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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/01 20060101AFI20240925BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B23Q1/01 H
B23Q1/01 W
B23Q1/48 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023514271
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2021015559
(87)【国際公開番号】W WO2022219773
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】多賀 充
(72)【発明者】
【氏名】森本 忠治
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜則
(72)【発明者】
【氏名】合澤 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】池田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】入野 成弘
(72)【発明者】
【氏名】樋口 洋介
(72)【発明者】
【氏名】原 英貴
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-050512(JP,A)
【文献】特開平11-099424(JP,A)
【文献】特開2019-077025(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053830(WO,A1)
【文献】特開2005-028481(JP,A)
【文献】独国特許発明第102004034873(DE,B3)
【文献】国際公開第2018/146728(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00 - 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドと、
前記ベッド上に立設されるコラムと、
前記コラムにより支持される移動体であるサドルと、
前記サドルにより支持され、水平方向に平行な第1軸方向に延びる回転中心軸を中心に工具を回転させる工具主軸とを備え、
前記サドルは、前記工具主軸を取り囲むように設けられるフレーム部を有し、
前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みは、鉛直方向に平行な第2軸方向に沿って変化し、前記フレーム部の下端部よりも前記フレーム部の上端部寄りの第1位置で最大となり、
前記第2軸方向において、前記フレーム部の上端部および前記フレーム部の下端部の中間に位置する中間位置での、前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みは、前記第1位置での前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みの最大値よりも小さく、
前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みは、前記第2軸方向における前記第1位置から前記中間位置までの区間において、前記中間位置に近づくほど減少する、工作機械。
【請求項2】
前記サドルは、前記コラムに対して、水平方向に平行で、かつ、前記第1軸方向に直交する第3軸方向に移動可能であり、
前記工具主軸は、前記サドルに対して、前記第2軸方向に移動可能であり、さらに、
前記サドルを前記第3軸方向に案内し、前記第2軸方向において前記第1位置に配置される第1ガイド部を備える、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記フレーム部は、前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みが、前記第2軸方向において、前記第1位置から前記フレーム部の上端部に向かうに従って減少する第1漸減部と、前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みが、前記第2軸方向において、前記第1位置から、前記中間位置を経て、前記フレーム部の下端部に向かうに従って減少する第2漸減部とを含む、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工具主軸は、前記サドルに対して、前記第2軸方向に移動可能であり、
前記工具主軸が前記第2軸方向において上方側のストローク端に位置決めされた場合に、前記回転中心軸は、前記第2軸方向において、前記第1位置と同じ高さ、または、前記第1位置よりも上方に位置する、請求項1からのいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
ベッドと、
前記ベッド上に立設されるコラムと、
前記コラムにより支持される移動体であるサドルと、
前記サドルにより支持され、水平方向に平行な第1軸方向に延びる回転中心軸を中心に工具を回転させる工具主軸とを備え、
前記サドルは、前記工具主軸を取り囲むように設けられるフレーム部を有し、
前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みは、鉛直方向に平行な第2軸方向に沿って変化し、前記フレーム部の下端部よりも前記フレーム部の上端部寄りの第1位置で最大となり、
前記第2軸方向において、前記フレーム部の上端部および前記フレーム部の下端部の中間に位置する中間位置での、前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みは、前記第1位置での前記第1軸方向における前記フレーム部の厚みの最大値よりも小さく、
前記サドルは、前記コラムに対して、水平方向に平行で、かつ、前記第1軸方向に直交する第3軸方向に移動可能であり、
前記工具主軸は、前記サドルに対して、前記第2軸方向に移動可能であり、さらに、
前記サドルを前記第3軸方向に案内し、前記第2軸方向において前記第1位置に配置される第1ガイド部と、
前記サドルを前記第3軸方向に案内し、前記第2軸方向において前記第1位置よりも下方の第2位置に配置される第2ガイド部とを備え、
前記第2位置での前記第1軸方向における前記コラムの厚みは、前記第1位置での前記第1軸方向における前記コラムの厚みよりも大きい、工作機械。
