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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】抵抗スポット溶接装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/30 20060101AFI20240925BHJP
   B23K 11/11 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B23K11/30
B23K11/11 540
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023524802
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2021076530
(87)【国際公開番号】W WO2022083036
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】202011140736.0
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518232342
【氏名又は名称】中車青島四方机車車輛股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ ▲曉▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 野
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 志毅
(72)【発明者】
【氏名】叶 ▲結▼和
(72)【発明者】
【氏名】曹 金山
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-292974(JP,A)
【文献】特開昭57-112980(JP,A)
【文献】実開昭55-028002(JP,U)
【文献】特開2009-154171(JP,A)
【文献】特開昭62-212077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/30
B23K 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接すべきコンポーネントの同一の溶接面に位置する一対の電極を含む抵抗スポット溶接装置であって、
前記溶接すべきコンポーネントに対称軸が設けられ、一対の前記電極は前記対称軸の両側に対称に設けられ、各前記電極の一端はいずれも異形接触面を有し、各前記異形接触面はそれぞれ電極軸線に対して前記対称軸から離れる方向にずれ、
そのうち、前記異形接触面は、前記電極によって形成された電流密度中心線を前記電極軸線に対して前記対称軸から離れる方向にずらせるために用いられ、及び/又は、各前記電極の電流密度を前記溶接すべきコンポーネント内において前記溶接面から離れる傾向に偏向させるために用いられる
ことを特徴とする抵抗スポット溶接装置。
【請求項2】
前記電極は、電極ヘッドと、電極ロッドとを備え、前記電極ヘッドの一端は前記電極ロッドの端部に着脱可能に嵌着され、前記電極ヘッドの他端にボスが構成され、前記ボスの端面に前記異形接触面が構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項3】
前記異形接触面は、幾何学的中心が前記電極軸線の前記対称軸から離れる側に位置する第1の接触面を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項4】
前記異形接触面は更に第2の接触面を含み、前記第2の接触面は前記第1の接触面の前記対称軸に近い側に接続され、且つ前記第1の接触面の面積は前記第2の接触面の面積より大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項5】
前記第1の接触面及び前記第2の接触面はそれぞれ前記電極軸線の両側に設置され、そのうち、前記第1の接触面は前記対称軸から遠い側に位置し、前記第2の接触面は前記対称軸に近い側に位置する
ことを特徴とする請求項4に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項6】
前記ボスの前記対称軸に近い側には、前記異形接触面と前記電極ヘッドの外壁との間に接続されるガイド部が構成され、前記ガイド部は、前記電極軸線に対して傾斜しており、前記電流密度中心線が前記電極軸線に対して前記対称軸から離れる側に偏ったり傾いたりするように案内する
ことを特徴とする請求項2に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項7】
前記電極ヘッドの一端には軸方向に設けられた取付孔が構成され、前記電極ロッドの一端には前記取付孔内に同軸に挿着可能な接続部が構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項8】
