IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライフストロー・エスアーエールエルの特許一覧

特許7560572順次逆洗を伴う水濾過装置及びその動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】順次逆洗を伴う水濾過装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20240925BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C02F1/44 A
B01D65/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022563244
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020087712
(87)【国際公開番号】W WO2021130278
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】62/952,997
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522250138
【氏名又は名称】ライフストロー・エスアーエールエル
【氏名又は名称原語表記】LIFESTRAW SARL
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスターガード-フランセン,ミッケル
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,アリソン
(72)【発明者】
【氏名】カオ,レー・トゥ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル,ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】マディエ,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】グエン,チュン・クアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴー,トアン・フウ
(72)【発明者】
【氏名】コルビノー,マチュー
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-064308(JP,A)
【文献】特開2001-179243(JP,A)
【文献】特開2016-067986(JP,A)
【文献】特開昭57-130516(JP,A)
【文献】米国特許第04534869(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00-71/82
C02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水濾過装置(1)であって、
濾過用の汚水を受けるための汚水入口(10)と、
消費のために濾過水を注出するための浄水出口(6)と、
前記装置(1)から逆洗水を放出するための逆洗水出口(11)と、
前記装置(1)のユーザ操作のためのパネル(2A)であって、水の濾過のためにオンとオフとを切り替えるためのスイッチ(7)を備えるパネル(2A)と、
前記汚水入口(10)からの汚水を濾過して前記浄水出口(6)に浄水を供給するための濾過システム(15A,15B)であって、第1の水フィルタ(15A)を備える、濾過システム(15A,15B)と、
前記汚水入口(10)及び前記浄水出口(6)を前記濾過システム(15A,15B)に接続する複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)を伴うチューブシステムであって、前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が、前記濾過システム(15A,15B)から前記逆洗出口(11)までの流路内に逆洗ホース(25A,25B)を備え、それにより、前記装置(1)が逆洗モードにあるときに前記濾過システム(15A,15B)の逆洗中に前記逆洗ホース(25A,25B)を介して及び前記逆洗出口(11)を介して前記装置(1)から逆洗水を放出し、前記装置(1)が濾過モードにあるときに前記装置(1)から浄水を放出するために、前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が、前記濾過システム(15A,15B)から前記浄水出口(6)までの流路内に浄水ホース(24)を備える、チューブシステムと、
前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が貫通して延在する複数の区画室(17A)を伴うマルチフロー装置(17,17’)であって、前記区画室(17A)のそれぞれが、前記対応する区画室(17A)を貫通して延在する前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)のうちの1つをクランプすることによって閉じるためのクランプ機能(19A,20A,39)を備える、マルチフロー装置(17,17’)と、
を備え、
前記装置(1)は、前記濾過モードと前記逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがって前記ホース(23A,23B,24,25A,25B)を閉じるべく前記マルチフロー装置(17,17’)内の前記区画室(17A)の前記クランプ機能(19A,20A,39)を順次に作動させるように構成される、水濾過装置(1)。
【請求項2】
前記パネル(2A)は、ユーザ操作によって前記マルチフロー装置(17,17’)における前記クランプ機能(19A,20A,39)を動作させるために前記クランプ機能(19A,20A,39)に機能的に接続され、前記クランプ機能(19A,20A,39)の前記作動は、前記パネル(2A)からの前記ユーザ操作によって引き起こされるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記濾過システム(15A,15B)が第2の水フィルタ(15B)を備え、前記装置(1)は、前記第2の水フィルタ(15B)によって水を濾過してこの濾過水を逆流状態で前記第1の水フィルタ(15A)を通じて供給することにより、前記第2の水フィルタ(15B)による水の濾過中に前記第2の水フィルタによって濾過された水を用いて前記第1の水フィルタ(15A)を逆洗するように構成され、前記装置は、前記第1の水フィルタ(15A)によって水を濾過してこの濾過水を逆流状態で前記第2の水フィルタ(15B)を通じて供給することにより、前記第1の水フィルタ(15A)による水の濾過中に前記第1の水フィルタ(15A)によって濾過された水を用いて前記第2の水フィルタ(15B)を逆洗するように構成され、
前記装置は、前記所定のシーケンスの一部として、
両方の水フィルタ(15A,15B)による通常の水濾過のための前記濾過モードから、
前記第2の水フィルタ(15B)からの濾過水による前記第1の水フィルタ(15A)の逆洗を伴う第1の逆洗モードへ、
及び、前記第1の水フィルタ(15A)からの濾過水による前記第2の水フィルタ(15B)の逆洗を伴う第2の逆洗モードへ
対応する逆洗水洗を順次に行うように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、
前記第1の水フィルタ(15A)の前記第1の逆洗モードから順方向水洗を伴う第1の順方向水洗モードへ、
前記第2の水フィルタ(15B)の前記第2の逆洗モードから順方向水洗を伴う第2の順方向水洗モードへ、
前記所定のシーケンスの一部として順方向水洗を行うように更に構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
過圧に起因する前記濾過システム(15A,15B)への損傷を防止するために圧力を所定値未満に制限するべく前記汚水入口(10)と前記濾過システム(15A,15B)との間の流路内に圧力調整器(14)を備え、前記所定値は、周囲大気圧を0.2~2バール上回る範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記オフ状態の前記スイッチ(7)は、前記圧力調整器(14)と前記濾過システム(15A,15B)との間の前記流路内の位置で水流の遮断を引き起こすように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記圧力調整器(14)と前記濾過システム(15A,15B)との間の汚水流路内に汚水ホース(22)が設けられ、前記スイッチ(7)は、クランプ(28,29)であって、前記スイッチ(7)の前記オフ状態で前記クランプ(28,29)が作動されるときに前記汚水ホース(22A)をクランプして前記汚水ホース(22)を通じた流れを防止するためのクランプ(28,29)を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、5kg~20kgの範囲の重量を有する携帯可能な装置であり、前記装置がケーシング(2)を備え、前記汚水入口(10)、前記逆洗水出口(11)、前記濾過システム(15A,15B)、前記ホース(23A,23B,24,25A,25B)、及び、前記マルチフロー装置(17)が前記ケーシング(2)内に設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
各区画室(17A)のための前記クランプ機能は、
前記パネル(2A)に対する対応するユーザ操作、
所定の時間経過後にタイマーによって決定される自動作動、及び、
所定量の濾過水を注出した後の自動作動、
のうちの少なくとも1つによって所定のシーケンスにしたがって作動可能な電気ピンチバルブ(39)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記パネル(2A)からのユーザコマンドを受信するとともに、ユーザコマンドに基づいて前記濾過モードと前記逆洗モードとの間を自動的に切り替えるためにユーザコマンドに基づいて前記所定のシーケンスにしたがって自動クランプにより前記マルチフロー装置の前記ピンチバルブを作動させるように構成されるピンチバルブコントローラを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置(1)がカムシャフト(20)を備え、前記カムシャフト(20)は、回転軸に対して回転可能であるとともに、前記カムシャフト(20)と共に回転するために前記カムシャフト(20)上の前記回転軸に対して垂直で互いに平行な平面内に設けられる複数のカム(20A)と共に回転可能であり、前記複数のカム(20A)のそれぞれは、前記カムシャフト(20)の回転中に所定の個々の角度クランプ位置を達成する際に前記区画室(17A)のうちの1つの前記クランプ機能(19A,20A)を作動させるように配置され、前記カム(20A)は、前記カムシャフト(20)が回転される際に前記所定のシーケンスにしたがって前記区画室(17)内の前記ホース(23A,23B,24,25A,25B)を閉じるため、及び、前記回転によって前記装置の濾過モードを前記濾過システム(15A,15B)の逆洗のための逆洗モードに切り替えるために、前記カムシャフト(20)の異なる回転角度位置に設けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記カムシャフト(20)を段階的に回転させることによって、
