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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】車載用制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240926BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20240926BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20240926BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240926BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J7/00 302C
H02J7/00 302B
B60L58/20
B60L53/20
B60L3/00 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024501104
(86)(22)【出願日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2023011700
【審査請求日】2024-01-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藪田 宗克
(72)【発明者】
【氏名】平塚 涼大
(72)【発明者】
【氏名】島本 一翔
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/009984(WO,A1)
【文献】特開2012-240593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 58/20
B60L 53/20
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧バッテリと、高圧負荷と、低圧負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
前記高圧バッテリと前記高圧負荷との間に設けられるリレーと、
前記リレーと前記低圧負荷との間に設けられる第1電圧変換部と、
前記リレー及び前記第1電圧変換部に対して並列に設けられる第2電圧変換部と、
前記リレー、前記第1電圧変換部、及び前記第2電圧変換部を制御する制御部と、を備え、
前記第1電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から前記リレーを介して入力される電圧を前記高圧バッテリからの出力電圧よりも低い低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第1変換動作を行い、
前記第2電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から入力される電圧を前記低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第2変換動作を行い、
前記制御部は、少なくとも車両の駐車中において前記リレーをオフ状態に制御しつつ前記第1電圧変換部の動作を停止させて前記第2電圧変換部に前記第2変換動作を行わせる、車載用制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記車両の走行中において前記リレーをオン状態に制御しつつ前記第1電圧変換部に前記第1変換動作を行わせる、請求項1に記載の車載用制御装置。
【請求項3】
前記車載システムは、低圧バッテリを備え、
前記低圧バッテリは、前記低圧負荷に電力供給可能とされ、
前記制御部は、前記第2電圧変換部から前記低圧負荷への電力供給が、前記低圧バッテリからの前記低圧負荷への電力供給よりも優先されるように前記第2電圧変換部の出力電圧を調整する、請求項1又は請求項2に記載の車載用制御装置。
【請求項4】
前記第2電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流は、前記第1電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流よりも小さい、請求項2に記載の車載用制御装置。
【請求項5】
前記第1電圧変換部は、電圧を変換する第1トランスを有し、
前記第2電圧変換部は、電圧を変換する第2トランスを有し、
前記第2トランスの外形は、前記第1トランスの外形よりも小さい、請求項4
に記載の車載用制御装置。
【請求項6】
前記リレーは、第1リレーであり、
