(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】香り送達を改善するための装置及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20240925BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20240925BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61L9/01 H
A61L9/12
C11B9/00 C
C11B9/00 J
C11B9/00 L
C11B9/00 S
(21)【出願番号】P 2022575195
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021039751
(87)【国際公開番号】W WO2022006197
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス、ラフル
(72)【発明者】
【氏名】ング、デスモンド
(72)【発明者】
【氏名】チャウハン、ガリマ
(72)【発明者】
【氏名】サイニ、ゴーラブ
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511990(JP,A)
【文献】米国特許第08603963(US,B1)
【文献】特表2019-525788(JP,A)
【文献】特開2009-256677(JP,A)
【文献】特表2015-526121(JP,A)
【文献】特表2011-529992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A01M 1/00-99/00
C11B 1/00-15/00
C11C 1/00- 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香り強度調節組成物(RIS組成物)であって、前記RIS組成物が、
前記RIS組成物の5重量%~30重量%の、25℃で40.0Pa(0.3トル)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)、
前記RIS組成物の20重量%~50重量%の、25℃で9.33~40.0Pa(0.07~0.3トル)の平均VPを有する第2のRIS成分、及び
前記RIS組成物の10重量%~45重量%の、25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トル)の平均VPを有する第3のRIS成分を含み、
前記第1のRIS成分、前記第2のRIS成分、及び前記第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)により特徴づけられる、香り強度調節組成物(RIS組成物)。
【請求項2】
前記RIS組成物が、35℃で1×10
4以下のモル嗅覚指数(MOI)により特徴づけられる、請求項1に記載のRIS組成物。
【請求項3】
前記第1のRIS成分が、アルコール含有化合物である、請求項1又は2に記載のRIS組成物。
【請求項4】
前記第1のRIS成分が、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)、3-メチルブタン-2-オール、ブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-2-オール、1-メトキシプロパン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、3-メチルブタン-1-オール、ヘキサ-1-エン-3-オール、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、エチル2-ヒドロキシプロパノエート、2-ブトキシエタノール、エチル3-ヒドロキシブタノエート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載のRIS組成物。
【請求項5】
前記第2のRIS成分が、エステル含有化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載のRIS組成物。
【請求項6】
前記第2のRIS成分が、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のRIS組成物。
【請求項7】
前記第3のRIS成分が、アルコール含有化合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載のRIS組成物。
【請求項8】
前記第3のRIS成分が、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)、メチル2-ヒドロキシ安息香酸、6,8-ジメチルノナン-2-オール、2-フェノキシエタノール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のRIS組成物。
【請求項9】
揮発性組成物であって、前記揮発性組成物が、香り疎水性材料及び請求項1~8のいずれか一項に記載のRIS組成物を含む、揮発性組成物。
【請求項10】
前記揮発性組成物が、担体を含まない、請求項9に記載の揮発性組成物。
【請求項11】
前記揮発性組成物が、35℃で少なくとも10%のMOI低減効率により特徴づけられる、請求項9又は10に記載の揮発性組成物。
【請求項12】
前記香り疎水性材料が、0.01超のCLogPを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項13】
前記揮発性組成物が、前記揮発性組成物の少なくとも20重量%の前記RIS組成物を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項14】
前記香り疎水性材料が、揮発性アルデヒド、ケトン及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の非機能性香料原料を含む香料混合物である、請求項9~13のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項15】
前記揮発性組成物が、香料組成物である、請求項9~14のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項16】
揮発性組成物を送達するための装置であって、前記装置が、
請求項9~15のいずれか一項に記載の揮発性組成物を収容するためのリザーバであって、開口部を含み、前記揮発性組成物は液相を含む、リザーバと、
前記揮発性組成物の前記液相を含有し、かつそこから前記揮発性組成物の前記液相を蒸発させるように構成された送達部材と、
を備える、装置。
【請求項17】
香料組成物であって、
香料混合物と、
香り強度調節組成物(RIS組成物)であって、
前記RIS組成物の5重量%~30重量%の、25℃で40.0Pa(0.3トル)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)、
前記RIS組成物の20重量%~50重量%の、25℃で9.33~40.0Pa(0.07~0.3トル)の平均VPを有する第2のRIS成分、及び
前記RIS組成物の10重量%~45重量%の、25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トル)の平均VPを有する第3のRIS成分を含む、香り強度調節組成物(RIS組成物)と、
を含み、
前記第1のRIS成分、前記第2のRIS成分、及び前記第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)により特徴づけられる、香料組成物。
【請求項18】
前記第1のRIS成分が、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)であり、前記第2のRIS成分が、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)であり、前記第3のRIS成分が、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)である、請求項17に記載の香料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間内の香り送達を改善するための香り強度調節組成物、及びそれを含む装置及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性物質を分配するためのデバイスはよく知られており、部屋のような家庭及び商業施設の空間、又はトイレ、車両の車室空間のような密閉空間の空気のフレッシュニング、悪臭除去若しくは香り付けなどの様々な利点を提供するために一般的に使用される。
【0003】
例えば、芳香油のような1つ以上の揮発性材料を含む揮発性組成物などの揮発性物質を分配するために、エアフレッシュニング製品が設計されている。揮発性組成物は、膜系、芯系及びゲル系システムから揮発性組成物を蒸発させることなどを介し、システムに含まれ、システムを通して分配され得る。しかしながら、このようなエアフレッシュニング製品の問題は、多くの場合には製品寿命にわたって揮発性組成物の蒸発速度に一貫性がないということであり、すなわち、製品使用開始時には揮発性組成物の蒸発速度が高く、製品寿命の終了に向かって蒸発速度が低いことである。
【0004】
具体的には、揮発性組成物は典型的に、高揮発性化合物と、揮発性がより低い他の揮発性化合物(「より低い揮発性化合物」)との混合物を含む。高揮発性化合物は、一般に、より低い揮発性化合物よりも高い蒸気圧を有する。具体的には、所与の温度では、より高い蒸気圧を有する高揮発性化合物は、より低い蒸気圧を有するより低い揮発性化合物よりも容易に蒸発する。使用中、高揮発性化合物は、このような製品の使用の開始時により迅速に蒸発する傾向があり、その一方で、より低い揮発性化合物が後に蒸発すると、製品寿命にわたって揮発性組成物の香り強度及び芳香特性に全体的な一貫性がなくなる。初期蒸発率が高いと、初期の香り強度が圧倒的に強くなる。これは、製品寿命にわたってエアフレッシュニング製品の香り強度が異なっているという認識、又は初期の香り強度が存在しなくなった後に製品が効果を失ったという認識を生じさせる可能性がある。
【0005】
更に、蒸発速度に一貫性がないことの問題は、内部空間内の空気とのユーザの最初の相互作用(以下、「第1のタッチ点」)で悪化する。内部空間は、車両、住宅用建物、商業用建物又は住宅/商業用建物の任意の部分又は部屋であり得る。
【0006】
典型的には、第1のタッチ点の空気は、内部空間内の既存の又は優勢な臭気の混合物である。これは、空間に入った際、すなわち内部空間の入口に不快な第1のタッチ点をユーザに作り出す可能性がある。更に、特に訪問者が内部空間に入るとき、不快な第1のタッチ点が存在することもまた、内部空間内でのその後の関わり及び活動に好ましくない印象を生じる。
【0007】
場合によっては、例えば、揮発性フレッシュニング組成物などの揮発性組成物の蒸発速度を低下させるために、溶媒及び希釈剤などの担体が用いられる。揮発性の高いフレッシュニング組成物では、フレッシュニング組成物の蒸発を減速させるために高濃度の担体を使用してもよい。フレッシュニング組成物の蒸発速度を低下させるために担体及び他の材料を添加すると、フレッシュニング組成物中の香料材料の濃度が著しく低下する場合もあり、フレッシュニング組成物及び香り強度の特徴が変化する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、揮発性組成物に使用されて、第1のタッチ点での揮発性組成物の香り送達を改善することができ、かつ/又は揮発性組成物の配合物又は特徴を著しく変化させることなく、揮発性組成物の蒸気圧に関係なく長持ちする香りを提供する香り強度調節組成物を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、香り強度調節組成物(RIS組成物)に関し、RIS組成物は、
25℃で40.0Pa(0.3トル)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)、
