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特許7560604生物学的組織位置の位置決め及びマーク付け
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】生物学的組織位置の位置決め及びマーク付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20240925BHJP
【FI】
A61B90/00
【請求項の数】 36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077359
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2021502754の分割
【原出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2023095987
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】62/845,313
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516209360
【氏名又は名称】アトリキュア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイディー・コエット
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・モンティ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァトーレ・プリヴィテラ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0297316(US,A1)
【文献】特開2018-023786(JP,A)
【文献】特開2017-213348(JP,A)
【文献】特開平10-033547(JP,A)
【文献】特表2010-524591(JP,A)
【文献】特表2017-505150(JP,A)
【文献】特表2015-524689(JP,A)
【文献】特表2008-538303(JP,A)
【文献】特表2013-531525(JP,A)
【文献】特表2016-540563(JP,A)
【文献】特表2015-513408(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0018855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0114287(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0005586(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0000556(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0184280(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0195433(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0168561(US,A1)
【文献】米国特許第04916170(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的組織をマーク付けするためのパッチであって、
基材と、
基材に充填されたマーク付け物質と、
を備え、
前記基材が、前記マーク付け物質の少なくとも一部を生物学的組織に移すように構成されていることを特徴とするパッチ。
【請求項2】
前記マーク付け物質が、インク及び着色料のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記マーク付け物質が、放射性核種を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項4】
前記マーク付け物質が、放射線不透過性物質を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項5】
前記マーク付け物質が、磁性体を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項6】
前記基材が、生体吸収性材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項7】
前記基材が、生体適合性材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項8】
当該パッチが、乾燥状態の前記基材と、乾燥形態の前記マーク付け物質と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項9】
当該パッチが、あらかじめ湿潤させることなく生物学的組織に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載のパッチ。
【請求項10】
当該パッチが、生物学的組織に配置される前に湿潤されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載のパッチ。
【請求項11】
前記マーク付け物質が、液体を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項12】
前記基材が、フィルムを有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項13】
前記基材が、電気的に絶縁性を有することを特徴とする請求項1に記載のパッチ。
【請求項14】
前記生体適合性材料が、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、およびポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のパッチ。
【請求項15】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のパッチ。
【請求項16】
前記基材は、放射線不透過性であるか、放射線不透過性材料でドープされたものの少なくとも一方である、請求項1に記載のパッチ。
【請求項17】
前記基材が、線維性浸潤を促進するように構成されている、請求項1に記載のパッチ。
【請求項18】
前記基材が、ポリアミドイミドコーティング、ポリエステルコーティング、およびポリイミドコーティングのうちの少なくとも1つを含む電気絶縁コーティングを含む、請求項に記載のパッチ。
【請求項19】
生物学的組織をマーク付けするためのパッチであって、
基材と、
基材に充填されたマーク付け物質と、
を備え、
前記マーク付け物質が放射性核種を有することを特徴とするパッチ。
【請求項20】
前記基材が、前記マーク付け物質の少なくとも一部を生物学的組織に移すように構成されていることを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項21】
前記マーク付け物質が、インク及び着色料のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項22】
前記マーク付け物質が、放射線不透過性物質を有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項23】
前記マーク付け物質が、磁性体を有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項24】
前記基材が、生体吸収性材料から構成されていることを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項25】
前記基材が、生体適合性材料から構成されていることを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項26】
