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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】RFIDタグ付き着装部材
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240926BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G06K19/077 248
G06K19/077 220
F16B35/00 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020201077
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088934
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520072361
【氏名又は名称】大阪螺子販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
(72)【発明者】
【氏名】田口 一仁
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228996(JP,A)
【文献】特開2007-166133(JP,A)
【文献】特開2010-218537(JP,A)
【文献】特開2006-200736(JP,A)
【文献】特開2006-202318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
F16B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状のインサート部の軸方向に突出した金属製の突出部を有する軸状部と、
前記突出部の突端部に固定され、アンテナを有する磁界結合型のRFIDタグと、
前記RFIDタグを封止するように前記軸状部の前記突出部をモールドした樹脂製の頭部と、
を備えているRFIDタグ付き着装部材。
【請求項2】
前記軸状部は、前記インサート部の一端部と前記突出部の間で幅方向に突出した基盤部
を備えている、請求項1に記載のRFIDタグ付き着装部材。
【請求項3】
前記突出部は、前記RFIDタグと同等若しくは前記RFIDタグよりも厚肉に形成され、前記RFIDタグは、前記突出部のエッジに固定される、請求項1又は2に記載のRFIDタグ付き着装部材。
【請求項4】
前記頭部は、頂面から前記突出部まで貫通し、前記RFIDタグをセットする穿孔部と、当該穿孔部の頂面側を塞ぐ封止部と、を備えている、請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のRFIDタグ付き着装部材。
【請求項5】
前記インサート部には、雄ネジが形成されている、請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のRFIDタグ付き着装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部を有するボルトや頭部を有するピンのような着装部材の頭部にRFID(Radio Frequency Identification)タグを内蔵したRFIDタグ付き着装部材に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグは、ICチップにアンテナを接続したもので、アクティブタイプやパッシブタイプなどに分類される。アクティブタイプは、自ら電源を備えている。パッシブタイプは、リーダライタから照射される電波又は磁界をエネルギーとして駆動する。RFIDタグは、リーダライタとデータの交信がされ、各種のデータが読み書きされる。
【0003】
このようなRFIDタグを備えたRFIDタグ付き着装部材が種々提供されている。例えば、特許文献1には、ネジ部の一端部に設けられた頭部の頂面に穴が形成され、この穴をICタグ(RFIDタグの1種)の収容部としたボルトが記載されている。この収容部の底部には、板状の磁性体が配置される。磁性体の上には、電磁誘導方式の非接触型ICタグが載置される。磁性体とICタグとが配置された収容部内には、耐熱樹脂製の充填材が充填される。収容部の開口部は、セラミック製又は耐熱樹脂製の蓋体によって塞がれる。
【0004】
ボルトの外周面及び蓋体の外表面には、樹脂の被膜層が形成される。樹脂の被膜層は、ボルトの外周面及び蓋体の外表面に樹脂粉体を付着し、加熱することで樹脂粉体を溶融し、溶融した樹脂粉体樹脂を冷却することで形成される。溶融した樹脂粉体は、ボルトの収容部と蓋体及び充填材との隙間にも進入する。この隙間には、進入した樹脂によって埃や雨水などの異物が侵入しない。樹脂の被覆層で覆われ、ICタグを内蔵したボルトは、ICタグ取付構造として、装置や機械の情報を管理するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-238743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたICタグ取付構造は、ICタグの周囲が金属製の頭部に囲まれている。したがって、従来のICタグ取付構造では、ICタグとの無線通信が金属製の頭部によって阻害され、良好な感度特性が得られない。
