(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ハンドルバー用スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
B62K 23/02 20060101AFI20240926BHJP
B62J 6/16 20200101ALI20240926BHJP
【FI】
B62K23/02
B62J6/16
(21)【出願番号】P 2023198024
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2019163600の分割
【原出願日】2019-09-09
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 秀人
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061225(JP,A)
【文献】実開平06-079034(JP,U)
【文献】特開2005-350012(JP,A)
【文献】実開昭61-192987(JP,U)
【文献】特開2004-058778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 23/00 - 23/04
B62J 6/16
B62J 45/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、
該スイッチケースに取り付けられ、車両に搭載された種々電装品を操作し得る操作スイッチと、
を具備したハンドルバー用スイッチ装置において、
前記スイッチケースは、その外周面における正面から車体側の側面に亘って形成された凹形状から成る取付部位を有するとともに、車両に搭載された他の特定の電装品を操作し得る操作ノブを有し、正面及び側面が連続した形状のオプション用スイッチ手段が前記取付部位に対して脱着可能とされ、前記オプション用スイッチ手段が前記取付部位から取り外された状態において、当該取付部位を覆って前記スイッチケースの外輪郭の一部を形成し、正面及び側面が連続した形状のカバー部材が取り付け可能に構成され、且つ、前記取付部位に前記オプション用スイッチ手段が取り付けられると、前記スイッチケースの正面及び側面が前記オプション用スイッチ手段の前記正面及び側面とそれぞれ連続して一体的な外輪郭を成すとともに、前記取付部位に前記カバー部材が取り付けられると、前記スイッチケースの正面及び側面が前記カバー部材の前記正面及び側面とそれぞれ連続して一体的な外輪郭を成す
よう構成され、且つ、前記オプション用スイッチ手段は、前記操作ノブを収容した収容ケースと、該収容ケースから延設されて前記操作ノブの操作を車体側に伝達する配線とを具備したことを特徴とするハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項2】
前記収容ケースは、正面に前記操作ノブが形成されるとともに、側面に前記配線を固定する配線用固定部が形成されたことを特徴とする請求項
1記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項3】
前記オプション用スイッチ手段が前記取付部位に取り付けられた状態で前記スイッチケースに前記収容ケースを係止して固定する係止手段を具備したことを特徴とする請求項
1又は請求項
2記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項4】
前記取付部位は、前記オプション用スイッチ手段を案内する案内部が形成されるとともに、前記オプション用スイッチ手段の前記収容ケースには当該案内部と合致して当該収容ケースを前記取付部位に取り付ける過程で案内させ得る被案内部が形成されたことを特徴とする請求項
1~3の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記案内部と合致して当該カバー部材を前記取付部位に取り付ける過程で案内させ得る被案内部が形成されたことを特徴とする請求項
4記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチケースの前記取付部位は、前記オプション用スイッチ手段が取り外された状態において、前記操作ノブとは異なる形態の操作ノブを有した他のオプション用スイッチ手段が取り付け可能とされたことを特徴とする請求項1~
5の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項7】
前記オプション用スイッチ手段の操作ノブで操作される他の特定の電装品は、車両に取り付けられてワイヤを繰り出し又は巻き取り可能なウィンチ装置であることを特徴とする請求項1~