更に、前記高圧バッテリと前記第2電圧変換部との間に設けられる第2リレーと、
前記高圧バッテリを収容するバッテリケースと、を備え、
前記制御部は、前記第2リレーを制御し、
前記第2リレー及び前記第2電圧変換部は、前記第1リレー及び前記第1電圧変換部に対して並列に設けられ、
前記第1リレー及び前記第2リレーは、前記バッテリケース内に設けられている、請求項2又は請求項4に記載の車載用制御装置。
【請求項7】
更に、前記高圧バッテリを収容するバッテリケースを備え、
前記リレー及び前記第2電圧変換部は、前記バッテリケース内に設けられている、請求項2又は請求項4に記載の車載用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、昇降圧コンバータ(電圧変換部)を介して、リチウムイオンバッテリから鉛バッテリや電気負荷群に対して電力を供給する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-159784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における電気負荷群には、駐車状態において作動する電気負荷が含まれている。特許文献1のものは、リチウムイオンバッテリから鉛バッテリに給電したり、鉛バッテリから駐車状態において作動する電気負荷に対して給電したりする構成である。このような構成の場合、駐車状態のときまで、鉛バッテリの充放電が繰り返されることになり、鉛バッテリの劣化が進みやすくなる懸念がある。更に、昇降圧コンバータとリチウムイオンバッテリとの間にシステムメインリレー(リレー)を設けた構成の場合には、システムメインリレーも鉛バッテリと同様に劣化が進み易くなる懸念がある。
【0005】
本開示は上述した事情に基づいてなされたものであり、少なくともリレーの劣化が過剰に進むことを抑えることができる車載用制御装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載用制御装置は、
高圧バッテリと、高圧負荷と、低圧負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
前記高圧バッテリと前記高圧負荷との間に設けられるリレーと、
前記リレーと前記低圧負荷との間に設けられる第1電圧変換部と、
前記リレー及び前記第1電圧変換部に対して並列に設けられる第2電圧変換部と、
前記リレー、前記第1電圧変換部、及び前記第2電圧変換部を制御する制御部と、を備え、
前記第1電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から前記リレーを介して入力される電圧を前記高圧バッテリからの出力電圧よりも低い低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第1変換動作を行い、
前記第2電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から入力される電圧を前記低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第2変換動作を行い、
前記制御部は、車両の走行中において前記リレーをオン状態に制御しつつ前記第1電圧変換部に前記第1変換動作を行わせ、前記車両の駐車中において前記第2電圧変換部に前記第2変換動作を行わせる。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、リレーの劣化が過剰に進むことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1の車載用制御装置を備えた車載システムを例示するブロック図である。
図2図2は、実施形態1の第1電圧変換部及び第2電圧変換部の構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、第1電圧変換部及び第2電圧変換部の各々の出力電流に対する給電効率の一例を示すグラフである。
図4図4は、実施形態1における制御部の制御の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態2の車載用制御装置を備えた車載システムを例示するブロック図である。
図6図6は、実施形態2における制御部の制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。
【0010】
(1)高圧バッテリと、高圧負荷と、低圧負荷と、を備える車載システムに用いられる車載用制御装置であって、
前記高圧バッテリと前記高圧負荷との間に設けられるリレーと、
前記リレーと前記低圧負荷との間に設けられる第1電圧変換部と、
