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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】氷スラリー冷凍管理サーバー
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0832 20230101AFI20240926BHJP
【FI】
G06Q10/0832
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020115500
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013139
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518403539
【氏名又は名称】ブランテックインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣兼 美雄
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-030475(JP,A)
【文献】特開2016-124641(JP,A)
【文献】特開平02-109934(JP,A)
【文献】特開2018-059662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷スラリーに物品を浸漬して急速冷凍をする氷スラリー冷凍処理の対象の物品のステータスを記憶する記憶部と、
氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す受注情報と、氷スラリー冷凍処理された物品の発送に応じて発送したことを示す発送完了情報と、を送信する通信部と、
前記記憶部を制御する制御部であって、前記受注情報を送信したときには、受注中であることを示すステータスを前記記憶部に記憶させ、氷スラリー冷凍処理の終了に応じて氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させ、前記発送完了情報を送信したときには、発送が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる制御部と、を備える氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項2】
前記通信部は、
氷スラリー冷凍処理の発注に関する発注情報を受信したときには、前記受注情報を送信する請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項3】
前記通信部は、
ユーザが希望する商品を示す希望物品の情報をユーザから受信したときには、前記希望物品を提供可能な店舗に前記希望物品の情報を送信し、前記希望物品に対する氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す希望物品受注情報を前記店舗に送信する請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項4】
前記制御部は、
氷スラリー冷凍処理をする複数の物品について、氷スラリー冷凍処理の順序を各々の物品の種類に応じて決定する請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項5】
前記制御部は、
氷スラリー冷凍処理を実行する冷凍条件を、物品の種類及び物品の形態の少なくとも一方に応じて決定する請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項6】
前記制御部は、
前記通信部が、所定の物品のステータスについての問い合わせの情報を受信したときに、前記記憶部から前記所定の物品のステータスを読み出し、前記通信部から送信する請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項7】
前記制御部は、
前記通信部が、前記発注情報を受信したときに、物品を識別するための識別情報を生成し、前記通信部から識別情報を送信する請求項に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項8】
前記制御部は、
物品を氷スラリー冷凍処理提供事業者が受け取った後の氷スラリー冷凍処理によって氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。
【請求項9】
前記制御部は、
物品を氷スラリー冷凍処理提供事業者が受け取るよりも前の氷スラリー冷凍処理によって氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる請求項1に記載の氷スラリー冷凍管理サーバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
氷スラリー冷凍処理された食品や食材等の鮮度を維持して宅配サービスなどの配送をするための氷スラリー冷凍管理サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
注文を受けて冷凍食品の宅配サービスを行う宅配システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-196477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した宅配システムは、簡単な操作で冷凍食品の注文できるシステムであり、高齢者、共稼ぎ家族、独り暮らしといった、日常生活において買い物に出向くことができない人たちを対象にしたものだった。従来の宅配システムでは、配送される冷凍食品の鮮度の管理などはしておらず、生鮮動植物等の鮮度を維持して提供することは困難であった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生鮮海産物等や各種の精肉、その他の各種の食品や食材等の鮮度を維持しつつ配送できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による氷スラリー冷凍管理サーバーの特徴は、
氷スラリーに物品を浸漬して急速冷凍をする氷スラリー冷凍処理の対象の物品のステータスを記憶する記憶部と、
氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す受注情報と、氷スラリー冷凍処理された物品の発送に応じて発送したことを示す発送完了情報と、を送信する通信部と、
前記記憶部を制御する制御部であって、前記受注情報を送信したときには、受注中であることを示すステータスを前記記憶部に記憶させ、氷スラリー冷凍処理の終了に応じて氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させ、前記発送完了情報を送信したときには、発送が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる制御部と、を備えることである。
【発明の効果】
【0007】
生鮮海産物等や各種の精肉、その他の各種の食品や食材等の鮮度を維持しつつ配送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態による氷スラリー冷凍物品管理システム10の構成を示す概略図である。
図2】第1の実施の形態による冷凍管理サーバー110の機能を示す機能ブロック図である。
図3】冷凍受発注処理を示すフローチャートである。
図4】氷スラリー冷凍管理処理を示すフローチャートである。
図5】冷凍管理データベースの一例を示すテーブルである。
図6】冷凍処理条件データベースの一例を示すテーブルである。
図7】配送処理を示すフローチャートである。
図8】保管状況問い合わせ処理を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態による冷凍受発注処理を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態による冷凍受発注処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の実施の態様>>
第1の実施の態様によれば、
氷スラリーに物品を浸漬して急速冷凍をする氷スラリー冷凍処理の対象の物品のステータスを記憶する記憶部(例えば、後述する記憶部118や冷凍管理データベースDB10など)と、
氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す受注情報と(例えば、後述するステップF319やF925など)、氷スラリー冷凍処理された物品の発送に応じて発送したことを示す発送完了情報と(例えば、後述するステップF721やF1017など)、を送信する通信部(例えば、後述する通信部116など)と、
