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特許7560558自動車内の電気起動可能なアクチュエータの作動開始を制御するための方法およびこの方法を実施するための電子制御器
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  • 特許-自動車内の電気起動可能なアクチュエータの作動開始を制御するための方法およびこの方法を実施するための電子制御器 図1
  • 特許-自動車内の電気起動可能なアクチュエータの作動開始を制御するための方法およびこの方法を実施するための電子制御器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】自動車内の電気起動可能なアクチュエータの作動開始を制御するための方法およびこの方法を実施するための電子制御器
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20240925BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20240925BHJP
   B60T 8/94 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60T17/22 Z
G05B9/02 J
B60T8/94
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022541913
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2020081040
(87)【国際公開番号】W WO2021139912
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102020200287.8
(32)【優先日】2020-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブラウフレ,ゲーツ
(72)【発明者】
【氏名】ドイチャー,マルガレーテ
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522331(JP,A)
【文献】特開平10-024826(JP,A)
【文献】実開平02-123153(JP,U)
【文献】特表2007-516123(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015009443(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282877(US,A1)
【文献】特開2005-297780(JP,A)
【文献】特開平11-091400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/94
B60T 17/22
G05B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)内の電気起動可能なアクチュエータ(14)の作動開始を、特にその機能信頼性をチェックする目的で制御するための方法であって、
前記自動車(10)が、
電気起動可能な第1のアクチュエータ(12)と、
電気起動可能で、前記第1のアクチュエータ(12)に対し冗長性のある第2のアクチュエータ(14)と、
前記アクチュエータ(12,14)を電気起動するための少なくとも1つの電子制御器(16)と、
を備えている前記方法において、
前記アクチュエータ(12,14)のうちのそれぞれ1つのアクチュエータの作動状態を示すデータ信号が、データバスシステム(28)を介して前記電子制御器(16)に転送され
前記電子制御器(16)が、前記データ信号からその潜在的騒音放出を評価し、
前記第2のアクチュエータ(14)の騒音放出が前記自動車(10)の車室(26)内の騒音レベルを維持するために、および/または、ドライバーによって知覚可能なその音質の点で改善するために適している場合に、前記第2のアクチュエータ(14)の作動開始を行うこと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電子制御器(16)に前記データバスシステム(28)を介して少なくとも1つの以下に示すデータ信号を提供し、前記以下に示すデータ信号を、前記電子制御器(16)により、前記車室(26)内で支配的な前記騒音レベルに関する信号情報へさらに処理することを特徴とする、請求項1に記載の方法:
前記自動車(10)の速度データ信号
娯楽手段の作動データ信号
前記自動車(10)の前記車室(26)の空調のための装置の作動データ信号
【請求項3】
前記車室(26)の前記騒音レベルを測定し、
デジタルデータ形式に変換し、
前記電子制御器(16)に前記データバスシステム(28)を介して提供して、前記少なくとも1つの第2のアクチュエータ(14)の作動開始を制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車室(26)の前記騒音レベルを遠隔通信装置(20)のハンドフリー装置を用いて測定することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記車室(26)の前記騒音レベルを、ドライバーシート(24)の領域において、好ましくはドライバーの頭部の可能な位置の高さで測定することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータ(14)の実施した作動開始に関するデータ信号を、前記データバスシステム(28)を介して連結されている前記自動車(10)のその他のアクチュエータを制御する電子制御器に伝送することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
