(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】セリア-ジルコニア系複合酸化物、及び、セリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 25/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
C01G25/00
(21)【出願番号】P 2024051620
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208662
【氏名又は名称】第一稀元素化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 宗太朗
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 慶計
(72)【発明者】
【氏名】明石 陵
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-014458(JP,A)
【文献】特開2008-081392(JP,A)
【文献】国際公開第2022/107900(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/196100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリアとジルコニアとを含み、
前記セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記ジルコニアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、75質量%以上であり、
下記の(1)~(3)を満たすことを特徴とするセリア-ジルコニア系複合酸化物。
(1)O
2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上1000μmol/g以下。
(2)比表面積が15m
2/g以上80m
2/g以下。
(3)タップ密度が1.75g/mL以上3.00g/mL以下。
【請求項2】
前記比表面積が30m
2/g以上80m
2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項3】
前記比表面積が40m
2/g以上80m
2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項4】
前記タップ密度が1.8g/mL以上2.8g/mL以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項5】
前記タップ密度が1.85g/mL以上2.6g/mL以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項6】
前記セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、35質量%以上70質量%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項7】
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を一種以上含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【請求項8】
下記[粒子径D
90
の測定方法]により測定される粒子径D
90が8μm以上80μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
[粒子径D
90
の測定方法]
セリア-ジルコニア複合酸化物0.15gと40mlの0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液とを50mlビーカーに投入し、超音波洗浄器「VS-100 III」(ヴェルヴォクリーア社製)で5分間分散した後、装置(レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(「LA-950」堀場製作所社製))に投入して測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セリア-ジルコニア系複合酸化物、及び、セリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排ガス規制の強化が進み、中でも窒素酸化物(NOx)に対する規制値が厳しくなっており、浄化性能に優れた排ガス浄化触媒の必要性が高まっている。
【0003】
従来、排ガス浄化触媒の担体用途として、セリウム元素及びジルコニウム元素を含有する複合酸化物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合酸化物の粉末を排ガス浄化触媒として利用する際、複合酸化物はPt、Pd、Rhなどの触媒金属元素の担体として用いられる。触媒金属元素を担持した粉末をハニカムに塗付して使用するため、塗布層の厚みが大きくなると圧力損失も大きくなる。このため、粉末を塗布できる厚みには制限があり、ハニカムの単位表面積あたりに高密度な塗付層を形成することが、浄化性能の向上に対して重要である。
その一方で、一般に、触媒金属元素の担体としての複合酸化物は、高い比表面積を有する多孔質材料であることが浄化性能の向上にとって重要である。しかしながら、高い比表面積を得ようとするとかさ高くなり、基材への塗布量が制限されることとなる。
また、高い酸素吸蔵放出能(以下、「OSC」ともいう)を有することが望まれる。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高いセリア-ジルコニア系複合酸化物を提供することにある。また、当該セリア-ジルコニア系複合酸化物を得ることが可能なセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に対して、鋭意研究を行った。その結果、密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高いセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造に成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1]セリアとジルコニアとを含み、
前記セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記ジルコニアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、75質量%以上であり、
下記の(1)~(3)を満たすことを特徴とするセリア-ジルコニア系複合酸化物。
(1)O2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上1000μmol/g以下。
(2)比表面積が15m2/g以上80m2/g以下。
(3)タップ密度が1.75g/mL以上3.00g/mL以下。
【0009】
前記構成によれば、セリアとジルコニアとを前記数値範囲内で含むため、高いOSCを実現できる。また、前記(1)~前記(3)を満たすため、密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高いといえる。このようなセリア-ジルコニア系複合酸化物は、排ガス浄化触媒の担体として有用である。
【0010】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[2]前記比表面積が30m2/g以上80m2/g以下であることを特徴とする前記[1]に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0011】
前記比表面積が30m2/g以上であると、より比表面積が高いといえる。
【0012】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[3]前記比表面積が40m2/g以上80m2/g以下であることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0013】
前記比表面積が40m2/g以上であると、さらに比表面積が高いといえる。
【0014】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[4]前記タップ密度が1.8g/mL以上2.8g/mL以下であることを特徴とする前記[1]~前記[3]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0015】
