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特許7560767室内空気品質予測方法、及び室内空気品質検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】室内空気品質予測方法、及び室内空気品質検出システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240926BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20240926BHJP
【FI】
G06N20/00
F24F11/62
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2022568273
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2021044791
(87)【国際公開番号】W WO2022124276
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202011430194.0
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】劉 晨皓
(72)【発明者】
【氏名】呉 珂
(72)【発明者】
【氏名】小田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】成川 嘉則
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0224915(US,A1)
【文献】国際公開第2018/173401(WO,A1)
【文献】特開2016-164730(JP,A)
【文献】中国実用新案第210573339(CN,U)
【文献】中国実用新案第206649297(CN,U)
【文献】特開2004-310266(JP,A)
【文献】特開2017-207218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06N 3/02-3/10
F24F 11/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習して得られた多数の履歴時系列変化モデルから、
一つの所定期間に前記検出エリア(S)に設けられたセンサユニット(111)によって連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値の集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するとともに、
選択した前記履歴時系列変化モデルに基づいて、これからの一定の期間の予測値を推定
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しないと、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つけるまで、開始時刻および/または長さが前記一つの所定期間と異なる次の所定期間の複数の時系列検出値の新たな集合を再選択し、前記新たな集合との間で前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在するか否かを判断し続ける、
ことを特徴とする、室内空気品質予測方法。
【請求項2】
検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習して得られた多数の履歴時系列変化モデルから、
一つの所定期間に前記検出エリア(S)に設けられたセンサユニット(111)によって連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値の集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するとともに、
選択した前記履歴時系列変化モデルに基づいて、これからの一定の期間の予測値を推定し、
前記予測値が予め設定された閾値を超えた場合には、予め決定された方法で上記場合の発生可能性を通知するかまたは対応する手段を講じることを通知し、あるいは、対応する手段を講じるように自動的に制御し、
初回通知の開始からの所定の時間後、予測値が依然として前記予め設定された閾値を超えると、空気処理装置(200)を強制的に起動するかまたは前記空気処理装置(200)の性能を強制的に調整する、
ことを特徴とする、室内空気品質予測方法。
【請求項3】
検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習して得られた多数の履歴時系列変化モデルから、
一つの所定期間に前記検出エリア(S)に設けられたセンサユニット(111)によって連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値の集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するとともに、
選択した前記履歴時系列変化モデルに基づいて、これからの一定の期間の予測値を推定し、
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の一つの履歴時系列学習値を次の単位時間の予測値として用いて、
前記次の単位時間の予測値と前記センサユニット(111)で検出された次の単位時間の検出値との間の誤差を計算し、
前記誤差が許容値以下となると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、
ことを特徴とする、室内空気品質予測方法。
【請求項4】
検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習して得られた多数の履歴時系列変化モデルから、
一つの所定期間に前記検出エリア(S)に設けられたセンサユニット(111)によって連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値の集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するとともに、
選択した前記履歴時系列変化モデルに基づいて、これからの一定の期間の予測値を推定し、
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の複数の履歴時系列学習値を次の所定期間の予測値として用いて、
次の所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された複数の時系列検出値の集合と前記次の所定期間の予測値の集合との間のデータセット誤差が許容誤差範囲内にあるかを判断し、
前記データセット誤差が前記許容範囲内にあると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、
ことを特徴とする、室内空気品質予測方法。
【請求項5】
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが複数存在すると、前記集合との間のマッチング程度が最高となる履歴時系列変化モデルを選択する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項6】
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つける時刻まで、該時刻及び該時刻の前の全ての前記時系列検出値を学習することによって、新たな履歴時系列変化モデルとして生成する、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項7】
前記時刻の後の検出過程では、検出された新たな時系列検出値を前記新たな履歴時系列変化モデルに入力し続けることで、前記新たな履歴時系列変化モデルを更新する、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項8】
前記予測値が予め設定された閾値を超えた場合には、予め決定された方法で上記場合の発生可能性を通知するかまたは対応する手段を講じることを通知し、あるいは、対応する手段を講じるように自動的に制御する、
ことを特徴とする請求項1、3および4のいずれか一項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項9】
前記予め決定された方法は、
ブザー、警報器、画像表示設備、指示ランプで通知を発すること、および/または
リモコン、携帯電話、PC側を介して信号を受信するとともに通知を発すること、
を含む、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項10】
前記対応する手段は、
自らでドア、窓を開けるように促すこと、および/または
前記検出エリア(S)内の人数を制御するように促すこと、および/または
前記検出エリア(S)から離れるように促すこと、および/または
空気処理装置(200)を手動でオンにするように促すか、空気処理装置(200)を強制的に自動的にオンにすること、
を含む、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項11】
一定の期間後の予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測した場合に、上記場合の発生可能性を関係者または関連機器に通知し、あるいは、空気処理装置(200)の運転負荷を下げるかまたは前記空気処理装置(200)の運転を停止するように関係者または関連機器に通知する、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項12】
前記誤差が許容値よりも大きくなると、履歴時系列変化モデルを再選択する、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項13】
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の複数の履歴時系列学習値を次の所定期間の予測値として用いて、
次の所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された複数の時系列検出値の集合と前記次の所定期間の予測値の集合との間のデータセット誤差が許容誤差範囲内にあるかを判断し、
前記データセット誤差が前記許容範囲内にあると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、
ことを特徴とする、請求項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項14】
前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、または、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値及び前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、選択した前記履歴時系列変化モデルを修正して修正後モデルを単独に生成するとともに、前記修正後モデルを用いて後続の予測を行う、
ことを特徴とする、請求項4または13に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項15】
前記データセット誤差が前記許容範囲外にあると、履歴時系列変化モデルを再選択する、
ことを特徴とする、請求項4または13に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項16】
前記検出対象は、二酸化炭素、二酸化炭素以外の他のガス成分、粒子状物質、温度、湿度のいずれか一つ以上である、
ことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の室内空気品質予測方法。
【請求項17】
検出エリア(S)に設けられた一つ以上のセンサユニット(111)をそれぞれ有する少なくとも一つの検出端末(110)と、
一つの所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値を受信するデータ受信モジュール(120)と、
前記検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するデータ分析モジュール(130)と、
多くの前記履歴時系列変化モデルから複数の前記時系列検出値からなる集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択することによって、これからの一定の期間の予測値を推定する選択予測モジュール(140)と、
を含
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しないと、前記データ受信モジュール(120)は、開始時刻および/または長さが前記一つの所定期間と異なる次の所定期間の複数の時系列検出値の新たな集合を再選択し、
