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特許7560822生体情報処理装置、生体情報処理方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】生体情報処理装置、生体情報処理方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/352 20210101AFI20240926BHJP
【FI】
A61B5/352 100
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020029671
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021132758
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505246789
【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷島 正巳
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真澄
(72)【発明者】
【氏名】間藤 卓
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0293604(US,A1)
【文献】特開2010-172365(JP,A)
【文献】特開2013-078543(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0954817(KR,B1)
【文献】特開2015-054002(JP,A)
【文献】特開2005-261777(JP,A)
【文献】特開2004-329710(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105960643(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備えた生体情報処理装置であって、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、第1の時間間隔毎に前記被検者の自律神経機能に関連するパラメータの値を取得し、
前記第1の時間間隔毎に取得された前記パラメータの複数の値に基づいて、前記被検者の自律神経機能の異常の程度を示す異常指標値であって、前記パラメータの閾値を超える前記パラメータのピーク値の個数を示す異常亢進回数、および前記パラメータの最大値と最小値との間の差分である前記パラメータの変動幅の少なくとも一方を含む複数の前記異常指標値を取得し、
前記複数の異常指標値の時間変化を表示する、生体情報処理装置。
【請求項2】
前記パラメータは、
前記被検者の交感神経機能に関連する第1パラメータと、
前記被検者の副交感神経機能に関連する第2パラメータと、
を含む、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記異常指標値は、前記パラメータの基準値を含む、請求項1又は2に記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記異常指標値は、前記第1パラメータの第1基準値と、前記第2パラメータの第2基準値とを含む、請求項2に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記異常指標値は、前記第1基準値と前記第2基準値との間の比率を示す基準値比率をさらに含む、請求項4に記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記異常指標値は、前記パラメータの前記異常亢進回数を含、請求項1から5のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記異常指標値は、前記パラメータの前記変動幅を含む、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記生体情報処理装置は、
前記第1の時間間隔よりも広い第2の時間間隔毎に前記パラメータの中央値、平均値又は最頻値を特定し、
前記第2の時間間隔毎に特定された複数の前記パラメータの中央値、平均値又は最頻値に基づいて、前記基準値を算出する、
請求項3に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記生体情報処理装置は、
前記パラメータの複数の値のうち、前記パラメータの閾値よりも小さい前記パラメータの複数の値を特定し、
前記パラメータの閾値よりも小さい前記パラメータの複数の値の中央値、平均値又は最頻値を前記パラメータの基準値として算出する、
請求項3に記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
前記生体情報処理装置は、
前記パラメータの複数の値のうちの上位N%(0<N<100)の値を除いた前記パラメータの複数の値の中央値、平均値又は最頻値を前記パラメータの基準値として算出する、
請求項3に記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
前記生体情報処理装置は、
前記複数の異常指標値の時間変化を示すトレンドグラフと、前記パラメータの時間変化を示すトレンドグラフとを同時に表示する、請求項1から10のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項12】
