(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子基板のアセンブリのための、表面上が金属化され、較正された複合はんだボール
(51)【国際特許分類】
C23C 28/02 20060101AFI20240925BHJP
C25D 5/56 20060101ALI20240925BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240925BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C23C28/02
C25D5/56 A
C25D7/00 H
C25D7/00 R
H05K3/34 512C
(21)【出願番号】P 2022515075
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2020075498
(87)【国際公開番号】W WO2021048374
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-06-20
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】523398422
【氏名又は名称】”アンスティテュート デ レシェルシュ アン アンジニアリ ドゥ サーフェス”
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ,コンスタンチン
(72)【発明者】
【氏名】ブシェ,セバスチャン
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-322591(JP,A)
【文献】特開平10-150263(JP,A)
【文献】特開2003-101207(JP,A)
【文献】特許第6500583(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C28/00-28/04
C25D5/00-7/12
H05K3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上が金属化され、較正される、直径D
fの複合はんだボール(1)を製造するための方法であって、前記ボール(10)が、
-発泡ポリスチレン(EPS)で作製され、少なくとも50%の粒間多孔性を有する、直径D0の球状支持粒子(10)からなるコアと、
-前記支持粒子(10)を覆い、厚さE
cuの銅コーティング、厚さE
Niの少なくとも1つのニッケル層、および厚さE
Auの金トップコートを含む複数の金属表面層(110、111、112)によって形成されるシェル(11)と、を含み、前記方法が、以下のステップ:
A)支持粒子(10)を提供する第1のステップと、続いて
B)D
0=D
f-2*(E
Ni+E
cu+E
Au)となるような、直径D
0を有する前記支持粒子(10)の物理的および/または機械的分離のステップからなる、前記支持粒子(10)の粒度的選別の第1のステップであって、D
0が、200μm~1000μmになるように選択されることが可能である、第1のステップと、
C)活性化支持粒子(10’)を得るための、こうして選択された前記支持粒子(10)の活性化処理のステップと、
D)1つ以上の銅層の自己触媒化学堆積による、前記活性化支持粒子(10’)の金属化の第1のステップであって、前記ステップが、銅コーティングされた支持粒子(10’’)を得るために、15~30μmの銅の厚さE
cuの銅コーティング(110)が得られるまで繰り返される、第1のステップと、
E)前記NiP層の総重量に対して7~10%リンの質量パーセンテージを有するリンNiPで合金化された少なくとも1つのニッケル層の自己触媒化学堆積による、前記銅コーティングされた支持粒子(10’’)の金属化の第2のステップであって、前記ステップが、化学ニッケルでコーティングされた支持粒子(10’’’)を得るために、4μm~7μmの化学ニッケル層(111)の厚さENiが得られるまで実施される、第2のステップと、
F)0.05μm~0.12μmの厚さE
Auの金トップコートで前記表面上が金属化およびコーティングされた複合はんだボールを得るような、金イオンを含有する水溶液中の浸漬によって実装されるガルバニック変位の方法による金の堆積のステップからなる、化学ニッケルでコーティングされた前記支持粒子(10’’’)の金属化の第3のステップと、
G)前記表面上が金属化され、+/-5%の公差で直径D
fを有する複合はんだボール(1)を選別および選択するための、こうして金属化された前記粒子の粒度的選別の第2のステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記支持粒子(10)の前記粒度的選別のステップB)が、200μm~1000μmになるように選択された直径D
