(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】栓体および飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/14 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
B65D47/14 100
(21)【出願番号】P 2021055746
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】林 真治
(72)【発明者】
【氏名】多根井 沙穂
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-217099(JP,A)
【文献】実開平02-105846(JP,U)
【文献】国際公開第2004/048785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体と、前記筒状体の内側に形成される雌ネジ部とを有する飲み口部と、
外周に形成されると共に前記雌ネジ部と螺合可能である雄ネジ部を有し、前記筒状体の内側に挿脱自在に嵌め込まれる栓と、
前記栓の前記雄ネジ部の下側に取り付けられる環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記栓の挿入時に前記筒状体の下側の部位に当接してシール構造を形成し、
前記雄ネジ部は、
前記筒状体の筒軸を含む面で切った断面視において、前記筒軸に直交する面に対する上面のなす角度が、前記筒軸に直交する面に対する下面のなす角度よりも小さく、シール位置まで切られておらず、
前記雌ネジ部は、上面および下面が前記雄ネジ部の前記上面および前記下面と略平行する関係にあ
り、シール位置まで切られている
、栓体。
【請求項2】
前記
筒状体の下側の部位は、内壁面から
前記筒軸に向かって延びる環形状を呈している、請求項1に記載の栓体。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の栓体と、
前記栓体が装着される有底筒状の容器と、を備える、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓体に関する。また、本発明は、その栓体を装着した飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「容器本体の開口部内周壁の雌ネジ部に螺着脱自在に設けられて上部を容器本体の開口部より上方に突出させる合成樹脂製の筒体と、筒体の上部に螺着脱自在に設けられて筒体の開口部を開閉する合成樹脂製の蓋体とを有する栓体において、筒体は、容器本体の内容器の雌ネジ部に螺着される胴部と、胴部の上部に連続して容器本体の開口部より上方に突出する肩部と、肩部の上部に連続する首部とからなり、首部の下側の外周に蓋体を螺着する雄ネジ部が形成されており、蓋体は、周壁の下側の内周に、筒体の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が設けられており、首部の上端がシール部材を介して蓋体で閉められる、飲料用容器の栓体」が提案されている(例えば、特開2002-68227号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような栓体を装着した飲料用容器では、シール箇所が螺合箇所の外側上方にある。このため、飲料用容器内部に比較的高い圧力が生じた場合、閉塞部材である蓋体が変形し、シール構造を保てないおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、飲料容器内部に比較的高い圧力が生じた場合であっても従前の栓体よりもシール構造を保ちやすい栓体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る栓体は、
筒状体と、前記筒状体の内側に形成される雌ネジ部とを有する飲み口部と、
外周に形成されると共に前記雌ネジ部と螺合可能である雄ネジ部を有し、前記筒状体の内側に挿脱自在に嵌め込まれる栓と、
前記栓の前記雄ネジ部の下側に取り付けられる環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記栓の挿入時に前記筒状体の下側の部位に当接してシール構造を形成し、
前記雄ネジ部は、前記筒状体の筒軸を含む面で切った断面視において、前記筒軸に直交する面に対する上面のなす角度が、前記筒軸に直交する面に対する下面のなす角度よりも小さく、シール位置まで切られておらず、
前記雌ネジ部は、上面および下面が前記雄ネジ部の前記上面および前記下面と略平行する関係にあり、シール位置まで切られている。
【0007】
上記構成によれば、シール箇所が嵌込箇所の内側下方になる。このため、栓体が飲料容器に装着された状態で飲料容器の内部に比較的高い圧力が生じた場合であっても、従前の栓体よりもシール構造を保ちやすくなる。また、上記構成によれば、雄ネジ部の耐圧性を向上することができる。また、上記構成によれば、飲み口部の下部において飲み口部と栓との間にネジ谷分の隙間を形成することができる。このため、開栓時に飲料容器内のガスが飲み口部の内部を通って一気に飲料容器外に出ようとする際、上方向だけでなく、上記隙間へガスが流れ、飲み口部内の圧力が分散される。この結果、開栓の際における栓飛びや音鳴りを抑制することができる。
【0008】
本発明に係る栓体では、
前記筒状体の下側の部位は、内壁面から前記筒軸に向かって延びる環形状を呈していると好適である。
【0009】
上記構成によれば、シール面を広くすることができる。
【0010】
本発明に係る飲料容器は、
上述の栓体と、