前記タップ密度が1.8g/mL以上であると、より密度が高いといえる。
【0016】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[5]前記タップ密度が1.85g/mL以上2.6g/mL以下であることを特徴とする前記[1]~前記[4]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0017】
前記タップ密度が1.85g/mL以上であると、さらに密度が高いといえる。
【0018】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[6]前記セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、35質量%以上70質量%以下であることを特徴とする前記[1]~前記[5]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0019】
前記セリアの含有量が35質量%以上であると、高いOSCをより実現しやすい。
【0020】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[7]Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を一種以上含むことを特徴とする前記[1]~前記[6]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0021】
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を一種以上含むと、比表面積をより高くすることができる。より詳細には、ZrO2:CeO2の比と焼成条件とが同一な(類似する)サンプルで比較すると、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を含むサンプルの方が、比表面積は高くなる傾向にある。例えば、組成がZrO2:CeO2=42:58であり、焼成温度が700℃である実施例31に希土類を添加した実施例2、5~9の比表面積は、実施例31の比表面積よりも高くなっている(後述する表1、表2参照)。同様に、組成がZrO2:CeO2=70:30であり、焼成温度が700℃である実施例29に希土類を添加した実施例3の比表面積は、実施例29よりも高くなっている。また、組成がZrO2:CeO2=30:70であり、焼成温度が700℃である実施例30に希土類を添加した実施例1の比表面積は、実施例30よりも高くなっている。
【0022】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[8]粒子径D90が8μm以上80μm以下であることを特徴とする前記[1]~前記[7]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物。
【0023】
粒子径D90が80μm以下であると、粒子は比較的小さいといえる。粒子径D90が80μm以下であると、ハニカム上により密なセリア-ジルコニア系複合酸化物のコート層を形成できる。
【0024】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[9]セリウム及びジルコニウムを含む原料塩の水溶液を塩基で中和してセリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体を得る工程1と、
得られた前記前駆体に酸化剤を添加する工程2と、
前記工程2により得られた懸濁液を固液分離し、1.5MPa以上の加圧を行う工程3と、
前記工程3により得られた固形物に、含水率90質量%以上となるように水を混合する工程4と、
前記工程4により得られた混合物を熱処理する工程5と
を含むことを特徴とする前記[1]~前記[8]のいずれか1に記載のセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法。
【0025】
前記構成によれば、セリウム及びジルコニウムを含む原料塩の水溶液を塩基で中和してセリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体とした後、得られた前駆体に酸化剤を添加する(工程2)。酸化剤の添加により、セリウムを4価のイオンとすることができる。セリウムを4価のイオンにすると、イオン半径が小さくなる。セリウムのイオン半径を小さくすることにより、焼成時の固溶拡散が起こりやすくなる。その結果、高いOSCが得られる。つまり、セリウムとジルコニウムとが原子レベルで均一となった固溶体とすることができるため、高いOSCが得られる。
また、前記工程2により得られた懸濁液を固液分離し、1.5MPa以上の加圧を行う(工程3)ため、この工程3において粒子内の細孔は押しつぶされ、大きな細孔のほとんどが消滅する。これにより、凝集状態が蜜となる。
その後、工程3により得られた固形物に、含水率90質量%以上となるように水を混合し(工程4)、得られた混合物を熱処理する(工程5)。
これにより、熱処理による乾燥時に、微細な細孔が形成される。なお、上述の通り大きな細孔は存在しないため、得られるセリア-ジルコニア系複合酸化物は、大きな細孔が存在せず、微細な細孔のみが形成された状態となる。
以上の製造工程により得られるセリア-ジルコニア系複合酸化物は、微細な細孔が形成されているため、高い比表面積を有しており、大きな細孔がほとんど存在しないため、密度が高く、セリウムとジルコニウムとが原子レベルで均一となっているため、高いOSCが得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高いセリア-ジルコニア系複合酸化物を提供することができる。また、当該セリア-ジルコニア系複合酸化物を得ることが可能なセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例2のセリア-ジルコニア系複合酸化物のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。なお、本明細書において、セリア-ジルコニア系複合酸化物とは一般的なものであり、ハフニウムを含めた酸化物換算で10質量%以下の不純物金属化合物を含むものである。また、本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0029】
以下で示される各成分の含有量の最大値、最小値は、他の成分の含有量に関係なく、それぞれ独立して本発明の好ましい最小値、好ましい最大値である。
また、以下で示される各種パラメータ(測定値等)の最大値、最小値は、各成分の含有量(組成)に関係なく、それぞれ独立して本発明の好ましい最小値、最大値である。
【0030】
[セリア-ジルコニア系複合酸化物]
本実施形態に係るセリア-ジルコニア系複合酸化物は、
セリアとジルコニアとを含み、
前記セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記ジルコニアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、75質量%以上であり、
下記の(1)~(3)を満たす。
(1)O2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上1000μmol/g以下。
(2)比表面積が15m2/g以上80m2/g以下。
(3)タップ密度が1.75g/mL以上3.00g/mL以下。
【0031】
上述の通り、本実施形態に係るセリア-ジルコニア系複合酸化物は、セリアとジルコニアとを含む。前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、セリアとジルコニアとのみから構成されていてもよく、本発明の効果を奏する限り(本発明の効果を大きく阻害しない限り)、他の成分を含んでいても構わない。
【0032】
前記セリアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して(セリア-ジルコニア系複合酸化物全体を100質量%としたときに)、25質量%以上75質量%以下である。
前記セリアの含有量が25質量%以上であるため、高いOSCを得ることができる。
【0033】
前記セリアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
