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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240926BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240926BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240926BHJP
   G01S 1/68 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H04M11/00 302
H04W4/029
H04W64/00 110
G01S1/68
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020159269
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052810
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】松村 愛梨
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0356393(US,A1)
【文献】特開2018-063641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
H04W 4/029
H04W 64/00
G01S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末を管理対象とする管理システムであって、
前記複数の携帯端末の1つを紛失端末として捜索する場合に他の携帯端末の少なくとも一部が複数の受信端末となり、
前記携帯端末に組み付けられて当該携帯端末と異なる電源を有するビーコン発信機と、
記複数の受信端末によって前記紛失端末の前記ビーコン発信機から受信されたビーコン及びその電波強度と当該受信端末の位置とに基づいて生成されたビーコン情報を前記複数の受信端末からそれぞれ取得するサーバを有する受信装置と、
を備え、
前記サーバは、取得した前記ビーコン情報に基づいて前記紛失端末の位置に関する情報を報知する報知部を備え
前記紛失端末の捜索時には、前記複数の受信端末に組み付けられる前記ビーコン発信機によるビーコンの発信が停止されることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記報知部は、前記サーバが有する表示部として構成されることを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記ビーコン発信機から発信されるビーコンには、当該ビーコン発信機の電源となる電池の電池残量に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を管理対象とする管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
業務用として使用される携帯端末は、複数人で共有される場合が多いことから雑に扱われやすいために、紛失や不正な持ち出しといった問題がある。このような問題を解決するため、例えば、下記特許文献1に開示される無線タグシステムが知られている。この無線タグシステムでは、無線端末は、ICカードに対して定期的にアクセスし、ICカードからの応答が無い場合にカウントした回数が判定値を超えると、登録してある宛先に送信位置情報を送信するように構成されている。これにより、無線端末とICカードとが離れた状態が一定時間継続すると、無線端末の位置情報となる送信位置情報が登録してある宛先に送信されるので、無線端末及びICカードの紛失を防止しつつ、紛失した無線端末の場所を特定可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-178300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように無線端末から定期的にICカードにアクセスする構成では、長時間の使用等によって無線端末が電力不足状態になったために、上記送信位置情報を送信できない状態になると、紛失した無線端末の場所を特定できないという問題がある。特に、上記無線端末は、定期的にICカードにアクセスする必要があるため、本来の業務とは無関係に電力が消費されやすくなることから、上記電力不足状態になりやすくなるだけでなく、本来の業務に使用できる使用時間にも影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、携帯端末の電力状態にかかわらずその携帯端末の位置を把握可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数の携帯端末(10)を管理対象とする管理システム(1,1a,1b)であって、
前記複数の携帯端末の1つを紛失端末として捜索する場合に他の携帯端末の少なくとも一部が複数の受信端末となり、
前記携帯端末に組み付けられて当該携帯端末と異なる電源を有するビーコン発信機(50)と、
記複数の受信端末によって前記紛失端末の前記ビーコン発信機から受信されたビーコン及びその電波強度と当該受信端末の位置とに基づいて生成されたビーコン情報を前記複数の受信端末からそれぞれ取得するサーバを有する受信装置(10b,60)と、