前記リレー及び前記第1電圧変換部に対して並列に設けられる第2電圧変換部と、
前記リレー、前記第1電圧変換部、及び前記第2電圧変換部を制御する制御部と、を備え、
前記第1電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から前記リレーを介して入力される電圧を前記高圧バッテリからの出力電圧よりも低い低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第1変換動作を行い、
前記第2電圧変換部は、前記高圧バッテリ側から入力される電圧を前記低電圧に変換して前記低圧負荷側に出力する第2変換動作を行い、
前記制御部は、車両の走行中において前記リレーをオン状態に制御しつつ前記第1電圧変換部に前記第1変換動作を行わせ、前記車両の駐車中において前記第2電圧変換部に前記第2変換動作を行わせる、車載用制御装置。
【0011】
(1)の車載用制御装置は、車両の駐車中の状態において第2電圧変換部を使用することにより、高圧バッテリと高圧負荷との間に設けられるリレーの使用を避けることが可能になる。したがって、当該リレーの劣化を抑制できるため、当該リレーの使用期間を延ばすことができる。
【0012】
(2)前記第2電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流は、前記第1電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流よりも小さい、(1)に記載の車載用制御装置。
【0013】
低圧負荷の使用電力は、車両の走行中に比べ駐車中には小さくなることが想定される。このため、(2)の車載用制御装置は、第2電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流を、第1電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流よりも小さくする構成とすることで、車両の走行中と駐車中との各々の低圧負荷の動作状態に適した電力供給を行いやすい。
【0014】
(3)前記第1電圧変換部は、電圧を変換する第1トランスを有し、
前記第2電圧変換部は、電圧を変換する第2トランスを有し、
前記第2トランスの外形は、前記第1トランスの外形よりも小さい、(2)に記載の車載用制御装置。
【0015】
(3)の車載用制御装置は、第2電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流が、第1電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流よりも小さい構成なので、第2電圧変換部を第1電圧変換部よりも小型化することが可能である。
【0016】
(4)前記車載システムは、低圧バッテリを備え、
前記低圧バッテリは、前記低圧負荷に電力供給可能とされ、
前記制御部は、前記第2電圧変換部から前記低圧負荷への電力供給が、前記低圧バッテリからの前記低圧負荷への電力供給よりも優先されるように前記第2電圧変換部の出力電圧を調整する、(1)又は(2)に記載の車載用制御装置。
【0017】
(4)の車載用制御装置は、低圧バッテリの充放電の回数を抑えることができ、低圧バッテリの劣化を遅らせることができる。
【0018】
(5)前記リレーは、第1リレーであり、
更に、前記高圧バッテリと前記第2電圧変換部との間に設けられる第2リレーと、
前記高圧バッテリを収容するバッテリケースと、を備え、
前記制御部は、前記第2リレーを制御し、
前記第2リレー及び前記第2電圧変換部は、前記第1リレー及び前記第1電圧変換部に対して並列に設けられ、
前記第1リレー及び前記第2リレーは、前記バッテリケース内に設けられている、(1)又は(2)に記載の車載用制御装置。
【0019】
(5)の車載用制御装置は、第1リレー及び第2リレーによって、バッテリケースの内側と外側との間を確実に遮断することが可能となり、高圧バッテリの出力電圧がバッテリケース外に露出することを防ぎやすい。
【0020】
(6)更に、前記高圧バッテリを収容するバッテリケースを備え、
前記リレー及び前記第2電圧変換部は、前記バッテリケース内に設けられている、(1)又は(2)に記載の車載用制御装置。
【0021】
(6)の車載用制御装置は、バッテリケース内に高圧バッテリ、リレー、及び第2電圧変換部を設けることによって、高圧バッテリから出力される出力電圧、及び第2電圧変換部によって変換された低電圧、の二つの異なる電圧を出力する電源ユニットを構築することができる。
【0022】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1について説明する。