当該パッチが、乾燥状態の前記基材と、乾燥形態の前記マーク付け物質と、を備えることを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項27】
当該パッチが、あらかじめ湿潤させることなく生物学的組織に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項26に記載のパッチ。
【請求項28】
当該パッチが、生物学的組織に配置される前に湿潤されるように構成されていることを特徴とする請求項26に記載のパッチ。
【請求項29】
前記マーク付け物質が、液体を有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項30】
前記基材が、フィルムを有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項31】
前記基材が、電気的に絶縁性を有することを特徴とする請求項19に記載のパッチ。
【請求項32】
前記生体適合性材料が、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、およびポリオレフィンのうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載のパッチ。
【請求項33】
前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載のパッチ。
【請求項34】
前記基材は、放射線不透過性であるか、放射線不透過性材料でドープされたものの少なくとも一方である、請求項19に記載のパッチ。
【請求項35】
前記基材が、線維性浸潤を促進するように構成されている、請求項19に記載のパッチ。
【請求項36】
前記基材が、ポリアミドイミドコーティング、ポリエステルコーティング、およびポリイミドコーティングのうちの少なくとも1つを含む電気絶縁コーティングを含む、請求項19に記載のパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年5月8日に出願した米国仮特許出願第62/845313号の優先権を主張し、そのすべてを参考として組み込む。
【0002】
本開示は、医療機器及びデバイス並びに関連する方法に、より具体的には、心臓壁のような生物学的組織の位置を位置決めするかつ/またはマーク付けするための手術デバイス及び関連する方法に、関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、カテーテルベースの手術を用いた心臓電気生理学などによって、一部の心臓手術を心室・心房内からほぼ全体的に実行し得ること、を意図している。本開示は、皮膚切開を介して心臓にアクセスする心臓外科医などによって、他の心臓手術を心臓外からほぼ全体的に実行し得ること、を意図している。本開示は、ハイブリッド型心臓外科手術が介入態様(例えば、蛍光透視法によって案内されたカテーテルを介した心内膜アプローチ)を外科態様(例えば、直接可視化または内視鏡カメラによって案内された侵害膜アプローチ)と組み合わせ得ること、を意図している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、外科用ペンを使用して患者の皮膚にマーク付けし得るが、外科用ペンが一般的に外科手術中に内部使用するのに最適ではないこと、を意図している。例えば、外科用ペンで使用されているインクは、外科手術中に内部組織から擦り落とされ得るまたは払い落とされ得る。さらに、外科用ペンは、一般的に、低侵襲処置中に使用するように構成されていない。例えば、外科用ペンは、主として、腹腔鏡トロカール(trocar)を介して手術部位内に挿入することを容易にする適切な寸法を有していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、手術を行う方法を提供することであり、この方法は、生物学的組織の第1面にある第1位置を位置決めするステップ、生物学的組織の第2面にある第2位置を位置決めするステップであって、第2位置が第1位置に対応する、ステップ、及び/または、第2面にある第2位置をマーク付けするステップ、を有する。
【0006】
より詳細な形態において、第2面にある第2位置を位置決めするステップは、第2面にある第2位置を電気的に位置決めするステップを有し得る。第2面にある第2位置を電気的に位置決めするステップは、第2面にある器具によって電磁信号を放射させるステップを有し得、第2面にある器具は、第1面にある器具によって影響を受ける信号振幅における変化を検出するように構成されたセンサを有する。第2面にある第2位置を電気的に位置決めするステップは、第2面にある器具と第1面にある反対側にある器具との間の閉ループインピーダンスを測定するステップを有し得る。第2面にある第2位置を位置決めするステップは、第2面にある第2位置を視覚的に位置決めするステップを有し得る。第2面にある第2位置を位置決めするステップは、第2面にある第2位置を機械的に位置決めするステップを有し得る。第2面にある第2位置を位置決めするステップは、第2面にある第2位置を磁気的に位置決めするステップを有し得る。
【0007】
より詳細な形態において、第2面は、第1面のほぼ反対側にあり得る。方法は、第2位置をマーク付けするステップの後に、第2位置の近傍において生物学的組織に治療手技を実行するステップを有し得る。治療手技を実行するステップは、生物学的組織の一部を切除するステップを有し得る。第2位置をマーク付けするステップは、第2面に点をマーク付けするステップを有し得る。第2位置をマーク付けするステップは、第2面に点をマーク付けするステップを有し得る。第2位置をマーク付けするステップは、第2面に所定領域をマーク付けするステップを有し得る。所定領域をマーク付けするステップは、領域の周縁をマーク付けするステップを有し得る。所定領域をマーク付けするステップは、周縁によって画成される内側領域ほぼすべてをマーク付けするステップを有し得る。第2位置をマーク付けするステップは、第2面にマーカを堆積させるステップを有し得る。マーカは、マーク付け物質を有し得る。マーク付け物質は、インク及び着色料のうちの少なくとも一方であり得る。マーク付け物質は、放射性核種を有し得る。マーク付け物質は、放射線不透過性物質を有し得る。マーク付け物質は、磁性体を有し得る。マーカは、物体を有し得る。物体は、磁性体を有し得る。物体は、電気的に絶縁性を有し得る、かつ/または、方法は、組織にRFエネルギーを付与しつつ、組織の少なくとも一部をマーカによってRFエネルギーから保護するステップを有し得る。物体は、生体吸収性を有し得る。第2面にマーカを堆積させるステップは、第2面を少なくとも部分的に穿孔するステップを有し得る。第2位置を位置決めするステップは、生物学的構造を穿孔することなく実行され得る。第2位置をマーク付けするステップは、組織を加熱して第2面において検出可能な損傷を形成するステップを有し得る。組織を加熱するステップは、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー及び/またはレーザエネルギーを付与するステップを有し得る。方法は、第2面にある損傷を視覚的に検出するステップを有し得る。方法は、第1面及び第2面のうちの少なくとも一方にある損傷を電気的に検出するステップを有し得る。第2位置をマーク付けするステップは、組織に冷却を付与して第2面において検出可能な氷生成(ice formation)を形成するステップを有し得る。組織に冷却を付与するステップは、第1面及び第2面のうちの少なくとも一方に冷却を付与するステップを有し得る。方法は、第2面にある病変及び氷生成のうちの少なくとも一方を視覚的に検出するステップを有し得る。方法は、第2面にある氷生成を機械的に検出するステップを有し得る。第2位置を位置決めするステップは、第1面を押し付けることによって生物学的組織を膨らませて第2面に突起を形成するステップを有し得る。
【0008】
より詳細な形態において、生物学的組織は、心臓壁を有し得、第1面は、心内膜面を有し得る、かつ/または、第2面は、心外膜面を有し得る。第1位置を位置決めするステップは、洞房結節、房室結節、心臓神経叢及び/または催不整脈領域を有し得る。
【0009】