前記選択予測モジュール(140)は、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つけるまで、前記新たな集合との間で前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在するか否かを判断し続ける、
ことを特徴とする、室内空気品質検出システム。
【請求項18】
検出エリア(S)に設けられた一つ以上のセンサユニット(111)をそれぞれ有する少なくとも一つの検出端末(110)と、
一つの所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値を受信するデータ受信モジュール(120)と、
前記検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するデータ分析モジュール(130)と、
多くの前記履歴時系列変化モデルから複数の前記時系列検出値からなる集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択することによって、これからの一定の期間の予測値を推定する選択予測モジュール(140)と、
を含み、
前記選択予測モジュール(140)は、さらに、
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の一つの履歴時系列学習値を次の単位時間の予測値として用いて、
前記次の単位時間の予測値と前記センサユニット(111)で検出された次の単位時間の検出値との間の誤差を計算するとともに、
前記誤差が許容値以下となると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続けるように構成される、
ことを特徴とする、室内空気品質検出システム。
【請求項19】
検出エリア(S)に設けられた一つ以上のセンサユニット(111)をそれぞれ有する少なくとも一つの検出端末(110)と、
一つの所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値を受信するデータ受信モジュール(120)と、
前記検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するデータ分析モジュール(130)と、
多くの前記履歴時系列変化モデルから複数の前記時系列検出値からなる集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択することによって、これからの一定の期間の予測値を推定する選択予測モジュール(140)と、
を含み、
前記選択予測モジュール(140)は、さらに、
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の複数の履歴時系列学習値を次の所定期間の予測値として用いて、
次の所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された複数の時系列検出値の集合と前記次の所定期間の予測値の集合との間のデータセット誤差が許容誤差範囲内にあるか否かを判断するとともに、
前記データセット誤差が許容誤差範囲内にあると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、
ことを特徴とする、室内空気品質検出システム。
【請求項20】
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが複数存在すると、前記選択予測モジュール(140)は、前記集合との間のマッチング程度が最高となる履歴時系列変化モデルを選択する、
ことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項21】
前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つける時刻まで、前記データ分析モジュール(130)は、該時刻及び該時刻の前の全ての前記時系列検出値を学習することによって、新たな履歴時系列変化モデルを生成する、
ことを特徴とする、請求項17に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項22】
前記時刻の後の検出過程では、前記データ分析モジュール(130)は、検出された新たな時系列検出値に基づいて前記新たな履歴時系列変化モデルを更新する、
ことを特徴とする、請求項21に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項23】
前記選択予測モジュール(140)は、さらに、前記誤差が許容値よりも大きくなると、履歴時系列変化モデルを再選択するように構成される、
ことを特徴とする、請求項18に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項24】
前記選択予測モジュール(140)は、さらに、
選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の複数の履歴時系列学習値を次の所定期間の予測値として用いて、
次の所定期間に前記センサユニット(111)で連続して検出された複数の時系列検出値の集合と前記次の所定期間の予測値の集合との間のデータセット誤差が許容誤差範囲内にあるか否かを判断するとともに、
前記データセット誤差が許容誤差範囲内にあると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、
ことを特徴とする、請求項18に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項25】
前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、または、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値及び前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、前記選択予測モジュール(140)は、選択した前記履歴時系列変化モデルを修正して修正後モデルを単独に生成するとともに、前記修正後モデルを用いて後続の予測を行う、
ことを特徴とする、請求項24に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項26】
前記選択予測モジュール(140)は、さらに、前記データセット誤差が許容誤差範囲外にあると、履歴時系列変化モデルを再選択するように構成される、
ことを特徴とする、請求項24に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項27】
前記予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは前記予め設定された閾値を下回る場合に、通知ユニットに通知指令を発するための通知モジュール(170)を含む、
ことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項28】
前記通知ユニットは、ブザー、警報器、画像表示設備、指示ランプ、リモコン、携帯電話、パソコンを含む、
ことを特徴とする、請求項27に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項29】
前記予測値が予め設定された閾値を超えると、空気処理装置(200)を起動するかまたは空気処理装置(200)の性能を調整する、あるいは、前記予測値が予め設定された閾値を超えてから一定の期間だけ経過すると、空気処理装置(200)を強制的に起動するかまたは空気処理装置(200)の性能を強制的に調整する、制御ユニットを含む、
ことを特徴とする、請求項17から19、27および28のいずれか一項に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項30】
一定の期間後の予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測した場合に、前記制御ユニットは、空気処理装置(200)の運転負荷を下げるかまたは前記空気処理装置(200)の運転を停止する、
ことを特徴とする、請求項29に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項31】
前記制御ユニットは、スマートゲートウェイ(160)である、
ことを特徴とする、請求項29または30に記載の室内空気品質検出システム。
【請求項32】
前記制御ユニットは、前記検出エリア(S)以外に設けられた監視センター(180)に取り付けられる、
ことを特徴とする、請求項29または30に記載の室内空気品質検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出の分野に関し、より具体的には、実際に測定された室内の空気品質の検出値に基づいてこれからの一定の期間の室内の空気品質を予測する室内空気品質予測方法及び該予測方法を用いる室内空気品質検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、室内の空気品質に対する検出(または品質評価)は、何れも室内空気中の各成分の濃度を検出するとともに、検出された検出値(濃度値)と予め設定された閾値とに基づいて、室内空気中の各成分の濃度を適宜な範囲に制御するように、室内に設けられた空気清浄機器(空調機、空気清浄機など)の動作を制御する。
【0003】
しかし、センサの特性やガスの拡散特性などにより、正確な濃度を検出するには一定の時間がかかり、明らかにヒステリシスがあることが知られている。二酸化炭素を例にすると、もし室内空気中の二酸化炭素の濃度が既に予め設定された閾値を超えてから排気ファンをオンにするか、または、空調機の排気モードを起動すると、二酸化炭素の濃度が予め設定された閾値を超えたことが検出されたときに、室内の人々は既に二酸化炭素が基準を超えた環境にいるだけでなく、排気ファンのオンや排気モードの起動から二酸化炭素が適宜な範囲に低下するまでに一定の時間がかかり、その期間中、人々は、このような環境で不快に感じ続けている。
【0004】
従って、従来、室内空気の濃度を事前に予測する方法が多く提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2003-090819号公報)において、ガスセンサ素子1におけるセンサ出力Y(t)の時間微分値A(t)(すなわち、センサの出力値の時間に伴う変化量)とA(t)の時間微分値B(t)(即ち、上記変化量の時間に伴う変化量)を用いて、これからの一定の期間のセンサ出力を予測し、特定ガス濃度を検出する、物質濃度の定量方法、物質濃度検出装置及び記録媒体が提案されている。
【0006】
また、例えば、特許文献2(特許第3830846号公報)において、ガスセンサが起動するときのガス濃度予測方法及びガス検知方法が提案され、ここに、前記ガスセンサの出力が安定する前の所定期間に、ガスセンサを起動してからの所定期間における該ガスセンサの出力値の変化速度(即ち、センサ出力の時間微分値)に基づいて、被検出ガスのガス濃度を予測する。
【0007】
特許文献1と特許文献2のいずれも一つずつの実データの変化に基づいて、センサ出力の時間微分値を用いて、データ変化の傾向線をフィッティングし、これからの一定の期間のセンサ出力を予測(または計算)する。
【0008】
しかしながら、これは必然的に大量の計算につながり、検出ごとにこのような大量の計算が必要となり、検出機器内に設けられた演算器に大きな負担をかけることになる。
【0009】
現在、ニューラルネットワークを利用したAI技術と画像認識技術の継続的な発展に伴い、室内空気の濃度を予測する方法も絶えず改善され、最適化されている。
【0010】
例えば、特許文献3(中国特許出願公開第109442695号明細書)において、現在の室内画像と現在の室内の二酸化炭素の濃度データとを収集するステップと、前記現在の室内画像および/または前記現在の室内二酸化炭素の濃度データに基づいて現在の室内人数を認識するステップと、前記現在の室内の二酸化炭素の濃度データと前記現在の室内人数とに基づいて、第一所定期間後の温度変化量と二酸化炭素の濃度変化量とを予測するステップと、前記温度変化量と前記二酸化炭素の変化量に基づいて空調および/または新風システムを調節するステップと、を含む、室内人数に基づく空調及び新風システムの予測制御方法及びシステムが提案されている。
【0011】
なお、また、例えば、特許文献4(中国特許出願公開第109812938号明細書)において、データ収集ノードを介して室内の空気品質と人数のデータをリアルタイムに収集するデータリアルタイムリー収集ステップと、収集した室内の空気品質データを空気品質事前分析モデルに導入し、モデルに対してさらに学習トレーニングを行うとともに、室内人数データの変化状況および現在の室内の空気品質データと合わせて室内の空気品質データの変化傾向を分析するデータ事前分析ステップと、空気品質事前分析モデルのデータ分析結果に基づいて室内の空気品質を事前浄化する事前浄化ステップと、を含む、ニューラルネットワークに基づく空気浄化方法及びシステムが提案されている。