前記栓体が装着される有底筒状の容器と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、シール箇所が嵌込箇所の内側下方になる。このため、飲料容器の内部に比較的高い圧力が生じた場合であっても、従前の栓体よりもシール構造を保ちやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る飲料容器の斜視図である。なお、本図では、円筒壁部の流出口が栓によって閉塞されている。
【
図2】本発明の実施の形態に係る飲料容器の斜視図である。なお、本図では、円筒壁部の流出口が栓によって閉塞されていない。
【
図3】本発明の実施の形態に係る飲料容器の平面図である。なお、本図では、円筒壁部の流出口が栓によって閉塞されている。
【
図4】
図3のA-A断面図である。なお、本図では、真空二重容器の描画が一部省略され、圧力調整機構が作用していない状態が示されている。
【
図5】
図3において円筒壁部の流出口が栓によって閉塞されていない場合のA-A断面図である。なお、本図では、真空二重容器の描画が一部省略され、圧力調整機構が作用していない状態が示されている。
【
図6】本発明の実施の形態に係る圧力調整機構付近の拡大断面図である。なお、本図では、圧力調整機構が作用している状態が示されている。
【
図7】本発明の実施の形態に係る飲料容器の横転時の一例の図である。なお、本図では、
図1の状態の飲料容器における内筒の段部よりやや下の高さ位置で飲料容器が切断されている。
【
図8】本発明の実施の形態に係る栓の下方斜視図である。
【
図9】
図4における円筒壁部の雌ネジ部および栓の雄ネジ部付近の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施の形態に係る飲料容器の構成>
本発明の実施の形態に係る飲料容器10は、
図1、
図2、
図4および
図5に示されるように、真空二重容器200、栓体100、第2パッキンPK2およびストラップ300から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。なお、この飲料容器10は、栓体100が真空二重容器200に装着されることによって組み立てられている。
【0014】
1.真空二重容器
真空二重容器200は、ステンレス鋼等の金属製の容器であって、
図1、
図2、
図4および
図5に示されるように、主に、内筒210および外筒220から形成されている。具体的には、
図4~
図6に示されるように、内筒210および外筒220の間に断熱空間が形成されるように内筒210の先端壁部214(後述)の上端部および外筒220の先端壁部224(後述)の上端部が接合された後、断熱空間が真空状態とされることによって真空二重容器200が形成される。
【0015】
内筒210は、
図4~
図6に示されるように、主に、内筒側壁部211、内筒底壁部(図示せず)、段部213、先端壁部214および雌ネジ部215から形成されている。内筒側壁部211は、略円筒形状を呈している。内筒底壁部は、中央部が開口側(上側)に向かって球面状に盛り上がっており、隅部が凹円弧状を呈している。そして、この内筒底壁部は、内筒側壁部211の下側に形成されている。段部213は、切頭円錐筒形状(円錐台筒形状)の部位であって、
図4、
図5および
図7に示されるように、内筒側壁部211と先端壁部214との間に形成され、内筒側壁部211と先端壁部214とを繋いでいる。先端壁部214は、略円筒形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、段部213の上端部から上方に向かって延びている。雌ネジ部215は、
図4~
図6に示されるように、先端壁部214の内周面に形成されており、栓体100の円筒壁部120の雄ネジ部120h(後述)と螺合することができる。
【0016】
外筒220は、
図1、
図2、
図4~
図6に示されるように、主に、外筒側壁部221、外筒底壁部222、段部223および先端壁部224から形成されている。外筒側壁部221は、内筒側壁部211と同様に略円筒形状を呈している。外筒底壁部222は、略円盤形状を呈しており、
図1および
図2に示されるように、外筒側壁部221の下端部分に接合されている。段部223は、切頭円錐筒形状(円錐台筒形状)の部位であって、
図4~
図6に示されるように、外筒側壁部221と先端壁部214との間に形成され、外筒側壁部221と先端壁部214とを繋いでいる。先端壁部214は、略円筒形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、段部223の上端部から上方に向かって延びている。なお、
図4~
図6に示されるように、段部223および先端壁部224により形成される凹部には、第2パッキンPK2(後述)が取り付けられる。
【0017】
2.栓体
栓体100は、
図1~
図5に示されるように、主に、肩部材110、円筒壁部120、圧力調整機構130および栓140から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0018】
(1)肩部材
肩部材110は、樹脂等から形成される部材であって、
図1~
図6に示されるように、圧力調整機構130を覆っており、主に、外側肩部材111および内側肩部材112から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0019】
(1-1)外側肩部材
外側肩部材111は、
図1~
図6に示されるように、主に、天壁部111a、段部111b、側壁部111cおよび爪部111dから形成されている。天壁部111aは、外側肩部材111の上壁を構成する略円盤状の部位であって、
図2、
図4~
図6、
図9に示されるように、中央部に円形の開口111oが形成されている。なお、
図4および
