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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子レンジ用蒸し器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240925BHJP
   A47J 27/04 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A47J27/00 107
A47J27/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024106845
(22)【出願日】2024-07-02
【審査請求日】2024-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504021138
【氏名又は名称】坂本 洋二
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 洋二
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233306(JP,A)
【文献】特開平11-128068(JP,A)
【文献】特開2003-165582(JP,A)
【文献】特開2005-350120(JP,A)
【文献】特開平11-267013(JP,A)
【文献】中国実用新案第200998138(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 27/04
F24C 7/02
H05B 6/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤形状であって、食品の載置面となる底面と、
前記底面を囲む内側面と、
を備え、
前記底面に、複数の突起が配置され、
複数の前記突起は、放射状の螺旋軌跡に沿って配置される、
電子レンジ用蒸し器。
【請求項2】
請求項1に記載の、電子レンジ用蒸し器であって、
前記内側面には、複数の前記突起に接続される螺旋溝が形成される、
電子レンジ用蒸し器。
【請求項3】
請求項2に記載の、電子レンジ用蒸し器であって、
前記内側面と前記底面との成す角は鈍角であって、前記内側面と前記底面の接続箇所は曲面である、
電子レンジ用蒸し器。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の、電子レンジ用蒸し器であって、
前記内側面近傍の前記突起の直径は、放射中心近傍の前記突起の直径よりも大きい、
電子レンジ用蒸し器。
【請求項5】
請求項1に記載の、電子レンジ用蒸し器であって、
前記底面の、前記内側面近傍に、高さの異なる複数の計量用突起が配置される、
電子レンジ用蒸し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、電子レンジ用蒸し器が開示される。
【0002】
特許文献1-16では、電子レンジを用いて食品を蒸し調理する蒸し器が開示されている。
【0003】
特許文献15、16では、食品を載置する容器底面に、突起が設けられる。突起によって、容器底面から食品を浮かせることで、例えば食品から出る肉汁や油等の流動物が、食品に付着することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-183078号公報
【文献】実開昭59-151517号公報
【文献】実開昭59-181069号公報
【文献】特開2012-75586号公報
【文献】特開2007-44459号公報
【文献】特開2002-336123号公報
【文献】実開平7-027417号公報
【文献】特開昭63-273731号公報
【文献】実開昭63-153008号公報
【文献】実開昭56-157503号公報
【文献】実開昭56-54598号公報
【文献】実開平2-51831号公報
【文献】実開昭55-91405号公報
【文献】実開昭49-143237号公報
【文献】特開2000-166762号公報
【文献】登録実用新案第3160143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子レンジ用蒸し器は一般的に耐熱性食器であるため、食器洗浄乾燥器を用いた洗浄が可能である場合が多い。そこで本明細書では、食器洗浄乾燥器での洗浄に適した、電子レンジ用蒸し器が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、電子レンジ用蒸し器が開示される。この蒸し器は、底面及び内側面を備える。底面は円盤形状であって、食品の載置面となる。内側面は、底面を囲む。底面に、複数の突起が配置される。複数の突起は、放射状の螺旋軌跡に沿って配置される。
【0007】
上記構成によれば、食器洗浄乾燥器の水流は、螺旋軌跡に沿って配列された突起に沿って、電子レンジ用蒸し器の底面を流れる。突起配列が底面中心に向かう水流のガイドとなることで、底面に溜まった食品の残渣が洗い流される。
【0008】
また上記構成において、内側面には、複数の突起に接続される螺旋溝が形成されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、内側面から螺旋流を形成することが可能となり、水流の勢いを強めることが出来る。
【0010】
また上記構成において、内側面と底面との成す角は鈍角であってよい。さらに、内側面と底面の接続箇所は曲面であってよい。
【0011】
