IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-タイヤ 図1
  • 特許-タイヤ 図2
  • 特許-タイヤ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/00 20060101AFI20240926BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
B60C9/00 C
B60C9/22 C
B60C9/22 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023005681
(22)【出願日】2023-01-18
(65)【公開番号】P2024101660
(43)【公開日】2024-07-30
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】藤森 弘章
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 隆充
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 飛鳥
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068132(JP,A)
【文献】特開2017-210096(JP,A)
【文献】特開2017-141002(JP,A)
【文献】特許第6456784(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/00
B60C 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ構成部材中に1本~3本のヤーンが撚り合わされた有機繊維コードを有するタイヤにおいて、前記有機繊維コードの少なくとも1本のヤーンがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成され
前記ナイロン56のモノマーである1,5ペンタンジアミンの50重量%以上がバイオマス由来であり、
前記タイヤ構成部材がベルトカバー層であり、
前記有機繊維コードは、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%以上であり、乾熱収縮率が3.5%以下であることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記有機繊維コードの下式(1)で表される上撚り係数Kが1050~1750の範囲にあることを特徴とする請求項に記載のタイヤ。
K=T√D ・・・(1)
但し、Tは前記有機繊維コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは前記有機繊維コードの総繊度(dtex)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ構成部材中に有機繊維フィラメント又は有機繊維コードを有するタイヤに関し、更に詳しくは、石油由来の原料の使用量を削減し、環境への負荷を低減することを可能にしたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空気入りタイヤにおいて、一対のビード部間にはカーカス層が装架され、トレッド部におけるカーカス層の外周側にはタイヤ周方向に対して傾斜するベルトコードを含む複数層のベルト層が配置され、該ベルト層の外周側にはタイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含むベルトカバー層が配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ベルトカバー層は、高速走行時におけるベルト層のせり上がりを抑制し、高速耐久性の改善に寄与する。ベルトカバー層の有機繊維コードとしては、ナイロン66繊維コードが一般的に使用されている。このようにタイヤ業界において、ナイロン66はタイヤ構成材料として広く認識されている。
【0004】
しかしながら、世界的な環境意識の高まりを受けて、石油由来の原料の使用量を削減し、環境への負荷を低減することが求められている。そのため、バイオマス由来の材料であって、かつ、ナイロン66の代替品として利用可能な材料が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6456784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、石油由来の原料の使用量を削減し、環境への負荷を低減することを可能にしたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のタイヤは、タイヤ構成部材中に1本~3本のヤーンが撚り合わされた有機繊維コードを有するタイヤにおいて、前記有機繊維コードの少なくとも1本のヤーンがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成され
前記ナイロン56のモノマーである1,5ペンタンジアミンの50重量%以上がバイオマス由来であり、
前記タイヤ構成部材がベルトカバー層であり、
前記有機繊維コードは、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%以上であり、乾熱収縮率が3.5%以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明者は、タイヤ構成材料について鋭意研究した結果、バイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56がナイロン66の代替品として有効であり、このようなナイロン56がタイヤ構成材料として実用レベルで利用可能であることを知見し、本発明に至ったのである。
【0010】
即ち、本発明ではタイヤ構成部材中に有機繊維コードを有するタイヤにおいて、有機繊維コードの少なくとも1本のヤーンがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成されることにより、ナイロン66のような石油由来の原料の使用量を削減し、環境への負荷を低減することができる。
【0011】
本発明において、ナイロン56のモノマーである1,5ペンタンジアミンの50重量%以上がバイオマス由来であることが好ましい。これにより、石油由来の原料の使用量を削減する効果を十分に享受することができる。
【0012】
本発明において、タイヤ構成部材はベルトカバー層であることが好ましい。ベルトカバー層には一般的にナイロン66が使用されているので、これをバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56に置き換えることで石油由来の原料の使用量を削減することができる。
【0013】