【0007】
本発明は、ICタグとの無線通信が良好になるようにしたRFIDタグ付き着装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るRFIDタグ付き着装部材は、
軸状のインサート部の軸方向に突出した金属製の突出部を有する軸状部と、
前記突出部の突端部に固定され、アンテナを有する磁界結合型のRFIDタグと、
前記RFIDタグを封止するように前記軸状部の前記突出部をモールドした樹脂製の頭部と、
を備えている。
【0009】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記軸状部は、前記インサート部の一端部と前記突出部の間で幅方向に突出した基盤部を備えている。
【0010】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部は、前記基盤部の中心線若しくは端部で正面視が1本以上の直線状に形成され、又は、正面視がZ字状、コ字形状、L字状若しくは角型S字状に成形されている。
【0011】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部は、突出した面に平面を有し、
前記RFIDタグは、前記アンテナを平面に沿って内蔵し、
前記突出部の平面と前記RFIDタグの平面とが同一面とされている。
【0012】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部は、前記RFIDタグと同等若しくは前記RFIDタグよりも厚肉に形成され、
前記RFIDタグは、前記突出部のエッジに固定される。
【0013】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記頭部は、頂面から前記突出部まで貫通し、前記RFIDタグをセットする穿孔部と、当該穿孔部の頂面側を塞ぐ封止部と、を備えている。
【0014】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記インサート部には、雄ネジが形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ICタグとの無線通信が良好になるようにしたRFIDタグ付き着装部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第1の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第2の実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第3の実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第4の実施形態を示す斜視図である。
図5】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第5の実施形態を示す斜視図である。
図6】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第6の実施形態を示す斜視図である。
図7】本発明のRFIDタグ付き着装部材の第7の実施形態を示す斜視図である。
図8】本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第1の実施形態であって初期の工程を示す正面図である。
図9】本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第1の実施形態であって後期の工程を示す断面正面図である。
図10】本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第2の実施形態であって初期の工程を示す断面正面図である。
図11】本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第2の実施形態であって後期の工程を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のRFIDタグ付き着装部材の第1乃至第7の実施形態について、図1乃至図7を参照しながら説明する。図1は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第1の実施形態を示す斜視図である。図2は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第2の実施形態を示す斜視図である。図3は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第3の実施形態を示す斜視図である。図4は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第4の実施形態を示す斜視図である。図5は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第5の実施形態を示す斜視図である。図6は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第6の実施形態を示す斜視図である。図7は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の第7の実施形態を示す斜視図である。
