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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】椎間インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240926BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020514967
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018000426
(87)【国際公開番号】W WO2019052681
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】102017008592.7
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512111500
【氏名又は名称】ジョイマックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バルトホルト,クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】リース,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】デュール,アレクサンダー
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534135(JP,A)
【文献】特表2014-529310(JP,A)
【文献】特表2016-527982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部(1.1)と、長手方向に前記支持部(1.1)に隣接する近位接触部(1.3)とを伴う椎間インプラント(1)であって、上側(1.6)及び下側(1.7)は、水平中心面(L-Q)に対して対称的に形成され、
前記椎間インプラント(1)は、前記椎間インプラント(1)の外面に外側フレーム(1.8)を有し、
前記椎間インプラント(1)は格子体(7)を有し、前記格子体(7)は、内部コア(1.9)を有し、外側フレーム(1.8)内に配置され、前記内部コア(1.9)の外側の形状は外側フレーム(1.8)の内部形状に合うように形成され、
前記椎間インプラント(1)の高さは、前記椎間インプラント(1)を遠位端面から見た場合、前記椎間インプラント(1)の右側側面(1.5)が、反対の左側側面(1.4)よりも大きく、
移行エリア(U)が、前記支持部(1.1)と前記近位接触部(1.3)との間に形成され、
前記移行エリア(U)は、前記上側(1.6)が上に凹となり、前記下側(1.7)が下に凹となるように、前記近位接触部(1.3)の近位縁(1.3.1)から前記支持部(1.1)の中央領域の高さまでの接線Tに対して前記上側(1.6)では相対的に下方に、前記下側(1.7)では相対的上方に弓なりに湾曲していることを特徴とする、椎間インプラント。
【請求項2】
前記外側フレーム(1.8)は、前記外側フレーム(1.8)の外面に複数の開口部を有し
近位接触部(1.3)から離れて対面する遠位端面(1.2)との間の前記支持部(1.1)における前記上側(1.6)及び前記下側(1.7)の間の高さは、前記移行エリア(U)における前記上側(1.6)及び前記下側(1.7)の間の高さ及び前記遠位端面(1.2)における前記上側(1.6)及び前記下側(1.7)の間の高さよりも大きくなることを特徴とする、請求項に記載の椎間インプラント。
【請求項3】
最大高さは、前記近位接触部(1.3)に対する前記移行エリア(U)と、前記近位接触部(1.3)から離れて対面する前記遠位端面(1.2)との間に形成されることを特徴とする、請求項に記載の椎間インプラント。
【請求項4】
前記格子体(7)は、
前記椎間インプラント(1)を上方から見たときに前記椎間インプラント(1)の長手軸に対して垂直な方向である横断方向に平行的に延びる表面(7.3-7.6)と、
前記長手軸に対して平行な方向である縦断方向に平行的に延びる表面(7.8)及び該表面(7.8)よりも外側に平行的に延びる面である縁(7.9)と、を有し、
前記表面(7.3-7.6)でのみ、前記外側フレーム(1.8)に接続されるが、前記表面(7.8)及び前記縁(7.9)は、前記外側フレーム(1.8)に接続されない
ことを特徴とする、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項5】
前記外側フレーム(1.8)は外側輪郭を決定し、前記外側フレーム(1.8)内に位置する前記内部コア(1.9)と一的に形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項6】
レーザ焼結等によって、焼結によって作られることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項7】
