(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プラズモンセンシング能力を有する水晶振動子マイクロバランス
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20240925BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240925BHJP
G01N 21/41 20060101ALI20240925BHJP
G01N 5/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01N21/65
G01N21/64 G
G01N21/41 102
G01N5/02 A
(21)【出願番号】P 2022511075
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2020073105
(87)【国際公開番号】W WO2021032744
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-03
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】516296566
【氏名又は名称】ルクセンブルク・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー・(エルアイエスティ)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シヴァシャンカール・クリシュナムルティ
(72)【発明者】
【氏名】リシャブ・ラストーギー
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-220396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0049332(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0045877(US,A1)
【文献】特開2014-119263(JP,A)
【文献】特開2013-231686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/83
G01N 33/48-33/98
B82Y 30/00
G01N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサーであって、
圧電基板と、
前記基板と接触し、逆圧電効果を通じて中に剪断変形を誘発する少なくとも2つの電極とを備え、
前記基板は、センシング表面と、その表面上の、前記表面から突起しているプラズモンナノ粒子蓄積のパターンとを有し、各ナノ粒子蓄積は、
楕円体キャップ形状の瘤の周りに配置構成されている複数のプラズモンナノ粒子
からなり、蓄積間プラズモンホットスポットは、前記パターンの前記蓄積の平均直径および10nmのうちの小さいほうに相当するか、またはそれよりも小さい距離で分離されている前記パターンの隣接する蓄積の間に存在
し、前記センシング表面は、プラズモン金属表面を含む、水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサー。
【請求項2】
前記プラズモンナノ粒子は球状である、請求項1に記載のQCMセンサー。
【請求項3】
前記プラズモンナノ粒子は、7から50nmの範囲、好ましくは8から40nmの範囲、さらにより好ましくは8から30nmの範囲内の平均直径を有する、請求項1または2に記載のQCMセンサー。
【請求項4】
前記プラズモンナノ粒子は、平均直径を有し、最近傍ナノ粒子間の前記蓄積内の粒子間分離は、前記
プラズモンナノ粒子の前記平均直径に相当するか、またはそれ未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項5】
前記プラズモンナノ粒子は、プラズモン金属ナノ粒子を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項6】
前記プラズモ
ンナノ粒子は、金ナノ粒子を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項7】
前記プラズモンナノ粒子は、キャッピング剤、たとえば、クエン酸塩、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、またはキトサンで安定化される、請求項1から6のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項8】
前
記プラズモン金属表面
は、金表面
である、請求項1から7のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項9】