前記記憶部を制御する制御部であって、前記受注情報を送信したときには、受注中であることを示すステータスを前記記憶部に記憶させ(例えば、後述するステップF319など)、氷スラリー冷凍処理の終了に応じて氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させ(例えば、後述するステップF419など)、前記発送完了情報を送信したときには、発送が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる(例えば、後述するステップF719など)制御部(例えば、後述する演算部112など)と、を備える氷スラリー冷凍管理サーバーが提供される。
【0010】
後述するように、氷スラリーは、フレークアイス(固体)と、溶質を含有する水溶液(ブライン)とを所定の比率で混合させた混合物である。氷スラリーに物品を浸漬することで、物品を急速に冷凍することができる。氷スラリー冷凍管理サーバーは、氷スラリーを用いて各種の対象物を冷凍処理する際の管理をする。氷スラリー冷凍管理サーバーは、記憶部と通信部と制御部とを備える。
【0011】
記憶部は、氷スラリー冷凍処理の対象の物品のステータスを記憶する。ステータスには、受注中や氷スラリー冷凍処理完了や、発送完了などがある。
【0012】
通信部は、氷スラリー冷凍処理の受発注に関する情報を送受信する。例えば、氷スラリー冷凍管理サーバーは、氷スラリー冷凍処理を希望する店舗の端末装置などに通信可能に接続される。通信部は、氷スラリー冷凍処理の発注に関する発注情報を店舗端末装置などから受信する。通信部は、受注したことを示す受注情報を店舗端末装置などに送信する。通信部は、氷スラリー冷凍処理された物品の発送に応じて、発送したことを示す発送完了情報を店舗端末装置などに送信する。
【0013】
制御部は、受注情報を送信したときには、受注中であることを示すステータスを記憶部に記憶させる。氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理の作業が、新たに生ずることを知得でき、氷スラリー冷凍処理の作業に事前に備えることができる。
【0014】
制御部は、氷スラリー冷凍処理の作業が終了したときには、氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを記憶部に記憶させる。氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理後の冷凍保存に事前に備えることができる。
【0015】
通信部は、氷スラリー冷凍処理された物品を発送したことを示す発送完了情報を店舗端末装置などに送信する。物品の最終的な状態を店舗に的確に報知することができる。
【0016】
食品や食材等の物品のステータスを常に記憶部に記憶させるので、物品の状態を常に管理でき、物品の鮮度を維持しつつ配送することができる。
【0017】
<<第2の実施の態様>>
第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記通信部は、
氷スラリー冷凍処理の発注に関する発注情報を受信したときには、前記受注情報を送信する。
【0018】
例えば、物品を提供する店舗側から物品に対する氷スラリー冷凍処理の発注があったときには、受注情報を店舗に送信する。氷スラリー冷凍処理を受ける旨を店舗に報知することで、氷スラリー冷凍処理提供事業者と店舗との間で受発注の意思を明確に互いに伝えることができる。
【0019】
<<第3の実施の態様>>
第3の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記通信部は、
ユーザが希望する商品を示す希望物品の情報をユーザから受信したときには、前記希望物品を提供可能な店舗に前記希望物品の情報を送信し、前記希望物品に対する氷スラリー冷凍処理を受注したことを示す希望物品受注情報を前記店舗に送信する。
【0020】
例えば、ユーザから物品の希望があった場合には、その物品を提供することができる店舗に対して、希望物品の情報を送信する。さらに、その希望物品に対する氷スラリー冷凍処理の受注を店舗に送信する。氷スラリー冷凍処理提供事業者は、ユーザと店舗との間で、情報及び物品の流れを明確にし、店舗から提供された物品に氷スラリー冷凍処理をしユーザに的確に納品することができる。
【0021】
<<第4の実施の態様>>
第4の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
氷スラリー冷凍処理をする複数の物品について、氷スラリー冷凍処理の順序を各々の物品の種類に応じて決定する。
【0022】
複数の種類の物品について氷スラリー冷凍処理の依頼があった場合でも、物品の種類に応じて適切な順序で氷スラリー冷凍処理をするので、物品の鮮度が低下しやすいものから氷スラリー冷凍処理をすることができ、物品の鮮度を的確に維持できる。
【0023】
<<第5の実施の態様>>
第5の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
氷スラリー冷凍処理を実行する冷凍条件を、物品の種類及び物品の形態の少なくとも一方に応じて決定する。
【0024】
様々な種類や形態の物品の氷スラリー冷凍処理の依頼があった場合でも、種類や形態に応じた冷凍条件を決定して氷スラリー冷凍処理することができる。物品の凍結温度は、物品の種類(物品を構成する材料や物質など)や物品の形態によって異なる。物品の凍結温度よりも低い温度を冷凍条件として、物品の種類や物品の形態毎に定めて物品を冷やすことで、物品を的確に冷凍できる。物品の凍結温度よりも低い温度で冷やすことで、物品の鮮度を的確に維持することができる。
【0025】
<<第6の実施の態様>>
第6の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
前記通信部が、所定の物品のステータスについての問い合わせの情報を受信したときに、前記記憶部から前記所定の物品のステータスを読み出し、前記通信部から送信する。
【0026】
店舗から預かっている物品のステータスを、店舗の要求に応じて提供できるので、店舗の希望に応じて情報を提供することができ、店舗との間で円滑な意思疎通を図ることができる。
【0027】
<<第7の実施の態様>>
第7の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
前記通信部が、前記発注情報を受信したときに、物品を識別するための識別情報を生成し、前記通信部から識別情報を送信する。
【0028】
識別情報を店舗と共用することで、識別情報を一元化して管理することができ、情報の管理が煩雑になることを防止することができる。
【0029】
<<第8の実施の態様>>
第8の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
物品を受け取った後の氷スラリー冷凍処理によって氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる。
【0030】
物品を受け取った後に氷スラリー冷凍処理をするので、安定的に確実に冷凍処理でき、鮮度の状態を維持することができる。
【0031】
<<第9の実施の態様>>
第9の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記制御部は、
物品を受け取るよりも前の氷スラリー冷凍処理によって氷スラリー冷凍処理が完了したことを示すステータスを前記記憶部に記憶させる。
【0032】
物品を受け取るよりも前に氷スラリー冷凍処理をするので、鮮度が低下し始めるよりも前に冷凍処理でき、鮮度を確実に維持することができる。
【0033】
<<<<本実施の形態の詳細>>>>
<<<定義等>>>
本実施の形態の氷スラリー冷凍管理サーバーは、生鮮海産物等の魚介類や各種の精肉その他の食品等の生鮮動植物を氷スラリーによって冷凍し、冷凍された状態で生鮮動植物を配送するためのシステムで用いられる。
【0034】
<<氷スラリー>>
氷スラリーは、フレークアイス(固体)と、溶質を含有する水溶液(ブライン)とを所定の比率で混合させた混合物である。フレークアイスは、ハイブリッドアイス(後述する)をフレーク(剥片)状に加工して得られる。氷スラリーは、シャーベット状で流動性を有する。
【0035】
氷スラリーに、フレークアイス(固体)を加えることにより、氷スラリーに含まれるフレークアイス(固体)とブライン(液体)との構成比率を容易に調整することもできる。氷スラリーは、流動性を有するため、硬いフレークアイスの状態よりも被冷凍品に対し万遍なく接触することができる。
【0036】
この氷スラリーは、(a)融解完了時の温度が0℃未満、かつ、(b)融解過程で氷が融解したブラインの溶質濃度の変化率が30%以内という条件を満たす。氷スラリーは、融解する際に大量の潜熱を周囲から奪うことができる。融解が完全に完了せずにハイブリッドアイスが残存している間は温度が上昇することがない。したがって、長時間に亘って被冷凍品を冷凍し続けることができる。
