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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】熱感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G08B17/06 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023501936
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007244
(87)【国際公開番号】W WO2022180763
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】津留見 隼人
(72)【発明者】
【氏名】符 波
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-168914(JP,A)
【文献】特開2003-036488(JP,A)
【文献】実開平04-028389(JP,U)
【文献】国際公開第2017/177000(WO,A1)
【文献】特開平02-257399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、
前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、
熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、
前記表示灯は、
少なくとも一部が平面視で前記ガード構造の内側であって前記感知部の周囲に面状の可視部を有し、
前記監視領域側から前記ガード構造越しに前記可視部の少なくとも一部が視認可能であり、
前記熱感知器は、さらに、
前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、
前記表示灯は、前記実装基板に電気的に接続される光源装置を有し、
前記可視部は、前記光源装置から投光された光を表示し、
前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、
前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成されている熱感知器。
【請求項2】
監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、
前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、
熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、
前記表示灯は、
前記ガード構造により保護される領域内に配置され、少なくとも一部が平面視で前記ガード構造と重ならず露出する面状の可視部を有し、
前記熱感知器は、さらに、
前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、
前記表示灯は、前記実装基板に電気的に接続される光源装置を有し、
前記可視部は、前記光源装置から投光された光を表示し、
前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、
前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成されている熱感知器。
【請求項3】
前記可視部は、透明または半透明の光拡散部を備えた板状部材の一部により構成され、
前記光拡散部は、平面視で前記実装基板と重なって配置される請求項1または2に記載の熱感知器。
【請求項4】
前記光拡散部は、前記感知部の周囲を囲うように配置される請求項に記載の熱感知器。
【請求項5】
前記ガード構造のうち前記可視部に対向する側および前記カバー部のそれぞれの少なくとも一部は、前記表示灯から放出される可視光を反射可能な色である請求項1から4のいずれか一項に記載の熱感知器。
【請求項6】
監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、
前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、
熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、
前記表示灯は、
少なくとも一部が平面視で前記ガード構造の内側であって前記感知部の周囲に面状の可視部を有し、
前記監視領域側から前記ガード構造越しに前記可視部の少なくとも一部が視認可能であり、
前記感知部と前記可視部との間には、防水材が設けられ、
前記防水材は、接着剤であり、
前記熱感知器は、さらに、
前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、