【請求項6】
前記サドルは、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部がそれぞれ取り付けられる第1ガイド取り付け面および第2ガイド取り付け面を有し、
前記コラムは、前記第1軸方向において前記第1ガイド取り付け面および前記第2ガイド取り付け面とそれぞれ対向し、前記第1ガイド部および前記第2ガイド部がそれぞれ取
り付けられる第3ガイド取り付け面および第4ガイド取り付け面を有する、請求項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第2軸方向において前記第2ガイド部よりも前記第1ガイド部寄りの位置に配置され、前記サドルを前記第3軸方向に駆動させる第1送り装置と、
前記第2軸方向において前記第1ガイド部よりも前記第2ガイド部寄りの位置に設けられ、前記サドルを前記第3軸方向に駆動させる第2送り装置とをさらに備える、請求項5または6に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2005-88099号公報(特許文献1)には、固定ベッドと、固定ベッドの後端部に垂直上方に延びるコラムと、コラムにより左右(X軸)方向に移動可能に支持されるサドルと、サドルにより上下(Y軸)方向に移動可能に支持されるタレットベースとを備える横形マシニングセンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-88099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工具主軸を支持するサドルを備え、工具主軸によって保持される工具の回転中心軸が水平方向に延びる工作機械が知られている。
【0005】
このような工作機械においては、移動体であるサドルの慣性モーメントを小さくするため、サドルの重量を低減することが求められる。一方、ワークの切削負荷が工具主軸を通じてサドルに伝わると、サドルが大きく振動する可能性がある。この場合、ワークの加工精度が低下してしまうため、サドルの振動を抑制することが求められる。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、サドルの重量を低減するとともに、サドルの振動を抑制することが可能な工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った工作機械は、ベッドと、ベッド上に立設されるコラムと、コラムにより支持される移動体であるサドルと、サドルにより支持され、水平方向に平行な第1軸方向に延びる回転中心軸を中心に工具を回転させる工具主軸とを備える。サドルは、工具主軸を取り囲むように設けられるフレーム部を有する。第1軸方向におけるフレーム部の厚みは、鉛直方向に平行な第2軸方向に沿って変化し、フレーム部の下端部よりもフレーム部の上端部寄りの第1位置で最大となる。
【0008】
このように構成された工作機械によれば、第1軸方向におけるフレーム部の厚みが第2軸方向に沿って変化するため、フレーム部の厚みを第2軸方向における全域に渡って大きく確保する場合と比較して、サドルの重量を低減することができる。また、ベッドは、コラムの下端部を支持するため、そのコラムによって支持されるサドルは、フレーム部の上端部寄りの位置で振動し易い。これに対して、第1軸方向におけるフレーム部の厚みをフレーム部の下端部よりも上端部寄りの第1位置で最大とすることによって、第1位置におけるサドルの剛性を向上させ、サドルの振動を効果的に抑制することができる。
【0009】
また好ましくは、サドルは、コラムに対して、水平方向に平行で、かつ、第1軸方向に直交する第3軸方向に移動可能である。工具主軸は、サドルに対して、第2軸方向に移動可能である。工作機械は、サドルを第3軸方向に案内し、第2軸方向において第1位置に配置される第1ガイド部をさらに備える。
【0010】
このように構成された工作機械によれば、サドルが第1位置において第1ガイド部により支持されるため、サドルの振動をさらに効果的に抑制できる。
【0011】
また好ましくは、工作機械は、サドルを第3軸方向に案内し、第2軸方向において第1位置よりも下方の第2位置に配置される第2ガイド部をさらに備える。第2位置での第1軸方向におけるコラムの厚みは、第1位置での第1軸方向におけるコラムの厚みよりも大きい。
【0012】
このように構成された工作機械によれば、第1位置よりも下方の第2位置での第1方向におけるコラムの厚みを相対的に大きくすることによって、ベッドにより支持される下端部側のコラムの厚みを十分に確保する。これにより、コラムがベッドによってより強固に支持されるため、サドルの振動をより効果的に抑制することができる。
【0013】
また好ましくは、サドルは、第1ガイド部および第2ガイド部がそれぞれ取り付けられる第1ガイド取り付け面および第2ガイド取り付け面を有する。コラムは、第1軸方向において第1ガイド取り付け面および第2ガイド取り付け面とそれぞれ対向し、第1ガイド部および第2ガイド部がそれぞれ取り付けられる第3ガイド取り付け面および第4ガイド取り付け面を有する。
【0014】
このように構成された工作機械によれば、第1ガイド取り付け面および第2ガイド取り付け面と、第3ガイド取り付け面および第4ガイド取り付け面とが、それぞれ、第1軸方向において対向するため、コラムまたはサドルに対する第1ガイド部および第2ガイド部の取り付け作業を容易に行なうことができる。
【0015】
また好ましくは、工作機械は、第2軸方向において第2ガイド部よりも第1ガイド部寄りの位置に配置され、サドルを第3軸方向に駆動させる第1送り装置と、第2軸方向において第1ガイド部よりも第2ガイド部寄りの位置に設けられ、サドルを第3軸方向に駆動させる第2送り装置とをさらに備える。
【0016】
このように構成された工作機械によれば、第1ガイド部の側の駆動力と、第2ガイド部の側の駆動力とに差が生じることを抑制できる。これにより、サドルを第3軸方向においてより安定して移動させることができる。
【0017】
また好ましくは、フレーム部は、第1軸方向におけるフレーム部の厚みが、第2軸方向において、第1位置からフレーム部の上端部に向かうに従って減少する第1漸減部と、第1軸方向におけるフレーム部の厚みが、第2軸方向において、第1位置からフレーム部の下端部に向かうに従って減少する第2漸減部とを含む。
【0018】
このように構成された工作機械によれば、サドルの重量をさらに低減することができる。
【0019】