前記センシング表面は、電極のうちの1つに属する、請求項8に記載のQCMセンサー。
【請求項10】
前記プラズモンナノ粒子は、前記プラズモンナノ粒子のコーティングおよび/または前記電極のコーティングによって前記電極から電気的に絶縁される、請求項9に記載のQCMセンサー。
【請求項11】
前記プラズモンナノ粒子は、被分析物に特異的に結合する受容体部分で官能基化される、請求項1から10のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項12】
前記瘤は
、回転楕円体キャップ形状である、請求項1から11のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項13】
前記瘤は、高さおよび底部直径を有し、前記瘤の前記高さと前記底部
直径との比は0.1から0.9の範囲内、より好ましくは0.2から0.7の範囲内にある、請求項12に記載のQCMセンサー。
【請求項14】
前記センシング表面は、前記ナノ粒子蓄積の間に、被分析物に結合するための
官能基を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項15】
前記ナノ粒子蓄積は、被分析物に結合するための
官能基を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のQCMセンサー。
【請求項16】
前記ナノ粒子蓄積は、被分析物に結合するための
官能基を備え、前記ナノ粒子蓄積間の前記
官能基および前記ナノ粒子蓄積の前記
官能基は、同じ被分析物
種に特異的である、請求項14に記載のQCMセンサー。
【請求項17】
前記ナノ粒子蓄積は、被分析物に結合するための
官能基を備え、前記ナノ粒子蓄積間の前記
官能基および前記ナノ粒子蓄積の前記
官能基は、異なる被分析物
種に特異的である、請求項14に記載のQCMセンサー。
【請求項18】
被分析物を検出するための方法であって、
請求項1から17のいずれか一項に記載のQCMセンサーを提供するステップと、
前記センシング表面を分析されるべき流体に接触させ、それによって前記センシング表面上の前記被分析物の吸着を可能にするステップと、
局所表面プラズモン共鳴(LSPR)、表面増強ラマン分光法(SERS)、および金属増強蛍光(MEF)測定のうちの少なくとも1つによって前記センシング表面上の前記被分析物の吸着を検出するステップと、
QCM測定によって吸着質の量を決定するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生物学的、生化学的、および/または化学的物質を感知するための二重原理センサー(dual-principle sensor)に関する。より具体的には、本発明は、たとえば、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)、表面増強ラマン分光法(SERS)および金属増強蛍光(MEF)などのプラズモンセンシングが可能な水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
QCMセンサーは、水晶または他の圧電材料から作られたウェハを含む。ウェハは、その2つの表面上に配設された電極を有する。分析されるべき物質がセンシング表面上に吸着されたときに、これは水晶振動子の共振周波数にわずかな変化を引き起こす。逆圧電効果を介して水晶を機械的共振に励起することによって、共振周波数のシフトが測定され、吸着(または除去)された質量が推定され得る。QCMセンサーは、ナノグラム/cm2の程度で加重できる、非常に感度の高いスケールである。周波数のシフトは、解析的方程式を使用して吸着質量に関連付けられ得る。
【0003】
QCMは無標識であり、表面に導入された受容体で被分析物特異的にされ得る。被分析物と表面との相互作用すべてが受容体により生じるかどうかを見分ける手段はない(任意の無標識検出の共通の問題点)。これは、一部は、他のタイプの情報、たとえば分子からの振動信号、または蛍光信号によって回避され得る。したがって、バイオアッセイの別のパラメータ、たとえば分子の振動スペクトルまたはそれらの蛍光について独立したフィードバックを提供する追加の技術は、分析感度およびキャリブレーション感度の両方を増強するのに役立ち得、QCM測定の結果を検証するのに役立ち得る。しかしながら、そのような直交するセンシングモダリティはQCMと併せて難題であるが、それは、特に、追加のセンシング技術が、好ましくはQCMチップ1つ当たりのコスト(したがって1実験当たりのコスト)を著しく高めることなくQCMチップに適応させる必要があるからである。
【0004】
SPRは、プラズモン材料と、たとえば空気、水、または別の流体などの、別の媒質との界面で生じる化学変化を検出するための方法である。SPRは、金属表面上の分子吸着から生じる光学的厚さ(すなわち、屈折率)の変化を測定する。
【0005】