6の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、該スイッチケースに取り付けられ、車両に搭載された種々電装品を操作し得る操作スイッチとを具備したハンドルバー用スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車やATV等には操舵用のハンドルバーが備えられており、該ハンドルバーの両端には運転者が走行中把持可能な把持グリップがそれぞれ取り付けられている。これら把持グリップに隣接した位置には、二輪車が搭載する各種電装品を操作するための複数の操作スイッチが形成されたハンドルバー用スイッチ装置が固定されている。例えば、従来のハンドルバー用スイッチ装置として、エンジンの始動又は停止のためのスイッチやディマースイッチの他、車両に搭載された他の特定の電装品を操作し得る操作ノブを有したオプション用スイッチ手段が取り付けられたものがある。
【0003】
かかるオプション用スイッチ手段は、任意に車両に装着又は搭載されるオプションの電装品を操作するためのもので、当該オプションの電装品が取り付けられない車両のスイッチケースには取り付けられない。すなわち、オプションの電装品を具備した車両のスイッチケースには、オプション用スイッチ手段が取り付けられるとともに、オプションの電装品を具備しない車両のスイッチケースには、当該オプション用スイッチ手段が取り外されているのである。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のハンドルバー用スイッチ装置においては、オプションの電装品の有無に応じて、オプション用スイッチ手段をスイッチケースに取り付ける場合やスイッチケースから取り外す場合、スイッチケースを分解した後、再び組み付ける必要があることから、オプション用スイッチ手段の取り付け作業又は取り外し作業が煩わしく、作業性が悪化してしまうという問題があった。また、オプション用スイッチ手段を車両の他の位置に取り付ける場合、取り付け位置の確保が必要とされるとともに、操作性が悪化してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スイッチケースに対するオプション用スイッチ手段の取り付け作業又は取り外し作業を容易に行わせることができ、作業性を向上させることができるハンドルバー用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、該スイッチケースに取り付けられ、車両に搭載された種々電装品を操作し得る操作スイッチとを具備したハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースは、その外周面における正面から車体側の側面に亘って形成された凹形状から成る取付部位を有するとともに、車両に搭載された他の特定の電装品を操作し得る操作ノブを有し、正面及び側面が連続した形状のオプション用スイッチ手段が前記取付部位に対して脱着可能とされ、前記オプション用スイッチ手段が前記取付部位から取り外された状態において、当該取付部位を覆って前記スイッチケースの外輪郭の一部を形成し、正面及び側面が連続した形状のカバー部材が取り付け可能に構成され、且つ、前記取付部位に前記オプション用スイッチ手段が取り付けられると、前記スイッチケースの正面及び側面が前記オプション用スイッチ手段の前記正面及び側面とそれぞれ連続して一体的な外輪郭を成すとともに、前記取付部位に前記カバー部材が取り付けられると、前記スイッチケースの正面及び側面が前記カバー部材の前記正面及び側面とそれぞれ連続して一体的な外輪郭を成すよう構成され、且つ、前記オプション用スイッチ手段は、前記操作ノブを収容した収容ケースと、該収容ケースから延設されて前記操作ノブの操作を車体側に伝達する配線とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記収容ケースは、正面に前記操作ノブが形成されるとともに、側面に前記配線を固定する配線用固定部が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記オプション用スイッチ手段が前記取付部位に取り付けられた状態で前記スイッチケースに前記収容ケースを係止して固定する係止手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記取付部位は、前記オプション用スイッチ手段を案内する案内部が形成されるとともに、前記オプション用スイッチ手段の前記収容ケースには当該案内部と合致して当該収容ケースを前記取付部位に取り付ける過程で案内させ得る被案内部が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記カバー部材は、前記案内部と合致して当該カバー部材を前記取付部位に取り付ける過程で案内させ得る被案内部が形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1~5の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースの前記取付部位は、前記オプション用スイッチ手段が取り外された状態において、前記操作ノブとは異なる形態の操作ノブを有した他のオプション用スイッチ手段が取り付け可能とされたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1~6の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記オプション用スイッチ手段の操作ノブで操作される他の特定の電装品は、車両に取り付けられてワイヤを繰り出し又は巻き取り可能なウィンチ装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、スイッチケースは、その外周面における正面から車体側の側面に亘って形成された凹形状から成る取付部位を有するとともに、車両に搭載された他の特定の電装品を操作し得る操作ノブを有したオプション用スイッチ手段が取付部位に対して脱着可能とされたので、スイッチケースを分解することなくオプション用スイッチ手段を脱着することができる。