25℃で9.33Pa~40.0Pa(0.07~0.3トル)の平均VPを有する第2のRIS成分、及び
25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トル)の平均VPを有する第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを含み、
第1、第2及び第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)により特徴づけられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の成分の斜視図である。
【
図2】装置が支持体上に配置されているとき、
図1に示される装置の水平配向における側断面図である。
【
図3】装置が支持体上に配置されているとき、
図1に示される装置の垂直配向における側断面図である。
【
図4】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例の前方斜視図である。
【
図8】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例である。
【
図9A】起動前の、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の変形例の側断面図である。
【
図10】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例である。
【
図11】入口における住宅環境の内部空間に使用される、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の正面斜視図である。
【
図12】比較組成物(香料混合物Xのみ)及び発明組成物(RIS組成物及び香料混合物X)の香料蒸発結果を時間の関数としてプロットしたグラフである。
【
図13】比較組成物(香料混合物Yのみ)及び発明組成物(RIS組成物及び香料混合物Y)の香料蒸発結果を時間の関数としてプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、香り強度調節組成物(以下、「RIS組成物」)及び内部空間内の香り送達を改善するための揮発性組成物中のRIS組成物の使用に関する。
【0012】
香料原料(以下、「PRM」)は、典型的には、揮発性組成物中に香りを提供するために使用される。具体的には、揮発性組成物は典型的に、高揮発性RISと、揮発性がより低い他の揮発性RISとの混合物を含む。高揮発性RISは、一般に、より低い揮発性RISよりも高い蒸気圧を有する。具体的には、所与の温度では、より高い蒸気圧を有する高揮発性RISは、より低い蒸気圧を有するより低い揮発性RISよりも容易に蒸発する。しかし、PRMの蒸気圧のために、高揮発性RISは、このような製品の使用の開始時により迅速に蒸発する傾向があり、その一方で、より低い揮発性RISが後に蒸発すると、製品寿命にわたって揮発性組成物の香り強度及び芳香特性の全体的な一貫性が損なわれる。初期蒸発率が高いと、初期の香り強度が圧倒的に強くなり、これは、製品寿命にわたってエアフレッシュニング製品が異なる香り強度を有している、又は初期の香り強度が存在しなくなった後に製品が効果を失ったという認識が生じ得る。
【0013】
本発明は、本発明のRIS組成物が25℃における平均蒸気圧(VP)が40.0Pa(0.3トル)より大きい第1の香り強度調節成分(RIS成分)、25℃で9.33Pa~40.0Pa(0.07~0.3トル)の平均VPを有する第2のRIS成分、及び、25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トル)の平均VPを有する第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを含むという驚くべき発見に基づき、第1、第2、及び第3のRIS成分のそれぞれが、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)を特徴とし、PRMを含む揮発性組成物に添加して、環境(すなわち、揮発性組成物が配置される内部空間)からの温度及び/又は気流の影響を受けることなく、PRMを初期蒸発速度及び香りの強度を減少させて経時的に送達することができる。
【0014】
第1、第2及び第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを有するRIS組成物の技術的効果は、単一のRIS成分の代わりに25℃で異なる平均蒸気圧を有する各RIS成分が、少なくとも2つのRIS成分のそれぞれが、揮発性組成物中の異なる個々の蒸気圧を有する個々の揮発性化合物のそれぞれの蒸発速度を遅くするために個別に作用することができることである。具体的には、第1のRIS成分は、25℃で40.0Pa(0.3トル)未満の蒸気圧を有する第1の揮発性化合物よりも速く蒸発し、それによって第1の揮発性化合物の蒸発速度を遅延させることができる。したがって、第2のRIS成分は、25℃で9.33Pa(0.07トル)未満の蒸気圧を有する第2の揮発性化合物よりも速く蒸発することができ、第3のRIS成分は、25℃で1.3199Pa(0.0099トル)未満の蒸気圧を有する第3の揮発性化合物よりも速く蒸発することができる。
【0015】
揮発性化合物は、内部空間に利益を提供するために蒸発するように設計され得る。揮発性化合物のうちの1つ以上は、内部空間において利益を送達するための有益剤であり得る。有益剤は、香りの利益を提供するための香料、悪臭を除去するための悪臭中和剤を含み得るが、これらに限定されない。揮発性化合物の蒸発速度を遅延させる技術的効果は、揮発性成分の利益の制御放出を可能にすることである。更に、RIS成分の各々は、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)を有することによって非臭気であるように設計されている。
【0016】
本発明を詳細に説明する目的で、以下に記載されるRIS組成物は、内部空間に香り利益を送達するための香料原料(PRM)を有する揮発性組成物を配合するために使用され、したがって、揮発性組成物は、香料組成物として記載される。RIS組成物はまた、連続的なエネルギー非印加様式で内部空間の空気をフレッシュニングするためのPRMを用いて揮発性組成物を配合するために使用され得、したがって、揮発性組成物は、エアフレッシュニング組成物として記載される。しかしながら、RIS組成物は、内部空間に利益をもたらすために、様々な用途で使用するように構成され得ることが企図される。本発明を詳細に説明するのに先立ち、説明を分かりやすくために以下の用語を定義する。定義されない用語には、関連する技術分野の当業者によって理解される通常の意味が与えられるべきである。
【0017】
本明細書で使用される「臭気検出閾値(ODT)」は、ヒトの鼻によって検出され得る材料の最小濃度を指し、2017年11月28日に公開されたThe Procter & Gamble Companyの名称で発行された米国特許第9,827,342B2号に記載されているODT法に従って決定される(以下、米国特許第9,827,342号)。具体的には、個々の香料原料(PRM)又は個々のRIS成分のODTは、所与のPRM又は所与のRIS成分の分子構造に直接基づいて、米国特許第9,827,342号に概説されている試験方法を使用して計算することができ、ppb単位で表すことができる。ODTは、「winMolconn」と題されたソフトウェアを決定し、市販されており、ソフトウェアプロバイダ-Hall Associates Consulting、Quincy、Mass.、U.S.A.、www.molconn.comにより提供されるバージョン-10.1.3を提供することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「モル嗅覚指数(MOI)」は、材料の臭気強度を以下に記載される式に基づく値に定量化する指数を指す。より高いMOI値を有する組成物は、より低いMOI値を有する別の組成物と比較して、より高い臭気強度と相関する。したがって、より高いMOI値を有する香料組成物は、より低いMOI値を有する別の香料組成物と比較して、より高い香り強度に対応する。
【0019】
用語「ClogP」は、本明細書で使用される場合、PRMのlogP計算値(「ClogP」)を指す。PRMのオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中におけるその平衡濃度間の比である。フレッシュニング組成物において使用されるPRMの分配係数は、より簡便には、底が10の対数の形態であるlogPで示すことができる。ClogPは、分子構造に直接基づいて、一般的な有機分子についてのオクタノール-水分配係数(logP又はlogKow)を計算するモデルによって求められる。LogPは、2つの不混和性液相であるオクタノールと水との間の溶質の分布の尺度であり、溶質の疎水性の相対的尺度として一般に使用される。PRMのLogPを計算する1つの方法は、Advanced Chemistry Development,Inc.製のACD/Labs LogPソフトウェアモジュールを使用している。logPの計算の詳細は、ACD/Labsウェブサイト(https://www.acdlabs.com/products/percepta/predictors/logp/)で見出すことができる。ACD/LabsLogPソフトウェアモジュールを使用して計算するPRMのLogP値及びPRMのLogP値は、以下の実施例に記載される本発明において有用なPRMの選択に使用される。しかしながら、LogPを測定する別の好適な方法は、BioByteCorp製の「ClogP」プログラム(例えば、ClogPバージョン4.0及びマニュアル1999)を使用することであることが理解されるであろう。CLOG P USER GUIDE、バージョン4.0、BioByteCorp(1999)(http://www.bio-byte.com/bb/prod/clogp40.html)。LogPを測定する更なる好適な方法は、Daylight Chemical Information Systems,Inc.(AlisonViejo,CA)製のCLOGPプログラムを使用する。CLOGP Referenceマニュアル、Daylightバージョン4.9、リリース日2008年2月1日。
【0020】
本明細書で使用される場合、「水平方向」は、膜が上向き又は下向きの位置で環境に面する、本発明に基づくエアフレッシュニング製品の位置を指す。
【0021】
「内部空間」とは、住宅環境、商業環境又は車両環境を含むがこれらに限定されない環境における空間の有限容積を指す。内部環境は、住宅環境又は商業環境内の部屋、例えば、衛生施設などであり得る。衛生施設としては、浴室、トイレ、トイレを含む浴室、ロッカー室を挙げることができる。内部環境はまた、例えば、シューキャビネット、ワードローブ、ジムロッカーを含むがそれらに限定されない個人用品目を保管するための家具などの密閉空間でもあり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「膜」は、物質の特定の成分は通過させるが、他の成分は止める、半透過性材料を指す。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分を他の成分よりも速く透過させる)。かかる成分としては、分子、イオン又は粒子を挙げることができる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「微多孔膜」は、細孔の網状組織を有する材料を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「自然対流」とは、水などの液体又は空気などの気体の流れや動きのタイプを指し、その中で流体の運動が、(ポンプ、ファン、吸引デバイスなどのような)いかなる外部のソースによっても生成されず、流体のうち、他の部分よりも重い一部によって生成されるものを指す。
【0025】
