IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気処理装置 図1
  • 特許-空気処理装置 図2
  • 特許-空気処理装置 図3
  • 特許-空気処理装置 図4
  • 特許-空気処理装置 図5
  • 特許-空気処理装置 図6
  • 特許-空気処理装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20240926BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240926BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20240926BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20240926BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240926BHJP
   F24F 8/22 20210101ALN20240926BHJP
【FI】
F24F8/80 310
F24F8/80 216
F24F8/80 214
F24F8/80 212
F24F8/108 120
F24F8/158
F24F8/108 320
F24F8/80 238
A61L9/014
A61L9/20
F24F8/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022059744
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023150572
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】深堀 大佑
(72)【発明者】
【氏名】中島 篤朗
(72)【発明者】
【氏名】西林 昂大
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027298(JP,A)
【文献】特開2002-078782(JP,A)
【文献】特開2016-217604(JP,A)
【文献】特開昭60-165437(JP,A)
【文献】米国特許第04564375(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/80
F24F 8/108
F24F 8/158
A61L 9/014
A61L 9/20
F24F 8/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に配置され、かつ、互いに隣り合う2つの空気清浄ユニット(U1,U2)とを備え、
前記ケーシング(10)は、
対象空間(S)の空気を吸い込む第1吸込口(21)と、
前記第1吸込口(21)の上方に設けられ、前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(25)とを有し、
前記空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれは、
前記第1吸込口(21)と前記吹出口とを連通する空気通路(P)と、
前記空気通路(P)内に配置され、空気中の汚染物を捕集するフィルタ部(40)と、
前記空気通路(P)の空気を搬送するファン(30)とを有し、
前記第1吸込口(21)は、前記ケーシング(10)の互いに向かい合う2つの側面に形成され、前記ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合うように配置され
前記ファン(30)のそれぞれは、
前記第1吸込部(35)を有するファン本体(31)と、
前記ファン本体(31)と隣り合って配置されるファンモータ(32)とを備えると共に、
前記第1吸込口(21)から前記ケーシング(10)内に向かって順に前記ファン本体(31)及び前記ファンモータ(32)が並ぶように配置される
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記ケーシング(10)は、前記対象空間(S)の空気を吸込む2つの第2吸込口(22,22)を備え、
前記第2吸込口(22)のそれぞれは、前記第1吸込口(21)が設けられる面以外の前記ケーシング(10)の面に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
つの前記ファンモータ(32、32)は、上面視における前記空気処理装置の中央において互いに隣り合って配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記ファン本体(31)は、前記第1吸込部(35)とは逆方向から空気を吸い込む第2吸込部(36)を備え、
前記空気通路(P)は、
前記第1吸込口(21)と前記第1吸込部(35)とを連通する第1連通路(P1)と、
前記第2吸込口(22)と前記第2吸込部(36)とを連通する第2連通路(P2)とを有し、
前記ファンモータ(32)は、前記第2連通路(P2)に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記第2吸込口(22)は、
前記ケーシング(10)の前面(13a)または背面(13b)に設けられ、
前記第1吸込口(21)よりも開口面積が小さい
ことを特徴とする請求項4に記載の空気処理装置。
【請求項6】
隣り合う2つの前記ファンモータ(32、32)は、並び方向に伸びる回転軸(39)をそれぞれ有し、
2つ前記ファンモータ(32,32)の回転軸(39)は、互いに逆方向に回転する
ことを特徴とする請求項3~のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記ケーシング(10)は、底板(12)、天板(11)、前面パネル(13a)および背面パネル(13b)を有し、
