(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61B17/3207
(21)【出願番号】P 2023015402
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2020510857の分割
【原出願日】2019-03-26
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2018064011
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】白石 美朱帆
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昭宏
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04517977(US,A)
【文献】特開平01-094840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内の物体を除去する医療デバイスであって、
回転可能である駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、
前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、
前記駆動シャフトを回転可能に収容する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングの遠位側に位置し、前記外管に固定され、前記駆動シャフトの軸心を中心に前記第1のハウジングに対して回転可能である第2のハウジングと、
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングを支持する支持部と、を有し、
前記第1のハウジングは、吸引力を外部から受ける吸引ポートが形成され、
前記駆動シャフトは、少なくとも一部が管状であり、当該駆動シャフトのルーメンが前記吸引ポートと連通し、
前記第2のハウジングが、前記吸引ポートに対して回転可能であ
り、
前記支持部は、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの前記軸心と交差する方向の相対的な移動を制限するとともに、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの相対的な傾きを制限する医療デバイス。
【請求項2】
前記吸引ポートが形成される前記第1のハウジングの近位部に、前記駆動シャフトの外周面と接触する第1のシール部が配置される請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1のハウジングの外周面および前記第2のハウジングの外周面と接する内周面を有する請求項
1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングに対して前記駆動シャフトの軸心に沿って移動可能である請求項1~
3のいずれか1項に記載の利用デバイス。
【請求項5】
前記支持部の内周面は、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの少なくとも一方の外周面に対して前記駆動シャフトの軸心に沿って摺動可能である請求項
1~4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第1のハウジングおよび第2のハウジングの一方は、シール用内周面を有し、他方は、前記シール用内周面に対向するシール用外周面を有し、
前記シール用内周面およびシール用外周面は、相対的に回転可能であると共に、所定の離間距離を維持しつつ前記駆動シャフトの軸心に沿って相対的に移動可能であり、
前記シール用内周面およびシール用外周面の間に、リング状の第2のシール部が配置される請求項1~
5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングに対して前記駆動シャフトの軸心方向へ固定的な位置に配置される請求項1~
6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記第2ハウジングは、第2ハウジングの連結部を有し、
前記第1ハウジングは、第1ハウジングの連結部を有し、
前記第2ハウジングの連結部は前記第1ハウジングの連結部に回転可能に連結される請求項
7に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔の物体を除去するための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内のプラークや血栓などによる狭窄部の治療方法は、バルーンにより血管を拡張する方法や、網目状またはコイル状のステントを血管の支えとして血管内に留置する方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法は、石灰化により硬くなっている狭窄部や、血管の分岐部で生じている狭窄部を治療することは、困難である。このような場合においても治療が可能な方法として、プラークや血栓などの狭窄物を切削して除去する方法がある。
【0003】
例えば特許文献1には、物体を切削する作動ヘッドが、駆動シャフトの遠位部に固定されたデバイスが記載されている。このデバイスは、駆動シャフトを回転させて、作動ヘッドにより物体を切削できる。このデバイスは、手元に、デバイスの内部を密封するための密封構造を有している。密封構造は、密封用の流体を注入する注入ポートと、流体を吸引する吸引ポートとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のデバイスの作動ヘッドの向きを変えたい場合には、注入ポートと吸引ポートを備える密封構造の位置を変更する操作が必要である。しかしながら、密封構造は、チューブ等が接続されるため、操作が困難である。また、密封構造の位置を変更する際に、デバイスが軸心と交差する方向の相対的な傾きを生じ、操作が困難である。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体管腔内でデバイスの位置を容易に変更でき、かつ生体管腔内の物体を切削して除去できる医療デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、生体管腔内の物体を除去する医療デバイスであって、回転可能である駆動シャフトと、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、前記駆動シャフトを回転可能に収容する第1のハウジングと、前記第1のハウジングの遠位側に位置し、前記外管に固定され、前記駆動シャフトの軸心を中心に前記第1のハウジングに対して回転可能である第2のハウジングと、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングを支持する支持部と、を有し、前記第1のハウジングは、吸引力を外部から受ける吸引ポートが形成され、前記駆動シャフトは、少なくとも一部が管状であり、当該駆動シャフトのルーメンが前記吸引ポートと連通し、前記第2のハウジングが、前記吸引ポートに対して回転可能であり、前記支持部は、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの前記軸心と交差する方向の相対的な移動を制限するとともに、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングの相対的な傾きを制限する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した医療デバイスは、第2のハウジングを、第1のハウジングに対して回転可能であるため、第2のハウジングを操作して、生体管腔内の医療デバイスの位置を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る医療デバイスおよび駆動デバイスを示す平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る医療デバイスの近位部を示す断面図である。