0を有する前記支持粒子(10)を選別および選択するための機械的ふるい分けからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持粒子(10)の前記機械的ふるい分けB)に続いて、こうして処理された前記粒子の上部スライスの、100℃~120℃、および好ましくは110℃~120℃の温度での熱処理が行われ、そのサイズが、D
0+5%より大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
選択された前記支持粒子(10)の前記活性化処理が、硝酸銀の浴中への導入によって、銀種子をその前記表面に堆積させること、または物理的蒸着(PVD)によって、1μm以下の銅の薄層をその前記表面に堆積させることによってからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップD)~E)で、前記支持粒子(10)を作製する前記発泡ポリスチレン(EP
S)の部分的もしくは完全な溶解ステップ、または前記支持粒子(10)を作製する前記発泡ポリスチレン(EPS)の部分的もしくは完全な熱分解ステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電子基板のアセンブリのための、請求項1~5のいずれか一項に定義される方法によって得られた、前記表面上が金属化され、較正される、直径D
fの複合はんだボール(10)の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、複合はんだボールの製造および電子基板のアセンブリのための相互接続ソリューションとしての該ボールの使用に関する。
【0002】
ますます小型化され、鉛を使用しない電子基板のアセンブリのための技術の探索は、この技術分野の業界関係者に対して、機械的応力に敏感である構成要素、例えば、CBGAタイプのボールマトリクス(「セラミックボールグリッドアレイ」)、または電気機械的マイクロシステム(従来、「マイクロ電気機械システム」の頭文字MEMSで呼ばれる)間の相互接続を実装するための革新的なソリューションを求めるようますます促している。
【0003】
可撓性ボール([
図1]に示される)は、一般に、頭文字のSiP(「システムインパッケージ」)で呼ばれるパッケージ内のシステムを実装するために使用される技術の1つである。それらは、はんだ付けされる接点を含み、パッケージ内での容易なそのアセンブリを可能にする。
【0004】
しかしながら、現時点で、この分野で現在使用されている可撓性ボールは、ポリマー材料の高密度コアから形成されるという欠点を有し、製造プロセスのアウトプットに関連する製造コスト、および初期ボールの較正、ならびにボールの最終的な密度に悪影響を有する。さらに、差動熱発泡の問題は、その後のろう付け操作の間に、粒子のコアと金属シェルとの間において直面する可能性がある。
【0005】
この欠点を克服するために、出願人は、表面上が金属化され、較正される複合はんだボールを製造するための方法を開発し、該ボールは、発泡ポリスチレン(EPS)で作製され、少なくとも50%の粒間多孔性を有する、直径D0の球状支持粒子からなるコアと、該支持粒子を覆い、最終粒子が直径Dfを有するように、特に、厚さEcuの銅コーティング、厚さENiの少なくとも1つのニッケル層、および厚さEauの金トップコートを含む複数の金属表面層によって形成されるシェルと、を含む。
【0006】
本発明によれば、本方法は、以下のステップ:
A)支持粒子を提供する第1のステップと、続いて
B)D0=Df-2*(ENi+Ecu+EAu)となるような、+/-5%の公差で直径D0を有する支持粒子の物理的および/または機械的分離のステップからなる、支持粒子の粒度的選別の第1のステップであって、D0が200μm~1000μmになるように選択されることが可能である、第1のステップと、
C)活性化支持粒子を得るための、こうして選択された支持粒子の活性化処理のステップと、
D)1つ以上の銅層の自己触媒化学堆積による、該活性化支持粒子の金属化の第1のステップであって、該ステップが、銅コーティングされた支持粒子を得るために、15~35μmの銅層厚Ecuが得られるまで繰り返される、第1のステップと、
E)該NiP層の総重量に対して7~10%リンの質量パーセンテージを有するリンNiPで合金化された少なくとも1つのニッケル層の自己触媒化学堆積による、銅コーティングされた支持粒子の金属化の第2のステップであって、該ステップが、化学ニッケルでコーティングされた支持粒子を得るために、4μm~7μmの化学ニッケル層の厚さENiが得られるまで実施される、第2のステップと、
F)0.05μm~0.12μmの厚さEAuの金トップコートで表面上が金属化および
コーティングされた複合はんだボールを得るような(典型的には先行技術に従って実装される)金イオンを含有する水溶液中の浸漬によって実装されるガルバニック変位の方法による金の堆積のステップからなる)、化学ニッケルでコーティングされた支持粒子の金属化の第3のステップと、
G)表面上が金属化され、+/-5%の公差で直径Dfを有する複合はんだボール(1)を選別および選択するための、こうして金属化された粒子の粒度的選別の第2のステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