【0012】
特許文献3と特許文献4のいずれも室内画像から人数データを収集したり、室内人数を正確に認識したりするとともに、その室内人数を考慮した上で、室内空気中の単一の検出対象の検出値の変化傾向を予測または分析する必要がある。
しかし、室内人数を正確に認識する画像センサや認識方式は、必然的に検出機器のコストの大幅な増加を招く一方、室内空気の濃度変化と室内人数は、唯一の傾向対応関係ではなく、他の環境要因、例えば、一人当たりのCO排出量の違い、室内空間の面積の大きさ、室内に緑植があるか否か、窓を開けたか否か/ドアを開けたか否かなどから影響を受け、このとき、室内人数が多いときの室内空気中の単一の検出対象(例えば、CO濃度)の検出値は、逆に室内人数が少ないときの室内空気中の単一の検出対象(例えば、CO濃度)の検出値よりも小さくなる場合がある。この場合、特許文献3、特許文献4のように室内人数(単一の要因)を室内空気の検出値の変化傾向を修正する根拠として用いると、逆に検出値の変化傾向の予測や分析が不正確になってしまう。
【0013】
従って、検出値の変化傾向を修正する根拠として、具体的な単一の要因(例えば、室内人数)を考慮することなく、これからの一定の期間の傾向値を事前にかつ正確に予測することは、早急に解決すべき技術的課題となっている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、上記技術課題を解決するためになされたものであり、検出値の変化傾向を修正する根拠として具体的な単一の変数を考慮ことなく、適切な履歴時系列変化モデルを選択することで、これからの一定の期間の傾向値を事前にかつ正確に予測することができる、室内空気品質予測方法及び該予測方法を用いる室内空気品質検出システムを提供することを目的とする。
【0015】
上記技術課題を解決するために、本発明の第一態様は、検出エリア(S)の検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習して得られた多数の履歴時系列変化モデルから、一つの所定期間に前記検出エリアに設けられたセンサユニットによって連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値の集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するとともに、選択した前記履歴時系列変化モデルに基づいて、これからの一定の期間の予測値を推定する、ことを特徴とする室内空気品質予測方法を提供する。
【0016】
本発明の第一態様に係る予測方法によれば、前期に大量の履歴データを収集し、適切な学習アルゴリズムを選択し、及びできるだけ多くの帰納バイアスを設定し、これらの履歴データをトレーニングサンプルまたはトレーニングサンプルケースとして学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するとともに、特定の検出エリアで検出された複数の検出値に基づいて上記複数の検出値にマッチングする履歴時系列変化モデルを選択し、選択した履歴時系列変化モデルに基づいて該特定の検出エリアのこれからの一定の期間の予測値を推定する。これにより、検出エリア内の人数が検出されない、または分からない場合に、室内空気中の検出対象のごく一部の検出値を取得するだけで、該特定の検出エリア内の検出対象のこれからの一定の期間の変化傾向(変化値)を予測することができる。
【0017】
さらに、高価な画像センサや複雑な認識方式を用いる必要がないため、室内空気品質検出システムの設備コストを低減することができる。
【0018】
本発明の第二態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様に係る室内空気品質予測方法において、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが複数存在すると、前記集合との間のマッチング程度が最高となる履歴時系列変化モデルを選択する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第二態様に係る予測方法によれば、予め設定された条件を満たす複数の履歴時系列変化モデルから現在の時系列検出値との間のマッチング度が最高となる履歴時系列変化モデルを選択することで、できるだけ予測精度を高めることができる。
【0020】
本発明の第三態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様に係る室内空気品質予測方法において、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しないと、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つけるまで、開始時刻および/または長さが前記一つの所定期間と異なる次の所定期間の複数の時系列検出値の新たな集合を再選択し、前記新たな集合との間で前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在するか否かを判断し続ける、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の第三態様に係る予測方法によれば、新たな時系列検出値の集合を再選択することで、適切な履歴時系列変化モデルを見つけ、局所的なデータの希少性による予測不可能の場合を避けることができる。
【0022】
本発明の第四態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第三態様に係る室内空気品質予測方法において、前記予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つける時刻まで、該時刻及び該時刻の前の全ての前記時系列検出値を学習することによって、新たな履歴時系列変化モデルとして生成される、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の第四態様に係る予測方法によれば、既に検出された検出対象の検出値を効果的に利用し、データベースのモデル数を増加させることができる。また、システムの次回起動時の計算量を軽減する。
【0024】
本発明の第五態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第四態様に係る室内空気品質予測方法において、前記時刻の後の検出過程では、検出された新たな時系列検出値を前記新たな履歴時系列変化モデルに入力し続けることで、前記新たな履歴時系列変化モデルを更新する、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の第五態様に係る予測方法によれば、前記新たな履歴時系列変化モデルの新たなデータサンプルへの適応能力(汎化能力)を絶えずに高めることができる。
【0026】
本発明の第六態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様に係る室内空気品質予測方法において、前記予測値が予め設定された閾値を超えた場合には、予め決定された方法で上記場合の発生可能性を通知するかまたは対応する手段を講じることを通知し、あるいは、対応する手段を講じるように自動的に制御する、ことを特徴とする。
【0027】
本発明の第六態様に係る予測方法によれば、予測値と予め設定された閾値とを比較することによって、検出エリア内の実際の検出値が予め設定された閾値(即ち、検出エリアの人が不安全な空気環境にいる)を超える前に、予め通知するか(上記場合の発生可能性を通知するかまたは対応する手段を講じることを通知するか)、あるいは対応する手段を講じるように予め自動的に制御することができるため、安全な環境を確保することができる。なお、予め設定された閾値を超える可能性があるか否かを事前に通知することができるため、応急処置のための時間を確保する。
【0028】
本発明の第七態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第六態様に係る室内空気品質予測方法において、前記予め決定された方法は、ブザー、警報器、画像表示設備、指示ランプで通知を発すること、および/またはリモコン、携帯電話、PC側を介して信号を受信するとともに通知を発することを含む、ことを特徴とする。
【0029】
本発明の第八態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第六態様に係る室内空気品質予測方法において、前記対応する手段は、自らでドア、窓を開けるように促すこと、および/または前記検出エリア内の人数を制御するように促すこと、および/または前記検出エリアから離れるように促すこと、および/または空気処理装置を手動でオンにするかまたは空気処理装置を強制的に自動的にオンにするように促すことを含む、ことを特徴とする。
【0030】
本発明の第七態様と第八態様に係る予測方法によれば、1つ以上の予め決定された方法で通知することができることによって、関係者(検出エリア内の人や監視センターの人など)の注意をより効率的に喚起させることができる。なお、単に上記場合(検出エリアの人が不安全な空気環境にいる)の発生可能性を通知することに加え、関係者に対応する動作を講じるように具体的に指示することで、上記場合の実際の発生をより効果的に避けることができる。そのほか、空気処理装置を強制的に自動的にオンにすることで、上記場合の実際の発生を予防することもできる。
【0031】
本発明の第九態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第六態様に係る室内空気品質予測方法において、一定の期間後の予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測した場合に、上記場合の発生可能性を関係者または関連機器に通知し、あるいは、空気処理装置の運転負荷を下げるかまたは前記空気処理装置の運転を停止するように関係者または関連機器に通知する、ことを特徴とする。
【0032】
本発明の第九態様に係る予測方法によれば、予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測した場合に、タイムリーに空気処理装置の運転負荷を下げるかまたは該空気処理装置の運転を停止することによって、不要な電力の無駄遣いを避けることができる。
本発明の第十態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第六態様に係る室内空気品質予測方法において、初回通知の開始からの所定の時間後、予測値が依然として前記予め設定された閾値を超えると、空気処理装置を強制的に起動するかまたは前記空気処理装置の性能を強制的に調整する、ことを特徴とする。
【0033】
本発明の第十態様に係る予測方法によれば、初回通知の開始からの所定の時間後、予測値が依然として前記予め設定された閾値を超えると、前記空気処理装置を強制的に起動するかまたは前記空気処理装置の性能を強制的に調整するため、通知される講じるべき対応する手段が機能しない場合には、強制的に自動的に介入することができ、これにより、上記場合の実際の発生をより確実に防止することができる。
【0034】
本発明の第十一態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様に係る室内空気品質予測方法において、選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の一つの履歴時系列学習値を次の単位時間の予測値として用いて、前記次の単位時間の予測値と前記センサユニットで検出された次の単位時間の検出値との間の誤差を計算し、前記誤差が許容値以下となると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、ことを特徴とする。
【0035】
本発明の第十二態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第十態様に係る室内空気品質予測方法において、前記誤差が許容値よりも大きくなると、履歴時系列変化モデルを再選択する、ことを特徴とする。
【0036】
本発明の第十一態様と第十二態様に係る予測方法によれば、予測値と次の単位時間の検出値とを比較することで、モデルの予測精度を評価することができる。また、予測値と次の単位時間の検出値との間の誤差を計算することで、該誤差の大きさに基づいて、現在のモデルを続けて使用するか、精度がより高いモデルを再選択するかを決定することができる。これにより、予測精度を高めることができる。マッチングするモデルをリアルタイムに再選択する方式に比べると、計算量が簡素化される。
【0037】
