(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】樹脂製容器の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/14 20060101AFI20240925BHJP
B29C 49/60 20060101ALI20240925BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B29C49/14
B29C49/60
B29C49/06
(21)【出願番号】P 2023536794
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2022028390
(87)【国際公開番号】W WO2023003041
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2021120504
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】大池 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】竹花 大三郎
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-133714(JP,A)
【文献】特開平10-113978(JP,A)
【文献】国際公開第2020/130096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/14
B29C 49/60
B29C 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーカット形状を有する樹脂製容器の製造方法であって、
アンダーカット部を有するキャビティ金型にプリフォームを収容する工程と、
前記プリフォームの内側にコア金型を挿入する工程と、
前記コア金型を介して前記プリフォーム内にブローエアを導入し、前記プリフォームを容器にブロー成形する工程と、
内側に前記コア金型が配置された前記容器の首部を外側から搬送チャックで把持し、前記コア金型と前記搬送チャックで前記容器の首部を挟み込む工程と、
前記キャビティ金型を型開きする工程と、を含み、
前記型開きにより、前記コア金型および前記搬送チャックで前記首部が挟み込まれた前記容器が前記アンダーカット部から離型される
樹脂製容器の製造方法。
【請求項2】
前記コア金型は、前記ブロー成形時に前記首部の外周を覆う外側コアと、前記首部内に挿入される内側コアとを有し、
前記ブロー成形の後に前記外側コアが上昇し、前記内側コアが挿入された前記首部の外周が露出する工程をさらに含む
請求項1に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項3】
前記キャビティ金型は、前記首部を支持するとともに、首部から退避可能な支持部材を有し、
前記型開きの前に前記支持部材を前記首部から退避させて、前記容器が軸方向に移動できる移動しろを形成する工程をさらに含み、
前記容器は、前記移動しろに応じて軸方向に移動することで前記アンダーカット部から離れる
請求項
1に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項4】
前記搬送チャックは、内周側に突出して前記首部の突起と干渉し、前記容器の軸方向への脱落を抑制する抜け止め部を有する
請求項3に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項5】
前記首部は、径方向に突出するフランジを有し、
前記キャビティ金型と前記フランジの干渉により、前記容器の軸方向への脱落が抑制される
請求項
3に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項6】
前記首部は、径方向に突出するフランジを有し、
前記キャビティ金型のパーティング面において前記フランジの下面と当接する角部が曲面に加工されている
請求項1に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項7】
前記首部は、径方向に突出するフランジを有し、
前記キャビティ金型は、型閉じのときに前記フランジを収容して前記首部を支持する支持部材を有し、
前記型開きの前に前記支持部材を前記首部から退避させて、前記フランジと前記支持部材が接触せずに前記容器が軸方向に移動できる移動しろを形成する工程をさらに含む、
請求項1に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項8】
前記アンダーカット形状は、前記容器の肩部に形成される
請求項
1に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項9】
前記プリフォームを射出成形する工程と、
前記プリフォームの温度を調整する工程と、をさらに含み、
前記プリフォームは、射出成形時の保有熱を有する状態で前記ブロー成形される
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の樹脂製容器の製造方法。
【請求項10】
アンダーカット形状を有する樹脂製容器の製造装置であって、
プリフォームを収容するとともに、アンダーカット部を有するキャビティ金型と、
前記プリフォームの内側に挿入されるコア金型と、
前記プリフォームを容器にブロー成形するために、前記コア金型を介して前記プリフォーム内にブローエアを導入するブローエア導入部と、
前記容器の首部を外側から把持する搬送チャックと、
前記キャビティ金型を型開きする開閉機構と、を備え、
内側に前記コア金型が配置された前記容器の首部を外側から前記搬送チャックで把持し、前記コア金型と前記搬送チャックで前記容器の首部を挟み込み、
前記型開きにより、前記コア金型および前記搬送チャックで前記首部が挟み込まれた前記容器を前記アンダーカット部から離型する
