IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーロン インダストリーズ インクの特許一覧

特許7560569スパンボンド不織布およびこれを用いたタイルカーペット
<>
  • 特許-スパンボンド不織布およびこれを用いたタイルカーペット 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】スパンボンド不織布およびこれを用いたタイルカーペット
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240925BHJP
   A47G 27/02 20060101ALI20240925BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20240925BHJP
   D01F 6/84 20060101ALI20240925BHJP
   D04H 3/011 20120101ALI20240925BHJP
   D04H 3/153 20120101ALI20240925BHJP
【FI】
D04H3/16
A47G27/02 E
A47G27/02 101A
D01F6/62 306D
D01F6/84
D04H3/011
D04H3/153
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022558299
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2021002131
(87)【国際公開番号】W WO2021201430
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0039114
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0022107
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウ-ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-シン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジョン-スン
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509530(JP,A)
【文献】特開2002-194653(JP,A)
【文献】特開2015-010294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00 - 18/04
D01F 6/62
D01F 6/84
D01F 6/92
D02G 1/00 - 3/48
D02J 1/00 - 13/00
A47G 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が255℃以上の再生ポリエステルから構成された第1フィラメントと、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低い低融点コポリエステルから製造された第2フィラメントとの混繊糸の繊維ウェブを含み、
前記再生ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が0.5~1.30の単量体組成物を用いて得られた廃ポリエステル重合体の再生物質を含み、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満である、
スパンボンド不織布。
【請求項2】
前記再生ポリエステルは、テレフタル酸(TPA)100重量部に対して、イソフタル酸(IPA)45~75重量部、エチレングリコール(EG)47~58重量部、およびジエチレングリコール69~74重量部を含む単量体組成物の廃ポリエステル重合体の再生物質を含む、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
前記混繊糸は、第1フィラメント50~95重量%;および第2フィラメント5~50重量%;を含む、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項4】
前記第1フィラメントは、平均繊度が5~10デニールのフィラメントであり、前記第2フィラメントは、平均繊度が2~5デニールのフィラメントである、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項5】
前記スパンボンド不織布は、単位面積あたりの重量が90g/mであるとき、厚さが0.35mm~0.40mmである、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項6】
紡糸パックの圧力範囲が1,600~2,500psiの紡糸条件で得られる、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項7】