前記セリアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
前記セリアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、35質量%以上70質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0034】
前記ジルコニアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下である。
前記ジルコニアの含有量が25質量%以上75質量%以下であるため、高いOSCを得ることができる。
【0035】
前記ジルコニアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、27質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましい。
前記ジルコニアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、71質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。
前記ジルコニアの含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、27質量%以上71質量%以下が好ましく、35質量%以上65質量%以下がより好ましい。
【0036】
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、75質量%以上である。
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量が75質量%以上であるため、高いOSCを得ることができる。
【0037】
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特別に好ましい。
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、100質量%であってもよく、99質量%以下であってもよく、98.5質量%以下であってもよい。
前記セリアと前記ジルコニアとの合計含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、80質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上99質量%以下がより好ましく、85質量%以上99質量%以下がさらに好ましく、85質量%以上98.5質量%が特に好ましい。
【0038】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を一種以上含んでも構わない。
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を一種以上含むと、比表面積をより高くすることができる。
【0039】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の中でも、La、Nd、Pr、Y、Scの酸化物を含むことが好ましい。前記セリア-ジルコニア系複合酸化物がLa、Nd、Pr、Y、Scの酸化物を含むと、か焼の工程において結晶子の焼結を抑制できるため、特に比表面積の観点で優れる。
【0040】
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を含有させる場合、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の含有量は、前記セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、0.5質量%以上25質量%以下が好ましい。
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の含有量が0.5質量%以上であると、添加したことによる、比表面積向上効果が現れやすい。
【0041】
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を含有させる場合、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の含有量は、前記セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を含有させる場合、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の含有量は、前記セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましく、5質量%以下が特別に好ましい。
Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物を含有させる場合、Ce、Pm以外の希土類元素の酸化物の含有量は、前記セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0042】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、(A)In、Si、Sn、Bi、P、及び、Znからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物、(B)遷移金属酸化物(但し、希土類元素の酸化物及び貴金属元素の酸化物を除く)、並びに、(C)アルカリ土類金属酸化物、からなる群から選択される1種以上を含んでも構わない。これらの(A)~(C)の成分は、以下において「その他の酸化物」とも記載する。
【0043】
前記遷移金属酸化物としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ta及びWからなる群から選択される一種以上の酸化物が挙げられる。
【0044】
前記アルカリ土類金属酸化物としては、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される一種以上の酸化物が挙げられる。
【0045】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物が前記その他の酸化物を含む場合、前記その他の酸化物の含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、0.5質量%以上25質量%以下が好ましい。
【0046】
前記その他の酸化物の含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。
前記その他の酸化物の含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
前記その他の酸化物の含有量は、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0047】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、アルミナを含んでも構わないが、アルミナを含まないこととしてもよい。
【0048】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、O2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上1000μmol/g以下である。
O2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上であるため、酸素吸蔵放出能(OSC)が高いといえる。
【0049】
前記酸素吸蔵放出能は、好ましくは310μmol/g以上、より好ましくは340μmol/g以上である。
前記酸素吸蔵放出能は、高いほど好ましいが、例えば、700μmol/g以下、500μmol/g以下等である。
前記酸素吸蔵放出能は、好ましくは310μmol/g以上700μmol/g以下、より好ましくは340μmol/g以上500μmol/g以下である。
【0050】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、比表面積が15m2/g以上80m2/g以下である。
比表面積が15m2/g以上であるため、比表面積は高いといえる。
【0051】
前記比表面積は、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは25m2/g以上、さらに好ましくは30m2/g以上、最も好ましくは40m2/g以上である。