図1に示す車載システム100は、車両に搭載される電源システムである。車載システム100は、高圧用の高圧バッテリ10と、高圧バッテリ10を収容するバッテリケース30と、高圧負荷12と、低圧バッテリ11と、低圧負荷13と、を備える。高圧負荷12は、高圧バッテリ10から供給される電力によって動作する。低圧バッテリ11は、高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い電圧を出力する。本開示の車載用制御装置1は、車載システム100に用いられる。車載用制御装置1は、リレーである第1リレー20、リレーである第2リレー24、第1電圧変換部21、第2電圧変換部22、及び制御部23を有している。
【0023】
[車載システムの構成]
高圧バッテリ10は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の単電池を複数直列に組み合わせて構成される組電池であり、例えば400V程度の出力電圧を出力する。高圧バッテリ10は、バッテリケース30に収容されている。バッテリケース30は、高圧バッテリ10の全体を覆うように構成されている。バッテリケース30には、第1端子30Aと、第2端子30Bと、が設けられている。高圧バッテリ10の高電圧側の端子には、第1導電路16が電気的に接続されている。
【0024】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0025】
高圧負荷12は、後述する第1リレー20を介して高圧バッテリ10の出力電圧がそのまま印加される。高圧負荷12には、例えば、車両の車輪を駆動するモータ等が相当する。よって、高圧負荷12は、車両が走行中に動作する負荷である。ここで、車両の走行中の概念には、車両の走行中において一次的に停車した状態も含まれる。高圧負荷12は、第1リレー20に対して第2導電路17を介して電気的に接続されている。
【0026】
低圧バッテリ11は、例えば、鉛蓄電池や、高圧バッテリ10と同種の単電池を用い高圧バッテリ10に比べ直列に組み合わせる個数を少なくした構成等を用いることができる。低圧バッテリ11は、例えば、12V程度の出力電圧を出力することができる。低圧バッテリ11は、高圧バッテリ10と別体の構成となっている。低圧バッテリ11は、後述する第1電圧変換部21に対して第3導電路18を介して電気的に接続されている。
【0027】
低圧負荷13は、第1低圧負荷13A、及び第2低圧負荷13Bを有している。第1低圧負荷13Aは、例えば、車両の走行中のみに動作する負荷である。第1低圧負荷13Aには、例えば、走行中に動作して車両を運転する際の運転支援をするセンサ等が相当する。第2低圧負荷13Bは、車両の走行中のみならず、車両が駐車中にも動作する負荷である。第2低圧負荷13Bには、例えば、エアコンのコンプレッサや、ダッシュボードに配置されるディスプレイや、室内灯等が相当する。低圧負荷13は、第3導電路18に電気的に接続されている。低圧負荷13には、低圧バッテリ11から電力が供給可能である。また、低圧負荷13には、後述する第1リレー20、及び第1電圧変換部21を介して高圧バッテリ10から電力が供給可能である。
【0028】
[車載用制御装置の構成]
第1リレー20は、所謂、システムメインリレー(SMR)である。第1リレー20は、後述する制御部23によってその動作が制御される構成とされている。第1リレー20は、制御部23によって、オン状態と、オフ状態とに切り替えられる。第1リレー20がオン状態のときには、第1リレー20を介して第1導電路16と第2導電路17とが導通する。これにより、第1導電路16を介して印加された高圧バッテリ10の電圧は、そのまま第2導電路17に付与される。第1リレー20がオフ状態のときには、第1導電路16と第2導電路17とが遮断される。このとき、第1導電路16を介して印加された高圧バッテリ10の電圧は、第2導電路17に付与されない。第1リレー20は、バッテリケース30内に設けられている。第2導電路17には、高圧負荷12が電気的に接続されている。
【0029】
第2リレー24は、所謂、システムサブリレー(SSR)である。第2リレー24は、制御部23によってその動作が制御される構成とされている。第2リレー24は、制御部23によって、オン状態と、オフ状態とに切り替えられる。第2リレー24がオン状態のときには、第2リレー24を介して第1導電路16と第4導電路19とが導通する。これにより、第1導電路16を介して印加された高圧バッテリ10の電圧は、そのまま第4導電路19に付与される。第2リレー24がオフ状態のときには、第1導電路16と第4導電路19とが遮断される。これにより、第1導電路16を介して印加された高圧バッテリ10の電圧は、第4導電路19に付与されない。第2リレー24は、バッテリケース30内に設けられている。
【0030】