図9に示される通り、この開口111oには円筒壁部120の上側側壁部120aが挿通される。段部111bは、
図1~
図6に示されるように、天壁部111aと側壁部111cとの間に形成され、天壁部111aと側壁部111cとを繋いでいる。側壁部111cは、略円筒形状を呈しており、
図1、
図2、
図4~
図6に示されるように、段部111bの下端部から下方に向かって内側肩部材112の側壁部112cの凹部112pの上端位置まで延びている。爪部111dは、
図4~
図6、
図9に示されるように、天壁部111aの内縁部(すなわち、開口111oの円周部)から下方に向かって延びる突起部であり、内側肩部材112の天壁部112a(後述)と協働して第1パッキンPK1(後述)を挟んでいる。
【0020】
(1-2)内側肩部材
内側肩部材112は、
図4~
図6に示されるように、主に、天壁部112a、段部112bおよび側壁部112cから形成されている。天壁部112aは、内側肩部材112の上壁を構成する略円盤状の部位であって、
図4~
図6、
図9に示されるように、中央部に円形の開口112oが形成されている。なお、
図4および
図9に示されるように、この開口112oには円筒壁部120の上側側壁部120aが挿通される。なお、
図4~
図6に示されるように、開口112oの直径は、外側肩部材111の開口111oの直径よりわずかに大きく、平面透視における開口112oの領域は外側肩部材111の開口111oの領域全てと重なっている。また、平面視においてこの開口112oの中心は、外側肩部材111の開口111oの中心と同位置にある。段部112bは、
図4~
図6に示されるように、天壁部112aと側壁部112cとの間に形成され、天壁部112aと側壁部112cとを繋いでいる。側壁部112cは、略円筒形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、段部112bの下端部から下方に向かって延びている。なお、
図4~
図6に示されるように、側壁部112cの下部から中間部にかけて内側に凹む環状の凹部112pが形成されている。この凹部112pには、ストラップ300の大円環部302(後述)が嵌め込まれる。
【0021】
(2)円筒壁部
円筒壁部120は、樹脂等から形成される部材であって、
図2、
図4~
図6に示されるように、外側肩部材111の開口111oおよび内側肩部材112の開口112oを通ってその一部が上側に突出しており、主に、上側側壁部120a、下側側壁部120b、鍔部120c、上側収容壁部120d、下側収容壁部120e、前側収容壁部120f、雌ネジ部120g、雄ネジ部120hおよび第3パッキン取付壁部120iから形成されている。また、
図4~
図6に示されるように、この円筒壁部120には、第1パッキンPK1および第3パッキンPK3が取り付けられている。上側側壁部120aは、略円筒形状を呈している。なお、
図2、
図4、
図5および
図9に示されるように、上側側壁部120aの内周面の下部から中間部にかけて雌ネジ部120gが形成されている。また、
図2および
図5に示されるように、上側側壁部120aの内部空間SP1は、内部空間SP2(後述)と共に飲料通路として機能し、上側側壁部120aの上側の開口が飲料の流出口MOとなるため上側側壁部120aは飲み口として機能する。下側側壁部120bは、略円筒形状を呈している。なお、
図4および
図5に示されるように、下側側壁部120bには、外周面の下部から中間部にかけて雄ネジ部120hが形成されている。また、
図4および
図6に示されるように、この下側側壁部120bの後側の上端部分には切欠きが形成されており、この切欠きの上側に上側収容壁部120dが配置されることによって開口OP3が形成されている。鍔部120cは、
図4~
図6、
図9に示されるように、上側側壁部120aおよび下側側壁部120bの境界部分から外方および内方(上側側壁部120aの筒軸線AY)に向かって延びて略円環形状を呈している。そして、この鍔部120cの外側部位は内側肩部材112の天壁部112aを支持しており、内側部位は栓140のシール部位として機能する。なお、上側側壁部120aの筒軸線AYは、平面視における上側側壁部120aの中心から上下方向に延びる仮想線である(
図3~
図5参照)。上側収容壁部120dは、略円盤形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、下側側壁部120bの後部の上側に形成されている。なお、
図4~
図6に示されるように、上側収容壁部120dの中央部には開口OP1が形成されている。下側収容壁部120eは、略円盤形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、下側側壁部120bの後部の下側に形成されている。なお、
図4~
図6に示されるように、下側収容壁部120eの中央部には開口OP2が形成されている。前側収容壁部120fは、平面視において部分円形状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、下側収容壁部120eの前縁部から上方に向かって延びている。ここで、
図4~
図6に示されるように、下側側壁部120b、上側収容壁部120d、下側収容壁部120eおよび前側収容壁部120fにより、内部空間SP3を有する円筒部が形成される。この内部空間SP3は、
図4~
図6に示されるように、上下方向に延びている。また、この内部空間SP3には、
図4~
図6に示されるように、圧力調整機構130(後述)が配設される。雌ネジ部120gは、栓140の雄ネジ部143b(後述)と螺合することができ、上述の通り、上側側壁部120aの内周面の下部から中間部にかけて形成されている。すなわち、雌ネジ部120gは、栓140の雄ネジ部143bと螺合している場合において、栓140の第5パッキンPK5および鍔部120cの内側部位が当接する位置まで切られている(