自動車(10)のブレーキ装置の車輪におけるスリップをコントロールするための電子制御器(16)において、
前記電子制御器(16)が、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実施するために形成されていることを特徴とする電子制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部の構成要件による、自動車内の電気起動可能なアクチュエータの作動開始を制御するための方法、および、さらに請求項8の上位概念部の構成要件による電子制御器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の自動車は、複数の電子コントロールシステムを備えており、その目的は、たとえばドライバーをアシストすること、走行快適性を改善すること、および/または、走行安全性を向上させることである。この種のコントロールシステムは、現在の走行状況に依存して電気起動可能な複数のアクチュエータを備えている。これらのアクチュエータを起動するため、電子制御器が設けられている。
【0003】
これに関連してよく知られているのは、不安定な走行状態をすでにその発生前の段階で抑止する自動車の電子的にスリップコントロール可能なブレーキシステムである。後者は予告性の車輪スリップ或いはすでに存在している車輪スリップをベースにしており、すなわち車両の1つまたは複数のロックしている車輪をベースにしている。これはたとえば制動過程の間、走行作動の途中、車両を発進させる際にも発生することがある。該当する車輪の車輪ブレーキのブレーキ圧のコントロールによって、発生する車輪スリップを低減させることができ、或いは、完全に回避することができる。このために、ブレーキシステムは電気起動可能なブレーキ圧発生器およびその種の弁の形態のアクチュエータを備えている。
【0004】
さらに、現在では、少なくとも何らかの前提の下での自動操縦で、または完全自律して、すなわちドライバーなしで作動できる自動車を使用することが増えている。この種の車両は、障害が発生した場合に、または、1つのアクチュエータが故障した場合に、ブレーキ圧増圧の肩代わりをすることができる第2のアクチュエータを使用するために、複数のアクチュエータに冗長性があるブレーキシステムを備えている。
【0005】
アクチュエータに故障の可能性がある場合に、これをすでに前段階で予防するため、通常はその機能信頼性が規則的な間隔でチェックされる。このため、検査間隔は、最後のチェックから経過した時間、それぞれのアクチュエータの実際の作動時間および/または行った負荷に依存して変えることができる。冗長性のアクチュエータに対してこの機能検査が特に重要であることは明らかであり、というのは一次アクチュエータにすでに故障があるときにその機能が要求されているからである。
【0006】
しかしながら、これらの機能検査の欠点は、アクチュエータの作動開始時に騒音が発生することである。作動音が発生すると、車両搭乗者の快適感を阻害し、加えて車両およびそのコントロールシステムの正常な機能状態に関して刺激を誘発させることがある。後者は、特に、検査間隔が変化し、したがって検査過程をスタートさせる時点が変化し、よってドライバーにとっては甚だ予想外に行われるからである。
【0007】
特に、電気駆動部を備えた車両の場合に上記の問題が生じる。というのは、このような車両においてはエンジン騒音がないために、通常駆動の車両の場合よりもアクチュエータの作動音がよりはっきりと知覚されるからである。また、安全性の理由からアクチュエータに冗長性があるシステムを備えている車両の場合、必要な機能検査の回数が多くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この点を背景に、以下で説明する本発明は、冗長性の第2のアクチュエータの機能検査を実施するための時点を、その際に発生する車両搭乗者の騒音負担が可能な限り少なくなるように調整するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の方法によれば、自動車の車室内で支配的な騒音レベルを表す信号に依存して第2のアクチュエータの作動を開始する。そこで比較的低い騒音レベルが支配している場合、すなわち車室内において知覚可能な第2のアクチュエータからの作動音よりも騒音レベルが低い場合には、第2のアクチュエータの作動開始は行わない。車室内のこの騒音レベルがその後上昇して、車室内で知覚可能な第2のアクチュエータの作動音に少なくとも近似的に相当する設定可能な限界値に達するか、これを越えると、第2のアクチュエータの作動開始をスタートさせる。その後、第2のアクチュエータの作動音は車室の内部での騒音レベルに少なくともほぼかき消され、或いは、車両搭乗者によって不快に知覚されなくなる。
【0010】
本発明の更なる利点または有利な更なる構成は、従属項および以下の説明から明らかである。
【0011】
本発明の有利な更なる構成では、自動車のアクチュエータはデータバスシステムを介して互いに連結されて、それぞれのアクチュエータの現時点の作動状態を表すデータ信号を交換する。これらのデータ信号を用いると、自動車の車室内で支配的な室内騒音を間接的に推定でき、第2のアクチュエータの作動開始を対応的に制御することができる。したがって、車室内の騒音レベルの直接測定は必ずしも必要でなく、よって有利な方法でその種の測定装置を節減できる。