ベルトカバー層に使用される有機繊維コードは、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%以上であり、乾熱収縮率が3.5%以下であることが好ましい。ナイロン56は引張剛性の温度依存性が低いという特長を有している。このようなナイロン56の特長を活かして、ベルトカバー層に使用される有機繊維コードの引張剛性保持率が90%以上であることにより、高速走行時においても十分な引張剛性を確保することができるので、高速耐久性を改善することができる。また、ベルトカバー層に使用される有機繊維コードの乾熱収縮率が3.5%以下であることにより、ベルトカバー層の過剰な収縮を抑制し、タイヤのユニフォミティを良好に維持することが可能となる。
【0014】
また、ベルトカバー層に使用される有機繊維コードの下式(1)で表される上撚り係数Kが1050~1750の範囲にあることが好ましい。これにより、高速耐久性を効果的に改善することができる。
K=T√D ・・・(1)
但し、Tは前記有機繊維コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dは前記有機繊維コードの総繊度(dtex)である。
【0015】
本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであっても良い。空気入りタイヤの場合、その内部には空気、窒素等の不活性ガス又はその他の気体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2図1の空気入りタイヤのベルト層及びベルトカバー層を抽出して示す展開図である。
図3】(a)~(c)はそれぞれベルトカバー層を構成する有機繊維コードを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0019】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本のカーカスコードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。カーカス層4のカーカスコードとしては、レーヨン繊維コードやポリエステル繊維コードのような有機繊維コードが好ましく使用される。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0020】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコードを含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7のベルトコードとしては、スチールコードが好ましく使用される。
【0021】
ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、有機繊維コードCをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなるベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層や、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層をそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる。ベルトカバー層8は、例えば、図2に示すように、少なくとも1本の有機繊維コードCを引き揃えてコートゴムで被覆したストリップ材10をタイヤ周方向に螺旋状に巻回して構成することができる。
【0022】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0023】
上述した空気入りタイヤにおいて、図3(a)~(c)に示すように、ベルトカバー層8を構成する有機繊維コードCは1本~3本のヤーンYが撚り合わされた構造を有している。有機繊維コードCの少なくとも1本のヤーンYはバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成されている。また、各ヤーンYは1本の太い有機繊維フィラメントや数百本の細い有機繊維フィラメントから構成され、全ての有機繊維フィラメントがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成されていることが望ましいが、少なくとも1本の有機繊維フィラメントがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成されていても良い。
【0024】
このようにタイヤ構成部材中に有機繊維コードCを有するタイヤにおいて、有機繊維コードCの少なくとも1本のヤーンY又はその有機繊維フィラメントがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56から構成されることにより、ナイロン66のような石油由来の原料の使用量を削減し、環境への負荷を低減することができる。
【0025】
ナイロン56は、下記化学反応式のように、1,5ペンタンジアミン(C5142)とアジピン酸(C6104)との重合(nは整数)により生成される。アジピン酸が石油由来の原料であるのに対して、1,5ペンタンジアミンは、例えば、トウモロコシから得られるブドウ糖を発酵させることで生成可能である。ナイロン56の原料として、バイオマス由来の原料(1,5ペンタンジアミン)を使用した場合、石油由来の原料の使用量を削減することができる。
【0026】
【化1】
【0027】
上記タイヤにおいて、ナイロン56のモノマーである1,5ペンタンジアミンの50重量%以上がバイオマス由来であると良い。これにより、石油由来の原料の使用量を削減する効果を十分に享受することができる。例えば、ナイロン56の原料となる1,5ペンタンジアミンの全量がバイオマス由来である場合、ナイロン56の単位分子量は208であり、ナイロン56中の1,5ペンタンジアミンの単位分子量は100であるので、ナイロン56のバイオマス由来原料比率は48重量%(100/208×100%)となる。
【0028】
以下の表1には、具体的な適用例1~7を示す。表1は、ナイロン56からなる有機繊維コードについて、ナイロン56の原料となる1,5ペンタンジアミンのバイオマス由来原料比率、有機繊維コードの撚り構造、バイオマス由来原料を用いたヤーンの本数、有機繊維コードのバイオマス由来原料比率の関係を示している。適用例1~7のようにヤーンの少なくとも一部にバイオマス由来原料を用いることで、石油由来の原料の使用量の削減に貢献することができる。
【0029】
【表1】
【0030】
上述した空気入りタイヤにおいて、ベルトカバー層8を構成する有機繊維コードCは、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%以上であり、乾熱収縮率が3.5%以下であると良い。
【0031】
このようにベルトカバー層8に使用される有機繊維コードCは、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%以上であることにより、高速走行時においても十分な引張剛性を確保することができるので、高速耐久性を改善することができる。