したがって、スイッチケースに対するオプション用スイッチ手段の取り付け作業又は取り外し作業を容易に行わせることができ、作業性を向上させることができる。
【0015】
さらに、スイッチケースの取付部位は、オプション用スイッチが取り外された状態において、当該取付部位を覆ってスイッチケースの外輪郭の一部を形成し、正面及び側面が連続した形状のカバー部材が取り付け可能とされたので、オプション用スイッチ手段が取り外された状態のスイッチケースの意匠性を維持することができる。
【0016】
また、オプション用スイッチ手段は、操作ノブを収容した収容ケースと、該収容ケースから延設されて操作ノブの操作を車体側に伝達する配線とを具備したので、オプション用スイッチ手段を他の操作スイッチとは別個独立させて作動させることができ、オプションの電装品の有無に応じて容易にオプション用スイッチ手段を容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、収容ケースは、正面に操作ノブが形成されるとともに、側面に配線を固定する配線用固定部が形成されたので、オプション用スイッチ手段における操作ノブをスイッチケースの正面側に形成して操作性を向上させることができるとともに、オプション用スイッチ手段における配線をスイッチケースの車体側の側面から延設させることができ、ハンドルバーにスイッチケースを固定された状態において、当該配線を容易に取り回しすることができる。また、オプション用スイッチ手段における配線をスイッチケースの車体側の側面から延設させることにより、スイッチケースを横切って配線を延設させる必要がなくなり、オプションの電装品の有無に応じてオプション用スイッチ手段をスイッチケースに対して容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、オプション用スイッチ手段が取付部位に取り付けられた状態でスイッチケースに収容ケースを係止して固定する係止手段を具備したので、オプション用スイッチ手段を確実にスイッチケースの取付部位に固定させることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、取付部位は、オプション用スイッチ手段を案内する案内部が形成されるとともに、オプション用スイッチ手段の収容ケースには当該案内部と合致して当該収容ケースを取付部位に取り付ける過程で案内させ得る被案内部が形成されたので、スイッチケースの取付部位に対してオプション用スイッチ手段を容易且つ円滑に取り付けることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、スイッチケースの取付部位は、オプション用スイッチ手段が取り外された状態において、操作ノブとは異なる形態の操作ノブを有した他のオプション用スイッチ手段が取り付け可能とされたので、オプションの電装品の有無に加え、オプションの電装品の種類に応じてオプション用スイッチ手段を容易に変更することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、オプション用スイッチ手段の操作ノブで操作される他の特定の電装品は、車両に取り付けられてワイヤを繰り出し又は巻き取り可能なウィンチ装置であるので、ウィンチ装置の有無に応じてオプション用スイッチ手段をスイッチケースに対して容易に取り付け又は取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置の外観を示す斜視図
【
図2】同ハンドルバー用スイッチ装置を示す正面図及び側面図
【
図3】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースの正面側を破断した状態を示す断面図
【
図4】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースを示す斜視図
【
図5】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースを示す斜視図
【
図6】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースを示す正面図及び側面図
【
図7】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースにカバー部材を取り付けた状態を示す斜視図