両方の水フィルタ(15A,15B)による通常の水濾過のための第1の方向から、
前記第2の水フィルタ(15B)からの濾過水による前記第1の水フィルタ(15A)の逆洗を伴う第1の逆洗モードにおける第2の方向へ、
及び、前記第1の水フィルタ(15A)からの濾過水による前記第2の水フィルタ(15B)の逆洗を伴う第2の逆洗モードにおける更なる方向へ、
対応する逆洗水洗シーケンスを行うように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記第2の方向の後に前記カムシャフト(20)を段階的に
更に、前記第1の水フィルタ(15A)の順方向水洗を伴う第1の順方向水洗モードにおける第3の方向へ、
及び、更に、前記第1の水フィルタ(15A)からの濾過水による前記第2の水フィルタ(15B)の逆洗を伴う第2の逆洗モードにおける第4の方向へ、
及び、更に、第2の水フィルタ(15B)の順方向水洗を伴う第2の順方向水洗モードにおける第5の方向へ、
回転させることによって、逆洗及び順方向水洗シーケンスを行うように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記パネル(2A)が手動回転可能なハンドル(8A)を備え、前記ハンドル(8A)は、前記ハンドル(8A)の手動回転によって前記マルチフロー装置(17,17’)における前記クランプ機能(19A,20A)を動作させるために前記クランプ機能(19A,20A)に機能的に接続され、単一方向での前記ハンドル(8A)の前記手動回転は、前記濾過モードと前記逆洗モードとの間を切り替えるための前記所定のシーケンスにしたがう前記ホース(23A,23B,24,25A,25B)の順次の開閉を引き起こす、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記スイッチ(7)は、前記スイッチ(7)が前記オフ状態にあるときに前記ハンドル(8A)の回転を阻止するための阻止部材(38)を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の水フィルタ(15A)は、前記第1の水フィルタ(15A)による濾過のための水を受けるための前記第1の水フィルタ(15A)の上流側の第1の水入口(26A)と、前記第1の水フィルタ(15A)によって濾過された水を送出するための前記第1の水フィルタ(15A)の下流側の第1の水出口(27A)とを備え、前記第1の水フィルタ(15A)は、上流側から下流側への濾過中の水流方向と、下流側から上流側への逆洗中の水流方向とを有し、
チューブシステムは、前記第1の水フィルタ(15A)に接続される第1の流入ホース(23A)であって、前記第1の流入ホース(23A)を通じて前記第1の水入口(26A)へ水を流すために前記汚水入口(10)から前記第1の水入口(26A)までの水流路の一部として設けられる第1の流入ホース(23A)と、前記第1の水フィルタ(15A)から濾過水を受けるために前記第1の水出口(27A)に接続される浄水ホース(24)と、前記第1の水フィルタ(15A)の逆洗中に前記第1の水フィルタ(15A)から前記逆洗水出口(11)に逆洗水を流すために前記逆洗水出口(11)と前記第1の水フィルタ(15A)の上流側との間に接続される第1の逆洗ホース(25A)とを備え、
第1の濾過モードにある前記装置(1)は、前記流入ホース(23A)及び前記浄水ホース(24)を通じた流れを維持しながら前記区画室(17A)のうちの1つにおける前記第1の逆洗ホース(25A)に対するクランプを作動させることによって前記マルチフロー装置(17)における前記第1の逆洗ホース(25A)をクランプして閉じるように構成され、
第1の逆洗モードにある前記装置は、前記浄水ホース(24)を通じた前記マルチフロー装置(17)内の逆の流れ及び前記第1の逆洗ホース(25A)を通じた流れを維持しつつ前記区画室(17A)のうちの他の1つにおける前記第1の流入ホース(23A)に対するクランプを作動させることによって前記マルチフロー装置(17)における前記第1の流入ホース(23A)をクランプして閉じるように構成される、
請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の水フィルタ(15A)はまた、前記第1の水フィルタ(15A)の内側での上流側に沿う順方向水洗のために水が前記第1の水フィルタ(15A)を通じて前記第1の水入口(26A)に流入するとともに前記第1の水洗出口(33A)から流出する状態で順方向水洗中に水を放出するために前記第1の水フィルタ(15A)の上流側に第1の水洗出口(33A)を備え、前記第1の逆洗ホース(25A)が前記第1の水洗出口(33A)に接続され、
前記装置(1)が第1の順方向水洗モードを更に含み、
前記第1の順方向水洗モードにある前記装置(1)は、前記第1の水フィルタ(15A)から前記浄水ホース(24)内への濾過水の流れを防止するために前記浄水ホース(24)をクランプして閉じるように構成されるとともに、水を前記第1の流入ホース(23A)から前記第1の水フィルタ(15A)内へ流入させて前記第1の水フィルタ(15A)の上流側を通って前記第1の水洗出口(33A)を通じて前記第1の水フィルタ(15A)から流出させるために前記第1の流入ホース(23A)及び前記第1の逆洗ホース(25A)を通じた前記マルチフロー装置(17)内の流れを維持するように構成される、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記濾過システム(15A,15B)は、汚水を濾過して濾過水を供給するための第2の水フィルタ(15B)を備え、前記第2の水フィルタ(15B)は、前記第2の水フィルタ(15B)による濾過のための水を受けるための前記第2の水フィルタ(15B)の上流側の第2の水入口(26B)と、前記第2の水フィルタ(15B)によって濾過された水を送出するための前記第2の水フィルタ(15B)の下流側の第2の水出口(27B)とを備え、前記第2の水フィルタ(15B)は、その上流側からその下流側への濾過中の水流方向と、その下流側から上流側への逆洗中の水流方向とを有し、
前記浄水ホース(24)は、前記第2の水フィルタ(15B)から濾過水を受けるために前記第2の水出口(27B)にも接続され、
前記装置は、前記第1の逆洗モードにおいて、前記第2の水フィルタ(15B)によって水を濾過してこの濾過水を前記浄水ホース(24)へ及び前記浄水ホース(24)から逆流状態で前記第1の水フィルタ(15A)を通じて供給することにより前記第2の水フィルタ(15B)による前記水の濾過中に前記第2の水フィルタ(15B)によって濾過された水で前記第1の水フィルタ(15A)を逆洗するように構成される、
請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、
前記第2の水フィルタ(15B)に接続される第2の流入ホース(23B)であって、前記汚水入口(10)から前記第2の流入ホース(23B)を通じて前記第2の水入口(26B)に水を流すために前記汚水入口(10)から前記第2の水入口(26B)までの流路の一部として設けられる、第2の流入ホース(23B)と、
前記第2の水フィルタ(15B)の逆洗中に前記第2の水フィルタ(15B)から逆洗放出部(11)に逆洗水を流すために前記逆洗水出口(11)と前記第2の水フィルタ(15B)の上流側(33B)との間に接続される第2の逆洗ホース(25B)であって、前記第2の流入ホース(23B)及び前記第2の逆洗ホース(25B)が前記マルチフロー装置(17)における対応する区画室(17A)を貫通して延在する、第2の逆洗ホース(25B)と、
を更に備え、
前記第1の濾過モードにある前記装置(1)は、前記第2の流入ホース(23B)及び前記浄水ホース(24)を通じた前記マルチフロー装置(17)内の流れを維持しつつ前記対応する区画室(17A)内の前記第2の逆洗ホース(25B)のクランプを作動させることによって前記マルチフロー装置(17)内の前記第2の逆洗ホース(25B)をクランプして閉じるように構成され、
前記第1の逆洗モードにある前記装置は、前記第2の流入ホース(23B)を通じた前記マルチフロー装置(17)内の流れを維持するとともに、前記第2の水フィルタ(15B)による水の濾過及び前記浄水チューブ(24)内への水の流入、更には逆に前記第1の水フィルタ(15A)への水の流入を維持しつつ、前記マルチフロー装置(17)内の前記第2の水フィルタ(15B)の前記第2の逆洗ホース(25B)をクランプして閉じるように構成される、
請求項8に記載の装置。
【請求項20】
水濾過装置(1)を動作させるための方法であって、前記装置(1)は、
濾過用の汚水を受けるための汚水入口(10)と、
消費のために濾過水を注出するための浄水出口(6)と、
前記装置(1)から逆洗水を放出するための逆洗水出口(11)と、
前記装置(1)のユーザ操作のためのパネル(2A)であって、水の濾過のためにオンとオフとを切り替えるためのスイッチ(7)を備えるパネル(2A)と、
前記汚水入口(10)からの汚水を濾過して前記浄水出口(6)に浄水を供給するための濾過システム(15A,15B)であって、第1の水フィルタ(15A)を備える、濾過システム(15A,15B)と、
前記汚水入口(10)及び前記浄水出口(6)を前記濾過システム(15A,15B)と接続する複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)を伴うチューブシステムであって、前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が、前記濾過システム(15A,15B)から前記逆洗出口(11)までの流路内に逆洗ホース(25A,25B)を備え、それにより、前記装置(1)が逆洗モードにあるときに前記濾過システム(15A,15B)の逆洗中に前記逆洗ホース(25A,25B)を介して及び前記逆洗出口(11)を介して前記装置(1)から逆洗水を放出し、前記装置(1)が濾過モードにあるときに前記装置(1)から浄水を放出するために、前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が、前記濾過システム(15A,15B)から前記浄水出口(6)までの流路内に浄水ホース(24)を備える、チューブシステムと、