前記取付孔の側壁にはスライド溝が構成され、前記接続部の側壁には前記スライド溝内に摺動可能に装着されるスライダが構成され、前記スライド溝と前記スライダはいずれも前記電極軸線に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項9】
前記取付孔の端面には位置決め溝が構成され、前記接続部の一端には前記位置決め溝内に同軸に装着可能な位置決めボスが構成され、前記接続部の他端にはレバー体が連結される
ことを特徴とする請求項7に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項10】
ベースプレート及びパッドプレートを更に含み、前記溶接すべきコンポーネントは、上側溶接板と下側溶接板とを含み、前記上側溶接板と前記下側溶接板は、順次に前記パッドプレートと前記ベースプレートとの間に平らに敷かれ、
前記パッドプレートの前記上側溶接板に背向する表面は前記溶接面である
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接装置により実行される抵抗スポット溶接方法であって、
一対の電極を駆動して溶接すべきコンポーネントの溶接面において前記溶接すべきコンポーネントの対称軸の両側に沿って並列に走行させることで、一対の前記電極を前記溶接すべきコンポーネントに同期して作用させ、且つ、前記溶接すべきコンポーネント内に、それぞれ一対の前記電極の異形接触面に対応するナゲットを形成することを含み、
そのうち、一対の前記ナゲットは前記対称軸に対して対称に設けられ、及び/又は、各前記ナゲットにおいて前記溶接すべきコンポーネントの下側溶接板に位置するナゲットの断面積は前記溶接すべきコンポーネントの上側溶接板に位置するナゲットの断面積よりも大きい
ことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年10月22日に提出された、出願番号が2020111407360、発明名称が「抵抗スポット溶接装置及び方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、溶接技術分野に関し、特に、抵抗スポット溶接装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抵抗スポット溶接は、溶接品質が安定し、生産効率が高く、機械化や自動化を容易に実現する接続方法であり、自動車、軌道列車、電子、家電製品などの製造分野で広く適用されている。片面ダブルスポット溶接は、通常の両面シングルスポット溶接に比べると、二つの溶接点を同時に溶接することができ、生産効率が高く、特に厚さ比が大きくて広い平板の溶接に適用する。同時に、片面溶接であるため、片側のみで到達できる溶接モードに適しており、一般的に軌道列車の車体の溶接に適用される。しかし、実際の生産過程において、片面ダブルスポット溶接を採用した場合の溶接点は、ナゲットの形状の遠近端の両側が非対称である、即ち、両電極の近位端のナゲットの厚さが大きく、遠位端の厚さが小さいことが現れる。この場合、ナゲットに荷重がかかったとき、遠位端のナゲットは、厚さが小さいため、受け力に弱いところである。厚さが小さい箇所に力学的性能の条件を満たすために、より多くの溶接熱入力が必要であり、近位端のナゲットの厚さが需要をはるかに超え、更に遠位端のナゲット側の溶接スパッタを引き起こし、溶接品質に影響を与える。それ以外に、片面ダブルスポット溶接は、一般的に差厚板の溶接に適用されているが、差厚板の溶接時にはナゲットずれと薄板側の溶け込み率が不足する場合があり、同様に溶接品質に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、少なくとも従来技術における問題点の1つを解決することを目的とする。そのため、本願は、ナゲットの形状の遠近端の両側が非対称構造であるため、溶接品質に影響を与えるという問題を解決するように、ナゲット品質を向上させる抵抗スポット溶接装置を提供する。
【0005】
本願は、ナゲット品質を向上させる抵抗スポット溶接方法を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様の実施形態に係る抵抗スポット溶接装置は、溶接すべきコンポーネントの同一の溶接面に位置する一対の電極を含み、前記溶接すべきコンポーネントに対称軸が設けられ、一対の前記電極は前記対称軸の両側に対称に設けられ、各前記電極の一端はいずれも異形接触面を有し、各前記異形接触面はそれぞれ電極軸線に対して前記対称軸から離れる方向にずれ、
そのうち、前記異形接触面は、前記電極によって形成された電流密度中心線を前記電極軸線に対して前記対称軸から離れる方向にずらせるために用いられ、及び/又は、各前記電極の電流密度を前記溶接すべきコンポーネント内において前記溶接面から離れる傾向に偏向させるために用いられる。
【0007】
本願の一実施形態によれば、前記電極は、電極ヘッドと、電極ロッドとを備え、前記電極ヘッドの一端は前記電極ロッドの端部に着脱可能に嵌着され、前記電極ヘッドの他端にボスが構成され、前記ボスの端面に前記異形接触面が構成される。
【0008】