前記底板(12)、前記天板(11)、前記前面パネル(13a)および前記背面パネル(13b)の少なくとも1つは、2つの前記空気清浄ユニット(U1,U2)に亘って設けられる
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記吹出口(25)は、2つの前記空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれに個別に設けられる
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項9】
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に配置され、かつ、互いに隣り合う2つの空気清浄ユニット(U1,U2)とを備える空気処理装置であって、
前記ケーシング(10)は、
対象空間(S)の空気を吸い込む第1吸込口(21)と、
前記第1吸込口(21)の上方に設けられ、前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(25)とを有し、
前記空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれは、
前記第1吸込口(21)と前記吹出口とを連通する空気通路(P)と、
前記空気通路(P)内に配置され、空気中の汚染物を捕集するフィルタ部(40)と、
前記空気通路(P)の空気を搬送するファン(30)とを有し、
前記第1吸込口(21)は、前記ケーシング(10)の側面に形成され、前記ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合うように配置され、
前記ケーシング(10)は、前記対象空間(S)の空気を吸込む2つの第2吸込口(22,22)を備え、
前記第2吸込口(22)のそれぞれは、前記第1吸込口(21)が設けられる面以外の前記ケーシング(10)の面に設けられ、
前記ファン(30)のそれぞれは、
前記第1吸込部(35)を有するファン本体(31)と、
前記ファン本体(31)と隣り合って配置されるファンモータ(32)とを備え、
2つの前記ファンモータ(32、32)は、上面視における前記空気処理装置の中央において互いに隣り合って配置され、
前記ファン本体(31)は、前記第1吸込部(35)とは逆方向から空気を吸い込む第2吸込部(36)を備え、
前記空気通路(P)は、
前記第1吸込口(21)と前記第1吸込部(35)とを連通する第1連通路(P1)と、
前記第2吸込口(22)と前記第2吸込部(36)とを連通する第2連通路(P2)とを有し、
前記ファンモータ(32)は、前記第2連通路(P2)に配置され、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む第3吸込口(23)をさらに備え、
前記第3吸込口(23)は、前記ケーシング(10)の前面(13a)または背面(13b)における、隣り合う2つの前記ファンモータ(32、32)の間の第1空間(60)に面する位置に設けられ、
前記第1空間(60)は、前記第2連通路(P2)に連通する
ことを特徴とする空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気清浄機は、2つの送風機および集塵フィルタを備える。送風機および集塵フィルタは、1つの吸込口から2つの吹出口へ分岐する2つの送風通路にそれぞれ配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-215117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
比較的広い部屋を一台の空気処理装置で空気清浄する場合、装置の吸い込み空気量を大きくする必要があり、送風機によって形成される装置内の空気流れについて検討する余地があった。
【0005】
本開示の目的は、空気処理装置の吸い込み空気量を大きくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に配置され、かつ、互いに隣り合う2つの空気清浄ユニット(U1,U2)とを備え、
前記ケーシング(10)は、
対象空間(S)の空気を吸い込む第1吸込口(21)と、
前記第1吸込口(21)の上方に設けられ、前記対象空間(S)に空気を吹き出す吹出口(25)とを有し、
前記空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれは、
前記第1吸込口(21)と前記吹出口とを連通する空気通路(P)と、
前記空気通路(P)内に配置され、空気中の汚染物を捕集するフィルタ部(40)と、
前記空気通路(P)の空気を搬送するファン(30)とを有し、
前記第1吸込口(21)は、前記ケーシング(10)の側面に形成され、前記ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合うように配置される空気処理装置である。
【0007】
第1の態様では、空気清浄ユニット(U1,U2)を2つ有するため、対象空間(S)の空気の吸い込み量を増大できる。加えて、第1吸込口(21)は、ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合って配置されるため、第1吸込口(21)に流入した空気を第1吸込部(35)に吸込みやすくできる。その結果、対象空間(S)の空気の吸い込み量を大きくできると共に、比較的広い部屋であっても1台の空気処理装置により空気清浄できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記ケーシング(10)は、前記対象空間(S)の空気を吸込む2つの第2吸込口(22,22)を備え、
前記第2吸込口(22)のそれぞれは、前記第1吸込口(21)が設けられる面以外の前記ケーシング(10)側面に設けられる。
【0009】