前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)が貫通して延在する複数の区画室(17A)を伴うマルチフロー装置(17,17’)であって、前記区画室(17A)のそれぞれが、前記対応する区画室(17A)を貫通して延在する前記複数のホース(23A,23B,24,25A,25B)のうちの1つをクランプすることによって閉じるためのクランプ機能(19A,20A,39)を備える、マルチフロー装置(17,17’)と、
を備え、
前記方法は、前記濾過モードと前記逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがって流れるように前記マルチフロー装置(17,17’)内の前記区画室(17A)の前記クランプ機能(19A,20A,39)を順次に作動させて前記ホース(23A,23B,24,25A,25B)を開閉することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水濾過装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーストラリア特許出願第2016 240897号明細書は、6つの水フィルタが中心軸の周りに配置された水濾過システムを開示し、フィルタは、他のフィルタからの濾過水で1つずつ逆洗される。
【0003】
このシステムには幾つかの欠点がある。分離バルブ(オーストラリア特許出願第2016 240897号明細書の図10A図10Bにおける28)は、逆洗サイクル中に浄水から逆洗水を分離する。したがって、バルブ部材は、一方側では逆洗水に曝され、反対側では浄水に曝される。逆洗後、浄水をバルブに通す最終水洗サイクルのためにバルブが開放される。この分離バルブが定期的に逆洗からの汚水に曝された後に浄水に向かって開放されるという事実は、分離バルブの上流側の浄水が逆洗から取り込まれた後にバルブ内に存在する細菌に曝されるリスクを意味する。例えば、バルブの内側の回転するバルブ部材は、バルブの上流側の浄水区画室に細菌を引き込み、バルブの上流側でのその後の細菌繁殖によって浄水区画室を汚染する場合があり、これは健康被害を意味する。
【0004】
他のフィルタを逆洗するためにあるフィルタからの濾過水を使用するとともに切り替えバルブを使用する原理は、国際公開第2014/121924号パンフレット、米国特許第4504390号明細書、及び、米国特許第9056267号明細書に開示される。後者では、切り替え逆洗サイクルは、ハウジング内の単一の回転バルブ部材によって行われる。逆洗中、水道水が、流入口に入って、浄水領域からフィルタを通って、ゴムパッキンのみによって分離されるバルブ部材の両側にある汚水領域に流れる。このことは、摩耗した場合にゴムパッキンが浄水領域を汚水領域から適切に分離しないという点で欠点を意味する。このことは、浄水側が汚水領域からの細菌によって汚染され、バルブの浄水側における細菌の繁殖につながる危険性を意味する。そのようなゴムパッキンの摩耗は、おそらく、それがゴムパッキン内のバルブの回転に曝されるためである。
【0005】
他の逆洗機構は、日本国特許第5189549号明細書、中国特許第103691176号明細書、中国特許第101455913号明細書、欧州特許第1862713号明細書、日本国特許第2008132430号明細書に開示される。
【0006】
米国特許第6413423号明細書は、濾過システムの汚染部分間に分離を伴う異なる水濾過システムを開示する。バルブシステムの上側汚染部分は、ガスケットを介してバルブシステムの下側清浄部分から分離される。また、このシステムは、このガスケットの摩耗により浄水チャンバに入る水が汚染されて該チャンバ内で細菌が繁殖するという欠点を含む。
【0007】
上記から明らかなように、水濾過システムでは、長期間の使用中にフィルタの浄水側が汚染されるリスクがある。したがって、改善が必要である。
【0008】
米国特許第5326033号明細書は、スプレーガン用のスクイーズバルブを開示しており、このスクイーズバルブでは、レバー又はカムでホースを押圧することによってホースが閉じられる。一般的には、レバー又はカムでホースを押圧することによってホースが閉じられる、カム駆動のスクイーズバルブを伴うホースシステムが、先行技術において、例えば独国特許出願公開第102014116592号明細書、日本国特許第3724941号明細書、日本国特許第9-303582号明細書、日本国特許第4038545号明細書、日本国特許第09303582号明細書、米国特許出願公開第2015/232798号明細書、米国特許第4282902号明細書、及び、米国特許第5326033号明細書において開示されている。しかしながら、そのようなシステムの使用は、流体への薬剤及び化学物質の添加を伴う。しかし、そのようなシステムは、以下でより詳細に概説される明らかな利点にもかかわらず、水濾過システムに関してまだ提案されていない。
【0009】
米国特許第4773991号明細書は、水道水を濾過するための浄化システムを開示する。プレフィルタの上流側の電気バルブは、給水を遮断するために使用される。プレフィルタの下流側及びポンプの下流側の圧力調整器が、20psiの水圧が逆浸透モジュールにおいて使用されるようにする。
【0010】
Xuechengらによる、Jingxi Sowing Science and Technology Co Ltdに譲渡された中国実用新案第204569591号明細書は、逆浸透モジュールの下流側にベック圧力調整器が設けられる浄化システムを開示する。逆浸透モジュールの上流側の給水を遮断するために電気バルブが使用される。
【0011】
中国特許出願第103844904号明細書は、ユーザが読み取り可能なカードを提示するときに水流のために開くべくカードリーダを伴う制御パネルが使用される水濾過ユニットを開示する。制御パネルでの起動は、圧力バルブを伴う給水源とフィルタユニットとの間に位置される電磁バルブを電気的に作動させる。この出願は、水道水ラインから圧力調整器を介して、on/offバルブを通り、プレフィルタ及び最終フィルタを通って容器に入る水の流れを開示する。カードリーダによる起動は複雑である。
【0012】
単純であるが安全であり、かつ緊急事態の場合にも適用可能な水濾過装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0013】
技術の改善を提供することが目的である。特に、水濾過システムの浄水側が逆洗水から細菌で汚染されるリスクを防止することが目的である。これは、以下に説明するように、水濾過装置及びその動作方法によって達成される。
【0014】
特に、装置は、濾過システムの異なる部分間を接続するための様々なホースを伴うチューブシステムと、前記複数のホースが貫通して延在する複数の区画室を伴うマルチフロー装置とを備え、この場合、各区画室がクランプ機能を備え、該クランプ機能は、対応する区画室を通じて延在する複数のホースのうちの1つをクランプすることによって閉じるとともに、クランプ機能を解放することによってホースを開放する。ホースは、それらをクランプすることによって所定のシーケンスで閉じられ、それにより、チューブシステムを通じた水の流れの方向を制御する。従来技術の水フィルタと比較して、フィルタシステムの浄水側の汚染のリスクが排除される。
【0015】
特に、水濾過装置は、
-濾過用の汚水を受けるための汚水入口と、
-消費のために濾過水を注出するための浄水出口と、
-装置から逆洗水を放出するための逆洗水出口と、
-汚水入口から汚水を濾過して浄水出口に浄水を供給するための濾過システムと、
-汚水入口及び浄水出口を濾過システムと接続するとともに逆洗水出口を通じて逆洗水を放出する様々なホースを伴うチューブシステムと、
-前記ホースが貫通して延在する複数の区画室を伴うマルチフロー装置であって、各区画室が、対応する区画室を通じて延在するホースのうちの1つをクランプすることによって閉じるためのクランプ機能を備え、例えば、区画室が、対応するホースに押し付けられるときにホースのうちの1つを締め付けるように配置されるクランプ部材を備える、マルチフロー装置と、
を備える。
【0016】
装置は、濾過モードと逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがって流れるようにホースを開閉するべく、マルチフロー装置における区画室のクランプ機能を順次に、例えば自動的に作動させるように構成される。
【0017】
好適には、装置は、装置のユーザ操作のためのパネルを備える。任意で、パネルは、オン状態とオフ状態との間のスイッチの自動化された又は選択的な手動操作によって水の濾過のためにオンとオフとを切り替えるスイッチを備える。好適には、パネルは、ユーザ操作によってマルチフロー装置におけるクランプ機能を動作させるためにクランプ機能に機能的に接続される。この場合、例えば濾過のオン及びオフのためのクランプ機能の作動は、ユーザ操作、例えばパネルからの手動ユーザ操作によって、あるいは、自動化された一連の動作段階をもたらすユーザ操作によって引き起こされる。
【0018】
幾つかの具体的な実施形態において、濾過システムは、汚水を濾過して濾過水を供給するための第1の水フィルタ、及び任意で第2のフィルタを備える。
【0019】
一般に、第1の水フィルタは、内部に第1のフィルタ要素を有する第1のフィルタハウジングを備える。第1のフィルタ要素は、バクテリア、寄生生物、及び他の種類のマイクロメートルサイズ及びサブマイクロメートルサイズの細菌、並びに任意で特定のウイルスを濾過する。例えば、第1のフィルタ要素は、複数の中空糸精密濾過膜及び/又は限外濾過膜を備える。あるいは、フィルタ要素は、精密濾過又は限外濾過を目的としたプリーツ付き微孔性材料のロールを備える。限外濾過フィルタは、最小サイズ、例えば0.001~0.01マイクロメートルの範囲の最小サイズまでのサイズの粒子を濾過する細孔を有するのに対して、精密濾過フィルタは、約0.1ミクロンの最小サイズまでのサイズの粒子を濾過する細孔を有することが想起される。
【0020】
例えば、第1の水フィルタは、所定の水フィルタ限界未満のサイズを有する微生物を濾過するように構成され、所定の水フィルタ限界は、0.01~0.5マイクロメートルの範囲内であり、任意で0.05~0.2マイクロメートルの範囲内である。
【0021】
