IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーアールエス ネットワーク アンド イメージング システムズ、リミテッド ライアビリティー カンパニーの特許一覧

特許7560626リモートセンシング用の集積光学量子弱測定増幅センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】リモートセンシング用の集積光学量子弱測定増幅センサ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240925BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20240925BHJP
   G01S 17/58 20060101ALI20240925BHJP
   G02F 1/01 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01H9/00 C
G01S17/58
G02F1/01 B
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131730
(22)【出願日】2023-08-12
(62)【分割の表示】P 2021521002の分割
【原出願日】2019-10-22
(65)【公開番号】P2024007551
(43)【公開日】2024-01-18
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】62/748,990
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005317
【氏名又は名称】ディーアールエス ネットワーク アンド イメージング システムズ、リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,マルコ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リオン,ケビン
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0185191(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106052840(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0323074(US,A1)
【文献】中国実用新案第207317950(CN,U)
【文献】特開平10-073661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
G01H 1/00 - G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
問合せ信号が遠隔の振動するターゲットから反射されることによって生成された反射信号を受信するステップであって、前記問合せ信号は問合せ周波数で変調されており、前記反射信号は、ドップラー周波数および前記問合せ周波数を含む、ステップと、
前記反射信号を、第1の導波路に伝搬する第1の部分、および第2の導波路に伝搬する第2の部分に分割するステップと、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方の位相を遅延させるステップと、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方を空間移相するステップと、
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記第1の導波路に伝搬する第3の部分、および前記第2の導波路に伝搬する第4の部分に分割するステップと、
前記反射信号の前記第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出するステップとを含む、
方法。
【請求項2】
前記強度差に基づいて前記ドップラー周波数を計算するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および第2の導波路は、第1のモードと第2のモードを含む少なくとも2つの伝播モードをサポートする、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記第1の導波路に伝搬する第3の部分に分割するステップが、前記第1のモードの建設的な干渉および前記第2のモードの破壊的な干渉を引き起こす、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
第1のビームスプリッタが、前記反射信号を前記反射信号の前記第1および第2の部分に分割するように構成され、第2のビームスプリッタが、前記反射信号の第2および第3の部分を前記反射信号の前記第3および第4の部分に分割するように構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
問合せ信号が遠隔の振動するターゲットから反射されることによって生成された反射信号を受信するように構成されたポートであって、前記問合せ信号は問合せ周波数で変調されており、ドップラー周波数および前記問合せ周波数を含む前記反射信号を受信するポートと、
前記反射信号を伝搬するように構成された第1および第2の導波路と、
前記反射信号を、前記第1の導波路に伝搬する第1の部分、および前記第2の導波路に伝搬する第2の部分に分割し、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方の位相を遅延させ、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方を空間移相し、
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記第1の導波路に伝搬する第3の部分、および前記第2の導波路に伝搬する第4の部分に分割し、
前記反射信号の前記第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出するために、前記反射信号の前記第3の部分を出力するように構成された1つ以上の構成要素とを備える、
装置。
【請求項7】
前記第1および第2の導波路は、第1のモードと第2のモードを含む少なくとも2つの伝播モードをサポートする、
請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記反射信号の前記第3の部分に分割することが、前記第1のモードの建設的な干渉および前記第2のモードの破壊的な干渉を引き起こす、
請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記反射信号を前記反射信号の前記第1および第2の部分に分割するように構成された第1のビームスプリッタと、
前記反射信号の前記第2および第3の部分を前記反射信号の前記第3および第4の部分に分割するように構成された第2のビームスプリッタとをさらに備える、
請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方の位相を遅延させるように構成された1つ以上の遅延要素をさらに備える、
請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方を空間移相するように構成された1つ以上の空間移相器をさらに備える、
請求項に記載の装置。
【請求項12】
問合せ周波数で変調された問合せ信号を送信するように構成された送信機モジュールと、
前記問合せ信号に関連し、ドップラー周波数および前記問合せ周波数を含む反射信号を受信するように構成された受信機モジュールであって、前記受信機モジュールは、
前記反射信号を伝搬するように構成された1つ以上の導波路と、
前記反射信号を、前記1つ以上の導波路に伝搬する第1の部分および第2の部分に分割し、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方の位相を遅延させ、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方を空間移相し、
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記1つ以上の導波路に伝搬する第3の部分および第4の部分に分割し、
前記反射信号の前記第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出するように構成された1つ以上の構成要素とを備える、受信機モジュールとを備える、
装置。
【請求項13】
前記第1つ以上の導波路は、第1のモードと第2のモードを含む少なくとも2つの伝播モードをサポートする、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記反射信号の前記第1および第2の部分を、前記反射信号の前記第3の部分に分割することが、前記第1のモードの建設的な干渉および前記第2のモードの破壊的な干渉を引き起こす、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記受信機モジュールは、
前記反射信号を前記反射信号の前記第1および第2の部分に分割するように構成された第1のビームスプリッタと、
前記反射信号の前記第2および第3の部分を前記反射信号の前記第3および第4の部分に分割するように構成された第2のビームスプリッタとをさらに備える、