本願の一実施形態によれば、前記異形接触面は、幾何学的中心が前記電極軸線の前記対称軸から離れる側に位置する第1の接触面を含む。
【0009】
本願の一実施形態によれば、前記異形接触面は更に第2の接触面を含み、前記第2の接触面は前記第1の接触面の前記対称軸に近い側に接続され、且つ前記第1の接触面の面積は前記第2の接触面の面積より大きい。
【0010】
本願の一実施形態によれば、前記第1の接触面及び前記第2の接触面はそれぞれ前記電極軸線の両側に設置され、そのうち、前記第1の接触面は前記対称軸から遠い側に位置し、前記第2の接触面は前記対称軸に近い側に位置する。
【0011】
本願の一実施形態によれば、前記ボスの前記対称軸に近い側には、前記異形接触面と前記電極ヘッドの外壁との間に接続されるガイド部が構成され、前記ガイド部は、前記電極軸線に対して傾斜しており、前記電流密度中心線が前記電極軸線に対して前記対称軸から離れる側に偏ったり傾いたりするように案内する。
【0012】
本願の一実施形態によれば、前記電極ヘッドの一端には軸方向に設けられた取付孔が構成され、前記電極ロッドの一端には前記取付孔内に同軸に挿着可能な接続部が構成される。
【0013】
本願の一実施形態によれば、前記取付孔の側壁にはスライド溝が構成され、前記接続部の側壁には前記スライド溝内に摺動可能に装着されるスライダが構成され、前記スライド溝と前記スライダはいずれも前記電極軸線に沿って設けられる。
【0014】
本願の一実施形態によれば、前記取付孔の端面には位置決め溝が構成され、前記接続部の一端には前記位置決め溝内に同軸に装着可能な位置決めボスが構成され、前記接続部の他端にはレバー体が連結される。
【0015】
本願の一実施形態によれば、ベースプレート及びパッドプレートを更に含み、前記溶接すべきコンポーネントは、上側溶接板と下側溶接板とを含み、前記上側溶接板と前記下側溶接板は、順次に前記パッドプレートと前記ベースプレートとの間に平らに敷かれ、前記パッドプレートの前記上側溶接板に背向する表面は前記溶接面である。
【0016】
本願の他の実施形態に係る抵抗スポット溶接方法は、上記の抵抗スポット溶接装置により実行され、
前記抵抗スポット溶接方法は、一対の電極を駆動して溶接すべきコンポーネントの溶接面において前記溶接すべきコンポーネントの対称軸の両側に沿って並列に走行させることで、一対の前記電極を前記溶接すべきコンポーネントに同期して作用させ、且つ、前記溶接すべきコンポーネント内に、それぞれ一対の前記電極の異形接触面に対応するナゲットを形成することを含み、
そのうち、一対の前記ナゲットは前記対称軸に対して対称に設けられ、及び/又は、各前記ナゲットにおいて前記溶接すべきコンポーネントの下側溶接板に位置するナゲットの断面積は前記溶接すべきコンポーネントの上側溶接板に位置するナゲットの断面積よりも大きい。
【0017】
本願の実施形態における上記の1つ又は複数の技術的解決手段は、少なくとも以下の技術的効果の1つを有する。
【0018】
本願の実施形態の抵抗スポット溶接装置は、溶接すべきコンポーネントの同一の溶接面に位置する一対の電極を含み、溶接すべきコンポーネントに対称軸が設けられ、一対の電極は対称軸の両側に対称に設けられ、各電極の一端はいずれも異形接触面を有し、各異形接触面はそれぞれ電極軸線に対して対称軸から離れる方向にずれ、そのうち、異形接触面は、電極によって形成された電流密度中心線を電極軸線に対して対称軸から離れる方向にずらせるために用いられ、及び/又は、各電極の電流密度を溶接すべきコンポーネント内において溶接面から離れる傾向に偏向させるために用いられる。本願に記載された装置は、電極の、溶接すべきコンポーネント内での電流密度状態を変更することができ、それにより、ナゲットの対称軸から離れた端部の熱入力を適切に補強し、且つナゲットの対称軸に近い端部の熱入力を適切に弱め、対称軸に対するナゲットの遠位端及び近位端の形状を対称且つ均一にさせることができ、ナゲットの形状及び受力状態はいずれも荷重を受ける時の力学的性能の要求を満たすことができ、溶接品質を向上させることができる。
【0019】
本願の実施形態に係る抵抗スポット溶接方法は、上記のような抵抗スポット溶接装置により実行され、前記抵抗スポット溶接方法は、一対の電極を駆動して溶接すべきコンポーネントの溶接面において溶接すべきコンポーネントの対称軸の両側に沿って並列に走行させることで、一対の電極を溶接すべきコンポーネントに同期して作用させ、且つ、溶接すべきコンポーネント内に、それぞれ一対の電極の異形接触面に対応するナゲットを形成することを含み、そのうち、一対のナゲットは対称軸に対して対称に設けられ、及び/又は、各ナゲットにおいて溶接すべきコンポーネントの下側溶接板に位置するナゲットの断面積は溶接すべきコンポーネントの上側溶接板に位置するナゲットの断面積よりも大きい。上記のような抵抗スポット溶接装置により当該抵抗スポット溶接方法を実行することにより、当該抵抗スポット溶接方法は上記抵抗スポット溶接装置のすべての利点を有するので、ここではその説明を省略する。
【発明の効果】
【0020】
本願の付加態様及び利点は、以下の説明において一部与えられ、一部は以下の説明において明確となり、又は本願の実践により理解できる。