図4および
図9参照)。雄ネジ部120hは、上述の通り、下側側壁部120bの外周面の下部から中間部にかけて形成されており、内筒210の雌ネジ部215と螺合することができる。第3パッキン取付壁部120iは、略円筒状を呈しており、
図4~
図6に示されるように、下側側壁部120bの下側に形成されている。なお、ここで、
図4~
図6に示されるように、下側側壁部120b、下側収容壁部120e、前側収容壁部120fおよび第3パッキン取付壁部120iによって内部空間SP2が形成される。内部空間SP2は、上側側壁部120aの内部空間SP1と共に飲料通路として機能すると共に、栓体100が真空二重容器200に装着されて飲料が真空二重容器200に注ぎ入れられた場合に、飲料の上側に空気を留める空間として機能する。第1パッキンPK1は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、
図4~
図6、
図9に示されるように、円筒壁部120の上側側壁部120aの外周面の下部に取り付けられる。また、上述したように、第1パッキンPK1は、肩部材110の外側肩部材111の爪部111dおよび肩部材110の内側肩部材112の天壁部112aで挟まれている。ここで、第1パッキンPK1は、肩部材110の外側肩部材111と円筒壁部120の上側側壁部120aとの間の隙間、および、肩部材110の内側肩部材112と円筒壁部120の上側側壁部120aとの間の隙間を塞ぐ役割を果たす。第3パッキンPK3は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、
図4~
図7に示されるように、第3パッキン取付壁部120iの外周面に取り付けられている。ここで、雄ネジ部120hが真空二重容器200の内筒210の雌ネジ部215と螺合している場合に、第3パッキンPK3は、
図4および
図5に示されるように、内筒210の段部213の上端部と当接する。かかる場合、第3パッキンPK3は、円筒壁部120と内筒210との間の隙間を塞ぐ役割を果たす。
【0022】
(3)圧力調整機構
圧力調整機構130は、飲料容器10の内圧を調整するための部材であって、
図4~
図6に示されるように、円筒壁部120の内部空間SP3に配設されており、主に、弁体131、付勢部材132および第4パッキンPK4から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0023】
(3-1)弁体
弁体131は、
図4~
図6に示されるように、主に、弁棒131aおよび弁部131bから形成されている。弁棒131aは、
図4~
図6に示されるように、上下方向に延びる略円柱状を呈する棒部材である。ここで、
図4~
図6に示されるように、弁棒131aは、付勢部材132の内側に挿通されており、弁棒131aの上端部は、円筒壁部120の上側収容壁部120dの開口OP1に挿通されている。一方、弁棒131aの下端部は、円筒壁部120の下側収容壁部120eの開口OP2に挿通されている。なお、弁棒131aの下端部と開口OP2との間には僅かに隙間が形成されている。弁部131bは、
図4~
図6に示されるように、弁棒131aの下端部に形成される略円柱状の部位であって、付勢部材132により下方(すなわち、開口OP2側)に向かって付勢されている(この結果、弁棒131aも付勢部材132により下方に向かって付勢されることになる。)。なお、平面視において、弁部131bの直径は、第4パッキンPK4の外径より大きくなるように設計されている。また、内部空間SP3において、弁部131bと円筒壁部120の下側側壁部120b、前側収容壁部120fとの間には僅かに隙間が形成されている。
【0024】
(3-2)付勢部材
付勢部材132は、弁体131を下方に向かって付勢するためのコイルバネである。
図4~
図6に示されるように、付勢部材132の一端は、円筒壁部120の上側収容壁部120dに嵌め込まれており、付勢部材132のもう一端は、弁体131の弁部131bに当接されている。
【0025】
(3-3)第4パッキン
第4パッキンPK4は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材である。また、第4パッキンPK4は、
図4~
図6に示されるように、弁体131の弁棒131aの下部が第4パッキンPK4の中央開口を通るように、弁体131の弁部131bの下面に取り付けられている。ここで、第4パッキンPK4は、
図4に示されるように、弁体131が付勢部材132により下方に向かって付勢されると円筒壁部120の下側収容壁部120eの上面に当接し、弁体131と共に円筒壁部120の下側収容壁部120eの開口OP2を閉塞する。
【0026】
なお、本発明の実施の形態に係る栓体100において前側部分の質量が後側部分の質量よりも大きくなるように設計されている。具体的には、円筒壁部120の上側側壁部120aの質量を圧力調整機構130の質量よりも大きくすることによってこの設計を実現している。この設計により、栓体100が真空二重容器200に装着されている場合に、飲料容器10においては、真空二重容器200の筒軸線AX(
図3~
図5、
図9参照、内筒210の内筒底壁部および外筒220の外筒底壁部222の中心から上下方向に延びる仮想線であり、円筒壁部120の上側側壁部120aの筒軸線AYと平行である。)の前側の質量が筒軸線AXの後側の質量よりも大きくなる。すなわち、栓体100が真空二重容器200に装着されている場合に飲料容器10が一定以上傾いたり横転したりすると、圧力調整機構130が円筒壁部120よりも上側に位置することになる。このとき、真空二重容器200内に飲料が注ぎ入れられていると、飲料が内部空間SP2に流れ込み、内部空間SP2に溜められた空気は圧力調整機構130側に移動する。また、