KS K ISO-9073-3の方法に基づいて測定された引張強度が15kg.f/5cm以上であり、引張伸び率が15%以上である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布を基布地として含むタイルカーペット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年3月31日付の韓国特許出願第10-2020-0039114号および2021年2月18日付の韓国特許出願第10-2021-0022107号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高機能性を示すタイルカーペットの基布地(基布の布地)として適用するためのスパンボンド不織布、およびこれを用いたタイルカーペットに関する。
【背景技術】
【0003】
不織布は、フィラメントを面状に配置して作られた製品であって、フィラメントの長さによって、単繊維不織布と長繊維不織布とに大きく分けられる。単繊維不織布は、5mm以下の短い繊維を面状に配置し、繊維間交絡または樹脂の接着により作られる製品であって、伸び率が高いという特徴を有する。長繊維不織布は、切れのない繊維を面状に配置し、繊維間交絡または樹脂の接着により作られる製品であって、強度が高いという特徴を有する。
【0004】
強度に優れるというメリットを有する長繊維不織布は、建設用、土木用の用途に主に用いられており、最近は、自動車素材の軽量化のトレンドに伴い、自動車の内外装材の用途に拡大適用されている。また、かつて用いられていた織物または単繊維不織布の形態の内装材と同一の強度でかつ重量が低い長繊維不織布が適用されており、主に適用されている製品群には、タイルカーペット、自動車の床材カーベット、アンダーカバー(Under Cover)、ヘッドライナー(Headliner)製品などがある。
【0005】
長繊維不織布の場合、再生可能なポリエステルプラスチッといった廃棄物を再利用することによって、資源の再利用および環境汚染の防止に寄与しながらも、引張強度といった不織布の基本物性に優れた、再生ポリエステル原料が含有された不織布が開発されており、フィルタ用の不織布、カーペット基布地用の不織布などへと用途が拡大している。
【0006】
しかし、再生ポリエステル原料の使用は、不織布廃棄物に含有されている、添加剤、粘着剤の化学的組成の差、および多量の異物の含有により、特性低下(チップ凝集、紡糸性の不良および不織布の物性低下など)の問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の問題を解決すべく、本明細書では、異物の含有量が少なく、原料の物性が最適化されつつも、再生可能なポリエステルプラスチック廃棄物を再利用した、再生ポリエステル原料を適用して、不織布の基本物性の特性に優れ、タイルカーペットの基布地としての使用に適したスパンボンド不織布およびその製造方法を提供する。
【0008】
また、本明細書では、前記スパンボンド不織布を用いたタイルカーペットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、
融点が255℃以上の再生ポリエステルから構成された第1フィラメントと、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低い低融点コポリエステルから製造された第2フィラメントとの混繊糸の繊維ウェブを含み、
前記再生ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.30以下の単量体組成物を用いて得られた廃ポリエステル重合体の再生物質を含み、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満である、
スパンボンド不織布を提供する。
【0010】
また、本明細書では、前記スパンボンド不織布を基布地として含むタイルカーペットを提供する。
【0011】
以下、発明の実施形態によるタイルカーペット基布地として使用できるスパンボンド不織布およびその製造方法について詳細に説明する。
【0012】
それに先立ち、本明細書において明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0013】
本明細書で使用される単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0014】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるわけではない。
【0015】
そして、本明細書において、「第1」および「第2」のように序数を含む用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0016】
本発明者らは、タイルカーペットの吸音性能と引き抜き強力などの基本物性を満足できかつ、再生可能なポリエステルプラスチックといった廃棄物を再利用する際、再利用材料の原料物性を最適化することによって、不織布の基本特性に優れ、コスト節減が可能なスパンボンド不織布を提供できることを確認して、本発明を完成した。
【0017】
つまり、従来の再生ポリエステル原料を使用しても、不織布廃棄物に含有されている添加剤、粘着剤などの異物の含有によって特性の低下が発生したので、このような問題を解決することを目的とする。
【0018】
