(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】位置検出システム、中継ユニットおよび位置検出方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/021 20180101AFI20240926BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20240926BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20240926BHJP
【FI】
H04W4/021
G01S5/14
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2021010100
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】尾形 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平間 美香
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】松本 豊明
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/179821(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/136268(WO,A1)
【文献】特開2017-225040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0148072(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S5/00-5/14
19/00-19/55
H03J9/00-9/06
H04B7/14-7/26
H04L12/28
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
H05B39/00-39/10
45/00-45/59
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
通信ネットワークを構成する複数の中継ユニットと、
複数の位置検出デバイスと、
を備える位置検出システムであって、
前記中継ユニットは、通信部と、ビーコン送信部およびビーコン受信部と、前記ビーコン送信部および前記ビーコン受信部の動作状態を切り替える切替部と、を有し、
前記中継ユニットは、
前記切替部によって前記ビーコン送信部がオンで且つ前記ビーコン受信部がオフに切り替えられ、複数の前記位置検出デバイスのいずれかである第1位置検出デバイスに前記ビーコン送信部から第1ビーコン信号を送信する第1中継ユニットモードと、
前記切替部によって前記ビーコン送信部がオフで且つ前記ビーコン受信部がオンに切り替えられ、複数の前記位置検出デバイスのいずれかである第2位置検出デバイスから送信された第2ビーコン信号を前記ビーコン受信部によって受信する第2中継ユニットモードと、
を有し、
前記制御装置は、
特定設定がなされていない複数の前記中継ユニットのうち基準となる前記中継ユニットを前記第1中継ユニットモードとして特定設定し且つ特定設定されていない前記中継ユニットを前記第2中継ユニットモードに設定する指定信号を、前記通信ネットワークを介して送信する、第1処理と、
前記第2中継ユニットモードに設定された前記中継ユニットのうち前記第1ビーコン信号の受信信号強度が所定値以上の前記中継ユニットを、前記第2中継ユニットモードに特定設定する第2処理と、
をすべての前記中継ユニットが特定設定されるまで繰り返す、位置検出システム。
【請求項2】
前記制御装置は
、記憶部に記憶されたモード設定情報に基づき、特定設定されていない前記中継ユニットを対象として、すべての前記中継ユニットが特定設定されるまで、前記第1処理および前記第2処理を繰り返し実行する、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記通信ネットワークとは異なる通信ネットワークによって前記制御装置と通信し、且つ表示部を有する携帯端末をさらに備え、
前記制御装置は、
複数の前記中継ユニットから前記第1中継ユニットモードに設定する前記中継ユニットを指定する指定信号を前記携帯端末から受信し、
前記通信ネットワークを介して前記指定信号を複数の前記中継ユニットに送信する、請求項1または2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
各々がビーコン送信部およびビーコン受信部を有する複数の中継ユニットによって構成された通信ネットワークを介して、制御装置が複数の前記中継ユニットに指定信号を送信し、当該指定信号に基づいて前記中継ユニットを、第1ビーコン信号を送信する第1中継ユニットモードまたは第2ビーコン信号を受信する第2中継ユニットモードに切り替えるモード切り替えステップと、
前記第1中継ユニットモードの前記中継ユニットが、第1位置検出デバイスに前記第1ビーコン信号を送信する第1ビーコン信号送信ステップと、
前記第2中継ユニットモードの前記中継ユニットが、第2位置検出デバイスから送信された前記第2ビーコン信号を受信する第2ビーコン受信ステップと、を順に実行し、
前記制御装置が、前記通信ネットワークを介して転送されてきた前記第1位置検出デバイスの位置情報を受信するステップと、
前記制御装置が、前記通信ネットワークを介して転送されてきた前記第2位置検出デバイスの前記第2ビーコン信号に関する情報に基づいて位置検出するステップと、
を備え、
前記モード切り替えステップは、
特定設定がなされていない複数の前記中継ユニットのうち基準となる前記中継ユニットを前記第1中継ユニットモードとして特定設定し且つ特定設定されていない前記中継ユニットを前記第2中継ユニットモードに設定する、第1処理と、
前記第2中継ユニットモードに設定された前記中継ユニットが前記第1ビーコン信号を受信し、受信信号強度が所定値以上の前記中継ユニットを、前記第2中継ユニットモードに特定設定する第2処理と、
をすべての前記中継ユニットが特定設定されるまで繰り返す、位置検出方法。
【請求項5】
前記モード切り替えステップは、前記制御装置
が記憶部に記憶したモード設定情報に基づき、特定設定されていない前記中継ユニットを対象として、すべての前記中継ユニットが特定設定されるまで、前記第1処理および前記第2処理を繰り返し実行する、請求項4に記載の位置検出方法。
【請求項6】
前記第1処理において、前記制御装置は、
前記通信ネットワークとは異なる通信ネットワークによって前記制御装置と通信且つ表示部を有する携帯端末から、複数の前記中継ユニットから前記第1中継ユニットモードに設定する前記中継ユニットを指定する指定信号を受信し、
前記通信ネットワークを介して前記指定信号を複数の前記中継ユニットに送信する、請求項4または5に記載の位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、中継ユニットおよび位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のデバイスの位置を遠隔的な手段によって検出する位置検出システムが、種々に提案されている。特許文献1には、従来の位置検出システムの一例が開示されている。同文献に開示された位置検出システムは、複数の照明器具とデバイスとを備える。複数の照明器具とデバイスとは、ビーコンを用いた双方向無線通信を行う。これにより、複数の照明器具に対するデバイスの位置検出が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の照明装置のそれぞれとデバイスとが、送信および受信を行う。このため、照明器具やデバイスの個数が多くなると、干渉や輻輳等が生じ、位置検出の精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、無線信号を削減し、位置検出精度の低下を抑制することが可能な位置検出システム、中継ユニットおよび位置検出方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される位置検出システムは、制御装置と、通信ネットワークを構成する複数の中継ユニットと、複数の位置検出デバイスと、を備える位置検出システムであって、前記中継ユニットは、通信部と、ビーコン送信部およびビーコン受信部と、前記ビーコン送信部および前記ビーコン受信部の動作状態を切り替える切替部と、を有し、前記中継ユニットは、前記切替部によって前記ビーコン送信部がオンで且つ前記ビーコン受信部がオフに切り替えられ、複数の前記位置検出デバイスのいずれかである第1位置検出デバイスに前記ビーコン送信部から第1ビーコン信号を送信する第1中継ユニットモードと、前記切替部によって前記ビーコン送信部がオフで且つ前記ビーコン受信部がオンに切り替えられ、複数の前記位置検出デバイスのいずれかである第2位置検出デバイスから送信された第2ビーコン信号を前記ビーコン受信部によって受信する第2中継ユニットモードと、を有する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御装置は、特定設定がなされていない複数の前記中継ユニットのうち基準となる前記中継ユニットを前記第1中継ユニットモードとして特定設定し且つ特定設定されていない前記中継ユニットを前記第2中継ユニットモードに設定する指定信号を、前記通信ネットワークを介して送信する、第1処理と、前記第2中継ユニットモードに設定された前記中継ユニットのうち前記第2ビーコン信号の受信信号強度が所定値以上の前記中継ユニットを、前記第2中継ユニットモードに特定設定する第2処理と、をすべての前記中継ユニットが特定設定されるまで繰り返す。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記通信ネットワークとは異なる通信手段によって前記制御装置と通信し、且つ表示部を有する携帯端末をさらに備え、前記制御装置は、複数の前記中継ユニットから前記第1中継ユニットモードに設定する前記中継ユニットを指定する指定信号を前記携帯端末から受信し、前記通信ネットワークを介して前記指定信号を複数の前記中継ユニットに送信する。
