(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ、カメラモジュール、及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20240925BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240925BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20240925BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240925BHJP
G03B 19/00 20210101ALI20240925BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240925BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240925BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B30/00
G02B7/08 B
G02B7/02 Z
G02B7/04 Z
G03B19/00
G03B17/17
G03B11/00
H04N23/57
(21)【出願番号】P 2023528361
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2021129605
(87)【国際公開番号】W WO2022100580
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】202011275173.6
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クオ,リトォ
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ユィシュン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ジュオリン
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111580324(CN,A)
【文献】特開平08-029668(JP,A)
【文献】特開2015-025827(JP,A)
【文献】特開平11-149030(JP,A)
【文献】特開2006-271180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
G02B 7/02-7/16
G03B 30/00
G03B 19/00-19/16
G03B 17/02
G02B 7/28-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと;
前後方向に沿って配置されたスライドレールアセンブリと;
第1レンズを担持するように構成され、前記スライドレールアセンブリを介して前記ベースにスライド可能に配置された可動ベースと;
前記可動ベースに駆動力を供給するように構成され、前記可動ベースを前記ベースの前記前後方向にスライドさせるように駆動する第1電磁駆動アセンブリ及び第2電磁駆動アセンブリであって、前記第1電磁駆動アセンブリ及び前記第2電磁駆動アセンブリはそれぞれ前記スライドレールアセンブリの2つの側部に配置される、第1電磁駆動アセンブリ及び第2電磁駆動アセンブリと;を有
し、
前記スライドレールアセンブリは、前記ベース上に平行に且つ離間して配置された第1スライド軸と第2スライド軸、及び前記可動ベースの底部に配置された第1スライド溝と第2スライド溝を有し;
前記第1スライド軸及び前記第2スライド軸は、前記ベースの底部プレートから離間して配置され;
前記第1スライド軸は前記第1スライド溝内にスライド可能に配置され、前記第2スライド軸は前記第2スライド溝内にスライド可能に配置され、
前記第1スライド溝はV溝であり、前記第2スライド溝はU溝であり、前記U溝の溝幅が前記第2スライド軸の幅より大きい、
ボイスコイルモータ。
【請求項2】
前記第1電磁駆動アセンブリは、互いに平行であり且つ互いに対向して配置された第1磁石と第1コイルを有し;
前記第2電磁駆動アセンブリは、互いに平行であり且つ互いに対向して配置された第2磁石と第2コイルを有し;
前記第1磁石と前記第2磁石は前記可動ベースの2つの反対側の側部に固定され、前記第1コイルと前記第2コイルは前記ベースに固定される、
請求項
1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記第1磁石と前記第2磁石の両方が、前記前後方向に沿って交互に配置されたN極とS極を有し;
前記第1磁石のN極とS極が前記第1コイルに面し、前記第2磁石のN極とS極が前記第2コイルに面する、
請求項
2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記第1磁石は複数の独立した磁石で構成される、又は、前記第1磁石は一体化された磁化構造であり;
前記第2磁石は複数の独立した磁石で構成される、又は、前記第2磁石は一体化された磁化構造である、
請求項
3に記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記第1コイルは、第1回路基板に電気的に接続され、前記第1回路基板を介して前記ベースに固定され;
前記第2コイルは、第2回路基板に電気的に接続され、前記第2回路基板を介して前記ベースに固定され;
前記第1回路基板は、接続回路基板を介して前記第2回路基板に電気的に接続される、
請求項
2乃至
4のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記第1スライド軸と前記第2スライド軸は磁気伝導材料で作られ、前記第1磁石と前記第1スライド軸との間に磁気付着力があり、前記第2磁石と前記第2スライド軸との間に磁気付着力がある、
請求項
2乃至
5のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
前記ベースは、前記スライドレールアセンブリの後方側部に位置する後方制限フレームと、前記スライドレールアセンブリの前方側部に位置する前方制限フレームとを有し、前記後方制限フレームと前記前方制限フレームは、前記前後方向の前記可動ベースのスライド範囲を制限するために使用される、
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項8】
延長部が前記後方制限フレームに面する前記可動ベースの側部に突出して配置され、前記延長部を挿入するための位置決め溝が前記後方制限フレームに形成される、
請求項
7に記載のボイスコイルモータ。
【請求項9】
衝撃を緩衝するための弾性バッファが、前記可動ベースに面する前記後方制限フレームの側部に配置される;及び/又は
衝撃を緩衝するための弾性バッファが、前記可動ベースに面する前記前方制限フレームの側部に配置される、
請求項
7又は
8に記載のボイスコイルモータ。
【請求項10】
衝撃を緩衝するための弾性バッファが前記後方制限フレームに面する前記可動ベースの側部に配置される;及び/又は
衝撃を緩衝するための弾性バッフ
ァが、前記前方制限フレームに面する前記可動ベースの側部に配置される、
請求項
7又は
8に記載のボイスコイルモータ。
【請求項11】
第2レンズを配置するための第2レンズ設置溝が、前記後方制限フレームに配置される、
請求項
7乃至
10のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項12】
前記ボイスコイルモータは、さらに、前記可動ベースの位置を感知するように構成された変位センサアセンブリと、前記変位センサアセンブリの感知信号を受信し、前記第1コイルと前記第2コイルの電流を制御するように構成されたプロセッサとを有する、
請求項
2乃至
6のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項13】
前記変位センサアセンブリは、前記可動ベースに固定された磁気ゲートと、前記ベースに固定された磁気抵抗センサとを有し、前記磁気抵抗センサは、前記磁気ゲートの磁場変化を感知し、前記感知信号を前記プロセッサに送信するように構成される、
請求項
12に記載のボイスコイルモータ。
【請求項14】
前記変位センサアセンブリは、前記可動ベースに固定された第3磁石と、前記ベースに固定された2つのホール効果センサとを有し;
前記第3磁石の磁極方向が前記前後方向に対して斜めに配置され、前記2つのホール効果センサは、前記第3磁石の磁場変化を感知し、前記感知信号を前記プロセッサに送信するように構成される、
請求項
12に記載のボイスコイルモータ。
【請求項15】
前記ボイスコイルモータはさらに、前記可動ベースの底部に固定された第4磁石を有し、前記第4磁石と前記第3磁石は、前記スライドレールアセンブリの反対側に対称に配置される、
請求項
14に記載のボイスコイルモータ。
【請求項16】
前記可動ベースは、2つの設置ブラケットと金属接続ピースとを有し、前記2つの設置ブラケットは、前記金属接続ピースを介して固定される、
請求項
2乃至
6のいずれか1項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項17】
前記金属接続ピースは、2つの磁気伝導シートと支持底部を含み、前記2つの磁気伝導シートは、前記支持底部を介して固定され;
前記2つの磁気伝導シートは、それぞれ前記2つの設置ブラケットに固定され、それぞれ前記第1磁石と前記第2磁石の内側に位置する、
請求項
16に記載のボイスコイルモータ。
【請求項18】
前記金属接続ピースは一体成形プロセスを使用して磁気伝導材料で作られる、
請求項
17に記載のボイスコイルモータ。
【請求項19】
前記第1電磁駆動アセンブリは、第1コイル、第5磁石、及び第6磁石を有し;
前記第5磁石と前記第6磁石は互いに対向するとともに平行且つ離間して配置され、前記第1コイルは前記第5磁石と前記第6磁石との間に垂直に配置され、互いに対向する側部であって前記第5磁石と前記第6磁石の側部の磁極は同じ極性を有する、
請求項
1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項20】
前記第1電磁駆動アセンブリは、第1コイル、第5磁石、及び第6磁石を有し;
前記第5磁石と前記第6磁石は互いに対向するとともに平行且つ離間して配置され、前記第1コイルは、前記第5磁石の外周にスリーブ状に配置されるとともに前記第5磁石に対して垂直であり、互いに対向する側部であって前記第5磁石と前記第6磁石の側部の磁極は反対の極性を有する、
請求項
1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項21】
第1レンズと請求項1乃至
20のいずれか1項に記載のボイスコイルモータを有するカメラモジュールであって、前記ボイスコイルモータは、前記第1レンズを駆動して動かすように構成される、カメラモジュール。
【請求項22】
前記カメラモジュールは、前記第1レンズの物体側方向に配置された第2レンズと、前記第1レンズの像側方向に配置されたイメージセンサとをさらに有する、
請求項
21に記載のカメラモジュール。
【請求項23】
前記カメラモジュールは、前記第2レンズの物体側方向に配置された反射要素をさらに有する、
請求項
22に記載のカメラモジュール。
【請求項24】
赤外線フィルタが、前記第1レンズと前記イメージセンサとの間にさらに配置される、
請求項
22又は
23に記載のカメラモジュール。
【請求項25】
請求項
21乃至
