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特許7560869ナースコールシステムおよび呼出制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-25
(45)【発行日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ナースコールシステムおよび呼出制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240926BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
H04M9/00 B
A61G12/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021010984
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114621
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 修
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-282597(JP,A)
【文献】特開2007-067598(JP,A)
【文献】特開2009-159263(JP,A)
【文献】特開2009-131380(JP,A)
【文献】特開2008-161299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機の呼出ボタンの押下によって呼び出しを行い、これに応じてナースコール親機にて所定の報知を行うようになされたナースコールシステムにおいて、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定する操作時間判定部と、
上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する操作回数判定部と、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが上記操作時間判定部または上記操作回数判定部の何れかにより判定された場合に上記報知が行われるように制御する制御部とを備え
上記操作時間判定部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、上記第1閾値時間よりも長い第2閾値時間以上となったか否かを判定し、
上記制御部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第1報知が行われるように制御するとともに、上記第1報知の終了後、上記呼出ボタンの操作継続時間が上記第2閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第2報知が行われるように制御し、
上記操作時間判定部は、上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて上記制御部により上記報知が行われるように制御された場合には上記呼出ボタンの操作継続時間の計測値を初期化する一方、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことに応じて上記制御部により上記報知が行われるように制御された場合には上記呼出ボタンの操作継続時間の計測を継続し、
上記操作回数判定部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて上記制御部により上記報知が行われるように制御された場合に、上記呼出ボタンの連続操作回数の計測値を初期化する
ことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記操作時間判定部は、上記制御部により上記第2報知が行われるように制御された場合に、上記呼出ボタンの操作継続時間の計測値を上記第1閾値時間に戻して操作継続時間の計測を継続し、
上記制御部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が上記第2閾値時間以上となるたびに上記第2報知が行われるように制御する
ことを特徴とする請求項に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
ナースコール子機の呼出ボタンの押下によって呼び出しを行い、これに応じてナースコール親機にて所定の報知を行うようになされたナースコールシステムにおいて、
記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、上記第1閾値時間よりも長い第2閾値時間以上となったか否かを判定する操作時間判定部と、
上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する操作回数判定部と、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが上記操作時間判定部または上記操作回数判定部の何れかにより判定された場合に上記報知が行われるように制御する制御部とを備え、
上記制御部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第1報知が行われるように制御するとともに、上記第1報知の後、上記第1閾値時間への到達以降における上記呼出ボタンの操作継続時間が上記第2閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第2報知が行われるように制御することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項4】
上記操作時間判定部、上記操作回数判定部および上記制御部は、上記ナースコール子機に備えられ、
上記制御部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが上記操作時間判定部または上記操作回数判定部の何れかにより判定された場合に、上記ナースコール親機に対する呼出信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