より詳細な形態において、生物学的組織は、心臓壁を有し得、第1面は、心外膜面を有し得る、かつ/または、第2面は、心内膜面を有し得る。第1位置を位置決めするステップは、洞房結節、房室結節、心臓神経叢及び/または催不整脈領域を有し得る。
【0010】
より詳細な形態において、生物学的組織の第1面にある第1位置を位置決めするステップは、電気解剖学的にマッピングするステップを有し得る。
【0011】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けする方法を提供することであり、この方法は、マーク付けデバイスを手術空間内へ導入するステップであって、マーク付けデバイスが細長いシャフトと、少なくとも部分的に被覆され、遠位側に配設された吸収先端部と、を有する、ステップ、先端部を露出させるステップ、並びに/または、先端部から組織にマーク付け物質を付与することによって組織をマーク付けするステップ、を有する。
【0012】
マーク付け物質は、インク、着色料、放射性核種、放射線不透過性物質及び磁性体のうちの少なくとも1つを有し得る。方法は、マーク付けデバイスを手術空間内へ導入するステップの前に、先端部に液体を充填するステップを有し得る。液体は、マーク付け物質を有し得る。先端部には、乾燥形態にあるマーク付け物質があらかじめ充填され得る、かつ/または、先端部に液体を充填するステップは、先端部及びマーク付け物質を湿潤させるステップを有し得る。先端部は、少なくとも1つの極微針を有し得る、かつ/または、組織をマーク付けするステップは、極微針で組織を穿孔するステップを有し得る。マーク付けデバイスは、シャフトにスライド可能に配設されたシースを有し得、シースは、延伸構成と後退構成との間で長手方向に移動可能である、かつ/または、先端部を露出させるステップは、シースを延伸構成から後退構成へ引き込むステップを有し得る。シースは、ほぼ透明であり得る、かつ/または、方法は、先端部を露出させるステップの前に、シースを通して組織の少なくとも一部を視認することによって、シースの遠位部分を組織の一部と位置合わせするステップを有し得る。先端部は、延伸構成と後退構成との間で長手方向に移動可能であり得る、かつ/または、先端部を露出させるステップは、先端部を後退構成から延伸構成へ延伸させるステップを有し得る。方法は、先端部を延伸構成から後退構成へ移動させることによって、先端部にマーク付け物質を再び充填するステップを有し得る。
【0013】
より詳細な形態において、方法は、マーク付けデバイスを手術空間へ導入するステップの後に、磁気引力、磁気斥力及び/または組織のインピーダンス測定を用いて先端部を所望場所へ案内するステップを有し得る。方法は、組織をマーク付けするステップの前に、マーク付けデバイスを安定化させるステップを有し得る。マーク付けデバイスを安定化させるステップは、吸引を用いてマーク付けデバイスを安定化させるステップ及び/または磁気引力を用いてマーク付けデバイスを安定化させるステップを有し得る。
【0014】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けする方法を提供することであり、この方法は、生物学的組織にある位置を位置決めするステップ、位置にパッチを付けるステップ、及び/または、パッチから組織へマーク付け物質を移すステップ、を有し得る。
【0015】
より詳細な形態において、マーク付け物質は、インク及び着色料のうちの少なくも一方を有し得る。マーク付け物質は、放射性核種を有し得る。マーク付け物質は、放射線不透過性物質を有し得る。マーク付け物質は、磁性体を有し得る。パッチが、マーク付け物質を保持するように構成された基材を有し得る基材は、生体吸収性材料から構成され得る、かつ/または、方法は、外科手術後にパッチを所定位置に残すステップを有し得る。基材は、生体吸収性材料から構成されて得る、かつ/または、方法は、外科手術の完了前にパッチを組織から取り除くステップを有し得る。基材は、生体適合性材料から構成され得る、かつ/または、方法は、外科手術後にパッチを所定位置に残すステップを有し得る。方法は、パッチを乾燥状態で用意するステップを有し得る。方法は、パッチを乾燥状態で付けるステップを有し得る。方法は、パッチを付けるステップの前に、パッチを湿潤させるステップを有し得る。パッチは、基材と、乾燥形態のマーク付け物質と、を有し得る、かつ/または、パッチを湿潤させるステップは、マーク付け物質を湿潤させるステップを有し得る。パッチを湿潤させるステップは、パッチを液体形態にあるマーク付け物質で湿潤させるステップを有し得る。
【0016】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けするための手術デバイスを提供することであり、この手術デバイスは、細長いシャフト、細長いシャフトの遠位側に配設された先端部であって、吸収材料を備える、先端部、及び/または、シャフトにスライド可能に配設されたシースであって、延伸構成と後退構成との間で長手方向に移動可能であるシースを有する。シースは、延伸構成において、シャフトの遠位部分と先端部とを少なくとも部分的に被覆し得る。先端部の少なくとも一部は、後退構成において、露出され得る。
【0017】
より詳細な形態において、シースの少なくとも一部は、ほぼ透明であり得る。先端部は、対象組織を穿孔するように構成された少なくとも1つの極微針を有し得る。先端部は、マーク付け物質で充填されるように構成され得る。先端部には、マーク付け物質が充填され得る。マーク付け物質は、インク及び着色料のうちの少なくとも一方を有し得る。マーク付け物質は、放射性核種を有し得る。マーク付け物質は、放射線不透過性物質を有し得る。マーク付け物質は、磁性体を有し得る。マーク付け物質は、液体であり得る。マーク付け物質は、乾燥状態にあり得る、かつ/または、先端部及びマーク付け物質は、使用前に湿潤されるように構成され得る。
【0018】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けするための手術デバイスに関し、この手術デバイスは、遠位側に配設された先端部を有する細長いシャフトであって、先端部が、吸収材料を備える、シャフトを有する。先端部は、後退構成と延伸構成との間で長手方向に移動可能であり得る。先端部は、後退構成において、シャフト内にほぼ位置付けられ得る。先端部の少なくとも一部は、延伸構成において、露出され得る。
【0019】
より詳細な形態において、先端部は、マーク付け物質が充填されるように構成され得る。先端部には、マーク付け物質が充填され得る。マーク付け物質は、インク及び着色料のうちの少なくとも一方を有し得る。マーク付け物質は、放射性核種を有し得る。マーク付け物質は、放射線不透過性物質を有し得る。マーク付け物質は、磁性体を有し得る。マーク付け物質は、液体であり得る。マーク付け物質は、乾燥状態にあり得る、かつ/または、先端部及びマーク付け物質は、使用前に湿潤されるように構成され得る。
【0020】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けするためのパッチを提供することであり、このパッチは、基材、及び/または、基材に充填されたマーク付け物質を有する。
【0021】
より詳細な形態において、基材は、マーク付け物質の少なくとも一部を生物学的組織に移すように構成され得る。マーク付け物質は、インク及び着色料のうちの少なくとも一方を有し得る。マーク付け物質は、放射性核種を有し得る。マーク付け物質が、放射線不透過性物質を有し得る。マーク付け物質は、磁性体を有し得る。基材は、生体吸収性材料から構成され得る。基材は、生体吸収性材料から構成され得る。パッチは、乾燥状態の基材と、乾燥形態のマーク付け物質と、を有し得る。パッチは、あらかじめ湿潤させることなく生物学的組織に配置されるように構成され得る。パッチは、生物学的組織に配置される前に湿潤されるように構成され得る。マーク付け物質は、液体を有し得る。基材は、フィルムを有し得る。基材は、電気的に絶縁性を有し得る。
【0022】
本開示の一態様は、生物学的組織をマーク付けするデバイスを作成する方法を提供し、この方法は、生体吸収性材料または生体適合性材料のうちの少なくとも一方を有する基材を用意するステップ、及び/または、マーク付け物質を基材に充填するステップを有し得る。