本発明の第十三態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様または第十一態様に係る室内空気品質予測方法において、選択した前記履歴時系列変化モデルでは、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値に対応する複数の履歴時系列学習値の直後の複数の履歴時系列学習値を次の所定期間の予測値として用いて、次の所定期間に前記センサユニットで連続して検出された複数の時系列検出値の集合と前記次の所定期間の予測値の集合との間のデータセット誤差が許容誤差範囲内にあるかを判断し、前記データセット誤差が前記許容範囲内にあると、選択した前記履歴時系列変化モデルを用いて後続の予測を行い続ける、ことを特徴とする。
【0038】
本発明の第十四態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第十三態様に係る室内空気品質予測方法において、前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、または、前記一つの所定期間の複数の時系列検出値及び前記次の所定期間の複数の時系列検出値からなる集合に基づいて、選択した前記履歴時系列変化モデルを修正して修正後モデルを単独に生成するとともに、前記修正後モデルを用いて後続の予測を行う、ことを特徴とする。
【0039】
本発明の第十五態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第十三態様に係る室内空気品質予測方法において、前記データセット誤差が前記許容範囲外にあると、履歴時系列変化モデルを再選択する、ことを特徴とする。
【0040】
本発明の第十三態様から第十五態様に係る予測方法によれば、一つの検出値と一つの予測値とを比較する方式のみを用いることよりも、選択した履歴時系列変化モデルの予測精度は全体的な変化傾向の観点から評価でき、個別の特異点による不要なモデル交換の場合を避けることができる。
【0041】
本発明の第十六態様に係る室内空気品質予測方法は、本発明の第一態様から第十二態様のいずれか一態様に係る室内空気品質予測方法において、前記検出対象は、二酸化炭素、二酸化炭素以外の他のガス成分、粒子状物質、温度、湿度のいずれか一つ以上である、ことを特徴とする。
【0042】
本発明の第十六態様に係る予測方法によれば、二酸化炭素の予測には適切に適用できるが、他の検出対象の予測にも適用できる。
【0043】
一方、本発明は、検出エリアに設けられた一つ以上のセンサユニットをそれぞれ有する少なくとも一つの検出端末と、一つの所定期間に前記センサユニットで連続して検出された検出対象の複数の時系列検出値を受信するデータ受信モジュールと、前記検出エリアの検出場所または他の検出場所を含む多数の履歴時系列実測結果を履歴時系列学習値として学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するデータ分析モジュールと、多くの前記履歴時系列変化モデルから複数の前記時系列検出値からなる集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択することによって、これからの一定の期間の予測値を推定する選択予測モジュールと、を含む、ことを特徴とする室内空気品質検出システムを提供する。
【0044】
本発明に係る室内空気品質検出システムにより、検出端末の有するセンサユニットで検出された現在時刻の複数の時系列検出値(一つの単位時間内の複数の時刻の検出値)を利用して、前記検出エリアの室内空気中の検出対象のこれからの一定の期間の予測値を予測することができることによって、これからの一定の期間の室内の空気品質を事前に予断することができる。
【0045】
本発明に係る上記室内空気品質検出システムにおいて、前記予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは前記予め設定された閾値を下回る場合に、通知ユニットに通知指令を発するための通知モジュールを含む、ことを特徴とする。
【0046】
本発明に係る上記室内空気品質検出システムによれば、通知ユニットで関係者(検出エリア内の人または監視センターの人等)の注意を喚起させることができる。なお、通知の内容は、上記場合(即ち、検出エリアの人が不安全な空気環境にいる)の発生可能性に加え、関係者に対応する動作を講じるように具体的に指示することでもよく、これにより、上記場合の実際の発生をより効果的に避けることができる。
【0047】
本発明に係る上記室内空気品質検出システムにおいて、前記予測値が予め設定された閾値を超えると、空気処理装置を起動するかまたは空気処理装置の性能を調整し、あるいは、前記予測値が予め設定された閾値を超えてから一定の期間だけ経過すると、空気処理装置を強制的に起動するかまたは空気処理装置の性能を強制的に調整する制御ユニットを含む、ことを特徴とする。さらに、一定の期間後の予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測した場合に、前記制御ユニットは、空気処理装置の運転負荷を下げるかまたは前記空気処理装置の運転を停止する。
【0048】
本発明の上記室内空気品質検出システムによれば、制御ユニットで空気処理装置を自動的にオンにすることによって、上記場合の実際の発生を予防することができる。また、上記処理した後で、一定の期間後の予測値が予め設定された閾値を下回ることを予測すると、空気処理装置の運転負荷を下げるかまたは空気処理装置の運転を停止することによって、不要な電力の無駄遣いを避けることができる。
【0049】
本発明に係る上記室内空気品質検出システムにおいて、前記制御ユニットは、スマートゲートウェイである、ことを特徴とする。
【0050】
本発明に係る上記室内空気品質検出システムにおいて、前記制御ユニットは、前記検出エリア以外に設けられた監視センターに取り付けられた、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明に係る室内空気品質検出システムのシステムアーキテクチャ図の第一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る室内空気品質検出システムのシステムアーキテクチャ図の第二例を示す概略図である。
図3】本発明に係る室内空気品質検出システムのシステムアーキテクチャ図の第三例を示す概略図である。
図4】本発明に係る室内空気品質検出システムのシステムアーキテクチャ図の第四例を示す概略図である。
図5】本発明に係る室内空気品質予測方法の第一実施形態を説明するフローチャートである。
図6】本発明に係る室内空気品質予測方法の第一実施形態の変形例1を説明するフローチャートである。
図7】本発明に係る室内空気品質予測方法の第一実施形態の変形例2を説明するフローチャートである。
図8】本発明に係る室内空気品質予測方法の第一実施形態の変形例3を説明するフローチャートである。
図9】本発明に係る室内空気品質予測方法の第二実施形態を説明するフローチャートである。
図10】本発明に係る室内空気品質予測方法の第二実施形態の変形例1を説明するフローチャートである。
図11】本発明に係る室内空気品質予測方法の第二実施形態の変形例2を説明するフローチャートである。
図12】本発明に係る室内空気品質予測方法の第三実施形態を説明するフローチャートである。
図13】本発明に係る室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例1を説明するフローチャートである。
図14】本発明に係る室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例2を説明するフローチャートである。
図15】本発明に係る室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例3を説明するフローチャートである。
図16】同一の検出エリアでの異なる人数の場合におけるCO濃度の時系列変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図1から図4を参照し、本発明に係る室内空気品質検出システム100、100A、100B及び100Cを説明する。なお、これらの室内空気品質検出システムについての以下の記載において、同一または類似の構成要素について、同一または類似の符号を付けるとともに、説明を適宜省略する。さらに、本発明に係る室内空気品質検出システムは、これらの場合に限定されるものではなく、実際のシステムニーズに応じて適宜変更することができる。
【0053】
(室内空気品質検出システム100)
まず、図1を参照し、本発明に係る室内空気品質検出システム100のシステム全体を説明する。
【0054】
図1に示すように、本発明に係る室内空気品質検出システム100は、データ受信モジュール120と、データ分析モジュール130と、選択予測モジュール140と、ルーティングデバイス150と、スマートゲートウェイ160と、通知モジュール170と、少なくとも一つの検出端末110とを有する。次に、上記室内空気品質検出システム100の各構成要素を詳しく説明する。
【0055】
上記検出端末110は、例えば、オフィスエリアや会議室などの検出エリアSに設けられたモジュールであり、一つ以上の検出エリアS内の室内の空気品質を検出するための一つ以上のセンサユニット111を含む。より具体的には、それぞれの前記センサユニット111には、室内空気中の一つ以上の検出対象を検出する一つ以上のセンサ素子(不図示)が備えられた。これにより、各検出端末110は、該一つ以上のセンサユニット111(及びそれが含む一つ以上のセンサ素子)によって一つ以上の検出エリアSの室内空気の(一つ以上の)検出対象の検出値を取得する。
【0056】
より具体的には、各センサユニット111(各センサ素子)により検出可能な検出対象は、例えば、二酸化炭素、揮発性有機物、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン、一酸化炭素、ホルムアルデヒドなどのガス成分のうちの一つ以上でもよく、または、例えば、PM2.5、PM10などの粒子状物質含有量のうちの一つ以上でもよく、または、温度、湿度などの物理パラメータのうちの一つ以上でもよい。
【0057】
検出値の送信について、検出端末110は、複数の処理方式がある。例えば、検出端末110は、一つ以上の検出対象の一つの検出値(即ち、検出対象が一つの場合に、該検出対象がある時刻での検出値を示し、検出対象が複数の場合に、同一時刻での複数の検出対象のそれぞれの検出値を示す)を検出した場合に、該検出値(及び設備ID)を直接送信する(具体的には、後述するルーティングデバイス150によってインターネットを介して後述するデータ受信モジュール120に送信する)が、それに限らない。例えば、検出端末110は、一時キャッシュ機能を有してもよく、該検出端末110は、一つ以上の検出対象の特定個数の検出値(例えば、特定個数が10個である)を累積して検出した後で、該検出端末110は、上記特定個数の検出値(及び設備ID)を同時に送信する。
【0058】
本例において、それぞれの検出端末110(センサユニット111)により検出された各検出対象の一つ以上の検出値は、ルーティングデバイス150を介して後述するデータ受信モジュール120に伝達される。ただし、検出値の伝送方式は、それに限らない。システムの実際のアーキテクチャ状況と性能により、ルーティングデバイス150を設けなくてもよく、つまり、例えば、後述するスマートゲートウェイ160が2G、NB-IoT等の通信モジュールを有する場合に、スマートゲートウェイ160はこれら検出値を直接に受信でき、次に、該スマートゲートウェイ160は、これら検出値を後述するデータ受信モジュール120に送信する。ただし、本例において、ルーティングデバイス150が設けられたことに基づいて、さらに説明する。
【0059】
データ受信モジュール120は、インターネットを介して上記ルーティングデバイス150に接続され、上記ルーティングデバイス150からインターネットを経由して伝送してきた上記各検出対象の一つ以上の検出値を受信し、その後、受信した一つ以上の検出値を後述するデータ分析モジュール130と選択予測モジュール140にそれぞれ送信して、後続的なモデルマッチング、選択及び予測作業を行う。この室内空気品質検出システム100において、データ受信モジュール120は、例えば、一つの独立したクラウドモジュールである。また、この室内空気品質検出システム100において、データ受信モジュール120は、後述する選択予測モジュール140により推定される一つ以上の検出対象のこれからのある特定時刻またはある特定期間の複数の予測値(予測データ)を受信した後で、該特定時刻の予測値または該特定期間の複数の予測値のいずれかの予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値よりも下回るかを判断するとともに、予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る場合に、該場合を後述する通知モジュール170に送信する。予測値、予め設定された閾値及び通知モジュール170について、後述で詳しく説明する。データ受信モジュール120は、履歴データ記憶機能をさらに有してもよく、入力された全ての検出値を記憶することによって、履歴時系列変化モデルの再選択、新たなモデルの生成などに用いる。なお、ここの「履歴データ」は、検出エリアSの検出場所または他の検出場所を含む履歴時系列実測結果を含むだけではなく、一つの所定期間にセンサユニット111で連続して検出された各検出対象的一つ以上の時系列検出値を含んでもよい。これにより、予測機能を実現するモジュールを一つのクラウドに統合することができ、通信方式が簡単で、通信が速く、かつ、データの伝送によるデータのパケットロスや欠損などの問題を低減することができる。履歴時系列変化モデルの再選択、新たなモデルの生成などについて、後述で詳しく説明する。