第2の態様では、第2吸込口(22)は第1吸込口(21)と異なるケーシング(10)側面に設けられるため、第1吸込口(21)のみの場合よりも多方向から対象空間(S)の空気を吸い込むことができる。その結果、空気清浄効果を向上できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、
前記ファン(30)のそれぞれは、
前記第1吸込部(35)を有するファン本体(31)と、
前記ファン本体(31)と隣り合って配置されるファンモータ(32)とを備え、
2つの前記ファンモータ(32,32)は、上面視における前記空気処理装置の中央において互いに隣り合って配置される。
【0011】
第3の態様では、2つのファンモータ(32,32)がケーシング(10)側面から比較的離れて配置されるため、空気処理装置からの騒音を抑制できる。加えて、空気処理装置の重心が空気処理装置の中央に寄るため、空気処理装置の重量バランスも向上できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様において、
前記ファン本体(31)は、前記第1吸込部(35)とは逆方向から空気を吸い込む第2吸込部(36)を備え、
前記空気通路(P)は、
前記第1吸込口(21)と前記第1吸込部(35)とを連通する第1連通路(P1)と、
前記第2吸込口(22)と前記第2吸込部(36)とを連通する第2連通路(P2)とを有し、
前記ファンモータ(32)は、前記第2連通路(P2)に配置される。
【0013】
第4の態様では、第2吸込口(22)に流入し、第2連通路(P2)を流通する空気によりファンモータ(32)を冷却できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第4の態様において、
前記第2吸込口(22)は、
前記ケーシング(10)の前面(13a)または背面(13b)に設けられ、
前記第1吸込口(21)よりも開口面積が小さい。
【0015】
第5の態様では、第2吸込口(22)の開口面積を比較的小さくすることで、第2吸込口(22)における吸込風速を大きくできる。このことにより、ファンモータ(32)の冷却効果を向上できる。また、第2吸込口(22)を小さくすることで、ケーシング(10)前面の意匠性を向上できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第4または第5の態様において、
前記対象空間(S)の空気を吸い込む第3吸込口(23)をさらに備え、
前記第3吸込口(23)は、前記ケーシング(10)の前面(13a)または背面(13b)における、隣り合う2つの前記ファンモータ(32,32)の間の第1空間(60)に面する位置に設けられ、
前記第1空間(60)は、前記第2連通路(P2)に連通する。
【0017】
第6の態様では、第3吸込口(23)に流入する空気は、第1空間(60)を通過して第2連通路(P2)の空気と合流する。このことで、ファン(30)の第2吸込部(36)に吸い込まれる空気量を増大できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第3~第6の態様のいずれか1つにおいて、
隣り合って並ぶ2つの前記ファンモータ(32,32)は、並び方向に伸びる回転軸(39)をそれぞれ有し、
2つの前記ファンモータ(32,32)の回転軸(39)は、互いに逆方向に回転する。
【0019】
第7の態様では、2つのファンモータ(32,32)の回転軸(39)が互いに逆回転することで、回転軸(39)の回転により発生する慣性モーメントが互いに打ち消し合う作用が働く。その結果、ファンモータ(32)の振動を抑えることができる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記ケーシング(10)は、底板(12)、天板(11)、前面パネル(13a)および背面パネル(13b)を有し、
前記底板(12)、前記天板(11)、前記前面パネル(13a)および前記背面パネル(13b)の少なくとも1つは、2つの前記空気清浄ユニット(U1,U2)に亘って設けられる。
【0021】
第8の態様では、製品を一体化できる。また、部品点数を抑えることができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記吹出口(25)は、2つの前記空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれに個別に設けられる。
【0023】
第9の態様では、吹出風量を空気清浄ユニット(U1,U2)ごとに個別に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る空気処理装置の外観斜視図である。
図2図2は、空気処理装置を各方向から見た図である。(A)は、空気処理装置の平面図である。(B)は、空気処理装置の左側面図である。(C)は、空気処理装置の正面図である。(D)は、空気処理装置の右側面図である。
図3図3は、図1のIII-III矢視断面の斜視図である。
図4図4は、空気清浄ユニットの構成の概略を示す斜視図である。
図5図5は、制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
図6図6は、空気処理装置の制御を示すフローチャートである。
図7図7は、空気処理装置内で形成されるファン付近の空気流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0026】
(1)空気清浄機の全体構成
図1図3に示すように、空気清浄機(1)は、室内空間(S)に配置される床置き型である。空気清浄機(1)は、本開示の空気処理装置(1)の一例である。空気清浄機(1)は、吸い込んだ室内空間(S)の空気を清浄化する空気清浄機能を有する。室内空間(S)は、本開示の対象空間(S)の一例である。空気清浄機(1)は、主に、ケーシング(10)および2つの空気清浄ユニット(U1,U2)を有する。2つの空気清浄ユニット(U1,U2)は、左右方向に隣り合って配置される。以下、各構成について詳細に説明する。なお、以下に示す「上」、「下」、「右」、「左」、「前」および「後」は、空気清浄機(1)を正面から見た場合の方向を示す。
