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  • 特許-二核金属白金錯体及びその応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】二核金属白金錯体及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20240925BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 50/135 20230101ALI20240925BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240925BHJP
   H10K 10/46 20230101ALI20240925BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07F15/00 F CSP
H10K50/12
H10K50/16
H10K85/30
H10K50/135
C09K11/06 660
H10K10/46
H01L29/78 618B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023535592
(86)(22)【出願日】2021-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2021125930
(87)【国際公開番号】W WO2022127380
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】202011462573.8
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】李 慧楊
(72)【発明者】
【氏名】呉 信▲尉▼
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/157494(WO,A1)
【文献】特開2011-084531(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110669078(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111377972(CN,A)
【文献】国際公開第2019/109886(WO,A1)
【文献】特開2008-222635(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107383108(CN,A)
【文献】Zhurnal Organicheskoi Khimii,1973年,9(12),2582-2587
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F,C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有する二核金属白金錯体であり、
式(1)中、R~Rはそれぞれ、独立して、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、トリメチルシリル基、スルホニル基、ホスフィノ基、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルキル基、3~20個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルケニル基、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルコキシ基、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、及び3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基のうちから選択されるか、又は、任意の2つの隣接する置換基が連結若しくは縮合して環を形成し、前記ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、N、S、及びOのうちの1つ以上であり、
AとBは、それぞれ独立して、7~24個の炭素原子を有するN含有ヘテロ芳香環から選択され、前記N含有ヘテロ芳香環は、S又はOヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、
前記置換は、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、フェニル基又はC1-C4アルキル基による置換であり、
m及びnは、独立して、0~4のうちのいずれかであり、
Xは、O又はSである、ことを特徴とする二核金属白金錯体。
【請求項2】
~Rはそれぞれ、独立して、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、トリメチルシリル基、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルキル基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、2~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルケニル基、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルコキシ基、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、及び3~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基のうちから選択されるか、又は、任意の2つの隣接する置換基が連結若しくは縮合して環を形成し、前記ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、N、S、及びOのうちの1つ以上であり、AとBは、同じN含有ヘテロ芳香環である、ことを特徴とする請求項1に記載の二核金属白金錯体。
【請求項3】
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、シアノ基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、及び3~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基のうちから選択され、前記置換は、ハロゲン、又はC1-C4アルキル基による置換であり、
AとBは、次の式のいずれかで表されるN含有ヘテロ芳香環である、ことを特徴とする請求項2に記載の二核金属白金錯体。
【請求項4】
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、シアノ基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、及び6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基のうちから選択され、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-C6アルキル基、及び3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基のうちから選択され、前記置換は、フッ素原子、又はC1-C4アルキル基による置換である、ことを特徴とする請求項3に記載の二核金属白金錯体。
【請求項5】