請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記受信機モジュールは、
前記反射信号の前記第1または第2の部分の一方または両方の位相を遅延させるように構成された1つ以上の遅延要素をさらに備える、
請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、その内容があらゆる目的のために全体として参照により組み込まれる、2018年10月22日に出願された米国仮出願第62/748,990号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]レーザー振動計は、表面の非接触振動測定を行うために使用されてきた。場合によっては、テストビームが対象の表面に送信され、反射されたレーザービームが受信および分析されて、対象の表面の動きに起因するドップラーシフトが抽出される。典型的なレーザー振動計は、周波数がテストビームと同一の基準ビームにアクセスする必要がある。対象の表面に到達する前に、テストビームはブラッグセルを通過し、ブラッグセルは周波数シフトを加える。反射ビームは、テストビーム、周波数シフト、およびドップラーシフトの周波数を含む周波数を有する。反射ビームおよび基準ビームが光検出器に送り込まれ、その後、2つのビーム間のビート周波数を調べることによってドップラーシフトが推定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]多くのアプリケーションにおける従来の振動計の有用性にもかかわらず、テストビーム(すなわち、基準ビーム)のローカルコピーへのアクセスの要件により、従来の手法はリモートセンシングには不向きになる。したがって、新しいシステム、方法、および他の技法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の第1の態様では、弱測定増幅(WMA)を使用してリモートセンシングを実行する方法が提供される。方法は、振動計の送信機モジュールの問合せレーザーにより、問合せ周波数で問合せ信号を変調することを含んでよい。方法はまた、送信機モジュールにより、遠隔の振動するターゲットに問合せ信号を送信することを含んでよい。方法は、振動計の受信機モジュールのWMA干渉計の第1のポートで、問合せ信号が遠隔の振動するターゲットから反射されることによって生成された反射信号を受信することをさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、反射信号は、問合せ周波数およびドップラー周波数を含む。方法は、WMA干渉計の第1の導波路に反射信号を伝搬することをさらに含んでよい。方法は、WMA干渉計の第1のビームスプリッタにより、反射信号を、第1の導波路に伝搬する第1の部分、およびWMA干渉計の第2の導波路に伝搬する第2の部分に分割することをさらに含んでよい。方法は、WMA干渉計の遅延要素(たとえば、ブラッグ格子)により、反射信号の第1および第2の部分のうちの1つの位相を遅延させることをさらに含んでよい。方法は、WMA干渉計の1つまたは複数の空間移相器により、反射信号の第1および第2の部分の一方または両方を空間移相することをさらに含んでよい。方法は、WMA干渉計の第2のビームスプリッタにより、反射信号の第1および第2の部分を、第1の導波路に伝搬する第3の部分、および第2の導波路に伝搬する第4の部分に分割することをさらに含んでよい。方法は、WMA干渉計の分割検出器により、反射信号の第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出することをさらに含んでよい。方法は、振動計のプロセッサにより、強度差に基づいてドップラー周波数を計算することをさらに含んでよい。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空間移相器は、反射信号内の奇数次モードの重ね合わせを励起するように構成されたモード励起器を含む。いくつかの実施形態では、方法は、送信機モジュールのアフォーカル拡張器により、問合せ信号を拡張することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のビームスプリッタは、反射信号の第1および第2の部分の間で反射信号の第1のモードを分割させる。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、反射信号の第3の部分が第1のモードを含まないように、反射信号の第1および第2の部分の第1のモードの破壊的干渉を引き起こす。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、反射信号の第3の部分が第2のモードを含むように、反射信号の第2のモードの建設的干渉を引き起こす。いくつかの実施形態では、方法は、受信機モジュールの受信機望遠鏡により、視野内の特定のターゲット位置から反射信号を収集することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、受信機望遠鏡により、第1のポートに結合されたテーパファイバ結合器上に反射信号を画像化することを含む。いくつかの実施形態では、第1のビームスプリッタは、第1の導波路および第2の導波路を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、第1の導波路および第2の導波路を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。いくつかの実施形態では、遅延要素は、反射信号の第2の部分の位相を遅延させるように、第2の導波路に沿って配置される。
【0006】
[0006]本発明の第2の態様では、WMAを使用してリモートセンシングを実行するための振動計が提供される。振動計は、遠隔の振動するターゲットに問合せ信号を送信するように構成された送信機モジュールを含んでよい。送信機モジュールは、問合せ周波数で問合せ信号を変調するように構成された問合せレーザーを含んでよい。振動計はまた、受信機モジュールを含んでよい。受信機モジュールは、WMA干渉計を含んでよい。WMA干渉計は、問合せ信号が遠隔の振動するターゲットから反射されることによって生成された反射信号を受信するように構成された第1のポートを含んでよい。いくつかの実施形態では、反射信号は、問合せ周波数およびドップラー周波数を含む。WMA干渉計はまた、第1のポートに結合され、反射信号を伝搬するように構成された第1の導波路を含んでよい。WMA干渉計は、第2の導波路をさらに含んでよい。WMA干渉計は、反射信号を、第1の導波路に伝搬する第1の部分、および第2の導波路に伝搬する第2の部分に分割するように構成された第1のビームスプリッタをさらに含んでよい。WMA干渉計は、第1の導波路および第2の導波路のうちの1つに沿って配置され、反射信号の第1および第2の部分のうちの1つの位相を遅延させるように構成された遅延要素(たとえば、ブラッグ格子)をさらに含んでよい。WMA干渉計は、反射信号の第1および第2の部分の一方または両方を空間移相するように構成された1つまたは複数の空間移相器をさらに含んでよい。WMA干渉計は、反射信号の第1および第2の部分を、第1の導波路に伝搬する第3の部分、および第2の導波路に伝搬する第4の部分に分割するように構成された第2のビームスプリッタをさらに含んでよい。WMA干渉計は、反射信号の第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出するように構成された分割検出器をさらに含んでよい。振動計は、強度差に基づいてドップラー周波数を計算するように構成されたプロセッサをさらに含んでよい。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空間移相器は、反射信号内の奇数次モードの重ね合わせを励起するように構成されたモード励起器を含む。いくつかの実施形態では、送信機モジュールは、問合せ信号を拡張するように構成されたアフォーカル拡張器を含む。いくつかの実施形態では、第1のビームスプリッタは、反射信号の第1および第2の部分の間で反射信号の第1のモードを分割させる。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、反射信号の第3の部分が第1のモードを含まないように、反射信号の第1および第2の部分の第1のモードの破壊的干渉を引き起こす。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、反射信号の第3の部分が第2のモードを含むように、反射信号の第2のモードの建設的干渉を引き起こす。いくつかの実施形態では、受信機モジュールは、視野内の特定のターゲット位置から反射信号を収集し、第1のポートに結合されたテーパファイバ結合器上に反射信号を画像化するように構成された受信機望遠鏡を含む。いくつかの実施形態では、第1のビームスプリッタは、第1の導波路および第2の導波路を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタは、第1の導波路および第2の導波路を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。いくつかの実施形態では、遅延要素は、反射信号の第2の部分の位相を遅延させるように、第2の導波路に沿って配置される。
【0008】
