(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】粘着シートロール
(51)【国際特許分類】
A47L 25/00 20060101AFI20240926BHJP
A47L 13/10 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
A47L25/00 A
A47L13/10 Z
(21)【出願番号】P 2020189732
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】522270974
【氏名又は名称】万代 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(73)【特許権者】
【識別番号】520447330
【氏名又は名称】在間 満
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】在間 満
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-327450(JP,A)
【文献】特開2002-355209(JP,A)
【文献】特開昭63-234298(JP,A)
【文献】特開2007-262172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 25/00
A47L 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯に粘着シートが巻回され、清掃対象面上を転がしながら前記清掃対象面を清掃するための粘着シートロールであって、
前記粘着シートは、
前記粘着シートの長手方向において一定間隔で形成された切断部と、
前記各切断部の下流側に形成された折曲げ部と、
前記折曲げ部の下流側に形成され、前記清掃対象面への密着性を低下させる密着性低下部と
、
前記折曲げ部と前記密着性低下部との間に形成された剥離防止部と、
を備え、
前記切断部及び前記折曲げ部は、前記粘着シートの幅方向に形成された切れ目であり、
前記密着性低下部は、前記粘着シートの幅方向に形成された開口又は窪みであり、
前記剥離防止部は、前記粘着シートの幅方向に形成された窪みであり、
前記折曲げ部
、前記密着性低下部
及び前記剥離防止部は、前記粘着シートを前記切断部で切断し、前記粘着シートを前記折曲げ部で折り返して折返し部を形成したときに、前記折返し部の下流側に前記密着性低下部があ
り、かつ前記折返し部に前記剥離防止部の前記窪みがあるように配置されていることを特徴とする粘着シートロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット等の対象面を転がしながら清掃対象面を清掃するための粘着シートロールに関する。
【背景技術】
【0002】
カーペット等の対象面を転がしながら清掃対象面を清掃する粘着シートロールを用いた清掃用具が知られている。
図20(a)は、従来の清掃用具13の一例を示す外観斜視図である。シャフト14にハンドル15が取り付けられ、シャフト14の先端側にホルダー16が固定されており、ホルダー16には粘着シートロール17が装着されている。
図20(a)において、粘着シートロール17を前進(矢印h方向)させることにより、粘着シートロール17が回転しながら、清掃対象面が清掃されていく。
【0003】
使用中、粘着シートロール17の全周に亘りごみが付着し、ごみが付着した粘着シート18を剥がして切り取ることにより、新たな粘着シート18を露出させた状態で使用を再開することができる。しかし、粘着シート18を剥がす際に、全周にごみが付着した粘着シート18は先端部を見付けにくいという問題があった。
【0004】
また、使用中、不意に粘着シートロール17を後退させる場合がある。この場合、
図20(b)に示したように、後退(矢印i方向)中、清掃対象面に粘着シート18が貼り付いたまま粘着シート18がロール部19から剥がれるという問題があった。
【0005】
この点、特許文献1には、前記のような問題を解決するために、ミシン目状の切断部とほぼ平行な折曲線を設けた粘着シートロール(粘着テープロール)が提案されている。この粘着シートロールによれば、切断部の端部を折曲線に沿って粘着面側に折り曲げて、粘着面同士を貼り合わせることにより、ロール表面端部に、粘着シートの裏面(非粘着面)が表面側に現れた折曲部が形成される。折曲部表面は非粘着面であり、ごみが付着せず、使用によって黒ずんだ粘着面とは明瞭に識別でき、最外層の粘着シートの剥がし箇所が容易に分かる。また、折曲部表面が非粘着面であることにより、粘着シートロールを逆方向に回転させても、清掃対象面に粘着シートが貼り付いたまま剥がれることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の粘着シートロールにおいて、粘着シートロールを逆方向に回転させた場合、粘着力のない折曲部に続く粘着面において清掃対象面に粘着シートが貼り付く可能性は依然として残っていた。具体的には、特許文献1に記載の粘着シートロールは、清掃対象面がカーペット等の粗面である場合は、逆方向の回転時における貼り付き防止効果が安定して得られるが、フローリング表面やガラス面等の平坦度の高い清掃対象面に関しては、同効果が安定して得られるとは限らなかった。
