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▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20240925BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20240925BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240925BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240925BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20240925BHJP
【FI】
H01L29/78 613B
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H01L27/088 E
H01L27/092 G
H01L27/146 A
H01L29/78 618B
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/70
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023085229
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2022020148の分割
【原出願日】2015-09-16
(65)【公開番号】P2023113721
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2014191293
(32)【優先日】2014-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】手塚 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】一條 充弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規悦
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-015500(JP,A)
【文献】特開2013-062499(JP,A)
【文献】特開2014-116594(JP,A)
【文献】特開2012-039101(JP,A)
【文献】特開2014-099845(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153853(WO,A1)
【文献】特開2013-229588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
G09F 9/30
H01L 21/8234
H01L 21/8238
H01L 27/088
H01L 27/092
H01L 27/146
H10B 12/00
H10B 41/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル形成領域にシリコンを有する第1のトランジスタと、
チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2のトランジスタと、
容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのゲートと、前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方と、前記容量素子の一方の電極と、が電気的に接続される半導体装置であって、
前記容量素子の一方の電極として能を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方に位置する領域を有し、且つ前記容量素子の他方の電極として機能有する第2の導電層と、
前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上方に位置する領域を有し、且つ前記第2のトランジスタのゲート電極として機能有する第3の導電層と、
前記第3の導電層の上方に位置する領域を有し、少なくとも第1の開口部及び第2の開口部を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の前記第1の開口部に位置する領域を有する第4の導電層と、
前記第1の絶縁層の前記第2の開口部に位置する領域を有する第5の導電層と、
前記第4の導電層の上方に位置する領域を有する第6の導電層と、を有し、
前記第4の導電層は、前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第6の導電層の下面と接する領域とを有し、
前記第5の導電層は、前記第1のトランジスタのソース領域及びドレイン領域の一方と、前記第2のトランジスタのソース領域及びドレイン領域の他方と、それぞれ電気的に接続され
前記第2の開口部は、前記酸化物半導体層と重なる領域を有し、
前記第6の導電層は、前記酸化物半導体層と重なる領域を有する、半導体装置。
【請求項2】
チャネル形成領域にシリコンを有する第1のトランジスタと、
チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第2のトランジスタと、
容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのゲートと、前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方と、前記容量素子の一方の電極と、が電気的に接続される半導体装置であって、
前記容量素子の一方の電極として機能有する第1の導電層と、
前記第1の導電層の上方に位置する領域を有し、且つ前記容量素子の他方の電極として機能有する第2の導電層と、
前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の上方に位置する領域を有し、且つ前記第2のトランジスタの第1のゲート電極として機能有する第3の導電層と、
前記第3の導電層の上方に位置する領域を有し、少なくとも第1の開口部及び第2の開口部を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の前記第1の開口部に位置する領域を有する第4の導電層と、
前記第1の絶縁層の前記第2の開口部に位置する領域を有する第5の導電層と、
前記第4の導電層の上方に位置する領域を有する第6の導電層と、
前記酸化物半導体層の下方に位置する領域を有し、且つ前記第2のトランジスタの第2のゲート電極として機能有する第7の導電層と、を有し、
前記第4の導電層は、前記第2の導電層の上面と接する領域と、前記第6の導電層の下面と接する領域とを有し、
前記第5の導電層は、前記第1のトランジスタのソース領域及びドレイン領域の一方と、前記第2のトランジスタのソース領域及びドレイン領域の他方と、それぞれ電気的に接続され、
前記第3の導電層と、前記第7の導電層とは、電気的に接続され、
前記第2の開口部は、前記酸化物半導体層と重なる領域を有し、
前記第6の導電層は、前記酸化物半導体層と重なる領域を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、及び電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様
の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置
、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる素
子、回路、又は装置等を指す。一例としては、トランジスタ、ダイオード等の半導体素子
は半導体装置である。また別の一例としては、半導体素子を有する回路は、半導体装置で
ある。また別の一例としては、半導体素子を有する回路を備えた装置は、半導体装置であ
る。
【背景技術】
【0004】
近年、シリコン半導体に代わって、半導体特性を示す金属酸化物をトランジスタに用い
る技術が注目されている。
【0005】
特許文献1には、酸化物半導体を用いたトランジスタについて述べられており、酸化物
半導体、または酸化物半導体に接する膜に酸素プラズマ等を用いて酸素添加を行い、酸化
物半導体へ酸素を供給することによりトランジスタの特性を向上させる思想が示されてい
る。
【0006】
また非特許文献1には、ESRスペクトルでg値=1.93近傍に観測される吸収は、
酸化物半導体中の酸素欠損に水素が捕獲されることにより発生するキャリアが主たる要因
であることが示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-080947号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Yusuke Nonaka et. al,”Investigation of defects in In‐Ga‐Zn oxide thin film using electron spin resonance signals”,JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,2014,115,pp.163707-1-163707-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。または
、本発明の一態様は、安定した特性を有する半導体装置を提供することを課題の一とする
【0010】
または、本発明の一態様は、酸化物半導体中の酸素欠損を低減することを課題の一とす
る。または、本発明の一態様は、酸化物半導体中の水素濃度を低減することを課題の一と
する。または、本発明の一態様は、酸素欠損の少ない酸化物半導体を有するトランジスタ
を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、水素濃度の低い酸化物半
導体を有するトランジスタを提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は
、トランジスタのしきい値電圧の変動、ばらつき、または、低下を制御することを課題の
一とする。または、本発明の一態様は、非導通時の電流の小さいトランジスタを提供する
ことを課題の一とする。または、本発明の一態様は、導通時の電流の大きいトランジスタ
を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、当該トランジスタの作製
方法を提供することを課題の一とする。
【0011】
または、本発明の一態様は、酸化物半導体中の酸素欠損を低減する方法を提供すること
を課題の一とする。または、本発明の一態様は、酸化物半導体中の水素濃度を低減する方
法を提供することを課題の一とする。
【0012】
または、本発明の一態様は、新規な半導体装置、新規な電子機器等を提供することを課
題の一とする。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置の作製方法を提供すること
を課題の一とする。
【0013】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は
、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目
で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、明細書又は図面等の記載
から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明
の一態様は、上記列挙した記載、及び/又は他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解
決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、基板上に第1の半導体を形成し、第1の半導体上に接するように第
2の半導体を形成し、第2の半導体上に第1の層を形成し、酸素プラズマ処理を行った後
、第1の層を除去して第2の半導体の表面の少なくとも一部を露出させ、第2の半導体上
に接するように第3の半導体を形成し、第3の半導体上に接するように第1の絶縁体を形
成し、第1の絶縁体上に第1の導電体を形成する半導体装置の作製方法である。
【0015】
または、本発明の一態様は、基板上に第1の半導体を形成し、第1の半導体上に接する
ように第2の半導体を形成し、第2の半導体の上面に接するように、一対の導電体を形成
し、一対の導電体の上面と、第2の半導体の上面と、に接するように第1の層を形成し、
酸素プラズマ処理を行った後、第1の層を除去して第2の半導体の表面を露出させ、一対
の導電体の上面と、第2の半導体の上面と、に接するように第3の半導体を形成し、第3
の半導体上に接するように第1の絶縁体を形成し、第1の絶縁体上に第1の導電体を形成
する半導体装置の作製方法である。
【0016】
または、本発明の一態様は、基板上に第1の半導体を形成し、第1の半導体上に接する
ように第2の半導体を形成し、第2の半導体の上面に接するように第1の層を形成し、酸
素プラズマ処理を行った後、第1の層を除去して第2の半導体の表面を露出させ、第2の
半導体の上面に接するように、一対の導電体を形成し、一対の導電体の上面と、第2の半
導体の上面と、に接するように第3の半導体を形成し、第3の半導体上に接するように第
1の絶縁体を形成し、第1の絶縁体上に第1の導電体を形成する半導体装置の作製方法で
ある。
【0017】
また、上記構成において、第1の層は、第1の半導体または第3の半導体よりも高い水
素透過性を有することが好ましい。
【0018】
また、上記構成において、第1の層は、ホウ素、炭素、フッ素、マグネシウム、アルミ
ニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コ
バルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、
ニオブ、モリブデン、ルテニウム、インジウム、スズ、ランタン、ネオジム、ハフニウム
、タンタルまたはタングステンを含む酸化物を有することが好ましい。
【0019】
また、上記構成において、第2の半導体は、インジウム、元素M及び亜鉛を有し、元素
Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、
ニッケル、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウ
ム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、またはタングステンであることが好ましい。
【0020】
なおその他の本発明の一態様については、以下で述べる実施の形態における説明、及び
図面に記載されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、本発
明の一態様により、安定した特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明の一態様により、酸化物半導体中の酸素欠損を低減することができる。ま
た、本発明の一態様により、酸化物半導体中の水素濃度を低減することができる。また、
本発明の一態様により、酸素欠損の少ない酸化物半導体を有するトランジスタを提供する
ことができる。また、本発明の一態様により、水素濃度の低い酸化物半導体を有するトラ
ンジスタを提供することができる。また、本発明の一態様により、トランジスタのしきい
値電圧の変動、ばらつき、または、低下を制御することができる。また、本発明の一態様
により、非導通時の電流の小さいトランジスタを提供することができる。また、本発明の
一態様により、導通時の電流の大きいトランジスタを提供することができる。また、本発
明の一態様により、当該トランジスタの作製方法を提供することができる。
【0023】
また、本発明の一態様により、酸化物半導体中の酸素欠損を低減する方法を提供するこ
とができる。また、本発明の一態様により、酸化物半導体中の水素濃度を低減する方法を
提供することができる。
【0024】
また、本発明の一態様により、新規な半導体装置、新規な電子機器等を提供することが
できる。また、本発明の一態様により、新規な半導体装置の作製方法を提供することがで
きる。
【0025】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は
、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目
で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、明細書又は図面等の記載
から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明
の一態様は、上記列挙した効果、及び/又は他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有
するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さな
い場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図2】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図3】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図4】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図5】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図6】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図7】本発明の一態様のトランジスタの断面図。
図8】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図9】本発明の一態様のトランジスタの断面図。
図10】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図11】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図12】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図13】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図14】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図15】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図16】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図17】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図18】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図19】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図20】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図21】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図22】本発明の一態様のトランジスタの作製方法を説明する図。
図23】本発明の一態様の半導体装置の断面図。
図24】本発明の一態様の半導体装置の断面図。
図25】本発明の一態様の半導体装置の断面図。
図26】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
図27】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
図28】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
図29】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
図30】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図31】CAAC-OSおよびnc-OSの成膜モデルを説明する模式図。
図32】InGaZnOの結晶、およびペレットを説明する図。
図33】CAAC-OSの成膜モデルを説明する模式図。
図34】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図35】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図36】本発明の一態様に係る記憶装置を示す回路図。
図37】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図38】本発明の一態様に係る半導体装置を示す上面図。
図39】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図40】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図41】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
図42】本発明の一態様に係る半導体装置を示す斜視図および断面図。
図43】本発明の一態様に係る半導体装置を示すブロック図。
図44】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図。
図45】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図、上面図および断面図。
図46】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図および断面図。
図47】本発明の一態様に係る電子機器を示す斜視図。
図48】電子スピン共鳴で評価したスピン密度を示す図。
図49】実施例における試料の水素濃度のデプスプロファイルを説明する図。
図50】電子スピン共鳴で評価したスピン密度を示す図。
図51】実施例における試料の水素濃度のデプスプロファイルを説明する図。
図52】実施例における試料の水素濃度のデプスプロファイルを説明する図。
図53】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図54】本発明の一態様のトランジスタの上面図及び断面図。
図55】半導体の積層を示す断面図、およびバンド構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の
説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易
に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるも
のではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は
異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じ
くし、特に符号を付さない場合がある。
【0028】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張され
ている場合がある。
【0029】
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度
で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また
、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態を
いう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されてい
る状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」
とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0030】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位
)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能であ
る。
【0031】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積
層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」な
どと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と
、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0032】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」と
しての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳
密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」
と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導
体」と言い換えることができる場合がある。
【0033】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」と
しての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳
密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」
と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導
体」と言い換えることができる場合がある。
【0034】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半
導体にDOS(Density of State)が形成されることや、キャリア移動
度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半
導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2
族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば
、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒
素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を
形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不
純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第1
5族元素などがある。
【0035】
なお、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、絶縁体として、例えば、ホウ
素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、
アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム
、ハフニウムまたはタンタルを一種以上含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよ
い。または、絶縁体として、樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ア
クリル、シリコーンなどを含む樹脂を用いればよい。樹脂を用いることで、絶縁体の上面
を平坦化処理しなくてもよい場合がある。また、樹脂は短い時間で厚い膜を成膜すること
ができるため、生産性を高めることができる。絶縁体としては、好ましくは酸化アルミニ
ウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを含む絶縁体
を、単層で、または積層で用いればよい。
【0036】
また、以下に示す実施の形態では、特に断りがない場合、導電体として、例えば、ホウ
素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、
コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、
ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルまたはタングステンを一種以上含む導電体
を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、ア
ルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体
、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用い
てもよい。
【0037】
なお、本明細書において、Aが濃度Bの領域を有する、と記載する場合、例えば、Aの
ある領域における深さ方向全体が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の平
均値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の中央値が濃度Bである場合、
Aのある領域における深さ方向の最大値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ
方向の最小値が濃度Bである場合、Aのある領域における深さ方向の収束値が濃度Bであ
る場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られる領域が濃度Bである場合などを含む
【0038】
また、本明細書において、Aが大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bの領域を
有する、と記載する場合、例えば、Aのある領域における全体が大きさB、長さB、厚さ
B、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における平均値が大きさB、長さB、厚
さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における中央値が大きさB、長さB、
厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最大値が大きさB、長さB
、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における最小値が大きさB、長さ
B、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、Aのある領域における収束値が大きさB、長
さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合、測定上Aそのものの確からしい値の得られ
る領域が大きさB、長さB、厚さB、幅Bまたは距離Bである場合などを含む。
【0039】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に
応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電
膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という
用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタ、トランジスタを有する半導体装置
及びそれら作製方法について説明する。
【0041】
<トランジスタの構造>
図1(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図1(A)の一点鎖線A1
-A2および一点鎖線A3-A4に対応する断面図の一例を図1(B)に示す。なお、図
1(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0042】
図1に示すトランジスタ490は、導電体413と、導電体413上の絶縁体402と
、絶縁体402上の半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体4
06aの側面、ならびに半導体406bの上面および側面と接する、導電体416aおよ
び導電体416bと、半導体406aの側面、半導体406bの上面および側面、導電体
416aの上面および側面、ならびに導電体416bの上面および側面と接する半導体4
06cと、半導体406c上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体404と、を有
する。なお、ここでは、導電体413をトランジスタ490の一部としているが、これに
限定されない。例えば、導電体413がトランジスタ490とは独立した構成要素である
としてもよい。
【0043】
ここで、トランジスタ490は、図1に示すように例えば基板442上に設けられる。
基板442として、半導体基板、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板
、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タン
グステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、
繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどを用いることができる。半導体基板として
例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体、または炭化シリコン、シリコンゲル
マニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムな
どの化合物半導体を用いればよい。また、基板442として、非晶質半導体または結晶質
半導体を用いることができる。結晶質半導体としては、単結晶半導体、多結晶半導体、微
結晶半導体などがある。
【0044】
ここで、基板442と、導電体413との間に絶縁体を有してもよい。
【0045】
または、トランジスタ490は、図23の説明等において後述するように、基板上に設
けられるトランジスタ491、トランジスタ492などの上に、積層して設けられてもよ
い。
【0046】
導電体413は、トランジスタのゲート電極としての機能を有する。また、絶縁体40
2は、トランジスタ490のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体416a
および導電体416bは、トランジスタ490のソース電極およびドレイン電極としての
機能を有する。また、絶縁体412は、トランジスタ490のゲート絶縁体としての機能
を有する。また、導電体404は、トランジスタ490のゲート電極としての機能を有す
る。
【0047】
なお、導電体413および導電体404は、ともにトランジスタのゲート電極としての
機能を有するが、それぞれに印加する電位が異なっていても構わない。例えば、導電体4
13に負または正のゲート電圧を印加することでトランジスタ490のしきい値電圧を調
整しても構わない。または、導電体413と導電体404とを、図53に示すように導電
体421等により電気的に接続することで、同じ電位を印加しても構わない。この場合、
実効的なチャネル幅を大きくすることができるため、トランジスタ490の導通時の電流
を大きくすることができる。また、導電体404だけでは電界が届きにくい領域まで、導
電体413でカバーすることができるため、トランジスタ490のサブスレッショルドス
イング値(S値ともいう。)を小さくすることができ、トランジスタ490の非導通時の
電流を小さくすることができる。導電体421については、例えば後述する導電体476
a等の記載を参照することができる。
【0048】
または、トランジスタ490は図54に示すように導電体413を有さなくても構わな
い。
【0049】
なお、絶縁体402は過剰酸素を含む絶縁体であると好ましい。
【0050】
例えば、過剰酸素を含む絶縁体は、加熱処理によって酸素を放出する機能を有する絶縁
体である。例えば、過剰酸素を含む酸化シリコンは、加熱処理などによって酸素を放出す
ることができる酸化シリコンである。したがって、絶縁体402は膜中を酸素が移動可能
な絶縁体である。即ち、絶縁体402は酸素透過性を有する絶縁体とすればよい。例えば
、絶縁体402は、半導体406aよりも酸素透過性の高い絶縁体とすればよい。
【0051】
過剰酸素を含む絶縁体は、半導体406b中の酸素欠損を低減させる機能を有する場合
がある。半導体406b中で酸素欠損は、DOSを形成し、正孔トラップなどとなる。ま
た、酸素欠損のサイトに水素が入ることによって、キャリアである電子を生成することが
ある。したがって、半導体406b中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ490
に安定した電気特性を付与することができる。
【0052】
ここで、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、昇温脱離ガス分光法(TDS:T
hermal Desorption Spectroscopy)分析にて、100℃
以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018at
oms/cm以上、1×1019atoms/cm以上または1×1020atom
s/cm以上の酸素(酸素原子数換算)を放出することもある。
【0053】
ここで、TDS分析を用いた酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
【0054】
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に
比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
【0055】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、およ
び測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す
式で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガ
スの全てが酸素分子由来と仮定する。CHOHの質量電荷比は32であるが、存在する
可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17
の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在
比率が極微量であるため考慮しない。
【0056】
O2=NH2/SH2×SO2×α
【0057】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準
試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、
H2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値
である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細
に関しては、特開平6-275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子
科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD-WA1000S/Wを用い、標準試料として
1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコン基板を用いて測定した。
【0058】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素
原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素
分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量に
ついても見積もることができる。
【0059】
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分
子の放出量の2倍となる。
【0060】
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある
。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm
以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、ESRにて、g値が2
.01近傍に非対称の信号を有することもある。
【0061】
または、過剰酸素を含む絶縁体は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))
であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(X>2))は、シリコン原子数
の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン
原子数および酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford
Backscattering Spectrometry)により測定した値である。
【0062】
絶縁体412として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸
化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn系金属酸化物、窒化シ
リコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
【0063】
また、絶縁体412として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加され
たハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネ
ート(HfAl)、酸化イットリウムなどのhigh-k材料を用いてもよい
【0064】
また、絶縁体412として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸
化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁
膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの
窒化物絶縁膜、または上記材料を混合した膜を用いて形成することができる。
【0065】
また、絶縁体412として、絶縁体402と同様に、化学量論的組成を満たす酸素より
も多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。
【0066】
なお、特定の材料をゲート絶縁膜に用いると、特定の条件でゲート絶縁膜に電子を捕獲
せしめて、しきい値電圧を増大させることもできる。例えば、酸化シリコンと酸化ハフニ
ウムの積層膜のように、ゲート絶縁膜の一部に酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化
タンタルのような電子捕獲準位の多い材料を用い、より高い温度(半導体装置の使用温度
あるいは保管温度よりも高い温度、あるいは、125℃以上450℃以下、代表的には1
50℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極の電位をソース電極やドレイン電極の電位
より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、半導体層からゲート電
極に向かって、電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲準位に捕獲される。
【0067】
このように電子捕獲準位に必要な量の電子を捕獲させたトランジスタは、しきい値電圧
がプラス側にシフトする。ゲート電極の電圧の制御によって電子の捕獲する量を制御する
ことができ、それに伴ってしきい値電圧を制御することができる。また、電子を捕獲せし
める処理は、トランジスタの作製過程におこなえばよい。
【0068】
例えば、トランジスタのソース電極あるいはドレイン電極に接続する配線メタルの形成
後、あるいは、前工程(ウェハー処理)の終了後、あるいは、ウェハーダイシング工程後
、パッケージ後等、工場出荷前のいずれかの段階で行うとよい。いずれの場合にも、その
後に125℃以上の温度に1時間以上さらされないことが好ましい。
【0069】
また、窒素酸化物(NO、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代
表的にはNOまたはNOは、絶縁体412などに準位を形成する。当該準位は、半導体
406bのエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁体412及
び半導体406の界面に拡散すると、当該準位が絶縁体412側において電子をトラップ
する場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁体412及び半導体406界面
近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
【0070】
絶縁体412として、窒素酸化物が少なく、欠陥準位の密度が低い酸化物絶縁膜を用い
ることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジ
スタの電気特性の変動を低減することができる。
【0071】
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には300℃以上基板歪み点未満の
加熱処理により、絶縁体412は、100K以下のESR(電子スピン共鳴)で測定して
得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g
値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.9
66以下の第3のシグナルが観測されない。なお、第1のシグナル及び第2のシグナルの
スプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのスプリット幅は、Xバンドの
ESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1
のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.9
64以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が検出下限未満であ
り、代表的には1×1017spins/cm以下である。なお、ESRの測定温度を
100K以下とする。
【0072】
なお、ESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル
、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1
.966以下の第3のシグナルは、二酸化窒素起因のシグナルに相当する。即ち、g値が
2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下
の第2のシグナル、及びg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのス
ピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないと
いえる。以下、これらの3つのシグナルを「NOx起因のシグナル」と呼ぶ。
【0073】
また、窒素酸化物が少なく、欠陥準位の密度が低い酸化物絶縁膜は、SIMS(Sec
ondary Ion Mass Spectrometry)で測定される窒素濃度が
2×1020atoms/cm未満、7×1019atoms/cm未満、2×10
19atoms/cm未満、である。なお、絶縁体412の成膜温度が高いほど、絶縁
体412の窒素酸化物の含有量を低減することが可能である。絶縁体412の成膜温度は
、450℃以上基板歪み点未満、500℃以上基板歪み点未満、または500℃以上55
0℃以下が好ましい。
【0074】
図1に示すように、導電体416aおよび導電体416bの側面は、半導体406bの
側面と接する。また、導電体404の電界によって、半導体406bを電気的に取り囲む
ことができる(導電体の電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を
、surrounded channel(s-channel)構造とよぶ。)。その
ため、半導体406bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s-cha
nnel構造では、トランジスタのソース-ドレイン間に大電流を流すことができ、導通
時の電流(オン電流)を高くすることができる。
【0075】
高いオン電流が得られるため、s-channel構造は、微細化されたトランジスタ
に適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導
体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、
トランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下
、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好ま
しくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領
域を有する。
【0076】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領
域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)
とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトラ
ンジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つの
トランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書で
は、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小
値または平均値とする。
【0077】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中
で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域に
おける、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトラン
ジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つの
トランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書で
は、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小
値または平均値とする。
【0078】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示され
るチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば
、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面
図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくな
る場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面
に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において
示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅
の方が大きくなる。
【0079】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実
測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見
積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形
状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である
【0080】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重な
る領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチ
ャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel
Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合
には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明
細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。
なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込み
チャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって
、値を決定することができる。
【0081】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求
める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチ
ャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0082】
次に、半導体406a、半導体406b及び半導体406cについて説明する。
【0083】
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは
、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導
体406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウ
ム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、
ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、
ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステンなどがある。ただ
し、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例
えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エネルギーがイ
ンジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体のエネルギー
ギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、亜鉛を含むと
好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0084】
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体4
06bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、
亜鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などで
あっても構わない。
【0085】
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体40
6bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.