【0009】
本発明の第2の側面によって提供される中継ユニットは、制御部、電源部、通信部、ビーコン送信部およびビーコン受信部と、前記ビーコン送信部および前記ビーコン受信部の動作状態を切り替える切替部と、を備え、前記通信部によって受信した指定信号に基づいて、前記切替部によって前記ビーコン送信部がオンで且つ前記ビーコン受信部がオフに切り替えられ、前記ビーコン送信部から第1ビーコン信号を送信する第1中継ユニットモードと、前記切替部によって前記ビーコン送信部がオフで且つ前記ビーコン受信部がオンに切り替えられ、第2ビーコン信号を前記ビーコン受信部によって受信する第2中継ユニットモードと、を有する。
【0010】
本発明の第3の側面によって提供される位置検出方法は、各々がビーコン送信部およびビーコン受信部を有する複数の中継ユニットによって構成された通信ネットワークを介して、制御装置が複数の前記中継ユニットに指定信号を送信し、当該指定信号に基づいて前記中継ユニットを、第1ビーコン信号を送信する第1中継ユニットモードまたは第2ビーコン信号を受信する第2中継ユニットモードに切り替えるモード切り替えステップと、前記第1中継ユニットモードの前記中継ユニットが、第1位置検出デバイスに前記第1ビーコン信号を送信する第1ビーコン信号送信ステップと、前記第2中継ユニットモードの前記中継ユニットが、第2位置検出デバイスから送信された前記第2ビーコン信号を受信する第2ビーコン受信ステップと、を順に実行し、前記制御装置が、前記通信ネットワークを介して転送されてきた前記第1位置検出デバイスの位置情報を受信するステップと、前記制御装置が、前記通信ネットワークを介して転送されてきた前記第2位置検出デバイスの前記第2ビーコン信号に関する情報に基づいて位置検出するステップと、を備える。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記モード切り替えステップは、特定設定がなされていない複数の前記中継ユニットのうち基準となる前記中継ユニットを前記第1中継ユニットモードとして特定設定し且つ特定設定されていない前記中継ユニットを前記第2中継ユニットモードに設定する、第1処理と、前記第2中継ユニットモードに設定された前記中継ユニットが前記第2ビーコン信号を受信し、受信信号強度が所定値以上の前記中継ユニットを、前記第2中継ユニットモードに特定設定する第2処理と、をすべての前記中継ユニットが特定設定されるまで繰り返す。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線信号を削減し、位置検出精度の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの照明器具を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの中継器を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの制御装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの移動端末を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムのタグを示すブロック図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示す動作説明図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示す動作説明図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示す動作説明図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムを示す動作説明図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る位置検出システムの第1変形例の照明器具を示す、(a)はブロック図であり、(b)は概略断面図であり、(c)は要部拡大底面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図20】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図21】本発明の第2実施形態に係る位置検出システムを示す概略配置図である。
【
図22】本発明の第2実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムを示すシステム構成図である。
【
図25】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末を示すブロック図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図27】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図28】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図29】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図30】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図31】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図32】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図33】本発明の第3実施形態に係る位置検出システムの携帯端末の画面表示例である。
【
図34】本発明の第3実施形態に係る位置検出方法を示すシーケンスダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0017】
<第1実施形態>
図1~
図11は、本発明の第1実施形態に係る位置検出システムおよび位置検出方法を示している。
図1に示すように、本実施形態の位置検出システムA1は、複数の照明器具L、複数の中継器Rd、移動端末MeおよびタグTgを備える。位置検出システムA1は、位置検出デバイスとしての移動端末MeおよびタグTgの位置を検出するシステムである。
【0018】
〔照明器具L,中継器Rd(中継ユニットUr)〕
照明器具Lおよび中継器Rdは、中継ユニットUrの具体例である。中継ユニットUrの具体例としては、照明器具Lおよび中継器Rdに限定されない。また、複数の中継ユニットUrは、照明器具Lおよび中継器Rdのいずれかを含まない構成であってもよい。以下に、照明器具Lおよび中継器Rdの構成をそれぞれ説明する。
【0019】
複数の照明器具Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明器具Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明器具Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明器具Lの一般的な構成を述べる場合に照明器具Lと称するとともに、複数の照明器具Lを区別する場合に照明器具L1、・・・照明器具Lm等の符号を適宜用いる場合がある。
図1における複数の照明器具L1~Lmは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明器具L1~Lmが同一の構成である場合を例に説明する。
【0020】
図2は、照明器具Lのブロック図である。照明器具Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0021】
光源部11は、照明器具L1において発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明器具L1は、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0022】
制御部12は、制御装置Ctからの指定信号等に基づいて、照明器具Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明器具Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明器具Lの筐体の外部に着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0023】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctおよび通信ネットワークを構成する他の照明器具Lと、位置検出デバイスとしての移動端末MeおよびタグTgの少なくともいずれかと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。本実施形態の無線通信モジュール14は、無線通信部140、ビーコン送信部141、ビーコン受信部142および切替部145を有する。