を備え、
前記サーバは、取得した前記ビーコン情報に基づいて前記紛失端末の位置に関する情報を報知する報知部(63,24,26)を備え
前記紛失端末の捜索時には、前記複数の受信端末に組み付けられる前記ビーコン発信機によるビーコンの発信が停止されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、複数の携帯端末の1つを紛失端末として捜索する場合に他の携帯端末の少なくとも一部が複数の受信端末となり、携帯端末に組み付けられて当該携帯端末と異なる電源を有するビーコン発信機と複数の受信端末と複数の受信端末によって紛失端末のビーコン発信機から受信されたビーコン及びその電波強度と当該受信端末の位置とに基づいて生成されたビーコン情報を複数の受信端末からそれぞれ取得するサーバとを有する受信装置とが設けられ、サーバには、取得したビーコン情報に基づいて紛失端末の位置に関する情報を報知する報知部が設けられる。
【0008】
これにより、携帯端末の紛失等の問題が生じた場合であっても、報知部の報知によって携帯端末の位置を把握でき、しかもビーコンを利用することで屋内であっても通信範囲を容易に広げることができるので、上記問題を迅速に解消することができる。特に、携帯端末に組み付けられるビーコン発信機は、携帯端末と異なる電源を有するので、携帯端末が上述のような電力不足状態であっても、その携帯端末の位置を把握することができる。したがって、携帯端末の電力状態にかかわらずその携帯端末の位置を把握可能な管理システムを実現することができる。
【0009】
請求項2の発明では、受信装置には、複数の受信端末と、これら複数の受信端末によってビーコン発信機からそれぞれ受信されたビーコンに関する情報を取得するサーバと、が設けられ、報知部は、サーバが有する表示部として構成される。このように複数の受信端末を利用することで、携帯端末の位置を把握可能な範囲を容易に広げることができる。
【0014】
請求項の発明では、ビーコン発信機から発信されるビーコンには、当該ビーコン発信機の電源となる電池の電池残量に関する情報が含まれる。これにより、ビーコンを受信した受信装置では、そのビーコンを発信したビーコン発信機の電池残量を容易に把握できるので、電池残量が所定値よりも低くなるとビーコン発信機の電池交換を促すことができる。このため、電力不足に起因してビーコンが発信しないために携帯端末の位置を把握できない状態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る管理システムを概略的に説明する説明図である。
図2図1の携帯端末の斜視図である。
図3図1の携帯端末の背面図である。
図4図4(A)は、携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、図4(B)は、電波送受信部の電気的構成を例示するブロック図であり、図4(C)は、情報コード読取部の電気的構成を例示するブロック図である。
図5】サーバの電気的構成を例示するブロック図である。
図6】第2実施形態に係る管理システムを概略的に説明する説明図である。
図7】第2実施形態において受信端末にて行われる捜索処理の流れを例示するフローチャートである。
図8】第3実施形態に係る管理システムを概略的に説明する説明図である。
図9】第3実施形態において受信端末にて行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る管理システムを具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す管理システム1は、複数の携帯端末10を管理対象とするシステムであり、各携帯端末10からそれぞれ所定の情報を受信したサーバ60によって各携帯端末10が管理されるように構成されている。特に、本実施形態では、各携帯端末10にビーコン発信機50がそれぞれ組み付けられており、ビーコン発信機50が発信するビーコンを利用して当該ビーコン発信機50が組み付けられる携帯端末10の位置を把握するように構成されている。
【0017】
管理システム1によって管理される携帯端末10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で所定の情報を読み取る携帯型の情報処理端末として構成されている。この携帯端末10は、アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線タグTに記憶されている情報を読み書きする無線タグリーダライタとしての機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードCを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0018】
図2及び図3に示すように、携帯端末10の外郭を構成する筐体11は、略薄板状に形成されており、その表面11aには、狭額縁化(狭ベゼル化)されるように大型化された表示画面24aが配置されている。
【0019】
図3に示すように、筐体11の背面11bの長手方向一端側には、情報コードCからの反射光を筐体11内に取り込むための読取口12が設けられている。また、背面11bの中央には、ビーコン発信機50が接着剤等を用いて組み付けられている。このビーコン発信機50の詳細構成については後述する。