【0023】
より詳細な形態において、マーク付け物質を基材に吸収させるステップは、液状のマーク付け物質を基材に吸収させるステップを有し得る。方法は、マーク付け物質を基材に充填するステップの後、基材及びマーク付け物質を乾燥させるステップをさらに備え得る。方法は、使用前に、基材及びマーク付け物質を湿潤させるステップをさらに備え得る。マーク付け物質を基材に充填するステップは、乾燥形態のマーク付け物質を基材に充填するステップを備え得る。基材は、フィルムを有し得る、かつ/または、基材を準備するステップは、フィルムを形成するステップを備え得る。
【0024】
より詳細な形態において、基材を用意するステップは、使用準備済みのサイズ及び形状にある基材を用意するステップを備え得る。基材を用意するステップは、所望の使用サイズ及び形状よりも大きいサイズにある基材を用意するステップを備え得る。方法は、基材を所望の使用サイズ及び形状へ切断するステップを備え得る。
【0025】
添付の図面と併せて例示的な形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】洞房結節の近似位置を示す心臓を示す部分破断図である。
図2】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図3】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図4】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図5】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図6】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図7】洞房結節の近位側にある心臓壁を示す詳細断面図である。
図8】延伸構成にあるシースを有する有鞘キットナ(sheathed kittner)を示す破断図である。
図9】後退構成にあるシースを有する有鞘キットナを示す破断図である。
図10】有鞘キットナを用いて心外膜をマーク付けする例示的な方法を示す断面図である。
図11】有鞘キットナを用いて心外膜をマーク付けする例示的な方法を示す断面図である。
図12】後退構成にある例示的なマーク付け器具を示す側面図である。
図13】延伸構成にあるマーク付け器具を示す側面図である。
図14】マーク付け器具を使用して心外膜をマーク付けする例示的な方法を示す部分断面図である。
図15】マーク付け器具を使用して心外膜をマーク付けする例示的な方法を示す部分断面図である。
図16】例示的なパッチを示す等角図である。
図17】パッチを付ける例示的な方法を示す部分断面図である。
図18】第2(心外膜)面に病変を有するマーカを形成するRF焼灼デバイスを示す心臓壁を示す詳細断面図である。
図19】第2(心外膜)面に視認可能な氷生成を有するマーカを形成する凍結手術デバイスを示す心臓壁を示す詳細断面図である。
図20】例示的なマーカがある生物学的組織を示す等角図であって、マーカ全てが本開示の少なくとも一部の態様にしたがっている、等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
医療及び外科手術に関するデバイス、方法及び技術を網羅するために、本発明の例示的な実施形態を以下で説明して図示する。もちろん、当業者に明らかなことは、以下で説明する実施形態が例であり本開示の範囲及び精神から逸脱することなく再構成され得ること、である。同様に理解されることは、当業者が想定した例示的な実施形態の変形例がその開示の一部を同時に含むこと、である。しかしながら、明確性及び正確性のため、以下で説明する例示的な実施形態は、本開示の範囲内に属するのに必須ではないと当業者が認識すべき最適なステップ、方法及び機能を含み得る。
【0028】
本開示は、一部の外科手術が第1側から及びほぼ反対側の第2側からの双方からアクセス可能である生物学的組織を伴うことを想定し得る。例えば、一部のハイブリッド型心臓手術中に、心臓壁の内面(例えば心内膜)及び心臓壁の外面(例えば心外膜)双方がアクセス可能であり得る。一部の手術中において、有利であることは、第1側から組織の特有の位置を位置決めし、第2側から治療手技(例えば切除)を実行すること、であり得る。本明細書で使用するように、「位置」は、点のような具体的な場所もしくはスポット、線、2次元領域、及び/または3次元体積であり得る。本明細書で使用するように、「位置決めする」は、位置を決定すること、見つけること及び/または特定すること、を言い得る。一般的に、本開示は、心臓壁のような生物学的組織の位置を位置決めするかつ/またはマーク付けするためのデバイス、並びに、関連する方法を含む。
【0029】
本開示の少なくとも一部の態様にかかるいくつかの例示的な形態は、組織の第1側(例えば心内膜)に初期的に位置する位置に対応するかつ/またはこの位置を利用して生物学的組織の第2側(例えば心外膜)の位置を位置決めすることに関連して使用され得る。例えば、ハイブリッド型心臓手術中において、心臓電気生理学士(EP)は、心内膜(例えば心臓壁の内面)に実行した電気生理学マッピングに基づいて特有の解剖学的構造の位置を位置決めし得る。そして、外科医は、救急治療、段階的治療及び/または経時的術後追跡治療もしくは診断を案内するなど、心外膜(例えば心臓壁の外面)にある対応する位置を位置決めし得るかつ/またはマーク付けし得る。例えば、1以上の基準マーカを配置することは、将来の画像処理検討を容易にし得、例えば、ハイブリッド型左心耳治療中に付与した左心耳閉塞クリップの安定性を確認する。
【0030】
特に、組織の特定の部分を含むようにまたは回避するように治療手技を具体的な態様で実行しなければならない場合、有利であり得ることは、組織の第1側に位置に初期的に位置する位置に対応する組織の第2側にある位置を位置決めするかつ/またはマーク付けすること、である。例えば、組織のうち切除される部分の位置は、組織の第1側に位置決めされ得、対応する位置は、組織の第1側にマーク付けされ得る。そして、マーク付けすることは、組織のうち切除される部分に切除デバイスを方向付けることを補助するために使用され得る。あるいは、組織のうち切除されない部分の位置は、組織の第1側に位置決めされ得、対応する位置は、組織の第2側にマーク付けされ得る。そして、マーク付けすることは、組織のうちマーク付けした部分を切除することを回避するように切除デバイスを方向付けるために使用され得る。いくつかの例示的なマーク付けすることは、耐久性がありかつ/またはすぐに検出可能であり、その後に、マーク付けすることを用いてマーク付けした位置を位置決めすることを容易にする。
【0031】
図1は、心臓10を示す部分破断図であり、洞房(SA)結節12の概略位置を示しており、図2から図7は、SA結節12の近接する心臓壁14を示す詳細断面図であり、全てが本開示の少なくとも一部の態様にかかる例示的な工程を示している。
【0032】
図1を参照すると、SA結節12は、上大静脈18への入口に対する横方向において、右心房16の心臓壁14(例えば心筋)にみられる。SA結節12の細胞は、電気的刺激を生成し、心臓10を収縮させる。例示的なハイブリッド型心臓手術は、不適切洞頻脈(IST)のような不整脈のための治療を含み得、この不整脈は、異常な解剖学的構造または心臓の刺激伝動系内の生理によって引き起こされ得る。このような手術は、SA結節12の近傍における心外膜切除を含み得るが、SA結節12の位置は、心外膜面を見ているとすぐには視覚的に現れないことがある。
【0033】
図1から図3を参照すると、医師(例えばEP)は、心臓10内(例えば右心房16内)に延在する電気マッピングカテーテル20を使用し、心臓壁14の第1の心内膜側22に位置する患者のSA結節12に関連する位置のような第1位置24を位置決めする。例えば、EPは、公知の電気生理学の/電気解剖学のマッピング技術を使用して心内膜22にあるSA結節12の位置24を位置決めし得る。他の例示的な実施形態において、房室結節、心臓神経叢及び/または催不整脈領域に関連する位置のような心臓壁14の他の部分を位置決めし得る。
【0034】