前記生体情報処理装置は、
前記複数の異常指標値の時間変化を示すトレンドグラフと、前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフと、前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフとを同時に表示する、
請求項2に記載の生体情報処理装置。
【請求項13】
前記生体情報処理装置は、前記異常指標値に基づいて決定されるメッセージ情報を表示する、請求項1から12のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項14】
前記生体情報処理装置は、前記異常指標値の数値情報を表示する、請求項1から13のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項15】
前記生体情報処理装置は、前記複数の異常指標値の時間変化を示すグラフを表示する、請求項1から14のうちいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項16】
被検者の生体情報を示す生体情報データを取得するステップと、
前記生体情報データに基づいて、第1の時間間隔毎に前記被検者の自律神経機能に関連するパラメータの値を取得するステップと、
前記第1の時間間隔毎に取得された前記パラメータの複数の値に基づいて、前記被検者の自律神経機能の異常を示す異常指標値であって、前記パラメータの閾値を超える前記パラメータのピーク値の個数を示す異常亢進回数、および前記パラメータの最大値と最小値との間の差分である前記パラメータの変動幅の少なくとも一方を含む複数の前記異常指標値を取得するステップと、
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップと、
を含む、生体情報処理方法。
【請求項17】
前記パラメータは、
前記被検者の交感神経機能に関連する第1パラメータと、
前記被検者の副交感神経機能に関連する第2パラメータと、
を含む、請求項16に記載の生体情報処理方法。
【請求項18】
前記異常指標値は、前記パラメータの基準値を含む、
請求項16又は17に記載の生体情報処理方法。
【請求項19】
前記異常指標値は、前記第1パラメータの第1基準値と、前記第2パラメータの第2基準値とを含む、請求項17に記載の生体情報処理方法。
【請求項20】
前記異常指標値は、前記第1基準値と前記第2基準値との間の比率を示す基準値比率をさらに含む、請求項19に記載の生体情報処理方法。
【請求項21】
前記異常指標値は、前記パラメータの前記異常亢進回数を含、請求項16から20のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項22】
前記異常指標値は、前記パラメータの前記変動幅を含む、請求項16から21のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項23】
前記第1の時間間隔よりも広い第2の時間間隔毎に前記パラメータの中央値、平均値又は最頻値を特定するステップと、
前記第2の時間間隔毎に特定された複数の前記パラメータの中央値、平均値又は最頻値に基づいて、前記基準値を算出するステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の生体情報処理方法。
【請求項24】
前記パラメータの複数の値のうち、前記パラメータの閾値よりも小さい前記パラメータの複数の値を特定するステップと、
前記パラメータの閾値よりも小さい前記パラメータの複数の値の中央値、平均値又は最頻値を前記パラメータの基準値として算出するステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の生体情報処理方法。
【請求項25】
前記パラメータの複数の値のうちの上位N%(0<N<100)の値を除いた前記パラメータの複数の値の中央値、平均値又は最頻値を前記パラメータの基準値として算出するステップをさらに含む、請求項18に記載の生体情報処理方法。
【請求項26】
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップは、
前記複数の異常指標値の時間変化を示すトレンドグラフと、前記パラメータの時間変化を示すトレンドグラフとを同時に表示するステップを含む、
請求項16から25のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項27】
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップは、
前記複数の異常指標値の時間変化を示すトレンドグラフと、前記第1パラメータの時間変化を示す第1トレンドグラフと、前記第2パラメータの時間変化を示す第2トレンドグラフとを同時に表示するステップを含む、
請求項17に記載の生体情報処理方法。
【請求項28】
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップは、
前記複数の異常指標値に基づいて決定されるメッセージ情報を表示するステップを含む、請求項16から27のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項29】
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップは、前記複数の異常指標値の数値情報を表示するステップを含む、