発泡ポリスチレン(EPS)で作製されたボールは、加熱されるとサイズが低減できるという利点を有するため、熱処理によって較正される可能性を供与する。
【0008】
本発明の意味において、粒間多孔性は、支持粒子の内部多孔性を意味し、支持粒子の表面および/またはその内部において、異なるタイプの孔-チャネル、ネットワーク、「ポケット」、ブラインド孔、および表面粗さを観察することが可能である。例えば、ヘリウムピクノメトリーによって測定され得る。
【0009】
本発明による方法の第1のステップは、支持粒子を提供するステップ(ステップA)である。
【0010】
有利には、90%を超える粒間多孔性のレベルを有する発泡ポリスチレン(EPS)のボールを使用することが可能である。
【0011】
本発明による方法では、最初に、200μm~1000μmになるように選択された直径D0を有する支持粒子(10)の物理的および/または機械的分離のステップからなる、該支持粒子の第1の粒度的選別(ステップB)が実施される。本発明による方法の有利な実施形態によれば、支持粒子の粒度的選別のステップB)は、200μm~1000μmになるように選択された直径D0を有する支持粒子を選別および選択するための機械的ふるい分けからなり得る。実際には、目標値D0+/-5%に対応するサイズの支持粒子が選択されるであろう。
【0012】
発泡ポリスチレン(EPS)のボールが支持粒子として使用される場合、支持粒子の粒度的選別のステップB)は、支持粒子の機械的ふるい分けからなり得る。次いで、それは、ボールの初期母集団の較正アウトプットを増加するために、こうして処理された粒子(すなわち、D0+5%より大きいサイズの粒子)の上部スライスの100℃~120℃、および好ましくは110℃~120℃の温度での熱処理によって有利に完了され得る。実際、加熱されると発泡ポリスチレン(EPS)ボールの直径が低減することを考えると、機械的ふるい分けが加熱と組み合わさると、前に選別されたボールの上部スライスのふるい分けのオーバーサイズの直径は、したがって、最初に拒絶された該ボールが求められた直径D0+/-5%に達するように低減され得る。これにより、直径D0を有するボールの数のアウトプットを増加することによって、生産コストを大幅に低減することが特に可能になる。熱処理の該ステップは、ボールの初期の球状性質を保持するために、ガスによってまたは液体によって、流動床内で有利に行われ得る。
【0013】
粒度的選別のステップB)の最後に、活性化支持粒子を得るために、前に選択された支持粒子の活性化処理(ステップC)が実施される。
【0014】
本発明の意味において、活性化処理は、その後の金属化処理の良好な付着を可能にするために、支持粒子の表面を活性化することからなる処理を意味する。
【0015】
該活性化処理の第1の有利な実施形態は、例えば、前に選択された支持粒子の表面上に
、溶液中の銀イオンの還元によって銀種子を堆積させることからなり得、銀堆積は、発芽成長によって達成される。この操作は、例えば、グリコール系溶液中のアンモニア性硝酸銀を還元することによって行われ得る。
【0016】
該活性化処理の別の有利な実施形態はまた、前に選択された支持粒子の表面上に、物理的蒸着(PVD)によって1μm以下の銅の薄層を堆積させることからもなり得る。
【0017】
支持粒子が活性化されると、粒子の実際の金属化が行われる(ステップD~F)。
【0018】
活性化支持粒子を金属化する第1のステップ(ステップD)は、1つ以上の銅層を自己触媒化学堆積するステップであり、該ステップは、銅コーティングされた支持粒子を得るために、15μm~35μmの銅層厚Ecuが得られるまで繰り返される。所望の銅の厚さを得るために、複数の連続した金属化操作が必要であり得る。
【0019】
はんだボールが中空または準中空であることが所望される場合、金属化ステップD~Eの間に、支持粒子の発泡ポリスチレン(EPS)の部分的もしくは完全な溶解、または部分的もしくは完全な熱分解のいずれかを実施することが可能である。これを達成するために、次いでステップEで形成される銅層は、EPSの消失を可能にするのに十分に細かいか、または十分に多孔性でなければならない。
【0020】
金属化の第2のステップ(ステップE)は、NiP(または化学ニッケル)層の総重量に対して7~10%リンの質量パーセンテージを有するリンNiPで合金化された少なくとも1つのニッケル層の自己触媒化学堆積によって、ステップD)の最後に得られた(任意選択で中空または準中空ボールに変換された)銅コーティングされた支持粒子を金属化することからなる。該ステップE)は、化学ニッケルでコーティングされた支持粒子を得るために、4μm~7μmの化学ニッケル層(111)の厚さENiが得られるまで実施される。
【0021】
金属化の第3のステップ(ステップF)は、0.05μm~0.12μmの厚さEauの金トップコートで表面上が金属化およびコーティングされた複合はんだボールを得るような、金イオンを含有する溶液中の浸漬による、化学ニッケルでコーティングされた支持粒子の金属化からなる。
【0022】