したがって、本明細書では、異物含有量が少なく原料の物性が改善された再生ポリエステル原料を適用することによって、不織布の基本特性に優れたスパンボンド不織布を製造しようとする。また、本明細書によるスパンボンド不織布は、純粋なポリエステル原料が適用された不織布に比べて、同等以上の水準の物性を有しかつ、廃棄物を再利用して原料費用を低減して価格競争力を向上させることができる。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
スパンボンド不織布およびその製造方法
発明の一実施形態により、融点が255℃以上の再生ポリエステルから構成された第1フィラメントと、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低い低融点コポリエステルから製造された第2フィラメントとの混繊糸の繊維ウェブを含み、前記再生ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.30以下の単量体組成物を用いて得られた廃ポリエステル重合体の再生物質を含み、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満である、スパンボンド不織布が提供されうる。
【0021】
本発明は、再生ポリエステル原料の物性を最適化してスパンボンド不織布を製造する時、紡糸性および操業性が改善されると同時に、引張強度、引張伸び率などの機械的物性に優れたスパンボンド不織布の製造方法に関する。
【0022】
具体的には、本明細書は、異物含有量が少なく、物性に優れた再生ポリエステル原料(recycled polyester)を用いることを特徴とする。前記再生ポリエステル原料は、結晶化温度、異物の個数などが最適化されることによって、前記再生ポリエステル原料を用いて得られたフィラメントの場合、物性の低下なく高い厚さの不織布を提供することができる。したがって、本明細書は、常温物性(引張強度、引張伸び率)などの機械的物性に優れ、完成品タイルカーペットの基布地として使用されうるスパンボンド不織布およびその製造方法を提供する。
【0023】
前記スパンボンド不織布は、上述した物性を有する再生ポリエステルを一定の含有量以上含む第1フィラメントと、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低い低融点コポリエステル原料から得られた第2フィラメントとを、用いて提供される。特に、前記スパンボンド不織布は、ポリエステル廃棄物の再生時、平均異物含有量が最小化され、一定範囲の結晶化温度を有するように調節された、再生ポリエステル原料を用いるため、最終スパンボンド不織布の物性が従来に比べて同等以上の水準を示して、コスト節減および価格競争力に優れた効果を提供することができる。
【0024】
また、純粋なポリエステル原料を第1フィラメントとして用いる場合、一定の物性を満足するスパンボンドが提供されるとしても、純粋な原料の提供による費用上昇が発生しうる。しかし、本明細書では、前記再生原料を第1フィラメントとして用いることによって、費用節減効果とともに、純粋なポリエステルを用いたものと比較して同等以上の物性を満足するスパンボンド不織布を提供することができる。
【0025】
以下、発明の一実施形態によるスパンボンド不織布についてより詳しく説明する。
【0026】
前記スパンボンド不織布は、融点(Melting Temperature)が互いに異なる2種の原料を、第1フィラメントおよび第2フィラメントとして含む。
【0027】
具体的には、前記スパンボンド不織布は、不織布全体の重量を基準として、255℃以上の融点を有する再生ポリエステルから構成された第1フィラメント;および、220℃以下の融点を有するコポリエステル原料から得られた第2フィラメントを含む、2種のフィラメントが混繊紡糸(Matrix&Binder)の形態でウェブが形成された後、開繊法によって提供されうる。
【0028】
特に、前記第1フィラメントは、再生可能なポリエステルプラスチックの廃棄物を再生して得られた再生ポリエステルを含むものであって、他の物質の添加なく前記再生ポリエステル原料で構成される。
【0029】
前記再生ポリエステルを提供するために使用される原料は、ポリエステル重合体の製造時に使用する単量体中にて特定する、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの単量体比率を、1.3以下に調節した単量体組成物を用いて得られた、廃ポリエステル重合体を使用することを特徴とする。前記単量体比率は、再生ポリエステル原料においても同一に維持できる。したがって、再生ポリエステル原料においてエチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.3以下であってもよい。
【0030】
また、前記再生ポリエステルは、特定の結晶化温度および固有粘度を満足し、また、平均異物の個数が最小化されるように物性を最適化して再生されたものを使用することができる。
【0031】
つまり、前記単量体比率が調節された廃ポリエステル重合体を再生することによって、前記のように原料の物性が最適化され、異物の含有量も低減可能で、紡糸性、引張強度および引張伸び率といった不織布の基本特性がすべて優れたスパンボンド不織布を提供することができる。特に、前記特性物性を満足する再生ポリエステルを第1フィラメントとして用いることによって、純粋なポリエステル原料が適用された不織布に比べて、同等以上の物性を満足しながらも、コスト節減効果を付与して価格競争力に優れた不織布を提供することができる。