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、3位置換のペンチル、シアノ基、置換若しくは無置換のシクロペンチル、置換若しくは無置換のシクロヘキシル、及び置換若しくは無置換のフェニル基のうちから選択され、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、3位置換のペンチル、及びシアノ基のうちから選択される、ことを特徴とする請求項4に記載の二核金属白金錯体。
【請求項6】
とRは同じで、かつ置換位置が同じで、m=nである、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の二核金属白金錯体。
【請求項7】
式(I)中、Rは水素である、ことを特徴とする請求項6に記載の二核金属白金錯体。
【請求項8】
以下のいずれかに示す構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の二核金属白金錯体。
【請求項9】
有機発光ダイオード、有機薄膜トランジスタ、有機光起電力デバイス、発光電気化学セル又は化学センサにおける、請求項1~8のいずれか一項に記載の二核金属白金錯体の使用。
【請求項10】
有機発光ダイオードであって、陰極、陽極及び有機層を含み、前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層のうちの1又は複数の層であり、前記有機層は、請求項1~8のいずれか一項に記載の二核金属白金錯体を含む、ことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の二核金属白金錯体を含む層は、発光層である、ことを特徴とする請求項10に記載の有機発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の分野に関し、特に、二核金属白金錯体及び有機発光ダイオードにおけるその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子デバイスは、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機薄膜トランジスタ(OTFTs)、有機光起電力デバイス(OPVs)、発光電気化学セル(LCEs)及び化学センサを含むが、これらに限定されない。
【0003】
近年、OLEDは、アプリケーションの見通しが非常に良好である照明及びディスプレイ技術として、学界や産業界から大きな注目を集めている。OLEDデバイスは、自己発光、広視野角、短い応答時間、及び可撓性デバイスを製造できるなどの特性を有し、次世代のディスプレイ及び照明技術の強力な競争者となっている。しかしながら、現在のOLEDには、効率の低さや寿命の短さなどの問題があり、更なる研究の必要がある。
【0004】
初期の蛍光OLEDは通常、発光するために一重項状態のみを利用することができ、デバイスで生成された三重項励起子は効果的に利用することができず、非放射の方式で基底状態に戻る。OLEDの普及が制限される。1998年、香港大学の支志明らは、エレクトロルミネセンス燐光の現象を初めて報告した。同じ年に、Thompsonらは、発光材料として遷移金属錯体を使用して燐光OLEDsを作った。燐光OLEDsは、一重項励起子と三重項励起子を効率的に利用して発光し、理論的には100%の内部量子効率を実現することができ、それにより、OLEDsの商業化プロセスが大幅に促進されている。OLEDsの発光色の調整は、発光材料の構造設計によって実現することができる。OLEDsは、所望のスペクトルを実現するために、1つの発光層又は複数の発光層を含むことができる。現在、緑色、黄色及び赤色の燐光材料の商業化は実現された。商業化されたOLEDディスプレイは通常、フルカラー表示を実現するために、青色の蛍光と黄色、又は緑色と赤色の燐光を組み合わせて使用する。より高い効率、及びより長い使用寿命を備えた発光材料が、業界によって緊急に必要とされている。金属錯体発光材料は、業界で使用されているが、発光効率、使用寿命などのその性能をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0005】
従来技術における上記の問題に対し、本発明は、有機発光ダイオードに適用した場合に良好な光電的性能及びデバイス寿命を有する、一連の二核金属白金錯体発光材料を提供する。
【0006】
本発明は、前記二核白金錯体に基づく有機発光ダイオードをさらに提供する。
【0007】
二核金属白金錯体は、式(I)の構造を有する化合物であり、
式中、
~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルファニル基、シアノ基、トリメチルシリル基、スルホニル基、ホスフィノ基、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルキル基、3~20個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルケニル基、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルコキシ基、6~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、3~30個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基から選択され、又は、任意の2つの隣接する置換基は連結又は縮合されて環を形成し、前記ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、N、S、Oのうちの1つ以上であり、
AとBはそれぞれ、独立して、7~24個の炭素原子を有するN含有ヘテロ芳香環から選択され、前記N含有ヘテロ芳香環は、S又は/Oヘテロ原子を含むか含まなく、
前記置換は、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、フェニル基又はC1-C4アルキル基による置換であり、
m又はnは独立して0~4であり、
Xは、O又はSである。
【0008】
好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、トリメチルシリル基、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルキル基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、2~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルケニル基、1~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアルコキシ基、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、3~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基から選択され、又は、任意の2つの隣接する置換基は連結又は縮合されて環を形成し、前記ヘテロアリール基中のヘテロ原子は、N、S、Oのうちの1つ以上であり、
AとBは、同じN含有ヘテロ芳香環である。
【0009】
好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、シアノ基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基、3~6個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のヘテロアリール基から選択され、前記置換は、ハロゲン、C1-C4アルキル基による置換であり、
AとBは、以下から選択される部分構造を有し、