【0027】
(2)ケーシング
ケーシング(10)は、箱状に形成される。ケーシング(10)は、天板(11)、底板(12)、および4つの側板(13)を有する。4つの側板(13)は、前面パネル(13a)、背面パネル(13b)、右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)である。前面パネル(13a)および背面(13b)は、それぞれ本開示のケーシング(10)の前面(13a)および背面(13b)の一例である。ケーシング(10)は、吸込口(20)、吹出口(25)、フラップ(18)、および操作パネル(16)を有する。
【0028】
吸込口(20)は、室内空間(S)の空気を吸い込む。吸込口(20)は、ケーシング(10)の中央高さよりも下端寄りに配置される。このことで、床面に落ちている花粉やダニ等のアレルゲン物質や塵埃などを空気清浄機(1)に吸い込みやすくできる。吸込口(20)は、2つの第1吸込口(21,21)、2つの第2吸込口(22,22)、および1つの第3吸込口(23)を有する。
【0029】
第1吸込口(21)は、ケーシング(10)の側面に設けられる。具体的に、第1吸込口(21)は、右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)のそれぞれに設けられる。より具体的には、各第1吸込口(21)は、各側面パネル(13c,13d)の中央よりも下方、かつ、各側面パネル(13c,13d)の幅方向(前後方向)の略全域に設けられる。各第1吸込口(21)には、図示しないプレフィルタが配置される。プレフィルタは、各第1吸込口(21)を覆うように配置される。このことで、比較的大きな塵埃等が捕集される。
【0030】
2つの第2吸込口(22)のそれぞれは、第1吸込口(21)が設けられる面以外のケーシング(10)の面に設けられる。具体的に、各第2吸込口(22)は、前面パネル(13a)に設けられる。より具体的には、2つの第2吸込口(22)は、前面パネル(13a)の下端、かつ、中央寄りにおいて左右方向に並んで配置される。各第2吸込口(22)は、左右方向に伸びる長孔に形成される。
【0031】
第3吸込口(23)は、前面パネル(13a)に設けられる。具体的に、第3吸込口(23)は、前面パネル(13a)の下端、かつ、中央に配置される。第3吸込口(23)は、2つの第2吸込口(22)の間に配置される。第3吸込口(23)は、長孔に形成される。第3吸込口(23)は、後述する第1空間(60)に面する位置に設けられる。
【0032】
吹出口(25)は、室内空間(S)に空気を吹き出す。吹出口(25)は、第1吸込口(21)の上方に設けられる。具体的には、吹出口(25)は、天板(11)に設けられる。吹出口(25)は、2つの空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれに対応するように個別に設けられる。具体的に、吹出口(25)は、第1吹出口(25a)および第2吹出口を有する。第1吹出口(25a)および第2吹出口(25b)は左右方向に隣り合って配置される。第1吹出口(25a)は、天板(11)の中央から右端に亘って設けられる。第2吹出口(25b)は、天板(11)の中央から左端に亘って設けられる。
【0033】
フラップ(18)は、吹出口(25)の開閉および吹出口(25)における風向を調節する。フラップ(18)は、フラップモータ(19)(図5参照)の駆動により回動する。フラップ(18)は、左右方向を長辺とする長方形に形成される。本実施形態では、前後方向に配置される2枚のフラップが、第1吹出口(25a)および第2吹出口(25b)のそれぞれに配置される。
【0034】
操作パネル(16)は、天板(11)に設けられる。操作パネル(16)は、吹出口(25)よりも前方に配置される。操作パネル(16)は、空気清浄機(1)の電源スイッチや、フラップ(18)の開度を調節するボタンなどが搭載されている。操作パネル(16)には、現在の室内湿度や室温などの情報が表示されるディスプレイ(図示省略)が含まれる。
【0035】
ケーシング(10)には、メンテナンス開口(26)および扉部(27)が設けられる。メンテナンス開口(26)は、ケーシング(10)の部品の点検、修理、交換等を行うための孔である。メンテナンス開口(26)は、右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)のそれぞれに設けられる。具体的に、各メンテナンス開口(26)は、第1吸込口(21)の上方において、前後方向の略全域に形成される。扉部(27)は、メンテナンス開口(26)を開閉する部材である。扉部(27)は、右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)のそれぞれのメンテナンス開口(26)に設けられる。扉部(27)は、右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)の一部を兼用する。
【0036】
(2)空気清浄ユニット
図3および図4に示すように、2つの空気清浄ユニット(U1,U2)は、ケーシング(10)内に互いに隣り合うように配置される。2つの空気清浄ユニット(U1,U2)は、底板(12)において左右方向に並んで配置される。
【0037】
2つの空気清浄ユニット(U1,U2)は、第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)である。第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)は、同一部品で構成される。第1空気清浄ユニット(U1)は、ケーシング(10)内の右側部分に配置される。第2空気清浄ユニット(U2)は、ケーシング(10)内の左側部分に配置される。
【0038】