【0021】
以下、本願の実施形態又は従来技術における技術案を明確的に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に必要とする図面を簡単に説明し、明らかに、次に説明する図面は、本願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働が要らない前提として、更にこれら実施形態に基づいてその他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願の実施形態の抵抗スポット溶接装置の溶接原理の模式図である。
図2】本願の実施形態の電極ヘッドの溶接原理の模式図である。
図3】本願の実施形態の電極ヘッドの第1種の構造の平面図である。
図4】本願の実施形態の電極ヘッドの第1種の構造の断面図である。
図5】本願の実施形態の電極ヘッドの第1種の構造の底面図である。
図6】本願の実施形態の電極ヘッドの第2種の構造の断面図である。
図7】本願の実施形態の電極ヘッドの第2種の構造の底面図である。
図8】本願の実施形態の電極ヘッドの第3種の構造の断面図である。
図9】本願の実施形態の電極ヘッドの第3種の構造の底面図である。
図10】本願の実施形態に係る比較電極ヘッドの電流密度の模式図である。
図11】本願の実施形態に係る比較電極ヘッドのナゲット構造の模式図である。
図12】本願の実施形態の電極ヘッドの第1種の構造の電流密度の模式図である。
図13】本願の実施形態の電極ヘッドの第1種の構造のナゲット構造の模式図である。
図14】本願の実施形態の電極ヘッドの第2種の構造の電流密度の模式図である。
図15】本願の実施形態の電極ヘッドの第2種の構造のナゲット構造の模式図である。
図16】本願の実施形態の電極ロッドの正面図である。
図17】本願の実施形態の電極ロッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面と実施形態を参照しながら、本願の実施形態をより詳細に説明する。以下の実施形態は、本願を説明するためのものであり、本願の範囲を制限するものではない。
【0024】
本願の実施形態に対する説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語で表される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願の実施形態を便利且つ簡単に説明するために使用されるものであり、示された装置又は素子が必ず特定の方位にあり、特定の方位において構成され、操作されると指示又は暗示するものではないため、本願に対する制限と理解されるものではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は説明するためのものに過ぎず、比較的な重要性を指示又は暗示すると理解されるものではない。
【0025】
本願の実施形態の説明において、明確な規定と限定がない限り、「互いに接続」、「接続」等の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。機械的な接続や、電気的接続や、あるいは直接的に互いに接続することや、中間媒体を介して間接的に互いに接続することも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願の実施形態での具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本出願の実施形態において、明確な規定と限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴および第2の特徴が直接接触することであってもよく、又は第1の特徴および第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」および「上側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあることであってもよく、又は単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも大きいことを意味する。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」および「下側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下にあることであってもよく、又は単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも小さいことを意味する。
【0027】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照する説明は、当該実施形態又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が、本願の実施形態の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の模式的表現は、必ずしも同じ実施形態又は例に向けられているわけではない。更に、説明されている具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において、適切な方法で組み合わせることができる。更に、当業者は、本明細書に説明されている異なる実施形態又は例、ならびに異なる実施形態又は例の特徴を、互いに矛盾することなく組み合わせることができる。