8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0086】
例えば、半導体406aおよび半導体406cは、半導体406bを構成する酸素以外
の元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物半導体である。半導体406bを
構成する酸素以外の元素一種以上、または二種以上から半導体406aおよび半導体40
6cが構成されるため、半導体406aと半導体406bとの界面、および半導体406
bと半導体406cとの界面において、界面準位が形成されにくい。
【0087】
半導体406a、半導体406bおよび半導体406cは、少なくともインジウムを含
むと好ましい。なお、半導体406aがIn-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和
を100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが5
0atomic%より大きく、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが7
5atomic%より大きいとする。また、半導体406bがIn-M-Zn酸化物のと
き、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが25ato
mic%より大きく、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34ato
mic%より大きく、Mが66atomic%未満とする。また、半導体406cがIn
-M-Zn酸化物のとき、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好まし
くはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より大きく、さらに好まし
くはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より大きいとする。なお、
半導体406cは、半導体406aと同種の酸化物を用いても構わない。
【0088】
半導体406bは、半導体406aおよび半導体406cよりも電子親和力の大きい酸
化物を用いる。例えば、半導体406bとして、半導体406aおよび半導体406cよ
りも電子親和力の0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7e
V以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお
、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
【0089】
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有す
る。そのため、半導体406cがインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム
原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さ
らに好ましくは90%以上とする。
【0090】
このとき、ゲート電極に電界を印加すると、半導体406a、半導体406b、半導体
406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。
【0091】
ここで、半導体406aと半導体406bとの間には、半導体406aと半導体406
bとの混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと半導体406cとの間には
、半導体406bと半導体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、界面
準位密度が低くなる。そのため、半導体406a、半導体406bおよび半導体406c
の積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合と
もいう。)バンド構造となる。なお、図55(A)は、半導体406a、半導体406b
および半導体406cが、この順番に積層した断面図である。図55(B)は、図55
A)の一点鎖線P1-P2に対応する伝導帯下端のエネルギー(Ec)であり、半導体4
06aより半導体406cの電子親和力が大きい場合を示す。また、図55(C)は、半
導体406aより半導体406cの電子親和力が小さい場合を示す。
【0092】
このとき、電子は、半導体406a中および半導体406c中ではなく、半導体406
b中を主として移動する。上述したように、半導体406aおよび半導体406bの界面
における界面準位密度、半導体406bと半導体406cとの界面における界面準位密度
を低くすることによって、半導体406b中で電子の移動が阻害されることが少なく、ト
ランジスタ490のオン電流を高くすることができる。
【0093】
トランジスタ490のオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くす
ることができる。例えば、電子の移動を阻害する要因のない場合、効率よく電子が移動す
ると推定される。電子の移動の阻害は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大き
い場合にも起こる。
【0094】
したがって、トランジスタ490のオン電流を高くするためには、例えば、半導体40
6bの上面または下面(被形成面、ここでは半導体406a)の、1μm×1μmの範囲
における二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未
満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.
4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともい
う。)が1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、よ
り好ましくは0.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高
低差(P-Vともいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8
nm未満、より好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-50
0などを用いて測定することができる。
【0095】
または、例えば、チャネルの形成される領域中の欠陥準位密度が高い場合にも、電子の
移動は阻害される。
【0096】
ここで、半導体406a、半導体406b、及び半導体406cとして、絶縁体や導電
体を用いてもよい。また、トランジスタ490は半導体406a及び半導体406cのい
ずれか、または両方を有さなくてもよい場合がある。
【0097】
なお、半導体406中の不純物濃度はSIMSで測定することができる。
【0098】
例えば、半導体406bが酸素欠損を有する場合を考える。当該酸素欠損に水素が入る
ことで、キャリアである電子が生成される場合がある。ここで酸素欠損はVoと表すこと
ができる。酸素欠損に入る水素をVoHと表す場合がある。また、水素の一部が金属原子
と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、
水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやす
い。また、半導体406bに含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水にな
ると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する場合
がある。
【0099】
このため、半導体406bは、酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていること
が好ましい。具体的には、半導体406bにおいて、SIMS分析により得られる水素濃
度を、5×1019atoms/cm以下、または1×1019atoms/cm
下、または5×1018atoms/cm以下、または1×1018atoms/cm
以下、または5×1017atoms/cm以下、または1×1016atoms/
cm以下とする。この結果、トランジスタ490は、しきい値電圧がプラスとなる電気
特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0100】
また、半導体406bにおいて、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれる
と、半導体406bにおいて酸素欠損が増加し、n型領域が形成されてしまう。このため
、半導体406bにおけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる
濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/
cm以下とする。この結果、トランジスタ490は、しきい値電圧がプラスとなる電気
特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0101】
また、半導体406bにおいて、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×
1016atoms/cm以下にする。アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化
物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大し
てしまうことがある。このため、半導体406bのアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の濃度を低減することが好ましい。この結果、トランジスタ490は、しきい値電圧がプ
ラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0102】
また、半導体406bに窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア
密度が増加し、n型領域が形成されてしまう。この結果、窒素が含まれている酸化物半導
体膜を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導
体膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、二次イオン質
量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下にすることが
好ましい。
【0103】
半導体406bの不純物を低減することで、酸化物半導体膜のキャリア密度を低減する
ことができる。このため、半導体406bは、キャリア密度が1×1017個/cm
下、好ましくは1×1015個/cm以下、さらに好ましくは1×1013個/cm
以下、より好ましくは1×1011個/cm以下であることが好ましい。
【0104】
半導体406bとして、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用い
ることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができる。ここで
は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性また
は実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体
は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従
って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧が
プラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。また、高純度真
性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラッ
プ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸
化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイ
ン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの
測定限界以下、すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。従って、
当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さ
く、信頼性の高いトランジスタとなる場合がある。
【0105】
なお、トランジスタ490がs-channel構造を有する場合、半導体406bの
全体にチャネルが形成される。したがって、半導体406bが厚いほどチャネル領域は大
きくなる。即ち、半導体406bが厚いほど、トランジスタ490のオン電流を高くする
ことができる。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは40n
m以上、さらに好ましくは60nm以上、さらに好ましくは100nm以上の厚さの領域
を有する半導体406bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があ
るため、例えば、300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150
nm以下の厚さの領域を有する半導体406bとすればよい。
【0106】
また、トランジスタ490のオン電流を高くするためには、半導体406cの厚さは小
さいほど好ましい。例えば、10nm未満、好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3
nm以下の領域を有する半導体406cとすればよい。一方、半導体406cは、チャネ
ルの形成される半導体406bへ、隣接する絶縁体を構成する酸素以外の元素(水素、シ
リコンなど)が入り込まないようブロックする機能を有する。そのため、半導体406c
は、ある程度の厚さを有することが好ましい。例えば、0.3nm以上、好ましくは1n
m以上、さらに好ましくは2nm以上の厚さの領域を有する半導体406cとすればよい
。また、半導体406cは、絶縁体402などから放出される酸素の外方拡散を抑制する
ために、酸素をブロックする性質を有すると好ましい。
【0107】
また、信頼性を高くするためには、半導体406aは厚く、半導体406cは薄いこと
が好ましい。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは40n
m以上、より好ましくは60nm以上の厚さの領域を有する半導体406aとすればよい
。半導体406aの厚さを、厚くすることで、隣接する絶縁体と半導体406aとの界面
からチャネルの形成される半導体406bまでの距離を離すことができる。ただし、半導
体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、200nm以下、好ましくは120
nm以下、さらに好ましくは80nm以下の厚さの領域を有する半導体406aとすれば
よい。
【0108】
例えば、半導体406bと半導体406aとの間に、二次イオン質量分析法(SIMS
:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×
1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さ
らに好ましくは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を有する
。また、半導体406bと半導体406cとの間に、SIMSにおいて、1×1019
toms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好まし
くは2×1018atoms/cm未満のシリコン濃度となる領域を有する。
【0109】
また、半導体406bの水素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体40
6cの水素濃度を低減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIM
Sにおいて、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms
/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは
5×1018atoms/cm以下の水素濃度となる領域を有する。また、半導体40
6bの窒素濃度を低減するために、半導体406aおよび半導体406cの窒素濃度を低
減すると好ましい。半導体406aおよび半導体406cは、SIMSにおいて、5×1
19atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より
好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017ato
ms/cm以下の窒素濃度となる領域を有する。
【0110】
上述の3層構造は一例である。例えば、半導体406aまたは半導体406cのない2
層構造としても構わない。または、半導体406aの上もしくは下、または半導体406
c上もしくは下に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示し
た半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、半導体406aの上
、半導体406aの下、半導体406cの上、半導体406cの下のいずれか二箇所以上
に、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cとして例示した半導体のいず
れか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
【0111】
導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)
は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および下面の少なくと
も一部(または全部)に設けられている。
【0112】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および、下面
の少なくとも一部(または全部)と、接している。または、導電体416a(または/お
よび導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406bなどの半導
体の少なくとも一部(または全部)と、接している。
【0113】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および、下面
の少なくとも一部(または全部)と、電気的に接続されている。または、導電体416a
(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406
bなどの半導体の少なくとも一部(または全部)と、電気的に接続されている。
【0114】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および下面の
少なくとも一部(または全部)に、近接して配置されている。または、導電体416a(
または/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406b
などの半導体の少なくとも一部(または全部)に、近接して配置されている。
【0115】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および下面の
少なくとも一部(または全部)の横側に配置されている。または、導電体416a(また
は/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406bなど
の半導体の少なくとも一部(または全部)の横側に配置されている。
【0116】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および下面の
少なくとも一部(または全部)の斜め上側に配置されている。または、導電体416a(
または/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406b
などの半導体の少なくとも一部(または全部)の斜め上側に配置されている。
【0117】
または、導電体416a(または/および導電体416b)の、少なくとも一部(また
は全部)は、半導体406bなどの半導体の、表面、側面、上面、または/および下面の
少なくとも一部(または全部)の上側に配置されている。または、導電体416a(また
は/および導電体416b)の、少なくとも一部(または全部)は、半導体406bなど
の半導体の少なくとも一部(または全部)の上側に配置されている。
【0118】
ここで、トランジスタ490は、その上に絶縁体408及び絶縁体418を有してもよ
い。絶縁体408及び絶縁体418の詳細については、後述する半導体装置の構造におい
て説明する。
【0119】
また、半導体406a、半導体406b、半導体406cに適用可能な酸化物半導体の
構造については、後述の実施の形態において説明する。
【0120】
<トランジスタの構造の変形例>
次に、図1のトランジスタ490の変形例として、図2に示すトランジスタ490につ
いて説明する。
【0121】
図2(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図2(A)の一点鎖線E1
-E2および一点鎖線E3-E4に対応する断面図の一例を図2(B)に示す。なお、図
2(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0122】
図1ではソース電極およびドレイン電極として機能する導電体416aおよび導電体4
16bが半導体406bの上面および側面、絶縁体402の上面などと接する例を示した
が、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、図2に示
すように、導電体416aおよび導電体416bが半導体406bの上面のみと接する構
造であっても構わない。
【0123】
図2に示すトランジスタは、導電体416aおよび導電体416bは、半導体406b
の側面と接しない。したがって、ゲート電極としての機能を有する導電体404から半導
体406bの側面に向けて印加される電界が、導電体416aおよび導電体416bによ
って遮蔽されにくい構造である。また、導電体416aおよび導電体416bは、絶縁体
402の上面と接しない。そのため、絶縁体402から放出される過剰酸素(酸素)が導
電体416aおよび導電体416bを酸化させるために消費されない。したがって、絶縁
体402から放出される過剰酸素(酸素)を、半導体406bの酸素欠損を低減するため
に効率的に利用することのできる構造である。即ち、図2に示す構造のトランジスタは、
高いオン電流、高い電界効果移動度、低いサブスレッショルドスイング値、高い信頼性な
どを有する優れた電気特性のトランジスタである。
【0124】
また図1では、トランジスタ内で半導体406cおよび絶縁体412が全面に設けられ
る例を示したが、図3に示すように半導体406cおよび絶縁体412と、導電体404
とがいずれかの端部が突出しない(迫り出さない)形状を有してもよい。図3(A)は、
トランジスタ490の上面図の一例である。図3(A)の一点鎖線A1-A2および一点
鎖線A3-A4に対応する断面図の一例を図3(B)に示す。なお、図3(A)では、理
解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0125】
また、図4(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図4(A)の一点鎖
線B1-B2および一点鎖線B3-B4に対応する断面図の一例を図4(B)に示す。な
お、図4(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0126】
また、図5(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図5(A)の一点鎖
線C1-C2および一点鎖線C3-C4に対応する断面図の一例を図5(B)に示す。な
お、図5(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0127】
