(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】微細霧発生装置
(51)【国際特許分類】
B05B 3/10 20060101AFI20240925BHJP
B05B 7/08 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B05B3/10 B
B05B7/08
(21)【出願番号】P 2024071236
(22)【出願日】2024-04-25
【審査請求日】2024-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596124014
【氏名又は名称】高安 正勝
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】高安 正勝
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特許第7258413(JP,B1)
【文献】特開2011-102198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 3/10
B05B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の一端側に配設される第1の回転体と、
前記回転軸の他端側に接続し、前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記回転軸に沿って前記第1の回転体を基準として他端側に配設されるとともに前記第1の回転体を支持し、かつ前記回転駆動部によって回転駆動される第2の回転体と、を含み、
前記第1の回転体は、その周方向に亘っ
て均一な球面部を有してその内部に液体が供給される窪み部が形成され、
前記第2の回転体において前記回転軸の他端側には第1の平坦面が形成され、
前記第1の平坦面は、前記第2の回転体の周方向および径方向に亘って平坦状に形成され、
前記第1の平坦面には第1の磁性体が配設され、
前記第1の磁性体と極性が同一である第2の磁性体が、前記第2の回転体が前記回転駆動部によって回転駆動される際にその磁力が前記第1の磁性体に対して及ぶように前記第1の磁性体に対向して配設される、
微細霧発生装置。
【請求項2】
前記第1の回転体は、チタン素材から絞り加工によって成形される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項3】
前記第1の磁性体は、複数設けられており、
前記第1の磁性体のそれぞれは、前記第1の平坦面において前記回転軸からの径方向での離間距離
が同一となるように、その周方向に亘っ
て等間隔に配設される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項4】
前記第1の磁性体は、前記第1の平坦面において前記回転軸からの径方向での離間距離
が同一となるように、その周方向に亘って帯状に延設される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項5】
前記第1の磁性体は、前記第1の平坦面が着磁されることで設けられる、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項6】
前記第2の磁性体は、複数設けられており、
前記第2の磁性体のそれぞれは、前記第2の回転体の回転方向
で等間隔に配設される、
請求項3~請求項5のいずれか1つに記載の微細霧発生装置。
【請求項7】
前記第2の磁性体は、前記第2の回転体からの径方向での離間距離
が同一となるように、その周方向に亘って帯状に延設される、
請求項3~請求項5のいずれか1つに記載の微細霧発生装置。
【請求項8】
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の面の少なくとも一部と、前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の面の少なくとも一部と、が面接触して、前記第1の回転体は前記第2の回転体に支持される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項9】
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の面において、その径方向中心部に第2の平坦面が形成され、
前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の面において、その径方向中心部に第3の平坦面が形成され、
前記第2の平坦面および前記第3の平坦面は、面接触する、
請求項8に記載の微細霧発生装置。
【請求項10】
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の少なくとも径方向中心部と、前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の少なくとも径方向中心部と、が一体的に結合して設けられ、前記第1の回転体は前記第2の回転体に支持される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項11】
前記第1の回転体の他端側の面と、前記第2の回転体の一端側の面と、を連結する連結部をさらに含み、
前記連結部は、前記回転軸の軸方向に沿って延在し、
前記第1の回転体は、前記連結部を介して前記第2の回転体に支持される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項12】
前記連結部は、複数設けられ、
前記連結部のそれぞれは、前記回転軸の軸心に沿って延在するロッド状に形成される、
請求項11に記載の微細霧発生装置。
【請求項13】
前記第2の回転体が前記回転駆動部によって回転駆動されて前記第1の磁性体および前記第2の磁性体のそれぞれが最も近接するときに前記第1の磁性体の磁力面と前記第2の磁性体の磁力面と
が平行となるように、前記第1の磁性体および前記第2の磁性体は配置される、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項14】
前記第1の回転体の周縁の近傍で前記回転軸の軸心に沿ってその他端側から一端側に向けて熱風を送る送風部をさらに含み、
前記送風部の送風方向は前記回転軸の径方向外方に傾斜して設けられる、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項15】
前記窪み部は、その底部に平坦面を有し、
前記球面部は、円環状に形成されて、その内縁で前記平坦面の周縁に連結する、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項16】
前記第1の平坦面は、前記第2の回転体の軸方向内方に傾斜して形成される傾斜面である、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【請求項17】
前記液体が海水である、
請求項1に記載の微細霧発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、海水などの液体を微細な霧状にすることで自然塩などを生産することが可能な微細霧発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水などの液体を微細な霧状(微細霧)にする装置として、本発明の発明者は、高速で回転する回転円板の中央部に対し海水などの液体を供給し、その供給される液体が遠心力によって、回転円板の表面に沿って均一な膜厚を有して拡散するものを提案している(たとえば特許文献1参照)。また、この提案の装置では、回転円板の外周縁にストッパー壁が立設され、前述の拡散する液体がそのストッパー壁に衝突して、さらに飛散することで微細霧が発生する。その微細霧の発生により、水分が蒸発されることで自然塩が生産される。
【0003】
また、本発明の発明者は、回転円板の外周縁に配設されるストッパー壁の代わりに、回転円板の外周から所定の隙間空間を在して、跳ね返り壁を近接して配置するものも提案している(たとえば特許文献2参照)。この提案の装置では、回転円板と跳ね返り壁が分離して設けられるため、高速回転時に装置本体に曲げ応力またはせん断力などの発生が抑制される。その結果、この提案の装置では、装置自体の損傷を防止し、長寿命化を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-12390号公報