【
図4】医療デバイスの支持部を一点鎖線で透過して示す拡大斜視図であり、(A)は凸部が凹部に嵌合する前の状態、(B)は凸部が凹部に嵌合した状態を示す。
【
図5】
図2のA-A線に沿う断面図であり、(A)は医療デバイスが駆動デバイスに係合された状態、(B)は医療デバイスが駆動デバイスから離脱可能な状態を示す。
【
図6】凸部が凹部に嵌合した状態の医療デバイスの近位部を示す断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る医療デバイスの凸部を凹部に嵌合する前の状態を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る医療デバイスの凸部を凹部に嵌合した状態を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態に係る医療デバイスの近位部を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【
図10】第3実施形態に係る医療デバイスの凸部を凹部に嵌合する前の状態を示す断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る医療デバイスの凸部を凹部に嵌合した状態を示す断面図である。
【
図12】第3実施形態に係る医療デバイスの変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る医療デバイス10は、急性下肢虚血や深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変等を破壊して除去する処置に用いられる。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。なお、除去する物体は、必ずしも血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
【0012】
医療デバイス10は、
図1~3に示すように、駆動力を発生させる駆動デバイス100に連結されて駆動される。医療デバイス10および駆動デバイス100は、1つの医療システム1を構成する。
【0013】
医療デバイス10は、長尺であって回転駆動される駆動シャフト20と、駆動シャフト20を収容する外管30と、血栓を切削する切削部40とを備えている。医療デバイス10は、さらに、駆動シャフト20の近位部を回転可能に保持する第1のハウジング50と、外管30の近位部に固定される第2のハウジング60と、支持部70とを備えている。
【0014】
駆動シャフト20は、回転力を切削部40に伝達する。駆動シャフト20は、切削した物体を近位側へ搬送するための吸引ルーメン22(内腔)が形成されている。駆動シャフト20は、軸心Xを有する長尺な管状の駆動管21と、駆動管21の近位部に固定される接続部24とを備えている。
【0015】
駆動管21は、外管30を貫通し、遠位部に切削部40が固定されている。駆動管21の近位部は、第2のハウジング60の内部に位置している。駆動管21は、接続部24を介して、後述する回転駆動軸121により回転駆動される。駆動管21は、遠位端に、吸引対象物(切削した血栓等)が入り込む入口部26を有している。駆動管21の近位端は、内腔が塞がれており、接続部24に固定されている。駆動管21は、第2のハウジング60の内部に位置する近位部の側面に、吸引ルーメン22が開口する導出部25を有している。導出部25は、入口部26から駆動管21の内部に入った血栓が排出される出口である。
【0016】
駆動管21は、柔軟で、かつ近位側から作用する回転の動力を遠位側に伝達可能な特性を有する。第1のハウジング50および第2のハウジング60の内部に位置する駆動管21の近位部の表面は、滑らかな面性状を有し、かつ高い寸法精度を有する。これにより、駆動管21は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の内部で、後述する第1のシール部62により密封されつつ、高速に回転可能である。駆動管21の表面は、滑らかな面性状を備えるために、メッキ処理や研磨処理が施されてもよい。
【0017】
駆動管21は、全体が1つの部材で構成されてもよく、または複数の部材で構成されてもよい。例えば、駆動管21の遠位部と近位部は、異なる部材で構成されてもよい。駆動管21の一部は、例えば、複数の線材を並べて螺旋状に連結した管体であってもよい。または、駆動管21は、部位によって剛性を調節するために、螺旋状のスリットや溝をレーザー加工等により形成されてもよい。
【0018】
駆動管21の構成材料は、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。また、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
【0019】
接続部24は、駆動管21の近位端に固定される略円柱状の部材である。接続部24は、回転駆動軸121と連結して回転の動力を受け取る部材である。接続部24の近位部は、回転駆動軸121が嵌合する嵌合凹部27を備えている。接続部24は、駆動管21の近位端の内腔を封止している。
【0020】
外管30は、駆動シャフト20を回転可能に収容する外管本体31と、外管本体31の遠位部の側面に固定される先端チューブ32とを備えている。
【0021】
外管本体31は、筒体であり、近位端が第2のハウジング60に固定されている。外管本体31の遠位端は、切削部40の近位側に位置している。外管本体31は、遠位部に、所定の角度で曲がる湾曲部34を有している。湾曲部34は、外管本体31を回転させることで、外管本体31の遠位端の向きを変更するために利用できる。
【0022】
先端チューブ32は、外管本体31の遠位部の外周面に固定されている。先端チューブ32は、内部にガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメン33を有している。
【0023】
外管本体31および先端チューブ32の構成材料は、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、もしくは各種エラストマー、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。また、外管本体31は、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
【0024】
切削部40は、血栓を切削するための部材である。切削部40は、駆動管21の遠位部の外周面に固定されている。切削部40は、駆動管21よりも遠位側へ突出する円筒である。切削部40の遠位端は、鋭利な刃41を備えている。なお、刃41の形状は、特に限定されない。切削部40は、刃41ではなく、微小な砥粒を多数有してもよい。
【0025】
切削部40の構成材料は、血栓を切削できる程度の強度を有することが好ましく、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、形状記憶合金などが好適に使用できる。切削部40の構成材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂でもよい。
【0026】
第1のハウジング50は、第1のハウジング本体51と、ジョイント52とを備えている。第1のハウジング本体51は、第1の空間部53を備えている。第1の空間部53には、駆動管21が回転可能に貫通する第1の内部空間53Aが形成されている。第1のハウジング本体51の遠位部の外周面には、支持部70が固定されている。ジョイント52は、第1のハウジング本体51の近位部に固定されている。ジョイント52は、後述する駆動デバイス100の連結口111に差し込まれて連結可能である。ジョイント52は、近位側にジョイント開口部54を有し、接続部24を内部に収容している。
