前記ヘッドカバーに締結される。
【0020】
本発明によれば、ヘッドカバーは、吸音フィルタの出口パイプを少なくとも部分的に収容するように構成された収容空間を備え、収容空間は、ヘッドカバーのエッジセグメント(エッジ部分)とヘッドカバーの壁セグメント(壁部分)とによって規定されて区切られ(仕切られ)、前記壁セグメントはさらにヘッドカバーの収容空間内に面する少なくとも2つのリブによって一体化されている。また、本発明によれば、吸音フィルタは、出口パイプの横方向輪郭(側方向部分)の少なくとも一部に配置されたインターフェース壁(境界壁)を備え、前記インターフェース壁には、出口経路から離れる方向に向く少なくとも2つのリブが設けられている。また、本発明によれば、締結部は変形可能な金属要素からなり、当該締結部は、ヘッドカバーの収容空間の輪郭(形状)に類似した輪郭を持つ。
【0021】
ヘッドカバーの壁セグメントのリブと吸音フィルタの出口パイプのインターフェース壁のリブは、相補的に整列している。この場合、締結部は、吸音フィルタの出口パイプがヘッドカバーの収容空間に並置されたときに変形するように、ヘッドカバーの壁セグメントのリブと吸音フィルタの出口パイプのインターフェース壁のリブとの間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態によるレシプロコンプレッサの吸音フィルタの出口ダクトとヘッドカバーとの間の組立構造の詳細を示す分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるレシプロコンプレッサの吸音フィルタの出口ダクトの構成を詳細に示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態によるレシプロコンプレッサの吸音フィルタの出口ダクトとヘッドカバーとの間の組立(組付)を示す平面図であり、前記コンプレッサの密閉ハウジングの内部環境に露出される構成要素の面から見た図を示している。
図4図4は、本発明の実施形態によるレシプロコンプレッサの吸音フィルタの出口ダクトとヘッドカバーとの間の組立(組付)を示す平面図であり、コンプレッサのヘッドに露出される構成要素の面から見た図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明の総括的な目的に従って、レシプロコンプレッサ(往復圧縮機)が説明される。レシプロコンプレッサのヘッドカバー(1)と吸音フィルタ(3)の出口経路(41)との間の組立構造は、既存の技術の技術的解決手段に存在する熱的課題を有さない。
【0025】
このため、以下に説明されるレシプロコンプレッサでは、ヘッドカバー(1)に固定された吸音フィルタ(3)が、ヘッドカバー(1)自体(暖かい環境)ではなく、気密ハウジングの内部環境(冷たい環境)と特に有利な熱交換を行う。
【0026】
説明を十分にするために、ここに示された技術的解決手段は、好ましくはあらゆるタイプの冷凍システムで使用される全てのレシプロコンプレッサに適用されることを明記しておく。上記レシプロコンプレッサは、少なくとも一つの圧縮シリンダと少なくとも一つの往復ピストンによって構成された機能部(機能セット)と、圧縮シリンダ内で往復ピストンを動かすことができる電気モータと、レシプロコンプレッサのヘッドに配置された圧縮シリンダに入る流体と出る流体の流れを制御できる少なくとも1組の弁と、により構成される。尚、すべての上記システム及び構成要素並びにその機能原理は、当業者には広く知られている。
【0027】
より詳細には、ここに記載される技術的解決手段は、レシプロコンプレッサのヘッドに隣接配置することができる少なくとも1つのヘッドカバー(1)と、少なくとも1つの吸音フィルタ(3)とを備えるレシプロコンプレッサにおいて特に適用される。吸音フィルタ(3)は、レシプロコンプレッサのヘッドに隣接配置することができる少なくとも1つの出口経路(41)を備える少なくとも1つの出口パイプ(4)を有し、締結部(6)によって前記ヘッドカバー(1)に締結される。吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)は、前部インターフェース(43)と後部インターフェース(44)を有する。
【0028】
このように、本明細書に記載された課題解決手段は、レシプロコンプレッサ全体の効率問題を解決できるものであるが、特に吸音フィルタ(3)とヘッドカバー(1)との取り付け形態に着目している。つまり、本発明の技術的解決手段は、米国特許第7959416号明細書に記載された技術的解決手段の概念全体を最適化することを目的としている。
【0029】
図1では、ヘッドカバー(1)は、吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)を少なくとも部分的に収容するように特別に構成された収容空間(2)を有している。ここで、特に説明すべき点は、収容空間(2)が吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)を適切に収容できるように、出口パイプ(4)の全体的な形状に従う(適合する)限り、収容空間(2)の全体的な形状は変化し得ることである。
【0030】
収容空間(2)に出口パイプ(4)を収容するために、これら構成要素(収容空間と出口パイプ)は、摺動嵌合(スライド嵌合)を利用して係合する。すなわち、出口パイプ(4)を収容空間(2)に隣接して位置付けるとき、単にパイプを収容部内に摺動挿入させるだけでよい。図3及び図4から分かるように、収容空間(2)内の出口パイプ(4)は同じような形状を有しており、このことにより、収容空間(2)内で、難なく出口パイプ(4)を通してスライドさせることによる係合を可能にする。
【0031】
重要なことは、収容空間(2)がヘッドカバー(1)の有用な領域(ヘッドカバーによりカバーされる領域)の外側に形成されていることである。すなわち、収容空間(2)がヘッドカバー(1)の基本的な機能に障害を与えたり基本的な機能を妨げたりしない。
【0032】