また好ましくは、工具主軸は、サドルに対して、第2軸方向に移動可能である。工具主軸が第2軸方向において上方側のストローク端に位置決めされた場合に、回転中心軸は、第2軸方向において、第1位置と同じ高さ、または、第1位置よりも上方に位置する。
【0020】
このように構成された工作機械によれば、工具主軸が第2軸方向において上方側のストローク端に移動した場合であっても、第1軸方向におけるフレーム部の厚みをフレーム部の下端部よりも上端部寄りの第1位置で最大とすることによって、サドルの振動を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に説明したように、この発明に従えば、サドルの重量を低減するとともに、サドルの振動を抑制することが可能な工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施の形態における工作機械を示す斜視図である。
図2図1中の工作機械を示す上面図である。
図3図1中の工作機械を示す側面図である。
図4図1中の工作機械を示す正面図である。
図5図1中のサドルを示す斜視図である。
図6図1中のサドルを示す上面図である。
図7図1中のサドルを示す側面図である。
図8図3中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。
図9図3中の2点鎖線IXで囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。
図10】工具主軸がY軸方向において上方側のストローク端に位置決めされた場合の工作機械を示す側面図である。
図11】工具主軸がY軸方向において下方側のストローク端に位置決めされた場合の工作機械を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0024】
図1は、この発明の実施の形態における工作機械を示す斜視図である。図2は、図1中の工作機械を示す上面図である。図3は、図1中の工作機械を示す側面図である。図4は、図1中の工作機械を示す正面図である。
【0025】
図中には、工作機械の外観をなすカバー体を透視することによって、工作機械の内部構造が示されている。
【0026】
図1から図4を参照して、本実施の形態における工作機械100は、ワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうマシニングセンタである。工作機械100は、工具の回転中心軸が水平方向に延びる横形マシニングセンタである。工作機械100は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Control)工作機械である。
【0027】
本明細書においては、水平方向に平行で、かつ、工具の回転中心軸に平行な軸を「Z軸(第1軸)」といい、鉛直方向に平行な軸を「Y軸(第2軸)」といい、水平方向に平行で、かつ、工具の回転中心軸に直交する軸を「X軸(第3軸)」という。図3中における左方向が「+Z軸方向」であり、右方向が「-Z軸方向」である。上方向が「+Y軸方向」であり、下方向が「-Y軸方向」である。図2中における右方向が「+X軸方向」であり、左方向が「-X軸方向」である。
【0028】
まず、工作機械100の全体構造について説明する。工作機械100は、ベッド11と、コラム21と、サドル31と、クロススライド41と、工具主軸91と、テーブル51とを有する。
【0029】
ベッド11は、コラム21、サドル31、クロススライド41、工具主軸91およびテーブル51等を支持するためのベース部材であり、工場などの床面に設置されている。ベッド11は、鋳鉄等の金属からなる。
【0030】
ベッド11は、上面視した場合に、Z軸方向に延びる長辺と、X軸方向に延びる短辺とを有する矩形形状を有する。Y軸方向におけるベッド11の全長は、Z軸方向におけるベッド11の全長よりも小さく、X軸方向におけるベッド11の全長よりも小さい。
【0031】
ベッド11は、第1周壁部12と、第2周壁部13とを有する。第1周壁部12および第2周壁部13は、上面視した場合のベッド11の周縁に設けられている。第1周壁部12および第2周壁部13は、X軸方向におけるベッド11の両端部に設けられている。第1周壁部12は、-X軸方向におけるベッド11の端部に設けられている。第2周壁部13は、+X軸方向におけるベッド11の端部に設けられている。第1周壁部12および第2周壁部13は、上方に向けて立ち上がる壁形状をなしながらZ軸方向に沿って延びている。
【0032】
第1周壁部12は、第1頂面12aを有する。第2周壁部13は、第2頂面13aを有する。第1頂面12aおよび第2頂面13aは、X軸-Z軸平面に平行な平面である。第1頂面12aおよび第2頂面13aは、上方を向いている。
【0033】
ベッド11は、第1段差部14と、第2段差部15とをさらに有する。第1段差部14は、第1周壁部12から下方に向けて凹む段差をなしている。第2段差部15は、第2周壁部13から下方に向けて凹む段差をなしている。第1段差部14は、X軸方向において、第1周壁部12および第2段差部15の間に設けられている。第2段差部15は、X軸方向において、第1段差部14および第2周壁部13の間に設けられている。
【0034】
第1段差部14は、第3頂面14aを有する。第1頂面12aは、第3頂面14aよりも上方に配置されている。第1周壁部12は、第3頂面14aから上方に向けて突出する凸形状をなしている。第2段差部15は、第4頂面15aを有する。第2頂面13aは、第4頂面15aよりも上方に配置されている。第2周壁部13は、第4頂面15aから上方に向けて突出する凸形状をなしている。
【0035】
コラム21は、ベッド11上に立設されている。コラム21は、ベッド11の上面に載置されている。コラム21は、全体として、ベッド11から上方に向けて立ち上がる門型形状を有する。コラム21は、ベッド11に対して固定されている。コラム21は、ボルトを用いて、ベッド11に対して締結されている。コラム21は、-Z軸方向におけるベッド11の端部に配置されている。
【0036】
サドル31は、コラム21により支持されている。サドル31は、+Z軸方向を向くコラム21の前面に設けられている。サドル31は、全体として、ベッド11から上方に向けて立ち上がる枠型形状を有する。サドル31は、移動体である。サドル31は、コラム21に対してX軸方向に移動可能に設けられている。
【0037】
なお、コラム21およびサドル31の構造、ならびに、サドル31をX軸方向に移動させるための構造については、後で詳細に説明する。
【0038】