【0027】
第2のハウジング60は、第2のハウジング本体61と、第1のシール部62と、固定部材65と、支持部70に係合する係合部66とを備えている。第2のハウジング本体61は、第2の空間部63と、吸引ポート64とを備えている。第2の空間部63は、駆動管21が回転可能に貫通する第2の内部空間63Aが形成されている。吸引ポート64は、後述する駆動デバイス100の吸引チューブ131を接続可能である。吸引ポート64は、第2の内部空間63Aと連通している。第2のハウジング本体61の遠位部は、外管30の近位端が液密に固定されている。外管30を貫通する駆動管21の近位部は、第2の内部空間63Aに位置している。駆動管21の導出部25は、第2の内部空間63Aに位置している。このため、吸引チューブ131から吸引ポート64に作用する陰圧は、導出部25から駆動管21の内部に作用する。第2の空間部63の近位側には、駆動管21の外周面と接触する第1のシール部62が配置されている。第1のシール部62は、第2の内部空間63Aの陰圧が逃げることを抑制する。第1のシール部62は、リング状の外側シール部62Aと、外側シール部62Aの内側に配置されるリング状の内側シール部62Bとを備えている。
【0028】
外側シール部62Aは、寸法精度が高く、面性状が滑らかであり、かつ柔軟性(密着性)が高い。これにより、外側シール部62Aは、接触する対象に対して、高い寸法精度で隙間なく密着し、密封性に優れる。外側シール部62Aの外周面は、第2の空間部63の内周面に接触する。外側シール部62Aの内周面は、内側シール部62Bの外周面に接触する。外側シール部62Aは、例えばOリングである。外側シール部62Aの構成材料は、例えば天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0029】
内側シール部62Bは、寸法が小さく、寸法精度が高く、かつ面性状が滑らかである。内側シール部62Bは、外側シール部62Aよりも密封性が低いが、摺動性に優れている。内側シール部62Bの外周面は、外側シール部62Aの内周面と接触する。内側シール部62Bの内周面は、高速で回転する駆動管21の外周面と接触する。内側シール部62Bは、摺動性に優れるため、駆動管21と摺動しつつ、第2の内部空間63Aの陰圧が逃げることを抑制する。
【0030】
内側シール部62Bは、高速で回転する駆動管21と接触するため、摩擦抵抗が低く、耐熱性が高く、線膨張率が低く、耐摩耗性が高いことが好ましい。内側シール部62Bの構成材料は、例えば、超高分子ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、さらには、これらのうちの2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)が挙げられる。
【0031】
固定部材65は、シール部を第2のハウジング本体61に対して固定する筒状の部材である。固定部材65は、第2のハウジング本体61の近位側から第2の内部空間63Aに入り込み、第1のシール部62の近位側の面に接触している。
【0032】
係合部66は、
図2、4に示すように、第2のハウジング本体61の近位部の外周面に設けられる。係合部66は、断面形状が滑らかな真円である摺動面69と、周方向へ延在する溝部67と、溝部67の近位側の縁に周方向に並ぶ複数の凹部68とを有している。凹部68の数は、特に限定されない。摺動面69は、溝部67の遠位側および近位側の両方に設けられる。なお、摺動面69は、溝部67の遠位側および近位側の一方にのみ設けられてもよい。
【0033】
支持部70は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の相対的な移動を補助する筒状の部材である。支持部70の近位部に位置する近位内周面71は、第1のハウジング50の遠位側の外周面に固定されている。支持部70の遠位部に位置する遠位内周面72は、断面形状が滑らかな真円である支持摺動面73と、周方向に並ぶ複数の凸部74とを有している。支持摺動面73の内径は、対向する摺動面69の外径よりもわずかに大きい。支持摺動面73は、摺動面69に対して、摺動可能に密着する。凸部74は、支持摺動面73から径方向の内側へ突出しつつ、近位側へ凸状となっている。凸部74は、第2のハウジング60の溝部67に収容され、溝部67の内部で移動可能である。凸部74の数は、凹部68の数と一致することが好ましいが、一致しなくてもよい。凸部74の軸心Xに沿う方向の長さは、溝部67の軸心Xに沿う方向の長さよりも短い。凸部74は、凹部68に対して近位側へ向かって嵌合可能であり、かつ遠位側へ向かって離脱可能な形状を有する。凸部74は、溝部67に収容された状態で、溝部67に対して周方向へ移動可能である。支持部70は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動を制限する。さらに、支持部70は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の相対的な傾きを制限する。
【0034】
次に、駆動デバイス100について説明する。
【0035】
駆動デバイス100は、
図1、2に示すように、ケーシング110と、回転力を発生させる駆動部120と、吸引力を発生させる吸引部130と、電池140と、スイッチ150とを備えている。
【0036】
駆動部120は、回転駆動軸121と、第1のモータ122とを備えている。回転駆動軸121は、医療デバイス10の接続部24に接続可能である。第1のモータ122は、電池140から電力を得て、回転駆動軸121を回転させる。第1のモータ122の回転速度は、特に限定されないが、例えば5,000~200,000rpmである。
【0037】
吸引部130は、吸引チューブ131と、ポンプ132と、第2のモータ133と、廃液チューブ134と、廃液パック135とを備えている。吸引チューブ131は、医療デバイス10の吸引ポート64に接続可能である。第2のモータ133は、電池140から電力を得て、ポンプ132を駆動させる。ポンプ132は、第2のモータ133により駆動されて、吸引チューブ131に陰圧を作用させる。また、ポンプ132は、吸引チューブ131を介して吸引した流体を、廃液チューブ134へ排出する。廃液チューブ134は、ポンプ132に連結されている。廃液チューブ134は、ポンプ132から排出される廃液を、廃液パック135へ搬送する。
【0038】
スイッチ150は、電池140から、第1のモータ122および第2のモータ133への電力の供給を開始および停止を操作する部位である。スイッチ150は、ケーシング110に固定されている。スイッチ150を押すたびに、電力の供給のオンおよびオフが切り替わる。
【0039】
ケーシング110は、遠位部に設けられる連結口111と、近位部に設けられる収容部112とを備えている。
【0040】
収容部112は、第1のモータ122、第2のモータ133、ポンプ132および電池140等を収容する。また、収容部112は、外表面に操作可能に露出するようにスイッチ150が固定されている。収容部112から、吸引チューブ131および廃液チューブ134が導出されている。
【0041】
連結口111は、医療デバイス10のジョイント52が差し込まれて連結される部位である。連結口111は、ジョイント52の外周面と接する受け部113と、第1のハウジング50に離脱可能に連結する連結部160とを備えている。
【0042】
連結部160は、