「エネルギー非印加」は、製品が受動的であり、外部のエネルギー源によって動力を付与される必要がないことを意味する。特に、製品は、熱源、ガス又は電流によって動力を付与される必要はない。製品は、エネルギー印加デバイスとして構成されてもよい。例示的なエネルギー印加デバイスは、電気式デバイスであってもよい。エネルギー印加デバイスは、フレッシュニング組成物を輸送し、かつ/又はフレッシュニング組成物をそこから蒸発させるための、以下の説明文で述べるような芯及び/又は膜を有する、自動車の電気コンセント又は電池で動作するエアフレッシュナー、あるいは他の加熱デバイス(例えば、触媒燃料システムなどの化学反応により動力付与されるデバイス、太陽光により動力付与されるデバイスなど)であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「透過性材料」とは、液体又は気体が通過することを可能にする任意の材料を指し、乾燥壁、壁紙、木材、ビニル、プラスチック、プラスタ、ウォールボード、布地、室内装飾材料、紙、織布、天然ポリマー、合成ポリマー及び無機材料、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。透過性材料はまた、無生物表面上に形成された残留物を含んでもよく、無生物表面上の粉塵粒子又はグリースを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「無生物表面」という用語は、限定されるものではないが、布地、カーペット、また床、壁、カーペットパッド、タオルなどの家庭内にある表面を含む表面を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「垂直方向」は、膜が前方に面する位置又は後方に面する位置で環境に面する、本発明によるエアフレッシュニング製品の位置を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「揮発性材料」は、更なるエネルギー源を必要とすることなく室温及び大気圧で揮発可能な材料を指す。組成物は、これらに限定されるものではないが、エアフレッシュニング、脱臭、臭気除去、悪臭中和、害虫防除、殺虫、防虫、薬剤/薬、消毒剤、殺菌、気分向上効果、アロマセラピー助剤、香り付き組成物、香り付きではない組成物又はその場所の空気若しくは環境を調整、改質、若しくは他の形で変化させるように作用するフレッシュニング組成物を必要とする他の任意の使用法を含む、様々な用途に合わせて構成することができる。更に、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。任意の好適な組成物を、任意の量又は液体、固体、ゲル、若しくはエマルションを含む任意の形態で使用することができる。本明細書での使用に好適な材料には、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性化合物が含まれてもよい。本明細書において組成物が、「送達される」、「発散される」、又は「放出される」ものとして述べられる場合、これは、組成物の揮発性成分の揮散を指し、組成物の不揮発性成分が発散される必要はない点も理解されるべきである。
【0030】
本明細書で使用される場合、「香料組成物」は処理(例えば、悪臭を排除又は低減/最小化することを意図する)、心地よい香りを送達すること、及び/又は内部空間内の空気をフレッシュニングすることを意図する、1つ以上の香り原料(PRM)を含む香料組成物を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「フレッシュニング組成物」は香料組成物を含む組成物を意味する。フレッシュニング組成物は、フレッシュニング組成物を送達するためのデバイスと共に又は用いずに使用され得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「タッチ点」は揮発性組成物と揮発性組成物の消費者との間の接触点又は相互作用点を指す。
【0033】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列挙されている成分に関するとき、こうした重量は全て、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。本明細書で使用される場合、全ての分子量は、別途記載のない限り、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0034】
I.揮発性組成物
本発明による揮発性組成物は、香り疎水性材料及びRIS組成物を含む。好ましくは、揮発性組成物は、担体を実質的に含まない。
【0035】
RIS組成物と香り疎水性材料との総重量比は、所望の香り強度プロファイルを達成するために、有効重量比で配合され得る。
【0036】
揮発性組成物は、香料組成物、好ましくはフレッシュニング組成物、より好ましくは、内部空間に香りを送達するためのエアフレッシュニング組成物であり得る。エアフレッシュニング組成物は、好ましくはエネルギー非印加エアフレッシュナー、より好ましくは連続エネルギー非印加エアフレッシュナーに含まれ得る。
【0037】
揮発性組成物は、香り強度を調節するように適合された有効量のRIS組成物を含み得る。揮発性組成物は、揮発性組成物の少なくとも20重量%、好ましくは20重量%~90重量%、より好ましくは30重量%~80重量%のRIS組成物を含み得る。
【0038】
揮発性組成物中でRIS組成物を提供する技術的効果は、香り疎水性材料の香り強度が低減されて、特に、全ての温度及び空気流量での第1のタッチ点における、空間内の香りの体験を改善することである。
【0039】
具体的には、RIS組成物が香料ノートグループの混合物(トップ、ミドル、ボトムノート)を含む香料組成物で使用するように設計されている場合、RIS成分の各々は、それぞれの標的香料ノートグループよりも速く蒸発することによって各それぞれの標的香料ノートグループの蒸発速度を遅くするように平均蒸気圧に従って選択され得る。以下の表1は、そのそれぞれの標的香料ノートグループ及び蒸気圧を有する例示的なRIS成分を示す。
【0040】
【0041】
第1、第2又は第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを含むRIS組成物は、香料原料の各それぞれの群の蒸発速度を測定可能に低下させ、主に、PRMの蒸気圧に依存し、香料組成物に担体を添加する、又は香料組成物の蒸発速度を低下させるために香料組成物の量を低減するのに対して、PRMの対応する群内の1つ以上のPRMよりも速く蒸発するRIS組成物によって、香料組成物の蒸気放出速度の低下を可能にすることができる。これにより、内部空間の(例えば、実施例下で以下に記載される結果で示される内部環境内の内部空間の環境をシミュレートすることによってヘッドスペース試験によって)香料組成物のより一貫した蒸発プロファイルを可能にし、それによって、改善された香り送達を生成する。
【0042】
具体的には、RIS組成物は、RIS組成物を含まない香料組成物に対して低香料又は非香料であるように構成され得る。具体的には、RIS組成物は、香料組成物に対してより低いモル嗅覚指数(MOI)を有し得る。本明細書で使用される場合、「モル嗅覚指数(MOI)」は、材料の臭気強度を、以下に記載されるMOI式に従って値に定量化する指数を指す。より高いMOI値を有する揮発性組成物は、より低いMOI値を有する別の組成物と比較して、より高い臭気強度と相関する。したがって、より高いMOI値を有する揮発性組成物は、より低いMOI値を有する別の揮発性組成物と比較してより高い香り強度に対応する。
【0043】
揮発性組成物のモル嗅覚指数(MOI)は、例えば、連続エネルギー非印加エアフレッシュナー、具体的には蒸発性エアフレッシュナーにおいて使用するためのエアフレッシュニング組成物の所望の香りプロファイルを特定するように決定され得る。
【0044】
具体的には、揮発性組成物のMOIは、以下の式(I)によって定義されるモル嗅覚指数(MOI)を特徴とし得る。
【0045】
【数1】
(式中、
i=RIS組成物中のRIS成分、
x
i=RIS成分iのモル分率、
【0046】
【数2】
y℃でのRIS成分iの飽和蒸気圧;
ODT
I=RIS成分I(ppb)の臭気検出閾値、
j=香料混合物中の成分、
x
i=成分jのモル分率、
【0047】
【数3】
y℃での成分jの飽和蒸気圧;
ODT
i=成分j(ppb)の臭気検出閾値、
y=特定の温度の数値。
【0048】
揮発性組成物は、35℃で少なくとも10%のモル嗅覚指数(MOI)低減効率を特徴とし得る。揮発性組成物のMOI低減効率は、以下の式(II)に従って決定される。
【0049】
MOI低減効率=
【0050】
【0051】
具体的には、MOI低減効率は、RIS組成物及び香り疎水性材料を含むがRIS組成物を含まない揮発性組成物と比較して香り疎水性材料を含む揮発性組成物の香り強度の低下を決定する。RIS組成物のMOIを決定するための方法は、揮発性組成物中のそれぞれの成分に従って以下に記載される。
【0052】
RIS組成物はまた、揮発性組成物のMOIを変化させるために有効量で添加され得る。具体的には、RIS組成物の90%の添加によってMOIを低減し、85%のMOI低減効率が達成される。より高い香り強度が好ましい場合、RIS組成物は、それに応じて調整することもできる。したがって、RIS組成物の使用は、広いパレットの香り強度を配合して、消費者の好みに基づいてより高い香り強度を有する低香料エアフレッシュニング組成物及び/又はエアフレッシュニングの広い製品範囲を提供する際の柔軟性を提供する。
【0053】
理論に拘束されることを望まないが、RIS組成物の使用は、香り強度を低減するために以下の表2に列挙されている3,5,5-トリメチルヘキシル酢酸、3,7-ジメチルオクタ-1、6-ジエン-3-オール及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールなどの従来の希釈剤の使用に対して、第1/第2/第3のRIS成分のうちの少なくとも2つの組み合わせを有するRIS組成物が、香り特徴に影響を与えることなく、トップ/ミドル/ボトムノートのうちの少なくとも2つの蒸発を遅延させる。
【0054】
【0055】
表2を参照すると、希釈剤、3,5,5-トリメチルヘキシル酢酸及び3,7-ジメチルオクタ-1、6-ジエン-3-オールは、個別に又は組み合わせた状態では、35℃で1×104以下のMOIを有さない。3,5,5-トリメチルヘキシル酢酸を単一の希釈剤として使用すると、トップノートの前に、これが使用開始時に揮発性組成物から蒸発し、ミドル及びボトムノートの蒸発は制御されることがないため、トップノートの蒸発速度のみが遅延され、ミドル及びボトムノートは遅延されない。同様に、単一の希釈剤として3,7-ジメチルオクタ-1、6-ジエン-3-オール及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールを使用すると、蒸気圧の観点から、それぞれミドルノート及びボトムノートに対処するだけである。3,5,5-トリメチルヘキシル酢酸、3,7-ジメチルオクタ-1、6-ジエン-3-オール及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールの組み合わせは、35℃(4.00×104)で1×104を超えるMOIを有し、この組み合わせの香り強度を意味し、トップ、ミドル及びボトムノートを有する香料混合物に添加される場合、香料混合物の香り特徴に影響を与え得る。
【0056】
本発明による香料組成物は、香料混合物と、25℃で40.0Pa(0.3トル)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)を含む香り強度調節組成物(RIS組成物)と、を含み、
25℃で9.33~40.0Pa(0.07~0.3)トルの平均VPを有する第2のRIS成分、
25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トル)の平均VPを有する第3のRIS成分の少なくとも2つを含み、
第1、第2及び第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)により特徴づけられる。
【0057】
第1のRIS成分と第2のRIS成分又は第3のRIS成分との組み合わせの技術的効果は、例えば、