請求項16から28のうちいずれ一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項30】
前記複数の異常指標値の時間変化を表示するステップは、
前記複数の異常指標値の時間変化を示すグラフを表示するステップを含む、
請求項16から29のうちのいずれか一項に記載の生体情報処理方法。
【請求項31】
請求項16から30のうちいずれか一項に記載の生体情報処理方法をコンピュータに実行させるための生体情報処理プログラム。
【請求項32】
請求項31に記載の生体情報処理プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報処理装置及び生体情報処理方法に関する。さらに、本開示は、当該生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の自律神経に関連した活動をモニタリングする装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、患者の自律神経の活動に基づいて生体の異常反応を予測又は判定することが可能な自律神経活動モニター装置が開示されている。患者の自律神経の活動を可視化するために、患者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)を周波数解析することで、当該心拍変動の高周波成分(HF)と高周波成分に対する低周波成分(LF)との比(LF/HF)の時間変化を示すトレンドグラフが自律神経活動モニター装置の表示画面上に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-261777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療従事者は、モニター装置に表示された患者の自律神経機能(交感神経機能及び副交感神経機能)の時間変化を示すトレンドグラフを注意深く観察することで、患者の自律神経機能の異常に気付くことができる一方で、当該自律神経機能の異常に関連した被検者の病症の程度を的確に把握できない可能性がある。特に、経験年数が浅い医療従事者は、患者の自律神経機能の時間変化を示すトレンドグラフを視認するだけでは、当該自律神経機能の異常に関連した患者の病症の程度を的確に把握するのは困難であることが想定される。このように、上記観点より生体情報処理装置のユーザビリティを改善させる余地がある。
【0005】
本開示は、自律神経機能の異常に関連する被検者の病症の診断に貢献可能な生体情報処理装置及び生体情報処理方法を提供することを目的とする。また、本開示は、当該生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る生体情報処理装置は、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備える。
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記生体情報処理装置は、
被検者の生体情報を示す生体情報データを取得し、
前記生体情報データに基づいて、第1の時間間隔毎に前記被検者の自律神経機能に関連するパラメータの値を取得し、
前記第1の時間間隔毎に取得された前記パラメータの複数の値に基づいて、前記被検者の自律神経機能の異常の程度を示す異常指標値を取得し、
前記異常指標値に関連する情報を表示する。
【0007】
本発明の一態様に係る生体情報処理方法は、
被検者の生体情報を示す生体情報データを取得するステップと、
前記生体情報データに基づいて、第1の時間間隔毎に前記被検者の自律神経機能に関連するパラメータの値を取得するステップと、
前記第1の時間間隔毎に取得された前記パラメータの複数の値に基づいて、前記被検者の自律神経機能の異常を示す異常指標値を取得するステップと、
前記異常指標値に関連する情報を表示するステップと、
を含む。
【0008】
前記生体情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、自律神経機能の異常に関連する被検者の病症の診断に貢献可能な生体情報処理装置及び生体情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)に係る生体情報処理装置を示すハードウェア構成図である。
図2】本実施形態に係る生体情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
図3】患者の自律神経機能に関連するパラメータの値を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
図4】HFパラメータの時間変化を示すトレンドグラフ及びLF/HFパラメータの時間変化を示すトレンドグラフの一例を示す図である。
図5】各異常指標値を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
図6】各異常指標値を説明するための図である。
図7】表示部の表示画面に表示されるHFパラメータのトレンドグラフと、LF/HFパラメータのトレンドグラフと、異常指標値に基づいて決定されるメッセージ情報の一例を示す図である。
図8】(a)は、HFパラメータの変動幅のトレンドグラフ、LF/HFパラメータの変動幅のトレンドグラフ、HFパラメータの異常亢進回数のトレンドグラフ、LF/HFパラメータの異常亢進回数のトレンドグラフを示す。(b)は、HFパラメータの基準値のトレンドグラフと、LF/HFパラメータの基準値のトレンドグラフを示している。