図4および
図5に示されるように、圧力調整機構130は、真空二重容器200の筒軸線AXを挟んで円筒壁部120の上側側壁部120aの後部以外の部分の反対側に位置している。
【0027】
(4)栓
栓140は、円筒壁部120の上側側壁部120aの流出口MOを閉塞するための部材であって、
図1~
図5、
図8に示されるように、主に、上側カバー部材141、下側カバー部材142、栓本体部143および回転リング144から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。なお、
図2および
図5に示されるように、栓140は、円筒壁部120の上側側壁部120aの流出口MOを閉塞していない場合、ストラップ300によって肩部材110の後側(真空二重容器200の後側)に位置することができる。
【0028】
(4-1)上側カバー部材
上側カバー部材141は、樹脂等から形成される部材であって、
図1~
図5、
図8に示されるように、主に、天壁部141a、側壁部141b、爪部141cおよびハンドル部141dから形成されている。天壁部141aは、
図1~
図5に示されるように、略円盤状を呈している。側壁部141bは、
図1、
図2、
図4、
図5および
図8に示されるように、略円筒状を呈しており、天壁部141aの外縁部から下方に向かって延びている。爪部141cは、
図4、
図5および
図9に示されるように、側壁部141bの内周面の中間部から内方に向かって延びており、下側カバー部材142の側壁部142bの外周面の中間部に形成される凹部に嵌め込まれる。ハンドル部141dは、上側カバー部材141を回す際に使用者に利用され、
図1~
図3、
図8に示されるように、天壁部141aの中心を通る直径線上における側壁部141bの外周面から外方に向かって延びている。
【0029】
(4-2)下側カバー部材
下側カバー部材142は、樹脂等から形成される部材であって、
図4および
図5に示されるように、主に、天壁部142aおよび側壁部142bから形成されている。天壁部142aは、
図4および
図5に示されるように、略円盤状を呈している。なお、
図4および
図5に示されるように、天壁部142aの中央部には下方に凹む凹部142oが形成され、この凹部142oの中央部には開口が形成されている。そして、
図4および
図5に示されるように、この開口および栓本体部143の挿通孔(後述)にネジSCが通されることにより、下側カバー部材142と栓本体部143とが締結される。側壁部141bは、
図4、
図5、
図8および
図9に示されるように、略円筒状を呈しており、天壁部142aの外縁部から下方に向かって延びている。上述の通り、側壁部142bの外周面の中間部には凹部が形成されており、上側カバー部材141の爪部141cが嵌め込まれる。
【0030】
(4-3)栓本体部
栓本体部143は、円筒壁部120の内部空間SP1に挿脱自在に装着される部材であって、
図4、
図5、
図8および
図9に示されるように、本体部143a、雄ネジ部143bおよび第5パッキンPK5から形成されている。本体部143aは、樹脂等から形成されており、
図2、
図4、
図5、
図8および
図9に示されるように、略円柱状を呈している。なお、
図4および
図5に示されるように、本体部143aには、本体部143aの上壁部の中央部から下方に向かって延びる挿通孔が形成されている。上述の通り、この挿通孔と下側カバー部材142の天壁部142aの開口にネジSCが通されることにより、下側カバー部材142と栓本体部143とが締結される。雄ネジ部143bは、樹脂等から形成されており、上述の通り、円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合することができる。雄ネジ部143bは、
図4、
図5、
図8および
図9に示されるように、本体部143aの外周面の中間部に形成されている。すなわち、雄ネジ部143bは、円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合に第5パッキンPK5および円筒壁部120の鍔部120cの内側部位が当接する位置まで切られていない(
図4および
図9参照)。第5パッキンPK5は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、
図2、
図4、
図5、
図7~
図9に示されるように、本体部143aの下端部に取り付けられている。ここで、第5パッキンPK5は、
図4および
図9に示されるように、雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合に、円筒壁部120の鍔部120cの内側部位と当接して本体部143aと円筒壁部120との間の隙間を塞ぐ役割を果たす。また、第5パッキンPK5と円筒壁部120の鍔部120cの内側部位との当接位置は、
図4および
図9に示されるように、雄ネジ部143bおよび円筒壁部120の雌ネジ部120gの螺合位置の内側下方になる。
【0031】
ここで、栓140の雄ネジ部143bおよび円筒壁部120の雌ネジ部120gについて、
図9を参照して説明する。栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合する場合、栓140の雄ネジ部143bは円筒壁部120の雌ネジ部120gの下部まで到達しない。これは、栓140の栓本体部143の上部が円筒壁部120の雌ネジ部120gの上端部に当接すると(すなわち、栓140が円筒壁部120に完全に装着されると)、栓140が下方に移動できなくなり、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gの上部および中間部と螺合する位置で留められるからである。よって、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している状態で、円筒壁部120の上側側壁部120aと栓140の栓本体部143との間にネジ谷空間SP4が形成されることになる。また、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している状態で、栓140の雄ネジ部143bの上面US1は円筒壁部120の雌ネジ部120gの下面LS2と略平行関係にあり、栓140の雄ネジ部143bの下面LS1は円筒壁部120の雌ネジ部120gの上面US2と平行関係にある。次に、上側側壁部120aの筒軸線AYを含む面(