樹脂製容器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばウォータサーバ用などの大容量の樹脂製容器において、容器の剛性を確保するために容器の肩部に凸リブを形成したものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、ウォータサーバ用の樹脂製容器(バック・イン・ボックス)を、1ステップ式(ホットパリソン式)のブロー成形装置で製造する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5253085号公報
【文献】特開2010-126224号公報
【文献】特許第3354279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のリブ付容器をブロー成形する場合、ブロー割型に対して凸リブがアンダーカット形状となる。そのため、ブロー成形後に容器をブロー割型から無理抜きすると、離型の際に容器が横揺れし、容器とブロー割型の接触や搬送部材からの容器の脱落等が生じて適正な容器の搬出が妨げられる可能性がある。特に、大容量のリブ付容器の場合、大型化した容器とブロー割型の離型時の隙間が小さくなる傾向があるので、上記の事象がより生じやすくなる。
【0005】
特許文献3のような1ステップ式のブロー成形装置は、搬送機構(回転盤)に固定されたネック型により、成形中はプリフォームや容器がそれらのネック部(首部)を介して常時支持されている。1ステップ式のブロー成形装置では、プリフォームや容器のネック部が外側から剛性度の高いネック型で強く支持され、ネック部とネック型との係合度合も高い。そのため、ブロー割型からの離型時に容器の脱落等の不具合が生ずるおそれは比較的低いといえる。一方、ブロー成形中にチャック部材等によりプリフォームや容器に対する脱着動作を行う2ステップ式のブロー成形装置(例えば特許第5503748号)や1.5ステップ式のブロー成形装置(例えば特許第6118529号)では、離型時に容器の脱落等が生ずるおそれは高くなる。
【0006】
リブ付容器の製造工程でブロー成形後に容器の搬出が適正に行われない場合、容器の除去等のメンテナンス作業で生産性が大きく低下し、装置や金型の破損も生じやすくなってしまう。また、可動式入子を有するブロー割型を使用すれば上記の事象を防止できるが、この場合には金型の製造コストが高くなってしまう。さらに、容器の高速生産をするためにはブロー割型から容器を高速で搬出させる必要があるが、大容量のリブ付容器を製造する場合は、脱落等による搬出時の不具合が一層生じ易くなる。
【0007】
さらに、2ステップ式や1.5ステップ式のブロー成形装置で肩部に凸リブがある樹脂製容器を製造する場合、1ステップ式のようにネック型でプリフォームの首部全体を支持した状態でブロー成形を行わず、プリフォームをその首部の突状部(サポートリングや環状フランジ)でブロー型の上面にフリー状態で支持させてブロー成形を行うことがある。この態様では、容器を離型させる際、首部の突起部がブロー型の上面とこすれ、突起部の下面にキズが形成されてしまう場合がある。突起部にキズが形成されると、容器の見栄えが悪くなり、後工程への搬送で支障が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、アンダーカット形状を有する樹脂製容器の製造方法であり、アンダーカット部を有するキャビティ金型にプリフォームを収容する工程と、プリフォームの内側にコア金型を挿入する工程と、コア金型を介してプリフォーム内にブローエアを導入し、プリフォームを容器にブロー成形する工程と、内側にコア金型が配置された容器の首部を外側から搬送チャックで把持し、コア金型と搬送チャックで容器の首部を挟み込む工程と、キャビティ金型を型開きする工程と、を含む。型開きにより、コア金型および搬送チャックで首部が挟み込まれた容器がアンダーカット部から離型される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、アンダーカット形状を有する容器をブロー割型から離型したときに、離型後の容器を適正に搬出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のブロー成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】射出成形部および冷却部のプリフォームの搬送の概略を示す図である。
【
図11】ブローキャビティ型を型開きするときの状態例を示す図である。
【
図12】第1の変形例のブローキャビティ型の構成例を示す図である。
【
図13】第2の変形例のブロー成形部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0012】
図1は、本実施形態のブロー成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2は、射出成形部および冷却部のプリフォームの搬送の概略を示す図である。
図3は、ブロー成形部および容器の正面図である。
【0013】
図3に示すように、本実施形態のブロー成形装置で製造される樹脂製容器(以下、単に容器300と称する)は、例えばミネラルウォーターや食油等の収容に使用される大容量(例えば5~20リットル、好ましくは9~15リットル)の容器(例えばバック・イン・ボックス)であり、後述する樹脂製のプリフォーム200をブロー成形して製造される。容器300の全体形状は角部に丸みを帯びた角柱状であり、横断面が略矩形をなしている。容器300は、上方が開口された首部301と、首部301の下方に接続される肩部302と、肩部302の下方に接続される胴部303と、胴部303の下端を閉塞する底部304とを有している。首部301には、ほぼ同一径で丸筒状の円筒部201cと、円筒部201cから外径方向に突出するフランジ(後述)が形成されている。なお、容器300の首部301と後述するプリフォーム200の首部201は同一形状である。
【0014】