【0012】
それにもかかわらず、車室内での騒音レベルの直接測定が利点をもたらすことがある。というのは、この場合、第1のアクチュエータの作動音に起因しない周囲騒音も、第2のアクチュエータの起動の際に考慮できるからである。このため、有利な態様では、車室内の騒音レベルを車両の遠隔通信装置のハンドフリー装置によって検知することができる。このようなハンドフリー装置はもともと多くの車両ですでに設けられており、その結果付加的に設置すべき騒音検知装置を省略できる。検知した騒音はその後データ信号に変換して、データバスシステムを介して電子制御器に提供する。
【0013】
車両外部の周囲からの騒音以外に、たとえば車両内の娯楽手段の騒音および/または車両の空調装置の騒音を、データバスシステムを介して考慮することもできる。
【0014】
車室内の騒音検知を、有利には車両のドライバーシートの領域において、特にドライバーの頭部の高さで行って、特にドライバーを不快な作動音から解放し、よって道路交通に対するその注意力を妨害しないようにしなければならない。
【0015】
さらに、第2のアクチュエータの作動開始を制御する際に車両の速度を考慮するのが有利である。車速は、発生する可能性がある風切り音および車両のタイヤ音に関する価値ある情報を提供し、このため、これらの騒音の直接測定を行う必要がない。
【0016】
第2の冗長性のアクチュエータの作動開始を制御するための方法は、電子制御器によって行われる。この意味で、有利な態様では、たとえば車輪スリップのコントロールを行う車両のブレーキシステムの制御器を改良できる。これにより、提案した方法を特にコスト上好ましく且つ省スペースで実現可能である。
【0017】
本発明の一実施例が図面に図示されており、以下の説明で詳細に解説する。
図面は全部で2つの図を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の基礎を成す自動車の概略図である。
図2】フローチャートを用いて本発明を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に説明する発明は、電気制御可能なシステムに関し、特に好ましくは機能保護の理由から互いに冗長性のある複数のアクチュエータを有する自動車のための電気制御可能なシステムに関する。これに関連して、少なくとも自動操縦で走行する自動車の電子的にスリップコントロール可能なブレーキシステムを例にとって本発明を説明するが、このような自動車またはこのようなブレーキシステムに限定されない。自動車の他の可能な冗長システムは、たとえば電気操舵システムまたは電気シャーシコントロールシステムであってよい。
【0020】
図1には、多数の電気起動可能なアクチュエータを備えた自動車10が概略的にかなり簡略した図示で示されている。この種のアクチュエータを備えているのは、たとえば自動車10のパワートレイン、シャーシ、すなわちステアリングとダンピング、車室内の空調システム、娯楽システムまたは通信システム、および/または、特にブレーキシステムである。以下では、例としてブレーキシステムのみにより詳細に立ち入る。他のシステムに対しては、この実施形態がそれぞれ対応的に適用される。
【0021】
ブレーキシステムは、車両の既存の車輪ブレーキ内に液圧によるブレーキ圧を発生させるための圧力発生器の形態でアクチュエータ12,14を有している。特に自律走行する自動車の場合には、1つのアクチュエータ12;14に予期に反して万一故障が発生した場合にも車両10の制動機能を維持するために、これらの圧力発生器には冗長性がある。圧力発生器またはアクチュエータ12,14を電気起動するため、少なくとも1つの電子制御器16が自動車10内に組付けられている。その際、ほとんどの場合、各アクチュエータ12;14には固有の制御器16が対応配設されているが、これら個別制御器を1つまたは複数の制御器ユニットにまとめることが可能である。
【0022】
さらに、図示した自動車10は遠隔通信装置20を備え、遠隔通信装置はマイクロフォン22を備えたハンドフリー装置を含んでいる。ハンドフリー装置とマイクロフォン22は、自動車10の車室26内においてドライバーシート24の領域に配置され、有利にはドライバーの頭部がある高さに配置されている。これにより、ドライバーをその注意力および知覚の点で特に阻害する車室26内の騒音が検知されて考慮される。
【0023】
自動車10の前述のアクチュエータ12;14は、データバスシステム28を介して互いに連結され、且つ制御器26と連結されている。データバスシステム28は、それぞれ接続されているアクチュエータ12;14の作動状態を示すデータ信号をこの制御器16に転送する。データ信号は、好ましくはデジタルデータ形式を持つ。
【0024】
本発明によれば、制御器16は入ってくるデータ信号を個々のアクチュエータ12,14の騒音放出に関し評価し、特に自動車10の車室26内で知覚可能なこれらアクチュエータ12,14の騒音放出に関して評価する。それぞれのデータ信号に依存してそれぞれのアクチュエータ12,14の騒音放出を表す特性曲線は、事前の調査で検出されたものであり、電子制御器16に保存されている。車室26内で発生する騒音レベルを不変に維持するために、減衰させるために、および/または、ドライバーによって知覚可能な音質の点で改善するために、第1のアクチュエータ12に対し冗長性がある第2のアクチュエータ14の騒音放出が適している場合には、制御器16は前記車室26内で知覚可能な騒音放出に依存して前記第2のアクチュエータ14の作動開始を行う。
【0025】