各空気清浄ユニット(U1,U2)は、主にファン(30)およびフィルタ部(40)を有する。各空気清浄ユニット(U1,U2)は、第1吸込口(21)と吹出口(25)とを連通する空気通路(P)を有する。以下、各空気清浄ユニット(U1,U2)の構成について説明する。なお、第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)の構成は共通しているため、必要に応じて第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)を区別して説明する。
【0039】
(2-1)ファン
図3図4および図7に示すように、ファン(30)は、主にファン本体(31)およびファンモータ(32)を有する。本実施形態のファン(30)は、シロッコファンである。ファン(30)は、空気通路(P)の空気を搬送する。
【0040】
ファン(30)は、底板(12)に配置される。ファン本体(31)とファンモータ(32)とは隣り合って配置される。具体的に、第1空気清浄ユニット(U1)では、右側面パネル(13c)から左方に向かって、ファン本体(31)およびファンモータ(32)が順に配置される。第2空気清浄ユニット(U2)では、左側面パネル(13d)から右方に向かって、ファン本体(31)およびファンモータ(32)が順に配置される。以下では、第1空気清浄ユニット(U1)に設けられるファンモータ(32a)を第1ファンモータ(32a)、第2空気清浄ユニット(U2)に設けられるファンモータ(32b)を第2ファンモータ(32b)と呼ぶ場合がある。
【0041】
ファン(30)は、空気通路(P)の空気を搬送するための2つの吸込部(35,36)および1つの吹出部(37)を備える。2つの吸込部(35,36)および1つの吹出部(37)は、ファン本体(31)に設けられる。
【0042】
(2-1-1)ファン本体
ファン本体(31)は、ファンハウジング(33)およびファンロータ(34)を有する。ファンハウジング(33)は、ファンロータ(34)を収容する。
【0043】
2つの吸込部(35,36)は、第1吸込部(35)および第2吸込部(36)である。第1吸込部(35)および第2吸込部(36)は、ファンハウジング(33)に形成される円形の開口である。第1吸込部(35)および第2吸込部(36)は、吸込口(20)から吸い込まれた空気をファンロータ(34)に案内する。
【0044】
第1吸込部(35)は、第1吸込口(21)に対向する位置に設けられる。具体的に、第1空気清浄ユニット(U1)の第1吸込部(35)は、右側面パネル(13c)の第1吸込口(21)に向かい合う。第2空気清浄ユニット(U2)の第1吸込部(35)は、左側面パネル(13d)の第1吸込口(21)に向かい合う。このように、各ファン(30)は、第1吸込部(35)が第1吸込口(21)に向かい合うように配置される。言い換えると、各第1吸込口(21)は、ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合うように配置される。
【0045】
第2吸込部(36)は、第1吸込部(35)とは逆方向から空気を吸い込む。具体的に、第1空気清浄ユニット(U1)の第2吸込部(36)の開口面は左方を向いている。第2空気清浄ユニット(U2)の第2吸込部(36)の開口面は右方を向いている。各第2吸込部(36)は、ファンモータ(32a,32b)に面して配置される。
【0046】
吹出部(37)は、ファンハウジング(33)の上面に設けられる開口である。吹出部(37)は、ファンハウジング(33)内の空気をフィルタ部(40)に向かって吹き出す。
【0047】
ファンロータ(34)は、外形が円筒状に形成される羽根車を構成している。ファンモータ(32)の駆動により、ファンロータ(34)は水平方向を軸方向として回転する。ファンロータ(34)の外周縁には、複数の羽根(34a)が略等間隔に配置される。ファンロータ(34)は、その両端がファンハウジング(33)の2つの吸込部(35,36)にそれぞれに面するように配置される。
【0048】
(2-2-2)ファンモータ
第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)は、上面視における空気清浄機(1)の中央において互いに隣り合って並ぶ。第1ファンモータ(32a)は、右側に配置される第2吸込口(22)の後方に配置される。第2ファンモータ(32b)は、左側に配置される第2吸込口(22)の後方に配置される。ファンモータ(32a,32b)はそれぞれ、第2吸込口(22)と第2吸込部(36)とを連通する第2連通路(P2)に配置される(詳細は後述する)。
【0049】
2つのファンモータ(32a,32b)は、並び方向(左右方向)に伸びるシャフト(39)をそれぞれ有する。シャフト(39)は、ファンロータ(34)を回転可能に支持する。シャフト(39)は、本開示の回転軸(39)の一例である。第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)のシャフト(39,39)は互いに逆方向に回転する。
【0050】
(3)フィルタ部
フィルタ部(40)は、空気通路(P)に配置される。フィルタ部(40)は、ファン(30)の上方に配置される。フィルタ部(40)は、ファン(30)に搬送された空気中の汚染物を捕集する。
【0051】
フィルタ部(40)は、集塵フィルタ(41)、脱臭フィルタ(42)、UVランプ(44)および遮光部材(43)を備える。集塵フィルタ(41)および脱臭フィルタ(42)は、それぞれのフィルタ面が略水平となるよう配置される。
【0052】
集塵フィルタ(41)は、脱臭フィルタ(42)の下方に配置される。集塵フィルタ(41)は、微細な花粉、PM2.5などの塵埃などを捕集する。
【0053】
脱臭フィルタ(42)は、集塵フィルタ(41)を通過した空気を脱臭する。脱臭フィルタ(42)は、活性炭などを含み、空気中のホルムアルデヒドや臭い成分などを吸着し、または分解する。