SPRおよびQCMは、たとえば国際公開第WO2006/031198号および国際公開第WO2010/130775号において報告されているように、以前に組み合わされている。
【0006】
国際公開第WO2006/031198号では、表面プラズモン共鳴(SPR)および重量測定センシングが可能なセンサーで使用するためのセンサーチップアセンブリを開示している。アセンブリは、第1の表面と、第1の表面に対向する第2の表面とを有する透明圧電基板を備える。アセンブリは、基板の第1および第2の表面上にそれぞれ設けられた第1および第2の薄膜金属電極も含む。第2の薄膜金属電極は、光線が基板の第2の表面を透過し、第1の薄膜金属電極から反射することができるように基板の第2の表面上に位置決めされる。アセンブリは、第2の薄膜金属電極に隣接して配設されている減衰全反射(ATR)カプラも備える。
【0007】
国際公開第WO2010/130775号は、散逸モニタリング付き水晶振動子マイクロバランス(QCM-D)と局在表面プラズモン共鳴センサー(LSPRセンサー)とを組み合わせる配置構成に関する。
【0008】
QCMおよびSPRセンシング技術は、それ固有の特定の強みと弱みとを有する。QCMとSPRとの組合せは、個別に取り上げた両方の技術に関して分析能力を改善するが、そのような組み合わされたセンサーにはまだ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第WO2006/031198号
【文献】国際公開第WO2010/130775号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサーが提案されている。QCMセンサーは、圧電基板、および圧電基板と接触する少なくとも2つの電極を備え、これにより、逆圧電効果を通じて中に剪断変形を誘発する。基板は、センシング表面と、その表面上の、表面から突起しているプラズモンナノ粒子蓄積のパターンとを有する。ナノ粒子の各蓄積は、瘤の周りに配置構成されている複数のプラズモンナノ粒子を含む。パターンの蓄積の平均直径に相当するか、またはそれよりも小さい距離(蓄積間距離)で分離されたパターンの隣接する蓄積の間に、プラズモンホットスポットが存在する(これらのプラズモンホットスポットは「蓄積間プラズモンホットスポット」と呼ばれる)。この文脈において、第1の蓄積と第2の蓄積との間の蓄積間距離は、第1の蓄積のナノ粒子と第2の蓄積のナノ粒子との間に見ることができる最小の距離であると考えられることは注目に値する。好ましくは、前記蓄積間距離は、20nm以下、より好ましくは15nm以下、最も好ましくは10nm以下に相当する。好ましくは、瘤は、本質的に楕円体キャップ形状(たとえば、回転楕円体キャップ形状)である。瘤の高さ(h)と底部直径(D)との比h/Dは、好ましくは1以下であり、より好ましくは、0.1≦h/D≦0.8であり、なおもより好ましくは0.2≦h/D≦0.7である。瘤の楕円体キャップ形状のおかげで、瘤間の隙間は基板に向かって先細りになり、被分析物部分は隙間の「底」に、したがって蓄積間プラズモンホットスポットにより容易に到達することができる。好ましくは、10nm未満である蓄積間距離の割合は、蓄積間距離の総数の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、なおもより好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%である。
【0011】
表面増強ラマン分光法(SERS)および金属増強蛍光(MEF)に基づくプラズモンセンシングは、プラズモンナノ構造間の(プラズモン)ホットスポットとして知られている特定の部位における増強された電磁場(EM)の存在に依存する。これらのナノ構造が特定の波長で励起されると、電磁場が発生し、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を生じさせる。ナノ粒子蓄積の近接は、そのようなホットスポットがセンシング表面上に比較的高い密度で出現することの確認である。
【0012】
個々の蓄積の中で、ナノ粒子が近づき合う可能性があることは注目に値する。好ましくは、最近傍ナノ粒子間の蓄積内の粒子間分離は、平均ナノ粒子直径に相当するか、またはそれ未満である。より好ましくは、最近傍ナノ粒子間の蓄積内の粒子間分離は、平均ナノ粒子径の100%に相当するか、またはそれ未満(または90%、80%、70%、60%、50%、40%または30%未満)である。ナノ粒子が蓄積内でナノギャップ(nanogap)を形成するという事実から、第2のタイプのプラズモンホットスポット(「蓄積内プラズモンホットスポット」)が生じる。したがって、QCMセンシング表面上のパターンは、二重長さスケール(dual-length-scale)プラズモンホットスポットを有する。
【0013】
QCMを使用するナノ粒子の表面濃度、およびプラズモン表面上の被分析物の正確な測定により、バイオアッセイにおいてより高い感度が見つかった。これは、被分析物のサイズに依存する蓄積内または蓄積間ホットスポットにおける被分析物の共局在化に起因するものとしてよい。