【文献】特開2008-132445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、前記特許文献1および前記特許文献2に記載の装置はいずれも、回転円板の中央部に液体を供給してそれを遠心力の作用を利用して、径方向外側に配置される障害壁(ストッパー壁または跳ね返り壁)に衝突させて、微細霧を発生させるものである。
【0006】
この種の装置では、微細霧の発生量および遠心力の強さには相関があるといえ、遠心力の作用を効果的に得るためには、供給液体を直接受ける回転円板(以下「受回転円板」ともいう。)を高速回転させることが必須である。具体的には、モータによって受回転円板を回転駆動させる際、受回転円板の軽量化を図るとともに、そのモータ軸および受回転円板の高速回転時の、歳差運動または軸ブレを防ぎ、受回転円板の支持の安定化を図る必要がある。また、微細霧の大容量化を図るためには、受回転円板を大型化または大径化を図ることも同時に求められる。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1および前記特許文献2の装置では、受回転円板のさらなる高速回転化、軽量化または大径化を図るのは構造上困難であった。その結果、液体の供給量の増加を実現することが難しく、微細霧発生の大容量化を図ることが困難であった。この点、前記特許文献1および前記特許文献2の装置は、改善の余地があったといえる。
【0008】
また、液体の単位時間当たりの供給量はマクロ的に視れば略均一と見なすことが可能であるが、ミクロ的に視れば微小に変動する。受回転円板の回転数が毎分5千回転から1万回転程度になると、微小といえどもその変動(アンバランス)によって、モータ軸(回転駆動軸)の揺れが発生する可能性がある。その場合、モータ軸を支持する軸受が損傷しついには破壊され、結果的にモータ自体が破損する可能性がある。モータが破損した場合、その交換および修理に時間を要し、微細霧の生産効率が下がる可能性がある。また、モータの破損に備えて予備のモータを複数貯蔵する必要があるなどコスト面で非効率である。
【0009】
さらに、この種の装置は液体が常時供給されて稼働されるものであるため、部品点数が少なく構造が簡素であることが好ましい。この場合、保守管理が容易になるとともに装置の耐久性を高め長寿命化が図ることが可能となる。
【0010】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造でありながら、液体が供給される回転体(第1の回転体)の軽量化、回転速度の高速化および円板形状の大径化を図って微細霧発生の大容量化を実現し、装置の耐久性および生産効率の両方を高めることができる微細霧発生装置を提供することにある。さらに、本発明の目的は、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも、第1の回転体および/または第2の回転体を回転させる回転軸を安定して支持し、回転駆動部の破損を防止することができる微細霧発生装置を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
[1]
回転軸と、
前記回転軸の一端側に配設される第1の回転体と、
前記回転軸の他端側に接続し、前記回転軸を回転駆動する回転駆動部と、
前記回転軸に沿って前記第1の回転体を基準として他端側に配設されるとともに前記第1の回転体を支持し、かつ前記回転駆動部によって回転駆動される第2の回転体と、を含み、
前記第1の回転体は、その周方向に亘って略均一な球面部を有してその内部に液体が供給される窪み部が形成され、
前記第2の回転体において前記回転軸の他端側には第1の平坦面が形成され、
前記第1の平坦面は、前記第2の回転体の周方向および径方向に亘って平坦状に形成され、
前記第1の平坦面には第1の磁性体が配設され、
前記第1の磁性体と極性が同一である第2の磁性体が、前記第2の回転体が前記回転駆動部によって回転駆動される際にその磁力が前記第1の磁性体に対して及ぶように前記第1の磁性体に対向して配設される、
微細霧発生装置。
[2]
前記第1の回転体は、チタン素材から絞り加工によって成形される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[3]
前記第1の磁性体は、複数設けられており、
前記第1の磁性体のそれぞれは、前記第1の平坦面において前記回転軸からの径方向での離間距離が略同一となるように、その周方向に亘って略等間隔に配設される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[4]
前記第1の磁性体は、前記第1の平坦面において前記回転軸からの径方向での離間距離が略同一となるように、その周方向に亘って帯状に延設される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[5]
前記第1の磁性体は、前記第1の平坦面が着磁されることで設けられる、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[6]
前記第2の磁性体は、複数設けられており、
前記第2の磁性体のそれぞれは、前記第2の回転体の回転方向で略等間隔に配設される、
[3]~[5]のいずれか1つに記載の微細霧発生装置。
[7]
前記第2の磁性体は、前記第2の回転体からの径方向での離間距離が略同一となるように、その周方向に亘って帯状に延設される、
[3]~[5]のいずれか1つに記載の微細霧発生装置。
[8]
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の面の少なくとも一部と、前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の面の少なくとも一部と、が面接触して、前記第1の回転体は前記第2の回転体に支持される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[9]
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の面において、その径方向中心部に第2の平坦面が形成され、
前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の面において、その径方向中心部に第3の平坦面が形成され、
前記第2の平坦面および前記第3の平坦面は、面接触する、
[8]に記載の微細霧発生装置。
[10]
前記第1の回転体の、前記回転軸の他端側の少なくとも径方向中心部と、前記第2の回転体の、前記回転軸の一端側の少なくとも径方向中心部と、が一体的に結合して設けられ、前記第1の回転体は前記第2の回転体に支持される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[11]
前記第1の回転体の他端側の面と、前記第2の回転体の一端側の面と、を連結する連結部をさらに含み、
前記連結部は、前記回転軸の軸方向に沿って延在し、
前記第1の回転体は、前記連結部を介して前記第2の回転体に支持される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[12]
前記連結部は、複数設けられ、
前記連結部のそれぞれは、前記回転軸の軸心に沿って延在するロッド状に形成される、
[11]に記載の微細霧発生装置。
[13]
前記第2の回転体が前記回転駆動部によって回転駆動されて前記第1の磁性体および前記第2の磁性体のそれぞれが最も近接するときに前記第1の磁性体の磁力面と前記第2の磁性体の磁力面とが略平行となるように、前記第1の磁性体および前記第2の磁性体は配置される、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[14]
前記第1の回転体の周縁の近傍で前記回転軸の軸心に沿ってその他端側から一端側に向けて熱風を送る送風部をさらに含み、