【0037】
氷スラリーは、フレークアイスとして製造された状態で細かな空隙部(即ち空気の部分)を多く含む。この空隙部がハイブリッドアイス内であらゆる方向に連結可能な状態であり、雪状に調製したり、シャーベット状に調製したりすることができる。雪状又はシャーベット状に調製されたハイブリッドアイスは、全体として柔軟性を備えているため、被冷凍品を傷つけることがなく、むしろ被冷凍品を保護する緩衝材としてのスポンジのような役割を果たす。
【0038】
また、氷スラリーは、多くの空隙部(空気部分)を有する状態であっても、あるいは氷スラリーの融解によって当該空隙部にブラインが充填された状態であっても、氷スラリー全体として十分な流動性(柔軟性)を保持することができる。このため、氷スラリーは、被冷凍品をより効率良く冷凍することができる。
【0039】
ここで、氷スラリー全体の体積に対する空隙部(空気部分)の体積の割合(空隙率)は、より低い方が(即ち嵩密度が高い方が)蓄冷効果が高くなる。したがって、生鮮食料品の冷凍を目的として氷スラリーを使用する場合には、空隙率が高い(即ち嵩密度が低い)氷スラリーを生成する。なお、冷熱エネルギーの運搬を目的として氷スラリーを使用する場合には、空隙率が低い(即ち嵩密度が高い)氷スラリーを生成する。
【0040】
また、食塩を溶質とするブライン(塩水)の熱伝導率は約0.58W/m Kであるが、食塩を溶質とするブラインが凍結したフレークアイスの熱伝導率は約2.2W/m Kである。即ち、熱伝導率は、ブライン(液体)よりもフレークアイス(固体)の方が高いため、フレークアイス(固体)の方が被冷凍品を早く冷凍することができることになる。
【0041】
しかしながら、フレークアイス(固体)のままでは被冷凍品と接触する面積が小さくなってしまう。そこで、フレークアイスとブラインとを混合させて氷スラリーの状態とすることにより流動性を持たせる。これにより、被冷凍品に対し万遍なくフレークアイス(固体)を接触させることができるようになり、被冷凍品を素早く冷凍することが可能となる。
【0042】
ここで、氷スラリーの嵩密度について、具体的な数値を示す。氷スラリーとして定義可能な嵩密度は、0.48g/cm~0.78g/cmとなる。生鮮食料品の冷凍を目的として氷スラリーを使用する場合には、0.69g/cm~0.78g/cmの嵩密度とするのが好適である。
【0043】
なお、冷熱エネルギーの運搬を目的として氷スラリーを使用する場合には、飽和食塩水を用いた氷をさらに機械的に圧縮して0.75g/cm~0.95g/cmの嵩密度としてもよい。
【0044】
従来から、溶媒に溶質を溶解させると、その水溶液の凝固点は、溶質を溶解させる前の溶媒の凝固点よりも低くなることが知られている(凝固点降下現象)。つまり、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷は、真水(即ち、食塩等の溶質が溶解していない水)を凍結させた氷よりも低い温度(即ち0℃未満)で凍結した氷となる。
【0045】
ここで、固体としての氷が、液体としての水に変化(融解)するときに必要となる熱を「潜熱」という。この潜熱は温度変化を伴わないため、ハイブリッドアイスは、融解時に真水の凝固点(0℃)未満の温度で安定した状態を維持し続けることができる。このため、冷熱エネルギーを蓄えた状態を持続させることができる。
【0046】
つまり、本来であれば、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷の冷凍能は、真水を凍結させた氷よりも高くなるはずである。しかしながら、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた氷を製造しようとしても、実際には、水溶液(例えば塩水)がそのまま凍結することは殆どなく、まず溶質(食塩等)を含まない真水の部分が先に凍結してしまう。
【0047】
このため、食塩等の溶質を溶解させた水溶液を凍結させた結果、生成される物質は、溶質(食塩等)を含まない真水が凍結した氷と、溶質(例えば食塩等の結晶)との混合物となってしまう。また、たとえ凝固点が低下した氷(塩水等が凍結した氷)が生成されたとしても、その量はほんの僅かであり実用性がない。このように、氷スラリーは、真水の凝固点(0℃)未満の凝固点を有する[氷]であるが、フレークアイス製造システムによって、製造することができる。
【0048】
氷スラリーは、上述したような(a)融解完了時の温度が0℃未満であるという条件を満たしている。氷スラリーは、溶質(食塩等)を含む水溶液(塩水等)であるため、氷スラリーの凝固点は、溶質が溶解していない真水の凝固点よりも低い。このため、氷スラリーは、融解完了時の温度が0℃未満であるという条件を満たしている。
【0049】
なお、「融解完了時の温度」とは、氷スラリーを融点以上の環境下(例えば、室温、大気圧下)に置くことにより氷スラリーの融解を開始させ、全ての氷スラリーが融解しきって水溶液(ブライン)になった時点におけるその水溶液の温度をいう。
【0050】
他方、氷スラリーの凝固点を、被冷凍品の凍結点に近づけた方が好ましい場合もある。例えば、生鮮動植物の損傷を防ぐため等の理由がある場合には、融解完了時の温度が高すぎない方が好ましく、例えば、-21℃以上(-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上等)であることが好ましい。
【0051】
氷スラリーは、上述したような(b)融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率が30%以内であるという条件を満たしている。氷スラリーは、融解過程で氷が融解した水溶液の溶質濃度の変化率(以下、本明細書において「溶質濃度の変化率」と略称する場合がある)が30%以内であるという特徴を有する。従来からある技術を用いた場合であっても、凝固点が僅かに低下した氷が生成される場合もあるが、その殆どは、溶質を含まない水の氷と溶質の結晶との混合物に過ぎないため、冷凍能が十分ではない。
【0052】
このように、溶質を含まない水を凍結させた氷と、溶質の結晶との混合物である場合には、氷を融解条件下に置くと、融解に伴い溶質が溶出する速度が不安定となる。具体的には、融解開始に近いタイミングであればある程、溶質が多く溶出する。そして、融解の進行に伴い、溶質が溶出する量は少なくなっていく。即ち、融解完了に近いタイミングであればある程、溶質の溶出量が少なくなる。
【0053】
これに対し、ハイブリッドアイスは、溶質を含む水溶液を凍結させた氷であるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。具体的には、ハイブリッドアイスが融解する過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率は30%である。ここで、「融解過程でハイブリッドアイスが融解した水溶液の溶質濃度の変化率」とは、融解過程の任意のタイミングで融解した水溶液における溶質濃度に対する、融解完了時における水溶液の濃度の割合を意味する。なお、「溶質濃度」とは、水溶液に溶解している溶質の質量の割合を意味する。
【0054】
ハイブリッドアイスにおける溶質濃度の変化率は30%以内であれば特に限定されないが、その変化率は少なければ少ない程、純度が高いハイブリッドアイス、即ち、冷凍能が高いハイブリッドアイスであることを意味する。
【0055】
ハイブリッドアイスは、冷凍能に優れているため、被冷凍品を冷凍し凍結させるための冷媒としての使用に適している。被冷凍品を冷凍する低温の冷媒としては、ハイブリッドアイス以外に、エタノール等の不凍液として使用される有機溶媒が挙げられる。しかしながら、これらの不凍液よりもハイブリッドアイスの方が熱伝導率が高く、比熱が高い。このため、ハイブリッドアイスは、不凍液のような他の0℃未満の冷媒よりも冷凍能が優れている点で有用である。
【0056】
<<氷スラリー冷凍物品管理システム10の概要>>
氷スラリー冷凍物品管理システム10は、店舗と、氷スラリー冷凍処理提供事業者と、ユーザーとによって構成される。
【0057】
<店舗>
店舗は、魚介類などの生鮮海産物等や、各種の精肉や、野菜や果物などの農作物、その他の各種の食品や食材等の物品をユーザーなどに販売する店である。店舗は、料理、食品、食材の宅配サービスなどの店でもよい。店舗は、扱う物品の性質上、物品の鮮度の維持を希望する。
【0058】
<ユーザー>
ユーザーは、レストランなどの外食産業の店や、一般家庭などである。ユーザーは、店舗から提供される食品や食材等を用いて、最終的な料理の形態にする。すなわち、ユーザーは、店舗から提供される生鮮海産物等や、各種の精肉や、各種の農作物、その他の各種の食品や食材等を用いて調理する。ユーザーも物品の鮮度の維持を希望する。