前記比表面積は、大きいほど好ましいが、例えば、75m2/g以下、70m2/g以下等である。
前記比表面積は、好ましくは20m2/g以上75m2/g以下、より好ましくは25m2/g以上70m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以上70m2/g以下、最も好ましくは40m2/g以上70m2/g以下である。
【0052】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、タップ密度が1.75g/mL以上3.00g/mL以下である。
タップ密度が1.75g/mL以上であるため、密度は高いといえる。
【0053】
前記タップ密度は、好ましくは1.8g/mL以上、より好ましくは1.85g/mL以上である。
前記タップ密度は、大きいほど好ましいが、例えば、2.8g/mL以下、2.6g/mL以下等である。
前記タップ密度は、好ましくは1.8g/mL以上2.8g/mL以下、より好ましくは1.85g/mL以上2.6g/mL以下である。
【0054】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、細孔容積(細孔径20nm以上500nm以下の細孔の全細孔容積)が、好ましくは0.1cm3/g以下、より好ましくは0.07cm3/g以下である。
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、細孔容積が0.1cm3/g以下であると、大きい細孔が少ないといえる。なお、細孔容積が0.1cm3/g以下である場合、大きい細孔少ないにも関わらず、比表面積が15m2/g以上と大きいため、径の小さい細孔が多数存在することとなる。
【0055】
前記細孔容積は、特に制限はないが、好ましくは0.01cm3/g以上、より好ましくは0.02cm3/g以上である。
前記細孔容積は、好ましくは0.01cm3/g以上0.1cm3/g以下、より好ましくは0.02cm3/g以上0.07cm3/g以下である。
【0056】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物は、粒子径D90が8μm以上80μm以下であることが好ましい。粒子径D90が80μm以下であると、粒子は比較的小さいといえる。粒子径D90が80μm以下であると、ハニカム上により密なセリア-ジルコニア系複合酸化物のコート層を形成できる。
【0057】
前記粒子径D90は、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
前記粒子径D90は、特に制限はないが、例えば、9μm以上、15μm以上等である。
前記粒子径D90は、より好ましくは9μm以上70μm以下、さらに好ましくは15μm以上60μm以下である。
【0058】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物の結晶相は、特に限定されないが、パイロクロア相を含まないことが好ましい。
【0059】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物の用途は、限定されないが、特に、排ガス浄化用触媒の触媒担体(排ガス浄化用触媒担体)の用途として好適である。
【0060】
前記セリア-ジルコニア系複合酸化物を排ガス浄化用触媒の触媒担体として使用する場合、担持する金属としては、特に限定されないが、Pt、Pd、Rh等が挙げられる。
【0061】
[セリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法]
以下、セリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明のセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法は、以下の例示に限定されない。
【0062】
本実施形態に係るセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法は、
セリウム及びジルコニウムを含む原料塩の水溶液を塩基で中和してセリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体を得る工程1と、
得られた前記前駆体に酸化剤を添加する工程2と、
前記工程2により得られた懸濁液を固液分離し、1.5MPa以上の加圧を行う工程3と、
前記工程3により得られた固形物に、含水率90質量%以上となるように水を混合する工程4と、
前記工程4により得られた混合物を熱処理する工程5と
を含む。
【0063】
以下、本実施形態に係るセリア-ジルコニア系複合酸化物の製造方法の各工程について説明する。
【0064】
セリウム及びジルコニウムを含む原料塩の水溶液を塩基で中和してセリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体を得る(工程1)。
【0065】
セリウムを含む原料塩としては、セリウムイオンを供給するものであればよく、例えば、硝酸セリウム、塩化セリウム、酢酸セリウム、これらの水和物等の少なくとも一種が例示される。これらの中でも、排水規制の観点から塩化物原料が好ましい。
【0066】
ジルコニウムを含む原料塩としては、ジルコニウムイオンを供給するものであればよく、例えば、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、これらの水和物等の少なくとも一種が例示される。これらの中でも、排水規制の観点から塩化物原料が好ましい。
【0067】
前記水溶液には、さらに、必要に応じて、Ce、Pm以外の希土類元素を含む原料塩を含んでもよい。
【0068】
Ce、Pm以外の希土類元素としては、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuが例示される。
【0069】
また、上記以外に、(A)In、Si、Sn、Bi、P、及び、Znからなる群から選択される少なくとも一種の元素、(B)遷移金属元素(但し、希土類元素及び貴金属元素を除く)、並びに、(C)アルカリ土類金属元素、からなる群から選択される1種以上を含有させてもよい。
【0070】
(A)In、Si、Sn、Bi、P、及び、Znからなる群から選択される少なくとも一種の元素、(B)遷移金属元素(但し、希土類元素及び貴金属元素を除く)、並びに、(C)アルカリ土類金属元素の原料としては、水溶性のものであれば特に限定されない。硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物等が例示される。これらの原料の純度は95%以上が好ましく、98%以上がなお好ましい。
【0071】
前記水溶液を調製するための溶媒としては、原料塩の種類等に応じて適宜選択すればよいが、通常は水(純水、イオン交換水等:以下同様)を用いることが望ましい。
【0072】
所定の割合としたこれらの原料塩を混合して水溶液を得る際、水溶液中の金属塩濃度は、酸化物換算で1質量%以上5質量%以下が好ましい。1質量%以上であると、濃度が反応に充分な濃度となる。5質量%以下であると、中和時の粘性上昇を抑制することができ、攪拌を充分に行うことができ、複合化しやすい。
【0073】
前記水溶液を中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリや、アンモニア水等が挙げられる。これらの中でも、不純物が少ない観点から、アンモニア水が好ましい。
【0074】
中和は、pHが好ましくは8以上11以下、より好ましくは9以上11以下の範囲内となるまで行う。これにより、好適に、セリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体(沈殿物)を得ることができる。
【0075】
次に、得られた前記前駆体に酸化剤を添加する(工程2)。
酸化剤の添加により、セリウムを4価のイオンとすることができる。セリウムを4価のイオンにすると、イオン半径が小さくなる。セリウムのイオン半径を小さくすることにより、焼成時の固溶拡散が起こりやすくなる。その結果、高いOSCが得られる。つまり、セリウムとジルコニウムとが原子レベルで均一となった固溶体とすることができるため、高いOSCが得られる。
【0076】
前記酸化剤としては、過塩素酸、過硫酸、過カルボン酸、これらの塩、過酸化水素等が挙げられる。これらの中でも、不純物が少ない観点、及び、塩化物イオンを酸化除去でき、自身も分解除去される観点から、過塩素酸が好ましい。
【0077】