24のいずれか1項に記載のカメラモジュールを有する電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月13日に中国国家知識産権局に出願された「VOICE COIL MOTOR, CAMERA MODULE, AND ELECTRONIC DEVICE」と題する中国特許出願第202011275173.6号に対する優先権を主張しており、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、イメージング技術の分野、より具体的には、ボイスコイルモータ、カメラモジュール、及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、光学イメージング技術の発展に伴い、携帯電子デバイスの撮影機能に対する要求が高まっている。電子デバイスに構成されたカメラモジュールが夜間の背景ぼかし及び鮮明な撮影などの機能を実現することを必要とされるだけでなく、電子デバイスに構成されたカメラモジュールは望遠撮影及びマクロ撮影を実現することを必要とされる。
【0004】
現在、ボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)がカメラモジュールのフォーカス処理を実行するために通常使用される。望遠撮影の焦点距離が短いため、必要なモータストロークは小さいく、その結果、現在のボイスコイルモータは望遠撮影の使用要件を満たすことができる。しかし、マクロ撮影は通常、関連する物体(object)を近距離で撮影する必要がある。作動距離(working distance)が短いと、必要なモータストロークが大きくなる。現在、携帯電話に構成され、望遠撮影機能を持つカメラモジュールの場合、ボイスコイルモータのストロークが短いため、フォーカシング距離がボイスコイルモータの最大ストロークを超えることがある。そのため、マクロ撮影中に焦点を合わせることが難しくなることがあり、マクロ撮影の効果が悪くなる。
【0005】
そこで、長いストロークを持つボイスコイルモータが望遠撮影とマクロ撮影の両方の使用要件に対応するために提供される。これは、早急に解決する必要がある技術的な問題である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、ボイスコイルモータ、カメラモジュール、電子デバイスを提供する。ボイスコイルモータの構造が改良され、ボイスコイルモータのストロークが大きくなり、望遠撮影とマクロ撮影の両方の使用要件を満たすことができる。
【0007】
第1の態様によれば、ボイスコイルモータが提供され、以下を含む:ベースと;前後方向に沿って配置されたスライドレールアセンブリと;第1レンズを担持する(carry)ように構成され、スライドレールアセンブリを介してベースにスライド可能に配置された可動ベースと;可動ベースに駆動力を供給するように構成され、可動ベースをベースの前後方向にスライドさせるように駆動する第1電磁駆動アセンブリ及び第2電磁駆動アセンブリ。第1電磁駆動アセンブリ及び第2電磁駆動アセンブリはそれぞれスライドレールアセンブリの2つの側部に配置される。
【0008】
本出願で提供されるボイスコイルモータによれば、可動ベースは、スライドレールアセンブリを介してベース上にスライドするように配置され、ベースに対して前後にスライドすることができるため、可動ベースはベースに対してより大きな移動範囲を持つ。そのため、ボイスコイルモータは、より大きいモータストロークを有し、望遠撮影とマクロ撮影の両方の使用要件を満たすことができ、ユーザは望遠撮影とマクロ撮影の2つの動作モードを柔軟に切り替えることができる。これにより、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0009】
本出願で提供されるボイスコイルモータは、スライドレールアセンブリの2つの反対側の側部にそれぞれ配置された第1電磁駆動アセンブリと第2電磁駆動アセンブリを含む。スライドレールアセンブリの2つの側部は、同時に可動ベースのための駆動力を提供し得る。単一の側部の力(single-side force)と比較して、可動ベースがスライドするときに発生する運動傾斜角(motion tilt angle)を回避できるため、可動ベースのスライドをより安定かつ円滑にすることができる。また、変位センサによって収集される可動ベースの位置情報がより正確になり、ボイスコイルモータの閉ループ制御精度を向上させることができる。このため、カメラモジュールの撮影効果を向上させることができる。
【0010】
オプションで、第1電磁駆動アセンブリと第2電磁駆動アセンブリはスライドレールアセンブリに対して対称に配置され、それにより2つの側部での対称な出力力を確実にすることができ、一様でない出力力によって生じる運動傾斜角を避けることができる。これは、可動ベースの運動安定性をさらに向上させ、カメラモジュールの撮影効果をさらに向上させる。
【0011】
例えば、第1電磁駆動アセンブリと第2電磁駆動アセンブリは可動ベースの2つの反対側の側部に対称に配置される。第1電磁駆動アセンブリと第2電磁駆動アセンブリは、それぞれ可動ベースの前後方向に平行な駆動力を提供する。
【0012】
可能な設計では、スライドレールアセンブリは、ベース上に平行に且つ離間して配置された第1スライド軸と第2スライド軸、及び可動ベースの底部に配置された第1スライド溝と第2スライド溝を含む。第1スライド軸は、第1スライド溝内にスライド可能に配置される。第2スライド軸は、第2スライド溝内にスライド可能に配置される。本出願で提供されるスライドレールアセンブリは、可動ベースがベース上を滑らかにスライドするように、スライド軸と互いに作用する溝を含む。
【0013】
オプションで、スライド軸及び/又は溝の摩擦面はグリスでコーティングされることで、スライド軸及び/又は溝との間の摩擦力を減少させることができ、可動ベースはベース上を滑らかにスライドする。
【0014】
可能な設計では、第1スライド溝はV溝であり、第2スライド溝はU溝であり、U溝の溝幅は第2スライド軸の幅よりも大きい。
【0015】
V溝の方はスライド案内をより良く実行し得、U溝は公差のために使用され得る。U溝の配置は、可動ベースなどが生産エラーを有することを許容し得、生産エラーによって可動ベースのサイズがわずかに増減したときに、可動ベースをスライド軸に正しく取り付ける(スリーブ状に配置される)ことができることを確実にすることを可能にし得る。U溝を配置することで耐障害性を向上させることができる。これにより、生産コストの削減に役立つ。
【0016】
可能な設計では、第1電磁駆動アセンブリは、互いに平行であり且つ互いに対向して配置された第1磁石と第1コイルを含む。第2電磁駆動アセンブリは、互いに平行であり且つ互いに対向して配置された第2磁石と第2コイルを含む。第1磁石と第2磁石は、可動ベースの2つの反対側の側部に固定される。第1コイルと第2コイルは、ベースに固定される。
【0017】
可能な設計では、第1磁石と第2磁石の両方は、前後方向に沿って交互に配置されたN極とS極を有する。第1磁石のN極とS極は、第1コイルに面する。第2磁石のN極とS極は、第2コイルに面する。
【0018】
可能な設計では、第1磁石は複数の独立した磁石から構成される、又は第1磁石は一体化された磁化構造である。第2磁石は複数の独立した磁石から構成される、又は第2磁石は一体化された磁化構造である。
【0019】
可能な設計では、第1コイルは、第1回路基板に電気的に接続され、第1回路基板を介してベースに固定される。第2コイルは、第2回路基板に電気的に接続され、第2回路基板を介してベースに固定される。第1回路基板は接続回路基板を介して第2回路基板に電気的に接続される。
【0020】
オプションで、第1回路基板、第2回路基板、及び接続回路基板はプリント回路基板であり得る。
【0021】
オプションで、第1回路基板、第2回路基板、及び接続回路基板は、フレキシブルプリント回路基板、プリント回路基板、又はリジッドフレキシブルプリント回路基板であり得る。
【0022】
例えば、第1回路基板、第2回路基板、及び接続回路基板は、フレキシブルプリント回路基板であり、一体構造である。
【0023】
可能な設計では、第1スライド軸と第2スライド軸は、磁気伝導材料で作られる。第1磁石と第1スライド軸との間に磁気付着力がある。第2磁石と第2スライド軸との間に磁気付着力がある。
【0024】
スライド軸と磁石との間に磁気付着力があるとき、ボイスコイルモータが適用された電子デバイスが空、床、水平方向など任意の方向で撮影を行うとき、可動ベースは、離れる(loosening)ことなくスライド軸に常に密着した状態を保つことができる。これにより、運動安定性が保たれ、ボイスコイルモータの使用性能が向上する。
【0025】
可能な設計では、ベースは、スライドレールアセンブリの後方側部に位置する後方制限フレームと、スライドレールアセンブリの前方側部に位置する前方制限フレームを含む。後方制限フレームと前方制限フレームは、前後方向の可動ベースのスライド範囲を制限するために使用される。
【0026】
可能な設計では、延長部が後方制限フレームに面する可動ベースの側部に突出して配置される。延長部を挿入するための位置決め溝が後方制限フレームに形成される。
【0027】
制限フレームに向かう方向に延びる延長部は可動ベース上に配置されるため、磁石の設置を容易にすることができる。位置決め溝はこれに対応して後方制限フレーム上に配置されることで、延長部の挿入を容易にすることができる。一方では、可動ベースのスライドに対してより良い位置決め制御を行うことができ、他方では、可動ベースを後方制限フレームに近づけることができるため、可動ベース(つまり、モータ)のストロークを大きくすることができる。
【0028】
考えられる設計では、弾性バッファが可動ベースに面する後方制限フレームの側部に配置される;及び/又は弾性バッファは可動ベースに面する前方制限フレームの側部に配置される。
【0029】
本出願では、弾性バッファは、可動ベースの衝撃を緩衝し、長距離衝撃によって生じる異音問題を回避し、衝撃後の粉塵問題を軽減するために、可動ベースに面する後方制限フレームと前方制限フレームの側部に配置される。これにより、ボイスコイルモータの使用性能が向上する。
【0030】
可能な設計では、弾性バッファが後方制限フレームに面する可動ベースの側部に配置される;及び/又は弾性バッファは前方制限フレームに面する可動ベースの側部に配置される。
【0031】
可能な設計では、第2レンズを取り付けるための第2レンズ設置溝が後方制限フレームに配置される。
【0032】
可能な設計では、ボイスコイルモータはさらに、可動ベースの位置を感知するように構成された変位センサアセンブリと、変位センサアセンブリの感知信号を受信し、第1コイルと第2コイルの電流を制御するように構成されたプロセッサとを含む。上記の配置により、本出願の本実施形態で提供されるボイスコイルモータは、閉ループ制御を実現することができる。
【0033】
オプションで、プロセッサは制御回路であり得る。
【0034】
可能な設計では、変位センサアセンブリは、可動ベースに固定された磁気ゲートと、ベースに固定された磁気抵抗センサを含む。磁気抵抗センサは、磁気ゲートの磁場変化を感知し、その感知信号をプロセッサに送信するように構成される。
【0035】
本出願では、相互に作用する磁気ゲートと磁気抵抗センサは、可動ベースの位置を検出するように配置されるので、本出願で提供されるボイスコイルモータは、長移動位置検出能力と閉ループ制御能力を有する。
【0036】
オプションで、溝が可動ベースの底部に配置される。磁気ゲートは溝に固定される。磁気抵抗センサは、第3回路基板に固定され、第3回路基板を介してベースに固定される。