前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、
前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成され、
前記可視部には、前記接着剤を注入可能な溝部が形成され、
前記溝部は、前記感知部と前記可視部との間に達するとともに、前記カバー部に達する熱感知器。
【請求項7】
監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、
前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、
熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、
前記表示灯は、
前記ガード構造により保護される領域内に配置され、少なくとも一部が平面視で前記ガード構造と重ならず露出する面状の可視部を有し、
前記感知部と前記可視部との間には、防水材が設けられ、
前記防水材は、接着剤であり、
前記熱感知器は、さらに、
前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、
前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、
前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成され、
前記可視部には、前記接着剤を注入可能な溝部が形成され、
前記溝部は、前記感知部と前記可視部との間に達するとともに、前記カバー部に達する熱感知器。
【請求項8】
監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、
前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、
熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、
前記表示灯は、
少なくとも一部が平面視で前記ガード構造の内側面状の可視部を有し、
前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、
前記表示灯は、前記実装基板に電気的に接続される光源装置を有し、
前記可視部は、前記光源装置から投光された光を表示し、
前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、
前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成されている熱感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱感知器には、作動していることを知らせるための表示灯が設けられている。特許文献1-3に開示された熱感知器では、熱を感知する感知部を保護するガード構造(サーミスタガード)の平面視外側に表示灯が設けられている。感知部および表示灯の光源となるLEDは、ともに内蔵された実装基板に電気的に接続されている。平面視とは、上下方向から見た状態を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許第4625046号公報
【文献】日本国特開平08-180273号公報
【文献】日本国特許第6681129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1-3に開示された熱感知器では、表示灯がガード構造の平面視外側に配置されるため、LEDと感知部とが互いに離れた位置において実装基板に電気的に接続される。これにより、実装基板を大きくする必要があるとともに、LEDの配置に制限が生じる。
【0005】
本発明は、実装基板の小型化を図ることができるとともに、表示灯の光源装置の配置の制約を少なくすることができる熱感知器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本実施の一態様に係る熱感知器は、監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、前記表示灯は、少なくとも一部が平面視で前記ガード構造の内側であって前記感知部の周囲に面状の可視部を有し、前記監視領域側から前記ガード構造越しに前記可視部の少なくとも一部が視認可能である。
【0007】
本態様によれば、可視部は、少なくとも一部が平面視でガード構造の内側であって感知部の周囲に配置される。これにより、可視部の光源装置が感知部と近い位置に配置される。このため、実装基板の小型化を図ることができるとともに、光源装置の配置の制限を少なくすることができる。
また、本態様によれば、可視部は、感知部の周囲に面状に配置され、監視領域側からガード構造越しに可視部の少なくとも一部が視認可能である。これにより、使用者が可視部を視認しやすい。
【0008】