【0060】
データ分析モジュール130は、インターネットを介して上記データ受信モジュール120に接続されることで、上記データ受信モジュール120からの一つ以上の検出値を受信する。この室内空気品質検出システム100において、該データ分析モジュール130も、例えば、一つの独立したクラウドモジュールである。さらに、データ分析モジュール130は、機械学習機能を備える分析モジュールであり、過去に検出エリアSおよび/または検出エリアS以外の他の検出エリアで検出された各検出対象の多数の履歴時系列実測値の集合を学習サンプルデータセットまたは学習サンプルケース(即ち、ラベル付き学習サンプル)データセットとするとともに、実際の場合に応じて、適切な学習アルゴリズムを用いて上記データセットをトレーニングすることにより、多くの学習済みモデルを生成(構築)する。上記学習アルゴリズムには、ニューラルネットワークアルゴリズム(畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム、循環型ニューラルネットワークアルゴリズムなどを含む)、回帰学習アルゴリズム(線形回帰分析アルゴリズム、対数確率回帰アルゴリズム、多分類学習アルゴリズムなどを含む)、サポートベクターマシンアルゴリズム、決定木アルゴリズム、ベイズ分類器、クラスター分析アルゴリズム等が含まれる。各アルゴリズムの特徴、ラベルの有無及び実際のニーズなどに基づいて、上記学習アルゴリズムは、監視学習、半監視学習、および監視なし学習に使用できる。また、本発明において、データが時系列的であることを考慮して、学習済みモデルは、履歴時系列変化モデルとも呼ばれ、フィッティング曲線、ニューラルネットワーク構造(構造自体、各ノード間の重み係数および活性化関数を含む)などを含むことについて、特に説明しなければならない。履歴時系列変化モデルの作成について、トレーニングサンプルケースを例にすると、設備IDラベル付きの履歴時系列実測値がデータ分析モジュール130に入力されると、該データ分析モジュール130は、まず、設備IDに基づいて履歴時系列実測値を分類学習する。具体的には、例えば、検出エリアS、検出エリアP、検出エリアQなどの複数の検出エリアがある場合に、設備IDを認識することで、データ分析モジュール130は、各履歴時系列実測値を検出エリアSの履歴時系列実測値、検出エリアPの履歴時系列実測値、検出エリアQの履歴時系列実測値、および他の検出エリアの履歴時系列検出値に分類する。その後、分類学習が完了した後で、検出エリアごとの履歴時系列実測値(ラベル付き)について、データ分析モジュール130は、該検出エリアの履歴時系列実測値(ラベル付き)の集合をトレーニングサンプルケースデータセット、例えば、{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……、y}として学習する(ここに、T0は、ある検出期間の開始時刻を示し、TEは、該検出期間の終了時刻を示し、yは、検出エリアS内の設備IDを示す)。なお、上記データセット{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……、y}は、検出エリアSで検出された全ての履歴時系列実測値の集合でもよく、検出エリアSで検出された過去ある一つの検出期間内の履歴時系列実測値の集合でもよく、さらに検出エリアSで検出された過去複数の検出期間内の履歴時系列実測値の集合でもよい。集合{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……、y}は、検出エリアSで検出された過去ある一つの検出期間内の履歴時系列実測値の集合を示すと、または、検出エリアSで検出された過去複数の検出期間内の履歴時系列実測値の集合を示すと、複数の上記集合が存在し、それぞれの集合に対して、同一の学習アルゴリズムと帰納バイアス(inductive bias)に基づいて、一つの対応する履歴時系列変化モデルを生成することができる。一方、集合{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……、y}は、検出エリアSで検出された全ての履歴時系列実測値の集合を示すと、学習過程で、たとえ同一の学習アルゴリズムを用いても、異なる帰納バイアスに基づいて、複数の異なる履歴時系列変化モデル(学習済みモデル)を発生することになる。例えば、学習アルゴリズムが回帰学習アルゴリズムである場合に、「オッカムの剃刀」という原則を用いれば、最も滑らかな履歴時系列変化モデルが生成されるが、他の原則を用いれば、他の履歴時系列変化モデルが生成されるとともに、これらの履歴時系列変化モデルの滑らかさは、「オッカムの剃刀」の原則に基づいて生成された履歴時系列変化モデルには及ばないが、汎化能力がより優れている可能性がある。より具体的には、検出エリアSが会議室の場合に、異なる帰納バイアスを設定することができ、例えば、「検出対象の全体的な変化傾向が安定している(例えば、会議室内の人数は常に一定またはほとんど変化しないため、COの全体的な変化傾向は安定しており、急変はない)」というバイアス、「検出対象が突然急激に変化する(例えば、もともと会議室内で会議をしていた人数が5人で、会議中に、突然10人が入ってきた)」というバイアスなどを設定することができる。
【0061】
履歴時系列変化モデルの一例として、図16は、同一検出エリアでの異なる人数の場合におけるCO濃度フィッティングの時系列変化グラフを示す。ここに、それぞれの実測曲線を一つの履歴時系列変化モデルと見なすことができる。より具体的には、同一の検出エリア、例えば、会議室で三回会議を行ったが、会議ごとに人数が異なる。また、会議ごとに、検出端末110のセンサユニット111は、該会議室内の二酸化炭素のppmの時系列変化値を検出することによって、時間に伴って変化する二酸化炭素のppmの複数の実測値を取得した。二酸化炭素のppmの上記複数の時系列実測値に基づいて、回帰分析を用いて一つの履歴時系列変化モデルとして一本のフィッティング曲線を生成する。
【0062】
選択予測モジュール140は、データ受信モジュール120からの各検出対象の一つ以上の検出値を受信するとともに、該選択予測モジュール140は、上記各検出対象の一つ以上の検出値の集合に基づいて、データ分析モジュール130により生成された多くの履歴時系列変化モデルから、上記集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択し、選択した履歴時系列変化モデルに基づいて各検出対象のこれからの一定の期間またはこれからのある特定時刻の予測値を推定する。また、各検出対象のこれからの一定の期間またはこれからのある特定時刻の予測値が推定された後で、該選択予測モジュール140は、該予測値をデータ受信モジュール120に送信する。
【0063】
通知モジュール170は、上記予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る場合を通知するモジュールであり、この室内空気品質検出システム100において、該通知モジュール170も、一つの独立したクラウドモジュールである。具体的には、データ受信モジュール120は、選択予測モジュール140からの一つ以上の予測値を受信した後で、これらの予測値と予め設定された閾値とを比較し、これらの予測値の何れかの予測値(予測値が一つの場合に、該予測値である)が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回ると、該データ受信モジュール120は、インターネットを介して「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報を通知モジュール170に送信する。該通知モジュール170は、上記情報を受信すると、対応する設備(例えば、後述するスマートゲートウェイ160及び好適例としての後述する監視センター180または携帯電話APP190)に「これからの一定の時間またはある特定時刻の予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という通知を送信するとともに、対応する手段を講じる(または、自動的な制御を行うように対応する機器に指示する)ように関係者を促す、または催促する。
【0064】
スマートゲートウェイ160は、インターネットを介して通知モジュール170に接続されることによって、通知モジュール170からの通知を受信する。通知モジュール170からの「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という通知を受信すると、該スマートゲートウェイ160は、後述する空気処理装置200の制御を自動的に行う。具体的には、上記通知を受信すると、スマートゲートウェイ160は、空気処理装置200を自動的に起動するかまたは該空気処理装置200の性能を自動的に調整する(例えば、検出対象がCOのppmの場合に、ppmの予測値が予め設定された閾値よりも大きくなると、スマートゲートウェイ160は、空気処理装置200を自動的に起動するかまたは該空気処理装置200の風量を大きくし、あるいは、ppmの予測値が危険濃度値から予め設定された閾値(安全濃度値)まで下がると、空気処理装置200の運転を停止するかまたは空気処理装置200の運転負荷を下げる)。
【0065】
さらに、好適例として、スマートゲートウェイ160は、通知ユニット(不図示)をさらに有する。具体的には、通知ユニットを有する場合に、スマートゲートウェイ160は、自動的な制御を行うと同時に、その通知ユニットを介して該検出エリアS内にいる人に通知信号を発する。通知ユニットとして、ブザー、警報器、画像表示設備(例如、LEDパネル、テレビモニターなど)、リモコン、指示ランプ等の該検出エリアS内に設けられた通知部材でもよい。
【0066】
さらに、好適例として、該室内空気品質検出システム100は、検出エリアS以外に設けられた監視センター180および/またはスマート携帯電話にインストールされた携帯電話APP190をさらに含んでもよい。この場合に、予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回ると判定されると、通知モジュール170は、該情報をスマートゲートウェイ160、監視センター180及び携帯電話APP190に択一的に送信することができる。スマートゲートウェイ160、監視センター180及び携帯電話APP190のいずれか一方が上記情報を受信した後で、空気処理装置200を起動/停止するかまたは該空気処理装置200の性能を調整するように自動的な制御を行う。
【0067】
一方、該システム100が監視センター180および/または携帯電話APP190を含む場合に、「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報が監視センター180に送信されると、該監視センター180は、自動的に制御を行うと同時に、備えられる通知ユニットを介して関係スタップに通知を発する。該監視センター180の通知ユニットとして、ブザー、警報器、画像表示設備(例えば、LEDパネル、テレビモニターなど)、リモコン、指示ランプ、PCなどの通知部材でもよい。上記情報が携帯電話APP190に送信されると、該携帯電話APP190は、自動的な制御の通知を行い、該携帯電話に備えられる通知モジュールを介して携帯電話の所持者に通知を発する。
【0068】
上記通知ユニットの通知方式として、例えば、ブザーのブザー音、警報器の警報、リモコンの液晶画面の点滅、ライトの点滅、振動などでもよく、または、携帯電話のAPP通知、携帯電話のメッセージ、携帯電話のウェイーチャット通知、携帯電話の振動などでもよく、またはPC側のメール、PC側にインストールされた監視ソフトウェア通知などでもよい。
【0069】
なお、上記説明において、スマートゲートウェイ160、監視センター180または携帯電話APP190は、「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報を受信した後で、自動的な制御を行うとともに、関係者に通知を発する。ただし、その代わりに、スマートゲートウェイ160、監視センター180または携帯電話APP190が上記情報を受信した後で、自動的な制御を行わずに、関係者に通知を発するとともに、手動で対応する手段を講じるように関係者に勧めてもよく、例えば、関係者に自らでドア、窓を開けることを勧めるか、または検出エリアS内の人数を制御することを勧めるか、または手動で空気処理装置200をオンにすることを勧めるか、または関係者に該検出エリアSから離れることを勧める。