【0059】
<氷スラリー冷凍処理提供事業者>
氷スラリー冷凍処理提供事業者は、店舗から送られてきた物品を氷スラリー冷凍処理する。氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理した物品を冷凍保存する。冷凍保存には、短期間(短時間)の冷凍保存と、長期間の冷凍保存とがある。氷スラリー冷凍処理した後、直ちにそのまま配送できる場合もある。通常は、氷スラリー冷凍処理のタイミングと配送のスケジュールなどとの都合で、氷スラリー冷凍処理した物品を一時的に冷凍保存した後に配送される。配送される間も冷凍状態は維持される。
【0060】
<物品の流れ>
物品の流れには、2通りある。第1の物品の流れは、物品が店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に運ばれ、氷スラリー冷凍処理された後、再び、店舗に戻される流れである。第2の物品の流れは、物品が店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に運ばれ、氷スラリー冷凍処理された後、ユーザーに運ばれる流れである。
【0061】
第1の物品の流れの場合には、基本的に、前述した短期間(短時間)の冷凍保存となる。なお、第1の物品の流れの場合であっても、店舗の都合や物品の種類や量などによっては、ある程度の期間の冷凍保存を希望する場合もある。この場合には、長期間の冷凍保存となる。すなわち、氷スラリー冷凍処理提供事業者は、店舗の物品を一時的に冷凍状態で預かることになる。
【0062】
第2の物品の流れの場合には、通常は、短期間(短時間)の冷凍保存となる。第2の物品の流れの場合でも、店舗の都合やユーザーの希望や物品の種類などによっては、長期間の冷凍保存でもよい。例えば、ユーザーが、記念日などで特別な料理を希望するような場合には、事前に、氷スラリー冷凍処理提供事業者で氷スラリー冷凍処理し預かっておくこともできる。
【0063】
<<<<第1の実施の形態>>>>
以下に、第1の実施の形態について図面に基づいて説明する。第1の実施の形態では、店舗と氷スラリー冷凍処理提供事業者との二者の関係において、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者への氷スラリー冷凍処理の発注を契機にして、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。ユーザーが、物品を購入する場合も、まず、ユーザーが店舗に連絡し、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者への氷スラリー冷凍処理の発注を契機にして、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。
【0064】
<<<氷スラリー冷凍物品管理システム10の構成>>>
図1は、氷スラリー冷凍物品管理システム10の構成を示す概略図である。
【0065】
氷スラリー冷凍物品管理システム10は、主に、通信ネットワーク100と冷凍管理サーバー110と店舗端末装置120とユーザー端末装置130とを有する。本実施の形態では、店舗端末装置120及びユーザー端末装置130は、ともに複数台あり、複数の店舗端末装置120と複数のユーザー端末装置130が、通信ネットワーク100を介して冷凍管理サーバー110に互いに通信可能に接続されている。
【0066】
<<通信ネットワーク100>>
通信ネットワーク100は、インターネットのほか、社内LAN(Local Area Network)などデータやコマンドなどの各種の情報を送受信できる回線であればよく、有線でも無線でもよい。
【0067】
<<冷凍管理サーバー110(氷スラリー冷凍管理サーバー)>>
冷凍管理サーバー110は、通信ネットワーク100を介して少なくとも一つの店舗端末装置120及びユーザー端末装置130と互いに通信可能に接続されている。冷凍管理サーバー110は、氷スラリー冷凍処理を提供する事業者(以下、氷スラリー冷凍処理提供事業者(氷スラリー冷凍処理プラットフォーム))が管理したり制御したりできる装置である。冷凍管理サーバー110は、氷スラリー冷凍処理提供事業者の事業所などに設置される。なお、冷凍管理サーバー110が設置される場所は、氷スラリー冷凍処理提供事業者によって制御可能な場所であればよく、一定の事業所には限られない。
【0068】
冷凍管理サーバー110は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)などを備えたパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯型端末装置などにすることができる。冷凍管理サーバー110は、各種の演算処理及びデータ処理や、店舗端末装置120やユーザー端末装置130との通信処理などの各種の処理を実行できる装置である。
【0069】
さらに、冷凍管理サーバー110は、データベースマネジメントシステム(以下、DBMSと称する)を介してアクセス可能なデータベースを有する。データベースは、冷凍管理サーバー110がアクセス可能なHDDの所定の記憶領域に読み書き可能に形成されている。データベースには、冷凍管理データベースDB10や、冷凍処理条件データベースDB20などがある(後述する図2参照)。
【0070】
また、冷凍管理サーバー110がアクセス可能なHDDなどには、各種のプログラムが記憶されている。例えば、通信ネットワーク100を介して店舗端末装置120やユーザー端末装置130と通信を行うためのプログラムや、DBMSを介してデータベースにデータを入出力するためのプログラムや、店舗端末装置120やユーザー端末装置130から送信された情報に基づいて各種の処理を実行するためのプログラムや、その他の各種計算等を行うためのプログラム等の各種プログラムがある(後述する図3図10に示すフローチャート参照)。
【0071】
さらにまた、冷凍管理サーバー110のCPUは、上述した各種のプログラムを実行する。
【0072】
<<<機能ブロック図>>>
図2は、冷凍管理サーバー110の機能を示す機能ブロック図である。冷凍管理サーバー110は、主に、演算部112と、入出力部114と、通信部116と、記憶部118とを備える。
【0073】
<演算部112>
演算部は、主にCPUによって構成され、冷凍管理サーバー110における各種の処理のための演算が実行される。
【0074】
<入出力部114>
入出力部114は、主に、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル、スピーカー、マイクロフォン、カメラなど(図示せず)からなる。入出力部114は、冷凍管理サーバー110の管理者や操作者が操作したり視認したりできるユーザーインターフェースを構成する。
【0075】
<通信部116>
通信部116は、主に、通信インターフェース装置によって構成される。通信部116は、主に、店舗端末装置120やユーザー端末装置130との通信をするためのインターフェース装置である。通信部116は、ほかに、氷スラリー冷凍処理提供事業者における他の端末装置との通信も可能にする。
【0076】
<記憶部118>
記憶部118は、主に、ROM、RAM、HDDなどによって構成される。ROMは、冷凍管理サーバー110のBIOSやファームウェアなどを記憶しCPUの主記憶装置として機能する。RAMは、CPUの主記憶装置として機能し、CPUが実行するためのプログラムを展開して記憶したり、CPUの演算処理の結果などを一時的に記憶したりする。
【0077】
HDDは、CPUの補助記憶装置として機能し、CPUが実行する各種のプログラムやデータベースなどを記憶する。さらに、HDDには、店舗端末装置120やユーザー端末装置130で表示するための各種のWEBサイト用のデータも記憶されている。その他に、記憶部118として、SSD(ソリッドステートドライブ)や、各種のメモリーカードなどの補助記憶装置も適宜に用いることができる。
【0078】
第1の実施の形態では、HDDには、所定の記憶領域に各種のデータベースが読み書き可能に形成されている。データベースには、冷凍管理データベースDB10や、冷凍処理条件データベースDB20などがある。
【0079】
<<<氷スラリー冷凍物品管理システム10における処理>>>
図3図10を参照して、氷スラリー冷凍物品管理システム10の処理について説明する。なお、以下では、冷凍管理サーバー110、店舗端末装置120、ユーザー端末装置130は、初期化などの起動時の処理は完了しており、いずれも定常に動作しているものとする。
【0080】
<<冷凍受発注処理>>
図3は、冷凍受発注処理を示すフローチャートである。図3に示す冷凍受発注処理は、冷凍管理サーバー110で実行される処理と、店舗端末装置120で実行される処理とを有する。後述するように、店舗端末装置120から発注情報が冷凍管理サーバー110に送信され、冷凍管理サーバー110から受注情報が店舗端末装置120に送信される。