上記構成によれば、内側面から底面に流れ込む水流の勢いの低減を抑制可能となる。
【0012】
また上記構成において、内側面近傍の突起の直径は、放射中心近傍の突起の直径よりも大きくてよい。
【0013】
螺旋軌跡に沿って突起を配列することで、放射中心から離れるほど、隣り合う螺旋列間の距離が広がる。放射中心から離隔した突起の直径を、放射中心の突起よりも大きくすることで、突起間の距離(隙間)の拡張が抑制される。
【0014】
また上記構成において、底面の、内側面近傍に、高さの異なる複数の計量用突起が配置されてよい。
【0015】
上記構成によれば、蒸し器に注入する水分量が正確に計量できる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書で開示される電子レンジ用蒸し器によれば、食器洗浄乾燥器での洗浄に適した、電子レンジ用蒸し器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る電子レンジ用蒸し器の、容器を例示する斜視図である。
図2】本実施形態に係る電子レンジ用蒸し器の、蓋を例示する斜視図である。
図3】容器及び蓋の断面を例示する図である。
図4】容器の平面図を例示する図である。
図5】容器の拡大斜視図である。
図6】蓋に容器を装着させたときの例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図3を参照して、本実施形態に係る電子レンジ用蒸し器10は、容器20(図1参照)及び蓋50(図2参照)を備える。なお図2では、下から内面(天面58)を視るアングルで、蓋50が描画されている。図3には、図2のB-B断面が例示される。なお図3には、容器20のA-A断面(図1参照)も示される。なお図3では、内側面28及び底面24に形成された突条32や突起40の図示が省略される。
【0019】
容器20及び蓋50は、電子レンジから放射されるマイクロ波を透過する性質を備える材料から構成される。また容器20及び蓋50は、電子レンジによる加熱に耐え得る耐熱性材料から構成される。例えば容器20及び蓋50の耐熱温度は、140°以上であってよい。また後述されるように、容器20との着脱時に蓋50には弾性が要求される。例えば容器20及び蓋50は、ポリプロピレン又はシリコンから構成される。または、容器20は、耐熱ガラスから構成される。
【0020】
容器20は、上方が開口されたボウル形状の食器である。容器20は、底壁23及び側壁22を備える。底壁23は円盤形状である。側壁22は底壁23を取り囲む。言い換えると、内側面28は底面24を取り囲む。図3に例示されるように、側壁22と底壁23の成す角が鈍角となるように、側壁22及び底壁23が形成される。つまり容器20は深さ方向に沿って、底面24に向かうほど直径が小さくなる。
【0021】
側壁22の上端部22Aは、その下方部分と比較して、外側に開く構造となっている。この、傾斜角度の切り替わり点に、把手26が設けられる。把手26は容器20の径方向外側に延伸する。例えば対向配置される一対の把手26,26が、容器20に形成される。後述される図6に例示されるように、側壁22の上端部22Aと把手26の間に、蓋50の爪55が進入される。言い換えると、爪55が上端部22Aと係合する。
【0022】
図2図3図6を参照して、蓋50は容器20に被せられる。蓋50は、上壁52及び側壁54を備える。上壁52は円盤形状である。側壁54は上壁52を取り囲む。側壁54と上壁52との接続箇所は曲面となっている。
【0023】
図3を参照して、側壁54には把手56が設けられる。把手56は蓋50の径方向外側に延伸する。例えば把手56は側壁54の下端に設けられる。また把手56の数は、容器20の把手26の数と異なっていてよい。例えば蓋50には、3個の把手56が等間隔に配置される。
【0024】
さらに把手56と対向するようにして、側壁54の内周面から爪55が設けられる。爪55は径方向内側に突出する。爪55と把手56の周方向長さは、例えば同一でよい。
【0025】
図3を参照して、側壁54の内径R1は、容器20の側壁22の上端部22Aの外径R3よりも大きい。加えて、上端部22Aの外径R3は、爪55の内径R2よりも大きい。つまり内径R1、内径R2、外径R3は、R1>R3>R2との関係を有する。
【0026】
つまり図6を参照して、容器20に蓋50を装着させる際には、爪55が上端部22Aを乗り越える。すなわち、爪55が上端部22Aと把手26の間に嵌まり込む。言い換えると、爪55が上端部22Aに係合する。この嵌まり込み構造(係合構造)によって、蒸し調理時に電子レンジ用蒸し器10の内圧が上昇しても、容器20から蓋50が外れることが抑制される。
【0027】
また、蓋50の把手56と、容器20の把手26の数が異なり、また配置間隔も異なることから、把手26と把手56が重なる部分と、互いにずれる部分が生じる。この、ずれ部分から把手56を引き上げることで、蓋50を容器20から容易に開ける(外す)ことが出来る。
【0028】
また、蓋50の天面58には蒸気孔60が穿孔される。蒸気孔60は上壁52を貫通する。例えば天面58の中心に、蒸気孔60が穿孔される。
【0029】
図1図4図5を参照して、容器20の底面24は、円盤形状であって、食品の載置面となる。底面24には、複数の突起40が配置される。図5を参照して、突起40は例えば上端が半球形状である。半球形状とすることで、突起40は食品の底面と点接触する。つまり、例えば突起40の上端を円盤形状とする場合と比較して、突起40と食品の底面との接触面積が小さくなる。その結果、食品の底面の広い領域に亘って、蒸気を当てることが出来る。