【0032】
具体的には、第1フィラメントに含有された再生ポリエステル原料の固有粘度(IV)は、0.60~0.80dl/gであってもよい。前記再生ポリエステルの固有粘度が0.60dl/g未満であれば、フィラメントの糸切れなどの問題で操業性に劣り、低粘度フィラメントの製造による不織布の機械的物性の向上効果がわずかであるというデメリットがある。また、前記再生ポリエステルの固有粘度が0.80dl/g以上であれば、溶融押出させる過程でエクストルーダの内圧および紡糸ノズルの圧力の過剰上昇によって工程上の問題点が発生しうる。
【0033】
前記エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率(DEG/EG)は、1.3以下、あるいは0.5~1.3、あるいは1.2~1.3であってもよいし、その比率が1.3以上であれば、非結晶領域の増加による繊維の結晶性の減少によって、最終完成品の不織布の物性低下および繊度の不均一などの問題がある。また、単量体の比率が1.3以下でありうるが、その比率が0.5以下と過度に低ければ、単量体を用いた重合体の生成反応性が低下して、ポリエステルの製造が不可能でありうる。
【0034】
また、前記結晶化温度は、175℃以上185℃、あるいは175~180℃であってもよく、その温度が175℃以下であれば、繊維の冷却工程にて十分に冷却できない繊維が延伸されて、べたつき(Sticky)現象などの操業性が不良であるという問題があり、その温度が185℃以上であれば、過冷却に起因して高速高圧の延伸工程にて繊維が切断されるという問題がある。
【0035】
また、前記第1フィラメントに含有された再生ポリエステルにおける、1.0~10.0μmの大きさを有する平均の異物の個数は、10個以下、あるいは2~9個でありうる。前記平均の異物の個数が10個以上の場合、チップの凝集の現象が発生し、紡糸性不良で不織布の物性を低下させうる。
【0036】
なお、前記再生ポリエステルに含有された、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率も、1.30以下でありうる。前記再生ポリエステル原料は、再生ポリエステルの全体の重量に対して、1.0~10.0μmの大きさを有する平均の異物を10個以下で含むことができる。
【0037】
これに伴い、発明の一例として、前記第1フィラメントに含有された前記再生ポリエステルは、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであること、及び、結晶化温度が175℃以上185℃未満であるという条件を同時に満足する。また、先に記載されたように、前記再生ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.30以下である単量体組成物を用いて製造された廃ポリエステル重合体の再生物質を含むことができる。
【0038】
このような前記スパンボンド不織布は、単位面積あたりの重量が90g/mであるとき、厚さが0.35mm~0.40mmでありうる。
【0039】
したがって、本明細書によれば、前記再生原料を含む第1フィラメントと、後述する第2フィラメントとを、一定の比率で用いることから、不織布を製造する際の紡糸性に優れ、引張強度および引張伸び率を改善し、ポリエステルプラスチックのような廃棄物の再利用でもってコスト節減効果がある、タイルカーペット基布地用スパンボンド不織布を提供することができる。
【0040】
一方、上述のように、前記パラメータ物性は、再生前のポリエステルを製造するための単量体の含有量の範囲を調節することで達成できる。
【0041】
具体的には、前記再生ポリエステルは、よく知られた廃ポリエステルの再生原料でありうる。例えば、前記再生ポリエステルは、よく知られたポリエステルの製造工程の廃棄物から再生されたチップ状の、産業資材リサイクル(Post-Industrial Recycled;PIR)ポリエチレンテレフタレート、消費者資材リサイクル(Post-Consumer Recycled:PCR)ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの混合物を含むポリエステル共重合体でありうる。また、これらの物質は、上述したジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.3以下に調節された廃ポリエステルから再生されたものであって、結晶化温度、固有粘度だけでなく、10個以下の平均の異物を含む物性条件をすべて満足したものが使用できる。前記廃ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.3以下に製造された、廃繊維または廃容器といった廃ポリエステルを含むことができる。また、前記物質は、前記単量体比率が調節されたものであれば、この分野にてよく知られた方法で再生されたポリエステル共重合体を購入して使用することができる。
【0042】
ここで、前記第1フィラメントには、再生原料によって、アジピン酸(AA)、イソフタル酸(IPA)、ネオペンチルグリコール(NPG)、ブタジエン(BD)などの共重合物を含有することができる。
【0043】