電子ビーム溶解、具体的には、選択的電子ビーム溶解によって作られることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項8】
前記内部コア(1.9)の上側表面及び下側表面(7.10)は、前記外側フレーム(1.8)のフレーム構成要素によって囲まれる開放空間と同じ寸法を有し、前記開放空間は、前記格子体(7)の前記上側表面及び下側表面(7.10)を囲むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項9】
前記外側フレーム(1.8)は、格子体(7)として設計される前記内部コア(1.9)が配置される開放空間を囲むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項10】
前記外側フレーム(1.8)は、前記外側フレーム(1.8)の前記長手方向に伸びる縦リブを有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項11】
前記格子体(7)はダイヤモンド構造を有することを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項12】
前記椎間インプラント(1)は前記長手方向の中心軸(L)に沿って連続通路を有することを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項13】
前記格子体(7)は0.5mm~3.5mmの各開口部の格子開口直径を有することを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項14】
前記格子体(7)は、前記椎間インプラント(1)の外側に、約0.5mm~0.7mmの大きさの各開口部の開口直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項15】
前記椎間インプラント(1)を挿入器具に接続するための前記近位接触部(1.3)は前記椎間インプラント(1)の側壁の内側にアンダーカット凹部を有し、前記アンダーカット凹部は、接続する前記挿入器具と前記椎間インプラント(1)との間の角度をつけて移動可能なアンダーカット接続を可能にすることを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項16】
前記近位接触部(1.3)は、接続する挿入器具と前記椎間インプラント(1)との間の角度のある移動を可能にする、上側に切り欠きを有することを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【請求項17】
前記近位接触部(1.3)の近位端面は鋸歯状縁を有し、前記鋸歯状縁は、具体的には、円区分上に垂直方向で連続して形成され、前記鋸歯状縁は、前記近位端面の中央に形成される近位通路の両側に配置されることを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の椎間インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部と、縦方向にこの支持部に隣接する近位接触部とを伴う、椎間インプラントに関する。
【0002】
椎間インプラントは、また、椎体間ケージと称される。
【背景技術】
【0003】
いくつかの脊柱に負傷のために、特に、狭窄及び変性による椎間板ヘルニアの発症後の椎骨の滑り及び不安定性等の椎間板損傷のために、脊椎は、損傷によって影響を受ける2つの椎体間で硬化する。この目的のために、インプラントは、2つの椎骨を規定距離に維持するために、損傷した(神経)、及び/または椎間腔から椎間板を損傷させる神経もしくは椎間板区画を損傷させる(神経)の除去後に、相互に真上にある脊椎の2つの椎骨間に挿入される。脊椎は、少なくとも、これらの2つの椎骨のエリア内で硬化する。これは、(腰)椎骨融合(腰椎体間融合-LIF)と称される。必要に応じて、低侵襲脊椎手術では、椎骨は、ロッドねじユニット、面関節ねじ、またはトランスラミナーねじが設けられ、椎骨間でインプラントに接して抱持される。この点において、また、骨がインプラントと一緒に成長することが望ましい。したがって、係るインプラントは、通常、粗い表面が提供される。
【0004】
汎用の椎間インプラントは、例えば、独国実用新案第202014003441号明細書から分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国実用新案第202014003441号明細書
【文献】独国実用新案第202013007361号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2983622号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】ISO5832-3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、隣接する椎骨に良好に適応するように汎用の椎間インプラントを開発し、係るインプラントを導入するための方法を提案する目的に基づくものである。