第1電圧変換部21は、図2に示すように、電圧を変換する機能を有する第1トランス21Aを有し、降圧が可能な公知の絶縁型降圧DCDCコンバータである。第1電圧変換部21は、二つのスイッチ素子21Bをハーフブリッジ接続した構成を有する。スイッチ素子21Bには、MOSFET等の半導体スイッチが用いられる。第1電圧変換部21は、所謂、LLC共振型のDCDCコンバータである。
【0031】
第1電圧変換部21は、第2導電路17に付与された高圧バッテリ10の電圧を高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い低電圧に変換して第3導電路18に低電圧を印加するように降圧動作を行う。第1電圧変換部21と第1リレー20とは、電気的に直列に接続されている。第1電圧変換部21は、バッテリケース30外に設けられている。このため、第2導電路17は、バッテリケース30からバッテリケース30外に引き出された構成とされている。バッテリケース30の第1端子30Aは、第2導電路17に設けられている。つまり、第1リレー20は、第1端子30Aと、高圧バッテリ10との間に設けられている。
【0032】
第1電圧変換部21から第3導電路18に印加された電圧は、低圧バッテリ11の満充電時の充電電圧よりも僅かに高い電圧である。本構成では、第1電圧変換部21によって行われる降圧動作(高圧バッテリ10側から第1リレー20を介して入力される電圧を高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い低電圧に変換して低圧負荷13側に低電圧を印加する動作)が第1変換動作の一例に相当する。第1リレー20は、高圧バッテリ10と高圧負荷12との間に設けられている。
【0033】
第2電圧変換部22は、第1電圧変換部21と同様の構成を有している。第2電圧変換部22は、図2に示すように、電圧を変換する機能を有する第2トランス22Aを有し、降圧が可能な公知の絶縁型降圧DCDCコンバータである。第2トランス22Aの外形は、第1トランス21Aよりも小さい。第2電圧変換部22は、二つのスイッチ素子22Bをハーフブリッジ接続した構成を有する。スイッチ素子22Bには、MOSFETの半導体スイッチ等が用いられる。第2電圧変換部22は、所謂、LLC共振型のDCDCコンバータである。
【0034】
第2電圧変換部22は、第4導電路19に印加された高圧バッテリ10の電圧を高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い低電圧に変換して第3導電路18に低電圧を印加するように降圧動作を行う。第2電圧変換部22と第2リレー24とは、電気的に直列に接続されている。第2電圧変換部22は、バッテリケース30外に設けられている。このため、第4導電路19は、バッテリケース30からバッテリケース30外に引き出された構成とされている。バッテリケース30の第2端子30Bは、第4導電路19に設けられている。つまり、第2リレー24は、第2端子30Bと、高圧バッテリ10との間に設けられている。第2リレー24及び第2電圧変換部22は、第1リレー20及び第1電圧変換部21に対して並列に設けられている。
【0035】
制御部23は、第2電圧変換部22から低圧負荷13への電力供給が低圧バッテリ11からの低圧負荷13への電力供給よりも優先されるように第2電圧変換部22の出力電圧を調整する。具体的には、制御部23によって、第2電圧変換部22の出力電圧は、低圧バッテリ11の満充電時の充電電圧よりも僅かに高い電圧で第3導電路18に印加される。本構成では、第2電圧変換部22によって行われる降圧動作(高圧バッテリ10側から入力される電圧を高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い低電圧に変換して低圧負荷13側に低電圧を印加する動作)が第2変換動作の一例に相当する。第2リレー24は、高圧バッテリ10と第2電圧変換部22との間に設けられている。第1リレー20、及び第2リレー24がオフ状態のときには、第2導電路17、及び第4導電路19には高圧バッテリ10の電圧は印加されない。よって、第1リレー20、及び第2リレー24をオフ状態にすることによって、高圧バッテリ10の電圧がバッテリケース30の外側に露出することを防止できる。
【0036】
図3に示すように、第2電圧変換部22の給電効率(図3における点線のグラフ)が最大となるときの出力電流P2は、第1電圧変換部21の給電効率(図3における実線のグラフ)が最大となるときの出力電流P1よりも小さく設定されている。ここで、給電効率とは、電圧変換部から出力される電力に対する負荷が受け取る電力の割合である。つまり、第2電圧変換部22は、第1電圧変換部21に比べ、消費電力が小さい負荷に対して効率よく電力を供給することができる。これに対して、第1電圧変換部21は、第2電圧変換部22に比べ、消費電力が大きい負荷に対して効率よく電力を供給することができる。