【0037】
オプションで、磁気抵抗センサは第3回路基板の一方の端部に電気的に接続され、配線端子又はコネクタが第3回路基板の他方の端部に配置されるため、第3回路基板はプロセッサに便利に電気的に接続されることができる。
【0038】
オプションで、磁気抵抗センサは、トンネル磁気抵抗センサ、異方性磁気抵抗センサ、巨大磁気抵抗センサ、通常の磁気抵抗センサなどのいずれか1つであり得る。
【0039】
可能な設計では、変位センサアセンブリは、可動ベースに固定された第3磁石と、ベースに固定された2つのホール効果センサを含む。第3磁石の磁極方向は、前後方向に対して斜めに配置される。2つのホール効果センサは、第3磁石の磁場変化を感知し、その感知信号をプロセッサに送信するように構成される。
【0040】
本出願では、互いに作用する第3磁石と2つのホール効果センサは可動ベースの位置を検出するように配置されるため、本出願で提供されるボイスコイルモータは、長移動位置検出能力と閉ループ制御能力を有する。また、可動ベースの移動位置を2つのホール効果センサの感知信号とプリセットアルゴリズムに基づいて正確に決定することができるため、正確なフォーカスを実現することができる。
【0041】
可能な設計では、ボイスコイルモータはさらに、可動ベースの底部に固定された第4磁石を含む。第4磁石と第3磁石は、スライドレールアセンブリの反対側に対称に配置される。第4磁石は、可動ベースの2つの側部の重力と、可動ベースとスライド軸との間の磁気付着力とのバランスをとるように配置され、それによって可動ベースの安定した滑らかなスライドを容易にし、ボイスコイルモータの使用性能を向上させる。
【0042】
可能な設計では、可動ベースは2つの設置ブラケットと金属接続ピースとを含む。2つの設置ブラケットは金属接続ピースを介して固定される。可動ベースの全体的な機械的強度を、金属接続ピースを配置することによって向上させることができる。
【0043】
可能な設計では、金属接続ピースは2つの磁気伝導シートと支持底部(support bottom)を含む。2つの磁気伝導シートは支持底部を介して固定される。2つの磁気伝導シートは、それぞれ2つの設置ブラケットに固定され、それぞれ第1磁石と第2磁石の内側に位置する。上記の配置により、磁石の内側の磁気抵抗を低減することができ、磁石の外側の磁場の大きさを大きくすることができる。これにより、コイルの出力力を高めることができ、さらに応答効率及び可動ベースの速度の向上に役立つ。
【0044】
可能な設計では、金属接続ピースは一体成形プロセスを使用して磁気伝導材料で作られる。
【0045】
第2の態様によると、第1レンズと第1の態様の可能な設計で提供されるボイスコイルモータを含むカメラモジュールが提供される。ボイスコイルモータは、第1レンズを駆動して動かすように構成される。
【0046】
可能な設計では、カメラモジュールはさらに、第1レンズの物体側方向に配置された第2レンズと、第1レンズの像側(image side)方向に配置されたイメージセンサを含む。
【0047】
オプションで、第2レンズはボイスコイルモータの第2レンズ設置溝に固定され得る。
【0048】
オプションで、イメージセンサは、相補型金属酸化物半導体イメージセンサ又は電荷結合素子イメージセンサであり得る。イメージセンサは、主に光の光学信号に対して光電変換及びアナログ/デジタル信号変換を行い、表示画面などの表示ユニットで表示するイメージデータを出力するように構成される。
【0049】
可能な設計では、カメラモジュールは第2レンズの物体側方向に配置された反射要素をさらに含む。つまり、カメラモジュールは潜望鏡カメラモジュールであり得る。
【0050】
オプションで、反射要素は三角プリズム又は反射体であり得る。
【0051】
可能な設計では、赤外線フィルタが第1レンズとイメージセンサとの間にさらに配置される。赤外線は、赤外線フィルタを配置することによって、カット、フィルタリング等することができ、それによって画質を向上させる。赤外線フィルタは、例えば、白色ガラスフィルタ又は青色ガラスフィルタであり得る。
【0052】
第3の態様によれば、第2の態様の可能な設計で提供されるカメラモジュールを含む電子デバイスが提供される。
【0053】
オプションで、電子デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ビデオカメラ、ビデオレコーダ、カメラ、インテリジェントロボット、車内監視、又は撮影若しくはビデオ撮影機能を備えた別の形態のデバイスであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本出願の一実施形態によるボイスコイルモータの全体構造の概略図である。
【0055】
【
図2】本出願の一実施形態によるボイスコイルモータの構造の分解図である。
【0056】
【
図3】本出願の一実施形態によるボイスコイルモータの別構造の分解図である。
【0057】
【
図4】本出願の一実施形態によるカバーが取り外された後のボイスコイルモータの構造の概略図である。
【0058】
【
図5】電磁駆動アセンブリが可動ベースを駆動して動かす構造の概略図である。
【0059】
【
図6】本出願の一実施形態によるベースの構造の概略図である。
【0060】
【
図7】本出願の一実施形態による可動ベースの構造の概略図である。
【0061】
【
図8】本出願の一実施形態による可動ベースの構造の分解図である。
【0062】
【
図9】設置ブラケットが可動ベースから取り外された後の一例の接続関係の概略図である。
【0063】
【
図10】設置ブラケットが可動ベースから取り外された後の一例の接続関係の概略図である。
【0064】
【
図11】本出願の一実施形態によるカバーが取り外されたボイスコイルモータの別の例の構造の概略図である。
【0065】
【
図12】
図11に示すボイスコイルモータの可動ベースを設置する構造の概略図である。
【0066】
【
図13】本出願の一実施形態によるカバーが取り外された後のボイスコイルモータのさらに別の例の構造の概略図である。
【0067】
【
図14】
図13に示すボイスコイルモータの構造の分解図である。
【0068】
【
図15】
図13に示すボイスコイルモータの電磁駆動アセンブリが可動ベースを駆動して動かす構造の概略図である。
【0069】
【
図16】電磁駆動アセンブリの設置構造の概略図である。
【0070】
【
図17】電磁駆動アセンブリの別の設置構造の概略図である。
【0071】
【
図18】本出願の一実施形態によるカメラモジュールの構造の概略図である。
【0072】
【
図19】本出願の一実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
【符号の説明】
【0073】
参照番号:
100:ボイスコイルモータ;
110:ベース;111:底部プレート;112:後方制限フレーム;113:前方制限フレーム;114:第2レンズ設置溝;115:弾性バッファ;1151:接続リブ;116:位置決め溝;117:第1スライド軸;118:第2スライド軸;119:金属補強プレート;
120:可動ベース;121:設置ブラケット;1211:磁石設置溝;1212:バッファ設置溝;1213:貫通溝;122:金属接続ピース;1221:磁気伝導シート;1222:支持底部:1223:持ち上げ部分;123:第1レンズ設置溝;124:延長部;125:接続ビーム;127:第1スライド溝;128:第2スライド溝;
130:第1電磁駆動アセンブリ;131:第1磁石;132:第1コイル;133:第1回路基板;134:制限突起;135:第5磁石;136:第6磁石;137:磁気伝導フレーム;138:磁気伝導挿入ブロック;
140:第2電磁駆動アセンブリ;141:第2磁石;142:第2コイル;143:第2回路基板;144:接続回路基板;
150:カバーボディ;151:頂部プレート;152:サイドパネル;
160:光入口;
170:光出口;
180:変位センサアセンブリ;181:磁気ゲート;182:磁気抵抗センサ;183:第3回路基板;184:第3磁石;185:ホール効果センサ;186:第4磁石;187:第4回路基板;
200:カメラモジュール;210:反射要素;220:第2レンズ;230:第1レンズ;240:赤外線フィルタ;250:イメージセンサ;
300:電子デバイス;310:電子デバイスハウジング;320:表示画面。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本出願の技術的な解決策を添付の図面を参照して説明する。説明された実施形態は、本出願の実施形態の一部にすぎず、すべてではないことは明らかである。
【0075】
本出願の説明では、特に明記されていない限り、「設置」、「接続」、及び「固定する」という用語は広い意味で理解されるべきであることが留意されるべきである。例えば、接続は固定接続、取り外し可能接続、又は一体化された接続の場合がある。代替的には、接続は機械的接続又は電気的接続の場合もあれば、相互通信を意味する場合もある。代替的には、接続は直接接続の場合もあれば、中間媒体を介した間接接続の場合もあり、2つの要素間の接続又は2つの要素間の相互作用関係の場合もある。当業者は、特定の場合に応じて、本出願における前述の用語の特定の意味を解釈することができる。
【0076】
本出願の説明において、「上」、「下」、「横」、「内側」、「外側」、「頂部」、「底部」等の用語が示す方向又は位置関係は、添付図面に示されている方向又は位置関係に基づいており、単に本出願を説明し、説明を簡略化することを意図しているだけであって、装置又は要素が特定の方向を有するものでなければならないこと、又は特定の方向に構成され、動作するものでなければならないことを示したり暗示したりするものではないため、本出願の限定として理解してはならないことを理解すべきである。
【0077】
なお、本出願の実施形態において、同一の参照番号は、同じ構成要素又は同じ部分を示す。本出願の実施形態における同じ部分については、参照番号を付した1つの部分又は構成要素のみを図中の例として使用することができる。参照番号は、他の同じ部分又は構成要素にも適用できることを理解すべきである。
【0078】
本出願の説明では、「及び/又は」という用語は、関連する物体を記述するための関連関係のみを記述し、3つの関係が存在する可能性があることを表していることに注意する必要がある。例えば、A及び/又はBは、次の3つのケースを表す場合がある:Aのみが存在する、AとBの両方が存在する、Bのみが存在する。
【0079】
ここでは、わかりやすくするために、まず本出願の技術用語について説明し、記載する。
【0080】
レンズ:レンズは、レンズの屈折原理を使用して、シーンの光がレンズを通過して焦点面に鮮明な画像を形成することを可能にするコンポーネントである。1つのレンズは、1つ以上のレンズを含み得る。ここで、レンズは凹レンズでも凸レンズでもよい。
【0081】
光軸:光軸は光学系が伝導する光の方向である。中心視野の主光を参照。対称伝導系の光軸は、一般に光学系の回転中心線と一致する。軸外系(off-axis system)と反射系の光軸も破線として示す。
【0082】
物体側と像側:レンズ(1つ又は複数)が境界として使用され、撮影した物体が位置する側を物体側、撮影した物体側の像がある側を像側である。
【0083】
フォーカス:フォーカス(焦点(focus))はライトフォーカスとも呼ばれる。カメラのピント合わせ機構を介して物体距離(object distance)及び像距離(image distance)を変化させ、撮影した物体を鮮明にする処理がフォーカスである。一般にデジタルカメラには、オートフォーカス、マニュアルフォーカス、マルチフォーカスなど、複数のフォーカシング方法がある。
【0084】