前記送風部の送風方向は前記回転軸の径方向外方に傾斜して設けられる、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[15]
前記窪み部は、その底部に平坦面を有し、
前記球面部は、円環状に形成されて、その内縁で前記平坦面の周縁に連結する、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[16]
前記第1の平坦面は、前記第2の回転体の軸方向内方に傾斜して形成される傾斜面である、
[1]に記載の微細霧発生装置。
[17]
前記液体が海水である、
[1]に記載の微細霧発生装置。
【0012】
前記[1]の構成のようにするとよい。
この場合、供給される液体を直接受ける第1の回転体が第2の回転体により支持される。さらに、第2の回転体の他端側の面は、その周方向および径方向に亘って平坦状に形成される第1の平坦面とされる。その第1の平坦面に第1の磁性体が配設されるとともに、所定の箇所にその第1の磁性体に対向して第2の磁性体が適宜配設される。その第1の磁性体および第2の磁性体の磁力により、結果的に第2の回転体によって第1の回転体が径方向でバランスよく支持される。
これにより、第1の回転体の軽量化を図るとともに、第1の回転体および第2の回転体が高速回転される場合でも第1の回転体および/または第2の回転体が接続する回転軸の軸ブレを抑制することができる。また、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも回転軸の軸ブレを効果的に抑制して、回転駆動部の機械部品(たとえば軸受など)の破損を防止することができる。さらに、回転軸の負荷を抑制することが可能となるため、第1の回転体の大径化を実現することができる。従って、微細霧発生の大容量化を実現し、その結果、装置の耐久性および生産効率性の両方を高めることができる。
前記[2]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体はチタン素材の絞り加工により成形されるためその厚さを薄く成形して、液体が供給される第1の回転体の軽量化を実現することができる。また、チタン素材を絞り加工で成形することにより、強度を高め、かつチタンの耐食性により長期間にわたって性能を維持することができ、複雑な形状の加工も実現することができる。
前記[3]の構成のようにするとよい。
この場合、第2の回転体に取り付ける第1の磁性体の総質量を抑制して第2の回転体の軽量化を図り、これにより、回転駆動部の負荷を低減して、第1の回転体および第2の回転体の回転速度の増加を実現することができる。
前記[4]の構成のようにするとよい。
この場合、第2の回転体に取り付ける第1の磁性体が周方向に亘って帯(テープ)状に配設されるため、第1の磁性体および第2の磁性体の間での磁力によって、第2の回転体は結果的に第1の回転体をより安定して支持することができる。
前記[5]の構成のようにするとよい。
第2の回転体の第1の平坦面を着磁することで第1の磁性体が設けられるため、別部材の磁石部材を取り付ける場合と比較して、第1の回転体の軽量化、および広範囲での磁性化を実現して、回転駆動部の負荷をより低減したり、第1の回転体をより安定して支持したりすることができる。
前記[6]の構成のようにするとよい。
この場合、装置コストの削減を図ることができる。
前記[7]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の磁性体に対向して配設される第2の磁性体が周方向に亘って帯(テープ)状配設されるため、第1の磁性体および第2の磁性体の間での磁力によって結果的に第1の回転体をより安定して支持することができる。
前記[8]の構成のようにするとよい。
この場合、第2の回転体は第1の回転体を面接触で支持するため、第1の回転体はより安定して支持され、第1の回転体の円板形状の大径化を図ったり回転軸の負荷を低減したりすることができる。
前記[9]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体および第2の回転体は平坦面同士で面接触するため、第2の回転体は第1の回転体をより一層安定して支持することができる。
前記[10]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体および第2の回転体は一体的に結合して設けられるため、第2の回転体は第1の回転体をより一層安定して支持することができる。
前記[11]の構成のようにするとよい。
第1の回転体は、連結部を介して第2の回転体によって支持されるため、第1の回転体が大径化した場合でも第2の回転体は第1の回転体をより安定して支持することができる。
前記[12]の構成のように、連結部がロッド状に形成されるとよい。
前記[13]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体および第2の回転体に対する、径方向での支持のバランスをよりよくして高速回転時の場合でも第2の回転体は第1の回転体を安定して支持することができる。
前記[14]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体に供給される液体が第1の回転体の周縁付近で微細霧化される。このとき、送風部によって送られる熱風によって液体に含まれる水分をより瞬間的に蒸発させる。このため、液体の水分を効率よく気化させて(蒸発させて)、たとえば液体が海水の場合、自然塩を効率よく生産することができる。
前記[15]の構成のようにするとよい。
この場合、第1の回転体の窪み部に供給される液体はまずは窪み部の平面部に接触し、その瞬間に第1の回転体の遠心力によって液体が径方向外方に薄膜の状態で拡がる。さらに、液体は、窪み部の球面部に沿って径方向外方に向かって上昇しながら移動し、このとき、力学的に抵抗を受けながら径方向外方に拡がることになる。これにより、液体が第1の回転体の外縁から離脱する際、液体をより微細な状態で径方向外方に向かって放射状に(全方位で)飛散させることができる。
前記[16]の構成のようにするとよい。
この場合、その傾斜面によって、第1の磁性体および第2の磁性体の磁力が作用する向きをより回転軸の軸心寄りに傾けて配置させる。そのため、第2の回転体は、高速回転時でも、第1の回転体をよりバランスよく安定して支持することができる。
前記[17]の構成のようにするとよい。
本発明に係る微細霧発生装置を使用して、海水を微細霧にした状態で全方位に飛散させて自然塩を製造する。この自然塩は海水の成分のうち水分だけが蒸発するものであるため、ミネラル分を豊富に含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構造でありながら、液体が供給される第1の回転体の軽量化、回転速度の高速化および円板形状の大径化を図って微細霧発生の大容量化を実現し、装置の耐久性および生産効率の両方を高めることができる微細霧発生装置を提供する。
【0014】
また、本発明によれば、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも、第1の回転体および/または第2の回転体を回転させる回転軸を安定して支持し、回転駆動部の破損を防止することができる微細霧発生装置を提供する。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細はさらに明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の微細霧発生装置の構造の一例を説明する正面断面図
【
図2】
図1に示す第1の磁石および第2の磁石の構造および取り付け位置の一例を説明する要部拡大図
【
図3】
図2に示す第1の磁石の取り付け位置の一例を説明する平面模式図
【
図4】
図2に示す第2の磁石の取り付け位置の一例を説明する平面模式図
【
図5】
図1に示す微細霧発生装置を使用して自然塩を生産する様子の一例を説明する正面断面図
【
図6】第1実施形態に係る第1の変形例の構造の一例を説明する正面断面図
【
図7】第1実施形態に係る第2の変形例の、第1の磁石に係る構造の一例を説明する平面模式図
【
図8】第1実施形態に係る第3の変形例の、第2の磁石に係る構造の一例を説明する平面模式図
【
図9】第1実施形態に係る第4の変形例の、第1の磁石および第2の磁石の構造および取り付け位置の一例を説明する要部拡大図