図2、5(A)に示すように、術者が押圧操作する押圧部161と、押圧部161が摺動する摺動溝164と、押圧部161を付勢する弾性部材166と、弾性部材166の位置を規制する突起部165とを備えている。摺動溝164は、連結口111の内周面に、駆動管21の軸心Xと直交する方向に形成されている。摺動溝164の一端は、連結口111の内周面から外周面へ貫通する貫通孔167に連通している。押圧部161は、摺動溝164に摺動可能に収容されている。押圧部161は、貫通孔167から外部へ露出する操作部162と、第1のハウジング本体51の外周面と接する当接部163とを備えている。当接部163の遠位側の内縁168は、遠位側へ向かって広がるように傾斜している。突起部165は、連結口111の貫通孔167が形成される側と反対側の内周面に形成されている。弾性部材166は、例えばコイルバネである。弾性部材166の一端は、突起部165と嵌合して固定されている。弾性部材166の他端は、当接部163に当接する。弾性部材166は、外力が作用しない自然状態よりも収縮した状態で、当接部163に接触する。このため、弾性部材166は、当接部163を、第1のハウジング本体51に向かって付勢する。弾性部材166の付勢力によって当接部163が第1のハウジング本体51に当接すると、第1のハウジング本体51は、連結口111に連結される。このとき、ジョイント52の遠位側に、当接部163が位置する。このため、ジョイント52は、連結口111から遠位側へ抜け出ることができない。術者が操作部162を押圧すると、
図5(B)に示すように、押圧部161が摺動溝164を移動する。これにより、弾性部材166が収縮し、当接部163が第1のハウジング本体51の外周面から離れる。このため、第1のハウジング本体51は、弾性部材166の付勢力から解放される。さらに、当接部163は、ジョイント52の遠位側の位置から外れた位置に移動する。これにより、第1のハウジング50は、当接部163に妨げられずに、連結口111から遠位側へ離脱できる。
【0043】
次に、第1実施形態に係る医療デバイス10の使用方法を、血管内の血栓、石灰化病変等を破壊して吸引する場合を例として説明する。
【0044】
初めに、術者は、ガイドワイヤ(図示せず)を血管に挿入し、血栓の近傍へ到達させる。次に、術者は、医療デバイス10のガイドワイヤルーメン33に、ガイドワイヤの近位端を挿入する。この後、ガイドワイヤをガイドとして、医療デバイス10を血栓の近傍へ到達させる。
【0045】
次に、術者は、
図2に示すように、駆動デバイス100の連結口111に、医療デバイス10のジョイント52を差し込む。これにより、連結口111に位置する当接部163の内縁168が、ジョイント52により側方へ押される。このため、弾性部材166が収縮し、側方へ移動する。これにより、ジョイント52は、連結口111の内部を、当接部163を超えて近位側へ移動する。ジョイント52は、受け部113に密着する。ジョイント52が当接部163を超えると、
図5(A)に示すように、当接部163が弾性部材166により押されて、第1のハウジング本体51に当接する。これにより、第1のハウジング本体51は、連結口111に連結される。このとき、ジョイント52の遠位側に、当接部163が位置する。このため、ジョイント52は、連結口111から遠位側へ抜け出ることが規制される。また、回転駆動軸121は、接続部24に接続される。次に、術者は、
図2に示すように、吸引チューブ131を吸引ポート64に連結する。
【0046】
術者は、切削部40の位置を周方向へ変更したい場合に、外管30を回転させる。外管30を回転させると、外管30の湾曲部34の方向が変わり、切削部40の位置を変更できる。術者は、外管30を回転させる際には、
図2、
図4(A)に示すように、第2のハウジング60を、第1のハウジング50が固定された駆動デバイス100に対して近位側へ移動させる。これにより、支持部70の凸部74は、第2のハウジング本体61に位置する凹部68に嵌合せず、溝部67に収容された状態となる。この状態において、凸部74は、溝部67に対して周方向へ移動可能である。このため、術者は、第2のハウジング60を、駆動デバイス100および第1のハウジング50に対して回転させることができる。第2のハウジング60を回転させると、第2のハウジング60に固定された外管30が回転する。これにより、外管30の湾曲部34の方向が変わり、切削部40の位置を変更できる。したがって、大きく回転させることが困難な駆動デバイス100を回転させることなく、第2のハウジング60を回転させて、切削部40の方向を容易に大きく変更できる。
【0047】
術者は、外管30の方向を調節した後、
図4(B)、
図6に示すように、第2のハウジング60を、第1のハウジング50が固定された駆動デバイス100に対して遠位側へ移動させる。これにより、支持部70の凸部74は、第2のハウジング本体61に位置する凹部68に嵌合する。このため、第2のハウジング60は、第1のハウジング50および駆動デバイス100に対して、回転不能となる。すなわち、第2のハウジング60は、第1のハウジング50および駆動デバイス100と、一体的に操作可能となる。そして、駆動シャフト20を回転させて、血栓の切削および吸引を行う際に、外管30および第2のハウジング60が、駆動シャフト20から受ける摩擦力により、駆動シャフト20に追従して回転することを抑制できる。
【0048】
次に、術者は、スイッチ150を押す(
図1を参照)。これにより、電池140から第1のモータ122および第2のモータ133へ電力が供給される。第1のモータ122は、回転駆動軸121を回転させ、回転駆動軸121に接続される接続部24を回転させる。これにより、駆動シャフト20が回転し、切削部40が回転する。回転する切削部40は、血管内で血栓を切削する。
【0049】
第2のモータ133は、ポンプ132を作動させる。これにより、
図6に示すように、吸引チューブ131を介して、第2の内部空間63Aに陰圧が作用する。このため、第2の内部空間63Aに位置する導出部25から、駆動管21の吸引ルーメン22に陰圧が作用する。したがって、切削部40の刃41により切削された血栓は、切削部40の内側を通って、駆動管21の入口部26から吸引ルーメン22に吸引される。第2の内部空間63Aの近位側には、駆動管21の外周面と第2のハウジング本体61の間を密封する第1のシール部62が設けられている。さらに、第1のシール部62は、高速で回転する駆動管21と接触可能な内側シール部62Bを有している。さらに、第1のシール部62は、内側シール部62Bと第2のハウジング本体61の間を密封する密封性の高い外側シール部62Aを有している。これにより、第1のシール部62は、高速で回転する駆動管21と第2のハウジング本体61の間を、効果的に密封できる。このため、第1のシール部62における圧力損失が非常に小さい。したがって、入口部26から、血栓を良好に吸引できる。
【0050】
吸引された血栓は、導出部25、第2の内部空間63A、吸引チューブ131を通ってポンプ132に到達する。ポンプ132に到達した血栓は、
図1に示すように、廃液チューブ134を介して廃液パック135に排出される。血栓の切削および吸引が完了した後、術者は、スイッチ150を押す。これにより、電池140から第1のモータ122および第2のモータ133への電力の供給が停止する。したがって、駆動シャフト20の回転が停止し、かつポンプ132が停止する。これにより、切削部40による切削および駆動管21による吸引が停止される。この後、医療デバイス10を血管から抜去し、処置が完了する。
【0051】
以上のように、第1の実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔内の物体を除去する医療デバイス10であって、回転可能である駆動シャフト20と、駆動シャフト20の遠位部に固定されて物体を切削する切削部40と、駆動シャフト20を回転可能に収容する第1のハウジング50と、第1のハウジング50の遠位側に位置し、駆動シャフト20を回転可能に収容し、駆動シャフト20の軸心Xを中心に第1のハウジング50に対して回転可能である第2のハウジング60と、第1のハウジング50および第2のハウジング60を支持する支持部70と、を有し、第2のハウジング60および支持部70のどちらか一方は、凹部68を有し、他方は、凹部68に対して軸心Xに沿って相対的に移動して嵌合および離脱可能な凸部74を有し、凸部74および凹部68は、嵌合することで第1のハウジング50および第2のハウジング60の相対的な回転を制限し、支持部70は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の少なくとも一方を、軸心Xを中心に回転可能に支持し、当該支持部70は、第1のハウジング50および第2のハウジング60の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きを制限する。