【0037】
制御部23は、例えば、マイクロコンピュータとして構成されており、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等を具備している。制御部23は、例えば、外部ECU(図示せず)から、車両が走行中であることを示す信号(始動スイッチがオンを示す信号)、又は車両が駐車中であることを示す信号(始動スイッチがオフを示す信号)が入力される構成とされている。また、制御部23には、外部ECUから、第2低圧負荷13Bへの電力供給を要求する信号が入力される構成とされている。制御部23は、この信号に基づいて第1電圧変換部21及び第2電圧変換部22の内のいずれかを動作させる機能を有している。制御部23は、車両が走行中であることを示す信号(始動スイッチがオンを示す信号)、又は車両が駐車中であることを示す信号(始動スイッチがオフを示す信号)に基づいて、第1リレー20及び第2リレー24の各々を個別にオン状態と、オフ状態とに切り替える制御を行い得る。
【0038】
また、制御部23は、高圧バッテリ10の各単位電池の電圧値や電流値を取得し、これらの値に基づいて高圧バッテリ10のSOC(State of Charge)を検出し得る構成とされている。制御部23が高圧バッテリ10のSOCを検出する方法は、公知の様々な方法を採用し得る。
【0039】
例えば、制御部23は、外部ECUから車両が走行中であることを示す信号(始動スイッチがオンであることを示す信号)が入力されると、第1リレー20をオン状態に制御しつつ、第1電圧変換部21に第1変換動作を行わせる。このとき、制御部23は、第2リレー24をオフ状態にしつつ、第2電圧変換部22に第2変換動作をさせない。
【0040】
例えば、制御部23は、外部ECUから車両が駐車中であることを示す信号(始動スイッチがオフ状態であることを示す信号)が入力されると、第2リレー24をオン状態に制御しつつ、第2電圧変換部22に第2変換動作を行わせる。このとき、制御部23は、第1リレー20をオフ状態にしつつ、第1電圧変換部21に第1変換動作をさせない。こうして、制御部23は、第1リレー20、第2リレー24、第1電圧変換部21、及び第2電圧変換部22の動作を制御する。
【0041】
[制御部における制御について]
次に、制御部23によって実行される制御の一例について、図4等を参照しつつ説明する。
【0042】
外部ECUから始動スイッチがオン状態であることを示す信号が入力される(ステップS1におけるYes)と、ステップS2に移行し、制御部23は、第1リレー20をオン状態に切り替える。始動スイッチがオン状態であることは、第1リレー20をオンに切り替える指示に相当する。これにより、第1電圧変換部21には、高圧バッテリ10の電圧が印加される。そして、ステップS3に移行し、制御部23は、第1電圧変換部21を動作させる。これにより、第1電圧変換部21は、低圧バッテリ11や低圧負荷13に低電圧を印加する。このとき、制御部23は、第2リレー24をオフ状態に切り替えつつ、第2電圧変換部22を動作させない。そして、図4に示す処理を終了する。こうして、高圧負荷12及び低圧負荷13は、車両の走行中に給電される。
【0043】
外部ECUから始動スイッチがオフ状態であることを示す信号が入力される(ステップS1におけるNo)と、ステップS4に移行し、制御部23は、第1リレー20をオフ状態に切り替える。そして、ステップS5に移行し、制御部23は、第1電圧変換部21の動作を停止させる。
【0044】
次に、ステップS6に移行すると、制御部23は、第2電圧変換部22を介した低圧負荷13への供給が可能且つ必要であるか否かを判定する。具体的には、外部ECUから第2低圧負荷13Bへの電力供給を要求する信号が入力されているか否かを制御部23は、判定する。ステップS6において、第2電圧変換部22を介した低圧負荷13への供給が可能且つ必要である(すなわち、外部ECUから第2低圧負荷13Bへの電力供給を要求する信号が入力されている)(ステップS6におけるYes)と制御部23が判定すると、ステップS7に移行し、制御部23は、第2リレー24をオン状態に切り替える。そして、ステップS8に移行し、制御部23は、第2電圧変換部22を動作させ、図4に示す処理を終了する。こうして車両が駐車中に第2低圧負荷13Bは、給電され動作する。
【0045】