【
図10】本発明に係る第2実施形態の微細霧発生装置の構造の一例を説明する正面断面図
【
図11】第1の磁石および第2の磁石の構造および取り付け位置の他の一例を説明する要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係る微細霧発生装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。
【0018】
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、すでによく知られた事項の詳細説明または実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って視るものとする。
【0019】
また、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0020】
たとえば、以下の実施形態では、微細霧の対象となる液体として海水を採用する場合について説明するがこれに限定されない。種々の液体に対しても本発明を適用することが可能である。しかしながら、実施形態を海水に適用する場合には、ミネラル分豊富な良質な自然塩を生産することが可能となる。
【0021】
<用語の説明>
「を含む」および「を含有する」と同義である用語「を含む」または「により特徴づけられる」は、包括的または開放型な意味で解釈されるものであり、追加の、挙げられていない要素または方法のステップを排除しない。「を含む」は、請求項の言語で使用される技術用語であり、それは名を挙げられた請求項要素は必須であるが、他の請求項要素が追加されて請求項の範囲内で構成物をさらに形成してもよいことを意味する。
【0022】
また、本明細書において使用する、「からなる」という語句は、請求項で特定されていない、いかなる要素、ステップまたは成分も排除する。語句「からなる(またはその変形)」が、プリアンブルの直後ではなくむしろ、請求項の本体の節に現れる場合、それは、その節において示された要素のみを限定し、他の要素が当該請求項全体から排除されるのではない。本明細書において使用する語句「から本質的になる」は、請求項の範囲を、特定された要素または方法ステップに加えて、請求された対象事物の主成分および新規な特徴(単数または複数)に実質的に影響しないものに限定する。
【0023】
用語「を含む」、「からなる」および「から本質的になる」に関して、これら3つの用語の1つが本明細書において使用される場合、本発明で開示されたおよび請求された対象事物は、他の2つの用語のいずれかの使用も含むこともある。したがって、そうではないと明示的に挙げなかったいくつかの実施形態において、「を含む」の任意の場合が、「からなる」または「から本質的になる」によって置き換えられ得る。
【0024】
用語「工程」もしくは「ステップ」は、プロセスまたは方法の特徴に関連して、明示的に用いられ、または暗示的に用いられ得る。しかしながら、順番または手順について明記されない限り、このような明示的な工程もしくはステップの間、または暗示的な工程もしくはステップの間における、順番または手順は、限定されない。
【0025】
<本発明の技術的意義>
本発明の技術的意義について説明する。
【0026】
以下、本発明に係る複数の実施形態を詳細に説明するが、本発明によれば、簡易な構造でありながら、液体が供給される第1の回転体(後述参照)の軽量化、回転速度の高速化および円板形状の大径化を図って微細霧発生の大容量化を実現し、装置の耐久性および生産効率の両方を高めることができる微細霧発生装置を提供する。また、本発明によれば、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも、第1の回転体および/または第2の回転体(後述参照)を回転させる回転軸を安定して支持し、回転駆動部の破損を防止することができる。
【0027】
特に本発明によれば、液体が供給される第1の回転体の円板形状の大径化を図ることができ、たとえばその半径が2倍になればその面積は4倍になり、さらに第1の回転体の回転時において供給される液体(たとえば海水)の厚さは理論値として第1の回転体の周縁部では4分の1になる。
【0028】
ここで、一般的に第1の回転体の半径が伸長する場合、その半径の長さに比例して第1の回転体の径方向に交差する方向でバランスが崩れやすくなる。その影響はモーメント的に大きくなり、回転駆動部の機械部品、たとえば軸受に過度な力が作用して軸受の劣化が激しくなり故障に繋(つな)がる可能性がある。
【0029】
本発明では、第1の回転体を大径化する場合でもバランスの崩れを防止して、高速回転の際でも第1の回転体の回転の安定化を図ることが可能である。その結果、たとえば半径25cmの回転体を2000mmまで大径化すると、250mmのときに液体の微細霧発生効率(海水の場合には気化効率)が最適であるとすると、200cmにしたとき、64倍の液体が供給することが可能となり、すなわち生産効率が64倍となる。その結果、第1の回転体の大径化による、たとえば軸受に作用する力が吸入されることになり、生産効率が著しく向上する。
【0030】
また、本発明では、第1の回転体が第2の回転体によって支持される構造であるため、第1の回転体を大胆に薄くして軽量化することが可能であり、たとえばその材料をチタン素材にし、第1の回転体を絞り加工にて薄くかつ精度よく成形することが可能である。そのようにして成形される第1の回転体を使用することで回転速度を高めて微細霧発生効率(生産効率)を向上させることが可能となる。
【0031】
そのようにして、本発明に係る微細霧発生装置は生産効率を高めることを可能とするため、以下に説明する実施形態のように特別な構成を有する。
【0032】
<第1実施形態>
図1~
図9に基づいて、本発明に係る微細霧発生装置10の第1実施形態について説明する。
【0033】
[・本実施形態の装置全体概要について]
図1を参照しながら、微細霧発生装置10の全体概要の一例について説明する。
図1は、本実施形態の微細霧発生装置10の構造の一例を説明する正面断面図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の微細霧発生装置10は、回転軸11と、第1の回転体20と、第2の回転体30と、回転駆動部40と、複数の第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)と、複数の第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)と、筐体13と、送風部16と、給水口18(
図4参照)と、を含んで構成される。
【0035】
筐体13は、天壁部14と、その天壁部14の下側に配置される収納空間15と、を有して構成される。また、送風部16は送風路17を含んで構成され、第1の回転体20の周縁の近傍で回転軸11の軸心AC(後述参照)に沿って図中下方から上方(「その他端側から一端側」の一例)に向けて熱風を送る。また、その送風部16の送風方向は上方に行くに従って回転軸11の径方向外方に傾斜して設けられる。
【0036】
回転軸11は、鉛直方向に沿って延在して配置される。回転軸11は、一対の軸受12によって回転自在に支持される。一対の軸受12は、筐体13の内部に収納されるとともに回転軸11の軸方向で離間して配設される。回転軸11は、先端が筐体13の外方に露出しており、その露出した先端部(「一端側」の一例)に第1の回転体20および第2の回転体30が固設される。本実施形態では、第1の回転体20が第2の回転体30の上方に配置される。すなわち、第2の回転体30は、回転軸11に沿って第1の回転体20を基準として下方(「他端側」の一例)に配設される。回転軸11、および第1の回転体20、第2の回転体30はそれら軸心ACが互いに一致して配置される。回転軸11は、その基端部(「他端側」の一例)で回転駆動部40とタイミングベルト42(後述参照)を介して接続する。
【0037】
なお、本実施形態は、第1の回転体20および第2の回転体30の両方が回転軸11に直接固設される構造とされるが、これに限定されない。たとえば、第1の回転体20および第2の回転体30が機械的に結合して設けられており、第1の回転体20が第2の回転体30を通じて間接的に回転軸11に連結可能とする構造としてもよい。その場合、第1の回転体20は、第2の回転体30を介して回転駆動部40によって回転駆動されることになる。