【0020】
次に、携帯端末10の電気的構成について、図4(A)~(C)を参照して説明する。
筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、情報コードCを光学的に読み取る読取処理を実行するためのプログラムや無線タグTを非接触通信にて読み取る読取処理を実行するためのプログラムに加えて、後述するビーコン情報送信処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0021】
また、図4(A)に示すように、制御部21には、操作部23、タッチパネル式の表示部24、カメラとして機能する撮像部25、バイブレータ26、ブザー27、通信部28などが接続されている。操作部23は、タッチパネルに対するタッチ操作やサイドキーなどの操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、表示部24、撮像部25、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。通信部28は、サーバ60などの外部機器との間での無線通信又は有線通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部29が設けられており、この電源部29やバッテリ29aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0022】
また、携帯端末10は、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する電波送受信部30及び情報コード読取部40を備えている。
電波送受信部30は、アンテナ34及び制御部21と協働して無線タグに対して所定のコマンドを伴う電磁波による通信を行ない、無線タグに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。また、電波送受信部30は、制御部21により制御されて、受信したビーコンに応じた信号を制御部21に出力するように構成されている。この電波送受信部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図4(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
【0023】
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、図4(C)に示すように、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41、結像レンズ42、CCDエリアセンサからなる受光センサ43などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付されたバーコードや二次元コード等の情報コードCを光学的に読み取るように機能する。具体的には、照明部41から照射された照明光Lfが情報コードCに照射されることで、情報コードCからの反射光Lrが読取口12及び結像レンズ42を通って受光センサ43にて受光されると、受光センサ43から情報コードCの像に応じた受光信号が出力される。この受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに記録される情報を解読するためのデコード処理に用いられる。
【0024】
このように構成される携帯端末10は、制御部21にて実行されるビーコン情報送信処理により、電波送受信部30を利用して受信したビーコンの電波強度等に基づいて、そのビーコンIDのビーコン発信機50までの距離を通信距離として計測し、この計測された通信距離及びビーコンIDと当該携帯端末10の位置に関する情報等とを、ビーコン情報として通信部28を介してサーバ60に送信するように機能する。
【0025】
次に、携帯端末10の背面11bに組み付けられるビーコン発信機50の構成について説明する。
ビーコン発信機50は、BLE(Bluetooth Low Energy)通信規格に準拠するビーコン(固有のビーコンIDが付与されたビーコン信号)を発信可能であって、図略のビーコン発信用のスイッチをON状態に操作することで、ビーコンを定期的に発信するように構成されている。本実施形態では、通常、ビーコン発信用のスイッチが充電時等を除いてON状態に操作されることで、ビーコンが定期的に発信される状態が継続している。
【0026】
特に、ビーコン発信機50は、携帯端末10と異なる電源として交換可能な電池を有するように構成されており、携帯端末10が電池切れなどの電力不足状態になった場合でも、ビーコンを定期的に発信できるようになっている。
【0027】
次に、サーバ60について、図5を用いて説明する。
サーバ60は、各携帯端末10にて読み取られた情報や各携帯端末10の状態等を管理するコンピュータとして構成されており、社内LAN等の所定のネットワークNを介して各携帯端末10と通信可能に構成されている。このサーバ60は、図5に示すように、サーバ60全体を統括的に制御する制御部61、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部62、液晶モニタ等によって構成される表示部63、マウスやキーボード等によって構成される操作部64、LANインタフェース等として構成される通信部65などを備えている。