【0014】
瘤の幾何学的形状およびナノ粒子の蓄積を最適化することに加えて、センシング表面を慎重に選択することによって、(局所的に)増強された電磁場が得られ得る。たとえば、反射性金表面は、いわゆるミラー効果を通じてEM場増強に寄与することが可能である。
【0015】
プラズモンナノ粒子は、任意の形状(たとえば、三角形、棒状、立方体、八面体など)であり得る。しかしながら、好ましくは、プラズモンナノ粒子は、球状である。
【0016】
好ましくは、プラズモンナノ粒子は、7から50nmの範囲、より好ましくは8から40nmの範囲、さらに好ましくは8から30nmの範囲内の平均直径を有する。本明細書の文脈において、「直径」という用語は、(ナノ粒子蓄積であり得る)考察対象の物体の凸包に接する2つの対向する平行平面の間に形成され得る最小の距離を意味する。直径の測定は、SEMおよび/またはAFMによって、直接および/または間接的な測定を使用して行われ得る。SEMによる直接直径測定が、考察対象の物体の境界がきれいでないという理由から困難であることが判明した場合(高帯電表面の場合)、測定は、AFMまたはSEMによる間接測定を使用して行われ得る。AFMは、方位分解能に影響を与えるチップコンボリューション効果に悩まされることが知られている。それにもかかわらず、これらの効果は、チップ仕様を考慮することによって程度補正できる。特徴直径は、SEMによって間接的に測定することもできる。この技術によれば、知られている直径の導電性(金属など)ナノ粒子は、考察中の物体上に吸着され、導電性および分解能を改善する。次いで、考察中の物体の直径は、二倍のナノ粒子直径を可能な最大偏位として使用して決定され得る。
【0017】
プラズモンナノ粒子は、好ましくは、プラズモン金属ナノ粒子を含む。プラズモン金属は、たとえば、金、銀、またはアルミニウムを含む。これらのうち、金ナノ粒子は、典型的な用途において特に好ましい場合がある。
【0018】
プラズモンナノ粒子は、キャッピング剤、たとえば、クエン酸塩、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)、PEI(ポリエチレンイミン)、PVP(ポリビニルピロリドン)、キトサン、または他の有機分子で安定化され得る。
【0019】
センシング表面は、プラズモン金属表面、たとえば、金表面を含むことが可能である。有利には、センシング表面は、QCMセンサーの電極のうちの1つに属する。
【0020】
プラズモンナノ粒子は、好ましくは、プラズモンナノ粒子上のコーティングおよび/または電極上のコーティングによって電極から電気的に絶縁される。コーティングは、プラズモンナノ粒子上および/または電極表面上のキャッピング剤または官能基化層のコーティングであり得る。
【0021】
ナノ粒子蓄積は、被分析物に結合するための官能基化を含んでいてもよい。好ましくは、プラズモンナノ粒子は、被分析物に特異的に結合する受容体部分で官能基化される。
【0022】
センシング表面は、ナノ粒子蓄積間に、被分析物に結合するための官能基化を含んでいてもよい。ナノ粒子蓄積間の官能基化およびナノ粒子蓄積の官能基化は、同じ被分析物に特異的であり得る。代替的に、ナノ粒子蓄積間の官能基化およびナノ粒子蓄積の官能基化は、異なる被分析物に対して特異的であり得る。
【0023】
本発明のさらなる態様は、被分析物を検出するための方法に関する。この方法は、本明細書において説明されているQCMセンサーを提供することと、センシング表面を被分析物の存在および/または濃度について分析されるべき流体と接触させ、それによってセンシング表面上の被分析物の吸着を可能にすることと、局所表面プラズモン共鳴(LSPR)、表面増強ラマン分光法(SERS)、および金属増強蛍光(MEF)測定のうちの少なくとも1つによってセンシング表面上の被分析物の吸着を検出することと、QCM測定によって吸着質の量を決定することとを含む。
【0024】
プラズモンアッセイは、一般に、プラズモン信号(たとえば、ラマン強度または蛍光強度)を、センサーに適用される被分析物の濃度の関数として関係付け、キャリブレーション曲線を取得する。しかしながら、電磁場増強はホットスポットにおいて強く非線形であるので、アッセイは、センシング表面上に存在する実際の分子に関するいかなる情報も提供しない。生体分子付着に関する情報は、アッセイ条件に関連した表面濃度変化に対する独立したフィードバックを介して、センサー界面を最適化するために必要である。したがって、電磁場増強、およびチップ上への生体分子付着は、互いに独立して測定できることが理解されるであろう。これは、合理的な界面設計およびトラブルシューティングに対する新しい可能性を開いている。
【0025】