濾過システムを通る水の大流量を確保するために、0.1マイクロメートルまでのサイズを有する粒子の濾過による精密濾過が好ましい。
【0022】
好適には、バクテリアは99.9999%減少する(log 6)。場合により、ウイルスは99.99%減少する(log 4)。場合により、原虫及び寄生生物は99.9%減少する(log 3)。好適には、3つの基準全てが満たされる。
【0023】
任意で、第1のフィルタ要素の早期の目詰まりを防止するために、第1の水フィルタの上流側のより大きな粒子及び微生物を濾過するためのプレフィルタが設けられる。この場合、プレフィルタは、汚水入口と第1の水フィルタとの間の流路に配置される。例えば、プレフィルタは、所定のプレフィルタ限界よりも大きいサイズで特定の物質を濾過するように構成される。例えば、所定のプレフィルタ限界は、150~10マイクロメートル、典型的には10マイクロメートルの範囲内である。
【0024】
例えば、プレフィルタは、複数の層、例えばプレフィルタの3つの層を備え、これらの層は1つのプレフィルタ要素から次のプレフィルタ要素に孔径を減少させることによってプレフィルタ性能を高める。プレフィルタ支持体が、プレフィルタ要素を定位置に保持するために任意で使用される。例えば、プレフィルタ支持体は、汚水入口に対してシール目的で配置される。
【0025】
実際の実施形態において、第1の水フィルタは、第1の水フィルタによる濾過のための水を受けるために、第1の水フィルタの上流側に、第1のフィルタ要素の上流側に対応して第1の水入口を備える。上流側は、濾過中のフィルタ要素の流入側である。第1の水フィルタは、第1の水フィルタによって濾過された水を送出するために、第1の水フィルタの下流側に、第1のフィルタ要素の下流側に対応して第1の水出口を更に備える。第1の水フィルタは、上流側から下流側への濾過中の水流方向と、下流側から上流側への逆洗中の水流方向とを有する。
【0026】
例えば、チューブシステムは第1の流入ホースを備え、この第1の流入ホースは、第1の流入ホースを通じて第1の水入口に水を流すために、第1の水フィルタに接続されるとともに、汚水入口から第1の水入口までの流路の一部として設けられる。第1の水フィルタの上流側にプレフィルタを伴う典型的な形態の場合、第1の流入ホースは、その第1の端部がプレフィルタに接続され、その第2の反対側の端部が第1の水フィルタに接続される。
【0027】
ホース及びフィルタに関する「接続される」という用語は、ホースを通じてフィルタから及びフィルタに水を流すためのものであるがホースと対応するフィルタとの間の流路内に他の濾過要素又は化学的に活性な要素が存在しないようなホースとフィルタとの間の水流接続として理解されるべきである。フィルタに取り付けられる剛性の中空管にホースが取り付けられるケースにおいて、流れがホースから又はホースへ管を通じてフィルタに出入りする場合、剛性管がホースとフィルタとの間の直接的な流れを確保するためのホースの単なる延在部であるため、ホースはフィルタに「接続される」とも見なされる。
【0028】
また、複数のホースは、装置が濾過モードにあるときに装置から浄水を放出するために、濾過システムから浄水出口までの流路内に浄水ホースを備える。
【0029】
一般に、浄水ホースは、濾過水を消費するために装置から水を放出するべく、注出要素、例えば注出タップに接続される。しかしながら、浄水ホースは、消費のために水を注出するべく使用される貯蔵容器に接続することもできる。
【0030】
任意で、浄水ホースは、逆洗目的で、例えば、第2の水フィルタの逆洗のために直接に又は浄水容器内に浄水を貯蔵した後の第1の水フィルタの逆洗のために水を供給するべく使用され、浄水容器は任意で装置の一部である。
【0031】
逆洗水は、逆洗水出口を介して装置から放出される。この目的のために、チューブシステムは、第1の水フィルタから逆洗水出口までの流路内に第1の逆洗ホースを備える。例えば、逆洗ホースは、装置が逆洗モードにあるときに第1の水フィルタの逆洗中に第1の水フィルタから逆洗水出口へ逆洗水を流すために第1の水フィルタの第1の水出口に接続される及び/又は逆洗水出口に接続される。具体的な実施形態において、複数のホースは、濾過システムの逆洗中に装置から逆洗ホースを通じて及び水出口を通じて逆洗水を放出するために濾過システムから逆洗出口までの流路内に逆洗ホースを備える。
【0032】
例えば、各区画室のためのクランプ機能は、パネルでの対応するユーザ操作によって所定のシーケンスにしたがって作動可能な電気ピンチバルブを備える。
【0033】
任意で、装置はピンチバルブコントローラを備え、このピンチバルブコントローラは、パネルからのユーザ操作によってユーザコマンドを受信するように構成されるとともに、ユーザコマンドに基づいて濾過モードと逆洗モードとの間で自動的に切り替えるために所定のシーケンスにしたがってクランプ、例えば自動クランプによってマルチフロー装置のピンチバルブを作動させるように構成される。
【0034】
幾つかの実施形態において、パネルは、ハンドルの手動回転によってマルチフロー装置におけるクランプ機能を動作させるためにクランプ機能に機能的に接続される手動回転可能なハンドルを備える。例えば、単一方向でのハンドルの手動回転は、濾過モードと逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがってホースを順次開閉させる。
【0035】
任意で、ハンドルは電気ピンチバルブを動作させる。あるいは、ハンドルは、以下で説明するようにカムシャフトを動作させる。
【0036】
例えば、装置はカムシャフトを備え、該カムシャフトは、回転軸に対して回転可能であるとともに、カムシャフトと共に回転するためにカムシャフト上の回転軸に対して垂直で互いに平行な平面内に設けられる複数のカムと共に回転可能であり、各カムは、カムシャフトの回転中に所定の個々の角度クランプ位置を達成した場合にのみクランプ機能を作動させるように配置され、カムは、カムシャフトが回転されるときに所定のシーケンスにしたがってホースを閉じるためにカムシャフトの異なる回転角度位置に設けられる。これは、回転によって装置の濾過モードを濾過システムの逆洗のための逆洗モードに切り替えるために使用される。
【0037】
第1の濾過モードにおいて、方法は、流入ホースを通じた濾過システムへの水の流入及び濾過システムから出て浄水ホースに入る水の流れを維持しながら、例えばカムのうちの1つによってクランプ部材のうちの対応する1つを逆洗ホース上に押し付けることにより、マルチフロー装置で逆洗ホースをクランプすることによって逆洗ホースを閉じるべくカムのうちの1つによってクランプ機能を作動させることを含む。
【0038】
次いで、カムシャフトは、浄水を浄水ホースから濾過システムへと流すためにマルチフロー装置内の浄水の浄水ホースを通じた濾過システム内への逆の流入及び逆洗ホースを通じた濾過システムからの流出を維持しつつ、例えば他のカムによってクランプ部材のうちの他の対応する1つを流入ホースに押し付けることによってカムのうちの他の1つによって他の区画室内の流入ホースのクランプを作動させることによりマルチフロー装置内の流入ホースを通じた流れをクランプするための第1の逆洗モードのために第1の角度方向から第2の角度方向に回転される。
【0039】
幾つかの実施形態において、ケーシングは、ユーザがアクセス可能であり、かつその機能に関してユーザに示すパネルを備え、パネルは、カムシャフトを手動で回転させるためにカムシャフトに接続される手動カムドライバを備える。カムドライバを手動で回転させるために、対応するハンドルが設けられる。あるいは、カムシャフトは、モータによって回転される。
【0040】
任意で、カムドライバは回転可能である。任意で、カムドライバは、カムシャフトの回転軸と平行であって任意でこの回転軸と位置合わせされる回転軸により回転可能である。しかし、これは厳密には必要ではない。例えば、カムドライバとカムシャフトとの間に歯車装置を設けることができる。
【0041】
好適には、ハンドルは、例えばカムシャフトによってホース上の一方向クランプシーケンスを保護するために、一方向のみの回転に制限される。ハンドルの一方向のみの手動操作により、逆洗シーケンスのエラーが回避される。
【0042】
実際の実施形態において、装置は第1の濾過モードを有し、この第1の濾過モードは、流入ホース及び浄水ホースを通じた流れ又はハンドル、例えばカムシャフトの第1の角度方向を維持しながら、例えばクランプ部材の対応する1つをカムのうちの1つによって押圧することにより、区画室のうちの1つにおけるクランプ機能を作動させることによってマルチフロー装置における第1の逆洗ホースをクランプして閉じるように構成される。
【0043】
更なる実用的な実施形態として、装置は第1の逆洗モードを有し、この第1の逆洗モードは、ハンドル、例えばカムシャフトの第2の角度方向に関してマルチフロー装置内の第1の逆洗ホースを通じた浄水ホースからの浄水の逆の流れを維持しながら、例えば他のカムによってクランプ部材のうちの他の対応する1つを押圧することにより、第1の流入ホース上のクランプ機能を作動させることによってマルチフロー装置の内の第1の流入ホースをクランプして閉じるように構成され、第2の方向は第1の方向とは異なる。
【0044】
任意で、濾過システムは、汚水を濾過して濾過水を供給するための第2の水フィルタを備える。第2の水フィルタは、一般に、必ずしも第1の水フィルタと同一の仕様を備える必要はない。例えば、第2の水フィルタは、第1の水フィルタと同じ種類のフィルタ要素を含む。
【0045】
任意で、第1及び第2の水フィルタは、水の通常の濾過中に並行して機能し、これにより容量が倍増する。あるいは、第2の水フィルタは、第1の水フィルタが排気され、もはや適切に濾過されないときに使用される。一方のフィルタの代わりに2つの水フィルタを使用することの更なる利点は、一方のフィルタを使用して他方のフィルタを逆洗するための浄水を提供することである。
【0046】
幾つかの実施形態において、装置は、第2の水フィルタによる水の濾過中に第2の水フィルタによって濾過された水で第1の水フィルタを逆洗するために第2の水フィルタによって水を濾過してこの濾過水を第1の水フィルタを通じて逆流状態で供給するように構成される。好適には、更に、装置は、第1の水フィルタによる水の濾過中に第1の水フィルタによって濾過された水で第2の水フィルタを逆洗するために、第1の水フィルタからの水を濾過してこの濾過水を第2の水フィルタを通じて逆流状態で供給するように構成される。
【0047】
任意で、装置は、所定のシーケンスの一部として、
-両方の水フィルタによる通常の水濾過のための濾過モードから、
-第2の水フィルタからの濾過水による第1の水フィルタの逆洗を伴う第1の逆洗モードへ、
-及び、第1の水フィルタからの濾過水による第2の水フィルタの逆洗を伴う第2の逆洗モードへ、