また、容器300の肩部には、容器300の外側に突出し、首部301から胴部303に向けて筋状に延びる凸リブ(容器の外径方向に突出する凸状のリブ)305が複数形成されている。各々の凸リブ305は、首部301を中心として放射状に配置され、肩部302の径方向強度を高めることで容器300の剛性を向上させる機能を担う。
【0015】
また、容器300およびプリフォーム200の材料は、熱可塑性の合成樹脂であり、容器300の用途に応じて適宜選択できる。具体的な材料の種類としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PCTA(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、Tritan(トライタン(登録商標):イーストマンケミカル社製のコポリエステル)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPSU(ポリフェニルスルホン)、PS(ポリスチレン)、COP/COC(環状オレフィン系ポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル:アクリル)、PLA(ポリ乳酸)などが挙げられる。
【0016】
一方、本実施形態のブロー成形装置100は、上記の容器300を製造するために、ホットパリソン方式とコールドパリソン方式の利点を併せ持つ1.5ステージ方式と称されるブロー成形方法を実行する。1.5ステージ方式のブロー成形方法では、基本的にホットパリソン方式(1ステージ方式)と同様に、射出成形時の保有熱を有するプリフォーム200をブロー成形して容器を製造する。ただし、1.5ステージ方式でのブロー成形のサイクルは、プリフォーム200の射出成形のサイクルよりも短く設定される。そして、1回の射出成形のサイクルで成形された複数のプリフォーム200は、複数回(例えば3回)のブロー成形のサイクルに分けてブロー成形される。
【0017】
図1に示すように、ブロー成形装置100は、射出成形部110と、冷却部120と、加熱部130と、ブロー成形部140とを備える。
また、ブロー成形装置100は、冷却部120から搬出されたプリフォーム200を、加熱部130を経由してブロー成形部140に搬送する連続搬送部150を備えている。連続搬送部150は、複数の湾曲部を有するループ状の搬送ライン151に沿って、プリフォーム200を保持する搬送治具152を連続的に繰り返し搬送する。
【0018】
射出成形部110は、樹脂成形品であるプリフォーム200を射出成形する。
射出成形部110は、
図2に示すように、上方に配されたコア型111と、下方に配されたキャビティ型112と、タイバー113によりコア型111およびキャビティ型112を型締めする型締め機構114を備えている。射出成形部110は、コア型111およびキャビティ型112で形成される射出空間内に射出装置(不図示)から樹脂材料(原材料)を充填することでプリフォーム200を射出成形する。
【0019】
ここで、プリフォーム200の全体形状は、
図6等に示すように、一端側が開口され、他端側が閉塞された有底円筒形状である。プリフォーム200は、一端側に形成され開口を有する首部201と、首部201に接続されて円筒状に形成された胴部202と、胴部202に接続されて他端側を閉塞する底部203とを有する。また、プリフォーム200の首部201の近傍には、外周面に2つの環状のフランジ201a,201bが形成されている。2つのフランジ201a,201bは、首部201の下側において、軸方向に間隔をあけて平行に形成されている。以下の説明では、プリフォームの上側のフランジを第1フランジ201aとも称し、下側(または最下端側)のフランジを第2フランジ201bとも称する。
【0020】
本実施形態の射出成形部110は、例えば、3列×4個や3列×3個のプリフォーム200を同時に成形する構成である。また、プリフォーム200は、射出成形部110では首部201を上向きとした正立状態で成形され、射出成形部110では正立状態でプリフォーム200が搬送される。
【0021】
また、射出成形部110は、
図2に示すように、射出成形されたプリフォーム200を射出成形部110の外に取り出す受け取り部115をさらに備えている。
受け取り部115は、コア型111の下側の受け取り位置(タイバー113で囲まれた空間)よりも外側の受け渡し位置まで、水平方向(図中X方向)に移動可能に構成されている。
【0022】
受け取り部115は、射出成形部110で成形された3列×4個分(または3列×3個分)のプリフォーム200をそれぞれ収容する12個の冷却ポット119を保持している。受け取り部115の冷却ポット119は、収容されたプリフォーム200と接触することでプリフォーム200を冷却する。また、受け取り部115は、プリフォーム200の列の間隔(図中X方向の間隔)を受け取り位置の広ピッチ状態から受け渡し位置の狭ピッチ状態に変換する。
【0023】
射出成形部110で射出成形されたプリフォーム200は、射出成形部110から冷却部120に供給される。冷却部120は、射出成形部110で成形されたプリフォーム200を強制冷却する。プリフォーム200は、所定温度まで冷却された状態で冷却部120から搬出され、搬送ライン151に沿って連続的に搬送される。
【0024】
図2に示すように、射出成形部110と冷却部120の間には、受け取り部115から冷却部120まで正立状態でプリフォーム200を搬送する搬送装置180が設けられている。搬送装置180は、正立状態のプリフォーム200の首部201を保持する保持部181を備え、図示しないエアシリンダにより、垂直方向(図中Z方向)および水平方向(図中X方向)に保持部181を移動可能に構成されている。
【0025】
冷却部120は、図中X方向に延びる回転軸を中心として反転可能であり、図中Z方向(上下方向)に昇降可能に構成されている。冷却部120の図中上側に示す第1面120aと、第1面120aと対向する第2面120bには、3列×4個分のプリフォーム200を収容する冷却ポットが配置されている。
【0026】