図4を参照すると、EPは、マッピングカテーテル20を用いて心内膜22を押すことによって、心臓壁14をほぼ外方へ膨張させ得、第2の心外膜面28に突起26を形成する。突起26は、心臓壁14の心外膜側28において(例えば直接的にもしくは内視鏡のような器具を用いて)視認可能でありかつ/または機械的に検出可能であり(例えば直接もしくは器具を用いて触知可能であり)、これにより、心外膜28にある対応する第2位置30を示す。理解されることは、心内膜面22にある第1位置24を心外膜面28にある第2位置30と相関付けるための技術であって本明細書の他の場所で説明する代替技術を含む技術を使用し得ること、である。
【0035】
いくつかの別の例にかかる実施形態において、第2位置30は、例えば心外膜に位置付けた器具21であってセンサ23を有する器具を用いることによって、電気的に位置決めされ得る。例えば、近接センサと同様に、器具は、表面間で信号振幅を検知して読み取るように構成され得る。例えば、器具21は、第2面にある電磁信号(例えば電磁放射の場またはビーム)を放出し得、センサ23は、第1面にある器具(例えばカテーテル20)によって影響されたリターン信号における変化を探し得、それにより、2つの器具間で組織位置を相関付ける。他の例示的な実施形態において、器具21及びカテーテル20は、2つの反対側の極間で組織領域にわたる組織インピーダンスにおける変化を評価するように構成され得る。例えば、第2面にある器具(例えば器具21)と第1面にある器具(例えばカテーテル20)とは、閉ループシステムとして使用され、これら器具間の組織インピーダンスを検出し得る。器具21及びカテーテル20は、これらの各別の組織面に位置合わせされ、組織領域にわたって平行移動され、インピーダンスにおける変化を評価し得、これら変化は、組織における治療的対象の構造または領域を相関付け得る。例えば、非病巣組織構造(例えばSA結節)によって示される第2位置30は、その範囲における(周囲組織に対する)組織のインピーダンスであって器具21とカテーテル20との間のインピーダンスの変化を検知することによって、位置決めされ得る。理解されることは、別の例示的な実施形態において、器具及び/またはセンサの別の配置を用いて第2位置30の同様の電気的位置決めを行い得ること、である。例えば、第1面及び第2面に隣接して位置付けられた素子は、逆とされ得る。
【0036】
いくつかの別の例示的な実施形態において、第2位置30は、磁気的に位置決めされ得る。例えば、心外膜に位置付けられた器具21のセンサ23は、心内膜に位置付けられた1以上の磁石(例えばマッピングカテーテル20に関連付けられた磁石)を検出するように構成され得る。他の例示的な実施形態において、心外膜に位置付けられた器具21にある1以上の磁石25は、マッピングカテーテル20に関連付けられた1以上の磁石27と磁気的に相互作用する(例えば引き付ける)ように構成され得る。
【0037】
図5を参照すると、同一のまたは別の医師(例えば心臓外科医)は、例えば第2位置30において心外膜面28にマーカ32を配設することによって、心臓壁14の心外膜側28にある第2位置30をマーク付けし得、これを突起26によって示し得る。理解されることは、本明細書の別の場所で説明するデバイス及び/または技術のようなマーク付けデバイス及び/または技術を利用してマーカ32で第2位置30をマーク付けすることを容易にし得る。全体として、本明細書で使用するように、「マーカ」は、一の表示器を言い得る。マーカは、表面の特有の部分に、表面に配置された物体及び/または組織病変に付与されたマーク付け物質(例えば、不変色または半不変色のインクまたは着色料、生体吸収性/吸収性パッチ、電波的に不透明であり得るまたは透明であり得る恒久的基準マーカ)を含み得る。いくつかの例示的な手術において、医師は、マーカ32を心外膜面28に配設する前かつ/または後などに、心外膜電気的マッピングを実行し得る。
【0038】
図6を参照すると、マッピングカテーテル20は、少なくとも部分的に後退され得、突起26を取り除き得る。マーカ32は、第2位置30で心外膜面28において視認可能なまたは検知可能なままであり得る。
【0039】
図1及び図7を参照すると、外科医は、心臓壁14の心外膜28から心臓壁のうちSA結節12に近接する部分を切除するなどの治療手技を実行し得る。外科医は、皮膚38を通した切開36を介して心外膜28にアクセスし得る。外科医は、マーカ32を使用して、切除デバイス34のような治療デバイスを方向付け、心臓壁14の所望部分を切除する。ISTを処置するためのいくつかの手術において、望ましくなり得ることは、心臓壁14のうちSA結節12を含む部分を含まないがこの部分の近傍において、心臓壁14のこの部分を切除すること、である。したがって、外科医は、切除デバイス34を方向付け得、それにより、この切除デバイスは、心臓壁のうちマーカ32でマーク付けした部分を回避してマーカ32の近くにおいて心臓壁14を切除する。あるいは、例えば他の手術において、または、SA結節12を切除する必要がある場合において、外科医は、切除デバイス34を方向付け、それにより、この切除デバイスは、マーカ32でマーク付けした心臓壁の部分を切除する。いくつかの例示的な実施形態は、長期間追跡手技または診断に関連して使用され得る。例えば、マーカ32によって容易にされる将来の手技は、実際には、外科的、心内膜/介入的、及び/または、放射線治療的であり得る。
【0040】
上記説明がSA結節と関連付けた位置を位置決めすること及びマーク付けすることに焦点を当てているが、理解されることは、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる別の実施形態が、同様のデバイス及び/または動作を有し得、心臓及び/または他の生物学的組織の他の部分に関与する手技に関連して利用され得ること、である。同様に、上記説明が相対的な内側面(例えば心内膜)にある第1場所に基づいて相対的な外側面(例えば心外膜)にある第2位置をマーク付けすることに焦点を当てているが、理解されることは、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる様々な別の実施形態が、ほぼ同様の器具及び技術を用いて、相対的に外側面(例えば心外膜)にある第1場所に基づいて相対的な内側面(例えば心内膜)にある第2位置をマーク付けするために利用され得ること、である。
【0041】
図8は、シース102が延伸構成にある一例にかかる有鞘キットナ100を示す破断図であり、図9は、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる、シース102が後退構成にある有鞘キットナ100を示す破断図である。全体として、例示的な有鞘キットナ100、例示的なマーク付けデバイスは、細長いシャフト104を有し、このシャフトは、シャフトの遠位側に配設された吸収先端部106を有する。先端部106は、例えば、吸収織物を備え得る。シース102は、シャフト104の周りに配設されており、延伸構成(図8)と後退構成(図9)との間で長手方向に移動可能(例えばスライド可能)である。延伸構成において、シース102は、シャフト104の遠位部分及び先端部106を少なくとも部分的に被覆する。後退構成において、先端部106の少なくとも一部は、露出されており、マーク付けすることを意図した組織(対象組織)に接触するように配設されている。
【0042】
全体として、シース102は、延伸構成において、先端部106が対象組織以外の組織または表面に接触することを防止するようにシース102が構成され得る。例えば、シース102の遠位部分は、先端部106を越えて遠位側に延在し得る。いくつかの例示的な実施形態において、シース102の少なくとも一部は、ほぼ透明であり得る。これにより、ユーザが対象組織に対する内視鏡キットナ100の相対位置を視覚化することが可能となり得る。シースは、同様に、とりわけ、手術中に胸腔から圧力が損失することを防止するための吹込封止のような機能、視認可能な深度表示マーカ(放射線不透過性など)、キットナに対する相対位置でシースを保持するための摩擦機能、または、ハンドルを有し得る。
【0043】
