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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ロボット用操作装置およびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/02 20060101AFI20240925BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B25J13/02
B25J9/22 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023507054
(86)(22)【出願日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2022010766
(87)【国際公開番号】W WO2022196543
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021043221
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一弘
(72)【発明者】
【氏名】本門 智之
(72)【発明者】
【氏名】井上 俊彦
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0259412(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0038641(KR,A)
【文献】特開2019-063916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端のフランジの回転軸線に沿って延びる内孔を貫通させて前記フランジに長尺のツールが固定されたロボットに装着されるロボット用操作装置であって、
前記ツールを貫通させる内孔を有し、前記ツールの長手軸と同軸に配置される軸線を有し、前記ツールの前記長手軸を包み込む形態で作業者の一方の手により把持可能なハンドルと、
該ハンドルを前記フランジに、前記軸線を前記回転軸線と同軸に配置した状態で取り付けるとともに、作業者により前記ハンドルに加えられた力またはモーメントを検出するセンサとを備え、
前記ロボットが、前記センサにより検出された力またはモーメントに応じて位置および姿勢を変更するリードスルー制御により動作可能であるロボット用操作装置。
【請求項2】
前記フランジに固定されたブラケットを備え、
前記センサが、前記ブラケットに固定されている請求項1に記載のロボット用操作装置。
【請求項3】
前記フランジの近傍に取り付けられ、前記作業者の他方の手によって操作され、前記リードスルー制御を有効または無効に切り替えるリードスルースイッチを備える請求項1または請求項2に記載のロボット用操作装置。
【請求項4】
前記ハンドルに、該ハンドルを把持した状態の前記作業者の前記一方の手によって操作される、位置教示推知および動作モード変更スイッチの少なくとも1つの操作スイッチが配置されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のロボット用操作装置。
【請求項5】
前記操作スイッチの少なくとも1つが、長押し操作によってツール動作指令を教示するためのツール動作教示スイッチに機能変更可能である請求項4に記載のロボット用操作装置。
【請求項6】
前記ハンドルが、前記ツールを前記フランジに固定したままの状態で、前記フランジから取り外し可能である請求項1から請求項5のいずれかに記載のロボット用操作装置。
【請求項7】
前記センサが、前記ツールを前記フランジに固定したままの状態で、前記フランジから取り外し可能である請求項1から請求項6のいずれかに記載のロボット用操作装置。
【請求項8】
前記ハンドルの外周面に、該ハンドルを把持した作業者の前記一方の手の指をかける凹凸が設けられている請求項1から請求項7のいずれかに記載のロボット用操作装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のロボット用操作装置を備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット用操作装置およびロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リードスルー制御によってロボットを動作させるために、作業者がロボットに力を加えて操作するロボット用操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このロボット用操作装置は、ロボットのアーム部の先端部に力センサを介して取り付けられたハンドルを備え、ハンドルに加える力を力センサによって検出し、検出された力の大きさおよび方向によってロボットを動作させる。