図9】複数の異常指標値の値を示すレーダチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された要素と同一の参照番号を有する要素については、説明の便宜上、その説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る生体情報処理装置1のハードウェア構成図を示す。図1に示すように、生体情報処理装置1(以下、単に処理装置1という。)は、制御部2と、記憶装置3と、ネットワークインターフェース4と、表示部5と、入力操作部6と、センサインターフェース7とを備える。これらはバス8を介して互いに通信可能に接続されている。
【0013】
処理装置1は、患者P(被検者)のバイタルサインのトレンドグラフを表示するための専用装置(生体情報モニタ等)であってもよいし、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン、タブレット、操作者U(医療従事者)の身体(例えば、腕や頭等)に装着されるウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチやARグラス等)であってもよい。
【0014】
制御部2は、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されている。例えば、メモリは、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成されてもよい。また、メモリは、フラッシュメモリ等によって構成されてもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)から構成される。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。プロセッサは、記憶装置3又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
【0015】
特に、プロセッサが後述する生体情報処理プログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で当該プログラムを実行することで、制御部2は、処理装置1の各種動作を制御してもよい。生体情報処理プログラムの詳細については後述する。
【0016】
記憶装置3は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)であって、プログラムや各種データを格納するように構成されている。記憶装置3には、生体情報処理プログラムが組み込まれてもよい。また、記憶装置3には、患者P(被検者)の生体情報を示す生体情報データ(特に、心電図データ)が保存されてもよい。例えば、心電図センサ20によって取得される心電図データは、センサインターフェース7を介して記憶装置3に保存されてもよい。
【0017】
ネットワークインターフェース4は、処理装置1を通信ネットワークに接続するように構成されている。具体的には、ネットワークインターフェース4は、通信ネットワークを介してサーバ等の外部装置と通信するための各種有線接続端子を含んでもよい。また、ネットワークインターフェース4は、外部装置と無線通信するためのRF回路及びアンテナを含んでもよい。外部装置と処理装置1との間の無線通信規格は、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ZigBee(登録商標)又はLPWAである。通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネット等である。例えば、生体情報処理プログラムや生体情報データは、通信ネットワーク上に配置されたサーバからネットワークインターフェース4を介して取得されてもよい。
【0018】
表示部5は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置であってもよいし、操作者の頭に装着される透過型又は非透過型のヘッドマウントディスプレイ等の表示装置であってもよい。さらに、表示部5は、画像をスクリーン上に投影するプロジェクターであってもよい。尚、処理装置1は、表示部5を備えていなくてもよい。例えば、処理装置1から出力された出力データがネットワークインターフェース4又は入力インターフェース(図示せず)を介してセントラルモニタ等の外部装置の表示装置に表示されてもよい。
【0019】
入力操作部6は、処理装置1を操作する操作者U(医療従事者)の入力操作を受付けると共に、当該入力操作に対応する指示信号を生成するように構成されている。入力操作部6は、例えば、表示部5上に重ねて配置されたタッチパネル、処理装置1の筐体に設けられた操作ボタン、マウス及び/又はキーボード等である。入力操作部6によって生成された指示信号がバス8を介して制御部2に送信された後、制御部2は、指示信号に応じて所定の動作を実行する。
【0020】
センサインターフェース7は、心電図センサ20を処理装置1に接続するためのインターフェースである。心電図センサ20は、例えば、患者Pの胸部に装着された複数の電極(例えば、3つの電極)を有する。心電図センサ20は、患者Pの測定部位に接触し、測定部位の電位変化を検出するように構成されている。センサインターフェース7は、心電図センサ20のケーブルコネクタに物理的に接続されてもよい。センサインターフェース7は、差動増幅器及びA/D変換器を含むアナログ処理回路を有してもよい。差動増幅器は、心電図センサ20の一方の測定電極から出力された電位と心電図センサ20の他方の測定電極から出力された電位とを差動増幅することで、心電図データ(アナログデータ)を生成するように構成されている。A/D変換器は、心電図データ(アナログデータ)をデジタルデータに変換するように構成されている。このように、センサインターフェース7によって心電図データ(デジタルデータ)が生成された上で、当該生成された心電図データがメモリ又は記憶装置3に保存される。