半導体406cおよび絶縁体412と、導電体404とは、図4(A)の上面図に示す
ように、半導体406cがトランジスタのチャネル形成領域から、その周辺の領域を覆う
ように設けられ、かつ絶縁体412が半導体406cを覆うようにトランジスタ内の全面
に設けられていても構わない。なお、図4(B)の断面図では、半導体406cが導電体
404よりも端部が突出する(迫り出す)領域を有する形状となる。または、図5(A)
の上面図に示すように、半導体406cおよび絶縁体412がトランジスタのチャネル形
成領域から、その周辺の領域を覆うように設けられても構わない。なお、図5(B)の断
面図では、半導体406cおよび絶縁体412が導電体404よりも端部が突出する(迫
り出す)形状となる。
【0128】
トランジスタが、図1図4または図5に示す構造を有することで、半導体406cの
表面、絶縁体412の表面などを介したリーク電流を低減することができる場合がある。
即ち、トランジスタのオフ電流を、より小さくすることができる。また、絶縁体412お
よび半導体406cのエッチング時に、導電体404をマスクとしなくてもよいため、導
電体404がプラズマに曝されることがない。したがって、アンテナ効果によるトランジ
スタの静電破壊が生じにくく、半導体装置を歩留まり高く生産することができる。また、
半導体装置の設計の自由度が高くなるため、複雑な構造を有するLSI(Large S
cale Integration)やVLSI(Very Large Scale
Integration)などの集積回路に好適である。
【0129】
また、図6(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図6(A)の一点鎖
線D1-D2および一点鎖線D3-D4に対応する断面図の一例を図6(B)に示す。な
お、図6(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0130】
図1図2等ではソース電極およびドレイン電極として機能する導電体416aおよび
導電体416bと、ゲート電極として機能する導電体404とが重なる領域を有する構造
を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、導電体416aおよび導電体416bと、導電体404とが重なる領
域を有さない構造であっても構わない。このような構造とすることで、寄生容量の小さい
トランジスタとすることができる。そのため、スイッチング特性が良好で、ノイズの小さ
いトランジスタとなる。
【0131】
なお、導電体416aおよび導電体416bと、導電体404とが重ならないことによ
り、導電体416aと導電体416bとの間の抵抗が高くなる場合がある。その場合、ト
ランジスタのオン電流が小さくなることがあるため、該抵抗をなるべく低くすることが好
ましい。例えば、導電体416a(導電体416b)と、導電体404との距離を小さく
すればよい。例えば、導電体416a(導電体416b)と、導電体404との距離を0
μm以上1μm以下、好ましくは0μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0μm以
上0.2μm以下、より好ましくは0μm以上0.1μm以下とすればよい。
【0132】
または、導電体416a(導電体416b)と導電体404との間にある半導体406
bまたは/および半導体406aに低抵抗領域423a(低抵抗領域423b)を設けれ
ばよい。なお、低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bは、例えば、半導体406
bまたは/および半導体406aのほかの領域よりもキャリア密度の高い領域を有する。
または、低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bは、半導体406bまたは/およ
び半導体406aのほかの領域よりも不純物濃度の高い領域を有する。または、低抵抗領
域423aおよび低抵抗領域423bは、半導体406bまたは/および半導体406a
のほかの領域よりもキャリア移動度の高い領域を有する。低抵抗領域423aおよび低抵
抗領域423bは、例えば、導電体404、導電体416a、導電体416bなどをマス
クとし、半導体406bまたは/および半導体406aに不純物を添加することで形成す
ればよい。
【0133】
なお、導電体416a(導電体416b)と、導電体404との距離を小さくし、かつ
導電体416a(導電体416b)と導電体404との間にある半導体406bまたは/
および半導体406aに低抵抗領域423a(低抵抗領域423b)を設けても構わない
【0134】
または、例えば、トランジスタ490は、図7(A)に示すように、低抵抗領域423
aおよび低抵抗領域423bを有さなくてもよい。低抵抗領域423aおよび低抵抗領域
423bを有さないことにより、トランジスタ490のオン電流は低下することがあるが
、短チャネル効果の影響の小さいトランジスタ490となる。なお、図6(B)において
、低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bに相当する領域(導電体416a(導電
体416b)と導電体404との間の領域)をそれぞれLoff1領域およびLoff2
領域と呼ぶ。例えば、Loff1領域およびLoff2領域の長さを、それぞれ50nm
以下、20nm以下または10nm以下まで短くすると、低抵抗領域423aおよび低抵
抗領域423bを有さない場合でもトランジスタ490のオン電流の低下がほとんど起こ
らないため好ましい。なお、Loff1領域とLoff2領域とは、異なる大きさであっ
ても構わない。
【0135】
または、例えば、トランジスタ490は、図7(B)に示すように、Loff1領域の
みを有し、Loff2領域を有さなくてもよい。Loff2領域を有さないことで、トラ
ンジスタ490のオン電流の低下を小さくしつつ、短チャネル効果の影響の小さいトラン
ジスタ490となる。なお、導電体416bと導電体404との重なる領域をLov領域
と呼ぶ。例えば、Lov領域の長さを、50nm以下、20nm以下または10nm以下
まで短くすると、寄生容量によるトランジスタ490のスイッチング特性の低下がほとん
ど起こらないため好ましい。
【0136】
または、例えば、トランジスタ490は、図7(C)に示すように、導電体404がテ
ーパー角を有する形状であってもよい。その場合、例えば、低抵抗領域423aおよび低
抵抗領域423bは、深さ方向に勾配を有する形状となる場合がある。なお、図7(C)
だけでなく、他の図面においても、導電体404がテーパー角を有する形状であってもよ
い。
【0137】
また、図8(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図8(A)の一点鎖
線F1-F2および一点鎖線F3-F4に対応する断面図の一例を図8(B)に示す。な
お、図8(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す。
【0138】
トランジスタ490は、図8に示すように、導電体416aおよび導電体416bを有
さず、導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとが接する構造であって
も構わない。この場合、半導体406bまたは/および半導体406aの、少なくとも導
電体426aおよび導電体426bと接する領域に低抵抗領域423a(低抵抗領域42
3b)を設けると好ましい。低抵抗領域423aおよび低抵抗領域423bは、例えば、
導電体404などをマスクとし、半導体406bまたは/および半導体406aに不純物
を添加することで形成すればよい。なお、導電体426aおよび導電体426bが、半導
体406bの孔(貫通しているもの)または窪み(貫通していないもの)に設けられてい
ても構わない。導電体426aおよび導電体426bが、半導体406bの孔または窪み
に設けられることで、導電体426aおよび導電体426bと、半導体406bとの接触
面積が大きくなるため、接触抵抗の影響を小さくすることができる。即ち、トランジスタ
のオン電流を大きくすることができる。
【0139】
または、例えば、トランジスタ490は、図9(A)に示すように、低抵抗領域423
aおよび低抵抗領域423bを有さなくてもよい。低抵抗領域423aおよび低抵抗領域
423bを有さないことにより、トランジスタ490のオン電流は低下することがあるが
、短チャネル効果の影響の小さいトランジスタ490となる。なお、導電体426a(導
電体426b)と導電体404との間の領域をLoff領域と呼ぶ。例えば、Loff領
域の長さを、50nm以下、20nm以下または10nm以下まで短くすると、低抵抗領
域423aおよび低抵抗領域423bを有さない場合でもトランジスタ490のオン電流
の低下はほとんど起こらない場合がある。
【0140】
または、例えば、トランジスタ490は、図9(B)に示すように、導電体404がテ
ーパー角を有する形状であってもよい。その場合、例えば、低抵抗領域423aおよび低
抵抗領域423bは、深さ方向に勾配を有する形状となる場合がある。
【0141】
図10(A)および図10(B)は、トランジスタ490の上面図および断面図である
図10(A)は上面図であり、図10(B)は、図10(A)に示す一点鎖線G1-G
2、および一点鎖線G3-G4に対応する断面図である。なお、図10(A)の上面図で
は、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0142】
図10(A)および図10(B)に示すトランジスタ490は、基板442上の導電体
413と、基板442上および導電体413上の凸部を有する絶縁体402と、絶縁体4
02の凸部上の半導体406aと、半導体406a上の半導体406bと、半導体406
b上の半導体406cと、半導体406a、半導体406bおよび半導体406cと接し
、間隔を開けて配置された導電体416aおよび導電体416bと、半導体406c上、
導電体416a上および導電体416b上の絶縁体412と、絶縁体412上の導電体4
04と、導電体416a上、導電体416b上、絶縁体412上および導電体404上の
絶縁体408と、絶縁体408上の絶縁体418と、を有する。
【0143】
なお、絶縁体412は、G3-G4断面において、少なくとも半導体406bの側面と
接する。また、導電体404は、G3-G4断面において、絶縁体412を介して、少な
くとも半導体406bの上面および側面と面する。また、導電体413は、絶縁体402
を介して半導体406bの下面と面する。また、絶縁体402が凸部を有さなくても構わ
ない。また、半導体406cを有さなくても構わない。また、絶縁体408を有さなくて
も構わない。また、絶縁体418を有さなくても構わない。
【0144】
したがって、図10に示すトランジスタ490は、図3に示したトランジスタ490と
一部の構造が異なるのみである。具体的には、図3に示したトランジスタ490の半導体
406a、半導体406bおよび半導体406cの構造と、図10に示すトランジスタ4
90の半導体406a、半導体406bおよび半導体406cの構造が異なるのみである
。したがって、図10に示すトランジスタは、図3に示したトランジスタについての説明
を適宜参照することができる。
【0145】
また、図11(A)は、トランジスタ490の上面図の一例である。図11(A)の一
点鎖線H1-H2および一点鎖線H3-H4に対応する断面図の一例を図11(B)に示
す。なお、図11(A)では、理解を容易にするため、絶縁体などの一部を省略して示す
【0146】
なお、図10(A)に示す上面図では、絶縁体412が導電体404と同様の形状であ
る例を示したが、本発明の一態様に係るトランジスタの構造はこれに限定されない。例え
ば、図11(A)および図11(B)に示すように、絶縁体412が絶縁体402上、半
導体406c上、導電体416a上および導電体416b上に配置されていてもよい。
【0147】
<トランジスタの作製方法1>
次に、図1に示すトランジスタ490の作製方法の一例について図12乃至図15を用
いて説明する。
【0148】
まず、基板442を準備する。基板442上に絶縁体を成膜してもよい。
【0149】
次に、導電体413となる導電体を成膜する。導電体413となる導電体は、スパッタ
リング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0150】
次に、導電体413となる導電体の一部をエッチングし、導電体413を形成する。
【0151】
次に、絶縁体402を成膜する。絶縁体402は、スパッタリング法、CVD法、MB
E法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。なお、ここでは、絶縁体4
02は、CMP法などによって、上面から平坦化する場合について説明する。絶縁体40
2の上面を平坦化することで、後の工程が容易となり、トランジスタ490の歩留まりを
高くすることができる。例えば、CMP法によって、絶縁体402のRMS粗さを1nm
以下、好ましくは0.5nm以下、さらに好ましくは0.3nm以下とする。または、1
μm×1μmの範囲におけるRaを1nm未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ま
しくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とする。または、1μm×1μm
の範囲におけるP-Vを10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm
未満、より好ましくは7nm未満とする。ただし、本発明の一態様に係るトランジスタ4
90は、絶縁体402の上面を平坦化した場合に限定されない。
【0152】
絶縁体402は、過剰酸素を含ませるように成膜すればよい。または、絶縁体402の
成膜後に酸素を添加しても構わない酸素の添加は、例えば、イオン注入法により、加速電
圧を2kV以上100kV以下とし、ドーズ量を5×1014ions/cm以上5×
1016ions/cm以下として行えばよい。
【0153】
なお、絶縁体402を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、上記のような成膜
方法を用いて、異なる成膜方法で成膜してもよい。例えば、1層目をCVD法で成膜し、
2層目をALD法で成膜してもよい。または、1層目をスパッタリング法で成膜し、2層
目をALD法で成膜してもよい。このように、それぞれ異なる成膜方法を用いることによ
って、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層
することによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0154】
つまり、n層目(nは自然数)の膜を、スパッタリング法、CVD法、MBE法または
PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し、n+1層目の膜を、ス
パッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などのうちの少なくとも
1つの方法で成膜する。なお、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が同じでも
異なっていてもよい。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい
。または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0155】
次に、半導体406aとなる半導体436a、および半導体406bとなる半導体43
6bをこの順に成膜する(図12(A)参照)。半導体406aとなる半導体、および半
導体406bとなる半導体は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、
ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0156】
なお、半導体436aおよび半導体436bとして、In-Ga-Zn酸化物層をMO
CVD法によって成膜する場合、原料ガスとしてトリメチルインジウム、トリメチルガリ
ウムおよびジメチル亜鉛などを用いればよい。なお、上記原料ガスの組み合わせに限定さ
れず、トリメチルインジウムに代えてトリエチルインジウムなどを用いてもよい。また、
トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウムなどを用いてもよい。また、ジメチル亜
鉛に代えてジエチル亜鉛などを用いてもよい。
【0157】
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。加熱処理により、例えば、絶縁体402に含
まれる過剰酸素を、半導体406aを介して半導体406bまで移動させ、半導体406
bの酸素欠損を低減することができるため好ましい。この場合、半導体406aは、酸素
透過性を有する層(酸素を通過または透過させる層)であることが好ましい。
【0158】
酸素は、加熱処理などによって絶縁体402から放出され、半導体406a中に取り込
まれる。なお、酸素は、半導体406a中の原子間に遊離して存在する場合や、酸素など
と結合して存在する場合がある。半導体406aは、密度が低いほど、即ち原子間に間隙
が多いほど酸素透過性が高くなる。例えば、また、半導体406aが層状の結晶構造を有
し、層を横切るような酸素の移動は起こりにくい場合、半導体406aは適度に結晶性の
低い層であると好ましい。
【0159】
第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下
で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以
上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行って
もよい。または、第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸
素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加
熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、半導体436a、および半導体436
bの結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
【0160】
次に、マスクを形成し、該マスクを用いて半導体436a及び半導体436bをエッチ
ングし、半導体406a及び半導体406bを形成する(図12(B)参照。)。マスク
として、フォトレジストを用いることができる。また、マスクとして、ハードマスクを用
いてもよい。ハードマスクを用いる具体例は、後述する図20(B)の説明で述べる。
【0161】
次に、導電体416を成膜する。導電体416は、スパッタリング法、CVD法、MB
E法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0162】
導電体416aおよび導電体416bは、導電体416を成膜した後で、導電体416
の一部をエッチングすることで形成される。したがって、導電体416の成膜時に、半導
体406bへダメージを与えない成膜方法を用いると好ましい。即ち、導電体416の成
膜には、MCVD法などを用いると好ましい。
【0163】
なお、導電体416を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパッタリング法
、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など)、MBE
法、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で成膜してもよ
い。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよ
い。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜してもよい。また
は、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよい。または、
1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目をALD法で成
膜してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによって、各層の膜
に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層することによっ
て、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0164】
つまり、導電体416を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜を、スパッタ
リング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法など)
、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜し、n+1層
目の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、
MOCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法
で成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていてもよい(nは自
然数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい。または、す
べての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0165】
なお、導電体416、または導電体416の積層膜の内の少なくとも一つの膜と、半導
体406aとなる半導体、または半導体406bとなる半導体とは、同じ成膜方法を用い
てもよい。例えば、どちらも、ALD法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせず
に成膜することができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0166】
なお、導電体416、または導電体416の積層膜の内の少なくとも一つの膜と、半導
体406aとなる半導体、または半導体406bとなる半導体と、絶縁体402、または
絶縁体402の積層膜の内の少なくとも一つの膜とは、同じ成膜方法を用いてもよい。例
えば、どれも、スパッタリング法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせずに成膜
することができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。ただし、本発明の一態
様に係る半導体装置の作製方法は、これらに限定されない。
【0167】
次に、マスクを形成し、該マスクを用いて、導電体416a及び導電体416bとなる
導電体をエッチングし、導電体416aおよび導電体416bを形成する(図13(A)
参照。)。
【0168】
次に、半導体406cとなる半導体を成膜する(図13(B)参照。)。半導体406
cとなる半導体は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法な
どを用いて成膜すればよい。
【0169】
なお、半導体406cとなる半導体として、In-Ga-Zn酸化物層をMOCVD法
によって成膜する場合、原料ガスとしてトリメチルインジウム、トリメチルガリウムおよ
びジメチル亜鉛などを用いればよい。なお、上記原料ガスの組み合わせに限定されず、ト
リメチルインジウムに代えてトリエチルインジウムなどを用いてもよい。また、トリメチ
ルガリウムに代えてトリエチルガリウムなどを用いてもよい。また、ジメチル亜鉛に代え
てジエチル亜鉛などを用いてもよい。
【0170】
次に、第2の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体4
06cとなる半導体よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cと
なる半導体として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。換言する
と、半導体406aとして、酸素を透過する機能を有する半導体を選択する。また、半導
体406cとなる半導体として、酸素をブロックする機能を有する半導体を選択する。こ
のとき、第2の加熱処理を行うことで、半導体406aを介して、絶縁体402に含まれ
る過剰酸素が半導体406bまで移動する。半導体406bは半導体406cとなる半導