出ボタンの押下によって呼び出しを行い、これに応じてナースコール親機の報知を行うようになされたナースコールシステムに用いられる呼出制御装置であって、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定する操作時間判定部と、
上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する操作回数判定部と、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが上記操作時間判定部または上記操作回数判定部の何れかにより判定された場合に呼出信号を出力する呼出信号出力部とを備え
上記操作時間判定部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、上記第1閾値時間よりも長い第2閾値時間以上となったか否かを判定し、
上記呼出信号出力部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第1呼出信号を出力するとともに、上記第1呼出信号の出力後、上記呼出ボタンの操作継続時間が上記第2閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第2呼出信号を出力し、
上記操作時間判定部は、上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて上記呼出信号出力部により上記呼出信号が出力された場合には上記呼出ボタンの操作継続時間の計測値を初期化する一方、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことに応じて上記呼出信号出力部により上記呼出信号が出力された場合には上記呼出ボタンの操作継続時間の計測を継続し、
上記操作回数判定部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて上記呼出信号出力部により上記呼出信号が出力された場合に、上記呼出ボタンの連続操作回数の計測値を初期化する
ことを特徴とする呼出制御装置。
【請求項6】
呼出ボタンの押下によって呼び出しを行い、これに応じてナースコール親機の報知を行うようになされたナースコールシステムに用いられる呼出制御装置であって、
上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、上記第1閾値時間よりも長い第2閾値時間以上となったか否かを判定する操作時間判定部と、
上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する操作回数判定部と、
上記呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは上記呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが上記操作時間判定部または上記操作回数判定部の何れかにより判定された場合に呼出信号を出力する呼出信号出力部とを備え、
上記呼出信号出力部は、上記呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第1呼出信号を出力するとともに、上記第1呼出信号の出力後、上記第1閾値時間への到達以降における上記呼出ボタンの操作継続時間が上記第2閾値時間以上となったことが上記操作時間判定部により判定された場合に第2呼出信号を出力する
ことを特徴とする呼出制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムおよび呼出制御装置に関し、特に、患者が呼出ボタンの押下によって看護師の呼び出しを行うように成されたナースコールシステムおよびこれに用いる呼出制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者または介護施設の被介護者(以下、単に「患者」という)が医師や看護師、介護師(以下、単に「看護師」という)のサポートを必要とする際に、患者が呼出ボタン等を押下することによって看護師を呼び出すことができるように成されたシステムである。この種のナースコールシステムにおいて、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことがナースコール親機にて報知される。
【0003】
ところで、ナースコール親機での誤報の発生を減らすための1つの方法として、呼出ボタンの長押しや複数回の押下で呼び出しを行うようにすることが考えられる。これに対し、呼出ボタンの操作時間(または回数)を判別して通常呼出信号または試験呼出信号を出力するようにしたナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この特許文献1の技術では、試験呼出モードの設定時は、呼出ボタンの操作時間(または回数)に応じて通常呼出信号または試験呼出信号の何れかを出力する一方、通常呼出モードの設定時は、呼出ボタンの操作時間(または回数)によらず通常呼出信号を出力するようになっている。すなわち、通常呼出モードおよび試験呼出モードの何れの場合においても、呼出ボタンの短押しまたは1回の押下のみで通常呼出信号が出力される。このため、この特許文献1に記載の技術は、誤報の発生を減らす目的としては使えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-274415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、呼出ボタンの操作時間および操作回数の観点から誤報の発生を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明では、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定し、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは連続操作回数が閾値回数以上となったことが検知された場合に報知が行われるようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かという点と、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かという点の両方の判定が行われ、両方とも該当しないと判定された場合は報知が行われず、何れか一方の点に該当すると判定された場合に報知が行われることとなる。これにより、本発明によれば、呼出ボタンの操作時間および操作回数の両方の観点から誤報の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態によるナースコール子機(呼出制御装置)の機能構成例を示すブロック図である。