【
図8】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースにカバー部材を取り付けた状態を示す正面図及び側面図
【
図9】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースにカバー部材を取り付けた状態であって、スイッチケースの正面側を破断した状態を示す断面図
【
図10】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースの取付部位に取り付け可能なオプション用スイッチ手段を示す斜視図
【
図13】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースの取付部位に取り付け可能なカバー部材を示す斜視図
【
図16】本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置に適用される車両(ATV)を示す模式図
【
図17】同ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースの取付部位に取り付け可能な他のオプション用スイッチ手段を示す斜視図
【
図18】同他のオプション用スイッチ手段を示す5面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1は、
図16に示すように、ウィンチ装置Wを車両前方に具備したATV又は当該ウィンチ装置Wを具備しないATVにおけるハンドルバーHに配設されたものである。かかるウィンチ装置Wは、車両(ATV)に取り付けられてワイヤを繰り出し又は巻き取り可能なもので、ワイヤの先端には係止用のフックFが取り付けられている。
【0024】
また、ATVのハンドルバーHの左側先端及び右側先端には、それぞれ把持グリップGが取り付けられており、当該把持グリップGを運転者が把持して走行可能とされている。そして、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1は、ATVのハンドルバーHにおける左側先端の把持グリップG近傍に取り付けられたもので、
図1~3に示すように、スイッチケース2と、複数の操作スイッチ(S1~S4)及びオプション用スイッチ手段3とを有している。
【0025】
スイッチケース2は、所定材料を成形して成るもので、
図4~6に示すように、半割れ形状の第1スイッチケース2a及び第2スイッチケース2bを組み合わせて構成されている。これら第1スイッチケース2aの第2スイッチケース2bとの合わせ面には、円弧状の孔が形成されるとともに、第2スイッチケース2bにおける当該孔と対応する部位には、同じく円弧状の孔が形成されており、ハンドルバーHの外周面を当該2つの孔で嵌合させつつ第1スイッチケース2aと第2スイッチケース2bとを嵌め合わせ、ボルトなどで両者を締め上げれば、スイッチケース2がハンドルバーHに固定されることとなる。
【0026】
第1スイッチケース2aの所定位置には、複数の開口部が形成されており、これら開口部に操作スイッチ(S1~S4)の操作ノブ(N1~N4)が取り付けられている。かかる操作スイッチ(S1~S4)は、スイッチケース2に取り付けられ、車両に搭載された種々電装品を操作し得るものである。具体的には、操作スイッチ(S1~S4)は、それぞれ操作ノブ(N1~N4)を有して構成され、車両のエンジンを始動又は停止するスタータスイッチ若しくはキルスイッチ、車両の前照灯を前方照射と下方照射とで切り替えるディマースイッチ等を構成している。
【0027】
ここで、本実施形態に係るスイッチケース2(本実施形態においては、第1スイッチケース2a)は、
図4~6に示すように、その外周面の所定位置に形成された凹形状から成る取付部位2aaを有するとともに、
図1~3に示すように、車両に搭載された他の特定の電装品を操作し得る操作ノブ3aを有したオプション用スイッチ手段3が取付部位2aaに対して脱着可能とされている。
【0028】
本実施形態に係る取付部位2aaは、スイッチケース2における正面Fa(スイッチケース2がハンドルバーHに固定された状態において、運転者側に臨む面)及び車体側の側面Fb(スイッチケース2がハンドルバーHに固定された状態において、車体側に臨む面)を含む部位に形成されるとともに、オプション用スイッチ手段3の外輪郭形状に倣った凹形状とされている。
【0029】
なお、オプション用スイッチ手段3にて操作される電装品は、操作スイッチ(S1~S4)で操作される特定の電装品とは異なる他の電装品から成り、車両に任意選択的に取り付けられたオプションの電装品(本実施形態においてはATVに配設されたウィンチ装置W)とされている。また、本実施形態に係るオプション用スイッチ手段3の操作ノブ3aは、所謂シーソー型のノブから成り、一方に揺動操作すると、ウィンチ装置Wのワイヤを繰り出し操作し得るとともに、他方に揺動操作すると、当該ワイヤを巻き取り操作し得るよう構成されている。
【0030】
より具体的には、本実施形態に係るオプション用スイッチ手段3は、