体で覆われているため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミング
で第2の加熱処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減する
ことができる。なお、第2の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導体4
06bまで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照し
ても構わない。または、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。
第1の加熱処理と第2の加熱処理の温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは40
℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)が放
出することを抑えることができる。
【0171】
ここで、半導体406bは、酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていることが
好ましい。例えば加熱処理を行うことにより半導体406bが有する水素を低減すること
ができる。熱処理温度が高いほど、水素濃度を低くすることができるため好ましい。
【0172】
一方、例えば導電体416a及び導電体416bの形成後に加熱処理を行う場合に、加
熱処理により配線材料が酸化して高抵抗化する場合がある。よって、特に導電体416a
及び導電体416b形成後の熱処理温度は、低く抑えることが好ましい場合がある。また
、製造コストの面でも加熱処理の温度はより低いことが好ましい。
【0173】
ここで、半導体406bの酸素欠損に捕獲された水素を除去する場合を考える。半導体
406bの酸素欠損に捕獲された水素は、捕獲サイトから脱離させて半導体406bの外
に拡散させることが好ましい。
【0174】
ここで、例えば半導体406bや半導体406cに過剰酸素を添加することにより、水
素が捕獲された酸素欠損に酸素が入り、水素を脱離しやすくすることができる場合がある
。また、半導体406cに過剰酸素を添加し、半導体406cの酸素を半導体406bま
で拡散させてもよい。酸素を添加することにより、酸素欠損を低減するとともに、より低
い温度で水素を低減することができる場合がある。また、酸素を添加することにより、半
導体406bの水素濃度を、より低くできる場合がある。
【0175】
また、添加された酸素と水素が結合して水となり、半導体406bから水素を除去しや
すくなる場合がある。
【0176】
ここで、酸素添加により半導体406bや半導体406b上の半導体406cに高濃度
に酸素を有する領域を形成する場合、該領域ではダメージが入る場合がある。例えばイオ
ン注入法などを用いて高加速電圧を印加して半導体406bや半導体406b上の半導体
406c中に酸素を注入する場合、その注入過程において欠陥が生じる場合がある。
【0177】
ここで例えば半導体406bより上に層420を設け、酸素が高濃度な領域を層420
に形成することにより、半導体406bへのダメージを低減できる場合があり、好ましい
。例えば、半導体406bより上に設けられる層420に高濃度の酸素を添加し、その後
、層420中の酸素を拡散により半導体406bへ移動させることにより、半導体406
bへのダメージを抑えることができる。
【0178】
また、半導体406b上に層420を設けた後に酸素を添加することにより、例えば酸
素を添加するための工程における汚染を防ぐことができる。具体的には、例えば装置の処
理室や搬送系からの酸素以外の元素の付着や混入を防ぐことができる。
【0179】
図13(C)に示す例では、半導体406b上に半導体406cが設けられており、半
導体406c上に層420を成膜する。ここで、後述するように層420は半導体406
cを設ける前に成膜してもよい。
【0180】
層420は、水素透過性が高いことが好ましい。
【0181】
層420として、絶縁体、半導体等を用いることができる。層420として、例えば金
属の酸化物を用いることができる。金属酸化物として例えば、ホウ素、炭素、フッ素、マ
グネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、チタン、バナジウム、ク
ロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、インジウム、スズ、ランタン、ネ
オジム、ハフニウム、タンタルまたはタングステンを含む酸化物を、単層で、または積層
で用いればよい。例えば、層420としては、酸化チタン、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸
化ガリウム、酸化モリブデン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化タングステン、等を用い
ればよい。また、層420として、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリ
コン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。
【0182】
また、層420として、インジウム、元素M、及び亜鉛のうち少なくとも一つ、または
複数を有する酸化物を用いることができる。層420として例えば、In-Ga酸化物、
In-Zn酸化物、Zn-Ga酸化物、Zn-Sn酸化物、In-Ga-Zn酸化物、I
n-Sn-Zn酸化物、In-Hf-Zn酸化物などを用いればよい。特に、原子数比で
、GaをInよりも多く有するIn-Ga-Zn酸化物、GaをInの2倍よりも多く有
するIn-Ga-Zn酸化物、またはGaをInの3倍よりも多く有するIn-Ga-Z
n酸化物を用いることが好ましい。
【0183】
また、層420として、絶縁体412として説明した材料を用いることができる。
【0184】
次に、酸素の添加を行う(図14(A)参照。)。酸素の添加はイオン注入法、プラズ
マ処理法等を用いて行うことができる。また、イオン注入法において、質量分離法を用い
てもよい。ここでイオンは主として例えばOやO を用いることができる。
【0185】
酸素添加の後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、酸素が半導体4
06bまで拡散しやすくなる場合がある。
【0186】
次に、層420を除去する(図14(B)参照。)。層420の除去には、ウェットエ
ッチングやドライエッチングを用いることができる。例えば、ウェットエッチングはプラ
ズマなどのダメージがなく、また簡便な方法であり、好ましい。
【0187】
また、ウェットエッチングにおいて、層420の下層の膜、例えば半導体406cや半
導体406bとの選択比が低い場合には、ドライエッチングを用いることが好ましい。選
択比が高い条件を用いて層420のドライエッチングを行うことにより、制御性よく層4
20の除去を行うことができる場合がある。
【0188】
次に、絶縁体412となる絶縁体を成膜する(図14(C)参照。)。絶縁体412と
なる絶縁体は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを
用いて成膜すればよい。
【0189】
なお、絶縁体412となる絶縁体を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパ
ッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法な
ど)、MBE法、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で
成膜してもよい。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で
成膜してもよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜して
もよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよ
い。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目を
ALD法で成膜してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによっ
て、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層す
ることによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0190】
つまり、絶縁体412となる絶縁体を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜
を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOC
VD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜
し、n+1層目の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、
MCVD法、MOCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくと
も1つの方法で成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていても
よい(nは自然数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい
。または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0191】
次に、絶縁体412上から酸素添加を行っても構わない。酸素添加の方法については、
前述の酸素添加の方法を参照することができる。
【0192】
次に、第3の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体4
06cとなる半導体よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cと
なる半導体として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。また、半
導体406cとなる半導体として、酸素をブロックする機能を有する半導体を選択する。
または、例えば、半導体406aとして、絶縁体412となる絶縁体よりも酸素透過性の
高い半導体を選択する。即ち、絶縁体412となる絶縁体として、半導体406aよりも
酸素透過性の低い半導体を選択する。換言すると、半導体406aとして、酸素を透過す
る機能を有する半導体を選択する。また、絶縁体412となる絶縁体として、酸素をブロ
ックする機能を有する絶縁体を選択する。このとき、第3の加熱処理を行うことで、半導
体406aを介して、絶縁体402に含まれる過剰酸素が半導体406bまで移動する。
半導体406bは半導体406cとなる半導体および絶縁体412となる絶縁体で覆われ
ているため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミングで第3の加
熱処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減することができ
る。なお、第3の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導体406bまで
拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照しても構わな
い。または、第3の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。第1の加熱
処理と第3の加熱処理の温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上10
0℃以下とする。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)が放出すること
を抑えることができる。なお、絶縁体412となる絶縁体が酸素をブロックする機能を有
する場合、半導体406cとなる半導体が酸素をブロックする機能を有さなくても構わな
い。
【0193】
次に、導電体404となる導電体を成膜する。導電体404となる導電体は、スパッタ
リング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0194】
絶縁体412となる絶縁体は、トランジスタ490のゲート絶縁体として機能する。し
たがって導電体404となる導電体の成膜時に、絶縁体412となる絶縁体へダメージを
与えない成膜方法を用いると好ましい。即ち、該導電体の成膜には、MCVD法などを用
いると好ましい。
【0195】
なお、導電体404となる導電体を積層膜で構成する場合には、それぞれの膜を、スパ
ッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOCVD法な
ど)、MBE法、PLD法、ALD法などのような成膜方法を用いて、異なる成膜方法で
成膜してもよい。例えば、1層目をMOCVD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で
成膜してもよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をMOCVD法で成膜して
もよい。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜してもよ
い。または、1層目をALD法で成膜し、2層目をスパッタリング法で成膜し、3層目を
ALD法で成膜してもよい。このように、それぞれ、異なる成膜方法を用いることによっ
て、各層の膜に異なる機能や性質を持たせることができる。そして、それらの膜を積層す
ることによって、積層膜全体として、より適切な膜を構成することができる。
【0196】
つまり、導電体404となる導電体を積層膜で構成する場合には、例えば、n層目の膜
を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、MCVD法、MOC
VD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくとも1つの方法で成膜
し、n+1層目の膜を、スパッタリング法、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法、
MCVD法、MOCVD法など)、MBE法、PLD法、ALD法などのうちの少なくと
も1つの方法で成膜し、n層目の膜と、n+1層目の膜とで、成膜方法が異なっていても
よい(nは自然数)。なお、n層目の膜とn+2層目の膜とで、成膜方法が同じでもよい
。または、すべての膜において、成膜方法が同じでもよい。
【0197】
なお、導電体404となる導電体、または導電体404となる導電体の積層膜の内の少
なくとも一つの膜と、絶縁体412となる絶縁体、または絶縁体412となる絶縁体の積
層膜の内の少なくとも一つの膜とは、同じ成膜方法を用いてもよい。例えば、どちらも、
ALD法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせずに成膜することができる。その
結果、不純物の混入を防ぐことができる。または、例えば、絶縁体412となる絶縁体と
接する導電体404となる導電体と、導電体404となる導電体と接する絶縁体412と
なる絶縁体とは、同じ成膜方法を用いてもよい。これにより、同じチャンバーで成膜する
ことができる。その結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0198】
なお、導電体404となる導電体、または導電体404となる導電体の積層膜の内の少
なくとも一つの膜と、絶縁体412となる絶縁体、または絶縁体412となる絶縁体の積
層膜の内の少なくとも一つの膜とは同じ成膜方法を用いてもよい。例えば、どれも、スパ
ッタリング法を用いてもよい。これにより、大気に触れさせずに成膜することができる。
その結果、不純物の混入を防ぐことができる。
【0199】
次に、導電体404となる導電体の一部をエッチングして導電体404を形成する(図
15(A)参照。)。なお、導電体404は、半導体406bの少なくとも一部と重なる
ように形成する。
【0200】
次に、絶縁体408を成膜する。絶縁体408は、スパッタリング法、CVD法、MB
E法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0201】
次に、第4の加熱処理を行っても構わない。例えば、半導体406aとして、半導体4
06cよりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、半導体406cとして、半導体
406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。また、半導体406cとして、酸素
をブロックする機能を有する半導体を選択する。または、例えば、半導体406aとして
、絶縁体412よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、絶縁体412として、
半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。または、例えば、半導体40
6aとして、絶縁体408よりも酸素透過性の高い半導体を選択する。即ち、絶縁体40
8として、半導体406aよりも酸素透過性の低い半導体を選択する。換言すると、半導
体406aとして、酸素を透過する機能を有する半導体を選択する。また、絶縁体408
として、酸素をブロックする機能を有する絶縁体を選択する。このとき、第4の加熱処理
を行うことで、半導体406aを介して、絶縁体402に含まれる過剰酸素が半導体40
6bまで移動する。半導体406bは半導体406c、絶縁体412、絶縁体408のい
ずれかで覆われているため、過剰酸素の外方拡散が起こりにくい。そのため、このタイミ
ングで第4の加熱処理を行うことで、効率的に半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減
することができる。なお、第4の加熱処理は、絶縁体402中の過剰酸素(酸素)が半導
体406bまで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参
照しても構わない。または、第4の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好まし
い。第1の加熱処理と第4の加熱処理の温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは
40℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)
が放出することを抑えることができる。なお、絶縁体408が酸素をブロックする機能を
有する場合、半導体406cまたは/および絶縁体412が酸素をブロックする機能を有
さなくても構わない。
【0202】
なお、第1の加熱処理、第2の加熱処理、第3の加熱処理および第4の加熱処理の全て
または一部を行わなくても構わない。
【0203】
次に、絶縁体418を成膜する(図15(B)参照。)。絶縁体418は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜すればよい。
【0204】
以上のようにして、図20に示したトランジスタ490を作製することができる。
【0205】
なお、図14(C)に示す工程の後に、導電体404となる導電体と同様に、絶縁体4
12の一部及び半導体406cの一部をエッチングしてもよい。この場合には、トランジ
スタ490の形状は、例えば図15(C)に示すように、導電体404の端面と、絶縁体
412の端面と、半導体406cの端面と、が概略なだらかにつながる形状とすることが
できる。なお、導電体404となる導電体、絶縁体412となる絶縁体および半導体40
6cとなる半導体の一部をエッチングする際には、同一のフォトリソグラフィ工程など用
いてもよい。または、導電体404をマスクとして用いて絶縁体412となる絶縁体およ
び半導体406cとなる半導体をエッチングしてもよい。そのため、導電体404、絶縁
体412および半導体406cは、上面図において同様の形状となる。なお、図17(C
)に示す拡大断面のように、導電体404よりも絶縁体412または/および半導体40
6cが突出した(迫り出した)形状となる場合や、図17(D)に示す拡大断面のように
、導電体404が絶縁体412または/および半導体406cよりも突出した(迫り出し
た)形状となる場合がある。これらに示すような形状とすることによって、形状不良が低
減され、ゲートリーク電流を低減できる場合がある。
【0206】
<トランジスタの作製方法2>
次に、前述の作製方法1からの変形例として、図1に示すトランジスタ490の作製方
法を図12図16及び図17を用いて説明する。
【0207】
作製方法1では、半導体406cを設けた後に層420を成膜する例を示した。以下に
は、半導体406cを設ける前に層420を成膜する例を示す。
【0208】
まず図12(A)乃至図12(C)にて説明した工程を用いて、基板442、導電体4
13、絶縁体402、半導体406a、半導体406b、導電体416a及び導電体41
6bを形成する。
【0209】
次に、層420を成膜する。次に、酸素を添加する(図16(B)参照。)。
【0210】
酸素添加の後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、酸素が半導体4
06bまで拡散しやすくなる場合がある。
【0211】
次に、層420を除去する(図16(C)参照。)。層420に用いることのできる材
料、層420の成膜、その後の酸素添加、及びその後の層420の除去については、前述
の作製方法を参照することができる。
【0212】
次に、半導体406cを形成する。
【0213】
トランジスタ490において、トランジスタの特性を向上させるためには、半導体40
6cとして半導体406bよりも緻密な膜を用いることが好ましい場合がある。または、
半導体406cとして半導体406bよりも水素の透過性の低い膜を用いることが好まし
い場合がある。または、半導体406cとして半導体406bよりも酸素の透過性の低い
膜を用いることが好ましい場合がある。一方、半導体406cにこのような膜を用いると
、半導体406a及び半導体406bから脱離した水素が半導体406cにブロックされ
、半導体406a及び半導体406bの水素濃度を低減しにくい場合がある。また、半導
体406cより上の層から酸素を拡散させにくい場合がある。
【0214】
よって、図16(A)乃至図16(C)に示すように、半導体406a及び半導体40
6bを形成した後、層420を設け、酸素添加を行い、半導体406a及び半導体406
bの酸素欠損及び水素を低減した後に、層420を除去し、半導体406cを設けること
により、半導体406a及び半導体406bの水素濃度をより低くできる場合があり、好
ましい。
【0215】
ここで、半導体406b上に層420を形成し、酸素添加を行った後、図16(B)に
示すように、エッチングを用いて層420を除去する場合に、該エッチングにより半導体
406bが除去されにくいことが好ましい。つまり層420のエッチング速度は半導体4
06bのエッチング速度より速いことが好ましい。また、該エッチングによる半導体40
6bの表面へのダメージが小さいことが好ましい。
【0216】
または、層420のエッチング工程において、半導体406bの極表面がエッチングさ
れてもよい。例えば層420を形成した際にダメージや層420の有する元素が半導体4
06bの表面近傍に入った場合に、極表面をエッチングすることによりそれらを除去する
ことができる。
【0217】
ここで例として、層420及び半導体406bに、インジウム、元素M及び亜鉛のうち
少なくとも一つ、または複数を有する膜を用いる場合を考える。
【0218】
層420が有するインジウムの比と、半導体406bが有するインジウムの比との差は
大きいことが好ましい。例えば、層420が有するインジウムの比は0.6倍以下が好ま
しく、0.3倍以下がより好ましい。または、例えば1.5倍以上が好ましく、3倍以上
がより好ましい。
【0219】
ここで、インジウムの比とは、インジウム、元素M及び亜鉛の原子数の和に対するインジ
ウムの原子数の比とする。元素M及び亜鉛の比についても同様である。
【0220】
または、層420が有する元素Mの比と、半導体406bが有する元素Mの比との差は
大きいことが好ましい。例えば、層420が有する元素Mの比は0.6倍以下が好ましく
、0.3倍以下がより好ましい。または、1.5倍以上が好ましく、3倍以上がより好ま
しい。
【0221】
または、層420が有する亜鉛の比と、半導体406bが有する亜鉛の比との差は大き
いことが好ましい。例えば、層420が有する亜鉛の比は0.6倍以下が好ましく、0.