【0028】
図1から図17に示すように、本願の実施形態は抵抗スポット溶接装置を提供し、更に、該抵抗スポット溶接装置に基づいて抵抗スポット溶接方法を提供する。
【0029】
当該抵抗スポット溶接装置は、図1及び図2に示すように、溶接すべきコンポーネントの溶接面に対して並列且つ同期な溶接を行うことができる一対の電極を備える。一対の電極は、溶接すべきコンポーネントの同一の溶接面に位置しており、同一の溶接方向に沿って並列走行して同期溶接を実現することができ、一対の電極は溶接コンポーネント内に形成された電流の間に作用して相互作用を発生させることができ、それにより、一対の電極はそれぞれ溶接コンポーネント内に一対のナゲット7を形成し、更に、溶接すべきコンポーネントに対して片面ダブル抵抗スポット溶接プロセスを実現することができる。
【0030】
そのうち、溶接すべきコンポーネントに対称軸6が設けられ、一対の電極は対称軸6の両側に対称に設けられ、各電極の一端はいずれも異形接触面20を有し、各異形接触面20はそれぞれ電極軸線11に対して対称軸6から離れる方向にずれる。上記の異形接触面20は、対応する電極によって形成された電流密度中心線21を電極軸線11に対して対称軸6から離れる方向にずらすために用いられ、及び/又は、各電極の電流密度を溶接すべきコンポーネント内において溶接面から離れる傾向に偏向させるために用いられる。当該抵抗スポット溶接装置は、一対の電極の異形接触面20の構造を利用して、電極の、溶接すべきコンポーネント内での電流密度状態を変更することができ、それにより、ナゲット7の対称軸6から離れた端部(即ちナゲット7の遠位端)の熱入力を適切に補強し、且つナゲット7の対称軸6に近い端部(即ちナゲット7の近位端)の熱入力を適切に弱め、対称軸6に対するナゲット7の遠位端及び近位端の形状を対称且つ均一にさせることができ、ナゲット7の形状及び受力状態はいずれも荷重を受ける時の力学的性能の要求を満たすことができ、溶接品質を向上させることができる。
【0031】
理解されるように、上記の対称軸6は一対の電極の電極軸線11を結ぶ線の中点に位置する軸線であり、即ち、一対の電極が当該対称軸6に対して対称に設けられることを確保すればよい。
【0032】
理解されるように、片面ダブルスポット溶接の溶接品質を更に向上させるために、当該抵抗スポット溶接装置はベースプレート3及びパッドプレート5を更に含む。溶接すべきコンポーネントは、上側溶接板41と下側溶接板42とを含み、上側溶接板41と下側溶接板42は、順次にパッドプレート5とベースプレート3との間に平らに敷かれる。そのうち、パッドプレート5の上側溶接板41に背向する表面は溶接面である。ベースプレート3は溶接すべきコンポーネントに対する支持及びレベリングのために用いられる。パッドプレート5は、金属板であることが好ましい。薄い上側溶接板41の表面にパッドプレート5を増設することは、パッドプレート5自体の抵抗及びパッドプレート5と上側溶接板41との接触抵抗を利用して、スポット溶接過程における発熱を増加させ、ナゲット7の形成と成長を促進する一方で、電極と溶接コンポーネントとの間を隔て、溶接中心領域から異形接触面20への熱の伝導を低減し、上側溶接板41の溶接面側の放熱を低減することができる。
【0033】
理解されるように、上側溶接板41の厚さは下側溶接板42の厚さより小さく、溶接完了後の溶接物は差厚板を構成することができる。
【0034】
理解されるように、上記した各電極の電流密度を溶接すべきコンポーネント内において溶接面から離れる傾向に偏向させることでは、更に、ナゲット7の、溶接すべきコンポーネントの下側溶接板42に形成された部分の断面積を溶接すべきコンポーネントの上側溶接板41に形成された部分の断面積より大きくし、ナゲット7のずれを回避するとともに、厚さが薄い上側溶接板41の側の溶け込み率を向上させ、溶接品質を更に向上させることができる。
【0035】
これから分かるように、当該抵抗スポット溶接装置は差厚板に対する片面ダブルスポット溶接の過程において、溶接点のナゲット7の品質を向上させるとともに、ナゲット7の溶接コンポーネントの厚い側へのずれを改善することができる。そして、電極端面の異形接触面20の構造により、溶接コンポーネントの内部の電流密度の分布規則を変更し、ナゲット7の近位端に近い電流密度が大きく、遠位端の電流密度が小さいという元の規則を、ナゲット7の遠位端と近位端の電流が均一分布することに変換し、それにより、片面ダブルスポット溶接時に溶接すべきコンポーネントの内部の電極端面の内側に近い電流分布が集中することによる非対称なナゲット7の現象を軽減又は相殺し、溶接点の品質を向上させ、溶接エネルギー消費を低減させる。
【0036】