図10~12に示すように、操作ノブ3aを収容した収容ケース3bと、該収容ケース3bから延設されて操作ノブ3aの操作を車体側に電気信号として伝達する配線h(
図1、2参照)とを具備して構成されている。また、収容ケース3bの正面Fc1には、操作ノブ3aが形成されるとともに、側面Fc2には、配線hを固定するための配線固定部3cが形成されている。さらに、収容ケース3bの内部には、操作ノブ3aの揺動操作に応じて電気的にオン・オフする接点等から成るスイッチ部3dが形成されており、そのスイッチ部3dから配線hが延設されている。
【0031】
そして、スイッチケース2の取付部位2aaにオプション用スイッチ手段3を嵌入させて取り付けると、
図1、2に示すように、スイッチケース2の正面Faとオプション用スイッチ手段3の正面Fc1とが連続して一体的な外輪郭を成すとともに、スイッチケース2の車体側の側面Fbとオプションスイッチ手段3の車体側の側面Fc2とが連続して一体的な外輪郭を成すようになっている。
【0032】
さらに、本実施形態に係るオプション用スイッチ手段3は、当該オプション用スイッチ手段3が取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に収容ケース3bを係止して固定する取付ネジB(係止手段)を具備している。なお、オプション用スイッチ手段3が取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に収容ケース3bを係止して固定する手段であれば、取付ネジBに代えて、他の形態の係止手段を具備したものであってもよい。
【0033】
またさらに、本実施形態に係るスイッチケース2の取付部位2aaは、
図4~6に示すように、オプション用スイッチ手段3を案内するレール部2ab(案内部)が形成されるとともに、オプション用スイッチ手段3の収容ケース3bには、
図10~12に示すように、当該レール部2ab(案内部)と合致して当該収容ケース3bを取付部位2aaに取り付ける過程で案内させ得る溝部3ba(被案内部)が形成されている。
【0034】
より具体的には、スイッチケース2における取付部位2aaの内周上面及び内周下面には、スイッチケース2の正面a側から背面側に向かって延設されたレール状のレール部2ab(
図4~6参照)が一体形成されるとともに、オプション用スイッチ手段3における収容ケース3bの外周上面及び外周下面には、レール部2abと対応した形状の溝部3ba(
図10~12参照)が形成されており、オプション用スイッチ手段3をスイッチケース2の正面Fa側から取付部位2aaに挿入する際、
図3に示すように、レール部2abに溝部3baが合致して嵌合することにより挿入方向に案内可能とされているのである。
【0035】
一方、ウィンチ装置Wを具備しないATVにおいては、係止手段としての取付ネジBを緩めた後、スイッチケース2からオプション用スイッチ手段3が取付部位2aaから取り外されるとともに、オプション用スイッチ手段3が取り外された状態において、当該取付部位2aaを覆ってスイッチケース2の外輪郭の一部を形成するカバー部材4が取り付け可能とされている。
【0036】
かかるカバー部材4は、
図13~15に示すように、正面Fd1と、車体側の側面Fd2とを有して構成され、スイッチケース2の取付部位2aaに取り付けられると、
図7、8に示すように、スイッチケース2の正面Faとカバー部材4の正面Fd1とが連続して一体的な外輪郭を成すとともに、スイッチケース2の車体側の側面Fbとカバー部材4の車体側の側面Fd2とが連続して一体的な外輪郭を成すよう構成されている。これにより、カバー部材4を取付部位2aaに取り付けることにより、当該カバー部材4が取付部位2aaを覆ってスイッチケース2の外輪郭の一部を形成するようになっている。
【0037】
さらに、本実施形態に係るカバー部材4は、オプション用スイッチ手段3をスイッチケース2から取り外した際に緩めた取付ネジB(係止手段)を利用して、取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に係止して固定可能とされている。なお、取付ネジBとは異なるネジにてカバー部材4を取付部位2aaに固定してもよく、或いは取付ネジとは異なる他の形態の係止手段を利用して固定するようにしてもよい。
【0038】
またさらに、本実施形態に係るカバー部材4には、
図13~15に示すように、ハンドルケース2に形成されたレール部2ab(案内部)と合致して当該カバー部材4を取付部位2aaに取り付ける過程で案内させ得る溝部4a(被案内部)が形成されている。より具体的には、カバー部材4の外周上面及び外周下面には、ハンドルケース2におけるレール部2abと対応した形状の溝部4a(
図13~15参照)が形成されており、カバー部材4をスイッチケース2の正面Fa側から取付部位2aaに挿入する際、
図9に示すように、レール部2abに溝部4aが合致して嵌合することにより挿入方向に案内可能とされているのである。
【0039】