図9においては、真空二重容器200の筒軸線AXも含む。)で切った断面視において、円筒壁部120の上側側壁部120aの筒軸線AY(
図9においては、筒軸線AYに平行な真空二重容器200の筒軸線AX)に直交する面を面SF1とし、栓140の雄ネジ部143bの上面US1を延長した面を面SF2とし、栓140の雄ネジ部143bの下面LS1を延長した面を面SF3とし、面SF1に対する栓140の雄ネジ部143bの上面US1(すなわち、面SF2)のなす角度を角度θ1とし、面SF1に対する栓140の雄ネジ部143bの下面LS1(すなわち、面SF3)のなす角度を角度θ2とする。栓140の雄ネジ部143bは、角度θ1が角度θ2よりも小さくなるように設計されている。
【0032】
また、本発明の実施の形態に係る飲料容器10では、栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5の外径は、円筒壁部120の上側側壁部120aの上端部の内径、および、内筒210の段部213の上端部における内径よりも小さい(
図4および
図5参照)。
【0033】
(4-4)回転リング
回転リング144は、略円環状を呈しており、
図4、
図5および
図8に示されるように、下側カバー部材142の側壁部142bの外周面の下端部に取り付けられており、下側カバー部材142の側壁部142bに対して回転可能である。すなわち、栓140による円筒壁部120の上側側壁部120aの流出口MOの閉塞状態を解除するために使用者により上側カバー部材141が回される場合(なお、上側カバー部材141につられて下側カバー部材142および栓本体部143も回る)、回転リング144は上側カバー部材141、下側カバー部材142および栓本体部143と共に回転しない。また、
図4および
図5に示されるように、回転リング144の外周面には、ストラップ300の小円環部301(後述)が取り付けられる。
【0034】
3.第2パッキン
第2パッキンPK2は、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される円環状の部材であって、上述した通り、外筒220の段部223および外筒220の先端壁部224により形成される凹部に取り付けられる。なお、ここで、
図4~
図6に示されるように、円筒壁部120の雄ネジ部120hが内筒210の雌ネジ部215と螺合している場合に、第2パッキンPK2は、肩部材110の内側肩部材112と当接する。かかる場合、第2パッキンPK2は、肩部材110の内側肩部材112と外筒220との間の隙間を塞ぐ役割を果たす。
【0035】
4.ストラップ
ストラップ300は、栓140による円筒壁部120の上側側壁部120aの流出口MOの閉塞状態が解除された後であっても(すなわち、栓140が円筒壁部120から取り外された後であっても)肩部材110および栓140を繋げておくことができる部材であって、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成される。ストラップ300は、
図1~
図5に示されるように、主に、小円環部301、大円環部302および架橋部303から形成されている。小円環部301は、
図1~
図5に示されるように、略円環状を呈しており、栓140の回転リング144の外周面に取り付けられる。これにより、小円環部301は、栓140の下側カバー部材142の側壁部142bに対して回転リング144と共に回転可能になる。大円環部302は、
図1、
図2、
図4~
図6に示されるように、略円環状を呈しており、肩部材110の内側肩部材112の凹部112pに嵌め込まれる。なお、このとき、
図1、
図2、
図4および
図5に示されるように、大円環部302および架橋部303の境界部分は肩部材110の内側肩部材112の後側に位置し、大円環部302は肩部材110の内側肩部材112に対して回転不可能とされる。架橋部303は、
図1~
図5に示されるように、小円環部301および大円環部302を繋ぐためのものである。また、架橋部303は、
図1および
図4に示されるように、栓140により円筒壁部120の上側側壁部120aの流出口MOが閉塞されている場合に略円弧状に変形するため、持ち運びのための取っ手としての役割も果たす。
【0036】
なお、仮に飲料容器10にストラップ300が存在しない場合、栓体100が真空二重容器200に装着されている場合に飲料容器10が一定以上傾いたり横転したりすると、傾き方や横転の仕方によっては、一時的に圧力調整機構130が完全に下側にくることがある(すなわち、一時的に圧力調整機構130と面SF(
図7参照)との距離が最も小さくなることがある)。しかし、飲料容器10にストラップ300が存在することにより、
図7に示されるように、圧力調整機構130が完全に下側にくること(すなわち、圧力調整機構130と面SFとの距離が最も小さくなること)を低減することができる。
【0037】
<栓体の使用方法とその動作態様>
まず、真空二重容器200に所望の飲料を注ぎ入れる。次に、真空二重容器200の雌ネジ部215に栓体100の円筒壁部120の雄ネジ部120hを螺合させた後、栓体100の円筒壁部120の雌ネジ部120gに栓体100の栓140の雄ネジ部143bを螺合させることにより、飲料容器10を完成させる。(