図2図3図16及び図17に示すように、電極は、電極ヘッド2と、電極ロッド1とを備える。電極ヘッド2の一端は電極ロッド1の端部に着脱可能に嵌着される。適切な電極ヘッド2に交換して、溶接操作の柔軟性を向上させるように、必要に応じて電極ヘッド2を随時着脱することができる。電極ヘッド2の他端にボスが構成され、ボスの端面に異形接触面20が構成される。好ましくは、ボスの対称軸6に近い側には、異形接触面20と電極ヘッド2の外壁との間に接続されるガイド部25が構成される。ガイド部25は、電極軸線11に対して傾斜しており、電流密度中心線21が電極軸線11に対して対称軸6から離れる側に偏ったり傾いたりするように案内する。ガイド部25は、電極ヘッド2の端面における対称軸6から離れる一側に異形接触面20を構成しており、電流が電極ヘッド2の内部を通過する過程でガイド部25の偏向ガイド作用を受け、それにより全ての電流の電流密度中心線21を、電極ヘッド2の軸線(即ち電極軸線11)に対して対称軸6から離れる側にずらすことができ、又は、電流を電極ヘッド2の内部において偏向傾斜させことにより、電流が異形接触面20から溶接すべきコンポーネントに入る位置を、電極軸線11の溶接すべきコンポーネントにおける投影位置に対して対称軸6から離れる側にずらすことができる。上記構造により、電流分布は外側電流が多く内側電流が少ないという特徴を呈し、電流分布と、片面ダブルスポット溶接時の電流偏向による電流密度の外疎内密特徴とをバランスさせ、それにより、溶接コンポーネントの上側溶接板41と下側溶接板42との間の接触面箇所の電流密度が均一となるという効果を達成し、最終的に、均一な電流密度の条件下で対称構造のナゲット7を形成することを実現し、溶接品質を向上させる。
【0037】
理解されるように、好ましくは、ガイド部25は段差構造及び/又は円弧状の平滑遷移面構造として構成される。
【0038】
理解されるように、電極ヘッド2と電極ロッド1の柔軟な着脱を実現するために、好ましくは、電極ヘッド2の一端には軸方向に設けられた取付孔24が構成され、電極ロッド1の一端には取付孔24内に同軸に挿着可能な接続部13が構成される。電極ヘッド2と電極ロッド1との間の周方向の位置決めを実現するために、好ましくは、取付孔24の側壁にスライド溝22が構成され、接続部13の側壁にはスライド溝22内に摺動可能に装着されるスライダ15が構成され、スライド溝22とスライダ15はいずれも電極軸線11に沿って設けられる。電極ヘッド2と電極ロッド1との間の径方向及び中心の位置決めを実現するために、好ましくは、取付孔24の端面には位置決め溝23が構成され、接続部13の一端には位置決め溝23内に同軸に装着可能な位置決めボス14が構成され、接続部13の他端には、レバー体12が連結される。
【0039】
理解されるように、電極ロッド1のレバー体12内には、電極軸線11に沿って貫通孔が構成され、それにより、電極ヘッド2内の回路素子及び電線等の補助機構は、レバー体12の貫通孔を貫通して外部に引き出され、溶接プロセスへの干渉を回避する。
【0040】
いくつかの実施形態において、電流密度の分布規則に対する確実な制御を実現するために、好ましくは、異形接触面20は、幾何学的中心が電極軸線11の対称軸6から離れる側に位置する第1の接触面201を含む。電流は、電極ヘッド2内から流れて第1の接触面201を貫通してパッドプレート5が敷かれた溶接すべきコンポーネントに入る過程において、第1の接触面201のずれ設置により、電流が上記対称軸6から離れる方向にずれるように案内して、電流の入射角度を変更することができ、これにより、電流は、溶接すべきコンポーネントに入る時に、自体が対称軸6から離れる方向に偏向する傾向を有する。更に、片面ダブルスポット溶接時に電流が対称軸6に近づいて偏向することによる電流密度の外疎内密特徴とバランスする効果を達成し、電流密度の均一化を実現し、それにより、片面ダブルスポット溶接時の電流偏向によるナゲット7への影響を軽減又は相殺することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、異形接触面20は更に第2の接触面202を含み、第2の接触面202は第1の接触面201の対称軸6に近い側に接続され、且つ、第1の接触面201の面積は第2の接触面202の面積より大きい。第1の接触面201の面積を大きくし且つ第2の接触面202の面積を小さくすることにより、電流分布は外側電流が多く内側電流が少ない特徴を呈し、電流分布と、片面ダブルスポット溶接時の電流偏向による電流密度の外疎内密特徴とをバランスさせ、上側溶接板41と下側溶接板42の接触面の箇所に電流密度が均一となるという効果を達成し、最終的に、均一な電流密度条件下での遠位端と近位端の対称構造のナゲット7を実現する。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記の2種の構造を組み合わせ、第1の接触面201及び第2の接触面202をそれぞれ電極軸線11の両側に設置することができ、そのうち、第1の接触面201は対称軸6から遠い側に位置し、第2の接触面202は対称軸6に近い側に位置する。それにより、電流が溶接すべきコンポーネントに入る時に自体が対称軸6から離れる方向に偏向する傾向を有するとともに、上側溶接板41と下側溶接板42との接触面の箇所に電流密度が均一となるという効果を達成することができ、ナゲット7の構造の対称均一を更に確保することができる。