冷却部120の第1面120aおよび第2面120bに配置される冷却ポットは、冷媒通路(不図示)を循環する冷媒により冷却され、収容されたプリフォーム200を吸引して保持する。
【0027】
冷却部120は、搬送装置180から受けた正立状態のプリフォーム200を、冷却時間中に首部201を下向きとした倒立状態に反転させる。そして、倒立状態のプリフォーム200は、冷却部120の下方に複数列配置されている連続搬送部150の搬送治具152に受け渡される。プリフォーム200を保持した搬送治具152は、スプロケット154などの駆動により搬送ライン151に沿って順次搬送される。
【0028】
加熱部130は、搬送ライン151に沿って配置された複数のヒーター(不図示)を有し、連続搬送部150によって連続搬送される倒立状態のプリフォーム200を延伸適温まで加熱する。加熱部130内では、プリフォーム200の軸方向を中心として倒立状態のプリフォーム200が自転しながら加熱され、これによりプリフォーム200全体が均一に加熱される。加熱部130は、例えば、少なくとも射出成形1回分(例えば3×4個分や3×3個分)のプリフォーム200を同時に加熱可能に構成されている。
【0029】
また、ブロー成形装置100は、搬送ライン151における加熱部130の下流側に、間欠搬送部160と、受渡部170とを備えている。
間欠搬送部160は、加熱部130によって加熱された複数のプリフォーム200を保持してブロー成形部140に間欠的に搬送する。受渡部170は、連続搬送部150によって連続搬送されたプリフォーム200を搬送ライン151から間欠搬送部160に受け渡す。
【0030】
なお、本実施形態では、搬送方向に連続する複数の搬送治具152が連結部材(不図示)によって連結されている。そして、連続搬送部150は、所定半径で湾曲する湾曲搬送部155の下流側の搬送ライン151において、スプロケット154aの駆動と停止を繰り返すことで、一度に複数のプリフォーム200を受渡部170に供給する。
【0031】
受渡部170は、受渡位置P0に図示しない反転装置を備える。搬送ライン151に沿って倒立状態で搬送されたプリフォーム200は、受渡位置P0においてプリフォーム200の上側に配置された反転装置で反転されて正立状態になる。また、受渡部170は、例えば、反転装置を昇降させる昇降装置(不図示)を備え、正立状態のプリフォーム200を所定位置(受渡位置P1)まで上昇させた状態で間欠搬送部160に受け渡す。
【0032】
間欠搬送部160は、開閉可能な搬送チャック161(
図1では不図示)により、正立状態の各プリフォーム200の首部201をそれぞれ把持する。そして、間欠搬送部160の搬送チャック161は、受渡位置P0の上方に位置する受渡位置P1でプリフォーム200の首部201を把持し、当該プリフォーム200を受渡位置P1からブロー成形位置P2まで移動させる。これにより、複数のプリフォーム200が所定間隔でブロー成形部140に搬送される。
【0033】
ブロー成形部140は、加熱部130で温度調整され、受渡部170より受け取った所定個数のプリフォーム200に対して延伸ブロー成形を行い、容器300を製造する。
ブロー成形部140は、ブロー型ユニット140aを備える。ブロー型ユニット140aは、一対のブローキャビティ割型1411、1412で構成されるブローキャビティ型141(キャビティ金型)と、底型142と、後述する型開閉機構144に連結される一対のブロー型固定板149(1491、1492)と、を少なくとも備える。ブロー型ユニット140aは、さらに、エア導入部材であるブローコア型143を備える。一つのブロー型固定板1491(1492)には複数(例えば3つまたは4つ)のブローキャビティ割型1411(1412)が固定されているため、一対のブロー型固定板149には複数(例えば3つまたは4つ)のブローキャビティ型141が設けられている。
【0034】
底型142は、ブローキャビティ型141と同数(例えば3つまたは4つ)の底部用キャビティ型1421とそれらを固定する底型固定板1422とから構成される。ブローキャビティ型141と底型142は、一対のブロー型固定板149の間に一列に配置されている。ブロー型ユニット140aを構成する各金型部品は同時にブロー成形装置100に搬入または搬出可能で、一度に交換可能である。また、ブロー成形部140は、ブローキャビティ型141を開閉させる開閉機構144と、底型142を上下させる第1の昇降装置(不図示)と、ブローコア型143を上下させる第2の昇降装置(不図示)とを備える。
【0035】
ブローキャビティ型141は、底部304を除く容器300の形状を規定する金型である。ブローキャビティ型141は、
図1の紙面奥行方向(Z方向)に沿ったパーティング面で分割され、開閉機構144の駆動によりブロー型固定板149を介して
図1の上下方向(Y方向)に開閉可能に構成される。
【0036】
ブローキャビティ型141(またはブローキャビティ割型1411、1412)の上部(または上面)には、円筒状の開口部141aが形成されている。開口部141aは、金型内部に連通し、プリフォーム200の首部201の外径に対応する(またはプリフォーム200の首部201の最小径より大きい)形状である。
【0037】
また、開口部141aの内周面には、プリフォーム200の第2フランジ201bを受ける環状の受け溝(溝部)141bが形成されている。なお、受け溝141bの溝幅(またはZ方向の溝の長さ)は、第2フランジ201bの位置が下降する動きを許容するように、第2フランジ201bの幅よりも大きな寸法に形成されている。さらに、開口部141aの内周面には、プリフォーム200の第1フランジ201aより下側に位置する首部201の下方部分を収容するための凹部141dが鉛直方向(反Z方向)に形成されている。
【0038】
そのため、ブローキャビティ型141の開口部141aに合わせてプリフォーム200を配置することで、