【0018】
このRFIDタグ付き着装部材は、雌ネジやナットに螺合するボルトやビスのような締結部材だけでなく、軸穴に挿入されるピンなども含む。ただし、第1乃至第7の実施形態のRFIDタグ付き着装部材は、ボルトのような着装部材を一例とするため、以下、主として「RFIDタグ付きボルト」として説明する。図1乃至図7に示すように、このRFIDタグ付きボルトは、RFID(Radio Frequenc Identification)タグマウントユニット1と、頭部2と、を備えている。
【0019】
RFIDタグマウントユニット1は、軸状部11と、RFIDタグ12と、を備えている。軸状部11は、インサート部111と基盤部112と突出部113とをアルミニウムやステンレス鋼などの金属によって一体的に形成したものである。インサート部111は、軸状で、雄ネジが形成されている。ただし、インサート部111の一端部(基盤部112に連続する部分)付近は、雄ネジが形成されていない(図8乃至図11参照)。
【0020】
基盤部112は、インサート部111の一端部において幅方向に突出して設けられる。幅方向は、インサート部111の長さ方向と直交する方向である。雄ネジが形成されたインサート部111における幅方向は、径方向と言い換えられる。基盤部112は、六角形の平板状に形成される。この基盤部112の中心と、インサート部111の径方向の中心とは、一致している。
【0021】
六角形の基盤部112は、平面視で見たときに、6か所に角が設けられている。基盤部112を時計の文字盤と見立てたときに、12時の位置から60°ずつ時計方向に設けられる各角を上端112a、右上端112b、右下端112c、下端112d、左下端112e、左上端112fと呼ぶ(図1のみ採番する。)。上端112aと下端112dとを結ぶ線を中心線と呼ぶ。上端112aと右上端112bとを結ぶ辺を右上斜辺と呼ぶ。右上端112bと右下端112cとを結ぶ辺を右側垂線と呼ぶ。右下端112cと下端112dとを結ぶ斜辺を右下斜辺と呼ぶ。下端112dと左下端112eとを結ぶ斜辺を左下斜辺と呼ぶ。左下端112eと左上端112fとを結ぶ垂線を左側垂線と呼ぶ。左上端112fと上端112aとを結ぶ斜辺を左上斜辺と呼ぶ。
【0022】
突出部113は、基盤部112の表面から軸方向に一体的に突出している。突出部113は、種々の形態に突出し、頂面である突端部113aに磁界結合型のRFIDタグ12インサート部111に対して磁界の放射方向を垂直に向けた状態が固定される。突出部113は、具体的には図1乃至図7に示すように形成される。
【0023】
図1に示す第1実施形態の突出部113は、基盤部112の中心線で1本の直線状に形成されている。すなわち、第1実施形態の突出部113は、六角形の基盤部112の上端112aと下端112dとを結ぶ中心線上で突出する。交流電流は金属表面に流れやすい特性がある。したがって、突出部113は、交流電流が流れやすい部分とされる。この突出部113の突端部113aの中心部にRFIDタグ12が固定される。突出部113は、RFIDタグ12の厚さと同じ厚さに形成されている。
【0024】
RFIDタグ12は、アンテナ(図示せず)を内蔵した薄い板状である。アンテナは、RFIDタグ12の平面に沿うように内蔵される。RFIDタグ12は、突出部113のエッジに沿うように突端部113aに固定される(エッジ化する)。すなわち、RFIDタグ12のループ回路平面は、突出部113の表面と同じ面となる。エッジ化することによって、交流電流が流れやすくなった突出部113から発生する磁界が、RFIDタグ12内のアンテナに、より強く影響を与え、RFIDタグ12を起動させる。
【0025】
なお、RFIDタグ12の近接に金属が存在すると、RFIDタグ12内のアンテナを流れる電流を阻害する。したがって、磁界結合にて電力を供給する突出部113以外に、その周囲に金属がない状態、すなわち突出部113上にRFIDタグ12のアンテナ平面と突出部113の延設方向とが同一平面になるように、RFIDタグ12が突出部113に固定される。
【0026】
なお、突出部113は、見方を変えることにより、右上端112bと左下端112eとを結ぶ中心線又は左上端112fと右下端112cとを結ぶ中心線上で突出するが、以下の説明においては、このような見方を変えただけの形態については説明せず、図示した突出部113について説明する。
【0027】
図2に示す第2実施形態の突出部113は、正面視がZ字状に形成されている。図2に示した第2実施形態の突出部113は、六角形の基盤部112の上端112aと下端112dとを結ぶ中心線上に突出する中間部と、左上斜辺上に突出する折返し部と、右下斜辺上に突出する折返し部とを備え、中間部と両突出部とが一体的に連続している。RFIDタグ12は、中間部の突端部113aの中心部に固定される。ただし、RFIDタグ12は、左上斜辺又は右下斜辺の突出部113の各突端部113aの中心部に固定されてもよい。いずれにしても、突出部113は、RFIDタグ12の厚さと同じ厚さに形成されている。したがって、RFIDタグ12は、突出部113のエッジに沿うように突端部113aに固定される。
【0028】