【0021】
次に、図2を参照することで本実施形態に係る生体情報処理方法について以下に説明する。図2は、本実施形態に係る生体情報処理方法を説明するためのフローチャートである。
【0022】
図2に示すように、ステップS1において、制御部2は、生体情報データとして患者Pの心電図を示す心電図データを取得する。具体的には、リアルタイムに生体情報データが取得される場合、制御部2は、心電図センサ20及びセンサインターフェース7を介して心電図データをリアルタイムに取得する。一方、制御部2は、記憶装置3に保存された心電図データを取得してもよい。記憶装置3に保存された心電図データは、例えば、患者Pの24時間分の心電図データであってもよい。さらに、制御部2は、通信ネットワーク上に配置されたサーバ等を介して心電図データを取得してもよい。
【0023】
次に、ステップS2において、制御部2は、心電図データに基づいて、第1の時間間隔毎(例えば、1~10秒以内のいずれかの時間単位毎)に患者Pの自律神経機能に関連するパラメータ(LFパラメータ、HFパラメータ、LF/HFパラメータ)の値を取得する。図3を参照して患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得する処理について以下に説明する。図3は、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータの値を取得する処理の一例を示すフローチャートである。
【0024】
図3に示すように、ステップS21において、制御部2は、心電図データに基づいて、複数のRR間隔を含むRR間隔データを取得する。ここで、RR間隔は、所定の心拍波形(QSR波形)のR波と当該所定の心拍波形に隣接する心拍波形のR波との間の時間間隔である。例えば、制御部2は、心電図データから複数のR波のピーク点の時刻を特定する。その後、制御部2は、特定された複数のR波のピーク点の時刻から複数のRR間隔を特定した上で、複数のRR間隔の時間変化を示すRR間隔データを生成する。次に、制御部2は、患者Pの心拍変動(HRV)に対して周波数解析を行う(ステップS22)。具体的には、制御部2は、RR間隔の時間変動を示すRR間隔データに対して周波数解析(例えば、ウェーブレット解析又は高速フーリエ変換(FFT)等)を行う。ここで、RR間隔データは、心拍番号n(nは自然数)に関連付けられた複数のRR間隔Rを含んでもよい。例えば、n番目のRR間隔Rは、n番目の心拍波形WのR波のピーク点の時刻と(n+1)番目の心拍波形Wn+1のR波のピーク点の時刻との間の時間間隔となる。
【0025】
次に、制御部2は、第1の時間間隔(例えば、1~10秒以内のいずれかの時間単位毎)毎に心拍変動(HRV)の低周波成分(LF)に関連するLFパラメータを取得する(ステップS23)。例えば、制御部2は、低周波数帯(例えば、0.05Hz~0.15Hz)におけるRR間隔データのパワースペクトルのピーク強度又は強度の積分値を心拍変動の低周波成分(LF)に関連するLFパラメータとして特定してもよい。特に、時刻tにおけるLFパラメータが取得される場合、制御部2は、時刻(t-Δt)から時刻tの間におけるRR間隔データに対して周波数解析を行うことで、時刻tにおけるLFパラメータを取得してもよい。次に、時刻tn+1におけるLFパラメータが取得される場合、制御部2は、時刻(tn+1-Δt)から時刻tn+1の間におけるRR間隔データに対して周波数解析を行うことで、時刻tn+1におけるLFパラメータを取得してもよい。ここで、tn+1=t+第1の時間間隔となる。
【0026】
次に、制御部2は、第1の時間間隔毎に心拍変動(HRV)の高周波成分(HF)に関連するHFパラメータを取得する(ステップS24)。例えば、制御部2は、高周波数帯(例えば、0.15Hz~0.40Hz)におけるRR間隔データのパワースペクトルのピーク強度又は強度の積分値を心拍変動の高周波成分(HF)に関連するHFパラメータとして特定してもよい。特に、時刻tにおけるHFパラメータが取得される場合、制御部2は、時刻(t-Δt)から時刻tの間におけるRR間隔データに対して周波数解析を行うことで、時刻tにおけるHFパラメータを取得してもよい。次に、時刻tn+1におけるHFパラメータが取得される場合、制御部2は、時刻(tn+1-Δt)から時刻tn+1の間におけるRR間隔データに対して周波数解析を行うことで、時刻tn+1におけるHFパラメータを取得してもよい。HFパラメータは、患者Pの副交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定期間の間、HFパラメータの値が閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの副交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0027】
次に、ステップS25において、制御部2は、第1の時間間隔毎にHFパラメータに対するLFパラメータの比率を示すLF/HFパラメータ(=LFパラメータ÷HFパラメータ)を演算する。LF/HFパラメータは、患者Pの交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定の期間の間、LF/HFパラメータの値が所定の閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0028】