図6等に示すように、プリフォーム200の首部201および第1フランジ201aをブローキャビティ型141の外側に出した状態で、プリフォーム200の胴部202および底部203をブローキャビティ型141の内側に配置できる。また、ブローキャビティ型141(またはブローキャビティ割型1411、1412)の容器肩部に対応する型面には、凸リブ305に対応するアンダーカット部141cが形成されている。
【0039】
また、ブローキャビティ型141の上面には、平板状の支持部材145が一対設けられている。支持部材145は、各々のブローキャビティ型141(ブローキャビティ割型1411、1412)に1つずつ設けられており、プリフォーム200の首部外径に対応する半円形に切り欠かれたネック支持部145aを有している。そして、一対の支持部材145は、互いのネック支持部145aが内向きで対向するように配置されている。
【0040】
支持部材145は、ブローキャビティ型141またはブロー型固定板149に設けられた直動機構146によりブローキャビティ型141の上面に沿ってY方向に摺動し、ブローキャビティ型141の開閉動作とは独立して開閉可能である。
図4は、閉位置の支持部材145を示す平面図であり、
図5は、開位置の支持部材145を示す平面図である。
【0041】
図4に示すように、支持部材145が閉位置のときには、支持部材145が互いにパーティング面に向けて接近した状態となる。これにより、閉位置でのネック支持部145aは、ブローキャビティ型141の開口部141aと平面視で略重なる位置となり、支持部材145のネック支持部145aでプリフォーム200を両側から挟み込んで支持できる。なお、支持部材145のネック支持部145aは、上面側が第1フランジ201aの下面と接触し、第1フランジ201aの下側でプリフォーム200を支持する。
【0042】
図5に示すように、支持部材145が開位置のときには、閉位置から支持部材145が互いに離間するように摺動している。これにより、開位置でのネック支持部145aは、ブローキャビティ型141の開口部141aからいずれも退避した位置となり、支持部材145によるプリフォーム200の支持が解除された状態となる。
【0043】
底型142は、ブローキャビティ型141の下側に配置され、容器300の底部304の形状を規定する金型である(より具体的には、底部用キャビティ型1421で底部304の形状が規定される)。底型142およびブローキャビティ型141が型閉じされることで、容器300の形状を規定する型空間が形成される。
【0044】
ブローコア型143は、プリフォーム内に圧縮空気(ブローエア)を導入して容器300を賦形するために、プリフォーム200の首部201に挿入される金型である。ブローコア型143は、プリフォーム200の軸方向に沿って進退可能に構成され、筒状の外側コア143aと筒状の内側コア143bが同心状に配置された構造である。
【0045】
外側コア143aは、プリフォーム200の首部201の外周側に配置され、後述の
図8、
図9に示すように、ブロー成形時にはプリフォーム200の首部201を外周側から覆う。これにより、外側コア143aは、第1フランジ201aの上面や支持部材145の上面と当接し、プリフォーム200とブローコア型143間の気密を確保する。
【0046】
内側コア143bは、プリフォーム200内に挿入されて首部201の内周面と近接する。ブローコア型143において、内側コア143bは外側コア143aよりも軸方向の下方側に突出している。内側コア143bは、プリフォーム200の首部201(または容器300の首部301)を内周側から支え、首部201、301の傾きや位置ズレを抑止する機能を担う。
【0047】
また、後述の
図8、
図9に示すように、ブロー成形時には、内側コア143bと延伸ロッド148がプリフォーム200に挿入される。内側コア143bは中空の筒状体であって、その内側には延伸ロッド148が配置されるとともに、例えば不図示のコンプレッサから圧縮空気をプリフォーム200に導入し、ブロー成形後の容器から圧縮空気を排気するための流路が形成される。
【0048】
延伸ロッド148は、ブローコア型143に対して図中上下方向に進退可能に構成されている。また、延伸ロッド148の先端には、プリフォーム200の内底面に接触して延伸時の芯ずれを防止する当接部148aが設けられている。
【0049】
以下、
図6から
図11を参照し、ブロー成形部140におけるブロー成形工程での動作例を説明する。
まず、ブローコア型143が上端位置で待機している状態で、間欠搬送部160の搬送チャック161により、型開状態のブローキャビティ型141の開口部141aの位置にプリフォーム200が搬送される。その後、開閉機構144の駆動によりブローキャビティ型141がY方向に移動して型開状態から型閉状態となる。また、各々の支持部材145は予め閉位置にある。ブローキャビティ型141が型開状態から型閉状態になると、支持部材145のネック支持部145aは、ブローキャビティ型141の移動に伴ってプリフォーム200の下側に配置される。
【0050】
これにより、
図6に示すように、搬送チャック161でプリフォーム200の首部201が保持される一方、プリフォーム200の胴部202および底部203がブローキャビティ型141内に収容された状態となる。また、支持部材145により、プリフォーム200のブローキャビティ型141内への落下が抑止される。なお、
図6の段階では、ブローコア型143はプリフォーム200の上方に退避した状態であり、底型142はブローキャビティ型141の下方に退避している。
【0051】
次に、
図7に示すように、ブローコア型143が中間位置まで下降し、搬送チャック161がプリフォーム200の首部201を把持したまま、搬送チャック161の位置まで内側コア143bがプリフォーム200に挿入された状態となる。その後、搬送チャック161が退避すると、ブローコア型143がさらに下端位置まで下降し、外側コア143aの先端が第1フランジ201aの上面または/および支持部材145の上面と接触する(
図8参照)。なお、搬送チャック161が退避する際、プリフォーム200は下降して支持部材145の上面に載置されるが、内側コア143bで内側から保持されるため、プリフォーム200が不正な姿勢(例えば傾斜姿勢)となることを抑制できる。