このように、ウィンチ装置Wを具備したATVに適用されるハンドルバー用スイッチ装置1においては、スイッチケース2の取付部位2aaにオプション用スイッチ手段3が取り付けられるとともに、ウィンチ装置Wを具備しないATVに適用されるハンドルバー用スイッチ装置1においては、スイッチケース2の取付部位2aaにカバー部材4が取り付けられるよう構成されており、ウィンチ装置Wの有無に応じてオプション用スイッチ手段3を取り付け又は取り外し可能とされている。
【0040】
本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1によれば、スイッチケース2は、その外周面の所定位置に形成された凹形状から成る取付部位2aaを有するとともに、車両に搭載された他の特定の電装品(本実施形態においてはウィンチ装置W)を操作し得る操作ノブ3aを有したオプション用スイッチ手段3が取付部位2aaに対して脱着可能とされたので、スイッチケース2を分解することなくオプション用スイッチ手段3を脱着することができる。
【0041】
すなわち、取付部位2aaは、スイッチケース2の外周面に形成された凹形状とされているので、他の操作スイッチ(S1~S4)が形成されたスイッチケース2の内部空間とは画成されており、オプション用スイッチ手段3を取付部位2aaに脱着させる際、スイッチケース2を分解する必要がなく、取付ネジB(係止手段)を緩めることによって、オプション用スイッチ手段3のみの取り付け作業又は取り外し作業を行うことができるのである。したがって、スイッチケース2に対するオプション用スイッチ手段3の取り付け作業又は取り外し作業を容易に行わせることができ、作業性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るオプション用スイッチ手段3は、操作ノブ3aを収容した収容ケース3bと、該収容ケース3bから延設されて操作ノブ3aの操作を車体側に伝達する配線hとを具備したので、オプション用スイッチ手段3を他の操作スイッチ(S1~S4)とは別個独立させて作動させることができ、オプションの電装品(本実施形態においてはウィンチ装置W)の有無に応じて容易にオプション用スイッチ手段3を容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る取付部位2aaは、スイッチケース2における正面Fa及び車体側の側面Fbを含む部位に形成されたので、オプション用スイッチ手段3における操作ノブ3aをスイッチケース2の正面Fa側に形成して操作性を向上させることができるとともに、オプション用スイッチ手段3における配線hをスイッチケース2の車体側の側面Fbから延設させることができ、ハンドルバーHにスイッチケース2を固定された状態において、当該配線hを容易に取り回しすることができる。また、オプション用スイッチ手段3における配線hをスイッチケース2の車体側の側面Fbから延設させることにより、スイッチケース2を横切って配線hを延設させる必要がなくなり、オプションの電装品(ウィンチ装置W)の有無に応じてオプション用スイッチ手段3をスイッチケース2に対して容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0044】
またさらに、オプション用スイッチ手段3が取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に収容ケース3bを係止して固定する取付ネジB(係止手段)を具備したので、オプション用スイッチ手段3を確実にスイッチケース2の取付部位2aaに固定させることができる。同様に、本実施形態に係るカバー部材4についても、取付ネジB(係止手段)によって確実にスイッチケース2の取付部位2aaに固定させることができる。
【0045】
さらに、スイッチケース2の取付部位2aaは、オプション用スイッチ3が取り外された状態において、当該取付部位2aaを覆ってスイッチケース2の外輪郭の一部を形成するカバー部材4が取り付け可能とされたので、オプション用スイッチ手段3が取り外された状態のスイッチケース2の意匠性を維持することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る取付部位2aaは、オプション用スイッチ手段3を案内するレール部2ab(案内部)が形成されるとともに、オプション用スイッチ手段3の収容ケース3bには当該レール部2ab(案内部)と合致して当該収容ケース3bを取付部位2aaに取り付ける過程で案内させ得る溝部3ba(被案内部)が形成されたので、スイッチケース2の取付部位2aaに対してオプション用スイッチ手段3を容易且つ円滑に取り付けることができる。
【0047】
同様に、カバー部材4にはスイッチケース2の取付部位2aaに形成されたレール部2ab(案内部)と合致して当該カバー部材4を取付部位2aaに取り付ける過程で案内させ得る溝部4a(被案内部)が形成されたので、スイッチケース2の取付部位2aaに対してカバー部材4を容易且つ円滑に取り付けることができる。なお、本実施形態においては、オプション用スイッチ手段3及びカバー部材4をスイッチケース2の正面側から挿入するよう案内されるので、ハンドルバーHにおけるスイッチケース2の車体Fbの近傍にレバーホルダ等の他の部品が取り付けられていても、当該他の部品とスイッチケース2とが干渉するのを回避しつつ取り付け作業を行うことができる。