したがって、第2のアクチュエータ14の作動開始は必ずしも車室26内での騒音の直接測定に基づくものではなく、むしろアクチュエータ12,14の作動状態を表すデータ信号の存在から間接的に騒音を導出する。よって、アクチュエータ12,14の作動データから車室26内の騒音レベルを推定し、その結果車室26内でこの騒音レベルを直接測定することをせずに済むが、これは自動車10内にその種の測定装置を設けずに済むことと同義である。
【0026】
それにもかかわらず、車室26内の実際の騒音を測定し、たとえばこの騒音を通じて、アクチュエータがないためにデータバスシステムを介して検知できないような周囲騒音を考慮することが重要な場合が少なからずある。これに関連してたとえば風切り音、タイヤ音、および/または、自動車10の周囲からの騒音が挙げられる。
【0027】
このような場合には、マイクロフォン22を用いて車室26の騒音レベルを検知し、デジタルデータ形式に変換し、データバスシステム28を介して電子制御器16へ供給して評価することが考えられる。その際、マイクロフォン22として、今日では自動車にもともと組付けられていることが多い自動車10の遠隔通信装置20のハンドフリー装置のマイクロフォンを使用できる。これにより、騒音測定のためにハードウェアの付加的な設置の必要がない。
【0028】
さらに、データバスシステム28を介して、自動車10の速度測定装置30のデータ信号をも考慮することができる。車速は同様に自動車10の風切り音およびタイヤ音を推定させ、これら騒音を直接に測定技術的に検知する必要がない。同じことは娯楽手段34または自動車10の空調装置32から提供されるデータ信号に対して適用され、データ信号はこれら装置の作動態様(たとえばファン:強/弱/切;ラジオ:音量大/音量小/切など)に応じて車室26内の騒音レベルに影響を与える。
【0029】
本発明によれば、冗長性のある第2のアクチュエータ14の作動開始は、この第2のアクチュエータ14の騒音放出が車室26内の騒音レベルを維持するために、減衰させるために、および/または、ドライバーにとって知覚可能な音質の点で改善するために適している場合に、その機能信頼性をチェックする目的で行う。しかしながら、冗長性の第2のアクチュエータ14の機能テストの実施によるこのような騒音低下が万一可能でなく、しかも安全性の理由から機能テストが更なる時間遅れを許さない場合でも、もちろん機能チェックは実施せねばならない。この場合、冗長性の第2のアクチュエータ14の作動開始を行ったことは、データバスシステム28を介して残りのアクチュエータに知らされる。これによって制御器16は、車室26内の騒音レベルが上昇しない限りにおいては、或いは、ドライバーにとって知覚可能な音質の点で騒音レベルが悪化しない限りにおいては、同様に機能テストが間近の他の冗長性のあるアクチュエータを第1および第2のアクチュエータ12,14と同時に作動させることができる。
【0030】
本発明の基礎となる方法が図2にフローチャートを用いて明示されている。
【0031】
方法の第1のステップ40で、少なくとも1つの電子制御器16により、冗長性の第2のアクチュエータ14に対し、その機能信頼性のチェック(機能テスト)を実施する目的で作動開始が必要かどうか、或いは、適切であるかどうかを確認する。
【0032】
もしYesであれば、更なるステップ42で、自動車10の車室26内の騒音レベルまたは騒音準位がどの程度のものであるかを調べる。このため、互いに連結されているアクチュエータ12,14の作動状態を表すデータバスシステム28のデータ信号を、その車室26内での騒音放出に関して電子制御器16によって評価し、比較のために冗長性の第2のアクチュエータ14の騒音放出と突き合わせる。
【0033】
次のステップ44で、電子制御器16により、冗長性の第2のアクチュエータ14の騒音放出が車室26内の騒音レベルを維持するために、減衰させるために、および/または、ドライバーにとって知覚可能なその音質の点で改善するために適しているかどうかを調べる。もしYesであれば、46で冗長性の第2のアクチュエータ14の作動開始をその機能信頼性のチェックのために行う。
【0034】
そうでなければ、ステップ48で、冗長性の第2のアクチュエータ14の機能テストを時間的に延期できるかどうかを調べる。もし延期できる場合には、前述した方法を騒音放出に適した後の時点でやり直す。
【0035】
機能テストがこれ以上の延期を許さなければ、車室26内の騒音レベルに関して好ましくない条件であるにもかかわらず、電子制御器16によって機能テストを実施し、冗長性の第2のアクチュエータ14の作動開始を表すデータ信号を、データバスシステム28を介して伝送する。
【0036】
次のステップ50で、機能テストを必要とする他の冗長性のアクチュエータがデータバスシステム28と連結されているかどうか、および、これら他の冗長性のアクチュエータの機能テストを実施することによって車室26内の騒音レベルを維持できるか、減衰させることができるか、または、音質の点で改善させることができるかどうかを調べる。
【0037】
これが該当している場合には、ステップ52で、該当するアクチュエータを、機能テストを実施するために同様に電気制御器16によって起動し、そうでない場合には、この問い合わせを後の時点で反復する。
【0038】
もちろん、本発明の基本思想から逸脱しなければ、説明した実施例において説明以上の変更または補完が考えられる。
【符号の説明】
【0039】
10 自動車
12 第1のアクチュエータ
14 第2のアクチュエータ
16 制御器
20 遠隔通信装置
24 ドライバーシート
26 車室
28 データバスシステム
図1
図2