対応する逆洗水洗を順次に行うように構成される。
【0048】
更なるオプションとして、装置は、
-一般に第2の逆洗モードの前に、第1の逆洗モードから、第1の水フィルタの順方向水洗を伴う第1の順方向水洗モードへ、
-第2の逆洗モードから、第2の水フィルタの順方向水洗を伴う第2の順方向水洗モードへ、
所定のシーケンスの一部としての順方向水洗を行うように構成される。
【0049】
実際の実施形態において、第2の水フィルタは、第1の水フィルタと同様に、第2の水フィルタによる濾過のための汚水を受けるための第2の水フィルタの上流側の第2の水入口と、第2の水フィルタによって濾過された水を送出するための第2の水フィルタの下流側の第2の水出口とを備える。第2の水フィルタは、その上流側からその下流側への濾過中の水流方向と、その下流側からその上流側への逆洗中の水流方向とを有する。
【0050】
例えば、浄水ホースは、第2の水フィルタから濾過水を受けるための第2の水出口にも接続される。これは、フィルタが並行して使用される場合及び第2の水フィルタが第1の水フィルタを逆洗するための浄水を供給するために使用される場合に有利である。
【0051】
したがって、より詳細には、第1の逆洗モードにおいて、装置は、第2の水フィルタによる水の濾過中に第2の水フィルタによって濾過された水によって第1の水フィルタを逆洗するために第2の水フィルタによって水を濾過してこの濾過水を浄水ホースへ及び浄水ホースから第1の水フィルタを通じて逆流状態で供給する。
【0052】
任意で、装置は第2の流入ホースを更に備え、この第2の流入ホースは、第2の流入ホースを通じて第2の水入口に水を流すために第2の水フィルタに接続されるとともに汚水入口から第2の水入口までの流路の一部として設けられる。第2の水フィルタの上流側にプレフィルタを伴う典型的な形態の場合、第2の流入ホースは、その第1の端部がプレフィルタに接続され、その第2の反対側の端部が第2の水フィルタに接続される。
【0053】
任意で、装置は、第2の水フィルタの逆洗中に第2の水フィルタから逆洗水出口へ逆洗水を流すために逆洗水出口と第2の水フィルタの上流側との間に接続される第2の逆洗ホースを更に備える。
【0054】
この場合、これらのホースを通じた流れを調整するために、第2の流入ホース及び第2の逆洗ホースは、マルチフロー装置内の対応する区画室を貫通して延びる。
【0055】
第1及び第2の水フィルタが浄水を生成するために並列形態で使用される構成において、第1の濾過モードにある装置は、第2の流入ホース及び浄水ホースを通じたマルチフロー装置内の流れを維持しながら、クランプ機能を作動させることによってマルチフロー装置内の第2の逆洗ホースをクランプして閉じる。
【0056】
第1の逆洗モードで第1の水フィルタを逆洗するために使用される浄水を生成するために第2の水フィルタが使用される形態の場合、装置は、第2の流入ホースを通じたマルチフロー装置内の流れを維持しながらマルチフロー装置内の第2の逆洗ホースをクランプして閉じる。第1の水フィルタの逆洗中、水の濾過は、第2の水フィルタによって、並びに、第2の水フィルタから浄水チューブ内へ及び更には浄水チューブから第1の水フィルタ内への逆の水の流れによって維持される。
【0057】
逆洗は、膜フィルタ要素の水濾過能力を高めるための効率的な方法である。しかしながら、今しがた説明したように、第1の水フィルタのみを伴う装置で、又は、2つの水フィルタ、例えば同一の仕様を伴う2つの水フィルタを伴う装置で逆洗が行われた時点で、フィルタ要素の上流側に沿って水を導くことによって粒子状物質及び他の生物学的デブリを洗い流すために順方向水洗によって更なる改善を達成することができる。
【0058】
順方向水洗が第1の水フィルタのために組み込まれる実際の実施形態において、第1の水フィルタは、第1の水フィルタ内の上流側に沿う順方向水洗のために水が第1の水入口に流入して第1の水フィルタを通って第1の水洗出口から流出する状態の順方向水洗中に水を放出するべく第1の水フィルタの上流側に第1の水洗出口も備える。水洗出口が順方向水洗のためだけでなく逆洗のためにも使用される場合には、第1の逆洗ホースが第1の水洗出口に接続される。
【0059】
したがって、装置は、カムシャフト及び/又はハンドルの第3の角度方向のための第1の順方向水洗モードを更に含み、第3の方向は第1及び第2の方向とは異なる。第1の順方向水洗モードにおいて、装置は、第1の水フィルタから浄水ホース内への濾過水の流れを防止するため、及び、第1の流入ホース及び第1の逆洗ホースを通じたマルチフロー装置内の流れを維持するために、浄水ホースをクランプして閉じる。したがって、汚水入口からの水又はプレフィルタが実装される場合にはプレフィルタからの水が、第1の流入ホースから第1の水フィルタの上流側を通じて第1の水フィルタに流入し、第1の水洗出口を通って第1の水フィルタから流出する。したがって、水流は、第1の水フィルタの第1のフィルタ要素の上流側に沿っており、順方向水洗手順中に粒子状物質及び他の生体物質を引きずる。
【0060】
装置が第1及び第2の水フィルタを備える場合、既に前述したように、第2の水フィルタは、第2の水フィルタの逆洗中に第1の水フィルタによって生成された浄水によって有利に逆洗される。
【0061】
この場合、装置は、カムシャフト及び/又はハンドルの第4の角度方向のための第2の逆洗モードを更に含み、この場合、第4の方向は、第1及び第2の方向とは異なり、任意な第3の方向とは異なる。
【0062】
この第2の逆洗モードにおける実際の実施形態において、装置は、第1の水フィルタによる水の濾過中に第1の水フィルタによって濾過された水で第2の水フィルタを逆洗するために第1の水フィルタによって水を濾過してこの濾過水を浄水ホースに及び浄水ホースから逆流状態で第2の水フィルタを通じて供給する。更に、第2の逆洗モードにある装置は、第1の流入ホースを通じたマルチフロー装置内の流れを維持するとともに第1の水フィルタによる水の濾過及びその浄水ホース内への水の流れ、更には第2の水フィルタ内への逆の水の流れを維持しながら、マルチフロー装置内の第1の逆洗ホースをクランプして閉じる。
【0063】
第1の水フィルタの順方向水洗と同様に、第2の水フィルタ内の第2のフィルタ要素の上流側に沿って水を第2の水フィルタに導くことによって粒子状物質及び他の生物学的デブリを洗い流すためにその逆洗後の第2の水フィルタの順方向水洗によって更なる改善を達成することができる。
【0064】
第2の水フィルタの順方向水洗のための実際の実施形態において、第2の水フィルタは、第2の水フィルタ内の順方向水洗中に水を放出するために第2の水フィルタの上流側に第2の水洗出口を備え、この場合、水は、第2の水流入口に流入して、第2の水フィルタを通り、第2の水洗出口から流出し、第2の水フィルタ内の上流側に沿って、特に第2の水フィルタのハウジング内の第2のフィルタ要素の上流側に沿って順方向水洗し、ここで、第2の逆洗ホースは第2の水洗出口に接続される。
【0065】
この場合、装置は、カムシャフト及び/又はハンドルの第5の角度方向のための第2の順方向水洗モードを更に含み、第5の方向は、第1、第2、第3、及び第4の方向とは異なる。
【0066】
第2の順方向水洗モードにおいて、装置は、第1及び第2の水フィルタから浄水ホース内への濾過水の流れを防止するために浄水ホースをクランプして閉じており、また、装置は、第2の流入ホース及び第2の逆洗ホースを通じたマルチフロー装置内の流れを維持している。したがって、水は、第2の流入ホースから第2の水フィルタに流入し、第2の水フィルタの上流側を通って、第2の水洗出口を通じて第2の水フィルタから流出する。
【0067】
水洗出口が順方向水洗のためだけでなく逆洗のためにも使用される場合には、第1の逆洗ホースが第1の水洗出口に接続される。
【0068】
2つのフィルタが使用される場合、装置は、好適には、両方のフィルタによる通常の水濾過のための第1の方向から、第1のフィルタの逆洗中に第2の水フィルタによって水を濾過しながら、第2の水フィルタのみからの濾過水による第1の水フィルタの逆洗を伴う第1の逆洗モードにおける第2の方向へ、更には、第2のフィルタの逆洗中に第1の水フィルタによって水を濾過しながら、第1の水フィルタのみからの濾過水による第2の水フィルタの逆洗を伴う第2の逆洗モードにおける更なる向きへ、ハンドル、例えばカムドライブを段階的に回転させることによって逆洗シーケンスを行うように構成される。
【0069】
2つのフィルタに関して順方向水洗も適用される場合、装置は、好適には、
-両方のフィルタによる通常の水濾過のための第1の方向から
-第1のフィルタの逆洗中に第2の水フィルタによって水を濾過しながら、第2の水フィルタからの濾過水による第1の水フィルタの逆洗を伴う第1の逆洗モードにおける第2の方向へ、
-更には、第1の水フィルタの順方向水洗を伴う第1の順方向水洗モードにおける第3の方向へ、
-更には、第2の水フィルタの逆洗中に第1の水フィルタによって水を濾過しながら、第1の水フィルタからの濾過水による第2の水フィルタの逆洗を伴う第2の逆洗モードにおける第4の方向へ、
-更には、第2の水フィルタの順方向水洗を伴う第2の順方向水洗モードにおける第5の方向へ、
ハンドル及び/又はカムドライバを段階的に回転させることによって逆洗及び順方向水洗シーケンスを行うように構成される。
【0070】
装置のための原理が一般に適用されるが、それらの原理は、適切な浄水の供給が利用できない使用時に浄水が必要とされる小規模の緊急装置には特に有利である。この及び他の特定の使用のために、装置は、好適には、例えば5~20kgの範囲内の一人の人間が携帯可能な重量及びサイズを有する携帯型装置である。任意で、装置はケーシングを備え、この場合、汚水入口、逆洗水出口、濾過システム、ホース、マルチフロー装置、及び、任意なカムシャフトは、ケーシング内に設けられる。
【0071】
幾つかの実施形態において、パネルは、オン状態とオフ状態との間の選択的なユーザ操作、例えばスイッチの手動操作によって水の濾過のためにオンとオフとを切り替えるためのスイッチを備える。
【0072】
例えば、パネルは、ハンドルの手動回転によってマルチフロー装置におけるクランプ機能を動作させるためにクランプ機能に機能的に接続される手動回転可能なハンドルを備え、ハンドルを単一方向に手動回転させると、濾過モードと逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがってホースが順次開閉される。任意で、スイッチは、スイッチがオフ状態にあるときにハンドルの回転を阻止するための阻止部材を備える。
【0073】