【0008】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、清掃対象面が平坦度の高い面であっても、逆方向の回転時における貼り付き防止効果が安定して得られる粘着シートロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の粘着シートロールは、巻芯に粘着シートが巻回され、清掃対象面上を転がしながら前記清掃対象面を清掃するための粘着シートロールであって、前記粘着シートは、前記粘着シートの長手方向において一定間隔で形成された切断部と、前記各切断部の下流側に形成された折曲げ部と、前記折曲げ部の下流側に形成され、前記清掃対象面への密着性を低下させる密着性低下部と、前記折曲げ部と前記密着性低下部との間に形成された剥離防止部と、を備える。前記切断部及び前記折曲げ部は、前記粘着シートの幅方向に形成された切れ目であり、前記密着性低下部は、前記粘着シートの幅方向に形成された開口又は窪みであり、前記剥離防止部は、前記粘着シートの幅方向に形成された窪みである。また、前記折曲げ部、前記密着性低下部及び前記剥離防止部は、前記粘着シートを前記切断部で切断し、前記粘着シートを前記折曲げ部で折り返して折返し部を形成したときに、前記折返し部の下流側に前記密着性低下部があり、かつ前記折返し部に前記剥離防止部の前記窪みがあるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
前記本発明の粘着シートロールによれば、粘着シートロールの使用時には、端部に非粘着面である折返し部があり、その下流側は密着性低下部になっているので、清掃対象面が平坦度の高い面であっても、粘着シートロールを清掃方向とは逆に後進さたときに、粘着シートの端部近傍が清掃対象面に貼り付いたまま粘着シートが剥がれる現象を安定して防止することができる。
【0011】
また、前記本発明の粘着シートロールによれば、折返し部に窪みがあるので、折返し部における粘着シートの密着性が高まり、折返し部の剥離防止効果が高まる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は前記のとおりであり、本発明によれば、粘着シートロールの使用時には、端部に非粘着面である折返し部があり、その下流側は密着性低下部になっているので、清掃対象面が平坦度の高い面であっても、粘着シートロールを清掃方向とは逆に後進さたときに、粘着シートの端部近傍が清掃対象面に貼り付いたまま粘着シートが剥がれる現象を安定して防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粘着シートロールを備えた清掃用具の外観斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る粘着シートロールの外観斜視図。
【
図4】本発明の一実施形態において、ロール部から使用後の粘着シートを切断している状態の粘着シートロールの外観斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態において、ロール部から使用後の粘着シートが完全に切断された状態を示すシートロールの外観斜視図である
【
図6】
図5の状態から折返し片を起こした状態を示す粘着シートロールの外観斜視図。
【
図7】
図6の状態から折返し片を粘着シートに向けて折り返した状態を示すシートロールの外観斜視図。
【
図9】本発明の一実施形態において、粘着シートロールの前進時を時系列的に示した図。
【
図10】本発明の一実施形態において、粘着シートロールの後進時を時系列的に示した図。
【
図11】粘着シートロールの第2の実施形態に係る外観斜視図。
【
図14】粘着シートロールの第3の実施形態に係る外観斜視図。
【
図17】本発明の一実施形態において、開口及び切れ目の加工工程を示す側面図。
【
図18】
図17に示した刃物具41を刃43側から見た平面図。
【
図19】
図17に示した刃物具45を刃47及び刃48側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着シートロール1を備えた清掃用具10の外観斜視図である。粘着シートロール1は巻芯2に粘着シート3を巻回してロール部4を形成したものである。粘着シートロール1はホルダー5に装着されている。ホルダー5に形成された爪6に巻芯2を係合させて、粘着シートロール1のホルダー5からの抜け防止を図っている。
【0015】