前記酸化剤の添加量としては、セリウム(III)の酸化の観点から、多いほど好ましいが、例えば、セリアの重量に対して0.25倍量以上0.5倍量以下が好ましく、0.3倍量以上0.4倍量以下がより好ましい。
【0078】
次に、前記工程2により得られた懸濁液を固液分離し、1.5MPa以上の加圧を行う(工程3)。前記工程2により得られた懸濁液を固液分離し、1.5MPa以上の加圧を行う(工程3)ため、この工程3において粒子内の細孔は押しつぶされ、大きな細孔のほとんどが消滅する。これにより、凝集状態が蜜となる。
【0079】
固液分離の方法としては、特に限定されず、例えば、濾過、遠心分離、デカンテーション等が利用できる。
【0080】
固液分離して固形物を回収した後、必要に応じて、前記固形物を水洗し、付着している不純物を除去することが好ましい。
【0081】
前記加圧の方法としては、フィルタープレスが挙げられる。
前記加圧時の温度は、特に制限はないが、室温から50℃以下が望ましい。
【0082】
前記加圧時の圧力は、1.5MPa以上であれば特に限定されず、1.6MPa以上がより好ましく、1.7MPa以上がさらに好ましい。
前記加圧時の圧力は、高いほど好ましいが、例えば、2MPa以下、1.9MPa以下等である。
前記加圧時の圧力は、1.6MPa以上2.0MPa以下がより好ましく、1.7MPa以上1.9MPa以下がさらに好ましい。
【0083】
前記加圧時の時間は、60分以上が好ましく、120分以上がより好ましい。
前記加圧時の時間は、長いほど好ましいが、製造時間の短縮の観点から、240分以下が好ましく、180分以下がより好ましい。
前記加圧時の時間は、60分以上240分以下が好ましく、120分以上180分以下がより好ましい。
【0084】
次に、前記工程3により得られた固形物に、含水率90質量%以上となるように水を混合する(工程4)。
【0085】
前記固形物への水の混合方法としては、前記固形物が、水に均一に分散するように攪拌すればよい。
【0086】
前記含水率は、90質量%以上が好ましく、93質量%以上がより好ましい。
前記含水率は、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
前記含水率は、90質量%以上98質量%以下が好ましく、93質量%以上95質量%以下がより好ましい。
【0087】
次に、前記工程4により得られた混合物を熱処理する(工程5)。
含水率90質量%以上とした上で熱処理を行うと、熱処理による乾燥時に、微細な細孔が形成される。なお、上述の通り大きな細孔は存在しないため、得られるセリア-ジルコニア系複合酸化物は、大きな細孔が存在せず、微細な細孔のみが形成された状態となる。
【0088】
前記熱処理の温度は、500℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましい。
前記熱処理の温度は、1100℃以下が好ましく、1050℃以下がより好ましい。
前記熱処理の温度は、500℃以上1100℃以下が好ましく、600℃以上1050℃以下がより好ましい。
【0089】
前記熱処理の時間は、5時間以上が好ましく、7時間以上がより好ましい。
前記熱処理の時間は、15時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
前記熱処理の時間は、5時間以上15時間以下が好ましく、7時間以上10時間以下がより好ましい。
【0090】
前記熱処理の雰囲気は、特に限定されず、大気中、不活性ガス(例えば、窒素)中等とすればよい。
【0091】
前記熱処理は、例えば、アルミナサヤを用いて電気炉にて行うことができる。
【0092】
以上により、セリア-ジルコニア複合酸化物を得ることができる。
【0093】
さらに、必要に応じて、得られたセリア-ジルコニア複合酸化物を粉砕してもよい。前記粉砕は、セリア-ジルコニア複合酸化物が所望の粒径となるように行うことが好ましい。
前記粉砕は、特に限定されないが、遊星ミル、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミル等の一般の粉砕機で行うことができる。
前記粉砕は、湿式、乾式いずれでも構わないが、乾式が好ましい。
前記粉砕の時間は、特に限定されないが、例えば、2時間以上8時間以下である。
前記粉砕をするためのボールとしては、セリア-ジルコニア複合酸化物よりも硬ければ特に限定されず、例えば、ジルコニアボールを用いることができる。
前記ボールの径としては、直径が5μm以上20μm以下のものを用いればよい。
【0094】
以上の製造工程により得られるセリア-ジルコニア系複合酸化物は、微細な細孔が形成されているため、高い比表面積を有しており、大きな細孔がほとんど存在しないため、密度が高く、セリウムとジルコニウムとが原子レベルで均一となっているため、高いOSCが得られる。
【0095】
以上より、本実施形態に係る製造方法により得られるセリア-ジルコニア系複合酸化物は、密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高い。
【実施例】
【0096】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において得られたセリア-ジルコニア系複合酸化物中には、不可避不純物としてハフニウムがジルコニウムに対して酸化物換算で1~3質量%含まれる(下記式(X)にて算出)。
<式(X)>
([ハフニウムの質量]/([ジルコニウムの質量]+[ハフニウムの質量]))×100(%)
【0097】
以下の実施例で示される各成分の含有量の最大値、最小値は、他の成分の含有量に関係なく、本発明の好ましい最小値、好ましい最大値と考慮されるべきである。
また、以下の実施例で示される測定値の最大値、最小値は、各成分の含有量(組成)に関係なく、本発明の好ましい最小値、最大値であると考慮されるべきである。
【0098】
[セリア-ジルコニア系複合酸化物の作製]
(実施例1)
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で0.93kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で2.01kg)と、塩化プラセオジム(III)七水和物(和光純薬、酸化プラセオジム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
この混合溶液を25質量%アンモニウム水でpH9まで中和を行い、セリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体(沈殿物)を得た。
続いて、得られた前駆体のスラリーに60%過塩素酸(和光純薬、試薬特級、0.84kg)を添加した。
次に、得られた懸濁液を固液分離により回収し、洗浄を行った。得られた固形物をフィルタープレス装置を用いて1.5MPaで1時間加圧した。
加圧後の固形物に、含水率90質量%となるように水を混合した。
次に、アルミナサヤを用いて得られた混合物を電気炉で大気中700℃、5時間焼成することでセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
前記セリア-ジルコニア複合酸化物をボールミルで4時間粉砕し、実施例1に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
<ボールミルでの粉砕条件>
10Lナイロンポッド内にセリア-ジルコニア複合酸化物(全量)と、セリア-ジルコニア複合酸化物に対して1%のアルコール(エタノール)を添加し、15kgのボールを入れ、4時間、乾式ボールミルにて粉砕混合した。粉砕にはジルコニアボールφ10mmを用いた。
【0099】
(実施例2-4、20-24、26-28)
酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化プラセオジムの含有量、焼成温度、粉砕時間を表1-2の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2-4、20-24、26-28に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
【0100】
(実施例5)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸ランタン(III)六水和物(和光純薬、99.0%、酸化ランタン換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0101】