オートフォーカス:オートフォーカス(auto focus)は、反射光が、電気フォーカシング装置を駆動させてピントを合わせるために、物体の光の反射の原理を利用して、カメラのセンサ(例えば、電荷結合素子(charge-coupled device、CCD))で受光され、コンピュータで処理される方法である。
【0085】
ボイスコイルモータ:ボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)は、スピーカのボイスコイルと構造が似ていることから、ボイスコイルアクチュエータやボイスコイルリニアモータとも呼ばれる。ボイスコイルモータは、電力を機械的な出力に変換する装置であり、永久磁石の磁場と通電コイル導体が発生させる磁場によって磁極に作用する作用を利用して運動を発生させるため、磁極がレンズを駆動して直線運動や限られた振れ角での運動を行う。ボイスコイルモータは主に小ストローク、高速、高加速運動に用いられ、狭い空間に適している。
【0086】
カメラモジュールの場合、ボイスコイルモータは通常、フォーカシング及び光学手ぶれ補正(optical image stabilization、OIS)に用いられる。本出願では、ボイスコイルモータは主にフォーカシングに用いられる。
【0087】
近年、光学イメージング技術の発展に伴い、携帯電話などの携帯電子デバイスの撮影機能に対する要求が高まっている。電子デバイスに構成されたカメラモジュールは、背景ぼかし及び夜間の鮮明な撮影などの機能を実現することを必要とされるだけでなく、電子デバイスに構成されたカメラモジュールは、望遠撮影及びマクロ撮影を実現することも必要とされる。
【0088】
ボイスコイルモータは、構造が簡単、小型、低消費電力、ノイズがない、応答速度が速い、変位が正確、価格が安いなどの利点があるため、現在では、通常、ボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)は、カメラモジュールでフォーカス処理を行うために使用される。
【0089】
ボイスコイルモータは通常、固定ピース、可動ピース、及びアクチュエータの3つの部品を含む。固定ピースは、収容スペースを有し、可動ピースを収容するように構成される。可動ピースは、固定ピース上に移動可能に配置され、調整可能なレンズグループを固定するように構成される。アクチュエータは、可動ピースを駆動して並進を行い、調整可能なレンズグループと固定されたレンズグループとの間の距離を変更するように構成される。これはレンズフォーカシングを実装する。
【0090】
具体的には、アクチュエータは通常コイルと磁石の組み合わせを含む。コイルと磁石は、それぞれ固定ピースと可動ピースに固定され得、平行に配置され得る。コイルに直流を接続することで磁石に駆動力を与えることができる。磁場によってカバーされる磁石の力の大きさ及び方向をコイルの直流の大きさ及び方向を変えることによって制御できる。磁石は並進のために可動ピースに駆動力を提供し得る。可動ピースはさらに、固定されたレンズグループに近づく又は離れるように調整可能なレンズグループを駆動する。これはレンズのオートフォーカスを実現する。
【0091】
携帯電話が望遠撮影を実行するとき、撮影した物体はユーザから遠く離れている。撮影した物体は通常、大きな物体、例えば、風景又は建物であり、容易に写真全体を占有する。通常、望遠撮影の焦点距離は短いため、占有されるために必要なボイスコイルモータストロークも小さい。
【0092】
マクロ撮影は、物体を大きい倍率で短い撮影距離で撮影することであり、通常は花や昆虫などの微細な物体を撮影するために用いられる。マクロ撮影は通常、関連する物体を短い距離で撮影する必要がある。作動距離が短いことは、占有される必要があるボイスコイルモータのストロークが長くなることを示す。
【0093】
同じカメラモジュールが望遠撮影とマクロ撮影の両方を実行することを可能にするために、カメラモジュール内の調整可能なレンズグループは長いストロークのドラッギング機能(dragging capability)を有することを必要とする。ボイスコイルモータを使用してドラッグされるカメラモジュールの場合、ボイスコイルモータは過度に大きいストロークを有することを必要とする。
【0094】
現在、ボイスコイルモータのストロークは、通常制限されており、望遠撮影の使用要件を満たすことしかできないが、マクロ撮影の使用要件を満たすことはできない。具体的には、現在の望遠撮影機能を持つカメラモジュールでは、互いに近接した物体を撮影することは困難であり、物体を十分大きく十分鮮明に撮影することはできない。撮影される物体がカメラに近接しているとき、ピントを合わせることが困難である(ピントを合わせるのに必要な距離が、現在のボイスコイルモータのストローク範囲を超えている)。その結果、画像がぼやける。この理由のため、現在、ほとんどの携帯電話のカメラは、レンズから6~7cm離れた場所でしかピントを合わせることができない。カメラが物体に近づき続けるとき、カメラモジュールはまったくピントを合わせることができず、撮影効果は常に不十分である。
【0095】
これに基づいて、本出願の実施形態は、ボイスコイルモータ、レンズモジュール、及び電子デバイスを提供する。ボイスコイルモータの大きなストロークが望遠撮影の使用要件とマクロ撮影の使用要件の両方を満たすように、ボイスコイルモータの構造を改良する。したがって、ユーザは望遠撮影とマクロ撮影の2つの作動モードを柔軟に切り替えることができ、ユーザの使用体験を向上させることができる。
【0096】
第1の態様によると、本出願の実施形態は、まずボイスコイルモータを提供する。ボイスコイルモータは、カメラモジュールのレンズを駆動して移動し、フォーカシングを実装するように構成できる。
図1は、本出願の一実施形態によるボイスコイルモータ100の全体構造の概略図である。
図2は、本出願の一実施形態によるボイスコイルモータ100の構造の分解図である。
図3は、本出願の一実施形態によるボイスコイルモータ100の別の構造の分解図である。
図4は、本出願の一実施形態によるカバーが取り外されたボイスコイルモータ100の構造の概略図である。
図5は、電磁駆動アセンブリが可動ベース120を駆動して動かす構造の概略図である。
【0097】
図1から
図5に示すように、本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100は、ベース110、可動ベース120、スライドレールアセンブリ、第1電磁駆動アセンブリ130、第2電磁駆動アセンブリ140、及びカバーボディ150を含む。
【0098】
カバーボディ150は、ベース110を覆って設置キャビティを形成する。可動ベース120、スライドレールアセンブリ、第1電磁駆動アセンブリ130、第2電磁駆動アセンブリ140、光学レンズ等は設置キャビティ内に収容される。
【0099】
図1、
図2、
図4に示すように、設置キャビティと連通する光入口160と光出口170がさらに、ボイスコイルモータ100の2つの反対側の側部に別々に構成される。光路が光入口160と光出口170との間に構成される。設置キャビティには、光学レンズなどの光学素子(optical element)が光路上に配置される。光入口160から入った後、設置キャビティを通過した光は、設置キャビティ内の光学レンズなどの光学素子によって処理(例えば屈折)され、光出口170から放射される。
【0100】
カバーボディ150は、ベース110に設置され、設置キャビティ内の各要素を保護して密封する。カバーボディ150がベース110にどのように設置されるかは、本出願では限定されず、ネジ、バックル、接着剤などの接続方法を含むが、これに限定されない。
【0101】
キャビティ内の電磁駆動アセンブリの動作への影響を軽減するために、カバーボディ150は非磁気伝導材料で作られ得る。オプションで、カバーボディ150はプラスチック又は非磁気伝導金属で作られ得る。例えば、カバーボディ150の材料はステンレス鋼SUS316L、又はアルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金などの材料であり得る。
【0102】
図2に示すように、カバーボディ150は、カバー形状であり、頂部プレート151と、頂部プレート151の2つの反対側の側部(
図2の前方側部と後方側部)に構成された2つの側部プレート152とを有する。カバーボディ150は、ベース110上に覆われる。光入口160と光出口170は、ボイスコイルモータ100の左右の側部に構成される。オプションで、カバーボディ150は、鍛造、ダイキャスト、射出成形などのプロセスを使用して構成され得る。これは本出願では限定されない。
【0103】
スライドレールアセンブリは、設置キャビティ内に構成され、可動ベース120のスライド方向をガイドするように構成される。
図4及び
図5に示すように、スライドレールアセンブリは方向A及び方向Bに配置される。方向A及びBは光路の方向である。方向Aは光の前進方向を表し、方向Bは前進方向と反対の後退方向を表す。したがって、言い換えれば、スライドレールアセンブリは前後方向に配置され、前後方向はまた可動ベース120の移動方向である。
【0104】
スライドレールアセンブリの具体的な配置方法は、スライドレールアセンブリがスライドして方向を案内できることを条件として、本出願の実施形態に限定されない。例えば、スライドレールアセンブリは、スライドブロックタイプのスライドレールアセンブリ(互いに作用するスライドブロックとスライド溝がそれぞれベース110と可動ベース120に配置される)、ローラータイプ、スチールボールタイプ、歯車タイプなどであり得る。以下では、本出願の実施形態で提供されるスライドレールアセンブリについて、添付図面を参照してさらに説明する。
【0105】
可動ベース120は、第1レンズ(図示されていない)を担持するように構成され、スライドレールアセンブリを介してベース110上にスライド可能に配置される。第1レンズは可動ベース120に固定される。可動ベース120は、スライドレールアセンブリを介して前後方向に移動し、第1レンズを前後方向に動かす。例えば、第1レンズは、前方(つまり、
図4の方向A)に移動するように駆動され得る、又は第1レンズは後方(つまり、
図4の方向B)に移動するように駆動され得る。
【0106】
オプションで、第1レンズは1つのレンズを含み得、そのレンズは凹レンズ又は凸レンズであり得る。
【0107】
オプションで、第1レンズは代替的に複数のレンズを含み得る。この場合、第1レンズは複数のレンズを含むレンズグループであり、複数のレンズは凹レンズ及び/又は凸レンズを含み得る。第1レンズは前後に移動し得るため、第1レンズは調整レンズ、調整レンズグループ、移動レンズ、移動レンズグループ等とも呼ばれ得る。
【0108】
図4及び
図5に示すように、ボイスコイルモータ100はさらに電磁駆動アセンブリを含む。電磁駆動アセンブリは、可動ベース120に駆動力を提供し、可動ベース120をベース110に対して前後方向にスライドさせるよう駆動するように構成される。
【0109】
ここで、電磁駆動アセンブリはコイルと磁石の組み合わせである。コイルはベース110と可動ベース120の一方に配置され得、磁石はベース110と可動ベース120の他方に配置され得る。コイルと磁石は互いに平行かつ反対側に配置される。相互作用力をコイルに直流を供給することでコイルと磁石の間に発生させることができ、可動ベース120をベース110に対して前後方向にスライドするように駆動することができる。相互作用力の大きさと方向を電流の大きさと方向を変えることで変えることができるため、可動ベース120のスライド速度や方向などを制御することができる。
【0110】