【0030】
図1図4を参照して、突起40は、底面24の中心から、放射状の螺旋軌跡に沿って配列される。つまりこの軌跡は、(1)放射状である(2)螺旋状に延伸するという2つの条件に沿って描かれる。底面24の中心には、中心突起40Aが配置される。中心突起40Aから、複数本の螺旋列が、突起40によって形成される。螺旋列は例えば、10°間隔で配列される。この場合、螺旋列は36本形成される。
【0031】
例えば螺旋軌跡は、いわゆるアルキメデスの螺旋に沿って描かれる。つまり極座標表示によりr=aθと表される式に基づいて、螺旋軌跡が定められる。ここで、rは動径、aは任意の定数、θは偏角を示す。例えば偏角θの取り得る値は、0°から180°までであってよい。つまりそれぞれの螺旋軌跡は半周程度であってよい。
【0032】
突起40を螺旋配列にすることで、底面24には、螺旋状の流路が形成される。食器洗浄乾燥器の水流は、この螺旋状の流路に沿って、中心突起40Aに向かって流れる。この流れが、底面24に付着した食品の残渣を洗い流す。
【0033】
螺旋列は中心から離れるほど、隣り合う列間の距離が広がる。ここで、突起40,40間の離隔距離を均等とするために、突起40の直径が異なっていてもよい。例えば、内側面28近傍の(つまり末端側の)突起40の直径は、放射中心近傍の突起40の直径よりも大きい。例えば図4を参照して、中心突起40Aよりも末端突起40Bの方が直径は大きい。例えば、放射中心にある中心突起40Aから末端突起40Bに至るまで、突起40の直径が漸次大きくなっていてよい。例えば突起40の直径は、2.0mm以上4.0mm以下である。
【0034】
また、螺旋軌跡が放射中心に近づくと、隣り合う突起40、40間の距離が狭くなる。そこで、例えば二つの螺旋軌跡が合体して一つの大きな突起に置き換えられてもよい。例えば中心突起40Aから数えて3段目、5段目の突起40は、相対的に大径となる。
【0035】
蒸し調理に当たって、容器20に注がれる水量を基準に、突起40の高さが定められる。図5を参照して、例えば突起40の高さH1は、例えば5mm以下である。また隣り合う突起40,40間の距離D1は、例えば2.8mm以下である。
【0036】
末端突起40Bよりも径方向外側には、螺旋溝34が形成される。つまり螺旋溝34の中心端部は、底面24に形成される。螺旋溝34は底面24から内側面28に至るまで延伸される。螺旋溝34は、複数の突条32によって形成される。突条32は突起40の螺旋軌跡に接続される。言い換えると、突起40による溝は螺旋溝34に接続される。つまり突起40及び突条32によって、一本の螺旋軌跡が形成される。
【0037】
食器洗浄乾燥器の水流は、螺旋溝34にガイドされながら、内側面28から底面24に流れ込む。そして突起40による螺旋軌跡に沿って水流は中心突起40Aまで流れる。図3を参照して、内側面28と底面24との成す角は、鈍角となるように定められる。また、内側面28と底面24の接続箇所は曲面である。このような形状とすることで、内側面28から底面24に、スムーズに水流が流れ込む。
【0038】
突条32の高さH2は、突起40の高さと等しくてよい。また螺旋溝34の溝幅D2は、突起40,40間の距離D1と等しくてよい。
【0039】
また、底面24において、複数の螺旋溝34を交差するようにして、円環状の連絡溝36が形成される。例えば突条32が途中で切り欠かれて、それにより連絡溝36が形成される。連絡溝36は、隣り合う螺旋溝34,34間の水の偏りを緩和させる。
【0040】
また図5を参照して、底面24の連絡溝36には、計量用突起48A,48B,48Cが配置される。計量用突起48A,48B,48Cは、内側面28の近傍に配置される。計量用突起48A,48B,48Cの視認性の向上を図る目的で、例えば連絡溝36の、計量用突起48A,48B,48Cが配置される箇所の溝幅が拡張されてもよい。計量用突起48A,48B,48Cは、円柱であってよい。すなわち計量用突起48A,48B,48Cの上端面は、底面24に平行な円盤であってよい。
【0041】
計量用突起48A,48B,48Cは、それぞれ、異なる高さH3,H4,H5を有する。ここで、H3>H4>H5である。例えば蒸し調理用に容器20に水を注いだ時に、水面が計量用突起48Cの上端と等しいときには注水量は5ccとなる。水面が計量用突起48Bの上端と等しいときには注水量は10ccとなる。水面が計量用突起48Aの上端と等しいときには注水量は15ccとなる。
【0042】
容器20が水平面上に載置されているか否かを判定するために、計量用突起48A,48B,48Cは底面24の複数個所に設けられる。例えば図4を参照して、3グループの計量用突起48A,48B,48Cが120°間隔で底面24に配置される。
【符号の説明】
【0043】
10 電子レンジ用蒸し器、20 容器、22 容器の側壁、23 容器の底壁、24 底面、28 内側面、32 突条、34 螺旋溝、36 連絡溝、40 突起、40A 中心突起、40B 末端突起、48A,48B,48C 計量用突起、50 蓋。
【要約】
【課題】食器洗浄乾燥器での洗浄に適した、電子レンジ用蒸し器を提供する。
【解決手段】電子レンジ用蒸し器10は、底面24及び内側面28を備える。底面24は円盤形状であって、食品の載置面となる。内側面28は、底面24を囲む。底面24に、複数の突起40が配置される。複数の突起40は、放射状の螺旋軌跡に沿って配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6