図3A】呼出制御装置が連続操作回数に基づき呼出信号を出力する際の動作例を示す図である。
図3B】呼出制御装置が操作継続時間に基づき呼出信号を出力する際の動作例を示す図である。
図4】呼出制御装置が連続操作回数に基づき呼出信号を出力する際の動作例を示すフローチャートである。
図5】呼出制御装置が操作継続時間に基づき呼出信号を出力する際の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4およびハンド形子機5を備えて構成されている。なお、以下の説明において、壁埋込形子機4とハンド形子機5とを合わせてナースコール子機4,5をいう。
【0012】
ナースコール親機1は、ナースコール子機4,5からの呼び出しを受けて所定の報知処理を行うものである。本実施形態において、ナースコール親機1は、ナースセンタに設置される据置型のナースコール親機と、看護師に携帯される可搬型のナースコール親機とを含む。所定の報知処理は、呼び出しを行った患者に関する患者情報(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)をディスプレイに表示する処理およびスピーカから呼出音を出力する処理を含む。ナースコール子機4,5からの呼び出しに対してナースコール親機1で看護師が応答の操作を行うことにより、ナースコール子機4,5とナースコール親機1との間に通話路が形成され、患者と看護師とが会話を行うことができるようになっている。
【0013】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。
【0014】
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者が壁埋込形子機4またはハンド形子機5を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。また、廊下灯3は、壁埋込形子機4またはハンド形子機5から送信された呼出信号を、制御機2を介してナースコール親機1に転送する。
【0015】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカ、ハンド形子機5を接続するための接続端子を備えている。壁埋込形子機4は、呼出ボタンの押下に応じて呼出信号を出力する。なお、壁埋込形子機4の構成はこれに限定されない。例えば、呼出ボタンを備えないものであってもよい。
【0016】
ハンド形子機5は、壁埋込形子機4に接続される。ハンド形子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。ハンド形子機5は、呼出ボタンの押下に応じて呼出信号を出力する。なお、ハンド形子機5の構成はこれに限定されない。例えば、マイクおよびスピーカを備えないもの(例えば、握り押しボタン)であってもよい。
【0017】
本実施形態において、呼出ボタンを有するナースコール子機4,5は、呼出制御装置としての機能を有し、呼出信号の送信に関する制御を実行する。図2は、この制御の実行に関するナースコール子機4,5(呼出制御装置)の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の呼出制御装置は、機能構成として、押下操作検出部21、操作時間判定部22、操作回数判定部23および呼出信号出力部24を備えている。
【0018】
上記各機能ブロック21~24は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21~24は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、当該プログラムは、ハードディスクや半導体メモリ等の他の記録媒体に記憶されていてもよい。
【0019】
図3Aおよび図3Bは、呼出制御装置の動作例を示す図である。以下、図2に示す各機能ブロックの動作を図3Aおよび図3Bと共に説明する。なお、以下の説明において、図3Aおよび図3Bをまとめて図3と記す。
【0020】
押下操作検出部21は、呼出ボタンの押下操作を検出し、呼出ボタンの押下を検出している間、押下信号を出力する。すなわち、図3(c)に示すように、押下操作検出部21は、呼出ボタンの押下を検出したときに押下信号の出力を開始し、押下が続いている期間中は押下信号の出力を継続し、呼出ボタンの押下の停止を検出したときに押下信号の出力を停止する。このように、押下信号は、呼出ボタンの押下が検出されたタイミングで立ち上がり、呼出ボタンの押下の停止が検出されたタイミングで立ち下がる。
【0021】
操作時間判定部22は、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定する。すなわち、図3(a)に示すように、操作時間判定部22は、呼出ボタンの押下に応じて押下信号が立ち上がったときに操作継続時間の計測を開始する。また、操作時間判定部22は、呼出ボタンの押下の停止に応じて押下信号が立ち下がったときに操作継続時間の計測を停止し、計測値をゼロに初期化する。そして、操作時間判定部22は、このようにして計測した操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定する。
【0022】
操作回数判定部23は、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する。すなわち、図3(b)に示すように、操作回数判定部23は、呼出ボタンの押下に応じて押下信号が立ち上がったときに連続操作回数の計測値をインクリメントする。また、操作回数判定部23は、呼出ボタンの押下の停止に応じて押下信号が立ち下がったときから非操作時間の計測を開始し、非操作時間が所定時間に達するまで次の押下信号の立ち上がりがない場合に、連続操作回数の計測値をゼロに初期化する。そして、操作回数判定部23は、このようにして計測した連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する。