3倍以下がより好ましい。または、1.5倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。
【0222】
層420と半導体406bが有するインジウム、元素M、または亜鉛の比の差を大きく
することにより、例えばドライエッチングにより層420を除去する際に、選択比を高め
、半導体406bの膜減りを抑制することができる。またこれらの元素の比の差を大きく
することにより、加工精度をより高めることができる場合がある。例えば、ドライエッチ
ングにおいて反応種由来のプラズマの発光を分光分析してエッチングをモニターする際に
、層420のエッチングが大よそ完了し、その下層の半導体406bのエッチングに切り
替わるタイミングが検出しやすくなり、半導体406bのエッチング量を小さくできる場
合がある。
【0223】
層420が有する亜鉛の比を半導体406bよりも高くすることにより、例えばウェッ
トエッチングの薬液として酸や、アルカリを用いた場合に、層420のウェットエッチン
グ速度を半導体406bよりも高くすることができる場合がある。酸の薬液としては、例
えばリン酸を含む液や、シュウ酸を含む液などを用いることができる。リン酸を含む液と
しては、例えばリン酸、酢酸、硝酸、純水を混合した酸などを用いることができる。リン
酸、酢酸、硝酸、純水の配合は例えば体積%で、85:5:5:5の比率とすればよい。
また、アルカリの薬液としてはアンモニア過水(アンモニア水と過酸化水素水を混合した
もの)を用いることができる。
【0224】
また、導電体416a及び導電体416bとして、窒化タンタル等の金属窒化物や、白
金、ルテニウム、イリジウム等の白金系材料を用いることにより、層420のウェットエ
ッチングに対する耐性を高めることができるため、より好ましい。
【0225】
また、層420は、半導体406cよりも高い水素透過性を有する膜を用いることが好
ましい。
【0226】
例えば、層420がインジウムを有し、半導体406cがインジウムを有さない構成と
してもよい。また、半導体406cとして酸化ガリウムを用いることが好ましい。例えば
半導体406cとして酸化ガリウムを用いることにより、オフ電流のより低いトランジス
タを実現することができる。
【0227】
次に絶縁体412を成膜する。
【0228】
次に、絶縁体412上から酸素添加を行っても構わない。酸素添加の方法については、
前述の酸素添加の方法を参照することができる。
【0229】
次に、加熱処理を行ってもよい。
【0230】
次に、導電体404を形成する(図17(A)参照。)。なお、導電体404は、半導
体406bの少なくとも一部と重なるように形成する。
【0231】
次に、絶縁体408を成膜する。絶縁体408の成膜後に、加熱処理を行ってもよい。
次に、絶縁体418を成膜する(図17(B)参照。)。以上のようにして、図1に示す
トランジスタ490を作製することができる。
【0232】
<トランジスタの作製方法3>
次に、前述の2つの作製方法からの変形例として、図1に示すトランジスタ490の作
製方法を図18乃至図19を用いて説明する。以下に示す作製方法では、層420を除去
した後に導電体416a及び導電体416bを形成する。
【0233】
基板442、導電体413、絶縁体402、半導体406a及び半導体406bを、図
12(A)及び図12(B)にて説明した工程を用いて形成する(図18(A)参照。)
【0234】
次に、層420を形成する(図18(B)参照。)。次に、酸素を添加する(図18
C)参照。)。
【0235】
酸素添加の後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、酸素が半導体4
06bまで拡散しやすくなる場合がある。
【0236】
次に、層420を除去する。層420に用いることのできる材料、層420の形成、そ
の後の酸素添加、その後の層420の除去については、前述の作製方法を参照することが
できる。
【0237】
次に、導電体416a及び導電体416bを形成する(図19(A)参照。)。導電体
416a及び導電体416bの形成を酸素添加より後の工程で行うことにより、例えば導
電体416a及び導電体416bが酸素と反応し、反応した領域が絶縁化することを抑制
できる。また、例えば、層420のエッチング条件において導電体416a及び導電体4
16bとの選択比の高いエッチング条件を考慮する必要がなくなるため、ウェットエッチ
ングに用いる薬液や、ドライエッチングに用いるガス等の条件の選択肢を増やすことがで
き、エッチングがより行いやすくなる場合がある。
【0238】
次に、図19(B)以降の工程について説明する。以降の工程については、前述の作製
方法を参照することができる。
【0239】
まず、半導体406cを成膜する。半導体406cの成膜後に、加熱処理を行ってもよ
い。
【0240】
次に、絶縁体412を成膜する。
【0241】
次に、絶縁体412上から酸素添加を行っても構わない。酸素添加の方法については、
前述の酸素添加の方法を参照することができる。
【0242】
次に、加熱処理を行ってもよい。
【0243】
次に、導電体404を形成する。なお、導電体404は、半導体406bの少なくとも
一部と重なるように形成する。次に、絶縁体408を成膜する。絶縁体408の成膜後に
、加熱処理を行ってもよい。次に、絶縁体418を形成する(図19(B)参照。)。以
上のようにして、図1に示すトランジスタ490を作製することができる。
【0244】
<トランジスタの作製方法4>
次に、図2に示すトランジスタ490の作製方法の一例を、図20及び図21を用いて
説明する。
【0245】
まず、絶縁体552、導電体413、絶縁体402、半導体406aとなる半導体43
6a、及び半導体406bとなる半導体436bを、図12(A)で説明した工程を用い
て形成する。
【0246】
次に、導電体416を成膜する。導電体416の成膜方法については、前述の作製方法
を参照すればよい。次に、マスク427を形成する(図20(A)参照。)。マスク42
7は、フォトレジストを用いればよい。なお、マスク427として、フォトレジストの下
地に、反射防止膜(BARC:Bottom Anti Reflective Coa
ting)を設けてもよい。反射防止膜を設けることで、ハレーションによる不良を抑制
することができ、微細な形状を得ることができる。
【0247】
次に、マスク427をマスクに用いて、導電体416をエッチングし、導電体417を
形成する(図20(B)参照。)。ここで、導電体417をハードマスクと呼ぶ場合があ
る。なお、微細な形状を有する導電体417を形成するためには、微細な形状を有するマ
スク427を形成することになる。微細な形状を有するマスク427は、厚すぎると倒れ
る場合があるため、自立できる程度の厚さの領域を有すると好ましい。また、マスク42
7をマスクとしてエッチングする導電体416は、マスク427が耐えうる条件でエッチ
ングされる程度に薄いことが好ましい。ただし、導電体416は、後にトランジスタ49
0のソース電極およびドレイン電極としての機能を有する導電体416aおよび導電体4
16bとなるため、トランジスタ490のオン電流を大きくするためにはある程度の厚さ
があるほうが好ましい。したがって、例えば、5nm以上30nm以下、好ましくは5n
m以上20nm以下、さらに好ましくは5nm以上15nm以下の厚さの領域を有する導
電体416とすればよい。
【0248】
次に、導電体417をマスクに用いて、半導体436bおよび半導体436aをエッチ
ングし、半導体406aおよび半導体406bを形成する。このとき、絶縁体402まで
エッチングすると、s-channel構造が形成されやすくなる(図20(C)参照。
)。
【0249】
次に、導電体417の一部をエッチングし、導電体416aおよび導電体416bを形
成する(図21(A)参照。)。このように、半導体436aおよび半導体436bをエ
ッチングするためのマスクとして形成された導電体416は、トランジスタ490のソー
ス電極およびドレイン電極としての機能を有する導電体416aおよび導電体416bと
なる。導電体416aおよび導電体416bとなる導電体416をマスクとしても用いる
ことから、トランジスタ490を作製するための工程数を低減できる。また、トランジス
タ490は、導電体416aおよび導電体416bの占有面積を小さくすることができる
ため、微細な半導体装置に適した構造である。
【0250】
次に、図21(B)以降の工程について説明する。以降の工程についての詳細は、前述
の作製方法を参照することができる。
【0251】
まず、層420を成膜する。層420に用いることのできる材料については、前述の作
製方法に記載の内容を参照すればよい。次に、酸素を添加する(図21(B)参照。)。
【0252】
酸素添加の後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、酸素が半導体4
06bまで拡散しやすくなる場合がある。
【0253】
次に、層420を除去する。次に、半導体406cとなる半導体膜を成膜する。半導体
膜の成膜後に、加熱処理を行ってもよい。
【0254】
次に、絶縁体412となる絶縁膜を成膜する。
【0255】
次に、絶縁体412上から酸素添加を行っても構わない。酸素添加の方法については、
前述の酸素添加の方法を参照することができる。
【0256】
次に、加熱処理を行ってもよい。
【0257】
次に、導電体404となる導電膜を成膜する。
【0258】
次に、導電体404となる導電膜の一部をエッチングして導電体404を形成する。な
お、導電体404は、半導体406bの少なくとも一部と重なるように形成する。
【0259】
次に、導電体404となる導電膜と同様に、絶縁体412となる絶縁膜の一部をエッチ
ングして絶縁体412を形成する。
【0260】
次に、導電体404となる導電膜および絶縁体412となる絶縁膜と同様に、半導体4
06cとなる半導体の一部をエッチングして半導体406cを形成する(図21(C)参
照。)。
【0261】
次に、絶縁体408を成膜する。絶縁体408の成膜後に、加熱処理を行ってもよい。
次に、絶縁体418を成膜する(図22参照。)。以上のようにして、図2に示すトラン
ジスタ490を作製することができる。
【0262】
<半導体装置の構造>
次に、トランジスタ490を有する半導体装置の一例を、図23を用いて説明する。
【0263】
図23は、本発明の一態様に係る半導体装置の断面図である。図23は、一点鎖線を境
に異なる断面を示す。
【0264】
図23に示す半導体装置は、トランジスタ491と、トランジスタ491上の絶縁体5
52と、絶縁体552上のトランジスタ490と、を有する。なお、絶縁体552は、酸
素および水素をブロックする機能を有する絶縁体である。
【0265】
トランジスタ491は、半導体基板400上の絶縁体462と、絶縁体462上の導電
体454と、導電体454の側面に接する絶縁体470と、半導体基板400中の導電体
454および絶縁体470と重ならない領域である領域476と、絶縁体470と重なる
領域である領域474と、を有する。
【0266】
半導体基板400は、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体、または炭化
シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、酸
化亜鉛、酸化ガリウムなどの化合物半導体を用いればよい。なお、半導体基板400は、
非晶質半導体または結晶質半導体を用いればよく、結晶質半導体としては、単結晶半導体
、多結晶半導体、微結晶半導体などがある。
【0267】
絶縁体462は、トランジスタ491のゲート絶縁体としての機能を有する。また、導
電体454は、トランジスタ491のゲート電極としての機能を有する。また、絶縁体4
70は、導電体454の側壁絶縁体(サイドウォールともいう。)としての機能を有する
。また、領域476は、トランジスタ491のソース領域またはドレイン領域としての機
能を有する。また、領域474は、トランジスタ491のLDD(Lightly Do
ped Drain)領域としての機能を有する。
【0268】
なお、領域474は、導電体454をマスクとした不純物添加によって形成することが
できる。また、その後、絶縁体470を形成し、導電体454および絶縁体470をマス
クとした不純物注入によって、領域476を形成することができる。したがって、領域4
74と領域476とを、同種の不純物によって形成する場合、領域474は領域476よ
りも不純物濃度の低い領域となる。
【0269】
トランジスタ491は、領域474を有することによって、短チャネル効果を抑制する
ことができる。したがって、微細化に適した構造であることがわかる。
【0270】
トランジスタ491は、半導体基板400に設けられた他のトランジスタと、領域46
0などによって分離される。領域460は、絶縁性を有する領域である。なお、図23
は、領域460を、STI(Shallow Trench Isolation)と呼
ばれる手法で形成した例を示すが、これに限定されない。例えば、領域460に代えて、
LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法によって形成
した絶縁体を用いて、トランジスタ間を分離しても構わない。
【0271】
図23では、トランジスタ491に隣接して、トランジスタ491と同じ極性を有する
トランジスタ492を配置した例を示している。また、図23では、トランジスタ491
とトランジスタ492とが、領域476を介して電気的に接続している例を示している。
なお、トランジスタ491とトランジスタ492とは、異なる極性を有するトランジスタ
であっても構わない。その場合、トランジスタ491とトランジスタ492とを領域46
0によって分離し、トランジスタ491とトランジスタ492とで領域474および領域
476に含まれる不純物の種類を変え、トランジスタ491およびトランジスタ492の
いずれか一方、または両方のゲート電極として機能する導電体と重なる半導体基板400
の領域の一部に、導電型の異なるウェル領域を形成すればよい。
【0272】
トランジスタ491とトランジスタ492とが異なる極性を有することで、相補型金属
酸化物半導体(CMOS:Complementary Metal Oxide Se
miconductor)を構成することができる。CMOSを構成することで、半導体
装置の消費電力を低減することができる。または、動作速度を高くすることができる。
【0273】
なお、トランジスタ491およびトランジスタ492の構造は、図23に示した構造に
限定されない。例えば、図24に示すトランジスタ491およびトランジスタ492のよ
うに、半導体基板400に凸部(突起、フィンなどとも呼ばれる。)を有する、構造であ
っても構わない。図24に示すトランジスタ491およびトランジスタ492の構造は、
図23に示したトランジスタ491およびトランジスタ492の構造と比較して、同じ占
有面積に対する実効的なチャネル幅を大きくすることができる。したがって、トランジス
タ491およびトランジスタ492の、導通時の電流を大きくすることができる。
【0274】
または、例えば、図25に示すトランジスタ491およびトランジスタ492のように
、半導体基板400に絶縁体領域452を設ける構造としても構わない。図25に示すト
ランジスタ491およびトランジスタ492の構造とすることで、独立して駆動されるト
ランジスタ間を、より確実に分離することができ、リーク電流を抑えることができる。そ
の結果、トランジスタ491およびトランジスタ492の非導通時の電流を小さくするこ
とができる。また、トランジスタ491およびトランジスタ492の導通時の電流を大き
くすることができる。
【0275】
また、図23などに示すように、トランジスタ491およびトランジスタ492などと
、トランジスタ490などと、の間に絶縁体552が設けられることが好ましい。絶縁体
552は、酸素および水素をブロックする機能を有することが好ましい。または、絶縁体
552は、半導体406aまたは/および半導体406cよりも、酸素および水素をブロ
ックする機能が高いことが好ましい。絶縁体552として例えば、酸化アルミニウム、酸
化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イ
ットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(B
a,Sr)TiO(BST)などを単層または積層で用いることができる。またはこれ
らの絶縁膜を窒化処理して酸化窒化膜としてもよい。特に、酸化アルミニウムは水素、水
および酸素に対するバリア性に優れるため好ましい。
【0276】
絶縁体552は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Va
por Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular
Beam Epitaxy)法またはパルスレーザ堆積(PLD:Pulsed La
ser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer
Deposition)法などを用いて成膜すればよい。
【0277】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma
Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal C
VD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Me
tal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CV
D)法に分けることができる。
【0278】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。熱CVD法は、プラズマを
用いないため、プラズマダメージが生じず、欠陥の少ない膜が得られる。
【0279】
CVD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。
例えば、MCVD法およびMOCVD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の
膜を成膜することができる。また、例えば、MCVD法およびMOCVD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、トランジスタ490の生産性を高めることができる。
【0280】
例えば、トランジスタ491およびトランジスタ492がシリコンを用いたトランジス
タである場合、水素を外部から供給することでシリコンのダングリングボンドを低減させ
ることができるため、トランジスタの電気特性が向上する場合がある。水素の供給は、例
えば、水素を含む雰囲気下における加熱処理によって行えばよい。または、例えば、水素
を含む絶縁体をトランジスタ491およびトランジスタ492の近傍に配置し、加熱処理
を行うことで、該水素を拡散させて、トランジスタ491およびトランジスタ492に供
給しても構わない。具体的には、トランジスタ491上およびトランジスタ492上の絶
縁体464が水素を含む絶縁体にすると好ましい。なお、絶縁体464は、単層構造また
は積層構造としても構わない。例えば、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンと、窒化酸
化シリコンまたは窒化シリコンと、を有する積層構造などとすればよい。
【0281】
水素を含む絶縁体は、例えば、TDS分析にて、100℃以上700℃以下または10
0℃以上500℃以下の表面温度の範囲で1×1018atoms/cm以上、1×1
19atoms/cm以上または1×1020atoms/cm以上の水素(水素
原子数換算)を放出することもある。
【0282】
ところで、絶縁体464から拡散した水素は、絶縁体464の開口部に設けられた導電
体472、絶縁体464上の配線層467、配線層467上の配線層469などを介して
、トランジスタ490の近傍まで到達する場合があるが、絶縁体552が水素をブロック
する機能を有するため、トランジスタ490まで到達する水素は僅かとなる。水素は、酸
化物半導体中でキャリアトラップやキャリア発生源となりトランジスタ490の電気特性
を劣化させることがある。そのため、絶縁体552によって水素をブロックすることは半
導体装置の性能および信頼性を高めるために重要な意味を持つ。なお、導電体472など
の開口部を埋めて設けられる導電体は、トランジスタ、容量素子などの各素子間を電気的
に接続する機能を有する。また、配線層467および配線層469などにおいて、ハッチ
ングのある領域は導電体を示し、ハッチングのない領域は絶縁体を示す。また、配線層4
67および配線層469などの配線層は、導電体472などの開口部を埋めて設けられる
導電体間を電気的に接続する機能を有する。
【0283】
一方、例えば、トランジスタ490に外部から酸素を供給することで、酸化物半導体の
酸素欠損を低減させることができるため、トランジスタの電気特性が向上する場合がある
。酸素の供給は、例えば、酸素を含む雰囲気下における加熱処理によって行えばよい。ま
たは、例えば、過剰酸素(酸素)を含む絶縁体をトランジスタ490の近傍に配置し、加
熱処理を行うことで、該酸素を拡散させて、トランジスタ490に供給しても構わない。
ここでは、トランジスタ490の絶縁体402が過剰酸素を含む絶縁体を用いる。
【0284】
拡散した酸素は、各層を介してトランジスタ491およびトランジスタ492まで到達
する場合があるが、絶縁体552が酸素をブロックする機能を有するため、トランジスタ
491およびトランジスタ492まで到達する酸素は僅かとなる。トランジスタ491お
よびトランジスタ492が、シリコンを用いたトランジスタである場合、シリコン中に酸
素が混入することでシリコンの結晶性を低下させることや、キャリアの移動を阻害させる
要因となることがある。そのため、絶縁体552によって酸素をブロックすることは半導
体装置の性能および信頼性を高めるために重要な意味を持つ。
【0285】
また、図23などにおいて、半導体装置は、トランジスタ490上に絶縁体408を有
すると好ましい。絶縁体408は、酸素および水素をブロックする機能を有する。または
、絶縁体408は、例えば、半導体406aまたは/および半導体406cよりも、酸素
および水素をブロックする機能が高い。絶縁体408は、例えば絶縁体552についての
記載を参照する。
【0286】
半導体装置が絶縁体408を有することで、酸素がトランジスタ490から外方拡散す
ることを抑制できる。したがって、絶縁体402などに含まれる過剰酸素(酸素)の量に
対して、トランジスタ490へ効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体40
8は、絶縁体408よりも上に設けられた層や半導体装置の外部から混入する水素を含む
不純物をブロックするため、不純物の混入によってトランジスタ490の電気特性が劣化
することを抑制できる。
【0287】
なお、便宜上、絶縁体552または/および絶縁体408をトランジスタ490と区別
して説明したが、トランジスタ490の一部であっても構わない。
【0288】
なお、半導体装置は、絶縁体408上には、絶縁体418を有することが好ましい。ま
た、半導体装置は、絶縁体418及び絶縁体408に設けられた、開口部に設けられた導
電体416bを介してトランジスタ490とそれぞれ電気的に接続する、導電体424を
有しても構わない。
【0289】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0290】
(実施の形態2)
本実施の形態では、前述の実施の形態に示す半導体406a、半導体406b、半導体
406cなどに適用可能な、本発明の一態様である酸化物半導体の構造について説明する
。なお、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0291】
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0292】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。
【0293】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
【0294】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。なお、CAAC-OSを、CANC(C-
Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこ
ともできる。
【0295】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一つである。
【0296】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micr
oscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一
方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーと
もいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に
起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0297】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。図26(A)に
、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。
高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberratio
n Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を
、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、
日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行う
ことができる。
【0298】
図26(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図26(B)に示す
図26(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認でき
る。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)
または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0299】
図26(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。図26(C
)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図26(B)および図26(C
)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレット
との傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、
ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。
【0300】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレ
ット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造
となる(図26(D)参照。)。図26(C)で観察されたペレットとペレットとの間で
傾きが生じている箇所は、図26(D)に示す領域5161に相当する。
【0301】
また、図27(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のC
s補正高分解能TEM像を示す。図27(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3
)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図27(B)、図27(C)および
図27(D)に示す。図27(B)、図27(C)および図27(D)より、ペレットは
、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しか
しながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0302】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したC
AAC-OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-O
Sに対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、図28(A)に示すよ
うに回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGa
ZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向
性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0303】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31
°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°
近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれること
を示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造
解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0304】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを5
6°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析
(φスキャン)を行っても、図28(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに
対し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφ
スキャンした場合、図28(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属される
ピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは
、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0305】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nm
の電子線を入射させると、図29(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回
折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図29(B)に示す。図2
9(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる
。なお、図29(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面お
よび(100)面などに起因すると考えられる。また、図29(B)における第2リング
は(110)面などに起因すると考えられる。
【0306】
また、CAAC-OSは、欠陥準位密度の低い酸化物半導体である。酸化物半導体の欠
陥としては、例えば、不純物に起因する欠陥や、酸素欠損などがある。したがって、CA
AC-OSは、不純物濃度の低い酸化物半導体ということもできる。また、CAAC-O
Sは、酸素欠損の少ない酸化物半導体ということもできる。
【0307】
酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源と
なる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、
水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0308】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0309】
また、欠陥準位密度の低い(酸素欠損が少ない)酸化物半導体は、キャリア密度を低く
することができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な
酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち
、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体となりやすい。したがって、CA
AC-OSを用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリ
ーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性な
酸化物半導体は、キャリアトラップが少ない。酸化物半導体のキャリアトラップに捕獲さ
れた電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うこと
がある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体を用いたトラン
ジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。一方、CAAC-OSを用いたトランジ
スタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0310】
また、CAAC-OSは欠陥準位密度が低いため、光の照射などによって生成されたキ
ャリアが、欠陥準位に捕獲されることが少ない。したがって、CAAC-OSを用いたト
ランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
【0311】
<微結晶酸化物半導体>
次に、微結晶酸化物半導体について説明する。
【0312】
微結晶酸化物半導体は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領
域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体に
含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさ
であることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結
晶であるナノ結晶を有する酸化物半導体を、nc-OS(nanocrystallin
e Oxide Semiconductor)と呼ぶ。nc-OSは、例えば、高分解
能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAA
C-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-
OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0313】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペ
レット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体と区別が付かない場
合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いるXRD装
置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示
すピークが検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行う
と、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OSに対し、ペレ
ットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回
折を行うと、スポットが観測される。また、nc-OSに対しナノビーム電子回折を行う
と、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リ
ング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
【0314】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc
-OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystal
s)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0315】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc-O
Sは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-OSは、C
AAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0316】
<非晶質酸化物半導体>
次に、非晶質酸化物半導体について説明する。
【0317】
非晶質酸化物半導体は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化
物半導体である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体が一例である。
【0318】
非晶質酸化物半導体は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
【0319】
非晶質酸化物半導体に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out-of-p
lane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半
導体に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導
体に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンのみが
観測される。
【0320】
非晶質構造については、様々な見解が示されている。例えば、原子配列に全く秩序性を
有さない構造を完全な非晶質構造(completely amorphous str
ucture)と呼ぶ場合がある。また、最近接原子間距離または第2近接原子間距離ま
で秩序性を有し、かつ長距離秩序性を有さない構造を非晶質構造と呼ぶ場合もある。した
がって、最も厳格な定義によれば、僅かでも原子配列に秩序性を有する酸化物半導体を非
晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、少なくとも、長距離秩序性を有する酸化
物半導体を非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。よって、結晶部を有することから
、例えば、CAAC-OSおよびnc-OSを、非晶質酸化物半導体または完全な非晶質
酸化物半導体と呼ぶことはできない。
【0321】
<非晶質ライク酸化物半導体>
なお、酸化物半導体は、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する場合が
ある。そのような構造を有する酸化物半導体を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a-l
ike OS:amorphous-like Oxide Semiconducto
r)と呼ぶ。
【0322】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察され
る場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる
領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
【0323】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0324】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS
(試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0325】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0326】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば
、InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層
を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。こ
れらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度
であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞
の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と
見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0327】