例えば、スイッチは、スイッチがオフ状態にあるときにカムドライバの回転を阻止するための阻止部材を備える。特に、スイッチがオン状態にあるとき、水は、装置から、例えばタップから流出し、これは、装置を通る水流があり、故障による遮断はないことをユーザに示す。この場合、水は逆洗にも利用可能である。次に、スイッチがオン状態にある間に、手動カムドライバによって逆洗サイクルを行うことができ、これは、カムドライバが再び濾過配向で終了するまで、逆洗、及び任意で順方向水洗、順次サイクルをステップごとに進められ、ユーザは、例えばタップから流出する浄水によってそのことを再度通知される。これにより、実行される逆洗サイクルのユーザによる容易で直感的な制御及び理解が確保される。特に2つのフィルタ及び逆洗及び順方向水洗の両方を用いる場合、取り扱いが技術的に複雑になると、ユーザは容易に圧倒される。
【0074】
過圧による濾過システムへの損傷を防止するために、装置は、好適には、圧力を所定値未満に制限するために、汚水入口と濾過システムとの間の流路に圧力調整器を備える。例えば、圧力調整器は、過負荷を防止するために、圧力調整器の下流側の圧力を低下させる。例えば、圧力調整器は、下流側システムの完全性を保証する下流側の周囲圧力を超える所定の値未満に圧力を制限する。例えば、所定値は、周囲大気圧を超える0.2~2バール、任意で0.5~2バールの範囲内である。1バールは10万パスカルに等しい。
【0075】
任意で、濾過システムの過負荷を防止し、漏れによる水損失のリスクを最小限に抑えるために、オフ状態のスイッチは、圧力調整器の下流側及び濾過システムの上流側の流路内の水流を遮断するように構成される。このクランプスイッチは、システム内の圧力を遮断するので、プレフィルタの洗浄/メンテナンス中に遮断バルブとして更に機能する。これは、プレフィルタの洗浄が必要なときにユーザが入口を取り外す必要がないという点で利点である。
【0076】
幾つかの実用的な実施形態では、圧力調整器と濾過システムとの間の汚水流路に汚水ホースが設けられる。例えば、プレフィルタが装置の一部である場合、第1の水ホースは圧力調整器をプレフィルタに接続する。
【0077】
任意で、スイッチは、汚水ホースをクランプしてスイッチのオフ状態でクランプが作動したときに汚水ホースを通る流れを防止するためのクランプを備える。任意で、クランプ機能は、上記で説明したように、カムによるものである。あるいは、クランプ機能はピンチバルブによって達成される。
【0078】
幾つかの実施形態では、化学汚染物質、例えばヨウ素、塩素、鉛又はヒ素を除去するために、除染ステージが水フィルタ又は水フィルタの下流側に含まれ、それにより、水は、浄水出口、例えばタップを通じて放出される前に除染ステージを通って流れる。例えば、除染ステージは、臭気を除去するための活性炭を通る流れを含み、また、微生物を死滅させるために、又は少なくとも微生物の濃度を低下させるために、及び濾過システム並びにチューブ内の微生物の増殖を防止するために、装置を通るその流れ中の水に塩素及び/又はヨウ素、特に塩素及び/又はヨウ素が添加されている。
図面を参照して本発明について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明に係る携帯型濾過装置を示す。
図2】4つの濾過装置間を直列接続した配置を示す。
図3A】2つの水フィルタを伴う濾過装置の内部を示す。
図3B】2つの水フィルタ及び除染ステージを伴う濾過装置の内部を示す。
図4A】濾過装置の内部の幾つかの構成要素を示す。
図4B】濾過装置のチューブの細部を伴う内部を示す。
図4C】装置の内部の異なる図を示す。
図4D】除染ステージが付加されるときの装置の内部を示す。
図5】カムコントローラを示す。
図6】カムコントローラの側面図である。
図7A】濾過モードにあるときのスイッチを示す。
図7B】濾過モードにないときの上側ハンドルの回転を阻止するスイッチを示す。
図7C】濾過モードにないとき及びレバーによって第1のホースを部分的に締め付けるときのスイッチを示す。
図7D】濾過モードにないとき及びレバーによって第1のホースを完全に締め付けるときのスイッチを示す。
図8A】カムドライバの4つのステップのうちの第1のステップを示す。
図8B】カムドライバの4つのステップのうちの第1のステップを示す。
図8C】カムドライバの4つのステップのうちの第1のステップを示す。
図8D】カムドライバの4つのステップのうちの第1のステップを示す。
図8E図8Aの拡大部分を示す。
図9A】ホースを通る流れの例である。
図9B】濾過モードにおける流れを示す。
図9C】アイドル状態を示す。
図9D】第1の水フィルタを逆洗するための第1の逆洗モードを示す。
図9E】第1の水フィルタを水洗するための第1の順方向水洗モードを示す。
図9F】第2の水フィルタを逆洗するための第2の逆洗モードを示す。
図9G】第2の水フィルタを水洗するための第2の順方向水洗モードを示す。
図10】ピンチバルブを伴う別の実施形態を示す。
図11】汚水ホース上にピンチバルブを伴う更なる別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1は、複数の取り外し可能なクランプ4によって保持される取り外し可能な蓋3を伴うケーシング2を備える濾過装置1を示す。本実施形態では、クランプが摺動可能であり、また、クランプが1つの位置で蓋3をケーシング2の下部にロックし、別の位置で蓋3を解放するので、ロック機構はクランプの位置に依存する。
【0081】
カートリッジアクセスキャップ5が、蓋3に一体化されており、プレフィルタカートリッジにアクセスするために蓋3からねじを緩めることができる。ケーシング2のフロントパネル2Aは、タップ6と、スイッチ7と、手動操作される回転ハンドル8Aであって、例えばハンドル8Aを回転させることによってカムドライバ8を回転駆動するための、手動操作される回転ハンドル8Aとを備える。その一例は、以下でより詳細に説明され、カムドライバ8の代替形態も説明され、ハンドル8Aは、カムドライバ8の代替形態として電気ピンチバルブを制御するために適用可能であると説明される。
【0082】
タップ6は、装置1が濾過モードにあるときに濾過水を注出するように構成される。スイッチ7は、水の注出を調整するために使用される。
【0083】
カムドライバ8を有する実施形態の場合、ハンドル8Aは、カムシャフト20を駆動し、逆洗シーケンスを調整するために使用される。以下、スイッチ7及びカムドライバ8の機能についてより詳細に説明する。
【0084】
しかしながら、更なる代替として、カム20は、図示されていないモータによって駆動される。装置1は、手動カムドライバ8を用いて以下に示され説明されるが、カム20の駆動は、代替的に自動電気モータによって実行されてもよいことが理解される。
【0085】
図2は、4つの同一の濾過装置1の並列接続を伴う配置を示す。フロントパネル2Aのタップ6は、共通のディスペンサチューブ6’を通して濾過水を供給するために接続される。各装置1は、汚水入口10と逆洗水出口11とを有する。4つの装置1の汚水入口10は、例えば供給ポンプ(図示せず)から濾過用の汚水を供給するための共通の給水管12に接続される。逆洗水出口11は、放出管13を通して逆洗水を放出するために共通の放出管13に接続される。濾過装置1を共通の給水管12と並列に接続することにより、例えば、大容量の水が要求されるが利用可能な給水源がわずかしかない緊急事態において、容量を簡単な方法で増加させることができる。
【0086】
図3Aは、蓋3が取り外されたときの装置1の内部の構成要素の幾つかを示す。より良い概要を与えるために、装置1の内部構成要素の全てが示されているわけではないことに留意されたい。図3Aには、カートリッジアクセスキャップ5のないプレフィルタハウジング9が見えるので、内側の第1のフィルタ要素9Aから第2のフィルタ要素9Bへ、次いでプレフィルタハウジング9の内側の第3のフィルタ要素9Cへと細孔サイズが減少している3つのプレフィルタ要素9A、9B、9Cを有するプレフィルタカートリッジにアクセスできる。汚水入口10の下流側で、圧力調整器14は、装置1の内部の構成要素の損傷を防止するために、装置1の内部の所定の最大レベル未満に水圧を調整する。例えば、圧力は、周囲圧力を0.2~2バール上回る範囲内の所定値を有する所定の圧力レベルに調整される。
【0087】
図3aに示すように、ケーシング2の内部には、精密濾過又は限外濾過のために、2つの微多孔性水フィルタ15A、15Bが設けられる。
【0088】
図3bに示すように、任意で、一般的に吸収又は吸着によって除去されるようになっている汚染物質、例えば鉛、ヒ素、ヨウ素及び/又は塩素の種類にしたがって構成された、化学汚染物質の除染のための除染ステージである第3のカートリッジ16も設けられる。例えば、特に胚芽含有量を減少させるために水に添加される場合、消費前に化学物質、例えばヨウ素又は塩素を除去するために、活性炭フィルタが第3のカートリッジ16に設けられる。他の選択肢は、鉛又はヒ素を除去する樹脂である。水フィルタ15A、15Bは並列に使用することができるが、活性炭フィルタ16は通常、水フィルタ15A、15Bの下流側で直列に使用される。
【0089】
水フィルタ15A及び15Bからの濾過水は、管状バー36として例示される共通のコネクタに入る。図3aに示すように、濾過水は、バー接続部36Aで管状バー36を出て、濾過水をタップ6に導く浄水ホース24に入る。図3bの別の実施形態において、濾過水は、バー接続部36Aで管状バー36を出て、そこから直接、除染ステージ16に入り、除染され、その後、水はその上端で除染ステージ16を出て、浄水ホース24に入る。
【0090】
図3aに見られるように、カム20Aを伴うカムシャフト20が、マルチフロー装置17内のバルブを作動させるために設けられる。
【0091】
図5及び図6は、カムシャフト16の機能を示す。マルチフロー装置17は、マルチフロー装置17の対応する区画室17Aの両端に軸方向で位置合わせされた開口部18A、18Bの複数の対を備え、これらの開口部を通じてホース21が一般的にはこれらの開口部に押し通されて延在する。開口部18A、18Bの各対には、カムシャフト20の回転方向に応じてカムシャフト20上のカム20Aのうちの1つによって操作されるレバー19が設けられる。カムシャフト20が回転されると、カム20Aのうちの1つがカムシャフト20の特定の角度方向に関してレバー19をそれぞれのホースに押し付けるので、図6に示すように、レバー19の移動端部19Aは、区画室17A内のホース21の一部21Aを締め付ける。カムシャフト20の回転方向を変更することにより、様々な異なるように配置されたカム20Aは、カムシャフト20Aの回転角度位置に応じて様々な対応するレバー19を押す。カムシャフト20の角度方向を調整することにより、開口部の対18A、18Bを通じて延びる様々なホース21を通って水が流れ、制御及び変更される。
【0092】