【0052】
次に、
図8に示すように、延伸ロッド148がプリフォーム200内に挿入される。その後、延伸ロッド148が下降してその先端(当接部148a)がプリフォーム200の底部203に押し当てられ、プリフォーム200の縦軸延伸が行われる。
【0053】
そして、内側コア143bからブローエアを供給することで、プリフォーム200が横軸延伸される。これにより、
図9に示すように、プリフォーム200は、ブローキャビティ型141の型面に密着するように膨出して賦形され、容器300にブロー成形される。なお、底型142は、型閉じ前はプリフォーム200の底部203と接触しない下方の位置で待機し、型閉後においてブロー成形の開始前に成形位置まで素早く上昇するように制御される。
【0054】
次に、
図10に示すように、延伸ロッド148が上方に退避するとともに、ブローコア型143が中間位置まで上昇する。これにより、容器300の首部301の外周が外側に露出するとともに、容器300の首部内側には内側コア143bが途中まで挿入された状態となる。その後、容器300の首部301において内側コア143bの挿入されている部位の外周を搬送チャック161が再び把持する。
【0055】
ここで、搬送チャック161は、後述の移動しろの分だけ容器300が下方に移動できるように首部301を把持する。また、搬送チャック161は、下端側に内周側に突出する抜け止め部161aを下端側に有している。抜け止め部161aは、首部301の突起(例えば、ねじ)と干渉することで、容器300の下側への脱落を抑制する。
【0056】
また、容器300の首部301には内側コア143bが挿入されているので、容器300の首部内周は内側コア143bの外周面に接触可能になり、水平方向(XY方向)の移動が規制される。また、容器300の首部外周は搬送チャック161によって外側から把持される。したがって、容器300の首部301は内周側の内側コア143bと外周側の搬送チャック161で挟み込まれた状態となる。これにより、容器300の首部301は、容器300の軸方向と直交する平面方向(XY方向)からの力に対して変位しにくくなる(つまり、首部301が傾きにくくなる)。
【0057】
その後、
図11に示すように、ブローキャビティ型141の各支持部材145が閉位置から開位置に摺動する。これにより、支持部材145による容器300の支持が解除される。また、第1フランジ201aの下側とブローキャビティ型141の間には、退避した支持部材145の厚さ分の隙間(移動しろ)が形成される。
【0058】
ここで、搬送チャック161は容器300の下方への移動を許容し、ブローキャビティ型141の受け溝141bも第2フランジ201bの位置が下降する動きを許容する。したがって、搬送チャック161に把持された容器300は、移動しろの分だけ下降することが可能である。また、ブロー成形された容器300は排気や温度低下に伴い賦形後に収縮し、容器300の底部側にはある程度の隙間が発生する。そのため、移動しろの分だけ容器300が下降してもブローキャビティ型141の底面側で容器300との干渉は生じない。
【0059】
以上のように、支持部材145が開位置に摺動すると、容器300が移動しろの分だけ下降できるようになる。そして、容器300が下降すると、アンダーカット部141cから容器300の凸リブ305が引き離される。
【0060】
一方で、搬送チャック161は容器300の下降を許容するが、容器300の脱落を抑制する抜け止め部161aを有する。また、型開き前に容器300が下降すると、第1フランジ201aはブローキャビティ型141の上面と接触し、第2フランジ201bは受け溝141bと接触して、容器300はそれ以上下降しなくなる。したがって、容器300の下側への脱落は、抜け止め部161a、第1フランジ201a、第2フランジ201bによって抑制される。
【0061】
各支持部材145が開位置に摺動した後、
図11に矢印OPで示すように、開閉機構144の駆動によりブローキャビティ型141がY方向に移動して型開きされる。
【0062】
ブローキャビティ型141の型面は、凸リブ305に対応するアンダーカット部141cを有し、型閉時には容器300の凸リブ305がアンダーカット部141cに入り込んでいる。この状態でブローキャビティ型141を型開きすると、アンダーカット部141cから凸リブ305が無理抜きされる。しかし、上記のように、容器300の首部301は、内周側の内側コア143bと外周側の搬送チャック161で挟み込まれて支持され、XY方向の移動が規制されている。そのため、型開きで凸リブ305を離型させるときには、型開方向の力に対して内側コア143bと搬送チャック161で支持された容器300の首部301が大きな抵抗となって反力を受けるので、ブローキャビティ型141から容器300を引き剥がして離型できる。したがって、容器300がブローキャビティ型141から離型せずに搬出できない事象が抑制される。
【0063】
また、支持部材145が開位置に摺動することで容器300が移動しろの分下降し、上記のように、容器300の凸リブ305がアンダーカット部141cの型面から離れる。これにより、凸リブ305の無理抜きがなくなるため、ブローキャビティ型141から容器300をより離型させやすくなる。
【0064】
なお、支持部材145が開位置に移動した状態では、容器300が十分に下降していない場合もありうる。しかし、型開きの際にはブローキャビティ型141の型面に凸リブ305が当たることで容器300に上下方向や水平方向の振動が加わる。その結果として、容器300は上記の振動に伴い移動しろの分だけ下降し、容器300の凸リブ305がアンダーカット部141cの型面から離れる。そのため、この場合にも凸リブ305の無理抜きをなくすことができる。
【0065】
また、搬送チャック161は振動による容器300の下降を許容するが、抜け止め部161aを有するので、容器300が振動で下側に脱落して搬出できない事象は抑制される。
【0066】