クロススライド41は、サドル31により支持されている。クロススライド41は、+Z軸方向を向くサドル31の前面に設けられている。クロススライド41は、全体として、X軸-Y軸平面に平行な板形状を有する。クロススライド41は、サドル31等に設けられた送り装置42,43およびガイド部46,47によって、サドル31に対してY軸方向(上下方向)に移動可能に設けられている。
【0039】
工具主軸91は、クロススライド41により支持されている。工具主軸91は、クロススライド41に対して固定されている。工具主軸91は、クロススライド41を貫通し、クロススライド41から+Z軸方向および-Z軸方向に向けて突出している。工具主軸91は、クロススライド41を介して、コラム21により支持されている。工具主軸91は、サドル31に対して、クロススライド41とともにY軸方向(上下方向)に移動する。
【0040】
工具主軸91は、Z軸に平行な回転中心軸110を中心に、モータ駆動により回転可能に設けられている。工具主軸91には、工作機械100におけるワーク加工のための工具が保持される。工具主軸91の回転に伴って、工具主軸91に保持された工具が回転中心軸110を中心に回転する。
【0041】
テーブル51は、ベッド11により支持されている。テーブル51は、ベッド11上に設けられている。テーブル51は、コラム21、サドル31およびクロススライド41から+Z軸方向に離れた位置に設けられている。テーブル51は、ワークを保持するための装置である。テーブル51は、Z軸方向において工具主軸91と対向する位置にワークを保持する。
【0042】
テーブル51は、ワーク保持部61と、テーブルベース71とを有する。ワーク保持部61は、X軸方向において、第1周壁部12および第2周壁部13の間に配置されている。ワーク保持部61は、ワークを着脱可能に保持する。ワーク保持部61には、パレットPが装着されている。ワーク保持部61には、パレットPを、Y軸方向に延びる回転中心軸130を中心に回転させるための回転機構部(不図示)と、パレットPをクランプおよびアンクランプするためのクランプ機構部(不図示)とが内蔵されている。パレットPには、たとえば、ワークが取り付けられるイケール等の治具が搭載される。
【0043】
ワーク保持部61は、テーブルベース71により支持されている。テーブルベース71は、ワーク保持部61の下方に設けられている。テーブルベース71は、上面視した場合に、X軸方向において、第3頂面14aおよび第4頂面15aの間に跨がって設けられている。
【0044】
テーブル51は、送り装置52,53およびガイド部58,59によって、ベッド11に対してZ軸方向に移動可能に設けられている。送り装置52およびガイド部58は、第3頂面14a上に設けられている。送り装置52およびガイド部58は、第3頂面14a上において、テーブルベース71に接続されている。送り装置53およびガイド部59は、第4頂面15a上に設けられている。送り装置53およびガイド部59は、第4頂面15a上において、テーブルベース71に接続されている。
【0045】
続いて、サドル31およびコラム21の構造と、サドル31をX軸方向に移動させるための構造とについて、より具体的に説明する。図5は、図1中のサドルを示す斜視図である。図6は、図1中のサドルを示す上面図である。図7は、図1中のサドルを示す側面図である。
【0046】
図1から図7を参照して、サドル31は、鋳鉄等の金属からなる。サドル31は、フレーム部211を有する。フレーム部211は、工具主軸91から、ワーク加工時の切削負荷を受ける剛体として設けられている。
【0047】
フレーム部211は、枠形状を有する。フレーム部211は、工具主軸91を取り囲むように設けられている。フレーム部211は、工具主軸91における回転中心軸110の周りで周回する枠形状を有する。
【0048】
Y軸方向におけるフレーム部211の全長は、Z軸方向におけるフレーム部211の全長よりも大きく、X軸方向におけるフレーム部211の全長よりも大きい。Y軸方向におけるフレーム部211の全長は、Y軸方向におけるコラム21の全長よりも大きい。Y軸方向におけるフレーム部211の全長は、Y軸方向におけるコラム21の全長以下であってもよい。X軸方向におけるフレーム部211の全長は、X軸方向におけるコラム21の全長よりも小さい。
【0049】
Z軸方向におけるフレーム部211の全長(最大厚み)は、Z軸方向におけるコラム21の全長(最大厚み)よりも小さくてもよいし、Z軸方向におけるコラム21の全長(最大厚み)以上であってもよい。
【0050】
図5から図7に示されるように、フレーム部211は、第1側壁部212と、第2側壁部213と、上壁部214と、下壁部215とを有する。
【0051】
第1側壁部212および第2側壁部213は、X軸方向において、互いに離れて設けられている。第1側壁部212および第2側壁部213は、Y軸方向(上下方向)に延びている。上壁部214および下壁部215は、X軸方向に延びている。上壁部214および下壁部215は、Y軸方向において、互いに離れて設けられている。-X軸方向における上壁部214の端部が、+Y軸方向における第1側壁部212の端部に接続され、+X軸方向における上壁部214の端部が、+Y軸方向における第2側壁部213の端部に接続されている。-X軸方向における下壁部215の端部が、-Y軸方向における第1側壁部212の端部に接続され、+X軸方向における下壁部215の端部が、-Y軸方向における第2側壁部213の端部に接続されている。
【0052】
第1側壁部212、第2側壁部213、上壁部214および下壁部215は、互いに一体となって枠形状をなしている。第1側壁部212、第2側壁部213、上壁部214および下壁部215の内側には、開口部210が設けられている。開口部210は、Z軸方向に延びている。開口部210には、工具主軸91が挿入されている。第1側壁部212および第2側壁部213は、X軸方向に見た場合に、工具主軸91の一部(後端部)と重なり合っている。上壁部214および下壁部215は、Y軸方向に見た場合に、工具主軸91の一部(後端部)と重なり合っている。
【0053】
フレーム部211は、仮想平面201を挟んで対称となる形状を有してもよい。仮想平面201は、Y軸-Z軸平面に平行で、かつ、工具主軸91の回転中心軸110を含む平面である。第1側壁部212および第2側壁部213は、仮想平面201を挟んで、互いに対称となる形状を有してもよい。上壁部214は、仮想平面201を挟んで対称となる形状を有してもよい。下壁部215は、仮想平面201を挟んで対称となる形状を有してもよい。
【0054】
なお、ここでいう対称形状は、厳密な意味ではなく、フレーム部211は、センサもしくはスケール等の各種部品が取り付けられる座、または、各種部品を取り付けるための雌ネジもしくは孔などを除いた場合に、仮想平面201を挟んで対称となる形状を有すればよい。