図11に示すように、香料組成物を含む装置が住宅内装空間の入口に配置される場合など、第1のタッチ点で非常に重要な(「過度に強い香り」)圧倒されない香料組成物の人の初期印象を形成するために急速に蒸発するトップノートよりも速く蒸発することによって、第1のRIS成分が「ちょうどいい」香りの強度の送達を改善することができることである。
【0058】
A.RIS組成物
RIS組成物は、35℃で1×104以下のモル嗅覚指数(MOI)を特徴とし得る。MOIは以下の式(III)によって定義される。
【0059】
【数5】
式中、iそれぞれのRIS成分であり、
x
i=RIS成分iのモル分率、
【0060】
【数6】
35℃でのRIS成分iの飽和蒸気圧、及び
ODT
i=RIS成分i(ppb)のODT。
【0061】
高い蒸気圧を有する高度に揮発性の化合物は、より低い温度と比較して高温でより迅速に気化する。具体的には、35℃で1×104以下のMOIを有するRIS組成物は、RIS組成物の蒸発が、内部空間に送達される全体的な香りに対して最小の影響を及ぼさない、又は有していないことを意味する。その結果、香料の特徴に影響を与えることなく、より高い温度で香料組成物における改善されたノート抑制があり、同時に香り強度を低下させる。本発明による本発明の香料組成物は、以下の実施例、具体的には実施例Iに記載の結果で示される、RIS組成物を含まない香料組成物に対して(香り強度の低下に対応する)低減されたMOIを有し、以下の表3は、本発明による例示的なRIS組成物を列挙する。
【0062】
【0063】
第1のRIS成分対第2のRIS成分の総重量比は、35℃で1×104以下のMOIを達成するために、有効重量比で配合され得る。更に、第1のRIS成分、第2のRIS成分、及び第3のRIS成分の総重量比は、35℃で1×104以下のMOI未満のMOIを達成するために、有効重量比で配合され得る。
【0064】
第1のRIS成分
RIS組成物は、RIS組成物の重量で25℃で40.0Pa(0.3トル)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1のRIS成分の有効量を含み得る。具体的には、第1のRIS成分は、トップノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。具体的には、第1のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも5%、5%~30%、10%~25%、15%~25%、20%~25%の重量、又は上記の上限及び下限のパーセンテージの異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってもよい。第1のRIS成分は、アルコールを含むアルコール含有化合物であり得る。具体的には、第1のRIS成分は、C4~C8アルコールであり得る。
【0065】
第1のRIS成分は、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)、3-メチルブタン-2-オール、ブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-2-オール、1-メトキシプロパン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、3-メチルブタン-1-オール、ヘキサ-1-エン-3-オール、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、エチル2-ヒドロキシプロパノエート、2-ブトキシエタノール、エチル3-ヒドロキシブタノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、より好ましくは、MMB、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール及びそれらの混合物から選択されてもよく、更により好ましくはMMBであってもよい。
【0066】
第1のRIS成分に好適な化合物の物理化学的特性を以下の表4に列挙する。
【0067】
【0068】
第2のRIS成分
RIS組成物は、RIS組成物の重量で25℃で約9.33~約40.0Pa(約0.07~約0.3トル)の平均蒸気圧(VP)を有する第2のRIS成分の有効量を含み得る。具体的には、第2のRIS成分は、ミドルノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。具体的には、第2のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも20%、20%~50%、25%~50%、30%~45%、40%~45%重量、又は上記の上限及び下限のパーセンテージの異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってもよい。第2のRIS成分は、エステル含有化合物であり得る。本明細書で使用される場合、「エステル含有化合物」という用語は、1つ以上のアシル基を含む化合物を指し、化合物は、以下の構造を含み得る:
【0069】
【化1】
(式中、
R1及びR2は、置換若しくは非置換の飽和又は不飽和アルキル鎖、置換若しくは非置換シクロアルキル、及び置換若しくは非置換アリールの群から選択され、好ましくは置換又は非置換の飽和又は不飽和アルキル鎖の群から選択される。
【0070】
具体的には、第2のRIS成分は、C6~C12エステル含有化合物であり得る。
【0071】
第2のRIS成分は、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)、エチル3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジメチルブタンジオエート、ジエチルプロパンジオエート、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパンジオエート、ジプロパン-2-ヘキサンジオエート、(4-メトキシフェニル)メチルホルメート、エチル3-ヒドロキシヘキサノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、より好ましくは、DMA、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパンジオエート及びそれらの混合物から選択されてもよく、更により好ましくはDMAであってもよい。
【0072】
第2のRIS成分の好適な化合物の物理化学的特性を以下の表5に列挙する。
【0073】
【0074】
第3のRIS成分
RIS組成物は、RIS組成物の重量で25℃で約1.3199~約9.33Pa(約0.0099~約0.07トル)の平均蒸気圧(VP)を有する第3のRIS成分の有効量を含み得る。具体的には、第3のRIS成分は、ボトムノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。第3のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも10%、10%~45%、15%~45%、20%~40%、30%~40%重量、又は上記の上限及び下限のパーセンテージの異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってもよい。第3のRIS成分は、アルコール含有化合物であり得、好ましくは、第3のRIS成分は、C5~C10アルコールである。第3のRIS成分は、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、メチル2-ヒドロキシ安息香酸、6,8-ジメチルノナン-2-オール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、1-(1-メチル-2-プロポキシエトキシ)プロパン-2-オール、1-(2-ブトキシ-1-メトキシ)プロパン-2-オール及びそれらの混合物からなる群から選択され、DPM、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、及びそれらの混合物、更により好ましくはDPMであってもよい。
【0075】
【0076】
B.香り疎水性材料
揮発性組成物は、所望の香り特性を提供し、揮発性組成物中に均一に可溶化されて一貫した香り特性をもたらし得るような有効量で配合された香り疎水性材料を含む。
【0077】
香り疎水性材料は、0.01超、好ましくは0.01~6.5、より好ましくは0.5~5.5のClogPを有し得る。
【0078】
香り疎水性材料は、1つ以上の非機能性香料原料を含む香料混合物であり得る。非機能性香料原料(「非機能性PRM」)は、その香料、香り又は快楽的利益のみに利用され、上記の第1、第2、及び第3のRIS成分のいずれも含まない。
【0079】
RIS組成物のMOIを決定するために上記に記載された式(III)は、例えば、連続的なエネルギー非印加エアフレッシュナー、具体的には蒸発性エアフレッシュナーにおいて、芳香トップ、ミドル、ボトムノートを含む香料混合物のPRMを選択する際に使用するために修正され得る。
【0080】
具体的には、1つ以上のPRMを有する香料混合物などの香り疎水性材料のMOIは、以下の式(IV)によって定義されるモル嗅覚指数(MOI)によって特徴付けられ得る。
【0081】
【数7】
(式中、
j=香料混合物中の成分、
x
i=成分jのモル分率、
【0082】
【数8】
y℃での成分jの飽和蒸気圧;
ODT
i=成分j(ppb)の臭気検出閾値、
y=特定の温度の数値。
【0083】
1つ以上の非機能性PRMは、環状エチレンドデカンジオエート、4-ターシャリーブチルシクロヘキシル酢酸又はバーテネックス(商標)、グリコール酸アリルアミル、カプロン酸アリル、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、ヘプタン酸アリル、アンバーエクストリーム、アンブロックス、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソアミル、アネトールusp、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、シス-3-ヘキセン-1-オール、ベータナフトールメチルエーテル又はネロリン、カラメルフラノン、カリオフィレンエクストラ、シンナマルバ(商標)又はシンナミルニトリル、酢酸シンナミル、シンナミルニトリル、酪酸シス-3-ヘキセニル、シス-3-ヘキセニル酢酸、酪酸シス-3-ヘキセニルアルファメチル、シス-6-ノネン-1-オール、シトラタル又はシトラールジエチルアセタール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、酪酸シトロネリル、クローナル又はドデカンニトリル、コラノール又は2,2-ジメチルシクロヘキサンプロパノール、クマリン、クミンニトリル、クミンアルコール、イソ酪酸トリシクロデセニル又はシクラブト、シクロヘキシルエチル酢酸、ジヒドロミルセノール、ジメチルアントラニレート、ジメチルベンジルカルビニル酢酸、ジメチル-2,6-ヘプタン-2-オール又はフリージオール、サンダルペンテノール又はエバノール、ペンタン酸エチル-2-メチル、アセト酢酸エチル、リナロールエチル、マルトールエチル、エチルフェニルグリシデート、エチルバニリン、酪酸エチル-2-メチル、ユーカリプトール、オイゲノール、酢酸フロール、オゾンプロパナール又はフロロオゾン、フルクタレート(商標)又はラズベリージカルボキシレート、ゲラニオール又はトランス-3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、グリサルバ(商標)又はアンバーフラン、ハバノライド(商標)又は(E)-12-ムスクデセノン、ヘルベトリド(商標)又はムスクプロパノエート、酢酸ヘキシル、酪酸ヘキシル-2-メチル、インドカラー(商標)又は酢酸1-フェニルビニル、酢酸イソボルニル、酢酸イソオイゲニル、ミリスチン酸イソプロピル、酪酸イソアミル、イソオイゲノール、クマラクトン(商標)又はジヒドロミントラクトン、レアボトリサンドール又はサンドラノール、レモニル(商標)又はホモゲラニルニトリル、レビスタメル(商標)又はメシテンラクトン、