最後に、本発明による方法の第2のステップ(ステップG)は、表面上が金属化され、+/-5%の公差で直径Dfを有する複合はんだボールを選別および選択するための、こうして金属化された粒子の粒度的選別の第2のステップである。
【0023】
本発明はまた、本発明による製造方法によって得ることができるはんだボールにも関する。
【0024】
本発明の第1の特に有利な実施形態によれば、はんだボールは、以下の特徴を有し得る:
-約630μm+/-5%の直径D0、
-約30μmの銅層厚Ecu、
-約5μmのNiP層厚ENi、
-0.05μm~0.12μmの金層厚EAu、
-約700μm+/-5%の直径Df。
【0025】
本発明の第2の特に有利な実施形態によれば、はんだボールは、以下の特徴を有し得る:
-約350μm+/-5%μmの直径D0、
-約20μmの銅層厚Ecu、
-約5μmのNiP層厚ENi、
-約0.1μmの金層厚EAu、
-約400μm+/-5%の直径Df。
【0026】
有利には、本発明によるはんだボールは、発泡ポリスチレン(EPS)である場合、50体積%を超えるポリマー材料で作製されたコアを含む中空(または準中空)ボールであり得る。そのようなはんだボールは、本発明による方法を使用して得られるが、該方法は、ステップD)~E)で、初期の支持粒子を作製する発泡ポリスチレン(EPS)の部分的もしくは完全な溶解ステップ、または部分的もしくは完全な熱分解ステップを含む。
【0027】
本発明はまた、電子基板のアセンブリのための本発明によるボールの使用にも関する。実際に、本発明によるボールの構造は、機械的応力に敏感である構成要素(CBGA、MEMSなど)間の相互接続を実装することを可能にする。それらは、制御された位置を維持し、基材と構成要素との間の相互接続における機械的応力を制限することができるという利点をさらに有する。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として、および添付の図面を参照して以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術から知られている可撓性ボールの例の概略図であり、それは、集積回路ハウジング内のそのアセンブリのためにはんだ付けされる接点を含む。
【
図2】本発明による可撓性ボールの例の概略図である。
【
図3】本発明による可撓性ボールの例の概略図であるが、明瞭さのために金の表面層が示されていない。
【
図4】本発明による方法の活性化のステップC)の最後に得られた活性化EPSボール(銀の薄層でコーティングされた)の写真である。
【
図5】本発明による方法の銅による金属化のステップD)の最後に得られた銅層でコーティングされた活性化EPSボールの写真である。
【
図6】本発明による方法の化学ニッケルによる金属化のステップE)の最後に得られた銅および化学ニッケル(NiP)層で連続してコーティングされた活性化EPSボールの写真である。
【
図7】本発明による方法の化学ニッケルによる金属化のステップF)の最後に得られた銅、化学ニッケル(NiP)、および金層で連続してコーティングされた活性化EPSボールからなる、本発明によるはんだボールの写真である。
【
図8】本発明による方法の第1の実施形態の最後に得られたEPS支持ボール、ならびに銅、化学ニッケル、および金の連続層を示す、本発明によるボールの断面の光学顕微鏡画像である(約655μmの直径および17μmの厚さの銅層のEPSボール)。
【
図9】本発明による方法の第2の実施形態のステップD)の最後に得られた銅コーティングされたEPSボールの断面の第1の光学顕微鏡画像(A)(660μmの直径および15μmの厚さの銅層のEPSボール)、および本発明の方法による第3の実施形態のステップD)の最後に得られた銅コーティングされたEPSボールの断面の第2の光学顕微鏡画像(B)(630μmの直径および31μmの厚さの銅層のEPSボール)を示す。
【
図10】0.5~1mmのサイズ分布D0を有するEPS支持ボール10を示す第1の光学顕微鏡画像A、および0.63~0.66mmの直径を選択する粒度的選別後に得られたEPS支持ボール10を示す第2の光学顕微鏡画像Bを示す。
【
図11】約400μm+/-5%の直径を有する、本発明による金属化ボール1を示す。
【
図12】360℃での熱処理の前の本発明による金属化ボール1を示すSEM画像であり(A)、SEM画像は、ボールの耐熱性を検証するために、360℃で20分間、その後の熱処理を受けた(B)本発明による金属化ボール1を示す。
【
図13】本発明による方法のステップA~Gに従って金属化され、ボールの耐熱性を検証するために360℃で20分間、その後の熱処理を受けた(B)、高密度ポリスチレンコアを有するボールを示すSEM画像である。
【0030】
[
図1]は、既知の従来技術の提示に記載されている。それは、特に、アセンブリを容易にする溶接される接点1、2を有する可撓性ボールを示す。
図2~
図12は、以下の実施例により詳細に記載されており、これは、本発明を、その範囲を限定することなく例示する。
【実施例】
【0031】
装置および器具
自己触媒化学堆積装置(銅および化学ニッケルの堆積用)