【0028】
このように構成されるサーバ60では、通信部65を介して各携帯端末10から受信した情報が記憶部62にてデータベース化される。特に、本実施形態におけるサーバ60では、制御部61にてなされる捜索処理によって、複数の携帯端末10がビーコン発信機50からそれぞれ受信したビーコン情報を通信部65を介して取得することで、1つの携帯端末10を捜索するための処理がなされる。
【0029】
次に、上述のように構成される管理システム1において、複数の携帯端末10の中から1つの携帯端末10(以下、紛失端末10aともいう)が紛失したために、この紛失端末10aを捜索する際に、各携帯端末10及びサーバ60にてなされる処理について、説明する。
【0030】
本実施形態では、紛失端末10aを捜索する場合には、図1に示すように、他の携帯端末10の少なくとも一部を受信端末10bとして、それぞれ上記所定のネットワークNを介してサーバ60に接続するとともに、充電状態で互いに一定間隔離れるように配置する。例えば、各受信端末10bを、一定間隔で配置された充電及び通信用のクレードルに載置するようにしてもよい。このように各受信端末10bを配置する際、各受信端末10bの背面11bにそれぞれ組み付けられたビーコン発信機50のスイッチをOFF状態に操作することで、ビーコンの発信が停止される。これにより、各受信端末10bでは、紛失端末10aから発信されるビーコンを受信しやすくなる。
【0031】
そして、各受信端末10bにて、操作部23に対する所定の操作に応じて制御部21にてビーコン情報送信処理が実行されることで、電波送受信部30を利用して受信したビーコンやその電波強度等に基づいて生成されたビーコン情報(ビーコンID、そのビーコンIDのビーコン発信機50までの通信距離、受信端末10bの位置に関する情報等)が、通信部28を介してサーバ60に送信される状態になる。
【0032】
サーバ60では、制御部61にてなされる捜索処理により、通信部65を介して各受信端末10bから上記ビーコン情報が受信されると、このように受信されたビーコン情報から捜索対象のビーコンIDに関するビーコン情報を抽出するための処理がなされる。この抽出に成功すると、抽出されたビーコン情報に基づいて、捜索対象のビーコンIDに対応するビーコン発信機50の位置情報、すなわち、紛失端末10aの位置情報が生成されて、表示部63に表示されて報知される。具体的には、例えば、上記位置情報に基づいて特定される紛失端末10aの存在エリアを、表示部63に表示して報知することができる。
【0033】
この表示部63に表示される紛失端末10aの位置情報を見たユーザは、紛失端末10aを容易に捜索することができる。なお、本実施形態において、各受信端末10b及びサーバ60は、「受信装置」の一例に相当し、サーバ60の表示部63は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1では、携帯端末10に組み付けられて当該携帯端末10と異なる電源を有するビーコン発信機50と受信装置の一部となるサーバ60とが設けられ、サーバ60には、ビーコン発信機50から受信したビーコンに基づいて紛失端末10aの位置に関する情報を表示して報知する表示部63が設けられる。
【0035】
これにより、紛失端末10aの紛失等の問題が生じた場合であっても、表示部63の報知によって紛失端末10aの位置を把握でき、しかもビーコンを利用することで屋内であっても通信範囲を容易に広げることができるので、上記問題を迅速に解消することができる。特に、紛失端末10aに組み付けられるビーコン発信機50は、紛失端末10aと異なる電源を有するので、紛失端末10aが上述のような電力不足状態であっても、その紛失端末10aの位置を把握することができる。したがって、携帯端末10の電力状態にかかわらずその携帯端末10の位置を把握可能な管理システムを実現することができる。
【0036】
特に、受信装置として、複数の受信端末10bと、これら複数の受信端末10bによってビーコン発信機50からそれぞれ受信されたビーコン情報を取得するサーバ60と、が設けられ、サーバ60が有する表示部63が紛失端末10aの位置に関する報知を行う報知部として機能するように構成される。このように、複数の受信端末10bを利用することで、携帯端末の位置を把握可能な範囲を容易に広げることができる。特に、複数の受信端末10bは、紛失端末10aと同じ構成の携帯端末10であるので、捜索用の専用端末などを別途用意することなく、紛失端末10aを捜索するための処理を行うことができる。
【0037】
なお、受信したビーコンの電波強度等に基づいてそのビーコンIDのビーコン発信機50までの距離を計測する処理は、各受信端末10bにて行われることに限らず、サーバ60にてまとめて行うようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態の変形例として、ビーコン発信機50から発信されるビーコンには、当該ビーコン発信機50の電源となる電池の電池残量に関する情報が含まれてもよい。これにより、ビーコンを受信した受信端末10b及びサーバ60では、そのビーコンを発信したビーコン発信機50の電池残量を容易に把握できる。
【0039】