【0023】
呼出信号出力部24は、特許請求の範囲の制御部に相当するものであり、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことが操作時間判定部22により判定された場合、または、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことが操作回数判定部23により判定された場合に、ナースコール親機1に対する呼出信号を出力することにより、ナースコール親機1での報知が行われるように制御する。呼出信号は、図3(d)に示すように、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったときまたは連続操作回数が閾値回数以上となったときに立ち上がり、それから一定時間後に立ち下がる信号である。
【0024】
操作時間判定部22は、呼出信号出力部24により呼出信号が出力されたときに、呼出ボタンの操作継続時間の計測値をゼロに初期化する。図3の例では、呼出信号の立ち下がりに同期して操作継続時間の計測値をゼロに初期化するようにしている。操作回数判定部23も、呼出信号出力部24により呼出信号が出力されたときに(呼出信号の立ち下がりに同期して)、呼出ボタンの連続操作回数の計測値をゼロに初期化する。
【0025】
ここで、操作時間判定部22は、図3Aに示すように、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて呼出信号が出力された場合は、呼出ボタンの操作継続時間の計測値を初期化する。一方、図3Bに示すように、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことに応じて呼出信号が出力された場合は、操作継続時間の計測を継続する。これに対し、操作回数判定部23は、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったことに応じて呼出信号が出力された場合だけでなく、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことに応じて呼出信号が出力された場合にも、連続操作回数の計測値を初期化する。
【0026】
図3Aの例では、図3A(d)に示すように、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数(図3の例では3回)以上となったことが操作回数判定部23により判定され、これに応じて呼出信号出力部24により呼出信号が出力された状態が示されている。この呼出信号の出力により、呼出信号の立ち下がりに同期して、呼出ボタンの操作継続時間の計測値および連続操作回数の計測値が何れもゼロに初期化されている。
【0027】
図3Aの例において、呼出信号が出力された後、所定時間以内に呼出ボタンが再び押下されており、呼出ボタンの連続操作回数の計測値が“1”にインクリメントされている。その後、押下信号の立ち下がりから所定時間以内に呼出ボタンの次の押下が検出されなかったため、呼出ボタンの連続操作回数の計測値はゼロに初期化されている。
【0028】
図3Bの例では、図3B(d)に示すように、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことが操作時間判定部22により判定され、これに応じて呼出信号出力部24により呼出信号(1)が出力された状態が示されている。この場合における閾値時間を第1閾値時間とし、操作継続時間が第1閾値時間に達した場合に出力される呼出信号を第1呼出信号(1)とし、当該第1呼出信号(1)に応じてナースコール親機1にて行われる報知を第1報知とする。
【0029】
この第1呼出信号(1)の出力により、第1呼出信号(1)の立ち下がりに同期して、連続操作回数の計測値がゼロに初期化されている。ただし、図3Bの例では、第1呼出信号(1)が出力された後も呼出ボタンの押下が継続しており、操作継続時間の計測値はゼロに初期化されていない。すなわち、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことに応じて第1呼出信号(1)が出力された場合、操作時間判定部22は操作継続時間の計測を継続する。
【0030】
呼出信号出力部24は、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことが操作時間判定部22により判定された場合に、第1呼出信号(1)を出力することによって第1報知が行われるように制御する。また、呼出信号出力部24は、第1呼出信号(1)の出力後、呼出ボタンの操作継続時間が第2閾値時間以上となったことが操作時間判定部22により判定された場合に、第2呼出信号(2)を出力することによって第2報知が行われるように制御する。第2閾値時間は、第1閾値時間と比べて十分に大きい値とする。
【0031】
患者が呼出ボタンを押下して看護師の呼び出しを行っても、看護師が他の業務に対応中で手が離せないなどの理由により、看護師が患者のもとに直ちに向かうことができない場合がある。これに対し、第1報知に続けて第2報知を行うことにより、第1報知に対して看護師の対応がまだ行われていないことを看護師に知らせることができる。
【0032】
ここで、第1呼出信号(1)と第2呼出信号(2)との違いをナースコール親機1にて識別できるようにし、第1報知の処理内容と第2報知の処理内容とを異ならせるようにしてもよい。例えば、報知音の種類または大きさを異ならせるようにすることが可能である。呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間に達して第1呼出信号(1)が出力されたときに、呼出ボタンの押下を停止した場合であっても、その後に再び呼出ボタンを第1閾値時間以上押下すれば、再び第1呼出信号(1)が出力される。ただし、この場合に行われる報知は第1報知であり、1回目の報知処理と同じ内容となる。これに対して、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間に達して第1呼出信号(1)が出力された後も呼出ボタンの押下を継続し、操作継続時間が第2閾値時間以上になると、第2呼出信号(2)が出力されて第2報知が実行される。この第2報知の処理内容を第1報知の処理内容と異なるものとしておけば、再報知であることを看護師に知らせることができる。