ハンドルは、ロボットのフランジの中心軸に対して間隔をあけて平行な平面に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-34412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなハンドルを用いて、リードスルー制御により、フランジの中心軸に沿って配置されたハンドあるいは溶接トーチ等の長尺のツールの先端を位置決めする操作をする場合には、操作者にはツールを直感的に操作する感覚が得られ難い。すなわち、ハンドルを握る操作者は、ツールを遠隔操作している感覚で操作するので、ツールの先端を所望の位置および角度に精度よく配置するには、ある程度の熟練を要する。したがって、フランジに固定される長尺のツールを直接操作する感覚で、リードスルー制御によってロボットを動作させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、先端のフランジに長尺のツールが固定されたロボットに装着されるロボット用操作装置であって、前記ツールを貫通させる内孔を有し、前記ツールの長手軸を包み込む形態で作業者の一方の手により把持可能なハンドルと、該ハンドルを前記フランジに取り付けるとともに、作業者により前記ハンドルに加えられた力またはモーメントを検出するセンサとを備え、前記ロボットが、前記センサにより検出された力またはモーメントに応じて位置および姿勢を変更するリードスルー制御により動作可能であるロボット用操作装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係るロボット用操作装置を備える図1のロボットを部分的に示す、一部を破断した正面図である。
図3図1のロボット用操作装置を示す側面図である。
図4図1のロボット本体のフランジにアダプタによって溶接トーチを取り付けた状態を示す部分的な斜視図である。
図5図4のアダプタにブラケットを取り付けた状態を示す部分的な斜視図である。
図6図5のブラケットに第2ハンドルを取り付けた状態を示す部分的な斜視図である。
図7図6のブラケットにセンサおよび第1ハンドルを取り付けた状態を示す部分的な斜視図である。
図8図7の第1ハンドルおよび第2ハンドルを作業者が把持した状態を示す部分的な斜視図である。
図9図2のロボット用操作装置の変形例を示す、一部を破断した正面図である。
図10図9のロボット用操作装置を示す側面図である。
図11図2のロボット用操作装置の他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の一実施形態に係るロボット用操作装置1およびロボット100について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るロボット100は、図1に示されるように、ロボット本体(ロボット)101と、ロボット本体101に装着されたロボット用操作装置1とを備えている。ロボット本体101には、ロボット本体101を制御する制御装置102が接続されている。
【0008】
ロボット本体101は、例えば、図1に示されるように、垂直6軸多関節型ロボットであり、床面等の被設置面に設置されるベース110と、ベース110に対して第1軸線A回りに回転可能に支持された旋回胴120とを備えている。
また、ロボット本体101は、旋回胴120に第2軸線B回りに回転可能に支持された第1アーム130と、第1アーム130に第3軸線C回りに回転可能に支持された第2アーム140とを備えている。さらに、ロボット本体101は、第2アーム140の先端に支持された3軸の手首ユニット150を備えている。
【0009】
手首ユニット150には、図2および図3に示されるように、最先端の回転軸線(第6軸)X回りに回転可能なフランジ160が備えられている。ロボット本体101は、最先端の手首要素151が中空に形成され、フランジ160も内孔160aを有する円環状に形成されている。なお、フランジ160を回転軸線X回りに回転させる機構等は図示を省略している。
【0010】
制御装置102は、教示された動作プログラムに従ってロボット本体101を制御する。また、制御装置102は、リードスルー制御が指令されたときには、後述するセンサ5により検出された力またはモーメントの大きさおよび方向に応じてロボット本体101の位置および姿勢を動作させることができる。
【0011】
ロボット本体101のフランジ160には、内孔161aを有する円環状のアダプタ161が固定されている。アダプタ161は、ツールおよび後述するブラケット2をフランジ160に取り付けるための中継部材である。
ツールは、例えば、溶接トーチ170のような長尺のツールであり、図4に示されるように、アダプタ161によってフランジ160に固定されている。
【0012】
溶接トーチ170は、長さ方向の途中位置において一方向に湾曲した管状のトーチ本体171と、トーチ本体171の基端に接続された略円柱状のネックホルダ172と、ネックホルダ172の基端に接続されたガイドチューブ173とを備えている。ネックホルダ172はトーチ本体171よりも大きな外径寸法を有している。