【0055】
フレーム部211は、上端部221と、下端部222とを有する。上端部221は、+Y軸方向におけるフレーム部211の先端部である。上端部221は、フレーム部211のうちで最も高い位置に配置されるフレーム部211の部位である。上端部221は、上壁部214の頂面からなる。下端部222は、-Y軸方向におけるフレーム部211の先端部である。下端部222は、フレーム部211のうちで最も低い位置に配置されるフレーム部211の部位である。下端部222は、下壁部215の底面からなる。
【0056】
サドル31は、中間リブ部220をさらに有する。中間リブ部220は、第1側壁部212および第2側壁部213の間において、X軸方向に延びている。
【0057】
-X軸方向における中間リブ部220の端部は、-Z軸方向における第1側壁部212の端部に接続され、+X軸方向における中間リブ部220の端部は、-Z軸方向における第2側壁部213の端部に接続されている。中間リブ部220は、上壁部214から-Y軸方向に離れた位置であって、下壁部215から+Y軸方向に離れた位置に設けられている。中間リブ部220は、Y軸方向において、フレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りの位置に設けられている。
【0058】
サドル31は、第1モータ取り付け部216と、第2モータ取り付け部217と、第1ナット取り付け部218と、第2ナット取り付け部219とをさらに有する。
【0059】
第1モータ取り付け部216は、第1側壁部212および上壁部214が交わる角部に設けられている。第2モータ取り付け部217は、第2側壁部213および上壁部214が交わる角部に設けられている。第1モータ取り付け部216および第2モータ取り付け部217は、フレーム部211から+Z軸方向に突出している。第1モータ取り付け部216および第2モータ取り付け部217は、全体として、Y軸方向に延びる筒形状をなしている。第1モータ取り付け部216および第2モータ取り付け部217は、仮想平面201を挟んで対称に設けられている。
【0060】
第1ナット取り付け部218は、中間リブ部220から-Z軸方向に突出している。第2ナット取り付け部219は、下壁部215から-Z軸方向に突出している。第1ナット取り付け部218および第2ナット取り付け部219は、全体として、X軸方向に延び、-Z軸方向を向いて部分的に開放された筒形状をなしている。
【0061】
図1から図7に示されるように、工作機械100は、第1送り装置22と、第2送り装置23とをさらに有する。第1送り装置22および第2送り装置23は、コラム21およびサドル31に設けられている。第1送り装置22および第2送り装置23は、サドル31に対して駆動力を付与することによって、サドル31をZ軸方向に移動させる。
【0062】
第1送り装置22は、サーボモータ241と、ネジ軸242と、ナット243とを有する。第2送り装置23は、サーボモータ246と、ネジ軸247と、ナット(不図示)とを有する。
【0063】
図2に示されるように、ネジ軸242は、X軸方向に延びている。ネジ軸242は、X軸方向において互いに離れて配置された複数の軸受けによって、回転可能に支持されている。ナット243は、複数のボールを介して、ネジ軸242に嵌め合わされている。ナット243は、サドル31に固定されている。ナット243は、第1ナット取り付け部218に取り付けられている。ネジ軸242およびナット243は、ボールネジを構成している。サーボモータ241の出力軸は、ネジ軸242に連結されている。サーボモータ241からの回転は、ネジ軸242に入力される。
【0064】
ネジ軸247は、X軸方向に延びている。ネジ軸247は、X軸方向において互いに離れて配置された複数の軸受けによって、回転可能に支持されている。ナット(不図示)は、複数のボールを介して、ネジ軸247に嵌め合わされている。ナット(不図示)は、サドル31に固定されている。ナット(不図示)は、第2ナット取り付け部219に取り付けられている。ネジ軸247およびナット(不図示)は、ボールネジを構成している。サーボモータ246の出力軸は、ネジ軸247に連結されている。サーボモータ246からの回転は、ネジ軸247に入力される。
【0065】
図3に示されるように、第1送り装置22は、第2送り装置23よりも上方に設けられている。第1送り装置22は、Y軸方向において、フレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りの位置に設けられている。第2送り装置23は、Y軸方向において、フレーム部211の上端部221よりも下端部222寄りの位置に設けられている。第1送り装置22は、第2送り装置23から-Z軸方向にずれた位置に設けられている。
【0066】
図8は、図3中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。図9は、図3中の2点鎖線IXで囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。
【0067】
図8および図9を参照して、サドル31は、第1ガイド取り付け面231と、第2ガイド取り付け面232とを有する。第1ガイド取り付け面231および第2ガイド取り付け面232は、X軸-Y軸平面に平行な平面からなる。第1ガイド取り付け面231および第2ガイド取り付け面232は、-Z軸方向を向いている。
【0068】
コラム21は、第3ガイド取り付け面261と、第4ガイド取り付け面262とをさらに有する。第3ガイド取り付け面261および第4ガイド取り付け面262は、X軸-Y軸平面に平行な平面からなる。第3ガイド取り付け面261および第4ガイド取り付け面262は、+Z軸方向を向いている。
【0069】
第3ガイド取り付け面261は、Z軸方向において、第1ガイド取り付け面231と対向している。第4ガイド取り付け面262は、Z軸方向において、第2ガイド取り付け面232と対向している。
【0070】
図1から図9を参照して、工作機械100は、第1ガイド部26と、第2ガイド部27とをさらに有する。第1ガイド部26および第2ガイド部27は、コラム21およびサドル31に設けられている。第1ガイド部26および第2ガイド部27は、サドル31をX軸方向に案内する。
【0071】
第1ガイド部26は、第1ガイド取り付け面231および第3ガイド取り付け面261に取り付けられている。
【0072】