ステップS6において、第2電圧変換部22を介した低圧負荷13への供給が可能且つ必要でない(すなわち、外部ECUから第2低圧負荷13Bへの電力供給を要求する信号が入力されていない)(ステップS6におけるNo)と制御部23が判定すると、ステップS9に移行し、制御部23は、第2リレー24をオフ状態に切り替える。そして、ステップS10に移行し、制御部23は、第2電圧変換部22の動作を停止させ、図4に示す処理を終了する。このときには、第1リレー20及び第2リレー24の両方がオフ状態にされるので、バッテリケース30の外側に高圧バッテリ10の電圧が露出しない。そして、第2低圧負荷13Bは、給電されないため動作しない。ステップS6におけるNoは、バッテリケース30の外側に高圧バッテリ10の電圧が露出しないので、車両のメンテナンスを行う場合や、検出した高圧バッテリ10のSOCが想定外の状態である場合に適している。
【0046】
次に、本構成の効果を例示する。
車載用制御装置1は、高圧バッテリ10と、高圧負荷12と、低圧負荷13と、を備える車載システム100に用いられる。車載用制御装置1は、第1リレー20と、第1電圧変換部21と、第2電圧変換部22と、制御部23と、を備えている。第1リレー20は、高圧バッテリ10と高圧負荷12との間に設けられる。第1電圧変換部21は、第1リレー20と低圧負荷13との間に設けられる。第2電圧変換部22は、第1リレー20及び第1電圧変換部21に対して並列に設けられる。制御部23は、第1リレー20、第1電圧変換部21、及び第2電圧変換部22を制御する。第1電圧変換部21は、高圧バッテリ10側から第1リレー20を介して入力される電圧を高圧バッテリ10からの出力電圧よりも低い低電圧に変換して低圧負荷13側に出力する第1変換動作を行う。第2電圧変換部22は、高圧バッテリ10側から入力される電圧を低電圧に変換して低圧負荷13側に出力する第2変換動作を行う。制御部23は、車両の走行中において第1リレー20をオン状態に制御しつつ第1電圧変換部21に第1変換動作を行わせ、車両の駐車中において第2電圧変換部22に第2変換動作を行わせる。
【0047】
この構成によれば、車両の駐車中の状態において第2電圧変換部22を使用することにより、高圧バッテリ10と高圧負荷12との間に設けられる第1リレー20の使用を避けることが可能になる。したがって、第1リレー20の劣化を抑制できるため、第1リレー20の使用期間を延ばすことができる。
【0048】
第2電圧変換部22の給電効率が最大となるときの出力電流P2は、第1電圧変換部21の給電効率が最大となるときの出力電流P1よりも小さい。低圧負荷13の使用電力は、車両の走行中に比べ駐車中には小さくなることが想定される。このため、車載用制御装置1は、第2電圧変換部22の給電効率が最大となるときの出力電流P2を、第1電圧変換部21の給電効率が最大となるときの出力電流P1よりも小さくする構成とすることで、車両の走行中と駐車中との各々の低圧負荷13の動作状態に適した電力供給を行いやすい。
【0049】
第1電圧変換部21は、電圧を変換する第1トランス21Aを有し、第2電圧変換部22は、電圧を変換する第2トランス22Aを有し、第2トランス22Aの外形は、第1トランス21Aの外形よりも小さい。この構成によれば、第2電圧変換部22の給電効率が最大となるときの出力電流P2が、第1電圧変換部21の給電効率が最大となるときの出力電流P1よりも小さい構成なので、第2電圧変換部22を第1電圧変換部21よりも小型化することが可能である。
【0050】
車載システム100は、低圧バッテリ11を備える。低圧バッテリ11は、低圧負荷13に電力供給可能とされ、制御部23は、第2電圧変換部22から低圧負荷13への電力供給が低圧バッテリ11からの低圧負荷13への電力供給よりも優先されるように第2電圧変換部22の出力電圧を調整する。この構成によれば、低圧バッテリ11の充放電の回数を抑えることができ、低圧バッテリ11の劣化を遅らせることができる。
【0051】
更に、高圧バッテリ10と第2電圧変換部22との間に設けられる第2リレー24と、高圧バッテリ10を収容するバッテリケース30と、を備え、制御部23は、第2リレー24を制御する。第2リレー24及び第2電圧変換部22は、第1リレー20及び第1電圧変換部21に対して並列に設けられている。第1リレー20及び第2リレー24は、バッテリケース30内に設けられている。この構成によれば、第1リレー20及び第2リレー24によって、バッテリケース30の内側と外側との間を確実に遮断することが可能となり、高圧バッテリ10の出力電圧がバッテリケース30外に露出することを防ぎやすい。
【0052】
<実施形態2>
図5に示すように、実施形態2の車載用制御装置2は、第2リレーを備えない点、第2電圧変換部22がバッテリケース30に設けられている点等が実施形態1とは異なり、その他の点で共通する。実施形態2では、実施形態1と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。車載システム200は、車両に搭載される電源システムである。