要約すると、本発明は、蓄積間ホットスポットを有するように設計されたパターンを使用してQCMとプラズモンセンシングとを組み合わせるものである。プラズモンセンシングによって行われる相補的測定は、QCMによって測定される質量変化と効果的に相関させることができる。プラズモンセンサーは、最終的な信号に実際に寄与している分子の表面濃度も提供する固有の可能性を提供する。QCM測定は、プラズモン信号に実際に寄与する分子の表面上の濃度を示し、したがって、両技術の組合せは、ケースバイケースで必要な場合に、特定の被分析物に対してナノスケールレベルでセンシング表面の構造を最適化する可能性を開く。
【0026】
次に、例として、本発明の好ましい非限定的な実施形態は、添付図面を参照しつつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】プラズモンセンシングのためにプラズモンナノ構造(右側の増強された細部)で修飾されたセンシング表面を有するQCMセンサー(左側の分解斜視図に示されている)の概略図である。
【
図2】本発明によるQCMセンサーのセンシング表面上のプラズモンナノ構造のパターンの概略斜視図である。
【
図3】本発明によるQCMセンサーを用いて実施される実験の説明図である。
【
図4】
図3の実験と比較するためにガラス基板上で実施された同じ実験の説明図である。
【
図5】
図5(a)は、石英チップ上の2つの異なるナノ粒子パターンで行ったMEF測定結果を示す図である。
図5(b)は、金コーティング石英チップ上の2つの異なるナノ粒子パターンで行ったMEF測定結果を示す図である。
【
図6】石英上の同じナノ粒子パターンおよびこれらのパターンに対する対応するSERSスペクトル強度で得られたSERS測定の結果を示す図である。
【
図7】金コーティング石英上の同じナノ粒子パターンおよびこれらのパターンに対する対応するSERSスペクトル強度で得られたSERS測定の結果を示す図である。
【
図8】ナノ粒子蓄積上およびナノ粒子蓄積間のセンサー表面上の表面官能基化を含む逆ミセル瘤上のプラズモンナノ粒子蓄積を含むQCMセンサーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態によるプラズモンセンシング機能を有するQCMセンサーの一例が
図1に例示されている。QCMセンサー10は、たとえば水晶振動子(典型的にはAT-またはSC-カット)などの圧電結晶から作られた毛髪のように薄いウェハ12を含む。ウェハ12は、その前面16上に配置構成された第1の平面状の電極14、さらにはその後面20上に第2の電極18を有する。第1の電極と第2の電極との間に印加される電圧は、圧電結晶に剪断変形を誘発させる。交流電圧は、結晶に前後振動を引き起こす。センシング表面上に物質が吸着されるか、またはそれから放出されたときに、これは発振器の共振周波数にわずかな変化を引き起こす。逆圧電効果を介して水晶を機械的共振に励起することによって、共振周波数のシフトが測定され、吸着(または除去)された質量が推定され得る。QCMセンサーは、ng/cm
2の程度で加重できる、非常に感度の高いスケールである。周波数のシフトは、散逸を考慮した解析的方程式を使用して吸着質量に関係付けられ得る(散逸モニタリング付き水晶振動子マイクロバランス、QCM-D)。
【0029】
第1の電極14の表面は、QCMセンサー10のセンシング表面を表す。プラズモンナノ粒子蓄積22のパターンがセンシング表面上に配置構成される。ナノ粒子22の各個別蓄積は、瘤26の周りに配置構成されている複数のプラズモンナノ粒子24を含む。ナノ粒子は、同じ蓄積の最近傍ナノ粒子間の粒子間分離が平均ナノ粒子直径の100%に相当するか、またはそれ未満になるように瘤26の周りに比較的高密度に組織化される。プラズモン結合は、粒子が近づくほど効果が強くなるが、粒子の直径未満の距離で分離されているときに起こり得る。したがって、より小さい粒子間分離、たとえば80%未満または60%未満が好ましい場合がある。さらに、瘤26、したがって蓄積も、密度の高いパターンを形成するように配置構成される。このパターンの格子ピッチは、パターンの隣接する蓄積が10nm以下で分離されるように選択される。ナノ粒子間の(蓄積間および蓄積内)距離が小さいおかげで、プラズモンホットスポットがセンシング表面に存在する。これらのホットスポットは、蓄積内ホットスポットおよび蓄積間ホットスポットを含んでもよく、これらは、典型的には、異なる特性寸法を有していてもよい。
【0030】