第1ガイド部26は、レール251と、スライダー252およびスライダー253とを有する。レール251は、X軸方向に延びている。レール251は、ボルトを用いて、第3ガイド取り付け面261に締結されている。スライダー252およびスライダー253は、複数のボールを介して、レール251に嵌め合わされている。スライダー252およびスライダー253は、レール251に案内されることによってX軸方向にスライド可能である。スライダー252およびスライダー253は、X軸方向において、互いに離れて設けられている。スライダー252およびスライダー253は、ボルトを用いて、第1ガイド取り付け面231に締結されている。レール251と、スライダー252およびスライダー253とは、直動案内機構であるリニアガイドを構成している。
【0073】
第2ガイド部27は、第2ガイド取り付け面232および第4ガイド取り付け面262に取り付けられている。
【0074】
第2ガイド部27は、レール256と、スライダー257およびスライダー258とを有する。レール256は、X軸方向に延びている。レール256は、ボルトを用いて、第4ガイド取り付け面262に締結されている。スライダー257およびスライダー258は、複数のボールを介して、レール256に嵌め合わされている。スライダー257およびスライダー258は、レール256に案内されることによってX軸方向にスライド可能である。スライダー257およびスライダー258は、X軸方向において、互いに離れて設けられている。スライダー257およびスライダー258は、ボルトを用いて、第2ガイド取り付け面232に締結されている。レール256と、スライダー257およびスライダー258とは、直動案内機構であるリニアガイドを構成している。
【0075】
第1ガイド部26は、第2ガイド部27よりも上方に設けられている。第1ガイド部26は、Y軸方向において、フレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りの位置に設けられている。第2ガイド部27は、Y軸方向において、フレーム部211の上端部221よりも下端部222寄りの位置に設けられている。第1ガイド部26は、第2ガイド部27から-Z軸方向にずれた位置に設けられている。
【0076】
コラム21に対する第1ガイド部26および第2ガイド部27の組み付け作業時、作業者は、コラム21を、-Z軸方向を向くコラム21の後面が床面上に横たわる姿勢として、第3ガイド取り付け面261にレール251を取り付け、第4ガイド取り付け面262にレール256を取り付ける。
【0077】
本実施の形態では、第3ガイド取り付け面261および第4ガイド取り付け面262が、それぞれ、第1ガイド取り付け面231および第2ガイド取り付け面232とZ軸方向において対向するため、上記のコラム21に対する第1ガイド部26および第2ガイド部27の組み付け作業時に、第3ガイド取り付け面261および第4ガイド取り付け面262が上方を向く。これにより、コラム21に対する第1ガイド部26および第2ガイド部27の組み付け作業を容易に行なうことができる。
【0078】
図5から図7に示されるように、コラム21は、第5ガイド取り付け面226と、第6ガイド取り付け面227とをさらに有する。第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、X軸-Y軸平面に平行な平面からなる。第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、+Z軸方向を向いている。第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、+Z軸方向におけるフレーム部211の端部に設けられている。
【0079】
第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、X軸方向において、互いに離れて設けられている。第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、それぞれ、第1側壁部212および第2側壁部213に設けられている。第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227は、Y軸方向に沿って帯状に延びている。
【0080】
第5ガイド取り付け面226には、クロススライド41をY軸方向に案内するガイド部46のレールが取り付けられている。第6ガイド取り付け面227には、クロススライド41をY軸方向に案内するガイド部47のレールが取り付けられている。
【0081】
図7に示されるように、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、Y軸方向に沿って変化する。Z軸方向における第1側壁部212および第2側壁部213の各厚みBは、Y軸方向に沿って変化する。
【0082】
Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、フレーム部211の上端部221および下端部222の間における一部の区間で変化してもよいし、フレーム部211の上端部221および下端部222の間における全区間で変化してもよい。すなわち、フレーム部211は、フレーム部211の上端部221および下端部222の間に、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBがY軸方向に沿って変化する少なくとも一部の区間を有する。
【0083】
Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、フレーム部211の下端部222よりもフレーム部211の上端部221寄りの第1位置Paで最大(最大厚みBmax)となる。Y軸方向における上端部221および第1位置Paの間の長さは、Y軸方向における第1位置Paおよび下端部222の間の長さよりも小さい。第1位置Paは、フレーム部211が最大厚みBmaxを有する、Y軸方向における所定範囲に対応している。
【0084】
フレーム部211は、Y軸方向における上端部221および下端部222の間において、長さ(全長)Hを有する。フレーム部211は、Y軸方向における上端部221および中間位置Phの間において、長さH/2を有し、Y軸方向における中間位置Phおよび下端部222の間において、長さH/2を有する。中間位置Phは、Y軸方向において、上端部221および下端部222の間の中心に位置している。
【0085】
第1位置Paは、中間位置Phよりも上方に位置している。第1位置Paは、Y軸方向において、上端部221よりも中間位置Ph寄りに位置している。第1位置Paは、Y軸方向において、中間位置Phよりも上端部221寄りに位置してもよいし、上端部221および中間位置Phの間の中心に位置してもよい。
【0086】