具体的な一例を挙げると、前記第1フィラメントに含有された前記再生ポリエステルは、テレフタル酸、アジピン酸(AA)およびイソフタル酸(IPA)からなる群より選択されたジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール(NPG)、ジエチレングリコールおよびエチレングリコールからなる群より選択されたジオール化合物との、廃ポリエステル共重合体の再生原料を含むことができる。
【0044】
一つの例において、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸およびイソフタル酸を使用し、ジオール化合物は、ジエチレングリコールおよびエチレングリコールを使用することができる。したがって、前記再生ポリエステルは、テレフタル酸(TPA)100重量部に対して、イソフタル酸(IPA)45~75重量部、エチレングリコール(EG)47~58重量部およびジエチレングリコール69~74重量部を含む単量体組成物についての廃ポリエステル共重合体の再生原料であってもよい。また、前記廃ポリエステル共重合体は、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.30以下となるようにして製造された、ポリエステルの製造工程で発生した廃棄物でありうる。
【0045】
したがって、前記第1フィラメント原料として使用される再生ポリエステルは、前記廃棄物から再生されたチップ状を含むことができ、前記チップ状の再生重合体原料は、上述した固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満であり、前記再生ポリエステルの全体の重量に対して1.0~10.0μmの大きさを有する平均の異物の個数が10個以下であってもよい。
【0046】
一つの他の実施形態において、前記第1フィラメントに含有された前記再生ポリエステルは、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満であり、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.30以下の単量体組成物を用いて得られた廃ポリエチレンテレフタレートの再生物質であり、再生ポリエチレンテレフタレートの全体の重量に対して1.0~10.0μmの大きさを有する平均の異物の個数が10個以下である再生ポリエチレンテレフタレートでありうる。前記ポリエチレンテレフタレートは、上述のように、テレフタル酸(TPA)100重量部に、イソフタル酸(IPA)45~75重量部、エチレングリコール(EG)47~58重量部、ジエチレングリコール69~74重量部を重合した廃ポリエステル重合体の再生原料である。
【0047】
一方、前記混繊紡糸状に紡糸したフィラメントは、高圧の空気延伸装置を用いて紡糸速度が4,500~5,500m/minとなるように十分に延伸させることで、第1フィラメントの場合に、通常の5~10デニールの繊度を有し、第2フィラメントの場合に2~5デニールの繊度を有するフィラメントのレベルに製造することができる。
【0048】
前記製造されたフィラメント繊維は、コンベヤネット上にウェブ状に定着した後、加熱されたスムース(smooth;滑面)ロールのカレンダー工程を経ることで不織布の厚さを調整した後、第2フィラメントの融点と類似する温度の熱風を利用して接着することで不織布を製造する。
【0049】
具体的には、前記スパンボンドは、次の方法により提供される。
【0050】
一つの例において、a)融点がそれぞれ255℃以上のポリエステルと再生ポリエステルから製造された第1フィラメントと、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低いコポリエステルから製造された第2フィラメントとを混繊紡糸し、延伸して混繊糸を製造する段階;b)前記混繊糸を積層して繊維ウェブを形成する段階;および、c)前記繊維ウェブに対してカレンダー工程および熱接着を行う段階;を含むスパンボンド不織布の製造方法が提供される。
【0051】
前記a)段階は、融点が異なる2種のフィラメントを用いて混繊糸を製造する段階を行う。
【0052】
より具体的には、前記第1フィラメントに含有された再生ポリエステルは、融点が255℃以上であり、固有粘度(IV)が0.60~0.80dl/gであり、結晶化温度が175℃以上185℃未満であり、また、1.0~10.0μmの大きさを有する平均の異物の個数が3~10個である再生ポリエチレンテレフタレートチップを使用することができる。
【0053】
このような再生ポリエステルは、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.3以下である単量体組成物を用いて得られた、廃ポリエステルを再生して得られた再生原料である。一例として、前記再生ポリエステルは、前記エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率が1.3以下に製造された廃ポリエステルを粉砕後、押出機に投入し、溶融押出して、前記固有粘度、結晶化温度および平均異物の個数を有するように物性を調節して、チップ状に製造されたものを使用することができる。前記廃ポリエステルの粉砕の大きさは、大きく限定されるのでなく、この分野にてよく知られた方法で粉砕されうるのであり、粉砕前に洗浄工程をさらに含むことができる。
【0054】