特に、カムシャフト20及びそれぞれのカム20Aは、装置1の通常濾過モードから逆洗シーケンスを経て通常濾過モードに戻るように段階的に変化するように構成される。これは、装置1の内部の配管の説明の後に以下により詳細に説明される。
【0093】
図4Aは、装置ケーシング2内の配管の一部を示す。汚水入口10から、加圧された汚水が圧力調整器14に入り、圧力調整器14は、装置1及びその構成要素を過圧による破損から保護するために、圧力を、周囲圧力を上回る所定の上限未満、例えば2バール未満、例えば1バール未満又は0.5バール未満に制限する。圧力調整器14の下流側の汚水は、汚水ホース22に流入する。任意な除染ステージ、例えば炭素フィルタ16のための配管は、図4Aには示されていないが、図4Dに示されていることが指摘される。
【0094】
図4bは、汚水ホース22の構成を示す。汚水ホースは、スイッチ7の周囲で水路35内に水路35に沿って位置される。水路35の後、汚水ホース22はプレフィルタハウジング9まで曲がり、そこで水はプレフィルタハウジング9を通って流れ、プレフィルタの孔によって特定の物質、例えば10ミクロンを超える粒径を有する特定の物質を除去する。
【0095】
図4Aに最も良く示されているように、事前に濾過された水は、プレフィルタ出口を通ってプレフィルタハウジング9から出て、水フィルタ15A用の第1の水流入ホース23A及び第2の水フィルタ15Bへの第2の水流入ホース23Bに入る。また、図4Aは、プレフィルタ9からマルチフロー装置17を通って第1及び第2の水フィルタ15A、15Bの底部まで屈曲する流入ホース23A、23Bを示す。
【0096】
図4Bは、マルチフロー装置17から水フィルタ入口26A、26Bまで延在する流入ホース23A、23Bを示す。濾過、例えば精密濾過の後、濾過水は、水フィルタ15A、15Bから出て浄水出口27A、27Bを通って管状クロスバー36に入る。図4Aは、管状クロスバー36のコネクタ36Aに接続され、次いでマルチフロー装置17を通って延びる浄水ホース24を示す。反対側からホース配置を示す図4Bは、マルチフロー装置17を通って延びる浄水ホース24を示す。図4Bに更に示すように、浄水ホース24は、フロントパネル2Aの背面に向かって曲がり、タップ6に接続される。
【0097】
したがって、そのような回路のための水の流れは、汚水入口10から、圧力調整器14を通って、汚水ホース22を通り、水路35を通じて、プレフィルタ9に入り、プレフィルタ9から流入ホース23A、23Bを通って水フィルタ15A、15Bに入り、水フィルタ15A、15Bから管状バー36を通って、任意で図4Dに示すように除染ステージ16を通って、浄水ホース24を通って、タップ6に至り、スイッチ7がオン状態の向きにあるときにこのタップ6から水を放出することができる。
【0098】
給水タップ6を通る流れは、図7A図7Dのフロントパネル2Aの裏側の半透明の図に示すように、スイッチ7によって調整される。給水タップ6の水流位置では、汚水ホース22を通る流れは妨げられない。
【0099】
スイッチは、第1のカム28及び第2のカム38を備え、これらの異なる機能を以下に説明する。スイッチ7を回転させると、図7B図7C図7Dの順に示すように、第1のカム28は、レバー29を水路35内の汚水ホース22に押し付けて、汚水ホース22を閉位置に押し込む。これは、水流の制御が、圧力調整器14とプレフィルタ9との間で汚水ホース22を締め付けることによって行われ、したがって、水フィルタ15A、15Bの圧力及びプレフィルタ9の圧力をオフにすることを意味する。これは、圧力調整器14が故障した場合であっても、フィルタ15A、15Bへの圧力過負荷を防止するための安全機構である。スイッチがオフにされ、圧力調整器14とプレフィルタ9との間の接続が、汚水ホース22を締め付けることによって阻止されると、入口圧力を伴うことなく、汚水ホース22を取り外す必要なくプレフィルタ9のメンテナンスを行うことも可能である。
【0100】
これは、タップ6から水フィルタ15A及び15Bに戻る経路がスイッチ7によって閉じられていないことを意味する。しかしながら、水フィルタ15A、15B内への給水タップ6からの逆方向汚染を防止するために、ブロック又は逆止機構、任意で逆止バルブ、例えばダックビルバルブが、水フィルタ15A、15Bとタップ6との間、例えば浄水ホース24とタップ6との間に有利に設置される。
【0101】
スイッチ7を回転させると、図7Bから図7Dに示すように、スイッチ7の第2のカム38がカムドライバ8の凹部30に入り込み、カムドライバ8の回転が阻止される。以下でより詳細に説明するように、カムドライバ8は、逆洗及び順方向水洗のためにのみ使用され、タップ6が閉じられているときのカムドライバ8の回転の阻止機能は、タップ6を通る水流が開いているときにのみ逆洗が実行され得ることを意味する。特に、ユーザにとって、これは以下のように機能する。ユーザは、水の流れがタップ6を通って発生する開位置にスイッチ7を維持する。これは、システムに圧力があり、水がフィルタ9、15A、15Bを通ってタップ6から流出することをユーザに示す。次いで、カムドライバ8が逆洗のために回されると、タップ6からの水流は停止し、水流は、逆洗サイクルが終了するまで、以下に説明するようなシーケンスでフィルタ15A、15Bを通って反転され、その後、タップ6からの新たな流れは、逆洗サイクルが終了したことをユーザに示す。したがって、カムドライバ8を回転させる前のタップ6からの流出は、システムを通る水流による逆洗の能力をユーザに示し、逆洗サイクル後のタップ6からの流出は、逆洗サイクルが終了したことをユーザに示す。
【0102】
逆洗サイクルを容易にし、ユーザによる誤った取り扱いを防止するために、カムドライバ8は一方向にのみ回転させることができる。これは、図8Aの丸で囲まれた領域及び図8Eの拡大図に示されており、協働する溝及び歯32がカムドライバ8のための一方向ラチェット機構を形成し、それにより、1つの逆洗ステップ後のカムドライバ8は、カムドライバ8の一方向のみの回転によってのみ次のステップに進むことができる。
【0103】
カムドライバ8を回転させることにより、図8A図8B図8C、及び図8Dのシーケンスに示すように、図5に示すように、かつ図9Aの右下隅に示すように、カムシャフト20が回転され、様々なカム20Aが、対応するレバー19と協働して、所定のシーケンスでホース23A、23B、24、25A、25Bを開閉して、所定の逆洗手順にしたがって一方の構成要素から他方の構成要素への適切な水流を確保する。
【0104】
図9Aの右下隅のカム20Aを伴うカムシャフト20及びマルチフロー装置17は、対応する区画室17Aのためのカム20A及びレバー19Aの組み合わせとして設けられ、図9Aから図9Gの全体にわたって示されているバルブV1、V2、V3、V4、V5を示している。図9Aは、様々な構成要素番号が示された上記のシステムの概要である。逆洗ホース25A及び25B並びに逆洗水洗出口33A及び33Bについては、これらの構成要素が示されている図4Bも参照されたい。
【0105】
V1は、管状クロスバー36の端部36Aとタップ6との間で浄水ホース24を開閉する。
【0106】
V2は、逆洗放出部11と第2の水フィルタ15Bの第2の水洗出口33Bとの間で第2の逆洗ホース25Bを開閉する。
【0107】
V3は、プレフィルタ9と第2の水フィルタ15Bの第2の水入口26Bとの間で第2の流入ホース23Bを開閉する。
【0108】
V4は、第1の水フィルタ15Aの第1の水洗出口33Aと逆洗放出部34との間で第1の逆洗ホース25Aを開閉する。
【0109】
V5は、プレフィルタ9と第1の水フィルタ15Aの第1の水入口26Aとの間で第1の流入ホース23Aを開閉する。
【0110】
図9Aに示すように、プレフィルタ要素9A、9B、9Cは、プレフィルタ9内の水の除去及び同時排出を容易にするために、底部プラグ37が逆洗放出部34に差し込まれた状態で示されている。プレフィルタの水洗は、プレフィルタ支持体を引き出して要素9A、9B、9Cの洗浄/メンテナンスを行うことによって実行される。
【0111】
図9B図9Gでは、数字は示されていないが、図9Aの用語及び数字が使用される。
【0112】
図9Bは、通常フィルタリングモードを示し、図4B及び図7Aに示す要素の幾つかと組み合わせて読み取られる。スイッチ7は水濾過方向にあり、図9Bのカムドライバ8は濾過方向にあり、これにより、第1及び第2の逆洗ホース25A、25Bを締め付けることによってV2及びV4が閉じられる。このモードのカムドライバ8の姿勢を図9Bの右下に示す。水は、入口10を通って入り、圧力調整器14を通って、図4Bに示すように、汚水ホース22及び水路35を通って流れ、汚水ホース22を締め付けていない第1のカム28及びレバー29を通過し(比較のために図7Aを参照されたい)、図9Aの数字で読み取ると、図9Bに示すように、一般的には複数の層9B、9Cを有するプレフィルタ要素9Aを含むプレフィルタ9に入る。
【0113】
プレフィルタ9から、水は、既に前述したように流入ホース23A、23Bを通って、水フィルタ15A、15B内の水入口26A、26Bに流入し、フィルタ15A、15Bを通って、浄水出口27A、27Bから流出し、浄水ホース24に流入し、タップ6を通って流出する。このモードでは、図9Bに示すように、事前に濾過された水が水洗出口33A、33Bを通って水フィルタ15A、15Bから出るのを防止するために、V2及びV4が遮断される。
【0114】
図9Cは、装置1のアイドル状態のモードを示す。カムドライバ8は、濾過モード用の方向のままにされている。しかしながら、スイッチ7は、閉じた方向にあり、圧力調整器14からプレフィルタ要素9Aに、更に水フィルタ15A、15Bを通ってタップ6に流れる水を遮断する。このモードでは、V2及びV4は、長期間の貯蔵中に水フィルタ15A、15Bからの乾燥を防止するために遮断されたままである。図7Dに関連して、汚水ホース22のスイッチ7の機能を説明した。このアイドル状態では、プレフィルタ支持体9D及び相互接続されたプレフィルタ9A、9B及び9Cにアクセスしてプレフィルタの洗浄/メンテナンスを実行するために、カートリッジアクセスキャップ5を開くことが安全である。
【0115】