このため、例えば、所定値よりも低くなるビーコン発信機50の電池残量に関する情報を、対応する携帯端末10の情報等とともにサーバ60の表示部63に表示することで、電池残量が上記所定値よりも低くなるとビーコン発信機50の電池交換を促すことができる。このため、電力不足に起因してビーコンが発信しないために紛失端末10aの位置を把握できない状態を防止することができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、受信装置として機能する1つの受信端末10bによって紛失端末10aを捜索する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る管理システム1aでは、図6に示すように、1つの携帯端末10を受信端末10bとして持ち歩き、制御部21にてなされる捜索処理において、その表示部24の表示画面24aに表示されて報知される紛失端末10aまでの距離を利用して、その紛失端末10aを捜索する。
【0042】
以下、受信端末10bの制御部21にてなされる捜索処理について、図7のフローチャートを参照して詳述する。
受信端末10bの操作部23に対して所定の操作が行われることで、制御部21にて捜索処理が開始されると、まず、図7のステップS101に示す通信距離計測処理がなされ、受信電波が最も大きくなるビーコンを発信しているビーコン発信機50までの距離が、その受信電波の電波強度等に基づいて通信距離Lとして計測される。なお、上記通信距離計測処理では、紛失端末10aに組み付けられているビーコン発信機50のビーコンIDを把握している場合には、そのビーコンIDを入力することで、そのビーコンIDに関して通信距離Lを計測するようにしてもよい。なお、上記通信距離計測処理を実行する制御部21は、「距離計測部」の一例に相当し得る。
【0043】
続いて、ステップS103に示す判定処理にて、上述のように計測された通信距離Lが予め設定された所定距離Lth1未満であるか否かについて判定される。ここで、受信端末10bを携帯しているユーザが紛失端末10aに近づいていないために、計測された通信距離Lが所定距離Lth1以上であると(S103でNo)、上記ステップS101からの処理が繰り返される。
【0044】
その後、受信端末10bを携帯しているユーザが紛失端末10aに近づいたために、計測された通信距離Lが所定距離Lth1未満になると(S103でYes)、ステップS105に示す通信距離表示処理がなされ、計測された通信距離Lに関する情報が表示部24の表示画面24aに表示される。なお、計測された通信距離Lが所定距離Lth1以上であっても、計測された通信距離Lに関する情報を表示部24の表示画面24aに表示してもよい。なお、表示部24は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0045】
続いて、ステップS107に示すブザー鳴動処理がなされ、計測された通信距離Lが所定距離Lth1未満になったことを示す所定のブザー音がブザー27によって所定時間鳴動される。そして、上記ステップS101からの処理がなされることで、計測された通信距離Lが所定距離Lth1未満になる間(S103でYes)、計測された通信距離Lに関する情報が表示部24の表示画面24aに表示され(S105)、上記所定のブザー音がブザー27によって鳴動される(S107)。なお、ブザー27は、「報知部」の一例に相当し得る。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1aでは、携帯型の受信装置として構成される受信端末10bにてなされる捜索処理において、ビーコン発信機50から受信したビーコンに基づいてビーコン発信機50までの通信距離Lを計測する通信距離計測処理と、通信距離計測処理により計測される通信距離Lを表示部24の表示画面24aに表示する通信距離表示処理とがなされる。
【0047】
これにより、紛失端末10aを紛失した場合でも、受信端末10bを携帯したユーザは、その受信端末10bの表示画面24aに表示されたビーコン発信機50までの通信距離Lを目安に移動することで、紛失端末10aを容易に捜索することができる。特に、上記第1実施形態にて述べたサーバ60を要することなく、紛失端末10aを捜索することができる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、受信装置として機能する受信端末10bによって携帯端末10の不正な持ち出しを監視する点が、上記第1実施形態等と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係る管理システム1bでは、図8に示すように、監視すべき出入口70に2つの受信端末10bを受信装置として設置し、制御部21にてなされる監視処理において、出入口70を通過するような携帯端末10の不正な持ち出しを検出する。特に、本実施形態では、受信端末10bは、出入口70を通過する者を撮像部25の撮像範囲に含めるように設置されている。
【0050】
以下、受信端末10bの制御部21にてなされる監視処理について、図9のフローチャートを参照して詳述する。
受信端末10bの操作部23に対して所定の操作が行われることで、制御部21にて監視処理が開始されると、まず、図9のステップS201に示す通信距離計測処理がなされ、受信電波が最も大きくなるビーコンを発信しているビーコン発信機50までの距離が、その受信電波の電波強度等に基づいて通信距離Lとして計測される。なお、上記通信距離計測処理を実行する制御部21は、「距離計測部」の一例に相当し得る。