【0024】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからのデータを受信し、受信したデータに含まれる信号(たとえば指定信号)を制御部12に送信する。また、指定信号を受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明器具Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0025】
本実施形態においては、複数の照明器具Lの各々が有する固有の照明器具IDが、無線通信モジュール14に記憶されている。照明器具IDの具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスや位置情報である。なお、照明器具IDは、無線通信部140、ビーコン送信部141およびビーコン受信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信モジュール14は、受信した信号のうち、自装置の照明器具IDに対する信号であると認識した場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0026】
無線通信部140は、制御装置Ctおよび他の照明器具Lと第1プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。本実施形態においては、無線通信部140を有する複数の照明器具Lと制御装置Ctとが、
図1に示すメッシュネットワークである通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明器具L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。また、複数の照明器具L(中継ユニットUr)は、無線通信による通信ネットワークを構築するものに限定されず、有線通信による通信ネットワークを構築するものであってもよい。
【0027】
なお、本実施形態においては、制御装置Ctは、通信ネットワークCn1のルートノード(root node)である。複数の照明器具Lのいずれかは、GM(ゲートモジュール)として機能してもよい。ゲートモジュールは、クラスタのルートノードであり、制御装置Ctに接続する。このとき、ゲートモジュールは、他のゲートモジュールとともにメッシュネットワークを構築し、制御装置Ctに通信接続する。ゲートモジュールは、他のゲートモジュールや制御装置Ctとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。同様に、照明器具Lも他の照明器具Lまたはゲートモジュールとの通信品質を常に評価しており、通信品質が最も良い相手に自動的に接続する。通常の照明器具Lもゲートモジュールとして機能する照明器具Lも、ハードウェア構成は同じである。照明器具Lが搭載するソフトウェアを異なるようにするか、モード切替によって通常の照明器具Lとして動作するか、ゲートモジュールとして動作するかを切り替えてもよい。
【0028】
ビーコン送信部141は、第2プロトコルを用いた無線通信を用いて、第1ビーコン信号を送信するものである。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。
【0029】
ビーコン受信部142は、第2プロトコルを用いた無線通信を用いて、後述の第2ビーコン信号を受信するものである。
【0030】
第1ビーコン信号および第2ビーコン信号は、移動端末MeやタグTg等の位置検出デバイスの位置測定に用いられる基準信号である。ビーコン信号の出力間隔は、たとえば制御装置Ctからの設定信号等によって設定され、たとえば、90~900msである。出力間隔を長くすることで、電力消費を抑えることができる。
【0031】
ビーコン送信部141が送信する第1ビーコン信号は、照明器具Lの自器具の識別情報(照明器具ID)が含まれている。また、第1ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。この識別情報は、照明器具Lの位置を直接示す位置情報であってもよいし、MACアドレス等であってもよい。第1ビーコン信号がMACアドレスを識別情報として含む場合、位置検出デバイスでは、この識別情報を当該照明器具Lの位置情報に変換する処理が適宜実行される。
【0032】
後述の位置検出デバイスが送信する第2ビーコン信号は、位置検出デバイスの識別情報が含まれている。また、第2ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。
【0033】
第1プロトコルと第2プロトコルとは、互いの通信が干渉しないように通信周波数が異なるものを選択することが好ましい。また、第2プロトコルを用いた無線通信は、たとえば、第1プロトコルを用いた無線通信よりも通信距離が短いものを選択してもよい。このような例としては、たとえば、第1プロトコルとしてWi-Fi(登録商標)を採用し、第2プロトコルとしてBluetooth(登録商標)を採用した構成が挙げられる。
【0034】
切替部145は、ビーコン送信部141およびビーコン受信部142の動作状態を切り替えるものである。切替部145によって、ビーコン送信部141がオンで、ビーコン受信部142がオフであるモードを、第1中継ユニットモードと称する。すなわち、切替部145によって当該状態に設定された照明器具Lは、第1中継ユニットモードの中継ユニットUrの一例に相当する。一方、切替部145によって、ビーコン送信部141がオフで、ビーコン受信部142がオンであるモードを、第2中継ユニットモードと称する。すなわち、切替部145によって当該状態に設定された照明器具Lは、第2中継ユニットモードの中継ユニットUrの一例に相当する。
【0035】
また、位置検出デバイスから送信された位置データをビーコン受信部142が受信した場合、当該測定データを第2プロトコルから無線通信によって転送可能な第1プロトコルに変換することによって転送データを生成し、制御装置Ctに送信する。具体的な例を挙げると、無線通信モジュール14は、位置検出デバイスからの位置データが第2プロトコルを用いた通信であることを通信データ中のプロトコルフラグから検出する。次いで、第2プロトコルに応じた手順で所定の処理を行ってビーコン受信部142によって受信する。そして、測定データを第1プロトコルを用いた通信のデータ形式に変換することで転送データを生成し、無線通信部140から通信ネットワークCn1を介して隣接する中継ユニットUr(照明器具L)に転送する。
【0036】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0037】
複数の中継器Rdは、中継ユニットUrとして第1プロトコルを用いた通信ネットワークCn1を構築し、第2プロトコルを用いた位置検出デバイスとの無線通信を行う。以降の説明においては、中継器Rdの一般的な構成を述べる場合に中継器Rdと称するとともに、複数の中継器Rdを区別する場合に中継器Rd1、・・・中継器Rdn等の符号を適宜用いる場合がある。
図1における複数の中継器Rd1~Rdnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数のRd1~Rdnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0038】
図3は、中継器Rdのブロック図である。中継器Rdは、制御部72、記憶部73、無線通信モジュール74および電源部75を備える。本実施形態においては、制御部72、記憶部73、無線通信モジュール74および電源部75は、それぞれ上述した照明器具Lの制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15と同様の構成である。無線通信モジュール74は、無線通信部740、ビーコン送信部741、ビーコン受信部742および切替部745を有する。無線通信部740、ビーコン送信部741、ビーコン受信部742および切替部745は、それぞれ上述した無線通信部140、ビーコン送信部141、ビーコン受信部142および切替部145と同様の構成である。なお、中継器Rdの各部の構成は、以降に説明する位置検出システムA1の動作等が達成されるものであれば、種々に変更可能である。
【0039】
〔移動端末Me,タグTg(位置検出デバイス)〕
移動端末MeおよびタグTgは、位置検出システムA1における位置検出の対象である位置検出デバイスの例示である。本発明の位置検出デバイスは、複数の中継ユニットUrとともに第2プロトコルにしたがった信号送受により、後述の位置検出方法によって位置検出がなされるものであれば、その具体的な構成は何ら限定されない。本実施形態では、複数の位置検出デバイスが備えられ、第1位置検出デバイスおよび第2位置検出デバイスを含む。第1位置検出デバイスは、第1中継ユニットモードの複数の中継ユニットUrからの第2プロトコルにしたがった第1ビーコン信号を受信することによって位置検出がなされる、ビーコン固定型の位置検出の対象となるデバイスである。第2位置検出デバイスは、自己が送信する第2プロトコルにしたがった第2ビーコン信号を第2中継ユニットモードの複数の中継ユニットUrが受信することによって位置検出がなされる、ビーコン移動型の位置検出の対象となるデバイスである。
【0040】