【0081】
<店舗端末装置120における処理>
最初に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、氷スラリー冷凍処理を依頼する物品の情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、氷スラリー冷凍処理を依頼する物品の情報をRAMに記憶する(ステップC311)。例えば、物品の情報は、物品の名称や物品の種類などの物品の特徴を示す情報である。物品の名称には、ブリやマグロや豚肉や鶏肉などの具体的な名称がある。
【0082】
物品の特徴には、物品の分類や物品の状態や産地や加工業者などの物品の詳細な情報がある。例えば、物品の状態は、魚介類の場合には、一尾魚であるか、切り身であるか、などの情報がある。精肉の場合には、部位(タン、ロースなど)や、挽肉であるか、ブロックであるか、スライスであるか、などの情報がある。農作物の場合には、葉物であるか、穀物であるかなどの情報がある。
【0083】
次に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、氷スラリー冷凍処理を依頼する物品のパッケージ数の情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、氷スラリー冷凍処理を依頼する物品のパッケージ数の情報をRAMに記憶する(ステップC313)。パッケージ数は、物品をパッケージしたパッケージの数である。具体的には、物品を真空パッケージした形態が好ましい。なお、物品のパッケージは、真空パッケージに限られず、氷スラリー冷凍処理に対応できる形態であればよい。例えば、封止された形態などにすることができる。また、パッケージの大きさの情報も入力できるようにしてもよい。氷スラリー冷凍処理の準備の際に参考にすることができる。
【0084】
次に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、物品の集荷を希望する日時が入力され、店舗端末装置120のCPUは、物品の集荷を希望する日時をRAMに記憶する(ステップC315)。例えば、店舗端末装置120のディスプレイにカレンダーや時計を表示し、日時を選択して入力することができる。
【0085】
次に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、氷スラリー冷凍処理を依頼する店舗を示す店舗識別情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、氷スラリー冷凍処理を依頼する店舗を示す店舗識別情報をRAMに記憶する(ステップC317)。店舗識別情報は、店舗の名称でも、英数字、記号などからなるコードでもよい。店舗識別情報は、店舗の各々を識別できる情報であればよい。
【0086】
前述したステップC311~C317の処理は、物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合も、「第2の物品の流れ」である場合も必要である。
【0087】
次に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、氷スラリー冷凍処理が施された物品を受け取る希望の日時が入力され、店舗端末装置120のCPUは、氷スラリー冷凍処理が施された物品を受け取る希望の日時をRAMに記憶する(ステップC319)。店舗は、氷スラリー冷凍処理が施された物品を希望の日時に受け取ることができる。氷スラリー冷凍処理が施された物品は、店舗に戻される。ステップC319の処理は、物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合に必要である。
【0088】
次に、店舗が、氷スラリー冷凍処理された物品の長期間の保管を希望する場合には、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、保管希望情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、保管希望情報をRAMに記憶する(ステップC321)。例えば、発注の時点では、氷スラリー冷凍処理が施された物品を受け取れる日時が決まっていないが、物品の鮮度を少しでも早くから維持したいような場合には、氷スラリー冷凍処理した物品を氷スラリー冷凍処理提供事業者に保管してもらうのが好ましい。この場合に、保管希望情報が入力される。ステップC321の処理は、前述した第1の物品の流れの場合に必要となる。なお、保管されている物品を店舗に戻したい場合には、受け取る希望の日時を店舗端末装置120から冷凍管理サーバー110に送信する。ステップC321の処理は、物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合に必要となる。なお、ユーザが希望する場合には、氷スラリー冷凍処理された物品を長期間に亘って保管することもできる。このような場合には、ステップC321の処理は、物品の流れが、「第2の物品の流れ」である場合にも必要となる。
【0089】
次に、氷スラリー冷凍処理が施された物品をユーザーに配送する場合には、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、氷スラリー冷凍処理された物品を発送するユーザーの発送先の情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、ユーザーの発送先をRAMに記憶する(ステップC323)。氷スラリー冷凍処理された物品は、店舗に戻されるのではなく、氷スラリー冷凍処理提供事業者からユーザーに発送される。このようにすることで、鮮度を維持した物品を迅速にユーザーに届けることができる。ステップC323の処理は、「第2の物品の流れ」の場合に必要となる。
【0090】
次に、氷スラリー冷凍処理が施された物品を店舗からユーザーに配送する場合に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、ユーザーが発送を希望する配送希望日時が入力され、店舗端末装置120のCPUは、配送希望日時をRAMに記憶する(ステップC325)。配送希望日時は、氷スラリー冷凍処理した物品のパッケージをユーザーに配送する希望の日時である。配送希望日時に応じて配送業者が手配される。ユーザーが希望する日時に、氷スラリー冷凍処理された物品が、氷スラリー冷凍処理提供事業者からユーザーに発送される。ステップC323の処理は、「第2の物品の流れ」の場合に必要となる。
【0091】
次に、店舗端末装置120のCPUは、ステップC311~C325の処理で入力された情報を、店舗からの発注情報として、店舗端末装置120から冷凍管理サーバー110に送信する(ステップC327)。前述したように、第1の実施の形態では、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者への発注によって、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。
【0092】
<冷凍管理サーバー110における処理>
冷凍管理サーバー110のCPUは、店舗端末装置120から送信された発注情報を受信し(ステップF311)、冷凍管理サーバー110のRAMやHDDなどに記憶される(ステップF313)。
【0093】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、新たに受信した発注情報を、既に記憶している発注情報に整合させて、集荷スケジュールを決定する(ステップF315)。具体的には、集荷する店舗と、集荷の経路と、集荷の日時とを決定し、配送業者の日程を決定し、配送業者への手配を決定する。
【0094】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、今回の発注を受注したことを示す受注情報を店舗端末装置120に送信する(ステップF317)。
【0095】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、冷凍管理データベースDB10を更新する(ステップF319)。図5は、冷凍管理データベースDB10の一例を示すテーブルである。図5に示す冷凍管理データベースDB10には、物品名、パッケージ数、パッケージ識別情報、集荷希望日時、店舗識別情報、受取希望日時、保管希望情報、ユーザーの発送先、配送希望日時、冷凍条件、冷凍保存位置、冷凍処理日、保管開始日、ステータスの各項目が記憶される。
【0096】
冷凍管理データベースDB10の物品名は、前述したステップC311の処理で入力された物品の情報である。
【0097】