【0048】
加えて、オプション用スイッチ手段3の操作ノブ3aで操作される他の特定の電装品(オプションの電装品)は、車両(ATV)に取り付けられてワイヤを繰り出し又は巻き取り可能なウィンチ装置Wであるので、ウィンチ装置Wの有無に応じてオプション用スイッチ手段3をスイッチケース2に対して容易に取り付け又は取り外すことができる。
【0049】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スイッチケース2の取付部位2aaは、オプション用スイッチ手段3が取り外された状態において、
図17、18に示すように、操作ノブ3aとは異なる形態の操作ノブ5aを有した他のオプション用スイッチ手段5が取り付け可能とされてもよい。具体的には、他のオプション用スイッチ手段5は、上部及び下部にそれぞれ形成された押しボタン型スイッチの操作ノブ5aと、操作ノブ5aを収容した収容ケース5bと、該収容ケース5bから延設されて操作ノブ5aの操作を車体側に電気信号として伝達する配線h(不図示)とを具備して構成されている。
【0050】
また、収容ケース5bの正面Fe1には、2つの操作ノブ5aが形成されるとともに、側面Fe2には、配線hを固定するための配線固定部5cが形成されている。さらに、収容ケース5bの内部には、操作ノブ5aの押圧操作に応じて電気的にオン・オフする接点等から成るスイッチ部5dが形成されており、そのスイッチ部5dから配線hが延設されている。
【0051】
さらに、本実施形態に係る他のオプション用スイッチ手段5は、当該他のオプション用スイッチ手段5が取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に収容ケース5bを係止して固定する取付ネジB(係止手段)を具備している。なお、他のオプション用スイッチ手段5が取付部位2aaに取り付けられた状態でスイッチケース2に収容ケース5bを係止して固定する手段であれば、取付ネジBに代えて、他の形態の係止手段を具備したものであってもよい。
【0052】
またさらに、他のオプション用スイッチ手段5の収容ケース5bには、
図17、18に示すように、スイッチケース2の取付部位2aaに形成されたレール部2ab(案内部)と合致して当該収容ケース5bを取付部位2aaに取り付ける過程で案内させ得る溝部5ba(被案内部)が形成されている。かかる溝部5baは、オプション用スイッチ手段3に形成された溝部3baと同様、レール部2abと対応した形状とされており、他のオプション用スイッチ手段5をスイッチケース2の正面Fa側から取付部位2aaに挿入する際、レール部2abに溝部5baが合致して嵌合することにより挿入方向に案内可能とされている。
【0053】
このように、スイッチケース2の取付部位2aaは、オプション用スイッチ手段3が取り外された状態において、操作ノブ3aとは異なる形態の操作ノブ5aを有した他のオプション用スイッチ手段5が取り付け可能とされたので、オプションの電装品(ウィンチ装置W)の有無に加え、オプションの電装品の種類(ウィンチ装置Wとは異なるオプションの電装品)に応じてオプション用スイッチ手段3を容易に変更することができる。なお、他のオプション用スイッチ手段5は、押しボタン型スイッチとされているが、他の形態のスイッチとしてもよい。
【0054】
さらに、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置は、ATVに適用されているが、ハンドルバーHを有する他の車両に適用してもよく、オプション用スイッチ手段3がウィンチ装置Wとは異なるオプションの電装品を操作するものであってもよい。また、本実施形態においては、オプションの電装品を具備しない場合、オプション用スイッチ手段3が取り外された状態において取付部位2aaにカバー部材4が取り付けられるよう構成されているが、カバー部材4を取り付けないものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
外観形状が異なるもの、或いは他の機能が付加されたハンドルバー用スイッチ装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ハンドルバー用スイッチ装置
2 スイッチケース
2a 第1スイッチケース
2aa 取付部位
2ab レール部(案内部)
2b 第2スイッチケース
3 オプション用スイッチ手段
3a 操作ノブ
3b 収容ケース
3ba 溝部(被案内部)
3c 配線固定部
3d スイッチ部
4 カバー部材
4a 溝部(被案内部)
5 他のオプション用スイッチ手段
5a 操作ノブ
5b 収容ケース
5ba 溝部(被案内部)
5c 配線固定部
5d スイッチ部
S1~S4 操作スイッチ
N1~N4 操作ノブ
h 配線
B 取付ネジ(係止手段)
Fa 正面
Fb 車体側の側面
Fc1 正面
Fc2 車体側の側面
Fd1 正面
Fd2 車体側の側面
Fe1 正面
Fe2 車体側の側面
H ハンドルバー