【0054】
UVランプ(44)は、集塵フィルタ(41)の下方に配置される。UVランプ(44)は、上方に向かって紫外線を照射することで、集塵フィルタ(41)および脱臭フィルタ(42)の除菌および殺菌を行う。
【0055】
遮光部材(43)は、脱臭フィルタ(42)の上方に配置される。遮光部材(43)は、UVランプ(44)からの照射により2つのフィルタ(41,42)を通過した一部の紫外線を遮蔽する部材である。これにより、紫外線がフィルタ部(40)上方に漏れることが抑制される。遮光部材(43)の上面は、グリル状に形成されており、遮光部材(43)の下方から進入する紫外線を遮蔽しつつ、2つのフィルタ(41,42)を通過した空気を吹出口(25a,25b)に向かって通過させる。
【0056】
(4)電装品箱および支持部材
空気清浄機(1)は、電装品箱(50)および支持部材(51)を有する。電装品箱(50)内には、2つのファン(30,30)の運転により発生するノイズをキャンセルする基板が配置される。電装品箱(50)は、支持部材(51)内に配置される。支持部材(51)は、第1空間(60)に配置される。第1空間(60)は、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)の間の空間である。支持部材(51)は、第1空間(60)において、前後方向に伸びるように設けられる。支持部材(51)により第1空間(60)は、第1空気清浄ユニット(U1)側の空間と、第2空気清浄ユニット(U2)側の空間とに左右に仕切られる。
【0057】
(5)制御部
図5に示すように、空気清浄機(1)は、制御部(C)を有する。制御部(C)には、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイスとが設けられる。
【0058】
制御部(C)は、空気清浄機(1)の各種の機器と有線または無線により接続される。制御部(C)は、操作パネル(16)から送信される所定の運転指令(例えば、空気清浄機(1)の電源ON/OFF指令、ファンモータ(32)の回転数切り換え、フラップ(18)の開度調節)に基づいて、各種の機器の動作を制御する。制御部(C)は、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)の運転を個別に制御してもよいし、同一に制御してもよい。
【0059】
(6)空気清浄機の運転
本実施形態の空気清浄機(1)は、通常モードおよび静音モードの2種類の運転モードを有する。運転モードは、ユーザの操作に基づいて操作パネル(16)により選択される。通常モードは、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)を駆動するモードである。静音モードは、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)のいずれか一方を駆動するモードである。以下、図6を用いて制御フローの一例について説明する。なお、以下に示す静音モードでは、第1ファンモータ(32a)が駆動されるが、第2ファンモータ(32b)が駆動されてもよい。
【0060】
ステップS1では、ユーザの操作により、操作パネル(16)から電源ONの指令が入力されると、制御部(C)は空気清浄機(1)を起動する。
【0061】
ステップS2では、制御部(C)は、通常モードおよび静音モードのいずれが選択されたかを判定する。この判定は、ユーザの操作により操作パネル(16)に入力された運転指令(入力信号)に基づいて行われる。通常モードが選択された場合(ステップS2のYES)、ステップS3が実行される。通常モードが選択されなかった場合(ステップS2のNO)、静音モードが選択されたとみなしてステップS4が実行される。
【0062】
ステップS3では、制御部(C)は、通常モードの運転を開始する。具体的に、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)が駆動される。これにより、全ての吸込口(20)に室内空間(S)の空気が流入する。第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)のそれぞれにおいて、ファン(30)を通過した空気は、フィルタ部(40)により清浄化されて、吹出口(25)から室内空間(S)へ吹き出される。このように、通常モードでは、第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)の両ユニット内の空気通路(P)を空気が流通する。
【0063】
ステップS4では、制御部(C)は、静音モードの運転として、第1ファンモータ(32a)を駆動する。これにより、第1空気清浄ユニット(U1)に対応する第1吸込口(21)および第2吸込口(22)と、第3吸込口(23)とに室内空気が流入する。第1空気清浄ユニット(U1)において、ファン(30)を通過した空気は、フィルタ部(40)により清浄化されて、吹出口(25)から室内空間(S)へ吹き出される。静音モードにおいて、第2ファンモータ(32b)が駆動された場合も同様である。このように、静音モードでは、第1空気清浄ユニット(U1)および第2空気清浄ユニット(U2)のいずれかの空気通路(P)を空気が流通する。また、静音モードでは、2つのファンモータ(32)のうち一方のファンモータ(32)が駆動されるため、通常モードよりも装置の運転音が静かになる。
【0064】
(7)空気清浄機内の空気流れ
図7を用いて、ファン(30)付近の空気流れ(空気通路)について説明する。図7中の矢印は、空気の流れる方向を示す。以下では、通常モードが選択された場合について説明する。
【0065】
空気通路(P)は、2つの第1連通路(P1,P1)および第2連通路(P2,P2)を有する。各第1連通路(P1)は、第1吸込口(21)と第1吸込部(35)とを連通する。具体的に、一方の第1連通路(P1)は、右側面パネル(13c)の第1吸込口(21)と第1空気清浄ユニット(U1)のファン(30)の第1吸込部(35)とを連通する。他方の第1連通路(P1)は、左側面パネル(13d)の第1吸込口(21)と第2空気清浄ユニット(U2)のファン(30)の第1吸込部(35)とを連通する。