図3および図7に示されるように、第1ガイド部26(レール251,スライダー252,スライダー253)は、Y軸方向において第1位置Paに配置されている。第1ガイド取り付け面231は、Y軸方向において第1位置Paに配置されている。Y軸方向におけるレール251の中心位置は、第1位置Paに位置している。なお、Z軸方向におけるフレーム部211の最大厚みBmaxは、近似的に、第1ガイド取り付け面231と、第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227との間の長さに対応している。
【0087】
第2ガイド部27(レール256,スライダー257,スライダー258)は、Y軸方向において第2位置Pbに配置されている。第2ガイド取り付け面232は、Y軸方向において第2位置Pbに配置されている。第2位置Pbは、Y軸方向におけるレール256の中心位置に対応している。
【0088】
第2位置Pbは、第1位置Paよりも下方に位置している。第2位置Pbは、Y軸方向において、フレーム部211の上端部221よりも下端部222寄りに位置している。第2位置Pbは、Y軸方向において、中間位置Phよりも下端部222寄りに位置している。第2位置Pbは、Y軸方向において、下端部222よりも中間位置Ph寄りに位置してもよいし、中間位置Phおよび下端部222の間の中心に位置してもよい。
【0089】
フレーム部211は、第2位置PbでZ軸方向における厚みBbを有する。なお、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBbは、近似的に、第2ガイド取り付け面232と、第5ガイド取り付け面226および第6ガイド取り付け面227との間の長さである。Z軸方向におけるフレーム部211の最大厚みBmaxは、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBbの2倍以上であってもよいし、3倍以上であってもよい(Bmax≧2Bb,Bmax≧3Bb)。
【0090】
第2位置PbでのZ軸方向におけるコラム21の厚みCbは、第1位置PaでのZ軸方向におけるコラム21の厚みCaよりも大きい(Cb>Ca)。Z軸方向におけるコラム21の厚みCbは、Z軸方向におけるコラム21の厚みCaの1.5倍以上であってもよいし、2倍以上であってもよい(Cb≧1.5Ca,Cb≧2Ca)。
【0091】
Z軸方向におけるフレーム部211の最大厚みBmaxと、Z軸方向におけるコラム21の厚みCaとの和は、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBbと、Z軸方向におけるコラム21の厚みCbとの和と等しくてもよい(Bmax+Ca=Bb+Cb)。
【0092】
第1送り装置22は、Y軸方向において、第2ガイド部27よりも第1ガイド部26寄りの第3位置Pcに配置されている。第2送り装置23は、Y軸方向において、第1ガイド部26よりも第2ガイド部27寄りの第4位置Pdに配置されている。第3位置Pcは、ネジ軸242に回転中心軸の位置に対応し、第4位置Pdは、ネジ軸247の回転中心軸の位置に対応している。
【0093】
第3位置Pcは、Y軸方向において、フレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りに位置している。第3位置Pcは、第1位置Paよりも上方に位置している。第1送り装置22は、Y軸方向(上下方向)において、第1ガイド部26と並んで設けられている。第4位置Pdは、Y軸方向において、フレーム部211の上端部221よりも下端部222寄りに位置している。第4位置Pdは、第2位置Pbよりも上方に位置している。第2送り装置23は、Y軸方向(上下方向)において、第2ガイド部27と並んで設けられている。
【0094】
このような構成によれば、第1送り装置22が、Y軸方向において、第2ガイド部27よりも第1ガイド部26寄りの第3位置Pcに配置され、第2送り装置23が、Y軸方向において、第1ガイド部26よりも第2ガイド部27寄りの第4位置Pdに配置されているため、第1ガイド部26の側の駆動力と、第2ガイド部27の側の駆動力とに差が生じることを抑制できる。これにより、サドル31をX軸方向においてより安定して移動させることができる。
【0095】
なお、第1送り装置22および第1ガイド部26は、Y軸方向(上下方向)において、互いに入れ替わって設けられてもよいし、第2送り装置23および第2ガイド部27は、Y軸方向(上下方向)において、互いに入れ替わって設けられてもよい。
【0096】
図7に示されるように、フレーム部211は、第1漸減部236と、第2漸減部237とを有する。Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、第1漸減部236において、第1位置Paから上端部221に向かうに従って減少する。第1漸減部236は、Y軸方向において、第1位置Paおよび上端部221の間に設けられている。Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、第2漸減部237において、第1位置Paから下端部222に向かうに従って減少する。第2漸減部237は、Y軸方向において、第1位置Paおよび第4位置Pdの間に設けられている。
【0097】
フレーム部211は、X軸方向に見た場合に、全体として、+Z軸方向における端部においてY軸方向に延びる底辺と、底辺の上端から、-Z軸方向、かつ、-Y軸方向に延びる第1斜辺と、底辺の下端から、-Z軸方向、かつ、+Y軸方向に延び、第1位置Paにおいて第1斜辺と交わる第2斜辺とを有する三角形状を有する。
【0098】
図3に示されるように、コラム21は、X軸方向に見た場合に、全体として、-Z軸方向における端部においてY軸方向に延びる第1辺と、第1辺の下端から、+Z軸方向に延び、第1辺よりも小さい長さを有する第2辺と、第1辺の上端から、+Z軸方向、かつ、-Y軸方向に延び、第2辺と交わる斜辺とを有する三角形状を有する。
【0099】
図1から図7に示されるように、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBがY軸方向に沿って変化するため、フレーム部211の厚みBをY軸方向における全域に渡って大きく確保する場合と比較して、サドル31の重量を低減することができる。これにより、X軸方向に移動するサドル31の慣性モーメントを小さくして、ワーク加工時に生じる振動を抑制することができる。
【0100】