リナロール、酢酸リナリル、イソ酪酸リナリル、リモレン又はジヒドロミルセノール、メントール、メチルジオキソラン又はフルクトン(商標)、メチルイソブテニルテトラヒドロピラン、メチルパンプルムース(商標)又はグレープフルーツアセタール、メチルフェニルカルビニル酢酸又はスチラリル酢酸、メチルサリチル酸、モンタヴェルジ(商標)又はグリーンシクロプロピオン酸、ムゲタノール(商標)又はムゲエタノール、ネオカスピレン、ネオフォリオン又はメロンノネノエートネロリドール、オレンジテルペン、オルシニル-3又は3-メトキシ-5-メチルフェノール、オキサン(商標)又はシス-ガルバナムオキサチアン、パラクレシルメチルエーテル又はパラメチルアニソール、パチョリ、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、ポリサントール(商標)又はサントールペンテノール、プレニル酢酸、ソーヴィニョン(商標)又は5-メルカプト-5-メチル-3-ヘキサノン、スクラレオレート(商標)又はクラリープロピオン酸、シソリア、ストローベリフ(商標)又は2-メチル-2-ペンテン酸、テルピノレン又は4-イソプロピリデン-1-メチルシクロヘキセン、テトラヒドロムグオール(商標)又はシトラスオシメノール、テサロン(商標)(1R,6S)-2,2,6-トリメチル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、タバコロール(商標)又は5-テトラメチルオキサトリシクロドデカン、ウンデカベルトール(商標)又はバイオレットデセノール、ベルドックス(商標)又はグリーン酢酸、verduralB(商標)又は(Z)-3-ヘキセン-1-イルイソ酪酸、バイオレットタイン(商標)又はバイオレットジエン、バイオリフ(商標)又はバイオレットメチルカーボネート、及びそれらの混合物らなる群から選択され得、好ましくは、1つ又は複数の非機能性香料原料は、ホモゲラニルニトリルである。
【0084】
1つ以上の非機能性PRMは、揮発性アルデヒド、ケトン及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0085】
1つ以上の非機能性PRMは、
アドクサル(商標)(2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール)、ブルジョナル(商標)(4-t-ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド)、Lilestralis33(商標)(2-メチル-4-t-ブチルフェニル)プロパナール)、ケイ皮アルデヒド、シンナムアルデヒド(フェニルプロペナール、3-フェニル-2-プロペナール)、シトラール、ネラール(ジメチルオクタジエナール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール)、CyclalC(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド)、Florhydral(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、シトロネラール(3,7-ジメチル6-オクテナール)、サイマール(2-メチル-3-(パラ-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド)、シクラメンアルデヒド、ライムアルデヒド(α-メチル-p-イソプロピルフェニルプロピルアルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド、アルデヒドC12 MNA(2-メチル-1-ウンデカナール)、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール水和物(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール)、ヘリオナル(商標)(3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール);2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール)、イントレレブンアルデヒド(ウンデク-10-エン-1-アル)、リグストラル(商標)(2,4-ジメチルシクロヘキセン-3-エン-1-カルボアルデヒド)、トリバータル(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボアルデヒド)、ジャスモーレンジ(商標)又はサチンアルデヒド(2-メチル-3-トリルプロイオンアルデヒド、4-ジメチルベンゼンプロパナール)、Lyral(商標)(4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド)、メロナル(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、メトキシシンナムアルデヒド(トランス-4-メトキシシンナムアルデヒド)、ミラクルデット(商標)(イソヘキセニルテトラヒドロベンズアルデヒド)、トリファーナル(商標)(3-メチル-4-フェニルプロパナール、3-フェニルブタナール)、リリアール(3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール)、ベンゼンプロパナール(4-tert-ブチル-アルファ-メチル-ヒドロシンナムアルデヒド)、デュピカル(商標)(ミュゲブタナール)、トリシクロデシリデンブタナール(4-トリシクロ5210-2,6デシリデン-8ブタナール)、メラフルール(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、メチルオクチルアセトアルデヒド、アルデヒドC-11MOA(2-メチルデカ-1-アル)、オニシダール(商標)(2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミュゲアルデヒド50(商標)(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、メフラナル(商標)(3-メチル-5-フェニルペンタナール)、ジメチルテトラヒドロベンゼンアルデヒド(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド)、2-フェニルプロピオンアルデヒド、ヒドロトロプアルデヒド(2-フェニルプロピオンアルデヒド)、カントキサール(商標)(パラアニシルプロパナール)、アニシルプロパナール4-メトキシ-α-メチルベンゼンプロパナール(2-アニシリデンプロパナール)、サイクルモンA(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、プレサイクルモンB(商標)(1-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド)、それらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの揮発性アルデヒドを含み得、好ましくは、1つ以上の非機能性香料原料は、メロナル(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、フローラヒドラール(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。1つ以上の非機能性香料原料は、以下:イソジャスモン、メチルベータナフチルケトン、ムスクインダノン、トナリド(商標)又はムスクテトラリン、アルファダマスコン、ベータダマスコン、デルタダマスコン、イソダマスコン、ダマスセノン、ジヒドロジャスモン酸メチル、メントン、カルボン、樟脳、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、ジヒドロ-β-イオノン、γ-メチルイオノン、α-メチルイオノン、n-β-メチルイオノン異性体、フルラモン(商標)又は2-ヘプチルシクロペンタン-1-オン、ジヒドロジャスモン、シス-ジャスモン、イソ-e-スーパー(商標)又はパチョリエタノン、メチルセドリルケトン又はメチルセドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-ベータ-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラヒドロキシフェニルブタノン、セロリケトン又はライブコーン(商標)、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメンテ(商標)又は2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,-テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルナン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5h)-インダノン、4-ダマスコール(商標)又はペッパーヘキサノン、ダルシニル(商標)又は4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)ブタン-2-オン、ゲルソン(商標)又は2-アセチルオクタン酸エチル、ヘキサロン(商標)又はアリルアルファイオノン、メチルシクロシトロン(商標)又は1-(3,5,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)エタノン、メチル-ラベンダー-ケトン(商標)又は3-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、オリボン(商標)又は4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、パラ-ターシャリー-ブチル-シクロヘキサノン、ベルドン(商標)又は2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-オン、デルフォン(商標)又は2-ペンチルシクロペンタン-1-オン、ムスコン、ネオブテノン(商標)又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセニル)ペンタ-4-エン-1-オン、プリカトン(商標)又はオクタヒドロ-7-メチル-1、4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、ベロトーン(商標)又は2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、テトラメラン(商標)又はフローラルウンデセノン、ヘディオン(商標)又はジヒドロジャスモン酸メチル、ガンマウンデカラクトン、ガンマデカラクトン、ガンマオクタラクトン、エチレンブラシレート、ペンタデカノリド、メチルノニルケトン、シクロペンタデカノン、3,4,5,6-テトラヒドロシュードイオノン、8-ヘキサデセノリド、ジヒドロジャスモン、5-シクロヘキサデセノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのケトンを含み得、好ましくは1つ以上の非機能性香料原料は2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オンである。
【0086】
C.活性剤
揮発性組成物は、活性剤を含み得る。活性剤は、清浄、表面ケア保護、布地コンディショニング又は柔軟、布地のリフレッシュ、しわ取り、エアフレッシュニング、空気脱臭、悪臭除去、又は内部空間での同様の効果をもたらす。活性剤は、水又は脱イオン水を含まない。フレッシュニング組成物では、活性剤は真の悪臭除去効果をもたらし得る。真の悪臭除去効果は、感覚的及び分析的の両方により(例えばGCにより)測定可能な悪臭低下として定義される。したがって、エアフレッシュニング組成物が真の悪臭除去効果をもたらす場合、エアフレッシュニング組成物は、単に臭気を隠す又はマスキングするために香料を用いることにより機能するわけではない。エアフレッシュニング製品が悪臭制御剤と共に提供される場合、エアフレッシュニング製品は、数種の臭気制御機構のうちの1つ以上を用いてもよい。1つの好適な悪臭制御剤は、シクロデキストリンである。