ホルダー5にはシャフト11が固定され、シャフト11にはハンドル12が取り付けられている。ハンドル12を持ったまま、清掃用具10を前進(矢印a方向)させることにより、粘着シートロール1が清掃対象面上を転がりながら、粘着シートロール1にごみが付着し、清掃対象面が清掃されていく。
【0016】
図2は、粘着シートロール1の外観斜視図である。本図では粘着シート3の一部をロール部4から剥がした状態を示している。粘着シート3の長手方向において一定間隔Pで切断部20が形成されている。切断部20の下流側には折曲げ部21が形成され、折曲げ部21の下流側には密着性低下部22が形成されている。
【0017】
詳細は後述するが、切断部20はごみが付着した粘着シート3をロール部4から切断する部分である。折曲げ部21は、ごみが付着した粘着シート3を切断部20で切断した後に、切断部20を起こして折り返す部分である。この折り返しにより、粘着シート3の非粘着面がロール部4の表面側に露出する。密着性低下部22は、清掃対象面との密着性を低下させて粘着シート3のロール部4からの剥離を防止する部分である。
【0018】
図2において、切断部20は、粘着シート3の幅方向に断続的に形成された切れ目23で構成されている。
図2では、切れ目23は、粘着シート3の幅方向に対して傾斜しているが、傾斜していないものであってもよい。折曲げ部21は、粘着シート3の幅方向に断続的に形成された切れ目24で形成されている。
【0019】
密着性低下部22は、粘着シート3の幅方向に断続的に形成された開口25で形成されている。
図2では開口25は長穴形であるが、形状は特に限定はなく、丸や三角であってもよい。また、開口に限るものではなく、後述するとおり、窪みであってもよい(
図11~
図13参照)。さらに、開口や窪みは、粘着シート3の幅方向に連続的に形成された1つ又は複数の開口や窪みであってもよい。
【0020】
図3は
図2のAA線における断面図を示している。切断部20の切れ目23に対応する切り込み23a、折曲げ部21の切れ目24に対応する切り込み24a及び開口25に対応する貫通孔25aが、ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで貫通するように形成されている。この構成によれば、
図2おいて、粘着シート3を剥がす際に、ロール部4が一定回転する毎に、切断部20とこれに付随して折曲げ部21及び密着性低下部22が現れることになる。
【0021】
以下、
図4~7を参照しながら、粘着シートロール1の取り扱いについて説明する。粘着シート3の切断等の取り扱いは、
図1のように清掃用具10のホルダー5に粘着シートロール1が装着された状態で行なわれるが、
図4~7では、便宜のため、粘着シートロール1単体を図示して説明する。
【0022】
図4は、ロール部4から使用後の粘着シート3を切断している状態の粘着シートロール1の外観斜視図である。
図4において粘着シート3には使用により、ごみ15が付着している。粘着シート3の端部には折返し部27が形成されている。折返し部27の詳細は後述する。ごみ15が付着した粘着シート3を切断してロール部4から切り離すことにより、新たな粘着シート3にごみ15を付着させることができる。
図4では切断部20の約半分が切断されている。切断は切れ目23の形成部分において、粘着シート3を引き裂くことにより行なわれる。
【0023】
図5は、ロール部4から使用後の粘着シート3が完全に切断された状態を示す粘着シートロール1の外観斜視図である。この状態ではロール部4の外表面は、ごみの付着していない未使用面になっている。また、使用後の粘着シート3が完全に切断されたことにより、切れ目23と折曲げ部21を構成する切れ目24との間には、折返し片26が形成されている。
【0024】
図6は、
図5の状態から折返し片26を起こした状態を示す粘着シートロール1の外観斜視図である。
図6において、折返し片26は折曲げ部21を構成する切れ目24の位置で起こされている。
図7は、
図6の状態から折返し片26を粘着シート3に向けて折り返した状態を示すシートロール1の外観斜視図である。
図7の状態では、折返し片26を折り返したことにより、粘着シート3の端部に折返し部27が形成されている。
【0025】
図8は
図7のBB線における断面図を示している。
図8において、折返し部27は、折返し片26の粘着面側を粘着シート3に付着させることにより形成されている。このことにより、
図8において、折返し部27の表面側は非粘着面になっている。
【0026】
以下、
図9及び
図10を参照しながら、使用時における粘着シートロール1の動作について説明する。
図9及び
図10においても、便宜のため、清掃用具10の図示は省略し、粘着シートロール1単体を図示して説明する。
図9は、粘着シートロール1の前進時を時系列的に示した図である。
図9(a)において、粘着シートロール1は清掃対象面50に接地している。この状態から粘着シートロール1を前進回転方向(矢印b方向)に回転させながら、前進(矢印c方向)させる。