本出願の実施形態では、電磁駆動アセンブリは、第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140を含む。第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は、それぞれスライドレールアセンブリの2つの半多岐川の側部に配置される(つまり、前後方向の左右に位置する)。第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は、別々に動作し、互いに影響しない。スライドレールアセンブリの2つの側部は、可動ベース120に同時に駆動力を提供し、可動ベース120がベース110に対して前後方向に滑らかにスライドするように駆動し得る。
【0111】
本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100によれば、可動ベース120は、スライドレールアセンブリを介してスライドする方法でベース110上に配置され、ベース110に対して前後にスライドし得るため、可動ベース120はベース110に対してより大きな移動範囲を持ち、ボイスコイルモータ100はより大きなモータストロークを持つ。このため、望遠撮影の使用要件とマクロ撮影の使用要件の両方を満たすことができるため、ユーザは望遠撮影とマクロ撮影の2つの作動モードを柔軟に切り替えることができ、ユーザの使用体験を向上させることができる。
【0112】
例えば、望遠撮影を行う必要があるとき、可動ベース120は第1レンズを後方に駆動してフォーカシング(すなわち、
図4及び
図5の方向Bである)を実現し得る。マクロ撮影を行う必要があるとき、可動ベース120は第1レンズを前方に駆動してフォーカシング(すなわち、
図4及び
図5の方向Aである)を実現し得る。
【0113】
本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100は、スライドレールアセンブリの2つの反対側の側部にそれぞれ配置された第1電磁駆動アセンブリ130及び第2電磁駆動アセンブリ140を含む。スライドレールアセンブリの2つの側部は、同時に可動ベース120のための駆動力を提供し得る。単一の側部の力と比較して、可動ベース120がスライドするときに発生する運動傾斜角を回避できるため、可動ベース120のより安定し且つより滑らかなスライドを確実にすることができる。また、変位センサによって収集される可動ベース120の位置情報がより正確になり、ボイスコイルモータ100の閉ループ制御精度を向上させることができる。このため、カメラモジュールの撮影効果を向上させることができる。
【0114】
また、本出願の実施形態では、第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140がスライドレールアセンブリに対して対称に配置されているため、両側部での対称な出力力を確保でき、偏った出力力による運動傾斜角を回避できる。これにより、可動ベース120の運動安定性がさらに向上し、カメラモジュールの撮影効果がさらに向上する。
【0115】
例えば、
図5に示すように、第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は、可動ベース120の2つの反対側の側部に対称に配置される。第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は、それぞれ可動ベース120に対して前後方向(方向Aと方向B)に平行な駆動力を与える。
【0116】
以下、本出願の各実施形態で提供されているスライドレールアセンブリについて、添付図面を参照してさらに説明する。
図6は、本出願の一実施形態によるベース110の構造の概略図である。
図7は、本出願の一実施形態による可動ベース120の構造の概略図である。
【0117】
図2及び
図5~
図7に示すように、本出願の一実施形態におけるスライドレールアセンブリは、ベース110内に平行に離間して配置された第1スライド軸117及び第2スライド軸118と、可動ベース120の底部に配置された第1スライド溝127及び第2スライド溝128とを含む。第1スライド軸117は第1スライド溝127内にスライド可能に配置され、第2スライド軸118は第2スライド溝128内にスライド可能に配置される。本出願の実施形態で提供されるスライドレールアセンブリは、互いに作用するスライド軸とスライド溝を含むため、可動ベース120がベース110上を滑らかにスライドする。
【0118】
具体的には、本出願の実施形態で提供されるスライドレールアセンブリは、互いに適合するスライド軸とスライド溝の組み合わせを含む。スライド軸は、ベース110に固定され、平行に離間して配置された第1スライド軸117と第2スライド軸118を含む。スライド溝は、可動ベース120の底部に対応して配置され、平行に離間して配置された第1スライド溝127と第2スライド溝128を含む。
【0119】
第1スライド溝127と第2スライド溝128は、第1スライド軸117と第2スライド軸118に対応してスリーブ状に配置される(sleeved)。スライド軸とスライド溝は、互いに対してスライドし得る。電磁駆動アセンブリの作用下では、可動ベース120は、ベース110に対してスライド軸に沿って前後にスライドし得る。
【0120】
オプションで、別の実装では、スライド溝とスライド軸の位置を交換してもよい。例えば、第1スライド軸117と第2スライド軸118を可動ベース120の底部に配置してもよい。第1スライド溝127と第2スライド溝128をベース110の上面に構成する。これは本出願では限定されない。
【0121】
オプションで、別の実装では、スライド軸とスライド溝のより多くの組み合わせが配置され得る。例えば、3つのスライド軸と3つのスライド溝が対応して配置され得る。これは本出願では限定されない。
【0122】
オプションで、スライド軸及び/又はスライド溝の摩擦面はグリスでコーティングされ、その結果スライド軸及び/又はスライド溝間の摩擦力を低減することができ、可動ベース120はベース110上を滑らかにスライドする。
【0123】
図5及び
図7に示すように、第1スライド溝127はV溝であり、第2スライド溝はU溝であり、U溝の溝幅は第2スライド軸118の幅よりも大きい。V溝の方がスライド案内をより良く実行し得、U溝は公差のために使用され得る。U溝の配置は、可動ベース120などが生産エラーを有することを許容し得、生産エラーによって可動ベース120のサイズがわずかに増減するときに、可動ベース120をスライド軸に正しく設置する(スリーブ状に配置される)ことができることを確実にすることを可能にし得る。U溝を配置することで、耐障害率を向上させることができる。これにより、生産コストを削減することができる。
【0124】
図2及び
図6に示すように、ベース110は、底部プレート111と、底部プレート111の後方側部に固定された後方制限フレーム112と、底部プレート111の前方側部に固定された前方制限フレーム113とを含む。光入口160は後方制限フレーム112に形成され、光出口170は前方制限フレーム113に形成される。可動ベース120、電磁駆動アセンブリ、及びスライドレールアセンブリなどのコンポーネントを取り付けるための設置スペースが後方制限フレーム112と前方制限フレーム113の間に形成される。
【0125】
後方制限フレーム112は、スライドレールアセンブリ(スライド軸)の後方側部に位置している。前方制限フレーム113は、スライドレールアセンブリの前方側部に位置している。後方制限フレーム112と前方制限フレーム113は、前後方向の可動ベース120のスライド範囲を制限するように構成される。
【0126】
後方制限フレーム112、底部プレート111、前方制限フレーム113は、全体としてU形状構造を形成する。第1スライド軸117と第2スライド軸118の前端は前方制限フレーム113に固定され、後端は後方制限フレーム112に固定される。第1スライド軸117と第2スライド軸118と底部プレート111との間にギャップが存在するため、可動ベース120を第1スライド軸117と第2スライド軸118にスムーズに設置することができる。
【0127】
図6に示すように、本出願の本実施形態では、第2レンズを設置するように構成された第2レンズ設置溝114が、後方制限フレーム112に配置される。
【0128】
具体的には、本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100は、さらに第2レンズ(図示せず)を備えて設置されることができる。第2レンズは、後方制限フレーム112に配置された第2レンズ設置溝114に固定される。光入口160から入った光は、第2レンズに放射され、第2レンズで処理された後、可動ベース120に配置された第1レンズに放射され続ける。第1レンズで処理された光は、最終的に光出口170から放射される。
【0129】
第1レンズと第2レンズは光路の光軸上にあり、中心軸が光軸と一致し得る。電磁駆動アセンブリが可動ベース120を駆動して動かすことで、第1レンズと第2レンズの距離を変化させることができ、光学フォーカスを行うことができる。
【0130】
オプションで、第2レンズは1つのレンズを含み得、レンズは凹レンズ又は凸レンズであり得る。
【0131】
オプションで、第2レンズは代替的に複数のレンズを含み得る。この場合、第2レンズは複数のレンズを含むレンズグループであり、複数のレンズは凹レンズ及び/又は凸レンズを含み得る。第2レンズはボイスコイルモータ100の内部で固定されるため、固定レンズ、固定レンズグループなどと呼ばれ得る。
【0132】
本出願の実施形態では、第2レンズは第1レンズの物体側に配置される。別の実装では、第2レンズは代替的に第1レンズの像側に配置され得、例えば、前方制限フレーム113に固定される。これは本出願では限定されない。
【0133】
図6に示すように、ベース110は、底部プレート111の外面に固定された金属補強プレート119をさらに含む。金属補強プレート119を配置することで、ベース110の機械的強度を向上させることができる。
【0134】
オプションで、突起が底部プレート111の外面に配置され、貫通孔が金属補強プレート119の対応する位置に配置され、突起はその貫通孔に埋め込まれることで、金属補強プレート119は底部プレート111に固定される。
【0135】
オプションで、キャビティ内の電磁駆動アセンブリの動作への影響を軽減するために、金属補強プレート119は非磁性の導電性金属で作られ得る。例えば、金属補強プレート119の材料は、ステンレス鋼SUS316L、又はアルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金などの材料であり得る。
【0136】
オプションで、金属補強プレート119は、曲げられ、後方制限フレーム112及び前方制限フレーム113の外面まで延びることで、より良い機械的強化効果を得ることができる。
【0137】
図3、
図4及び
図6に示すように、本出願の実施形態では、弾性バッファ115が、後方制限フレーム112の側部であって可動ベース120に面する側部に配置される。弾性バッファ115は、前方制限フレーム113の側部であって可動ベース120に面する側部に配置される。
【0138】
弾性バッファ115は、弾性材料で作られ、可動ベース120の衝撃を緩衝及び吸収することができ、構造回復能力を有する。例えば、弾性バッファ115は弾性軟質接着剤で作られ得る。
【0139】
本出願では、弾性バッファ115は、後方制限フレーム112の側部であって可動ベース120に面する側部と前方制限フレーム113の側部であって可動ベース120に面する側部に配置されて、可動ベース120の衝撃を緩衝し、長ストロークの衝撃によって生じる異音問題を回避し、衝撃後の粉塵を低減する。これにより、ボイスコイルモータ100の使用性能が向上する。