[0008]本発明の第3の態様では、リモートセンシングを実行するための装置(たとえば、WMA干渉計)が提供される。装置は、問合せ信号が遠隔の振動するターゲットから反射されることによって生成された反射信号を受信するように構成された第1のポートを含んでよい。いくつかの実施形態では、問合せ信号は問合せ周波数で変調される。いくつかの実施形態では、反射信号は、問合せ周波数およびドップラー周波数を含む。装置はまた、第1のポートに結合され、反射信号を伝搬するように構成された第1の導波路を含んでよい。装置は、第2の導波路をさらに含んでよい。装置は、反射信号を、第1の導波路に伝搬する第1の部分、および第2の導波路に伝搬する第2の部分に分割するように構成された第1のビームスプリッタをさらに含んでよい。装置は、第1の導波路および第2の導波路のうちの1つに沿って配置され、反射信号の第1および第2の部分のうちの1つの位相を遅延させるように構成された遅延要素(たとえば、ブラッグ格子)をさらに含んでよい。装置は、反射信号の第1および第2の部分の一方または両方を空間移相するように構成された1つまたは複数の空間移相器をさらに含んでよい。装置は、反射信号の第1および第2の部分を、第1の導波路に伝搬する第3の部分、および第2の導波路に伝搬する第4の部分に分割するように構成された第2のビームスプリッタをさらに含んでよい。装置は、反射信号の第3の部分の第1のローブと第2のローブとの間の強度差を検出するように構成された分割検出器をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、ドップラー周波数は強度差に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の空間移相器は、反射信号内の奇数次モードの重ね合わせを励起するように構成されたモード励起器を含む。
【0009】
[0009]本発明によって多数の利益が達成される。たとえば、従来のレーザードップラー振動計では、対象の表面によって引き起こされる問合せレーザー信号と反射レーザー信号との間の周波数差を検出するために、ローカル発振器または問合せレーザー信号のローカルコピーが必要とされる。さらに、本発明の実施形態は、レーザー光源のコヒーレンス長によって制限されず、それにより、デバイスの使用可能範囲が拡張される。さらに、本発明の実施形態は、従来の干渉計と比較して著しくよりコンパクトかつ安価に製造することができるチップスケール干渉計を含む。チップスケール干渉計は、振動測定アプリケーションに限定されず、多種多様の周波数測定システムで使用することができる。振動測定以外の可能なアプリケーションの例には、いくつかの実験室規模の測定準備、医用画像、電気通信ネットワーク、ナビゲーションシステム、レーダーシステムなどが含まれる。本発明の他の利益は、当業者には容易に明らかになる。
【0010】
[0010]以下の図を参照することにより、様々な実施形態の性質および利点のさらなる理解が実現され得る。添付の図では、同様の構成要素または特徴は同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、参照ラベルの後にダッシュを付け、同様の構成要素を区別する第2のラベルを付けることによって区別され得る。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、その説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルをもつ同様の構成要素のいずれにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】振動計のブロック図である。
図2】複数の弱測定増幅(WMA)干渉計を備える振動計の一例を示す図である。
図3】WMA干渉計の一例を示す図である。
図4】WMA干渉計内の反射信号のTMモードの信号強度の一例を示す図である。
図5】WMA干渉計内の反射信号のTMモードの信号強度の一例を示す図である。
図6】TMモードの導波路間の電力伝達の一例を示す図である。
図7】TMモードの導波路間の電力伝達の一例を示す図である。
図8】分割検出器による強度差Sの検出の一例を示す図である。
図9図2に示された実施形態に対応する強度差Sおよびドップラー周波数fの空間分解能および時間分解能を示す図である。
図10A】WMAを使用してリモートセンシングを実行する方法を示す図である。
図10B】WMAを使用してリモートセンシングを実行する方法を示す図である。
図11】WMA干渉計の例示的なレイアウトを示す図である。
図12】モード変換器の例示的なレイアウトを示す図である。
図13】導波路幅の関数としてのモード実効屈折率変化を示すプロットである。
図14】マルチモード干渉計の例示的なレイアウトを示す図である。
図15】TEモードとTEモードの比率の関数としてのマルチモード干渉導波路のシミュレートされた出力を示すプロットである。
図16】ヒーターを備えたWMA干渉計の例示的なレイアウトを示す図である。
図17】WMA干渉計を試験するための試験設定の一例を示す図である。
図18】入力レーザー波長の関数としての出力光パワーを示すプロットである。
図19】無線周波数(RF)スペクトルアナライザを使用して測定された変調電圧信号(左側)および出力光信号(右側)を示すプロットである。
図20】簡略化されたコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0031]自由空間光学装置を使用する弱値増幅(WVA)および逆弱値増幅(IWVA)により、ビーム偏向、周波数シフト、および移相などのアプリケーションにおける超高感度測定が可能になっている。弱値技法は、システムに弱い摂動を導入し、データに対して事後選択を実行することにより、小さい信号の増幅を可能にする。
【0013】
[0032]集積フォトニクスの分野に弱値技法を持ち込むと、そのアプリケーションが改善される。たとえば、それは測定システムのサイズをミリメートルスケールまで大幅に縮小する。また、集積フォトニックデバイスは本質的に安定しており、したがって、振動などの環境要因の影響を受けにくい。オンチップ弱値増幅デバイスでは、信頼性が高い性能で、少量で正確な測定を実行することができる。
【0014】
[0033]場合によっては、IWVAは、自由空間光学装置および不整列なサニャック干渉計を使用して実証することができる。1つの目標は、干渉計の2つの経路間の相対的な移相φを測定することであり得る。不整列により、干渉計の一方の経路に位相面傾斜kがもたらされ、他方の経路に-kがもたらされる。
【数1】

2つの経路がビームスプリッタで干渉すると、ガウス入力を考慮して、ダークポートは
【数2】

になる。
ダークポートパターンの平均位置シフト-φ/(2k)を測定することにより、移相φが特定される。
【0015】
[0034]自由空間IWVAを集積フォトニクス領域に持ち込むために、上記の式はエルミート-ガウス(HG)モードに拡張される。ビームは主にHGモードから構成され、HGモードの寄与は小さい。高次モードの寄与は無視できる。したがって、位相面傾斜は、初期HGモードを部分的にHGモードに結合すると見なすことができる。
【数3】

【数4】
【0016】
[0035]導波路の固有モードは、エルミート-ガウスモードと同様である。上述された理論は、導波路の固有モードTEおよびTEに適用することができる。TEモードがデバイスの上部導波路に送信されると仮定する。その電力は半分に分割され、フィールドは
【数5】

になる。
次いで、2つの経路間の相対位相φが加えられる。
【数6】
【0017】
[0036]自由空間の場合と同様に、TEモードの一部はTEモードに結合され、2つの経路で逆位相になる。aは、TEモードに結合されたTEモードの割合であり、それは小さい数である。
【数7】

【数8】
【0018】
[0037]2つの経路が第2の50/50スプリッタで干渉した後、ダークポートは
【数9】

になる。φは非常に小さいので、
【数10】

である。
したがって、TEモードとTEモードとの間の比率を分析することにより、位相φを特定することができる。
【0019】
[0038]本発明の実施形態は、弱測定増幅(WMA)を使用して長距離振動測定を実行するための方法およびシステムに関する。具体的には、実施形態は、遠隔の振動するターゲットの振動信号を検出するためのチップスケール集積光学WMAセンサに関する。いくつかの実施形態によれば、問合せレーザーは、遠隔の振動するターゲットに向けて送信され、戻り振動信号(マイクロドップラー)は、チップスケールWMA受信機センサで画像化されて、ターゲットの振動プロファイルを生成する。この手法により、長いコヒーレンス長のレーザーを必要とせずに超高感度振動測定が可能になり、技術的なノイズが大幅に減少する。手法により、現在の最新技術の商用遠隔振動計よりも長距離の振動測定ミッションも可能になる。チップスケールでの集積フォトニクス実装により、振動計プラットフォームのプラットフォーム振動感度が大幅に低下し、WMAセンサがターゲット効果対プラットフォーム効果を測定することが可能になる。モノリシック幾何形状の誘導波を使用するいくつかの異なる干渉計幾何形状での弱値および逆弱値ベースの検出の実装により、(従来の干渉計パッケージと比較して)超小型パッケージでのWVA効果の実装が可能になる。これにより、振動計プラットフォームに関連する影響が軽減され、WMAが実際のアプリケーションに進化する。
【0020】