【0013】
ガイドチューブ173、ネックホルダ172およびトーチ本体171は、溶接ワイヤ180を長手方向に貫通させる内孔(図示略)を備えている。溶接トーチ170は、内孔内を貫通してきた溶接ワイヤ180をトーチ本体171の先端から突出させて、ワークとの間にアークを発生させることによりワークを溶接する。
【0014】
本実施形態においては、溶接トーチ170は、図2に示されるように、ネックホルダ172の基端側に接続するガイドチューブ173をアダプタ161の内孔161aおよびフランジ160の内孔160aに貫通させ、ネックホルダ172の基端側をアダプタ161に固定している。これにより、トーチ本体171は、ネックホルダ172に接続する部分の長手軸Yをフランジ160の回転軸線Xと同軸に位置決めした状態に配置されている。
【0015】
ロボット用操作装置1は、図2および図3に示されるように、アダプタ161によってフランジ160に着脱可能に取り付けられるブラケット2と、ブラケット2に着脱可能に取り付けられる第1ハンドル(ハンドル)3、第2ハンドル4およびセンサ5とを備えている。
ブラケット2は、ネックホルダ172を径方向に挟む位置に、回転軸線Xに平行に延びる2本の脚部6を備えている。各脚部6の基端は、アダプタ161に着脱可能に取り付けられ、両脚部6の先端は、第1取付部7によって連結されている。また両脚部6の基端近傍には第2取付部8が配置されている。
【0016】
第1取付部7は、ネックホルダ172の先端部を挿入可能な内径の内孔7aを有する環状に形成されている。脚部6は、ネックホルダ172の軸方向長さとほぼ同等の長さを有しており、図5に示されるように、基端をアダプタ161に固定することにより、第1取付部7を、トーチ本体171の基端近傍に配置することができる。第2取付部8は、第2ハンドル4をブラケット2の基端に固定する部分である。
【0017】
センサ5は、直交する3軸方向の力および3軸回りのモーメントを検出可能な6軸センサであり、図2に示されるように、トーチ本体171を径方向に隙間を空けて貫通可能な大きさの内孔5aを有する円環状に形成されている。センサ5は、内孔5a内にトーチ本体171を先端側から挿入し、長手軸Yに沿ってトーチ本体171の基端側まで移動させられることにより、図7に示されるように、フランジ160に固定されているブラケット2の第1取付部7に、軸方向の一端が着脱可能に固定される。
【0018】
また、第1ハンドル3は、図2に示されるように、トーチ本体171を径方向に隙間を空けて貫通可能な大きさの内孔3aを有する円筒状に形成されている。第1ハンドル3は、内孔3a内にトーチ本体171を先端側から挿入し、長手軸Yに沿ってトーチ本体171の基端側まで移動させられることにより、図7に示されるように、第1取付部7に取り付けられているセンサ5の軸方向の他端に着脱可能に固定される。これにより、第1ハンドル3は、フランジ160の回転軸線Xに沿って延びるトーチ本体171を取り囲む位置に配置される。
【0019】
第1ハンドル3は、図8に示されるように、作業者が、一方の手(ここでは右手)によって、半周よりも広い範囲にわたる外周面を包み込む形態で把持して、種々の方向の力を加えることができる程度の外径寸法を有している。第1ハンドル3の外周面には、第1ハンドル3を把持した手の指をかけることができる溝9および突起10からなる凹凸が周方向に全周にわたって形成されている。また、第1ハンドル3の外周面には、把持した手の人差し指あるいは親指によって操作可能な位置に2つの押しボタンスイッチ(操作スイッチ)12,13が設けられている。
【0020】
一方の押しボタンスイッチ12は、押されることにより、押された時点におけるロボット本体101の各軸の角度を記憶する教示ボタン(操作スイッチ、位置教示推知スイッチ)である。また、他方の押しボタンスイッチ13は、押される都度にロボット本体101の動作モードを直交動作と各軸動作とで切り替えるモード切替ボタン(操作スイッチ、動作モード変更スイッチ)である。
【0021】
第2ハンドル4は、ブラケット2およびネックホルダ172を挿入可能な内径の内孔4aを有する円環状に形成されている。第2ハンドル4は、内孔4a内にトーチ本体171を先端側から挿入し、長手軸Yに沿ってブラケット2の基端側まで移動させた位置において、図6に示されるように、ブラケット2の第2取付部8に着脱可能に固定される。
【0022】
第2ハンドル4は、図8に示されるように、作業者が他方の手(ここでは左手)によって、半周よりも広い範囲にわたる外周面を包み込む形態で把持可能な外径寸法を有している。第2ハンドル4の外周面には、把持した手の親指によって操作可能なリードスルースイッチ11が設けられている。
【0023】
リードスルースイッチ11は、図示しないケーブルによって制御装置102に接続される押しボタン式のスイッチである。作業者が第2ハンドル4を把持した手によってリードスルースイッチ11を押すことにより、リードスルー制御の指令が制御装置102に送られる。第2ハンドル4は、フランジ160の回転軸線Xを挟んでトーチ本体171の先端とは反対側に位置する作業者の正面にリードスルースイッチ11が配置される位相で第2取付部8に固定される。