【0070】
さらに、該室内空気品質検出システム100において、データ受信モジュール120、データ分析モジュール130、選択予測モジュール140及び通知モジュール170は、共通で一つのクラウドに配置されたことを説明しなければならない。ただし、上記モジュールの配置形態は、それに限らず、複数の異なるクラウドにそれぞれ属してもよく、これについて、後述で詳しく説明する。
【0071】
なお、本発明に言われる「空気処理装置200」は、空調装置、換気設備、除湿機、加湿器、空気清浄機などを含む。
【0072】
(室内空気品質検出システム100A)
次に、図2を参照し、本発明に係る室内空気品質検出システム100Aを説明する。
【0073】
上記室内空気品質検出システム100に比べられ、該室内空気品質検出システム100Aの相違点は、予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回るかという判断機能は通知モジュール170により実行されることにある。
【0074】
具体的には、該室内空気品質検出システム100Aにおいて、通知モジュール170は、インターネットを介して選択予測モジュール140に直接接続される。この場合に、選択予測モジュール140は、検出対象のこれからの一定の期間またはこれからのある特定時刻の予測値を推定した後で、予測値を通知モジュール170に直接送信する。通知モジュール170は、上記予測値を受信した後で、これら予測値を予め設定された閾値と比較し、これら予測値の何れか(予測値が一つの場合に、該予測値である)が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回ると、該通知モジュール170は、「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報をスマートゲートウェイ160または監視センター180または携帯電話APP190に送信する。このようにして、上記室内空気品質検出システム100に比べられ、データ伝送のステップを簡素化することができ、即ち、予測値を先にデータ受信モジュール120に伝送してから、データ受信モジュール120を介して上記情報を通知モジュール170に送信する必要がない。
【0075】
(室内空気品質検出システム100B)
次に、図3を参照し、本発明に係る室内空気品質検出システム100Bを説明する。
【0076】
上記室内空気品質検出システム100と100Aに比べられ、該室内空気品質検出システム100Bの相違点は、データ受信モジュール120、データ分析モジュール130、選択予測モジュール140と通知モジュール170とは、二つの独立したクラウドにそれぞれ配置される点と、検出端末110により検出された複数の検出値は、まずスマートゲートウェイ160に送信されてから、スマートゲートウェイ160を介してシステムID及び設備IDを含む上記複数の検出値をデータ受信モジュール120に送信する点と、監視センター180が「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報を受信すると、監視センター180のスタッフは、スマートビルシステムなどを介して空気処理装置200をリモート制御するか、または、携帯電話APPが上記情報を受信すると、該携帯電話の所持者は、携帯電話APPを操作することで、手動で空気処理装置200を制御することができる点と、の3点にある。
【0077】
具体的には、該室内空気品質検出システム100Bは、予測クラウドAと監視クラウドBとを有し、該予測クラウドAにデータ受信モジュール120、データ分析モジュール130及び選択予測モジュール140が配置され、該監視クラウドBに通知モジュール170が配置された。上記のような配置により、各クラウドに単一の機能を持たせ、クラウドの構造を簡素化し、システム全体のアーキテクチャを明瞭かつ明確にすることができる。
【0078】
さらに、該室内空気品質検出システム100Bにおいて、検出端末110は、一時キャッシュ機能を有しなくてもよく、一つ以上の検出対象の一つの検出値を検出した後で、直ぐに該検出値(及び、設備ID)をスマートゲートウェイ160に送信する。特定個数の検出値がスマートゲートウェイ160に送信されると、該スマートゲートウェイ160は、これら検出値にシステムIDを付与するとともに、設備IDとシステムIDが付与された検出値を一緒に予測クラウドAに配置されたデータ受信モジュール120に送信する。
【0079】
上記の3番目の相違点について、具体的には、監視センター180が 「予測値が予め設定された閾値を超えるかまたは予め設定された閾値を下回る」という情報を受信すると、該監視センター180は、自動的に制御せずにスタップに通知を発するだけであり、スタップは、該通知に気付いた後で、スマートビルシステムなどのインテリジェントシステムで該検出エリアS内に位置する空気処理装置200を手動でリモート制御することができる。一方、携帯電話APP190が上記情報を受信すると、該携帯電話APP190がインストールされたスマート携帯電話は、通知モジュールを介して該携帯電話の所持者に通知を発するだけであり、該携帯電話の所持者が該通知に気付いた後で、該携帯電話の所持者は、携帯電話のブルートゥース(登録商標)、NFC、Wi-Fiなどの通信機能を利用して空気処理装置200を手動で制御する。勿論、監視センター180または携帯電話APP190が上記情報を受信すると、通知を発するとともに、直接自動的に制御することもできるか、または、通知が発されてから所定時間だけ経過した後で空気処理装置200が手動で制御されない場合に、再び強制的に自動的に制御することもできる(例えば、スマートゲートウェイ160を介して対応する運転の制御指令を空気処理装置200に発する)。
【0080】
(室内空気品質検出システム100C)
最後に、図4を参照し、室内空気品質検出システム100Cを説明する。
【0081】
上記室内空気品質検出システム100Bに比べられ、該室内空気品質検出システム100Cの相違点は、監視クラウドBがデータ記憶モジュール300をさらに有することにある。
【0082】
図4に示すように、スマートゲートウェイ160は、ルーティングデバイス150によってインターネットを介して特定個数の検出値を予測クラウドAに配置されたデータ受信モジュール120及び監視クラウドBに配置されたデータ記憶モジュール300に同時に送信する。ここに、該データ記憶モジュール300は、履歴時系列変化モデルの再選択、新たなモデルの生成などのために、入力された全ての検出値を記憶する。例えば、データ受信モジュール120は、データ記憶モジュール300内に記憶された履歴データを呼び出す必要があるときに、要求をスマートゲートウェイ160に送信し、スマートゲートウェイ160を経由して対応する履歴データを取得する。このときに、スマートゲートウェイ160は、全てのクラウドを接続する役割を果たし、複数のクラウドがある場合に、通信フレームワークが簡単で、クラウドの構造を簡素化することができる。履歴時系列変化モデルの再選択、新たなモデルの生成などについて、後述で詳しく説明する。
【0083】
さらに、本発明の上記システム100、100A、100B及び100Cにおいて、何れもルーティングデバイス150が設けられているが、システムの実際のアーキテクチャ状況に応じて、ルーティングデバイス150を設けずに、2GまたはNB-IoTなどの通信モジュールを有するスマートゲートウェイ160を介してデータの受信と伝送を実行してもよいことを再び強調しなければならない。
【0084】
(室内空気品質予測方法)
以下、本発明に係る室内空気品質検出システム100を例に、図1に基づいて、図5から図16を参照し、本発明に係る室内空気品質予測方法を説明する。
【0085】
<第一実施形態>
次に、図5を参照し、第一実施形態に係る室内空気品質予測方法の具体的なステップを説明する。
【0086】
図5に示すように、まず、室内空気品質検出システム100を起動する。
【0087】
次に、ステップS110において、検出端末110は、検出エリアS内の一つ以上の検出対象を連続して検出する。具体的には、検出端末110は、一つ以上のセンサユニット111で単位時間当たり(例えば、1分間当たり)に各検出対象の検出値dを取得し、ここに、検出対象が複数の(例えば、検出対象が三つであり、COの濃度、温度、湿度を含む)場合に、該検出値dは、三つの成分を持つベクトルであり、検出対象が一つだけの場合に、該検出値dは、スカラーである。
【0088】
ステップS120において、データ受信モジュール120は、検出端末110から送信してきた検出値を受信するとともに、所定期間を設定する。具体的には、該所定期間の開始時刻をT0(例えば、起動後の1分目)とし、終了時刻をTE=T0+a-1とし、ここに、aは、a個の単位時間(例えば、a分間)を示す。これにより、該データ受信モジュール120で各検出対象のa個の時系列検出値dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTEからなるリアルタイム時系列サンプルデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}が形成される。さらに、上記で説明したように、検出端末110は、上記時系列検出値を送信すると同時に、さらに設備IDを送信するため、上記リアルタイム時系列サンプルデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}は、リアルタイム時系列サンプルケースデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、y}に変換されることができ、ここに、yは、検出エリアSにおける設備IDを示す。
【0089】
ステップS130において、データ受信モジュール120は、それぞれデータ分析モジュール130及び選択予測モジュール140に上記リアルタイム時系列サンプルデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}またはリアルタイム時系列サンプルケースデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、y}を送信する。
【0090】
次に、ステップS140において、選択予測モジュール140は、モデル選択指令をデータ分析モジュール130に送信し、多くの履歴時系列変化モデルから上記リアルタイム時系列サンプルケースデータセットとの間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択するように要求する。具体的には、サンプルケースの場合を例に、リアルタイム時系列サンプルケースデータセットがデータ分析モジュール130に入力された後で、まず、ラベルに基づいて、該データ分析モジュール130は、上記リアルタイム時系列サンプルケースデータセットにおける検出値を分類し、即ち、該リアルタイム時系列サンプルケースデータセットにおける検出値がどの検出エリアで検出された値に属するかを判断する。次に、上記リアルタイム時系列サンプルケースデータセットにおける検出値が検出エリアSに属すると判定されると、該リアルタイム時系列サンプルケースデータセットを該検出エリアSにおける全ての履歴時系列変化モデル(これら履歴時系列変化モデルを生成する履歴時系列実測値の集合でもよい)と比較し、該データセットとの間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択する。予め設定された条件について、例えば、集合{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……、y}は、検出エリアSで検出された過去ある一回の検出期間内の履歴時系列実測値の集合を示す、または、検出エリアSで検出された過去複数回の検出期間内の履歴時系列実測値の集合を示す場合に、即ち、履歴時系列実測値からなる集合が複数存在する場合に、データセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}をそれぞれの集合{DT0、DT0+1、DT0+2、……、DTE、……}における何れかa個の連続した履歴時系列実測値からなるサブ集合{DT0’、DT0+1’、DT0+2’、……、DTE’}と比較し、もし、
【数1】
が所定値よりも小さければ、予め設定された条件を満たすと判定される。さらに、履歴時系列変化モデルを選択する方法は、様々あり、上記方法に限らず、例えば、さらにホールドアウト法(hold-out)を用いてデータセット{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}を二つの相互排他的な第一サブ集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dT0’}と第二サブ集合{dT0’+1、dT0’+2、dT0’+3、……、dTE}に分けるとともに、第一サブ集合を各履歴時系列変化モデルに入力して上記第二サブ集合に対応する一つの予測値サブ集合{CT0’+1、CT0’+2、CT0’+3、……、CTE}を取得し、第二サブ集合を該予測値サブ集合と比較することによって、