また、容器300の首部301は内側コア143bと搬送チャック161で挟み込まれているので、ブローキャビティ型141から離型した容器300は軸方向と直交する平面方向(XY方向)にぶれにくい。したがって、容器300が型開後のブローキャビティ型141と接触して脱落することも抑制される。
【0067】
その後、ブローコア型143が上方に退避し、容器300の首部301から内側コア143bが引き抜かれる。そして、容器300は、搬送チャック161によりブロー成形部140の外側の取り出し位置P3に搬送されて取り出される。以上で、ブロー成形部140でのブロー成形工程の説明を終了する。
【0068】
以上のように、本実施形態のブロー成形装置100のブロー成形部140では、アンダーカット形状の凸リブ305を有する容器300が製造される。ブロー成形部140では、アンダーカット部141cを有するブローキャビティ型141にプリフォーム200が収容され、プリフォーム200の内側にブローコア型143が挿入される。そして、ブローコア型143を介してプリフォーム200内にブローエアが導入されて、プリフォーム200が容器300にブロー成形される。その後、内側にブローコア型143が配置された容器300の首部301を外側から搬送チャック161で把持し、ブローコア型143と搬送チャック161で容器300の首部301が挟み込まれる。ブローキャビティ型141が型開きされると、ブローコア型143および搬送チャック161で首部301が挟み込まれた容器300がアンダーカット部141cから離型される。
【0069】
ブロー成形部140では、ブローコア型143および搬送チャック161で首部301を挟み込んで容器300を離型するので、アンダーカット形状の凸リブ305を有する容器300をブローキャビティ型141から容易に離型させることができる。また、ブローコア型143および搬送チャック161で首部301が挟み込まれた容器300はぶれにくいので、搬送チャック161から脱落しにくい。したがって、本実施形態の構成によれば、ブロー成形部140から容器300を適正に搬出できる。また、本実施形態の構成では、可動式入子を有する割型を使用しなくてすむので、金型の製造コストを抑制することもできる。
【0070】
また、容器300をブローキャビティ型141から無理抜きせずに離型させるため、首部301の第2フランジ201bの下面とブロー型143の受け溝部141b(または第1フランジ201aの下面とブロー型143の上面)との摩擦が低減または解消できる。よって、プリフォーム200の首部301の一部をブローキャビティ型141に保持させた状態で容器にブロー成形する1.5ステップ式や2ステップ式のブロー成形装置であっても、首部301の突起部(サポートリングや環状フランジ等)におけるキズの発生が抑止できる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0072】
例えば、上記実施形態では、一例として、1.5ステップ方式のブロー成形装置でのブロー成形部の構成例を説明した。しかし、本実施形態のブロー成形部の構成は、別の装置で射出成形されて常温まで冷却されたプリフォームを用いてブロー成形を行うコールドパリソン式(2ステップ方式)のブロー成形装置に適用されてもよい。
【0073】
また、本発明を適用できる容器の形状は実施形態に限定されることなく、アンダーカット形状を有する容器を延伸ブロー成形で製造する場合に広く適用できる。
【0074】
(第1の変形例)
図12は、第1の変形例のブロー成形部140の構成例を示す図である。以下の説明では、実施形態のブロー成形部140と共通の要素には、同じ符号を付して重複説明はいずれも省略する。なお、第1の変形例は、ブローキャビティ型141(またはブローキャビティ割型1411、1412)と移動しろの有無以外の構成は実施形態と同じである。
【0075】
実施形態とは異なり、凸リブ305を有する容器300がブローキャビティ型141から無理抜きされる場合、首部301の下側の第2フランジ201bがブローキャビティ型141の受け溝(溝部)141bと干渉する。また、首部301の下側の第1フランジ201aもブローキャビティ型141の上面と干渉する。より具体的には、無理抜きとなる場合にはキャビティ型141のアンダーカット部141cで容器300の全体が下向きに押されつつ型開きされるので、第2フランジ201bの下面がキャビティ型141の受け溝141bの角部(具体的には、ブローキャビティ割型1411、1412をパーティング面側から見たときに、受け溝部141bの下端面と凹部141dとの間に形成される第1の角部)と強く接触する。これにより第2フランジ201bの下面が擦られて、第2フランジ201bの下面に凹凸状のキズが生じうる。
【0076】
同様に、無理抜きとなる場合、第1フランジ201aの下面がキャビティ型141の上面の角部(具体的には、ブローキャビティ割型1411、1412をパーティング面側から見たときに、ブローキャビティ割型1411、1412の上端面と凹部141dとの間に形成される第2の角部)と強く接触する。第2フランジ201bや第1フランジ201aの下面にキズが生じると、第2フランジ201bや第1フランジ201aをレール部材やスターホイール等で支持して搬送する際に摩擦抵抗が増え、容器300が搬送中にスタックして詰まる可能性がある。また、キズにより容器300自体の見栄えも悪くなる。
【0077】
上記のような首部301のフランジのキズを防止するために、例えば、
図12に示すように、第1の変形例として、ブローキャビティ型141のパーティング面で容器300のフランジと当接する箇所の角部(第1の角部領域または/および第2の角部領域)を削って曲面状にしてもよい。具体的には、ブローキャビティ型141のパーティング面において首部301が挿通されるブローキャビティ型141(具体的には、ブローキャビティ割型1411、1412)の上端部の角部と、受け溝141bの下側の角部が曲面状に削られる(すなわち、角部が曲面状に面取り加工される)。なお、上述の2つの角部は、ブローキャビティ割型1411、1412の各々に形成されている。
【0078】