【0043】
理解されるように、第1の接触面201及び第2の接触面202は円形平面、楕円形平面、多角形平面又は蛇行輪郭線を有する平面であってもよい。
【0044】
図10及び図11は本願の実施形態に記載された電極ヘッド2と比較する比較電極ヘッド2’の電流密度の模式図及びナゲット7の構造の模式図を示す。当該比較電極ヘッド2’において、垂直に入射した電流が一対の電極の近位端に流れる過程で、一対の電極の相互作用により電流が相対的に偏向し、当該比較電極ヘッド2’に異形接触面20が設けられず、且つ溶接すべきコンポーネントと比較電極ヘッド2’との間にパッドプレート5が敷設されないため、当該比較電極ヘッド2’によって形成した電流密度中心線は比較電極ヘッドの軸線11’と重なり、且つ電極は溶接コンポーネントの上側溶接板41と下側溶接板42との接触面に形成した電流密度分布が不均一であり、図10に示すように、即ち、電流密度が一対の比較電極ヘッド2’の近位端で大きく、且つ一対の比較電極ヘッド2’の遠位端で小さいという分布規則が存在することで、単一電極の下の板材内部の非平衡熱が発生し、即ち、比較電極ヘッド2’の近位端の発熱が多く、遠位端の発熱が少ない。図11に示すように、最終的に溶接後に生成された2つのコア7’は、何れも非対称構造である。
【0045】
本願の実施形態に記載の電極ヘッド2の構造は、片面ダブルスポット溶接過程における一対の電極ヘッド2の近位端と遠位端の電流密度分布を変更することにより、片面ダブルスポット溶接時の電極の下方の板材内部電流偏向によるナゲット7の形状への影響を軽減し又は相殺することができ、それにより、片面ダブルスポット溶接時のナゲット7の非対称構造を軽減し又は解消し、溶接点の品質を保障するとともに、溶接エネルギー消費を低減し、片面ダブルスポット溶接プロセスのコスト低減と効果向上を実現することができる。
【0046】
具体的に、図3図4、及び図5は第1種の電極ヘッド2の構造を示す。当該電極ヘッド2の異形接触面20は第1の接触面201及び第2の接触面202を含み、第1の接触面201及び第2の接触面202はいずれも半円形平面であり、且つそれぞれ電極軸線11の両側に対向して設けられる。即ち、第1の接触面201と第2の接触面202の円心は一致するが、第1の接触面201の面積が第2の接触面202の面積よりも大きくなるように、第1の接触面201の半径は第2の接触面202の半径よりも大きくなる。当該電極ヘッド2の構造において、第2の接触面202の外郭と電極ヘッド2の外壁との間のボス外壁は、段差構造を有し円弧状の平滑遷移面構造をなすガイド部25として構成される。また、第1の接触面201の外郭と電極ヘッド2の外壁との間に円弧状の平滑遷移面が構成される。
【0047】
具体的には、好ましくは、第1種の電極ヘッド2は、厚さが0.8mmの上側溶接板41及び厚さが2mmの下側溶接板42からなる溶接すべきコンポーネントに適用され、金属パッドプレート5の厚さは0.1mmである。ここで、第1の接触面201の半径は8mmであり、第2の接触面202の半径は5.5mmである。ガイド部25は、電極ヘッド2の外壁から内向きに1mm除去して段差構造を形成し、続いて円弧状の平滑遷移面構造を介して第2の接触面202の外郭に接続されるものである。電極ヘッド2は長さが13mmである。電極ヘッド2内の取付孔24は、直径が12mmであり、長さが12mmである。取付孔24の側壁には、幅が2mmで長さが12mmであるスライド溝22が構成され、スライド溝22と異形接触面20との最も近い距離は6.5mmである。取付孔24のブラインド端部には、直径が8mm、長さが1mmの位置決め溝23が構成される。
【0048】
図12及び図13は、上記の第1種の電極ヘッド2の電流密度の模式図及びナゲット7の構造模式図を示す。以上から分かるように、上記実施形態に記載の電極ヘッド2は、電流密度中心線21が電極軸線11に対して対称軸6から離れる方向へずれることを実現することができ、それにより、電流が溶接すべきコンポーネントに入る時に自体が対称軸6から離れる方向へ偏向する傾向を有するだけでなく、上側溶接板41と下側溶接板42との接触面の箇所に電流密度が均一となるという効果を達成することができ、ナゲット7構造の対称均一を更に確保する。
【0049】
図6及び図7は、第2種の電極ヘッド2の構造を示す。当該電極ヘッド2の異形接触面20は第1の接触面201を有し、第1の接触面201は円形平面であり、且つ第1の接触面201の円心は電極軸線11の対称軸6から離れる側に位置する。当該電極ヘッド2の構造において、第1の接触面201の対称軸6に近い側の外郭と電極ヘッド2の外壁との間のボス外壁は円弧状の平滑遷移面構造をなすガイド部25として構成される。
【0050】