【0033】
操作時間判定部22は、呼出信号出力部24が第2呼出信号(2)を出力することによって第2報知が行われるように制御した場合、第2呼出信号(2)の立ち上がりに同期して、呼出ボタンの操作継続時間の計測値を第1閾値時間に戻して操作継続時間の計測を継続する。その後、呼出信号出力部24は、呼出ボタンの操作継続時間が第2閾値時間以上となるたびに第2呼出信号(2)を出力することにより、ナースコール親機1にて第2報知が行われるように制御する。
【0034】
図4および図5は、以上のように構成した呼出制御装置の動作例を示すフローチャートである。図4は、呼出ボタンの連続操作回数に基づいて呼出信号を出力する動作例を示すフローチャートである。図5は、呼出ボタンの操作継続時間に基づいて呼出信号を出力する動作例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートおよび図5に示すフローチャートは、並行して実行される。
【0035】
図4において、まず押下操作検出部21は、呼出ボタンの押下操作が検出されたか否かを判定する(ステップS1)。ここで、呼出ボタンの押下操作が検出されるまで、ステップS1の判定を繰り返す。そして、呼出ボタンの押下操作が検出された場合、押下操作検出部21は押下信号を出力する(ステップS2)。この押下信号の立ち上がりに同期して、操作回数判定部23は連続操作回数の計測値をインクリメントする(ステップS3)。
【0036】
そして、操作回数判定部23は、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定する(ステップS4)。ここで、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上になったと操作回数判定部23により判定された場合、呼出信号出力部24は呼出信号を出力する(ステップS5)。そして、この呼出信号の立ち下がりに同期して、操作時間判定部22が操作継続時間の計測値をゼロに初期化するとともに(ステップS6)、操作回数判定部23が連続操作回数の計測値をゼロに初期化する(ステップS7)。その後、処理はステップS1に戻る。
【0037】
上記ステップS4において、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上になっていないと操作回数判定部23により判定された場合、押下操作検出部21は、ステップS1で検出された呼出ボタンの押下操作の停止が検出されたか否かを判定する(ステップS8)。ここで、呼出ボタンの押下操作の停止が検出された場合、押下操作検出部21は押下信号の出力を停止する(ステップS9)。そして、操作回数判定部23は、この押下信号の立ち下がりから所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS10)、所定時間が経過した場合に処理はステップS7に進む。
【0038】
一方、押下信号の立ち下がりから所定時間がまだ経過していない場合、押下操作検出部21は、呼出ボタンの押下操作が再び検出されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、呼出ボタンの押下操作が検出されていない場合、処理はステップS10に戻り、所定時間の経過の監視が継続される。一方、呼出ボタンの押下操作が再び検出された場合、処理はステップS2に進み、以上と同様の処理を実行する。
【0039】
図5において、まず押下操作検出部21は、呼出ボタンの押下操作が検出されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、呼出ボタンの押下操作が検出されるまで、ステップS11の判定を繰り返す。そして、呼出ボタンの押下操作が検出された場合、押下操作検出部21は押下信号を出力する(ステップS12)。この押下信号の立ち上がりに同期して、操作時間判定部22は操作継続時間の計測を開始する(ステップS13)。
【0040】
その後、操作時間判定部22は、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間となったか否かを判定する(ステップS14)。呼出ボタンの操作継続時間がまだ第1閾値時間になっていない場合、押下操作検出部21は、ステップS11で検出された呼出ボタンの押下操作の停止が検出されたか否かを判定する(ステップS15)。ここで、呼出ボタンの押下操作の停止が検出されていない場合、処理はステップS14に戻る。一方、呼出ボタンの押下操作の停止が検出された場合、押下操作検出部21は押下信号の出力を停止する(ステップS16)。そして、操作時間判定部22は、この押下信号の立ち下がりに同期して、操作継続時間の計測値をゼロに初期化する(ステップS17)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0041】
上記ステップS14において、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間になったと判定された場合、呼出信号出力部24は第1呼出信号を出力する(ステップS18)。そして、操作回数判定部23は、この第1呼出信号の立ち下がりに同期して、連続操作回数の計測値をゼロに初期化する(ステップS19)。その後、操作時間判定部22は、呼出ボタンの操作継続時間が第2閾値時間となったか否かを判定する(ステップS20)。呼出ボタンの操作継続時間がまだ第2閾値時間になっていない場合、押下操作検出部21は、ステップS11で検出された呼出ボタンの押下操作の停止が検出されたか否かを判定する(ステップS21)。
【0042】
ここで、呼出ボタンの押下操作の停止が検出されていない場合、処理はステップS20に戻る。一方、呼出ボタンの押下操作の停止が検出された場合、押下操作検出部21は押下信号の出力を停止する(ステップS22)。そして、操作時間判定部22は、この押下信号の立ち下がりに同期して、操作継続時間の計測値をゼロに初期化する(ステップS23)。その後、処理はステップS11に戻る。