【0008】
本発明に従って、述べた目的は、椎間インプラントの場合、上側及び下側が水平中心面に対して対称的に形成される点において達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
インプラントは、2つの椎骨間の椎間腔内の単独インプラントとして、椎間孔を通る低侵襲手術による挿入のために設計されている。したがって、インプラントは、矢状面及び前頭面の両方に対して限定角度(0°に等しくない角度)で椎間腔内に延在する。したがって、問題を解決するための目的は、また、椎間インプラントを導入するための方法であり、支持部と、移行エリアを経由して支持部に隣接する近位接触部とを備え、椎間インプラントの上側及び下側が、水平中心面に対して対称的に形成され、インプラントは、インプラントが矢状面及び前頭面の両方に対して限定角度で椎骨との間で横になるように、椎間腔内の単独インプラントとして2つの椎骨間で椎間孔を通って低侵襲的に挿入されることを特徴とする。
【0010】
対称的な設計によって、隣接する椎体に対する所望のインプラントの調整の改善が達成される。
【0011】
さらなる展開によって、移行エリアは、支持部と接触部との間に形成されることをもたらす。
【0012】
さらなる支持のために、好ましい実施形態では、接触部に対する移行エリアと、接触部から離れて対面する遠位端面との間の支持部の高さは、移行エリアにおける高さ及び遠位端面における高さよりも大きくなり、具体的には、最大高さは、接触エリアに対する移行エリアと、接触エリアから離れて対面する遠位端面との間の中間にあることがもたらされる。
【0013】
さらなる展開によって、支持部と接触部との間の移行エリアは凹形になることをもたらす。本発明に従ったインプラントの設計は、椎骨間で、インプラントがインプラントの上側及び下側で全方向に最適に回るように配置されることを可能にし、ひいては、挿入されたインプラントが存在するにもかかわらず、脊椎がこのエリア内で移動することを可能にし、これは、既知のインプラントには該当しない。
【0014】
遠位端面に向かってインプラントの近位縁に対する接線と、最大のインプラントの高さを伴う中央領域との間の角度は、好ましくは、10°~20°、具体的には、12°~18°、患者の対応する前彎角度に調整され、すなわち、これらの接線のそれぞれは、インプラントの縦中心面に対して、5°~10°の角度、または、より好ましい実施形態では、6°~9°の角度になる。これは、腰椎の自然な前彎を支持または復元する。インプラントの(最大)高さは、好ましくは、インプラントが取り付けられる患者の脊椎または対応する椎間領域の物理的構造に適応し、ひいては、8mm~18mm、好ましくは、10mm~16mmの範囲で調節される高さを有し得る。同じ長さは、25mm~35mm、具体的には、27mm~32mmであるはずであるインプラントの長さに適用する。
【0015】
本発明の別の極めて好ましい実施形態では、インプラントの高さは、一方の縦側で、反対の縦側よりも大きいことがもたらされる。したがって、インプラントの高さは、その垂直中心面に対して非対称である。これは、さらに、インプラントが配列される椎骨の上側端面または下側端面の自然状態に対する調整を支持する。インプラントは、椎骨間で中央に挿入されることができなく、ひいては、後部または背面から前部または前面まで、矢状面または矢状軸の方向において、椎骨間で整列されない。むしろ、インプラントは、通常、椎間孔を通って導入され、ひいては、矢状軸/矢状面に対して約45°の限定角度になる。(インプラント間で連続移行をもたらす)インプラントの両側の異なる高さは、椎骨間でインプラントの位置付けに対する良好な適応をもたらす。具体的には、インプラントの高さは、片側が他側よりも2mm少なくなることをもたらす。通常、患者を見るとき、インプラントが背面左から前面右まで延在するように、インプラントは椎骨間に挿入される。この場合、インプラントは、遠位方向において側面近位端面(より正確には、開始表面)から見るとき、右側よりも低い高さがある左側を有する。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、格子体の形態で固体支持部品及び内部コアから作成された外側フレームが提供され、格子体は、具体的には、横断方向で平行に伸びる表面においてフレームだけに接続されるが、これらの表面及び縁に対して限定角度で伸びる表面内のフレームに接続されない。
【0017】
係るインプラントは、好ましくは、焼結によって、具体的には、(選択的)電子ビーム溶解((選択的)電子ビーム溶解、(S)EBM)によって、またはレーザ焼結(LST)によって作られる。したがって、インプラントは、電子ビーム溶解またはレーザ焼結等によって、焼結によって作られる。
【0018】