このように、制御部2は、心電図データから患者Pの自律神経機能に関連するパラメータの値を取得することができる。特に、制御部2は、心電図データから患者Pの交感神経機能に関連するLF/HFパラメータ(第1パラメータの一例)の値および患者Pの副交感神経機能に関連するHFパラメータ(第2パラメータの一例)の値を取得することができる。図4に示すように、制御部2は、LF/HFパラメータの時間変化を示すトレンドグラフ(第1トレンドグラフの一例)とHFパラメータの時間変化を示すトレンドグラフ(第2トレンドグラフの一例)を表示部5の表示画面に表示することができる。尚、制御部2は、第1の時間間隔毎に取得されたLF/HFパラメータの値を移動平均処理した上で、移動平均処理後のLF/HFパラメータの値のトレンドグラフを表示画面に表示してもよい。同様に、制御部2は、移動平均処理後のHFパラメータの値のトレンドグラフを表示画面に表示してもよい。
【0029】
尚、制御部2は、心電図データの代わりに、収縮期血圧の時間変動を示す血圧データから患者Pの自律神経機能に関連するパラメータを取得してもよい。この場合、制御部2は、図示しない血圧センサから血圧データを取得した上で、患者Pの収縮期血圧の変動(BPV)に対して周波数解析(例えば、ウェーブレット解析又は高速フーリエ変換(FFT)等)を実行する。具体的には、制御部2は、血圧データに対して周波数解析を実行した上で、BPVの低周波成分(LF)に関連するBPV_LFパラメータを取得する。BPV_LFパラメータは、患者Pの交感神経機能に関連するパラメータである。例えば、所定の期間の間、BPV_LFパラメータの値が所定の閾値よりも小さい場合に、医療従事者は、患者Pの交感神経機能が低下していると判断することができる。
【0030】
次に、図2に戻ると、制御部2は、第1の時間間隔毎に取得されたHFパラメータ及びLF/HFパラメータの複数の値に基づいて、患者Pの自律神経の異常の程度を示す複数の異常指標値を取得する(ステップS3)。図5及び図6を参照して各異常指標値を取得する処理について以下に説明する。図5は、各異常指標値を取得する処理の一例を示すフローチャートである。図6は、各異常指標値を説明するための図である。尚、制御部2は、第1の時間間隔毎に取得されたHFパラメータ及びLF/HFパラメータの複数の値に基づいて、複数の異常指標値を演算してもよいし、移動平均処理後のHFパラメータ及びLF/HFパラメータの複数の値に基づいて、複数の異常指標値を演算してもよい。以降の説明では、一例として7つの異常指標値が紹介されているが、異常指標値はこれらに限定されるものではない。
【0031】
最初に、ステップS31において、制御部2は、異常指標値の一つであるHFパラメータの基準値を演算する。例えば、図6に示すように、HFパラメータの基準値は0.4となる。HFパラメータの基準値の3つの算出手法について以下に説明する。
【0032】
(HFパラメータの基準値の第1の算出手法)
最初に、制御部2は、第1の時間間隔よりも広い第2の時間間隔毎(例えば、1~10分内のいずれかの時間単位毎)にHFパラメータの中央値、平均値又は最頻値を特定する。例えば、制御部2は、24時間の間に取得されたHFパラメータの複数値を1~10分内のいずれかの時間単位毎に区分した上で、前記区分された時間単位毎にHFパラメータの中央値、平均値又は最頻値を演算する。次に、制御部2は、前記区分された時間単位毎に演算されたHFパラメータの中央値、平均値又は最頻値から構成されるデータ群の中央値、平均値又は最頻値をさらに演算する。このように演算されたデータ群の中央値、平均値又は最頻値がHFパラメータの基準値として設定される。このように、基準値の第1の算出手法によれば、HFパラメータの異常亢進やノイズ等の異常変動の影響を受けないHFパラメータの基準値を算出することが可能となる。尚、制御部2は、1データ間隔の時間毎にHFパラメータの中央値、平均値又は最頻値を特定する。1データ間隔の時間は、第2の時間間隔よりも狭い第1の時間間隔(例えば、1~10秒以内のいずれかの時間単位毎)となる。また、HFパラメータの基準値の第1の算出手法に用いられる第1の時間間隔及び第2の時間間隔は、上記の時間間隔に限定されるものではなく、医療従事者あるいは、製品製造時に任意に設定された時間間隔であってもよい。
【0033】
(HFパラメータの基準値の第2の算出手法)
最初に、制御部2は、HFパラメータの閾値(例えば、1.5)よりも小さいHFパラメータの複数値を特定する。その後、制御部2は、HFパラメータの閾値よりも小さいHFパラメータの複数値からなるデータ群の中央値、平均値又は最頻値をHFパラメータの基準値として算出する。この第2の算出手法も同様に、HFパラメータの異常亢進やノイズ等の異常変動の影響を受けないHFパラメータの基準値を算出することが可能となる。
【0034】
(HFパラメータの基準値の第3の算出手法)
制御部2は、HFパラメータの複数値のうちの上位N%(0<N<100)の値を除いたHFパラメータの複数値からなるデータ群を特定する。次に、制御部2は、当該特定されたデータ群の中央値、平均値又は最頻値をHFパラメータの基準値として算出する。この第3の算出手法も同様に、HFパラメータの異常亢進やノイズ等の異常変動の影響を受けないHFパラメータの基準値を算出することが可能となる。
【0035】