【0032】
ここで、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率が90%よりも低いと、高速走行時においてベルトカバー層8の引張剛性が低下するため、高速耐久性の改善効果が低下する。引張剛性保持率は、有機繊維コードCの20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の百分率である。「初期引張剛性」は、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、つかみ間隔250mm、引張速度300±20mm/分の条件にて引張試験を実施した際に得られる荷重-歪み曲線の0N~44.1Nの範囲での傾きである。
【0033】
また、ベルトカバー層8に使用される有機繊維コードCの乾熱収縮率が3.5%以下であることにより、ベルトカバー層8の過剰な収縮を抑制し、空気入りタイヤのユニフォミティを良好に維持することが可能となる。
【0034】
ここで、ベルトカバー層8に使用される有機繊維コードCの乾熱収縮率が3.5%よりも高いと、ベルトカバー層8の過剰な収縮により空気入りタイヤのユニフォミティが悪化する。「乾熱収縮率」は、JIS L1017の「化学繊維タイヤコード試験方法」に準拠し、試料長さ500mm、加熱条件150℃×30分の条件にて加熱したときに測定される試料コードの乾熱収縮率(%)である。
【0035】
上記空気入りタイヤにおいて、ベルトカバー層8に使用される有機繊維コードCの下式(1)で表される上撚り係数Kが1050~1750の範囲にあると良い。これにより、高速耐久性を効果的に改善することができる。
K=T√D ・・・(1)
但し、Tは有機繊維コードCの上撚り数(回/10cm)であり、Dは有機繊維コードCの総繊度(dtex)である。
【0036】
ここで、有機繊維コードCの上撚り係数Kが1050よりも小さいと、高速走行時のタイヤの径成長が小さくなるものの、有機繊維コードCの耐疲労性の悪化により高速耐久性が低下し、逆に1750よりも大きいと、高速走行時のタイヤの径成長が大きくなるため高速耐久性が低下する。
【0037】
また、ベルトカバー層8に使用される有機繊維コードCの上撚り数Tは20回/10cm~40回/10cmの範囲にあると良い。更に、有機繊維コードCの総繊度Dは1800dtex~3000dtexの範囲にあると良い。このような上撚り数T及び総繊度Dを前提として、上撚り係数Kを上記範囲内に設定することにより、高速耐久性を効果的に改善することができる。
【0038】
上述した実施形態では、ベルトカバー層に使用される有機繊維コードCにバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56を用いた場合について説明したが、本発明では、バイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56を各種のタイヤ構成部材に含まれる有機繊維フィラメント又は有機繊維コードに適用することが可能である。
【0039】
このようなタイヤ構成部材として、カーカス層、ベルト層、サイド補強層、チェーファー、ビードカバー、ビード留め糸等が例示される。カーカス層の場合、カーカスコードへの適用が可能である。ベルト層の場合、ベルトコードへの適用が可能である。サイド補強層の場合、その補強コードへの適用が可能である。チェーファーの場合、その補強布を構成する糸への適用が可能である。ビードカバーはビードワイヤからなるビードコアを束ねるために該ビードコアの周囲に巻かれる布材であるが、その布材を構成する糸への適用が可能である。ビード留め糸はビードワイヤからなるビードコアを束ねるために該ビードコアの周囲に巻かれる糸であるが、その糸への適用が可能である。いずれの場合も、石油由来の原料の使用量の削減に貢献する。
【実施例
【0040】
タイヤサイズが245/40R18であり、トレッド部と一対のサイドウォール部と一対のビード部とを備え、これら一対のビード部間にカーカス層が装架され、トレッド部におけるカーカス層の外周側にタイヤ周方向に対して傾斜するベルトコードを含む複数層のベルト層が配置され、該ベルト層の外周側にタイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含むベルトカバー層が配置された空気入りタイヤにおいて、ベルトカバー層の有機繊維コードの仕様を種々異ならせた従来例、実施例1~6のタイヤを製作した。
【0041】
有機繊維コードとして、ナイロン66繊維コードを用いた場合を「N66」と表示し、ナイロン56繊維コードを用いた場合を「N56」と表示した。ナイロン56繊維コードは、2本のヤーンが撚り合わされた構造を有し、2本のヤーンYがバイオマス由来の原料をモノマーに含むナイロン56(バイオマス由来原料比率=48重量%)から構成されている。有機繊維コードの繊度、上撚り数T、上撚り係数K、20℃及び80℃での初期引張剛性(0N~44.1N)、20℃での初期引張剛性に対する80℃での初期引張剛性の比率からなる引張剛性保持率、乾熱収縮率を表2のように設定した。なお、20℃及び80℃での初期引張剛性については、従来例の20℃での初期引張剛性の値を100とする指数にて示した。
【0042】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、ユニフォミティ、高速耐久性を評価し、その結果を表2に併せて示した。
【0043】
ユニフォミティ:
各試験タイヤをユニフォミティ試験機に取り付け、ラジアル・フォース・バリエーション(RFV)を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどユニフォミティが良好であることを意味する。
【0044】
高速耐久性:
各試験タイヤをリムサイズ18×7.0Jのホイールに組み付けて、空気圧を220kPaとして、ドラム表面が平滑な鋼製でかつ直径が1707mmであるドラム試験機に装着し、周辺温度を38±3℃に制御しながら走行試験を実施した。走行試験では、初期速度を120km/hとし、荷重をJATMA最大荷重の88%とする条件下で20分間走行させ、完走したら引き続き速度を10km/hだけ上昇させて20分間走行させた。このようにして速度上昇と20分間走行を中断することなく繰り返し、タイヤが破壊するまで試験を続け、破壊までの総走行距離を計測した。評価結果は、従来例を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを意味する。
【0045】
【表2】
【0046】
表1から判るように、実施例1~6のタイヤは、ナイロン66繊維コードを用いた従来例との対比において、十分に実用レベルに達していた。特に、実施例1~5のタイヤは、ユニフォミティを良好に維持しながら、高速耐久性が改善されていた。
【符号の説明】
【0047】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
10 ストリップ材
C 有機繊維コード
Y ヤーン
図1
図2
図3