好ましくは、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1-C6アルキル基、シアノ基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは無置換のアリール基から選択され、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、C1-C6アルキル基、3~6個の環炭素原子を有する置換若しくは無置換のシクロアルキル基から選択され、前記置換は、フッ素原子、C1-C4アルキル基による置換である。
【0010】
好ましくは、 R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、3位置換のペンチル、シアノ基、置換若しくは無置換のシクロペンチル、置換若しくは無置換のシクロヘキシル、置換若しくは無置換のフェニル基から選択され、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、3位置換のペンチル、シアノ基から選択される。
【0011】
~Rはそれぞれ、独立して、水素、重水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、3位置換のペンチル、シアノ基、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル基から選択され、R~Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、メチル、ペンチル、3位置換のペンチルから選択される。
【0012】
さらに好ましくは、一般式(I)では、Rは水素である。
【0013】
本発明による白金金属錯体の例は以下にリストされるが、リストされる構造に限定されない。
【0014】
上記の金属錯体の前駆体、即ち、リガンドの構造式は、以下のとおりである。
【0015】
本発明は、有機光電子デバイスにおける上記の白金錯体の応用をさらに提供する。前記光電子デバイスは、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機薄膜トランジスタ(OTFTs)、有機光起電力デバイス(OPVs)、発光電気化学セル(LCEs)及び化学センサを含むがこれらに限定されず、好ましくは、OLEDsである。
【0016】
上記の白金錯体を含む有機発光ダイオード(OLEDs)であって、前記白金錯体は、発光デバイス中の発光材料である。
【0017】
本発明の有機発光ダイオードは、陰極、陽極及び有機層を含み、前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送層のうちの1つ以上の層である。これらの有機層はすべて存在する必要がない。前記正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層、発光層、電子輸送層のうちの少なくとも1つの層は、式(I)に記載の白金錯体を含む。
【0018】
好ましくは、式(I)で記載された白金錯体が位置する層は、発光層又は電子輸送層である。
【0019】
本発明のデバイスの有機層の総厚さは、1~1000nm、好ましくは、1~500nmであり、より好ましくは、5~300nmである。
【0020】
前記有機層は、蒸着又は溶液法によって薄膜に形成され得る。
【0021】
本発明で開示されている一連の二核白金錯体発光材料は、予想外の特性を示し、この種類の化合物の発光効率とデバイス寿命を大幅に改善し、比較的良好な熱安定性を有し、発光材料に対するOLEDパネルの要求を満たしている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の有機発光ダイオードデバイスの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、材料の合成方法を要求するものではなく、本発明をより詳細に説明するために、以下の実施例を特に挙げるが、これに限定されるものではない。以下の合成に使用される原料は、特に断りのない限り、すべて市販品である。
【0024】
〈実施例1〉 化合物25の合成
250mlの三つ口フラスコを取り、25a(2.0g,7.8mmol)、25b(5.8g,23.4mmol)、Pd132(80mg,0.078mmol)、KCO(3.32g,23.4mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、茶色の固体2.7gを得た。収率は69%であった。
【0025】
500mlの一つ口フラスコを取り、25c(1.81g,3.62mmol)、Pt(PhCN)Cl(4.28g,9.06mmol)及び酢酸(290mL)を投入し、窒素保護下、135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、直接吸引濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させて黒色固体25dを得た。
【0026】
25d(4.0g,4.2mmol)、25e(2.52g,25.21mmol)KCO(19.79g,)及びテトラヒドロフラン/HO(300/50ml)を、窒素保護下、85℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=20:1)。次に、(Hex:DCM=2:1)を使用してシリカゲルカラムを通過させ、最終的に化合物25として赤色の固体685mgを得た。 高分解能質量スペクトル:1088.135(化合物25)
【0027】
〈実施例2〉 化合物40の合成
250mlの三つ口フラスコを取り、40a(2.0g,7.8mmol)、40b(3.9g,23.4mmol)、Pd132(80mg,0.078mmol)、KCO(3.32g,23.4mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、茶色の固体3.0gを得た。収率は73%であった。
【0028】
500mlの一つ口フラスコを取り、40c(1.53g,3.62mmol)、Pt(PhCN)Cl(4.28g,9.06mmol)及び酢酸(290mL)を投入し、窒素保護下、135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、直接吸引濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させて黒色の固体40dを得た。
【0029】
40d(4.0g,4.2mmol)、40e(5.34g,25.21mmol)KCO(19.79g,)及びテトラヒドロフラン/HO(300/50ml)を、窒素保護下、85℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=20:1)。次に、(Hex:DCM=2:1)を使用してシリカゲルカラムを通過させ、最終的に化合物40として赤色の固体500mg、及び化合物Ref-1として赤色の固体800mgを得た。
高分解能質量スペクトル:1132.395(化合物40);827.873(Ref-1)
【0030】
〈実施例3〉 化合物60の合成
250mlの三つ口フラスコを取り、60a(2.12g,7.8mmol)、60b(4.61g,23.4mmol)、Pd132(80mg,0.078mmol)、KCO(3.32g,23.4mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、茶色の固体2.4gを得た。収率は75%であった。
【0031】
500mlの一つ口フラスコを取り、60c(1.51g,3.62mmol)、Pt(PhCN)Cl(4.28g,9.06mmol)及び酢酸(290mL)を投入し、窒素保護下、135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、直接吸引濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させて黒色の固体60dを得た。