(実施例6)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸ネオジム(III)六水和物(和光純薬、99.5%、酸化ネオジム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0102】
(実施例7)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸イットリウム(III)n水和物(和光純薬、99.9%、酸化イットリウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0103】
(実施例8)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例8に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸ランタン(III)六水和物(和光純薬、99.0%、酸化ランタン換算で0.03kg)と、硝酸ネオジム(III)六水和物(和光純薬、99.5%、酸化ネオジム換算で0.03kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0104】
(実施例9)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例9に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.215kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.695kg)と、硝酸ランタン(III)六水和物(和光純薬、99.0%、酸化ランタン換算で0.03kg)と硝酸ネオジム(III)六水和物(和光純薬、99.5%、酸化ネオジム換算で0.03kg)と、硝酸イットリウム(III)n水和物(和光純薬、99.9%、酸化イットリウム換算で0.03kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0105】
(実施例10)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例10に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸スカンジウム(III)水和物(Sigma-Aldrich、99.9%、酸化スカンジウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0106】
(実施例11)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例11に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、炭酸マグネシウム(和光純薬、酸化マグネシウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0107】
(実施例12)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例12に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、炭酸カルシウム(和光純薬、試薬特級、酸化カルシウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0108】
(実施例13)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例13に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、炭酸ストロンチウム(和光純薬、95.0%、酸化ストロンチウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0109】
(実施例14)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例14に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、炭酸バリウム(和光純薬、99.0%、酸化バリウム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0110】
(実施例15)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例15に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、けい酸ナトリウム溶液(和光純薬、和光一級、二酸化ケイ素換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0111】
(実施例16)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例16に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、りん酸二水素アンモニウム(和光純薬、試薬特級、リン酸塩(PO4)換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0112】
(実施例17)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例17に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.275kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、塩化鉄(III)六水和物(和光純薬、試薬特級、酸化鉄(Fe2O3)換算で0.015kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0113】
(実施例18)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例18に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.23kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、塩化チタン(IV)(和光純薬、和光特級、酸化チタン換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0114】
(実施例19)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例19に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.26kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.71kg)と、硝酸ロジウム(III)溶液(和光純薬、ロジウム換算で0.03kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0115】
(実施例25)
焼成温度を表2に記載の通りに変更したこと以外は、実施例8と同様にして実施例25に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
【0116】
(実施例29)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例29に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で2.10kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で0.90kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0117】
(実施例30)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例30に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で0.90kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で2.10kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0118】
(実施例31)
混合溶液の調整を以下に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例31に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