【0140】
図6に示すように、設置溝が後方制限フレーム112に配置され得る。弾性バッファ115は、設置溝に固定され(例えば、埋め込まれ)得る。弾性バッファ115の外端が後方制限フレーム112の内面から突出するので、弾性バッファ115が可動ベース120に衝突するとき衝撃吸収を和らげることができる。
【0141】
オプションで、固定効果を向上させるために、弾性バッファ115は接着剤を使用して設置溝に接着され得る。
【0142】
同様に、弾性バッファ115はまた、前方制限フレーム113の側部であって、可動ベース120に面する側部に接着する方法で接着して固定され得る。弾性バッファ115の外端は、前方制限フレーム113の内面から突出するので、弾性バッファ115が可動ベース120に衝突するとき衝撃吸収を和らげることができる。
【0143】
オプションで、別の実装では、弾性バッファ115は、特定の使用要件に基づいて、後方制限フレーム112と前方制限フレーム113の一方にのみを配置され得る。これは本出願では限定されない。
【0144】
図8は、本出願の一実施形態による可動ベースの構造の分解図である。
【0145】
同様に、
図4、
図5、
図7、
図8に示すように、さらに衝撃吸収効果を高めるために、
弾性バッファ115は、代替的に、可動ベース120の側部であって
後方制限フレーム112に面する側部に配置され得、弾性バッファ115は、可動ベース120の側部であって前方制限フレーム113に面する側部に配置され得る。
【0146】
図8に示すように、バッファ設置溝1212が可動ベース120の2つの前方及び後方側部に配置され得る。弾性バッファ115はこの溝に固定され得る。弾性バッファ115の外端は可動ベース120の側部から突出するので、弾性バッファ115が後方制限フレーム112又は前方制限フレーム113に衝突するとき衝撃吸収を和らげることができる。
【0147】
図8に示すように、可動ベース120は貫通溝1213を備える。貫通溝1213は、可動ベース120の2つの側部の2つのバッファ設置溝1212に接続される。2つの弾性バッファ115は、接続リブ1151を介して固定され得る。2つの弾性バッファ115と接続リブ1151は、対応して2つのバッファ設置溝1212と貫通溝1213に収容され得る。
【0148】
上記の配置により、弾性バッファ115の設置剛性を向上させることができるため、複数回の衝突の際に誤配置不良が発生しにくく、ボイスコイルモータ100の使用性能を向上させることができる。
【0149】
オプションで、2つの弾性バッファ115と接続リブ1151は一体構造であり得る。例えば、2つの弾性バッファ115と接続リブ1151は、射出成形プロセスを用いて一体に構成される。
【0150】
図5~
図8に示すように、延長部124が、可動ベース120の側部であって後方制限フレーム112に面する側部に突出して配置される。延長部124を挿入するための位置決め溝116が後方制限フレーム112に形成される。延長部124は、可動ベース120に対称に配置された2つの側部を含む。これに対応して、2つの位置決め溝116も後方制限フレーム112の2つの側部に対応して配置される。
【0151】
後方制限フレーム112に向かう方向に延びる延長部124は可動ベース120に配置されているので、磁石の設置を容易にすることができる。位置決め溝116はこれに対応して後方制限フレーム112に配置されているので、延長部124の挿入を容易にすることができる。一方で、より良い位置決め制御を可動ベース120のスライドに対して行うことができ、他方で、可動ベース120を後方制限フレーム112に近づけることができるため、可動ベース120(つまり、モータ)のストロークを大きくすることができる。
【0152】
以下では、本出願の実施形態における第1電磁駆動アセンブリ130及び第2電磁駆動アセンブリ140について、添付図面を参照しながらさらに説明する。
【0153】
図3~
図5、
図7及び
図8に示すように、第1電磁駆動アセンブリ130は、互いに平行且つ対向して配置された第1磁石131及び第1コイル132を含む。第2電磁駆動アセンブリ140は、互いに平行且つ対向して配置された第2磁石141及び第2コイル142を含む。第1磁石131及び第2磁石141は可動ベース120の2つの反対側の側部に固定され、第1コイル132及び第2コイル142はベース110に固定される。
【0154】
具体的には、電磁駆動アセンブリのコイルはベース110に固定され、磁石は可動ベース120に固定される。コイルに電源が入れられた後、コイルと磁石との間に相互作用力が発生する。相互作用力は磁石を駆動して動かし、磁石はさらに可動ベース(及び第1レンズ)を駆動して一緒に動かす。つまり、本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100は、移動磁石ボイスコイルモータである。
【0155】
オプションで、別の実装では、磁石とコイルの位置は代替的に交換され得る。この場合、磁石はベース110に固定され、コイルは可動ベース120に固定される。磁石とコイルとの間の相互作用力はコイルを駆動して動かし得、コイルはさらに可動ベース(及び第1レンズ)駆動して一緒に動かす。つまり、ボイスコイルモータ100は、代替的に、移動コイルボイスコイルモータであり得る。
【0156】
図5、
図7、及び
図8に示すように、本出願の実施形態では、第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は可動ベース120の2つの反対側の側部に対称に配置される。磁石設置溝1211は可動ベース120の2つの側部にそれぞれ配置される。第1磁石131と第2磁石141は、それぞれ磁石設置溝1211に固定される(例えば接着される)。
【0157】
第1磁石131も第2磁石141も、前後方向に沿った交互に配置されたN極とS極を有する。第1磁石131のN極とS極は第1コイル132に面し、第2磁石141のN極とS極は第2コイル142に面する。ここで、前後方向はスライド軸の設定方向、すなわち可動ベース120のスライド方向であり、光軸の方向でもある。
【0158】
コイルは、可動ベース120の外側に位置し、垂直に配置される。磁石は、コイルに面し、また底面に対して垂直に配置されているため、ボイスコイルモータ100の幅を小さくすることができる。
【0159】
例えば、
図5では、前方向(方向A)の第1磁石131の磁極は、順にN極とS極である。前方向の第2磁石141の磁極も、順にN極とS極である。確かに、第2磁石141の磁極交代順序は、代替的に、第1磁石131の磁極交代順序と逆であってもよい。例えば、前方向の第2磁石141の磁極は、代替的に順にS極とN極であってもよい。
【0160】
具体的には、設置された磁石とコイルは互いに平行且つ互いに対向し、磁石の磁極はコイルに面する。コイルは、光軸(前後方向)に平行な2つの水平エッジと、光軸に垂直な2つの垂直エッジを含む長方形である。コイルの電源を入れた後、コイルの2つの水平エッジは、同じ大きさで反対方向の力を受け、互いに反対に作用する。2つの垂直エッジの磁場の方向は反対であるため、電流の方向も反対になる。このようにして、2つの垂直エッジは同じ方向の力を受け、その力は重ね合わされる。この場合、磁石は重ね合わされた作用力の反力を受ける。反力はスライド軸とスライド溝の摩擦力に打ち勝ち、可動ベース120を押して第1レンズを前後に動かすことができる。これにより光学フォーカシングを実現する。
【0161】
具体例では、第1コイル132の電流方向を時計回りとし、前方向(方向A)の第1磁石131の磁極を連続的にN極、S極とする。この場合、第1コイル132の2つの水平エッジは、同じ大きさ且つ反対方向の作用力によって互いに打ち消し合う。左手の法則により、左側の垂直エッジは前方の作用力を受け、右側の垂直エッジも前方の作用力を受ける。2つの前方の作用力は重ね合わされる。第1磁石131は重ね合わされた作用力の反力を受ける、つまり第1磁石131は後方の作用力を受ける。後方の作用力は可動ベース120を押して第1レンズを後方(方向B)に動かす。
【0162】
オプションで、第1磁石131は複数の独立した磁石を含み得、複数の独立した磁石は第1コイル132の磁極に向かって交互に配置される。代替的には、第1磁石131は一体化された磁化構造であり得る。この場合、第1磁石131は全体磁石であり、第1コイル132に面する面は平面二段磁化(magnetizing)構造である。
【0163】
同様に、第2磁石141は複数の独立した磁石を含み得、複数の独立した磁石は第2コイル142の磁極に向かって交互に配置される。代替的には、第2磁石141は一体の磁化構造であり得る。この場合、第2磁石141は全体磁石であり、第2コイル142に面する面は平面二段磁化(magnetizing)構造である。
【0164】
図2から
図4に示すように、第1コイル132は、第1回路基板133に電気的に接続され、第1回路基板133を介してベース110に固定される。第2コイル142は、第2回路基板143に電気的に接続され、第2回路基板143を介してベース110に固定される。第1回路基板133は接続回路基板
144を介して第2回路基板143に電気的に接続される。すなわち、コイルの設置と固定及び外部機器(例えば、制御メインボード)との電気的接続は回路基板を介して実現される。
【0165】
オプションで、第1回路基板133、第2回路基板143、及び接続回路基板144はプリント回路基板(printed circuit board、PCB)であり得る。
【0166】
オプションで、第1回路基板133、第2回路基板143、及び接続回路基板144は、フレキシブルプリント回路基板(flexible circuit,、FPC)、プリント回路基板、又はリジッドフレキシブルプリント回路基板であり得る。
【0167】
例えば、第1回路基板133、第2回路基板143、及び接続回路基板144はFPCであり、一体構造である。
【0168】
図3に示すように、複数の制限突起134が、コイルの内側及び外側周辺に面する第1回路基板133及び第2回路基板143の面に固定される。第1回路基板133及び第2回路基板143をベース110上に配置した後、制限突起134を配置することによってコイルを支持及び保護することができる。これにより、コイルが潰れて故障するのを防ぐことができる。
【0169】
図5に示すように、本出願の本実施形態では、第1スライド軸117と第2スライド軸118が磁気伝導材料で作られる。第1磁石131と第1スライド軸117との間には磁気付着力があり、第2磁石141と第2スライド軸118との間には磁気付着力がある。
【0170】
スライド軸と磁石との間に磁気付着力があるとき、ボイスコイルモータ100を適用した電子デバイスが空、床、又は水平方向など任意の方向の撮影を行うとき、可動ベース120は、離れる(loosening)ことなくスライド軸に常に密着した状態を保つことができる。これにより、運動安定性が保たれ、ボイスコイルモータ100の使用性能が向上する。
【0171】
以下、本出願の実施形態における可動ベース120の具体的な構造について、添付図面を参照しながらさらに説明する。
【0172】
図7及び
図8に示すように、可動ベース120は、2つの設置ブラケット121と金属接続ピース122を含む。2つの設置ブラケット121は、金属接続ピース122を介して固定される。金属接続ピース122を配置することで、可動ベース120の全体的な機械的強度を向上させることができる。
【0173】
具体的には、金属接続ピース122の2つの端部の各々は設置ブラケット121に固定される。設置ブラケット121はプラスチック部品であり得る。金属接続ピース122の端部が、設置ブラケット121の内側に射出成形する方法で固定(挿入)され得るため、可動ベース120は全体として高い機械的強度を有する。