[0039]いくつかの実施形態では、テーパファイバ結合器は、導波路の伝搬経路に2つのビームスプリッタを作成することによって干渉計を形成するように設計された個々のチップスケールシリコン導波路に、受信機の視野内の特定のターゲット位置からの光を結合する。遠隔の振動するターゲットから導波路に注入される信号は、初期レーザー周波数(すなわち、問合せ周波数)と、初期レーザー周波数(たとえば、THzレーザー周波数)の上に重ね合わされたドップラー信号およびマイクロドップラー信号の両方を含む。導波路は、たとえば、導波路の横方向のプロファイル全体で屈折率を空間的に変化させることにより、2つの伝搬モードを作成するために所与の屈折率差で設計される。2つのビームスプリッタは、より高い情報を含むモードの建設的な干渉、および最も低いモードの破壊的な干渉を引き起こす。
【0021】
[0040]図1は、本発明のいくつかの実施形態による、振動計100のブロック図を示す。振動計100は、遠隔の振動するターゲット108に問合せ信号106を送信するように構成された送信機モジュール110と、問合せ信号106が遠隔の振動するターゲット108から反射されることによって生成された反射信号112を受信するように構成された受信機モジュール120とを含む。送信機モジュール110は、通常、THz周波数範囲内の問合せ周波数fで問合せ信号106を変調するための問合せレーザー102を含んでよい。場合によっては、アフォーカル拡張器104は、その送信の前に問合せ信号106を拡張してビーム発散を低減するために使用することができる。受信機モジュール120は、振動計100の視野内の特定のターゲット位置から反射信号112を収集し、WMA干渉計150上に反射信号112を画像化するための受信機望遠鏡116を含んでよい。本明細書に記載されたように、WMA干渉計150は、遠隔の振動するターゲット108によって反射信号112にもたらされたドップラー周波数fの抽出を可能にする方法で反射信号112を処理する。
【0022】
[0041]いくつかの実施形態では、振動計100は、送信機モジュール110および受信機モジュール120の各々に通信可能に結合された制御/処理電子機器130を含む。たとえば、制御/処理電子機器130は、送信機モジュール110および受信機モジュール120の各々に制御信号を送信し、各々から情報信号を受信することができる。少なくとも1つの実施形態によれば、制御/処理電子機器130は、問合せレーザー102をオンにし、問合せ周波数fを設定し、遠隔の振動するターゲット108に問合せレーザー102を向けさせるために、送信機モジュール110に一組の制御信号を送信することができる。一組の制御信号は、一例として、遠隔の振動するターゲット108が視野全体に問合せレーザー102を向けることによって空間的に走査されている間に、問合せ周波数fが周波数の範囲にわたって駆動され得る、より洗練された制御アルゴリズムを実施することができる。制御/処理電子機器130は、WMA干渉計150の出力に基づいて、ドップラー画像132などのターゲット振動プロファイルを生成することができる。
【0023】
[0042]図2は、本発明のいくつかの実施形態による、複数のWMA干渉計150を備える振動計100の一例を示す。いくつかの実施形態では、受信機望遠鏡116は、反射信号112の到来角に基づいて、複数のWMA干渉計150の特定のWMA干渉計150上に反射信号112を画像化するように構成された対物レンズ114を含んでよい。いくつかの実施形態では、複数のWMA干渉計150の各々は、ドップラー画像132のピクセルに対応する。複数のWMA干渉計150の出力は、出力を処理し、かつ/または制御/処理電子機器130に供給されるデータストリームの中に出力をシリアル化するデジタル読出し集積回路118に送り込まれてよい。いくつかの実施形態では、デジタル読出し集積回路118は、制御/処理電子機器130によって要求された複数のWMA干渉計150の出力のうちの1つまたは複数を転送するマルチプレクサとして挙動する。
【0024】
[0043]図3は、本発明のいくつかの実施形態による、WMA干渉計150の一例を示す。WMA干渉計150は、反射信号112を伝搬するための第1の導波路312-1および第2の導波路312-2を含む。WMA干渉計150は、第1の導波路312-1に結合された第1のポート306-1および第2の導波路312-2に結合された第2のポート306-2などの1つまたは2つの入力ポートを含んでよい。テーパファイバ結合器302は、第1のポート306-1に結合されてよく、反射信号112を受信するように構成されてよい。図示された実施形態では、第2のポート306-2は、真空または周囲大気に結合される。
【0025】
[0044]第1の導波路312-1の部分は、第1のビームスプリッタ310-1および第2のビームスプリッタ310-2を実装するために、第2の導波路312-2の部分に(たとえば、しきい値距離内に)近接して配置されてよい。第1のビームスプリッタ310-1は、反射信号112を反射信号の第1の部分112-1および反射信号の第2の部分112-2に分割するように構成されてよく、第1の部分112-1は、第1のビームスプリッタ310-1によって分割された後に第1の導波路312-1に伝搬する反射信号112の部分に対応し、第2の部分112-2は、第1のビームスプリッタ310-1によって分割された後に第2の導波路312-2に伝搬する反射信号112の部分に対応する。第2のビームスプリッタ310-2は、反射信号の第1の部分112-1および反射信号の第2の部分112-2を、反射信号の第3の部分112-3および反射信号の第4の部分112-4に分割し、第3の部分112-3は、第2のビームスプリッタ310-2によって分割された後に第1の導波路312-1に伝搬する第1の部分112-1および第2の部分112-2の部分に対応し、第4の部分112-4は、第2のビームスプリッタ310-2によって分割された後に第2の導波路312-2に伝搬する第1の部分112-1および第2の部分112-2の部分に対応する。
【0026】
[0045]図示された実施形態では、WMA干渉計150は、ビームスプリッタ310の間の第2の導波路312-2に沿って配置されたブラッグ格子などの遅延要素330を含む。いくつかの実施形態では、遅延要素330は、ビームスプリッタ310の間の第1の導波路312-1に沿って配置される。いくつかの実施形態では、両方の導波路312に沿って配置された2つの遅延要素(たとえば、2つのブラッグ格子)が利用される。遅延要素330は、第2の部分112-2が第1の部分112-1に対して相対位相φを取得するように、反射信号の第2の部分112-2の位相を遅延させるように構成されてよい。これは、屈折率が周期的に変動するように遅延要素330を製造することによって達成することができる。
【0027】
[0046]いくつかの実施形態では、WMA干渉計150は、モードTMおよびTMが反対の傾斜位相面を取得し、2つのモード間の相対移相が発生するように、反射信号の第1の部分112-1を空間移相するように構成された、第1の導波路312-1に沿って配置された第1の空間移相器318-1と、反射信号の第2の部分112-2を空間移相するように構成された、第2の導波路312-2に沿って配置された第2の空間移相器318-2とを含む。いくつかの実施形態では、追加の空間移相は、次のモードを引き出すことと同等である
【数11】

の形式で作成される。いくつかの実施形態では、単一の空間移相器のみが使用される。空間移相器318の一方または両方は、(伝搬方向に対して)遅延要素330の前および/またはビームスプリッタ310-1の前などの、図示された実施形態に示されたものとは異なるWMA干渉計150内の位置に配置されてよい。いくつかの実施形態では、空間移相器318の一方または両方は、反射信号112内の奇数次モードの重ね合わせを励起するように構成された、導波路312の一方または両方内に製造されたプリズムなどのモード励起器を含んでよい。モード励起器は、電界振幅の一部を第1の励起モードに転移させる、導波路の横方向プロファイル全体の屈折率の勾配を含んでよい。いくつかの実施形態では、空間移相器318は、導波路312に沿った特定の拡大点で導波路312を拡大することによって実装され、その結果、拡大点の前に単一モードのみがサポートされ、拡大点の後に第2のモードがサポートされる。
【0028】
[0047]いくつかの実施形態では、WMA干渉計150は、第1の導波路312-1に結合された分割検出器322を含む。分割検出器322は、反射信号の第3の部分112-3を受信し、第3の部分112-3の第1のローブと第2のローブとの間の強度差Sを検出するように構成される。WMA干渉計150内の伝搬中に反対の傾斜位相面を取得するTMおよびTMモードに起因して、第2のビームスプリッタ310-2は、第3の部分112-3内のTMモードの破壊的な干渉を引き起こし、TMモードの相対的な寄与を増強する。したがって、第3の部分112-3内の検出可能な電力のかなりの部分は、情報を含むTMモードに存在する。
【0029】
[0048]図4は、本発明のいくつかの実施形態による、WMA干渉計150内の反射信号112のTMモードの信号強度の一例を示す。第1のビームスプリッタ310-1に到達する前に、TMモードの電力は第1の導波路312-1に集中する。反射信号112が第1のビームスプリッタ310-1を通って伝搬するとき、TMモードの電力は、導波路312間で50/50に分割される。反射信号112が第2のビームスプリッタ310-2を通って伝搬するとき、TMモードの電力は、第2の導波路312-2にシフトする。
【0030】