【0087】
また、活性剤は、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、ポリマー、シクロデキストリン、過酸化水素、緩衝剤、亜鉛イオンなどの悪臭中和剤を含んでいてもよい。
【0088】
D.任意成分
揮発性組成物は、場合により、臭気マスキング剤、臭気遮断剤を含むことができる。「臭気遮断」は、人の嗅覚を鈍らせる化合物の能力を指す。「臭気マスキング」は、悪臭化合物をマスキングする又はその臭いを隠す化合物の能力を指す。臭気マスキングは、悪臭化合物を感知する能力を制限するように投与される、不快ではない匂い又は心地よい匂いを有する化合物を含むことができる。臭気マスキングは、予期される悪臭と協調することで臭気化合物の組み合わせによって与えられる全体的な匂いの知覚を変化させる化合物の選択を伴い得る。
【0089】
II.装置
本発明の組成物は、エアフレッシュニング装置などの装置を使用して内部空間に送達することができる。以下の説明において、説明される装置1は、エアフレッシュニング製品などの消費者製品であり、車両の内部占有空間、(
図11に示されるように)住宅への入口に近接した住宅の内部空間内に位置する領域、又は、バクテリアの増殖の防止、フレッシュニング、悪臭の除去、又は浴室の空気の香り付けなど、様々な利点を提供するトイレを備えた浴室において清涼組成物を蒸発させる。しかしながら、製品は、様々な用途で使用されてフレッシュニング組成物を送達することで、家庭内及び商業施設内の部屋又は家庭用品保管用家具などの内部環境に効果をもたらすように構成され得るということが考えられ、エアフレッシュニング製品としては、例えば、エアフレッシュニング製品、エアフレッシュナーなどの消費者製品が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0090】
装置は、揮発性組成物が装置から蒸発する限り、揮発性組成物を大気及び/又は表面に供給するための様々な用途で使用するように構成され得ることが想到される。本開示の目的として、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、装置は、エネルギー非印加装置として説明される。
【0091】
製品はまた、組成物の液相を収容し、組成物の液相を蒸発させるように構成された送達部材を備えてもよい。送達部材としては、芯、膜、ゲル、フェルトパッドを含む多孔質又は半多孔質基材が挙げられ得る。例示的な送達部材は、物質の特定の成分を通過させるが他の成分は止める、半透過性材料である膜であってもよい。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分を他の成分よりも速く透過させる)。かかる成分としては、分子、イオン又は粒子を挙げることができる。
【0092】
本発明を詳細に説明する目的で、本発明を、トイレ環境及び車両環境との関連で以下に述べる。しかしながら、本発明は任意の内部占有空間内で実施することが可能である点は理解されよう。
【0093】
図1は、揮発性成物13を収容するためのデバイス2の成分の斜視図であり、デバイス2が組み立てられ、組成物13が充填されると、本発明による揮発性組成物を送達するための装置1を画定する(例示的な実施例を
図2に示す)。デバイス2は、揮発性組成物カートリッジであり得る。
図1及び
図2を参照すると、デバイス2は、揮発性組成物13を収容するためのリザーバ11を含む容器10を備える。容器10は、組成物13の気相の拡散に抗するように設計された、実質的に蒸気不透過性の材料で形成することができる。例えば、容器10は、これらに限定されるものではないが、熱可塑性材料、並びに熱成形、射出成形及びブロー成形に好適な他の既知の材料を含む、金属、ガラス、セラミック、磁器、タイル及びプラスチックで形成することができる。例えば、膜12のような送達部材12は、容器10内に配設されて、組成物13と流体連通するように構成されてもよい。
【0094】
図2は、容器10内に配設された揮発性材料13を有する、水平配向における
図1の組み立てられた装置1の概略図を示す。
図2を参照すると、容器10は、リザーバ11を画定する、側壁102の周辺部104に端壁101、側壁102及び開口部103を備えてもよい。例えば、容器12が熱可塑性材料で作製される場合、膜12は、リザーバ11内に揮発性材料13を収容するための従来の熱かしめ方法を使用して、容器10の周辺部104に取り付けられてもよい。
【0095】
装置1は、
図3に示されるような、垂直方向を含むがそれに限定されない任意の所望の方向で使用されるように構成することができる。
図3は、
図1の装置1の側面概略図を示し、装置1は、膜12が、揮発性材料13と流体連通するように配設された第1の表面121と、環境に面し、揮発性材料13から離れる第2の表面122と、を含むことを除いて、
図1の装置1と実質的に同じである。
【0096】
図4は、本発明による装置1の更なる実施例の前方斜視図を示し、
図5は、使用前の装置1の後方斜視図を示す。
図6は、
図4及び
図5の装置1の内部構成部品を示す。
図4、
図5及び
図6の装置1は、
図1の装置1と実質的に同じ特徴を備え、更なる構成部品について以下に述べる。
【0097】
図4及び
図5を参照すると、装置1は、フロントカバー401及びリアフレーム402を有するハウジング40を備え、フロントカバー401とリアフレーム402とが、内部空間を画定している。リアフレーム402には、リアフレーム402の実質的に中央に位置しているフレーム開口部403(以下、「開口部」)が設けられている。ハウジング40に対して移動可能なアクチュエータ404が、装置1を起動させるために提供される。アクチュエータ404は、例えば、開口部403内部に配設されている押しボタン404(以降「ボタン」)であってもよく、装置1をユーザが起動するのを可能にするリアフレーム402に対して移動可能である。揮発性材料13を含有する容器10は、ハウジング40内に位置している。フロントカバー401は、容器10を表示するように構成されているウインドウ405を備える。
【0098】
図6を参照すると、揮発性材料13が液体揮発性組成物であるとき、装置1は、装置1が起動されるまで、揮発性材料13が放出されることを防止するためにリザーバ11に封止可能に取り付けられ、かつリザーバ11を覆う、破断可能な基材60を備えることができる。破断可能な基材60は、破断されて、破断可能な基材60に隣接して位置している破断機構61を作動することにより、揮発性組成物13を放出することができる。破断機構61は、弾性部材64によって外側フレーム63に移動可能に取り付けられた移動可能部材62を備えている。弾性部材64は、1つ以上のばね65から形成することができる。1つ以上の破断要素66は、破断可能な基材60に穴を穿孔するための破断機構61内に配置される。破断要素66は、ピンであってもよい。
図1に関して上述されたように、膜12は、容器10の外周104に位置するフランジ67に封止可能に取り付けることができる。膜12は、容器10、揮発性組成物13、破断可能な基材60及び破断機構61を取り囲んでいる。膜12は、ボタン404を通して圧力又は作動力が膜12上に加えられるときに、屈曲するように構成することができる。2m
3の内部空間容積を有するトイレなどの住宅内空間で、膜12は、15cm
2~35cm
2からの蒸発表面積を含むように構成され得、装置1のコンパクトな設計を達成し、膜12は、27cm
2の蒸発表面積を含み得る。
【0099】
図7を参照すると、装置1を起動するために、ユーザは、(容器の前端部に向かう方向Xにおける膜12の偏位を通じて)破断機構61と接触するまでボタン404を押下し、破断機構61上の破断要素66が破断可能な基材60を穿孔する。破断可能な基材60に一旦、穿孔されると、揮発性組成物13は、容器10から流れ出して膜12を濡らし、次に、膜12からの蒸発により、大気周囲に送達される。具体的には、膜12の湿潤は、揮発性材料13の液相が膜12の第1の表面121の少なくとも一部と接触して広がるときに生じる。膜12は、揮発性材料13の液相が膜12から流出することを防ぐように構成されるが、揮発性材料13の気相が第2の表面122から蒸発することを可能にし、そのため揮発性材料13が、環境に供給される。
【0100】
揮発性材料13は、芯を通して供給されてもよく、芯は、様々な異なる形状及びサイズを有するように構成され得る。例えば、芯は、円筒形状又は直方体形状を有してもよい。芯は、その形状に応じて、長さと、直径又は幅とによって画定され得る。芯は、様々な長さを有し得る。例えば、芯の長さは、約1ミリメートル(「mm」)~約100mm、又は約5mm~約75mm、又は約10mm~約50mmの範囲であり得る。芯は、様々な直径又は幅を有し得る。例えば、芯の直径又は幅は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmであり得る。芯は、ある密度を呈し得る。芯密度は、約0.100グラム/cm3(「g/cc」)~約1.0g/ccの範囲であってもよい。芯は、多孔質又は半多孔質の基材を含み得る。芯は、様々な材料及び構築方法で構成され得るが、オーバーラップ(例えば、不織布シートオーバーラップ)を介して様々な形状に圧縮及び/若しくは形成される束ね繊維、又はPE、HDPE、若しくは他のポリオレフィンなどの焼結プラスチックで作製される束ね繊維が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、芯は、ポリエチレン又はポリエチレンブレンドなどのプラスチック材料から作製され得る。
【0101】
図8は、本発明による揮発性組成物を送達するための装置1の変形を示す。
図8の装置1は、ハウジング設計を除いて、
図4の装置1と実質的に同じ構成部品を備える。具体的には、
図8の装置1は、押しボタンを備えず、装置1のハウジング40とは異なるハウジング設計を有し、つまり
図8のハウジング40は、容器10を封入する膜12を解放可能に係合するように構成されている(膜12及び容器10は、供給エンジンを画定する)、そのため装置1は、供給エンジンの挿入により起動する。
【0102】
また更に、
図9A及び
図9Bは、起動前の第1の位置(
図9A)及び起動後の第2の位置(
図9B)において、揮発性組成物を送達するための装置1の変形例を示す。
図9A及び
図9Bの装置1は、アクチュエータ404が、
図9Cに示されるような車両環境内の空気ベント900に取り付けるための移動可能クリップ404であるという点で、
図4の装置1とは異なる。移動可能クリップ404は、ハウジング40に対して回転して、膜12及び破断要素66の少なくとも一部を破断可能な基材60に向かって移動させ、破断可能な基材に穿孔し、揮発性材料13の少なくとも一部分を容器10から放出でき、そのため揮発性材料13の一部分を装置1から蒸発させる。アクチュエータ404は、膜12及び破断要素66の少なくとも一部分を破断可能な基材60に向かって移動させ、かつ破断可能な基材に穿孔するように、直線的に又は回転運動で移動させるための既知の機械的方法を用いて構成することができる点は理解されよう。2m
3の容積を有する車両内部空間で、膜12は、7cm
2~15cm
2の蒸発表面積を含み得る。装置1のコンパクトな設計を達成するために、膜12は、11cm
2の蒸発表面積を含み得る。
【0103】
図10は、本発明による揮発性組成物を送達するための装置1の変形を示す。
図10の装置1は、
図10の装置1が、プッシュボタン404、フロントカバー401及び後部フレーム402を備えていないことを除いて、
図6の装置1の実質的に同じ構成部品を備える。
図10の装置1は、ハウジング40の側面にディスク状の形状及びハウジング側開口44を有するハウジング40を備え、その結果、揮発性組成物13はハウジング40の側部からハウジング側開口44を通って送達され得る。内部空間などの内部環境における装置1のこの構成の利点は、テーブル上部の空間が限られている場合、装置1が、従来の真空吸引カップを介して壁表面に取り付けることができるため、製品1を壁面の近くに配置できることである。あるいは、装置1は、ハウジング40のハウジング底面42上に配置することによって、内部環境内において、支持体上で水平方向に支持され得る。
【0104】