図3に示す第3実施形態の突出部113は、正面視がコ字状に形成されている。図3に示した第3の実施形態の突出部113は、基盤部112の右上端112bと左上端112fとを結ぶ中間部と、右側垂線に突出する側部と、左側垂線に突出する側部と、が一体的に連続している。突出部113の両側部は、第1実施形態及び第2実施形態の突出部113の幅よりも厚く、したがって、RFIDタグ12よりも厚く形成される。RFIDタグ12は、突出部113の突端部113aの中心に固定される。図示しないが、RFIDタグ12は、右側垂線又は左側垂線の突出部113の突端部113aの中心部に固定されてもよい。いずれにしても、突出部113は、RFIDタグ12よりも厚く形成されているため、RFIDタグ12は、突出部113のエッジに沿うように固定される。
【0029】
図4に示す第4実施形態の突出部113は、相対する2本の端部に形成されている。図4に示した第4実施形態の突出部113は、基盤部112の右側垂線と左側垂線とにRFIDタグ12よりも厚く突出する。RFIDタグ12は、右側垂線又は左側垂線の突出部113の突端部113aの中心部でエッジに沿うように固定される。
【0030】
図5に示す第5実施形態の突出部113は、1か所の端部に形成されている。図5に示した第5実施形態の突出部113は、基盤部112の左側垂線に突出する。第5の実施形態の突出部113は、RFIDタグ12よりも厚く形成される。RFIDタグ12は、突出部113の突端部113aの中心部でエッジに沿うように固定される。
【0031】
図6に示す第6実施形態の突出部113は、正面視がL字状に形成されている。図6に示した第6実施形態の突出部113は、基盤部112の左上端112fと右上端112bとを結ぶ線上に突出する横向き部と、右側垂線上に突出する縦向き部とが連続するように形成される。RFIDタグ12は、横向き部の突出部113の突端部113aの中心部に固定される。図示しないが、RFIDタグ12は、縦向き部の突出部113の突端部113aの中心部に固定されてもよい。いずれにしても、RFIDタグ12は、突端部113aのエッジに沿うように固定される。
【0032】
図7に示す第7実施形態の突出部113は、角型S字状に形成されている。図7に示した第7実施形態の突出部113は、基盤部112の左側垂線上、左下斜辺上、中心線上、右上斜辺上、右側垂線上が一体的に連続している。RFIDタグ12は、中心線の突端部113aの中心部に固定される。図示しないが、RFIDタグ12は、左側垂線上、左下斜辺上、右上斜辺上、右側垂線上の突出部113の突端部113aの中心部に固定されてもよい。いずれにしても、突出部113は、RFIDタグ12の厚さと同じ厚さに形成されている。したがって、RFIDタグ12は、突出部113のエッジに沿うように突端部113aに固定される。
【0033】
いずれの実施形態においても、突出部113の突端部113aに固定されるRFIDタグ12は、パッシブ型タグである。すなわち、このRFIDタグ12は、バッテリーを内蔵せず、図示しないリーダーアンテナからの電波を受けて、この電波を電源として駆動する。RFIDタグ12は、情報を記録するICチップと、無線通信するためのアンテナとを組み合わせた超小型(例えば、縦・横・厚さが2.5mm・2.5mm・0.375mm)の角型チップ状の電子部品である。
【0034】
このような各実施形態の突出部113及び基盤部112の少なくとも表面側は、樹脂製の頭部2によってモールドされる。ここで、RFIDタグ12を固定した突出部113及び基盤部112を頭部2によってモールドするRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第1の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、本発明のRFIDタグ12付き着装部材の製造方法の第1の実施形態であって初期の工程を示す正面図である。図9は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第1の実施形態であって後期の工程を示す断面正面図である。
【0035】
図8に示すRFIDタグマウントユニット1は、図1に示した第1実施形態のRFIDタグマウントユニット1であるが、図2乃至図7に示した第2乃至第7の実施形態のRFIDタグマウントユニットであっても同様に頭部2をモールドすることができる。
【0036】
図9に示すように、RFIDタグマウントユニット1の基盤部112の表面及び外周面、裏面のエッジと、突出部113と、RFIDタグ12とが頭部2にモールドされる。頭部2は、インサート成形によってRFIDタグ12などをモールドする。すなわち、頭部2は、キャビティを有する金型によって成形される。キャビティ内には、基盤部112の表面及び外周面、裏面のエッジと、突出部113と、RFIDタグ12が入れられ、キャビティ内に溶融樹脂が注入さることで、RFIDタグ12などをモールドした頭部2が成形される。頭部2の外周面には、長さ方向に平目のようなローレット目が形成されてもよい。
【0037】
次に、RFIDタグ付き着装部材の製造方法の第2の実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第2の実施形態であって初期の工程を示す断面正面図である。図11は、本発明のRFIDタグ付き着装部材の製造方法の第2の実施形態であって後期の工程を示す断面正面図である。
【0038】