[0049]図5は、本発明のいくつかの実施形態による、WMA干渉計150内の反射信号112のTMモードの信号強度の一例を示す。第1のビームスプリッタ310-1に到達する前に、TMモードの電力は第1の導波路312-1に集中する。反射信号112が第1のビームスプリッタ310-1を通って伝搬するとき、TMモードの電力は、第1の導波路312-1に残る。反射信号112が第2のビームスプリッタ310-2を通って伝搬するとき、TMモードの電力は、第1の導波路312-1に残る。
【0031】
[0050]図6は、本発明のいくつかの実施形態による、ビームがZ軸に沿って伝搬するときのTMモードの導波路間の電力伝達の一例を示す。ページから得られるY軸は、右側に示された信号強度レベルに対応する。図示された実施形態では、上部および下部の導波路は、クラッド内のエバネッセント波による結合により、TMモードの電力が導波路間で50/50に分割されるように、特定の伝搬距離にわたって十分近くに配置される。
【0032】
[0051]図7は、本発明のいくつかの実施形態による、ビームがZ軸に沿って伝搬するときのTMモードの導波路間の電力伝達の一例を示す。ページから得られるY軸は、右側に示された信号強度レベルに対応する。図示された実施形態では、上部および下部の導波路は、クラッド内のエバネッセント波による結合により、TMモードの電力が上部の導波路に残るように、特定の伝搬距離にわたって十分近くに配置される。
【0033】
[0052]図8は、本発明のいくつかの実施形態による、分割検出器322による強度差Sの検出の一例を示す。いくつかの実施形態では、強度差SはS=I-Iとして計算される場合があり、ここで、Iは導波路の右半分の強度であり、Iは導波路の左半分の強度である。いくつかの実施形態では、強度差Sは、S=(I-I)/(I+I)として計算される場合がある。分割検出器322は、それぞれ強度IおよびIを検出するための左側領域326および右側領域328を含んでよい。図示された実施形態では、時間Tで検出されたS=0の強度差がプロファイル802に示され、時間Tで検出されたS>0の強度差がプロファイル804に示される。
【0034】
[0053]いくつかの実施形態では、強度差Sは、以下のようにドップラー周波数fを計算するために使用されてよい。システムが(平衡信号が0である)基準周波数ωに合わせて較正される場合、遠隔の振動するターゲット108からの周波数のわずかな変化は、以下の依存関係の連鎖を有する。干渉計のアーム(すなわち、第1および第2の導波路312)間の相対的な移相は、組合せn(ω)ωΔL/cによって制御され、ここで、nは周波数依存の屈折率であり、ΔLは経路長の差であり、cは光速である。したがって、周波数の変化δωは、δφ=δω(∂ω/∂φ)-1≒τgδωの相対位相の変化をもたらし、ここで、τgは「群遅延」であり、光のパルスの時間遅延の量は、屈折率の周波数導関数に比例する分散性媒質の通過を被る。分割検出器によって読み出された正規化信号S=(I-I)/(I+I)は、S=cφ/(κd)によって相対位相φに関係し、ここで、κは位相面の傾斜であり、dは導波路の幅(モードの空間的広がり)であり、cはモード関数に関係する定数である。したがって、小さい移相の場合、位相と検出された信号との間に線形関係が存在する。上記の観察結果を組み合わせると、周波数内のシフトδωは、シフトされた信号の読取り値δSに以下のように関係する:δS=((cτg)/κd)δω。その結果、群遅延が大きいほど、同じ量のドップラーシフトに対してより多くの信号が得られる。同様に、1/κは弱値増幅効果である。
【0035】
[0054]図9は、図2に示された実施形態に対応する強度差Sおよびドップラー周波数fの空間分解能および時間分解能を示す。強度差Sの各々は、2つのインデックス:強度差を検出した特定の(1から16の番号が付けられた)WMA干渉計、および強度差が検出された(1、2、…、Nの番号が付けられた)時間によって特徴付けられる。図示されたように、時間および空間の値にわたって検出された強度差Sは、同じ時間および空間の値にわたるドップラー周波数fに変換される。
【0036】
[0055]もう一度図9を参照すると、強度差Sの空間マップ910は、第1の時間(T)にドップラー周波数fの空間マップ912に変換されている。強度差の空間マップ(空間マップ920および930)が、それぞれ、第2の時間(T)および第Nの時間に対して示されている。さらに、ドップラー周波数fの空間マップ(空間マップ922および932)が、それぞれ、第2の時間(T)および第Nの時間に対して示されている。したがって、本発明の実施形態により、遠隔の振動するターゲット108に関連付けられた振動測定データの空間マップが測定され、その後、特定の用途に適切に利用されることが可能になる。
【0037】
[0056]図10A図10Bは、本発明のいくつかの実施形態による、WMAを使用してリモートセンシングを実行する方法1000を示す。方法1000の1つまたは複数のステップは、図示された実施形態とは異なる順序で実行されてよく、方法1000の1つまたは複数のステップは、方法1000の実行中に省略されてよい。
【0038】
[0057]ステップ1002において、問合せレーザー102が問合せ周波数fで問合せ信号106を変調する。いくつかの実施形態では、問合せ周波数fは、遅延要素330のバンドギャップの近くになるように選択される。様々な実施形態では、問合せ周波数fは、数ある可能性の中でも、400THz、450THz、500THz、550THz、600THz、650THz、700THzのうちのいずれか1つであってよい。
【0039】
[0058]ステップ1004において、アフォーカル拡張器104が問合せ信号102を拡張する。いくつかの実施形態では、アフォーカル拡張器104は、遠隔の振動するターゲット108上のエネルギーを最大化するために、問合せ信号102を拡張してビーム発散を低減する。いくつかの実施形態では、アフォーカル拡張器104は対物レンズ114を含む。
【0040】
[0059]ステップ1006において、送信機モジュール110が遠隔の振動するターゲット108に問合せ信号106を送信する。いくつかの実施形態では、ステップ1006は、遠隔の振動するターゲット108に向けて、アフォーカル拡張器104を介して問合せ信号106を送信する問合せレーザー102を含んでよい。問合せ信号106が遠隔の振動するターゲット108によって反射されると、ターゲット自身のプラットフォームドップラーシフトが遠隔の振動するターゲット108によってもたらされ、ターゲットマイクロドップラーシフトは、遠隔の振動するターゲット108上の局所的な表面振動によって誘発される。
【0041】
[0060]ステップ1008において、受信機望遠鏡116が振動計100の視野内の特定のターゲット位置から反射信号112を収集し、テーパファイバ結合器302上に反射信号112を画像化する。いくつかの実施形態では、受信機望遠鏡116は、反射信号112の到来角に基づいて、複数のテーパファイバ結合器のうちの特定のテーパファイバ結合器302上に反射信号112を画像化することができる。
【0042】
[0061]ステップ1010において、第1のポート306-1が反射信号112を受信する。いくつかの実施形態では、ステップ1010は、テーパファイバ結合器302から反射信号112を受信する第1のポート306-1を含む。ステップ1010と同時に、またはステップ1010に続いて、第1の導波路312-1は、第1のポート306-1を介して反射信号112を受信することができ、反射信号112は第1の導波路312-1に伝搬することができる。
【0043】
[0062]ステップ1012において、第1のビームスプリッタ310-1が、反射信号112を反射信号の第1の部分112-1および反射信号の第2の部分112-2に分割し、第1の部分112-1は、第1のビームスプリッタ310-1によって分割された後に第1の導波路312-1に伝搬する反射信号112の部分に対応し、第2の部分112-2は、第1のビームスプリッタ310-1によって分割された後に第2の導波路312-2に伝搬する反射信号112の部分に対応する。いくつかの実施形態では、第1のビームスプリッタ310-1は、反射信号112がエバネッセント波結合を介して第1および第2の導波路312に結合されるように、第1および第2の導波路312を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。第1および第2の導波路312を十分に近づけることにより、クラッド内のエバネッセント波による結合は、伝搬距離の関数として各導波路間で電力をシフトさせる。そのような効果は、自由空間の50/50ビームスプリッタ用の信頼性が高いアナログを作成するために利用することができる。
【0044】
[0063]ステップ1014において、遅延要素330が、第2の部分112-2が第1の部分112-1に対して相対位相φを取得するように、反射信号の第2の部分112-2の位相を遅延させる。いくつかの実施形態では、遅延要素330はブラッグ格子を含む。いくつかの実施形態では、遅延要素330は、屈折率が周期的に変動するように製造されてよい。遅延要素330内の進行波は、形式β=β±(δ-κ1/2の解を有し、高分散と高伝搬との間の競合を意味する、V=∂β/βωとして群速度が0になるフォトニックバンドギャップをもたらす。いくつかの実施形態では、2つの空間波長を提供する結合κおよびκを有する2つのバンドギャップをもつダブルブラッグ格子が使用されてよい。2つのバンドギャップを含むそのような実施形態は、高伝搬、高分散、および低群速度の周波数ウィンドウを作成する。
【0045】