生体分子被分析物を検出する表面増強ラマン分光法(SERS)に基づくプラズモンバイオアッセイは、わずか数ナノメートルの空間分解能で金属ナノ構造幾何学的形状を制御すると同時に、表面上の生体分子相互作用を決定するバイオアッセイパラメータによる影響を受けるという両方のことに依存している。SERSは、金属ナノ構造体に近接した電磁場への非線形増強に依存している。電磁(EM)場増強は、ランダム表面さらには秩序表面でも示されており、後者は結果として生じるプラズモン増強に向かう幾何学的変数の影響の合理的理解に寄与している。高EM増強の領域は、別に電磁(またはプラズモン)ホットスポットと呼ばれるが、鋭い金属エッジでの避雷針効果によって生じ、プラズモン結合は分離が密接している金属構造間で生じる。周期的ナノアレイからのナノギャップは、ギャップ特性の分布が少ないという利点を生み出し、モデル化を容易にし、また最適なギャップ寸法が識別されたときに増強を最大化する。高増強EM場は、金属増強蛍光および表面増強ラマン分光法を含むプラズモン増強分光法の基礎である。高い近接性は結果としてSERSに対する最良の増強をもたらすことが知られているが、センシングに対するこれらの構造の直接的な適用は、ギャップそれ自体よりも大きい分子の空間的要件に対して基本的な制限を課す。ギャップから離れたEM場の距離依存減衰が与えられた場合、ホットスポットそれ自体の程度のものであり、それらの領域に戦略的に位置決めされた種によってのみ、増強が最もよく感じられるであろう。センシング実験において、ホットスポットに結合するように被分析物を選択的に誘導する試みがなかった場合、被分析物は、アレイ全体を通して統計的に分布され、ホットスポット領域内に存在する分子からの振動ラマン信号は、信号寄与を不均衡に支配することになる。これは、被分析物の濃度が必ずしも信号強度を決定し得ないが、ホットスポットに関係する分布が最終的に全体の感度を決定することを考えると、定量的センシングを特に難しくする。したがって、プラズモンバイオアッセイの合理的な最適化のためには、独立した光学的および生物学的相互作用分析を実行することによって、EM増強および被分析物表面濃度の最終的信号に向かう寄与を無相関にすることが必要であろう。
【0031】
ナノ粒子蓄積パターンは、従来のQCMセンサーの平坦金前面電極上のPS-b-P2VP(ポリ(スチレンブロック-2-ビニルピリジン))逆ミセルのナノパターンによって誘導される金ナノ粒子の自己組織化によって作製され得る。
【0032】
PS-b-P2VP逆ミセルアレイは、m-キシレンの溶液から析出させることができた。薄膜は、QCMセンサーの前面電極上にスピンコーティングすることによって得ることができる。この薄膜自体は、PS薄膜で覆われたP2VPドメインの六角格子として現れる。PS-b-P2VPのテンプレートまたは瘤の中心間間隔は、共重合体特性を介して調整され得る。ピリジル基部分の塩基性により、各テンプレートの中心P2VPブロックは、穏やかな塩基性から酸性までのpH値の水媒体中で正味の正電荷を示す。各テンプレートのPSコーティングの厚さは、制御された酸素プラズマ反応性イオンエッチングによって減らされ、それによって瘤間の距離は(中心間距離を変えることなく)増やされ得る。テンプレートを有するQCMセンサーの表面は、その後、クエン酸安定化金ナノ粒子の水分散液中でインキュベートされ得る。
【0033】
金ナノ粒子のζ(ゼータ)電位は負であり、逆ミセルテンプレートはナノ粒子懸濁液のpH(pH<pI、「pI」は逆ミセル膜の等電点を示す)で正のζ電位を示し、金ナノ粒子は逆ミセルテンプレート上に静電的に引き寄せられる。この結果、逆ミセルの瘤の周りに金ナノ粒子の蓄積(クラスター化)が生じる。P2VPドメインは互いに空間的に隔離されているので、得られるナノ粒子蓄積も空間的によく解像される。
【0034】
Nは逆ミセル瘤1個当たりの金ナノ粒子の(平均)個数を表すとする。Nは、瘤の寸法をチューニングすることによって調整され得る。これは、異なる凝集数を有する逆ミセルを結果としてもたらす特定の共重合体特性、たとえば、分子量、ブロック組成、またはミセル形成条件を選択することによって行うことができる。それに加えて、または代替的に、瘤の寸法(高さ、直径、形状)は、制御された酸素プラズマ反応性イオンエッチングによって調整することもできる。
【0035】
図3は、その前面金電極の表面上にプラズモンナノ粒子蓄積のパターンを含むQCMセンサーを用いて行われた研究に関係する。QCMセンサーは、センシング表面上の金ナノ粒子の質量、したがってNだけ異なる第1(NCA#A)および第2(NCA#B)のバージョンで生産された(
図3b)。NCA#AおよびNCA#Bに対するナノ粒子の質量は、それぞれ約10μg/cm
2および15μg/cm
2であったが、NCA#AおよびNCA#Bに対する瘤の密度は、それぞれ100±10/μm
2および300±30/μm
2であった。NCA#AおよびNCA#Bの蓄積間距離は、同じ(約10nm)であり、同じことが蓄積内距離についても言えた(約5nm)であった。
【0036】
第1および第2のQCMセンサー上のナノ粒子は、リガンド修飾ナノ粒子を取得するためにビオチン化された。NCA#AおよびNCA#Bは、最初に、PEGビオチンチオール(0.4kDa)(BPT)を使用し、脱イオン水中の2mMのPEGビオチンチオールの新鮮な溶液に2時間浸漬することによって官能基化された。その後、基板は、PBSおよびDI水ですすがれて、表面に緩く結合したBPTを除去した。その後、基板はPBS中のウシ血清アルブミン(BSA)の新しく調製された1%溶液中に漬され、金またはポリマー表面の露出をブロックし、ストレプトアビジンの非特異的結合を防いだ。第3のステップにおいて、さいの目に切られ穴をあけられたPDMSブロックが官能基化パターンを有する基板よりも上に置かれ/揃えられ、様々な濃度のストレプトアビジン溶液がウェルに注がれ、表面結合ビオチン頭部基をストレプトアビジンコンジュゲート色素分子に露出した(