【0052】
上記のように構成した医療デバイス10は、第2のハウジング60を、第1のハウジング50に対して回転可能であるため、第2のハウジング60を操作して、生体管腔内の医療デバイス10の位置を容易に変更できる。また、医療デバイス10は、支持部70が設けられるため、第1のハウジング50および第2のハウジング60は、相対的に回転しても、軸心が変化しない。このため、駆動シャフト20が適切な位置で回転でき、生体管腔の物体を効果的に切削して除去できる。さらに、凸部74を凹部68に嵌合することで、第2のハウジング60を第1のハウジング50に対して回転不能とすることができる。これにより、医療デバイス10は、第1のハウジング50と第2のハウジング60を一体的に操作可能となり、操作性が向上する。また、第1のハウジング50および第2のハウジング60の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きが制限されるため、駆動シャフト20の負担を低減できる。
【0053】
また、医療デバイス10は、第2のハウジング60に固定され、駆動シャフト20を回転可能に収容する外管30を有する。このため、第2のハウジング60を回転させることで、駆動シャフト20を収容する外管30の向きを変更できる。したがって、第2のハウジング60を操作して、生体管腔内の医療デバイス10の位置を容易に変更できる。
【0054】
また、第2のハウジング60は、吸引力を外部から受ける吸引ポート64が形成され、駆動シャフト20は、少なくとも一部が管状であり、当該駆動シャフト20の吸引ルーメン22が吸引ポート64と連通し、吸引ポート64が形成される第2のハウジング60の近位部に、駆動シャフト20の外周面と接触する第1のシール部62が配置される。これにより、支持部70によって第1のハウジング50および第2のハウジング60の軸心が一致しているため、第1のハウジング50および第2のハウジング60が相対的に回転または移動しても、第1のシール部62と駆動シャフト20の位置が適切に維持される。このため、医療デバイス10は、第1のシール部62における圧力損失を低減させ、駆動シャフト20の内腔に、効果的に吸引力を作用させることができる。
【0055】
また、第1のシール部62は、第2のハウジング60と接触するリング状の外側シール部62Aと、駆動シャフト20と接触するリング状の内側シール部62Bと、を有し、外側シール部62Aは、内側シール部62Bよりも柔軟であり、内側シール部62Bは、外側シール部62Aの内周面に接触し、内側シール部62Bは、外側シール部62Aよりも摩擦抵抗が小さい。これにより、内側シール部62Bは、駆動シャフト20と低摩擦で摺動し、駆動シャフト20の回転を阻害することを抑制しつつ、高い密封性を発揮する。そして、柔軟な外側シール部62Aは、内側シール部62Bと第2のハウジング60の間の隙間による圧力損失を抑制する。したがって、第1のシール部62は、外側シール部62Aと内側シール部62Bを有することで、回転する駆動シャフト20の回転を妨げずに、圧力損失を低減できる。
【0056】
また、第2のハウジング60は、第1のハウジング50に対して駆動シャフト20の軸心Xに沿って移動可能である。医療デバイス10は、支持部70が設けられるため、第2のハウジング60が第1のハウジング50に対して軸心Xに沿って移動しても、第2のハウジング60および第1のハウジング50の軸心がずれない。このため、駆動シャフト20が適切な位置で回転でき、生体管腔の物体を効果的に切削して除去できる。
【0057】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る医療デバイス200は、
図7に示すように、第1のハウジング210に吸引ポート213が設けられる点で、第1実施形態に係る医療デバイス10と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
第1のハウジング210は、第1のハウジング本体211と、ジョイント52とを備えている。第1のハウジング本体211は、第1の空間部212と、吸引ポート213と、第1のシール部62と、シール用外周面214とを備えている。第1の空間部212には、駆動管21が回転可能に貫通する第1の内部空間212Aが形成されている。吸引ポート213は、駆動デバイス100の吸引チューブ131を接続可能である。吸引ポート213は、第1の内部空間212Aと連通している。外管30および第2のハウジング220を貫通する駆動管21の近位部は、第1の内部空間212Aに位置している。駆動管21の導出部25は、第1の内部空間212Aに位置している。このため、吸引チューブ131から吸引ポート213に作用する陰圧は、導出部25から駆動管21の内部に作用する。第1の空間部212の近位側には、駆動管21の外周面と接触する第1のシール部62が配置されている。第1のシール部62は、第1の内部空間212Aの陰圧が逃げることを抑制する。
【0059】
シール用外周面214は、第1のハウジング本体211の遠位部に設けられる。シール用外周面214は、駆動管21の軸心Xから一定の距離に位置する外周面である。シール用外周面214の断面形状は、滑らかな真円である。シール用外周面214には、第2のシール部230が配置されるシール用溝215が形成されている。シール用溝215は、シール用外周面214に、周方向に延在して形成されている。シール用外周面214は、第1のハウジング本体211の遠位部の外周面に固定される支持部70の内側に、支持部70から離れて位置している。
【0060】
第1のハウジング本体211の遠位側に位置する第2のハウジング220は、第2のハウジング本体221と、支持部70と係合する係合部66と、シール用内周面223とを備えている。第2のハウジング本体221は、第2の空間部222を備えている。第2の空間部222は、駆動管21が回転可能に貫通する第2の内部空間222Aが形成されている。第2のハウジング本体221の遠位部は、外管30の近位端が液密に固定されている。
【0061】
シール用内周面223は、第2のハウジング本体221の近位部に設けられる。シール用内周面223は、駆動管21の軸心Xから一定の距離に位置する内周面である。シール用内周面223の断面形状は、滑らかな真円である。シール用内周面223は、第1のハウジング210のシール用外周面214と対向している。シール用内周面223は、シール用外周面214のシール用溝215に保持される第2のシール部230が摺動可能に接している。シール用内周面223およびシール用外周面214は、相対的に回転可能である。さらに、シール用内周面223およびシール用外周面214は、所定の離間距離を維持しつつ、駆動管21の軸心Xに沿って相対的に移動可能である。シール用内周面223、第2のシール部230およびシール用外周面214は、支持部70により囲まれている。
【0062】
第1のハウジング210および第2のハウジング220の相対的な移動は、手動による移動が主である。したがって、第2のシール部230を挟むシール用内周面223およびシール用外周面214は、相対的に高速で移動しない。したがって、第2のシール部230は、駆動管21と接触する第1のシール部62と異なり、高い摺動性、耐摩耗性および耐熱性を要求されない。したがって、第2のシール部230は、密封性を優先して材料を適用できる。第2のシール部230は、例えばOリングである。第2のシール部230の構成材料は、例えば天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0063】
駆動デバイス100は、連結口111に、第1のハウジング210に設けられる吸引ポート213を受け入れるための受容部114が形成されている。
【0064】
次に、第2実施形態に係る医療デバイス200の使用方法を説明する。
【0065】