[0064]遅延要素330は、第2の導波路312-2に沿って配置されると本明細書に記載されているが、いくつかの実施形態では、遅延要素330は、反射信号112-2の第1の部分の位相を遅延させるように第1の導波路312-1に沿って配置されてよい。いくつかの実施形態では、第1の遅延要素は、第1の部分112-1の位相を遅延させるように第1の導波路312-1に沿って配置されてよく、第2の遅延要素は、第2の部分112-2の位相を遅延させるように第2の導波路312-2に沿って配置されてよい。いくつかの実施形態では、遅延要素330は、自由空間の実施形態において実装され得るルビジウムセルのように機能し、2つのアーム間に相対位相φを発生させる。
【0046】
[0065]ステップ1016において、モードTMおよびTMが反対の傾斜位相面を取得し、2つのモード間の相対移相が発生するように、第1の導波路312-1に沿って配置された第1の空間移相器318-1が、反射信号の第1の部分112-1を空間移相し、第2の導波路312-2に沿って配置された第2の空間移相器318-2が、反射信号の第2の部分112-2を空間移相する。いくつかの実施形態では、単一の空間移相器のみが使用される。いくつかの実施形態では、第1の空間移相器318-1および第2の空間移相器318-2の一方または両方は、それぞれ、第1の部分112-1および第2の部分112-2内の奇数次モードの重ね合わせを励起するように構成される。これは、第1の導波路312-1および第2の導波路312-2の一方または両方の中にプリズムを製造することによって達成されてよい。たとえば、プリズムは、電界振幅の一部を第1の励起モードに転移させる、第1の導波路312-1および/または第2の導波路312-2の横方向プロファイル全体の屈折率の勾配を含んでよい。いくつかの実施形態では、プリズムは、最初のゼロ次モード入力から奇数次モードの重ね合わせを励起することができる。それにより、プリズムは、2つの伝搬モードに従って反射信号112を伝搬させることができる。
【0047】
[0066]ステップ1018において、第2のビームスプリッタ310-2が、反射信号の第1の部分112-1および反射信号の第2の部分112-2を、反射信号の第3の部分112-3および反射信号の第4の部分112-4に分割し、第3の部分112-3は、第2のビームスプリッタ310-2によって分割された後に第1の導波路312-1に伝搬する第1の部分112-1および第2の部分112-2の部分に対応し、第4の部分112-4は、第2のビームスプリッタ310-2によって分割された後に第2の導波路312-2に伝搬する第1の部分112-1および第2の部分112-2の部分に対応する。いくつかの実施形態では、第2のビームスプリッタ310-2は、第1の部分112-1および第2の部分112-2がエバネッセント波結合を介して第1および第2の導波路312に結合されるように、第1および第2の導波路312を互いにしきい値距離内に配置することによって形成される。ステップ1018における反対の傾斜位相面を取得するTMおよびTMモードに起因して、第2のビームスプリッタ310-2は、第3の部分112-3内のTMモードの破壊的な干渉を引き起こし、TMモードの相対的な寄与を増強する。
【0048】
[0067]ステップ1020において、分割検出器322が、反射信号の第3の部分112-3を受信し、第3の部分112-3の第1のローブと第2のローブとの間の強度差Sを検出する。WMA干渉計150が逆弱値領域内で動作するように調整されると、分割検出器322上に二重ローブパターンが生成される。いくつかの実施形態では、分割検出器322は、右側および左側を有する2要素検出器または2つの別個の検出器を含む。いくつかの実施形態では、分割検出器322は、2つの相対的な最大強度値を識別し、それらの間の差を特定する。いくつかの実施形態では、分割検出器322は、2つの所定の空間位置(たとえば、x=±1・10-6m)において2つの強度値を特定する。いくつかの実施形態では、第3の部分112-3のプロファイルを空間的に分割して、強度差Sを測定し検出するために、Y分岐が使用されてよい。
【0049】
[0068]ステップ1022において、振動計100のプロセッサが、強度差Sに基づいてドップラー周波数fを計算する。WMA干渉計150が適切に調整されると、周波数の変化(ドップラー変化)に起因して強度差Sがシフトする。そのため、周波数の変化率に対する強度差Sの変化率を計算することができる。ステップ1022は、数ある可能性の中でも、受信機モジュール120または制御/処理電子機器130内のプロセッサによって実行されてよい。
【0050】
[0069]図11は、本発明のいくつかの実施形態による、WMA干渉計1100の例示的なレイアウトを示す。WMA干渉計1100は、第1および第2の方向性結合器(DC1およびDC2)、マルチモード干渉計(MMI)、ならびに出力(O1、O2、O3、およびO4)を含む。いくつかの実施形態では、デバイスの設計のために、窒化ケイ素をガイド材料として使用することができ、二酸化ケイ素をクラッド材料として使用することができ、試験波長は1550nmであり得る。これらの材料および波長は、既存の製造および試験技法との良好な互換性を有する。閉じ込めと結合のしやすさのバランスを取るために、窒化ケイ素の厚さとして300nmが選択される。
【0051】
[0070]自由空間のマッハザンダー干渉計は、2つのビームスプリッタによって実現することができる。フォトニックチップ上で、ビームスプリッタのアナログは方向性結合器である。2つの導波路が近く、それらのモードの位相が一致するとき、一方の導波路の光が他方の導波路に結合する。結合比は、2つの導波路間の間隔および結合領域の長さに依存する。この構造は方向性結合器と呼ばれる。
【0052】
[0071]図12は、本発明のいくつかの実施形態による、モード変換器1200の例示的なレイアウトを示す。モード変換器1200は、基本モード(TE)の一部を二次モード(TE)に結合することによって位相面傾斜を導入するために使用することができる。下部導波路であり得る入力導波路Wは、TEモードのみをサポートするシングルモード導波路であり得る。第1の方向性結合器において、入力TEモードのごく一部が、上部導波路であり得る同一の導波路WのTEモードに結合される。次いで、Wはテーパ領域に入り、そこで、TEモードとTEモードの両方をサポートするマルチモード導波路になるまで、Wの幅が徐々に増加する。幅の変化が遅いので、TEモードの光は、高次モードに結合し放散するのではなく、TEモードに閉じ込められたままになる傾向がある。
【0053】
[0072]WによってサポートされるTEモードは、WのTEと位相が一致するように設計することができる。したがって、第2の方向性結合器において、WのTEがWのTEに結合する。WのTEはWのどのモードとも位相が一致しないので、Wに留まる。結果として、WはほとんどTEモードを含み、この構造の最後に少量のTEモードが含まれる。2つのモード間の比率は、第1の方向性結合器の結合比に依存する。また、2つのモード間の位相差は、2つの結合器間のWとWの光路差に依存する。
【0054】
[0073]図13は、本発明のいくつかの実施形態による、導波路幅の関数としてのモード実効屈折率変化を示すプロットを示す。図13は、導波路の幅が、Wの場合は1.2μm、Wの場合は2.75μmの幅に対応する実効屈折率が1.6であるTEモードおよびTEモードに一致するように設計できることを実証する。
【0055】
[0074]図14は、本発明のいくつかの実施形態による、マルチモード干渉計1400の例示的なレイアウトを示す。いくつかの実施形態では、平均位置シフトは、ダークポートにおけるTEモードとTEモードの比率を測定することによって測定することができる。したがって、TEモードとTEモードに対して異なる反応を示すマルチモード干渉導波路を使用することができる。マルチモード干渉導波路は、後に2つのシングルモード導波路が続く、多くのモードをサポートする導波路のセグメントである。マルチモード干渉領域では、光は伝搬速度が異なるいくつかのモードに結合される。したがって、それらの干渉パターンは伝搬するにつれて変化し、こうして、2つのシングルモード導波路の出力電力が変化する。
【0056】
[0075]図15は、TEモードとTEモードの比率の関数としてのマルチモード干渉導波路のシミュレートされた出力を示すプロットを示す。図示されたように、固有モードマルチモード干渉拡張法(FIMMPROP、Photon Design)を使用するマルチモード干渉導波路のシミュレーションは、TEモードまたはTEモードの出力比が50/50であるが、2つのモードを追加すると異なる結果が与えられることを示す。TEモードの割合が増加すると、出力の1つが減少する。これにより、TEモードとTEモードの比率が出力光信号で特定されることが可能になる。
【0057】
[0076]図16は、本発明のいくつかの実施形態による、ヒーターを備えたWMA干渉計1600の例示的なレイアウトを示す。デバイスを試験するために、位相φの発生源が必要とされる場合がある。導波路に位相調整可能性を追加する一般的な方法は、マイクロヒーターを使用することである。導波路被覆の上に金属線を堆積させ、それらに電圧を印加することにより、それらは熱を発生させ、その下の導波路の温度を上昇させることができる。温度変化は導波路材料の屈折率変化を誘導し、非加熱導波路と比較して位相差をもたらす。測定のための意図的な位相差を導入するために、第1の方向性結合器の後に第1のヒーター(H1)が配置されてよい。
【0058】