なお、首部301のフランジのキズをより低減させるため、開口部141aの上面側の縁部(第1フランジ201aが嵌る(載る)ザグリの下端面と凹部141dとの間に形成される上面視で半円形状の縁)と受け溝部141bの下面側の縁部(受け溝部141bの下端面と凹部141dとの間に形成される上面視で半円形状の縁)も曲面状に削ってもよい。しかし、ブローキャビティ型141に対するプリフォーム200の位置ズレが大きくなるおそれがあるため、縁部の面取りの寸法よりも、角部の面取りの寸法を大きく設定することが好ましい。なお、上述の縁部は、ブローキャビティ割型1411、1412の各々に形成されている。
【0079】
例えば、
図12に破線で示す箇所の角部を削って(切削して、面取りして)一辺が0.7mmから0.9mmの正三角形状の平面状部とし、削った部分(平面状部)が半球状に近づくように研磨し、最終的に角部が半球面状の曲面となるように面取りが行われる。縁部も、例えば、0.1mmから0.2mm削った(切削した、面取りした)後削った部分が扇状(四分円状)に近づくように研磨して、扇状の曲面となるように面取りが行われてもよい。また、ブローキャビティ型141(具体的には、ブローキャビティ割型1411、1412)において、受け溝部141bや開口部141aの角部を曲面状に面取り加工して、加工後の角部の丸みの半径(曲率半径、RまたはSR)を0.8mmから1.5mm(好ましくは1.0mmから1.2mm)に設定してもよい。また、受け溝部141bや開口部141aの縁部も面取り加工して、加工後の縁部の丸みの半径(曲率半径、R)を0.3mmから0.8mm(好ましくは0.4mmから0.6mm)に設定してもよい。
【0080】
第1の変形例の構成によれば、実施形態と同様、無理抜きとなる場合であっても首部301のフランジの下面がブローキャビティ型141の角部で削られにくくなるので、フランジの下面にキズが生じにくくなる。
【0081】
(第2の変形例)
また、首部301のフランジのキズを防止する他の手法として、型閉時に支持部材145が首部301のフランジを受ける構成とし、ブローキャビティ型141の型開きの前に支持部材145を首部301の周囲から退避させてもよい。
【0082】
図13は、第2の変形例のブロー成形部140の構成例を示す図である。以下の説明では、実施形態のブロー成形部140と共通の要素には、同じ符号を付して重複説明はいずれも省略する。なお、第2の変形例は、ブローキャビティ型141(またはブローキャビティ割型1411、1412)と移動しろの有無以外の構成は実施形態と同じである。
【0083】
第2の変形例のブロー成形部140では、上記実施形態よりも支持部材145がZ方向に厚く形成され、容器高さ方向(Z方向)において首部301(または首部201)の第2フランジ201bを含む部分を両側から支持可能に構成されている。そして、支持部材145のネック支持部145aには、首部301の第2フランジ201bを受ける環状の受け溝(溝部)145a1が形成されている。
【0084】
図13では、一対の支持部材145が閉位置のときの状態を示している。支持部材145が閉位置のときには支持部材145が互いにパーティング面に向けて接近している。この閉位置では、支持部材145の受け溝145a1に第2フランジ201bが収容された状態かつ支持部材145の上面に第1フランジ201aが当接した状態で、首部301が支持部材145によって支持される。
【0085】
第2の変形例では、ブローキャビティ型141を型閉じする時点から支持部材145は閉位置にあり、ブローキャビティ型141とともに型閉じされてプリフォーム200の首部201を支持する。その後、容器300のブロー成形が終了して容器300が搬送チャック161に把持されると、直動機構146の動作により支持部材145がY方向(矢印OPの方向)に摺動して開位置に移動する。
【0086】
これにより、支持部材145が首部301から離れ、第2フランジ201bは支持部材145の受け溝145a1と干渉しなくなる。また、第1フランジ201aは支持部材145の上面と干渉しなくなる。つまり、支持部材145が開位置に移動した際、第1フランジ201aと第2フランジ201bはブローキャビティ型141の上面に対し所定の隙間が形成されて、接触しない状態となる。なお、フランジと支持部材145が接触せずに容器300が軸方向(Z方向下側)に移動できる移動しろは形成させてもよく、形成させなくてもよい。移動しろを形成させる場合、搬送チャック161は、容器300が下方に移動できるように(容器300が移動しろ分の距離が下降できるように)首部301を把持する。移動しろを形成させない場合、搬送チャック161は容器300が下方に移動でききないように首部301を把持する。
【0087】
その後、ブローキャビティ型141が型開きされ、アンダーカット部141cから容器300の凸リブ305が引き離される。このとき、キャビティ型141のアンダーカット部141cで容器300の全体が下向きに押されるが、支持部材145は首部301から退避しているため、第2フランジ201bの下面と干渉する部材がない。そのため、第2の変形例の構成によっても、上記実施形態と同様の効果に加えて、凸リブ305を有する容器300の型開きのときに、フランジの下面部材が干渉してキズが生じることを防止できる。また、容器300を下方移動できるように搬送チャック161が容器300を支持する場合は、実施形態と同様の利点が確保できる。
【0088】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
100…ブロー成形装置、110…射出成形部、120…冷却部、130…加熱部、140…ブロー成形部、141…ブローキャビティ型、141b…受け溝、141c…アンダーカット部、143…ブローコア型、143a…外側コア、143b…内側コア、144…開閉機構、145…支持部材、147…内管、148…延伸ロッド、160…間欠搬送部、161…搬送チャック、200…プリフォーム、201…首部、201a,201b…フランジ、300…容器、301…首部、302…肩部、305…凸リブ