【0038】
第1の回転体20は、水平方向に沿って延在しており、窪み部21を有して容器形状に形成される。前述のように第1の回転体20は、その軸心ACが回転軸11の軸心ACと一致して配置され固定されるとともに、回転軸11の一端側、つまり先端部に固設(「配設」の一例)される。また本実施形態では、第1の回転体20は、チタン素材の金属部材からなり、絞り加工によって成形される。その場合、第1の回転体20の肉厚を可能な限り薄くして、回転慣性(イナーシャ)を低減して高速回転化を図ることが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態では第1の回転体20の半径が150mm程度に設定されるが、これに限定されない。後述するように、本装置は第1の磁石51および第2の磁石52を含んで構成されるため、その大きさを半径1500mm程度など、さらに大きく設定することも可能である。また、第1の回転体20の素材についてはチタンの他に、ステンレスまたは銅などの金属素材が適宜採用されたり、その成形方法については絞り加工の他、プレス加工などによって成形されたりしてもよい。その素材またはその成形方法は特に限定されず種々のものを適宜採用することが可能であるが、第1の回転体20を薄く形成する場合にはチタン素材を用いて絞り加工によって成形するとより好適とされる。
【0040】
窪み部21は、円形の外周形状を有するとともに下方に深みを有して第1の回転体20の内周面をなす。それにより、窪み部21は、給水口18から供給される海水SW(液体の一例)の一次的な収容空間を画成する。
【0041】
具体的には、窪み部21は、円状底面部22(「平坦面」の一例)と、円環状球面部23(「球面部」の一例)と、を有する。窪み部21の円状底面部22はその外形が円状かつその表面が平坦状に形成されており、その周縁で窪み部21の円環状球面部23の内縁に連結する。窪み部21の円環状球面部23は、円環状に形成されており、その第1の回転体20の周方向に亘って略均一かつ漸近的な凹曲面を有して形成される。そして、第1の回転体20は、窪み部21の円状底面部22および円環状球面部23の中心軸と、回転軸11(後述参照)と、が一致するように配設される。
【0042】
第1の回転体20の外周面24についても窪み部21(内周面)に対応して(倣って)、円状かつ平坦状の円状底面部25、および環状の円環状球面部26が配設される。
【0043】
外周面24の円状底面部25も同様に、その外形が円状かつその表面が平坦状に形成されており、その周縁で外周面24の円環状球面部26の内縁に連結する。換言すれば、第1の回転体20の、回転軸11の他端側の面において、その径方向中心部に第2の平坦面25が形成されることになる。
【0044】
外周面24の円環状球面部26は、その第1の回転体20の周方向に亘って略均一かつ漸近的な凸曲面を有して形成される。つまり、第1の回転体20は全体的に視てその厚みが略同一なお椀形状に形成される。また、その厚みは前述のようにチタン素材の絞り加工により成形されるため薄く成形されることになる。
なお、窪み部21の円状底面部22、窪み部21の円環状球面部23、外周面24の円状底面部25、および外周面24の円環状球面部26の軸心ACは一致して配置される。
【0045】
また、この外周面24の円環状球面部26について、換言すると、第1の回転体20の外周面24の少なくとも一部分において、径方向外方に行くに従って窪み部21の開口方向に向かって傾斜する傾斜面が第1の回転体20の周方向に亘って略均一に形成された部分ともいえる。
【0046】
第2の回転体30は、水平方向に沿って延在しており、円板形状(コイン状または車輪状)に形成される。前述のように第2の回転体30は、その軸心ACが回転軸11の軸心ACと一致して配置して配設(固定)される。また、第2の回転体30は、その表裏が平坦状に形成される。そのため、第2の回転体30は、その表側(
図1中の上側の面)に第3の平坦面32を有して形成される。換言すれば、第2の回転体30の、回転軸11の一端側の面において、その径方向中心部に第3の平坦面32が形成されることになる。
【0047】
さらに、第2の回転体30は、その裏面(
図1中の下側の面、「他端側」の一例)に第1の平坦面31を有して形成される。それら第1の平坦面31および第3の平坦面32は、第2の回転体30(あるいは回転軸11)の周方向および径方向に亘って平坦状に形成される。
【0048】
そして、第2の回転体30は、その第3の平坦面32を介して第1の回転体20を支持する。具体的には、第1の回転体20の第2の平坦面25(「回転軸11の一端側の面の少なくとも一部」の一例)と、第2の回転体30の第3の平坦面32(「回転軸11の一端側の面の少なくとも一部」の一例)と、が面接触して、その面接触により、第1の回転体20は第2の回転体30に支持される。
なお、本実施形態では第2の回転体30は、製造コストの点でその大径が第1の回転体20に比較して小さく設定される。
【0049】
回転駆動部40は、たとえばモータを含んで構成され、第1の回転体20および第2の回転体30の鉛直下方に配置され、装置の筐体13の収納空間15に収納される。回転駆動部40の駆動軸41は、前述の回転軸11の軸心ACに対し径方向で離間するとともに平行に配置される。
【0050】
そして、前述の回転軸11には、その一対の軸受12の間にタイミングプーリ(不図示)が固設される。それに対応して、回転駆動部40の駆動軸41の先端部にも同様にタイミングプーリ(不図示)が固設される。タイミングベルト42が、それら一対のタイミングプーリを架け渡して配設される。回転駆動部40は、タイミングベルト42を介して回転軸11の他端部(「他端側」の一例、図中で下端部)に接続し、回転軸11を回転駆動する。その回転軸11の回転駆動により、第1の回転体20および第2の回転体30は回転駆動部40によって回転駆動されることになる。また、そのタイミングベルト42の存在、または前述の一対の軸受12の離間配置により、第1の回転体20および第2の回転体30の回転ブレに伴う、回転駆動部40またはその駆動軸41に対する負荷が低減される。
【0051】
複数(本実施形態では8個とされるが、これに限定されない。)の第1の磁石51のそれぞれは、第2の回転体30の裏面、つまり第2の回転体30の第1の平坦面31に貼設される。複数(本実施形態では8個とされるが、これに限定されない。)の第2の磁石52のそれぞれは、筐体13の天壁部14の表面に貼設される。
【0052】
なお、本実施形態では、第2の磁石52は筐体13の天壁に配設されるが、これに限定されない。たとえば、支持ロッド(たとえば後述参照)の先端に配設されてもよい。その場合、支持ロッドは金属製の棒状部材からなり、その第2の回転体30の回転方向に沿って、略等間隔に複数配置される。そして、支持ロッドのそれぞれにおいて、その基端部は筐体13の天壁部14に固設される。
【0053】
そのようにして構成される微細霧発生装置10において、第1の回転体20の窪み部21に供給される海水SWは、回転駆動部40によって高速に回転される第1の回転体20の表面に接触する。この接触により、海水SWは、その第1の回転体20で発生する遠心力の作用によって窪み部21の円状底面部22およびその円環状球面部23の表面に沿って、略水平方向に拡散する。この拡散の際、海水SWは、窪み部21の円状底面部22およびその円環状球面部23の表面に沿って薄膜状に形成される。この薄膜の状態で拡がることで海水SWは第1の回転体20の外周縁から離間する際、微細霧となって全方位に放射状に噴射される。そのとき、送風部16は第1の回転体20の周縁の近傍で上方に沿って熱風を送るため、そのように放射状に噴射される微細霧に対しその水分を瞬間的に蒸発させる。
【0054】
[・第1の磁石および第2の磁石の取り付け位置について]
図2~
図4を参照しながら、第1の磁石51および第2の磁石52の取り付け位置の一例について説明する。
図2は、
図1に示す第1の磁石51および第2の磁石52の構造および取り付け位置の一例を説明する要部拡大図である。
図3は、
図2に示す第1の磁石51の取り付け位置の一例を説明する平面模式図である。
図4は、
図2に示す第2の磁石52の取り付け位置の一例を説明する平面模式図である。