<混合溶液の調整>
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(和光純薬、和光特級、酸化ジルコニウム換算で1.26kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.74kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
【0119】
(比較例1-2)
酸化ジルコニウム、酸化セリウムの含有量を表3の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1-2に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
【0120】
(比較例3)
焼成温度を表3の通りに変更したこと以外は、実施例2と同様にして、比較例3に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
【0121】
(比較例4)
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(酸化ジルコニウム換算で58g)をイオン交換水に溶解し、次に35%塩酸及びイオン交換水により酸濃度が0.67N、酸化ジルコニウム濃度が4w/v%(質量体積パーセント濃度)となるように調整した。得られた溶液をオートクレーブに入れて圧力を2×105Paとし、120℃まで昇温させて同温度で5%硫酸ナトリウム(硫酸塩化剤)1065gを添加し、更に15分間保持した。硫酸塩化後、室温になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。
塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム溶液(酸化セリウム(IV)換算で28g)、硝酸ネオジム溶液(酸化ネオジム換算で7g)、硝酸プラセオジム溶液(酸化プラセオジム換算で7g)を添加した。次に25%水酸化ナトリウム(中和用アルカリ)500gを60分間かけて添加した。この中和により、水酸化ジルコニウムを生成させた。
次に、水酸化ジルコニウム含有スラリーを濾過・水洗し、前駆体の加圧、含水率の調整を行わずに700℃で5時間焼成して酸化物を得た。酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例4に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
<ハンマーミルでの粉砕条件>
IKA製の連続式ミル、ハンマー式ヘッドを用いて8000rpmで粉砕した。このときスクリーン径はφ1mmとした。
【0122】
(比較例5)
オキシ硝酸ジルコニウム・二水和物(酸化ジルコニウム換算で72.9g)をイオン交換水に溶解し、酸化ジルコニウム濃度が10wt/v%(質量体積パーセント濃度)となるように調整し、ジルコニウム塩溶液を得た。得られた溶液をオートクレーブに入れて120℃まで昇温し1時間保持した後、5%硫酸ナトリウム(硫酸塩化剤)1021gを添加し、30分間保持した。その後、室温(25℃)になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム溶液(酸化セリウム(IV)換算で20.4g)、硝酸ネオジム溶液(酸化ネオジム換算で5.0g)、硝酸ランタン溶液(酸化ランタン換算で1.8g)を添加した。次に25%水酸化ナトリウム(中和用アルカリ)500gを60分間かけて添加し、水酸化物沈殿(水酸化ジルコニウム含有スラリー)を生成させた。得られた水酸化物沈澱をろ過し、十分水洗し、得られた水酸化物を105℃、24時間乾燥させた。乾燥させた水酸化物を大気中800℃で5時間熱処理(焼成)し、酸化物を得た。酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例5に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。ハンマーミルでの粉砕条件は、比較例4と同じとした。
【0123】
(比較例6)
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(酸化ジルコニウム換算で46g)をイオン交換水に溶解し、次に35%塩酸及びイオン交換水により酸濃度が0.67N、酸化ジルコニウム濃度が4w/v%(質量体積パーセント濃度)となるように調整した。得られた溶液をオートクレーブに入れて圧力を2×105Paとし、120℃まで昇温させて同温度で5%硫酸ナトリウム(硫酸塩化剤)1065gを添加し、更に15分間保持した。硫酸塩化後、室温になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。
塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム溶液(酸化セリウム(IV)換算で52g)、硝酸プラセオジム溶液(酸化プラセオジム換算で2g)を添加した。次に25%水酸化ナトリウム(中和用アルカリ)500gを60分間かけて添加した。この中和により、水酸化ジルコニウムを生成させた。
次に、水酸化ジルコニウム含有スラリーを濾過・水洗し、前駆体の加圧、含水率の調整を行わずに850℃で5時間焼成して酸化物を得た。酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例6に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。ハンマーミルでの粉砕条件は、比較例4と同じとした。
【0124】
(比較例7)
オキシ硝酸ジルコニウム・二水和物(酸化ジルコニウム換算で46g)をイオン交換水に溶解し、酸化ジルコニウム濃度が10wt/v%(質量体積パーセント濃度)となるように調整し、ジルコニウム塩溶液を得た。得られた溶液をオートクレーブに入れて120℃まで昇温し1時間保持した後、5%硫酸ナトリウム(硫酸塩化剤)1021gを添加し、30分間保持した。その後、室温(25℃)になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム溶液(酸化セリウム(IV)換算で52g)、硝酸プラセオジム溶液(酸化プラセオジム換算で2g)を添加した。次に25%水酸化ナトリウム(中和用アルカリ)500gを60分間かけて添加し、水酸化物沈殿(水酸化ジルコニウム含有スラリー)を生成させた。得られた水酸化物沈澱をろ過し、十分水洗し、得られた水酸化物を105℃、24時間乾燥させた。乾燥させた水酸化物を大気中850℃で5時間熱処理(焼成)し、酸化物を得た。酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例7に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。ハンマーミルでの粉砕条件は、比較例4と同じとした。
【0125】
(比較例8)
オキシ硝酸ジルコニウム(酸化ジルコニウム換算で46.0g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に分散し、硝酸塩水溶液を調製した。オートクレーブ中で、温度150℃の前記硝酸塩水溶液に硫酸塩化剤を添加し、塩基性硫酸ジルコニウム塩を生成させた。硝酸セリウム(III)六水和物(酸化セリウム(IV)換算で52.0g)、硝酸プラセオジム(III)六水和物(酸化プラセオジム換算で2.0g)と前記塩基性硫酸ジルコニウム塩を混合した。アルカリを用いて中和して、セリウム-ジルコニウム系複合水酸化物の沈殿物を得た。生成した沈殿物を固液分離後回収し、200℃で乾燥した後、電気炉において800℃で5時間焼成した。さらに、得られた酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例8に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。ハンマーミルでの粉砕条件は、比較例4と同じとした。
【0126】
(比較例9)
ジルコニウムの原料として高純度酸化ジルコニウム(純度99.9%)を、セリウムの原料として高純度酸化セリウム(純度99.9%)を用い、高純度酸化ジルコニウム(4.2kg)と高純度酸化セリウム(5.8kg)を分取・混合し、アーク式電気炉を用い、二次電圧85V、平均負荷電力99.5kW、通電時間1時間50分、総電力量182kWhを印加して、2200℃以上で熔融を行った。なお、初期の通電を促すためにコークス500gを使用した。