医療デバイス200は、第1実施形態に係る医療デバイス10と同様に、第1のハウジング210のジョイント52を、駆動デバイス100の受け部113に差し込んで、連結可能である。このとき、連結口111に、受容部114が形成されているため、第1のハウジング210に設けられる吸引ポート213を、受容部114に配置できる。
【0066】
第2実施形態に係る医療デバイス200は、吸引ポート213が第1のハウジング210に設けられる。このため、医療デバイス200は、第1のハウジング210の近位部に設けられる第1のシール部62と、第1のハウジング210と第2のハウジング220の間に設けられる第2のシール部230とを備えている。なお、第1の内部空間212Aを密封するための第2のシール部230は、第1のハウジング本体211と駆動管21の間に設けられるのではなく、第1のハウジング210と第2のハウジング220の間に設けられる。このため、第2のシール部230は、駆動管21に接する場合よりも大きく、高速で回転する駆動シャフト20と接触する必要がない。このため、第2のシール部230の負担を小さく抑え、第2のシール部230の損傷を抑制できる。また、吸引ポート213が、第2のハウジング220に設けられると、第2のハウジング220を第1のハウジング210に対して回転させる際に、吸引チューブ131が操作の妨げとなり得る。これに対し、本実施形態では、吸引チューブ131が第1のハウジング210に設けられるため、第2のハウジング220を第1のハウジング210に対して回転させる操作が容易となる。
【0067】
術者は、外管30を回転させる際には、
図7に示すように、第2のハウジング220を、第1のハウジング210が固定された駆動デバイス100に対して近位側へ移動させる。これにより、支持部70の凸部74は、凹部68に嵌合せず、溝部67に沿って周方向へ移動可能となる。このため、術者は、第2のハウジング220を、駆動デバイス100および第1のハウジング210に対して回転させることができる。第2のハウジング220を回転させると、第2のハウジング220に固定された外管30が回転する。第2のハウジング220を第1のハウジング210に対して回転させると、シール用内周面223およびシール用外周面214は、相対的に回転する。このとき、相対的に回転するシール用内周面223およびシール用外周面214の間の密封は、第2のシール部230により維持される。
【0068】
術者は、外管30の方向を調節した後、
図8に示すように、第2のハウジング220を、第1のハウジング210が固定された駆動デバイス100に対して遠位側へ移動させる。これにより、支持部70の凸部74は、第2のハウジング本体221に位置する凹部68に嵌合する。このため、第2のハウジング220は、第1のハウジング210および駆動デバイス100に対して、回転不能となる。すなわち、第2のハウジング220は、第1のハウジング210および駆動デバイス100と、一体的に操作可能となる。
【0069】
第2のハウジング220を、第1のハウジング210に対して遠位側へ移動させると、シール用内周面223が、シール用外周面214に対して遠位側へ移動する。このとき、相対的に移動するシール用内周面223およびシール用外周面214の間の密封は、第2のシール部230により維持される。
【0070】
次に、術者は、スイッチ150を押す。これにより、駆動シャフト20が回転し、かつポンプ132が作動する。駆動シャフト20が回転すると、切削部40が回転する。回転する切削部40は、血管内で血栓を切削する。
【0071】
ポンプ132が作動すると、吸引チューブ131を介して、第1の内部空間212Aに陰圧が作用する。このため、第1の内部空間212Aに位置する導出部25から、駆動管21の吸引ルーメン22に陰圧が作用する。したがって、切削部40の刃41(
図3を参照)により切削された血栓等は、切削部40の内側を通って、駆動管21の入口部26から吸引ルーメン22に吸引される。第1の内部空間212Aの近位側は、第1のシール部62により密封され、遠位側は、第2のシール部230により密封されている。このため、第1の内部空間212Aの圧力損失が非常に小さい。したがって、入口部26から、血栓を良好に吸引できる。
【0072】
以上のように、第2実施形態に係る医療デバイス200において、第1のハウジング210は、吸引力を外部から受ける吸引ポート213が形成され、駆動シャフト20は、少なくとも一部が管状であり、駆動シャフト20の吸引ルーメン22が吸引ポート213と連通し、第1のハウジング210および第2のハウジング220の一方は、シール用内周面223を有し、他方は、シール用内周面223に対向するシール用外周面214を有し、シール用内周面223およびシール用外周面214は、相対的に回転可能であると共に、所定の離間距離を維持しつつ駆動シャフト20の軸心Xに沿って相対的に移動可能であり、シール用内周面223およびシール用外周面214の間に、リング状の第2のシール部230が配置される。これにより、医療デバイス200は、相対的に回転および移動可能である第1のハウジング210および第2のハウジング220の間の隙間による圧力損失を、第2のシール部230により低減できる。したがって、医療デバイス200は、吸引力を高めることができる。第2のシール部230は、高速で回転する駆動シャフト20に接触しないため、密封性の高い材料を適用できる。また、第1のハウジング210および第2のハウジング220の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きが制限されるため、駆動シャフト20の負担を低減できる。
【0073】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る医療デバイス300は、
図10に示すように、支持部340が第2のハウジング330を覆うことができる点で、第1、第2実施形態に係る医療デバイスと異なる。なお、第1、第2実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0074】
第3実施形態に係る医療デバイス300は、
図9に示すように、駆動シャフト20の近位部を回転可能に保持する第1のハウジング310と、外管30の近位部に固定される第2のハウジング330と、支持部340とを備えている。
【0075】
第1のハウジング310は、第1のハウジング本体311と、固定部材312と、中間部材313と、第1のシール部314と、第1の軸受315と、第2の軸受316と、第3のシール部323とを備えている。
【0076】
第1のハウジング本体311は、第1の空間部317と、吸引ポート318とを備えている。第1の空間部317には、駆動管21が回転可能に貫通する第1の内部空間317Aが形成されている。吸引ポート318は、駆動デバイス100の吸引チューブ131を接続可能である。吸引ポート318は、第1の内部空間317Aと連通している。外管30および第2のハウジング330を貫通する駆動管21の近位部は、第1の内部空間317Aに位置している。駆動管21の導出部25は、第1の内部空間317Aに位置している。このため、吸引チューブ131から吸引ポート318に作用する陰圧は、導出部25から駆動管21の内部に作用する。第1の空間部317の近位側には、駆動管21の外周面と接触する第1の軸受315および第1のシール部314が配置されている。第1のシール部314は、第1の内部空間317Aの陰圧が逃げることを抑制する。第1の空間部317の遠位側には、駆動管21の外周面と接触する第2の軸受316が配置されている。第1の軸受315および第2の軸受316は、駆動管21を、軸心Xを中心に円滑に回転可能に保持する。
【0077】
固定部材312は、第1のハウジング本体311の近位側に固定されている。固定部材312は、第1のハウジング本体311の近位側から、第1の内部空間317Aに向かって入り込んでいる。固定部材312は、第1のシール部314に当接し、第1のシール部314および第1の軸受315を固定している。固定部材312には、駆動管21が回転可能に貫通している。
【0078】