吸収先端部106には、組織をマーク付けするために、液状マーク付け物質(例えばインクまたは染料の放射線不透過性造影剤)が浸され得るまたは充填され得る。例えば、キットナ100には、マーク付け物質であらかじめ湿らせた先端部106が供給され得る。他の実施形態において、先端部106には、使用時に湿潤され得る乾燥マーク付け物質があらかじめ充填され得る。他の実施形態において、液状マーク付け物質を収容するカートリッジには、キットナ100が供給され得、先端部106には、使用時にマーク付け物質が充填され得る。いくつかの事例的な実施形態において、シース102は、マーク付け物質を毛管現象でシースの上まで案内する際にキットナに充填されたマーク付け物質のためのインク壺のように機能し得る。先端部106をシース102内へ引っ込めることにより、先端部106には、マーク付け物質が少なくとも部分的に再充填され得る。一般的に、先端部106は、十分なマーク付け物質を担持するように構成され得、ユーザは、所望のように、対象組織に「点状」マークを形成するかつ/またより複雑な形状を形成することが可能となる。
【0044】
一般的に、有鞘キットナ100は、先端部106にマーク付け物質を充填すること及び/またはシース102を延伸構成(図8)に配置することなどによって、使用の準備が整い得る。有鞘キットナ100は、例えば低侵襲外科アクセスデバイス(例えばシースまたはトロッカ)を通してまたは皮膚切開を直接通して、手術空間内に導入され得る。いったん手術空間にあると、シース102は、対象組織まで前進されて位置合わせされ、対象組織にある所望位置に先端部106からマーク付け物質を方向付け得る。ユーザは、対象組織に対してシース102を押して保持し得る。シース102は、後退構成(図9)へ後退され得、先端部106を露出させ、先端部106は、マーク付け物質(例えばインク)を対象組織に塗布することによって、対象組織をマーク付けし得る。シース102は、延伸構成(図8)に戻され得、有鞘キットナ100は、手術野から後退され得る。
【0045】
図9において、有鞘キットナ100は、選択的な極微針108を有しており、これら極微針は、対象組織を少なくとも部分的に貫通するように構成され得、タトゥーと同様の態様で対象組織の表面下にマーク付け物質を塗布することを容易にし得る。
【0046】
図10及び図11は、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる例示的な方法を示す断面図であり、この方法は、有鞘キットナ100を使用して心外膜28をマーク付けする。この例において、有鞘キットナ100は、図2から図7に関連して上述したように、SA結節12に関連する第2位置30においてマーカ32を付けるために使用される。図10を参照すると、シース102が延伸構成にある有鞘キットナ100は、前進されてシース102の遠位部分を第2位置30を示す突起26に位置合わせし得、この第2位置は、対象組織を有し得る。そして、シャフト104は、シース102に対して遠位側へ移動され、先端部106を第2位置30において第2面(例えば心外膜)28に接触させ、図11に示すように、マーク付け物質(例えばインク)を有するマーカ32を第2面に堆積させる。
【0047】
理解されることは、本開示にかかる例示的な有鞘キットナ100が、所望のサイズまたは形状で第2位置30のような位置をマーク付けするために使用され得ること、である。有鞘キットナ100は、例えば点、線及び/または二次元領域をマーク付けするために使用され得る。
【0048】
図12は、本開示の少なくとも一部の態様にかかる後退構成にある一例にかかるマーク付け器具200の側面図であり、図13は、延伸構成にある一例にかかるマーク付け器具200の側面図である。全体として、例示的なマーク付け器具200、例えばマーク付けデバイスは、遠位側に配設された先端部204を有する細長いシャフト202を有する。先端部204は、例えば、吸収繊維を備え得る。先端部204は、後退構成(図12)と延伸構成(図13)との間で長手方向に移動可能(例えばスライド可能)であり得る。移動可能な構成部材を位置決めすることは、バネ負荷ボタン206によって制御され得、このバネ負荷ボタンは、ハンドル208のような近位側に配設され得る。移動している構成部材の延伸制限は、ハンドル構成部材208と噛合するボタン構成部材206にある爪部を用いて実現され得る。後退構成において、先端部204は、シャフト202内にほぼ位置決めされており、それにより、先端部204は、隣接する組織をマーク付けしない。延伸構成において、先端部204の少なくとも一部は、露出され(例えば、シャフト202を越えて遠位側に延在し)、対象組織に接触するように配設される。いくつかの例示的な実施形態において、デバイスの管腔の下方へ吸引を付与し、使用中に器具を所定位置で維持することを補助し得る。
【0049】
先端部204は、組織をマーク付けするための液状マーク付け物質(例えばインクまたは着色料)に浸され得るまたは液状マーク付け物質が充填され得る。例えば、マーク付け器具200には、マーク付け物質であらかじめ湿らせた先端部204が供給され得る。他の実施形態において、先端部204には、乾燥マーク付け物質があらかじめ充填されており、この乾燥マーク付け物質は、使用時に湿潤され得る。他の実施形態において、液状マーク付け物質を収容するカートリッジには、マーク付け器具200が供給され得、先端部204には、使用時に、マーク付け物質が充填され得る。全体として、先端部204は、十分なマーク付け物質を支持するように構成され得、必要に応じて、ユーザが対象組織に小さな「点状」マークを形成するまたはより複雑な形状を形成することを可能とする。
【0050】
全体として、マーク付け器具200は、先端部204にマーク付け物質を充填するかつ/または先端部204を後退構成(図12)に配置することになどによって使用するために準備され得る。マーク付け器具200は、例えば低侵襲外科アクセスデバイス(例えばシースまたはトロッカ)を通してまたは皮膚切開を直接通して、手術空間内に導入され得る。いったん手術空間にあると、シャフト202は、対象組織まで前進されて位置合わせされ、対象組織にある所望位置に先端部204からマーク付け物質を方向付け得る。先端部204は、延伸され得(図13)、先端部204は、マーク付け物質を対象組織に付与することによって対象組織をマーク付けし得る。先端部204は、後退構成(図12)に戻され得、マーク付け器具200は、手術野から後退され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、マーク付け器具200のようなマーク付けデバイスは、先端部204を所望場所へ案内することを容易にするように構成された1以上の機能を有し得る。例えば、図12を参照すると、マーク付け器具200は、インピーダンスセンサ210のような1以上のセンサを有し得、これらセンサは、対象組織のインピーダンスを検知するように構成され得る。別の例として、マーク付け器具200は、1以上の磁石を有し得、これら磁石は、別の器具に関連付けられた対応する磁石、例えばマッピングカテーテル20(図4)の磁石27によって引き付けられ得るまたは反発され得る。したがって、マーク付け器具200を手術空間内に導入した後、先端部204は、磁気引力、磁気斥力及び組織の1以上のインピーダンス測定値を用いて所望場所へ案内され得る。理解されることは、上述した有鞘キットナのような他の例のマーク付けデバイスに関して同様の案内を利用し得ること、である。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態において、マーク付け器具200のようなマーク付けデバイスは、マーク付け器具200を安定化させることを容易にするように構成された1以上の機能を有し得る。例えば、図13を参照すると、マーク付け器具200は、吸引管218を介して吸引源216に動作式に接続された遠位側吸引開口部214を有し得る。吸引を付与することは、遠位側吸引開口部214を組織に対して一時的に固定し、これにより、マーク付け器具200を安定化させる。別の例として、磁石212は、カテーテル20(図4)の磁石27のような別の器具に関連付けられた対応する磁石に引き付けられるように構成され得、これにより、マーク付け器具200を安定化させる。したがって、組織をマーク付けする前に、マーク付け器具200は、例えば吸引を用いること及び/または磁気引力を用いることによって、安定化され得る。理解されることは、上述した有鞘キットナのような他の例示的なマーク付けデバイスに関して同様の安定化を使用し得ること、である。