網状または格子状のエリアは、好ましくは、上面または側面から、平行な反対側の下面または側面まで延在する。この結果は、骨組織がインプラントの外側表面で成長するだけではなく、格子状またはメッシュ状構造の空洞内でも成長し、完全にインプラントに侵入することができることと、骨成長が促進されることとをもたらす。これは、インプラントと隣接する椎体との間で強固な接続をもたらす。
【0019】
2つの構造要素(すなわち、コンパクトな材料から作成され、コンパクト構造である外側フレームと、言及した網状または格子状の構造を伴う内側格子体と)を伴うインプラントを設計することによって、インプラントを通る骨材料の完全な成長及び/またはインプラントの格子状の構造の上述の利点は、インプラントに十分な強度及び剛性を与える。
【0020】
加えて、格子体は、一方向(すなわち、横断方向)に平行に伸びる表面においてフレームだけに接続されるが、これらの表面に対して限定角度で伸びる表面及び縁内のフレームに接続されない。このように、インプラントの外側フレーム及び格子体の分離は、その両方がインプラントの縦方向または主要延在方向に分離されるように達成される(インプラントは、その横断方向及び高さよりも挿入方向で長くなる)。フレームが、例えば、フレームを形成するリブのエリア内で、その上に付与される圧力を受ける場合、この圧力は格子体に移送されない。後者(格子体)は影響を受けないままであり、格子体内で成長している骨構造は、傷つけられない、または損傷されない。
【0021】
好ましいさらなる展開では、格子体の上側表面及び下側表面は、フレーム構成要素によって囲まれ、格子体の当該表面を囲む、自由空間と同じ寸法を有することがもたらされ、その寸法に関して、最大0.3mmの許容値を考慮に入れることが可能である。
【0022】
本発明に従ったインプラントのさらなる実施形態では、フレームが、格子体が配置される空洞を囲むことがもたらされる。さらなる展開によって、フレームがその縦方向に伸びる縦リブを有することをもたらす。極めて好ましい実施形態は、隣接する縦リブが、横断リブによって中間に接続されることをもたらす。結果として、フレームの安定性、ひいては、インプラント自体の安定性は、インプラントがより長くなるにつれて、さらに増加する。インプラントの格子体のメッシュ構造または格子構造は、様々な方法で設計されることができる。極めて好ましい実施形態では、格子エリアまたは格子体がダイヤモンド構造を有することがもたらされる。
【0023】
また、インプラントが連続通路を有することをもたらす可能性がある。通路は、フレームを通って縦方向に延在し、具体的には、また、格子体自体を通って延在する。これは、インプラントが、椎間腔または椎間板区画内に延在するガイドワイヤを使用して、挿入器具によって管状排水路または内視鏡管を通って挿入されることができることを確実にする。
【0024】
本発明に従ったインプラントの好ましい実施形態は、格子状領域または格子体が、0.5mm~3.5mmの各開口部の格子開口直径、好ましくは、インプラントの外側に、約0.5mm~0.7mmの大きさの各開口部の開口直径を有することを特徴とする。
【0025】
言及したように、インプラントは、チタン合金、具体的には、ISO5832-3に従ったTi6Al4Vから、具体的には、((選択的)電子ビーム溶解(S)EBM)またはレーザ焼結技術(LST)によって作られることができる。構成要素(インプラント)は、高真空中で電子ビームまたはレーザビームを使用して、金属粉末を溶解することによって作られる。これは、金型またはコアを破壊することなく、アンダーカット部を作成することを可能にする。エネルギー源として電子ビームまたはレーザビームを使用して、金属粉末は標的化された様式で溶解され、それによって、任意のほぼ幾何学形状のコンパクトな構成要素は、設計データから直接作られることができる。代わりに、粉末の層は、ドクターブレードによって、前の層に付けられ、電子ビームに曝される。このように、所望の構成要素は層内で生成される。
【0026】
本発明に従った方法のさらなる実施形態は、インプラントが、インプラントが矢状面に対して40°~50°(好ましくは45°)の角度で横になるように椎間腔内に導入されることをもたらす。好ましい実施形態では、本方法は、上記に説明したインプラントの1つ以上の構成を有する本発明に従ったインプラントを使用することがもたらされる。
【0027】
本発明のさらなる利点及び特徴は、「特許請求の範囲」から及び以下の説明から生じ、本発明に従ったインプラントの実施形態は、図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】水平軸Xの図の2つの椎骨間における、本発明によるインプラントの配列である。
図2】矢状軸に沿った背面図の2つの椎骨間における、本発明によるインプラントの配列である。
図3】下部椎骨上に載っているインプラントの上面図である。
図4】近位端からのインプラントの外側輪郭の斜視図である。
図5】遠位端からのインプラントの外側輪郭の斜視図である。
図6】上方からのインプラントの上面図である。
図7】インプラントの側面図である。
図8】インプラントの遠位端面の図である。
図9】インプラントの接触部に対する端面からの図である。