図30は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図30より、a-li
ke OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体
的には、図30中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程
度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/n
においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-O
SおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、
図30中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSお
よびCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度
であることがわかる。
【0328】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-
OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0329】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結
晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0330】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満となる。
【0331】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異な
る単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積も
ることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わ
せる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少な
い種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0332】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、微結晶酸化
物半導体、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0333】
<成膜モデル>
以下では、CAAC-OSおよびnc-OSの成膜モデルの一例について説明する。
【0334】
図31(A)は、スパッタリング法によりCAAC-OSが成膜される様子を示した成
膜室内の模式図である。
【0335】
ターゲット5130は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを
介してターゲット5130と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。該複
数のマグネットによって磁場が生じている。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高め
るスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
【0336】
基板5120は、ターゲット5130と向かい合うように配置しており、その距離d(
ターゲット-基板間距離(T-S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ま
しくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、
酸素、アルゴン、または酸素を5体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.0
1Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここ
で、ターゲット5130に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが
確認される。なお、ターゲット5130の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が
形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5101
が生じる。イオン5101は、例えば、酸素の陽イオン(O)やアルゴンの陽イオン(
Ar)などである。
【0337】
ここで、ターゲット5130は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの
結晶粒には劈開面が含まれる。図32(A)に、一例として、ターゲット5130に含ま
れるInGaZnOの結晶の構造を示す。なお、図32(A)は、b軸に平行な方向か
らInGaZnOの結晶を観察した場合の構造である。図32(A)より、近接する二
つのGa-Zn-O層において、それぞれの層における酸素原子同士が近距離に配置され
ていることがわかる。そして、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つの
Ga-Zn-O層の間には斥力が生じる。その結果、InGaZnOの結晶は、近接す
る二つのGa-Zn-O層の間に劈開面を有する。
【0338】
高密度プラズマ領域で生じたイオン5101は、電界によってターゲット5130側に
加速され、やがてターゲット5130と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペ
レット状のスパッタ粒子であるペレット5100aおよびペレット5100bが剥離し、
叩き出される。なお、ペレット5100aおよびペレット5100bは、イオン5101
の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。
【0339】
ペレット5100aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット
状のスパッタ粒子である。また、ペレット5100bは、六角形、例えば正六角形の平面
を有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。なお、ペレット5100aおよ
びペレット5100bなどの平板状またはペレット状のスパッタ粒子を総称してペレット
5100と呼ぶ。ペレット5100の平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例
えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(例えば、正三
角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形)となる場合もある。
【0340】
ペレット5100は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが
、ペレット5100の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みの
ないペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。例えば、ペレ
ット5100は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8n
m以下とする。また、例えば、ペレット5100は、幅を1nm以上3nm以下、好まし
くは1.2nm以上2.5nm以下とする。ペレット5100は、上述の図30中の(1
)で説明した初期核に相当する。例えば、In-Ga-Zn酸化物を有するターゲット5
130にイオン5101を衝突させると、図32(B)に示すように、Ga-Zn-O層
、In-O層およびGa-Zn-O層の3層を有するペレット5100が剥離する。図3
2(C)に、剥離したペレット5100をc軸に平行な方向から観察した構造を示す。ペ
レット5100は、二つのGa-Zn-O層(パン)と、In-O層(具)と、を有する
ナノサイズのサンドイッチ構造と呼ぶこともできる。
【0341】
ペレット5100は、プラズマを通過する際に、電荷を受け取ることで、側面が負また
は正に帯電する場合がある。ペレット5100は、例えば、側面に位置する酸素原子が負
に帯電する可能性がある。側面が同じ極性の電荷を有することにより、電荷同士の反発が
起こり、平板状またはペレット状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC-
OSが、In-Ga-Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に
帯電する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合し
た酸素原子が負に帯電する可能性がある。また、ペレット5100は、プラズマを通過す
る際に、プラズマ中のインジウム原子、ガリウム原子、亜鉛原子および酸素原子などと結
合することで成長する場合がある。上述の図30中の(2)と(1)の大きさの違いが、
プラズマ中での成長分に相当する。ここで、基板5120が室温程度である場合、基板5
120上におけるペレット5100の成長が起こりにくいためnc-OSとなる(図31
(B)参照。)。室温程度で成膜できることから、基板5120が大面積である場合でも
nc-OSの成膜が可能である。なお、ペレット5100をプラズマ中で成長させるため
には、スパッタリング法における成膜電力を高くすることが有効である。成膜電力を高く
することで、ペレット5100の構造を安定にすることができる。
【0342】
図31(A)および図31(B)に示すように、例えば、ペレット5100は、プラズ
マ中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板5120上まで舞い上がっていく。ペレット5
100は電荷を帯びているため、ほかのペレット5100が既に堆積している領域が近づ
くと、斥力が生じる。ここで、基板5120の上面では、基板5120の上面に平行な向
きの磁場(水平磁場ともいう。)が生じている。また、基板5120およびターゲット5
130間には、電位差が与えられるため、基板5120からターゲット5130に向かう
方向に電流が流れる。したがって、ペレット5100は、基板5120の上面において、
磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける。このことは、フレミング
の左手の法則によって理解できる。
【0343】
ペレット5100は、原子一つと比べると質量が大きい。そのため、基板5120の上
面を移動するためには何らかの力を外部から印加することが重要となる。その力の一つが
磁場および電流の作用で生じる力である可能性がある。なお、ペレット5100に、基板
5120の上面を移動するために十分な力を与えるには、基板5120の上面において、
基板5120の上面に平行な向きの磁場が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好
ましくは30G以上、より好ましくは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基
板5120の上面において、基板5120の上面に平行な向きの磁場が、基板5120の
上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以
上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよい。
【0344】
このとき、マグネットと基板5120とが相対的に移動すること、または回転すること
によって、基板5120の上面における水平磁場の向きは変化し続ける。したがって、基
板5120の上面において、ペレット5100は、様々な方向から力を受け、様々な方向
へ移動することができる。
【0345】
また、図31(A)に示すように基板5120が加熱されている場合、ペレット510
0と基板5120との間で摩擦などによる抵抗が小さい状態となっている。その結果、ペ
レット5100は、基板5120の上面を滑空するように移動する。ペレット5100の
移動は、平板面を基板5120に向けた状態で起こる。その後、既に堆積しているほかの
ペレット5100の側面まで到達すると、側面同士が結合する。このとき、ペレット51
00の側面にある酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC-OS中の
酸素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC-OSとなる。なお、基
板5120の上面の温度は、例えば、100℃以上500℃未満、150℃以上450℃
未満、または170℃以上400℃未満とすればよい。したがって、基板5120が大面
積である場合でもCAAC-OSの成膜は可能である。
【0346】
また、ペレット5100は、基板5120上で加熱されることにより、原子が再配列し
、イオン5101の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレット5
100は、ほとんど単結晶となる。ペレット5100がほとんど単結晶となることにより
、ペレット5100同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット5100自体の伸
縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット5100間の隙間が広がることで結晶
粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。
【0347】
また、CAAC-OSは、単結晶酸化物半導体が一枚板のようになっているのではなく
、ペレット5100(ナノ結晶)の集合体がレンガまたはブロックが積み重なったような
配列をしている。また、ペレット5100同士の間には結晶粒界を有さない。そのため、
成膜時の加熱、成膜後の加熱または曲げなどで、CAAC-OSに縮みなどの変形が生じ
た場合でも、局部応力を緩和する、または歪みを逃がすことが可能である。したがって、
可とう性を有する半導体装置に用いることに適した構造である。なお、nc-OSは、ペ
レット5100(ナノ結晶)が無秩序に積み重なったような配列となる。
【0348】
ターゲット5130をイオン5101でスパッタした際に、ペレット5100だけでな
く、酸化亜鉛などが剥離する場合がある。酸化亜鉛はペレット5100よりも軽量である
ため、先に基板5120の上面に到達する。そして、0.1nm以上10nm以下、0.
2nm以上5nm以下、または0.5nm以上2nm以下の酸化亜鉛層5102を形成す
る。図33に断面模式図を示す。
【0349】
図33(A)に示すように、酸化亜鉛層5102上にはペレット5105aと、ペレッ
ト5105bと、が堆積する。ここで、ペレット5105aとペレット5105bとは、
互いに側面が接するように配置している。また、ペレット5105cは、ペレット510
5b上に堆積した後、ペレット5105b上を滑るように移動する。また、ペレット51
05aの別の側面において、酸化亜鉛とともにターゲットから剥離した複数の粒子510
3が、基板5120からの加熱により結晶化し、領域5105a1を形成する。なお、複
数の粒子5103は、酸素、亜鉛、インジウムおよびガリウムなどを含む可能性がある。
【0350】
そして、図33(B)に示すように、領域5105a1は、ペレット5105aと一体
化し、ペレット5105a2となる。また、ペレット5105cは、その側面がペレット
5105bの別の側面と接するように配置する。
【0351】
次に、図33(C)に示すように、さらにペレット5105dがペレット5105a2
上およびペレット5105b上に堆積した後、ペレット5105a2上およびペレット5
105b上を滑るように移動する。また、ペレット5105cの別の側面に向けて、さら
にペレット5105eが酸化亜鉛層5102上を滑るように移動する。
【0352】
そして、図33(D)に示すように、ペレット5105dは、その側面がペレット51
05a2の側面と接するように配置する。また、ペレット5105eは、その側面がペレ
ット5105cの別の側面と接するように配置する。また、ペレット5105dの別の側
面において、酸化亜鉛とともにターゲット5130から剥離した複数の粒子5103が基
板5120からの加熱により結晶化し、領域5105d1を形成する。
【0353】
以上のように、堆積したペレット同士が接するように配置し、ペレットの側面において
成長が起こることで、基板5120上にCAAC-OSが形成される。したがって、CA
AC-OSは、nc-OSよりも一つ一つのペレットが大きくなる。上述の図30中の(
3)と(2)の大きさの違いが、堆積後の成長分に相当する。
【0354】
また、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つの大きなペレットが形成さ
れる場合がある。一つの大きなペレットは、単結晶構造を有する。例えば、ペレットの大
きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15nm以上100nm以下、また
は20nm以上50nm以下となる場合がある。このとき、微細なトランジスタに用いる
酸化物半導体において、チャネル形成領域が一つの大きなペレットに収まる場合がある。
即ち、単結晶構造を有する領域をチャネル形成領域として用いることができる。また、ペ
レットが大きくなることで、単結晶構造を有する領域をトランジスタのチャネル形成領域
、ソース領域およびドレイン領域として用いることができる場合がある。
【0355】
このように、トランジスタのチャネル形成領域などが、単結晶構造を有する領域に形成
されることによって、トランジスタの周波数特性を高くすることができる場合がある。
【0356】
以上のようなモデルにより、ペレット5100が基板5120上に堆積していくと考え
られる。被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC-OSの成膜が可能で
あることから、エピタキシャル成長とは異なる成長機構であることがわかる。また、CA
AC-OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などであっても均一な成
膜が可能である。例えば、基板5120の上面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば
非晶質酸化シリコン)であっても、CAAC-OSを成膜することは可能である。
【0357】
また、CAAC-OSは、被形成面である基板5120の上面に凹凸がある場合でも、
その形状に沿ってペレット5100が配列することがわかる。例えば、基板5120の上
面が原子レベルで平坦な場合、ペレット5100はa-b面と平行な平面である平板面を
下に向けて並置する。ペレット5100の厚さが均一である場合、厚さが均一で平坦、か
つ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重な
ることで、CAAC-OSを得ることができる。
【0358】
一方、基板5120の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC-OSは、ペレット51
00が凹凸に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板5
120が凹凸を有するため、CAAC-OSは、ペレット5100間に隙間が生じやすい
場合がある。ただし、この場合でも、ペレット5100間で分子間力が働き、凹凸があっ
てもペレット間の隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があって
も高い結晶性を有するCAAC-OSとすることができる。
【0359】
このようなモデルによってCAAC-OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのな
いペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場
合、基板5120上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合
がある。
【0360】
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶
性を有するCAAC-OSを得ることができる。
【0361】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0362】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回
路の一例について説明する。
【0363】
<CMOSインバータ>
図34(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型の
トランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCM
OSインバータの構成を示している。
【0364】
<半導体装置の構造2>
図35は、図34(A)に対応する半導体装置の断面図である。図35に示す半導体装
置は、トランジスタ2200と、トランジスタ2100と、を有する。また、トランジス
タ2100は、トランジスタ2200の上方に配置する。なお、トランジスタ2100と
して、実施の形態1の図1に示したトランジスタを用いた例を示しているが、本発明の一
態様に係る半導体装置は、これに限定されるものではない。例えば、図2乃至図11に示
したトランジスタなどを、トランジスタ2100として用いても構わない。よって、トラ
ンジスタ2100については、適宜上述したトランジスタについての記載を参酌する。
【0365】
図35に示すトランジスタ2200は、半導体基板450を用いたトランジスタである
。トランジスタ2200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中
の領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。図34に示すトランジ
スタ2200として、例えば図23に示すトランジスタ491やトランジスタ492を参
照してもよい。
【0366】
トランジスタ2200において、領域472aおよび領域472bは、ソース領域およ
びドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体462は、ゲート絶縁体としての機
能を有する。また、導電体454は、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導
電体454に印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。
即ち、導電体454に印加する電位によって、領域472aと領域472bとの間の導通
・非導通を制御することができる。
【0367】
半導体基板450は、半導体基板400の記載を参照すればよい。
【0368】
半導体基板450は、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。た
だし、半導体基板450として、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用
いても構わない。その場合、トランジスタ2200となる領域には、n型の導電型を付与
する不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板450がi型であって
も構わない。
【0369】
半導体基板450の上面は、(110)面を有することが好ましい。こうすることで、
トランジスタ2200のオン特性を向上させることができる。
【0370】
領域472aおよび領域472bは、p型の導電型を付与する不純物を有する領域であ
る。このようにして、トランジスタ2200はpチャネル型トランジスタを構成する。
【0371】
なお、トランジスタ2200は、領域460などによって隣接するトランジスタと分離
される。領域460は、絶縁性を有する領域である。
【0372】
図35に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、導電
体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと、導電体478
bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体474aと、導
電体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496bと、導電体49
6cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電体498cと、
絶縁体493と、絶縁体495と、絶縁体494と、を有する。
【0373】
絶縁体464は、トランジスタ2200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体
464上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体
493は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ2100は、絶縁体493上
に配置する。また、絶縁体495は、トランジスタ2100上に配置する。また、絶縁体
494は、絶縁体495上に配置する。
【0374】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導
電体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、
導電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0375】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開
口部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電
体478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0376】
また、絶縁体468は、導電体478bに達する開口部と、導電体478cに達する開
口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは導電体476bが
埋め込まれている。
【0377】
また、絶縁体493は、トランジスタ2100のチャネル形成領域と重なる開口部と、
導電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、
開口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込ま
れている。
【0378】
導電体474aは、トランジスタ2100のゲート電極としての機能を有しても構わな
い。導電体474aについては、導電体413の記載を参照することができる。
【0379】
また、絶縁体495は、トランジスタ2100のソース電極またはドレイン電極の一方
である導電体416bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ210
0のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体416aに達する開口部と、トラ
ンジスタ2100のゲート電極である導電体404に達する開口部と、導電体474cに
達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体496a、導電体496
b、導電体496cまたは導電体496dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口
部は、さらにトランジスタ2100などの構成要素のいずれかが有する開口部を介する場
合がある。
【0380】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bおよび導電
体496dに達する開口部と、導電体496cに達する開口部と、を有する。また、開口
部には、それぞれ導電体498a、導電体498bまたは導電体498cが埋め込まれて
いる。
【0381】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体493、絶縁体495および絶縁
体494は、絶縁体552の記載を参照すればよい。
【0382】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体493、絶縁体495または絶縁
体494の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を
有することが好ましい。トランジスタ2100の近傍に、水素などの不純物および酸素を
ブロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ2100の電気
特性を安定にすることができる。
【0383】
導電体480a、導電体480b、導電体480c、導電体478a、導電体478b
、導電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体474a、導電体474b
、導電体474c、導電体496a、導電体496b、導電体496c、導電体496d
、導電体498a、導電体498bおよび導電体498cとしては、例えば、ホウ素、窒
素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニ
ウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単
層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウム
を含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウ
ム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0384】
なお、図35に示す半導体装置において、トランジスタ2200の構造を、図24に示
すトランジスタ491やトランジスタ492の構造としてもよい。図24に示すトランジ
スタ491及びトランジスタ492は、Fin型の構造である場合を示している。
【0385】
また、図35に示す半導体装置において、トランジスタ2200の構造を、図25に示
すトランジスタ491やトランジスタ492の構造としてもよい。図25に示すトランジ
スタ491及びトランジスタ492は、SOI基板である半導体基板400に設けられる
場合を示している。
【0386】
図35に示した半導体装置は、半導体基板を用いてpチャネル型トランジスタを作製し
、その上方にnチャネル型トランジスタを作製するため、素子の占有面積を縮小すること
ができる。即ち、半導体装置の集積度を高くすることができる。また、nチャネル型トラ
ンジスタと、pチャネル型トランジスタとを同一の半導体基板を用いて作製した場合と比
べて、工程を簡略化することができるため、半導体装置の生産性を高くすることができる
。また、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、pチャネル型トランジス
タは、LDD(Lightly Doped Drain)領域、シャロートレンチ構造
、歪み設計などの複雑な工程を省略できる場合がある。そのため、nチャネル型トランジ
スタを、半導体基板を用いて作製する場合と比べて、生産性および歩留まりを高くするこ
とができる場合がある。
【0387】
<CMOSアナログスイッチ>
また図34(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそ
れぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、
いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。
【0388】
<記憶装置1>
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の
保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図3
6に示す。
【0389】
図36(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2
の半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、
トランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
【0390】
トランジスタ3300は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ3
300は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジ
スタ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり
記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、また
はリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半
導体装置となる。
【0391】
図36(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的
に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続され
る。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気
的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続され
ている。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース
、ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3
005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
【0392】
図36(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能と
いう特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能で
ある。
【0393】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、ト
ランジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とす
る。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および
容量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トラ
ンジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異な
る二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。
)のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジ
スタ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とする
ことにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
【0394】
トランジスタ3300のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって
保持される。
【0395】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を
与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配
線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジス
タ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電
荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200
のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_L
より低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200
を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したが
って、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることに
より、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードF
GにHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV
>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードF
GにLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV(<
th_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このた
め、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読
み出すことができる。
【0396】
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情
報を読み出さなくてはならない。ほかのメモリセルの情報を読み出さないためには、ノー
ドFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電
位、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ノ
ードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるような電
位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えればよい。
【0397】
<半導体装置の構造3>
図37は、図36(A)に対応する半導体装置の断面図である。図37に示す半導体装
置は、トランジスタ3200と、トランジスタ3300と、容量素子3400と、を有す
る。また、トランジスタ3300および容量素子3400は、トランジスタ3200の上
方に配置する。なお、トランジスタ3300としては、上述したトランジスタ2100に
ついての記載を参照する。また、トランジスタ3200としては、図34に示したトラン
ジスタ2200についての記載を参照する。なお、図34では、トランジスタ2200が
pチャネル型トランジスタである場合について説明したが、トランジスタ3200がnチ
ャネル型トランジスタであっても構わない。
【0398】
図37に示すトランジスタ3200は、半導体基板450を用いたトランジスタである
。トランジスタ3200は、半導体基板450中の領域472aと、半導体基板450中
の領域472bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0399】
図37に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、導電
体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478aと、導電体478
bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電体474aと、導
電体474bと、導電体474cと、導電体496aと、導電体496bと、導電体49
6cと、導電体496dと、導電体498aと、導電体498bと、導電体498cと、
導電体498dと、絶縁体493と、絶縁体495と、絶縁体494と、を有する。
【0400】
絶縁体464は、トランジスタ3200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体
464上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体
493は、絶縁体468上に配置する。また、トランジスタ3300は、絶縁体493上
に配置する。また、絶縁体495は、トランジスタ3300上に配置する。また、絶縁体
494は、絶縁体495上に配置する。
【0401】
絶縁体464は、領域472aに達する開口部と、領域472bに達する開口部と、導
電体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、
導電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0402】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開
口部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電