【0053】
図14及び図15は、本開示のいくつかの態様にかかるマーク付け器具200を使用して心外膜28をマーク付けする例示的な方法を示す部分断面図である。この例において、マーク付け器具200は、図2から図7に関して上述したようなSA結節12と関連付けられた第2位置30においてマーカ32を付けるために使用される。図14を参照すると、先端部204が後退構成にあるマーク付け器具200は、第2位置30を示す突起26の近傍において手術空間内へ前進され得、この第2位置は、対象組織を有し得る。先端部204は、延伸構成へ配置され得る。図15を参照すると、シャフト202は、操縦され、先端部204を第2位置30において第2面(例えば心外膜)28に接触させ得、マーク付け物質を含むマーカ32を先端部204から堆積させる。
【0054】
理解されることは、本開示にかかる様々な例示的なマーク付け器具200を使用して所望のサイズまたは形状で第2位置30のような位置にマークを付けるために使用され得ること、である。マーク付け器具200は、例えば点、線及び/または二次元領域をマーク付けするために使用され得る。
【0055】
図16は、本開示の少なくとも一部の態様にかかる例示的なパッチ300の斜視図である。全体として、例示的なパッチ300は、生物学的組織に配置されて位置をマーク付けし得る物体である。パッチ300は、基材302で構成され得る。パッチ300は、本明細書で述べたマーカ32を備え得る。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態において、基材302は、1以上の生体吸収性材料で構成され得る。このような基材302は、酸化再生セルロース(ORC)、ポリグリコール酸(PGA)フェルト、コラーゲンスポンジ(フィブリノゲン及び/またはトロンビンで被覆され得る)、モノフィラメントメッシュ(例えばポリ-4-ヒドロキシ酪酸(P4HB))、及び/または、生合性ウェブ付着物(例えばポリグリコール酸(PGA)及びトリメチレンカーボネイト(TMC))から構成され得る。いくつかの例示的な生体吸収性基材302は、放射線不透過性であり得る、または放射線不透過性となるようにドープされ得る。いくつかの例示的な形態において、基材302は、フィルムを備え得、この基材は、例えば、ゼラチンまたは酸化再生セルロースを成形することによって作成され得る。いくつかのパッチ300、生体吸収性材料で構成された基材302を備えるパッチ300は、手術中に生物学的組織に配置され得るかつ/または手術後に組織の所定位置に残され得る。いくつかのパッチ300は、時間と共に身体によって吸収され得る。あるいは、パッチ300は、手術の終了前に生物学的組織から取り外され得る。
【0057】
いくつかの例示的な実施形態において、基材302は、非生体吸収性材料で構成され得る。いくつかのこのような基材302は、例えばポリエステル、ポリウレタン、シリコーンまたはポリオレフィン(例えばポリプロピレンもしくはポリエチレン)などの生体適合性材料から構成され得る。いくつかの例示的な非生体吸収性の基材302は、放射線不透過性であり得る、または放射線不透過性となるようにドープされ得る。いくつかのパッチ、非生体吸収性材料で構成された基材302を備えるパッチ300は、手術中に生物学的組織に配置され得るかつ/または手術の終了前に生物学的組織から取り外され得る。あるいは、パッチ300は、手術後に組織の所定位置に残され得る。これら形態は、長期間の安定のために線維浸入し得るまたはし得ない。
【0058】
いくつかの例示的な実施形態において、パッチ300は、切除手術に関連する機能を実行し得る。例えば、電気的絶縁性を有する基材302を備えるパッチ300は、切除手術に関連して使用され得る。パッチ300は、電気切除信号を中断させることによって下方に位置する組織の少なくとも一部を電気的に絶縁し得る。例えば、電気的遮蔽は、ポリアミドイミド(参考:Elantas PDG社のElan-Film Insulation Sheet)もしくは電気グレードのポリエステル(参考:Von Roll社のDMD-100 White Triplex Flexible Laminate Sheet)のような被覆を組み合わせることによって、または、ポリイミドのような絶縁性材料をパッチの剤形(参考:DuPont社のHPP Low Shrinkage Polyimide Film Sheet Catalog)に組み込むことによって、実現され得る。したがって、このようなパッチ300は、パッチの電気絶縁性性質を介して予期せぬ切除を防止するなど、下方に位置する組織の一部のための保護パッチとして機能し得る。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態において、パッチ300は、乾燥状態で設けられ得る。パッチ300は、使用前に湿潤され得る、または、パッチは、乾燥状態で対象組織に付けられ得る。あるいは、パッチは、湿潤状態で設けられ得る。
【0060】
いくつかの例示的な実施形態において、パッチ300は、生物学的組織にインクまたは着色料304のようなマーク付け物質を付けることを容易にし、マーカ32を備え得る。具体的には、基材302は、着色料304を保持するかつ/または着色料304を対象組織に付けることを容易にするために使用され得る。全体として、パッチ300を用いて着色料304を送達することは、より一貫したマーカ32の形成を可能とし得、潜在的にユーザがより安全に外科処置を実行することを可能とするかつ/または潜在的に着色料304を対象組織に広げるもしくは擦り落とすことを防止する。心臓血管外科において、パッチ300を用いて着色料304を付けることは、外科マーカまたは同様のデバイスの潜在的に外傷となり得る先端部で心臓を損傷させる危険性を低減し得るので、拍動している心臓の処置のための安全性を改善し得る。
【0061】
いくつかの例示的な実施形態において、基材302を備えるパッチ300は、着色料304とは別個に設けられ得る。使用前に、液状着色料304または水と混合した乾燥着色料304は、基材302に吸収され得る。そして、パッチ300は、対象組織に配置され得る。着色料304の少なくとも一部は、パッチ300から対象組織へ移り得、それにより、視認可能なマーカ32を対象組織に形成する。
【0062】
他の例示的な実施形態において、基材302及び着色料304を備えるパッチ300は、乾燥状態で設けられ得る。使用前に、パッチ300は、水などで濡らされ得る。そして、湿潤済みのパッチ300は、対象組織に配置され得る。着色料304の少なくとも一部は、パッチ300から対象組織へ移り得、それにより、視認可能なマーカ32を対象組織に形成する。
【0063】
他の例示的な実施形態において、基材302及び着色料304を備えるパッチ300は、湿潤済状態で設けられ得る。湿潤済みのパッチ300は、対象組織に配置され得、着色料304の少なくとも一部は、パッチ300から対象組織へ移り得、それにより、視認可能なマーカ32を対象組織に形成する。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態において、着色料304のようなマーク付け物質を対象組織に付けるように構成されたパッチ300は、対象組織に付けられて所定位置に残され、マーク付け物質の少なくとも一部が対象組織に移されるまたは対象組織に作用することを可能とし得、また、対象組織から取り除かれ得る。
【0065】