【0032】
60d(3.97g,4.2mmol)、60e(5.35g,25.21mmol)KCO(19.79g,)及びテトラヒドロフラン/HO(300/50ml)を、窒素保護下、85℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=20:1)。次に、(Hex:DCM=2:1)を使用してシリカゲルカラムを通過させ、最終的に化合物60として赤色の固体908mgを得た。 高分解能質量スペクトル:1228.331(化合物60)
【0033】
〈実施例4〉
化合物80の合成
250mlの三つ口フラスコを取り、80a(2.12g,7.8mmol)、80b(1.78g,8.58mmol)、Pd132(80mg,0.078mmol)、KCO(3.32g,23.4mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、色固体2.35gを得た。収率は85%であった。
【0034】
250mlの三つ口フラスコを取り、80c(2.35g,6.63 mmol)、80d(1.81g,7.29mmol)、Pd132(68mg,0.066mmol)、KCO(2.83g,20.0mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、 窒素保護下、100℃で撹拌して12時間反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、色固体2.47gを得た。収率は78%であった。
【0035】
500mlの一つ口フラスコを取り、80e(1.73g,3.62mmol)、Pt(PhCN)Cl(4.28g,9.06mmol)及び酢酸(290mL)を投入し、窒素保護下、135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、直接吸引濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させて黒色固体80fを得た。
【0036】
80f(4.22g,4.2mmol)、80e(6.05g,25.21mmol)KCO(19.79g,)及びテトラヒドロフラン/HO(300/50ml)を、窒素保護下、85℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=20:1)。次に、(Hex:DCM=2:1)を使用してシリカゲルカラムを通過させ、最終的に化合物80として赤色の固体958mgを得た。 高分解能質量スペクトル:1344.430(化合物80)
【0037】
〈実施例5〉
化合物83の合成
250mlの三つ口フラスコを取り、83a(2.12g,7.8mmol)、83b(2.94g,8.58mmol)、Pd132(80mg,0.078mmol)、KCO(3.32g,23.4mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、色固体3.10gを得た。収率は81%であった。
【0038】
250mlの三つ口フラスコを取り、83c(3.10g,6.32 mmol)、83d(2.12g,6.95mmol)、Pd132(65mg,0.063mmol)、KCO(2.69g,19.0mmol)及びトルエン/エタノール/HO(40/30/20ml)を投入し、窒素保護下、100℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=10:1)。最終的に、色固体3.25gを得た。収率は75%であった。
【0039】
500mlの一つ口フラスコを取り、83e(2.48g,3.62mmol)、Pt(PhCN)Cl(4.28g,9.06mmol)及び酢酸(290mL)を投入し、窒素保護下、135℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、直接吸引濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させて黒色の固体83fを得た。
【0040】
83f(5.10g,4.2mmol)、83e(6.05g,25.21mmol)KCO(19.79g,)及びテトラヒドロフラン/HO(300/50ml)を、窒素保護下、85℃で12時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応液の大部分をスピン乾燥し、脱イオン水を加え、ジクロロメタンで3回抽出し、スピン乾燥し、シリカゲルと混合してカラムを通過させた(Hex:EA=20:1)。次に、(Hex:DCM=2:1)を使用してシリカゲルカラムを通過させ、最終的に化合物83として赤色の固体913mgを得た。 高分解能質量スペクトル:1552.535(化合物83)
【0041】
当業者は、上記の調製方法が例示に過ぎず、当業者がそれらを改善することにより、本発明の他の化合物構造を得ることができることを理解すべきである。
【0042】
〈実施例6~10〉
本発明の錯体発光材料を使用して有機発光ダイオードを製造した。デバイスの構造を図1に示す。
【0043】
まず、透明な導電性ITOガラス基板10(その上に陽極20がある)を洗浄剤溶液及び脱イオン水、エタノール、アセトン、脱イオン水で順次洗浄し、次に、酸素プラズマで30秒間処理した。
【0044】
次に、ITO上に厚さ10nmのHATCNを正孔注入層30として蒸着した。
【0045】
次に、化合物HTを蒸着して、厚さ40nmの正孔輸送層40を形成した。
【0046】
次に、正孔輸送層上に厚さ20nmの発光層50を蒸着した。発光層は、白金錯体(20%)とCBP(80%)の混合ドーピングからなった(実施例6~10に対応する白金錯体はそれぞれ化合物25、化合物40、化合物60、化合物80、化合物83であった)。
【0047】
次に、発光層上に厚さ40nmのAlQを電子輸送層60として蒸着した。
【0048】
最後に、1nmのLiFを電子注入層70として、及び100nmのAlをデバイスの陰極80として蒸着した。
【0049】
〈比較例1〉
同じ製造方法を採用して、上記の実施例の白金錯体の代わりに化合物Ref-1を使用して、比較例1のデバイスを製造した。
【0050】
デバイスにおけるHATCN、HT、CBP、AlQ、Ref-1の構造式は、次のとおりである。
【0051】
20mA/cm電流密度での実施例6~10、比較例1の有機エレクトロルミネセンスデバイスのデバイス性能は、表1にリストされる。
【0052】
表1
【0053】
表1のデータから分かるように、同じ条件下で、本発明の白金錯体材料を有機発光ダイオードに適用した場合、駆動電圧がより低く、発光効率がより高い。また、本発明の錯体に基づく有機発光ダイオードのデバイス寿命は、比較例の錯体材料に基づくものよりも著しく優れており、発光材料に対するディスプレイ業界の要求を満たすことができ、工業化の見通しが良好である。
【0054】
上記の様々な実施形態は単なる例であり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の精神から逸脱することなく、本発明の様々な材料及び構造を他の材料及び構造に置き換えることができる。当業者は、創造的な作業なしに、本発明のアイデアに従って多くの修正や変更を行うことができることを理解されたい。従って、既存の技術に基づいて分析、推論、又は部分的な調査を通じて当業者が取得できる技術的解決策は、特許請求の範囲によって制限される保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0055】
ここで、10はガラス基板、20は陽極、30は正孔注入層、40は正孔輸送層、50は発光層、60は電子輸送層、70は電子注入層、80は陰極を表す。
図1