体478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0403】
また、絶縁体468は、導電体478bに達する開口部と、導電体478cに達する開
口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体476aまたは導電体476bが
埋め込まれている。
【0404】
また、絶縁体493は、トランジスタ3300のチャネル形成領域と重なる開口部と、
導電体476aに達する開口部と、導電体476bに達する開口部と、を有する。また、
開口部には、それぞれ導電体474a、導電体474bまたは導電体474cが埋め込ま
れている。
【0405】
導電体474aは、トランジスタ3300のボトムゲート電極としての機能を有しても
構わない。または、例えば、導電体474aに一定の電位を印加することで、トランジス
タ3300のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば、導電
体474aとトランジスタ3300のトップゲート電極である導電体404とを電気的に
接続しても構わない。こうすることで、トランジスタ3300のオン電流を大きくするこ
とができる。また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ330
0の飽和領域における電気特性を安定にすることができる。
【0406】
また、絶縁体495は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方
である導電体416bを通って、導電体474bに達する開口部と、トランジスタ330
0のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体416aと絶縁体412を介して
重なる導電体414に達する開口部と、トランジスタ3300のゲート電極である導電体
404に達する開口部と、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方
である導電体416aを通って、導電体474cに達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体496a、導電体496b、導電体496cまたは導電体49
6dが埋め込まれている。ただし、それぞれの開口部は、さらにトランジスタ3300な
どの構成要素のいずれかが有する開口部を介する場合がある。
【0407】
また、絶縁体494は、導電体496aに達する開口部と、導電体496bに達する開
口部と、導電体496cに達する開口部と、導電体496dに達する開口部と、を有する
。また、開口部には、それぞれ導電体498a、導電体498b、導電体498cまたは
導電体498dが埋め込まれている。
【0408】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体493、絶縁体495または絶縁
体494の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を
有することが好ましい。トランジスタ3300の近傍に、水素などの不純物および酸素を
ブロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ3300の電気
特性を安定にすることができる。
【0409】
導電体498dに用いることのできる材料として、例えば導電体480a等の記載を参
照することができる。
【0410】
トランジスタ3200のソースまたはドレインは、導電体480aと、導電体478a
と、導電体476aと、導電体474bと、導電体496cと、を介してトランジスタ3
300のソース電極またはドレイン電極の一方である導電体416bと電気的に接続する
。また、トランジスタ3200のゲート電極である導電体454は、導電体480cと、
導電体478cと、導電体476bと、導電体474cと、導電体496dと、を介して
トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方である導電体416aと電
気的に接続する。
【0411】
容量素子3400は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方と
電気的に接続する電極と、導電体414と、絶縁体412と、を有する。なお、絶縁体4
12は、トランジスタ3300のゲート絶縁体と同一工程を経て形成できるため、生産性
を高めることができて好ましい場合がある。また、導電体414として、トランジスタ3
300のゲート電極と同一工程を経て形成した層を用いると、生産性を高めることができ
て好ましい場合がある。
【0412】
そのほかの構造については、適宜図35などについての記載を参酌することができる。
なお、図35では、トランジスタ2200がpチャネル型トランジスタである場合につい
て説明したが、トランジスタ3200がnチャネル型トランジスタであっても構わない。
【0413】
なお、図37において、トランジスタ3200の構造を、図24に示すトランジスタ4
91やトランジスタ492の構造としてもよい。図24に示すトランジスタ491及びト
ランジスタ492は、Fin型の構造である場合を示している。
【0414】
また、図37において、トランジスタ3200の構造を、図25に示すトランジスタ4
91やトランジスタ492の構造としてもよい。図25に示すトランジスタ491及びト
ランジスタ492は、SOI基板である半導体基板450に設けられる場合を示している
【0415】
<記憶装置2>
図36(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図36(A)
に示した半導体装置と異なる。この場合も図36(A)に示した半導体装置と同様の動作
により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
【0416】
図36(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジ
スタ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子340
0とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その
結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容
量素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によっ
て、異なる値をとる。
【0417】
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第
3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003
の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB
×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量
素子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとする
と、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×
V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(
=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0418】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこ
とができる。
【0419】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたト
ランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタ
を駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
【0420】
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適
用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッ
シュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能と
なるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない
場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶
内容を保持することが可能である。
【0421】
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起
こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の
注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化とい
った問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリ
で問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装
置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行
われるため、高速な動作が可能となる。
【0422】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0423】
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
【0424】
<撮像装置>
図38(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す平面図である。撮像
装置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺
回路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q
列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する
。周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ
複数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有
する。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280お
よび周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合があ
る。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
【0425】
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光
P1を放射することができる。
【0426】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変
換回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に作製しても
よい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。な
お、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路29
0のいずれか一以上を省略してもよい。
【0427】
また、図38(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画
素211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向およ
び列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200に
おける撮像の品質をより高めることができる。
【0428】
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの
副画素212に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせ
ることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0429】
図39(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す平面図である。
図39(A)に示す画素211は、赤(R)の波長帯域を透過するカラーフィルタが設け
られた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長帯域を透過
するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」ともいう)お
よび青(B)の波長帯域を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「
副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとして機能させる
ことができる。
【0430】
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線2
31、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、
副画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線2
53に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素211に接続され
た配線248および配線249を、それぞれ配線248[n]および配線249[n]と
記載する。また、例えばm列目の画素211に接続された配線253を、配線253[m
]と記載する。なお、図39(A)において、m列目の画素211が有する副画素212
Rに接続する配線253を配線253[m]R、副画素212Gに接続する配線253を
配線253[m]G、および副画素212Bに接続する配線253を配線253[m]B
と記載している。副画素212は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
【0431】
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長帯域を透過するカラーフィ
ルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する。
図39(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整数)に配
置された画素211が有する副画素212と、該画素211に隣接するn+1行m列に配
置された画素211が有する副画素212の接続例を示す。図39(B)において、n行
m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配置された副画素212Rがスイッ
チ201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Gと、n+
1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202を介して接続されている。また、
n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列に配置された副画素212Bがス
イッチ203を介して接続されている。
【0432】
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定
されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフ
ィルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副画
素212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
【0433】
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが
設けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた
副画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(
Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加
えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素2
11を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素
212を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
【0434】
また、例えば、図39(A)において、赤の波長帯域を検出する副画素212、緑の波
長帯域を検出する副画素212、および青の波長帯域を検出する副画素212の画素数比
(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積
比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(
受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0435】
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例え
ば、同じ波長帯域を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像
装置200の信頼性を高めることができる。
【0436】
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared
)フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
【0437】
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用
いることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和するこ
とを防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像
装置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0438】
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、図40
の断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レ
ンズ255を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具
体的には、図40(A)に示すように、画素211に形成したレンズ255、フィルタ2
54(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ254B)、および画素回路
230等を通して光256を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
【0439】
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257
の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図40(B)に示すように光
電変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子22
0が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256
を光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供するこ
とができる。
【0440】
図40に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成され
た光電変換素子を用いてもよい。
【0441】
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を
用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、
セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合
金等がある。
【0442】
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて
、X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子
220を実現できる。
【0443】
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、図39に示す副画素212に加
えて、第1のフィルタを有する副画素212を有してもよい。
【0444】
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、
を用いて画素を構成する一例について説明する。
【0445】
図41(A)、図41(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。図41(A
)に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ3
51、トランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ3
52およびトランジスタ353、ならびにシリコン基板300に設けられたフォトダイオ
ード360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ37
0および配線371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード
361は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
【0446】
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダ
イオード360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層
320と、層320と接して設けられ、トランジスタ352およびトランジスタ353を
有する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層
340を備えている。
【0447】
なお図41(A)の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ3
51が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とする
。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保するこ
とができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオー
ド360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
【0448】
なお、トランジスタを用いて画素を構成する場合には、層310を、トランジスタを有
する層とすればよい。または層310を省略し、トランジスタのみで画素を構成してもよ
い。
【0449】
なおトランジスタを用いて画素を構成する場合には、層330を省略すればよい。層3
30を省略した断面図の一例を図41(B)に示す。
【0450】
なお、シリコン基板300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板300
に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化ア
ルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板を
用いることもできる。
【0451】
ここで、トランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層310と、トラ
ンジスタ352およびトランジスタ353を有する層330と、の間には絶縁体380が
設けられる。ただし、絶縁体380の位置は限定されない。
【0452】
トランジスタ351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンの
ダングリングボンドを終端し、トランジスタ351の信頼性を向上させる効果がある。一
方、トランジスタ352およびトランジスタ353などの近傍に設けられる絶縁体中の水
素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ
352およびトランジスタ353などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。した
がって、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジ
スタを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体380
を設けることが好ましい。絶縁体380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジス
タ351の信頼性を向上させることができる。さらに、絶縁体380より下層から、絶縁
体380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ352およびト
ランジスタ353などの信頼性を向上させることができる。
【0453】
絶縁体380としては、例えば、絶縁体408の記載を参照する。
【0454】
また、図41(A)の断面図において、層310に設けるフォトダイオード360と、
層330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画
素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
【0455】
また、図42(A1)および図42(B1)に示すように、撮像装置の一部または全部
を湾曲させてもよい。図42(A1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X1-X2の方向
に湾曲させた状態を示している。図42(A2)は、図42(A1)中の一点鎖線X1-
X2で示した部位の断面図である。図42(A3)は、図42(A1)中の一点鎖線Y1
-Y2で示した部位の断面図である。
【0456】
図42(B1)は、撮像装置を同図中の一点鎖線X3-X4の方向に湾曲させ、かつ、
同図中の一点鎖線Y3-Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図42(B2)は、
図42(B1)中の一点鎖線X3-X4で示した部位の断面図である。図42(B3)は
図42(B1)中の一点鎖線Y3-Y4で示した部位の断面図である。
【0457】
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、
撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば
、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた電子機器などの小型
化や軽量化を実現することができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができ
る。
【0458】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0459】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含む
CPUについて説明する。
【0460】
<CPU>
図43は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図
である。
【0461】
図43に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithme
tic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラ
クションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントロー
ラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース
1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有
している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM
1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん
図43に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはそ
の用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図43に示すCPUまたは演算回
路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作する
ような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は
、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0462】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクショ
ンデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、イン
タラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントロー
ラ1195に入力される。
【0463】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロ
ーラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種
制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御す
るための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログ
ラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマス
ク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のア
ドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう
【0464】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ11
92、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およ
びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば
タイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成
する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0465】
図43に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジス
タ1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることがで
きる。
【0466】
図43に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191から
の指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ119
6が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素
子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選
択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。
容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが
行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
【0467】
図44は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子1200の回路図の一
例である。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源
遮断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204
と、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有
する。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1
210と、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子
、インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
【0468】
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子120
0への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートには
GND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とす
る。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とす
る。
【0469】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用
いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)
のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の
端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第
2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203
はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2
の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通
状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースと
ドレインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソー
スとドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力
される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり
、トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
【0470】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極の
うちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続
部分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電
位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッ
チ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に
接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレイン
の他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの
一方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214の
ソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続
される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他
方)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と
、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一
対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低
電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができ
る。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる
配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの
他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND
等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子12
08の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGN
D線)と電気的に接続される。
【0471】
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等
を積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0472】
トランジスタ1209のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ1203お
よびスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第
2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第
2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状
態となる。
【0473】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデー
タに対応する信号が入力される。図44では、回路1201から出力された信号が、トラ
ンジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203
の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は
、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介
して回路1201に入力される。
【0474】
なお、図44では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースと
ドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して
回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端
子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を
反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に
、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場
合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0475】
また、図44において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジ
スタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板11
90にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜また
はシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素
子1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトラ
ンジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外
にも、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのト
ランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成さ
れるトランジスタとすることもできる。
【0476】
図44における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる
。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用い
ることができる。
【0477】
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間
は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子120
8によって保持することができる。
【0478】
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。
例えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有す
るシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのた
め、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子12
00に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり
保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(デー
タ)を保持することが可能である。
【0479】
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ
動作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201
が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0480】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジス
タ1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再
開された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態
(導通状態、または非導通状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。
それ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の
信号を正確に読み出すことが可能である。
【0481】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなど
の記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐ
ことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復
帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、ま
たは複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力
を抑えることができる。
【0482】
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP
(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(P
rogrammable Logic Device)等のLSI、RF(Radio
Frequency)デバイスにも応用可能である。
【0483】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0484】
(実施の形態6)
以下では、本発明の一態様に係る表示装置について、図45および図46を用いて説明
する。
【0485】
<表示装置>
表示装置に用いられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素
子(発光表示素子ともいう。)などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧
によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Elec
troluminescence)、有機ELなどを含む。以下では、表示装置の一例と
してEL素子を用いた表示装置(EL表示装置)および液晶素子を用いた表示装置(液晶
表示装置)について説明する。
【0486】
なお、以下に示す表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルに
コントローラを含むICなどを実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0487】
また、以下に示す表示装置は画像表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。
また、コネクター、例えばFPC、TCPが取り付けられたモジュール、TCPの先にプ
リント配線板を有するモジュールまたは表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が
直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0488】
図45は、本発明の一態様に係るEL表示装置の一例である。図45(A)に、EL表
示装置の画素の回路図を示す。図45(B)は、EL表示装置全体を示す上面図である。
また、図45(C)は、図45(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するM-N断面であ
る。
【0489】
図45(A)は、EL表示装置に用いられる画素の回路図の一例である。
【0490】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子
(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しな
くても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接
続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であるといえる。そして、接続先が特定され
た内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明
細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として
複数の箇所が想定される場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない
。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗
素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、
発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0491】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当
業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少
なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。
つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であるといえる。そして、機能が特定さ
れた発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。
したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一
態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。また
は、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様とし
て開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0492】
図45(A)に示すEL表示装置は、スイッチ素子743と、トランジスタ741と、
容量素子742と、発光素子719と、を有する。
【0493】
なお、図45(A)などは、回路構成の一例であるため、さらに、トランジスタを追加
することが可能である。逆に、図45(A)の各ノードにおいて、トランジスタ、スイッ
チ、受動素子などを追加しないようにすることも可能である。
【0494】
トランジスタ741のゲートはスイッチ素子743の一端および容量素子742の一方
の電極と電気的に接続される。トランジスタ741のソースは容量素子742の他方の電
極と電気的に接続され、発光素子719の一方の電極と電気的に接続される。トランジス
タ741のドレインは電源電位VDDが与えられる。スイッチ素子743の他端は信号線
744と電気的に接続される。発光素子719の他方の電極は定電位が与えられる。なお
、定電位は接地電位GNDまたはそれより小さい電位とする。
【0495】
スイッチ素子743としては、トランジスタを用いると好ましい。トランジスタを用い
ることで、画素の面積を小さくでき、解像度の高いEL表示装置とすることができる。ま
た、スイッチ素子743として、トランジスタ741と同一工程を経て作製されたトラン
ジスタを用いると、EL表示装置の生産性を高めることができる。なお、トランジスタ7
41または/およびスイッチ素子743としては、例えば、上述したトランジスタを適用
することができる。
【0496】
図45(B)は、EL表示装置の上面図である。EL表示装置は、基板700と、基板
750と、シール材734と、駆動回路735と、駆動回路736と、画素737と、F
PC732と、を有する。シール材734は、画素737、駆動回路735および駆動回
路736を囲むように基板700と基板750との間に配置される。なお、駆動回路73
5または/および駆動回路736をシール材734の外側に配置しても構わない。
【0497】
図45(C)は、図45(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するEL表示装置の断面
図である。
【0498】
図45(C)には、トランジスタ741として、基板700上の導電体704aと、導
電体704a上の絶縁体712aと、絶縁体712a上の絶縁体712bと、絶縁体71
2b上にあり導電体704aと重なる半導体706と、半導体706と接する導電体71
6aおよび導電体716bと、半導体706上、導電体716a上および導電体716b
上の絶縁体718aと、絶縁体718a上の絶縁体718bと、絶縁体718b上の絶縁
体718cと、絶縁体718c上にあり半導体706と重なる導電体714aと、を有す
る構造を示す。なお、トランジスタ741の構造は一例であり、図45(C)に示す構造
と異なる構造であっても構わない。
【0499】
したがって、図45(C)に示すトランジスタ741において、導電体704aはゲー
ト電極としての機能を有し、絶縁体712aおよび絶縁体712bはゲート絶縁体として
の機能を有し、導電体716aはソース電極としての機能を有し、導電体716bはドレ
イン電極としての機能を有し、絶縁体718a、絶縁体718bおよび絶縁体718cは
ゲート絶縁体としての機能を有し、導電体714aはゲート電極としての機能を有する。
なお、半導体706は、光が当たることで電気特性が変動する場合がある。したがって、
導電体704a、導電体716a、導電体716b、導電体714aのいずれか一以上が
遮光性を有すると好ましい。
【0500】
なお、絶縁体718aおよび絶縁体718bの界面を破線で表したが、これは両者の境
界が明確でない場合があることを示す。例えば、絶縁体718aおよび絶縁体718bと
して、同種の絶縁体を用いた場合、観察手法によっては両者の区別が付かない場合がある
【0501】
図45(C)には、容量素子742として、基板上の導電体704bと、導電体704
b上の絶縁体712aと、絶縁体712a上の絶縁体712bと、絶縁体712b上にあ
り導電体704bと重なる導電体716aと、導電体716a上の絶縁体718aと、絶
縁体718a上の絶縁体718bと、絶縁体718b上の絶縁体718cと、絶縁体71
8c上にあり導電体716aと重なる導電体714bと、を有し、導電体716aおよび
導電体714bの重なる領域で、絶縁体718aおよび絶縁体718bの一部が除去され
ている構造を示す。
【0502】
容量素子742において、導電体704bおよび導電体714bは一方の電極として機
能し、導電体716aは他方の電極として機能する。
【0503】
したがって、容量素子742は、トランジスタ741と共通する膜を用いて作製するこ
とができる。また、導電体704aおよび導電体704bを同種の導電体とすると好まし
い。その場合、導電体704aおよび導電体704bは、同一工程を経て形成することが
できる。また、導電体714aおよび導電体714bを同種の導電体とすると好ましい。
その場合、導電体714aおよび導電体714bは、同一工程を経て形成することができ
る。
【0504】
図45(C)に示す容量素子742は、占有面積当たりの容量が大きい容量素子である
。したがって、図45(C)は表示品位の高いEL表示装置である。なお、図45(C)
に示す容量素子742は、導電体716aおよび導電体714bの重なる領域を薄くする
ため、絶縁体718aおよび絶縁体718bの一部が除去された構造を有するが、本発明
の一態様に係る容量素子はこれに限定されるものではない。例えば、導電体716aおよ
び導電体714bの重なる領域を薄くするため、絶縁体718cの一部が除去された構造
を有しても構わない。
【0505】
トランジスタ741および容量素子742上には、絶縁体720が配置される。ここで
、絶縁体720は、トランジスタ741のソース電極として機能する導電体716aに達
する開口部を有してもよい。絶縁体720上には、導電体781が配置される。導電体7
81は、絶縁体720の開口部を介してトランジスタ741と電気的に接続してもよい。
【0506】
導電体781上には、導電体781に達する開口部を有する隔壁784が配置される。
隔壁784上には、隔壁784の開口部で導電体781と接する発光層782が配置され
る。発光層782上には、導電体783が配置される。導電体781、発光層782およ
び導電体783の重なる領域が、発光素子719となる。
【0507】
ここまでは、EL表示装置の例について説明した。次に、液晶表示装置の例について説
明する。
【0508】
図46(A)は、液晶表示装置の画素の構成例を示す回路図である。図46に示す画素
は、トランジスタ751と、容量素子752と、一対の電極間に液晶の充填された素子(
液晶素子)753とを有する。
【0509】
トランジスタ751では、ソース、ドレインの一方が信号線755に電気的に接続され
、ゲートが走査線754に電気的に接続されている。
【0510】
容量素子752では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電
気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0511】
液晶素子753では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電
気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。なお
、上述した容量素子752の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位と
、液晶素子753の他方の電極に与えられる共通電位とが異なる電位であってもよい。
【0512】
なお、液晶表示装置も、上面図はEL表示装置と同様として説明する。図45(B)の
一点鎖線M-Nに対応する液晶表示装置の断面図を図46(B)に示す。図46(B)に
おいて、FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線7
33aは、トランジスタ751を構成する導電体または半導体のいずれかと同種の導電体
または半導体を用いてもよい。
【0513】
トランジスタ751は、トランジスタ741についての記載を参照する。また、容量素
子752は、容量素子742についての記載を参照する。なお、図46(B)には、図4
5(C)の容量素子742に対応した容量素子752の構造を示したが、これに限定され
ない。
【0514】
なお、トランジスタ751の半導体に酸化物半導体を用いた場合、極めてオフ電流の小
さいトランジスタとすることができる。したがって、容量素子752に保持された電荷が
リークしにくく、長期間に渡って液晶素子753に印加される電圧を維持することができ
る。そのため、動きの少ない動画や静止画の表示の際に、トランジスタ751をオフ状態
とすることで、トランジスタ751の動作のための電力が不要となり、消費電力の小さい
液晶表示装置とすることができる。また、容量素子752の占有面積を小さくできるため
、開口率の高い液晶表示装置、または高精細化した液晶表示装置を提供することができる
【0515】
トランジスタ751および容量素子752上には、絶縁体721が配置される。ここで
、絶縁体721は、トランジスタ751に達する開口部を有する。絶縁体721上には、
導電体791が配置される。導電体791は、絶縁体721の開口部を介してトランジス
タ751と電気的に接続する。
【0516】
導電体791上には、配向膜として機能する絶縁体792が配置される。絶縁体792
上には、液晶層793が配置される。液晶層793上には、配向膜として機能する絶縁体
794が配置される。絶縁体794上には、スペーサ795が配置される。スペーサ79
5および絶縁体794上には、導電体796が配置される。導電体796上には、基板7
97が配置される。
【0517】
上述した構造を有することで、占有面積の小さい容量素子を有する表示装置を提供する
ことができる、または、表示品位の高い表示装置を提供することができる。または、高精
細の表示装置を提供することができる。
【0518】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光
素子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または
様々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例
えば、白色、赤色、緑色または青色などの発光ダイオード(LED:Light Emi
tting Diode)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子
放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV
)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニ
カル・システム)を用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DM
S(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレー
ション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エ
レクトロウェッティング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用
いた表示素子などの少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的
作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していて
もよい。
【0519】
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素
子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)ま
たはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction
Electron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表
示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディ
スプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ
)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、または電気泳動素子を用いた表示
装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射
型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極と
しての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニ
ウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRA
Mなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減する
ことができる。
【0520】
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラフ
ァイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜とし
てもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化
物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体などを容易に成膜することができる。
さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体などを設けて、LEDを構成すること
ができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体との間に
、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体は、MOCVD法で成膜
してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体は、
スパッタリング法で成膜することも可能である。
【0521】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0522】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を搭載した電子機器等について説
明する。
【0523】
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を
備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Dis
c等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いるこ
とができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器
として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメ
ラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディス
プレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディ
オプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入
れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図47
示す。
【0524】
図47(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示
部904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス90
8等を有する。なお、図47(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表
示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されな
い。
【0525】
図47(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部
913、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部91
3は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられて
いる。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されてお
り、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能であ
る。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体
912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部91
3および第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された
表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタ
ッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は
、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加す
ることができる。
【0526】
図47(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、
キーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
【0527】
図47(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉9
33等を有する。
【0528】
図47(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943
、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレン
ズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられ
ている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されて
おり、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能で
ある。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体9
42との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
【0529】
図47(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライ
ト954等を有する。
【0530】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例1】
【0531】
本実施例ではESRを用いて、酸化物半導体膜中のスピン密度を評価した。
【0532】
本実施例で用いた試料の作製方法を説明する。
【0533】
まず、基板として、厚さが0.5mmの石英基板を準備した。次に、酸化物半導体膜と
して、厚さが50nmのIn-Ga-Zn酸化物を成膜した。次に、窒素雰囲気において
450℃で1時間の加熱処理を行った。次に、酸素雰囲気において450℃で1時間の加
熱処理を行った。次に酸化物半導体膜上に、厚さが10nmの酸化窒化シリコン膜を成膜
した。次に、プラズマ処理を行った。プラズマ処理は、酸素(O)プラズマ処理または
亜酸化窒素(NO)プラズマ処理を90秒、180秒または300秒行った。
【0534】
なお、In-Ga-Zn酸化物は、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1であるI
n-Ga-Zn酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜した。成膜ガスと
しては、酸素の体積が33%となるようにアルゴンおよび酸素を混合したガスを用いた。
成膜時の圧力は、キヤノンアネルバ製ミニチュアゲージMG-2によって0.7Paとな
るように調整した。成膜電力は、DC電源を用いて0.5kWとした。基板温度は300
℃とした。
【0535】
また、酸化窒化シリコン膜は、PECVD法を用いて成膜した。成膜ガスとしては、モ
ノシランが1に対して亜酸化窒素が800となる体積比で混合したガスを用いた。成膜時
の圧力は、200Paとなるよう調整した。成膜電力は、60MHzの高周波電源を用い
て150Wとした。基板温度は350℃とした。
【0536】
また、酸素(O)プラズマ処理は、PECVD法を用いて、流量800sccmの酸
素をPECVD装置の反応室内に供給した。供給時の圧力は、200Paとなるよう調整
した。成膜電力は、60MHzの高周波電源を用いて150Wとした。基板温度は350
℃とした。
【0537】
また、亜酸化窒素(NO)プラズマ処理は、PECVD法を用いて、流量800sc
cmの亜酸化窒素をPECVD装置の反応室内に供給した。供給時の圧力は、200Pa
となるよう調整した。成膜電力は、60MHzの高周波電源を用いて150Wとした。基
板温度は350℃とした。
【0538】
次に、試料のESRによる評価を行った。また、プラズマ処理を行わない試料のESR
による評価も行った。なお、試料は、In-Ga-Zn酸化物の膜面が磁場に直交する向
きに設置した。酸化物半導体膜中のg値が1.93近傍に現れるシグナル(以下、「Vo
H起因のシグナル」と呼ぶ)のスピン密度および絶縁膜中の「NOx起因のシグナル」に
関連するスピン密度を図48に示す。なお、ESRによる評価は、日本電子株式会社製電
子スピン共鳴装置JES-FA300を用いた。
【0539】
図48より、酸化物半導体膜中のVoHはプラズマ処理を行うことでスピン密度が検出
下限(ここでは2.6×1017spins/cm)以下となることが確認できた。ま
た、プラズマ処理を長時間行うほどVoH起因のスピン密度は低減していることが確認で
きた。また、酸素(O)プラズマ処理と亜酸化窒素(NO)プラズマ処理を比較する
と、酸素(O)プラズマ処理の方がNOx起因のスピン密度が低減し、より好ましいこ
とが確認できた。
【0540】
また、上記の試料のうち、酸素(O)プラズマ処理を0秒(なし)、90秒または1
80秒行った試料において、水素濃度の評価を行った。なお、水素濃度の評価には、SI
MS分析装置を用いて測定した。試料の水素濃度のデプスプロファイルを図49に示す。
プラズマ処理が0秒の条件は実線で、他は破線で示す。
【0541】
図49より、酸素(O)プラズマ処理により酸化物半導体膜中の水素濃度を低減でき
ることが確認できた。また、酸化物半導体膜中の水素濃度を低減することにより、VoH
起因のスピン密度を低減できることが示唆された。
【実施例2】
【0542】
本実施例では、酸化物半導体膜上に、積層膜を形成した場合のプラズマ処理を行った酸
化物半導体膜中のスピン密度を評価した。
【0543】
本実施例で用いた試料の作製方法を説明する。
【0544】
まず、基板として、厚さが0.5mmの石英基板を準備した。次に、酸化物半導体膜と
して、厚さが50nmのIn-Ga-Zn酸化物を成膜した。次に、窒素雰囲気において
450℃で1時間の加熱処理を行った。次に、酸素雰囲気において450℃で1時間の加
熱処理を行った。次に、金属酸化物膜として、厚さが5nmの金属酸化物を成膜した。次
に、金属酸化物膜上に、厚さが10nmの酸化窒化シリコン膜を成膜した。次に、酸素(
)プラズマ処理を行った。
【0545】
酸化物半導体膜に用いたIn-Ga-Zn酸化物は、原子数比がIn:Ga:Zn=1
:1:1であるIn-Ga-Zn酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜
した。成膜ガスとしては、酸素の体積が33%となるようにアルゴンおよび酸素を混合し
たガスを用いた。成膜時の圧力は、キヤノンアネルバ製ミニチュアゲージMG-2Fによ
って0.7Paとなるように調整した。成膜電力は、DC電源を用いて0.5kWとした
。基板-ターゲット間距離は60mm、基板温度は300℃とした。
【0546】
また、金属酸化物膜として、条件1及び条件2の2種類の条件を用いた。条件1を用い
た試料を試料A、条件2を用いた試料を試料Bとする。
【0547】
条件1として、In-Ga-Zn酸化物を、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2
であるIn-Ga-Zn酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により成膜した。成
膜ガスとしては、酸素の体積が33%となるようにアルゴンおよび酸素を混合したガスを
用いた。成膜時の圧力は、キヤノンアネルバ製B-AゲージBRG-1Bによって0.4
Paとなるように調整した。成膜電力は、DC電源を用いて0.5kWとした。基板-タ
ーゲット間距離は60mm、基板温度は200℃とした。
【0548】
条件2として、ガリウム酸化物を、ガリウム酸化物ターゲットを用いてスパッタリング
法により成膜した。成膜ガスとしては、酸素の体積が33%となるようにアルゴンおよび
酸素を混合したガスを用いた。成膜時の圧力は、キヤノンアネルバ製ミニチュアゲージM
G-2Lによって0.4Paとなるように調整した。成膜電力は、RF電源を用いて0.
4kWとした。基板-ターゲット間距離は130mm、基板温度は200℃とした。
【0549】
また、酸化窒化シリコン膜は、PECVD法を用いて成膜した。成膜ガスとしては、モ
ノシランが1に対して亜酸化窒素が800となる体積比で混合したガスを用いた。成膜時
の圧力は、200Paとなるよう調整した。成膜電力は、60MHzの高周波電源を用い
て150Wとした。基板温度は350℃とした。
【0550】
また、酸素(O)プラズマ処理は、PECVD法を用いて、流量800sccmの酸
素をPECVD装置の反応室内に供給した。供給時の圧力は、200Paとなるよう調整
した。成膜電力は、60MHzの高周波電源を用いて150Wとした。基板温度は350
℃とした。プラズマ処理の時間は、試料Aについては0秒(なし)、90秒、180秒ま
たは300秒の4条件とし、試料Bについては0秒(なし)、90秒または180秒の3
条件とした。
【0551】
次に、試料Aについて、ESRによる評価を行った。なお、試料は、In-Ga-Zn
酸化物の膜面が磁場に直交する向きに設置した。酸化物半導体膜中のg値が1.93近傍
に現れるシグナルに関連する欠陥準位(VoH起因)のスピン密度を図50に示す。なお
、ESRによる評価は、日本電子株式会社製電子スピン共鳴装置JES-FA300を用
いた。
【0552】
図50より、酸化物半導体膜中のVoH起因のスピン密度は、プラズマ処理を行うこと
で低減させることができ、180秒以上プラズマ処理を行うことで酸化物半導体膜中のV
oH起因のスピン密度が検出下限(ここでは7.4×1017spins/cm)以下
となることが確認できた。
【0553】
また、試料Aのうち酸素(O)プラズマ処理を0秒(なし)、90秒または180秒
行った条件と、試料Bについて、0秒(なし)、90秒または180秒行った条件につい
て、水素濃度の評価を行った。なお、水素濃度の評価には、SIMS分析装置を用いて測
定した。試料Aの水素濃度のデプスプロファイルを図51に、試料Bの水素濃度のデプス
プロファイルを図52に示す。プラズマ処理が0秒の条件は実線で、他は破線で示す。
【0554】
図51より、試料Aにおいては酸素(O)プラズマ処理の時間が長くなるほど、第1
の酸化物半導体膜中の水素濃度が低減することが確認できた。また、図52より、試料B
においては、プラズマ処理の時間が最も長い180秒において、第1の酸化物半導体膜中
の水素濃度の低減がみられた。この結果より、絶縁膜成膜後の酸素(O)プラズマ処理
を行うことにより酸化物半導体膜中の水素濃度を低減することができることが確認できた
。また、酸化物半導体膜中の水素濃度を低減することにより、VoH起因のスピン密度を
低減できることが示唆された。
【0555】
また金属酸化物として、酸化ガリウムを用いた場合と比較して、In:Ga:Zn=1
:1:1であるIn-Ga-Zn酸化物ターゲットを用いて形成したIn-Ga-Zn酸
化物の方が、より水素を透過しやすいことが示唆された。
【0556】
また、実施例1との比較により、第1の酸化物半導体膜上に酸化窒化シリコン膜10n
m単層を形成した場合の方が、第1の酸化物半導体膜上に、第2の酸化物半導体膜5nm
及び酸化窒化シリコン膜10nmを積層して形成する場合と比較して、より水素濃度が低
減しやすいといえる。このことから、第2の酸化物半導体膜に比べて、酸化窒化シリコン
膜の方がより水素を透過しやすい可能性がある。
【符号の説明】
【0557】
200 撮像装置
201 スイッチ
202 スイッチ
203 スイッチ
210 画素部
211 画素
212 副画素
212B 副画素
212G 副画素
212R 副画素
220 光電変換素子
230 画素回路
231 配線
247 配線
248 配線
249 配線
250 配線
253 配線
254 フィルタ
254B フィルタ
254G フィルタ
254R フィルタ
255 レンズ
256 光
257 配線
260 周辺回路
270 周辺回路
280 周辺回路
290 周辺回路
291 光源
300 シリコン基板
310 層
320 層
330 層
340 層
351 トランジスタ
352 トランジスタ
353 トランジスタ
360 フォトダイオード
361 アノード
363 低抵抗領域
370 プラグ
371 配線
372 配線
373 配線
380 絶縁体
400 半導体基板
402 絶縁体
404 導電体
406 半導体
406a 半導体
406b 半導体
406c 半導体
408 絶縁体
412 絶縁体
413 導電体
414 導電体
416 導電体
416a 導電体
416b 導電体
417 導電体
418 絶縁体
420 層
421 導電体
423a 低抵抗領域
423b 低抵抗領域
424 導電体
426a 導電体
426b 導電体
427 マスク
436a 半導体
436b 半導体
442 基板
450 半導体基板
452 絶縁体領域
454 導電体
460 領域
462 絶縁体
464 絶縁体
466 絶縁体
467 配線層
468 絶縁体
469 配線層
470 絶縁体
472 導電体
472a 領域
472b 領域
474 領域
474a 導電体
474b 導電体
474c 導電体
476 領域
476a 導電体
476b 導電体
478a 導電体
478b 導電体
478c 導電体
480a 導電体
480b 導電体
480c 導電体
490 トランジスタ
491 トランジスタ
492 トランジスタ
493 絶縁体
495 絶縁体
494 絶縁体
496a 導電体
496b 導電体
496c 導電体
496d 導電体
498a 導電体
498b 導電体
498c 導電体
498d 導電体
552 絶縁体
700 基板
704a 導電体
704b 導電体
706 半導体
712a 絶縁体
712b 絶縁体
714a 導電体
714b 導電体
716a 導電体
716b 導電体
718a 絶縁体
718b 絶縁体
718c 絶縁体
719 発光素子
720 絶縁体
721 絶縁体
731 端子
732 FPC
733a 配線
734 シール材
735 駆動回路
736 駆動回路
737 画素
741 トランジスタ
742 容量素子
743 スイッチ素子
744 信号線
750 基板
751 トランジスタ
752 容量素子
753 液晶素子
754 走査線
755 信号線
781 導電体
782 発光層
783 導電体
784 隔壁
791 導電体
792 絶縁体
793 液晶層
794 絶縁体
795 スペーサ
796 導電体
797 基板
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶素子
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2100 トランジスタ
2200 トランジスタ
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子
5100 ペレット
5100a ペレット
5100b ペレット
5101 イオン
5102 酸化亜鉛層
5103 粒子
5105a ペレット
5105a1 領域
5105a2 ペレット
5105b ペレット
5105c ペレット
5105d ペレット
5105d1 領域
5105e ペレット
5120 基板
5130 ターゲット
5161 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55