図5に示すように、ステップS32において、制御部2は、異常指標値の一つであるLF/HFパラメータの基準値を演算する。例えば、図6に示すように、LF/HFパラメータの基準値は10となる。制御部2は、上記したHFパラメータの基準値の3つの算出手法と同様の手法により、LF/HFパラメータの基準値を算出することができる。
【0036】
次に、ステップS33において、制御部2は、異常指標値としてLF/HFパラメータの基準値とHFパラメータの基準値との間の比率を示す基準値比率を演算する。基準値比率は、(LF/HFパラメータの基準値)÷(HFパラメータの基準値)として規定されてもよいし、(HFパラメータの基準値)÷(LF/HFパラメータの基準値)として規定されてもよい。基準値比率が(LF/HFパラメータの基準値)÷(HFパラメータの基準値)として規定されると共に、LF/HFパラメータの基準値の値が10、HFパラメータの基準値の値が0.4である場合に、基準値比率の値は、25となる。
【0037】
次に、ステップS34において、制御部2は、異常指標値の一つであるHFパラメータの変動幅を演算する。図6に示すように、HFパラメータの変動幅は、HFパラメータの最大値と最小値との間の差分である。制御部2は、取得されたHFパラメータの複数値のうち最大値と最小値を特定した上で、HFパラメータの変動幅を演算する。
【0038】
次に、ステップS35において、制御部2は、異常指標値の一つであるLF/HFパラメータの変動幅を演算する。図6に示すように、LF/HFパラメータの変動幅は、LF/HFパラメータの最大値と最小値との間の差分である。制御部2は、取得されたLF/HFパラメータの複数値のうち最大値と最小値を特定した上で、LF/HFパラメータの変動幅を演算する。
【0039】
次に、ステップS36において、制御部2は、異常指標値の一つであるHFパラメータの異常亢進回数を演算する。HFパラメータの異常亢進回数は、HFパラメータの閾値を超えるHFパラメータのピーク値の個数を示す。例えば、HFパラメータの閾値が1.5に設定される場合、図6に示すように、HFパラメータの異常亢進回数は11回となる(HFパラメータのトレンドグラフに付加された矢印の個数を参照)。HFパラメータの異常亢進回数は、HFパラメータのトレンドグラフ中において当該閾値を超えたピーク値を有する波形の個数を示すものともいえる。尚、HFパラメータの閾値は、医療従事者によって適宜設定可能であってもよい。
【0040】
次に、ステップS37において、制御部2は、異常指標値の一つであるLF/HFパラメータの異常亢進回数を演算する。LF/HFパラメータの異常亢進回数は、LF/HFパラメータの閾値を超えるLF/HFパラメータのピーク値の個数を示す。例えば、LF/HFパラメータの閾値が20に設定される場合、図6に示すように、LF/HFパラメータの異常亢進回数は5回となる(LF/HFパラメータのトレンドグラフに付加された矢印の個数を参照)。LF/HFパラメータの異常亢進回数は、LF/HFパラメータのトレンドグラフ中において当該閾値を超えたピーク値を有する波形の個数を示すものともいえる。尚、LF/HFパラメータの閾値は、医療従事者によって適宜設定可能であってもよい。
【0041】
このようにして、図5に示す各ステップの処理を通じて7つの異常指標値が算出される。尚、図5に示す各ステップの処理の順番については、特に限定されるものではない。
【0042】
また、異常指標値の算出方法についても上記内容は一例であって、特に限定されるものではない。例えば、ステップS34において、制御部2によって演算された異常指標値の一つであるHFパラメータの変動幅は、HFパラメータの最大値と、HFパラメータの基準値との間の差分であってもよい。
【0043】
また、ステップS35において、LF/HFパラメータの変動幅は、LF/HFパラメータの最大値と、LF/HFパラメータの基準値との間の差分であってもよい。
【0044】
また、ステップS36において、HFパラメータの異常亢進回数は、HFパラメータの基準値を超えるHFパラメータのピーク値の個数であってもよい。
【0045】
さらに、ステップS36において、LF/HFパラメータの異常亢進回数は、LF/HFパラメータの基準値を超えるLF/HFパラメータのピーク値の個数であってもよい。
【0046】
次に、図2に戻ると、ステップS4において、制御部2は、演算された異常指標値に関連する情報を表示部5の表示画面上に表示する。例えば、図7に示すように、制御部2は、演算された複数の異常指標値(基準値、基準値比率、変動幅、異常亢進回数)に基づいて、メッセージ情報Mを決定した上で、HFパラメータのトレンドグラフとLF/HFパラメータのトレンドグラフが同時に表示された表示領域中にメッセージ情報Mを表示してもよい。この点において、HFパラメータの基準値が正常範囲よりも低く、LF/HFパラメータの基準値が正常範囲よりも低く、HFパラメータの変動幅が正常範囲よりも低く、且つLF/HFパラメータの変動幅が正常範囲よりも低い場合に、「HRVの低下」を示すメッセージ情報Mが表示画面上に表示されてもよい。一方で、HFパラメータの異常亢進回数又はLF/HFパラメータの異常亢進回数が正常範囲よりも高い場合に、「HRVの変動」を示すメッセージ情報Mが表示画面上に表示されてもよい。
【0047】
各異常指標値の正常範囲の一例は以下の表に示される。

【表1】
【0048】