【0027】
図9(a)の状態では、折返し部27は清掃対象面50の上側にあり接地していない。
図9(a)の状態から前進した
図9(b)の状態においては、密着性低下部22が清掃対象面50に接地している。
図9(b)の状態から前進した
図9(c)の状態においては、折返し部27が清掃対象面50に接地している。
図9(c)の状態から前進した
図9(d)の状態においては、折返し部27は清掃対象面50から離れている。
【0028】
図9(a)から
図9(c)において、粘着シート3の端部近傍が清掃対象面50に接地している。折返し部27の表面は非粘着面であるので、
図9(c)の状態では、折返し部27は、清掃対象面50に貼り付かない。一方、
図9(a)及び
図9(b)の状態では、粘着シート3の粘着面が清掃対象面50に接地している。しかし、前進回転方向(矢印b方向)は、ロール部4の表面の粘着シート3をロール部4に巻き取る方向である。このため、粘着シート3の端部近傍が清掃対象面50に貼り付いたまま残り、粘着シート3がロール部4から剥がれる現象は生じない。
【0029】
粘着シートロール1の使用時は、
図9に示したように、粘着シートロール1を前進させることになるが、使用中、不意に粘着シートロール1を後退させる場合がある。
図10は、粘着シートロール1の後進時を時系列的に示した図である。
図10(a)において、粘着シートロール1は清掃対象面50に接地している。この状態から粘着シートロール1を後進回転方向(矢印d方向)に回転させながら、後進(矢印e方向)させる。
【0030】
図10(a)の状態では、折返し部27は清掃対象面50の上側にあり接地していない。
図10(a)の状態から後進した
図10(b)の状態においては、折返し部27が清掃対象面50に接地している。
図10(b)の状態から後進した
図10(c)の状態においては、密着性低下部22が清掃対象面50に接地している。
図10(c)の状態から後進した
図10(d)の状態においては、密着性低下部22が清掃対象面50から離れている。
【0031】
図10(a)から
図10(c)において、粘着シート3の端部近傍が清掃対象面50に接地している。粘着シート3の端部である折返し部27の表面は非粘着面である。このため、
図10(b)の状態では、折返し部27は接地しているが、折返し部27は、清掃対象面50に貼り付かず、
図10(d)に示したように、折返し部27は清掃対象面50から離れていく。
【0032】
折返し部27が無く粘着面である端部が接地した場合は、そのまま後退すると、後進回転方向(矢印d方向)は、ロール部4から粘着シート3が剥がれる方向であるので、粘着シート3が清掃対象面50に貼り付いたまま剥がれる現象が生じ得る(
図20(b)参照)。
【0033】
一方、折返し部27が非粘着面であっても、折返し部27の下流側は粘着面であるので、前記のような粘着シート3が清掃対象面50に貼り付いたまま剥がれる現象が生じ得る。具体的には、清掃対象面50がフローリング面やガラス面等の平坦度の高い面である場合は、折返し部27の下流側において、清掃対象面50に貼り付いたまま剥がれる現象が生じ得る。
【0034】
この点、本実施形態においては、折返し部27の下流側は密着性低下部22であり、後進(矢印e方向)した場合、
図10(b)のように折返し部27が接地すると、続いて
図10(c)に示したように、密着性低下部22が清掃対象面50に接地する。
図7に示したように、密着性低下部22は、開口25が断続的に形成されている。このため、密着性低下部22においては、他の粘着面に比べ、密着面積が小さくなるので、清掃対象面50への密着性が低下する。したがって、密着性低下部22においても、粘着シート3が清掃対象面50に貼り付いたまま剥がれる現象の防止効果が得られる。
【0035】
すなわち、本実施形態においては、粘着シートロール1の使用時には、端部に非粘着面である折返し部27があり、その下流側は密着性低下部22になっている。このことにより、清掃対象面が平坦度の高い面であっても、粘着シートロール1を清掃方向とは逆に後進さたときに、粘着シート3の端部近傍が清掃対象面50に貼り付いたまま粘着シート3が剥がれる現象を安定して防止することができる。
【0036】
以下、
図11~
図13を参照しながら、密着性低下部22の別の仕様について説明する。
図11は、粘着シートロール1の第2の実施形態に係る外観斜視図である。
図2に示した粘着シートロール1は、開口25で密着性低下部22が構成されているが、
図11に示した粘着シートロール1は、窪み28で密着性低下部22が構成されている。この点以外は、
図2に示した粘着シートロール1と
図11に示した粘着シートロール1とは同一構成である。
【0037】
図12は、
図11のCC線における断面図である。
図12において、シート3の表面が粘着面で裏面が非粘着面である。窪み28は粘着面側が窪むように形成されている。
図13は、