冷凍管理データベースDB10のパッケージ識別情報は、物品のパッケージを識別するための情報である。パッケージ識別情報は、パッケージを識別するための情報である。パッケージ識別情報によって、発注した内容と受注した内容とが一致しているか否かを容易に判断することができる。なお、パッケージ識別情報に、物品を識別するための情報を含めてもよい。パッケージ識別情報は、受発注時に氷スラリー冷凍処理提供事業者が発行するのが好ましい。
【0098】
冷凍管理データベースDB10の集荷希望日時、店舗識別情報、受取希望日時、保管希望情報、ユーザーの発送先、配送希望日時は、前述したステップC315、C317、C319、C321、C323、C325の処理で入力された情報である。
【0099】
冷凍管理データベースDB10のステータスは、物品のパッケージの状態を示す。例えば、ステータスは、受け取り前、保管中、配送済みなどがある。
【0100】
冷凍管理データベースDB10の冷凍条件、冷凍保存位置、冷凍処理日、保管開始日については、後述する。
【0101】
ステップF319の処理では、物品名、パッケージ数、パッケージ識別情報、集荷希望日時、店舗識別情報、受取希望日時、保管希望情報、ユーザーの発送先、配送希望日時などが冷凍管理データベースDB10に新規に追加されて記憶される。
【0102】
ステップF311~F319の処理は、物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合も、「第2の物品の流れ」である場合も必要である。
【0103】
<店舗端末装置120における処理>
店舗端末装置120のCPUは、冷凍管理サーバー110から送信された受注情報を受信する(ステップC329)。ステップC329の処理は、物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合も、「第2の物品の流れ」である場合も必要である。
【0104】
この後、作業者によって、集荷される物品のパッケージに識別情報が付される。例えば、識別情報を示すバーコードが印刷されたラベルなどが物品のパッケージに貼付される。物品のパッケージが複数ある場合には、各々にラベルが貼付される。物品のパッケージの各々を管理することができる。なお、光学式の識別情報であるバーコードではなく、識別情報が書き込まれたRFタグを物品のパッケージに付してもよい。冷凍保存時には、物品のパッケージに霜などが形成されるため、バーコードが読み取りにくくなる場合がある。このため、RFタグなどの非光学式の識別情報を用いるのが好ましい。その他の電磁的な作用によって、識別情報を取得できるものであればよい。
【0105】
識別情報は、受発注が確定したときに、冷凍管理サーバー110のCPUが生成して発行するのが好ましい。バーコードが印刷されたラベルやRFタグなどを店舗に配送しても、バーコードの画像を受注情報とともに店舗端末装置120に送信してもよい。店舗端末装置120のCPUが、冷凍管理サーバー110から送られてきたバーコードの画像をラベルに印刷する。このようにすることで、冷凍管理サーバー110と店舗端末装置120との双方で識別情報を共用でき、物品のパッケージを的確に管理することができる。
【0106】
識別情報が付された物品のパッケージは、配送業者によって集荷されて、氷スラリー冷凍処理提供事業者に送り届けられる。なお、配送業者を使わずに、氷スラリー冷凍処理提供事業者自らが集荷してもよい。
【0107】
<<氷スラリー冷凍管理処理>>
図4は、氷スラリー冷凍管理処理を示すフローチャートである。この氷スラリー冷凍管理処理は、冷凍管理サーバー110において実行される。
【0108】
最初に、冷凍管理サーバー110のCPUは、物品のパッケージに付されている識別情報を読み取る(ステップF411)。なお、複数の物品のパッケージを氷スラリー冷凍処理する場合には、パッケージ毎に識別情報を読み取る。
【0109】
冷凍管理サーバー110のCPUは、事前に決定した識別情報と一致しない場合には、その旨を冷凍管理サーバー110のディスプレイに表示する。受け取った物品のパッケージが適切なパッケージであるか否かを判断することができる。事前に発行した識別情報と一致しない場合には、一致しない旨を店舗端末装置120に送信する。物品のパッケージについて誤っていることを店舗に報知することができる。
【0110】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、受け取った物品の種類に応じて冷凍条件を決定する(ステップF413)。物品の凍結温度は、物品の種類(物品を構成する材料や物質など)や、物品の形態によって異なる。物品の凍結温度よりも低い温度を冷凍条件として、物品の種類や物品の形態毎に定めて物品を冷やすことで、物品を的確に冷凍できる。物品の凍結温度よりも低い温度で冷やすことで、物品の鮮度を的確に維持することができる。また、物品の凍結温度に応じた冷凍条件で物品を冷凍させることによって、過度に冷却したり不十分に冷却したりすることなく、適切に冷凍することができる。
【0111】
例えば、冷凍条件として、氷スラリーの凝固点などがある。具体的には、氷スラリーの凝固点として、-20℃以上、-19℃以上、-18℃以上、-17℃以上、-16℃以上、-15℃以上、-14℃以上、-13℃以上、-12℃以上、-11℃以上、-10℃以上、-9℃以上、-8℃以上、-7℃以上、-6℃以上、-5℃以上、-4℃以上、-3℃以上、-2℃以上、-1℃以上、-0.5℃以上などにすることができる。
【0112】
図6は、冷凍処理条件データベースDB20の一例である。物品の種類や部位や加工日などによって冷凍条件を定めることができる。例えば、豚、鳥、牛などの肉の種類や、マグロやブリや貝類などの魚介類の種類や、葉物野菜や穀物の種類などによって冷凍条件を定めることができる。また、タンやロースやバラなどの部位などや、未加工の一尾魚や加工された切り身や挽肉やすり身などの状態に応じて冷凍条件を定めることができる。ステップF413の処理は、予め定められている冷凍処理条件データベースDB20から、物品の種類や物品の状態に応じた冷凍条件を読み出して決定する。
【0113】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、受け取った物品の種類、数、加工日や、パッケージの大きさなどに応じて冷凍処理順序を決定する(ステップF415)。通常、各々の店舗は、複数の種類の物品を扱っており、複数の種類の物品が、氷スラリー冷凍の対象となる。さらに、集荷は、複数の店舗を回って行われ、氷スラリー冷凍となる物品の種類はさらに多くなる。このため、物品のパッケージを受け取ってから氷スラリー冷凍を開始できるまでに時間を要する場合もある。物品の種類や加工日などによっては、氷スラリー冷凍を迅速に開始すべき物品もある。また、物品のパッケージが小さければ、複数のパッケージを同時に氷スラリー冷凍処理できる場合もある。このため、受け取った物品の種類、数、加工日や、パッケージの大きさなどに応じて、冷凍処理の順序を決めることができる。
【0114】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、氷スラリー冷凍処理後の物品のパッケージの冷凍保存位置を事前に決定する(ステップF417)。氷スラリー冷凍処理した後の物品は、冷凍状態を維持する必要があり、氷スラリー冷凍処理後に迅速に冷凍保存する必要がある。複数の種類の物品のパッケージを氷スラリー冷凍処理をする際には、順次に手際よく円滑に処理をする必要がある。このため、処理を開始する前に、冷凍保存位置を事前に決定する。
【0115】
冷凍保存位置は、氷スラリー冷凍された物品のパッケージを保管する冷凍庫内の位置である。数多くの物品を、日々、氷スラリー冷凍して保管するので、物品のパッケージを間違えることなく識別可能に保管する必要がある。また、冷凍保存位置によって、受注時などに、保管できる余裕があるか否かを判断することもできる。
【0116】
ステップF417の後、作業員によって、受け取った物品のパッケージを氷スラリー冷凍作業をし保管作業をする。氷スラリーが十分に満たされた氷スラリー槽に物品の全体を浸漬させることで、物品を急速に冷凍する。なお、物品のパッケージの氷スラリー冷凍作業や保管作業は、作業員による手作業でなく、搬送ロボットなどの装置を用いて、氷スラリー槽に物品のパッケージを浸漬させ、氷スラリー槽から物品のパッケージを搬出するように構成できる。このようにすることで、物品のパッケージを、氷スラリー冷凍処理した後に、直ちに冷凍保存位置に搬送して冷凍保存する。
【0117】
なお、冷凍保存時の温度は、-5℃以下であればよい。好ましくは、冷凍保存時の温度は、-20℃がよい。望ましくは、冷凍保存時の温度は、-60℃や-40℃がよい。
【0118】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、冷凍管理データベースDB10を更新する(ステップF419)。ステップF419の処理では、冷凍保存位置、冷凍処理日、保管開始日などが冷凍管理データベースDB10に新規に追加されて記憶される。