【0055】
図2~
図4に示すように、第1の磁石51および第2の磁石52は、所定の厚みを有する矩形(くけい)状に形成される永久磁石であり、互いに極性が同一になるように設けられる。たとえば、第1の磁石51がN極の場合には第2の磁石52はN極に設定され、その逆に第1の磁石51がS極の場合には第2の磁石52はS極に設定される。極性設定は、磁力的に互いに反発可能であれば任意とされる。
【0056】
第1の磁石51は、第2の回転体30の第1の平坦面31に複数配設される。複数の第1の磁石51のそれぞれが、第2の回転体30の第1の平坦面31において、第2の回転体30あるいは回転軸11の軸心ACからの径方向での離間距離が略同一かつその周方向に亘って略等間隔に配設される。
【0057】
第2の磁石52は、筐体13の天壁部14に複数配設される。複数の第2の磁石52のそれぞれも同様に、筐体13の天壁部14において、前述の複数の第1の磁石51に対応して回転軸11の軸心ACからの径方向での離間距離が略同一かつその周方向に亘って略等間隔に配設される。
【0058】
そして、
図2に示すように、第2の磁石52は、第2の回転体30が回転駆動部40によって回転駆動されて第1の磁石51に近接した際に、その磁力が第1の磁石51に対して及ぶように第1の磁石51のそれぞれに対向して配設される。
【0059】
具体的には第1の回転体20および第2の回転体30が回転駆動部40によって回転駆動されて第1の磁石51および第2の磁石52のそれぞれが最も近接するときに、第1の磁石51の磁力面と第2の磁石52の磁力面とが略平行となるように、第1の磁石51および第2の磁石52は配置される。
【0060】
[・微細霧発生装置の使用方法について]
図5を参照しながら、前述した微細霧発生装置10の使用方法について説明する。
図5は、
図1に示す微細霧発生装置10を使用して自然塩を生産する様子の一例を説明する正面断面図である。
【0061】
図5に示すように、第1の回転体20および第2の回転体30は回転駆動部40によって高速で回転される。その回転速度は、たとえば5000RPM~15000RPMの範囲で設定される。この高速回転の状態で、海水SW(液体の一例)が給水口18から第1の回転体20の中央に向かって供給される。その供給により、第1の回転体20の中央に供給される海水SWは、窪み部21の円状底面部22に接触する。この接触により、第1の回転体20の遠心力によって、まずは第1の回転体20の窪み部21の円状底面部22において、薄膜をなした海水SWが径方向外方に拡散する。
【0062】
さらに、海水SWは、窪み部21の円環状球面部23に沿って径方向外方に向かって上昇しながら拡散する。その上昇方向にはすべて正(鉛直方向上方)の傾斜があり力学的な抵抗となる。
【0063】
そのため、前述の遠心力とこの正の傾斜によって、海水SWはさらに径方向に拡散しながらさらに薄膜となり、最終的に海水SWは第1の回転体20から飛び出す瞬間に微細霧となって飛散する。第1の回転体20の高速回転によって発生した遠心力により、その飛散する海水SWの微細霧は全方位に放射されて遠方まで飛散する。そのとき、効率的、瞬間的に水分だけが蒸発してミネラル分が豊富な自然塩を製造することが可能である。さらにそのとき、送風部16がその周縁の近傍で傾斜して熱風を送風しているため、より瞬間的な水分の蒸発を促進して、より効率的な生産を実現することが可能となる。
【0064】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態の微細霧発生装置10によれば、回転軸11と、回転軸11の一端側に配設される第1の回転体20と、回転軸11の他端側に接続し、回転軸11を回転駆動する回転駆動部40と、回転軸11に沿って第1の回転体20を基準として他端側に配設されるとともに第1の回転体20を支持し、かつ回転駆動部40によって回転駆動される第2の回転体30と、を含む。第1の回転体20は、その周方向に亘って略均一な円環状球面部23(「球面部」の一例)を有してその内部に液体が供給される窪み部21が形成される。第2の回転体30において回転軸11の他端側には第1の平坦面31が形成される。第1の平坦面31は、第2の回転体30の周方向および径方向に亘って平坦状に形成される。第1の平坦面31には第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)が配設される。第1の磁石51と極性が同一である第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)が、第2の回転体30が回転駆動部40によって回転駆動される際にその磁力が第1の磁石51に対して及ぶように第1の磁石51に対向して配設される。
【0065】
このため、供給される海水SW(「液体」の一例)を直接受ける第1の回転体20が第2の回転体30により支持される。さらに、第2の回転体30の他端側の面は、その周方向および径方向に亘って平坦状に形成される第1の平坦面31とされる。その第1の平坦面31に第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)が配設されるとともに、筐体13の天壁部14(「所定の箇所」の一例)にその第1の磁石51に対向して第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)が適宜配設される。その第1の磁石51および第2の磁石52の磁力により、結果的に第2の回転体30によって第1の回転体20が径方向でバランスよく支持される。
【0066】
これにより、第1の回転体20の軽量化を図るとともに、第1の回転体20および第2の回転体30が高速回転される場合でも第1の回転体20および/または第2の回転体30が接続する回転軸11の軸ブレを抑制することができる。また、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも回転軸11の軸ブレを効果的に抑制して、回転駆動部40の機械部品(たとえば軸受12など)の破損を防止することができる。さらに、回転軸11の負荷を抑制することが可能となるため、第1の回転体20の大径化を実現することができる。従って、微細霧発生の大容量化を実現し、その結果、装置の耐久性および生産効率性の両方を高めることができる。
【0067】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第1の回転体20は、チタン素材から絞り加工によって成形される。
【0068】
このため、第1の回転体20はチタン素材の絞り加工により成形されるためその厚さを薄く成形して、液体が供給される第1の回転体20の軽量化を実現することができる。また、チタン素材を絞り加工で成形することにより、強度を高め、かつチタンの耐食性により長期間にわたって性能を維持することができ、前述のような複雑な形状の加工も実現することができる。
【0069】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)は、複数設けられる。第1の磁石51のそれぞれは、第1の平坦面31において回転軸11からの径方向での離間距離が略同一となるように、その周方向に亘って略等間隔に配設される。
【0070】
このため、第2の回転体30に取り付ける第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)の総質量を抑制して第2の回転体30の軽量化を図り、これにより、回転駆動部40の負荷を低減して、第1の回転体20および第2の回転体30の回転速度の増加を実現することができる。
【0071】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)は、複数設けられる。第2の磁石52のそれぞれは、第2の回転体30の回転方向で略等間隔に配設される。
【0072】
この場合、装置コストの削減を図ることができる。
【0073】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第1の回転体20の、回転軸11の他端側の面の少なくとも一部と、第2の回転体30の、回転軸11の一端側の面の少なくとも一部と、が面接触して、第1の回転体20は第2の回転体30に支持される。
【0074】