位置検出デバイスの例示である移動端末MeおよびタグTgは、第1位置検出デバイスおよび第2位置検出デバイスのいずれに設定されていてもよい。移動端末MeおよびタグTgが、第1位置検出デバイスおよび第2位置検出デバイスのいずれに設定されるかは、個々の機器において初期設定されていてもよいし、適宜設定が変更されてもよい。あるいは、制御装置Ctからの制御データに含まれる情報信号にしたがって、移動端末MeおよびタグTgが第1位置検出デバイスおよび第2位置検出デバイスのいずれかに設定されてもよい。以降の説明においては、理解の便宜上、移動端末Meが第1位置検出デバイスに設定されており、タグTgが第2位置検出デバイスに設定されている場合を例に説明する。
【0041】
移動端末Meは、使用者等に保持されることによって、複数の中継ユニットUrが配置された場の各所を移動し得る機器である。移動端末Meは、ビーコン固定型の位置検出の対象となる第1検出デバイスとして設定されており、複数の中継ユニットUrからの第1ビーコン信号を受信することにより、自機器の位置情報を取得する。移動端末Meの具体例は何ら限定されず、たとえば、スマートフォン、タブレット等が挙げられる。
【0042】
図5は、移動端末Meのブロック図である。本実施形の移動端末Meは、表示部51、制御部52、記憶部53、無線通信部54および電源部55を備える。
【0043】
表示部51は、移動端末Meの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部51は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部51がタッチパネルとして機能することに代えて、移動端末Meは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0044】
無線通信部54は、複数の中継ユニットUrのうち第1中継ユニットモードとされた中継ユニットUrと上述した第2プロトコルを用いて無線通信を行うためのものである。無線通信部54が第1中継ユニットモードとされた複数の中継ユニットUrから受信する信号には、第1ビーコン信号が含まれる。
【0045】
本実施形態においては、移動端末Meが固有の機器IDを有する。機器IDの具体例は何ら限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、機器IDは、無線通信部54に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部53に記憶されていてもよい。
【0046】
制御部52は、移動端末Meの各部を制御するためのものである。制御部52の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。また、制御部52は、移動端末Meの自機器の位置情報を取得する処理を実行する。制御部52は、たとえば無線通信部54が受信した複数の中継ユニットUrからの第1ビーコン信号に含まれる複数の中継ユニットUrの識別情報と各第1ビーコン信号の受信強度であるRSSIとに基づいて、三点測量方式に基づく測量処理によって自機器の位置情報を取得する。なお、第1ビーコン信号に含まれる識別情報が中継ユニットUrの位置情報である場合、この位置情報を測量処理に用いる。また、他の例としては、識別情報が中継ユニットUrのMACアドレスである場合、制御部52は、たとえば記憶部53にあらかじめ格納されたMACアドレスと位置情報との対応データから、当該MACアドレスの中継ユニットUrの位置情報を特定し、測量処理に用いる。
【0047】
たとえば、無線通信部54は、中継ユニットUrから受信した要求信号(転送信号)が、自機器の機器IDを含む場合、当該要求信号を制御部52に送信する。制御部52は、要求信号の要求にしたがって測量処理を行い、自機器の位置情報を取得する。制御部52は、機器ID、自機器の位置情報、測量時刻(タイムスタンプ)等を含む位置データを生成し、無線通信部54から送信する。
【0048】
移動端末Meの位置検出の変形例を説明する。本変形例では、移動端末Meと無線通信等によって通信可能な商用クラウドによって、測量処理が行われる。たとえば、第1ビーコン信号を受信した移動端末Meは、複数の中継ユニットUrごとの第1ビーコン信号の識別情報とRSSIとを商用クラウドに送信する。商用クラウドは、識別情報をRSSIとから三点測量方式に基づく測量処理によって、移動端末Meの位置を測定する。そして、移動端末Meの位置情報を、移動端末Meに送信する。
【0049】
また、移動端末Meが携帯端末である場合、公衆通信ネットワークを介して外部クラウド等にデータを送受信する機能を有していてもよい。
【0050】
記憶部53は、制御部52の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0051】
電源部55は、表示部51、制御部52および無線通信部54等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。
【0052】
タグTgは、使用者等に保持されることによって、複数の中継ユニットUrが配置された場の各所を移動し得る機器である。タグTgは、ビーコン移動型の位置検出の対象となる第2検出デバイスとして設定されており、複数の中継ユニットUrに第2ビーコン信号を送信することにより、自機器の位置情報を取得する。タグTgの具体例は何ら限定されず、たとえば、社員等が所有するIDカードに内蔵されたもの、店舗等のカートに外付け配置されたもの、巡回ロボットおよびクリーナーなどの電化製品に内蔵されたもの、会議室内の椅子や机および掃除用具などに取り付けられたもの、などが例示される。
【0053】
図6は、タグTgのブロック図である。本実施形のタグTgは、制御部82、記憶部83、無線通信部84および電源部85を備える。
【0054】
無線通信部84は、複数の中継ユニットUrのうち第2中継ユニットモードとされた中継ユニットUrと上述した第2プロトコルを用いて無線通信を行うためのものである。無線通信部54が第2中継ユニットモードとされた複数の中継ユニットUrに送信する信号には、第2ビーコン信号が含まれる。
【0055】
本実施形態においては、タグTgが固有のタグIDを有する。タグIDの具体例は何ら限定されず、たとえば社員番号、個別識別番号等である。なお、タグIDは、無線通信部84に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部83に記憶されていてもよい。なお、タグTgは、記憶部83を備えない構成であってもよい。
【0056】
制御部82は、タグTgの各部を制御するためのものである。制御部82の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。また、制御部82は、無線通信部84に第2ビーコン信号の送信を指示する。
【0057】
たとえば、無線通信部84は、中継ユニットUr受信した要求信号(転送信号)が、自己のタグIDを含む場合、当該要求信号を制御部82に送信する。制御部82は、要求信号の要求にしたがって、第2ビーコン信号を無線通信部84から送信する。第2ビーコン信号は、たとえばタグIDを含む。また、第2ビーコン信号は、タイムスタンプを含んでいてもよい。
【0058】
電源部85は、タグTg本体に着脱可能な1次電池や充電式の2次電池でもよく、充電式の場合は、充電器を利用するものでも非接触式の充電するものでもよい。また、電源部85は、2.4GHzの電波(BLE、Wi-Fi(登録商標)など)の電波で発電する構成であってもよい。このような電源部85を用いれば、位置検出システムA1において定期的に送信されている電波を利用して発電することが可能であり、位置検出システムA1内での利用中の電池切れを防ぐことができる。
【0059】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニットUrおよび複数の位置検出デバイスへの位置取得指令や、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の中継ユニットUr(複数の照明器具L1~Lmや複数の中継器Rd1~Rdn)が設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニットUrとがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニットUrとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、位置検出システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0060】
図4は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0061】
表示部21は、後述する位置検出システムA1の位置検出方法においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0062】
制御部22は、複数の中継ユニットUrおよび複数の位置検出デバイスへの位置取得指令や、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニットUrへ制御データを送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0063】
無線通信部24は、複数の中継ユニットUrの無線通信モジュール14の無線通信部140と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。