また、図8に示すように、制御部2は異常指標値に関連する情報として異常指標値の値を示すトレンドグラフを表示部5の表示画面に表示してもよい。図8に示すトレンドグラフには、以下に示す異常指標値の値が示されている。特に、図8(a)は、異常指標値に関連する情報として、HFパラメータの変動幅のトレンドグラフ、LF/HFパラメータの変動幅のトレンドグラフ、HFパラメータの異常亢進回数のトレンドグラフ、LF/HFパラメータの異常亢進回数のトレンドグラフを示している。図8(b)は、異常指標値に関連する情報として、HFパラメータの基準値のトレンドグラフと、LF/HFパラメータの基準値のトレンドグラフを示している。尚、図8に示すトレンドグラフでは、横軸の目盛間隔は1日となっているが、横軸の目盛間隔は、数日、数時間、数週間又は任意の時間間隔であってもよい。

図8に示す異常指標値)
・HFパラメータの基準値(B_HF)の値
・LF/HFパラメータの基準値(B_LF/HF)の値
・HFパラメータの変動幅(V_HF)の値
・LF/HFパラメータの変動幅(V_LF/HF)の値
・HFパラメータの異常亢進回数(N_HF)の値
・LF/HFパラメータの異常亢進回数(N_LF/HF)の値

また、異常指標値の値を示すトレンドグラフにおいて、各異常指標値の正常範囲が視覚的に表示されてもよい。
【0049】
また、図9に示すように、制御部2は、異常指標値に関連する情報として複数の異常指標値の値を示すレーダチャート40を表示部5の表示画面に表示してもよい。また、レーダチャート40において、各異常指標値の正常範囲が視覚的に表示されてもよい。
【0050】
本実施形態によれば、異常指標値に関連する情報が表示部5の表示画面上に表示される。このように、医療従事者は、異常指標値(基準値、基準値比率、変動幅、異常亢進回数)に関連する情報を視認することで、患者Pの自律神経機能の異常の程度を直感的に把握することができる。また、従来では、経験年数が浅い医療従事者は、患者Pの自律神経機能に関連するパラメータの時間変化を示す波形を視認するだけでは、当該自律神経機能の異常に関連した患者Pの病症の程度を的確に把握するのは困難であった。
【0051】
一方、本実施形態に係る処理装置1では、経験が浅い医療従事者であっても、異常指標値に関連する情報を視認することで、自律神経機能の異常に関連する患者Pの病症(例えば、頭部外傷、脊髄損傷、せん妄、破傷風、敗血症)の程度を予測することができる。例えば、医療従事者は、図8に示すレーダチャート40を視認することで、患者Pが発症している破傷風の重症度を予測することができる。図9に示すトレンドグラフを視認することで、医療従事者は、患者Pが発症している破傷風の経過状態を予測または把握することができる。このように、自律神経機能の異常に関連する患者Pの病症の診断に貢献可能な処理装置1を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、異常指標値に関連する情報としてメッセージ情報Mと、HFパラメータのトレンドグラフと、LF/HFパラメータのトレンドグラフが同時に表示画面上に表示されるので、医療従事者は、メッセージ情報Mと2つのトレンドグラフを視認することで患者Pの自律神経機能の異常の程度を直感的に把握することができる。
【0053】
尚、本実施形態では、異常指標値に関連する情報としてメッセージ情報Mとレーダチャート40が表示画面上に表示されているが、異常指標値に関連する情報はこれらに限定されるものではない。例えば、各異常指標値(基準値、基準値比率、変動幅、異常亢進回数)の数値情報が2つのトレンドグラフと共に表示画面上に表示されてもよい。また、レーダチャート40には、異常指標値として基準値比率の値が表示されてもよい。
【0054】
また、他の実施形態では、異常指標値に関連する情報として、HFパラメータのトレンドグラフ、LF/HFパラメータのトレンドグラフ、メッセージ情報M、レーダチャート40、各異常指標値(基準値、基準値比率、変動幅、異常亢進回数)の数値情報、異常指標値の値を示すトレンドグラフのうちのいずれか1つ又は2以上の組み合わせが表示画面上に表示されてもよい。
【0055】
また、本実施形態に係る処理装置1をソフトウェアによって実現するためには、生体情報処理プログラムが記憶装置3又はROMに予め組み込まれていてもよい。または、生体情報処理プログラムは、磁気ディスク(例えば、HDD、フロッピーディスク)、光ディスク(例えば、CD-ROM,DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)ディスク)、光磁気ディスク(例えば、MO)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、USBメモリ、SSD)等のコンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、記憶媒体に格納された生体情報処理プログラムが記憶装置3に組み込まれてもよい。さらに、記憶装置3に組み込まれた当該プログラムがRAM上にロードされた上で、プロセッサがRAM上にロードされた当該プログラムを実行してもよい。このように、本実施形態に係る生体情報処理方法が処理装置1によって実行される。
【0056】
また、生体情報処理プログラムは、通信ネットワーク上のコンピュータからネットワークインターフェース4を介してダウンロードされてもよい。この場合も同様に、ダウンロードされた当該プログラムが記憶装置3に組み込まれてもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0058】
1:生体情報処理装置(処理装置)
2:制御部
3:記憶装置
4:ネットワークインターフェース
5:表示部
6:入力操作部
7:センサインターフェース
20:心電図センサ
40:レーダチャート

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9