[0077]ヒーターは、製造誤差に起因してデバイス全体にわたって望ましくない位相が蓄積する場合にも役立つ。理論的には、位相φ=0のとき、TEモードおよびTEモードは、それらが干渉する前に同相である必要がある。位相蓄積の他の発生源は、測定の感度を低下させる。これらの望ましくない位相の発生源を補償するために、デバイスの各経路に2つの他のヒーターを配置して、ターゲット位相φを適用する前に2つのモードを位相調整することができる。ヒーター2(H2)は、TEモードに対するTEモードの相対的な位相を制御することができる。ヒーター3(H3)は、それらの異なる伝搬速度に起因するTEとTEとの間の位相差を補償することができる。
【0059】
[0078]いくつかの実装形態では、WMA干渉計1600は、4μmの熱的に成長した二酸化ケイ素を備えた4インチのシリコンウェーハから製造することができる。289nmの窒化ケイ素の層は、低圧化学気相堆積(LPCVD)で堆積させることができる。次いで、導波路は電子ビームリソグラフィでパターン化することができ、窒化ケイ素は、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP-RIE)でエッチングすることができる。導波路は、高度プラズマ化学気相堆積(PECVD)を介して堆積した2.6μmの二酸化ケイ素で覆うことができる。
【0060】
[0079]導波路の上にヒーターを配置するために、以下のような「リフトオフ」法を使用することができる。最初に、二酸化ケイ素の上にフォトレジストの層を回転させ、ヒーターの形状をDUVフォトリソグラフィ(ASML 300C DUVステッパ-248nm)でパターン化することができる。次いで、二酸化ケイ素に接着するために10nmのクロムを堆積させ、ヒーターとして100nmの白金を堆積させる。次に、ウェーハをアセトンに浸し、アセトンはフォトレジストを溶解し、こうして余分な金属が取り除かれる。クラッドの表面に残った金属は、導波路上にヒーターを形成する。
【0061】
[0080]図17は、WMA干渉計1700を試験するための試験設定の一例を示す。いくつかの実装形態では、デバイスを試験するための光源は、1550nmの波長を中心とする波長可変レーザー(Santec TSL-710)である。レーザー出力の電力は1mWである。光は、テーパシングルモードファイバ1702で導波路に結合することができ、出力は、40倍の対物レンズ1704でInGaAs検出器1706上に画像化することができる。対物レンズ1704は、各出力画像位置に1つの検出器を配置することにより、MMIの2つの出力を同時に測定することを可能にする。入力ファイバにファイバ偏波パドルを使用することができ、浮遊TMモードの影響を排除するために、検出器の前に偏光板を配置することができる。
【0062】
[0081]ヒーターに電圧を印加するために、電気ケーブルに取り付けられた金属プローブを使用することができる。プローブはチップ上のヒーターと接触させることができ、電気ケーブルは電圧源1708に接続することができる。ヒーターに電圧を印加することなく、レーザーの波長をスキャンすることができ、デバイスの出力スペクトルを記録することができる。分かりやすくするために、1つのヒーターの接続のみが図示されている。
【0063】
[0082]図18は、入力レーザー波長の関数としての出力光パワーを示すプロットを示す。スペクトルの一般的な傾向は、マッハツェンダー干渉計から予想される正弦波の挙動を示す。しかしながら、出力電力の比率は予想通りではない。これは、望ましくない位相の蓄積に起因する可能性が高く、ヒーター2および3を調整することによって補償することができる。わずかな変動は、スキャン中の入力ファイバの振動に起因する。これは、ファイバをチップに融合することなどの、集積フォトニクス実装技法によって大幅に改善することができる。
【0064】
[0083]ファイバの変動のために、定位相信号が印加されたときの光信号の変化の原因を特定することは困難である。したがって、変調された位相信号を送信することができる。ヒーター1が正弦波電圧信号で調整されると、対応する周波数を有する光信号を出力で観測することができる。
【0065】
[0084]図19は、無線周波数(RF)スペクトルアナライザを使用して測定された変調電圧信号(左側)および出力光信号(右側)を示すプロットを示す。信号発生器からの変調周波数成分は、9.99kHz、10kHz、および10.01kHzである。屈折率の応答は、印加電圧(つまり、ヒーターによって放散される電力)の2乗に比例するので、周波数成分間の差は、測定された出力光で2倍になる。したがって、9.98kHzおよび10.02kHzの信号周波数を出力で観測することができる。これは、出力光を検出することにより、干渉計アーム間の位相差の変化を測定するデバイスの能力を実証する。
【0066】
[0085]図20は、本明細書に記載されたいくつかの実施形態による、簡略化されたコンピュータシステム2000を示す。図20に示されたコンピュータシステム2000は、本明細書に記載された送信機モジュール110、受信機モジュール120、または制御/処理電子機器130などのデバイスに組み込まれてよい。図20は、様々な実施形態によって提供された方法のステップのいくつかまたはすべてを実行することができるコンピュータシステム2000の一例の概略図を提供する。図20は、様々な構成要素の一般化された図を提供することのみを意図しており、それらのいずれかまたはすべてが必要に応じて利用され得ることに留意されたい。したがって、図20は、個々のシステム要素が、比較的分離するか、または比較的より統合された方式でどのように実装され得るかを大まかに示す。
【0067】
[0086]コンピュータシステム2000は、バス2005を介して電気的に結合することができるか、またはさもなければ、必要に応じて通信することができるハードウェア要素を備えて示されている。ハードウェア要素は、1つもしくは複数の汎用プロセッサおよび/またはデジタル信号処理チップ、グラフィックス加速プロセッサなどの1つもしくは複数の専用プロセッサを限定なしに含む1つまたは複数のプロセッサ2010と、マウス、キーボード、カメラなどを限定なしに含むことができる1つまたは複数の入力デバイス2015と、ディスプレイデバイス、プリンタなどを限定なしに含むことができる1つまたは複数の出力デバイス2020とを含んでよい。
【0068】
[0087]コンピュータシステム2000は、ローカルおよび/またはネットワークアクセス可能なストレージを限定なしに含むことができ、かつ/またはディスクドライブ、ドライブアレイ、光ストレージデバイス、プログラム可能、フラッシュ更新可能などであり得るランダムアクセスメモリ(「RAM」)および/もしくは読取り専用メモリ(「ROM」)などのソリッドステートストレージデバイスを限定なしに含むことができる、1つまたは複数の非一時的ストレージデバイス2025をさらに含み、かつ/またはそれらと通信することができる。そのようなストレージデバイスは、様々なファイルシステム、データベース構造などを限定なしに含む任意の適切なデータストアを実装するように構成されてよい。
【0069】
[0088]コンピュータシステム2000はまた、通信サブシステム2019を含んでよく、それは、モデム、ネットワークカード(ワイヤレスもしくは有線)、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイス、および/またはBluetooth(登録商標)デバイス、802.11デバイス、WiFiデバイス、WiMaxデバイス、セルラー通信設備などのチップセットを限定なしに含むことができる。通信サブシステム2019は、一例を挙げれば、以下に記載されるネットワークなどのネットワーク、他のコンピュータシステム、テレビ、および/または本明細書に記載された他のデバイスとデータが交換されることを可能にするために、1つまたは複数の入力および/または出力の通信インターフェースを含んでよい。所望の機能および/または他の実装上の懸念に応じて、ポータブル電子デバイスまたは同様のデバイスは、通信サブシステム2019を介して画像および/または他の情報を通信することができる。他の実施形態では、ポータブル電子デバイス、たとえば、第1の電子デバイスは、コンピュータシステム2000、たとえば、入力デバイス2015としての電子デバイスに組み込まれてよい。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム2000は、上述されたように、RAMまたはROMデバイスを含むことができる作業メモリ2035をさらに備える。
【0070】
[0089]コンピュータシステム2000はまた、オペレーティングシステム2040、デバイスドライバ、実行可能ライブラリ、および/または、1つもしくは複数のアプリケーションプログラム2045などの他のコードを含む、作業メモリ2035内に現在配置されているものとして示されたソフトウェア要素を含むことができ、それらは、本明細書に記載されたように、様々な実施形態によって提供されたコンピュータプログラムを備えることができ、かつ/または他の実施形態によって提供される方法を実施し、かつ/もしくはシステムを構成するように設計することができる。単なる例として、上述された方法に関して記載された1つまたは複数の手順は、コンピュータおよび/またはコンピュータ内のプロセッサによって実行可能なコードおよび/または命令として実装されてよく、次いで、一態様では、そのようなコードおよび/または命令は、記載された方法に従って1つまたは複数の動作を実行するように汎用コンピュータまたは他のデバイスを構成および/または適合させるために使用することができる。
【0071】