本実施の一態様に係る熱感知器は、監視領域に曝露されて熱を感知する感知部と、前記感知部の周辺に設けられ前記感知部を前記監視領域側の外力から保護するガード構造と、熱感知器に関する表示を行う表示灯と、を有し、前記表示灯は、前記ガード構造により保護される領域内に配置され、少なくとも一部が平面視で前記ガード構造と重ならず露出する面状の可視部を有する。
【0009】
本態様によれば、可視部は、ガード構造により保護される領域内に配置される。これにより、可視部の光源装置が感知部と近い位置に配置される。このため、実装基板の小型化を図ることができるとともに、表示灯の光源装置の配置の制限を少なくすることができる。
また、本態様によれば、可視部は、少なくとも一部が平面視でガード構造と重ならず露出する面状である。これにより、使用者が可視部を視認しやすい。
【0010】
本実施の一態様に係る熱感知器では、熱感知器は、さらに、前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、前記表示灯は、前記実装基板に電気的に接続される光源装置を有し、前記可視部は、前記光源装置から投光された光を表示してもよい。
【0011】
本態様によれば、可視部と感知部とが近い位置に配置されるため、実装基板における熱感知器が電気的に接続される位置と、光源装置が電気的に接続される位置とを近い位置に配置することができる。これにより、実装基板の小型化を図ることができるとともに、光源装置の配置の制限を少なくすることができる。
【0012】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記可視部は、透明または半透明の光拡散部を備えた板状部材の一部により構成され、前記光拡散部は、平面視で前記実装基板と重なって配置されてもよい。
【0013】
本態様によれば、可視部は、透明または半透明の光拡散部を備えた板状部材の一部により構成されている。これにより、光拡散部が光源装置の光を拡散することができる。このため、可視部が確実に熱感知器に関する表示を行うことができる。
また、本態様によれば、光拡散部が平面視で実装基板と重なって配置される。これにより、実装基板に電気的に接続された光源装置と光拡散部との距離を短くすることができる。このため、光源装置の光を光拡散部へ確実に投光することができる。
【0014】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記光拡散部は、前記感知部の周囲を囲うように配置されていてもよい。
【0015】
本態様によれば、使用者が可視部を視認しやすい。
【0016】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成されていてもよい。
【0017】
本態様によれば、カバー部には、可視部を露出させる開口が形成されている。これにより、カバー部が設けられている場合でも、可視部を感知部の周囲に、少なくとも一部が平面視でガード構造の内側に配置されるように設けることができる。
【0018】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記ガード構造のうち前記可視部に対向する側および前記カバー部のそれぞれの少なくとも一部は、前記表示灯から放出される可視光を反射可能な色であってもよい。
【0019】
本態様によれば、ガード構造が表示灯から放出される可視光を反射させることができる。これにより、熱感知器は、表示灯から放出される可視光のみでなくガード構造およびカバー部で反射した反射光も利用して熱感知器に関する表示を行うことができる。
【0020】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記感知部と前記可視部との間には、防水材が設けられていてもよい。
【0021】
本態様によれば、感知部の防水性を高めることができる。
【0022】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記防水材は、接着剤であってもよい。
【0023】
本態様によれば、可視部を感知部の周囲の実装基板や他の部材などに接着することができる。
【0024】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記熱感知器は、さらに、前記感知部が電気的に接続される実装基板を有し、前記実装基板と前記ガード構造との間に設けられるカバー部を有し、前記カバー部には、前記可視部を露出させる開口が形成され、前記可視部には、前記接着剤を注入可能な溝部が形成され、前記溝部は、前記感知部と前記可視部との間に達するとともに、前記カバー部に達するようにしてもよい。
【0025】
本態様によれば、溝部に接着剤を注入することにより、感知部と可視部との間に接着剤を充填することができる。また、溝部に注入されてカバー部に達した接着剤が、可視部とカバー部とを接着することができる。
【0026】
本実施の一態様に係る熱感知器では、前記可視部と前記実装基板との間には、パッキンが設けられていてもよい。
【0027】