【0119】
冷凍処理日は、物品のパッケージを氷スラリー冷凍処理した年月日である。保管開始日は、氷スラリー冷凍処理した物品のパッケージの冷凍保存を開始した年月日である。冷凍処理日、保管開始日は、年月日だけでなく、時刻の情報を含めてもよい。
【0120】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、氷スラリー冷凍が完了した旨を店舗に送信する(ステップF421)。物品の流れが、「第1の物品の流れ」である場合でも、「第2の物品の流れ」である場合でも、氷スラリー冷凍が完了した旨の情報は、店舗に送信される。なお、物品の流れが「第2の物品の流れ」である場合には、氷スラリー冷凍が完了した旨の情報をユーザに送信するようにしてもよい。ユーザに進捗を的確に伝えることができる。
【0121】
<<氷スラリー冷凍処理のタイミング>>
前述した手順では、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に物品(のパッケージ)が送り届けられて、氷スラリー冷凍処理提供事業者において氷スラリー冷凍処理が行われる例を示した。氷スラリー冷凍処理のタイミングは、これに限られず、図3の下部の破線部に示したように、集荷前に店舗において氷スラリー冷凍処理を行ってもよい。このようにすることで、氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理して冷凍保存した状態の物品(のパッケージ)を受け取ることができる。物品の鮮度が低下し始めるよりも前に、氷スラリー冷凍処理をするので、物品の鮮度をさらに維持することができる。
【0122】
具体的には、以下のような2つのタイミングがある。
【0123】
<第1のタイミング>
店舗が、ハイブリッドアイス装置を保有している場合には、ハイブリッドアイス装置で作ったハイブリッドアイス氷スラリーで物品を冷凍処理することができる。また、店舗が、ハイブリッドアイス氷スラリーを調達できる場合には、調達したハイブリッドアイス氷で物品を冷凍処理することができる。この第1のタイミングの場合には、氷スラリー冷凍処理提供事業者には、店舗で事前に冷凍処理された物品の冷凍保管及び発送が依頼される。
【0124】
<第2のタイミング>
また、氷スラリー冷凍処理提供事業者が「ハイブリッドアイス氷スラリー」を車両に積載しておき、各店舗を訪問したときに、積載している「ハイブリッドアイス氷スラリー」で、氷スラリー冷凍処理提供事業者自身が、その場で物品を冷凍処理する。
【0125】
<<配送処理>>
図7は、配送処理を示すフローチャートである。この配送処理は、冷凍管理サーバー110において実行される。この処理は、所定のタイミング毎に実行される。例えば、毎日午前8時及び午後13時に実行されたり、所定の曜日、例えば火曜日などに実行されたりすることができる。
【0126】
<冷凍管理サーバー110における処理>
最初に、冷凍管理サーバー110のCPUは、冷凍管理データベースDB10から受取希望日時や配送希望日時を読み出し(ステップF711)、読み出した受取希望日時や配送希望日時が、配送タイミングであるか否かを判断する(ステップF713)。配送タイミングは、配送対象となる物品のパッケージを冷凍庫などの冷凍保存位置から取り出し、配送用の冷凍の準備をし、配送業者に引き渡すまでに要する時間から決定することができる。
【0127】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、配送タイミングであるときには、冷凍管理データベースDB10から物品名及び冷凍保存位置を読出し(ステップF715)、物品名及び冷凍保存位置を冷凍管理サーバー110のディスプレイに表示する(ステップF717)。
【0128】
作業者は、ディスプレイに表示された物品名及び冷凍保存位置を視認して、冷凍保存位置に保管されている物品のパッケージを探して冷凍庫から取り出す。取り出した物品のパッケージの配送準備をして、予め手配してある配送業者に物品のパッケージを引き渡す。
【0129】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、冷凍管理データベースDB10のステータスを保管中から配送済みに変更して更新する(ステップF719)。
【0130】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、配送が完了した旨を店舗やユーザーに送信する(ステップF721)。物品の流れは、物品が店舗に配送される場合には、「第1の物品の流れ」となり、物品がユーザーに配送される場合には、「第2の物品の流れ」となる。
【0131】
<店舗端末装置120又はユーザー端末装置130における処理>
店舗端末装置120のCPU、又はユーザー端末装置130のCPUは、配送が完了した旨を受信する(ステップC721)。
【0132】
<<保管状況問い合わせ処理>>
図8は、保管状況問い合わせ処理を示すフローチャートである。この保管状況問い合わせ処理は、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に保管状況を問い合わせるための処理である。
【0133】
<店舗端末装置120における処理>
最初に、操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、冷凍処理を依頼している物品の情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、物品の情報をRAMに記憶する(ステップC811)。
【0134】
操作者による店舗端末装置120の入力操作装置の操作によって、識別情報が入力され、店舗端末装置120のCPUは、識別情報をRAMに記憶する(ステップC813)。
【0135】
店舗端末装置120のCPUは、検索条件を冷凍管理サーバー110に送信する(ステップC815)。検索条件は、ステップC811で入力された物品の情報や、ステップC813で入力された識別情報である。検索条件は、物品の情報と識別情報との双方でも、いずれか一方でもよい。
【0136】
<冷凍管理サーバー110における処理>
冷凍管理サーバー110のCPUは、検索条件を受信し(ステップF815)、冷凍管理データベースDB10を読み出して検索を実行する(ステップF817)。
【0137】
冷凍管理サーバー110のCPUは、検索した結果、該当データが存在する場合には(ステップF819)、該当データを店舗端末装置120に送信する(ステップF821)。また、冷凍管理サーバー110のCPUは、検索した結果、該当データが存在しない場合には(ステップF819)、該当データが存在しない旨を店舗端末装置120に送信する(ステップF823)。
【0138】
<店舗端末装置120における処理>
店舗端末装置120のCPUは、該当データを受信し(ステップC821)、該当データをディスレプイに表示する(ステップC823)。
【0139】
<<<<第2の実施の形態>>>>
第1の実施の形態では、前述したように、店舗と氷スラリー冷凍処理提供事業者との二者の関係において、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者への氷スラリー冷凍処理の発注を契機にして、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。これに対して、第2の実施の形態では、店舗と氷スラリー冷凍処理提供事業者との二者の関係において、氷スラリー冷凍処理提供事業者から店舗への物品の発注を契機にして、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。
【0140】
ユーザーが、物品を購入する場合には、ユーザーは、氷スラリー冷凍処理提供事業者に物品の発注をし、氷スラリー冷凍処理提供事業者が店舗に物品の発注することを契機にして、氷スラリー冷凍処理の管理が始まる。ユーザーが希望する物品は、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に配送され、氷スラリー冷凍処理提供事業者で氷スラリー冷凍処理された後、ユーザーに配送される。このように、第2の実施の形態では、物品の流れは、前述した第2の物品の流れのみとなる。
【0141】
<ユーザー端末装置130における処理>
最初に、操作者によるユーザー端末装置130の入力操作装置の操作によって、ユーザーが希望する物品の情報が入力され、ユーザー端末装置130のCPUは、希望物品の情報をRAMに記憶する(ステップU911)。希望する物品の情報は、物品の名称や種類と数などである。さらに、希望する物品の情報には、ユーザーの希望納期も含めることができる。
【0142】
次に、ユーザー端末装置130のCPUは、希望物品の情報を送信する(ステップU913)。
【0143】
<冷凍管理サーバー110における処理>