【数2】

が所定値よりも小さい履歴時系列変化モデルを選択する。予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しないと、データ分析モジュール130に予め記憶された初期履歴時系列変化モデルを選択するとともに、ステップS150に進む。
【0091】
ステップS150において、選択予測モジュール140は、新たな時系列検出値のリアルタイム時系列サンプルまたはサンプルケースデータセットを再選択するように要求する指令をデータ受信モジュール120に送信し、該指令に基づいて、データ受信モジュール120は、時系列検出値のデータセットを再選択する。具体的には、本実施形態において、時系列検出値の集合の長さが変わらないまま、前のN個の時系列検出値を削除するとともに、後続的に検出されたN個の新たな時系列検出値を増加することによって、新たな時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}を形成する。その後、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを見つけるまで、ステップS130からステップS150の処理を繰り返す。予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在する場合に、ステップS160に進む。
【0092】
ステップS160において、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが複数あるかを判断する。予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが一つだけ存在すると、該履歴時系列変化モデルを用い(ステップS161)、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが複数存在すると、マッチング程度が最高となる履歴時系列変化モデルを用いる(ステップS162)。マッチング程度が最高となるとは、例えば、
【数3】

が最小であり、

【数4】

が最小であることを指す。予め設定された条件を満たす、および/またはマッチング程度が最高となる履歴時系列変化モデルを選択したと、ステップS170に進む。
【0093】
ステップS170において、選択予測モジュール140は、最新な時系列検出値の集合及び対応する履歴時系列変化モデルに基づいてこれからの一定の期間の予測値DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+tを推定し、ここに、tは、1よりも大きい自然数である。次に、ステップS180に進む。
【0094】
ステップS180において所定期間の開始時刻を更新してから、ステップS120に戻って次回の予測を行う。具体的には、本実施形態において、元の開始時刻を元の開始時刻の次の単位時間に更新して新たな開始時刻とする。例えば、1分目~10分目の10個の時系列検出値を利用して11分目~20分目の予測値を推定した場合に、所定期間の開始時刻を2分目に更新することによって、2分目~11分目の時系列検出値を利用して12分目~21分目の予測値を推定する。
【0095】
(第一実施形態の効果)
本発明の第一実施形態に係る予測方法によれば、前期に大量の履歴データを収集し、適切な学習アルゴリズムを選択し、及びできるだけ多くの帰納バイアスを設定し、これらの履歴データをトレーニングサンプルまたはトレーニングサンプルケースとして学習することによって、多くの履歴時系列変化モデルを生成するとともに、特定の検出エリアで検出された複数の検出値に基づいて上記複数の検出値にマッチングする履歴時系列変化モデルを選択し、選択した履歴時系列変化モデルに基づいて該特定の検出エリアのこれからの一定の期間の予測値を推定する。これにより、検出エリア内の人数が検出されない、または分からない場合に、室内空気中の検出対象のごく一部の検出値を取得するだけで、該特定の検出エリア内の検出対象のこれからの一定の期間の変化傾向(変化値)を予測することができる。さらに、高価な画像センサや複雑な認識方式を用いる必要がないため、室内空気品質検出システム100の設備コストを下げることができる。
【0096】
(第一実施形態の変形例1)
次に、図6を参照し、室内空気品質予測方法の第一実施形態の変形例1を説明する。
【0097】
上記第一実施形態のステップS180において、開始時刻を更新する方法として、元の開始時刻を元の開始時刻の次の単位時間に更新して新たな開始時刻とする。ただし、開始時刻を更新する方法は、それに限らず、例えば、ステップS180’に示すように、元の開始時刻を元の終了時刻TEの次の単位時間に更新して新たな開始時刻とする。例えば、1分目~10分目の10個の時系列検出値を利用して11分目~20分目の予測値を推定した場合に、所定期間の開始時刻を11分目に更新することによって、11分目~20分目の時系列検出値を利用して21分目~30分目の予測値を推定する。
【0098】
(第一実施形態の変形例の効果)
該変形例により、第一実施形態に比べられ、これからの一定の期間ごとの検出対象の予測値を推定すると同時に、システムの計算量を軽減することができる。
【0099】
(第一実施形態の変形例2)
次に、図7を参照し、室内空気品質予測方法の第一実施形態の変形例2を説明する。
【0100】
上記第一実施形態のステップS150において、時系列検出値のデータセットを再選択する方法として、時系列検出値の集合の長さが変わらないまま、前のN個の時系列検出値を削除するとともに、後続的に検出されたN個の新たな時系列検出値を増加することによって、新たな時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}を形成する。ただし、上記データセットを再選択する方法は、それに限らず、例えば、ステップS150’に示すように、元の時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}において、N個の新たな時系列検出値dT0+1、dT0+2、……、dT0+Nを増加することによって、新たな集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、dT0+1、dT0+2、……、dT0+N}を形成する。具体的には、図7に示すように、元の所定期間の開始時刻T0が変わらないまま、終了時刻を対応してN個の単位時間を遅らせるだけで、このようにして、上記新たな集合を形成することができる。ただし、図7に示すように、本変形例は、ステップS190をさらに含む。具体的には、ステップS180において、開始時刻を更新した後で、ステップS190に進み、該ステップS190において、予測開始ごとの時系列実測値集合における実測値の個数が同じとなるように、aをリセットする。
【0101】
(第一実施形態の変形例3)
図8に示すように、上記第一実施形態との相違点は、該変形例3がステップS180’とステップS150’とを含むことにある。つまり、開始時刻を更新する方法として、元の開始時刻を該原開始時刻の次の単位時間に更新して新たな開始時刻とするとともに、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しない場合に、続けて履歴時系列変化モデルを選択する根拠とするように、時系列検出値の集合における検出値の個数を増加する。
【0102】
(第一実施形態の変形例2と3の効果)
上記変形例2と3により、時系列検出値の元の集合に基づいて、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択することができない場合に、該集合に後続的に検出された時系列検出値を増加して集合要素がより多くの新たな集合を形成することで、適切で汎化能力がより優れた履歴時系列変化モデルをより容易に見つけることができる。
【0103】
<第二実施形態>
次に、図5から図8に基づいて、図9を参照し、室内空気品質予測方法の第二実施形態を説明する。
【0104】
第二実施形態において、予測方法は、第一実施形態及びその変形例における予測ステップを含むだけではなく、通知ステップをさらに含む。
【0105】
これからの一定の期間の予測値DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+tを推定した後で、通知ステップに進む。ステップS210において、データ受信モジュール120は、選択予測モジュール140から上記予測値を取得する。次に、ステップS220において、上記予測値DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+tの何れかの予測値(t=1のときに、一つの予測値しかないことを示す)が予め設定された閾値を超えたかを判断する。全ての予測値が何れも予め設定された閾値を超えないと、上記データ受信モジュール120は、選択予測モジュール140から後続した新たな予測値を取得するとともに、ステップS220に戻る。何れかの予測値が予め設定された閾値を超えると、該データ受信モジュール120は、「予測値が予め設定された閾値を超えた」という情報を通知モジュール170に送信するとともに、ステップS230に進む。ステップS230において、通知モジュール170は、予め決定された方法で通知ユニットに通知指令を送信することによって、該通知ユニットがこれから上記場合が発生する可能性がある通知を関係者または関連機器に発するか、または対応する手段を講じるように関係者に通知するか、または、自動的に制御するように関連機器を指示し、その後、ステップS240に進む。ステップS240において、関係者が上記通知を受信すると、直ぐに空気処理装置200を起動するかまたは該空気処理装置200の性能を調整し、あるいは、スマートゲートウェイ160または監視センター180(または、携帯電話APP190)の通知ユニットが上記通知を受信すると、直ぐに空気処理装置200を起動するかまたは該空気処理装置200の性能を自動的に調整する。その後、ステップS240からステップS250に進み、後続した新たな検出値を取得してステップS220に戻る。
【0106】
(第二実施形態の効果)
該第二実施形態により、予測値を予め設定された閾値と比較することによって、タイムリーに適切な措置を講じて室内の空気品質を改善することができる。
【0107】
(第二実施形態の変形例1)
次に、図5から図8に基づいて、図10を参照し、室内空気品質予測方法の第二実施形態の変形例1を説明する。
【0108】
上記第二実施形態において、予測値が予め設定された閾値よりも大きくなると、直ぐに空気処理装置200を起動するかまたは該空気処理装置200の性能を調整する。ただし、予測値が予め設定された閾値よりも大きくなるときの処理方式として、それに限らない。例えば、図7に示すように、予測値が予め設定された閾値よりも大きくなると、空気処理装置200を直接起動するかまたは該空気処理装置200の性能を調整するものではなく、先に通知の時間が所定の時間だけ持続したか(所定の時間だけ経過したか)を判断してもよい(ステップS231)。通知の持続時間が所定の時間を超えると、スマートゲートウェイ160または監視センター180または携帯電話APPの制御モジュールは、空気処理装置200を強制的に起動するかまたは空気処理装置200の性能を強制的に調整する(ステップS240’)。
【0109】
(第二実施形態の変形例1の効果)
該変形例により、初回の通知が発されてから所定の時間だけ経過した後で、予測値が依然として予め設定された閾値を超えた場合に、空気処理装置200を強制的に起動するかまたは空気処理装置200の性能を強制的に調整するため、通知に留意しないことなどによる検出エリアS内の室内の空気品質の継続的な悪化を避けることができる。さらに、上記第二実施形態に比べられ、該変形例は、使用者の手動制御操作を優先し、これにより、空気処理装置を頻繁に調整することを避けることができるとともに、不要な調整を避けることができる。
【0110】
(第二実施形態の変形例2の効果)
上記第二実施形態及びその変形例1において、予測値が予め設定された閾値よりも大きくなることを通知するが、それに限らない。例えば、該変形例2において、図11に示すように、ステップS221を含んでもよい。具体的には、予測値が予め設定された閾値よりも大きくなると、空気処理装置200を起動するかまたは該空気処理装置200の性能を調整し、この場合に、検出対象の値は、必ず変化する。COのppmを例に、上記起動または調整を開始した後、後続した新たな予測値を取得し、該予測値と予め設定された閾値とを比較し、もし新たな予測値が依然として予め設定された閾値よりも大きくなると、続けて空気処理装置200をオンにするかまたは続けて該空気処理装置200の性能を調整し、もし新たな予測値が予め設定された閾値以下となると、空気処理装置200の運転により有益な役割を果たすことがわかり、このときに、新たな予測値が予め設定された閾値以下となるという情報をスマートゲートウェイ160または監視センター180または携帯電話APPに送信する。このときに、スマートゲートウェイ160または監視センター180または携帯電話APP190は、実際の場合に応じて空気処理装置200の運転を停止するかまたは空気処理装置200の運転負荷を下げることができる。