本態様によれば、可視部と実装基板との隙間を塞ぐことができ、可視部と実装基板との間に水や埃などが入り込むことを防止できる。また、感知部と可視部との間に防水材が設けられる場合は、可視部と実装基板との間に防水材が入り込むことを防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本実施形態の一態様によれば、実装基板の小型化を図ることができるとともに、表示灯の光源装置の配置の制約を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態に係る熱感知器の平面図である。
図2】第1実施形態に係る熱感知器のA-A線断面図である。
図3】ガード構造を省略した熱感知器の斜視図である。
図4】板状部材の斜視図である。
図5】実装基板に板状部材を設置する前の熱感知器を示す斜視図である。
図6】パッキンが取り付けられた板状部材を示す斜視図である。
図7】実装基板に板状部材を設置した後の熱感知器を示す斜視図である。
図8】内カバー部を設置した後の熱感知器を示す斜視図である。
図9】接着剤が注入された様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要件には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0031】
図1および図2に示す本発明の実施形態による熱感知器1は、天井面11に対して取り付けられる。図1に示す熱感知器1は、天井面11に取り付けられた際の下側となる面を示している。熱感知器1は、上下方向から見た平面視が円形である。
熱感知器1は、感知部2と、実装基板3と、表示灯4と、外カバー部5と、内カバー部6(カバー部)、ガード構造7と、を有している。感知部2は、監視領域12に曝露されて熱を感知する。本実施形態では、監視領域12は、天井面11の下側の領域で、熱感知器1の下方および周囲の領域である。
【0032】
図1図3に示すように、外カバー部5は、平面視で熱感知器1の外周側の部分に設けられている。図3では、熱感知器1の上下を逆に示し、ガード構造7を省略している。
外カバー部5は、円筒部51と、環状部52と、を有している。円筒部51は、円筒状の部材である。円筒部51は、上下方向に開口する向きで、熱感知器1の平面視の外周に設けられている。円筒部51の上端部511(図2参照)は、天井面11と接している。環状部52は、内側に円形の環状部開口53を有する円環状の部材である。環状部52は、上下方向に開口する向きで、外周縁521(図2参照)が円筒部51の下端部512(図2参照)と接続されている。本実施形態では、円筒部51と環状部52とは一体に形成されている。
【0033】
内カバー部6は、環状部52の環状部開口53にはめ込まれている。内カバー部6は、内側に円形の内カバー部開口61を有する円環状の部材である。内カバー部6は、上下方向に開口する向きで、外周部分が環状部52の内周部分に固定されている。内カバー部開口61は、平面視で熱感知器1の中央部に配置されている。
【0034】
図2に示すように、実装基板3は、外カバー部5の内側および内カバー部6の上側に配置されている。実装基板3は、平面視で熱感知器1の中央部に配置されている。実装基板3の一部は、内カバー部開口61の鉛直方向上側に配置され、一部は、内カバー部6の鉛直方向上側に配置されている。制御部などの熱感知器1の構成要素は、外カバー部5の内側および内カバー部6の上側に配置されて、一部は実装基板3と電気的に接続されている。
【0035】
感知部2は、熱または熱気流による温度を検出する検出素子である。感知部2は、棒状の部材である。感知部2は、上下方向に延びる向きで、平面視で熱感知器1の中央部分に配置される。感知部2は、内カバー部開口61を貫通している。感知部2の上部側は、実装基板3と電気的に接続されている。感知部2の下部側は、内カバー部6よりも下側に突出している。
【0036】
表示灯4は、感知部2の作動を表示している。表示灯4は、光源装置41(図2参照)と、可視部42と、を有している。光源装置41は、例えばLED素子などで、実装基板3と電気的に接続される。本実施形態の表示灯4は、2つの光源装置41を有している。光源装置41は、平面視で感知部2を挟んだ両側に配置される。
【0037】
可視部42は、板状部材43の一部により構成されている。図4に示すように、板状部材43は、内側に円形の板状部材開口44を有する円環状かつ板状の部材である。図4では、天井面に設置された際に下側となる面を上側となる向きの板状部材43を示している。板状部材43は、上下方向に開口する向きで配置される。図1図3に示すように、板状部材43は、板状部材開口44に感知部2が挿通され、平面視で感知部2を囲むように配置される。板状部材43は、透明または不透明の光拡散部45を備えている。光拡散部45は、光を反射する多数の反射面を有し、多数の反射面それぞれが反射した光を拡散させる。
図2に示すように、板状部材43は、実装基板3の鉛直方向下側に円環状のパッキン46を介して配置される。パッキン46は、板状部材43の平面視における内側の部分と実装基板3との間に配置される。