[0090]これらの命令および/またはコードのセットは、上述されたストレージデバイス2025などの非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよい。場合によっては、記憶媒体は、コンピュータシステム2000などのコンピュータシステム内に組み込まれてよい。他の実施形態では、記憶媒体は、コンピュータシステムから分離される、たとえば、コンパクトディスクなどのリムーバブル媒体であり、かつ/または、そこに記憶された命令/コードで汎用コンピュータをプログラム、構成、および/または適合させるために記憶媒体を使用することができるように、インストールパッケージで提供されてよい。これらの命令は、コンピュータシステム2000によって実行可能な実行可能コードの形を取ってよく、かつ/または、たとえば、様々な一般的に利用可能なコンパイラ、インストールプログラム、圧縮/解凍ユーティリティなどを使用する、コンパイルおよび/もしくはコンピュータシステム2000へのインストール時にソースおよび/もしくはインストール可能コードの形を取ってよく、次いで、実行可能コードの形を取る。
【0072】
[0091]特定の要件に従って実質的な変更が行われてよいことは当業者には明らかである。たとえば、カスタマイズされたハードウェアも使用されてよく、かつ/または特定の要素が、ハードウェア、アプレットなどのポータブルソフトウェアを含むソフトウェア、もしくは両方に実装されてよい。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスなどの他のコンピューティングデバイスへの接続が使用されてよい。
【0073】
[0092]上述されたように、一態様では、いくつかの実施形態は、コンピュータシステム2000などのコンピュータシステムを使用して、技術の様々な実施形態による方法を実行することができる。一組の実施形態によれば、そのような方法の手順のいくつかまたはすべては、作業メモリ2035に含まれるオペレーティングシステム2040および/またはアプリケーションプログラム2045などの他のコードに組み込まれ得る、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ2010に応答して、コンピュータシステム2000によって実行される。そのような命令は、1つまたは複数のストレージデバイス2025などの別のコンピュータ可読媒体から作業メモリ2035に読み込まれてよい。単なる例として、作業メモリ2035に含まれる命令のシーケンスの実行は、本明細書に記載された方法の1つまたは複数の手順をプロセッサ2010に実行させてよい。追加または代替として、本明細書に記載された方法の一部は、特殊なハードウェアを介して実行されてよい。
【0074】
[0093]本明細書で使用される「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、特定の方式で機械を動作させるデータの提供に関与する任意の媒体を指す。コンピュータシステム2000を使用して実装される実施形態では、様々なコンピュータ可読媒体は、実行のためにプロセッサ2010に命令/コードを提供することに関与してよく、かつ/またはそのような命令/コードを記憶および/もしくは搬送するために使用されてよい。多くの実装形態では、コンピュータ可読媒体は、物理的および/または有形の記憶媒体である。そのような媒体は、不揮発性媒体または揮発性媒体の形を取ることができる。不揮発性媒体には、たとえば、ストレージデバイス2025などの光ディスクおよび/または磁気ディスクが含まれる。揮発性媒体は、作業メモリ2035などの動的メモリを限定なしに含む。
【0075】
[0094]物理的および/または有形のコンピュータ可読媒体の一般的な形態には、たとえば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、もしくは任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンをもつ任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、またはコンピュータが命令および/もしくはコードを読み取ることができる任意の他の媒体が含まれる。
【0076】
[0095]様々な形態のコンピュータ可読媒体は、実行のためにプロセッサ2010に1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを搬送することに関与してよい。単なる例として、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスクおよび/または光ディスクに搬送されてよい。リモートコンピュータは、命令をその動的メモリにロードし、コンピュータシステム2000によって受信および/または実行される伝送媒体を介して信号として命令を送信してよい。
【0077】
[0096]通信サブシステム2019および/またはその構成要素は、一般に、信号を受信し、次いで、バス2005は、信号および/または信号によって搬送されるデータ、命令などを作業メモリ2035に搬送してよく、そこからプロセッサ2010は、命令を取得し実行する。作業メモリ2035によって受信された命令は、場合によっては、プロセッサ2010による実行の前または後のいずれかに、非一時的ストレージデバイス2025に記憶されてよい。
【0078】
[0097]上記で説明された方法、システム、およびデバイスは例である。様々な構成は、必要に応じて、様々な手順または構成要素を省略、置換、または追加することができる。たとえば、代替の構成では、方法は、記載された順序とは異なる順序で実行されてよく、かつ/または様々な段階が追加、省略、および/もしくは組み合わされてよい。また、いくつかの構成に関して記載された特徴は、様々な他の構成で組み合わされてよい。構成の異なる態様および要素は、同様の方式で組み合わされてよい。また、技術は進化しているので、要素の多くは例であり、開示の範囲または特許請求の範囲を制限するものではない。
【0079】
[0098]実装形態を含む例示的な構成の完全な理解を実現するために、説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細なしに実践されてよい。たとえば、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、構成を不明瞭にすることを回避するために、不必要な詳細なしに示されている。この説明は、例示的な構成のみを提供し、特許請求の範囲の範囲、適用可能性、または構成を制限するものではない。むしろ、前述の構成の説明は、記載された技法を実装するための有効な説明を当業者に提供する。本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置において様々な変更が行われてよい。
【0080】
[0099]また、構成は、概略フローチャートまたはブロック図として描写されるプロセスとして記載されてよい。各々が逐次プロセスとして動作を記載する場合があるが、動作の多くは並行して実行することも、同時に実行することもできる。加えて、動作の順序は並べ替えられてよい。プロセスは、図に含まれない追加のステップを有してよい。さらに、方法の例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組合せによって実装されてよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードに実装されるとき、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてよい。プロセッサは、記載されたタスクを実行することができる。
【0081】
[0100]いくつかの例示的な構成を記載しているが、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、および均等物が使用されてよい。たとえば、上記の要素は、より大きいシステムの構成要素であってよく、他のルールは、技術のアプリケーションに優先するか、またはさもなければ、それを修正することができる。また、上記の要素が考慮される前、間、または後に、いくつかのステップが着手されてよい。したがって、上記の説明は特許請求の範囲を拘束するものではない。
【0082】
[0101]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。したがって、たとえば、「ユーザ」への言及は複数のそのようなユーザを含み、「プロセッサ」への言及は、1つまたは複数のプロセッサおよび当業者に知られているその均等物への言及を含む、などである。
【0083】
[0102]また、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(contains)」、「含む(containing)」、「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という単語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用されるとき、記載された特徴、整数、構成要素、またはステップの存在を指定するものであるが、それらは、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、ステップ、動作、またはグループの存在または追加を排除しない。
【0084】
[0103]また、本明細書に記載された例および実施形態は説明目的のためにすぎず、様々な修正または変更がその観点から当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20