図3c)。各基板は、1~800nMの濃度範囲で、各ウェル内で異なる濃度のCy5色素(SA-Cy5)とコンジュゲートされたストレプトアビジンに2時間暴露された。これに続いて、緩衝液を用いたすすぎを数サイクル繰り返し、次いでPDMSブロックを除去し、その後窒素で洗浄し、乾燥させた。SA-Cy5の異なる表面濃度の領域を露出する基板は、SERS測定を受けた。吸着質量SA-Cy5は、QCM-Dによって測定された。SA-Cy5の吸着質量は、金ナノ粒子の質量とよく相関していることがわかった(
図3d)。SERS強度も同様に測定され(
図3e)、金ナノ粒子の質量よりもはるかに多く増えることがわかった(
図3f)。
【0037】
図3に例示されているのと同じ実験が、ガラス基板上でも行われた。基板を除き、実験のすべての条件は同一であった。しかしながら、金ナノ粒子の質量が大きくなるとともにSERS強度が低下することが判明した。
【0038】
図5は、(a)石英チップおよび(b)金コーティング石英チップについてのNCA#AおよびNCA#Bに対するSA-Cy5の生体分子アッセイを実行することによって得られたMEFシグナルの比較を示している。
【0039】
測定されたSERSとMEFの強度の間の有意な差は、いわゆるミラー効果に起因し得る。ミラー効果によってブーストされたプラズモンホットスポット(金基板による)は、実際にSERS信号に不釣り合いに寄与している可能性がある。プラズモンナノ粒子が連続金属膜の上に組織化されるときに、金属膜内での自鏡像と結合することを許される。これは、EM場を蓄積間ギャップのところに集中させる。基板がガラスであるときには、ミラー効果はなく、ナノ粒子のより高い濃度がSERS信号に悪影響を及ぼすことすらわかった。
図3および
図4は、電磁場増強がホットスポットにおいて強く非線形であるので、プラズモンアッセイでは、センシング表面に存在する実際の分子に関する情報を提供しないことを例示している。
【0040】
ナノ粒子蓄積のサイズが小さくされたときに、蓄積間距離は一定に保たれている間に、タンパク質バイオアッセイに向けたQCMセンサーの感度が高くなった。感度のこの増大は、大域的ナノ粒子密度にも、タンパク質表面濃度にも相関せず、ホットスポットにおける電磁波増強が決定要因であることを示している。数値シミュレーションは、より大きな蓄積については蓄積内ホットスポットで、またより小さな蓄積については蓄積間ホットスポットで、電磁波増強が大きくなり得ることを示している。ビオチン-ストレプトアビジン対の寸法が与えられた場合、電磁ホットスポットとの結合事象の空間的共局在は、蓄積間ホットスポットでのみ実現できる。表面が蓄積内ホットスポットよりも小さい被分析物分子に対して問題があったときに、より小さい蓄積はより大きな蓄積に比べてわずかに高い感度を示したに過ぎなかった。より小さい蓄積に対するより高い信号レベルに有利な別の因子は、ホットスポットのより高い密度を含む。蓄積のサイズの縮小は、タンパク質などのより大きい被分析物が、タンパク質バイオアッセイの場合のより高い感度を可能にした、蓄積間空間のEMホットスポットを利用する機会を増やすことを可能にした。
【0041】
実施された試験において、周期的な金ナノ粒子蓄積アレイの幾何学的形状は、分子被分析物の検出に向かってより高い感度を使用可能にするために被分析物の寸法に関連して手直しされ得る。蓄積間および蓄積内の粒子間距離に対応する2つの異なる長さスケールのプラズモンホットスポットを有するパターンが調査された。より大きいタンパク質分子に対応できるようにより多くの蓄積間ホットスポットを有するより小さい蓄積を有する第1のパターン(NCA#A)は、より少ない蓄積間ホットスポットを有する第2のパターン(NCA#B)に比べてタンパク質アッセイにおいてより感度が高いことが判明した。しかしながら、両方のパターンは、蓄積間ホットスポットさらには蓄積内ホットスポットの両方に対応できるより小さい被分析物分子に向かう類似の感度を有していた。この研究結果は、プラズモンセンシングに対するナノアレイを合理的に設計するためにホットスポットの幾何学的形状に関して被分析物のサイズを考慮する必要性を支持している。
【0042】
図3および
図4を参照しつつ説明されているような類似の実験(SA-Cy5の検出)は、著しく小さい標的被分析物1-ナフタレンチオール(1-NT)を用いて実施された。SA-Cy5は比較的大きい分子であり、したがって蓄積内ホットスポットへのアクセスがないかまたは非常に限られていると予想される一方、1-NTは蓄積内ホットスポットへのアクセスがかなり良好であるべきである。
【0043】