図10に示すように、第2実施形態の製造方法の初期の工程では、突出部113の突端部113aにRFIDタグ12を固定しないで突出部113をモールドする頭部の原形20を成形する。この頭部の原形20は、突出部113よりも先端側にスリットのような穿孔部21が形成されるようにインサート成形される。穿孔部21は、RFIDタグ12が挿入される幅に形成される。ただし、穿孔部21の入口は、皿穴21aのように面取りされている。
【0039】
図11に示すように、第2実施形態の製造方法の後期の工程では、頭部の原形20の穿孔部21にRFIDタグ12を挿入し、RFIDタグ12を突出部113の突端部113aにセッティングする。このRFIDタグ12の頂部と穿孔部21の入口との間には、窪みが形成された状態となり、この窪みが封止部22によって塞がれ、頭部2が完成する。封止部22は、窪みを詰める栓であってもよいし、窪みに充填する樹脂であってもよい。いずれにしても、RFIDタグ12は、封止部22によって穿孔部21内から抜け出ることなく、頭部2にモールドされた状態となる。
【0040】
このようにして製造されたRFIDタグ付きボルトは、リーダライタから送信されたデータがRFIDタグ12に書き込まれるような様々な分野において使用される。例えば、RFIDタグ付きボルトは、金型管理システムにおいて使用される。金型管理システムにおいて管理される金型(以下、「被管理金型」という。)は、製品の生産が終了した後、例えば15年以上保管されてもよい。
【0041】
このRFIDタグ付きボルトは、種々のパターンの突出部113の形状によって種々の感度特性が付与される。したがって、求められる感度特性に適合したRFIDタグ付きボルトが選択される。求められる感度特性が変更されたときは、RFIDタグ付きボルトが交換される。近接する金属体の磁界に影響を受けて起動する構造となっているRFIDタグ12は、交流電流が流れやすい突出部113に固定されることによって感度特性が良好になる。
【0042】
本発明に係るRFIDタグ付きボルトの実施の形態は、前記内容に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で変形や改良などを含む。
【0043】
例えば、前記実施の形態では、インサート部111は雄ネジが形成された軸状であるとした。しかし、インサート部111は、雄ネジが形成されないピンであってもよいし、ピンは円柱状に限定されず、角柱状であってもよい。
【0044】
また、前記実施の形態では、基盤部112は六角形状であるとした。しかし、基盤部112は、三角形状や四角形状その他の多角形状であってもよいし、円形などであってもよい。また、RFIDタグ付き着装部材は、軸状部11が基盤部112を備えず、インサート部111に突出部113を設けてもよい。
【0045】
また、前記実施の形態では、突出部113について7パターンについて図示した。しかし、突出部113のパターンは、図示しないE字状やH字状、N字状、T字状、V字状、X字状、亀甲状などに形成することもできる。
【0046】
また、前記第1、第2及び第7実施形態では、突出部113の厚さがRFIDタグ12の厚さと同じであるとした。しかし、前記第1、第2及び第7実施形態の突出部113も、RFIDタグ12の厚さよりも厚くし、RFIDタグ12が突出部113のエッジに沿うように固定してもよい。交流電流は金属表面に流れやすい特性がある。したがって、RFIDタグ付きボルトは、突出部113を形成することで交流電流が流れやすい部分を形成している。突出部113が薄くなると、損失抵抗が発生し、かつ物理的強度も弱くなる。したがって、突出部113は、強度での厚さ、交流電流の流れやすさの薄さを適度に設計できるためRFIDタグ12と同等の厚さとするが好ましい。
【0047】
また、第3乃至第6実施形態の突出部113は、RFIDタグ12と同じ同じ厚さとしてもよい。また、突出部113がRFIDタグ12よりも厚い場合における実施形態では、RFIDタグ12が突出部113のエッジに沿うように突端部113aに固定されるとした。しかし、突出部113がRFIDタグ12よりも厚い場合において、RFIDタグ12が突出部113のエッジに沿わないで突端部113aの幅方向の中間部に固定されてもよい。
【0048】
また、前記実施の形態では、軸状部11全体、すなわち、インサート部111、基盤部112及び突出部113が金属製であるとした。しかし、インサート部111及び基盤部112は樹脂製とし、突出部113のみ又は突出部113と基盤部112とが金属製としてもよい。
【0049】
また、前記実施の形態では、頭部2にブーストアンテナが内蔵されていない。しかし、RFIDタグ付きボルトは、頭部2にコイルバネ状に形成されたブーストアンテナを内蔵し、あるいは、頭部2が蝶ネジのように突出したリブを有し、このリブにミアンダ状にパターニングされたアンテナを内蔵してもよい。ブーストアンテナによって、RFIDタグ12と送受信する微弱な磁界をさらにブーストすることができる。
【0050】
また、前記実施の形態では、RFIDタグ付きボルトは被管理金型の管理において使用する場合について説明した。しかし、RFIDタグ付きボルトは、物流分野や鉄道分野や飲食業界などにおいても使用することができる。物流分野では、トラックやコンテナなどのボディにねじ込み、商品の流通を管理する。鉄道分野では、ボルトの緩みを検知する。このボルトは、被管理金型にねじ込む場合よりも大きなサイズが使用される。飲食業界では、回転寿司店において、皿にRFIDタグ付きボルトを着装し、皿に載せられた寿司の経過時間を管理したり、個別注文した客席にダイレクトに配送されたりしてもよい。