光源装置41は、板状部材43の光拡散部45の鉛直方向上側において実装基板3と電気的に接続されている。光源装置41から投光された光は、下方に進み、板状部材43の光拡散部45を透過する。本実施形態では、光源装置41は、実装基板3から下側に突出している。板状部材43には、実装基板3から突出する光源装置41が挿入される凹部431が形成されている。板状部材43の凹部431に光源装置41を挿入させることで、板状部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0038】
板状部材43の下側には、内カバー部6が配置される。板状部材43は、平面視で内側の部分が、内カバー部開口61の内側に配置され、平面視で外側の部分が内カバー部6の上方に重なって配置される。
【0039】
板状部材43の下面には、径方向に延びる溝部47が形成されている。本実施形態では、2つの溝部47が設けられている。溝部47は、平面視で内側となる端部が感知部2の周囲の実装基板3に達し、外側となる端部が内カバー部6の内周縁62(内カバー部開口61の縁部)に達している。
【0040】
図1図3に示す、板状部材43の溝部47および板状部材開口44の内側441で感知部2の周囲の実装基板3の下側には、接着剤8が充填される。接着剤8によって、実装基板3と、板状部材43と内カバー部6とが接着される。
また、接着剤8は、防水性も有している。接着剤8によって、感知部2および感知部2の周囲の実装基板3が封止され、防水性を確保している。
【0041】
図1図2に示すように、ガード構造7は、サーミスタガードなどで、感知部2の周辺に設けられ、感知部2を監視領域側の外力から保護する部材である。ガード構造7は、内カバー部6の下側に配置され、外カバー部5に支持されている。ガード構造7は、内側リング71と、外側リング72と、内側リブ73と、外側リブ74と、を有している。
【0042】
内側リング71は、円環状の部材である。内側リング71は、上下方向に開口する向きで感知部2の下側に配置される。平面視で、内側リング71の中心と感知部2とは重なって配置される。
【0043】
外側リング72は、内側リング71よりも大きい円環状の部材である。外側リング72は、上下方向に開口する向きで内側リング71と同軸に配置される。外側リング72の内周縁と内側リング71の外周縁とは、間隔をあけて配置されている。外側リング72は、内側リング71よりも上側に位置している。内側リング71の内側には、感知部2が配置されている。
【0044】
内側リブ73は、内側リング71と外側リング72とを連結している。内側リブ73は、棒状の部材である。内側リブ73は、複数設けられている。複数の内側リブ73は、平面視で内側リング71から外側リング72に向かって径方向に延びる向きで、周方向に間隔をあけて配置されている。複数の内側リブ73は、それぞれ一方の端部が内側リング71と接続され、他方の端部が外側リング72と接続されている。
【0045】
外側リブ74は、外側リング72と連結され、外カバー部5に固定される。外側リブ74は、棒状の部材である。外側リブ74は、複数設けられている。複数の外側リブ74は、平面視で外側リング72から径方向外側に延びていて、周方向に間隔をあけて配置されている。複数の外側リブ74は、それぞれ一方の端部が外側リング72と接続され、他方の端部が外カバー部5に固定される。外カバー部5の環状部52には、環状部開口53の縁部に外側リブ74を固定する固定部54(図1参照)が設けられている。
【0046】
ガード構造7は、内側リング71の内側、内側リング71と外側リング72との間で径方向に隣り合う内側リブ73の間、外側リブ74と外カバー部5との間で径方向に隣り合う外側リブ74の間が開口している。この開口している部分には、空気が通るように構成されている。ガード構造7は、平面視で外カバー部5の環状部開口53の内側に配置されている。
内側リブ73の間の開口及び外側リブ74の間の開口は、指が入らない程度の大きさに設計されている。
【0047】
内側リブ73および外側リブ74は、いずれも平面視で外カバー部5の内周縁よりも内側に配置されている。内側リブ73は、平面視で内カバー部6の内周縁62よりも内側に配置されている。外側リブ74は、平面視で内カバー部6の内周縁62よりも外側に配置されている。可視部42(板状部材43)における内カバー部開口61の内側に配置される部分は、平面視で外側リング72の内側に配置されている。可視部42の内周縁は、平面視で内側リング71とほぼ重なっている。すなわち、可視部42は、外側リング72と内側リング71との間に配置され、少なくとも一部がガード構造7と重ならずに監視領域12に露出し、使用者が監視領域12からガード構造7越しに視認可能である。
【0048】
光源装置41は、可視部42における内カバー部開口61の内側に配置される部分、すなわち、内カバー部6と上下方向に重ならない位置に配置されている。このため、光源装置41も平面視で外側リング72の内側に配置されている。