【0051】
続いて、ステップS203に示す判定処理にて、上述のように計測された通信距離Lが予め設定された所定距離Lth2未満であるか否かについて判定される。本実施形態では、所定距離Lth2は、ビーコン発信機50が出入口70の近くに位置している場合に計測される距離(例えば、2m)に一致するように設定されており、携帯端末10が近くにないため、計測された通信距離Lが所定距離Lth2以上であると(S203でNo)、上記ステップS201からの処理が繰り返される。なお、ビーコンを受信していていない場合も、上記ステップS203にてNoと判定される。
【0052】
その後、携帯端末10を不正に持ち出そうとした者が出入口70に近づいたために、計測された通信距離Lが所定距離Lth2未満になると(S203でYes)、ステップS205に示すブザー鳴動処理がなされ、携帯端末10の不正持ち出しを示す所定のブザー音がブザー27によって鳴動される。続いて、ステップS207に示す撮像処理がなされ、撮像部25によって出入口70を通過する者を撮像範囲とするように動画が撮像される。なお、所定のブザー音を鳴動させるブザー27は、所定の報知を行う「報知部」の一例に相当し得る。また、撮像部25は、撮像されて記憶部22に記憶されていた撮像動画が所定の送信指示に応じて又は所定のタイミングにて、所定の報知として通信部28を介してサーバ60に送信されることで、「報知部」として機能する。
【0053】
そして、ステップS209の通信距離計測処理にて、上記ステップS201と同様に、通信距離Lがビーコンの受信電波の電波強度とそのビーコンが発信する信号強度とに基づいて計測され、このように計測された通信距離Lが上記所定距離Lth2未満であれば(S211でYes)、上記ステップS205からの処理がなされて、ブザー音が鳴動し動画が撮像される状態が継続される。
【0054】
その後、ブザー音の鳴動等によって不正持ち出しをあきらめた者が出入口70から離れることで、計測された通信距離Lが上記所定距離Lth2以上になると(S211でNo)、ブザー音の鳴動が停止し(S213)、動画撮像が中止される(S215)。そして、ステップS201からの処理がなされて、再び、携帯端末10の不正な持ち出しを監視可能な状態になる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム1bでは、通信距離計測処理により計測される通信距離Lが所定距離Lth2未満になると、ブザー27による所定のブザー音を利用した所定の報知が行われる。このように、監視すべき出入口70に受信端末10bを設置することで、その出入口70を介して携帯端末10を不正に持ち出そうとすると、ブザー27のブザー音等を利用して上記所定の報知が行われるので、携帯端末10の不正な持ち出しを抑制することができる。
【0056】
特に、監視すべき出入口70に設置される受信端末10bには、その出入口70を通過する者を撮像する撮像部25が設けられ、上記所定の報知には、撮像部25により撮像された撮像画像が含まれる。これにより、出入口70を介して携帯端末10を不正に持ちだした際に行われた所定の報知には、その出入口70を通過する者を撮像した撮像画像が含まれるので、携帯端末10の不正な持ち出し行為を容易に特定することができる。
【0057】
なお、出入口70には、2つの受信端末10bが設けられることに限らず、どちらか一方の受信端末10bが設けられて、その受信端末10bにて上記監視処理が行われてもよい。
【0058】
本実施形態の変形例として、受信端末10bでは、操作部23による操作等を受けて、上記所定距離Lth2の設定を変更可能な設定変更処理が制御部21により行われてもよい。これにより、受信端末10bを利用するユーザや本管理システム1bが採用される環境等に応じて上記所定距離Lth2を変更することで、報知の迅速化又は不要な報知の抑制を図ることができるので、本管理システム1bの利便性を高めることができる。なお、上記設定変更処理を行う制御部21は、「設定変更部」の一例に相当し得る。
【0059】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る管理システムは、無線タグT及び情報コードCを読み取る業務用の携帯端末を管理するシステムに採用されることに限らず、例えば、ビーコンを受信するためのアプリケーションプログラムをインストールしたスマートフォンやタブレットなど、ビーコンを受信可能な携帯端末を管理するシステムに採用されてもよい。
【0060】
(2)上記第1実施形態等では、サーバ60にビーコン情報を送信する複数の受信装置として、紛失端末10aと同じ構成の受信端末10bを採用することに限らず、受信装置の少なくとも一部に、携帯端末10と異なるビーコンを受信可能な専用の端末を採用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1a,1b…管理システム
10…携帯端末
10a…紛失端末
10b…受信端末(受信装置)
21…制御部(距離計測部,設定変更部)
24…表示部(報知部)
26…ブザー(報知部)
50…ビーコン発信機
60…サーバ(受信装置)
63…表示部(報知部)
図1
図2
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図9