図9Dは、第1の水フィルタ15Aを第2の水フィルタ15Bからの濾過水で逆洗する第1の逆洗ステップのモードを示す。スイッチ7は水濾過方向にあり、カムドライバ8は、第1の水フィルタ15Aの逆洗モードである第1の逆洗モード(BW1)の方向にある。このモードのカムドライバ8の姿勢を図9Dの右下に示す。このモードでは、V1、V2及びV5は、マルチフロー装置17のレバー19及びカムシャフト20のカム20Aを使用して、クランプによってブロックされる。水は、プレフィルタ9から第2の流入ホース23B及び第2の水フィルタ15Bを通って流れ、第2の水フィルタ15Bによって濾過される。第2の水フィルタ15Bから、濾過水は、第2の水フィルタ15Bから浄水出口27Bを通って管状クロスバー36に流れ、更に第1の水フィルタ15Aの第1の浄水出口27Aに逆に流れ、第1の水フィルタ15A内の膜(図示せず)を横切って清浄側から汚れ側へと逆洗方向に流れる。第1の流入ホースがクランプされて閉じられていることに対応して、V5が閉じられると、水フィルタ15A内の第1の膜の汚れ側の水は、第1の水フィルタ15Aの上部の水洗出口33Aを通ってのみ出ることができ、次いで第1の逆洗ホース25A及び逆洗放出部34を通って廃棄される。
【0116】
図9Eは、第1の順方向水洗ステップのモードを示す。スイッチ7は水濾過方向にあり、カムドライバ8は、第1の水フィルタ15Aを通る第1の順方向水洗(直接流れ1)の方向にある。このモードのカムドライバ8の姿勢を図9Eの右下に示す。このモードでは、カムシャフト20のカム20Aを用いてV1、V2、V3を閉じる。水は、プレフィルタ9から第1の流入ホース23Aを通って水入口26Aを通って第1のフィルタ15Aに流れるが、閉バルブV1、V2、及びV3によって膜を横断することが防止され、これは、浄水ホース24から浄水が注出されないように浄水ホース24をクランプすることを意味する。第1の水フィルタ15Aから出る唯一の方法は、第1の水洗出口33Aを通ることであり、その結果、前述の逆洗ステップ中にフィルタ膜(図示せず)の汚水側から除去されたデブリスを洗い流す順方向水洗である。第1の水フィルタ15Aからの順方向水洗水は、第1の逆洗ホース25Aを通って廃棄され、逆洗放出部34を通って装置の外に排出される。
【0117】
図9Fは、第2の水フィルタ15Bの逆洗ステップのモードを示す。この逆洗モードでは、第2の水フィルタ15Bは、第1の水フィルタ15Aからの濾過水によって逆洗される。スイッチ7は水濾過方向にあり、カムドライバ8は、第2の水フィルタ15Bの逆洗モードである第2の逆洗モード(BW2)の方向にある。このモードでのカムドライバ8の姿勢を図9Fの右下に示す。このモードでは、カムシャフト20のカム20Aを用いてV1、V3、V4を遮断する。水は、プレフィルタ9から第1の流入ホース23Aを通って第1の水フィルタ15Aに流れ、そこで第1の水フィルタ15Aを出て管状クロスバー36に入る前に濾過される。浄水ホース24内の水は、閉鎖されたV1に起因して、タップ6を介して注出されることができないので、この水は、第2の水フィルタ15Bの第2の浄水出口27Bを介して逆方向に、かつ第2の水フィルタ15B内の膜を横切って清浄側から汚れ側に逆方向に押圧される。V3が閉じられると、第2の水フィルタ15B内の膜の汚れ側の水は、第2の水フィルタ15Bの上部の水洗出口33Bを通ってのみ出ることができ、その後、第2の逆洗ホース25B及び逆洗放出部34を通って廃棄される。
【0118】
図9Gは、第2の水フィルタ15Bの順方向水洗ステップのモードを示す。スイッチ7は水濾過方向にあり、カムドライバ8は、第2の水フィルタ15Bを通る順方向水洗モードである第2の直接流れモード(直接流れ2)の配向にある。このモードのカムドライバ8の姿勢を図9Gの右下に示す。このモードでは、カムシャフト20のカム20Aを用いてV1、V4、V5を閉じる。水は、プレフィルタ9から第2の流入チューブ23B及び第2の水フィルタ15Bの第2の水出口26Bを通って流れるが、閉バルブV1によって膜を横断することが防止される。水を排出する唯一の方法は、第2の水フィルタ15Bの第2の水洗出口33Bを通ることであり、結果として、第2の水フィルタ15B内のフィルタ膜(図示せず)の汚水側から除去されたデブリスを洗い流す順方向水洗である。第2の水フィルタ15Bからの順方向水洗水は、第2の逆洗チューブ25B及び逆洗放出部34を通して廃棄される。
【0119】
図10は、別の実施形態を示しており、この実施形態では、カムドライバ8とレバー19Aの形態のクランプ部材との組み合わせが、別のマルチフロー装置17’によって置き換えられており、この別のマルチフロー装置17’では、技術分野においてスクイーズバルブとも呼ばれるピンチバルブ39が、ホースを通る流れのためにホースを閉じるべく、区画室17Aを通って延びる可撓性ホースを押圧する。ケーブルによって電気信号を電気コネクタ41に送ることによってピンチバルブ39のそれぞれを電気的に動作させると、対応するピンチバルブ39は、関連する区画室17Aを通って延びるホースを通る流れのために開閉する。
【0120】
ピンチバルブ39を操作するために、フロントパネル2Aは、図1に示すように、ハンドル8Aの代わりにスイッチ、例えばボタンを用いる。あるいは、回転可能なハンドル、例えば、カムドライバ8を手動で操作するためのものと同様のハンドル8Aを設けることができる。これは、カムドライバ8又はピンチバルブ39によって行われる逆洗シーケンスに関係なく、ユーザが装置をほぼ同じ方法で、すなわちハンドル8Aを回転させることによって操作しなければならないという利点を意味する。これらの場合、図7及び図8の例示並びに図9に示す逆洗原理も同様に適用される。単に、カムドライバ8及びマルチフロー装置17が交換されることになる。
【0121】
これは、ハンドル8A及びその動作が同じままであるので、ユーザが装置1の動作を学習し、装置がカムドライバを備えたバージョンから電気ピンチバルブを備えたバージョンに交換されると、更なる命令の要件がないことを意味する。
【0122】
所定のシーケンスによるピンチバルブ39の順次の作動のために、ピンチバルブコントローラが設けられ、ピンチバルブコントローラは、ピンチバルブ39の電気コネクタ41に電気的に接続され、濾過モードと逆洗モードとの間を切り替えるために所定のシーケンスにしたがってホース23A、23B、24、25A、25Bを閉じるために、及び任意で逆洗後に順方向水洗モードを追加して、マルチフロー装置17’のピンチバルブ39を順次に作動させるように構成される。
【0123】
図11は、図10の実施形態と比較して、電気汚水ピンチバルブ40によって汚水ホース22が操作される点が異なる別の実施形態を示す。なお、フロントパネル2Aには、図1に示すように、汚水ホース22を流すための開閉のユーザ操作に対して、スイッチ、例えばボタンを設けることができる。
【0124】
ピンチバルブ作動用のスイッチはまた、図1に示すように、回転可能なタイプのスイッチ7であってもよい。ユーザにとって、水路23内の汚水ホース22を圧搾するためのカム28及びレバー29を用いて図7に示すようにスクイーズバルブを作動させるために回転式スイッチ7を操作すること、又は電気ピンチバルブ40を作動させるために回転式スイッチ7を操作することに違いはない。また、これは、ユーザが装置1の動作を学習し、回転式スイッチ7及びその動作が同じままであるため、装置がスクイーズバルブ28、29を備えたスイッチ7を備えたバージョンから電気汚水ピンチバルブ40を備えたバージョンに交換されると、更なる命令の要件がないことも意味する。
【0125】
汚水ピンチバルブ40は、マルチフロー装置17’のピンチバルブ39を有するマルチフロー装置17’と組み合わせて示されている。しかしながら汚水ピンチバルブは、あるいは、図4B及び図5に示すように、カム駆動部によって動作されるマルチフロー装置17と組み合わされてもよい。図7図8、及び図9の同様の動作及び適用性についての上記の議論は、この場合、カム20A及びレバー19又は電気ピンチバルブ39によって行われる絞りによる閉鎖に関係なく、同様に適用される。
【0126】
更なる別の実施形態では、逆洗サイクルは、タイマーで自動的に実行されるか、又は一定量の濾過水の後に開始される。これは、例えば自動逆洗機能に機能的に接続された小型コンピュータなどの幾つかのロジックを意味する。
【0127】
更に他の別の実施形態において、スイッチ7は、カードリーダ、非接触リーダ、又はSIMカードに結合され、汚水ピンチバルブ40の作動は、注出されるべき所定量の水に依存する。例えば、注出されるべき量は、任意でSMSによって送信されたコードに応じて、例えば上述のカードのうちの1つを用いて、浄水を購入するために利用可能なクレジットに依存する。したがって、支払いに応じて浄水を供給するために自動化された方法で装置を使用することが可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 濾過装置
2 ケーシング
2A ケーシング2のフロントパネル
3 取り外し可能な蓋
4 摺動可能/ロック可能クランプ
5 プレフィルタカートリッジアクセスキャップ
6 タップ
6’ 共通のディスペンサチューブ
7 スイッチ
8 カムドライバ
8A ハンドル
9 ハウジングを有するプレフィルタ
9A プレフィルタ要素(大型濾過)
9B プレフィルタ要素(中型濾過)
9C プレフィルタ要素(小型濾過)
9D プレフィルタサポート10の汚水入口
11 逆洗水出口
12 共通の給水管
13 共通の放出管
14 圧力調整器
15A,15B 第1及び第2の水フィルタ
16 任意な除染ステージ、例えば活性炭フィルタ
17 マルチフロー装置
17’ ピンチバルブ39を伴う別のマルチフロー装置
17A マルチフロー装置17の区画室
18A,18B 位置合わせされた開口部の対
19 レバーの形態を成すクランプ部材
19A レバー19の移動端部
20 カムシャフト
20A カムシャフト20上のカム
21 ホース
21A ホース21の締め付け部分
22 圧力調整器14からスイッチ7の周りの水路23に汚水を輸送するための汚水ホース
23A,23B 事前に濾過された水をプレフィルタ9からマルチフロー装置17を通って第1及び第2の水フィルタ15A、15Bに流すための第1及び第2の水流入ホース
24 管状バー36とタップ6との間に接続された浄水ホース
25A,25B 第1及び第2の逆洗ホース
26A,26B 水フィルタ15A,15Bへの水入口
27A,27B フィルタ15A,15Bの浄水出口
28 第1のカムオンスイッチ7
29 水路23内の汚水ホース22を締め付けるためのスイッチ7のレバー
30 第2のカム29と協働するためのカムドライバの凹部
31 図8の拡大円
32 一方向ラチェット機構
33A,33B 水フィルタ15A,15Bの水洗出口
34 逆洗水出口11を伴う取付具
35 スイッチ7の周りの汚水ホース22のための水路
36 浄水出口27A,27B36Aのホースコネクタに接続された管状バー
37 プレフィルタ要素9Aのための底部プラグ
38 第2のカムオンスイッチ7
39 マルチフロー装置17内のピンチバルブ
40 汚水ホース22のための汚水ピンチバルブ
41 ピンチバルブ39,40の電気コネクタ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11