図10】インプラントの格子リムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び図2に示されるように、患者の脊椎の椎間板に対する損傷によって、椎間板が、重ね合わされたような2つの椎骨3、4の間で椎間腔2から取り外された場合、代わりに、椎間インプラント1は、適切な距離で及び相互に対して傾斜した配向で椎骨3,4を保持するために使用される。インプラント1は、それが椎骨3,4と一緒に増大することができるように設計される。
【0030】
本発明に従ったインプラント1は、ここでは、2つの椎骨3,4の間の右の椎間孔6を通り、拡大されたアクセス部を通過して、低侵襲様式で挿入され、それによって、図3に見られるように、患者の体の水平軸Hと矢状軸Sとの間で横になり、このとき、単独インプラントの縦中心軸Lは、患者の体または脊椎の矢状軸Sに対して約45°の角度であり、すなわち、その縦中心軸Lは、水平軸Hと矢状軸Sとの間で、大体、2等分線に沿って横になる。本発明の実施形態に従ったインプラント1が2つの椎骨3,4の間で左の椎間孔を通って挿入されているが、患者の前方を見るとき、原則として、インプラント1は、また、右の椎間孔6に沿って導入されることができる。
【0031】
当該インプラントは、示されるアクセス及び配列の目的のために、下記に説明される。右の椎間孔6を通ってアクセスすると、インプラントは、下記に示され及び説明されるインプラントの(下記により詳細に説明される、水平縦軸Lと横軸Qとにわたる)縦中心面L-Vの垂直に対して鏡像になるように設計される。
【0032】
図6図8では、インプラント1の縦中心軸L、水平横軸Q、及び垂直軸Vは、図によって示され、定義される。インプラント1はその縦中心軸Lに沿って縦方向延在部を有し、その延在部は、垂直軸V及び横軸Qの方向の延在部よりも実質的に大きく、少なくとも1.5倍の寸法と同等である。水平中心面L-Qは縦軸L及び横軸Qによって決定され、垂直面L-Vは縦軸L及び垂直軸Vによって決定され、横断面Q-Vは横軸Q及び垂直軸Vによって決定される。
【0033】
インプラントは、遠位端面1.2を伴う支持部1.1を有する。これは、具体的には、独国実用新案第202013007361号明細書に説明されるように、インプラント1を椎間腔内に挿入するためのツールが係合することができる近位接触部1.3に、ラインUに対応する移行エリアUのそばで近位に隣接する。係る角度方向では、インプラント1は、本書に説明された様式で、拡大された椎間孔を通して、椎骨3,4の間の椎間腔内に導入される。
【0034】
本発明に従ったインプラント1は、水平中心面L-Qに対して対称であるインプラント1の上側1.6及び下側1.7が設計されている。インプラントの支持部1.1は、垂直中心軸Vまたは垂直面V-Qのエリアのそのインプラントの最大高さを有し、一方の自由遠位端面1.1の高さ、及び他方の接触部1.3に対する移行エリアUの高さは、垂直中心面V-Qの高さよりも低い。したがって、インプラント1は、縦方向に2つのくさびの形状を有する。
【0035】
接触部1.3の近位縁1.3.1から支持部1.1の中央領域の近位の高さまでの接線Tは、10°~20°、好ましくは、12°~18°の相互に対する角度を有し、縦中心軸または平面L-Qに対応し、接線は5°~10°または6°~9°の角度を有する。インプラント1が挿入される患者の椎骨間の前彎角度に適応するために、患者に適切である、かなり具体的な角度αまたはβがあるインプラントが選択される。
【0036】
具体的に、図8及び図9から分かり得るように、インプラント1は、縦垂直面L-Vに対して非対称的に設計される。近位端面1.3aに対する図(図9)から見られるように、インプラント1は、右の縦側1.4よりも大きい、左の垂直縦側1.5のエリアの高さを有する。
【0037】
支持部1.1の中間に2つの縦側1.4,1.5の高さの差は、ここでは、約1.5mm~3mm、好ましくは、2mmである。この高度差(すなわち、上側1.6及び下側1.7の傾き)によって、インプラントは、上側1.6及び下側1.7が平行整列する場合であろうものよりも、上椎骨3の底部と底椎骨4の上部との解剖学的関係に良好に適応する。良好に指示するために、再度、上記に説明した高度差(すなわち、上側1.6及び下側1.7の傾き)は、定義された様式で、左の椎間孔を通って挿入されるインプラントに関するが、右の椎間孔を通って挿入されるインプラントは、縦垂直面L-Vに鏡面対称に、同様の様式で設計されることを指摘したい。
【0038】
説明した2つの部分(支持部1.1及び接触部1.3)とは別に、本発明に従ったインプラントは、格子体7の形態で、外側剛性フレーム1.8及び格子状内部コア1.9の構成要素を備え、後者(それらの構成要素)は図10に示される。構成要素1.8及び1.9は、一片でインプラント1を形成する。外側フレーム1.8内で可視である上側壁及び縦側壁内の開口部によって、骨は格子状内部コア1.9内で成長し、コアと一緒に成長することができ、ひいては、安定接続をもたらす。
【0039】