【0111】
(第二実施形態の変形例2の効果)
該変形例2により、「検出対象の値がこれからのある時刻に安全濃度まで下げる」という情報をタイムリーに通知することができる。これにより、実際の場合に応じて空気処理装置200の運転を停止するかまたは空気処理装置200の運転負荷を下げるし、不要な電力の無駄遣いを避けることができる。
【0112】
<第三実施形態>
次に、図5から図8に基づいて、図12を参照し、室内空気品質予測方法の第三実施形態を説明する。
【0113】
第三実施形態の予測方法は、第一実施形態における予測ステップを含むだけではなく、モデル評価ステップをも含む。
【0114】
具体的には、これからの一定の期間の予測値DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+tを推定した後で、選択予測モジュール140は、該データ受信モジュール120から上記所定期間の後の次の単位時間の検出値dTE+1を取得する(ステップS310)。次に、ステップS320において、選択予測モジュール140は、検出値dTE+1とDTE+1との間の誤差が許容値よりも大きいかを判断する。誤差が許容値以下となると、選択した履歴時系列変化モデルを用いて予測し続ける(ステップS330)。誤差が許容値よりも大きくなると、dTE+1を元の時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}に追加して、新たな集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、dTE+1}を形成するとともに、該新たな集合を用いて第一実施形態のステップS120~ステップS162に従って該新たなモデルとの間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを再選択する(ステップS340)。新たな履歴時系列変化モデルを選択した後で、該モデルに基づいて、予測値{DTE+2、DTE+3、……、DTE+t}を更新する(ステップS350)。
【0115】
(第三実施形態の効果)
第三実施形態により、予測値と次の単位時間の検出値とを比較することで、モデルの予測精度を評価することができる。また、予測値と次の単位時間の検出値との間の誤差を評価することで、該誤差の大きさに基づいて現在のモデルを続けて用いるか、精度がより高いモデルを再選択するかを決定することができる。これにより、予測精度を高めることができる。
【0116】
(第三実施形態の変形例1)
次に、図5から図8に基づいて、図13を参照し、室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例1を説明する。
【0117】
上記第三実施形態において、所定期間の後の次の単位時間の検出値dTE+1を取得し、該検出値dTE+1と予測値DTE+1との間の誤差を計算し、該誤差に基づいて履歴時系列変化モデルを交換する必要があるかを判断する。ただし、モデル評価の方法について、それに限らない。
【0118】
例えば、図13に示すように、一つの検出値da+1だけを選択するものではなく、所定期間の後の次の期間の検出値の集合{dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}を選択するものであり、ここに、mは、tよりも小さい自然数である(ステップS310’)。次に、検出値の集合{dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}と予測値の集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+t}におけるサブ集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+m}とを比較する(例えば、
【数5】

を両者のマッチング程度の尺度として用いることができる)(ステップS320’)。誤差が許容値よりも小さくなると、選択された元の履歴時系列変化モデルを続けて用いる。誤差が許容値よりも大きくなると、dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+mを元の時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}に追加して、新たな集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}を形成するとともに、該新たな集合を利用して第一実施形態のステップS120~ステップS162に従って、該新たなモデルとの間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを再選択する(ステップS340’)。新たな履歴時系列変化モデルを選択した後で、該モデルに基づいて、予測値{DTE+m+1、DTE+m+2、……、DTE+t}を更新する(ステップS350’)。
【0119】
(第三実施形態の変形例1の効果)
上記第三実施形態に比べられ、該変形例1は、一つの期間内の複数の検出値を用いて複数の予測値と比較する。このようにして、一つの検出値と一つの予測値とを比較する方式のみを用いることに比べられ、選択した履歴時系列変化モデルの予測精度は全体的な変化傾向の観点から評価でき、個別の特異点による不要なモデル交換の場合を避ける。
【0120】
(第三実施形態の変形例2)
次に、図5から図8に基づいて、図14を参照し、室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例2を説明する。
【0121】
上記変形例1において、検出値の集合{dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}と予測値の集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+t}におけるサブ集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+m}との間の誤差が許容値以下となると、選択した履歴時系列変化モデルを続けて流用する(ステップS330)。ただし、該場合での処理について、それに限らない。
【0122】
例えば、上記誤差が許容値以下となる場合に、既存モデルを修正するかを判断することができる(ステップS321)。例えば、上記許容値よりも小さい修正閾値を予め設定し、上記誤差が修正閾値よりも小さくなると、選択した元の履歴時系列変化モデルを続けて用い、上記誤差が修正閾値以上、かつ、許容値以下となると、{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}で選択した元の履歴時系列変化モデルをさらに学習して別途修正後の履歴時系列変化モデルを生成するとともに、該修正後の履歴時系列変化モデルを用いて後続的な予測を行うことができる。ニューラルネットワーク構造を例に、ディープラーニングにより、元の履歴時系列変化モデル(教師モデル)は、別途修正後の履歴時系列変化モデル(学生モデル)を生成することができるとともに、実際の必要とシステムの自体の性能に基づいて、修正後の履歴時系列変化モデルは、派生モデル(構造が同じで重み係数が異なる)でもよく、蒸留モデル(構造も重み係数も異なる)でもよい。
【0123】
(第三実施形態の変形例2の効果)
上記第三実施形態と変形例1に比べられ、該変形例2において、検出値の集合{dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}と予測値の集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+t}におけるサブ集合{DTE+1、DTE+2、DTE+3、……、DTE+m}との間の誤差が許容値以下となると、選択した履歴時系列変化モデルを必ず流用するものではなく、上記の誤差の大きさに基づいてディープラーニングを行うかをさらに判断する。ディープラーニングが不要と判定されると、元の履歴時系列変化モデルを流用する一方、ディープラーニングが必要と判定されると、検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE、dTE+1、dTE+2、dTE+3、……、dTE+m}を用いて元の履歴時系列変化モデルをさらに学習して別途精度がより高い修正後の履歴時系列変化モデルを生成する。このようにして、精度がより高い修正後の履歴時系列変化モデルを用いることで、予測精度をさらに高めることができる。
【0124】
(第三実施形態の変形例3)
次に、図5から図8に基づいて、図15を参照し、室内空気品質予測方法の第三実施形態の変形例3を説明する。
【0125】
上記第三実施形態の変形例1において、所定期間の後の次の単位時間の検出値dTE+1と予測値DTE+1との間の誤差が許容値以下となると、選択した元の履歴時系列変化モデルを続けて用いる。ただし、上記誤差が許容値以下となる場合の処理方法は、それに限らない。例えば、変形例1と変形例2とを組み合わせると、図15に示す方案を得ることができる。即ち、検出値dTE+1と予測値DTE+1との間の誤差が許容値以下となる場合に、続けて該検出値dTE+1の後の一定の期間内の検出値dTE+2、dTE+3、……、dTE+mを取得するとともに、変形例2に記載のステップに従ってさらに処理する。
【0126】
(第三実施形態の変形例3の効果)
上記第三実施形態の変形例1と変形例2に比べられ、該変形例3は、局部と全体との2つの観点から、選択した履歴時系列変化モデルの予測精度を同時に評価することができる。
【0127】
<他の実施形態>
以上、本発明に係る室内の空気品質予測システム100及び予測方法の第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態及びその変形例を説明した。ただし、なお、本発明に係る室内の空気品質予測システム100及び予測方法は、それらに限らない。
【0128】
例えば、第一実施形態において、時系列検出値の集合{dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTE}との間で所定条件を満たす履歴時系列変化モデルが存在しない場合に、一定の長さであるが、開始時刻と終了時刻が異なる時系列検出値の新たな集合を選択することで、または、開始時刻が同じであるが、長さが異なる時系列検出値の新たな集合を選択することで、このような履歴時系列変化モデルを選択するまで、続けて該新集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択する。この場合に、好ましくは、予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを選択する時刻まで、データ分析モジュール130は、該時刻及び該時刻の前の全ての時系列検出値をトレーニングサンプルまたはトレーニングサンプルケースとして学習することによって、一つの新たな履歴時系列変化モデルを生成する。また、より好ましくは、上記時刻の後の検出過程で、検出された新たな時系列検出値を持続的に上記新たな履歴時系列変化モデルに入力して該履歴時系列変化モデルを更新する。このようにして、データ分析モジュール130の計算量を簡素化することができる。
【0129】
さらに、複数の時系列検出値dT0、dT0+1、dT0+2、……、dTEが伝送中にデータ損失が発生すると、残りの時系列検出値からなる新たな集合に基づいて、該新たな集合との間で予め設定された条件を満たす履歴時系列変化モデルを再選択してもよい。このようにして、データ損失が発生した場合でも、優れた履歴時系列変化モデルを取得して後続の予測を行うことができる。
【0130】
当業者は、他の利点や修正を容易に想到し得る。したがって、本発明は、より広い意味で、本明細書に示され説明される具体的な詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって限定される全体的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく修正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【文献】特開2003-090819号公報
【文献】特許第3830846号公報
【文献】中国特許出願公開第109442695号明細書
【文献】中国特許出願公開第109812938号明細書
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