また、前記第2フィラメントは、前記第1フィラメントよりも融点が30℃以上低いコポリエステルを含むことができる。したがって、前記第2フィラメントは、アジピン酸(AA)、イソフタル酸(IPA)、ネオペンチルグリコール(NPG)、またはこれらの混合物の共重合体を含む、前記第1フィラメントに比べて融点が30℃以上であるか、あるいは160℃以上~180℃以下の融点を有するコポリエステルを使用することができる。ただし、前記コポリエステルを構成する単量体が前記種類に限定されず、前記特定の融点範囲を有するポリエステル共重合体を提供できるものであれば、制限なく選択して使用可能である。
【0055】
前記第1フィラメントと第2フィラメントとの含有量の比は、溶融したポリマーの吐出量を制御するか、口金の設計変更により制御可能である。
【0056】
一例として、前記混繊糸は、第1フィラメント50~95重量%、あるいは60~95重量%、あるいは80~95重量%;および、第2フィラメント5~50重量%、あるいは5~40重量%、あるいは5~20重量%;を含むことができる。例えば、前記第1フィラメントと第2フィラメントとの含有量比は、90:10重量%でありうる。
【0057】
一方、b)前記混繊糸を積層して繊維ウェブを形成する段階;および、c)前記繊維ウェブに対してカレンダー工程および熱接着を行う段階;を含む工程を行ってスパンボンド不織布を提供することができる。
【0058】
上述のように混繊紡糸状に紡糸したフィラメントは、高圧の空気延伸装置を用いて紡糸速度が4,500~5,500m/minとなるように十分に延伸させることで、再生原料である第1フィラメントの場合は、5~10デニールの繊度となるようにし、第1フィラメントよりも融点が低い第2フィラメントの場合、2~5デニールの繊度を有するフィラメントで構成されるようにする。
【0059】
また、前記スパンボンド不織布は、紡糸パックの圧力の範囲が1,600~2,500psiである紡糸条件を用いて得られたものでありうる。前記紡糸パックの圧力が1,600psi未満であれば、繊維がまっすぐに出るのではなく、切れて繊維が出る様子を呈し、繊維(フィラメント)の糸切れの原因になりうる。これに対し、紡糸パックの圧力が2,500psi以上であれば、パックの内部におけるポリマーの圧力が高いことから、ノズルを通過できずに外部に放出されるパックリーク現象が発生しうる。したがって、紡糸パックの圧力範囲は、上述した範囲条件で進行させてこそ、不良な形状および糸切れがなく品質に優れた繊維(フィラメント)を含むスパンボンド不織布を提供することができる。
【0060】
また、前記スパンボンド不織布を製造する段階は、スムースロール(smooth roll;滑面ロール)を用いたカレンダー工程と、第2フィラメントの融点と類似または対応する温度条件で熱風工程を進行させる段階を含む。
【0061】
一例として、前記方法で製造されたフィラメント繊維は、コンベヤネット上にウェブ状に定着した後、加熱されたスムース(smooth)ロールのカレンダー工程を経て不織布の厚さを調整した後、第2フィラメントの融点と類似する温度の熱風を用いて接着して不織布を製造する。
【0062】
前記カレンダー工程は、温度を150~200℃として行うことができ、このような工程で不織布の厚さが調節可能である。一例として、タイルカーペットの基布地としての使用に適するように、本明細書では、単位面積あたりの重量が90g/mであるとき、スパンボンドの厚さが0.35mm~0.40mmとなるようにカレンダー工程を行うことができる。
【0063】
前記熱接着する段階は、前記第2フィラメントを構成する低融点コポリエステルの融点より0~10℃高い温度の熱風条件下で行うことができる。したがって、前記熱風工程は、前記第2フィラメントの融点に対応する温度、一例として、160℃以上~180℃以下の範囲で行うことができる。
【0064】
タイルカーペット
本明細書では、上述した方法により、タイルカーペット基布地としての使用に適したスパンボンド不織布を提供することができる。また、本明細書では、前記スパンボンド不織布を用いてタイルカーペットの基布地として用いることによって、優れた吸音性および引き抜き強力を有するタイルカーペットを提供することができる。
【0065】
一つの例において、前記スパンボンド不織布は、KS K ISO-9073-3の方法に基づいて測定された引張強度が15kg.f/5cm以上であり、引張伸び率が15%以上でありうる。
【0066】
したがって、発明の他の一実施形態により、前記物性を有するスパンボンド不織布を基布地として含むタイルカーペットが提供される。
【0067】
本発明では、上述した方法により提供された不織布を用い、よく知られた方法にしたがい、タフティング工程、バックコーティング工程およびカッティング工程を進行させて、タイルカーペットを提供することができる。
【0068】
発明の一例により、前記不織布は、表面に約3,000De’/150Fila.(3,000デニール/150フィラメント)のループ型(Loop type)ポリプロピレンBCF(Bulky Continuous Filament)Yarn(バルク連続フィラメント糸)を、ゲージ(Gauge)(タフト機における針の密度を示す単位として針の間隔をインチ(INCH)で表示し、ゲージ(GAUGE)によってタフテッドカーペット(TUFTED CARPET)の幅方向の密度が決定)が約1/10、ステッチ(Stitch)(タフトカーペットの長手方向の密度)が約10.5で、タフティング(不織布に糸を植え付ける過程)工程を経る。この後、タフティングされた不織布の裏面に、単位重量約40g/mのガラス繊維から構成された不織布とともに、約6.0kg/mのPVC調液を含浸する。その後、含浸された製品に、通常、約180℃の熱チャンバにて熱硬化を行い、カッティング工程(規格:50cm×50cm)を最後の工程として行うと、引き抜き強力(Loop Typeのタフティング後、loopを引く強度)が約2.0kgfの水準を有する高性能を備えた完成品タイルカーペットが製造されうる。