図1に示す例においては、制御装置Ctは、複数の中継ユニットUrとともに通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニットUrへの制御データを通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0064】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0065】
制御装置Ctは、複数の中継ユニットUrの照明器具ID等の識別情報や位置検出デバイスの識別情報を保有しており、これらがたとえば記憶部43に記憶されている。制御装置Ctが保有する識別情報は、たとえば照明器具Lが保有する照明器具IDとしてのMACアドレスやタグTgが保有するタグIDであってもよい。
【0066】
次に、位置検出システムA1による位置検出方法について、以下に説明する。
【0067】
〔モード切り替えステップ〕
図7に示すように、まず、複数の中継ユニットUrから、第1中継ユニットモードに設定する中継ユニットUrと、第2中継ユニットモードに設定する中継ユニットUrとを選択する(ステップS1)。複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rdは、いずれもが第1中継ユニットUr1または第2中継ユニットUr2となりうる。いくつかの照明器具Lおよび中継器Rdの各々が第1中継ユニットUr1として設定され、他の照明器具Lおよび中継器Rdが第2中継ユニットUr2として設定可能である。
【0068】
ビーコン信号は、物品(壁、床、棚など)の配置、材質などの影響で、電波放射パターンが変わり、RSSI値が中継ユニットUrの設置場所によって異なる。したがって、第1中継ユニットUr1を構成する中継ユニットUrと第2中継ユニットUr2を構成する中継ユニットUrとを選択しておく。たとえば、無線強度分析ソフトなどをインストールした端末(図示略)などで配置する場所のRSSI値を測定し、設置場所のRSSI値が小さい場合は第1中継ユニットUr1間の間隔を小さくし、RSSI値が大きい場合は、第1中継ユニットUr1間の間隔を大きくするように、第1中継ユニットUr1および第2中継ユニットUr2を選択する。
【0069】
本実施形態においては、説明の便宜上、複数の照明器具Lを第1中継ユニットモードに設定する中継ユニットUrとして選択し、複数の中継器Rdを第2中継ユニットモードに設定する中継ユニットUrとして選択する場合を例に説明する。
【0070】
次に、第1中継ユニットモードに設定される中継ユニットUr(照明器具L)を第1中継ユニットモードとするコマンド、および第2中継ユニットモードに設定される中継ユニットUr(中継器Rd)を第2中継ユニットモードとするコマンド、を含む指定信号を含む制御データDcを、通信ネットワークCn1で最も近い位置に存在する中継ユニットUr(照明器具L1)に送信する(ステップS2)。
【0071】
次に、照明器具L1は、受信した制御データDcに含まれる指定信号から、自装置が第1中継ユニットモードに設定されること、すなわち、ビーコン送信部141をオンにし、ビーコン受信部142をオフにするコマンドを受信する。切替部145は、ビーコン送信部141の機能をオンに、ビーコン受信部142の機能をオフに設定する。これにより、照明器具L1は、第1中継ユニットモードに設定される。この照明器具L1を、第1中継ユニットUr11と定義する。第1中継ユニットUr11(照明器具L1)は、通信ネットワークCn1上でもっとも近い位置に存在する中継ユニットUr(中継器Rd1)に制御データDcを転送する(ステップS3)。
【0072】
次に、中継器Rd1は、受信した制御データDcに含まれる指定信号から、自装置が第2中継ユニットモードに設定されること、すなわち、ビーコン送信部141をオンにし、ビーコン受信部142をオンにするコマンドを受信する。切替部145は、ビーコン送信部141の機能をオフにし、ビーコン受信部142の機能をオンに設定する。これにより、中継器Rd1は、第2中継ユニットモードに設定される。この中継器Rd1を、第2中継ユニットUr21と定義する。第2中継ユニットUr21(中継器Rd2)は、通信ネットワークCn1上でもっとも近い位置に存在する中継ユニットUrに制御データDcを転送する(ステップS4)。
【0073】
ステップS3およびステップS4と同様の処理を、照明器具L2~Lm-1および中継器Rd2~Rdn-1について実行する。次いで、照明器具Lmは、受信した制御データDcに含まれる指定信号から、自装置が第1中継ユニットモードに設定されるコマンドを受信する。切替部145は、ビーコン送信部141の機能をオンに、ビーコン受信部142の機能をオフに設定する。これにより、照明器具Lmは、第1中継ユニットモードに設定され、第1中継ユニットUr1mとなる。第1中継ユニットUr1m(照明器具Lm)は、通信ネットワークCn1上でもっとも近い位置に存在する中継ユニットUr(中継器Rdn)に制御データDcを転送する(ステップS5)。
【0074】
次に、中継器Rdnは、受信した制御データDcに含まれる指定信号から、自装置が第2中継ユニットモードに設定されるコマンドを受信する。切替部145は、ビーコン送信部141の機能をオフにし、ビーコン受信部142の機能をオンに設定する。これにより、中継器Rdnは、第2中継ユニットモードに設定され、第2中継ユニットUr2nとなる。
【0075】
以上のステップS1~S6により、複数の中継ユニットUr(照明器具L1~Lmおよび中継器Rd1~Rdn)が、第1中継ユニットUr11~Urmと、第2中継ユニットUr2~Ur2nとに設定される。これが、本発明におけるモード切り替えステップの一例である。
【0076】
図8および
図12は、他の例におけるモード切り替えステップを示している。本例においては、位置検出システムA1が、図示しない(図示せず)時計ユニットを備えている。時計ユニットが取得したFM電波を、制御装置Ctの無線通信部24が受信し、時刻情報を記憶部23に保存する。制御部22は、上述の指定信号、時刻情報と各中継ユニットUrを制御する制御信号(たとえば、中継ユニットUrが照明器具Lの場合は、照明制御信号)を含む制御データDcを作成する(ステップS1)。
【0077】
次いで、制御装置Ctは、通信ネットワークCn1上の中継ユニットUr(図中の照明器具L1または中継器Rd1)に制御データDcを送信する(ステップS2)。
【0078】
照明器具L1は、無線通信モジュール14の無線通信部140で制御データDc内のプロトコルフラグから処理するプロトコルに応じて処理を行い、制御データDcを受信する。照明器具L1は、上述した要領により、第1中継ユニットUr11にモード切替される。制御部12は、通信ネットワークCn1上の次の中継ユニットUr(照明器具L)に、制御データDcを転送する(ステップS3)。
【0079】
中継器Rd1は、無線通信モジュール74の無線通信部740で制御データDc内のプロトコルフラグから処理するプロトコルに応じて処理を行い、制御データDcを受信する。中継器Rd1は、上述した要領により、第2中継ユニットUr21にモード切替される。制御部72は、通信ネットワークCn1上の次の中継ユニットUr(中継器Rd)に、制御データDcを転送する(ステップS4)。
【0080】
制御部12は、記憶部13に時刻情報を保存し、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS5)。
【0081】
制御データDcを受信した照明器具Lは、順次第1中継ユニットモードに設定され、照明器具Lmの場合、第1中継ユニットUr1mにモード切り替えされる。第1中継ユニットUr1m(照明器具Lm)の制御部12は、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS6)。
【0082】
第2中継ユニットUr21(中継器Rd1)の制御部72は、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS7)。
【0083】
制御データDcを受信した中継器Rdは、順次第2中継ユニットモードに設定され、中継器Rdnの場合、第2中継ユニットUr2nにモード切り替えされる。第2中継ユニットUr2n(中継器Rdn)の制御部72は、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS8)。
【0084】
制御装置Ct、複数の第1中継ユニットUr11~1mおよび第2中継ユニットUr21~2nは、時刻情報を互いに同期する(ステップS9)。以上により、変形例におけるモード切り替えステップが完了する。
【0085】
〔第1ビーコン信号送信ステップ〕
次に、第1ビーコン信号送信ステップを実行する。
図9および
図13に示すように、第1中継ユニットUr11~Ur1mが、を送信する。第1ビーコン信号Bs1は、自装置の位置情報および(照明器具Lの場合は照明装置ID)を含んでいる。第1ビーコン信号Bs1には、時刻情報を利用したタイムスタンプが付与されていてもよい(ステップS10)。
【0086】
第1位置検出デバイスに設定された移動端末Meは、複数の第1中継ユニットUr1~Ur1mから第1ビーコン信号Bs1を受信する(ステップS11)。第1ビーコン信号Bs1には、照明装置の位置情報、照明装置ID、位置情報が含まれている。移動端末Meは、受信した第1ビーコン信号Bs1のRSSI値と複数の中継ユニットUr1~Ur1mの位置情報とを利用して位置を推定する(ステップS12)。
【0087】