図11は、入口(以下、「入口内部空間」)の住宅環境の内部空間110に使用される、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の正面斜視図である。入口内部空間110は、2m
3の容積を備え得る。したがって、前述の装置1は、入口内部空間110で使用するための任意のサイズ及び形状で構成され得る。入口内部空間110はまた、ユーザが最初に装置1と相互作用し、揮発性組成物13を経験する第1のタッチ点である。装置1は、室内エアフレッシュニング製品として設計されてもよく、したがって、本発明によるRIS組成物を有する揮発性組成物13を有する室内エアフレッシュニング製品の利点は、最初のタッチ点において非常に重要である圧倒(「強すぎる香り」)されない香料組成物の人物の初期印象を形成するために急速に蒸発するトップノートよりも速く蒸発することによって、ユーザが「ちょうどいい」の香り強度を経験することである。
【0105】
本発明の装置1は、揮発性組成物13が膜12から蒸発して、内部空間と接触することができる限り、連続エネルギー非印加様式で揮発性組成物13を大気及び/又は表面に供給して、様々な用途で使用されるように構成することができる。したがって、膜12の特定の物理的特性は、蒸気不透過性基材14を剥離することによって又は蒸気不透過性基材14を破断させることによって起動されるように設計された装置1の特定の所望の用途に基づいて選択することができる。着脱可能に取り付けられるように設計された膜及び蒸気不透過性基材は周知のものであり、更に説明することはしない。蒸気不透過性基材14を破断させることによって起動されるように設計された装置1に適した膜12及び蒸気不透過性基材14の適当な物理的パラメータの例を以下に述べる。
【0106】
膜12は微多孔質膜とすることができ、約0.01~約1ミクロン、約0.01~約0.06ミクロン、約0.01~約0.05ミクロン、約0.01~約0.04ミクロン、約0.01~約0.03ミクロン、約0.02~約0.04ミクロン、又は約0.02ミクロンの平均孔径を有することができる。更に、膜12は、技術分野で周知の任意の好適な充填剤及び可塑剤で充填されてもよい。充填剤としては、微粉砕シリカ、クレイ、ゼオライト、カーボネート、活性炭及びこれらの混合物を挙げることができる。充填された膜の一例としては、米国特許第7,498,369号に記載のものなどの、シリカで充填された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)膜がある。任意の好適な充填材料及び重量%を使用することができるが、シリカの一般的な充填率(%)は、膜の総重量の約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、又は約70%~約75%とすることができる。好適な膜厚の例としては、約0.01mm~約1mm、約0.1mm~0.4mm、約0.15mm~約0.35mm、又は約0.25mm、又は上記の上限及び下限の異なる組み合わせ、又は上記の範囲の任意の整数の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また更に、膜12の蒸発表面積は、約2cm2~約100cm2、約2cm2~約25cm2、約10cm2~約50cm2、約10cm2~約45cm2、約10cm2~約35cm2、約15cm2~約40cm2、約15cm2~約35cm2、約20cm2~約35cm2、約30cm2~約35cm2、約35cm2、又は上記の上限値と下限値の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせであり得る。膜12は、2cm2~80cm2まで、5cm2~54cm2まで、6cm2~27cm2まで、7cm2~15cm2まで又は上記の上限値と下限値との異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの蒸発面を含み得る。
【0107】
蒸気不透過性基材14は、所定の力を加えることによって破断させることができる(かかる破断を助ける破断要素などの要素の有無によらず)任意の材料で形成することができる。装置1が使用されていないときに蒸気不透過性基材40が組成物13を含有することが意図された実施形態では、蒸気不透過性基材14は、組成物13の蒸発を低減又は防止する任意の好適なバリア材料で形成してもよい。かかる材料は、蒸気及び液体に対して不透過性とすることができる。蒸気不透過性基材14に好適なバリア材料としては、ポリマーフィルム、ウェブ、箔及び箔/ポリマーフィルム積層体などの複合材料などの、コーティングされた又はコーティングされないフィルムが挙げられるが、それらに限定されない。バリア材料として使用することが可能な箔の例としては、ニトロセルロース保護ラッカー、ポリウレタンプライマー、及びAlcan Packaging社より販売される15g/m2のポリエチレンコーティング(Lidfoil 118-0092)を含む、ミクロン単位のアルミニウム箔がある。好適なポリマーフィルムとしては、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アクリロニトリルコポリマーバリアフィルム(例えば、INOES社より商標名Barex(登録商標)で販売されるものなど)、エチレンビニルアルコールフィルム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。コーティングされたバリアフィルムを蒸気不透過性基材14として使用し得ることも考えられる。かかるコーティングされたバリアフィルムとしては、限定されるものではないが、金属化PET、金属化ポリプロピレン、シリカ又はアルミナコーティングフィルムが挙げられる。
【0108】
以下の実施例は、本発明をより完全に説明することを意図しており、本発明の範囲から逸脱することなく、その多くの変形例が可能であるので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書における全ての部、パーセンテージ及び比率は、別途指定されない限り、重量パーセントとして表される。
【実施例】
【0109】
試験機器/材料及び試験組成物を、まず「材料」の下において説明し、次いで、「試験方法」を示し、最後に結果を論じる。内部環境において改善された香り強度調節を有する本発明の組成物を実証するデータが提供される。以下に説明する「試験方法」で使用する機器及び材料を、下記表4に列挙する。本発明の組成物の配合を、下記表5に示す。各組成物は従来の方法を用いて調製される。
【0110】
以下の実施例では、本発明の試験組成物及び組成物の各々が評価される装置は、消費者製品として設計されている。消費者製品は、車両内部空間の香り強度制御などの様々な利点を送達するために、車両内部空間内でフレッシュニング組成物を蒸発させるために、車両のエアフレッシュニング製品(
図9A、
図9Bに示すような)であり得る。消費者製品はまた、トイレなどの家庭施設内の室内でフレッシュニング組成物を蒸発させるための、室内エアフレッシュニング製品(
図4に示すような)であり得る。したがって、機器は、車両内部空間及び部屋内部空間内の状態を模倣するように設計されている。しかしながら、製品は、様々な用途で使用されてフレッシュニング組成物を送達することで、家庭内及び商業施設内の個人用品目保管用家具などの内部環境に利益をもたらすように構成され得、製品としては、例えば、エアフレッシュニング製品、エアフレッシュナー、消臭剤などの消費者製品が挙げられ得るが、それらに限定されないことが想定される。したがって、内部環境がシューキャビネットなどの、異なる容積を有する異なる用途では、機器、材料、及び方法をそれに応じて修正することができ、本発明のフレッシュニング組成物が、異なる容積の内部環境内の改善された香り強度調節を有していることを実証できるということが理解されよう。
【0111】
試験方法
A.ヘッドスペース収集試験方法
ヘッドスペース収集試験方法は、以下に定義される内部空間又は環境に蒸発した揮発性原料を収集するため、以下のステップに従って行われる:
1)デバイスを起動させ、香料を放出できるようにする。
2)選択された密閉環境にデバイスを配置する
a.車のシミュレーション:室内容積は2m3、3つの異なる温度、5℃、21℃又は35℃であり、ヒータ、ファン又は空気コンユニットが内側に配置されているが、オンにされていない。
b.トイレシミュレーション:室内容積は2m3であり、5℃、21℃又は35℃の3つの異なる温度である。
3)デバイスを1時間放置する
4)異なるタッチ点でTenexチューブを使用して室内でヘッドスペースを収集する。
a.車のシミュレーション:収集時間2分、2つの別個のタッチ点-室内に入り、ヒータの7分後、冷却器又はファンがオンになっている。
b.トイレシミュレーション:収集時間1分、1回のタッチ点-室内に入る
【0112】
B.ガスクロマトグラフィーによるヘッドスペース分析-質量分析(GC-MS)
収集されたヘッドスペースを、GC-MSセットアップを使用して分析して、(特徴的な保持時間及びm/z値に基づいて)、蒸発した異種の香料原料(PRM)を特定、定量化(正規化されたピーク積分領域に基づく)する。PRMは、トップノート、ミドルノート、ボトムノート又はバルク材料のいずれかに分類される。トップ、ミドル及びボトムのノートは、それぞれ25℃で40.0Pa(0.3トル)超、4.00~40.0Pa(0.03~0.3トル)及び4.00Pa(0.03トル)未満の飽和蒸気圧を有するPRMとして定義される。7%超の重量パーセントで存在するPRM及び11超の臭気検出閾値は、蒸気圧に関係なくバルク材料として分類される。
【0113】
全てのPRMからのトップノートのパーセンテージは、以下の式(1)に基づいて計算される。
【0114】
【0115】
ミドルノート及びボトムノートのパーセンテージを見つけるために、同様の計算を行うことができる。
【0116】
C.香料重量損失測定法
本発明の装置は、装置が起動された後、その後長期間にわたって、揮発性組成物からの香料混合物の損失により特徴づけられる。香料混合物の送達を改善する際のRIS組成物の有効性を決定するために、装置から放出された香料混合物の量を見ることができる。したがって、この値を測定することが重要である。膜を濡らす任意の揮発性組成物について、その組成物の理想的な蒸発量は、完全に露出した膜で生じる。RIS組成物の有効性を決定するために、(RIS組成物との香料混合物を有する)第1の揮発性組成物及び第2の揮発性組成物(RIS組成物を含まない同じ香料混合物を有する)における香料混合物の重量損失のパーセンテージを見る。しかしながら、揮発性組成物は、任意の数の材料を構成し得る。
【0117】
本明細書で詳述される値の計算については、以下の項目を必要とする。
1.バランス(スケール:Ohaus AA210S/N11131122540)又は同等物。
2.第1及び第2の壁を含む本発明のハウジング
3.5.5mlの香料組成物を含む装置(
図4に示すように)。2mlの香料組成物を含む装置(
図9Aに示すように)。(重量で香料組成物を添加する場合、測定された密度を5.5ml又は2mlに掛けて、正確な充填重量を得る。)
4.3M Scotch WeldアプリケータTC及びグルー、#3797-TC又は同等物。
5.蒸発ラック又は同等のオープントレイ(バーカー)ラックは、15cm以上離間した上部及び棚で覆われている。
6.以下の測定、空気流、温度/相対湿度又は等価物で蒸発ラックを収容するための部屋。
a)ラボ寸法:32フィート、4インチの長さ×72インチ幅×108インチの高さ、又は1,730フィート
3
b)空気流(吸気及び排気)
・正常モード:平均吸入補助:103.75フィート
3/分+6%
・平均抽出:149.25フィート
3/分+6%
・差は、負の空気圧をもたらす:-45.5
・負圧は、実験室への空気供給、及び隣接する経路又は部屋から通気システムを通して排出されることを示す。
c)温度及び相対湿度%
・平均温度:23°±0.1℃
・平均%相対湿度は、45%±0.5%である。
【0118】
香料混合物の累積重量損失のパーセンテージの決定
1.まだ湿潤していない密封されたカートリッジを提供するような方法で、装置に揮発性組成物を充填する。例えば、18ゲージの針の挿入を可能にする穴を切断することによって、揮発性組成物カートリッジを穿孔することができる。
2.