【0024】
このように構成された本実施形態に係るロボット用操作装置1およびロボット100の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係るロボット用操作装置1を用いて、ロボット本体101をリードスルー制御しながら教示を行うには、作業者は、第1ハンドル3を右手で握り、第2ハンドル4を左手で握る。そして、第2ハンドル4に設けられたリードスルースイッチ11を、第2ハンドル4を把持した左手の指で押下する。
【0025】
これにより、リードスルー制御が有効となる。この状態で、作業者が第1ハンドル3に力を加えることにより、加えた力およびモーメントの大きさおよび方向が、センサ5によって検出され、検出された力およびモーメントに応じた位置および姿勢にロボット本体101が動作させられる。
【0026】
そして、作業者が、第1ハンドル3に設けられたモード切替ボタン13を押すことにより動作モードを設定した状態で、リードスルー制御によりロボット本体101を動作させ、所望の位置において、教示ボタン12を押下する。これにより、押下された時点におけるロボット本体101の各軸の角度およびその位置への動作モードが記憶される。また、この動作を繰り返すことにより、ロボット本体101の動作プログラムを教示することができる。
【0027】
この場合において、ブラケット2によってフランジ160に固定された第1ハンドル3が、作業者によって把持し易い円筒状に形成されるとともに、トーチ本体171の基端にトーチ本体171の長手軸Yと同軸に配置されている。これにより、第1ハンドル3を把持する作業者は、あたかもトーチ本体171の基端を把持しているのと同じ感覚で第1ハンドル3に力を加え、リードスルー制御によってロボット100を動作させることができる。
【0028】
その結果、作業者が、トーチ本体171の位置および姿勢を直感的にコントロールし易く、ツール先端点に配置されている溶接ワイヤ180の先端を、作業者の意図した位置に精度よく配置することができる。また、第1ハンドル3を把持した右手に力を加える際に、第2ハンドル4を把持した左手を補助として使用することができ、センサ5に多様な力およびモーメントを検出させることができる。
【0029】
また、第1ハンドル3の内孔3aとトーチ本体171との間には隙間が設けられているので、トーチ本体171が過熱した状態であっても第1ハンドル3を把持したリードスルー制御によるロボット本体101の操作を実施することができる。また、センサ5の内孔5aとトーチ本体171との間にも隙間が設けられているので、トーチ本体171の熱がセンサ5に伝達されることを抑止し、センサ5の検出精度の変化を防止することができる。
【0030】
また、第1ハンドル3の外周面に、第1ハンドル3を握った作業者の手の指がかかる凹凸9,10を設けているので、作業者が第1ハンドル3に力を加え易く、ロボット本体101を所望の姿勢に移動させ易いという利点がある。
【0031】
また、第1ハンドル3および第2ハンドル4をブラケット2によって溶接トーチ170のネックホルダ172およびトーチ本体171と同軸に配置しているので、第1ハンドル3および第2ハンドル4がフランジ160の回転軸線Xから径方向に大きく突出しない。したがって、第1ハンドル3および第2ハンドル4と周辺部材との干渉を抑えて、教示を容易にすることができるという利点がある。
【0032】
また、第1ハンドル3、第2ハンドル4およびセンサ5がブラケット2に取り外し可能に取り付けられているので、動作プログラムの教示後かつ実行前に取り外すことにより、実行中における周辺部材との干渉をさらに低減することができる。また、ブラケット2を取り外すことによって、干渉をさらに低減できる。これらの場合に、溶接トーチ170をフランジ160から取り外す必要がなく、取り外し作業に時間をかけずに済むという利点がある。
【0033】
また、第1ハンドル3、第2ハンドル4、センサ5およびブラケット2を取り外さなくても、これらはネックホルダ172およびトーチ本体171と同軸に配置されているので、動作プログラムの実行時における周辺部材との干渉は生じ難い。
また、第1ハンドル3および第2ハンドル4をブラケット2によって溶接トーチ170のネックホルダ172およびトーチ本体171と同軸に配置しているので、作業者の利き手がいずれの場合においても、持ち手を入れ替えるだけで、容易に操作することができるという利点がある。
【0034】
また、本実施形態に係るロボット用操作装置1によれば、第1ハンドル3とブラケット2との間に、第1ハンドル3に加えられた力またはモーメントを検出するセンサ5を備える。これにより、ロボット本体101がセンサ5を備えない汎用のロボットであっても、ロボット本体101をリードスルー制御しながら教示することができるという利点がある。そして、教示終了後には、ロボット用操作装置1を取り外すことにより汎用のロボットとして、教示された動作プログラムを実行することができる。