ここで、通常的な位置測定技術は、衛星航法システム(Global Positioning System;GPS)を用いた位置測定技術、無線信号の受信信号強度(Received Signal Strength Indication;RSSI値)を用いた位置測定技術、近距離無線通信を用いた位置測定技術などがある。特に室内では、ビーコン信号の送受信によって位置を測定する方法が一般的であり、ビーコン信号は、RF信号、ZigBee(登録商標)信号、Bluetooth(登録商標)信号など、多様な無線信号で送出できる。
【0088】
位置測定の測位アルゴリズムは、最も近い送信源のビーコン信号に含まれるID(識別情報)に紐づけられた位置を現在位置とする近接性方式、位置が自明なビーコン信号からの距離をRSSI値から推定し、三点測量を行う三点測量方式、予め調査した場所毎のビーコン信号のRSSI値や地磁気強度に最も似た場所を自己位置と推定する環境分析方式などがある。
【0089】
本実施の形態では、iBeacon(アイビーコン:登録商標)をビーコン信号として用いた三点測量方式を利用する。ビーコン信号のRSSI値は、距離の二乗に反比例して減衰する特性を有しており、この特性を利用し距離を推定する。また、複数の第1中継ユニットUr1(照明器具L)から送信される第1ビーコン信号Bs1を利用するため多点測位となる。このような構成においては、多点測位により空間内の存在することを判定するだけにとどまらず、移動方向が一定方向ではない場合に精度の高い位置測位が可能となる。
【0090】
また、ステップS12の位置推定の実施例としては、以下の2つの方法が例示される。1つの方法として、移動端末Meに組み込まれたアプリケーションによって、各第1ビーコン信号Bs1内の位置情報を商用ネットワーク介して、商用クライドに送信する。商用クラウド内に保存されている各第1中継ユニットUr1(照明器具L)に紐づけされた位置情報、および各第1中継ユニットUr1(照明器具L)からのRSSI値を利用した三点測位法により、移動端末Meの位置を算出する。算出した位置データは、商用ネットワークを介して移動端末Meに転送される。他の方法として、移動端末Meに組み込まれたアプリケーションによって、各第1ビーコン信号Bs1内の位置情報とRSSI値とを利用した三角測位法により、移動端末Meの位置データを算出する。
【0091】
〔第2ビーコン受信ステップ〕
次に、第2ビーコン信号受信ステップを実行する。
図10および
図13に示すように、第2位置検出デバイスとして設定されたタグTgは、無線通信部84から第2ビーコン信号Bs2を送信する(ステップS13)。第2ビーコン信号Bs2は、タグTgのタグIDおよびタイムスタンプを含む。複数の第2中継ユニットUr21~Ur2nは、タグTgからの第2ビーコン信号Bs2を受信する。複数の第2中継ユニットUr21~Ur2nは、第2ビーコン信号Bs2に含まれていたタグIDおよびタイムスタンプと、それぞれが受信した際のRSSI値とを含む転送データを作成する(ステップS14)。
【0092】
次に、
図11および
図13に示すように、移動端末Meは、通信ネットワークCn1を介して測定データDmを送信する(ステップS15)。測定データDmを受信した中継ユニットUrは、測定データDmとタイムスタンプとを含む転送データDtを作成する(ステップS16)。
【0093】
次に、
図11および
図14に示すように、複数の中継ユニットUrは、ステップS14よびステップS16で作成された転送データDtを、通信ネットワークCn1を介して順次転送する(ステップS17)。これらの転送データDtは、制御装置Ctによって受信される(ステップS18)。
【0094】
次に、制御装置Ctは、受信した複数の転送データDtから、第2中継ユニットUr21~Ur2nに含まれるタグIDおよびタイムスタンプと、それぞれが受信した際のRSSI値と、第2中継ユニットUr21~Ur2nの識別情報(位置情報)とに基づいて、たとえば三点測量方式によってタグTgの位置を算出する(ステップS19)。
【0095】
そして、制御装置Ctは、受信した複数の転送データDtに含まれる移動端末Meの位置情報と、ステップS19によって算出したタグTgの位置情報とを、それぞれのタイムスタンプとともに記憶部23に格納する(ステップS20)。以上により、位置検出システムA1による位置検出方法が完了する。
【0096】
次に、位置検出システムA1の作用について説明する。
【0097】
本実施形態によれば、複数の中継ユニットUrとしての複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rdのそれぞれを、複数の第1中継ユニットUr1および複数の第2中継ユニットUr2のいずれかに設定する。移動端末Meは、複数の中継ユニットUr(複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rd)の一部である複数の第1中継ユニットUr1からの第1ビーコン信号Bs1を受信することにより、位置検出を行う。また、位置検出デバイスとしての移動端末MeおよびタグTgのうち、タグTgのみが、第2ビーコン信号Bs2を送信し、複数の中継ユニットUr(複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rd)の一部である複数の第2中継ユニットUr2が、第2ビーコン信号Bs2を受信することにより、タグTgの位置検出を行う。このように、ビーコン固定型の位置検出とビーコン移動型の位置検出とを位置検出デバイスによって使い分け、それぞれに用いる中継ユニットUrを区別することにより、位置検出システムA1の位置検出に用いられるビーコン信号(無線信号)を削減し、位置検出精度の低下を抑制することができる。これは、複数の中継ユニットUr(複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rd)の設置数が多い場合に特に有効である。
【0098】
また、複数の中継ユニットUr(複数の照明器具Lおよび複数の中継器Rd)を複数の第1中継ユニットUr1および複数の第2中継ユニットUr2に設定する処理は、制御装置Ctからの指定信号に基づいて、ソフトウェアによって実行される。これにより、たとえば、複数の中継ユニットUrの一つ一つに直接に設定作業を行うことが強いられず、設定効率を高めることができる。特に、複数の照明器具Lが高い天井に設置されている場合に有利である。制御装置Ctから離れた場所であっても、複数の第1中継ユニットUr1および複数の第2中継ユニットUr2を設定し、これらを利用した双方向の通信で受信および送信が可能となる。
【0099】
図15~
図34は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0100】
<第1実施形態 変形例>
図15は、位置検出システムA1の変形例における照明器具Lを示している。同図(a),(b)に示すように、本変形例の照明器具Lは、スイッチ16をさらに有する。
【0101】
図示された例の場合、スイッチ16は、照明器具Lの無線通信モジュール14内の切替部145と物理的に筐体の外部から接続されたスライドスイッチ161によって構成される。なお、スライドスイッチ161に代えて、レバースイッチ、ボタンスイッチなどで構成されていてもよい。本例においては、スイッチ16は、光源部11からの光が出射される側に露出して設けられている。照明器具Lが天井等に設置される場合、照明器具Lを床面から見上げると、照明器具Lが作業可能な位置において下向きに配置されている。
【0102】
同図(c)に示すように、スイッチ16は、スライドスイッチ161が、複数のポジションに設定可能にスライドする。複数のポジションは、たとえば、第1中継ユニット、第2中継ユニット、オフ(OFF)の機能がそれぞれ割り当てられている。
【0103】
照明器具Lが設置される場所のRSSI値の測定結果に応じて、スイッチ16によって、第1中継ユニットとして機能するか、第2中継ユニットとして機能するかを設定してもよい。測定結果から第1中継ユニットして機能させる場合は、スイッチ16のスライドスイッチ161を「第1中継ユニット」の設定場所に動かして設定する。第2中継ユニットとして機能させる場合は、スライドスイッチ161を「第2中継ユニット」の設定場所に動かして設定する。また、どちらにも設定しない場合は、スライドスイッチ161を「OFF」の設定場所に動かす。
【0104】
本例によっても、無線信号を削減し、位置検出精度の低下を抑制することができる。また、本例は、スイッチ16というハードウェアによって、照明器具Lのモードを切り替える例である。本例によれば、照明器具Lの筐体外部から1台ずつ第1中継ユニットまたは第2中継ユニットに切り替えていくことができる。天井に配置されている照明器具Lを下側から見たときに、スイッチ16は作業者が筐体の外部から作業可能であり、多くの照明器具Lを順次設定する場合に適している。本例から理解されるように、本発明におけるモード切り替えステップは、通信ネットワークCn1を介して送信される指定信号に基づいてソフトウェアによって切り替える方式であってもよいし、照明器具Lのスイッチ16等のハードウェアによって切り替える方式であってもよい。
【0105】
<第2実施形態>
図16~
図23は、本発明の第2実施形態に係る位置検出システムおよび位置検出方法を示している。本実施形態は、モード切り替えステップをソフトウェアによって切り替える方式の一例である。本実施形態においては、
図16に示すように複数の中継ユニットUrが、概ねマトリクス状に配置されている。図中の(x,y)は、各中継ユニットUrの位置を示す目安となる座標である。図中の円は、各中継ユニットUrから送信される第1ビーコン信号Bs1のRSSI値が所定の値(たとえば-80dBm)以上の強い電波到達範囲を示す。本実施形態のモード切り替えステップは、以下の第1処理および第2処理を含む。