【0066】
各第2連通路(P2)は、第2吸込口(22)と第2吸込部(36)とを連通する。具体的に、一方の第2連通路(P2)は、第3吸込口(23)の右側に配置される第2吸込口(22)と、第1空気清浄ユニット(U1)のファン(30)の第2吸込部(36)とを連通する。他方の第2連通路(P2)は、第3吸込口(23)の左側に配置される第2吸込口(22)と、第2空気清浄ユニット(U2)のファン(30)の第2吸込部(36)とを連通する。
【0067】
第1連通路(P1)では、第1吸込口(21)から吸い込まれた空気は、ファン(30)の第1吸込部(35)に流入する。第1吸込口(21)は、第1吸込部(35)に向かい合って配置され、かつ、第1吸込部(35)の近傍に配置される。また、第1吸込部(35)と第1吸込口(21)との間には機能部品が配置されていない。このことで第1連通路(P1)を流通する空気が受ける通風抵抗が抑えられる。
【0068】
第2連通路(P2)では、第2吸込口(22)から吸い込まれた空気は、ファン(30)の第2吸込部(36)に流入する。ファンモータ(32)は第2吸込部(36)に面して配置されている。また、第2吸込口(22)の開口は、第1吸込口(21)よりも小さく形成されているため、第2吸込口(22)には第1吸込口(21)よりも高速で空気が流入する。このことで、第2連通路(P2)に配置されたファンモータ(32)の冷却効果を高めることができる。
【0069】
第3吸込口(23)から吸い込まれた空気は、第1空間(60)において支持部材(51)により左右に分流する。右方に分流した空気は、第1空気清浄ユニット(U1)のファン(30)の第2吸込部(36)に流入する。左方に分流した空気は、第2空気清浄ユニット(U2)のファン(30)の第2吸込部(36)に流入する。このように、第1空間(60)は、第2連通路(P2)に連通し、第1空間(60)の空気も第2吸込口(22)に流入する。
【0070】
(8)特徴
(8-1)特徴1
本実施形態の空気清浄機(1)は、左右に互いに隣り合う2つの空気清浄ユニット(U1,U2)を有する。各空気清浄ユニット(U1,U2)は、空気通路(P)の空気を搬送するファン(30)を備え、側面パネル(13c,13d)に形成される第1吸込口(21)は、各ファン(30)の第1吸込部(35)に向かい合うように配置される。
【0071】
本実施形態によると、空気清浄機(1)に設けられる2つのファン(30,30)により、室内空気の吸い込み風量を増大できる。加えて、第1吸込口(21)と第1吸込部(35)とは向かい合って配置されるため、第1吸込口(21)に流入した空気を第1吸込部(35)に吸込みやすくできる。その結果、空気清浄機(1)に吸い込まれる室内空間(S)の吸込み空気量を大きくできる。
【0072】
加えて、本例の空気清浄機(1)は、2つの空気清浄ユニット(U1,U2)のそれぞれにフィルタ部(40)を備えているため、吸い込み風量が比較的多くても該空気を清浄化できる。その結果、比較的広い室内空間(S)でも1台の空気清浄機(1)で十分に空気清浄できる。
【0073】
加えて、空気清浄ユニット(U1,U2)ごとに空気通路(P)が設けられる。このことにより、空気清浄ユニット(U1,U2)毎に個別に風量調節などを行うことができる。
【0074】
(8-2)特徴2
本実施形態の空気清浄機(1)は、室内空間(S)の空気を吸い込む2つの第2吸込口(22,22)を備える。第2吸込口(22)のそれぞれは、第1吸込口(21)が設けられる側面パネル(13c,13d)以外の側板(13)である前面パネル(13a)に設けられる。
【0075】
本実施形態によると、側面パネル(13c,13d)と前面パネル(13a)とに吸込口(20)が設けられる。このことにより、空気清浄機(1)の両側方および前方から空気を吸い込むことができ、第1吸込口(21)のみから吸い込む場合と比べ、吸込み空気量を多くできると共に、空気を吸込む範囲(領域)も広くできる。その結果、効率よく部屋を空気清浄できる。
【0076】
(8-3)特徴3
本実施形態の空気清浄機(1)では、2つのファンモータ(32,32)は、上面視における空気清浄機(1)の中央において互いに隣り合って配置される。
【0077】
本実施形態によると、2つのファンモータ(32,32)は、底板(12)の中央寄りに配置される。言い換えると、2つのファンモータ(32,32)は、いずれの側板(13)からも比較的離れた位置に設けられるため、ファンモータ(32,32)の運転に起因する空気清浄機(1)の騒音を抑えることができる。加えて、2つのファンモータ(32,32)の配置により、重心が底板(12)の中央に寄るため、重量バランスも向上できる。底板(12)の一部に重量が偏らないため、底板(12)の破損や変形を抑えることができると共に、空気清浄機(1)の運搬も比較的容易に行うことができる。
【0078】
(8-4)特徴4
本実施形態の空気清浄機(1)では、ファン(30)は、第1吸込部(35)とは逆方向から空気を吸い込む第2吸込部(36)を備える。空気通路(P)は、第2吸込部(36)と第2吸込口(22)とを連通する第2連通路(P2)を有し、ファンモータ(32)は、第2連通路(P2)に配置される。
【0079】
本実施形態によると、第2吸込口(22)から吸い込まれる室内空気により、ファンモータ(32)を冷却できる。このように、空気通路(P)にファンモータ(32)が配置されない場合に比べ、ファンモータ(32)の発熱による温度上昇を抑えることができる結果、ファン(30)近傍に配置される電装品箱(50)等の機能部品に対する熱影響を抑えることができる。
【0080】
(8-5)特徴5
本実施形態の空気清浄機(1)では、第2吸込口(22)は前面パネル(13a)に設けられる。第2吸込口(22)の開口面積は、第1吸込口(21)のそれよりも小さい。