【0035】
なお、教示ボタン12または動作モード切替ボタン13は、短く押す操作によって、教示ボタン12あるいは動作モード切替ボタン13として機能させ、例えば、長押し操作によってツール動作指令を教示するためのツール動作教示スイッチ等に機能変更可能であってもよい。
【0036】
また、本実施形態においては、センサ5、第1ハンドル3および第2ハンドル4を溶接トーチ170の外側においてアダプタ161によってフランジ160に固定したブラケット2に着脱可能に取り付けた。これに代えて、図9および図10に示されるように、溶接トーチ170のネックホルダ172をブラケット2として利用し、センサ5および第1ハンドル3をネックホルダ172によってフランジ160に着脱可能に固定してもよい。また、図10に示されるように、ネックホルダ172自体を第2ハンドルとして、リードスルースイッチ11をネックホルダ172に設けてもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、ロボット本体101が中空のフランジ160を有する場合であって、溶接トーチ170をフランジ160の回転軸線Xと同軸に配置する場合について例示した。これに代えて、図11に示されるように、フランジ160が内孔160aを有しない場合において、溶接トーチ170をフランジ160の回転軸線Xに対して偏心した位置にブラケット2によって支持する場合に適用してもよい。
【0038】
図11に示す例では、トーチ本体171は、ブラケット2に固定された位置からフランジ160の回転軸線Xを含む平面Pに沿って湾曲し、溶接ワイヤ180をフランジ160の回転軸線Xに交差させる位置に突出させる形態に配置される。フランジ160の回転軸線Xと溶接ワイヤ180との交差点が、一般にツール先端点として設定される。
【0039】
この場合に、ブラケット2をフランジ160に固定するアダプタ161が、リードスルースイッチ11を有する第2ハンドルを構成し、トーチ本体171を貫通させたセンサ5および第1ハンドル3がブラケット2に固定されている。これによっても、第1ハンドル3はトーチ本体171の長手軸Yを取り囲む位置に配置されるので、第1ハンドル3を握る作業者はトーチ本体171を直接把持した感覚でロボット本体101をリードスルー制御により操作することができる。また、教示後には、トーチ本体171を取り外すことなく、第1ハンドル3およびセンサ5をブラケット2から取り外すことができる。
【0040】
また、本実施形態においては、第1ハンドル3の外周面に、第1ハンドル3を握った手の指をかける溝9および突起10を全周にわたって設けたが、これに代えて、凹凸は、周方向の一部に設けられていてもよい。また、凹凸を周方向に延びる形態としたが、軸方向に延びる形態あるいは、周方向および軸方向の両方に延びる形態としてもよい。
また、第1ハンドル3を握った作業者の手の指をかける溝9に代えて、ディンプル状の凹部あるいは任意の形態の凸部を設けてもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、第1ハンドル3およびセンサ5として、ツールを貫通させる内孔3a,5aを有する円筒状または円環状の形態のものを例示した。これに代えて、第1ハンドル3およびセンサ5として、例えば、外周面から内孔3a,5aに貫通し、ツールを径方向に通過させることができるスリットを有する横断面C字状の形態のものを採用してもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、フランジ160に固定されるツールとして、溶接トーチ170を例示したが、これに代えて、長尺のツールであれば、他の任意のツールを採用してもよい。例えば、基端側にレーザ光を導く光ファイバケーブルが接続され、先端からレーザ光を射出するレーザ溶接用あるいはレーザ加工用のノズルを採用してもよい。
【0043】
また、基端側に動力ケーブルが接続され、先端に配置された工具によりワークを加工するツールを採用してもよい。また、基端側に流体用チューブが接続され、先端から流体を吐出させるノズルを採用してもよい。
また、基端側に接続された動力ケーブルあるいは流体用チューブにより供給される電力あるいは加圧流体によって、先端に配置された指を開閉するハンドを採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ロボット用操作装置
2 ブラケット
3 第1ハンドル(ハンドル)
3a 内孔
5 センサ
9 溝(凹凸)
10 突起(凹凸)
11 リードスルースイッチ
12 教示ボタン(操作スイッチ、位置教示推知スイッチ)
13 モード切替ボタン(操作スイッチ、動作モード変更スイッチ)
100 ロボット
160 フランジ
170 溶接トーチ(ツール)
172 ネックホルダ(ハンドル)
Y 長手軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11