格子体7は、格子構造、好ましくは、薄いリブ7.1と、リブ7.1の間に自由空間とを伴うダイヤモンド格子構造を有し、リブ7.1の寸法、具体的には、その厚さ(リブのそれぞれが格子のさらなるリブと接続される2つのノード点の間のリブ7.1の延在部の方向に対して垂直な方向の厚さ)は、フレーム1.8の支柱の幅等のフレーム1.8の全ての構造要素の寸法と比較して小さい。その比率は、少なくとも1:3である。その同じ比率は、比率がここでは少なくとも1:3になるように、上述のリブ等の、
2つのノード点の間の格子体7の支柱7.1の長さと、フレーム1.8の構造部品の縦寸法との比率に適用する。
【0040】
フレーム1.8は、インプラント1の遠位端面1.2及び近位接触部領域1.3を接続する4つの縦方向支柱1.11を有し、インプラントが完了するとき、フレーム1.8で空洞を包囲し、空洞内には、格子体7が位置する。格子体は、2つの垂直開口部7aを有する。縦方向支柱1.11のそれぞれは、横断リブ1.12によって、端面の他方に、及び中間(すなわち、支持部1.1の長さの約半分)で接続される。したがって、通路は横断リブ1.12の間にあるままである。対応する通路は、また、具体的には、遠位端面1.2上に見ることができる。
【0041】
極めて好ましい実施形態では、独国実用新案第202013007361号明細書でより詳細に説明されるように、格子体7及びフレーム1.8は、縦方向Lに垂直であり、ひいては、横断エリアである(表面)エリア内だけに一片で相互に接続される。
【0042】
対照的に、格子体7の7.8等の縦表面、及びまた7.9等の縦縁は、フレーム1.8に強固に接続されない。加えて、上側表面7.10の寸法、及び格子体7の底面上の上側表面7.10に平行な下側表面の寸法は、凹部(すなわち、縦方向支柱1.11、横断リブ1.12、及び端領域1.2のそばの開放されている領域)に対応する。これは、圧力が椎体3,4によってフレーム1.8の縦リブに付与されるとき、圧力は、縦側で格子体7に伝達されず、したがって、格子体は、未変形の状態のままであり、格子体7のこれらのハチ巣状または中間空間の中に増大する骨材料のそのタスクは、これらの状況下でさえも確実になることを意味する。インプラント1の連続縦通路は、インプラントを、ガイドワイヤを介して椎間区画内に挿入することを可能にする。
【0043】
近位接触部1.3は、近位接触部1.3の近位に向いている端面の鋸歯状縁1.3.2を有する。これらは、インプラント1が、挿入器具のハンマー状ロック部材と、挿入器具の当接部との間の軸力によって、挿入器具の遠位端に固定されるとき、挿入器具とインプラント1との間で既定の角度配向を固定する役割を果たす(独国実用新案第202013007361号明細書、及び欧州特許出願公開第2983622号明細書)。鋸歯状縁1.3.2は、円弧に沿って連続歯によって形成される。接触部1.3の近位端面上に、インプラント1の近位入口1.3.3または開口部の各側に鋸歯状縁1.3.2が存在する。
【0044】
鋸歯状縁1.3.1の設計図(例えば、数、距離、形状)は、挿入器具に一致し得る。これは、挿入器具との最適な互換性を可能にし、挿入器具の当接部と、インプラント1の近位接触部1.3との間の接続の安定性と、一方では、複数の接続角度の安定性とを増加させる。
【0045】
本発明に従ったインプラント1は、独国実用新案第202013007361号明細書及び欧州特許出願公開第2983622号明細書に示され及び説明されるように、挿入器具によって導入される。ロック要素はハンマー状ロック部分を有し、ハンマー状ロック部は、その縦軸を中心に回転することができ、インプラント1の近位接触部1.3の通路1.3.2内に、垂直配向で挿入される。この目的のために、インプラント1は、その近位端面上にアンダーカット開口部1.3.3を有し、当該開口部の開断面は挿入器具のロック要素に対応し、アンダーカット開口部は、インプラント1上でロック要素を形成し、ロック構成要素は、挿入器具及びインプラント1をロックすることを可能にする。
【0046】
挿入器具のハンマー状ロック部分は、続けて、提供される外部管に対して90°だけ枢動し、これにより、ロック部分は、近位接触部1.3の壁の内側でアンダーカット部に係合する。挿入器具の近位端における張力デバイスによって、ハンマー状ロック部分及び凹形湾曲末端縁は、外側管上で遠位に提供される当接部において相互に対して抱持され、鋸歯状縁は、インプラント1の近位接触部1.3においてロック部分に係合する。結果として、インプラント1は、挿入器具上で強固に保持される。これは、インプラント1を、その延在方向に移動させ、挿入器具の延在方向に構成要素と一緒に移動させることを可能にする。インプラント1の近位接触部1.3がその(外側)近位端面上で鋸歯状縁を有する限り、これは、また、挿入器具とインプラント1との間の角度位置の想定を保証する。それにもかかわらず、異なる整列角度は、最大30°の角度及び最大30°以上の角度の両方のかなりの角度において、縦範囲Lに対して垂直方向において、挿入器具とインプラントとの間で可能になる。
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