また、図1から分かるように、収容空間(2)は、ヘッドカバー(1)のエッジセグメント(縁部分)(21)とヘッドカバー(1)の壁セグメント(壁部分)(22)とにより規定および区切られる(仕切られる)。好ましくは、エッジセグメント(21)は、ヘッドカバー(1)のエッジに整列され、これらエッジは同一平面を規定する(同一平面上にある)。別の好ましい実施形態では、エッジセグメント(21)は、ヘッドカバー(1)のエッジと同じ平面を規定しない。
【0033】
また、図3からも分かるように、前記壁セグメント(22)は、好ましくは、ヘッドカバー(1)の収容空間(2)に面する5つのリブ(23)により一体化されている。
【0034】
次に、図2から分かるように、吸音フィルタ(3)は、出口パイプ(4)の横方向輪郭(側部)の少なくとも一部分に設けられたインターフェース壁(5)を有する。図3から分かるように、前記インターフェース壁(5)は、好ましくは、出口経路(41)の方向と反対方向に向いた4つのリブ(51)を備えている。
【0035】
ヘッドカバー(1)の壁セグメント(22)のリブ(23)と吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)のインターフェース壁(5)のリブ(51)とは、相補的に整列されており、スライド嵌合の際に、各リブ(23)が2つのリブ(51)の間に配置されるようになっている。換言すれば、収容空間(2)に出口パイプ(4)を組み付けると、リブ(23)及びリブ(51)は、相互に交互に位置する。なお、出口パイプ(4)を収容空間(2)に組み付けると、リブ(23)とリブ(51)は、接触並置されたままではなく、その間に隙間・間隙がある。
【0036】
尚、ヘッドカバー(1)の壁セグメント(2)のリブ(23)の幾何学的形状及び寸法と、吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)のインターフェース壁(5)のリブ(51)の幾何学的形状及び寸法は、提案されている組立構造を損なうことなく変化し得る。
【0037】
好ましい実施形態では、5つのリブ(23)(壁セグメント(22)の各側面に2つのリブ、そして、壁セグメント(22)の上部に1つのリブ)がヘッドカバー(1)に設けられ、インターフェース壁(5)の4つのリブ(51)が出口パイプ(4)の横方向輪郭(側方向部分)の少なくとも一部分に配置されている。
【0038】
最小限の構成の解決手段では、ヘッドカバーは少なくとも1つのリブを有し、吸音フィルタは少なくとも2つのリブを有していてもよく、またはその逆であってもよい。リブの数を増やすと、吸音フィルタの固定(締結、取り付け)が改善される(強固になる)。
【0039】
再び図2を参照すると、吸音フィルタ(3)は、締結部(6)を使ってヘッドカバー(1)に取り付けられていることがわかる。この締結部(6)は変形可能であり、ヘッドカバー(1)の収容空間(2)の輪郭(形状)に類似した形で接触する。
【0040】
特に、締結部(6)は、吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)がヘッドカバー(1)の収容空間(2)に並置されたとき(嵌合したとき)に変形するように、ヘッドカバー(1)の壁セグメント(22)のリブ(23)と吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)のインターフェース壁(5)のリブ(51)との間に配置される。より具体的には、締結部(6)は、インターフェース壁(5)のリブ(51)と壁セグメント(22)のリブ(23)との間で押圧されることにより、固定される(締結される)ように配置される。
【0041】
代替的な実施形態では、接着剤(接着部品)などの追加の締結材(締結剤)を締結部(6)に付けることができる。
【0042】
相補的に配列されたリブ(23)及びリブ(51)の配置により、締結部(6)に沿って変形が分散される。これにより、吸音フィルタパイプの均一で効率的な取り付け圧力が発生する。さらに、収容空間(2)内に出口パイプ(4)を収容することによって、壁セグメント(22)の各リブ(23)がファスナ(6)に変形部を生じさせる(形成する)。この変形は、図2に示されるように、変形部(61)を生成する。締結部(6)の各変形部(61)が、出口パイプ(4)のインターフェース壁(5)の2つのリブ(51)間に配置されることは明らかである。
【0043】
リブ(23)及びリブ(51)によって生じる締結部(6)の変形は、本実施形態の組立構造を実質的に不動にし、コンプレッサの運転中の移動(動き)を回避(防止)できると共に、締め付けの不良(故障)も回避することができ、コンプレッサ運転中に発生する力による動的変位も回避できる。
【0044】
さらに、図3及び図4から分かるように、本実施形態の組立構造を有するレシプロコンプレッサは、吸音フィルタ(3)の大きな領域(特に、出口パイプ(4)、前部インターフェース(43)及び後部インターフェース(44))を、シリンダカバーの温度よりも低い温度を有する密閉ハウジングの内部環境に曝すことができ、この事実は概してコンプレッサの効率を向上させることになる。さらに、このような組立構造により、吸音フィルタ(3)は、シリンダカバーとの機械的接触を最小限にすることができるので、シリンダカバーとの熱交換を低減することができる。
【0045】
最後に、出口パイプ(4)がリブ(51)とリブ(23)の間に配置された収容空間(2)に並置(嵌合)されると、締結部(6)の変形部(61)が形成されることを強調しておく。この変形部は、締結部(6)の弾性変形および/または塑性変形によって形成され得る。
【0046】
このような組立構造は、上記したように、吸音フィルタ(3)の出口パイプ(4)とヘッドカバー(1)との間の組立構造を、堅牢で且つ効率的な構造とし、さらに、冷却システムの全体効率に熱的な課題をもたらすことがなく、コンプレッサ騒音を増加させる故障・不具合・不良を発生させず、吸音フィルタ(3)とヘッドカバー(1)の間の熱交換を最小限にする。
【0047】
尚、上記の説明は、例示的な形態で、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としていることを強調しておく。したがって、同じ結果・効果を得るために実質的に同じ方法で同じ機能を果たす要素の修正、変形、構成的な組み合わせは、添付の特許請求の範囲によって定義される保護範囲内に属することは明らかである。
図1
図2
図3
図4