このため、第2の回転体30は第1の回転体20を面接触で支持するため、第1の回転体20はより安定して支持され、第1の回転体20の円板形状の大径化を図ったり回転軸11の負荷を低減したりすることができる。
【0075】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第1の回転体20の、回転軸11の他端側の面において、その径方向中心部に第2の平坦面25が形成される。第2の回転体30の、回転軸11の一端側の面において、その径方向中心部に第3の平坦面32が形成される。第2の平坦面25および第3の平坦面32は、面接触する。
【0076】
このため、第1の回転体20および第2の回転体30は平坦面同士で面接触するため、第2の回転体30は第1の回転体20をより一層安定して支持することができる。
【0077】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第2の回転体30が回転駆動部40によって回転駆動されて第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)および第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)のそれぞれが最も近接するときに第1の磁石51の磁力面と第2の磁石52の磁力面とが略平行となるように、第1の磁石51および第2の磁石52は配置される。
【0078】
このため、第1の回転体20および第2の回転体30に対する、径方向での支持のバランスをよりよくして高速回転時の場合でも第2の回転体30は第1の回転体20を安定して支持することができる。
【0079】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、第1の回転体20の周縁の近傍で回転軸11の軸心ACに沿ってその他端側から一端側に向けて熱風を送る送風部16をさらに含む。送風部16の送風方向は回転軸11の径方向外方に傾斜して設けられる。
【0080】
このため、第1の回転体20に供給される海水SW(「液体」の一例)が第1の回転体20の周縁付近で微細霧化される。このとき、送風部16によって送られる熱風によって海水SWに含まれる水分をより瞬間的に蒸発させる。このため、海水SWの水分を効率よく気化させて(蒸発させて)、自然塩を効率よく生産することができる。
【0081】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、窪み部21は、その底部に円状底面部22(「平坦面」の一例)を有する。円環状球面部23(「球面部」の一例)は、円環状に形成されて、その内縁で平坦面の周縁に連結する。
【0082】
このため、第1の回転体20の窪み部21に供給される海水SW(「液体」の一例)はまずは窪み部21の円状底面部22(「平坦面」の一例)に接触し、その瞬間に第1の回転体20の遠心力によって海水SWが径方向外方に薄膜の状態で拡がる。さらに、海水SWは、窪み部21の円環状球面部23(「球面部」の一例)に沿って径方向外方に向かって上昇しながら移動し、このとき、力学的に抵抗を受けながら径方向外方に拡がることになる。これにより、海水SWが第1の回転体20の外縁から離脱する際、海水SWをより微細な状態で径方向外方に向かって放射状に(全方位で)飛散させることができる。
【0083】
また、本実施形態の微細霧発生装置10によれば、海水SWを微細霧にした状態で全方位に飛散させて自然塩を製造する。この自然塩は海水SWの成分のうち水分だけが蒸発するものであるため、ミネラル分を豊富に含む。
【0084】
[・本実施形態に係る第1の変形例について]
図6に基づいて、前述した本実施形態に係る第1の変形例について説明する。
【0085】
図6を参照しながら、本変形例の構造の一例を説明する。
図6は、本変形例の構造の一例を説明する正面断面図である。
【0086】
図6に示すように、本変形例では、第1の回転体20の、回転軸11の他端側の少なくとも径方向中心部と、第2の回転体30の、回転軸11の一端側の少なくとも径方向中心部と、が一体的に結合して設けられる。その結合状態により、第1の回転体20は第2の回転体30に支持される。
【0087】
本変形例の場合、第1の回転体20および第2の回転体30は一体的に結合して設けられるため、第2の回転体30は第1の回転体20をより一層安定して支持することができる。
その他の構成およびその作用効果は前述の第1実施形態と同様である。
【0088】
[・本実施形態に係る第2の変形例について]
図7に基づいて、前述した本実施形態に係る第2の変形例について説明する。
【0089】
図7を参照しながら、本変形例の、第1の磁石51に係る構造の一例を説明する。
図7は、本変形例の、第1の磁石51に係る構造の一例を説明する平面模式図である。
【0090】
図7に示すように、第2の回転体30の第1の平坦面31に配設される、第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)は、第1の平坦面31において回転軸11からの径方向での離間距離が略同一となりかつ第2の磁石52に対向して配置されるように、その周方向に亘って帯状(無端テープ状)に延設される。
【0091】
本変形例の場合、第2の回転体30に取り付ける第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)が周方向に亘って帯状(無端テープ状)に配設されるため、第1の磁石51および第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)の間での磁力によって、第2の回転体30は結果的に第1の回転体20をより安定して支持することができる。
その他の構成およびその作用効果は前述の第1実施形態、あるいはその第1の変形例と同様である。
【0092】
[・本実施形態に係る第3の変形例について]
図8に基づいて、前述した本実施形態に係る第3の変形例について説明する。
【0093】
図8を参照しながら、本変形例の、第2の磁石52に係る構造の一例を説明する。
図8は、本変形例の、第2の磁石52に係る構造の一例を説明する平面模式図である。
【0094】
図8に示すように、筐体13の天壁部14に取り付けられる第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)は、第2の回転体30からの径方向での離間距離が略同一となりかつ第1の磁石51に対して対向して配置されるように、その周方向に亘って帯状(無端テープ状)に延設される。
【0095】
本変形例の場合、装置コストの削減を図ることができる。
その他の構成およびその作用効果は前述の第1実施形態、あるいはその第1の変形例または第2の変形例と同様である。
【0096】
[・本実施形態に係る第4の変形例について]
図9に基づいて、前述した本実施形態に係る第3の変形例について説明する。
【0097】
図9を参照しながら、本変形例の、第1の磁石51および第2の磁石52の構造および取り付け位置の一例を説明する。
図9は、本変形例の、第1の磁石51および第2の磁石52の構造および取り付け位置の一例を説明する要部拡大図である。
【0098】
図9に示すように、第2の回転体30の裏面(回転軸11の他端側)においてその周縁部に傾斜平坦面31(「傾斜面」の一例)が形成されており、本変形例では当該傾斜平坦面31が第1の平坦面31とされる。その傾斜平坦面31である第1の平坦面31は、第2の回転体30の軸方向内方に傾斜して形成される。第1の磁石51が本変形例の第1の平坦面31において、第2の回転体30あるいは回転軸11の軸心ACからの径方向での離間距離が略同一かつその周方向に亘って略等間隔に複数配設される。
【0099】
そして、第2の磁石52が複数設けられ、そのそれぞれは支持ロッド60の先端のそれぞれに貼設される。
【0100】
支持ロッド60は、金属製の棒状部材であり、その第2の回転体30の回転方向に沿って、略等間隔に複数(本実施形態では8本)配置される。そして、支持ロッド60のそれぞれにおいて、その基端部は筐体13の天壁部14に固設され、その先端に傾斜平坦面61が形成される。傾斜平坦面61は、その平面に対する垂直方向が本変形例の第1の平坦面31に向くように、換言すれば、傾斜平坦面61が本変形例の第1の平坦面31に対向して略平行配置するように形成される。