具体的には、第2種の電極ヘッド2において、第1の接触面201の半径は5mmから10mmであり、且つ第1の接触面201の円心と電極軸線11との距離は3mmから4mmである。ガイド部25は、電極ヘッド2の外壁から傾斜角が35°~45°の円弧状の平滑遷移面構造で第1の接触面201の対称軸6に向かう側の外郭に接続されるものである。ほかの構造の寸法は第1種の電極ヘッド2の構造の寸法と同じである。
【0051】
図14及び図15は、上記実施形態の電極ヘッド2の電流密度の模式図及びナゲット7の構造模式図を示す。以上から分かるように、上記実施形態に記載の電極ヘッド2は、電流密度中心線21が電極軸線11に対して対称軸6から離れる方向へずれることを実現することができ、それにより、電流が溶接すべきコンポーネントに入る時に自体が対称軸6から離れる方向へ偏向する傾向を有するだけでなく、上側溶接板41と下側溶接板42との接触面の箇所に電流密度が均一となるという効果を達成することができ、ナゲット7の構造の対称均一を更に確保する。
【0052】
図8及び図9は、第3種の電極ヘッド2の構造を示す。当該電極ヘッド2の異形接触面20は第1の接触面201及び第2の接触面202を含み、第1の接触面201及び第2の接触面202は外郭が二つの円形部分を接続して構成された流線型平面である。第1の接触面201の円心は電極軸線11の対称軸6から離れる側に位置し、第2の接触面202の円心は電極軸線11に位置する。当該電極ヘッド2の構造において、第1の接触面201の対称軸6に近い側の外郭と電極ヘッド2の外壁との間のボス外壁は段差構造のガイド部25として構成される。
【0053】
具体的には、第3種の電極ヘッド2において、第1の接触面201の半径は5mmであり、第2の接触面202の半径は4mmであり、第1の接触面201の円心と第2の接触面202の円心との間の接続線の距離は3mmである。ボスの長さは9mmである。ほかの構造の寸法は第1種の電極ヘッド2の構造の寸法と同じである。
【0054】
上記のいずれかの構造の電極ヘッド2は使用過程において、まず溶接すべきコンポーネントを順次銅製ベースプレート3に配置し、金属ガスケットを溶接すべきコンポーネントの上側溶接板41上に被覆し、続いて、電極ヘッド2の内側の位置決め溝23を電極ロッド1の接続部13の位置決めボス14に合わせて嵌着し、且つ各電極ヘッド2の異形接触面20のうち面積の大きい方を対称軸6から離れる側に位置させ、その後、一対の電極ヘッド2を駆動してパッドプレート5を介して溶接すべきコンポーネントに一定の電極加圧力を印加し、導電通路の安定性を確保し、次に、一対の電極ヘッド2を利用して溶接すべきコンポーネントに電流を印加して溶接すべきコンポーネントの内部を昇温させてナゲット7を形成し、通電が終了した後にしばらく保圧し、溶接点を冷却させ、それにより、片面ダブルスポット溶接プロセスが完了する。
【0055】
本願の実施形態は、上記した抵抗スポット溶接装置によって実行される抵抗スポット溶接方法を提供する。抵抗スポット溶接方法は、
一対の電極を駆動して溶接すべきコンポーネントの溶接面において溶接すべきコンポーネントの対称軸6の両側に沿って並列に走行させることで、一対の電極を溶接すべきコンポーネントに同期して作用させ、且つ、溶接すべきコンポーネント内に、それぞれ一対の電極の異形接触面20に対応するナゲット7を形成することを含み、
そのうち、一対のナゲット7は対称軸6に対して対称に設けられ、及び/又は、各ナゲット7において溶接すべきコンポーネントの下側溶接板42に位置するナゲット7の断面積は溶接すべきコンポーネントの上側溶接板41に位置するナゲット7の断面積よりも大きい。
【0056】
これから分かるように、上記のような抵抗スポット溶接装置により当該抵抗スポット溶接方法を実行することにより、当該抵抗スポット溶接方法は上記抵抗スポット溶接装置のすべての利点を有するので、ここではその説明を省略する。
【0057】
理解されるように、最適な構造を有する異形接触面20を備える電極ヘッド2を用いて溶接すべきコンポーネントを溶接し、片面ダブルスポット溶接の最適な溶接効果を達成するために、溶接プロセスパラメータとナゲット7に必要な力学的性能の要求に応じて、一対の電極ヘッド2を同時に交換する。
【0058】
以上の実施形態は、本願を説明するためのものであり、本願を限定するものではない。実施形態を参照して本願について詳細に説明したが、当業者であれば、本願の技術案に対する様々な組合せ、修正、又は同等の置換は、本願の技術案の精神と範囲を逸脱することなく、すべて本願の請求の範囲に含まれるべきであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0059】
1‐電極ロッド、
11‐電極軸線、
12‐レバー体、
13‐接続部、
14‐位置決めボス、
15‐スライダ、
2‐電極ヘッド、
20‐異形接触面、
201‐第1の接触面、
202‐第2の接触面、
21‐電流密度中心線、
22‐スライド溝、
23‐位置決め溝、
24‐取付孔、
25‐ガイド部、
2’‐比較電極ヘッド、
11’‐比較電極ヘッドの軸線、
7’‐コア、
3‐ベースプレート、
41‐上側溶接板、
42‐下側溶接板、
5‐パッドプレート、
6‐対称軸、
7‐ナゲット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17