パッチ300は、湿潤済み状態及び/または乾燥状態で対象組織に接着されるように構成され得る。パッチ300は、標準サイズで形成され得る、かつ/または、対象組織及び/もしくは患者に基づいた特定のサイズへ形成され得る。いくつかの実施形態において、パッチ300は、全体として、図16に示すような小さい円または楕円の形態にあり得る。しかしながら、着色料送達パッチのサイズは、限定されず、対象組織に基づいた様々な形状及び/またはサイズであり得る。例えば、いくつかのパッチ300(例えば基材302)は、使用準備済みのサイズ及び形状で設けられ得る。あるいは、いくつかのパッチ300(例えば基材302)は、所望の使用サイズ及び形状よりも大きいサイズにあり得る。その後、ユーザは、パッチ300(例えば基材302)を所望の使用サイズ及び形状へ切断し得る。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態は、対象組織にマーカを設けるための様々なマーク付け物質を使用して本明細書で説明されている。全体として、任意のインク、着色料、または、任意のこのようなマーク付け物質を用いて本明細書に記載された実施形態に関連した他のマーク付け物質を利用することは、本開示の範囲内にある。例えば、メチレンブルー、ゲンチアナ・バイオレット、ブリリアントブルーFCF及びエバンスブルーは、様々な例示的な実施形態においてマーク付け物質として使用され得る。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態において、マーカ及び/またはマーク付け物質は、例えば蛍光透視法などを用いてマーカの検出を容易にし得る放射線不透過性物質を有し得る。マーカが患者の体内に残っている場合、マーカは、例えば外科手術後に、蛍光透視法を用いて視認可能であり得る。Ioversol(有機的に結合したヨウ素を含む化合物)を含むヨウ素や硫化バリウム化合物などの様々な公知の造影剤を使用し得る。いくつかの例示的な実施形態において、マーク付け物質は、直接のまたは内視鏡を通した視認を容易にするインクまたは着色料及び蛍光透視法の検出を容易にする放射線不透過剤を含み得る。他の実施形態において、マーク付け物質は、視認可能なマーク付け物質(例えばインクもしくは着色料)のみを含み得る、または、放射線不透過剤のみを含み得る。いくつかの例示的な実施形態は、少なくとも1つの放射性核種(例えばヨウ素131またはテクネチウム99など)を有するマーカ及び/またはマーク付け物質を含み得る。
【0068】
いくつかの例示的な実施形態は、少なくとも1つの磁性体(例えば強磁性体など)を有するマーカ及び/またはマーク付け物質を含み得る。一般的に、本明細書で使用するように、「磁性体」は、それ自体が磁性を有する材料または磁石に引き付けられることが可能な材料を言い得る。マーカ及び/またはマーク付け物質に関連して使用される磁性体は、例えば、依然配置したマーカのその後の検出及び/または位置決めを容易にするために使用され得る。また、いくつかの実施形態において、磁性体を有するマーカ及び/またはマーク付け物質の磁気的性質は、第2面にある磁性体を第1面にある磁石(例えばマッピングカテーテル20に関連付けられた磁石27)に引き付けることなどによって、特定の位置にマーカ及び/またはマーク付け物質を付けることを容易にするために使用され得る。例えば、第2位置は、第1面の第1位置において磁石を用いて、マーカ及び/またはマーク付け物質を第2位置に引き付けることによって、磁気的に位置決めされ得る。
【0069】
図17は、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる、パッチ300を付ける例示的な方法を示す部分断面図である。この例において、パッチ300は、図2から図7に関連して上述したSA結節12に関連付けられた第2位置30に配設されたマーカ32を備え得る、または、パッチ300は、マーカ32を有するマーク付け物質を送達することを容易にし得る。パッチ300は、把持器306のような手術器具を用いて心外膜面28に配設され得る。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態において、マーカ32は、無線周波数(RF)焼灼デバイス及び/または凍結デバイスによって形成された病変のような組織病変を備え得る。図18は、心臓壁14の詳細断面図であり、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる第2(心外膜)面28にある病変を備えるマーカ32を形成するRF焼灼デバイス40を示す。いくつかの例示的な実施形態において、RF焼灼は、比較的低エネルギーレベルで実行され得る。したがって、焼灼は、視覚的に現れるマーカ32を形成する以外に焼灼された組織の構造及び/または機能に影響を及ぼさないことがあり得る。いくつかの例示的な実施形態において、病変は、時間と共に癒え得る。図19は、心臓壁14の詳細な断面図であり、本開示の少なくともいくつかの態様にかかる第2(心外膜)面28で視認可能である氷生成を備えるマーカ32を形成する凍結デバイス42を示す。この例示的な実施形態において、凍結デバイス42は、第1位置24に近接する第1(心内膜)面22に冷却を付与する。凍結デバイス42を冷却させるにしたがって、組織は、氷結してマーカ32を有する氷生成を形成し、第2面28に視認可能となる。別の例示的な実施形態において、RF焼灼デバイス40は、第1(心内膜面22に付与されて第2(心外膜)面28に視認可能である病変を形成し得る、かつ/または、凍結デバイス42は、第2(心外膜)面28に付与されて視覚的に現れる氷生成を形成し得る。
【0071】
図20は、生物学的組織400の斜視図であって本開示の少なくとも一部の態様にかかる例示的なマーカ32a、32b、32c、32d、32eがこの生物学的組織にある、斜視図である。全体として、例示的なマーカ32a、32b、32c、32d、32eは、本明細書で説明する様々なマーカ(例えばマーカ32)の例示的な実施形態を示す。マーカ32a、32b、32c、32d、32eは、有鞘キットナ100またはマーク付け器具200によって付けられたマーク付け物質(例えばインクまたは着色料)、パッチ300のような物体、パッチ300によって付けられたマーク付け物質(例えばインクもしくは着色料)、氷生成、及び/または、組織病変の形態にあり得る。全体として、本明細書で説明したマーカは、例えば、円状もしくは非円状のドット(例えば点32a)、線(例えば直線32bもしくは曲線32c)、または領域(例えば外周32dもしくは充填領域32e)の形態にあり得る。本明細書で使用するように、「線」は、長い、幅狭の形状を言い、線は、ほぼ直線であり得るまたは1以上の曲部、屈曲部もしくは角度部を有し得る。本開示にかかるマーカは、標準化され得る、または、特定の患者及び/もしくは用途のための具体的なサイズ及び/もしくは形状であり得る。
【0072】
上記説明及び本発明の概略に続き、当業者に明らかであることは、本明細書で説明した方法及び相違が本開示にかかる例示的な実施形態を構成する一方で、本明細書に含まれる開示の範囲が上述した厳格な実施形態に限定されず以下の特許請求の範囲で規定されるような範囲から逸脱することなく変更をなし得ると理解されること、である。さらに、理解されることは、一般的に、一実施形態に関連して説明した機能及び態様が他の実施形態に関連して使用され得ること、である。同様に、理解されることは、本来の及び/または予期せぬ利点が本明細書で明確には説明していなくても存在し得るので、特許請求の範囲に入れるために本明細書で説明した特定した利点または目的のいずれかまたはすべてを満たす必要がないこと、である。
【符号の説明】
【0073】
10 心臓
12 SA結節
14 心臓壁
16 右心房
18 上大静脈
20 電気マッピングカテーテル
21 器具
22 第1面,心内膜面
22 心内膜
23 センサ
24 第1位置
25 磁石
26 突起
27 磁石
28 心外膜面,第2面
30 第2位置,マーカ
32a 点,マーカ
32b 直線,マーカ
32c 曲線,マーカ
32d 外周,マーカ
32e 充填領域,マーカ
34 切除デバイス
36 切開
38 皮膚
40 RF焼灼デバイス
42 凍結デバイス
100 有鞘キットナ,内視鏡キットナ
102 シース
104 シャフト
106 吸収先端部
108 極微針
200 マーク付け器具
202 シャフト
204 先端部
206 ボタン構成部材
バネ負荷ボタン
208 ハンドル構成部材,ハンドル
210 インピーダンスセンサ
212 磁石
214 遠位側吸引開口部
216 吸引源
218 吸引管
300 パッチ
302 生体吸収性基材
304 着色料,液状着色料,乾燥着色料
306 把持器
400 生物学的組織
図1
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