【0106】
〔第1処理:1回目〕
図17および
図22に示すように、制御装置Ctは、座標(1,1)の中継ユニットUrを第1中継ユニットモードに特定設定する。また、制御装置Ctは、第1中継ユニットUr1に特定設定された座標(1,1)の中継ユニットUr以外の中継ユニットUrを、第1ビーコン信号Bs1を受信可能なモードとする。これらの設定を指定する指定信号を含む制御データDcが、制御装置Ctから通信ネットワークCn1を介して送信される(ステップS1)。特定設定とは、上述した実施形態におけるモード切り替えステップにおける第1中継ユニットモードへの設定において、いずれの中継ユニットUrを第1中継ユニットUr1として設定したかを認識しておくことであり、たとえば、第1中継ユニットUr1に設定した中継ユニットUrの識別情報等を、モード設定情報として制御装置Ctの記憶部23に記憶させておくことが、特定設定の一例である(ステップS2)。各中継ユニットUrの切替部145,745は、制御装置Ctからの指定信号に応じてモードを切り替える。第1中継ユニットUr1に設定された座標(1,1)の中継ユニットUrは、定期的に第1ビーコン信号Bs1を送信する(ステップS3)。他の中継ユニットUrは、第1ビーコン信号Bs1を受信する(ステップS4)。以上の処理が、第1処理である。
【0107】
〔第2処理:1回目〕
次に、制御装置Ctは、座標(1,1)以外の複数の中継ユニットUrに対し、各中継ユニットUrが受信した第1ビーコン信号Bs1のRSSI値を制御装置Ctに送信するよう制御データDcを送信する(ステップS5)。各中継ユニットUrは、RSSI値を含むデータを送信し(ステップS6)、制御装置Ctは、これらのデータを受信する。図示された例においては、座標(1,2)、座標(2,1)の中継ユニットUrのRSSI値が、閾値である-80dBm以上である。
図18に示すように、制御装置Ctは、これらの中継ユニットUrを第2中継ユニットモードに特定設定する。上述した特定設定と同様に、いずれの中継ユニットUrを第2中継ユニットUr2として設定したかを認識しておくことであり、たとえば、第2中継ユニットUr2に設定した中継ユニットUrの識別情報等を、モード設定情報として制御装置Ctの記憶部23に記憶させておくことが、特定設定の一例である。制御装置Ctは、座標(1,2)、座標(2,1)の中継ユニットUrが第2中継ユニットUr2であることをモード設定情報として記憶部23に記憶する(ステップS7)。そして、制御装置Ctは、第2中継ユニットモードに設定する指定信号を含む制御データDcを通信ネットワークCn1を介して送信する。座標(1,2)の中継ユニットUrは、制御データDcを受信し、第2中継ユニットUr2に設定される(ステップS8)。また、座標(2,1)の中継ユニットUrは、制御データDcを受信し、第2中継ユニットUr2に設定される(ステップS9)。以上の処理が、第2処理である。
【0108】
〔第1処理:2回目〕
次に、制御装置Ctは、2回目の第1処理を行う。制御装置Ctは、1回目の第1処理および第2処理で特定設定された座標(1,1)、(1,2)、(2,1)の中継ユニットUr以外の中継ユニットUrの設定を行っていく。たとえば、
図19に示すように、座標(1,3)の中継ユニットUrを第1中継ユニットUr1に特定設定し、それ以外の特定設定されていない中継ユニットUrを、第1ビーコン信号Bs1を受信可能なモードに設定する。各中継ユニットUrの切替部145,745は、制御装置Ctからの指定信号に応じてモードを切り替える。制御装置Ctは、座標(1,3)の中継ユニットUrが第1中継ユニットUr1であることをモード設定情報として記憶部23に記憶する(ステップS10)。第1中継ユニットUr1に設定された座標(1,3)の中継ユニットUrは、定期的に第1ビーコン信号Bs1を送信する(ステップS11)。座標(1,1)、(1,2)、(2,1)、(1,3)以外の中継ユニットUrは、第1ビーコン信号Bs1を受信する(ステップS12)。
【0109】
〔第2処理:2回目〕
次に、制御装置Ctは、特定設定された中継ユニットUr以外の中継ユニットUr、すなわち座標(1,1)、(1,2)、(2,1)、(1,3)の中継ユニットUrに対し、各中継ユニットUrが受信した第1ビーコン信号Bs1のRSSI値を制御装置Ctに送信するよう制御データDcを送信する(ステップS13)。各中継ユニットUrは、RSSI値を含むデータを送信し(ステップS14)、制御装置Ctは、各中継ユニットUrから送信されたRSSI値を含むデータを受信する。図示された例においては、座標(1,4)、(2,3)の中継ユニットUrのRSSI値が閾値である-80dBm以上である。
図20に示すように、制御装置Ctは、これらの中継ユニットUrを第2中継ユニットモードに特定設定する制御データDcを送信する。制御装置Ctは、既に第2中継ユニットUr2として特定設定した座標(1,2)の中継ユニットUrに加えて、座標(1,4)、(2,3)の中継ユニットUrが第2中継ユニットUr2であることをモード設定情報として記憶部23に記憶する(ステップS15)。座標(1,4)、(2,3)の中継ユニットUrは、制御データDcを受信し、第2中継ユニットUr2に設定される(ステップS16)。
【0110】
制御装置Ctは、記憶部23に記憶されたモード設定情報に基づき、特定設定されていない中継ユニットUrを対象として、第1処理および第2処理を再び実行する。そして、制御装置Ctは、すべての中継ユニットUrが特定設定されるまで、第1処理および第2処理を繰り返す(ステップS17)。この結果、
図21に示すように、複数の中継ユニットUrのすべてが、第1中継ユニットUr1または第2中継ユニットUr2のいずれかに特定設定される。これにより、本実施形態のモード切り替えステップが完了する。
【0111】
本実施形態によっても、無線信号を削減し、位置検出精度の低下を抑制することができる。また、
図16に図示されたような配置密度で複数の中継ユニットUrが配置されると、互いの第1ビーコン信号Bs1の干渉が生じる。たとえば、一つの第1中継ユニットUr1から送信される第1ビーコン信号Bs1のRSSI値が-80dBmの電波到達範囲内に他の第1中継ユニットUr1が存在すると電波干渉が生じやすい。図示された例では、座標(1,1)第1中継ユニットUr1が送信したRSSI値が-80dBmの第1ビーコン信号Bs1が隣接する座標(1,2)、(2,1)まで到達することになり、それらの座標から第1ビーコン信号Bs1が送信されると、電波の混信が生じ、位置検出精度が低下すると想定される。このため、座標(1,1)~(4,4)の2次元マトリクスに配置された複数の中継ユニットUrを利用する場合、第1中継ユニットUr1同士を、ある程度の間隔をあけて配置する必要がある。本実施形態によれば、たとえば後述の携帯端末Mdを使わずに、電波強度(RSSI値)が所定値以上という基準で、第1中継ユニットUr1および第2中継ユニットUr2を自動的に指定できる。
【0112】
<第3実施形態>
図24~
図34は、本発明の第3実施形態に係る位置検出システムおよび位置検出方法を示している。本実施形態の位置検出システムA3は、携帯端末Mdをさらに備えている。
【0113】
〔携帯端末Md〕
携帯端末Mdは、位置検出システムA3においてユーザが操作する端末である。携帯端末Mdは、モード切り替えステップにおいて、複数の中継ユニットUrの各々を、第1中継ユニットUr1および第2中継ユニットUr2のいずれに設定するかを指定するために用いられる。携帯端末Mdは、ユーザの操作を実現可能な携帯性や情報処理能力等を有するものであれば特に限定されず、たとえばタブレット、スマートフォン、ノートPC等である。なお、位置検出システムA3を構成する複数の照明器具Lや複数の中継器Rdが広範な領域に設置されている場合、位置検出システムA3は、複数の携帯端末Mdを備えていてもよい。
【0114】
図25は、携帯端末Mdのブロック図である。本実施形態においては、携帯端末Mdは、表示部31、制御部32、記憶部33、無線通信部34および電源部35を備える。
【0115】
表示部31は、携帯端末Mdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部31がタッチパネルとして機能することに代えて、携帯端末Mdは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0116】
制御部32は、携帯端末Mdの各部を制御するためのものである。制御部32の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部33は、制御部32の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0117】
無線通信部34は、制御装置Ctとの無線通信を行う。また、無線通信部34は、中継ユニットUrのモードを指定する指定信号を制御装置Ctに送信する。無線通信部34の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の無線通信部140、無線通信部740と同様であってもよいし異なっていてもよく、たとえばWi-Fi(登録商標)が選択される。なお、無線通信部34は、携帯端末Mdとしてのタブレット等に内蔵された無線通信モジュールであってもよいし、USB端子等に接続された外付けの無線通信モジュールであってもよい。本実施形態においては、携帯端末Mdと制御装置Ctとによって、通信ネットワークCn2が構築されている。なお、通信ネットワークCn2は、通信ネットワークCn1と同じ第1プロトコルを用いた無線通信を行うものであってもよい。