また、コラム21の下端部は、ベッド11により支持されるため、そのコラム21によって支持されるサドル31は、フレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りの位置で振動し易い。これに対して、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBをフレーム部211の下端部222よりも上端部221寄りの第1位置Paで最大とすることによって、第1位置Paにおけるサドル31の剛性を高めることができる。これにより、ワークの切削負荷が工具主軸91を通じてサドル31に伝わった場合であっても、サドル31の振動を効果的に抑制することができる。
【0101】
また、第1ガイド部26は、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBが最大となる第1位置Paに配置されている。このような構成により、サドル31が第1位置Paにおいて第1ガイド部26により支持されるため、サドル31の振動をさらに効果的に抑制できる。
【0102】
また、第1位置Paよりも下方の第2位置PbでのZ軸方向におけるコラム21の厚みCbは、第1位置PaでのZ軸方向におけるコラム21の厚みCaよりも大きい。このような構成により、ベッド11により支持される下端部側のコラム21の厚みを十分に確保する。これにより、コラム21がベッド11によってより強固に支持されるため、コラム21により支持されるサドル31の振動をさらに効果的に抑制することができる。
【0103】
また、フレーム部211は、第1漸減部236と、第2漸減部237とを有する。第1漸減部236では、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBが第1位置Paから上端部221に向かうに従って減少し、第2漸減部237では、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBが第1位置Paから下端部222に向かうに従って減少するため、サドル31の重量を低減することができる。
【0104】
図10は、工具主軸がY軸方向において上方側のストローク端に位置決めされた場合の工作機械を示す側面図である。図11は、工具主軸がY軸方向において下方側のストローク端に位置決めされた場合の工作機械を示す側面図である。
【0105】
図10を参照して、工具主軸91が、Y軸方向において上方側のストローク端に位置決めされている場合に、工具主軸91の回転中心軸110は、Y軸方向において第5位置Peに配置されている。第5位置Peは、Y軸方向において第1位置Paよりも上方に位置している。第5位置Peは、Y軸方向において、第1位置Paおよび第3位置Pcの間に位置している。第5位置Peは、第1位置Paと同じ高さに位置してもよい。
【0106】
このような構成によれば、工具主軸91がY軸方向において上方側のストローク端に移動した場合であっても、Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBを第1位置Paで最大とすることによって、サドル31の振動を効果的に抑制することができる。
【0107】
図11を参照して、工具主軸91が、Y軸方向において下方側のストローク端に位置決めされている場合に、工具主軸91の回転中心軸110は、Y軸方向において第6位置Pfに配置されている。第6位置Pfは、Y軸方向において、第4位置Pdよりも下方に位置している。第6位置Pfは、Y軸方向において、第4位置Pdと同じ高さ、または、第4位置Pdよりも上方に位置してもよい。第6位置Pfは、Y軸方向において、第2位置Pbよりも上方に位置している。
【0108】
以上に説明した、この発明の実施の形態における工作機械100の構造についてまとめると、本実施の形態における工作機械100は、ベッド11と、ベッド11上に立設されるコラム21と、コラム21により支持される移動体であるサドル31と、サドル31により支持され、水平方向に平行な第1軸方向としてのZ軸方向に延びる回転中心軸110を中心に工具を回転させる工具主軸91とを備える。サドル31は、工具主軸91を取り囲むように設けられるフレーム部211を有する。Z軸方向におけるフレーム部211の厚みBは、鉛直方向に平行な第2軸方向としてのY軸方向に沿って変化し、フレーム部211の下端部222よりもフレーム部211の上端部221寄りの第1位置Paで最大となる。
【0109】
このように構成された、この発明の実施の形態における工作機械100によれば、サドル31の重量を低減するとともに、ワーク加工時のサドル31の振動を抑制することができる。これにより、ワークの加工精度を向上させることができる。
【0110】
なお、本発明は、横形マシニングセンタに限られず、たとえば、水平方向に延びる回転中心軸を中心に工具を回転させる工具主軸と、ワークを回転させるワーク主軸とを備え、旋削機能およびミーリング機能を有する複合加工機であってもよい。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0112】
この発明は、主に、横形マシニングセンタまたは複合加工機等の工作機械に適用される。
【符号の説明】
【0113】
11 ベッド、12 第1周壁部、12a 第1頂面、13 第2周壁部、13a 第2頂面、14 第1段差部、14a 第3頂面、15 第2段差部、15a 第4頂面、21 コラム、22 第1送り装置、23 第2送り装置、26 第1ガイド部、27 第2ガイド部、31 サドル、41 クロススライド、42,43,52,53 送り装置、46,47,58,59 ガイド部、51 テーブル、61 ワーク保持部、71 テーブルベース、91 工具主軸、100 工作機械、110 回転中心軸、130 回転中心軸、201 仮想平面、210 開口部、211 フレーム部、212 第1側壁部、213 第2側壁部、214 上壁部、215 下壁部、216 第1モータ取り付け部、217 第2モータ取り付け部、218 第1ナット取り付け部、219 第2ナット取り付け部、220 中間リブ部、221 上端部、222 下端部、226 第5ガイド取り付け面、227 第6ガイド取り付け面、231 第1ガイド取り付け面、232 第2ガイド取り付け面、236 第1漸減部、237 第2漸減部、241,246 サーボモータ、242,247 ネジ軸、243 ナット、251,256 レール、252,253,257,258 スライダー、261 第3ガイド取り付け面、262 第4ガイド取り付け面、Pa 第1位置、Pb 第2位置、Pc 第3位置、Pd 第4位置、Pe 第5位置、Pf 第6位置、Ph 中間位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11