図1および
図4参照)または、栓体100の円筒壁部120の雌ネジ部120gに栓体100の栓140の雄ネジ部143bを螺合させた後、真空二重容器200の雌ネジ部215に栓体100の円筒壁部120の雄ネジ部120hを螺合させることにより、飲料容器10を完成させる。このとき、
図4に示されるように、第3パッキンPK3が、真空二重容器200の内筒210の段部213の上端部と当接し、第5パッキンPK5が、栓体100の円筒壁部120の鍔部120cの内側部位と当接する。これにより、真空二重容器200および栓体100が水密に保たれる。また、
図4に示されるように、円筒壁部120の内部空間SP2に空気が留められる。そして、使用者は、飲料容器10中の飲料を飲む場合、栓体100の円筒壁部120の雌ネジ部120gおよび栓体100の栓140の雄ネジ部143bの螺合状態を解除する。なお、このとき、飲料容器10内のガスが、上方向だけでなくネジ谷空間SP4へ流れる。そして、使用者は、真空二重容器200を把持すると共に飲料容器10を持ち上げて、栓体100の円筒壁部120を口まで持っていき、飲料容器10中の飲料を飲む。かかる場合、飲料容器10中の飲料は、円筒壁部120の内部空間SP2および内部空間SP1を通じて、使用者の口に流れ込む。そして使用者は、飲料容器10中の飲料を飲み終わったら、栓体100の円筒壁部120の雌ネジ部120gに栓体100の栓140の雄ネジ部143bを螺合させる。
【0038】
次に、飲料容器10内の飲料が発泡性の飲料水(例えば、炭酸飲料や酒類等)であり、栓体100の円筒壁部120の雄ネジ部120hが真空二重容器200の雌ネジ部215と螺合し、栓体100の栓140の雄ネジ部143bが栓体100の円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している状態(
図1および
図4参照)で、飲料容器10内の内圧が高くなった場合の栓体100の圧力調整機構130の動作態様について説明する。まず、飲料容器10内の内圧が高くなっていない場合、
図4に示されるように、栓体100の圧力調整機構130において、付勢部材132が、弁体131および第4パッキンPK4を下方に向かって付勢し、弁体131および第4パッキンPK4が、栓体100の円筒壁部120の開口OP2を閉塞している。そして、飲料容器10内の飲料水に溶けた物質(例えば、二酸化炭素等)が気化してガスになる等して飲料容器10内の内圧が高くなると、
図6に示されるように、栓体100の圧力調整機構130において、弁体131および第4パッキンPK4が付勢部材132の付勢力に逆らって上方に移動し、栓体100の円筒壁部120の開口OP2の閉塞状態が解除される。そして、ガスは、
図6の太線矢印で示されるように、栓体100の円筒壁部120の開口OP2、内部空間SP3および栓体100の円筒壁部120の開口OP3を通じて排出される。そして、飲料容器10内の内圧が元に戻っていくと、弁体131および第4パッキンPK4が、付勢部材132により下方に向かって付勢されて栓体100の円筒壁部120の開口OP2を再び閉塞する。なお、栓体100の円筒壁部120の開口OP2、内部空間SP3および栓体100の円筒壁部120の開口OP3を通じてガスが排出される際、泡等も栓体100の円筒壁部120の開口OP2を通ることがあるが、泡等は内部空間SP3によってトラップされる。仮に栓体100の円筒壁部120の開口OP2、内部空間SP3および栓体100の円筒壁部120の開口OP3を通じて泡等が排出されたとしても、第1パッキンPK1および第2パッキンPK2により、泡等は飲料容器10内に溜められる。
【0039】
<本発明の実施の形態に係る栓体の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る栓体100では、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合に、栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5は、円筒壁部120の鍔部120cの内側部位と当接して栓140の本体部143aと円筒壁部120との間の隙間を塞ぐ。また、栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5と円筒壁部120の鍔部120cの内側部位との当接位置は、栓140の雄ネジ部143bおよび円筒壁部120の雌ネジ部120gの螺合位置の内側下方になる。このため、この栓体100では、栓体100が真空二重容器200に装着されて栓140が円筒壁部120に装着された状態で飲料容器10の内部に比較的高い圧力が生じた場合であっても、従前の栓体よりもシール構造を保ちやすくすることができる。
【0040】
(2)
本発明の実施の形態に係る栓体100では、円筒壁部120の上側側壁部120aは略円筒形状を呈しており、円筒壁部120の鍔部120cの内側部位は上側側壁部120aおよび下側側壁部120bの境界部位から内方に向かって延びて略円環形状を呈している。このため、この栓体100では、栓140が円筒壁部120に装着された状態における栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5によるシール面を広くすることができる。
【0041】
(3)
本発明の実施の形態に係る栓体100では、断面視において、円筒壁部120の上側側壁部120aの筒軸線AYに直交する面SF1に対する栓140の雄ネジ部143bの上面US1のなす角度θ1は、面SF1に対する栓140の雄ネジ部143bの下面LS1のなす角度θ2よりも小さくなる。また、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合に、栓140の雄ネジ部143bの上面US1は円筒壁部120の雌ネジ部120gの下面LS2と略平行関係にあり、栓140の雄ネジ部143bの下面LS1は円筒壁部120の雌ネジ部120gの上面US2と平行関係にある。このため、この栓体100では、栓140の雄ネジ部143bの耐圧性を向上させることができる。