【0174】
図7に示すように、2つの設置ブラケット121と金属接続ピース122は、共同で第1レンズを固定するように構成された第1レンズ設置溝123を規定する。溝、すなわち第1スライド溝127と第2スライド溝128が2つの設置ブラケット121の各々の底部に配置される。2つの設置ブラケット121の各々は、さらに、磁石を設置するように構成された磁石設置溝1211、弾性バッファ115を設置するように構成されたバッファ設置溝1212、貫通溝1213などを備える。
【0175】
図9は、設置ブラケット121が可動ベース120から取り外された後の一例の接続関係の概略図である。
【0176】
図8及び
図9に示すように、金属接続ピース122は、2つの磁気伝導シート1221と支持底部1222を含む。2つの磁気伝導シート1221は支持底部1222を介して固定される。2つの磁気伝導シート1221は、それぞれ2つの設置ブラケット121に固定され、それぞれ第1磁石131と第2磁石
141の内側に位置する。このような配置により、磁石の内側の磁気抵抗を低減することができ、磁石の外側の磁場の大きさを大きくすることができる。これは、コイルの出力力を高めるのに役立ち、さらに応答効率及び可動ベース120の速度の向上に役立つ。
【0177】
オプションで、磁気伝導シート1221は折りたたみ部分を含み得る。折りたたみ部分は、磁気伝導シート1221が重なり部分を持つことを可能にする。重なり部分は、磁石の内側の磁気抵抗をさらに減少させ得るため、磁石の外側の磁場の大きさ及びコイルの出力力をさらに向上させることができる。
【0178】
図9に示すように、支持底部1222は持ち上げ部1223を介して磁気伝導シート1221に固定される。磁石の高さをある程度持ち上げることができ、磁石とスライド軸との間の距離を持ち上げ部1223を用いることによって大きくすることができ、それによって磁石とスライド軸との間の磁気付着力を高める。
【0179】
オプションで、金属接続ピース122は、一体成形プロセスを用いて磁気伝導材料で作られ得るので、金属接続ピース122の機械的安定性を向上させることができる。一体成形プロセスは、例えば、鍛造又はダイキャストであり得る。
【0180】
図7及び
図8に示すように、2つの設置ブラケット121の上部は接続ビーム125を介してさらに接続されているので、可動ベース120全体の機械的強度を向上させることができる。接続ビーム125はまた、2つの設置ブラケット121が射出成形法を用いて一体的に構成されるとき、ランナーとして使用され得る。
【0181】
図9に示すように、ボイスコイルモータ100はさらに、可動ベース120の位置を感知するように構成された変位センサアセンブリ180と、変位センサアセンブリ180の感知信号を受信し、第1コイル132と第2コイル142の電流を制御するように構成されたプロセッサとを含む。以上のような配置により、本出願の実施形態で提供されるボイスコイルモータ100は、閉ループ制御を実現することができる。
【0182】
オプションで、プロセッサは制御回路であり得る。
【0183】
図9に示すように、本出願の本実施形態では、変位センサアセンブリ180は、可動ベース120に固定された磁気ゲート181と、ベース110に固定された磁気抵抗センサ182を含む。磁気抵抗センサ182は、磁気ゲート181の磁場変化を感知し、感知信号をプロセッサに送信するように構成される。
【0184】
本出願では、互いに作用する磁気ゲート181と磁気抵抗センサ182は、可動ベース120の位置を検出するように配置されるため、本出願で提供されるボイスコイルモータ100は、長移動位置検出機能と閉ループ制御機能を有する。
【0185】
本出願の本実施形態では、溝が可動ベース120の底部に配置される。磁気ゲート181は溝に固定される。磁気抵抗センサ182は、第3回路基板183に固定され、第3回路基板183を介してベース110に固定される。
【0186】
オプションで、磁気抵抗センサ182は、第3回路基板183の一端に電気的に接続され、配線端子又はコネクタが第3回路基板183の他端に配置されるので、第3回路基板をプロセッサに電気的に便利に接続することができる。
【0187】
オプションで、磁気抵抗センサ182は、トンネル磁気抵抗(tunnel magnetic resistance、TMR)センサ、異方性磁気抵抗((anisotropic magnetic resistance、AMR)センサ、巨大磁気抵抗(giant magnetic resistance、GMR)センサ、通常の磁気抵抗(ordinary magnetic resistance、OMR)センサなどのいずれか1つであり得る。
【0188】
図10は、設置ブラケット121が可動ベース120から取り外された後の別の例の接続関係の概略図である。
【0189】
図9に示す前述の実施形態と比較して、
図10に示す実施形態では、変位センサアセンブリ180は、ホール効果センサと磁石の組み合わせをさらに含み得る。
【0190】
本実施形態では、変位センサアセンブリ180は、可動ベース120に固定された第3磁石184と、ベース110に固定された2つのホール効果センサ185を含む。第3磁石184の配置方向は、前後方向に対して(つまり、スライド軸に対して)斜めに配置される。2つのホール効果センサ185は、第3磁石184の磁場変化を感知し、その感知信号をプロセッサに送信するように構成される。
【0191】
具体的には、斜めの溝が可動ベース120の底部に配置される。第3磁石184は斜めの溝に固定される。2つのホール効果センサ185は、第3回路基板183に固定され、第3回路基板183を介してベース110に固定される。
【0192】
本出願では、互いに作用する第3磁石と2つのホール効果センサ185は可動ベース120の位置を検出するように配置されることにより、本出願で提供されるボイスコイルモータ100は、長移動位置検出能力と閉ループ制御能力を有している。また、可動ベース120の移動位置を2つのホール効果センサの感知信号とプリセットアルゴリズムに基づいて正確に決定することができるので、精密なフォーカシングを実現することができる。
【0193】
図10に示すように、ボイスコイルモータ100はさらに、可動ベース120の底部に固定された第4磁石186を含む。第4磁石186と第3磁石184は、スライドレールアセンブリに対して対称に配置される。第4磁石186は、可動ベース120の2つの側部の重力と、可動ベースとスライド軸との間の磁気付着力とのバランスをとるように配置されており、それによって可動ベース120の安定し且つ滑らかなスライドを容易にし、ボイスコイルモータ100の使用性能を向上させる。
【0194】
図1~
図10に示すように、本実施形態では、第1スライド軸117と第2スライド軸118は、水平方向に離間され、ベース110の2つの側部に平行に配置される。これに対応して、第1スライド溝127と第2スライド溝128は、可動ベース120の底部に平行且つ離間して配置される。別の実装では、スライド軸と溝は代替的に別の方法で配置され得る。これは本出願では限定されない。例えば、
図11及び
図12は、スライド軸と溝を配置する別の方法を示している。
【0195】
図11は、本出願の一実施形態によるカバーが取り外されたボイスコイルモータ100の別の例の構造の概略図である。
図12は、
図11に示すボイスコイルモータ100の可動ベース120を設置する構造の概略図である。
【0196】
図11及び
図12に示すように、
図1から
図10に示した実施形態と比較すると、本実施形態では、第1スライド軸117と第2スライド軸118は垂直方向に離間され、ベース110上に平行に配置される。
【0197】
具体的には、本実施形態では、第1スライド軸117と第1スライド溝127を配置する方法は、前述の実施形態と同様である。第2スライド軸118は、第1スライド軸117の上端に位置する。第1スライド軸117と第2スライド軸118は、平行且つ離間して配置される。第1スライド軸117と第2スライド軸118は、同じ垂直面上に位置する。
【0198】
第2スライド軸118の配置位置が変わるため、本実施形態では第2スライド溝128の配置方法も異なる。
図12に示すように、第2スライド溝128は、貫通孔の形状である。貫通孔は、可動ベース120の前方及び後方側部を貫通する。第2スライド軸118は貫通孔を貫通し、相対スライドが第2スライド軸118と貫通孔との間に発生し得る。
【0199】
貫通孔の形状及びサイズは、第2スライド軸118の断面の形状とサイズに適応する。本実施形態では、第2スライド軸118の断面は円形であり、これに対応して貫通孔の形状も円形である。貫通孔のサイズ率(size rate)は、第2スライド軸118のサイズよりも大きい。一方で、第2スライド軸118は貫通孔をスムーズに貫通することを確実にすることができ、他方で、可動ベース120と第2スライド軸118との間に相対的なジャンプやスイングなど、前後のスライド以外の動きが発生することを確実にする必要がある。
【0200】
図1~
図10及び
図11~
図12に示した実施形態では、電磁駆動アセンブリは可動ベース120の2つの側部に配置される。別の実装では、電磁駆動アセンブリは代替的に別の場所に配置され得る。これは、本出願では限定されない。例えば、
図13から
図15に示す実施形態では、電磁駆動アセンブリは可動ベース120の底部にさらに配置さ得る。
【0201】
図13は、本出願の実施形態によるカバーが取り外された後のボイスコイルモータのさらに別の例の構造の概略図である。
図14は、
図13に示したボイスコイルモータの構造の分解図である。
図15は、
図13に示したボイスコイルモータの電磁駆動アセンブリが可動ベースを駆動して動かす構造の概略図である。
【0202】
図13から
図15に示すように、電磁駆動アセンブリは可動ベース120の底部に配置される。電磁駆動アセンブリが可動ベース120を駆動して(ベース110から離れることなく)スムーズに前後にスライドさせることができることを確実にするために、本実施形態では、スライド軸と溝を配置する方法がさらに調整される。
【0203】
具体的には、本実施形態では、第1スライド軸117と第2スライド軸118は、水平方向に離間され、ベース110の2つの側部に配置される。第1スライド溝127と第2スライド溝128は、いずれも可動ベース120の内側に平行かつ離間された、閉じた貫通孔形状である。第1スライド溝127と第2スライド溝128は、可動ベース120の前方及び後方側部を水平に貫通する。第1スライド軸117と第2スライド軸118は、第1スライド溝127と第2スライド溝128に対応して配置され、相対スライドを発生し得る。
【0204】
図14及び
図15に示すように、第1電磁駆動アセンブリ130及び第2電磁駆動アセンブリ140はいずれも、可動ベース120とベース110との間に配置され、可動ベース120の底部の左右側部に位置する。第1電磁駆動アセンブリ130は第1スライド軸117の一方の側部に位置し、第2電磁駆動アセンブリ140は第2スライド軸118の他方の側部に位置する。第1電磁駆動アセンブリ130と第2電磁駆動アセンブリ140は別々に動作し、互いに影響を与えない。
【0205】
溝が可動ベース120の底部に配置される。第1磁石131と第2磁石141が溝に別々に配置される。第1コイル132は第1磁石131の底部に位置する。第1コイル132と第1磁石131は平行且つ互いに対向して配置される。第2コイル142は第2磁石141の底部に位置する。第2コイル142と第2磁石141は平行且つ互いに対向して配置される。
【0206】
図14と