【0049】
次に、本実施形態による熱感知器1の製造方法について説明する。
実装基板3、感知部2、光源装置41を、公知の方法で製造し、図5に示すような、組み立てられた状態とする。
図6に示すように、板状部材43の設置された際に上側となる面(実装基板3と対向する面)にパッキン46を貼り付ける。パッキン46は、平面視における板状部材43の内側の部分に貼り付ける。
【0050】
組立時には、熱感知器1の上下が、天井に設置される向きと反対となるように配置する。すなわち、天井に取り付けられる際の上側が下側、天井に取り付けられる際の下側が上側となるように配置する。
図7に示すように、パッキン46が実装基板3と接触するように板状部材43を実装基板3の上に設置する。板状部材43の内側には、感知部2が配置される。
図8に示すように、内カバー部6を設置する。内カバー部6を実装基板3および板状部材43の上に配置し、内カバー部開口61から板状部材43、感知部2および実装基板3の感知部2の周りの部分を露出させる。
図9に示すように、板状部材43の溝部47に接着剤8を注入し、溝部47および板状部材43の板状部材開口44の内側に接着剤8を充填する。接着剤8を硬化させる。
これらの実装基板3、感知部2、表示灯4および内カバー部6に外カバー部5およびガード構造7を取り付けて、ガード構造7を感知部2、可視部42(板状部材43)および感知部2と重なる位置に配置する。このようにして熱感知器1が製造される。
【0051】
本発明の実施形態による熱感知器1によれば、可視部42の少なくとも一部が平面視でガード構造7の内側であって感知部2の周囲に配置され、監視領域12側からガード構造7越しに可視部42の少なくとも一部が視認可能である。これにより、光源装置41が感知部2と近い位置に配置される。このため、実装基板3の小型化を図ることができるとともに、光源装置41の配置の制限を少なくすることができる。
また、本態様によれば、可視部42は、感知部2の周囲に面状に配置され、監視領域12側からガード構造7越しに可視部42の少なくとも一部が視認可能である。これにより、使用者が可視部42を視認しやすい。
【0052】
また、本発明の実施形態による熱感知器1によれば、可視部42は、ガード構造により保護される領域内に配置される。これにより、光源装置41が感知部2と近い位置に配置される。このため、実装基板3の小型化を図ることができるとともに、光源装置41の配置の制限を少なくすることができる。
また、本発明の実施形態による熱感知器1によれば、可視部42は、少なくとも一部が平面視でガード構造7と重ならず露出する面状である。これにより、使用者が可視部42を視認しやすい。
【0053】
本発明の実施形態による熱感知器1では、可視部42は、透明または半透明の光拡散部45を備えた板状部材43の一部により構成されている。これにより、光拡散部45が光源装置41の光を拡散することができる。このため、可視部42が感知部2の作動を確実に表示することができる。
また、本発明の実施形態による熱感知器1では、光拡散部45が平面視で実装基板3と重なって配置される。これにより、実装基板3に電気的に接続された光源装置41と光拡散部45との距離を短くすることができる。このため、光源装置41の光を光拡散部45へ確実に投光することができる。
【0054】
本発明の実施形態による熱感知器1では、光拡散部45は、感知部2の周囲を囲うように配置されている。これにより、使用者が可視部42を視認しやすい。
【0055】
本発明の実施形態による熱感知器1では、内カバー部6には、可視部42を露出させる内カバー部開口61が形成されている。これにより、内カバー部6が設けられている場合でも、可視部42を感知部2の周囲に、少なくとも一部が平面視でガード構造7の内側に配置されるように設けることができる。
【0056】
本発明の実施形態による熱感知器1では、感知部2と可視部42との間には、接着剤8(防水材)が設けられている。これにより、可視部42を感知部2の周囲の実装基板3や他の部材などに接着することができる。
また、本発明の実施形態による熱感知器1によれば、感知部2の防水性を高めることができる。
【0057】
本発明の実施形態による熱感知器1では、可視部42には、接着剤8を注入可能な溝部47が形成され、溝部47は、感知部2と可視部42との間に達するとともに、内カバー部6に達している。これにより、溝部47に接着剤8を注入することにより、感知部2と可視部42との間に接着剤8を充填することができる。また、溝部47に注入されて内カバー部6に達した接着剤8が、可視部42と内カバー部6とを接着することができる。
【0058】
本発明の実施形態による熱感知器1では、可視部42と実装基板3との間には、パッキン46が設けられている。これにより、可視部42と実装基板3との隙間を塞ぐことができ、可視部42と実装基板3との間に水や埃などが入り込むことを防止できる。また、感知部2と可視部42との間に防水材が設けられる場合は、可視部42と実装基板3との間に防水材が入り込むことを防止できる。
【0059】