【0101】
すなわち本変形例の場合、本変形例の第1の平坦面31は、第2の回転体30の軸方向内方に傾斜して形成される傾斜面とされる。
【0102】
このため、その傾斜面によって、第1の磁石51(「第1の磁性体」の一例)および第2の磁石52(「第2の磁性体」の一例)の磁力が作用する向きをより回転軸11の軸心AC寄りに傾けて配置させる。そのため、第2の回転体30は、高速回転時でも、第1の回転体20をよりバランスよく安定して支持することができる。
その他の構成およびその作用効果は前述の第1実施形態、あるいはその第1の変形例~第3の変形例のいずれか1つと同様である。
【0103】
<第2実施形態>
図10に基づいて、本発明に係る微細霧発生装置70の第2実施形態について説明する。
なお、前述の第1実施形態と同一または同等部分については、図面に同一あるいは同等符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0104】
[・本実施形態の装置全体概要について]
図10に示すように、本実施形態の微細霧発生装置70では、第1の回転体20および第2の回転体30が回転軸11の軸方向で離間して配置される。すなわち、第1の回転体20の第2の平坦面25(外周面24の円状底面部25)および第2の回転体30の第3の平坦面32が面接触せずにその軸方向で離間する。
【0105】
回転軸11は第2の回転体30に貫通して固設されるとともに、その先端面は第1の回転体20の第2の平坦面25の中央部に当接する。また、本実施形態では、第1の回転体20の第2の平坦面25(外周面24の円状底面部25)および第2の回転体30の第3の平坦面32が回転軸11の軸方向で離間してその間に間隙を在して配置されるが、これに限定されない。種々の実施の態様に応じて、前述の第1実施形態と同様に係合して配置されてもよく実施の形態に応じて任意とされる。
【0106】
そして、本実施形態では、本実施形態の微細霧発生装置70は、第1の回転体20の第2の平坦面25または円環状球面部26(「他端側の面」の一例)と、第2の回転体30の第3の平坦面32(「一端側の面」の一例)と、を連結する複数の連結部71をさらに含んで構成される。
【0107】
連結部71は、複数設けられており、連結部71のそれぞれは回転軸11の軸方向に沿って延在する。具体的には、複数の連結部71のそれぞれは、回転軸11の軸心ACに沿って延在するロッド状に形成され、第2の回転体30の第3の平坦面32の周縁部においてその軸心ACからの径方向での離間距離が略同一かつその周方向に亘って略等間隔に立設される。
【0108】
なお、本実施形態では、複数の連結部71のそれぞれにおいてその先端部は第1の回転体20の第2の平坦面25に固設され、その基端部は第2の回転体30の第3の平坦面32に固設されるが、これに限定されない。その基端部は固設される一方、その先端部は第1の回転体20の第2の平坦面25に係合可能に構成されてもよい。あるいは、その先端部が固設される一方、その基端部は第2の回転体30の第3の平坦面32に係合可能に構成されてもよい。連結部71を介して第1の回転体20が第2の回転体30に支持可能な構造であれば、種々の実施の態様によってその連結状態は任意とされる。
その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。
【0109】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態の微細霧発生装置70によれば、第1の回転体20の他端側の面と、第2の回転体30の一端側の面と、を連結する連結部71をさらに含む。連結部71は、回転軸11の軸方向に沿って延在する。第1の回転体20は、連結部71を介して第2の回転体30に支持される。
【0110】
このため、第1の回転体20は、連結部71を介して第2の回転体30によって支持されるため、第1の回転体20が大径化した場合でも第2の回転体30は第1の回転体20をより安定して支持することができる。
【0111】
また、本実施形態の微細霧発生装置70によれば、連結部71は、複数設けられる。連結部71のそれぞれは、回転軸11の軸心ACに沿って延在するロッド状に形成される。
【0112】
このため、第1の回転体20および第2の回転体30に対する、径方向での支持のバランスをよりよくして高速回転時の場合でも第2の回転体30は第1の回転体20を安定して支持することができる。
その他の作用効果は前述の第1実施形態と同様である。
【0113】
<さいごに>
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良などが可能である。
【0114】
前述の複数の実施形態では、第1の磁性体および第2の磁性体が永久磁石として設けられるが、これに限定されない。磁性を有すればよく、たとえば所定の金属体の一部分が着磁されて設けてもよい。たとえば、第1の磁性体が、第1の平坦面31が着磁されることで設けられてもよい。その場合、第2の回転体30の第1の平坦面31を着磁することで第1の磁性体が設けられるため、別部材の磁石部材を取り付ける場合と比較して、第1の回転体20の軽量化、および広範囲での磁性化を実現して、回転駆動部40の負荷をより低減したり、第1の回転体20をより安定して支持したりすることができる。
【0115】
また、
図11に示すように、第2の回転体30の第1の平坦面31に複数の嵌合溝33が周方向に亘って間欠的かつ略等間隔に形成されてもよい。複数の嵌合溝33に複数の第1の磁石51のそれぞれがその一部で嵌合する。すなわち、複数の第1の磁石51のそれぞれは、その厚さ方向の一部で嵌合および埋設された状態で第2の回転体30に固定される。
【0116】
この場合、第2の回転体30が高速回転する場合、第1の磁石51に強力な遠心力が作用するが、前述のようにその一部が嵌合溝33のそれぞれに対し埋設された状態で嵌合される。そのため、複数の第1の磁石51のそれぞれは、第2の回転体30に強固に固定されるため、強い遠心力が作用しても外れることはない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、簡易な構造でありながら、液体が供給される回転体(第1の回転体20)の軽量化、回転速度の高速化および円板形状の大径化を図って微細霧発生の大容量化を実現し、装置の耐久性および生産効率の両方を高めることができる微細霧発生装置10,70として有用である。さらに、本発明は、液体の供給量が経時的にマクロ的またはミクロ的に変動する場合でも、第1の回転体20および/または第2の回転体30を回転させる回転軸11を安定して支持し、回転駆動部40の破損を防止することができる微細霧発生装置10,70としても有用である。
【符号の説明】
【0118】
10 :微細霧発生装置
11 :回転軸
12 :軸受
13 :筐体
14 :天壁部
15 :収納空間
16 :送風部
17 :送風路
18 :給水口
20 :第1の回転体
21 :窪み部
22 :円状底面部
23 :円環状球面部
24 :外周面
25 :第2の平坦面(円状底面部)
26 :円環状球面部
30 :第2の回転体
31 :第1の平坦面
32 :第3の平坦面
33 :嵌合溝
40 :回転駆動部
41 :駆動軸
42 :タイミングベルト
51 :第1の磁石
52 :第2の磁石
60 :支持ロッド
61 :傾斜平坦面
70 :微細霧発生装置
71 :連結部
AC :軸心
SW :海水
【要約】
【課題】簡易な構造でありながら、液体が供給される回転体(第1の回転体)の軽量化、回転速度の高速化および円板形状の大径化を図って微細霧発生の大容量化を実現し、装置の耐久性および生産効率の両方を高めることができる微細霧発生装置を提供する。
【解決手段】本開示の微細霧発生装置10の第1の回転体20は、第2の回転体30によって支持される。第2の回転体30において回転軸11の他端側には第1の平坦面31が形成される。第1の平坦面31は、第2の回転体30の周方向および径方向に亘って平坦状に形成される。第1の平坦面31には第1の磁石51が配設される。第1の磁石51と極性が同一である第2の磁石52が、第2の回転体30が回転駆動部40によって回転駆動される際にその磁力が第1の磁石51に対して及ぶように第1の磁石51に対向して配設される。
【選択図】
図1