【0051】
以上まとめると、本発明が適用されるRFIDタグ付き着装部材は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態をとることができる。
【0052】
本発明に係るRFIDタグ付き着装部材は、
軸状のインサート部111の軸方向に突出した金属製の突出部113を有する軸状部11と、
前記突出部113の突端部に固定され、アンテナを有する磁界結合型のRFIDタグ12と、
前記RFIDタグ12を封止するように前記軸状部11の前記突出部113をモールドした樹脂製の頭部2と、
を備えている。
【0053】
このRFIDタグ付き着装部材は、軸状部11の軸方向に突出した金属製の突出部113に、磁界結合型のRFIDタグ12が固定されることによって、突出部113の交流電流が効率良く流れることにより磁界も強くなる。したがって、このRFIDタグ付き着装部材は、RFIDタグ12が磁界に影響を受けて起動する構造となっている場合において、感度特性が良好になる。
【0054】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記軸状部11は、前記インサート部111の一端部と前記突出部113の間で幅方向に突出した基盤部を備えている。
【0055】
このRFIDタグ付き着装部材は、幅方向に突出した基盤部112が軸状部11に備えることにより、突出部113を軸状部11よりも幅広にすることができる。したがって、突出部113に固定される磁界結合型のRFIDタグ12内のアンテナに対し、より広範囲に磁界の影響を与えることができる。
【0056】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部113は、前記基盤部112の中心線若しくは端部で正面視が1本以上の直線状に形成され、又は、正面視がZ字状、コ字形状、L字状若しくは角型S字状に成形されている。
【0057】
このRFIDタグ付き着装部材は、突出部113が1本以上の直線状に形成され、又は、正面視がZ字状、コ字形状、L字状若しくは角型S字状に成形されていることにより、送受信する周波数に合った形状の突出部113から選択することができる。
【0058】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部113は、突出した面に平面を有し、
前記RFIDタグ12は、前記アンテナを平面に沿って内蔵し、
前記突出部113の平面と前記RFIDタグ12の平面とが同一面とされている。
【0059】
このRFIDタグ付き着装部材は、前記インサート部111に対して磁界の放射方向を垂直に向けた状態で前記突出部113に固定されることにより、RFIDタグ12のループ回路平面は、突出部113の表面と同じ面となり、突出部113の交流電流が流れやすい部分から右ネジの法則によって強い磁界(磁力線)がRFIDタグ12に影響を与え、磁界から給電されることにより感度特性が良好となる。
【0060】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記突出部113は、前記RFIDタグ12と同等若しくは前記RFIDタグ12よりも厚肉に形成され、
前記RFIDタグ12は、前記突出部113のエッジに固定される。
【0061】
このRFIDタグ付き着装部材は、突出部113がRFIDタグ12と同等若しくはRFIDタグ12より厚肉に形成されることによって、厚肉部の機械的な強度を高めることができ、RFIDタグ12が突出部113のエッジに固定されることによって、交流電流を多く流すエッジの特性を活かした突出部形状とすることで、RFIDタグ12に大きな電流が流れるようにすることができる。
【0062】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記頭部2は、頂面から前記突出部113まで貫通し、前記RFIDタグ12をセットする穿孔部21と、当該穿孔部21の頂面側を塞ぐ封止部22と、を備えている。
【0063】
このRFIDタグ付き着装部材は、頭部2に形成された穿孔部21にRFIDタグ12をセットし、穿孔部21の頂面側が封止部22によって塞がれることにより、RFIDタグ12を突出部113に容易に固定することができる。
【0064】
前記本発明に係るRFIDタグ付き着装部材において、
前記インサート部111には、雄ネジが形成されている。
【0065】
このRFIDタグ付き着装部材は、インサート部111に雄ネジが形成されていることにより、インサート部111を被着装部にねじ込むことができ、被着装部から脱落しにくいようにすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・・・RFIDタグマウントユニット
11・・・・軸状部
111・・・インサート部
112・・・基盤部
113・・・突出部
113a・・突端部
12・・・・RFIDタグ
2・・・・・頭部
21・・・・穿孔部
22・・・・封止部
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