-機械的ふるい分け装置
開始生成物
-595μm~665μmの直径の発泡ポリスチレン(EPS)ボール、
-約400μmの直径の発泡ポリスチレン(EPS)ボール、
-化学ニッケル(7~10重量%のPを含有)、
-銅
-硝酸銀、
-金イオン。
【0032】
特徴付け:形態分析
光学顕微鏡観察を、光学顕微鏡を使用して、表面([
図4]~[
図7])および断面([
図8]および[
図9])で実施する。
【0033】
図12および13の観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して得られる。
【0034】
実施例1:
本発明による方法の第1の実施形態による、本発明によるはんだボールの製造、
本発明によるはんだボールは、本発明による方法の第1の実施形態による発泡ポリスチレン(EPS)ボールから開発される。製造は、以下のステップに従って分割される。
-1)約630μmの直径のボールだけを維持するために、0.5~1mmのサイズ分布を有するEPSボール10の第1の機械的ふるい分けを実施する([
図10])。
-2)次いで、その後の金属化処理の良好な付着を可能にするために、EPS粒子の表面を活性化する。ボールの表面に銀種子を堆積することによって活性化されたボール10’が得られる。操作を硝酸銀の還元によって浴中で実施する。この処理の最後に、[
図4]に示されるようなボール10’が得られる。
-3)第3のステップは、銅を使用する金属化処理を実施することからなる。30μm厚Ecuの銅層110は、自己触媒化学堆積によって得られる(参照:[
図2]、[
図3])。この処理の最後に、[
図5](表面図)または[
図9]の部分B(断面図)に示されるようなボール10’’が得られる。
-第4のステップは、5μm厚の化学ニッケル(NiP)層111を銅層110上に堆積させることからなる(参照:[
図2]、[
図3])。また、該コーティングを自己触媒化学堆積によって実装する。この処理の最後に、[
図6]に示されるようなボール10’’’が得られる。
-最後の金属化層は、金のトップコート112である(参照:[
図2])。堆積物は、
金イオンを含有する溶液中に化学ニッケルコーティングされたボール10’’’を浸漬した後、ガルバニック変位によって得られる。したがって、金層が堆積し、その厚さE
Auは、0.05μm~0.12μmである(参照:[
図2])。この処理の最後に、[
図7]に示されるようなはんだボール1が得られる。
-最終ステップは、約700μm+/-5%の直径D
fの本発明によるボール1のみを維持するためのボールの粒度的選別である。
【0035】
実施例2:
本発明による方法の第2の実施形態による、本発明によるはんだボールの製造
本発明によるはんだボールは、実施例1と同じ方法で形成され、660μmの直径および約15~17mm厚の銅の堆積の支持ボールを有する(参照:
図8および9A)。
【0036】
実施例3:
本発明による方法の第3の実施形態による、本発明によるはんだボールの製造
本発明によるはんだボールを、約400μm+/-5%の直径D
fのボールを得るために、実施例1および2と同じ方法で形成する(参照:[
図12])。
【0037】
実施例4:
ふるいステップ後の熱処理の効果
SEM分析([
図12])は、360℃での熱処理の前(12a)および後(12b)の本発明による金属化および較正されたボールを示す。ボールは熱処理後に劣化/変質せず、その温度安定性を示していることに留意されたい。
【0038】
実施例5(比較)
ボール3の重量の比較分析を確立するために、本発明による方法のステップA~G(Cu/NiP/Auの金属化)に従って、(直径D0 700μm+/-5%の)ボールのバッチを形成し、次いでボールの耐熱性を検証するために360℃で20分間、その後の熱処理(B)にかけた。これを達成するために、異なる3つタイプの支持ボールを使用した:
-発泡ポリスチレンボールに基づいて形成された第1のバッチ(約95%の多孔性を示す)、
-架橋ポリスチレンボール(高密度)に基づいて形成された第2のバッチ、および
-金属銅ボール(高密度)に基づいて形成された第3のバッチ。
【0039】
各バッチについて、1000個のボールを取り出し、重量を測定した。以下の結果が得られ、下の表1に要約した。
【表1】
【0040】
発泡ポリスチレンに基づいて本発明に従って形成されたボール(第1のバッチ)は、現在のソリューション(有機または金属材料で作製された高密度コア)と比較して、1.7~9.4の質量低減係数を有する。
【0041】
一方、高密度コアに基づいて得られたボール(第2および第3のバッチのボール)と比較して、EPSコアを使用すること(第1のバッチの、本発明によるボール)によって、
ボールの熱安定性が改善することが指摘されている。実際、360℃から、高密度ポリスチレンに基づいて形成されたボール(第2および第3のバッチのボール)は、ボールの表面上に有機材料の「液滴」の外観を有する挙動欠陥を示すことに留意されたい(
図1)。この現象は、発泡ポリスチレンに基づいて形成された本発明によるボール(第1のバッチのボール)においては観察されない。