【0053】
第1リレー20は、第2電圧変換部22とともにバッテリケース30内に設けられている。第1電圧変換部21は、バッテリケース30外に設けられている。第2電圧変換部22は、第1導電路16に印加された高圧バッテリ10の電圧を高圧バッテリ10の出力電圧よりも低い低電圧に変換して第3導電路18に定電圧を印加するように降圧動作を行う。第2電圧変換部22は、バッテリケース30に収容されている。このため、第2電圧変換部22に電気的に接続される第3導電路18は、バッテリケース30からバッテリケース30外に引き出された構成とされている。バッテリケース30の第2端子30Bは、第3導電路18に設けられている。第2電圧変換部22は、第2端子30Bと、高圧バッテリ10との間に設けられている。第2電圧変換部22は、第1リレー20及び第1電圧変換部21に対して並列に設けられている。
【0054】
[制御部における制御について]
次に、制御部23によって実行される制御の一例について、図6等を参照しつつ説明する。
【0055】
ステップS1からステップS5は、実施形態1と同様の処理を実行する。具体的には、外部ECUから始動スイッチがオフ状態であることを示す信号が入力される(ステップS1におけるNo)と、ステップS4に移行する。ステップS4に移行すると、制御部23は、第1リレー20をオフ状態に切り替え、ステップS5に移行し、制御部23は、第1電圧変換部21の動作を停止させる。
【0056】
そして、ステップS11移行すると、制御部23は、第2電圧変換部22を動作させる。こうして車両が駐車中に第2低圧負荷13Bは、給電され動作する。
【0057】
高圧バッテリ10を収容するバッテリケース30を備え、第1リレー20及び第2電圧変換部22は、バッテリケース30内に設けられている。この構成によれば、バッテリケース30内に高圧バッテリ10、第1リレー20、及び第2電圧変換部22を設けることによって、高圧バッテリ10から出力される出力電圧、及び第2電圧変換部22によって変換された低電圧、の二つの異なる電圧を出力する電源ユニットを構築することができる。
【0058】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0059】
実施形態1、2とは異なり、制御部をバッテリボックスに収容してもよい。
【0060】
第2電圧変換部において、第2トランスの外形を小さくすることに加え、水冷や空冷の構成の規模を小さくしたり、基板に設けられた配線パターンの幅を狭くしたり、放熱シンクを小さくしたり、第2電圧変換部を収容する筐体を小さくすることも可能である。
【0061】
実施形態1、2とは異なり、第1電圧変換部及び第2電圧変換部をフルブリッジ接続した構成としてもよい。また、第1電圧変換部及び第2電圧変換部にフォワード方式やフライバック方式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,2…車載用制御装置
10…高圧バッテリ
11…低圧バッテリ
12…高圧負荷
13…低圧負荷
13A…第1低圧負荷
13B…第2低圧負荷
16…第1導電路
17…第2導電路
18…第3導電路
19…第4導電路
20…第1リレー(リレー)
21…第1電圧変換部
21A…第1トランス
21B…スイッチ素子
22…第2電圧変換部
22A…第2トランス
22B…スイッチ素子
23…制御部
24…第2リレー
30…バッテリケース
30A…第1端子
30B…第2端子
100,200…車載システム
P1…第1電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流
P2…第2電圧変換部の給電効率が最大となるときの出力電流
【要約】
車載用制御装置(1)は、高圧バッテリ(10)と高圧負荷(12)との間の第1リレー(20)と、第1リレー(20)と低圧負荷(13)との間の第1電圧変換部(21)と、第1リレー(20)及び第1電圧変換部(21)に対して並列に設けられる第2電圧変換部(22)と、制御部(23)と、を備えている。第1電圧変換部(21)は、高圧バッテリ(10)から第1リレー(20)を介して入力される電圧を高圧バッテリ(10)の出力電圧よりも低い低電圧に変換して低圧負荷(13)側に出力する第1変換動作を行う。第2電圧変換部(22)は、高圧バッテリ(10)から入力される電圧を低電圧に変換して低圧負荷(13)側に出力する第2変換動作を行う。制御部(23)は、車両の走行中に第1リレー(20)をオン状態に制御しつつ第1電圧変換部(21)に第1変換動作を行わせ、車両の駐車中に第2電圧変換部(22)に第2変換動作を行わせる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6