【発明の効果】
【0069】
本発明は、再生可能なポリエステルプラスチックといった廃棄物を再利用するにあたり、再生ポリエステル原料の物性(結晶化温度、異物の個数)を最適化して用いることによって、純粋なポリエステル原料のみが適用された不織布に比べて同等以上の水準の物性を有し、コスト節減などの価格競争力に優れた不織布を製造することができる。また、本発明では、再生ポリエステル原料を使用しても、従来のような、チップの凝集や、紡糸性不良および不織布の物性低下がなく、高性能のスパンボンド不織布を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】比較例3による不織布製造時のカレンダーロールの様子(a)と不織布シート表面(b)の結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述する。ただし、このような実施例は発明の例として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が定められるのではない。
【0072】
[材料の用意]
下記の実施例において、第1フィラメントとして用いる再生ポリエステルは、テレフタル酸(TPA)100重量部に対して、イソフタル酸(IPA)45~75重量部、エチレングリコール(EG)47~58重量部、およびジエチレングリコール69~74重量部を含む単量体組成物を用いて、約220~240℃の温度でエステル化反応を経て製造されたポリエチレンテレフタレート(PET)の廃棄物から再生されたチップ状の再生原料(以下、再生PET)を用いた。前記再生ポリエステルの再生チップは、前記ポリエチレンテレフタレート廃棄物を粉砕し、二軸押出機に投入して溶融押出しを行うことでチップ状に製造されたものである。
【0073】
ここで、前記再生PETは、表1に記載されたように、エチレングリコールに対するジエチレングリコールの比率(つまり、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率)が1.21:1~1.30:1の範囲、固有粘度0.61~0.80dl/gを満足するように単量体の含有量範囲が調節されたものであり、再生PETの全体の重量に対して1.0~10.0μmの大きさを有する平均異物の個数が10個以下に調整されたものを使用した。
【0074】
また、比較例で使用された再生PETは、前記単量体の使用範囲を超えた方法で製造されたPET廃棄物の再生原料であって、表1に開示されたように、固有粘度、結晶化温度、廃棄物のジエチレングリコール/エチレングリコールの比率、平均異物の個数が本構成を逸脱する場合である。
【0075】
[実施例1]
第1フィラメントとしての、固有粘度(IV)が0.61dl/g、結晶化温度が176.5℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.27、平均の異物の個数が5.6個、融点が255℃である再生ポリエステル(再生PET)と、第2フィラメントとしての、約220℃の融点を有するコポリエステルとを、それぞれ紡糸温度約280℃で連続押出機を用いて溶かした後、第1フィラメントと第2フィラメントとの含有量の比が90:10wt.%となるように混繊紡糸し、延伸することで製造される第1フィラメントの平均繊度が8.5デニールとなるように、吐出量と、口金の毛細孔の数とを調節した。
【0076】
次に、毛細孔から放出された連続フィラメントを冷却風でもって固化させた後、高圧の空気延伸装置を用いて紡糸速度が5,000m/minとなるように延伸させてフィラメント繊維を製造した。この際の紡糸パックの圧力の範囲は、表2に開示された条件の通りである。
【0077】
次に、前記製造されたフィラメント繊維を、通常の開繊法によって、コンベヤネット(net)上にウェブの形態に積層させる。積層されたウェブは、加熱されたスムース(smooth;滑面)ロールによるカレンダー工程を経ることで、平滑性と適正な厚さを付与した。
【0078】
前記積層されたフィラメントについて約220℃の熱風温度で熱接着することで、単位面積あたりの重量が90g/mであって、厚み(厚さ)が0.33mmであるスパンボンド不織布を製造した。
【0079】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IV(固有粘度)が0.65dl/g、結晶化温度が175.8℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.24、平均の異物の個数が3.1個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0080】