図15に示すように、電気的接続を行うために、第1コイル132と第2コイル142を第4回路基板187に固定される。第4回路基板187は「L」形状である。磁気抵抗センサ182が第4回路基板187の前端に配置される。磁気抵抗センサ182は、可動ベース120の側部溝に配置された磁気ゲート181の磁場変化を感知するように構成される。接続端子又はコネクタが、第4回路基板187の後端に配置され、ボイスコイルモータ100のハウジングを通過して、外部機器(例えばプロセッサ)との電気的接続を実現する。
【0207】
図1~
図10、
図11~
図12、及び
図13~
図15に示す実施形態では、電磁駆動アセンブリ内の磁石とコイルは、互いに対向し且つ平行に配置される。別の実装では、電磁駆動アセンブリは代替的に別の方法で配置され得る。これは本出願では限定されない。例えば、
図16に示す実施形態では、電磁駆動アセンブリ内の磁石とコイルは代替的に垂直に配置され得る。
【0208】
図16は、電磁駆動アセンブリの設置構造の概略図である。
図16は、第1電磁駆動アセンブリ130のみを示す。本実施形態では、第1電磁駆動アセンブリ130が電磁駆動アセンブリの配置方法を説明する例として使用される。図示されていない第2電磁駆動アセンブリ140は、第1電磁駆動アセンブリ130と同様に可動ベース120の反対側に対称に配置され得る。第2電磁駆動アセンブリ140の配置方法は、本実施形態では詳細に説明されておらず、第1電磁駆動アセンブリ130の配置方法を参照して理解することができる。
【0209】
図16に示すように、可動ベース120は、第1スライド軸117と第2スライド軸118の外側にスリーブ状に配置される。第1電磁駆動アセンブリ130は、可動ベース120を駆動して第1スライド軸117と第2スライド軸118に対してスライドするように構成される。
【0210】
第1電磁駆動アセンブリ130は、第1コイル132、第5磁石135、及び第6磁石136を含む。第5磁石135と第6磁石136は、互いに対向し、平行に離間して配置される。第1コイル132は、第5磁石135と第6磁石136との間に垂直に配置される。第1コイル132に面する第5磁石135と第6磁石136の側部は、同じ磁極極性を有する。つまり、第5磁石135と第6磁石136の側部であって互いに対向する側部の磁極の極性は同じである。
【0211】
具体的には、
図16に示すように、第5磁石135と第6磁石136の側部であって第1コイル132に面する側部の極性は同じ、例えば、両方ともN極又は両方ともS極である。左手の法則に従うと、
図16の用紙方向に垂直な第1コイル132の上下側部にかかる電磁力の方向は同じであり、左向き又は右向きであり、可動ベース120を駆動して前後にスライドさせる。
【0212】
図16に示す電磁駆動装置を含むボイスコイルモータは、移動磁石タイプのものであってもよく、又は移動コイルタイプのものであってもよい。これは本出願では限定されない。
【0213】
オプションで、
図16に示す電磁駆動アセンブリを含むボイスコイルモータは、移動磁石ボイスコイルモータであり得る。この場合、第5磁石135と第6磁石136は可動ベース120に固定され、第1コイル132はベース110に固定される。
【0214】
例えば、溝が可動ベース120の側部に配置され得る。第5磁石135と第6磁石136は溝に固定される。第1コイル132は、用紙方向に平行で外側に近い側部エッジを介してベース110に固定される。
【0215】
図16に示すように、電磁駆動アセンブリはさらに磁気伝導フレーム137を含む。磁気伝導フレーム137は、第5磁石135と第6磁石136の外周を包み込むことで、第5磁石135と第6磁石136との間の磁界強度を高めることができ、コイルの出力を高めることができる。
【0216】
さらに、磁気伝導挿入ブロック138が、磁気伝導フレーム137内の第5磁石135と第6磁石136との間にさらに固定される。第1コイル132は、磁気伝導挿入ブロック138の外周にスリーブ状に配置される。また、磁気伝導挿入ブロック138を配置することによって磁場強度を高めて、コイルの出力力を高めることができる。
【0217】
オプションで、
図16に示す電磁駆動アセンブリを含むボイスコイルモータは、移動コイルボイスコイルモータでもよい。この場合、第5磁石135と第6磁石136はベース110に固定され、第1コイル132は可動ベース120に固定される。
【0218】
上記の実施形態と比較して、本実施形態で提供される電磁駆動アセンブリのコイルは、より強い磁場内に位置し、より大きな駆動力を与えることができる。
【0219】
図17は、電磁駆動アセンブリの別の設置構造の概略図である。
図16に示した実施形態と比較して、本実施形態では、第1コイル132が第5磁石135の外周にスリーブ状に配置される。
【0220】
具体的には、
図17に示すように、本実施形態では、第1電磁駆動アセンブリ130は、第1コイル132、第5磁石135、及び第6磁石136を含む。第5磁石135と第6磁石136は、互いに対向し、平行に離間して配置される。第1コイル132は、第5磁石135の外周にスリーブ状に配置し、第5磁石に対して垂直である。互いに対向する第5磁石135と第6磁石136の側部の磁極の極性は逆である。
【0221】
例えば、第5磁石135と第6磁石136のもの側部であって互いに対向する側部の極性は逆であり、一方はN極、他方はS極である。左手の法則に従うと、左向き又は右向きの電磁力が、第1コイル132のものであって
図17の2つの磁石の間に位置する側部エッジに加えられ、可動ベース120を駆動して前後にスライドさせる。
【0222】
図17に示す電磁駆動装置を含むボイスコイルモータは、移動磁石タイプのものあってもよく、又は移動コイルタイプのものであってもよい。これは本出願では限定されない。
【0223】
オプションで、
図17に示す電磁駆動アセンブリを含むボイスコイルモータは、移動磁石ボイスコイルモータであり得る。この場合、第5磁石135と第6磁石136は可動ベース120に固定され、第1コイル132はベース110に固定される。
【0224】
オプションで、
図17に示す電磁駆動アセンブリを含むボイスコイルモータは、移動コイルボイスコイルモータでもよい。この場合、第5磁石135と第6磁石136はベース110に固定され、第1コイル132は可動ベース120に固定される。
【0225】
図17に示すように、磁気伝導挿入ブロック138は、第5磁石135の外側に位置し、第1コイル132の内側に位置する。つまり、第1コイル132も磁気伝導挿入ブロック138の外周にスリーブ状に配置される。以上の配置により、磁石間の磁場強度を高めて、コイルの出力力を高めることができる。
【0226】
別の態様によれば、本出願の一実施形態はさらにカメラモジュールを提供する。
図18は、本出願の一実施形態によるカメラモジュール200の構造の概略図である。
【0227】
図18に示すように、カメラモジュール200は、上記の実施形態のいずれか1つで提供される第1レンズ230とボイスコイルモータ100を含む。ボイスコイルモータ100は、光学フォーカシングを実現するために、第1レンズ230を駆動して動かすように構成される。
【0228】
オプションで、カメラモジュール200は、第1レンズ230の物体側方向に配置された第2レンズ220と、第1レンズ230の像側方向に配置されたイメージセンサ250をさらに含む。
【0229】
例えば、第2レンズ220は、ボイスコイルモータ100の第2レンズ設置溝114に固定され得る。
【0230】
例えば、イメージセンサ250は、相補型金属酸化物半導体(complementary metal-oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサ又は電荷結合素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサであり得る。イメージセンサ250は、主に光の光学信号に対して光電変換及びアナログ/デジタル(analog/digital、A/D)変換を行い、表示画面などの表示ユニットに表示される画像データを出力するように構成される。
【0231】
オプションで、カメラモジュール200は、第2レンズ220の物体側方向に配置された反射要素210をさらに含む。つまり、カメラモジュール200は、潜望鏡カメラモジュールであり得る。
【0232】
例えば、反射要素210は、三角プリズム又は反射体であり得る。
【0233】
オプションで、赤外線フィルタ240が、第1レンズ230とイメージセンサ250の間にさらに配置される。赤外線フィルタ240を配置することによって赤外線をカットする、フィルタリングする等することができ、それによって画質を向上させる。赤外線フィルタ240は、例えば、白色ガラスフィルタ又は青色ガラスフィルタであり得る。
【0234】
カメラモジュール200は、上記の実施形態のいずれか1つで提供されたボイスコイルモータ100を使用しているため、カメラモジュール200もボイスコイルモータ100に対応した技術的効果を有する。詳細はここでは再度説明しない。
【0235】
さらに別の態様によれば、本出願の一実施形態はさらに電子デバイスを提供する。
図19は、本出願の一実施形態による電子デバイス300の構造の概略図である。
【0236】
図19の部分(a)と
図19の部分(b)は、それぞれ電子デバイス300の正面図と背面図である。
図19に示すように、電子デバイス300は、前述の実施形態で提供されたカメラモジュール200を含み、さらにハウジング310と表示画面320を含む。表示画面320は、ハウジング310に設置される。ハウジング310には、収容スペースが構成される。カメラモジュール200は収容スペースに設置され得る。表示画面320は、カメラモジュール200によって撮影された写真又はビデオを表示するように構成されることができる。
【0237】
オプションで、ハウジング310は金属ハウジング、例えばマグネシウム合金又はステンレス鋼などの金属であり得る。さらに、ハウジングはまた、プラスチックハウジング、ガラスハウジング、セラミックハウジングなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0238】
オプションで、表示画面320は、発光ダイオード(light emitting diode、LED)ディスプレイ、液晶(liquid crystal display、LCD)ディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、有機EL)ディスプレイなどであり得るが、これらに限定されない。
【0239】
オプションで、ハウジング310は、別のコンポーネント、例えば、バッテリー、フラッシュ、指紋認識モジュール、イヤピース、回路基板、又はセンサをさらに含み得る。しかし、これはこれらに限定されるものではない。
【0240】
オプションで、電子デバイス300は、撮影又は撮影機能を有する端末デバイス、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ビデオカメラ、ビデオレコーダ、カメラ、インテリジェントロボット、車内監視、又は別の形態の撮影又は撮影機能を有するデバイスであり得る。
【0241】
前述の実施形態で提供されたカメラモジュール200が電子デバイス300で使用されるため、電子デバイス300もカメラモジュール200に対応する技術的効果を有する。詳細については、ここでは改めて説明しない。
【0242】
上記の説明は、本出願の具体的な実装にすぎないが、本出願の保護範囲はこれらに限定されない。本出願で開示されている技術的範囲内で当業者が容易に理解できるバリエーション又は置換は、本出願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲の対象となるものとする。