最初に、冷凍管理サーバー110のCPUは、希望物品の情報を受信する(ステップF913)。
【0144】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、希望物品の情報から、希望物品を提供することができる店舗を決定する(ステップF915)。
【0145】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、決定した店舗に希望物品の情報を送信する(ステップF917)。
【0146】
<店舗端末装置120における処理>
最初に、店舗端末装置120のCPUは、希望物品の情報を受信する(ステップC917)。
【0147】
次に、店舗端末装置120のCPUは、希望物品の納期を決定する(ステップC919)。
【0148】
次に、店舗端末装置120のCPUは、決定した納期を送信する(ステップC921)。
【0149】
<冷凍管理サーバー110における処理>
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、納期を受信する(ステップF921)。
【0150】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、受信した納期から、希望物品の集荷スケジュールを決定しRAMに記憶する(ステップF923)。この処理は、図3のステップF315と同様の処理である。
【0151】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、受注情報を店舗端末装置120に送信する(ステップF925)。この処理は、図3のステップF317と同様の処理である。
【0152】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、管理データベースを更新する(ステップF927)。この処理は、図3のステップF319と同様の処理である。
【0153】
<店舗端末装置120における処理>
店舗端末装置120のCPUは、受注情報を受信する(ステップC925)。この処理は、図3のステップC329と同様の処理である。
【0154】
<冷凍管理サーバー110における処理>
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、納期情報を送信する(ステップF1011)。
【0155】
<ユーザー端末装置130における処理>
ユーザー端末装置130のCPUは、納期情報を受信する(ステップU1011)。
【0156】
この後、第1の実施の形態と同様に、作業者によって、集荷される物品のパッケージに識別情報が付され、氷スラリー冷凍処理提供事業者に物品のパッケージが配送される(図3参照)。例えば、識別情報を示すバーコードが印刷されたラベルなどが物品のパッケージに貼付される。物品のパッケージが複数ある場合には、各々にラベルが貼付される。物品のパッケージの各々を管理することができる。なお、バーコードではなく、識別情報が書き込まれたRFタグを物品のパッケージに付してもよい。
【0157】
氷スラリー冷凍処理提供事業者は、物品のパッケージを受領する。
【0158】
<冷凍管理サーバー110における処理>
冷凍管理サーバー110のCPUは、図4に示す氷スラリー冷凍管理処理を呼び出して実行する(ステップF1013)。この処理により、受領した物品のパッケージに氷スラリー冷凍処理をし、氷スラリー冷凍の管理をする。
【0159】
この後、作業者は、氷スラリー冷凍された物品のパッケージの配送準備をして、予め手配してある配送業者に物品のパッケージを引き渡す。
【0160】
冷凍管理サーバー110のCPUは、冷凍管理データベースDB10のステータスを保管中から配送済みに変更して更新する(ステップF1015)。この処理は、図7のステップF719と同様の処理である。
【0161】
次に、冷凍管理サーバー110のCPUは、配送が完了した旨を店舗やユーザーに送信する(ステップF1017)。この処理は、図7のステップF721と同様の処理である。
【0162】
<ユーザー端末装置130における処理>
ユーザー端末装置130のCPUは、配送が完了した旨を受信する(ステップU1017)。図7のステップC721と同様の処理である。
【0163】
<<氷スラリー冷凍処理のタイミング>>
第2の実施の形態においても、氷スラリー冷凍処理のタイミングは、氷スラリー冷凍処理提供事業者に物品(のパッケージ)が届けられたときには限られない。図10の左部の破線部に示したように、集荷前に店舗において氷スラリー冷凍処理を行ってもよい。このようにすることで、氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理して冷凍保存した状態の物品(のパッケージ)を受け取ることができる。物品の鮮度を的確に維持することができる。
【0164】
<<<その他の実施の形態>>>
前述した第1の実施の形態では、第1の物品の流れ及び第2の物品の流れの過程で氷スラリー冷凍処理を施し、第2の実施の形態では、第2の物品の流れの過程で氷スラリー冷凍処理を施す例を説明した。第1の物品の流れは、物品が店舗と氷スラリー冷凍処理提供事業者との間を一往復する流れである。第2の物品の流れは、物品が店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者を介してユーザに運ばれる流れである。
【0165】
<その他の実施の形態による物品の流れ>
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に、特に消費期限を管理する必要がある物品、例えば、弁当などが運ばれる。氷スラリー冷凍処理提供事業者は、運ばれた弁当などの物品を氷スラリー冷凍処理をして、保存食として食品などを備蓄する機関や組織などに運ぶ。この物品の流れは、物品が、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者を介して備蓄機関や備蓄組織などに運ばれる流れである。
【0166】
具体的には、まず、氷スラリー冷凍処理提供事業者は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗から、消費期限が近づいている食品などの物品を安価に又は無料で入手する。このようにすることで、物品の廃棄を事前に防止して無駄をなくすことができる。さらに、氷スラリー冷凍処理提供事業者は、氷スラリー冷凍処理した食品などの物品を備蓄機関などに販売する。災害などに備えて食品の備蓄を確保ことができる。
【0167】
このように、物品が、店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に運ばれ、氷スラリー冷凍処理が行われる点では、第1の物品の流れ及び第2の物品の流れと同じである。その後に、氷スラリー冷凍処理された物品が、備蓄機関や備蓄組織などに運ばれる点で、第1の物品の流れ及び第2の物品の流れとは相違する。
【0168】
消費期限の管理は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗で行い、消費期限が近づいたときに、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗から氷スラリー冷凍処理提供事業者に集荷の希望情報が送信されて、氷スラリー冷凍処理提供事業者が集荷に向かう。なお、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗から在庫情報や廃棄情報を適宜に氷スラリー冷凍処理提供事業者に送信することで、スラリー冷凍処理提供事業者が、在庫の消費期限などを管理し、消費期限が近づいた在庫や廃棄処分が決定した物品を集荷するようにしてもよい。
【0169】
また、弁当などの食品を冷凍する場合には、蓋をはずし、食品が入ったトレーを袋に収納して減圧して、食品を真空パックにする作業を要する。この作業は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗で行っても、氷スラリー冷凍処理提供事業者で行ってもよい。この場合においても、氷スラリー冷凍処理のタイミングは、前述したタイミングで氷スラリー冷凍処理することができる。
【0170】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、第1及び第2の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0171】
10 氷スラリー冷凍物品管理システム
100 通信ネットワーク
110 冷凍管理サーバー
116 記憶部
120 店舗端末装置
130 ユーザー端末装置
DB10 冷凍管理データベース
DB20 冷凍処理条件データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10