熔融終了後、電気炉に炭素蓋をして、大気中で24時間徐冷しインゴットを得た。得られたインゴットをジョークラッシャーおよびロールクラッシャーで3mm以下まで粉砕した後、篩で1mm以下の粉末を捕集した。
次に、熔融工程での亜酸化物や過冷却による結晶内の歪みを除去するために電気炉を用いて大気中、800℃で3時間焼成し、ボールミルで8時間粉砕し、粉末を得た。この粉末を比較例9に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。なお、本工程では中間体のスラリーの加圧工程、焼成前の含水率調整は行わない。
【0127】
(比較例10)
ボールミルで8時間粉砕する代わりに、ボールミルで4時間粉砕したこと以外は、比較例9と同様にして比較例10に係るセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
【0128】
(比較例11)
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(酸化ジルコニウム換算で0.93kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で2.01kg)と、塩化プラセオジム(III)七水和物(和光純薬、酸化プラセオジム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
この混合溶液に25質量%アンモニウム水でpH9まで中和を行い、セリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体(沈殿物)を得た。
続いて、得られた前駆体のスラリーに過塩素酸を添加せず、前駆体を固液分離により回収、洗浄を行った。得られた固形物を1.5MPaで加圧した。
加圧後の固形物に、含水率90質量%となるように水を混合した。
次に、得られた混合物をアルミナサヤを用いて電気炉で大気中700℃、5時間焼成することでセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
前記セリア-ジルコニア複合酸化物をボールミルで4時間粉砕し、比較例11に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
【0129】
(比較例12)
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(酸化ジルコニウム換算で1.38kg)と、塩化セリウム(III)七水和物(和光純薬、97%、酸化セリウム(IV)換算で1.56kg)と、塩化プラセオジム(III)七水和物(和光純薬、酸化プラセオジム換算で0.06kg)とを、イオン交換水に溶解し、酸化物換算で5質量%の混合溶液として調製した。
この混合溶液に25質量%アンモニウム水でpH9まで中和を行い、セリア-ジルコニア複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
続いて、得られた前駆体のスラリーに60%過塩素酸(和光純薬、試薬特級、0.84kg)を添加した。
次に、得られた懸濁液を固液分離により回収、洗浄を行った。得られた固形物を加圧せず、含水率の調整を行わずに、電気炉で大気中700℃、5時間焼成することでセリア-ジルコニア複合酸化物を得た。
前記セリア-ジルコニア複合酸化物をボールミルで4時間粉砕し、比較例12に係るセリア-ジルコニア複合酸化物とした。
【0130】
[比表面積の測定]
実施例、比較例のセリア-ジルコニア複合酸化物の比表面積を、比表面積計(「マックソーブ」マウンテック製)を用いてBET法にて測定した。結果を表1-3に示す。
【0131】
[タップ密度の測定]
タップ密度の測定装置として、株式会社セイシン企業製 TAPDENSER KYT-3000(セイシン企業製)を用いた。試料粉末(実施例、比較例に係るセリア-ジルコニア複合酸化物)100gをタッピングセルに充填し、スペーサーの高さを3cmに設定した。タッピングセルをタッピングテーブルにセットし、前記測定装置にて800回タッピングした。タッピング終了後、セルの目盛りを読み取り、[(粉末重量)/(体積)]を算出してタップ密度を得た。より詳細な測定条件は、以下の通りとした。結果を表1-3に示す。
<タップ密度の測定条件>
タッピングストローク:3cm
タッピングスピード:100回/50秒
【0132】
[酸素吸蔵放出能(OSC)の測定]
酸素吸蔵放出能は市販の測定装置(マイクロトラックベル株式会社製,「BELCAT II」)を使用し、O2パルス法を用いることにより求めた。具体的には、以下の(a)~(i)の過程を順に経て測定した。
(a)実施例、比較例のセリア-ジルコニア複合酸化物を0.2g秤量した。
(b)秤量した粉末を流通系反応装置にセットし、雰囲気内をHe気流中600℃まで昇温した後、1時間保持した。
(c)セリア-ジルコニア複合酸化物を600℃に調整した。
(d)一定濃度のH2/Ar混合ガス(濃度:5%、H2とArとの比率は、H2:Ar=5:95)を導入し、セリア-ジルコニア複合酸化物を還元した。
(e)雰囲気をHeで置換した。
(f)一定量(0.9mL)の酸素を雰囲気内に導入した。
(g)未吸着酸素量を熱伝導度検出器(TCD)にて確認した。
(h)上記(f)における一定量酸素の雰囲気内への導入と、(g)における未吸着酸素量の確認とを、導入酸素量と未吸着酸素量とが等しくなるまで繰り返した。
(i)吸着酸素量、すなわち、OSC量を計算により算出した。この算出は、あらかじめ決定しておいた導入酸素量から未吸着酸素量を差し引くことで行った。
結果を表1-3に示す。
【0133】
[粒子径D90の測定]
実施例、比較例のセリア-ジルコニア複合酸化物0.15gと40mlの0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液とを50mlビーカーに投入し、超音波洗浄器「VS-100 III」(ヴェルヴォクリーア社製)で5分間分散した後、装置(レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(「LA-950」堀場製作所社製))に投入し測定した。結果を表1-3に示す。
【0134】
[細孔容積の測定]
実施例、比較例のセリア-ジルコニア複合酸化物について、細孔分布測定装置(「オートポアIV9500」マイクロメリティクス製)を用い、水銀圧入法にて細孔分布を得た。測定条件は下記の通りとした。
<測定条件>
測定装置:細孔分布測定装置(マイクロメリティクス製オートポアIV9500)
測定範囲:0.018~10.0μm
測定点数:62点
水銀接触角:140degrees
水銀表面張力:480dyne/cm
【0135】
得られた細孔分布を用い、全細孔容積(20nm以上500nm以下の直径を有する細孔の細孔容積)を求めた。結果を表1-3に示す。
【0136】
[X線回折スペクトル]
実施例2のセリア-ジルコニア複合酸化物を、X線回折装置(「UltIma IV」リガク製)を用い、X線回折スペクトルを得た。測定条件は下記の通りとした。
<測定条件>
測定装置:X線回折装置(リガク製、UltIma IV)
線源:CuKα線源
管電圧:50kV
管電流:30mA
走査速度:2θ=20~65°:4°/分
【0137】
実施例2のセリア-ジルコニア複合酸化物のX線回折スペクトルを
図1に示す。
図1に示すように、実施例2のセリア-ジルコニア複合酸化物は、パイロクロア相を有さない。すなわち、
図1には、パイロクロア相に見られる、2θ=14.5°付近のピークが存在しない。なお、図示しないが、他の全ての実施例のセリア-ジルコニア複合酸化物も、パイロクロア相を有さないことを確認している。
【0138】
【0139】
【0140】
【要約】
【課題】 密度が高く、比表面積が高く、且つ、OSCが高いセリア-ジルコニア系複合酸化物を提供すること。
【解決手段】 セリアとジルコニアとを含み、セリアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、ジルコニアの含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、25質量%以上75質量%以下であり、セリアとジルコニアとの合計含有量が、セリア-ジルコニア系複合酸化物全体に対して、75質量%以上であり、下記の(1)~(3)を満たすセリア-ジルコニア系複合酸化物。(1)O
2パルス法により測定される600℃における酸素吸蔵放出能が290μmol/g以上1000μmol/g以下。(2)比表面積が15m
2/g以上80m
2/g以下。
(3)タップ密度が1.75g/mL以上3.00g/mL以下。
【選択図】
図1