図4の装置を5.5mlの香料組成物で充填する。これは、標準的な香料組成物の5024mgに相当する。2mlの香料組成物を含む
図9Aの充填装置は、2mlが1.9グラムに相当する。容積は、目的の組成物の密度に基づいて調整する必要があり得る。
3.挿入穴をホットメルト接着剤で密封する。
4.装置の重量を、3つの重要な図に測定して記録する。
5.カートリッジをハウジングに挿入し、カートリッジがハウジング内に正しく設定されて、そこを通る適切な空気流を確保することを確実にする。
6.装置を起動してその膜を湿潤させる。本明細書では、
図4の装置について、そのような起動は、
図4の起動ボタンを押すことによって達成される。
図9Aの装置の場合、装置は、起動前の第1の位置(
図9A)から起動後の第2の位置(
図9B)までクリップを動かすことによって、例えば、第1の位置に対して90度回転することによって起動される。しかしながら、膜を活性化及び湿潤する同等の手段であり得る。
7.時間を選択、及び測定(mg)し、少なくとも30日間同時にカートリッジ重量を毎日記録する。
8.記録された時間をそれらの対応する重量で使用して、前述のように揮発性組成物の累積重量損失を判定する。
【0119】
実施例I-比較及び本発明の香料組成物
表8に示されるPRM(「香料混合物A」)の香料混合物を、表9に示される例示的なRIS組成物と組み合わせて、上記の式(I)による揮発性組成物のMOIの評価のための発明組成物Bを形成する。しかしながら、固体相及び/又は液相から気相に移行することができる任意のPRMが用いられ得ることが理解されよう。
【0120】
【0121】
【0122】
以下の表10は、本発明の香料組成物B及び比較香料組成物Cの各々のMOIを35℃で列挙する。
【0123】
【0124】
35℃で1.70×104のMOIを有する本発明の香料組成物Bは、組成物の90重量%の量でRIS組成物の添加が、約85%、すなわち、香り密度を85%のMOI低減効率(比較香料組成物Cに対するより低いMOI値(1.09×10
5
))で低下させることを実証する。それにより、内部空間内、特に第1のタッチ点における改善された香り送達を可能にする。
【0125】
実施例II
実施例IIは、RIS組成物及びPRMが、本発明によるPRMの低減された蒸気放出速度を提供するように作用することを実証する。第1、第2及び第3のRIS成分は、RIS組成物中の任意のレベルで配合され得ることが理解されよう。具体的には、第1、第2又は第3のRIS成分の各々は、香料混合物を含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な任意の有効量であり得る。
【0126】
具体的には、実施例IIの結果は、同じレベルの第1、第2及び第3のRIS成分を有するRIS組成物を有する揮発性組成物を配合するために異なる香料混合物が使用され、RIS組成物が揮発性組成物と同じレベルの重量である場合であっても、改善された香りプロファイルの同じ技術的結果が、
図12の勾配L及び
図13の勾配Pの同じ傾斜に基づいて達成されることを示している。更に、蒸発が蒸気圧に基づいて駆動されるとグラフの勾配の異なる傾斜から、RIS成分を含む本発明の組成物は、それらのそれぞれの標的を優先的に蒸発させ-トップ、ミドル、ボトムノート、したがって、蒸発速度を低減し、その結果、香料のみを有する比較組成物と比較して、全ての温度及び空気流での香り強度を低下させることがわかり得る。
【0127】
以下の表11は、比較試料中の成分及び4週間連続した期間にわたって試験方法Eによって評価された本発明の試料を列挙し、香料蒸発結果を表12に示し、
図12のグラフに示す。以下の表13は、試験方法Cによって4週間連続した期間にわたって評価された比較試料及び本発明の試料の成分を列挙し、香料蒸発結果を表14に示し、
図13のグラフに示す。
【0128】
図12及び
図13は、4週間連続した期間にわたる時間に対する比較試料及び発明試料の香料重量損失測定値をプロットしたグラフである。比較及び本発明の試料の各々についてラインを引き出して、第1週の香料重量損失のピークを第4週で香料重量損失に接合して、傾斜を有する勾配を定義し、
図12及び
図13並びに以下の表において標識する。以下に示すように、勾配傾斜を各勾配について計算する。より高い勾配傾斜値を有する勾配は、より低い勾配傾斜値を有する勾配に対して急な勾配に対応する。
【0129】
【0130】
【0131】
図12を参照すると、比較試料1の勾配Jは、比較試料2が減少したレベルの香料混合物Xを50%にしたとしても、比較試料2の勾配Kと同様の勾配傾斜を有する。具体的には、勾配Jの勾配傾斜は145であり、勾配の勾配傾斜は135である。勾配傾斜は、香り強度が比較試料2に対して有意に低減されないことを示す。対照的に、本発明の試料3の勾配Lは、勾配Jの傾斜に対する優れた傾斜(89の勾配傾斜)を有し、勾配Kは、RIS組成物が揮発性組成物の30重量%の量で揮発性組成物に添加される期間にわたって減少した香り強度を示す。更に、本発明の試料4中の揮発性組成物の60重量%の量でRIS組成物が添加される場合、勾配Mの傾斜は、発明試料3と比較して減少する(42の勾配傾斜)。
【0132】
【0133】
【0134】
図13を参照すると、比較試料5及び6の勾配N及び勾配Oは、比較試料1及び2と同様の傾斜パターン、すなわち勾配傾斜を示し、すなわち、香料混合物Yのレベルが比較試料5で低減されたときに勾配傾斜の変化が比較的少ない。対照的に、本発明の試料7及び8の勾配P及び勾配Qはそれぞれ、低減された香料重量損失及び対応する香り強度の低下を示す穏やかな傾斜を有する。更に、本発明の試料8中の揮発性組成物の60重量%の量でRIS組成物が添加される場合、勾配Qの傾斜(27の勾配傾斜)は、発明試料7と比較して減少する(62の勾配傾斜)。
【0135】
全体として、本発明による本発明の組成物の上記の結果は、本発明による本発明のエアフレッシュニング製品を内部環境において提供することが、高温での香り強度低下によって改善された香り送達を提供する技術的効果を達成することを示す。結果として、第1のタッチ点での高い香り強度を防止することによって、香り特性がより一貫しており、それに応じてエアフレッシュニング組成物の寿命が改善され得、それによって、内部環境におけるフレッシュニング及び製品寿命の二重利点を可能にする。香料混合物X及びYを作製する際に使用されるPRMは、製造業者によって開示されていない。しかしながら、香料混合物X及びYは、PRMの異なる組み合わせを含み、比較試料の勾配がその傾斜で類似しているため、固体及び/又は液相から気相に移行することができる任意のPRMが用いられ得ることが理解されるであろう。
【0136】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0137】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0138】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。