図11のDD線における断面図である。ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで窪み28が積層されている。窪み28が形成されていることにより、密着性低下部22においては、他の粘着面に比べ、密着面積が小さくなるので、清掃対象面50への密着性が低下する。したがって、窪み28で密着性低下部22を構成した場合であっても、後進時に、粘着シートロール1の端部近傍が粘着シート3が清掃対象面50に貼り付いたまま剥がれる現象を安定して防止することができる。
【0038】
以下、
図14~
図16を参照しながら、粘着シート3のさらに別の仕様について説明する。
図14は、粘着シートロール1の第3の実施形態に係る外観斜視図である。
図14に示した粘着シートロール1は、
図11に示した粘着シートロール1に比べ、剥離防止部30が追加されている点が、
図11に示した粘着シートロール1と異なっている。剥離防止部30は窪み31の列であり、窪み31の断面形状は、
図12に示した窪み28と同様である。窪み31は、粘着シート3の幅方向に断続的に形成されており、剥離防止部30は、窪み28で構成された密着性低下部22と、切れ目24で形成された折曲げ部21との間に形成されている。
【0039】
図15は、
図14のEE線における断面図である。ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで窪み31が積層されている。
図16は、
図15の状態から折返し部27を形成したときの断面図である。
図16において、窪み31が形成されていることにより、折返し片26の粘着シート3への密着性が高まり、折返し片26の剥離防止効果も高まる。窪み31は、粘着シート3の幅方向に連続的に形成された1つ又は複数の窪みであってもよい。
【0040】
以下、
図17~
図19を参照しながら、粘着シートロール1の開口及び切れ目の加工について説明する。
図17は、開口及び切れ目の加工工程を示す側面図である。
図17において、粘着シートロール1は断面状態で図示している。粘着シートロール1は巻芯2の内周側に挿入された芯金40で支持されている。
【0041】
刃物具41は、刃物台42に開口25(
図2参照)用の刃43が取り付けられたものである。
図18は、刃物具41を刃43側から見た平面図である。刃43は、
図2に示した開口25の列に対応するように配置されている。刃43の内側は空間44になっており、空間44を経て抜きカスが排出される。
【0042】
図17において、刃物具45は、刃物台46に刃47及び刃48が取り付けられたものである。刃47は切れ目24(
図2参照)用であり、刃47は切れ目23(
図2参照)用である。
図19は、刃物具45を刃47及び刃48側から見た平面図である。刃47は、
図2に示した切れ目24の列に対応するように配置されている。刃48は、
図2に示した切れ目23の列に対応するように配置されている。
【0043】
図17において、粘着シートロール1は芯金40で支持されており、この状態で刃物具41を粘着シートロール1に向けて移動させ(矢印f方向)、刃物具41で粘着シートロール1を押圧することにより、粘着シートロール1が穴抜き加工される。穴抜き加工後は、
図3に示したように、ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで貫通するように貫通孔25aが形成される。
【0044】
同様に、
図17において、刃物具45を粘着シートロール1に向けて移動させ(矢印g方向)、刃物具45で粘着シートロール1を押圧することにより、粘着シートロール1が切り込み加工される。切り込み加工後は、
図3に示したように、ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで貫通するように切り込み24a及び切り込み23aが形成される。
【0045】
図17において、刃43に代えて、円柱状のダイスを用いることにより、
図11に示した窪み26を形成することができる。ダイスを取り付けた刃物具で粘着シートロール1を押圧することにより、粘着シートロール1が圧印加工される。圧印加工後は、
図13に示したように、ロール部4の径方向において、ロール部4の表面から巻芯2の表面まで窪み28が積層されることになる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前記実施形態は一例であり、適宜変更したものであってもよい。例えば、
図14において、密着性低下部22は窪み28の列で形成されているが、
図2に示した密着性低下部22と同様に、開口25で形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 粘着シートロール
2 巻芯
3 粘着シート
4 ロール部
10 清掃用具
20 切断部
21 折曲げ部
22 密着性低下部
25 開口
23,24 切れ目
28 密着性低下部の窪み
30 剥離防止部
31 剥離防止部の窪み