反射率の低い基板、すなわち石英、および反射率の高い基板、すなわち金コーティング石英上に作製されたNCA#AおよびNCA#Bは、システマティックに濃度を高めた1-NTのエタノール溶液中に一晩漬された。次いで、各濃度からの基板は、直ちに共焦点ラマン装置(InVia-Renishaw Inc.、英国所在)でスキャンされ、1372cm-1の最も強いピークを辿って、表面からのSERS信号に対する単分子層からサブ単分子層までの影響を理解した。溶液中の濃度が低下すると、表面濃度も同じ傾向を示すと予想され、これはここでSERS信号を通じて観察され得る。
【0044】
図6は、
(i)石英上に作製されたNCA#AおよびNCA#Bパターンに対する1-NT濃度の関数として測定されたSERS強度、および
(ii)これらのNCA#A(左)およびNCA#B(右)パターンに対するSERSスペクトル強度
を示す。
図7は、
(i)金コーティング石英(QCMセンサー)上に作製されたNCA#AおよびNCA#Bパターンに対する1-NT濃度の関数として測定されたSERS強度、および
(ii)これらのNCA#A(左)およびNCA#B(右)パターンに対するSERSスペクトル強度
を示す。
【0045】
したがって、NCA#Aパターンは、下に金膜がない場合に石英チップ上でより良い性能を示すが、NCA#Bパターンは、下に金膜があるときにより良い性能を示す。この現象は、パターンの高さの差異、さらには金膜の存在によるミラー効果に対する表面からの臨界距離の差異に起因し得る。
【0046】
図8は、ナノ粒子蓄積上およびナノ粒子蓄積間のセンサー表面上の表面官能基化を含む逆ミセル瘤32上のプラズモンナノ粒子蓄積を含む発明のQCMチップ30の一実施形態を示している。この瘤パターンは、従来のQCMセンサーの平坦金前面電極上の逆ミセルの自己組織化によって作製された。次いで、ナノ粒子蓄積は、逆ミセル瘤32上の金ナノ粒子34を自己組織化によって形成された。
【0047】
QCMセンサー表面は、最初に、PEGビオチンチオール(0.4kDa)(BPT)の官能基化36を用いて、脱イオン水中の2mMのPEGビオチンチオールの新しく調製された溶液中に2時間浸漬することによって官能基化された。その後、基板は、PBSおよびDI水ですすがれて、表面に緩く結合したBPTを除去した。その後、基板はPBS中のウシ血清アルブミン(BSA)の新しく調製された1%溶液中に漬され、金またはポリマー表面の露出をブロックし、ストレプトアビジンの非特異的結合を防いだ。BPTは、チオール-金相互作用によって誘導される金表面上の自己組織化単分子層を形成し、その後、生体特異的相互作用を通じてSA-Cy5の付着を誘導すると予想された。SA-Cy5の吸着に利用可能なナノ粒子表面の部分は、BPT層の厚さおよびキャップの高さと一緒にナノ粒子の半径を考慮して、球状キャップとしてモデル化され得る。
【0048】
SA-Cy5 40を用いた吸着試験は、SA-Cy5の吸着がナノ粒子蓄積間の隙間38内にも生じることを明らかにした(
図8)。実験の条件下では、BPTまたはSA-Cy5がナノ粒子蓄積の周り(およびそれらの間)の領域に吸着することはないと予想された。しかしながら、ナノ粒子蓄積の周り(およびそれらの間)の領域は、表面上に析出したときに逆ミセルの冠状ブロックの融合によって形成されたポリマー42の薄層を有していることがわかった。対照実験(ポリマーの薄膜でコーティングされたQCMセンサーがBPTに対して露出された)では、BPTはこのようなポリマー表面によく吸着し、約400ng/cm
2の密度、次いで無視できる量のBSAおよび690ng/cm
2のSA-Cy5が観察された。露出されたポリマー領域に基づき、これはナノ粒子蓄積間の362ng/cm
2の密度に対応するであろう。ポリマー層42上のビオチン-ストレプトアビジン相互作用の強い親和性は、SA-Cy5の観察された質量密度に向かう蓄積間表面からの寄与をよく支持している。これは、モデル化された表面からの理論的全質量密度を414ng/cm
2の観察された値で近似している。ナノ粒子蓄積間でSA-Cy5が利用可能であることの結果として、蓄積間電磁ホットスポットを利用可能にし、MEFアッセイにおける高感度を使用可能にする。
【0049】
特定の実施形態および実施例が本明細書において詳細に説明されているが、当業者であれば、それらの詳細に対する様々な修正形態および代替形態が本開示の全体的な教示に照らして開発されることが可能であることを理解するであろう。したがって、開示されている配置構成は、例示することのみを意図しており、本発明の範囲を限定せず、本発明の範囲は付属の請求項の全範囲およびそのすべての等価物に対して与えられるものとする。
【符号の説明】
【0050】
10 QCMセンサー
12 ウェハ
14 第1の平面状の電極
16 前面
18 第2の電極
20 後面
22 プラズモンナノ粒子蓄積
24 プラズモンナノ粒子
26 瘤
30 QCMチップ
32 逆ミセル瘤
34 金ナノ粒子
36 官能基化
38 隙間
40 SA-Cy5
42 ポリマー