以上に、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は、上述した説明によって限定されることはなく、添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0060】
上記の実施形態では、可視部42は、透明または半透明の光拡散部45を備えた板状部材43の一部によって構成され、光拡散部45は、平面視で実装基板3と重なって配置されている。これに対し、可視部42は、光源装置41の光を透過して表示できれば、光拡散部45を備えた板状部材43によって構成されていなくてもよい。また、可視部42の形状は、板状や、円環状でなくてもよい。
【0061】
上記の実施形態では、光拡散部45は、感知部2の周囲を囲うように配置されている。これに対し、可視部42が、感知部2の周囲に配置されていれば、光拡散部45が感知部2の周囲を囲うように配置されていなくてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、実装基板3とガード構造7との間に設けられる内カバー部6を有し、内カバー部6には、可視部42を露出させる内カバー部開口61が形成されている。これに対し、内カバー部6の形状は、上記以外であってもよい。
【0063】
上記の実施形態では、感知部2と可視部42との間には、接着剤8(防水材)が設けられている。これに対し、感知部2と可視部42との間には、接着剤8以外の防水材が設けられていてもよいし、防水性を確保できるのであれば、防水材が設けられていなくてもよい。
【0064】
上記の実施形態では、可視部42には、接着剤8を注入可能な溝部47が形成され、溝部47は、感知部2と可視部42との間に達するとともに、内カバー部6に達している。これに対し、接着剤8の注入位置は、上記以外であってもよく、可視部42に溝部47が設けられていなくてもよい。
【0065】
上記の実施形態では、可視部42と実装基板3との間には、パッキン46が設けられている。これに対し、可視部42と実装基板3との間にパッキン46が設けられていなくてもよい。
【0066】
上記の実施形態では、ガード構造7は、内側リング71、外側リング72、内側リブ73および外側リブ74を有している。これに対し、ガード構造7は、感知部2を保護可能であれば、上記以外の形態であってもよい。
また、上記の実施形態では、可視部42は、平面視でガード構造7の外側リング72と内側リング71との間に配置されているが、これに限定されず、可視部42が平面視で外カバー部5の内周縁の内側、すなわち、平面視でガード構造7の内側に配置されていればよい。例えば、内カバー部6の環状部開口53から露出する部分全てについて、可視部42が存在するようにしてもよいし、外側リング72の外側のみに可視部42が存在するようにしてもよい。可視部42は、平面視で少なくとも一部がガード構造7の内側に配置されていればよい。
【0067】
上記の実施形態では、表示灯4は、感知部2の作動を表示しているがこれに限らない。表示灯4は、感知部2の作動に加えて他の熱感知器1に関する表示を行ってもよい。また、表示灯4について感知部2の作動を表示せず、他の熱感知器1に関する表示を行う表示灯についても適用可能である。
他の熱感知器1に関する表示とは、例えば熱感知器1の異常に関する表示である。感度の低下、電源電圧の低下等、上位機器との通信途絶を熱感知器1が検出した場合等の表示としてもよい。
他の熱感知器1に関する表示とは、また、例えば熱感知器1の応答に伴う表示である。上位機器からの熱感知器1に対する遠隔動作試験や点灯命令に基づき、熱感知器1が応答した場合等の表示としてもよい。
また、熱感知器1は、無線式の熱感知器としてもよく、その場合は無線中継器から受信する電波の強弱に応じて表示灯が表示を行うようにしてもよい。
【0068】
ガード構造7のうち可視部42に対向する側および内カバー部6のそれぞれの少なくとも一部は、表示灯4から放出される可視光を反射可能な色とし、可視部42に加えて、ガード構造7および内カバー部6が光って見えるようにしてもよい。このようにすることにより、熱感知器1は、表示灯4から放出される可視光のみでなくガード構造7および内カバー部6で反射した反射光も利用して熱感知器1に関する表示を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
実装基板3の小型化を図ることができるとともに、表示灯4の光源装置41の配置の制約を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 熱感知器
2 感知部
3 実装基板
4 表示灯
6 内カバー部(カバー部)
7 ガード構造
8 接着剤(防水材)
12 監視領域
41 光源装置
42 可視部
43 板状部材
45 光拡散部
46 パッキン
47 溝部
61 内カバー部開口(開口)
図1
図2
図3
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図8
図9