中間部材313は、第1のハウジング本体311の遠位側に固定されている。中間部材313は、第1のハウジング本体311の遠位側から、第1の内部空間317Aに向かって入り込んでいる。中間部材313は、第1のシール部314に当接し、第2の軸受316を固定している。なお、第1のシール部314は、第1実施形態と同様に、2つの外側シール部62Aおよび内側シール部62Bにより構成されてもよい。中間部材313には、駆動管21が回転可能に貫通している。また、中間部材313の内部には、外管30の外周面と接触する第3のシール部323が設けられている。第3のシール部323は、第1の空間部317の内部の陰圧が外部へ逃げることを抑制する。なお、第3のシール部323は、第1のハウジング310ではなく、第2のハウジング330に設けられてもよい。
【0079】
中間部材313の外周面には、第2のハウジング330と回転可能に連結される連結溝319と、支持部340と係合する係合部320が設けられている。連結溝319は、周方向に延在している。係合部320は、断面形状が滑らかな真円である摺動面321と、周方向に並ぶ複数の凹部322とを有している。なお、摺動面321は、第1のハウジング本体311の外周面まで設けられてもよい。
【0080】
第2のハウジング330は、第1のハウジング310の遠位側に位置している。第2のハウジング330は、第1のハウジング310に対して回転可能に連結されている。なお、第2のハウジング330は、第1のハウジング310に対して連結されずに、第1のハウジング310に対して軸方向へ移動可能であってもよい。第2のハウジング330は、第2の空間部331と、外側凸部332とを備えている。第2のハウジング330は、外管30の近位部が固定されている。第2の空間部331は、駆動管21が回転可能に貫通する第2の内部空間331Aが形成されている。第2の内部空間331Aには、近位側から中間部材313が入り込んでいる。第2の空間部331の内周面は、中間部材313の連結溝319に摺動可能に嵌合する連結凸部333が形成されている。連結凸部333が連結溝319に嵌合することで、第2のハウジング330は、第1のハウジング310に対して回転可能に連結される。外側凸部332は、第2のハウジング330の外周面の遠位端から近位側へ向かって延在している。
【0081】
支持部340は、第1のハウジング310および第2のハウジング330の相対的な回転を補助する筒状の部材である。支持部340は、外管30が摺動可能に貫通する摺動孔341と、第2のハウジング330を収容可能なカバー部342とを備えている。摺動孔341は、支持部340の遠位側に位置している。支持部340は、摺動孔341を貫通する外管30に沿って、遠位側および近位側へ移動可能である。カバー部342は、第2のハウジング330の全体と、第1のハウジング310の遠位部を覆うことができるように、近位側に開口している。
【0082】
カバー部342の内周面は、第2のハウジング330の外側凸部332と嵌合可能な複数の内側凹部343が、周方向に等間隔に並んで形成されている。各々の内側凹部343は、軸心Xに沿って延在している。また、カバー部342の内周面は、内側凹部343の近位側に、断面形状が滑らかな真円である支持摺動面344と、周方向に並ぶ複数の凸部345とを有している。支持摺動面344の内径は、第2のハウジング330の摺動面321の外径よりもわずかに大きい。支持摺動面344は、摺動面321に対して、摺動可能に密着する。凸部345は、支持摺動面344から径方向の内側へ突出しつつ、近位側へ凸状となっている。凸部345の数は、凹部322の数と一致することが好ましいが、一致しなくてもよい。凸部345は、凹部322に対して近位側へ向かって嵌合可能であり、かつ遠位側へ向かって離脱可能な形状を有する。凸部345は、第2のハウジング330の凹部322の何れかに嵌合可能である。支持部340の外周面は、複数の摩擦部346と、支持連結部347とを有している。摩擦部346は、術者が手で操作しやすいように、摩擦を増加させるために突出する部位である。支持連結部347は、支持部340の外周面の近位部に位置する。支持連結部347は、駆動デバイス100の受け部113と摺動可能に連結可能である。
【0083】
次に、第3実施形態に係る医療デバイス300の使用方法を説明する。
【0084】
術者は、
図10に示すように、支持部340を第2のハウジング330に対して近位側へ移動させ、カバー部342を、第2のハウジング330および第1のハウジング310に被せることができる。これにより、第2のハウジング330の外側凸部332が、支持部340の内周面の内側凹部343に嵌合する。これにより、第2のハウジング330は、支持部340に対して回転不能となる。支持部340の凸部345が、第1のハウジング310の凹部322に嵌合していない状態において、支持部340が回転すると、第2のハウジング330も一緒に回転する。支持部340の外径は、第2のハウジング330の外径よりも大きいため、術者は、支持部340を回転させやすい。また、支持部340の外周面には、摩擦を増加させる摩擦部346(
図9を参照)が形成されるため、術者は、摩擦部346によって支持部340を回転させやすい。したがって、術者は、支持部340を回転させることで、第2のハウジング330および第2のハウジング330に固定される外管30を容易に回転させることができる。これにより、外管30の湾曲部34の方向が変わり、駆動デバイス100を回転させることなく、切削部40の位置を変更できる(
図1を参照)。
【0085】
また、支持部340が第2のハウジング330を覆うと、支持部340の支持摺動面344が、第1のハウジング310の摺動面321に摺動可能に接触する。これにより、第1のハウジング310、第2のハウジング330および支持部340の軸心がずれずに一致する。また、支持部340は、第1のハウジング310および第2のハウジング330の相対的な傾きを制限する。このため、第1のハウジング310および第2のハウジング330が、相対的に回転しても、駆動シャフト20は適切な位置で回転できる。このため、医療デバイス300は、駆動シャフト20に固定される切削部40により、生体管腔の物体を効果的に切削して除去できる。また、仮に、第2のハウジング330が第1のハウジング310から軸方向へ離間可能な構造であっても、支持部340は、第1のハウジング310および第2のハウジング330の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きを制限することができる。このため、駆動シャフト20の負担を低減できる。
【0086】
また、支持部340の支持連結部347は、連結口111の受け部113と摺動可能に接触する。これにより、支持部340は、第1のハウジング310および第2のハウジング330の軸心と、駆動デバイス100の軸心がずれることを抑制する。このため、駆動シャフト20が適切な位置で回転できる。
【0087】
術者は、外管30の方向を調節した後、支持部340を第2のハウジング330に対してさらに近位側へ移動させることができる。これにより、
図11に示すように、支持部340の凸部345が、第1のハウジング310の凹部322のいずれかに嵌合する。これにより、支持部340が、第1のハウジング310に対して回転不能となる。このため、第1のハウジング310、第2のハウジング330および支持部340は、一体的に操作可能となり、操作性が向上する。
【0088】
また、吸引ポート318は、第2のハウジング330ではなく、第1のハウジング310に設けられる。このため、支持部340および第2のハウジング330が回転する際に、吸引ポート318が回転しない。したがって、支持部340を回転させる操作が容易となる。
【0089】
次に、術者は、スイッチ150を押す(
図1を参照)。これにより、駆動シャフト20が回転し、かつポンプ132が作動する。駆動シャフト20が回転すると、切削部40が回転する。回転する切削部40は、血管内で血栓を切削する。
【0090】