【0118】
電源部35は、表示部31、制御部32および無線通信部34等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部35は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0119】
次に、位置検出システムA3による位置検出方法の一例について、
図26~
図34を参照しつつ、以下に説明する。
【0120】
時間に応じて指定信号の作成する表示部31の表示例を説明する。
図26に示すように、曜日ごとの開始時間および終了時間の設定画面を表示部31に表示させる。使用者は、表示部31をタッチしながら時間を設定できる。図示された例では、月曜日から金曜日までの位置検出の開始時間として「8:00」、終了時間として「17:00」を設定する場合を表示している。「次へ」のアイコンにタッチし、時間指定を完了させる。作業をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0121】
次に、
図27に示すように、中継ユニットUrの配置図を携帯端末Mdの表示部31に表示させる。使用者は、表示部31をタッチしながら位置検出する領域を指定する。すべての範囲を指定してもよく、位置検出したい範囲を指定してもよい。カーソル(指のイメージ)を使って矩形状の点線の大きさおよび位置を設定する。この点線によって囲まれた範囲を、位置検出する範囲として指定する。指定が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、指定を完了させる。指定をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0122】
次に、
図28に示すように、先の画面で指定した領域(点線で囲まれた範囲)に配置されている中継ユニットUrの中で第1中継ユニットUr1に設定する中継ユニットUrを選択する。タッチによって選択された中継ユニットUrがハッチング表示となり強調表示される。第1中継ユニットUr1の選択が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、選択を完了させる。選択をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0123】
次に、
図29に示すように、先の画面で指定した領域(点線で囲まれた範囲)に配置されている中継ユニットUrの中で第2中継ユニットUr2としたい中継ユニットUrを選択する。タッチによって選択された中継ユニットUrがハッチング表示となり強調表示される。既に選択されている第1中継ユニットUr1は、誤ってタッチしても選択されないように、たとえば細線によって抑制された表示となっており、選択不可である。第2中継ユニットUr2の選択が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、選択を完了させる。選択をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。これにより、
図27において選択した領域にある中継ユニットUrの設定が完了する。
【0124】
次に、先ほどと異なる領域の位置検出する時間を設定する。
図30に示すように、時間設定画面を再び表示させ、時間を設定する。図示された例では、月曜日から金曜日までの位置検出の開始時間として「10:00」、終了時間として「19:00」を設定する場合を表示している。「次へ」のアイコンにタッチし、時間指定を完了させる。作業をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0125】
次に、
図31に示すように、中継ユニットUrの配置図を携帯端末Mdの表示部31に表示させる。使用者は、カーソル(指のイメージ)を使って矩形状の点線の大きさおよび位置を設定する。この点線によって囲まれた範囲を、位置検出する範囲として指定する。指定が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、指定を完了させる。指定をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0126】
次に、
図32に示すように、先の画面で指定した領域(点線で囲まれた範囲)に配置されている中継ユニットUrの中で第1中継ユニットUr1としたい中継ユニットUrを選択する。タッチによって指定された中継ユニットUrがハッチング表示となり強調表示される。第1中継ユニットUr1の選択が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、選択を完了させる。選択をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0127】
次に、
図33に示すように、先の画面で指定した領域(点線で囲まれた範囲)に配置されている中継ユニットUrの中で第2中継ユニットUr2としたい中継ユニットUrを選択する。タッチによって指定された中継ユニットUrがハッチング表示となり強調表示される。第2中継ユニットUr2の指定が完了したら「次へ」のアイコンにタッチし、指定を完了させる。指定をやり直す場合は「戻る」のアイコンにタッチする。
【0128】
他の時間設定が必要な場合は、上記の操作を繰り返す。意図した設定が完了すると、制御部32が、使用者の指定した条件に応じた指定信号を作成する(
図34:ステップS0)。無線通信部34は、この指定信号を制御装置Ctに送信する。
【0129】
次に、制御装置Ctは、指定信号と時刻情報とを含む制御データDcを作成する(ステップS1)。次に、制御装置Ctは、通信ネットワークCn1上最も近い第1中継ユニットUr11もしくは第2中継ユニットUr21に制御データDcを転送する(ステップS2)。次いで、第1中継ユニットUr11は、無線通信部140で制御データDc内のプロトコルフラグから処理するプロトコルに応じて処理を行い制御データDcを受信する。制御部12は、記憶部13内に時刻情報を保存し、制御データDcを転送する(ステップS3)。また、制御部12は、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS5)。また、第1中継ユニットUr11から転送された制御データDcを受信した第1中継ユニットUr1mは、アクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS6)。第2中継ユニットUr21は、無線通信部740で制御データDc内のプロトコルフラグから処理するプロトコルに応じて処理を行い制御データDcを受信する。制御部72は、記憶部73内に時刻情報を保存し、制御データDcを転送する(ステップS4)。また、制御部72は、制御データDcを受信したことを示すアクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS7)。また、第2中継ユニットUr21から転送された制御データDcを受信した第2中継ユニットUr2nは、アクノリッジ信号(受信信号)を制御装置Ctに向けて送信する(ステップS8)。そして、制御装置Ct、第1中継ユニットUr11~Ur1m、および第2中継ユニットUr21~Ur2nは、時刻情報を同期する(ステップS9)。
【0130】
本実施形態によっても、無線信号を削減し、位置検出精度の低下を抑制することができる。また、複数の中継ユニットUrを対象とした第1中継ユニットUr1と第2中継ユニットUr2との指定は、特に、時間に応じて設定することができる。たとえば、複合施設においては、営業時間の異なる店舗(8時にオープンする店舗や10時にオープンする店舗)が混在するケースがある。このため、店舗ごとに位置検出する時間を設定する場合がある。また、オフィスにおいては、業務時間の異なる部門毎(早朝出勤する部門、フレックスによって10時など比較的遅くに出社する部門)のレイアウトに応じて、位置検出する時間を設定する場合がある。また、倉庫においては、稼働する商品レイアウトに応じて位置検出する時間を設定することができる。本実施形態によれば、従来技術のように、決められた領域の位置検出だけではなく、使用する状況に応じて位置検出領域を指定できるという利点がある。
【0131】
本発明に係る位置検出システム、中継ユニットおよび位置検出方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る位置検出システム、中継ユニットおよび位置検出方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0132】
A1,A3:位置検出システム
11 :光源部
12,22,32,52,72,82:制御部
13,23,33,43,53,73,83:記憶部
14,74:無線通信モジュール
15,25,35,45,55,75,85:電源部
16 :スイッチ
21,31,51:表示部
24,34,54,84,140,740:無線通信部
141,741:ビーコン送信部
142,742:ビーコン受信部
145,745:切替部
161 :スライドスイッチ
Bs1 :第1ビーコン信号
Bs2 :第2ビーコン信号
Cn1,Cn2:通信ネットワーク
Ct :制御装置
Dc :制御データ
Dm :測定データ
Dt :転送データ
L,L1,L2,Lm:照明器具
Md :携帯端末
Me :移動端末
Rd,Rd1,Rd2,Rdn:中継器
Tg :タグ
Ur :中継ユニット
Ur1 :第1中継ユニット
Ur2 :第2中継ユニット