[実施例3]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが0.73dl/g、結晶化温度が176.0℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.21、平均異物の個数が2.7個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0081】
[実施例4]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが0.80dl/g、結晶化温度が176.3℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.30、平均の異物の個数が8.4個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0082】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが0.55dl/g、結晶化温度が176.3℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.27、平均の異物の個数が5.1個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0083】
[比較例2]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが1.00dl/g、結晶化温度が175.9℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.21、平均の異物の個数が1.1個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0084】
[比較例3]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが0.68dl/g、結晶化温度が166.4℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.22、平均の異物の個数が2.9個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0085】
[参考例1]
実施例1と同様の方法で製造し、第1フィラメントとして、IVが0.75dl/g、結晶化温度が176.2℃、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率が1.37、平均の異物の個数が12.4個である再生ポリエステル原料(再生PET)が適用され、単位面積あたりに同一の重量および厚みに調節してスパンボンド不織布を製造した。
【0086】
【表1】
【0087】
[実験例]
各実施例、比較例に対して、以下の評価項目別の測定方法により物性を測定して、その結果を表2に示した。
【0088】
実験例1:紡糸性(Packの圧力)
Dynisco社の圧力測定用センサ(モデル名:TB422J-9/18-231)を用いた。
【0089】
具体的には、紡糸パック(Pack)圧力測定用センサをギヤポンプの後段側に装着した後、ポリマーがパック(Pack)の圧力にて挿入されて吐出された際のPackの圧力を確認したのであり、正常なパック(Pack)の圧力の管理範囲は1,600~2,500psiである。
【0090】
実験例2:引張強度(kg.f/5cm)および引張伸び率(%)
KS K ISO-9073-3(Cut Strip)法を用いた。
【0091】
具体的には、横×縦=5cm×20cmの大きさの試験片を、INSTRON社の測定装置を用いて、上/下5cm×5cmのジグで挟み付けた後、引張速度200mm/minで測定した。
【0092】
実験例3:フィラメントの離脱および糸切れの個数の測定
24時間観察時、フィラメントの糸切れ数およびコップ(Cop)離脱の個数を測定した。
【0093】
【表2】
【0094】
前記表2の結果からみると、本発明の実施例1~4は、比較例1~3および参考例1と比較して、第1フィラメント(再生ポリエステル原料)について、固有粘度、結晶化温度、ジエチレングリコール/エチレングリコールの比率および平均異物の個数がすべて特定されることによって、紡糸性に優れ、引張強度、引張伸び率がすべて優れていた。
【0095】
これに対し、比較例1は、第1フィラメントの固有粘度が本願の範囲より低いことから紡糸性が低く、フィラメントの糸切れによって紡糸が不可能であることから引張強度および引張伸び率の測定ができなかった。比較例2は、第1フィラメントの固有粘度が本願の範囲より過度に高いことから紡糸パックの圧力が過剰に増加したのであり、これにともない(Leakage)が発生して紡糸が不可能であった。
【0096】
また、比較例3および参考例1は、正常な紡糸性パックについての圧力の管理範囲に含まれたものの、第1フィラメントが、本願に比べて結晶化温度が過度に低いか、異物の含有量が多いことから、物性の測定が難しかった。特に、図1に示しているように、比較例3は、不織布を製造する際、カレンダーロールのべたつき(Sticky)現象が激しく(図1の(a)、それによる不織布表面の様子をみると、未延伸糸によるシート品位不良が発生した(図1の(b))。比較例4は、フィラメントの離脱および糸切れが多数発生し、また、コップ(Cop)離脱による紡糸が不可能で、引張強度および引張伸び率が測定できなかった。
図1