ポンプ132が作動すると、吸引チューブ131を介して、第1の内部空間317Aに陰圧が作用する。このため、第1の内部空間317Aに位置する導出部25から、駆動管21の吸引ルーメン22に陰圧が作用する。したがって、切削部40の刃41により切削された血栓等は、吸引ルーメン22に吸引される。第1の内部空間317Aの近位側は、第1のシール部314により密封され、遠位側は、第3のシール部323により密封されている。このため、第1の内部空間317Aの圧力損失が非常に小さい。したがって、入口部26から、血栓を良好に吸引できる。
【0091】
以上のように、第3実施形態に係る医療デバイス300において、第1のハウジング310は、吸引力を外部から受ける吸引ポート318を有し、支持部340は、第2のハウジング330を覆うカバー部342を有し、第2のハウジング330は、カバー部342に覆われることで支持部340と共に回転可能となる。これにより、第2のハウジング330よりも外径の大きい支持部340により、第2のハウジング330を回転させることができる。このため、術者は、支持部340を介して第2のハウジング330および外管30を容易に回転させることができる。
【0092】
また、カバー部342の外周面は、駆動シャフト20へ駆動力を伝達する駆動デバイス100に連結される支持連結部347を有する。これにより、支持部340は、第2のハウジング330を内部に収容して支持しつつ、駆動デバイス100に連結されることができる。支持部340は、第2のハウジング330と駆動デバイス100の間に位置する。このため、支持部340は、駆動デバイス100、第1のハウジング310および第2のハウジング330の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きを効果的に制限できる。
【0093】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、医療デバイスが挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。したがって、破壊する物体は、血栓でなくてもよい。
【0094】
また、支持部は、第1のハウジングまたは第2のハウジングの構成の一部であってもよい。したがって、支持部は、第1のハウジングまたは第2のハウジングと一体的に形成されてもよい。
【0095】
また、上述の第1、第2実施形態では、第2のハウジングを第1のハウジングに対して遠位側へ移動させることで、凸部が凹部に嵌合し、第2のハウジングが第1のハウジングと一体的に回転可能となるが、逆の構成であってもよい。すなわち、第2のハウジングを第1のハウジングに対して近位側へ移動させることで、凸部が凹部に嵌合し、第2のハウジングが第1のハウジングと一体的に回転可能となってもよい。
【0096】
また、第2実施形態に係る医療デバイス200において、シール用内周面223は第2のハウジング220に設けられ、シール用外周面214は第1のハウジング210に設けられる。しかしながら、シール用内周面は第1のハウジングに設けられ、シール用外周面は第2のハウジングに設けられてもよい。また、第2のシール部を保持するシール用溝は、シール用外周面ではなく、シール用内周面に設けられてもよい。
【0097】
また、医療デバイスと駆動デバイスは、一体的に構成されてもよい。また、駆動シャフトの導出部は、駆動シャフトの側面ではなく、近位端に形成されてもよい。この場合、駆動シャフトの駆動源(モータなど)は、駆動シャフトの近位側ではなく、側面側に位置してもよい。例えば、駆動シャフトは、外周面に歯車を設置されることで、歯車を介して、側面側から回転駆動力を受け取ることができる。
【0098】
また、
図9に示す第3実施形態において、第1のハウジング310および第2のハウジング330は、摺動可能に接触することで、相対的な回転を制限されてもよい。例えば、連結凸部333の外径が、連結溝319の内径と略一致し、連結凸部333が連結溝319に圧入されてもよい。これにより、第1のハウジング310および第2のハウジング330は、術者がある程度の力で回転力を作用させなければ、相対的に回転しない程度の抵抗で接触する。このため、医療デバイス300は、支持部340を近位側へ移動させて凸部345を凹部322に嵌合させることなく、第1のハウジング310および第2のハウジング330を、任意の周方向位置で位置決めできる。したがって、支持部340を軸心方向に移動させることなく、第1のハウジング310および第2のハウジング330を一体的に、または別々に回転させて、切削部40の位置を任意の方向へ容易に変更できる。
【0099】
また、第2のハウジング330は、第1のハウジング310に対して駆動シャフト20の軸心方向へ固定的な位置に配置される。すなわち、第2のハウジング330は、第1のハウジング310に対して軸心方向へ移動しない。このため、第2のハウジング330を第1のハウジング310に対して軸心方向へ移動させずに、第1のハウジング310および第2のハウジング330を一体的に、または別々に回転させることができる。このため、切削部40の位置を任意の方向へ容易に変更できる。また、第1のハウジング310および第2のハウジング330の、軸心Xと交差する方向の相対的な移動および相対的な傾きが制限されるため、駆動シャフト20の負担を低減できる。
【0100】
また、第3実施形態の変形例として、例えば、連結凸部333が変形可能な弁体であり、圧縮された状態で連結溝319に配置されてもよい。これにより、連結凸部333および連結溝319は、術者がある程度の力で回転力を作用させなければ、相対的に回転しない程度の抵抗で接触できる。なお、弁体が配置される位置は、第1のハウジング310および第2のハウジング330の互いに摺動する位置であれば、特に限定されない。したがって、第1のハウジング50と第2のハウジング60との回転を制限する弁体は、第2のハウジング330の連結凸部333とは異なる位置や、第1のハウジング310に配置されてもよい。
【0101】
また、第1のハウジング310および支持部340が、摺動可能に接触することで、相対的な回転を制限されてもよい。例えば、
図10に示す第3実施形態において、第1のハウジング310の摺動面321と、支持部340の支持摺動面344は、摺動可能に接触することで、相対的な回転を制限されてもよい。このとき、支持部340の凸部345は、第1のハウジング310の凹部322に嵌合していない。支持部340は、第2のハウジング330に連結されて、第2のハウジング330とともに回転可能となっている。これにより、第1のハウジング310および支持部340の相対的な回転が制限されることで、第1のハウジング310および第2のハウジング330の相対的な回転が制限される。このため、医療デバイス300は、支持部340を近位側へ移動させて凸部345を凹部322に嵌合させることなく、第1のハウジング310と第2のハウジング330を任意の周方向位置で位置決めできる。したがって、第1のハウジング310および第2のハウジング330を一体的に、または別々に回転させて、切削部40の位置を任意の方向へ容易に変更できる。このように、凸部345が凹部322に嵌合せずに、第1のハウジング310および第2のハウジング330を任意の周方向位置で位置決めできるのであれば、
図13に示す第3実施形態の変形例のように、凸部345および凹部322は設けられなくてもよい。
【0102】
なお、本出願は、2018年3月29日に出願された日本特許出願番号2018-064011号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0103】
10、200、300 医療デバイス
20 駆動シャフト
21 駆動管
25 導出部
30 外管
50、210、310 第1のハウジング
53、212、317 第1の空間部
53A、212A、317A 第1の内部空間
60、220、330 第2のハウジング
62、314 第1のシール部
62A 外側シール部
62B 内側シール部
63、222、331 第2の空間部
63A、222A、331A 第2の内部空間
64、213 吸引ポート
68、322 凹部
70、340 支持部
74、345 凸部、
214 シール用外周面
223 シール用内周面
230 第2のシール部
342 カバー部
347 支持連結部
X 軸心