【0081】
本実施形態によると、第2吸込口(22)の開口面積を小さくすることで、第2吸込口(22)に吸い込まれる際の風速を大きくできる。このことにより、ファンモータ(32)への冷却効果を向上できる。また、第2吸込口(22)の開口面積を小さくすることで、前面パネル(13a)の意匠性を向上できる。
【0082】
(8-6)特徴6
本実施形態の空気清浄機(1)では、第3吸込口(23)は、前面パネル(13a)のうち、隣り合う2つのファンモータ(32)の間の第1空間(60)に面する位置に設けられる。第1空間(60)は、第2連通路(P2)に連通する。
【0083】
本実施形態によると、第1空間(60)は第2連通路(P2)に連通するため、第3吸込口(23)から流入した空気は、第2吸込口(22)から吸い込まれた空気に合流する。このことで、ファン(30)の第2吸込部(36)に流入する空気流量を増大できる。言い換えると、第2吸込口(22)に加え、第3吸込口(23)を設けることで、前面パネル(13a)に設けられる吸込口の開口面積を大きくすることができ、それにより前面パネル(13a)前方の室内空気の吸い込み量を増大できる。
【0084】
加えて、第3吸込口(23)の開口は、第2吸込口(22)と同様に比較小さいため、前面パネル(13a)の意匠性を向上できる。
【0085】
(8-7)特徴7
本実施形態の空気清浄機(1)では、第1ファンモータ(32a)および第2ファンモータ(32b)は、並び方向に伸びるシャフト(39)(回転軸)をそれぞれ有する。2つのファンモータ(32a,32b)のシャフト(39,39)は、互いに逆方向に回転する。
【0086】
本実施形態によると、両シャフト(39,39)が互いに逆回転することで、軸回転による慣性モーメントを互いに打ち消し合う作用が生じる。このことにより、2つのファンモータ(32,32)の運転による振動を抑えることができる。
【0087】
(8-8)特徴8
本実施形態の空気清浄機(1)では、底板(12)、天板(11)、前面パネル(13a)、および背面パネル(13b)は、2つの空気清浄ユニット(U1,U2)に亘って設けられる。このように、2つの空気清浄ユニット(U1,U2)を1つのケーシング(10)により一体化できる。各空気清浄ユニット(U1,U2)に対してケーシングを設ける必要がないため、部品点数を抑えることができる。
【0088】
(8-9)特徴9
本実施形態の空気清浄機(1)では、吹出口(25)は、第1空気清浄ユニット(U1)の上方に配置される第1吹出口(25a)と、第2空気清浄ユニット(U2)の上方に配置される第2吹出口(25b)とを有する。
【0089】
本実施形態によると、吹出口(25)を各空気清浄ユニット(U1,U2)毎に設けることにより、吹出風量を空気清浄ユニット(U1,U2)ごとに個別に調節できる。
【0090】
(9)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0091】
空気清浄機(1)は、各空気清浄ユニット(U1,U2)に放電装置が設けられる構成としてもよい。放電装置は、空気通路(P)内においてストリーマ放電を発生する。放電装置は、グロー放電やコロナ放電を発生する方式でもよい。放電装置から放電が生じると、空気中に生成される活性種(高速電子、イオン、水酸化ラジカル、励起分子など)によって、空気通路(P)内の空気中の有害成分、臭気成分、アレルゲンなどが分解される。放電装置は、空気通路(P)内に配置される。具体的に、各放電装置は、第1空気清浄ユニット(U1)と第2空気清浄ユニット(U2)との間の空間に面した位置に配置される。このような位置に設けられることで、放電装置の修理、電極の交換などが行いやすくなる。
【0092】
ケーシング(10)は、第1吸込口(21)が設けられていればよく、第2吸込口(22)および第3吸込口(23)の少なくとも一方は設けられていなくてもよい。
【0093】
第2吸込口(22)および第3吸込口(23)の少なくとも一方は、背面パネル(13b)に設けられていてもよい。このような構成においても、第2吸込口(22)または第3吸込口(23)を介して吸い込まれた空気は第1空間を経由して第2連通路(P2)の空気に合流できる。
【0094】
ケーシング(10)は、空気清浄ユニットごとに個別に設けられていてもよい。この場合、例えば、ケーシング(10)の底板(12)を2つの空気清浄ユニット(U1,U2)に亘って設けて、ケーシング(10)の天板(11)、前面パネル(13a)および背面パネル(13b)を空気清浄ユニット(U1,U2)ごとに個別に設けることもできる。
【0095】
ケーシング(10)に設けられる吹出口(25)は、1つであってもよい。具体的に、吹出口(25)は、空気清浄ユニット(U1,U2)ごとに設けられず、1つの吹出口(25)が天板の左右端に亘って設けれてもよい。
【0096】
フラップ(18)は、左右方向に2つに分割されていなくてもよい。1枚のフラップ(18)が、吹出口(25)の左右端に亘って設けられてもよい。
【0097】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本開示は、空気処理装置について有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 空気清浄機(空気処理装置)
10 ケーシング
11 天板
12 底板
13a 前面パネル(前面)
13b 背面パネル(背面)
21 第1吸込口
22 第2吸込口
23 第3吸込口
25 吹出口
30 ファン
31 ファン本体
32 ファンモータ
35 第1吸込部
36 第2吸込部
39 シャフト(回転軸)
40 フィルタ部
60 第1空間
P 空気通路
P1 第1連通路
P2 第2連通路
S 対象空間(室内空間)
U1 第1空気清浄ユニット(空気清浄ユニット)
U2 第2空気清浄ユニット(空気清浄ユニット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7