【0042】
(4)
本発明の実施の形態に係る栓体100では、栓140の雄ネジ部143bが円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合に、円筒壁部120の上側側壁部120aと栓140の栓本体部143との間にネジ谷空間SP4が形成される。このため、この栓体100では、円筒壁部120の雌ネジ部120gおよび栓140の雄ネジ部143bの螺合状態を解除して開栓する際に、円筒壁部120の内部空間SP1を通って一気に飲料容器10外に出ようとする飲料容器10内のガスを上方向だけでなくネジ谷空間SP4へ流し、円筒壁部120の内部空間SP1における圧力を分散させることができる。したがって、この栓体100では、開栓の際における栓飛びや音鳴りを抑制することができる。
【0043】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る栓体100の各部の形状や構成材質は特に限定されず、各部は本発明の主旨を逸脱しない範囲であらゆる形状とすることができると共に、あらゆる材質で構成することができる。例えば、先の実施の形態に係る栓体100では、肩部材110や円筒壁部120は、樹脂等から形成されていたが金属等で形成されてもよい。
【0044】
(B)
先の実施の形態に係る栓体100では、円筒壁部120の下側側壁部120b、下側収容壁部120e、前側収容壁部120fおよび第3パッキン取付壁部120iにより内部空間SP2が形成され、円筒壁部120の下側側壁部120b、上側収容壁部120d、下側収容壁部120eおよび前側収容壁部120fにより内部空間SP3が形成されると共に、肩部材110や、ストラップ300、第1パッキンPK1、第2パッキンPK2などが配設されていたが、発明の主旨を損なわない範囲においてこれらの部位や部材の一部または全部は省略されてもかまわない。
【0045】
(C)
先の実施の形態に係る栓体100では栓140として栓本体部143に雄ネジ部143bが形成された雄ネジ式の栓が採用されたが、栓140は雄ネジ式のものに限定されず、雌ネジ式の栓など、他の方式栓が採用されてもよい。雌ネジ式の栓が採用された場合、円筒壁部120の上側側壁部120aの外周面に雄ネジ部が形成されることが好ましい。
【0046】
(D)
先の実施の形態に係る飲料容器10では真空二重容器200に飲料(発泡性飲料を含む)が注ぎ入れられていたが真空二重容器200に入れられる内容物は特に限定されない。
【0047】
(E)
先の実施の形態では容器として真空二重容器200が採用されていたが、容器は特に限定されず、例えば、通常の単壁の容器であってもよい。また、先の実施の形態では容器の素材としてステンレス鋼が採用されていたが、容器の素材は、ステンレス鋼以外の合金、樹脂等であってもよい。
【0048】
(F)
先の実施の形態に係る栓体100では、上側側壁部120aの筒軸線AYを含む面で切った断面視において、角度θ1が角度θ2よりも小さい栓140の雄ネジ部143bを採用すると共に、下面LS2が栓140の雄ネジ部143bの上面US1と略平行関係にあり上面US2が栓140の雄ネジ部143bの下面LS1と平行関係にある円筒壁部120の雌ネジ部120gを採用した。しかし、上記断面視において、角度θ1が角度θ2と等しい栓140の雄ネジ部143bを採用すると共に、下面LS2が栓140の雄ネジ部143bの上面US1と略平行関係にあり上面US2が栓140の雄ネジ部143bの下面LS1と平行関係にある円筒壁部120の雌ネジ部120gを採用してもよい。また、上記断面視において、角度θ1が角度θ2よりも大きい栓140の雄ネジ部143bを採用すると共に、下面LS2が栓140の雄ネジ部143bの上面US1と略平行関係にあり上面US2が栓140の雄ネジ部143bの下面LS1と平行関係にある円筒壁部120の雌ネジ部120gを採用してもよい。
【0049】
(G)
先の実施の形態に係る栓体100では、上側側壁部120aの筒軸線AYを含む面で切った断面視において、雌ネジ部120gの下面LS2が栓140の雄ネジ部143bの上面US1と略平行関係にあったが、雌ネジ部120gの下面LS2が栓140の雄ネジ部143bの上面US1と完全に平行となるように設計されてもよい。
【0050】
(H)
先の実施の形態に係る栓体100では、栓140の雄ネジ部143bは、円筒壁部120の雌ネジ部120gと螺合している場合、栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5および円筒壁部120の鍔部120cの内側部位が当接する位置まで切られていなかったが、栓140の栓本体部143の第5パッキンPK5および円筒壁部120の鍔部120cの内側部位が当接する位置まで切られてもよい。
【0051】
なお、上記変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 :飲料容器
100 :栓体
120a :上側側壁部(飲み口部、筒状体)
120g :雌ネジ部
120c :鍔部(飲み口部の下側の部位)
143 :栓本体部(栓)
143b :雄ネジ部(嵌込部)
200 :真空二重容器(容器)
AY :筒軸線(筒軸)
LS1 :雄ネジ部の下面
LS2 :雌ネジ部の下面
PK5 :第5パッキン(シール部材)
SF1 :面(筒軸に直交する面)
US1 :雄ネジ部の上面
US2 :雌ネジ部の上面
θ1 :角度(筒軸に直交する面に対する上面のなす角度)
θ2 :角度(筒軸に直交する面に対する下面のなす角度)