【0043】
上記ステップS20において、呼出ボタンの操作継続時間が第2閾値時間になったと判定された場合、呼出信号出力部24は第2呼出信号を出力する(ステップS24)。そして、操作時間判定部22は、この第2呼出信号の立ち上がりに同期して、操作継続時間の計測値を第1閾値時間に戻す(ステップS25)。その後、処理はステップS21に進み、以上と同様の処理を継続する。
【0044】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ナースコール子機4,5において、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かを判定するとともに、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かを判定し、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったことまたは連続操作回数が閾値回数以上となったことが検知された場合に呼出信号を出力することにより、ナースコール親機1での報知が行われるようにしている。
【0045】
このように構成した本実施形態によれば、呼出ボタンの操作継続時間が閾値時間以上となったか否かという点と、呼出ボタンの連続操作回数が閾値回数以上となったか否かという点の両方の判定が行われ、両方とも該当しないと判定された場合は報知が行われず、何れか一方の点に該当すると判定された場合に報知が行われることとなる。これにより、呼出ボタンを1回押下するだけで押下時間の長さによらず呼出信号を出力する場合に比べて、呼出ボタンの操作時間および操作回数の両方の観点から誤報の発生を抑制することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、呼出ボタンの操作継続時間に関しては第1閾値時間とそれより大きい第2閾値時間とを設定し、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間に達した時点で第1呼出信号を出力し、その後も継続して押下される呼出ボタンの操作継続時間が第2閾値時間に達した時点で第2呼出信号を出力するようにしている。これにより、呼出ボタンを長時間押下し続けることにより、第1報知および第2報知をナースコール親機1にて実行するようにすることができ、患者からの呼び出しが続いていることの注意喚起を第2報知によって看護師に対して行うことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間以上となったことに応じて第1呼出信号が出力された後も操作継続時間の計測を継続する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1呼出信号が出力されたときに、操作継続時間の計測値をゼロに初期化した上で操作継続時間の計測を継続するようにしてもよい。この場合、操作時間判定部22は、初期化後に計測される操作継続時間(第1閾値時間に到達した以降における呼出ボタンの操作継続時間)が、第1閾値時間よりも長い第2閾値時間(この場合の第2閾値時間は、図3Bに示す第2閾値時間と第1閾値時間との差分時間に相当する)以上となったか否かを判定する。
【0048】
また、上記実施形態では、呼出制御装置の機能をナースコール子機4,5が備える例について説明したが、廊下灯3、制御機2またはナースコール親機1が備えるようにしてもよい。この場合、図3に示す押下信号と同等の呼出信号(呼出ボタンが押下されている間は継続して立ち上がっている信号)をナースコール子機4,5から出力するようにし、廊下灯3、制御機2またはナースコール親機1に備えられた呼出制御装置は、ナースコール子機4,5から送信された呼出信号の立ち上がりおよび立ち下がりに同期して操作継続時間および連続操作回数の計測を行うようにする。そして、廊下灯3または制御機2が呼出制御装置を備える場合は、操作継続時間が閾値時間(第1閾値時間および第2閾値時間)に達した場合または連続操作回数が閾値回数に達した場合に呼出信号をナースコール親機1に転送するようにする。また、ナースコール親機1が呼出制御装置を備える場合は、操作継続時間が閾値時間に達した場合または連続操作回数が閾値回数に達した場合に報知処理を実行するようにする。
【0049】
また、上記実施形態では、呼出ボタンの操作継続時間に関して第1閾値時間と第2閾値時間とを設定し、呼出ボタンの操作継続時間が第1閾値時間に達した時点で第1報知を行い、その後に操作継続時間が第2閾値時間に達した時点で第2報知を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1閾値時間のみを設定し、第1報知のみを行うようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、呼出信号の立ち下がりに同期して操作継続時間および連続操作回数の計測値を初期化する例について説明したが、呼出信号の立ち上がりに同期して操作継続時間および連続操作回数の計測値を初期化するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、呼出ボタンを押下する時間間隔が所定時間以内である場合に連続操作とみなして連続操作回数を計測し、こうして計測される連続操作回数が閾値回数以上となった場合に呼出信号を出力する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、あらかじめ設定した固定の所定時間以内に呼出ボタンが閾値回数以上押下されたか否かを判定し、所定時間以内における呼出ボタンの押下回数が閾値回数以上となった場合に呼出信号を出力するようにしてもよい。
【0052】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ナースコール親機
2 制御機
3 廊下灯
4 壁埋込形子機(ナースコール子機)
5 ハンド形子機(ナースコール子機)
21 押下操作検出部
22 操作時間判定部
23 操作回数判定部
24 呼出信号出力部(制御部)
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5